JP5949051B2 - 射出成形用組成物および焼結体の製造方法 - Google Patents

射出成形用組成物および焼結体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、射出成形用組成物および焼結体の製造方法に関するものである。
金属粉末を含む成形体を焼結して金属製品を製造する粉末冶金法は、ニアネットシェイプの焼結体が得られることから、近年、多くの産業分野で普及している。例えば、磁性金属粉末を用いることにより、複雑な形状の磁性コアが容易に得られることから、例えば磁気アクチュエーター用部品の用途で用いられている。
成形体の製造方法(成形方法)には多くの方法があるが、金属粉末と有機バインダーとを混合、混練し、この混練物(コンパウンド)を用いて射出成形する粉末射出成形法が知られている。粉末射出成形法により製造された成形体は、その後、脱脂処理により有機バインダーが除去された後、焼成されることにより、目的とする形状の金属製品となる。
このような金属粉末射出成形法においては、成形体に保形性を与える等の種々の目的から、適当な有機バインダーを選定する必要がある。
例えば、特許文献1には、金属粉末射出成形法に用いる有機バインダー成分として、ポリαメチルスチレン、パラフィンワックス、ステアリン酸、フタル酸ジブチル等が開示されている。
ところが、複雑な形状に成形する場合には特に、脱脂時に成形体の保形性が十分に高くなければ、成形直後の形状を脱脂や焼結時に維持することが難しく、変形や欠損等が生じて焼結体の寸法精度が低下する。特に粉末射出成形法では、コンパウンドの流動性を高めるべく、金属粉末に対する有機バインダーの比率を高める必要があるため、その分収縮率が大きく、焼結体の寸法精度が低下し易い。このため、脱脂時の保形性をこれまで以上に高めつつ、収縮率をできるだけ抑える必要がある。
特開平11−131103号公報
本発明の目的は、保形性が高い成形体を製造可能な射出成形用組成物、および寸法精度の高い高品質な焼結体を確実に製造可能な焼結体の製造方法を提供することにある。
上記目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の射出成形用組成物は、Fe、NiおよびCoのいずれかを主成分とし、質量基準の粒度分布における累積質量が10%になるときの粒径D10が2μm以上5μm未満であり、累積質量が50%になるときの粒径D50が5μm以上10μm以下であり、累積質量が90%になるときの粒径D90が12μm以上28μm以下である磁性金属粉末と、
不飽和グリシジル基含有重合体で構成された第1樹脂、および、前記第1樹脂より軟化点が高い第2樹脂、を含む有機バインダーと、を含有し、
前記磁性金属粉末100質量部に対して、前記有機バインダーの含有量が3質量部以上9質量部以下であることを特徴とする。
これにより、磁性金属粉末と有機バインダーとを混練してなる混練物の流動性が高く、有機バインダーの含有量が低いものとなるので、脱脂時における収縮率が低く、保形性が高い成形体を製造可能であり、寸法精度の高い高品質な焼結体を製造可能な射出成形用組成物が得られる。
本発明の射出成形用組成物では、前記磁性金属粉末は、粒径10μm未満のものを55質量%以上、粒径20μm以上30μm未満のものを0質量%超15質量%未満、粒径30μm以上のものを0質量%超5質量%未満の割合でそれぞれ含み、残部は粒径10μm以上20μm未満であることが好ましい。
これにより、磁性金属粉末において粗大な粒径のものが非常に少なく抑えられているとともに、粒径のバラつきが特に小さく抑えられているため、有機バインダーとともに混練したときの流動性および成形性が特に高められる。その結果、成形性を維持しつつ、磁性金属粉末に対する有機バインダーの相対量をより減少させることができ、脱脂時の収縮率をより抑えることができる。
本発明の射出成形用組成物では、前記第1樹脂と前記第2樹脂との軟化点の差は、10℃以上100℃以下であることが好ましい。
これにより、混練時の流動性がより高められることとなり、磁性金属粉末に対する有機バインダーの含有量をより抑えることができる。その結果、脱脂時の収縮率をより抑えることができる。
本発明の射出成形用組成物では、前記不飽和グリシジル基含有重合体は、不飽和グリシジル基含有モノマーと、エチレン系不飽和エステル化合物モノマーと、を含む共重合体であることが好ましい。
これにより、磁性金属粉末の粒子に対する有機バインダーの親和性が向上するため、射出成形用組成物の均質性を特に高めることができる。
本発明の射出成形用組成物では、前記不飽和グリシジル基含有重合体は、不飽和グリシジル基含有モノマーと、非極性α−オレフィン系モノマーと、を含む共重合体であることが好ましい。
これにより、他のバインダー成分に対する不飽和グリシジル基含有重合体の親和性が向上するため、不飽和グリシジル基含有重合体は磁性金属粉末と他のバインダー成分との間で安定的に存在し得るものとなる。このため、脱脂体(成形体)の成形性を向上させるとともに保形性の低下を抑制し得る射出成形用組成物が得られる。
本発明の射出成形用組成物では、前記不飽和グリシジル基含有重合体の軟化点は、65℃以上105℃以下であることが好ましい。
これにより、混練時および成形時に適度な柔軟性を示し、均質で寸法精度の高い焼結体を製造可能な脱脂体を製造することができる。
本発明の射出成形用組成物では、前記有機バインダーは、さらにワックス類を含むことが好ましい。
これにより、組成物に適度な流動性を付与し、組成物の均一性および成形性が高められるため、特に均質で寸法精度の高い焼結体を製造可能な組成物が得られる。
本発明の射出成形用組成物では、前記有機バインダーは、さらにフタル酸エステルを含むことが好ましい。
これにより、組成物に適度な流動性を付与し、組成物の均一性および成形性が高められるため、特に均質で寸法精度の高い焼結体を製造可能な組成物が得られる。
本発明の射出成形用組成物では、有機バインダー中における前記第2樹脂の質量含有率は、前記第1樹脂の80質量%以上150質量%以下であることが好ましい。
これにより、第2樹脂と磁性金属粒子との親和性と組成物の成形性とを高度に両立することができ、特に均質で寸法精度の高い焼結体を製造可能な組成物が得られる。
本発明の射出成形用組成物では、前記第1樹脂および前記第2樹脂は、これらの合計が前記有機バインダー中で50質量%以上を占めていることが好ましい。
これにより、均質で寸法精度の高い焼結体を製造可能な脱脂体をより確実に得ることができる。
本発明の焼結体の製造方法は、Fe、NiおよびCoのいずれかを主成分とし、質量基準の粒度分布における累積質量が10%になるときの粒径D10が2μm以上5μm未満であり、累積質量が50%になるときの粒径D50が5μm以上10μm以下であり、累積質量が90%になるときの粒径D90が12μm以上28μm以下である磁性金属粉末と、不飽和グリシジル基含有重合体で構成された第1樹脂および前記第1樹脂より軟化点が高い第2樹脂を含む有機バインダーと、を前記磁性金属粉末100質量部に対して前記有機バインダーを3質量部以上9質量部以下の割合で混練し、混練物を得る工程と、
前記混練物を射出成形し、成形体を得る工程と、
前記成形体を脱脂、焼成して焼結体を得る工程と、を有することを特徴とする。
これにより、寸法精度の高い高品質な焼結体を確実に製造することができる。
本発明により製造された焼結体の適用例であるヨークケースを示す(a)平面図および(b)X−X線断面図である。
以下、本発明の射出成形用組成物および焼結体の製造方法を詳細に説明する。
<射出成形用組成物>
本発明の射出成形用組成物は、磁性金属粉末と、有機バインダーと、を含み、これらを混練してなるものである。
このうち、磁性金属粉末は、Fe、NiおよびCoのいずれかを主成分とするものである。
一方、有機バインダーは、磁性金属粉末の粒子同士を結着させるものであり、第1樹脂として不飽和グリシジル基含有重合体と、第2樹脂として第1樹脂より軟化点が高い成分と、を有している。
このような射出成形用組成物を射出成形することにより、脱脂時における収縮率が低く、保形性が高い成形体が得られる。また、この成形体を脱脂、焼成することにより、変形や欠損等が少なく寸法精度の高い高品質な焼結体が得られる。
以下、本発明の射出成形用組成物の各成分について詳述する。
(磁性金属粉末)
