JP2017002358A - 造粒粉末および造粒粉末の製造方法 - Google Patents

造粒粉末および造粒粉末の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】置かれる環境によらず優れた流動性を示すとともに、形成される成形体の保形性を高め得る造粒粉末、および、かかる造粒粉末を効率よく製造可能な造粒粉末の製造方法を提供すること。【解決手段】造粒粒子1(本発明の造粒粉末中の1粒子)は、複数個の金属粒子51を有機バインダー52で結着し造粒してなる二次粒子5と、二次粒子5の表面の少なくとも一部に設けられた外側被覆層6と、を有している。このうち、外側被覆層6は、フッ素系化合物およびケイ素系化合物の少なくとも一方を含んでいる。また、外側被覆層6は、二次粒子5の表面に対してフッ素系化合物およびケイ素系化合物の少なくとも一方を含む液状組成物を噴霧して形成されたものであることが好ましい。【選択図】図1

Description

本発明は、造粒粉末および造粒粉末の製造方法に関するものである。
金属粉末を成形する方法としては、金属粉末と有機バインダーとの混合物を、所定の成形型に充填し、圧縮することにより、所定の形状の成形体を得る圧縮成形法が知られている。得られた成形体は、有機バインダーを除去する脱脂処理、金属粉末を焼結する焼成処理を経て、金属焼結体となる。このような技術は粉末冶金技術の一例であり、成形型の形状次第で複雑な形状の金属焼結体を大量に製造可能であることから、近年、多くの産業分野で普及している。
圧縮成形法では、まず、成形型内に金属粉末をできるだけ隙間なく充填する必要がある。成形型内に隙間があると、この隙間が空孔として成形体内に残存し、最終的に金属焼結体の緻密性を損なうからである。
ところが、金属粉末として、平均粒径が10μm以下の微細な粉末が用いられる場合がある。このような微細な粉末は、流動性が低いため、成形型内への充填性に乏しい。このため、金属粉末と有機バインダーとの混合物を、金属粉末よりも大きな粒子に造粒することで、流動性の改善を図ることが行われる。混合物を造粒すると、金属粉末中の複数の粒子が有機バインダーによって結着し、より大きな造粒粉末となる。造粒粉末は、金属粉末に比べて流動性が高いため、成形型内への充填性に優れ、緻密な成形体および焼結体の製造を可能にする。
例えば、特許文献1には、金属粉末と、ポリビニルアルコールまたはその誘導体、ワックス類および非イオン性界面活性剤を含む有機バインダーと、を造粒してなる造粒粉末が開示されている。
しかしながら、造粒粉末を球形化することで流動性を高めることはできるが、造粒粉末が置かれる環境によっては、造粒粉末の流動性が著しく変化することが問題となっている。
また、特許文献2には、複数個の金属粒子を有機バインダーで結着してなる二次粒子と、二次粒子の表面を覆うように設けられた外側被覆層と、を有する造粒粉末が開示されている。また、外側被覆層の構成材料としてアクリル系樹脂を用いることが開示されている。
特開2011−190475号公報 特願2011−046716号公報
アクリル系樹脂は、高湿下でも比較的吸湿し難い一方、それ自体の柔軟性が低い。このため、アクリル系樹脂を含む造粒粉末を例えばプレス成形したとき、得られた成形体に亀裂等が生じて寸法精度が低下するおそれがある。
本発明の目的は、置かれる環境によらず優れた流動性を示すとともに、形成される成形体の保形性を高め得る造粒粉末、および、かかる造粒粉末を効率よく製造可能な造粒粉末の製造方法を提供することにある。
上記目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の造粒粉末は、複数個の金属粒子と、前記金属粒子同士を結着する有機バインダーと、を含む二次粒子と、
前記二次粒子の表面の少なくとも一部に設けられ、フッ素系化合物およびケイ素系化合物の少なくとも一方を含む被覆層と、
を有することを特徴とする。
これにより、有機バインダーの吸湿が抑制されるため、置かれる環境によらず優れた流動性を示すとともに、形成される成形体の保形性を高め得る造粒粉末が得られる。かかる造粒粉末を用いることにより、成形型への充填量が安定するため、成形体の寸法精度を高めることができる。その結果、成形型への充填ムラが抑えられ、高密度でかつ寸法精度の高い焼結体が得られる。
本発明の造粒粉末では、前記被覆層の平均厚さは、1nm以上1000nm以下であることが好ましい。
これにより、被覆層による造粒粉末の流動性向上および耐候性向上が十分に実現される。
本発明の造粒粉末では、前記フッ素系化合物は、パーフルオロ基もしくはフルオロアルキル基を有するモノマーの重合体、または、前記モノマーと他のモノマーとの共重合体であることが好ましい。
これにより、被覆層に対して特に高い撥水性が付与され、有機バインダーの吸湿をより確実に抑制することができる。また、炭素−フッ素結合は、炭素が形成する結合で最も強いものであるため、物理化学的に極めて安定である。このことから、造粒粉末のように造粒粒子同士が擦れ合う状況下においても、撥水性を損ない難い。
本発明の造粒粉末では、前記ケイ素系化合物は、ポリオルガノシロキサンであることが好ましい。
これにより、疎水性を有するアルキル基、アラルキル基またはアリール基に基づいて、有機バインダーの吸湿をより確実に抑制することができる。また、炭素−ケイ素結合は、炭素−炭素結合よりも1.5倍程度強いものであるため、物理化学的に安定である。このことから、造粒粉末のように造粒粒子同士が擦れ合う状況下においても、撥水性を損ない難い。
本発明の造粒粉末では、前記被覆層は、前記二次粒子の表面に対して前記フッ素系化合物および前記ケイ素系化合物の少なくとも一方を含む液状組成物を噴霧して形成されていることが好ましい。
これにより、液状組成物を微細な液滴として飛散させるとともに、飛散した液滴を二次粒子に付着させることによって被覆層を成膜することができる。この際、飛散した液滴は、非常に細かいため、空気中を漂い易く、二次粒子のうち、噴射位置から陰になっている領域にも容易に付着する。このような理由から、均一で薄い被覆層を短時間で成膜することができる。このような均一で薄い被覆層は、欠損し難く、かつ、焼結の阻害因子になり難いので、有機バインダーの吸湿を抑制するという効果を維持しつつ、被覆層による造粒粒子の焼結性の低下を抑制する。
本発明の造粒粉末では、前記有機バインダーは、ポリビニルアルコールまたはポリビニルピロリドンを含むことが好ましい。
これにより、有機バインダーは、結着性が高く、比較的少量であっても効率よく造粒粉末を形成可能なものとなる。また、この有機バインダーは、熱分解性も高いことから、脱脂および焼成の際に、短時間で確実に分解、除去することが可能になる。
本発明の造粒粉末の製造方法は、複数個の金属粒子と、前記金属粒子同士を結着する有機バインダーと、を含む二次粒子、および、フッ素系化合物およびケイ素系化合物の少なくとも一方を含む液状組成物を準備する工程と、
前記二次粒子に向けて、前記液状組成物を供給する工程と、
を有することを特徴とする。
これにより、置かれる環境によらず優れた流動性を示すとともに、形成される成形体の保形性を高め得る造粒粉末を効率よく製造することができる。
