JP2015012188A - 圧粉磁心の製造方法、及び圧粉磁心 - Google Patents

圧粉磁心の製造方法、及び圧粉磁心 Download PDF

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朝之 伊志嶺
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輝和 徳岡
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Abstract

【課題】強度に優れる圧粉磁心の製造方法を提供する。【解決手段】ビッカース硬さHVが300以上の軟磁性材料から構成された軟磁性粒子と、前記軟磁性粒子の表面を覆う絶縁層とを有する被覆軟磁性粒子を複数備える被覆軟磁性粉末を準備する準備工程と、前記被覆軟磁性粉末と、結晶セルロース粉末と、成形用材料とを混合して粉末複合材を形成する混合工程と、前記粉末複合材を所定の形状に加圧して成形体とする加圧工程と、前記成形体に熱処理を施して圧粉磁心とする熱処理工程とを備える圧粉磁心の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、リアクトルやインダクタといった回路部品に備える磁心などに利用される圧粉磁心の製造方法、及び圧粉磁心に関する。特に、強度に優れる圧粉磁心を効率的に得られる圧粉磁心の製造方法に関する。
スイッチング電源やDC/DCコンバータなどのエネルギーを変換する回路に備える部品として、巻線を巻回してなるコイルと、このコイルが配置され、閉磁路を形成する磁心とを備える磁気部品がある。上記磁心として、軟磁性材料からなる粉末を用いて製造される圧粉磁心がある。圧粉磁心は、代表的には、軟磁性粒子の表面に絶縁層を有する被覆軟磁性粒子の粉末を所定の形状に加圧成形して成形体とし、その成形体に熱処理を施すことで製造される。
軟磁性材料のうち、特に、センダストに代表されるFe−Si−Al系合金やFe−Si系合金といった鉄基合金は、例えば、純鉄に比較して鉄損を低減し易い。従って、上記鉄基合金から構成される圧粉磁心は、より低損失な磁心を構築できる(例えば、特許文献1)。
特開2012−107330号公報
しかし、上述の鉄基合金は、添加元素の固溶体硬化によって純鉄に比較して非常に硬く塑性変形性に劣る。そのため、鉄基合金粒子は、上述の加圧成形によって、実質的に塑性変形せず、粒子同士の噛み合いによる強度の確保が困難である。特に、球形に近い粒子では、上記噛み合いが実質的に生じない。従って、成形体に割れ(クラック)などが生じ易く、歩留りが低下する虞がある。
特許文献1に記載されるように、原料の被覆軟磁性粉末に成形用樹脂を添加することで、成形用樹脂によって成形体を保形することができ、成形体の強度を確保できる。成形用樹脂の添加量は、多いほど成形体の強度を向上できるものの、成形体の密度の低下を招き、磁気特性が低下する。従って、成形用樹脂の添加量には制限がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、本発明の目的の一つは、強度に優れる圧粉磁心を効率的に得られる圧粉磁心の製造方法を提供することにある。また、本発明の別の目的は、強度に優れる圧粉磁心を提供することにある。
本発明の圧粉磁心の製造方法は、以下の工程を備える。
(A)ビッカース硬さHVが300以上の軟磁性材料から構成された軟磁性粒子と、軟磁性粒子の表面を覆う絶縁層とを有する被覆軟磁性粒子を複数備える被覆軟磁性粉末を準備する準備工程。
(B)被覆軟磁性粉末と、結晶セルロース粉末と、成形用材料とを混合して粉末複合材を形成する混合工程。
(C)粉末複合材を所定の形状に加圧して成形体とする加圧工程。
(D)成形体に熱処理を施して圧粉磁心とする熱処理工程。
本発明の圧粉磁心は、絶縁層を有する軟磁性粒子を複数備える被覆軟磁性粉末を加圧成形してなる。軟磁性粒子は、ビッカース硬さHVが300以上である軟磁性材料から構成され、被覆軟磁性粉末間に結晶セルロースが介在されている。圧粉磁心における結晶セルロースの含有量は、1.0質量%未満である。
本発明の圧粉磁心の製造方法は、強度に優れる圧粉磁心を生産性よく製造することができる。
また、本発明の圧粉磁心は、強度に優れる。
実施形態に係る圧粉磁心を製造する状態を模式的に示す工程説明図である。
[本発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施形態の内容を列記して説明する。
(1)実施形態の圧粉磁心の製造方法は、以下の工程を備える。