磁性金属粉末としては、前述したように、Fe、NiおよびCoのいずれかを主成分とする粉末が用いられる。主成分とは、磁性金属粉末を構成する磁性金属材料に最も多く含まれ、かつ、その含有率が50質量%超である元素のことである。したがって、磁性金属材料には、Fe基合金、Ni基合金、Co基合金等が挙げられる。具体的には、純鉄、フェライト系ステンレス鋼、センダスト、パーマロイ、スーパーマロイ、パーメンジュール、Fe−Si、Fe−Al、Fe−Cr、Fe−Al−Cr、Fe−Si−Cr等が挙げられる。
これらの中でもパーメンジュール(Fe−Co−V系合金)が好ましく用いられる。Fe−Co−V系合金は、飽和磁束密度が特に高いことから、優れた磁気特性を有する磁性金属焼結体を実現することができる。
なお、このような磁性金属粉末は、いかなる方法で製造されたものでもよいが、例えば、アトマイズ法(水アトマイズ法、ガスアトマイズ法、高速回転水流アトマイズ法等)、還元法、カルボニル法、粉砕法等の方法により製造されたものを用いることができる。このうち、磁性金属粉末には、アトマイズ法により製造されたものを用いるのが好ましい。アトマイズ法によれば、微小な磁性金属粉末を効率よく製造することができる。また、粒径のバラツキが少なく、粒径の揃った磁性金属粉末を得ることができる。したがって、このような磁性金属粉末を用いることにより、焼結体における気孔の生成を確実に防止することができ、密度の向上を図ることができる。その結果、磁気特性および機械的特性に優れた磁性金属焼結体が得られる。
また、アトマイズ法で製造された金属粉末は、比較的真球に近い球形状をなしているため、有機バインダーに対する分散性や流動性に優れたものとなる。このため、造粒粉末を成形型に充填して成形する際に、その充填性を高めることができ、最終的により寸法精度が高く緻密な焼結体を得ることができる。
本発明に用いられる磁性金属粉末は、質量基準の粒度分布において小径側からの累積質量が10%になるときの粒径D10が2μm以上5μm未満であり、累積質量が50%になるときの粒径D50が5μm以上10μm以下であり、累積質量が90%になるときの粒径D90が12μm以上28μm以下であるという粒度分布を有するものである。このような粒度分布を有する磁性金属粉末は、全体的に粒径が小さくかつ分布の幅も比較的狭いことから、有機バインダーとともに混練されたとき、流動性および成形性に優れたものとなる。このため、磁性金属粉末に対する有機バインダーの相対的な量を減らしても、十分な流動性および成形性を有する射出成形用組成物(コンパウンド)を実現することができる。このような射出成形用組成物を用いることにより、脱脂時の収縮率を抑え、脱脂時においても高い保形性を有する成形体を得ることができ、最終的には、変形や欠損等が少なく、かつ均質で寸法精度の高い高品質な焼結体を製造することができる。このような焼結体は磁気特性および機械的特性に優れるため、磁性部品として有用なものとなる。
なお、磁性金属粉末の粒径は、レーザー回折法により測定することができる。
また、粒径D10は、好ましくは2μm以上4μm以下とされ、粒径D50は、好ましくは6μm以上9μm以下とされ、粒径D90は、好ましくは15μm以上25μm以下とされる。
また、本発明に用いられる磁性金属粉末の粒度分布は、粒径10μm未満のものを55質量%以上、粒径20μm以上30μm未満のものを0質量%超15質量%未満、粒径30μm以上のものを0質量%超5質量%未満の割合で含み、残部は粒径10μm以上20μm未満という分布であるのが好ましい。このような粒度分布を有する磁性金属粉末は、粗大な粒径のものが非常に少なく抑えられているとともに、粒径のバラつきが特に小さく抑えられているものであるため、有機バインダーとともに混練されたときの流動性および成形性が特に高められる。その結果、成形性を維持しつつ、磁性金属粉末に対する有機バインダーの相対量をより減少させることができ、脱脂時の収縮率をより抑えることができる。
なお、粒径10μm未満のものの占有率はより好ましくは60質量%以上とされ、粒径20μm以上30μm未満のものの占有率はより好ましくは3質量%以上13質量%未満とされ、粒径30μm以上のものの占有率はより好ましくは1質量%以上4質量%以下とされる。
また、本発明に用いられる磁性金属粉末のタップ密度は3.5g/cm以上であるのが好ましく、3.8g/cm以上であるのがより好ましい。このようにタップ密度が大きい磁性金属粉末であれば、成形時に、粒子間の充填性が特に高くなる。このため、最終的に、特に緻密な焼結体を得ることができる。なお、磁性金属粉末のタップ密度は、例えばJIS Z 2512に規定のタップ密度測定方法に準じて測定することができる。
また、本発明に用いられる磁性金属粉末の比表面積は、特に限定されないが、0.15m/g以上0.8m/g以下であるのが好ましく、0.2m/g以上0.7m/g以下であるのがより好ましく、0.3m/g以上0.6m/g以下であるのがさらに好ましい。このように比表面積の広い磁性金属粉末であれば、表面の活性(表面エネルギー)が高くなるため、より少ないエネルギーの付与でも容易に焼結することができる。したがって、成形体を焼結する際に、より短時間で焼結することができ、保形性を高め易い。一方、比表面積が前記上限値を超えると、磁性金属粉末と有機バインダーとの接触面積が必要以上に広くなり、組成物の安定性や流動性が低下するおそれがある。なお、磁性金属粉末の比表面積は、例えばJIS Z 8830に規定の気体吸着による粉体(固体)の比表面積測定方法に準じて測定することができる。
(有機バインダー)
有機バインダーは、前述したように、不飽和グリシジル基含有重合体で構成された第1樹脂と、第1樹脂より軟化点が高い第2樹脂と、を含むものである。
本発明者は、磁性金属粉末と有機バインダーとを混練してなる混練物において、その成形性を確保しながら脱脂時の収縮を抑えるべく、磁性金属粉末の粒度分布と有機バインダーの組成との関係について鋭意検討を重ねた。そして、磁性金属粉末の粒度分布を特定の範囲に限定するとともに有機バインダーの組成を最適化することにより、磁性金属粉末に対する有機バインダーの量を抑えても十分な成形性を確保し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明では、前述したような範囲に粒径D10、粒径D50および粒径D90がそれぞれ設定されている磁性金属粉末と、前述したような第1樹脂と第2樹脂とを含む有機バインダーと、を含むことにより、磁性金属粉末100質量部に対して有機バインダーの含有量が3質量部以上9質量部以下という少ない量に抑えても、射出成形用の組成物(コンパウンド)として有用な特性を有するものとなる。したがって、このような射出成形用組成物を成形した際には優れた成形性が得られ、この成形体を脱脂した際には収縮率が抑えられることとなり、高い保形性を実現することができる。その結果、最終的には、変形や欠損等が少なく寸法精度の高い高品質な焼結体が得られる。
また、第1樹脂と第2樹脂との軟化点の差は、10℃以上100℃以下であるのが好ましく、10℃以上50℃以下であるのがより好ましく、15℃以上40℃以下であるのがさらに好ましい。第1樹脂と第2樹脂との間にこのような軟化点の差があることにより、混練時の流動性がより高められることとなり、磁性金属粉末に対する有機バインダーの含有量をより抑えることができる。その結果、脱脂時の収縮率をより抑えることができる。
なお、第2樹脂は第1樹脂より多くても少なくてもよい。したがって、有機バインダーにおいて不飽和グリシジル基含有重合体(第1樹脂)の質量含有率が最も高く、次いでそれより軟化点の高い樹脂が多く含まれている場合や、有機バインダーにおいて不飽和グリシジル基含有重合体(第1樹脂)より軟化点の高い樹脂の質量含有率が最も高く、次いで第1樹脂が多く含まれている場合、あるいは第1樹脂および第2樹脂よりもこれらとは異なる第3樹脂が多く含まれている場合等があり得るが、これらは特に限定されない。
