JP6273869B2 - 成形体の製造方法および構造体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、成形体の製造方法、構造体の製造方法および被切削加工材に関するものである。
金属材料で構成された所望の形状の構造体を製造するには、従来、鋳造法、鍛造法、機械加工法、放電加工法、レーザー加工法、プレス加工法、粉末冶金法等が知られている。
例えば、特許文献1には、歯科用インプラントの上部構造物であるメタルフレームを製造する方法であって、5軸制御マシニングセンターに素材を取り付けるステップと、加工位置および傾きを調整しながら一方の面から素材を加工するステップと、素材を反転させ、他方の面から素材を加工し、メタルフレームを製造するステップと、を含む方法が開示されている。
このような方法によれば、高度な技術を有する熟練者でなくても、高精度のメタルフレームを容易に製造することができる。
一方、加工製品の用途によっては、金属材料として超硬合金のように加工が難しい難加工材や難削材と呼ばれる材料を使用することがある。難加工材をマシニングセンター等で加工する場合、加工速度を十分に遅くする必要がある。このため、メタルフレームの製造に長い時間を要することとなり、製造効率が低いという問題がある。
また、難加工材を加工することから、加工ツールの摩耗が早く、加工精度が変動し易いという問題もある。
さらには、加工ツールと素材との摩擦を抑制するとともに、加工ツールや素材を冷却するため、多量の切削油が使用される。このため、製造後のメタルフレームを洗浄する必要があり、製造効率の低下や環境負荷の増大を招いている。
特開2007−215854号公報
本発明の目的は、目的とする形状の構造体を短時間で容易に製造可能な構造体の製造方法、焼成されることによって目的とする形状の構造体となる成形体を短時間で容易に製造可能な成形体の製造方法、および、切削加工に供されることによって目的とする形状の成形体を短時間で容易に削り出すことができる被切削加工材を提供することにある。
上記目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の成形体の製造方法は、金属粉末とバインダーとを含む組成物を加圧成形し、前記金属粉末の構成材料の真密度に対する相対密度が70%以上90%以下の圧粉体を得る圧粉工程と、
前記圧粉体に加工を施し、成形体を得る加工工程と、
を有することを特徴とする。
これにより、圧粉体において高い被削性と高い保形性とを両立させることができるので、焼成されることによって目的とする形状の構造体となる成形体を短時間で容易に製造することができる。
本発明の成形体の製造方法では、前記金属粉末の平均粒径は、1μm以上15μm以下であることが好ましい。
これにより、より精密な加工が可能で、設計通りの形状を有する成形体を効率よく削り出すことが可能な圧粉体が得られる。
本発明の成形体の製造方法では、前記バインダーは、鹸化度が90mol%以上98mol%以下のポリビニルアルコールを含むことが好ましい。
これにより、得られた圧粉体が加工工程に供された際、均質で圧粉密度の高い圧粉体が得られ、圧粉体に対してより高い被削性を付与することができる。このような圧粉体では、内部で金属粉末とバインダーとが均一に分散しているため、どのような加工が施されても、亀裂が生じたり崩れたりし難いものとなる。
本発明の成形体の製造方法では、前記加工工程は、
前記圧粉体に対して1次加工を施すことにより、前記成形体となるべき領域の周囲のうち、一部を残して前記圧粉体を貫通する加工痕を形成する1次加工工程と、
前記圧粉体に対して2次加工を施すことにより、前記一部を除去して前記圧粉体から前記領域を分離させ、前記成形体を得る2次加工工程と、
を有することが好ましい。
これにより、成形体が1次加工工程の途中で圧粉体から脱落することなく、圧粉体と一体化した状態で成形体を取り扱うことができる。このため、圧粉体の加工位置の基準となる点に対して成形体の位置を維持することができ、1次加工工程における成形体の加工精度の低下を抑制することができる。
本発明の成形体の製造方法では、前記一部は、棒状をなしており、
前記一部の最小横断面積は、0.2mm以上75mm以下であることが好ましい。
これにより、1次加工工程において圧粉体から成形体が脱落するのを防止しつつ、2次加工工程において前記一部を容易に切断し、その際に成形体に変形等が生じるのを抑制することができる。
本発明の構造体の製造方法は、本発明の成形体の製造方法により得られた前記成形体を焼成し、金属焼結体で構成された構造体を得ることを特徴とする。
これにより、目的とする形状の構造体を短時間で容易に製造することができる。
本発明の構造体の製造方法は、本発明の成形体の製造方法により得られた前記圧粉体に対して1次加工を施すことにより、前記成形体となるべき領域の周囲のうち、一部を残して前記圧粉体を貫通する加工痕を形成し、前記成形体を得る工程と、
前記成形体を焼成し、金属焼結体を得る工程と、
前記金属焼結体のうち、前記一部に対応する部分を除去し、構造体を得る工程と、
を有することを特徴とする。
これにより、目的とする形状の構造体を短時間で容易に製造することができる。
本発明の被切削加工材は、金属粉末とバインダーとを含み、前記金属粉末の構成材料の真密度に対する相対密度が70%以上90%以下であり、切削加工に供されることを特徴とする。
これにより、切削加工に供されることによって目的とする形状の成形体を短時間で容易に削り出すことができる被切削加工材が得られる。したがって、この成形体を焼成することにより、目的とする形状の構造体を製造することができる。
本発明の被切削加工材の実施形態を適用した圧粉体を示す斜視図である。 図1に示す圧粉体を加工する様子を説明するための図であって、本発明の成形体の製造方法の実施形態を説明するための斜視図である。 図1に示す圧粉体を加工する途中の状態を説明するための図であって、本発明の成形体の製造方法の実施形態を説明するための平面図である。 図3のA−A線断面図である。 図3のB−B線断面図である。 図1に示す圧粉体を加工する様子を説明するための図であって、本発明の成形体の製造方法の実施形態を説明するための断面図である。 図1に示す圧粉体を加工する様子を説明するための図であって、本発明の成形体の製造方法の実施形態を説明するための断面図である。 図1に示す圧粉体を加工してなる成形体を示す図である。 図9(a)は、図8に示す成形体を焼成してなる焼結体を示す図であって、本発明の構造体の製造方法の実施形態により製造された構造体を示す平面図であり、図9(b)は、図9(a)に示す構造体を組み立てて得られた鉗子を示す平面図である。 サンプルNo.1の構造体の製造において圧粉体に1次加工を施した後の状態を示す写真である。 サンプルNo.1の構造体の製造により得られた鉗子を示す写真である。
