JP6922736B2 - 配向膜及び配向膜用組成物 - Google Patents
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Description
従来、これらの偏光膜(異方性色素膜)にはポリビニルアルコール(PVA)をヨウ素で染色し、延伸、架橋して作製するヨウ素系偏光フィルムが広く使用されてきた。しかしながら、このフィルムの2色性物質として使用されているヨウ素は昇華性が大きいために、偏光膜に使用した場合、その耐熱性や耐光性が十分ではなかった。そのため、有機系色素を2色性物質として使用する偏光膜が検討されている。
〔1〕
部分構造(P1)及び部分構造(P2)の少なくとも一方を含むエポキシ樹脂硬化配向膜であって、
エポキシ樹脂硬化配向膜中の部分構造(P1)及び部分構造(P2)の少なくとも一方の割合が、0.5質量%以上である、エポキシ樹脂硬化配向膜。
但し、部分構造(P1)は、ヘテロ原子を含む芳香族性を有する環であり、
部分構造(P2)は、下記式(1)で表されるものである。
〔2〕
下記式(2)で表される部分構造を含むものである、エポキシ樹脂硬化配向膜。
〔3〕
異方性色素膜用である、〔1〕又は〔2〕に記載のエポキシ樹脂硬化配向膜。
〔4〕
〔1〕又は〔2〕に記載のエポキシ樹脂硬化配向膜上に異方性色素膜を積層したものである、光学素子。
〔5〕
化合物群I及び化合物群IIの少なくとも一方を含む配向膜用組成物であって、
溶媒を除いた前記配向膜用組成物において、部分構造(P1)及び部分構造(P3)の少なくとも一方の割合が、0.5質量%以上である、配向膜用組成物。
但し、化合物群Iは、エポキシ基と、部分構造(P1)及び部分構造(P3)の少なくとも一方とを有する化合物Aであり、
化合物群IIは、エポキシ基と反応する官能基と、部分構造(P1)及び部分構造(P3)の少なくとも一方とを有する化合物B、並びにエポキシ基を有する化合物Cであり、
部分構造(P1)は、ヘテロ原子を含む芳香族性を有する環であり、
部分構造(P3)は、下記式(6)で表されるものである。
〔6〕
部分構造(P1)及び部分構造(P4)の少なくとも一方を有する反応混合物を含む配向膜用組成物であって、
溶媒を除いた前記配向膜用組成物において、部分構造(P1)及び部分構造(P4)の少なくとも一方の割合が、0.5質量%以上である、配向膜用組成物。
但し、部分構造(P1)は、ヘテロ原子を含む芳香族性を有する環であり、
部分構造(P4)は、下記式(7)で表されるものである。
〔7〕
化合物群III及び化合物群IVの少なくとも1方を含む、配向膜用組成物。
但し、化合物群IIIは、エポキシ基及び下記式(8)で表される部分構造を有する化合物Eであり、
化合物群IVは、エポキシ基と反応する官能基及び下記式(8)で表される部分構造を有する化合物F、並びにエポキシ基を有する化合物Gである。
〔8〕
下記式(15)で表される化合物。
Z2及びZ3は、それぞれ独立に、直接結合又は任意の2価の基を表し、
Z4は、芳香環を有する2価の基を表し、nは1以上、500以下の整数を表す。)
なお、本発明でいう異方性色素膜とは、色素膜の厚み方向及び任意の直交する面内2方向の立体座標系における合計3方向から選ばれる任意の2方向における電磁気学的性質に異方性を有する色素膜である。電磁気学的性質としては、吸収、屈折等の光学的性質、抵抗、容量等の電気的性質等が挙げられる。吸収、屈折等の光学的異方性を有する膜としては、例えば、直線偏光膜、円偏光膜、位相差膜、導電異方性膜等がある。
ここで、本明細書において“質量%”と“重量%”、及び“質量部”と“重量部”とは、それぞれ同義である。
本発明の配向膜は、後述する湿式成膜法により形成される異方性色素膜等に配向機能を与える膜である。
本発明の配向膜は、エポキシ樹脂硬化配向膜であり、
前記配向膜中に、部分構造(P1)及び部分構造(P2)の少なくとも一方を含み、
前記配向膜中の部分構造(P1)及び部分構造(P2)の少なくとも一方の割合が、0.5質量%以上である。
但し、部分構造(P1)は、ヘテロ原子を含む芳香族性を有する環であり、部分構造(P2)は、下記式(1)で表されるものである。
本発明の配向膜は、エポキシ樹脂硬化配向膜である。エポキシ樹脂硬化配向膜は、分子内にエポキシ基を有するエポキシモノマー及び/又はエポキシオリゴマーを硬化させたものを含む。エポキシ樹脂硬化配向膜であるかは、IR、固体NMR等で確認することができる。
前記エポキシ樹脂硬化配向膜は、以下部分構造(P1)及び部分構造(P2)の少なくとも一方(以下、「分子配向性の部分構造」又は「部分構造(P)」と表すことがある。)を含む。本発明の配向膜が、湿式成膜法により形成される異方性色素膜等に高い配向機能を与える理由は定かではないが、以下が考えられる。
本発明において「分子配向性」とは、例えば、有機エレクトロニクスにおける分子配向技術(シーエムシー出版刊、2007年)に詳しく記載されているように、分子、分子鎖等が特定の方向に配列し、異方性の構造体を形成する性質をいう。