(A)ビッカース硬さHVが300以上の軟磁性材料から構成された軟磁性粒子と、上記軟磁性粒子の表面を覆う絶縁層とを有する被覆軟磁性粒子を複数備える被覆軟磁性粉末を準備する準備工程。
(B)上記被覆軟磁性粉末と、結晶セルロース粉末と、成形用材料とを混合して粉末複合材を形成する混合工程。
(C)上記粉末複合材を所定の形状に加圧して成形体とする加圧工程。
(D)上記成形体に熱処理を施して圧粉磁心とする熱処理工程。
上記した実施形態の圧粉磁心の製造方法によれば、塑性変形性に富む結晶セルロースによる粉末を粉末複合材の中に混合することで、結晶セルロース粉末によって成形用材料の強度を向上させ、高い成形性を付与できる。よって、成形用材料の含有量を制限しても、強度に優れる成形体を形成することができる。成形用材料の含有量を制限するため、成形体の密度を向上し易い。また、結晶セルロース粉末を混合することで、原料の被覆軟磁性粉末の流動性を良好にできるため、粉末複合材中に被覆軟磁性粒子を均一的に分散でき、高密度な成形体を製造できる。
結晶セルロース粉末による成形用材料の強化によって、粉末複合材を加圧成形する際に、成形体に割れ(クラック)などが生じ難く、歩留りを向上できる。また、凹凸を有するような複雑な形状の成形体を容易に形成できる。
以上より、強度に優れる成形体に熱処理を施すことで、強度に優れる圧粉磁心を効率的に得ることができる。また、成形体の歩留りを向上することで、圧粉磁心を生産性よく製造することができる。
(2)実施形態の圧粉磁心の製造方法としては、上記混合工程は、上記被覆軟磁性粉末と結晶セルロース粉末とを混合して混合粉末としてから、上記混合粉末に成形用材料を混合して粉末複合材とすることが挙げられる。
まず、被覆軟磁性粉末と結晶セルロース粉末とを混合して混合粉末とすることで、被覆軟磁性粉末と結晶セルロース粉末とを均一的に配することができる。この混合粉末に成形用材料を混合することで、より強度に優れる成形体及び圧粉磁心を製造することができる。
(3)実施形態の圧粉磁心の製造方法としては、上記粉末複合材における上記結晶セルロース粉末の含有量は、0.25質量%以上1.0質量%以下であることが挙げられる。
結晶セルロース粉末の含有量が0.25質量%以上であることで、成形用材料の強度を向上することができ、成形体の強度を確保し易い。一方、1.0質量%以下であることで、粉末複合材中の結晶セルロース粉末量が適量となり、成形体や圧粉磁心における軟磁性材料の量を十分に確保することができ、成形体の密度を向上し易い。
(4)実施形態の圧粉磁心の製造方法としては、上記軟磁性粒子の平均粒径が10μm以上100μm以下であることが挙げられる。
軟磁性粒子の平均粒径が10μm以上であることで、原料の被覆軟磁性粉末が取り扱い易い上に製造性にも優れる。また、圧粉磁心のヒステリシス損失の増大を低減できる。一方、100μm以下であることで、渦電流損失の増大を低減できる。
(5)実施形態の圧粉磁心の製造方法としては、上記結晶セルロース粉末には、アスペクト比が5以上の繊維状の結晶セルロース粒子が含まれることが挙げられる。
結晶セルロース粒子がアスペクト比5以上の繊維状であることで、被覆軟磁性粒子に絡み易くなる。隣り合う被覆軟磁性粒子間を結晶セルロース粒子が絡み合って介在することで、粉末複合材を加圧成形した成形体は、被覆軟磁性粒子同士が結晶セルロース粒子を介して接合される。よって、結晶セルロース粉末による成形用材料の強化に加え、被覆軟磁性粒子同士の結晶セルロース粒子を介した接合による強化によって、より強度に優れる成形体及び圧粉磁心を製造することができる。
(6)繊維状の結晶セルロース粒子が含まれる結晶セルロース粉末を用いた実施形態の圧粉磁心の製造方法としては、上記結晶セルロース粒子の長軸の長さが20μm以上1000μm以下であることが挙げられる。
繊維状の結晶セルロース粒子の長軸の長さが20μm以上であることで、被覆軟磁性粒子間の結晶セルロース粒子の絡みがより強固になり、より強度に優れる成形体及び圧粉磁心を製造することができる。一方、1000μm以下であることで、原料の被覆軟磁性粉末の流動性をより良好にできるため、粉末複合材中に被覆軟磁性粒子を均一的に分散でき、より高密度な成形体及び圧粉磁心を製造できる。
(7)実施形態の圧粉磁心は、絶縁層を有する軟磁性粒子を複数備える被覆軟磁性粉末を加圧成形してなる。上記軟磁性粒子は、ビッカース硬さHVが300以上である軟磁性材料から構成され、上記被覆軟磁性粉末間に結晶セルロースが介在されている。圧粉磁心における上記結晶セルロースの含有量は、1.0質量%未満である。