本発明の造粒粉末の製造方法では、前記液状組成物を供給する工程は、前記液状組成物を液滴にして前記二次粒子の表面に付着させる工程であることが好ましい。
これにより、液状組成物を微細な液滴として飛散させるとともに、飛散した液滴を二次粒子に付着させることによって被覆層を成膜することができる。これにより、均一で薄い被覆層を短時間で成膜することができる。このような均一で薄い被覆層は、欠損し難く、かつ、焼結の阻害因子になり難いので、有機バインダーの吸湿を抑制するという効果を維持しつつ、被覆層による造粒粒子の焼結性の低下を抑制する。
本発明の造粒粉末の実施形態に含まれる1つの造粒粒子を示す断面図である。 実施例2A、実施例2B、実施例22Bおよび比較例1で得られた造粒粉末に対して吸湿試験を行ったときの吸湿量(%)の時間推移を示すグラフである。
以下、本発明の造粒粉末および造粒粉末の製造方法を、添付図面に基づく好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
<造粒粉末>
まず、本発明の造粒粉末の実施形態について説明する。
本発明の造粒粉末は、複数個の金属粒子とそれらを結着する有機バインダーとを含む二次粒子と、この二次粒子の表面の少なくとも一部に設けられた外側被覆層(被覆層)と、を有する。
図1は、本発明の造粒粉末の実施形態に含まれる1つの造粒粒子を示す断面図である。
図1に示す造粒粒子1は、二次粒子5と外側被覆層6とを有している。
このうち、二次粒子5は、複数個の金属粒子51を含んでおり、金属粒子51同士の間に有機バインダー52が介在することで、全体として球形状にまとまっている。
図1に示す二次粒子5において、有機バインダー52は金属粒子51同士の間に介在するとともに、各金属粒子51を覆うように存在している。これにより、各金属粒子51は、有機バインダー52のマトリックス中に分散した状態になっている。
一方、外側被覆層6は、二次粒子5の表面を覆うよう設けられている。なお、この外側被覆層6は、二次粒子5の表面の少なくとも一部に設けられていればよい。また、外側被覆層6は、フッ素系化合物およびケイ素系化合物の少なくとも一方を含んでいる。
このような外側被覆層6を有することにより、造粒粒子1は、流動性の高いものとなる。これは、フッ素系化合物およびケイ素系化合物は、それぞれ疎水性(撥水性)が高く、吸湿性が低いためである。すなわち、このような化合物を含む外側被覆層6を設けることにより、有機バインダー52の吸湿を抑制し、吸湿に伴って造粒粒子の表面の転がり抵抗が増大してしまうのを抑制することができる。その結果、造粒粒子1が高湿度な環境に置かれた場合であっても、造粒粒子1の流動性の低下を抑制することができる。特に、フッ素系化合物およびケイ素系化合物は、これらの物質特有の性質によって、他の材料との化学的な相互作用が小さく抑えられるため、造粒粒子の表面の摩擦抵抗を大きく下げることが可能である。このため、造粒粒子1は、転がるだけでなく、滑ることによっても流動し、総合的に流動性の向上が図られることとなる。
したがって、本発明の造粒粉末によれば、それが置かれる環境の天候、季節、場所等による造粒粒子1の特性変化を抑制し、環境によらず優れた特性の焼結体を製造することができる。
また、金属粒子51と水分との接触機会が抑制されることにもなるので、金属粒子51が酸化するのを抑制し(耐候性を向上させ)、金属粒子51の変性による焼結性の低下、機械的特性の低下といった不具合の発生を抑制することができる。
以下、金属粒子51、有機バインダー52および外側被覆層6についてそれぞれ詳述する。
(金属粒子)
本発明の造粒粉末に含まれる金属粒子51としては、特に限定されず、いかなる種類の金属粒子51であってもよい。金属粒子51の構成材料としては、粉末冶金に供される焼結可能な金属材料が挙げられ、例えば、Mg、Al、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Pd、Ag、In、Sn、Ta、W等の金属の単体、またはこれらの少なくとも1種を含む合金が挙げられる。
また、金属粒子51を含む金属粉末は、互いに組成が異なる2種類以上の粉末を混合してなる混合粉末であってもよく、金属粉末とセラミック粉末との混合粉末であってもよい。
このうち、Fe系合金としては、例えば、ステンレス鋼、低炭素鋼、炭素鋼、耐熱鋼、ダイス鋼、高速度工具鋼、Fe−Ni合金、Fe−Ni−Co合金等が挙げられる。
また、Ni系合金としては、例えば、Ni−Cr−Fe系合金、Ni−Cr−Mo系合金、Ni−Fe系合金等が挙げられる。
また、Co系合金としては、例えば、Co−Cr系合金、Co−Cr−Mo系合金、Co−Al−W系合金等が挙げられる。
また、Ti系合金としては、例えば、Tiと、Al、V、Nb、Zr、Ta、Mo等の金属元素との合金が挙げられ、具体的には、Ti−6Al−4V、Ti−6Al−7Nb等が挙げられる。
また、Al系合金としては、例えば、ジュラルミン等が挙げられる。
また、セラミック粉末を構成するセラミックス材料としては、例えば、アルミナ、マグネシア、ベリリア、ジルコニア、イットリア、フォルステライト、ステアタイト、ワラステナイト、ムライト、コージライト、フェライト、サイアロン、酸化セリウムのような酸化物系セラミックス材料、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化チタン、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン、炭化タングステンのような非酸化物系セラミックス材料等が挙げられる。
また、金属粉末の平均粒径は、好ましくは1μm以上30μm以下、より好ましくは2μm以上20μm以下とされ、さらに好ましくは3μm以上10μm以下とされる。このような粒径の金属粉末は、成形時の圧縮性の低下を避けつつ、造粒粉末の流動性が十分に高くなるため、最終的に十分に緻密な焼結体を製造可能なものとなる。
なお、平均粒径が前記下限値未満である場合、造粒前において金属粉末が凝集し易くなり、造粒粉末の粒子間において金属粉末の含有量にばらつきが生じたり、成形時の圧縮性が著しく低下したりするおそれがある。一方、平均粒径が前記上限値を超える場合、成形した際に、造粒粉末の粒子間の隙間が大きくなり過ぎて、最終的に得られる焼結体の緻密化が不十分になるおそれがある。
また、金属粉末の平均粒径とは、レーザー回折法により得られた粒度分布において、質量基準の粒度の累積が小径側から50%のときの粒径のことである。
また、金属粉末の最大粒径は、10μm以上100μm以下程度であるのが好ましく、10μm以上50μm以下程度であるのがより好ましい。このような最大粒径を有する金属粉末を用いることにより、造粒粉末を成形する際の造粒粉末の流動性を特に高めることができる。その結果、最終的に、寸法精度が高く、かつ、機械的特性に優れた焼結体を製造することができる。すなわち、金属粉末の最大粒径は、造粒粉末の流動性に大きな影響を及ぼすとともに、成形時には金属粉末の充填性にも大きな影響を及ぼす。したがって、最大粒径を前記範囲内に設定することにより、最終的に、寸法精度が高く、かつ、機械的特性に優れた焼結体を得ることができる。