以下、本発明の成形体の製造方法、構造体の製造方法および被切削加工材について、添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の被切削加工材の実施形態を適用した圧粉体を示す斜視図である。図2は、図1に示す圧粉体を加工する様子を説明するための図であって、本発明の成形体の製造方法の実施形態を説明するための斜視図である。図3は、図1に示す圧粉体を加工する途中の状態を説明するための図であって、本発明の成形体の製造方法の実施形態を説明するための平面図である。図4は、図3のA−A線断面図である。図5は、図3のB−B線断面図である。図6、7は、それぞれ図1に示す圧粉体を加工する様子を説明するための図であって、本発明の成形体の製造方法の実施形態を説明するための断面図である。図8は、図1に示す圧粉体を加工してなる成形体を示す図である。図9(a)は、図8に示す成形体を焼成してなる焼結体を示す図であって、本発明の構造体の製造方法の実施形態により製造された構造体を示す平面図であり、図9(b)は、図9(a)に示す構造体を組み立てて得られた鉗子を示す平面図である。
なお、以下の説明では、説明の便宜上、図4、5の上側を「上」といい、下側を「下」という。
[成形体の製造方法]
本実施形態に係る成形体の製造方法は、金属粉末とバインダーとを含む組成物を加圧成形し、図1に示す圧粉体1を得る圧粉工程と、圧粉体1に対して図2に示すような加工ツール5を用いて加工を施し、図3に示す成形体2を得る成形体加工工程と、を有する。このようにして得られた成形体2は、後述する構造体の製造方法に供されて焼成されることにより、焼結体となる。この焼結体は、成形体の形状を高精度に反映した形状を有するものであり、図9に示すような構造体3として用いることができる。以下、各工程について順次説明する。
[1]圧粉工程
まず、金属粉末とバインダーとを含む組成物を加圧成形し、圧粉体(本発明の被切削加工材の実施形態)1を得る。この圧粉体1は、後述する成形体加工工程に供されることにより、所望の形状の成形体2を削り出すために用いられる。すなわち、圧粉体1は、切削加工に耐え得る機械的強度と被加工性とを兼ね備えている。
[1−1]組成物の調製
まず、金属粉末とバインダーとを含む組成物を調製する。この組成物は、主に、金属粉末とバインダーとを含んでいる。
(金属粉末)
金属粉末は、金属材料の粉末である。この金属材料は、特に限定されず、焼結可能なものであれば、いかなるものでもよい。一例を挙げると、Al、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Zr、Nb、Mo、Pd、Ag、In、Sn、Sb、Hf、Ta、W、Ir、Pt、Au、Pb、Bi等の単体、またはこれらの元素を含む合金等が挙げられる。また、この金属粉末は、互いに組成が異なる2種類以上の粉末を混合してなる混合粉末であってもよく、金属粉末とセラミック粉末との混合粉末であってもよい。
このうち、Fe系合金としては、例えば、ステンレス鋼、低炭素鋼、炭素鋼、耐熱鋼、ダイス鋼、高速度工具鋼、Fe−Ni合金、Fe−Ni−Co合金等が挙げられる。
また、Ni系合金としては、例えば、Ni−Cr−Fe系合金、Ni−Cr−Mo系合金、Ni−Fe系合金等が挙げられる。
また、Co系合金としては、例えば、Co−Cr系合金、Co−Cr−Mo系合金、Co−Al−W系合金等が挙げられる。
また、Ti系合金としては、例えば、Tiと、Al、V、Nb、Zr、Ta、Mo等の金属元素との合金が挙げられ、具体的には、Ti−6Al−4V、Ti−6Al−7Nb等が挙げられる。
また、Al系合金としては、例えば、ジュラルミン等が挙げられる。
また、セラミック粉末を構成するセラミックス材料としては、例えば、アルミナ、マグネシア、ベリリア、ジルコニア、イットリア、フォルステライト、ステアタイト、ワラステナイト、ムライト、コージライト、フェライト、サイアロン、酸化セリウムのような酸化物系セラミックス材料、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化チタン、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン、炭化タングステンのような非酸化物系セラミックス材料等が挙げられる。
なお、上述したような材料の中には、いわゆる難加工材が含まれていてもよい。本発明では、金属材料やセラミックス材料自体の被加工性を問わずに、目的とする形状の構造体3を製造することができる。このため、難加工材の金属粉末を用いることにより、従来の方法では製造することが難しかった難加工材の各種構造体3を容易に製造することができる。その際、構造体3の形状を問わずに、寸法精度の高い構造体を製造することができるので、付加価値の高い構造体を製造することができる点で有用である。
また、金属粉末の平均粒径は、1μm以上15μm以下程度であるのが好ましく、2μm以上10μm以下程度であるのがより好ましい。このような平均粒径を有する金属粉末を用いることにより、圧粉体1は、より精密な加工が可能になり、設計通りの形状を有する成形体を効率よく削り出すことのできるものとなる。すなわち、金属粉末の平均粒径が前記下限値を下回ると、圧粉体1全体の機械的強度が低下するため、後述する成形体加工工程において削り出される成形体の大きさや形状によっては、加工対象の圧粉体1に亀裂が生じたり崩れたりするおそれがある。また、金属粉末の充填性が低下するため、圧粉体1における金属粉末の含有率が低下する。これにより、圧粉体1から削り出された成形体を後述する焼成工程において焼成したとき、収縮率が大きくなり、焼結体の寸法精度が低下するおそれがある。一方、金属粉末の平均粒径が前記上限値を上回ると、後述する成形体加工工程において加工ツールが金属粉末の粒子に当たる確率が高くなり、加工面の平坦性が損なわれ易くなるため、削り出そうとする成形体の形状によっては、成形体の寸法精度が低下するおそれがある。
なお、金属粉末の平均粒径は、レーザー回折法により得られた粒度分布において、質量基準の粒度の累積が小径側から50%のときの粒径のことである。
また、金属粉末の最大粒径は、10μm以上100μm以下程度であるのが好ましく、10μm以上50μm以下程度であるのがより好ましい。このような最大粒径を有する金属粉末を用いることにより、圧粉体1における金属粉末の充填性を特に高めることができる。その結果、成形体加工工程における加工精度が高く、かつ、加工面の平坦性に優れた成形体2を削り出すことができる。なお、この高い充填性は、主に、金属粉末の粒子同士の詰まり方に左右されるため、金属粉末の平均粒径を前記範囲内に設定するとともに、最大粒径を前記範囲内に設定することで、この粒子同士の詰まり方が特に良好になっていることに起因して得られる特性であると考えられる。
金属粉末の最大粒径は、レーザー回折法により得られた粒度分布において、質量基準の粒度の累積が小径側から99.9%のときの粒径のことである。
さらに、金属粉末の平均粒径をD50とし、金属粉末についてレーザー回折法により得られた粒度分布において質量基準の粒度の累積が小径側から10%のときの粒径をD10とし、同様に小径側から90%のときの粒径をD90としたとき、(D90−D10)/D50は、0.5以上5以下であるのが好ましく、1.0以上3.5以下であるのがより好ましい。このような条件を満足する金属粉末は、圧粉体1における金属粉末の充填性という観点から特に有用である。すなわち、このような条件を満足する金属粉末は、粒度分布が比較的狭いことから、圧粉時において圧粉体1の全体に対してより均一な圧縮力を加えることが可能になる。このため、得られる圧粉体1においては、密度がより均一になり、かつ、圧粉時の残留応力のバラツキも小さく抑えられる。その結果、後述する成形体加工工程における応力の解放に伴って成形体21、22が変形し難くなり、かつ、後述する焼結時における収縮率がより均等になるため、収縮に伴う寸法精度の低下を最小限に抑えることができる。