上記した実施形態の圧粉磁心によれば、被覆軟磁性粒子同士が結晶セルロースを介して接合されており、強度に優れる。
[本発明の実施形態の詳細]
本発明の実施形態の詳細を、以下に説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。例えば、後述する試験例について軟磁性粒子の組成・大きさ、絶縁層の材質・厚さ、圧粉磁心の製造条件(絶縁層の形成方法、成形体の形成圧力、成形体の熱処理温度・時間など)を適宜変更することができる。
<圧粉磁心の製造方法>
実施形態の圧粉磁心の製造方法は、以下の準備工程、混合工程、加圧工程、熱処理工程を備える。以下、各工程を順に説明する。
〔準備工程〕
被覆軟磁性粉末を準備する。被覆軟磁性粉末は、ビッカース硬さHVが300以上の軟磁性材料から構成された軟磁性粒子と、軟磁性粒子の表面を覆う絶縁層とを有する被覆軟磁性粒子の集合体である。
(軟磁性粒子)
軟磁性粒子を構成する軟磁性材料は、ビッカース硬さHVが300以上、より好ましくは400以上である。このような硬質な軟磁性材料の具体的な組成として、Fe−Si−Al系合金(いわゆるセンダスト)、Fe−Si系合金、Fe−Al系合金、Fe系アモルファス合金などの鉄基合金が挙げられる。Fe−Si−Al系合金は、例えば、Siを7質量%以上11質量%以下、Alを3質量%以上11質量%以下含有するものが挙げられる。Fe−Si系合金は、Siを4.5質量%以上7質量%以下含有するものが挙げられる。Fe−Al系合金は、Alを3質量%以上15質量%以下含有するものが挙げられる。Fe系アモルファス合金は、例えば、Bを2質量%以上5質量%以下、Siを4質量%以上6質量%以下含有するものが挙げられる。
ビッカース硬さHVは、JIS Z 2244(2009)に準じて測定される。上述の各合金におけるビッカース硬さHVの具体例は、Fe−9.5%Si−5.5%Alが約500、Fe−4.5%Siが約300、Fe−5.0%Siが約340、Fe系アモルファス合金が約700〜800である(質量%)。これらの高硬度な鉄基合金は、純鉄に比べて電気抵抗が高く、渦電流損失を低減できる。特に、Fe−Si−Al系合金は、高硬度である上に、鉄損を小さくでき、耐摩耗性にも優れる。被覆軟磁性粒子のビッカース硬さHVを測定するには、例えば、被覆軟磁性粒子を適宜な樹脂に埋め込み、この埋め込み材の断面をとり、断面における被覆軟磁性粒子の軟磁性材料部分に測定用圧子を押し当てることが挙げられる。また、圧粉磁心を構成する軟磁性粒子のビッカース硬さHVを測定するには、例えば、圧粉磁心の断面をとり、断面における被覆軟磁性粒子の軟磁性材料部分に測定用圧子を押し当てることが挙げられる。
軟磁性粒子の大きさは、例えば、その平均粒径が10μm以上150μm以下であることが挙げられる。ここで、ビッカース硬さHVが300以上の軟磁性粒子は、硬質であることから、原料に用いた軟磁性粒子の大きさ、形状を実質的に維持する。従って、平均粒径が10μm以上であると、原料の被覆軟磁性粉末が取り扱い易い上に製造性にも優れて、ひいては生産性に優れる圧粉磁心とすることができる。また、平均粒径が10μm以上であると、圧粉磁心のヒステリシス損失の増大を低減できる。平均粒径は、大き過ぎると渦電流損失が増大するため、150μm以下が好ましく、100μm以下がより好ましい。
軟磁性粒子は、例えば、水アトマイズ法やガスアトマイズ法などのアトマイズ法で製造されたものが挙げられる。水アトマイズ法で製造された軟磁性粒子は、粒子表面に凹凸が多いため、その凹凸の噛合により高強度の成形体を得やすい。一方、ガスアトマイズ法で製造された軟磁性粒子は、その粒子形状がほぼ球形のため、絶縁層を突き破るような凹凸が少なくて好ましい。また、アトマイズ法で製造された軟磁性粒子を所定の粒度に粉砕して用いても良い。軟磁性粒子の表面には、自然酸化膜が形成されていても良い。
(絶縁層)
絶縁層は、軟磁性粒子間に介在してこれらの粒子間を絶縁し、渦電流損失の低減に寄与する。また、この絶縁層は、圧粉磁心の強度の維持にもある程度寄与する。
絶縁層の材質は、代表的には、無機物が挙げられる。具体的には、酸化物などのO(酸素)を含むもの、リン酸塩などのリン化合物、ケイ酸塩などのケイ素化合物、ジルコニウム化合物、ホウ酸塩などのホウ素化合物などが挙げられる。
Oを含むものとして、例えば、Si(ケイ素)とOとを含む酸化ケイ素が挙げられる。酸化ケイ素は、代表的にはSiOが挙げられる。SiO及びSiの少なくとも一方を含むことを許容する。酸化ケイ素からなる絶縁層は、高硬度で、耐熱性に優れる。