分子内に芳香環が存在する場合は、π―π相互作用により、分子間または分子内で凝集や会合がおこり、分子が配列しやすくなる。また、分子内に芳香環が複数、連続して存在する場合は、分子の平面性及び剛直性が増し、更にπ―π相互作用が強くなる。一方、分子内にヘテロ原子が存在する場合は、電荷の偏り(分極)構造が形成され、水素結合やドナーアクセプター相互作用による分子間又は分子内での凝集や会合がおこり、分子が配列しやすくなる。また、芳香環内又は芳香環の連結基にヘテロ原子が存在する場合は、上記の効果が相乗し、分子間又は分子内の相互作用が更に強くなり、分子間又は分子内での凝集や会合がおこり、分子が配列しやすくなる。従って部分構造(P)は、異方性規則構造を形成することができ、これにより、異方性色素膜用組成物への配向規制力を高くすることができる。
さらに、配向膜にラビング等の表面処理を行うことで、異方性規則性が更に増した構造を形成し、異方性色素膜用組成物への配向規制力を増す。従って、配向膜の表面に形成される異方性色素膜の配向特性をさらに高めることができる。
なお、異方性色素は液晶分子と異なり、異方性色素が会合した百〜数百Å程度の比較的大きな会合(カラム)構造をとるために、長軸方向の分子長が数十Åのサーモトロピックネマティック液晶と比べて、配向膜に追随して配向しにくいと考えられる。そのため、異方性色素を含む異方性色素膜用組成物を配向させるためには、高い配向規制力を有する配向膜が必要であるが、本発明の配向膜は上記の理由により、異方性色素膜用組成物への配向規制力が高いものである。
部分構造(P1)は、ヘテロ原子を含む芳香族性を有する環である。部分構造(P1)は芳香族性を有していれば、単環でも縮合環でも特に限定されず、芳香環と脂環の縮合環でもよい。
配向膜が部分構造(P1)を有することにより、分子配向性の部分構造の骨格の剛直性が高く、電荷の偏り(分極)構造が形成され、水素結合やドナーアクセプター相互作用による分子間又は分子内での凝集や会合、又は、分子配向性の部分構造の自発的な配列を取りやすくなる。
ヘテロ原子は、特に限定されないが、O、S及びNからなる群より選択される1つを含むことが分子内の分極性を高めるため好ましい。また、部分構造(P1)が含むヘテロ原子の数も特に限定されないが、1以上であり、好ましくは4以下、更に好ましくは3以下である。この範囲であることで、電荷の偏り(分極)構造が形成され易くなる傾向にある。
環Y1は後記の式(3)の環Y1と同義であり、好ましい範囲も同じである。また、環Y1及び環Y1と縮合しているベンゼン環が有していてもよい置換基も同義である。さらに環Y1及び環Y1と縮合しているベンゼン環が、その他のエポキシ樹脂硬化配向膜中の構造と連結する位置も同義である。
部分構造(P2)は、下記式(1)で表される部分構造である。エポキシ樹脂硬化配向膜中に部分構造(P2)を有することで、エポキシ樹脂硬化配向膜中において、分子配向性の部分構造の電荷の偏り(分極)構造が更に大きくなり、異方性規則構造を形成しやすくなる。
ヘテロ原子は特に限定されないが、O、S及びNからなる群より選択される1つを含むことが分子内の分極性を高めるため好ましい。
R1が結合している2つのベンゼン環が有していてもよい置換基は、特に限定されないが、例えば、それぞれ独立に、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、アミノ基、ヘテロ原子、ニトロ基、水酸基、ハロゲン原子、−C(=O)−基等が挙げられる。
部分構造(P1)及び部分構造(P2)の両方の構造を有している部分構造の具体例を以下に示す。
本発明のエポキシ樹脂硬化配向膜は、下記式(3)で表される部分構造を含むものである。
式(3)で表される部分構造を含むことで、分子の平面性及び剛直性が増し、π―π相互作用が強くなる。さらに、分子内に電荷の偏り(分極)構造が形成され、水素結合やドナーアクセプター相互作用による分子間又は分子内での凝集や会合がおこり、分子が配列しやすくなる。
環Y1及び環Y1と縮合しているベンゼン環は、置換基を有していてもよい。有していてもよい置換基としては、例えば、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、アミノ基、ヘテロ原子、ニトロ基、水酸基、ハロゲン原子、−C(=O)−基等が挙げられる。
環Y1及び環Y1と縮合しているベンゼン環が、その他のエポキシ樹脂硬化配向膜中の構造と連結する位置は特に限定されないが、式(3)で表される部分構造を含む分子のアスペクト比(分子長単軸比)が大きくなるように部分構造(3)が連結していることが、分子の直線性が得られ、異方性色素膜への配向機能が向上する傾向にあるため好ましい。例えば、分子との連結位置は、式(3)の環Y1と芳香環との縮合位置から離れた元素に置換していることが好ましい。連結の一態様としては、下記式(3)’のα位及び/又はβ位の位置で連結していることが挙げられる。