なお、金属粉末の最大粒径とは、レーザー回折法により得られた粒度分布において、質量基準の粒度の累積が小径側から99.9%のときの粒径のことである。
さらに、金属粉末の平均粒径をD50とし、金属粉末についてレーザー回折法により得られた粒度分布において質量基準の粒度の累積が小径側から10%のときの粒径をD10とし、同様に小径側から90%のときの粒径をD90としたとき、(D90−D10)/D50は、0.5以上5以下であるのが好ましく、1.0以上3.5以下であるのがより好ましい。このような条件を満足する金属粉末は、造粒粉末の形状をより真球に近づけることを可能にする。このため、得られる造粒粉末はとりわけ流動性の高いものとなり、最終的に得られる焼結体の寸法精度と機械的特性とが特に良好になる。また、粒度分布が最適化されているため、成形時の密度のばらつきが抑えられ、成形時の残留応力のばらつきも小さく抑えられる。その結果、応力解放に伴う成形体の変形量が抑えられ、最終的に焼結体の寸法精度が特に良好になる。
このような金属粉末は、いかなる方法で製造されたものでもよいが、例えば、アトマイズ法(水アトマイズ法、ガスアトマイズ法、高速回転水流アトマイズ法等)、還元法、カルボニル法、粉砕法等の方法により製造されたものを用いることができる。
このうち、金属粉末には、アトマイズ法により製造されたものを用いるのが好ましい。アトマイズ法によれば、前記したような極めて微小な平均粒径の金属粉末を効率よく製造することができる。また、粒径のばらつきが少なく、粒径の揃った金属粉末を得ることができる。したがって、このような金属粉末を用いることにより、焼結体における気孔の生成を確実に防止することができ、密度の向上を図ることができる。
また、アトマイズ法で製造された金属粉末は、比較的真球に近い球形状をなしているため、成形時の充填性に優れるとともに、有機バインダーに対する分散性に優れたものとなる。このため、造粒粉末を成形型に充填して成形する際に、その充填性および均一性を高めることができ、最終的により緻密な焼結体を得ることができる。
(有機バインダー)
本発明の造粒粉末に含まれる有機バインダー52としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、ポリスチレン等のスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンまたはこれらの共重合体等の各種樹脂や、ワックス類、アルコール類、高級脂肪酸、脂肪酸金属、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド、非イオン性界面活性剤、シリコーン系滑剤等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上の混合物が用いられる。
このうち、ワックス類としては、例えば、キャンデリラワックス、カルナバワックス、ライスワックス、木ろう、ホホバ油のような植物系ワックス、みつろう、ラノリン、鯨ろうのような動物系ワックス、モンタンワックス、オゾケライト、セレシンのような鉱物系ワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタムのような石油系ワックス等の天然ワックス、ポリエチレンワックスのような合成炭化水素、モンタンワックス誘導体、パラフィンワックス誘導体、マイクロクリスタリンワックス誘導体のような変性ワックス、硬化ひまし油、硬化ひまし油誘導体のような水素化ワックス、12−ヒドロキシステアリン酸のような脂肪酸、ステアリン酸アミドのような酸アミド、無水フタル酸イミドのようなエステル等の合成ワックスが挙げられる。
また、アルコール類としては、例えば、多価アルコール、ポリグリコール、ポリグリセロール等が挙げられ、特に、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、マンニトール等が好ましく用いられる。
また、高級脂肪酸としては、例えば、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸等が挙げられ、特に、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸のような飽和脂肪酸が好ましく用いられる。
また、脂肪酸金属としては、例えば、ラウリン酸、ステアリン酸、コハク酸、ステアリル乳酸、乳酸、フタル酸、安息香酸、ヒドロキシステアリン酸、リシノール酸、ナフテン酸、オレイン酸、パルミチン酸、エルカ酸のような高級脂肪酸と、Li、Na、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd、Al、Sn、Pb、Cdのような金属との化合物が挙げられ、特に、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸カルシウム、オレイン酸亜鉛、オレイン酸マグネシウム等が好ましく用いられる。
また、非イオン界面活性剤系滑剤としては、例えば、エレクトロストリッパ−TS−2、エレクトロストリッパ−TS−3(いずれも花王株式会社製)等が挙げられる。
また、シリコーン系滑剤としては、例えば、ジメチルポリシロキサンおよびその変性物、カルボキシル変性シリコーン、αメチルスチレン変性シリコーン、αオレフィン変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、親水性特殊変性シリコーン、オレフィンポリエーテル変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、アミド変性シリコーン、アルコール変性シリコーン等が挙げられる。
また、本発明に用いられる有機バインダー52としては、特に、ポリビニルアルコールまたはポリビニルピロリドンを含むものが好ましい。これらのバインダー成分は、結着性が高いため、比較的少量であっても効率よく造粒粉末を形成することができる。また、熱分解性も高いことから、脱脂および焼成の際に、短時間で確実に分解、除去することが可能になる。
また、外側被覆層6が疎水性を有することから、有機バインダー52として親水性(水溶性)の高いポリビニルアルコールやポリビニルピロリドンを用いることにより、外側被覆層6を形成する際に用いる溶媒として、油溶性の溶媒を用いることが可能になる。外側被覆層6を形成する際に油溶性の溶媒を用いることにより、外側被覆層6を形成する際に、有機バインダー52が溶解してしまうのを防止することができる。その結果、外側被覆層6の形成に伴って二次粒子5が崩壊するのを効果的に防止することができる。
また、有機バインダー52の含有率は、金属粉末100質量部に対して、0.2質量部以上10質量部以下程度であるのが好ましく、0.3質量部以上5質量部以下程度であるのがより好ましく、0.3質量部以上2質量部以下程度であるのがさらに好ましい。有機バインダー52の含有率が前記範囲内であることにより、著しく大きな粒子が造粒されたり、造粒されていない金属粒子が残存してしまうのを防止しつつ、造粒粉末を効率よく形成することができる。また、有機バインダー52の含有率が最適化されるため、造粒粒子1の成形性が高くなり、成形体の形状の安定性等を特に優れたものとすることができる。また、有機バインダー52の含有率を前記範囲内としたことにより、成形体と脱脂体との大きさの差、いわゆる収縮率を最適化して、最終的に得られる焼結体の寸法精度の低下を防止することができる。