Si及びOに加えて金属元素も含むもの、例えば、(1)Si及びOと、アルカリ金属及びMgの少なくとも1種の金属元素とを含むもの、(2)Si及びOと、アルカリ金属及びMgの少なくとも1種の金属元素と、Alとを含有するもの、が挙げられる。具体的には、アルカリ金属のケイ酸塩、例えば、ケイ酸カリウム(KSiO)、ケイ酸ナトリウム(NaSiO)、ケイ酸リチウム(LiSiO)や、ケイ酸マグネシウム(MgSiO)などが挙げられる。Alを含有する場合は、ケイ酸アルミニウムやアルミン酸などとして含有する形態が挙げられる。これらのケイ酸塩からなる絶縁層は、高硬度である。そのため、この絶縁層を形成した被覆軟磁性粉末を原料に用いると、この絶縁層は、加圧成形時に破損し難く、成形体中に健全な状態で存在できる。ケイ酸ナトリウム(水ガラス、ケイ酸ソーダとも呼ばれる)は、更にAlを含有すると、絶縁性に優れる。ケイ酸カリウム、ケイ酸リチウム、ケイ酸マグネシウムなどのその他のケイ酸塩は、更にAlを含有すると、耐熱性に優れる絶縁層になる。
上記ケイ酸塩からなる絶縁層中の各元素の含有量はそれぞれ、質量%で、Siが10%以上35%以下、Oが20%以上70%以下、アルカリ金属及びMgの総量が5%以上30%以下、が挙げられる。Alを含有する場合、絶縁層中のAlの含有量は、0超20質量%以下が挙げられる。ケイ酸塩からなる絶縁層を有する形態では、絶縁層は、Si,Al,O、アルカリ金属、及びMg以外の元素を20質量%以下の範囲で含有することを許容する。上記元素として、例えば、Fe,Caなどが挙げられる。
その他のOを含むものとして、例えば、酸化チタン、酸化ジルコニウムなどの酸化物が挙げられる。リン化合物は、例えば、リン酸鉄、リン酸マンガン、リン酸亜鉛、リン酸カルシウムなどが挙げられる。
上記絶縁層の材質は、有機物でもよい。具体的には、シリコーン樹脂などの樹脂が挙げられる。シリコーン樹脂からなる絶縁層は、絶縁性、耐熱性に優れる。また、シリコーン樹脂は、上述の無機物に比較して変形性に優れることから、シリコーン樹脂からなる絶縁層は、軟磁性粒子の外周に密着して剥離し難く、密着性にも優れる。上記絶縁層は有機物と上述の無機物との双方を含むこともできる。例えば、酸化ケイ素とシリコーン樹脂とを含む形態、などが挙げられる。
絶縁層は、厚いほど絶縁性が高く、損失を低減できるものの、透磁率の低下や軟磁性材料の含有割合の低下を招く。従って、絶縁層の平均厚さは、250nm未満とし、150nm以下が好ましく、120nm以下がより好ましい。一方、軟磁性粒子間を十分に絶縁できるように、絶縁層の平均厚さは、10nm以上が好ましい。ここで、圧粉磁心中の絶縁層の厚さは、熱処理によって若干変化することもあるが、成形前の原料の被覆軟磁性粉末に備える絶縁層の厚さを実質的に維持する。原料の絶縁層の平均厚さが10nm以上であると、原料の被覆軟磁性粉末を加圧成形するときに破壊され難く、成形体中に健全な状態で存在できることから(即ち、成形体における絶縁層の平均厚さが10nm以上であることから)、絶縁性に優れる圧粉磁心になる。絶縁層の厚さは、例えば、圧粉磁心の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察することで測定できる。複数の被覆軟磁性粒子について絶縁層の厚さを測定し、その平均を絶縁層の平均厚さとする。
絶縁層の材質に応じた適宜な手法を利用して、上述の軟磁性粒子に絶縁層を形成することで、被覆軟磁性粉末を製造できる。代表的には、複数の軟磁性粒子からなる軟磁性粉末と、絶縁層の原料とを混合・乾燥後、必要に応じて熱処理することが挙げられる。絶縁層の原料の添加量は、所望の(平均)厚さの絶縁層が形成できるように、適宜調整する。混合には、ミキサーや回転可能な容器などを利用できる。絶縁層の形成に公知の手法を利用してもよい。
例えば、酸化ケイ素からなる絶縁層の形成には、絶縁層の原料にシリコーン樹脂を用い、軟磁性粉末とシリコーン樹脂とを混合後、シリコーン樹脂を分解してガラス化するための熱処理(酸化ケイ素に無機変性して硬度を高めるための熱処理)を施すことが挙げられる。この熱処理の加熱温度は、400℃以上1000℃以下程度、特に600℃以上900℃以下程度、保持時間は30分以上2時間以下程度が挙げられる。
例えば、ケイ酸塩からなる絶縁層の形成には、水ガラスなどのケイ酸塩の水溶液や含水ケイ酸マグネシウムのコロイド溶液などの溶液を用意し、軟磁性粉末とこの溶液とを混合後、乾燥することが挙げられる。アルカリ金属のケイ酸塩は、水に可溶であり、Mgの含水ケイ酸塩はコロイドとして水に容易に分散する。そのため、絶縁層をケイ酸塩で構成する場合、簡便な湿式処理でも軟磁性粒子の表面に均質な絶縁層を容易に形成できる。