式(4)中に含まれる環は、それぞれ独立に置換基を有していてもよい。有していてもよい置換基としては、例えば、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、アミノ基、ヘテロ原子、ニトロ基、水酸基、ハロゲン原子、−C(=O)−基等が挙げられる。
本発明の配向膜は、エポキシ反応物を含み、前記エポキシ反応物が、下記式(5)で表される部分構造を含むものである。
式(5)で表される部分構造を含むことで、分子の平面性及び剛直性が増し、π―π相互作用が強くなる。さらに、分子内に電荷の偏り(分極)構造が形成され、水素結合やドナーアクセプター相互作用による分子間又は分子内での凝集や会合がおこり、分子が配列しやすくなる。
環Y2及び環Y3が、その他のエポキシ反応物中の構造と連結する位置は特に限定されない。また、R3がベンゼン環と連結する位置も特に限定されない。その中でも、式(5)で表される部分構造を含む分子のアスペクト比(分子長単軸比)が大きくなるように部分構造(5)が連結していることが、分子の直線性が得られ、異方性色素膜への配向機能が向上する傾向にあるため好ましい。例えば、分子との連結位置は、式(5)の環Y2及び/又は環Y2と芳香環との縮合位置から離れた元素に置換していることが好ましい。連結の一態様としては、下記式(5)’のα位及び/又はβ位、α’位及び/又はβ’位の位置で連結していることが挙げられる。
式(5)中に含まれる環は、それぞれ独立に置換基を有していてもよい。有していてもよい置換基としては、例えば、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、アミノ基、ヘテロ原子、ニトロ基、水酸基、ハロゲン原子、−C(=O)−基等が挙げられる。
具体的には、−O−C(=O)−、−NH−C(=O)−、−O−C(=O)−、−C(=O)−、−C=C−C(=O)−、−(O=)S(=O)−、−O−等が挙げられる。
エポキシ樹脂硬化配向膜において、前記の部分構造(P1)、部分構造(P2)、式(2)、式(3)、式(4)及び式(5)で表される部分構造以外の構造は、本発明の効果を著しく損なわない限り特に限定されない。例えば、ヘテロ原子を有しない芳香族炭化水素基、脂肪族炭化水素基、脂環構造、芳香族性のない複素環等が挙げられる。
部分構造(P1)、部分構造(P2)、式(2)、式(3)、式(4)及び式(5)で表される部分構造は、エポキシ樹脂硬化配向膜に含まれていれば特に限定されないが、特に、エポキシ樹脂硬化配向膜中のエポキシ樹脂(エポキシ基を有するエポキシモノマー及び/又はエポキシオリゴマーが反応したもの)に含まれることが、本願発明の効果を得られ易い傾向にあるため好ましい。エポキシ硬化配向膜中のエポキシ樹脂の量は特に限定されないが、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、5質量%以上が更に好ましく、10質量%以上であることがより更に好ましく、20質量%以上であることが特に好ましい。また、上限は特に限定されず、100質量%であってもよい。
本発明のエポキシ樹脂硬化配向膜は、本発明の効果を著しく損なわなければ、上記部分構造以外にも他の成分を含んでいてもよい。例えば、フィラー、硬化剤、界面活性剤、硬化促進剤、及びこれら由来の成分等が挙げられる。具体的には、後記の配向膜用組成物のその他の成分が挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂硬化配向膜を得る方法は特に限定されない。前記の部分構造(P1)、部分構造(P2)、式(2)、式(3)、式(4)及び式(5)で表される部分構造は、エポキシ樹脂硬化配向膜を形成する配向膜用組成物に含まれる化合物及び/又は反応混合物が有しているものである。例えば、エポキシ基を有するエポキシモノマー、エポキシ基を有するオリゴマ−、フェノキシ樹脂、硬化剤、添加剤等に上記部分構造が含まれていればよい。具体的には、後述する配向膜用組成物において説明する。
本発明の配向膜用組成物は、後述する湿式成膜法により形成される異方性色素膜等に配向機能を与える配向膜を形成する際に用いる。
配向膜用組成物は、部分構造(P1)及び部分構造(P3)の少なくとも一方(以下、「分子配向性の部分構造」又は「部分構造(P)」と表すことがある。)を特定質量%以上、並びにエポキシ基及び/又は官能基(R)を有する化合物を有してしていればよい。部分構造(P1)、部分構造(P3)、エポキシ基及び官能基(R)は、配向膜用組成物中に含まれる化合物が有していればよく、上記部分構造等を有する化合物、1つの化合物が有する上記部分構造等の組合せは特に限定されない。
但し、部分構造(P1)は、ヘテロ原子を含む芳香族性を有する環であり、部分構造(P3)は、下記式(6)で表されるものである。