(外側被覆層)
外側被覆層6は、前述したように、フッ素系化合物およびケイ素系化合物の少なくとも一方を含む。
フッ素系化合物およびケイ素系化合物は、それぞれ疎水性(撥水性)が高く、吸湿性が低いため、有機バインダー52の吸湿を抑制し、造粒粒子1が高湿度な環境に置かれた場合であっても、造粒粒子1の流動性の低下を抑制することができる。したがって、本発明の造粒粉末によれば、環境によらず優れた特性の焼結体を製造することができる。
また、フッ素系化合物およびケイ素系化合物は、他の化合物に比べて、分子内の原子間結合力が大きいため、他の材料との間の化学的な相互作用(例えば、分子間引力等)が小さくなる。このため、造粒粒子1の表面にこれらの化合物を含む外側被覆層6を設けることによって、造粒粒子1の表面の摩擦抵抗は小さくなる。その結果、造粒粒子1は、滑り易いものとなり、転がるだけでなく滑る作用も加わることで、高い流動性を発揮する。
このうち、フッ素系化合物は、フッ素原子を含む化合物であれば、特に限定されないが、炭素−フッ素結合を含む有機フッ素化合物であるのが好ましく、パーフルオロ基もしくはフルオロアルキル基を有するモノマーもしくはその重合体、または、前記モノマーと他のモノマーとの共重合体であるのがより好ましい。これらの化合物は、特に高い撥水性を有していることから、外側被覆層6に含まれることにより、有機バインダー52の吸湿をより確実に抑制することができる。
また、炭素−フッ素結合は、炭素が形成する結合で最も強いものであるため、物理化学的に極めて安定である。このことから、造粒粉末のように造粒粒子1同士が擦れ合う状況下においても、撥水性を損ない難い。かかる観点からも、上記化合物は、外側被覆層6に含まれる化合物として有用である。
その一方、フッ素系化合物は、一般に1000℃以上の高温で熱処理されることによって分解する。したがって、外側被覆層6にフッ素系化合物が含まれていたとしても、造粒粒子1が焼成工程に供されることにより、フッ素系化合物を熱分解させることができる。その結果、外側被覆層6が造粒粒子1の焼結作用を妨げるおそれを小さくすることができ、外側被覆層6を形成したとしても緻密な焼結体を製造することが可能である。
さらに、フッ素系化合物は、比較的に柔軟性に富んでいる。このため、フッ素系化合物を含む外側被覆層6を伴う造粒粒子1は、成形されたときに外側被覆層6が容易に変形することによって、得られる成形体の保形性を高めることに寄与する。
パーフルオロ基およびフルオロアルキル基に含まれる炭素数は、特に限定されないものの、3以上20以下であるのが好ましく、5以上18以下であるのがより好ましい。炭素数が前記範囲内であることにより、外側被覆層6には、有機バインダー52の吸湿を抑制するのに必要かつ十分な撥水性が付与される。特に、フッ素原子は、ファンデルワールス半径が大きいので、パーフルオロ基やフルオロアルキル基が嵩高いものにする。したがって、炭素数が前記範囲内であれば、これらの官能基以外の分子構造にあまり左右されることなく、外側被覆層6に対して必要かつ十分な撥水性を付与することができる。その結果、造粒粒子1は、環境の影響を特に受け難いものとなり、流動性が高いものとなる。
パーフルオロ基またはフルオロアルキル基を有するモノマーとしては、例えば、パーフルオロオクタンスルホン酸、ペルフルオロオクタンスルホン酸、ペルフルオロ(ヘキサン−1−スルホン酸)、ペルフルオロ(ヘプタン−1−スルホン酸)、ペルフルオロ(ノナン−1−スルホン酸)、ペルフルオロ(デカン−1−スルホン酸)のようなスルホン酸フッ素系化合物、パーフルオロオクタン酸、ペルフルオロオクタン酸、ペルフルオロヘキサン酸、ペルフルオロヘプタン酸、ペルフルオロノナン酸、ペルフルオロデカン酸のようなカルボン酸フッ素系化合物等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を含むものが用いられる。
これらは、いずれも、同一分子内に親水基と疎水基とを併せ持つため、互いに極性の異なる液相同士の界面や気相と液相との界面に容易に吸着し、界面の物理化学的性質を変化させ得る両親媒性を有している。このため、有機バインダー52が吸湿性を有している場合や、二次粒子5から金属粒子51が露出している場合等には、二次粒子5の表面に対して容易に吸着し、二次粒子5を均一に覆う外側被覆層6の形成に好適に用いられる。
また、フッ素系化合物が重合体または共重合体である場合、その数平均分子量は、500以上1,000,000以下であるのが好ましく、500以上100,000以下であるのがより好ましい。このようなフッ素系化合物は、外側被覆層6に対して、有機バインダー52の吸湿を抑制するのに必要かつ十分な撥水性を付与することができる。
また、上記モノマーと共重合可能な他のモノマーとしては、例えば、エチレン、酢酸ビニル、弗化ビニル、塩化ビニル、ハロゲン化ビニリデン、アクリロニトリル、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、アクリル酸とそのアルキルエステル、メタアクリル酸とそのアルキルエステル、アクリルアミド、メタアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、メチロール化ジアセトンアクリルアミド又はメタアクリルアミド、ビニルアルキルエーテル、ビニルアルキルケトン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、グリシジルアクリレート、ベンジルメタアクリレート、シクロヘキシルメタアクリレート、無水マレイン酸等が挙げられる。
パーフルオロ基またはフルオロアルキル基を有するモノマーと、上述した他のモノマーとの反応モル比は、100:0超20:80以下であるのが好ましく、95:5以上50:50以下であるのがより好ましい。
この他、フッ素系化合物としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(EPE)、ポリクロロ・トリフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)およびクロロトリフルオロチレン・エチレン共重合体(ECTFE)、フッ素系ウレタン樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を含むものが用いられる。
一方、ケイ素系化合物は、ケイ素原子を含む化合物であれば、特に限定されないが、オルガノシロキサンを含む有機ケイ素化合物であるのが好ましい。これらの化合物は、疎水性を有するアルキル基、アラルキル基またはアリール基を有するので、外側被覆層6に含まれることにより、有機バインダー52の吸湿をより確実に抑制することができる。
また、炭素−ケイ素結合は、炭素−炭素結合よりも1.5倍程度強いものであるため、物理化学的に安定である。このことから、造粒粉末のように造粒粒子1同士が擦れ合う状況下においても、撥水性を損ない難い。かかる観点からも、上記化合物は、外側被覆層6に含まれる化合物として有用である。