上記溶液の濃度は、5質量%以上50質量%以下程度、軟磁性粒子(粉末)の質量に対する溶液中の固形分の質量割合は、0.1質量%以上1.0質量%以下程度が挙げられる。上記固形分の質量割合は、絶縁層の厚さに概略換算できる。例えば、軟磁性粒子の平均粒径が50μmであり、上記固形分の質量割合が0.1質量%の場合、平均厚さが約25nmの絶縁層を形成できる。混合条件は、例えば、ミキサー又は回転容器の回転数が50r.p.m.以上500r.p.m.以下程度、温度が30℃以上100℃以下程度、時間が10分以上60分以下程度、が挙げられる。又は、上記溶液を上記温度でスプレーにて噴霧することが挙げられる。噴霧された溶液は、軟磁性粒子の表面に付着した後、速やかに乾燥して、緻密な絶縁層を容易に形成できる。ケイ酸塩からなる絶縁層や後述するリン酸塩からなる絶縁層などは、絶縁層を高硬度化するための熱処理や重合などするための熱処理が不要であり、被覆軟磁性粉末の製造性に優れる。
酸化ケイ素などの酸化物や、上述のアルカリ金属又はMgのケイ酸塩などの無機物からなる絶縁層は、シリコーン樹脂などの有機物と比較して、高硬度である上に耐熱性に優れる。そのため、上記絶縁層を有する被覆軟磁性粉末を加圧成形した際、この絶縁層は、硬質な軟磁性粒子間に挟まれても破損し難い上に、熱処理後にも健全な状態を維持できる。また、上記無機物からなる絶縁層は、成形後の熱処理を施しても、熱分解し難く、熱処理後にも健全な状態を維持できる。従って、これらの無機物の絶縁層を有する被覆軟磁性粉末を原料に用いると、代表的には、熱処理後も実質的に同じ材質、即ち無機物からなる絶縁層が存在するため、軟磁性粒子同士を良好に絶縁でき、低損失な圧粉磁心を製造できる。
例えば、リン酸塩からなる絶縁層の形成には、化成処理、溶剤の吹付、ゾルゲル処理などを利用できる。
例えば、シリコーン樹脂からなる絶縁層の形成には、軟磁性粉末とシリコーン樹脂とを混合後、乾燥したり、混合・乾燥後、加水分解・縮重合反応を行ったりすることが挙げられる。
特にミキサーを用いて絶縁層を形成した場合、一部の軟磁性粒子同士が絶縁層を介して接合されていることがあるため、混合後、軽くふるいにかけるなどして、この接合を分離すること(ほぐすこと)が好ましい。
〔混合工程〕
図1の上段に示すように、上記準備工程で準備した被覆軟磁性粉末(軟磁性粒子11の表面が絶縁層12で覆われた複数の被覆軟磁性粒子10)と、成形用材料30と、結晶セルロース粉末(複数の結晶セルロース粒子20)とを混合して粉末複合材3を形成する。
(成形用材料)
成形用材料は、被覆軟磁性粉末を加圧成形して成形体とする場合、成形体を保形すると共に、硬質な軟磁性粒子を主体とする被覆軟磁性粉末の成形性を高めるものが好ましい。また、後述する成形体の熱処理によって無くなるもの(気化するもの)が好ましい。具体的には、従来、成形用材料に利用している樹脂などの有機高分子材料が挙げられる。より具体的には、アクリル樹脂やポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)などの熱可塑性樹脂、シリコーン樹脂などの熱硬化性樹脂、パラフィンや脂肪酸アミド、脂肪酸エステルなどのワックス類などが挙げられる。特に、アクリル樹脂やポリビニルアルコールは、成形時の変形性と、成形体の機械的強度との両立の観点から好ましい。また、アクリル樹脂やポリビニルアルコールなどの熱可塑性樹脂やパラフィンやワックス類などは、比較的低温の熱処理によって揮発、気化させることができ、圧粉磁心中に残存し難い。これら有機高分子材料は、水溶液や有機溶媒による溶液といった液体の状態で利用する。成形用材料は、一種とすることもできるし、複数種のものを組み合わせて用いることもできる。
成形用材料の含有量は、原料の被覆軟磁性粉末の質量に対して、0.5質量%以上3.0質量%以下程度が挙げられる。0.5質量%以上とすることで、加圧成形時に変形性に優れると共に、強度に優れる成形体を形成できる。3.0質量%以下とすることで、成形用材料が成形体中に過度に存在することによる軟磁性材料の含有割合を向上できる。
(結晶セルロース粉末)
結晶セルロースは、分子式(C10で表される炭水化物である。結晶セルロースは、(1)塑性変形性に富み、圧縮成形性に優れる、(2)自流動性があり、粉体の流動性を改善する、(3)異種粉体との混合均一性に優れる、(4)高い保水性により、混練物の取り扱いが容易になり、造粒性に優れる、という特性を有する。この結晶セルロースの粉末を粉末複合材に混合することで、上述した成形用材料の強度を向上させ、高い成形性を付与できる。