また、金属粉末としては、例えば、アトマイズ法(例えば、水アトマイズ法、ガスアトマイズ法、高速回転水流アトマイズ法等)、還元法、カルボニル法、粉砕法等の各種粉末化法により製造されたものが用いられる。
このうち、アトマイズ法により製造されたものであるのが好ましく用いられ、水アトマイズ法または高速回転水流アトマイズ法により製造されたものであるのがより好ましく用いられる。アトマイズ法は、溶融金属(溶湯)を、高速で噴射された流体(液体または気体)に衝突させることにより、溶湯を微粉化するとともに冷却して、金属粉末を製造する方法である。金属粉末をこのようなアトマイズ法によって製造することにより、極めて微小な粉末を効率よく製造することができる。また、得られる粉末の粒子形状が表面張力の作用により球形状に近くなる。このため、このような金属粉末を含む組成物が加圧成形されて圧粉体1となったとき、充填率の高い圧粉体1が得られる。
また、金属粉末の粒子の短径をS[μm]とし、長径をL[μm]としたとき、S/Lで定義されるアスペクト比の平均値は、0.4以上1以下程度であるのが好ましく、0.6以上0.9以下程度であるのがより好ましい。このようなアスペクト比の金属粉末は、その形状が比較的球形に近くなるので、圧粉された際の充填率が高められる。その結果、圧粉体1の相対密度を最適化することができる。
なお、前記長径とは、粒子の投影像においてとりうる最大長さであり、前記短径とは、その最大長さに直交する方向の最大長さである。そして、100個の粒子についてアスペクト比を求め、その平均値を上述した「アスペクト比の平均値」とする。
また、金属粉末のタップ密度は、3.5g/cm以上であるのが好ましく、4g/cm以上であるのがより好ましい。このようにタップ密度が大きい金属粉末であれば、圧粉体1を得る際に、粒子間の充填性が特に高くなる。このため、最終的に、相対密度が最適化された圧粉体1を得ることができる。なお、上限値は、特に限定されず、例えば金属粉末の真密度まで許容される。
(バインダー)
バインダーとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、ポリスチレン等のスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドンまたはこれらの共重合体等の各種樹脂や、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等の多糖類、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド等の各種有機バインダーが挙げられ、これらのうち1種または2種以上を混合して用いることができる。
圧粉体1中のバインダーの含有率は、圧粉体1の相対密度や金属粉末の組成等に応じて自ずと決まるものの、一例として10体積%以上70体積%以下程度であるのが好ましく、20体積%以上60体積%以下程度であるのがより好ましい。バインダーの含有率が前記範囲内であれば、圧粉体1が後述する成形体加工工程に供された際、高い被削性を得ることができる。すなわち、バインダーの含有率が前記下限値を下回ると、金属粉末の粒子同士の間に介在するバインダー量が減ることになるため、金属粉末の粒子同士の結着力が弱まり、加工時に圧粉体1に変形が生じるおそれがある。一方、バインダーの含有率が前記上限値を上回ると、相対的に圧粉体1中の金属粉末の含有率が低下することになる。このため、成形体の焼結時の収縮率が大きくなり、焼結体の寸法精度が低下するおそれがある。
また、これらの中でも、バインダーは、ポリビニルアルコールおよびアクリル系樹脂の少なくとも一方を主材料とするのが好ましく、双方の混合物を主材料とするのがより好ましい。このような成分を主材料とするバインダーは、圧粉体1の被削性を特に高めることができる。すなわち、かかるバインダーを含む圧粉体1は、後述する成形体加工工程に供された際に、加工ツールによる加工性(被削性)が特に高いため、設計通りの形状に加工し易いものとなる。その結果、設計通りの形状を有する成形体を特に効率よく削り出すことができる。
バインダー中におけるポリビニルアルコールの含有率およびアクリル系樹脂の含有率は、それぞれ5質量%以上100質量%以下であるのが好ましく、10質量%以上95質量%以下であるのがより好ましい。ポリビニルアルコールの含有率およびアクリル系樹脂の含有率をそれぞれ前記範囲内に設定することで、圧粉体1の被削性と保形性とを両立させることができる。このため、圧粉体1から設計通りの形状を削り出すことができ、より寸法精度の高い成形体が得られる。
また、ポリビニルアルコールとアクリル系樹脂とを併用する場合には、アクリル系樹脂の含有率を1としたとき、ポリビニルアルコールの含有率が質量比で0.2以上5以下であるのが好ましく、0.5以上3以下であるのがより好ましい。ポリビニルアルコールとアクリル系樹脂との混合率を前記範囲内に設定することで、圧粉体1の被削性と保形性とをより高度に両立させることができ、成形体加工工程においてとりわけ寸法精度の高い成形体を削り出すことができる。
なお、この場合、ポリビニルアルコールとアクリル系樹脂とを共重合させてなる共重合体を用いるようにしてもよい。このような共重合体を用いることで、上述したような併用の効果がより顕著になるとともに、圧粉体1の均質性が特に高くなるため、成形体の寸法精度の向上に寄与する。
かかる共重合体としては、例えば、部分鹸化されたポリビニルアルコールにアクリル酸系樹脂を共重合したもの等が挙げられる。
このうち、ポリビニルアルコールとしては、その鹸化度が90mol%以上98mol%以下であるものが好ましく用いられ、92mol%以上94mol%以下であるものがより好ましく用いられる。このようなポリビニルアルコールは、圧粉体1が後述する成形体加工工程に供された際、圧粉体1に対してより高い被削性を付与することに寄与する。かかる効果を奏する理由は明確ではないが、理由の1つとして、ポリビニルアルコールの鹸化度が前記範囲内にあることで、ポリビニルアルコールの水酸基の含有率が最適化されることが挙げられる。すなわち、水酸基の含有率が最適化されると、金属粉末を造粒する際に、金属粒子同士の間にポリビニルアルコールが介在し易くなり、造粒性が高くなる。これは、水酸基の含有率が最適化されることにより、金属粉末とポリビニルアルコールとの間の水素結合の強さが大きくなっているためであると考えられる。このようにして造粒性が高くなると、粒度分布が揃った造粒粉末を容易に製造することができ、かかる造粒粉末を用いることによって、均質で圧粉密度の高い圧粉体1を得ることができる。かかる圧粉体1は、内部で金属粉末とバインダーとが均一に分散しているため、どのような加工が施されても、亀裂が生じたり崩れたりし難いものとなる。
なお、上述したポリビニルアルコールの鹸化度は、JIS K 6726に規定された方法に準拠して測定される。