また、部分構造(P)、エポキシ基、官能基(R)の3つの部分構造を持つ化合物又は反応混合物を用いることも好ましい。さらに、部分構造(P)、エポキシ基、官能基(R)のどれか1つを有する化合物を組合せて用いることも好ましい。さらに、これらの化合物又は反応混合物を、上記化合物A、B等と組合せて用いてもよい。例えば、部分構造(P)を有する化合物、エポキシ基を有する化合物(以下、エポキシ基を有し、部分構造(P)及び官能基(R)を有さない化合物を「化合物C」又は「化合物G」と表すことがある。)、官能基(R)を有する化合物の3つの化合物を組み合わせて用いてもよく、部分構造(P)を有する化合物と上記化合物A及び化合物Bを組み合わせて用いてもよく、部分構造(P)を有する化合物と上記化合物A及び化合物Cを組み合わせて用いてもよい。
本発明においてエポキシ基とは、一般的にオキシラン環と呼ばれる構造を表す。オキシラン環が連結する位置及び価数は特に限定されない。オキシラン環は置換基を有していてもよい。
本発明の配向膜用組成物に含まれるエポキシ基が反応し、化合物が高分子量化することで硬化する。硬化することによって、異方性色素膜用組成物への配向規制力を与える配向膜を形成することができる。一般に、エポキシ基は反応して開環するとフレキシブルな脂肪鎖構造となる。従って、配向膜の硬化時やラビング等の表面処理時に、部分構造(P1)及び/又は部分構造(P2)がより配列しやすく、異方性規則構造をより形成しやすくなり、得られる配向膜の規則性を増すことが可能となる。これらのことより、本発明の配向膜は、異方性色素膜用組成物を、既存の液晶用配向膜に比べて容易に配向させることが可能となる。
また、エポキシ基が反応して生成する水酸基は、基板との密着性を向上させる効果を得られる場合がある。なお、この水酸基は反応性が低いが、条件によってエポキシ基と反応する場合もあり、膜の機械的強度を制御するのに利用できる場合もある。さらに、エポキシ基が反応して生成する水酸基は、後述する湿式製膜法において、異方性色素膜用組成物を塗布する際にも親和性良く製膜する効果を得られる場合もある。
炭素数1〜6のアルキル基及び炭素数1〜6のアルキレン基は直鎖でも分岐していてもよい。X1〜X4は同じであっても異なっていてもよく、またそれらが任意の位置及び/又は組み合わせて環構造を形成していてもよい。以下にエポキシ基を含む部分構造の具体例を示す。
本発明においてエポキシ基と反応する官能基(本明細書中では、官能基(R)と表すことがある。)とは、エポキシ基の硬化反応に関与する構造を表す。特に限定されないが、一般にエポキシ硬化剤と呼ばれる化合物が有する官能基が例示される。
具体的には、フェノール性水酸基、一級アミノ基、チオール基、カルボキシル基、シアネート基、イソシアネート基等が挙げられる。
本発明の配向膜用組成物として、以下に示すケース(1)〜(7)が具体的な組み合わせ例として挙げられる。しかし、配向膜用組成物中の化合物又は反応混合物の組合せは、ケース(1)〜(7)に限定されず任意に組合せることができる。またこれらの組み合わせに、後述する溶剤、硬化剤、他の添加剤等を混合し配向膜用組成物として用いることができる。
ケース(1)化合物A
ケース(2)化合物B及び化合物C
ケース(3)化合物A及び化合物B
ケース(4)反応混合物D
ケース(5)化合物E
ケース(6)化合物F及び化合物G
ケース(7)化合物E及び化合物F
本発明において、部分構造(P1)及び/又は部分構造(P3)並びにエポキシ基とを有する化合物を「化合物A」と表す。分子配向性の部分構造(P)を有することで、前記のように、部分構造(P)が異方性規則構造を形成し、化合物Aが会合部位や配列部位を有することができる。さらに、エポキシ基を反応させることで、会合部位や配列部位を有する配向膜を形成することができる。また、エポキシ基は反応して開環するとフレキシブルな脂肪鎖構造となる。従って、配向膜の反応時やラビング等の表面処理時に、部分構造(P)の規則性が増した異方性規則構造を形成しやすくなり、得られる配向膜の規則性を増すことが可能となる。
これらの中でも、部分構造(P)を化合物Aの1分子中に2つ以上有することが、部分構造(P)の異方性規則構造を形成しやすくなるため好ましい。また、部分構造(P)の化合物Aの1分子中の上限は特にないが、5以下であることが合成容易性の理由から好ましい。
化合物Aの1分子中に含まれる部分構造(P)の数が複数の場合、部分構造(P1)及び部分構造(P3)を併せ持つことがより好ましい。この構造であることで、部分構造(P)の規則性が増した構造を形成できるため、配向膜として、特に異方性色素膜用組成物への配向規制力が得られる傾向にある。
また、本発明の配向膜用組成物中に含まれる化合物Aは1種類でもよいが、複数の異なる種類の組合せであってもよい。例えば、部分構造(P1)を有する化合物(以下、A−Iと表す)と、部分構造(P3)を有する化合物(以下、A−IIと表す)が、任意の存在比で含まれていてもよい。それらの組合せ及び存在比に限定はない。
また、本発明におけるエポキシ基は化合物Aの分子の末端にある方が、部分構造(P)の異方性規則構造の形成が容易になる傾向にあるため好ましい。
またエポキシ当量は、通常100以上、20000以下であり、好ましくは10000以下、より好ましくは7000以下である。本発明の配向膜用組成物が配向膜として硬化し、十分な機械物性を有するために、この範囲が好ましい。