結晶セルロース粒子は、アスペクト比(長軸/短軸)が5以上の繊維状からなることが好ましい。結晶セルロース粒子が繊維状であることで、被覆軟磁性粒子間を結晶セルロース粒子が絡み合って介在し、加圧成形すると、被覆軟磁性粒子同士が結晶セルロース粒子を介して接合できる。アスペクト比は、小さいと成形用材料の繊維強化に寄与し易く、大きいと隣り合う被覆軟磁性粒子間を結晶セルロース粒子が絡み合うことによる成形体の強度向上に寄与し易い。アスペクト比は、大きいほど被覆軟磁性粒子間を結晶セルロース粒子が強固に絡み合う。繊維状の結晶セルロース粒子は、短軸:4μm以上20μm以下が好ましく、長軸:20μm以上1000μm以下が好ましい。
特に、結晶セルロース粒子の長軸の長さは、平均粒径の軟磁性粒子の周長に対して40%以上1000%以下が好ましい。40%以上であることで、被覆軟磁性粒子間を結晶セルロース粒子が強固に絡み合うことができる。一方、1000%以下であることで、原料の被覆軟磁性粉末の流動性をより良好にできるため、粉末複合材中に被覆軟磁性粒子を均一的に分散でき、より高密度な成形体及び圧粉磁心を製造できる。
結晶セルロース粒子を複数備える結晶セルロース粉末の含有量は、粉末複合材中に、0.25質量%以上1.0質量%以下が好ましい。結晶セルロース粉末の含有量が0.25質量%以上であることで、成形用材料の強度を十分に向上することができ、成形体の強度を確保し易い。一方、1.0質量%以下であることで、粉末複合材中の結晶セルロース粉末量が適量となり、成形体や圧粉磁心における軟磁性材料の量を十分に確保することができ、成形体の密度を向上し易い。
本実施形態では、所望の大きさの市販の結晶セルロース粉末を用いてもよいし、市販の粉末を粉砕して所望の大きさのものをふるいなどで選別して用いてもよい。
準備工程で準備した被覆軟磁性粉末と、用意した結晶セルロース粉末と、成形用材料とを混合した後、適宜乾燥して、粉末複合材を得る。混合には、ミキサーや回転可能な容器などを利用できる。混合条件は、例えば、ミキサー又は回転容器の回転数が50r.p.m.以上500r.p.m.以下程度、温度が30℃以上100℃以下程度、時間が10分以上90分以下程度、が挙げられる。上記混合に乾燥パン型造粒機などを適宜利用して、粉末複合材を造粒粉とすることもできる。造粒粉とすると、被覆軟磁性粒子の相互の凝集を抑制でき、原料の被覆軟磁性粉末の流動性を良好にでき、かつ粉末複合材を取り扱い易いため、成形用金型に精度よく充填し易い。成形用金型に偏りなく充填された造粒粉を加圧することで、成形体中の被覆軟磁性粒子や圧粉磁心中の被覆軟磁性粒子が均一的に存在し、高密度な成形体や圧粉磁心を製造できる。
また、成形用材料を上述の温度で原料の被覆軟磁性粉末及び結晶セルロース粉末にスプレー噴霧することが好ましい。上述の温度でスプレー噴霧することにより、噴霧された原料粉末が速やかに乾燥し、均質な造粒粉を形成することができる。
その他、粉末複合材には、成形時の潤滑性を高めるために、潤滑剤を混合させることもできる。潤滑剤としては、ステアリン酸アミド、ラウリン酸アミド、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミドなどの脂肪酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミドなどの高級脂肪酸アミドなどが挙げられる。これらは粉末の固体潤滑剤として用いても良いし、水などの液体に分散させた液体潤滑剤として用いても良い。
〔加圧工程〕
加圧工程では、作製した粉末複合材を成形用金型に充填した後、加圧・圧縮して、所定の形状の成形体を形成する。成形体の形状は、電磁部品の磁心の形状に応じて選択すればよい。本実施形態では、粉末複合材に結晶セルロース粉末を混合しているので、複雑形状であっても、加圧による割れが生じ難い。加圧圧力は、500MPa以上1500MPa以下が挙げられる。加圧圧力を500MPa以上とすると、高密度な成形体を形成し易く、1500MPa以下とすることで、被覆軟磁性粒子の絶縁層の破損を抑制し易い。
図1の中段に示すように、成形体2は、被覆軟磁性粒子11間を結晶セルロース粒子20が絡み合って介在しており、被覆軟磁性粒子11同士が結晶セルロース粒子20を介して接合している。
〔熱処理工程〕
熱処理工程では、加圧工程で得られた成形体に熱処理を施して磁心用焼成体(圧粉磁心)とする。この熱処理は、主として、成形用材料を除去すると共に、上記加圧工程で軟磁性粒子に導入された歪みを除去することを目的とする。絶縁層の材質によっては、この熱処理によって、無機変性することができる。この熱処理の加熱温度は、400℃以上1000℃以下程度、加熱時間は、10分以上180分以下程度が挙げられる。この熱処理の雰囲気は、軟磁性粒子や絶縁層、成形用材料の材質、及び圧粉磁心の用途などに応じて適宜選択することができる。