また、ポリビニルアルコールとしては、その重合度が100以上3000以下程度のものが好ましく用いられ、200以上2500以下程度のものがより好ましく用いられる。このようなポリビニルアルコールは、圧粉体1が後述する成形体加工工程に供された際、バインダーによる金属粉末の粒子同士の結着性を高めることができるため、圧粉体1に対してより高い被削性を付与することに寄与する。また、重合度が前記範囲内にあることで、ポリビニルアルコールの極性溶媒に対する溶解性が良好になる。このため、圧粉体1の製造にあたって金属粉末を造粒したとき、金属粉末の粒子の周りにポリビニルアルコールを含むバインダーが均一に付着しながら造粒されるため、より均質な圧粉体1が得られる。かかる圧粉体1は、どのような加工が施されても、設計通りの形状の成形体を削り出すことを可能にする。
なお、上述したポリビニルアルコールの重合度は、JIS K 6726に規定された方法に準拠して測定される。
また、圧粉体1中には、金属粉末やバインダーの他に、必要に応じて分散剤、滑剤、可塑剤、酸化防止剤、防錆剤、界面活性剤、脱脂促進剤等の各種添加剤が添加されていてもよい。この場合、これらの添加剤の総量は、圧粉体1中の10質量%以下となるように設定されるのが好ましい。
このうち、可塑剤としては、例えば、フタル酸エステル(例:DOP、DEP、DBP)、アジピン酸エステル、トリメリット酸エステル、セバシン酸エステル等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を混合して用いることができる。
また、滑剤としては、例えば、ワックス類、高級脂肪酸、アルコール類、脂肪酸金属、非イオン界面活性剤、シリコーン系滑剤等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上の混合物が用いられる。
このうち、ワックス類としては、例えば、キャンデリラワックス、カルナバワックス、ライスワックス、木ろう、ホホバ油のような植物系ワックス、みつろう、ラノリン、鯨ろうのような動物系ワックス、モンタンワックス、オゾケライト、セレシンのような鉱物系ワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタムのような石油系ワックス等の天然ワックス、ポリエチレンワックスのような合成炭化水素、モンタンワックス誘導体、パラフィンワックス誘導体、マイクロクリスタリンワックス誘導体のような変性ワックス、硬化ひまし油、硬化ひまし油誘導体のような水素化ワックス、12−ヒドロキシステアリン酸のような脂肪酸、ステアリン酸アミドのような酸アミド、無水フタル酸イミドのようなエステル等の合成ワックスが挙げられる。
また、高級脂肪酸としては、例えば、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸等が挙げられ、特に、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸のような飽和脂肪酸が好ましく用いられる。
また、アルコール類としては、例えば、多価アルコール、ポリグリコール、ポリグリセロール等が挙げられ、特に、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、マンニトール等が好ましく用いられる。
また、脂肪酸金属としては、例えば、ラウリン酸、ステアリン酸、コハク酸、ステアリル乳酸、乳酸、フタル酸、安息香酸、ヒドロキシステアリン酸、リシノール酸、ナフテン酸、オレイン酸、パルミチン酸、エルカ酸のような高級脂肪酸と、Li、Na、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd、Al、Sn、Pb、Cdのような金属との化合物が挙げられ、特に、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸カルシウム、オレイン酸亜鉛、オレイン酸マグネシウム等が好ましく用いられる。
また、非イオン界面活性剤系滑剤としては、例えば、エレクトロストリッパ−TS−2、エレクトロストリッパ−TS−3(いずれも花王株式会社製)等が挙げられる。
また、シリコーン系滑剤としては、例えば、ジメチルポリシロキサンおよびその変性物、カルボキシル変性シリコーン、αメチルスチレン変性シリコーン、αオレフィン変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、親水性特殊変性シリコーン、オレフィンポリエーテル変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、アミド変性シリコーン、アルコール変性シリコーン等が挙げられる。
これらの中でも、組成物は、添加剤として滑剤を含んでいるのが好ましく、高級脂肪酸および脂肪酸金属の少なくとも一方を含んでいるのが好ましい。これらの添加剤は、金属粉末の粒子同士の潤滑性を特に高めるとともに、バインダーへの悪影響を特に抑えることができる。このため、前述したバインダーがもたらす被削性をより高めることができる。すなわち、滑剤が金属粉末の粒子同士の潤滑性を高めることにより、圧粉体1が加工ツールで加工された際、金属粉末の粒子同士の摩擦抵抗や加工ツールと金属粉末の粒子との摩擦抵抗を小さくすることができ、加工による圧粉体1の意図しない変形(亀裂や崩れ等)の発生を抑制することができる。したがって、かかる滑剤を含む圧粉体1は、後述する成形体加工工程に供された際に、設計通りの形状を有する成形体を特に効率よく削り出すことを可能にするものである。
さらに、圧粉体1を製造するための組成物中には、必要に応じて溶媒が含まれていてもよい。この溶媒は、バインダーを溶解または分散し得るものであれば、特に限定されないが、水の他、テルピネオール、ブチルカルビトール、アセトン、トルエン等の有機溶媒が用いられる。
また、この組成物は、必要に応じて、造粒プロセスを経て得られた造粒粉末の形態をなしていてもよく、あるいは、混錬プロセスを経て得られた混錬物の形態をなしていてもよい。これらの形態は、後述する組成物の成形方法に応じて、適宜選択される。
このうち、造粒粉末の平均粒径は、特に限定されないが、10μm以上300μm以下であるのが好ましく、30μm以上150μm以下であるのがより好ましい。これにより、後述する圧粉体1の製造において、加圧力が造粒粉末に加わり易くなる。その結果、加工し易さと保形性とに優れた圧粉体1が得られる。
なお、造粒粉末の平均粒径は、レーザー回折法により得られた粒度分布において、質量基準の粒度の累積が小径側から50%のときの粒径のことである。
さらには、造粒粉末の平均粒径は、それに含まれる金属粉末の平均粒径の2倍以上30倍以下であるのが好ましく、3倍以上20倍以下であるのがより好ましい。造粒粉末の平均粒径を前記範囲内に設定することで、圧粉体1の加工し易さと保形性とをより高めることができる。
[1−2]圧粉体の製造
次に、調製した組成物を加圧成形し、圧粉体1を得る。
成形方法は、特に限定されないが、プレス成形法、押出成形法、射出成形法等が挙げられる。
プレス成形法における成形圧力は、10MPa以上1000MPa以下(0.1t/cm以上10t/cm以下)程度であるのが好ましく、50MPa以上300MPa以下程度であるのがより好ましい。
また、プレス成形法における成形温度は、組成物の温度として20℃以上70℃以下程度であるのが好ましい。