溶剤としては、例えば、配向膜用組成物が含んでいてもよい溶剤として後述する溶媒が挙げられる。
本発明の化合物Bは、官能基(R)と部分構造(P1)及び/又は部分構造(P3)を有する化合物である。
化合物Bは、化合物Aで例示したものと同じ部分構造(P)を有するため、化合物Aで述べた場合と同じく、部分構造(P)の会合部位や配列部位を形成しやすい。
一方、化合物Bは、官能基(R)を有するため、後述する化合物Cと組合せて配向膜を形成することができる。すなわち化合物Bは、本発明における分子配向性の規則構造を形成すると同時に、化合物Cの硬化剤として作用し、十分な強度の配向膜を形成することができる。化合物Cと組合せる場合、化合物Cが有するエポキシ基が反応して開環するとフレキシブルな脂肪鎖構造となる。従って、配向膜の硬化時やラビング等の表面処理時に、部分構造(P)がより凝集し、会合性を増して、規則構造を形成しやすくなり、特に、異方性色素膜用組成物への配向規制力を増すことが可能となる。また、化合物Bの分子量が大きい場合などは、化合物Bのみで配向膜を形成することも可能である。
特に、化合物Bとエポキシ基を有する化合物、反応混合物等を組み合わせる場合、配向膜用組成物中には、芳香環やヘテロ原子を有する場合が多いことから、電荷の偏りを有する。また、エポキシ基が配向膜用組成物中にある場合には、エポキシ基が反応して水酸基を生成することから、後述する湿式製膜法において、後述する芳香環を有する異方性色素との相互作用に優れ、異方性色素膜用組成物を塗布する際にも親和性良く製膜することが可能となる。
これらの中でも、部分構造(P)を2つ以上有することが異方性規則構造を形成しやすくなるため好ましい。また、部分構造(P)の数の上限は特にないが、5以下であることが合成容易性の理由から好ましい。
化合物Bの1分子中に含まれる部分構造(P)が複数の場合、部分構造(P1)及び部分構造(P3)を併せ持つことがより好ましい。この構造であることで、より規則性を増した異方性規則構造を形成できるため、異方性色素膜用組成物への配向規制力が高い傾向にある。
また、本発明におけるエポキシ基は化合物Bの分子の末端にある方が、部分構造(P)の異方性規則構造の形成が容易になる傾向にあるため好ましい。
任意の基としては、具体的には炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数1〜10のアルキレンアミノ基、炭素数1〜10のアルキレンオキシ基、炭素数6〜12のアリールアリーレン基、炭素数2〜10のアルケニレン基、ケトン基、スルホニル基、エステル基、アミド基、スルホニルエステル基、スルホンアミド基等が例示され、化合物構造や目的に応じて自由に選定できる。上記炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数1〜10のアルキレンアミノ基、炭素数1〜10のアルキレンオキシ基の構造は特に限定されず、直鎖、分岐又は環状のいずれの構造であってもよい。これらの中でも、炭素数2〜10のアルキレン基、炭素数1〜10のアルキレンアミノ基、炭素数1〜10のアルキレンオキシ基、スルホンアミド基が合成上の容易性や原料入手性の観点から好ましい。
上記の炭素数2〜10のアルキレン基、炭素数1〜10のアルキレンアミノ基、炭素数1〜10のアルキレンオキシ基、アリール基及びアルケニレン基は置換基を有していてもよい。有していてもよい置換基としては、炭素数1〜10のアルキル基、ハロゲン基、アリール基等が挙げられる。上記の中でも、直接結合、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基が、合成上の容易性、原料入手性、エポキシ基との反応性等の理由で好ましい。
化合物Bは、通常用いられるような溶剤に、通常3質量%以上、好ましくは4質量%以上、溶解又は分散することが好ましい。これらの範囲であることで、化合物Bを溶媒に溶解又は分散した状態で塗布することが可能となる。特に、溶解している状態で塗布する場合は、透明で均一な配向膜が得られやすく、好ましい。
なお、通常用いられるような溶剤は、化合物Aにおいて挙げた溶剤と同意である。
下記化合物群B1〜B20、B23〜B32中、e1〜e32、f1〜f32は、それぞれ独立に1又は2の整数を表し、同じであっても異なっていてもよい。化合物B1〜B16、B19〜B20、B23〜B32において、e+f(例えば、化合物B1はe1+f1)は4以下である。また、化合物B17、化合物B18及び化合物B20において、e+f+h(例えば、化合物A17はe17+f17+h17)は6以下である。g6、g7、g9及びg11はそれぞれ独立に、2以上、12以下の整数である。
化合物Cは、エポキシ基を有する化合物であり、部分構造(P1)、部分構造(P3)及び官能基(R)を有さないものである。