その一方、ケイ素系化合物は、一般に1000℃未満で熱処理されることによって分解する。したがって、外側被覆層6にケイ素系化合物が含まれていたとしても、造粒粒子1が焼成工程に供されることにより、ケイ素系化合物を熱分解させることができる。その結果、外側被覆層6が造粒粒子1の焼結作用を妨げるおそれを小さくすることができ、外側被覆層6を形成したとしても緻密な焼結体を製造することが可能である。
さらに、ケイ素系化合物は、比較的に柔軟性に富んでいる。このため、ケイ素系化合物を含む外側被覆層6を伴う造粒粒子1は、成形されたときに外側被覆層6が容易に変形することによって、得られる成形体の保形性を高めることに寄与する。
アルキル基、アラルキル基およびアリール基に含まれる炭素数は、特に限定されないものの、1以上22以下であるのが好ましく、1以上10以下であるのがより好ましい。炭素数が前記範囲内であることにより、外側被覆層6には、有機バインダー52の吸湿を抑制するのに必要かつ十分な撥水性が付与される。その結果、造粒粒子1は、環境の影響を特に受け難いものとなり、流動性が高いものとなる。
また、オルガノポリシロキサンの平均重合度は、100以上1,000以下であるのが好ましい。このようなオルガノポリシロキサンは、外側被覆層6に対して有機バインダー52の吸湿を抑制するのに必要かつ十分な撥水性を付与することができる。
オルガノポリシロキサンの具体例としては、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、アミノ変性シリコーン、脂肪酸変性ポリシロキサン、アルコール変性シリコーン、脂肪族アルコール変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、環状シリコーン、アルキル変性シリコーン等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を含むものが用いられる。
また、ケイ素系化合物とともに、金属アルコキシドもしくはその部分加水分解縮合物、または、ケイ素アルコキシドもしくはその部分加水分解縮合物を含んでいてもよい。これらのアルコキシドは、金属原子やシリコン原子にアルコキシ基が結合した化合物であり、金属原子としては、例えば、チタン、アルミニウム、ジルコニウム等が挙げられる。
ケイ素系化合物とアルコキシドとを併用すると、アルコキシドがケイ素系化合物の架橋反応を促進する。このため、二次粒子5に対する外側被覆層6の密着性をより高めることができる。
なお、アルコキシ基は、直鎖状でも分枝状であってもよく、その炭素数は1以上10以下であるのが好ましく、3以上8以下であるのがより好ましい。
アルコキシドの具体例としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシランのようなシリコンアルコキシド、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラ(n−ブトキシ)チタン、テトラ(2−エチルヘキシルオキシ)チタンのようなチタンアルコキシド、トリメトキシアルミニウム、トリエトキシアルミニウム、トリイソプロポキシアルミニウム、トリブトキシアルミニウムのようなアルミニウムアルコキシド、テトラメトキシジルコニウム、テトラエトキシジルコニウム、テトライソプロポキシジルコニウム、テトラブトキシジルコニウムのようなジルコニウムアルコキシド等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を含むものが用いられる。
ケイ素系化合物とアルコキシドとの質量比は、95:5以上40:60以下であるのが好ましい。このような比率で混ぜることにより、ケイ素系化合物の疎水性がアルコキシドによって阻害されるのを抑制しつつ、外側被覆層6と二次粒子5との密着性を高めることができる。
また、ケイ素系化合物とともに、カップリング剤を含んでいてもよい。このカップリング剤としては、特に限定されず、例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等が用いられる。このうち、特に、フッ素系シランカップリング剤が好ましく用いられる。
また、フッ素系化合物とケイ素系化合物とを併用するようにしてもよい。
この場合、フッ素系化合物とケイ素系化合物とのモル比は、10:90以上90:10以下であるのが好ましく、20:80以上80:20以下であるのがより好ましい。これにより、フッ素系化合物とケイ素系化合物が、それぞれの疎水性を互いに損ない合うことなく示すことができるため、特に撥水性に富んだ外側被覆層6が得られる。具体的には、フッ素系化合物が持つ特に高い疎水性と、ケイ素系化合物が持つ特に高い被覆耐久性の双方を有する外側被覆層6が得られる。また、フッ素系化合物の添加量の一部をケイ素系化合物に置き換えることにより、その分、低コスト化を図ることができる。
また、フッ素系化合物やケイ素系化合物とともに、界面活性剤が含まれていてもよい。界面活性剤を用いることにより、二次粒子5に対する外側被覆層6の密着性をより高めることができる。
界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシアルキレン誘導体類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油類、ポリオキシエチレンアルキルアミン類、および、ポリオキシエチレンアルキルアルカノールアミド類のうちの1つ、または、2つ以上の混合物が用いられる。
ここで、外側被覆層6の存在比は、特に限定されないが、好ましくは複数の金属粒子51の100質量部に対して0.002質量部以上0.8質量部以下とされ、より好ましくは0.005質量部以上0.6質量部以下とされ、さらに好ましくは0.007質量部以上0.5質量部以下とされる。外側被覆層6の存在比を前記範囲内とすることにより、過不足ない厚さの外側被覆層6が形成され、造粒粉末の流動性を十分に高めることができる。
なお、外側被覆層6の存在比が前記下限値を下回った場合、外側被覆層6が途切れる確率が高くなるおそれがある。一方、外側被覆層6の存在比が前記上限値を上回った場合、造粒粉末全体における外側被覆層6の存在比が高くなり過ぎてしまい、焼結体中に残存したり、焼結体の密度を下げてしまうおそれがある。
外側被覆層6の平均厚さは、1nm以上1000nm以下程度であるのが好ましく、5nm以上500nm以下程度であるのがより好ましい。平均厚さを前記範囲内とすることにより、外側被覆層6による造粒粉末の流動性向上および耐候性向上が十分に実現される。
なお、外側被覆層6の平均厚さが前記下限値を下回った場合、外側被覆層6が途切れる確率が高くなるおそれがある。一方、外側被覆層6の平均厚さが前記上限値を上回った場合、造粒粉末全体における外側被覆層6の存在比が高くなり過ぎるおそれがある。
また、外側被覆層6において、前述したフッ素系化合物およびケイ素系化合物といった基剤は、40質量%以上を占めているのが好ましく、60質量%以上を占めているのがより好ましい。これにより、外側被覆層6に十分な撥水性が付与されることとなる。