押出成形法における成形圧力は、10MPa以上500MPa以下(0.1t/cm以上5t/cm以下)程度であるのが好ましく、50MPa以上200MPa以下程度であるのがより好ましい。
また、押出成形法における成形温度は、組成物の温度として80℃以上210℃以下程度であるのが好ましい。
射出成形法における成形圧力は、10MPa以上500MPa以下(0.1t/cm以上5t/cm以下)程度であるのが好ましく、50MPa以上200MPa以下程度であるのがより好ましい。
また、射出成形法における成形温度は、組成物の温度として80℃以上210℃以下程度であるのが好ましい。
成形圧力および成形温度を前記範囲内に設定することで、高い相対密度を有し、かつ、機械的特性に優れた圧粉体1が得られる。すなわち、金属粉末の粒子同士が適度に詰まることで、圧粉体1の機械的特性が十分に高くなり、後述する成形体加工工程に耐え得る圧粉体1が得られる。また、前記成形温度により、バインダーが溶融し、その後冷却されることによって固化することで、金属粉末の粒子同士がバインダーを介して固定される。かかる観点からも、圧粉体1の機械的特性を高めることができる。そして、このような圧粉体1に加工を施すことにより、寸法精度の高い成形体2を効率よく削り出すことができる。
ここで、金属粉末やバインダー等を含む圧粉体1は、その圧粉状態によって成形体加工工程における被削性と保形性とが左右される。
本発明者は、かかる被削性と保形性とのバランスについて鋭意検討を重ねた。そして、圧粉体1の相対密度を70%以上90%以下にしたとき、圧粉体1において高い被削性と高い保形性とを両立させ得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、圧粉体1の相対密度が前記下限値を下回ると、圧粉体1における金属粉末やバインダーの充填性が低くなったり、あるいは、圧粉体1における金属粉末の含有率が低くなったりすることが考えられるため、その結果、成形体加工工程において圧粉体1が変形し易くなったり、あるいは、焼結時に成形体2の収縮率が大きく変形し易かったりするおそれがある。一方、圧粉体1の相対密度が前記上限値を上回ると、圧粉時の応力が圧粉体1内に残留し易くなったり、あるいは、圧粉体1におけるバインダーの含有率が低く機械的強度が低くなったりすることが考えられるため、その結果、成形体加工工程において圧粉体1に残留した応力が解放されて圧粉体1が変形し易くなったり、あるいは、加工ツールとの干渉で圧粉体1が変形し易くなったりするおそれがある。
なお、圧粉体1の相対密度は、圧粉体1の密度を測定し、金属粉末の構成材料の真密度に対するこの密度の相対値を算出することで求められる。
また、圧粉体1の形状は、特に限定されず、例えば、直方体、立方体、球体、多角形柱状体等であってもよいが、図1に示す圧粉体1は、円盤状(円柱状)をなしている。このような形状の圧粉体1は、圧粉時の圧縮力が組成物に対して均等にかかり易いため、より均質なものとなる。このため、円盤状をなす圧粉体1を用いることで、目的とする形状の成形体2を効率よく削り出すことができる。
なお、後述する成形体加工工程では、円盤状をなす圧粉体1のうち、円柱の2つの底面に相当する主面11および主面12(図1参照)に対して加工を施すことにより、成形体2を削り出す例について説明する。
[2]成形体加工工程
次に、図2に示すように、得られた圧粉体1に対して機械加工を施す(成形体加工工程)。これにより、圧粉体1から目的とする形状を削り出す。本実施形態では、一例として、図3に示すような2つの成形体21、22を削り出す場合について説明する。なお、本明細書では、これら2つの成形体21、22をまとめて「成形体2」ということもある。
なお、この成形体加工工程では、圧粉体1から1回の機械加工で成形体2を一度に削り出すようにしてもよいが、本実施形態では、成形体加工工程を「1次加工工程」と「2次加工工程」の2回に分けた場合について説明する。
[2−1]1次加工工程
まず、図1に示す圧粉体1に対して1次加工を施す(1次加工工程)。
図3に示す圧粉体1は、成形体加工工程の途中、すなわち1次加工工程後の状態を示しており、この圧粉体1内に削り出されている2つの成形体21、22は、最終的に手術器具として用いられる鉗子を構成する2つの構造体となる。これらの構造体は、組み立てられることによって、開閉自在の「はさみ」状の鉗子となるものである。
図3〜5に示す圧粉体1には、2つの成形体21、22の周囲を取り囲むように設けられた、圧粉体1を貫通させてなる加工痕26や貫通させない加工痕27が形成されている。1次加工工程では、機械加工によってこのような加工痕26、27を形成することにより、目的とする形状の成形体2を削り出している。
また、加工痕26によって各成形体21、22を完全に取り囲んでしまった場合には、成形体21、22が圧粉体1から脱落してしまうため、それを防ぐために、1次加工工程では、2つの成形体21、22の周囲に、一部、加工痕26のない部分を設けている。この部分は、成形体21、22と圧粉体1との連結する連結部25である。このような連結部25を設けることにより、成形体21、22は、1次加工工程の途中で圧粉体1から脱落することなく、圧粉体1と一体化した状態で取り扱われることになる。このため、圧粉体1の加工位置の基準となる点に対して成形体21、22の位置を維持することができ、1次加工工程における成形体21、22の加工精度の低下を抑制することができる。なお、加工痕26を形成せず、加工痕27によって各成形体21、22の取り囲むようにしてもよい。この場合、後述する2次加工工程で加工すべき体積は多くなるものの、1次加工における成形体21、22の加工精度の低下をより抑制することができる。
また、図3〜5に示す連結部25は、圧粉体1を貫通しない加工痕27が形成されることによって細長い棒状に成形されており、成形体21、22と圧粉体1との間を少ない横断面積で連結している。このため、2次加工工程では、この連結部25を弱い力で切断することができる。その結果、連結部25の切断作業に伴って成形体21、22が変形したり壊れたりすることが防止しつつ、成形体21、22を圧粉体1から分離させることができる。
また、図3に示す連結部25は、各成形体21、22の周囲に沿って、それぞれ一定の間隔ごとに複数個設けられている。これにより、各成形体21、22の荷重が各連結部25に分散されるため、各連結部25の折れや、各成形体21、22の変形等が抑制されることとなる。各成形体21、22の周囲において、連結部25を設ける間隔は、各成形体21、22の厚さや大きさ、連結部25の最小横断面積、圧粉体1の相対密度等に応じて適宜設定されるが、一例として1mm以上50mm以下程度とされる。
なお、図3に示す各連結部25の形状は、一例であり、いかなる形状であってもよい。例えば、各連結部25の横断面形状が、円形であっても多角形であってもその他の形状であってもよい。その場合、各連結部25の最小横断面積は、0.2mm以上75mm以下であるのが好ましく、0.5mm以上50mm以下であるのがより好ましい。各連結部25の最小横断面積を前記範囲内に設定することで、1次加工工程において圧粉体1から成形体21、22が脱落するのを防止しつつ、後述する2次加工工程において、各連結部25を容易に切断し、その際に成形体21、22に変形等が生じるのを抑制することができる。