化合物Cは、特に限定されないが、化合物Cの1分子内に少なくとも2つのエポキシ基を有するものが好ましい。具体的には、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ナフタレンジオール、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂等のグリシジルエーテル;ビフェノール、アルキル置換ビフェノール等のジグリシジルエーテル;トリフェノールメタン等のトリグリシジルエーテル;テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン;トリグリシジルアミノフェノール;ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂等の各種エポキシ化合物等を挙げることができる。また、「プラスチック機能性高分子材料辞典」(第1版、産業調査会、2004年)448−465頁、「総説エポキシ樹脂 第1巻〜第4巻」(第1版、エポキシ樹脂技術協会、2003年)、「総説エポキシ樹脂 最近の進捗I」(第1版、エポキシ樹脂技術協会、2009年)等に記載されているエポキシ化合物を用いてもよい。なお、これらは1種のみでも、2種以上を任意の組合せと比率で用いてもよい。
これらの中でも、配向膜用組成物全体の反応性、均一性及び透明性の点から、部分構造(P)と相溶性を持つ基又は構造を有していることが好ましく、具体的には、芳香環を有していることが好ましい。
但し、化合物群Iは、エポキシ基、並びに部分構造(P1)及び部分構造(P3)の少なくとも一方を有する化合物Aであり、
化合物群IIは、エポキシ基と反応する官能基、並びに部分構造(P1)及び部分構造(P3)の少なくとも一方を有する化合物B、及びエポキシ基を有する化合物Cであり、
部分構造(P1)は、ヘテロ原子を含む芳香族性を有する環であり、
部分構造(P3)は、下記式(6)で表されるものである。
なお、化合物A、化合物B及び化合物Cは上述した通りである。
反応混合物Dとは、前記の配向膜用組成物中のケース(1)、ケース(2)及びケース(3)の各々において、後述するその他の成分(硬化剤、溶剤、他の添加剤等)を混合して得られる配向膜用組成物を、後述する配向膜用組成物の製造方法((a)フェノキシ樹脂化、(b)オリゴマー化等で処理)により得られる反応混合物のことを示す。すなわち、反応混合物Dとは、本発明における配向膜用組成物を反応させたものである。
反応混合物Dのように、あらかじめ部分構造(P)と他の構造、基等を部分的に反応しておくことにより、融点が低下又は消失する傾向にある。これにより、配向膜の形成時の結晶析出を抑制したり、硬化温度を低下させたり、成膜性を向上させる効果を得られる場合がある。
(a)二官能性エポキシ化合物を付加型の硬化剤と共に加熱して、可溶性の線状樹脂(一般に高分子型エポキシ樹脂あるいはフェノキシ樹脂と呼ばれる)へ誘導するフェノキシ化を利用する方法。
(b)所定の混合比に調整した配向膜用組成物を、塗布前に低い反応率で加熱反応させるオリゴマー化(一般に「プレポリマー化」とも言われている)を利用する方法。
部分構造(P1)及び部分構造(P4)の少なくとも一方を有する反応混合物を含む配向膜用組成物であって、
溶媒を除いた前記配向膜用組成物において、部分構造(P1)及び部分構造(P4)の少なくとも一方の割合が、0.5質量%以上である。
但し、部分構造(P1)は、ヘテロ原子を含む芳香族性を有する環であり、
部分構造(P4)は、下記式(7)で表されるものである。
R4が結合している2つのベンゼン環が有していてもよい置換基は、特に限定されないが、例えば、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、アミノ基、ヘテロ原子、ニトロ基、水酸基、ハロゲン原子、−C(=O)−基等が挙げられる。
化合物Eは、エポキシ基及び式(8)で表される部分構造を有する化合物である。
環Y4及び環Y4と縮合しているベンゼン環が、その他のエポキシ反応物中の構造と連結する位置は特に限定されず、式(8)で表される部分構造を含む分子のアスペクト比(分子長単軸比)が大きくなるように部分構造が連結していることが、分子の直線性が得られ、異方性色素膜への配向機能が向上する傾向にあるため好ましい。一態様としては、式(3)で示したものが挙げられる。
環Y4及び環Y4と縮合しているベンゼン環は、置換基を有していてもよい。有していてもよい置換基としては、例えば、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、アミノ基、ヘテロ原子、ニトロ基、水酸基、ハロゲン原子、−C(=O)−基等が挙げられる。
これらの中でも、式(8)で表される部分構造を化合物Eの1分子中に2つ以上有することが、式(8)で表される部分構造の異方性規則構造を形成しやすくなるため好ましい。また、式(8)で表される部分構造の化合物Eの1分子中の上限は特にないが、5以下であることが合成容易性の理由から好ましい。
また、本発明におけるエポキシ基は化合物Eの分子の末端にある方が、式(8)で表される部分構造の異方性規則構造の形成が容易になる傾向にあるため好ましい。