ここで、有機バインダーには、前述した不飽和グリシジル基含有重合体の他に、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリペンテンのようなポリオレフィン、ポリエチレン−ポリプロピレン共重合体、ポリエチレン−ポリブチレン共重合体のようなポリオレフィン系共重合体、ポリスチレンのようなスチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレートのようなアクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートのようなポリエステル、ポリエーテル、ポリビニルアルコール、ポリアセタール、またはこれらの共重合体等の各種樹脂や、各種ワックス、高級脂肪酸(例:ステアリン酸)、高級アルコール、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド、フタル酸エステル等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上の混合物が用いられる。
このうち、有機バインダーは、不飽和グリシジル基含有重合体、スチレン系樹脂、ワックス類、およびフタル酸エステルを含むことが好ましい。これらの成分の組み合わせによれば、不飽和グリシジル基含有重合体が組成物に十分な流動性および成形性を付与する一方、スチレン系樹脂が組成物に十分な保形性を付与すると考えられる。また、ワックス類およびフタル酸エステルは、より低温の段階から組成物に流動性を付与するとともに、脱脂時にはより低温で脱脂されることにより、より高温で脱脂される不飽和グリシジル基含有重合体やスチレン系樹脂の脱脂を促すことができる。その結果、変形や欠損等が少なく、機械的特性や磁気特性に優れた高品質な焼結体が得られる。以下、これらの成分について説明する。なお、以下の説明では、不飽和グリシジル基含有重合体が第1樹脂であり、スチレン系樹脂が第2樹脂であるとして説明する。
((不飽和グリシジル基含有重合体))
不飽和グリシジル基含有重合体(第1樹脂)は、不飽和グリシジル基含有モノマーを繰り返し単位として含むポリマーである。不飽和グリシジル基含有モノマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、α−エチルグリシジルエーテル、クロトニルグリシジルエーテル、グリシジルクロトネート、イタコン酸モノアルキルエステルモノグリシジルエステル、フマル酸モノアルキルエステルモノグリシジルエステル、マレイン酸モノアルキルエステルモノグリシジルエステル、脂環式エポキシ基含有(メタ)アクリレート等が挙げられ、本発明で用いられる不飽和グリシジル基含有重合体には、これらの不飽和グリシジル基含有モノマーのうちの1種または2種以上を含むものが用いられる。また特にグリシジル(メタ)アクリレートが好ましく用いられる。
ここで、グリシジル基は混練、成形等において開環し、磁性金属粉末の粒子表面の水酸基と結合する。その結果、磁性金属粉末の粒子と不飽和グリシジル基含有重合体とが高い密着性を示し、それが駆動力となって磁性金属粉末と有機バインダーとが偏りなく均一に混練されることとなる。その結果、混練物の流動性が確保され、その分、有機バインダーの比率を下げることができる。
また、不飽和グリシジル基含有重合体は、前述したような不飽和グリシジル基含有モノマーと、エチレン系不飽和エステル化合物モノマーと、を含む共重合体であるのが好ましい。エチレン系不飽和エステル化合物モノマーを含む共重合体は、均質で充填性の高い成形体および脱脂体の実現に寄与する。特にエチレン系不飽和エステル化合物モノマーは不飽和グリシジル基含有モノマーとともに、磁性金属粉末の粒子との親和性に寄与するため、特に均質性を高めることができる。
エチレン系不飽和エステル化合物モノマーとしては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチルのようなカルボン酸ビニルエステル、α,β−不飽和カルボン酸アルキルエステル等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を含むものが用いられる。
これらのエチレン系不飽和エステル化合物モノマーの中でも、特に、酢酸ビニルおよびアクリル酸メチルの少なくとも一方を含むものが好ましく用いられる。
なお、不飽和グリシジル基含有重合体としては、例えばレクスパール(日本ポリオレフィン製)、モディパー(日本油脂製)、ユーメックス(三洋化成工業製)、ボンダイン(住化アトフィナ製)、ボンドファースト(住友化学製)等が挙げられる。
また、不飽和グリシジル基含有重合体は、前述したような不飽和グリシジル基含有モノマーの他に、非極性α−オレフィン系モノマーを含むのが好ましい。非極性α−オレフィン系モノマーを繰り返し単位として含むことにより、不飽和グリシジル基含有重合体は、スチレン系樹脂のようなオレフィン系樹脂との親和性に富んだものとなる。その結果、不飽和グリシジル基含有重合体は、前述したように磁性金属粉末の粒子に対して親和性を有するだけでなく、他のバインダー成分に対しても親和性を有するものとなるため、磁性金属粉末と他のバインダー成分との間で安定的に存在し得るものとなる。その結果、脱脂体(成形体)の成形性の向上、保形性の低下を特に抑制することができる。
非極性α−オレフィン系モノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、4−メチルペンテン−1等が挙げられ、それらの中でもエチレン、プロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1が好ましい。
また、本発明に用いられる不飽和グリシジル基含有重合体の軟化点は、65℃以上105℃以下であるのが好ましく、70℃以上100℃以下であるのがより好ましい。このような軟化点の不飽和グリシジル基含有重合体は、混練時および成形時に適度な柔軟性を示し、均質で寸法精度の高い焼結体を製造可能な脱脂体の製造に寄与する。
また、本発明に用いられる不飽和グリシジル基含有重合体のメルトマスフローレート(190℃)は、2[g/10min]以上10[g/10min]以下程度であるのが好ましく、3[g/10min]以上8[g/10min]以下程度であるのがより好ましい。このようなメルトマスフローレートの不飽和グリシジル基含有重合体は、成形型への充填性に優れることから、特に均質で寸法精度の高い焼結体を製造可能な脱脂体の製造に寄与する。なお、メルトフローレートは、JIS K 6922−2に規定の方法に準じて測定温度190℃、測定荷重2.16kgで測定することができる。
なお、不飽和グリシジル基含有重合体を構成する繰り返し単位としては、前述したように、不飽和グリシジル基含有モノマーが挙げられ、必要に応じてエチレン系不飽和エステル化合物モノマーや非極性α−オレフィン系モノマー等が添加される。
これらの存在比は特に限定されないが、一例として、不飽和グリシジル基含有モノマー100質量部に対して非極性α−オレフィン系モノマーは300質量部以上2000質量部以下であるのが好ましく、400質量部以上1500質量部以下であるのがより好ましい。これにより、非極性α−オレフィン系モノマーによるスチレン系樹脂との相溶性と、不飽和グリシジル基含有モノマーによる磁性金属粒子との親和性と、を高度にバランスすることができ、保形性と成形性の両立を図ることができる。その結果、均質で寸法精度の高い焼結体を製造可能な脱脂体を得ることができる。
また、不飽和グリシジル基含有モノマー100質量部に対してエチレン系不飽和エステル化合物モノマーは20質量部以上80質量部以下であるのが好ましく、25質量部以上75質量部以下であるのがより好ましい。
さらに、不飽和グリシジル基含有重合体としては、その引張強さが4MPa以上25MPa以下程度であるものが好ましく用いられ、5MPa以上20MPa以下程度であるものがより好ましく用いられる。
なお、不飽和グリシジル基含有重合体の重量平均分子量は、上述したようなメルトフローレート等を考慮して適宜設定されるが、一例として、1万以上40万以下であるのが好ましく、3万以上30万以下であるのがより好ましい。
有機バインダー中における不飽和グリシジル基含有重合体の含有率は、15質量%以上40質量%以下程度であるのが好ましく、20質量%以上35質量%以下程度であるのがより好ましい。不飽和グリシジル基含有重合体の含有率を前記範囲内に設定することにより、スチレン系樹脂と磁性金属粒子との親和性を高めつつ、組成物の成形性を高めることができる。その結果、均質で寸法精度の高い焼結体を製造可能な脱脂体の製造が可能になる。
((スチレン系樹脂))
第2樹脂は、第1樹脂との間で軟化点が所定の大小関係を満たすものであれば、いかなる樹脂であってもよいが、ここでは前述したように第2樹脂がスチレン系樹脂である場合について説明する。