上記熱処理を多段階に分けることができる。例えば、上記熱処理は、成形用材料を除去する第一の熱処理と、歪を除去する第二の熱処理とを備えることができる。この場合、成形用材料をより確実に除去でき、高透磁率で低損失な圧粉磁心を得易い。第一の熱処理は、成形用材料の除去に必要な温度(例えば、500℃以下)とし、成形用材料の炭化を防止するために、大気雰囲気といった酸素を含む雰囲気とすることが好ましい。第二の熱処理は、歪の除去に必要な温度(例えば、550℃以上)とし、酸化相の生成を抑制するために、窒素雰囲気やアルゴン雰囲気などの非酸化性雰囲気とすることが好ましい。また、比較的低温である第一の熱処理を先に行った後、第二の熱処理を行うことが好ましい。
この熱処理によって、成形体中に存在する結晶セルロース粉末の一部が除去されることがある。
<圧粉磁心>
熱処理工程を経て得られた圧粉磁心1は、図1の下段に示すように、軟磁性粒子11の表面が絶縁層12で覆われた複数の被覆軟磁性粒子10が集まって構成され、複数の結晶セルロース粒子20が被覆軟磁性粒子10間に介在されている。結晶セルロースは、被覆軟磁性粒子10同士が結晶セルロース粒子20を介して接合するように配される。この結晶セルロースは、フーリエ変換赤外分光法(FT−IR)などの分析方法で検出することができる。
〔試験例1〕
鉄基合金からなる被覆軟磁性粉末を用いて粉末複合材を形成し、その粉末複合材を加圧して成形体を形成し、その成形体に熱処理を行って圧粉磁心を作製した。途中、得られた成形体の密度及び強度を調べた。また、成形体の歩留りを調べた。
(試料の作製)
この試験ではいずれの試料も、同じ材質の軟磁性粉末を用意し、この軟磁性粉末を構成する軟磁性粒子の表面に同じ材質の絶縁層を形成して、被覆軟磁性粉末を作製した。以下、図1を適宜参照して、粉末複合材、成形体、及び圧粉磁心の製造工程を説明する。
まず、組成がFe−9.5質量%Si−5.5質量%Alの合金で、ガスアトマイズ法により得られた軟磁性粒子の粉末を準備する。この合金のビッカース硬さHV0.1は約500である。HV0.1は、試験時の圧子の荷重(マイクロビッカース硬さ試験の試験力F)が0.1kgf(約0.98N)であることを示す。用いた軟磁性粒子の平均粒径を表1に示す。
次に、軟磁性粒子の表面に絶縁層を形成する。ここでは、ミキサーを用いて軟磁性粉末を回転数300r.p.m.で攪拌しながら、ケイ酸カリウム水溶液を添加して混合する。この水溶液の濃度は30質量%であり、軟磁性粉末の質量に対する水溶液中の固形分の質量割合が0.4質量%となるように、上記水溶液を添加した。混合時の温度は40℃で、混合時間は20分とした。混合後の軟磁性粒子の表面には、Si,O及びKから実質的になる絶縁層が形成されている。このときの絶縁層の厚さは約110nmである。絶縁層中の各元素の含有量はそれぞれ、Si:24質量%、O:45質量%、K:17質量%である。なお、酸素の含有量はガスクロマトグラフ質量分析、他の元素の含有量は高周波プラズマ発光分光分析(ICP)にて測定した。その後、得られた絶縁層付きの被覆軟磁性粒子をふるいにかけて粒子同士の接合をほぐす。
続いて、被覆軟磁性粉末(軟磁性粒子11の表面が絶縁層12で覆われた複数の被覆軟磁性粒子10)と、成形用材料30と、結晶セルロース粉末(複数の結晶セルロース粒子20)とを混合して粉末複合材3を作製する(図1の上段)。成形用材料30にはアクリル樹脂を用いた。このアクリル樹脂を、軟磁性粉末の質量に対して1.0質量%となるように混合した。結晶セルロース粉末は、表1に示す大きさ(長軸:短軸)の結晶セルロース粒子を用いて、粉末複合材3中に表1に示す含有量となるように混合した。乾燥パン型造粒機を用いて被覆軟磁性粉末及び結晶セルロース粉末を加熱しながら回転数300r.p.m.で転動させ、水で希釈したアクリル樹脂をスプレー添加した。造粒時の温度は40℃で、造粒時間は60分とした。
得られた粉末複合材3を成形金型に供給し、圧縮することで成形体2とする(図1の中段)。この加圧成形時の面圧は980MPaである。この面圧では、成形時、センダストからなる軟磁性粒子11は実質的に変形せず、成形前と同様の形状、大きさを維持する。成形体の形状は、内径:20mm×外径:34mm×厚さ:5mmのリング状とした。