すなわち、各連結部25の最小横断面積が前記下限値を下回る場合、各連結部25の機械的強度が不十分になって、連結部25が折れてしまい、成形体21、22の形状によっては、それに伴って変形が生じるおそれがある。一方、各連結部25の最小横断面積が前記上限値を上回る場合、後述する2次加工工程において、各連結部25が切断し難くなり、切断作業の際に成形体21、22に変形等を伴うおそれがある。
なお、後述する2次加工工程における作業効率を考慮した場合、各成形体21、22に設けられる連結部25の数はできるだけ少なく、かつ、各連結部25の最小横断面積はできるだけ小さい方がよいが、1次加工工程中での成形体21、22の変形し易さを考慮した場合、各成形体21、22に設けられる連結部25の数はできるだけ多く、かつ、各連結部25の最小横断面積はできるだけ大きい方がよいので、これらを踏まえて連結部25の数と最小横断面積とを決定するようにすればよい。
図4は、図3のA−A線断面図であるが、各連結部25は、圧粉体1の主面11、12に平行な長軸を有する細長い棒状をなしており、その長さLは、加工ツールの直径に応じて適宜設定されるものの、0.1mm以上10mm以下程度であるのが好ましく、0.5mm以上8mm以下程度であるのがより好ましい。
また、各連結部25の厚さtは、長さLの5%以上90%以下程度に設定されるのが好ましく、10%以上80%以下程度に設定されるのがより好ましい。これにより、各連結部25は、各成形体21、22を支持するのに十分な機械的強度を有するものとなる。
図3のA−A線は、連結部25の長軸に沿って引かれており、B−B線は、加工痕26を横断するように引かれている。
図5は、このB−B線断面図であるが、連結部25が設けられていない部分では、加工痕26を介して圧粉体1から成形体2が隔離されている。したがって、図3に示す圧粉体1では、2次加工工程において連結部25を切断するだけで、加工痕26の形成により削り出された成形体21、22を、高い寸法精度のまま、圧粉体1から分離させることができる。
なお、圧粉体1に1次加工が施される際、圧粉体1は、通常、その主面11、12のいずれか一方が加工装置のステージの上面に接するようにして載置される。このため、1次加工において、図4、5に示すような断面形状を有する加工痕26、27を形成するためには、例えば、図6に示すように、まず、主面11側から加工を行い、その後、圧粉体1の表裏を反転させ、図7に示すように、主面12側から加工を行うようにすればよい。このようにすれば、1次加工に際して、成形体21、22の陰に隠れる部位についても、加工を行うことができる。
ただし、圧粉体1の保持方法によっては、この圧粉体1の反転作業が不要になる場合もある。例えば、圧粉体1の外周部分等、成形体21、22の形成に利用しない領域がある場合、その領域のみを保持することにより、圧粉体1の反転といった置き換え作業を行うことなく、1次加工工程を行うことができる。この場合、多軸制御が可能な加工装置が好適に用いられる。
1次加工には、いかなる加工装置をも用いることができる。例えば、マシニングセンター、フライス盤、ボール盤、旋盤等が挙げられる。このうち、CAM(computer aided manufacturing)システムを備えた加工装置が好ましく用いられる。CAMシステムでは、CAD(computer aided design)システムによって設計されたモデルを、忠実に再現し得るよう精密な加工が可能である。このため、熟練技術者等でなくても、目的とする形状に近い成形体21、22を、効率よく削り出すことができるという点で有用である。
[2−2]2次加工工程
次に、1次加工工程後の圧粉体1に対して2次加工を施す(2次加工工程)。
図8は、成形体加工工程、すなわち2次加工工程により得られた成形体21、22の状態を示している。
図8に示す成形体21、22は、図3に示す各連結部25を切断し、除去する2次加工によって得られたものである。これらの連結部25は、金属粉末を含む圧粉体で構成されたものであるものの、成形体21、22を支持するのに必要かつ十分な機械的特性を有し、可塑性も高い。これは、連結部25を含む圧粉体1の機械的特性が、主に、バインダーによる金属粉末の粒子同士を結着する力と、金属粉末の粒子同士の摩擦抵抗とによる特性であるがゆえの効果と考えられる。したがって、連結部25を切断し、除去するのは比較的容易であり、連結部25を除去した跡には、平滑面を得易いという利点がある。すなわち、連結部25を除去した影響をほとんど受けることなく、寸法精度の高い成形体21、22を圧粉体1から分離させることができる。
なお、連結部25を切断し、除去する2次加工は、加工に必要な力が小さく、かつ、加工の対象となる体積が限られているため、前述したような加工装置による加工の他、手加工で行うこともできる。
以上、成形体加工工程について説明したが、成形体加工工程において工程を分ける数は、上述した2回に限定されず、3回以上に分けてもよい。
なお、成形体2は、後述する焼成工程において収縮するので、本成形体加工工程においては、その収縮量を踏まえて、焼結体が形状や大きさが目的のものになるように、成形体2の形状や大きさが適宜設定される。
[構造体の製造方法]
≪第1実施形態≫
まず、本発明の構造体の製造方法の第1実施形態について説明する。
本実施形態に係る構造体の製造方法は、前記実施形態に係る成形体の製造方法により製造された成形体2を焼成し、焼結体を得る工程を有する。このようにして図9に示す構造体3が得られる。
[1]焼成工程
まず、焼成に先立って、成形体2に対し、脱脂処理を施すようにしてもよい。脱脂処理(脱バインダー処理)を施すことにより、脱脂体が得られる。
具体的には、成形体2を加熱することにより、バインダーを分解し、成形体2中から除去することによって、脱脂処理がなされる。
この脱脂処理としては、例えば、成形体2を加熱する方法、バインダーを分解するガスに成形体2を曝す方法等が挙げられる。
成形体2を加熱する方法を用いる場合、成形体2の加熱条件は、バインダーの組成や配合量によって若干異なるものの、温度100℃以上750℃以下×0.1時間以上20時間以下程度であるのが好ましく、150℃以上600℃以下×0.5時間以上15時間以下程度であるのがより好ましい。これにより、成形体2を焼結させることなく、成形体2の脱脂を必要かつ十分に行うことができる。その結果、脱脂体の内部にバインダー成分が多量に残留してしまうのを防止することができる。
また、成形体2を加熱する際の雰囲気としては、特に限定されず、水素のような還元性ガス雰囲気、窒素、アルゴンのような不活性ガス雰囲気、大気のような酸化性ガス雰囲気、またはこれらの雰囲気を減圧した減圧雰囲気等が挙げられる。
一方、バインダーを分解するガスとしては、例えば、オゾンガス等が挙げられる。
なお、このような脱脂工程は、脱脂条件の異なる複数の過程(ステップ)に分けて行うことにより、成形体2中のバインダーをより速やかに、そして、成形体2に残存させないように分解・除去することができる。
また、必要に応じて、脱脂体に対して切削、研磨、切断等の機械加工を施すようにしてもよい。脱脂体は、硬度が比較的低く、かつ比較的可塑性に富んでいるため、脱脂体の形状が崩れるのを防止しつつ、容易に機械加工を施すことができる。このような機械加工によれば、最終的に寸法精度の高い焼結体を容易に得ることができる。