また、外側被覆層6は、二次粒子5の表面のできるだけ多くの領域に設けられているのが好ましい。具体的には、二次粒子5の表面の50%以上に設けられているのが好ましく、70%以上に設けられているのがより好ましい。外側被覆層6が設けられる面積率を前記範囲内であることにより、二次粒子5の内側に位置する有機バインダー52まで吸湿する確率が低くなり、二次粒子5が変形したり壊れたりし難くなる。その結果、造粒粉末の流動性を特に高めることができる。
ところで、図1に示す二次粒子5では、前述したように、金属粒子51同士の間に有機バインダー52が介在するとともに、各金属粒子51を覆うように有機バインダー52が存在している。このため、外側被覆層6と二次粒子5との界面では、主に、外側被覆層6と有機バインダー52とが接している。
一方、二次粒子5の表面には、その一部で金属粒子51が露出している部分(図1に示す露出部分510)を有しているのが好ましい。このような金属粒子51の露出部分510には、外側被覆層6がより強く密着するとともに高密度の外側被覆層6が得られる。
上述したような造粒粉末は、流動性の高いものとなる。具体的には、JIS Z 2502に規定の金属粉の流動性試験方法に準じて測定された本発明の造粒粉末の流動度は、金属粉末としてFe基合金粉末を用いた場合、33[sec/50g]以下であるのが好ましく、30[sec/50g]以下であるのがより好ましく、27[sec/50g]以下であるのがさらに好ましい。このような流動度を有する造粒粉末は、仮に成形型に狭小部分および一部に深い部分があったとしても、この当該部分に隙間なく流動し、成形型を確実に充填することができる。これにより、成形型への充填性が安定するため、成形体の寸法精度を高めることができる。その結果、成形型への充填ムラが抑えられ、希望通りの寸法でかつ均質で高密度の焼結体が得られる。
なお、造粒粉末の流動度は、以下のようにして測定される。
まず、測定用に校正された漏斗を用意し、漏斗のオリフィスを塞いだ状態で、漏斗内に測定対象の造粒粉末50gを入れる。
次いで、オリフィスを開けると同時に計時を開始する、そして、最後の造粒粉末がオリフィスを離れる瞬間に計時を終了する。
次いで、漏斗に設定された補正係数を、造粒粉末の落下に要した時間の平均値に乗じて、流動度の測定値とする。
以上のようにして流動度が測定される。
また、本発明の造粒粉末の各粒子形状は、流動性および充填性に大きな影響を及ぼす。かかる観点から、造粒粉末の各粒子形状は、真球に近い形状であるのが好ましい。
(造粒粉末の製造方法)
次に、本発明の造粒粉末の製造方法の実施形態について説明する。
本実施形態に係る造粒粉末の製造方法は、金属粒子51同士を結着する有機バインダー52と、を含む二次粒子5、および、フッ素系化合物およびケイ素系化合物の少なくとも一方を含む液状組成物を準備する工程と、二次粒子5に向けて、前述した液状組成物を供給する工程と、を有する。以下、各工程について順次説明する。
[1]
[1−1]まず、各種造粒法により、金属粉末(金属粒子51)を造粒する。
造粒法としては、例えば、噴霧乾燥(スプレードライ)法、転動造粒法、流動層造粒法、転動流動造粒法等が挙げられる。
例えば、噴霧乾燥法では、金属粒子51と有機バインダー52の溶液とを混合してなるスラリー(懸濁液)を用いる。そして、このスラリーを、噴霧乾燥することにより、二次粒子5が得られる。
有機バインダー52の溶液を調製するための溶媒としては、例えば、水、アルコール類等が挙げられる。
また、溶液中には、必要に応じて、防錆剤、酸化防止剤、界面活性剤、消泡剤等、任意の添加剤が添加されていてもよい。
以上のようにして複数の金属粒子51を有機バインダー52で結着してなる二次粒子5が得られる。
なお、得られた二次粒子5に対し、必要に応じて振動処理、解砕処理等を加えることにより、二次粒子5表面の有機バインダー52を一部除去して、金属粒子51を露出させることもできる。
また、上記処理によらずとも、有機バインダー52の添加量を少なくすることにより、金属粒子51を露出させることも可能である。
また、このようにして得られた二次粒子5に対し、必要に応じて、加熱処理を施すようにしてもよい。これにより、有機バインダー52の吸湿性が若干低下するため、造粒粉末が吸湿し難くなり、経時的な流動性の低下が抑えられる。
この際の加熱温度は、有機バインダー52の組成に応じて適宜設定されるが、一例として150℃以上250℃以下程度とされる。
また、加熱時間は、一例として0.1時間以上3時間以下程度とされる。
[1−2]次に、フッ素系化合物およびケイ素系化合物の少なくとも一方を含む液状組成物を調製する。
液状組成物は、前述したフッ素系化合物やケイ素系化合物等の基剤に加え、これを溶解または分散させる溶媒(分散媒)、防錆剤、酸化防止剤、界面活性剤、消泡剤等、任意の添加剤を含んでいてもよい。
このうち、溶媒(分散媒)としては、例えば、トルエン、キシレンのような芳香族系炭化水素溶媒、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソパラフィンのような脂肪族系炭化水素溶媒、ジイソプロピルエーテル、1,4−ジオキサンのようなエーテル系溶媒、ハロゲン系溶媒、石油系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、アルコール系溶媒、水等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を含むものが挙げられる。
また、溶媒としては、特に、油溶性のものが好ましく用いられる。このような溶媒を用いることにより、液状組成物によって有機バインダー52が影響を受け難くなり、二次粒子5の形状を維持し易くなる。
液状組成物における基剤の含有率は、特に限定されないが、0.05質量%以上50質量%以下であるのが好ましく、0.2質量%以上40質量%以下であるのがより好ましい。
また、溶媒(分散媒)の添加量は、基剤を二次粒子5の表面に供給する方法によって適宜調整される。
[2]
次に、二次粒子5に向けて、調製した液状組成物を供給する。
液状組成物の供給方法は、特に限定されず、二次粒子5の表面に液状組成物を接触させ得る方法であれば、いかなる方法も用いられるが、噴霧法(スプレー法)やシャワー法のように液状組成物を液滴として二次粒子5の表面に供給する方法が好ましく用いられる。噴霧法やシャワー法によれば、非常に少ない量を、比較的均一に供給することができる。このため、均一で薄い外側被覆層6を効率よく成膜することができる。特に噴霧法では、液状組成物を噴射剤(高圧ガス等)とともに噴射することにより、微細な液滴を形成することができる。
すなわち、噴霧法では、液状組成物を微細な液滴として飛散させるとともに、飛散した液滴が二次粒子5に付着することによって成膜される。この際、飛散した液滴は、非常に細かいため、空気中を漂い易く、二次粒子5のうち、噴射位置から陰になっている領域にも容易に付着する。このような理由から、均一で薄い外側被覆層6を短時間で成膜することができる。このような均一で薄い外側被覆層6は、欠損し難く、かつ、焼結の阻害因子になり難いので、有機バインダー52の吸湿を抑制するという効果を維持しつつ、外側被覆層6による造粒粒子1の焼結性の低下を抑制する。