得られた成形体に、窒素雰囲気下で800℃×1時間の熱処理を施し、圧粉磁心1を作製した(図1の下段)。圧粉磁心1は、軟磁性粒子11の表面に絶縁層12を有する複数の被覆軟磁性粒子10の集合体である。
比較品として、粉末複合材の作製時に、結晶セルロース粉末を混合しない試料No.5を作製した。その他の条件(被覆軟磁性粉末及び成形用材料の含有量、加圧条件、熱処理条件)は他の試料と同様とした。
(成形体の密度)
作製した各試料の成形体について、密度を測定した。密度は、各成形体の質量と、各成形体の寸法(内径、外形、厚さ)から算出される体積とを利用して求めた寸法密度とした。その結果を表1に示す。
(強度)
作製した各試料の成形体について、圧環強度を測定した。圧環強度は、JIS Z 2507(2000)に基づいて、リング状の成形体に対して、その径方向に対向するように二つのプレートを配置し、これらのプレートで成形体を挟持して、一方のプレートに荷重を加える。そして、成形体が破壊するときの最大荷重を求め、この最大荷重(n=3の平均)を強度として評価した。その結果を表1に示す。
(歩留り)
作製した各試料の成形体について、歩留りを求めた。歩留りは、成形体の段階で割れや欠けのないものを良品、あるものを不良品とし、全体(1000個作製)のうち良品と判断したものの割合とした。その結果を表1に示す
Figure 2015012188
表1に示すように、結晶セルロース粉末を0.25質量%以上1.0質量%以下混合した試料No.1〜試料No.3は、結晶セルロース粉末を混合しない試料No.5と比較して、成形体の密度は大きくは低下しておらず、強度が向上している。これは、結晶セルロース粉末を混合することで成形用材料の強度が向上したものによると考えられる。結晶セルロース粉末を1.25質量%混合した試料No.4は、試料No.5よりも強度が低下している。これは、結晶セルロース粉末が多過ぎるため、成形体の密度がさらに低下したことによると考えられる。また、結晶セルロース粉末を適量混合した試料No.1〜試料No.3は、強度が向上したことで、歩留りも向上している。
本発明の圧粉磁心の製造方法は、各種インダクタに用いられる圧粉磁心を得るのに好適に利用可能である。また、本発明の圧粉磁心は、高周波チョークコイル、高周波同調用コイル、バーアンテナコイル、電源用チョークコイル、電源トランス、スイッチング電源用トランス、リアクトルなどの回路部品に備える磁心に好適に利用することができる。
1 圧粉磁心 2 成形体 3 粉末複合材
10 被覆軟磁性粒子 11 軟磁性粒子 12 絶縁層
20 結晶セルロース粒子
30 成形用材料

Claims (7)

  1. ビッカース硬さHVが300以上の軟磁性材料から構成された軟磁性粒子と、前記軟磁性粒子の表面を覆う絶縁層とを有する被覆軟磁性粒子を複数備える被覆軟磁性粉末を準備する準備工程と、
    前記被覆軟磁性粉末と、結晶セルロース粉末と、成形用材料とを混合して粉末複合材を形成する混合工程と、
    前記粉末複合材を所定の形状に加圧して成形体とする加圧工程と、
    前記成形体に熱処理を施して圧粉磁心とする熱処理工程とを備える圧粉磁心の製造方法。
  2. 前記混合工程は、前記被覆軟磁性粉末と結晶セルロース粉末とを混合して混合粉末としてから、前記混合粉末に成形用材料を混合して粉末複合材とする請求項1に記載の圧粉磁心の製造方法。
  3. 前記粉末複合材における前記結晶セルロース粉末の含有量は、0.25質量%以上1.0質量%以下である請求項1又は請求項2に記載の圧粉磁心の製造方法。
  4. 前記軟磁性粒子の平均粒径が10μm以上100μm以下である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の圧粉磁心の製造方法。
  5. 前記結晶セルロース粉末には、アスペクト比が5以上の繊維状の結晶セルロース粒子が含まれる請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の圧粉磁心の製造方法。
  6. 前記結晶セルロース粒子の長軸の長さが20μm以上1000μm以下である請求項5に記載の圧粉磁心の製造方法。
  7. 絶縁層を有する軟磁性粒子を複数備える被覆軟磁性粉末を加圧成形してなる圧粉磁心であって、
    前記軟磁性粒子は、ビッカース硬さHVが300以上である軟磁性材料から構成され、
    前記被覆軟磁性粉末間に結晶セルロースが介在されており、
    圧粉磁心における前記結晶セルロースの含有量は、1.0質量%未満である圧粉磁心。
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