スチレン系樹脂は、有機バインダーに適度な機械的強度を付与し、成形体の保形性を高める。このため、特に寸法精度の高い焼結体を製造可能な脱脂体の製造に寄与する。
スチレン系樹脂としては、スチレンモノマーを繰り返し単位として含む重合体や共重合体が挙げられ、ホモポリマーのポリスチレンが好ましく用いられる。
スチレン系樹脂の重量平均分子量は、特に限定されないが、5000以上70000以下程度であるのが好ましく、7000以上50000以下程度であるのがより好ましい。このような分子量のスチレン系樹脂を含むことにより、均質で寸法精度の高い焼結体を製造可能な脱脂体を得ることができる。
スチレン系樹脂としては、その軟化点が不飽和グリシジル基含有重合体の軟化点より高く、かつ、90℃以上150℃以下のものが好ましく用いられ、100℃以上140℃以下のものがより好ましく用いられる。スチレン系樹脂の重量平均分子量を前記範囲内とすることにより、磁性金属粉末と有機バインダーとをより均一に混合することができ、組成物の成形性をより高めることができる。その結果、均質で寸法精度の高い焼結体を製造可能な脱脂体を得ることができる。
有機バインダー中におけるスチレン系樹脂(第2樹脂)の含有率は、10質量%以上50質量%以下程度であるのが好ましく、15質量%以上40質量%以下程度であるのがより好ましい。スチレン系樹脂の含有率を前記範囲内に設定することにより、有機バインダーに適度な機械的強度を付与し、成形体の保形性を高めつつ、成形体の均質化を図ることができる。その結果、均質で寸法精度の高い焼結体を製造可能な脱脂体の製造が可能になる。
なお、不飽和グリシジル基含有重合体に対するスチレン系樹脂(第2樹脂)の比率は、80質量%以上150質量%以下であるのが好ましく、90質量%以上140質量%以下であるのがより好ましく、100質量%超130質量%以下であるのがさらに好ましい。比率を前記範囲内に設定することにより、スチレン系樹脂(第2樹脂)と磁性金属粒子との親和性と組成物の成形性とを高度に両立することができ、特に均質で寸法精度の高い焼結体を製造可能な脱脂体の製造が可能になる。
また、不飽和グリシジル基含有重合体およびスチレン系樹脂は、これらの合計が有機バインダー中で50質量%以上を占めているのが好ましく、55質量%以上を占めているのがより好ましい。これにより、均質で寸法精度の高い焼結体を製造可能な脱脂体をより確実に得ることができる。
((ワックス類))
ワックス類は、組成物に適度な流動性を付与し、組成物の均一性および成形性を高める。その結果、特に均質で寸法精度の高い焼結体を製造可能な脱脂体の製造に寄与する。
ワックス類としては、例えば、キャンデリラワックス、カルナバワックス、ライスワックス、木ろう、ホホバ油のような植物系ワックス、みつろう、ラノリン、鯨ろうのような動物系ワックス、モンタンワックス、オゾケライト、セレシンのような鉱物系ワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタムのような石油系ワックス等の天然ワックス、ポリエチレンワックスのような合成炭化水素、モンタンワックス誘導体、パラフィンワックス誘導体、マイクロクリスタリンワックス誘導体のような変性ワックス、硬化ひまし油、硬化ひまし油誘導体のような水素化ワックス、12−ヒドロキシステアリン酸のような脂肪酸、ステアリン酸アミドのような酸アミド、無水フタル酸イミドのようなエステル等の合成ワックスが挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いられる。
なお、ワックス類としては、特に石油系ワックスまたはその変性物が好ましく用いられ、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、カルナバワックスまたはこれらの誘導体がより好ましく用いられ、パラフィンワックスまたはカルナバワックスがさらに好ましく用いられる。これらのワックスは、スチレン系樹脂との相溶性に優れているため、均質なバインダーの調製を可能にする。
また、ワックス類の重量平均分子量は、100以上1万未満であるのが好ましく、200以上5000以下であるのがより好ましい。ワックス類の重量平均分子量を前記範囲内とすることにより、磁性金属粉末と有機バインダーとをより均一に混合することができ、組成物の成形性をより高めることができる。
なお、ワックス類としては、その軟化点が不飽和グリシジル基含有重合体の軟化点より低く、かつ、30℃以上100℃以下のものが好ましく用いられ、50℃以上95℃以下のものがより好ましく用いられる。
また、ワックス類を含む場合、軟化点の異なる複数種のワックス類を含むようにしてもよい。これにより、組成物の成形性を高めることができる。この場合、最も軟化点が高いワックス類と最も軟化点が低いワックス類との軟化点差は、特に限定されないが、3℃以上40℃以下程度であるのが好ましく、5℃以上30℃以下程度であるのがより好ましい。具体的な組み合わせとして、例えば、パラフィンワックスとカルナバワックス等が挙げられる。
有機バインダー中におけるワックス類の含有率は、10質量%以上45質量%以下程度であるのが好ましく、15質量%以上40質量%以下程度であるのがより好ましい。ワックス類の含有率を前記範囲内に設定することにより、有機バインダーに適度な流動性を付与しつつ、保形性の低下を抑制することができる。その結果、特に均質で寸法精度の高い焼結体を製造可能な脱脂体を製造することができる。
なお、不飽和グリシジル基含有重合体に対するワックス類の比率は、80質量%以上150質量%以下であるのが好ましく、90質量%以上140質量%以下であるのがより好ましく、100質量%超130質量%以下であるのがさらに好ましい。比率を前記範囲内に設定することにより、組成物に適度な流動性を付与しつつ、保形性の低下を抑制することができる。
((フタル酸エステル))
フタル酸エステルは、組成物に適度な流動性を付与し、組成物の均一性および成形性を高める。その結果、特に均質で寸法精度の高い焼結体を製造可能な脱脂体の製造に寄与する。
フタル酸エステルとしては、例えば、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ブチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジオクチル等が挙げられ、これらのうちの1種または2種を組み合わせて用いられる。
有機バインダー中におけるフタル酸エステルの含有率は、5質量%以上30質量%以下程度であるのが好ましく、10質量%以上25質量%以下程度であるのがより好ましい。比率を前記範囲内に設定することにより、組成物に適度な流動性を付与しつつ、保形性の低下を抑制することができる。
なお、不飽和グリシジル基含有重合体に対するフタル酸エステルの比率は、30質量%以上80質量%以下程度であるのが好ましく、40質量%以上70質量%以下程度であるのがより好ましい。比率を前記範囲内に設定することにより、組成物に適度な流動性を付与しつつ、保形性の低下を抑制することができる。
((その他の成分))
また、有機バインダーには、上記4種以外に前述したその他の成分を含んでいてもよい。
飽和脂肪酸の炭素数は、12以上20以下程度であるのが好ましい。これにより、成形性を特に高めることができる。
また、高級脂肪酸としては、例えば、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸等が挙げられ、特に、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸のような飽和脂肪酸が好ましく用いられる。
また、アルコール類としては、例えば、多価アルコール、ポリグリコール、ポリグリセロール等が挙げられ、特に、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、マンニトール等が好ましく用いられる。
また、脂肪酸金属としては、例えば、ラウリン酸、ステアリン酸、コハク酸、ステアリル乳酸、乳酸、フタル酸、安息香酸、ヒドロキシステアリン酸、リシノール酸、ナフテン酸、オレイン酸、パルミチン酸、エルカ酸のような高級脂肪酸と、Li、Na、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd、Al、Sn、Pb、Cdのような金属との化合物が挙げられ、特に、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸カルシウム、オレイン酸亜鉛、オレイン酸マグネシウム等が好ましく用いられる。