なお、成形体2中のバインダー量が少ない場合には、後述する焼成処理において脱脂処理を兼ねることができる場合があるので、その場合には脱脂処理を省略することができる。
次いで、脱脂体(または成形体2)に対し、焼成処理を施す。
この焼成により、脱脂体中の金属粉末は、粒子同士の界面で拡散が生じ、焼結に至る。これにより、金属粉末の焼結体が得られ、構造体3が得られる。
焼成温度は、成形体2の製造に用いた金属粉末の組成や粒径等によって異なるが、一例として980℃以上1330℃以下程度とされる。また、好ましくは1050℃以上1260℃以下程度とされる。
また、焼成時間は、0.2時間以上7時間以下とされるが、好ましくは1時間以上6時間以下程度とされる。
なお、焼成工程においては、途中で焼結温度や後述する焼成雰囲気を変化させるようにしてもよい。
焼成条件をこのような範囲に設定することにより、焼結が進み過ぎて過焼結となり、結晶組織が肥大化するのを防止しつつ、脱脂体全体を十分に焼結させることができる。その結果、高密度であり、かつ機械的特性に優れた焼結体を得ることができる。
また、焼成の際の雰囲気は、特に限定されないが、金属粉末の著しい酸化を防止することを考慮した場合、水素のような還元性ガス雰囲気、アルゴンのような不活性ガス雰囲気、またはこれらの雰囲気を減圧した減圧雰囲気等が好ましく用いられる。
なお、図9に示す構造体3のうち、図9(a)に示す構造体3は、成形体2を焼成したものであり、図9(b)に示す構造体3は、図9(a)に示す構造体3を組み立てたものであって、手術用具の1つである鉗子である。
以上のように、本発明の構造体の製造方法によれば、金属粉末の粒子同士がバインダーで結着されてなる圧粉体1を加工することによって目的とする形状を有する成形体2を削り出し、これを焼成することによって目的とする形状の焼結体(構造体3)を得ている。このため、金属材料に加工を施す場合に比べて、加工作業を非常に容易かつ短時間に行うことができ、加工精度も高めることができる。その結果、目的とする形状の構造体3を短時間で容易に得ることができる。
また、加工精度が高いため、CADシステムによる設計データを、CAMシステムによって成形体2の形状に忠実に反映させることができる。このため、高度な技術を有する熟練者でなくても、目的とする形状の構造体3を製造することができる。
さらに、圧粉体1に含まれる金属粉末が難加工材や難削材の粉末であっても、圧粉体1の被削性はその影響をほとんど受けない。したがって、難加工材で構成された構造体3についても、やはり目的とする形状のものを短時間で容易に得ることができる。
また、圧粉体1の切削加工において、圧粉体1と加工ツール5との間に生じる摩擦は、金属材料に切削加工を施す場合に比べて非常に小さい。したがって、本発明では、加工ツール5等の冷却に必要な切削油を使用する必要がなく、切削油の接触による金属粉末の変質、劣化を抑えることができる。また、切削油の洗浄も不要になるので、環境負荷を抑えつつ、構造体3の製造の低コスト化を図ることができる。
さらに、圧粉体1と加工ツール5との間に生じる摩擦が小さいため、加工ツール5の摩耗を抑えることができる。このため、加工ツール5の寿命が伸び、その分、低コスト化および高効率化を図ることができる。
≪第2実施形態≫
次に、本発明の構造体の製造方法の第2実施形態について説明する。
以下、第2実施形態について説明するが、以下の説明では、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
本実施形態は、1次加工工程に相当する工程と2次加工工程に相当する工程との間に、焼成工程が位置している以外、第1実施形態と同様である。したがって、第1実施形態の2次加工工程に相当する工程(後述する「焼結体加工工程」)は、圧粉体1に対する加工工程ではなく、圧粉体1を焼結してなる焼結体に対する加工工程である。
[1]圧粉工程
まず、第1実施形態と同様にして、圧粉体1を得る。
[2]成形体加工工程
次に、第1実施形態の1次加工工程と同様にして、成形体2および各連結部25が形成された圧粉体1を得る。なお、本実施形態では、圧粉体1に対する1次加工工程のみを指して、成形体加工工程とする。
[3]焼成工程
次に、成形体2および各連結部25が形成された圧粉体1に対し、焼成処理を施す。これにより、成形体2および各連結部25が形成された圧粉体1が焼結に至り、焼結体が得られる。
[4]焼結体加工工程
次に、得られた焼結体に対し、第1実施形態の2次加工工程と同様の加工を施す。すなわち、焼結体のうち、連結部25に相当する部位を切断、除去する。これにより、成形体2の焼結体、すなわち、構造体3が得られる。
以上のような第2実施形態においても、焼結体加工工程において加工すべき部分は、焼結体のうち、連結部25に相当する部位であり、焼結体全体の大きさに比べて非常に小さい加工面積で済む部位である。したがって、焼結体加工工程を効率よく行うことができ、かつ、加工に際し、成形体2の形状が影響を受け難いので、第1実施形態と同様、寸法精度の高い焼結体(構造体3)を容易に得ることができる。
そして、以上のような第2実施形態においても、第1実施形態と同様の作用、効果が得られる。
以上、本発明の成形体の製造方法、構造体の製造方法および被切削加工材について、好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.圧粉体の製造
(サンプルNo.1)
[1]まず、Co−Cr−Mo−Si−N系合金の原材料を高周波誘導炉で溶融するとともに、高速回転水流アトマイズ法により粉末化して金属粉末を得た。次いで、目開き150μmの標準ふるいを用いて分級した。得られた金属粉末の合金組成を後述する。なお、合金組成の特定には、SPECTRO社製固体発光分光分析装置(スパーク発光分析装置)、モデル:SPECTROLAB、タイプ:LAVMB08Aを用いた。また、C(炭素)の定量分析には、LECO社製炭素・硫黄分析装置、CS−200を用いた。
Co−Cr−Mo−Si−N系合金の組成比は、Coが主成分であり、Crの含有率が26質量%以上35質量%以下であり、Moの含有率が5質量%以上12質量%以下であり、Siの含有率が0.3質量%以上2.0質量%以下であり、Nの含有率が0.09質量%以上0.5質量%以下である。
また、Co−Cr−Mo−Si−N系合金のビッカース硬度は500、真密度は8.32g/cmであった。
[2]次に、バインダーを水に溶解してバインダー溶液を調製した。なお、バインダー溶液における水の量は、バインダー1g当たり50gとした。また、バインダーとして、ポリビニルアルコールを用いた。なお、用いたポリビニルアルコールの物性は、表1に示す通りである。
[3]次に、金属粉末を造粒装置の処理容器内に投入した。そして、処理容器内の金属粉末に向けて造粒装置のスプレーノズルからバインダー溶液を噴霧しつつ、金属粉末を転動、造粒し、造粒粉末(組成物)を得た。
[4]次に、得られた造粒粉末を用い、以下の成形条件で成形して圧粉体を得た。得られた圧粉体は、直径100mm、厚さ15mmの円盤状であった。また、圧粉体の相対密度は84%であった。
<成形条件>
・成形方法:プレス成形