またエポキシ当量は、通常100以上、20000以下であり、好ましくは10000以下、より好ましくは7000以下である。本発明の配向膜用組成物が配向膜として硬化し、十分な機械物性を有するために、この範囲が好ましい。
溶剤としては、例えば、配向膜用組成物が含んでいてもよい溶剤として後述する溶媒が挙げられる。
化合物Fはエポキシ基と反応する官能基(R)及び式(8)で表される部分構造を有する化合物である。
化合物Fは反応混合物Dで例示したものと同じ式(8)で表される部分構造を有するため、化合物Eで述べた場合と同じく、式(8)で表される部分構造の会合部位や配列部位を形成しやすい。
一方、化合物Fは、官能基(R)を有するため、後述する化合物Gと組合せて配向膜を形成することができる。すなわち化合物Fは、本発明における分子配向性の規則構造を形成すると同時に、化合物Fの硬化剤として作用し、十分な強度の配向膜を形成することができる。化合物Gと組合せる場合、化合物Fが有するエポキシ基が反応して開環するとフレキシブルな脂肪鎖構造となる。従って、配向膜の硬化時やラビング等の表面処理時に、式(7)で表される部分構造がより凝集、会合性を増して、規則構造を形成しやすくなり、特に、異方性色素膜用組成物への配向規制力を増すことが可能となる。また、化合物Fの分子量が大きい場合などは、化合物Fのみで配向膜を形成することも可能である。
特に、化合物Eとエポキシ基を有する化合物、反応混合物等を組み合わせる場合、配向膜用組成物中には、芳香環やヘテロ原子を有する場合が多いことから、電荷の偏りを有する。また、エポキシ基が配向膜用組成物中にある場合には、エポキシ基が反応して水酸基を生成することから、後述する湿式製膜法において、後述する芳香環を有する異方性色素との相互作用に優れ、異方性色素膜用組成物を塗布する際にも親和性良く製膜することが可能となる。
これらの中でも、式(8)で表される部分構造を2つ以上有することが異方性規則構造を形成しやすくなるため好ましい。また、部分構造(P)の数の上限は特にないが、5以下であることが合成容易性の理由から好ましい。
本発明の配向膜用組成物中に含まれる化合物Fは1種類でもよいが、複数の異なる種類の組合せであってもよい。
また、本発明におけるエポキシ基は化合物Fの分子の末端にある方が、式(8)で表される部分構造の異方性規則構造の形成が容易になる傾向にあるため好ましい。
任意の基としては、化合物Eで挙げた基が挙げられ、好ましい基も同じである。
化合物Fは、通常用いられるような溶剤に、通常3質量%以上、好ましくは4質量%以上、溶解又は分散することが好ましい。これらの範囲であることで、化合物Fを溶媒に溶解又は分散した状態で塗布することが可能となる。特に、溶解している状態で塗布する場合は、透明で均一な配向膜が得られやすく、好ましい。
なお、通常用いられるような溶剤は、化合物Aにおいて挙げた溶剤と同意である。
式(9)に含まれる環は、それぞれ独立に置換基を有していてもよい。有していてもよい置換基としては、例えば、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、アミノ基、ヘテロ原子、ニトロ基、水酸基、ハロゲン原子、−C(=O)−基等が挙げられる。
化合物Gは、エポキシ基を有する化合物であり、式(8)で表される部分構造及び官能基(R)を有さないものである。化合物Gは、特に限定されないが、化合物Fの1分子内に少なくとも2つのエポキシ基を有するものが好ましい。具体的には、化合物Cとして例示したものが挙げられる。なお、化合物Gは1種のみでも、2種以上を任意の組合せと比率で用いてもよい。
これらの中でも、配向膜用組成物全体の反応性、均一性及び透明性の点から、式(8)で表される部分構造と相溶性を持つ基又は構造を有していることが好ましく、具体的には、芳香環を有していることが好ましい。
本発明の配向膜用組成物は、化合物群III及び化合物群IVの少なくとも1方を含む。
配向膜用組成物が化合物群III又は化合物群IVの少なくとも一方を含むことで、得られる配向膜が析出物のない透明で均一な膜として硬化し、十分な機械物性、耐溶媒性及び異方性色素膜用組成物等への配向規制力を有することができる。
但し、化合物群IIIは、エポキシ基及び下記式(8)で表される部分構造を有する化合物Eであり、化合物群IVは、エポキシ基と反応する官能基及び下記式(8)で表される部分構造を有する化合物F、並びにエポキシ基を有する化合物Gである。
[硬化剤]
本発明の配向膜用組成物は硬化剤を含んでいてもよい。
本発明の配向膜用組成物に含まれていてもよい硬化剤は、化合物A、化合物C、化合物E、化合物G等が有するエポキシ基の反応に寄与する物質であればよく、後述するエポキシ樹脂硬化剤等の一般的に硬化促進剤として知られているもの等も含める。本発明に係る硬化剤は、以下3つが挙げられる。
1)本発明の配向膜用組成物に含まれる化合物A、化合物C、化合物E又は化合物Gが有するエポキシ基同士の反応に寄与する物質。
2)本発明の配向膜用組成物に含まれる化合物A、化合物C、化合物E又は化合物Gが有するエポキシ基と、化合物B又は化合物Fの有する官能基(R)との付加反応に寄与する物質。