また、非イオン界面活性剤系滑剤としては、例えば、エレクトロストリッパ−TS−2、エレクトロストリッパ−TS−3(花王)等が挙げられる。
また、シリコーン系滑剤としては、例えば、ジメチルポリシロキサンおよびその変性物、カルボキシル変性シリコーン、αメチルスチレン変性シリコーン、αオレフィン変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、親水性特殊変性シリコーン、オレフィンポリエーテル変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、アミド変性シリコーン、アルコール変性シリコーン等が挙げられる。
さらにその他の成分としては、例えば、パーム油のような脂肪酸エステル、アジピン酸ジブチルのようなアジピン酸エステル、セバシン酸ジブチルのようなセバシン酸エステル、ポリビニルピロリドン、ポリエーテル、ポリプロピレンカーボネート、エチレンビスステアロアミド、アルギン酸ソーダ、寒天、アラビアゴム、レジン、しょ糖、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
有機バインダーにおけるこのような成分の含有量は、0.1質量%以上10質量%以下であるのが好ましく、1質量%以上8質量%以下であるのがより好ましい。
また、不飽和グリシジル基含有重合体に対するその他の成分の質量比は、0.005以上0.3以下であるのが好ましく、0.01以上0.2以下であるのがより好ましい。
なお、射出成形用組成物は、上記の成分の他に、酸化防止剤、脱脂促進剤、界面活性剤等を含んでいてもよい。
また、射出成形用組成物中における有機バインダーの含有率は、前述したように、磁性金属粉末100質量部に対して3質量部以上9質量部以下とされるが、好ましくは4質量部以上9質量部以下程度とされ、より好ましくは5質量部以上8質量部以下程度とされる。
<焼結体の製造方法>
次いで、本発明の焼結体の製造方法について説明する。
本発明の焼結体の製造方法は、上述した磁性金属粉末と有機バインダーとを混練して混練物を得る混練工程と、得られた混練物を所望の形状に成形する成形工程と、得られた成形体に脱脂処理を施す脱脂工程と、得られた脱脂体を焼成する焼成工程と、を有する。以下、各工程について順次説明する。
(混練工程)
混練物は、上述した磁性金属粉末、有機バインダー等を混練して調製されるが、この混練には、例えば、加圧または双腕ニーダー式混練機、ロール式混練機、バンバリー型混練機、1軸または2軸押出機等の各種混練機を用いることができる。
なお、全体の混練時間は、15分以上210分以下程度であるのが好ましい。
得られた混練物の粘度は、500P以上7000P以下(50Pa・s以上700Pa・s以下)であるのが好ましく、1000P以上6000P以下(100Pa・s以上600Pa・s以下)であるのがより好ましい。これにより、成形時の成形性を特に高めることができる。なお、粘度の測定は、混練物を190℃の温度に保ち、キャピログラフにより測定される。
なお、本工程に供される有機バインダーには粉末状のものが好ましく用いられる。そして、有機バインダーを粉末化する際には、一般的な粉砕方法が用いられるが、特に凍結粉砕を用いることが好ましい。凍結粉砕によって得られるバインダー粉末は、特に細かく均一なものであり、しかも粉砕時の熱影響が抑えられた本来のバインダー特性を有するものとなる。
また、バインダー粉末の平均粒径は、それぞれ10μm以上500μm以下程度であるのが好ましく、15μm以上400μm以下程度であるのがより好ましい。凍結粉砕によってこの程度の粒径にまで粉砕することにより、混合における比重の差の影響を最小限に抑えることができるので、バインダー粉末と磁性金属粉末とを均一に混合することができる。
なお、平均粒径は、レーザー回折法により、質量基準で累積量が50%になるときの粒径として求められる。
また、上述したような組成物を混練する際には、外部からの加熱あるいは混練に伴う自己発熱により、組成物の温度が上昇する。その結果、得られた混練物では、磁性金属粉末の粒子を覆うように不飽和グリシジル基含有重合体を主材料とする内層が形成され、その外側にはその他の成分を主材料とする外層が形成される。不飽和グリシジル基含有重合体は、金属元素と接触しても突発的な分解を起こし難いので、内層が形成されることによって、その他の成分と金属元素との接触に伴う触媒的働きが抑えられる。この触媒的働きとは、前記その他の成分が金属元素と接触した際に、突発的に分解してしまうことをいい、これを抑えることは脱脂体の割れ等を抑えられる点で有効である。その結果、有機バインダーの突発的な分解が抑えられ、保形性の低下を避けることができる。
(成形工程)
次に、得られた混練物の成形を行う。これにより、所望の形状、寸法の成形体を製造する。
成形方法としては、射出成形法、圧縮成形法、押出成形法等が用いられる。製造される成形体の形状寸法は、以後の脱脂および焼結による収縮分を見込んで決定される。
また、得られた成形体に対して、必要に応じ、機械加工、レーザー加工等の後加工を施すようにしてもよい。
なお、本発明に供される成形体は、上述した混練工程および成形工程を経て製造されたものに限定されず、いかなる方法で製造されたものでもよい。
(脱脂工程)
次に、得られた成形体に対して脱脂処理を施す。これにより、成形体中に含まれるバインダーを除去(脱脂)して、脱脂体が得られる。
脱脂工程では成形体を加熱するが、この加熱過程は3つの脱脂昇温過程を含んでいるのが好ましい。そして、各脱脂昇温過程における加熱温度は、有機バインダー中の高温バインダー成分の1気圧での分解温度TH[℃]と低温バインダー成分の1気圧での分解温度TL[℃]とに応じて設定される。なお、有機バインダー中に3種類以上の成分が含まれている場合、その含有率の多い方から2種類の成分のうち、1気圧での分解温度が高い方が高温バインダー成分であり、低い方が低温バインダー成分である。
本発明における脱脂処理は、成形体を(TL−30℃)未満の温度で加熱する第1の脱脂昇温過程と、第1の脱脂昇温過程後、成形体を(TL−30℃)以上(TL+50℃)未満の温度で加熱する第2の脱脂昇温過程と、第2の脱脂昇温過程後、成形体を(TL+50℃)以上(TH+200℃)未満の温度で加熱する第3の脱脂昇温過程と、を有している。以下、各脱脂昇温過程について説明する。
((第1の脱脂昇温過程))
第1の脱脂昇温過程では、成形体を(TL−30℃)未満の温度で加熱する。この温度域では、有機バインダーは温められるものの、大部分は分解まで至らないと考えられる。このため、有機バインダーの変性を抑制しつつ、成形体の温度の均一化が図られる。
第1の脱脂昇温過程における加熱時間は、特に限定されないが、好ましくは0.5時間以上15時間以下程度とされ、より好ましくは1時間以上10時間以下程度とされる。なお、本脱脂昇温過程では、上記温度が最高温度であり、この最高温度を上記加熱時間続けてもよく、一部の時間だけ最高温度で加熱し、それ以外の時間はそれより低い温度で加熱するようにしてもよい。これは、後述する他の昇温過程でも同様である。
また、第1の脱脂昇温過程における加熱雰囲気は、特に限定されず、窒素ガス、アルゴンガスのような不活性ガス含有雰囲気、空気のような酸化性ガス含有雰囲気、水素のような還元性ガス含有雰囲気、これらを減圧してなる減圧雰囲気等が挙げられるが、特に不活性ガス含有雰囲気であるのが好ましく、窒素ガス含有雰囲気であるのがより好ましい。これにより、有機バインダーの意図しない気化や磁性金属粉末の酸化、変性等を抑制しつつ、成形体の温度の均一化を図ることができる。その結果、最終的に均質で寸法精度の高い焼結体を製造可能な脱脂体の製造に寄与する。
この場合、雰囲気圧力は、ほぼ大気圧程度(例えば、50kPa以上200kPa以下程度)またはそれより高圧であるのが好ましい。
なお、上述したように、本脱脂昇温過程における加熱温度は有機バインダーの各成分の組成に応じて適宜設定されるが、加熱温度の一例としては100℃以下とされる。
((第2の脱脂昇温過程))