・成形圧力:100MPa(1t/cm
[5]次に、得られた圧粉体に対し、5軸加工機を用いて切削加工(1次加工)を施した。これにより、圧粉体中に、図3に示す成形体と連結部とが削り出されるように、加工痕を形成した。なお、図3に示す成形体は、手術器具として用いられる鉗子用の構造体となり得るものである。また、加工の途中で、圧粉体の表裏を反転させる作業を行った。また、切削加工に際して、切削油は使用しなかった。
なお、連結部の最小横断面積は、それぞれ1mm以上10mm以下の範囲内に入っていることを確認した。
圧粉体に1次加工を施した後の状態を示す写真を図10に示す。
[6]次に、連結部を切断、除去する加工(2次加工)を施した。これにより、圧粉体から図8に示すような成形体を分離させた。
[7]次に、削り出された成形体に対し、以下の脱脂条件で脱脂処理を施し、脱脂体を得た。
<脱脂条件>
・加熱温度 :470℃
・加熱時間 :1時間
・加熱雰囲気:窒素雰囲気
[8]次に、得られた脱脂体に対し、以下の焼成条件で焼成処理を施し、図9(a)に示すような焼結体(構造体)を得た。
<焼成条件>
・加熱温度 :1300℃
・加熱時間 :3時間
・加熱雰囲気:アルゴン雰囲気
[9]次に、得られた焼結体を組み立て、図9(b)に示すような鉗子(構造体)を得た。
このようにして得られた鉗子の写真を図11に示す。
(サンプルNo.2〜17)
圧粉体の製造条件を表1に示すように変更した以外は、それぞれサンプルNo.1と同様にして鉗子(構造体)を得た。なお、表中に記載したASTM F75は、ASTM規格におけるコバルトクロム合金の鋳造材F75のことを指す。また、表中に記載したSKH51は、JIS規格に規定された高速度工具鋼の1種である。
(サンプルNo.18)
コバルトクロム合金の鋳造材のASTM規格であるF75を満たすインゴットを用意した。
次いで、このインゴットに対し、5軸加工機を用いて切削加工を施した。これにより、インゴットから図9(a)に示すような部材を削り出した。なお、切削加工に際しては、切削油を使用した。そして、削り出された部材を、洗浄用の有機溶媒で洗浄した。
次いで、得られた部材を組み立て、図9(b)に示すような鉗子を得た。
(サンプルNo.19、20)
圧粉体の製造条件を表1に示すように変更した以外は、それぞれサンプルNo.1と同様にして鉗子(構造体)を得た。
以上、各サンプルNo.の構造体の製造条件を表1に示す。
なお、表1においては、本発明に相当するものについては「実施例」、本発明に相当しないものについては「比較例」と示した。
2.構造体の評価
2.1 寸法精度の測定
各サンプルNo.の構造体について、その寸法を測定した。そして、測定された寸法と設計データの寸法とを比較し、以下の評価基準にしたがって寸法精度を評価した。
<寸法精度の評価基準>
◎:寸法精度が非常に高い(設計値とのずれ量が0.2mm未満)
○:寸法精度が高い(設計値とのずれ量0.2mm以上0.5mm未満)
△:寸法精度がやや高い(設計値とのずれ量0.5mm以上0.7mm未満)
×:寸法精度が低い(設計値とのずれ量0.7mm以上)
2.2 加工時間の評価
各サンプルNo.の構造体を得る際に、圧粉体から成形体を削り出すまでに要した時間(加工時間)を求めた。次いで、サンプルNo.16の成形体を削り出すまでに要した時間を1としたとき、各サンプルNo.の成形体を削り出すまでに要した時間の相対値を求めた。そして、求めた相対値を以下の評価基準にしたがって評価した。
<加工時間の評価基準>
◎:加工時間が非常に短い(相対値が0.7未満)
○:加工時間が短い(相対値が0.7以上0.85未満)
△:加工時間がやや短い(相対値が0.85以上1未満)
×:加工時間が長い(相対値が1以上)
2.3 加工面の表面粗さの評価
各サンプルNo.の構造体について、圧粉体から削り出したときの加工面に相当する面の表面粗さを、以下の評価基準にしたがって評価した。
<加工面の表面粗さの評価基準>
◎:表面粗さが非常に小さい
○:表面粗さが小さい
△:表面粗さがやや小さい
×:表面粗さが大きい
以上、2.1〜2.3の評価結果を表1に示す。
Figure 0006273869
表1から明らかなように、実施例に相当する方法で製造された構造体は、寸法精度の高いものであった。また、構造体の製造に要する時間は、相対的に短かった。さらに、加工面の表面粗さが小さく、平滑性が比較的高いことが認められた。
一方、比較例に相当する方法で製造された構造体は、寸法精度が低かった。このことから、圧粉体の相対密度が低過ぎても高過ぎても、製造される構造体の寸法精度は低下することが認められた。また、インゴットから構造体を削り出す場合、寸法精度は高いものの、加工に要する時間が非常に長いことがわかった。
1……圧粉体 2……成形体 3……構造体 5……加工ツール 11……主面 12……主面 21……成形体 22……成形体 25……連結部 26……加工痕 27……加工痕

Claims (7)

  1. 金属粉末とバインダーとを含む組成物を加圧成形し、前記金属粉末の構成材料の真密度に対する相対密度が70%以上90%以下の圧粉体を得る圧粉工程と、
    前記圧粉体に加工を施し、成形体を得る加工工程と、を有し、
    前記加工工程は、
    前記成形体となる領域の周囲のうち、一部を残して前記圧粉体を貫通する加工痕を形成する1次加工工程と、
    前記一部を除去して前記圧粉体から前記領域を分離させる2次加工工程と、
    を有することを特徴とする成形体の製造方法。
  2. 前記金属粉末の平均粒径は、1μm以上15μm以下である、請求項1に記載の成形体の製造方法。
  3. 前記バインダーは、鹸化度が90mol%以上98mol%以下のポリビニルアルコールを含む、請求項1または2に記載の成形体の製造方法。
  4. 前記金属粉末の粒子の短径をSとし、長径をLとした場合、S/Lで定義されるアスペクト比の平均値が0.4以上1以下である、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の成形体の製造方法。
  5. 前記一部は、棒状をなしており、
    前記一部の最小横断面積は、0.2mm2以上75mm2以下である、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の成形体の製造方法。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1項に記載の成形体の製造方法により得られた前記成形体を焼成し、金属焼結体で構成された構造体を得ることを特徴とする構造体の製造方法。
  7. 金属粉末とバインダーとを含む組成物を加圧成形し、前記金属粉末の構成材料の真密度に対する相対密度が70%以上90%以下の圧粉体を得る圧粉工程と
    前記圧粉体に加工を施し、成形体となる領域の周囲のうち一部を残して前記圧粉体を貫通する加工痕を形成する加工工程と、
    前記加工痕が形成された圧粉体を焼成し、金属焼結体を得る工程と、
    前記金属焼結体のうち前記一部に対応する部分を除去し、前記成形体の焼結体である構造体を得る工程と、
    を有することを特徴とする構造体の製造方法。
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