なお、噴霧法では、液状組成物に加えて噴射剤を用いるようにしてもよい。噴射剤としては、例えば、液化石油ガス(LPG)、プロパン、ブタン、ジメチルエーテル、炭酸ガス、窒素ガス、代替フロン等が用いられる。
液状組成物と噴射剤との混合比率は、質量比で30:70以上99.5:0.5以下であるのが好ましく、50:50以上99:1以下であるのがより好ましい。これにより、液状組成物を微細な液滴として供給することができるので、上述したような効果がより顕著に得られる。
また、液滴の平均粒径は、特に限定されないが、5μm以上200μm以下程度であるのが好ましく、10μm以上150μm以下程度であるのがより好ましい。これにより、液状組成物を効率よくかつ均一に供給することができる。
なお、液滴の平均粒径は、レーザー回折式粒度分布測定装置を用い、レーザーから15cm離れたところから液状組成物を噴霧し、これにより液滴の大きさを測定することによって求められる。
また、液状組成物を噴霧しつつ、二次粒子5を撹拌するようにしてもよい。これにより、二次粒子5の集合体(二次粒子粉末)に対して、より効率よく均一に外側被覆層6を成膜することができる。
また、液状組成物を噴霧して乾燥させた後、再び液状組成物を噴霧し、外側被覆層6の厚さを厚くするようにしてもよい。
以上のようにして造粒粒子1(本発明の造粒粉末の実施形態)が得られる。
このような造粒粒子1の用途は、特に限定されないが、例えば、当該造粒粉末を成形してなる成形体の製造、特に、焼結体用の成形体の製造に好適に用いられる。
(焼結体の製造方法)
以下、焼結体の製造方法の一例について説明する。
<成形>
まず、上述したような本発明の造粒粉末を用いて、プレス成形機により成形し、所望の形状、寸法の成形体を製造する。本発明の造粒粉末は、それ自体が緻密であり、かつ、充填性の高いものである。このため、高密度の成形体を製造することができ、最終的に、高密度でかつ収縮率の小さい焼結体が得られる。
なお、製造される成形体の形状寸法は、以後の脱脂および焼結による収縮分を見込んで決定される。また、成形法は、プレス成形に限定されず、圧縮成形、射出成形等であってもよい。
<脱脂>
前述した成形工程で得られた成形体に対し、脱脂処理(脱バインダー処理)を施し、脱脂体を得る。この脱脂処理としては、特に限定されないが、非酸化性雰囲気、例えば真空または減圧状態下(例えば1×10−1〜1×10−6Torr)、あるいは窒素ガス、アルゴンガス、水素ガス、アンモニア分解ガス等のガス中で、熱処理を行うことによりなされる。この場合、熱処理の条件は、有機バインダーの分解開始温度等によって若干異なるが、好ましくは温度100℃以上750℃以下程度で0.5時間以上40時間以下程度、より好ましくは温度150℃以上700℃以下程度で1時間以上24時間以下程度とされる。
<焼成>
前述した脱脂工程で得られた脱脂体を焼成炉で焼成して焼結させ、目的とする焼結体を得る。この焼成により、造粒粉末を構成していた金属粉末は、拡散、粒成長し、全体として緻密な、すなわち高密度、低空孔率の焼結体が得られる。
焼成時における焼成温度は、造粒粉末の組成等により若干異なるが、例えば、Fe基合金粉末を用いた場合、1100℃以上1400℃未満であるのが好ましく、1200℃以上1350℃以下であるのがより好ましい。
焼成中の最高温度保持時間は0.5時間以上5時間以下程度であるのが好ましく、0.75時間以上3時間以下程度であるのがより好ましい。
特に、有機バインダー52としてポリビニルアルコールやポリビニルピロリドンのように結着性が大きく、かつ熱分解性の高い材料を用いることにより、有機バインダー52の使用量を抑え、かつ金属粒子51同士の粒子間距離を縮めることができるので、焼結開始温度を下げることができる。その結果、比較的低温で短時間の焼成であっても、緻密な焼結体が得られる。
また、焼成雰囲気は、特に限定されないが、減圧(真空)下または非酸化性雰囲気とされるのが好ましい。これにより、金属の酸化による特性劣化を防ぐことができる。
なお、上記のようにして得られた焼結体は、いかなる目的で用いられるものであってもよく、その用途としては、例えば各種機械部品等が挙げられる。
以上のようにして得られる焼結体の相対密度は、その用途等により異なるが、例えば、95%超、好ましくは97%以上となることが期待される。このような焼結体は、機械的特性に特に優れたものとなる。また、本発明の造粒粉末を用いることにより、低温での焼成であっても、かかる機械的特性に優れた焼結体を効率よく製造することができる。
以上、本発明について、好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
例えば、造粒粉末の製造方法では、必要に応じて、任意の工程を追加することができる。
また、本発明の造粒粉末には、必要に応じて、任意の要素が付加されていてもよい。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.造粒粉末の製造
(実施例1A)
<1>まず、金属粉末として、水アトマイズ法により製造された平均粒径10μmの合金工具鋼粉末(エプソンアトミックス(株)製、SKD−11)を用意した。
<2>一方、有機バインダーとして、ポリビニルアルコール(株式会社クラレ製、PVA−117)を用意した。また、溶媒としてイオン交換水を用意した。なお、溶媒の添加量は、有機バインダー1gあたり50gとした。
次いで、ポリビニルアルコールをイオン交換水に混合し、室温まで冷却することにより、有機バインダー溶液を調製した。なお、ポリビニルアルコールの添加量は、金属粉末100質量部に対して、1.0質量部となる量とした。また、ポリビニルアルコールのけん化度は98〜99モル%、重合度は1700であった。
<3>次に、金属粉末と有機バインダー溶液とを混合し、スラリーを調製した。スラリー中の金属粉末の割合は70質量%とした。
<4>次いで、噴霧乾燥装置にスラリーを投入して造粒し、平均粒径75μmの二次粒子を得た。
<5>次に、表1に示すフッ素系化合物を基剤として、溶媒としてアセトン、イソプロピルアルコールおよびエタノールを用い、外側被覆層形成用の液状組成物を調製した。そして、得られた液状組成物を二次粒子に向けて噴霧した。この噴霧は、容器内に二次粒子を入れ、容器内に液状組成物を噴霧した後、二次粒子を撹拌することにより行った。これにより、二次粒子の表面を覆う外側被覆層を形成した。なお、計算により、外側被覆層の平均厚さが3nmとなるように、基剤の量や噴霧量を調整した。以上のようにして造粒粉末を得た。
なお、液状組成物を噴霧する際の噴射剤として、炭酸ガスを使用した。また、液状組成物の液滴の平均粒径は30μmであった。
(実施例2A〜8A)
有機バインダーの添加量やフッ素系化合物の添加量を表1に示すように変更した以外は、それぞれ実施例1Aと同様にして造粒粉末を得た。
(実施例9A〜14A)
フッ素系化合物の種類および添加量を表1に示すように変更した以外は、それぞれ実施例1Aと同様にして造粒粉末を得た。
(実施例15A〜20A)