第2の脱脂昇温過程では、成形体を(TL−30℃)以上(TL+50℃)未満の温度で加熱する。この温度域では、低温バインダー成分の分解が開始される一方、高温バインダー成分はあまり分解しないと考えられる。このため、2つの成分の間で分解の進行度合いに差が生じることとなり、低温バインダー成分が優先的に除去される。これにより、多量のバインダー成分が突発的に分解するのではなく、少量のバインダー成分が徐々に分解、除去されるという脱脂挙動が実現されることとなり、突発的な分解に伴う成形体(脱脂体)の変形、割れ等の不具合が発生し難くなる。すなわち、低温バインダー成分が優先的に除去されると、成形体には低温バインダー成分が通過した跡に微小な経路が形成されるため、その後の昇温過程において、本昇温過程で形成された経路を介して高温バインダー成分が円滑に排出される。したがって、第2の脱脂昇温過程を経ることにより、最終的に寸法精度の高い焼結体を製造可能な脱脂体が得られる。
第2の脱脂昇温過程における加熱時間は、特に限定されないが、好ましくは1時間以上20時間以下程度とされ、より好ましくは2時間以上15時間以下程度とされる。これにより、その後の昇温過程において高温バインダー成分が円滑に排出されるのに十分な長さや径の経路を形成することができる。
また、第2の脱脂昇温過程における加熱雰囲気としては、特に限定されず、上述した各種雰囲気が挙げられるが、特に減圧雰囲気であるのが好ましく、不活性ガス含有雰囲気の減圧雰囲気であるのがより好ましい。これにより、低温バインダー成分の分解を促進するとともに、上記範囲内でも加熱温度を下げることができる。その結果、脱脂工程の短時間化が図られるとともに、低温バインダー成分が軟化し難くなり、脱脂体の変形、割れ等の不具合の発生を抑制することができる。
なお、減圧雰囲気における圧力は、特に限定されないが、好ましくは10−4Pa以上10kPa以下程度とされ、より好ましくは10−3Pa以上1kPa以下程度とされる。これにより、比較的短時間で低温バインダー成分を選択的に分解、除去することができる。その結果、保形性の確保と脱脂工程の短時間化とを高度に両立することができる。
また、上述したように、本脱脂昇温過程における加熱温度は有機バインダーの各成分の組成に応じて適宜設定されるが、加熱温度の一例としては、第1の脱脂昇温過程における加熱温度よりも高く、かつ、50℃以上350℃以下とされる。
((第3の脱脂昇温過程))
第3の脱脂昇温過程では、成形体を(TL+50℃)以上(TH+200℃)未満の温度で加熱する。この温度域では、高温バインダー成分の分解が開始されると考えられる。前述したように第2樹脂は、成形体(脱脂体)中に形成された経路を経て排出されるため、ムラなく除去される。その結果、均質で寸法精度の高い焼結体を製造可能な脱脂体が得られる。
第3の脱脂昇温過程における加熱時間は、特に限定されないが、好ましくは0.5時間以上15時間以下程度とされ、より好ましくは1時間以上10時間以下程度とされる。これにより、有機バインダー成分を十分に除去することができる。
また、第3の脱脂昇温過程における加熱雰囲気としては、特に限定されず、上述した各種雰囲気が挙げられるが、特に不活性ガス含有雰囲気であるのが好ましく、窒素ガス含有雰囲気であるのがより好ましい。これにより、磁性金属粉末の酸化や変性を抑えつつ、成形体(脱脂体)周辺のガス交換を行うことによって有機バインダーの分解成分を効率よく排出することができる。なお、ガス交換の効率という観点からは、不活性ガスの封じ切りではなく、成形体の配置空間に不活性ガスを継続的に供給(フロー)するようにするのが好ましい。
この場合、雰囲気圧力は、ほぼ大気圧程度(例えば、50kPa以上200kPa以下程度)またはそれより高圧であるのが好ましい。
なお、上述したように、本脱脂昇温過程における加熱温度は有機バインダーの各成分の組成に応じて適宜設定されるが、加熱温度の一例としては、第2の脱脂昇温過程における加熱温度よりも高く、かつ、200℃以上600℃以下とされる。
((脱脂降温過程))
上述したような昇温過程の後、脱脂体を冷却する。この冷却は大気開放による自然冷却であってもよいが、冷却ガスを充填した空間での自然冷却や、冷却ガスを吹き付ける、あるいは循環させることによる強制冷却であってもよい。
冷却ガスとしては、昇温過程におけるガスであってもよいが、好ましくは不活性ガスが用いられ、より好ましくは窒素ガスが用いられる。これらのガスを用いることにより、磁性金属粉末の酸化や変性が抑えられるとともに、脱脂装置内の酸化や汚染も抑えることができる。
以上のようにして脱脂工程が完了する。
また、上記のような脱脂処理後に、得られた脱脂体に対して、例えば、ばり取りや、溝等の微小構造の形成等の目的で、各種後加工を施してもよい。
なお、成形体中のバインダーは、脱脂処理によって完全に除去されなくてもよく、例えば、脱脂処理の完了時点で、その一部が残存していてもよい。
以上のようにして、有機バインダーの成分の分解温度に応じて脱脂工程における昇温過程を複数の段階に分けて行うことにより、成形体(脱脂体)に各種不具合が生じるのを抑制しつつ均一に脱脂することができる。これにより、均一で寸法精度の高い焼結体を製造可能な脱脂体を確実に得ることができる。
また、昇温過程を上記のようにしたことにより、脱脂の効率が向上し、より短時間で脱脂を完了することができる。したがって、上記脱脂体を短時間で製造することができる。
(焼成工程)
次いで、焼成工程について説明する。脱脂体に焼成処理を施すことにより、磁性金属粉末を焼結させ、焼結体が得られる。
焼成工程では脱脂体を加熱するが、この加熱過程は3つの焼成昇温過程を含んでいるのが好ましい。具体的には、脱脂体を750℃未満の温度で加熱する第1の焼成昇温過程と、第1の焼成昇温過程後、脱脂体を750℃以上1050℃未満の温度で加熱する第2の焼成昇温過程と、第2の焼成昇温過程後、脱脂体を1050℃以上1600℃未満の温度で加熱する第3の焼成昇温過程と、を有している。以下、各焼成昇温過程について説明する。
((第1の焼成昇温過程))
第1の焼成昇温過程では、脱脂体を750℃未満の温度で加熱する。この温度域では、脱脂体中に残存している有機バインダーを除去するとともに、脱脂体の温度の均一化を図られる。したがって、この温度域で一定時間加熱されることにより、後述する焼成昇温過程における焼結の進行の均一化を図ることができる。なお、加熱温度は有機バインダーの組成に応じて上記範囲内で適宜設定されるが、一例として500℃以上750℃未満とされるのが好ましい。
第1の焼成昇温過程における加熱時間は、特に限定されないが、好ましくは1時間以上20時間以下程度とされ、より好ましくは2時間以上15時間以下程度とされる。これにより、有機バインダーの確実な除去と脱脂体の温度の十分な均一化が図られる。
また、第1の焼成昇温過程における加熱雰囲気は、特に限定されず、上述した各種雰囲気が挙げられるが、特に減圧雰囲気であるのが好ましく、不活性ガスの減圧雰囲気であるのがより好ましい。これにより、磁性金属粉末の酸化や変性を抑えつつ、脱脂体周辺のガス交換および真空排気を行うことによって有機バインダーの分解成分を効率よく排出することができる。
((第2の焼成昇温過程))
第2の焼成昇温過程では、脱脂体を750℃以上1050℃未満の温度で加熱する。この温度域では、磁性金属粉末の焼結が開始される。また、磁性金属粉末に含まれる酸素原子と有機バインダーの分解成分に含まれる炭素原子とが結合し、気化して排出される反応も開始される。その結果、磁性金属粉末の還元に伴う焼結性の向上と、有機バインダーの分解成分の排出とが同時に進行することとなり、最終的に得られる焼結体の機械的特性や磁気特性等の向上に寄与する。
第2の焼成昇温過程における加熱時間は、特に限定されないが、好ましくは1時間以上25時間以下程度とされ、より好ましくは2時間以上20時間以下程度とされる。
また、第2の焼成昇温過程における加熱雰囲気は、特に限定されず、上述した各種雰囲気が挙げられるが、特に不活性ガス含有雰囲気であるのが好ましく、アルゴンガス含有雰囲気であるのがより好ましい。これにより、磁性金属粉末の酸化や変性を抑えつつ、磁性金属粉末を効率よく焼結させることができる。
なお、本焼成昇温過程においては、例えば酸素原子と炭素原子との結合による一酸化炭素等が発生するため、脱脂体の配置空間に不活性ガスを継続的に供給(フロー)することにより、ガス交換効率を高め、不要物の排出を促進させるのが好ましい。
この場合、雰囲気圧力は、大気圧以上であってもよいが、コスト等を考慮した場合、ほぼ大気圧程度(例えば、50kPa以上200kPa以下程度)であるのが好ましい。
((第3の焼成昇温過程))
第3の焼成昇温過程では、脱脂体を1050℃以上の温度で加熱する。この温度域では、磁性金属粉末が最終的な焼結状態に至り、焼結体が製造される。なお、最高加熱温度は磁性金属粉末の組成に応じて適宜設定されるが、一例として1050℃以上1400℃以下程度とされる。
第3の焼成昇温過程における加熱時間は、特に限定されないが、好ましくは1時間以上25時間以下程度とされ、より好ましくは2時間以上20時間以下程度とされる。
また、第3の焼成昇温過程における加熱雰囲気は、特に限定されず、上述した各種雰囲気が挙げられるが、特に不活性ガス含有雰囲気であるのが好ましく、アルゴンガス含有雰囲気であるのがより好ましい。これにより、上述したのと同様の効果が得られる。
なお、本焼成昇温過程においては、脱脂体の配置空間に不活性ガスを封じ切るようにするのが好ましい。これにより、例えば磁性金属粉末中にCr等の蒸気圧が比較的高い元素が含まれている場合でも、封じ切られた不活性ガス含有雰囲気中で本焼成昇温過程を行うことにより、前記元素が気化し難くなり、磁性金属粉末の組成の意図しない変化を抑えることができる。
この場合、雰囲気圧力は、大気圧以上であってもよいが、コスト等を考慮した場合、ほぼ大気圧程度(例えば、50kPa以上200kPa以下程度)であるのが好ましい。
((第1の焼成降温過程))
上述したような昇温過程の後、焼結体を冷却する。この降温過程は特に限定されないが、第1の焼成降温過程とその後の第2の焼成降温過程とを有するのが好ましい。
第1の焼成降温過程では、焼結体を減圧雰囲気に置く。これにより、焼結体と酸素ガスや窒素ガスとの接触が防止され、焼結体の汚染を防ぐことができる。併せて、焼成装置内の汚染も防ぐことができる。また、減圧雰囲気に置くことによって、焼結直後の焼結体の温度が急激に低下するのを防止することができる。これにより、焼結体の汚染、割れ、変形等の発生を抑えることができる。なお、必要に応じて、焼結体に熱を加えながら温度を徐々に下げるようにしてもよい。
また、減圧雰囲気としては、不活性ガスの減圧雰囲気が好ましい。
また、減圧雰囲気における圧力は、特に限定されないが、好ましくは10−4Pa以上10kPa以下程度とされ、より好ましくは10−3Pa以上1kPa以下程度とされる。これにより、適度な降温速度と焼結体の汚染の防止とを両立することができ、高品質な焼結体を短時間で製造することができる。
第1の焼成降温過程における冷却時間は、特に限定されないが、好ましくは1分以上1時間以下程度とされ、より好ましくは3分以上30分以下程度とされる。
((第2の焼成降温過程))
第2の焼成降温過程では、焼結体を不活性ガス雰囲気に置く。これにより、雰囲気との熱交換によって焼結体の冷却が進行することとなる。また、不活性ガスを用いることにより、焼結体の酸化や焼成装置内の汚染を防ぐことができる。またこの場合、焼結体の配置空間に不活性ガスを継続的に供給(フロー)または循環させることにより、熱交換効率を高めるようにすればよい。
本焼成降温過程において常温まで冷却することにより、その後、焼結体が大気に触れたとしても酸化のおそれが少なくなる。
以上のようにして焼結体が製造される。
得られる焼結体の相対密度は、例えば、95%以上、好ましくは96%以上となることが期待される。このような焼結体は、焼結密度が高く、かつ外観および寸法精度に優れたものとなる。
なお、得られた焼結体に対して、例えば、機械加工(切削加工、プレス加工、研磨加工等)、放電加工、レーザー加工、エッチング等の各種後加工を施してもよい。このような後加工を施すことにより、ばり取りを行ったり、寸法精度のさらなる向上を図ったりすることができる。
また、得られた焼結体には、必要に応じて、HIP処理(熱間等方加圧処理)等を施すようにしてもよい。これにより、焼結体のさらなる高密度化を図ることができる。
HIP処理の条件としては、例えば、温度が850℃以上1100℃以下、時間が1時間以上10時間以下とされる。
また、加圧圧力は、50MPa以上であるのが好ましく、100MPa以上であるのがより好ましい。
上記のようにして得られた焼結体は、いかなる目的で用いられるものであってもよく、その用途としては、各種構造部品、各種医療用構造体等が挙げられる。
図1には、本発明により製造された焼結体の適用例であるヨークケースを示す(a)平面図および(b)X−X線断面図である。
図1に示すヨークケース1は、平面視における中心部を貫通する貫通孔101を備えた円環状の板状体であるケース本体10と、ケース本体10の外縁および内縁のそれぞれに設けられ、ケース本体10より厚さがそれぞれ厚くなっている縁部11と、ケース本体10の外縁と内縁との間で内縁に沿って等間隔に配列し、ケース本体10より厚さが厚くなっている12個のコア12と、ケース本体10の外縁と内縁との間に点在し、ケース本体10を貫通する複数の貫通孔13と、を有している。
このようなヨークケース1は、軟磁性金属粉末の焼結体で構成される。各コア12には巻線が施されることにより、ヨークケース1は磁気アクチュエーターの一部分を構成することになる。したがって、ヨークケース1には極めて高い寸法精度が要求される。
以上、本発明について、好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。例えば、脱脂工程には、必要に応じてさらに脱脂昇温過程や脱脂降温過程が追加されてもよく、脱脂降温過程の後に再び脱脂昇温過程が設けられてもよい。同様に、焼成工程には、必要に応じてさらに焼成昇温過程や焼成降温過程が追加されてもよく、焼成降温過程の後に再び焼成昇温過程が設けられてもよい。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.焼結体の製造
(実施例1)
まず、49質量%Fe−49質量%Co−2質量%V系合金(パーメンジュール)で構成された磁性金属粉末を用意した。この磁性金属粉末について、レーザー回折方式の粒度分布測定装置(マイクロトラック、日機装株式会社製、HRA9320−X100)により平均粒径を測定した。測定結果を表1に示す。
次いで、第1樹脂として不飽和グリシジル基含有重合体、第2樹脂としてスチレン系樹脂、パラフィンワックスをそれぞれ凍結粉砕し、バインダー粉末を得た。
次いで、磁性金属粉末とバインダー粉末とフタル酸エステルとを混合し、加圧ニーダーにて混練温度160℃で30分間混練した。この混練は窒素ガス雰囲気中で行った。
次に、得られた混練物(射出成形用組成物)をペレタイザーにより粉砕して、平均粒径5mmのペレットを得た。
次いで、得られたペレットを用い、材料温度:190℃、射出圧力:10.8MPa(110kgf/cm)という成形条件で、射出成形機にて成形を行った。これにより、成形体を得た。
次に、得られた成形体に対して、以下に示す条件で脱脂処理を施した。これにより、脱脂体を得た。
<脱脂条件>
・第1の脱脂昇温過程:温度 70℃、 3時間、窒素含有雰囲気
・第2の脱脂昇温過程:温度 260℃、12時間、窒素減圧雰囲気
・第3の脱脂昇温過程:温度 475℃、 5時間、窒素含有雰囲気
・脱脂降温過程 :強制冷却、 8時間、窒素含有雰囲気
次に、得られた脱脂体に対して、以下に示す条件で焼成処理を施した。これにより、焼結体を得た。
<焼成条件>
・第1の焼成昇温過程:温度 650℃、 7時間、窒素減圧雰囲気
・第2の焼成昇温過程:温度1000℃、 5時間、アルゴン含有雰囲気
・第3の焼成昇温過程:温度1100℃、 8時間、アルゴン含有雰囲気
・第1の焼成降温過程:温度 700℃、 3分、アルゴン減圧雰囲気
・第2の焼成降温過程:強制冷却、 1時間、アルゴン含有雰囲気
得られた焼結体は、図1に示すように、円環状をなす板状体(ヨークケース)であり、その外径は35mm、内径は10mm、最大厚さ5mmであった。
(実施例2〜6)
磁性金属粉末および有機バインダーとして表1に示すものを用いるとともに、磁性金属粉末100質量部に対する有機バインダーの含有量を表1に示す値にした以外は、それぞれ実施例1と同様にして焼結体を得た。
(比較例1〜7)
磁性金属粉末および有機バインダーとして表2に示すものを用いるとともに、磁性金属粉末100質量部に対する有機バインダーの含有量を表2に示す値にした以外は、それぞれ実施例1と同様にして焼結体を得た。
なお、表1、2における有機バインダーの各成分の表示の意味は、以下に示す通りである。なお、以下の不飽和グリシジル基含有重合体において、Eはエチレンを含む繰り返し単位、GMAはグリシジルメタクリレートを含む繰り返し単位、VAは酢酸ビニルを含む繰り返し単位、MAはメチルアクリレートを含む繰り返し単位を指す。