有機バインダーをポリビニルピロリドン(BASF社製、PVP/K−90)に変更するとともに、その添加量、ならびにフッ素系化合物の種類および添加量を表1に示すように変更した以外は、それぞれ実施例1Aと同様にして造粒粉末を得た。
(比較例1、2)
外側被覆層の形成を省略した以外は、実施例1A、8Aと同様にして造粒粉末を得た。
(比較例3、4)
外側被覆層の形成を省略した以外は、実施例17A、20Aと同様にして造粒粉末を得た。
(実施例1B)
まず、基剤には、ケイ素系化合物であるジメチルポリシロキサンを用い、溶媒として、イソプロピルアルコールを用い、外側被覆層形成用の液状組成物を調製した。
また、平均厚さが7nmとなるように基剤の量や噴霧量を調整し、外側被覆層を形成した。
以上のように変更した以外は、実施例1Aと同様にして造粒粉末を得た。
(実施例2B〜8B)
有機バインダーの添加量やケイ素系化合物の添加量を表2に示すように変更した以外は、それぞれ実施例1Bと同様にして造粒粉末を得た。
(実施例9B〜14B)
ケイ素系化合物の種類および添加量を表2に示すように変更した以外は、それぞれ実施例1Bと同様にして造粒粉末を得た。
(実施例15B〜20B)
有機バインダーをポリビニルピロリドン(BASF社製、PVP/K−90)に変更するとともに、その添加量、ならびにフッ素系化合物の種類および添加量を表2に示すように変更した以外は、それぞれ実施例1Bと同様にして造粒粉末を得た。
(実施例21B)
液状組成物の基剤として、フッ素系化合物であるフッ素ウレタン系樹脂とケイ素系化合物であるジメチルポリシロキサンの混合物を用いるようにした以外は、実施例1Bと同様にして造粒粉末を得た。
このとき、平均厚さが5nmとなるように基剤の量や噴霧量を調整し、外側被覆層を形成した。
また、フッ素系化合物とケイ素系化合物との混合比率は、モル比で50:50とした。
(実施例22B)
フッ素系化合物とケイ素系化合物の混合比率を、モル比で20:80とした以外は、実施例21Bと同様にして造粒粉末を得た。
(実施例23B)
フッ素系化合物とケイ素系化合物の混合比率を、モル比で80:20とした以外は、実施例21Bと同様にして造粒粉末を得た。
2.造粒粉末および焼結体の評価
2.1 吸湿量の評価
まず、各実施例および各比較例で得られた造粒粉末10gをガラスシャーレ上に秤量した。
次に、75%の相対湿度の条件を得るために塩化ナトリウム水溶液を入れて23℃に保持したデシケーター内に、造粒粉末を入れたガラスシャーレを放置した(飽和塩法、JIS B 7920:2000)。
そして、放置開始から150分後および900分後にそれぞれ造粒粉末の質量を測定した。そして、次式にしたがって吸湿量を測定した。
吸湿量(%)=(W−W)/W×100
ただし、Wは、測定時の質量、Wは、初期の質量、である。
測定結果を表1、2に示す。
2.2 流動度の評価
各実施例および各比較例で得られた造粒粉末について、JIS Z 2502に規定の金属粉の流動性試験方法により、流動度を測定した。
測定結果を表1、2に示す。
2.3 寸法精度の評価
各実施例および各比較例で得られた造粒粉末を、以下に示す成形条件で成形した。
<成形条件>
・成形方法 :プレス成形法
・成形形状 :φ20mm、厚み5mmのDisc形状
・成形圧力 :600MPa(6t/cm
・成形環境 :室温26.1℃、相対湿度80.8%
次に、得られた成形体(n=5)について、その寸法をマイクロメーターで測定した。そして、測定値の精度を、以下の評価基準に基づいて評価した。なお、成形体の測定箇所は、プレス成形時の圧縮方向の寸法である。
<評価基準>
◎:等級が精級である(許容差±0.2%以下)
○:等級が中級である(許容差±0.2%超±0.4%以下)
△:等級が並級である(許容差±0.4%超±0.6%以下)
×:許容外である
測定結果を表1、2に示す。
Figure 2017002358
Figure 2017002358
表1、2から明らかなように、各実施例で得られた造粒粉末は、加湿された環境下で長時間放置しても、吸湿性が低いことが認められた。特に、外側被覆層形成用の液状組成物の基剤としてフッ素系化合物を用いた場合には、その傾向が顕著であった。
図2は、実施例2A、実施例2B、実施例22Bおよび比較例1で得られた造粒粉末に対して吸湿試験を行ったときの吸湿量(%)の時間推移を示すグラフである。
図2からも明らかなように、実施例で得られた造粒粉末は、比較例で得られた造粒粉末に比べて、150分後の吸湿量が低く、その後、900分後においても吸湿量がほとんど増加していないことが認められる。
また、吸湿性が低い造粒粉末は、おおよそ流動性も高いことも認められた。そして、このような造粒粉末を用いて製造された成形体は、寸法精度が高い(保形性が高い)ことが認められた。
これに対し、各比較例で得られた造粒粉末は、相対的に吸湿性が高いことが認められた。また、造粒粉末の流動性は低く、成形体の寸法精度も低いことが認められた。
以上のことから、本発明の造粒粉末は、置かれる環境によらず優れた流動性を示すことが認められた。また、このような造粒粉末は、成形型への充填性が高く均一に充填されるため、成形体の寸法精度を高め得ることが認められた。その結果、造粒粉末の成形型への充填ムラが抑えられ、焼結体の寸法精度の向上を図ることができる。
なお、金属粉末の組成をステンレス鋼(SUS316L)に変更した場合についても評価したが、評価結果は同じであった。
1 造粒粒子
5 二次粒子
6 外側被覆層
51 金属粒子
52 有機バインダー
510 露出部分

Claims (8)

  1. 複数個の金属粒子と、前記金属粒子同士を結着する有機バインダーと、を含む二次粒子と、
    前記二次粒子の表面の少なくとも一部に設けられ、フッ素系化合物およびケイ素系化合物の少なくとも一方を含む被覆層と、
    を有することを特徴とする造粒粉末。
  2. 前記被覆層の平均厚さは、1nm以上1000nm以下である請求項1に記載の造粒粉末。
  3. 前記フッ素系化合物は、パーフルオロ基もしくはフルオロアルキル基を有するモノマーの重合体、または、前記モノマーと他のモノマーとの共重合体である請求項1または2に記載の造粒粉末。
  4. 前記ケイ素系化合物は、ポリオルガノシロキサンである請求項1または2に記載の造粒粉末。
  5. 前記被覆層は、前記二次粒子の表面に対して前記フッ素系化合物および前記ケイ素系化合物の少なくとも一方を含む液状組成物を噴霧して形成されている請求項1ないし4のいずれか1項に記載の造粒粉末。
  6. 前記有機バインダーは、ポリビニルアルコールまたはポリビニルピロリドンを含む請求項1ないし5のいずれか1項に記載の造粒粉末。
  7. 複数個の金属粒子と、前記金属粒子同士を結着する有機バインダーと、を含む二次粒子、および、フッ素系化合物およびケイ素系化合物の少なくとも一方を含む液状組成物を準備する工程と、
    前記二次粒子に向けて、前記液状組成物を供給する工程と、
    を有することを特徴とする造粒粉末の製造方法。
  8. 前記液状組成物を供給する工程は、前記液状組成物を液滴にして前記二次粒子の表面に付着させる工程である請求項7に記載の造粒粉末の製造方法。
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