<不飽和グリシジル基含有重合体>
・GMA−1:E−GMA−VA共重合体(分解温度310℃)
・GMA−2:E−GMA共重合体
・GMA−3:E−GMA−MA共重合体(分解温度280℃)
<スチレン系樹脂>
・PS:ポリスチレン(重量平均分子量10000)(分解温度350℃)
<ワックス類>
・PW−1:パラフィンワックス(分解温度260℃)
・PW−2:パラフィンワックス(分解温度230℃)
<フタル酸エステル>
・DBP :フタル酸ジブチル
また、不飽和グリシジル基含有重合体のメルトフローレートは、GMA−1が7g/10min、GMA−2が3g/10min、GMA−3が7g/10minであった。
2.焼結体の評価
2.1 焼結密度の評価
各実施例および各比較例で得られた焼結体について、アルキメデス法(JIS Z 2501に規定)に準じた方法により密度を測定した。また、測定された焼結密度と、磁性金属粉末の真密度から、焼結体の相対密度を算出した。
2.2 外観の評価
各実施例および各比較例で得られた焼結体100個について、その外観を以下の評価基準にしたがって評価した。
<外観の評価基準>
◎:割れ、欠損および変形の発生数が3個以下である。
○:割れ、欠損および変形の発生数が4個以上10個以下である。
△:割れ、欠損および変形の発生数が11個以上50個以下である。
×:割れ、欠損および変形の発生数が51個以上である。
2.3 寸法精度の評価
各実施例および各比較例で得られた焼結体100個について、その外径をマイクロメーターで測定した。そして、測定値の平均値について、JIS B 0411(金属焼結品の普通許容差)に規定の「幅の普通許容差」に基づき、以下の評価基準に基づいて評価した。
<寸法精度の評価基準>
◎:等級が精級である(許容差±0.05mm以下)。
○:等級が中級である(許容差±0.05mm超±0.1mm以下)。
△:等級が並級である(許容差±0.1mm超±0.2mm以下)。
×:許容外である。
以上の評価結果を表1、2に示す。
Figure 0005949051
Figure 0005949051
表1、2から明らかなように、各実施例で得られた焼結体は、いずれも焼結密度が高いことが認められた。また、各実施例で得られた焼結体は、外観および寸法精度が優れていることが認められた。すなわち、各実施例で得られた成形体は、保形性が高いことが認められた。
一方、各比較例で得られた焼結体には、焼結密度が低いもの、あるいは、外観または寸法精度に劣るものが認められた。
ここで、成形体の寸法と脱脂体の寸法とをそれぞれ測定し、脱脂時の収縮率を測定した。その結果、収縮率は有機バインダーの含有量との間に相関関係を示し、例えば金属粉末に対する有機バインダーの含有量が大きい場合、収縮率も大きく、含有量が小さい場合、収縮率も小さかった。
なお、各焼結体について、各コアに導電を巻き付け、形成されたコイルに電流を流すことによって各コアの磁気特性を測定、比較した。その結果、各実施例で得られた焼結体は、いずれも各比較例で得られた焼結体に比べて磁気特性が高いことが認められた。具体的には、鉄損および保磁力が小さく、磁束密度が大きいことが認められた。そして、これらの磁気特性は、焼結密度が高いものほど優れていることが認められた。
また、パーメンジュールに代えて、純鉄、珪素鋼、センダストおよびパーマロイを用いた場合にも、上記パーメンジュールの場合の実施例と同様の傾向が認められた。
さらに、スチレン系樹脂に代えてポリプロピレン(軟化点130℃)を用いるようにした以外、各実施例および各比較例と同様にして焼結体を製造したところ、スチレン系樹脂を用いた場合と同様の傾向が認められた。
2.4 焼結均一性の評価
各実施例および各比較例で得られた焼結体について、図1に示すヨークケースの各コア表面のビッカース硬度を測定した。そして12個の測定値の分布幅を算出し、これを各焼結体で比較した。
その結果、各実施例で得られた焼結体のビッカース硬度の分布幅は、いずれも各比較例で得られた焼結体のビッカース硬度の分布幅に比べて狭かった。このことから、各実施例で得られた焼結体は、いずれも各比較例で得られた焼結体に比べて均一性が高いことが認められた。
また、各実施例および各比較例で得られたヨークケースを用いて磁気アクチュエーターを作製した。なお、作製した磁気アクチュエーターでは、ヨークケースの各コアに巻線が施され、この巻線に電流を流すことによって各コアに磁力を発生させ、コアごとに配置されたピンが駆動されるようになっている。したがって、図1に示すヨークケースの場合、ピンが12本配置されることとなる。
次いで、この12本のピンを駆動したときの駆動力をそれぞれ測定した。その結果、駆動力の分布幅についても、各実施例で得られたヨークケースはいずれも各比較例で得られたヨークケースよりも狭かった。
1……ヨークケース 10……ケース本体 101……貫通孔 11……縁部 12……コア 13……貫通孔

Claims (11)

  1. Fe、NiおよびCoのいずれかを主成分とし、質量基準の粒度分布における累積質量が10%になるときの粒径D10が2μm以上5μm未満であり、累積質量が50%になるときの粒径D50が5μm以上10μm以下であり、累積質量が90%になるときの粒径D90が12μm以上28μm以下である磁性金属粉末と、
    不飽和グリシジル基含有重合体で構成された第1樹脂、および、前記第1樹脂より軟化点が高い第2樹脂、を含む有機バインダーと、を含有し、
    前記磁性金属粉末100質量部に対して、前記有機バインダーの含有量が3質量部以上9質量部以下であることを特徴とする射出成形用組成物。
  2. 前記磁性金属粉末は、粒径10μm未満のものを55質量%以上、粒径20μm以上30μm未満のものを0質量%超15質量%未満、粒径30μm以上のものを0質量%超5質量%未満の割合でそれぞれ含み、残部は粒径10μm以上20μm未満である請求項1に記載の射出成形用組成物。
  3. 前記第1樹脂と前記第2樹脂との軟化点の差は、10℃以上100℃以下である請求項1または2に記載の射出成形用組成物。
  4. 前記不飽和グリシジル基含有重合体は、不飽和グリシジル基含有モノマーと、エチレン系不飽和エステル化合物モノマーと、を含む共重合体である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の射出成形用組成物。
  5. 前記不飽和グリシジル基含有重合体は、不飽和グリシジル基含有モノマーと、非極性α−オレフィン系モノマーと、を含む共重合体である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の射出成形用組成物。
  6. 前記不飽和グリシジル基含有重合体の軟化点は、65℃以上105℃以下である請求項1ないし5のいずれか1項に記載の射出成形用組成物。
  7. 前記有機バインダーは、さらにワックス類を含む請求項1ないし6のいずれか1項に記載の射出成形用組成物。
  8. 前記有機バインダーは、さらにフタル酸エステルを含む請求項1ないし7のいずれか1項に記載の射出成形用組成物。
  9. 有機バインダー中における前記第2樹脂の質量含有率は、前記第1樹脂の80質量%以上150質量%以下である請求項1ないし8のいずれか1項に記載の射出成形用組成物。
  10. 前記第1樹脂および前記第2樹脂は、これらの合計が前記有機バインダー中で50質量%以上を占めている請求項1ないし9のいずれか1項に記載の射出成形用組成物。
  11. Fe、NiおよびCoのいずれかを主成分とし、質量基準の粒度分布における累積質量が10%になるときの粒径D10が2μm以上5μm未満であり、累積質量が50%になるときの粒径D50が5μm以上10μm以下であり、累積質量が90%になるときの粒径D90が12μm以上28μm以下である磁性金属粉末と、不飽和グリシジル基含有重合体で構成された第1樹脂および前記第1樹脂より軟化点が高い第2樹脂を含む有機バインダーと、を前記磁性金属粉末100質量部に対して前記有機バインダーを3質量部以上9質量部以下の割合で混練し、混練物を得る工程と、
    前記混練物を射出成形し、成形体を得る工程と、
    前記成形体を脱脂、焼成して焼結体を得る工程と、を有することを特徴とする焼結体の製造方法。
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