3)本発明の配向膜用組成物に含まれる化合物A、化合物C、化合物E又は化合物Gが有するエポキシ基と硬化剤との付加反応を促進させる機能を発現する物質。
本発明の配向膜用組成物に硬化剤が含まれることにより、配向膜の強度や耐溶剤性を向上させることができる。
触媒型硬化剤として、イミダゾール及びその誘導体、第3級アミン、有機ホスフィン類、ホスホニウム塩、テトラフェニルボロン塩、ハロゲン化ホウ素アミン錯体等が挙げられる。
一級及び二級アミン系硬化剤は耐熱性に優れた配向膜を得やすく、酸無水物系硬化剤は液状での硬化プロセスに優れている。また、同系統の硬化剤であっても、一般的に、非晶性の硬化剤を用いた場合は、加工性に優れる配向膜用組成物や曲げ強度等に優れる配向膜を得やすい傾向にある。一方、結晶性の硬化剤を用いた場合は、耐熱性及び機械特性に優れた配向膜を得やすい傾向にある。
触媒型硬化剤を用いることにより、耐熱性や耐薬品性等に優れた配向膜を得やすい傾向にある。触媒的型の硬化剤は、その種類に応じて硬化温度や硬化速度が異なるため、プロセスに応じて適切な硬化条件を選択すればよい。
触媒型硬化剤の中でも、イミダゾール系が好ましい。例えば、2−エチル−4−メチルイミダゾールは、硬化速度が速くなる傾向にあり、低温で低コストに硬化することができる。また、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾールは、適用可能なエポキシ基含有化合物の種類や配向膜の形状の選択肢が広くなる傾向にある。
また、低い温度で硬化するためには、融点を持つ化合物の場合は、その融点が硬化温度以下であることが好ましい。
脂環式アミン類としては、イソホロンジアミン、メタセンジアミン、N−アミノエチルピペラジン、ビス(4−アミノ−3−メチルジシクロヘキシル)メタン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、ノルボルネンジアミン等が例示される。
芳香族アミン類としては、テトラクロロ−p−キシレンジアミン、m−キシレンジアミン、p−キシレンジアミン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノアニソール、2,4−トルエンジアミン、2,4−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタン、2,4−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、m−アミノフェノール、m−アミノベンジルアミン、ベンジルジメチルアミン、2−ジメチルアミノメチル)フェノール、トリエタノールアミン、メチルベンジルアミン、α−(m−アミノフェニル)エチルアミン、α−(p−アミノフェニル)エチルアミン、ジアミノジエチルジメチルジフェニルメタン、α,α’−ビス(4−アミノフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン等が例示される。
第3級アミンとしては、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等が例示される。
イミダゾール及びその誘導体としては、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−エチル−4(5)−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノ−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾールトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加体、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加体、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、及びエポキシ樹脂と上記イミダゾール類との付加体等が例示される。
ホスホニウム塩としては、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウム・エチルトリフェニルボレート、テトラブチルホスホニウム・テトラブチルボレート、メチルトリブチルホスホニウムジメチルホスフェート、テトラブチルホスホニウムベンゾトリアゾラート等が例示さる。
テトラフェニルボロン塩としては、2−エチル−4−メチルイミダゾール・テトラフェニルボレート、N−メチルモルホリン・テトラフェニルボレート等が例示される。
付加重合型硬化剤を用いる場合、配向膜用組成物中のエポキシ基に対する硬化剤の有する官能基(R)との当量比で、0.8以上となるように用いることが好ましく、0.9以上となるように用いることが更に好ましい。また、1.5以下となるように用いることが好ましく、1.2以下となるように用いることが更に好ましい。
触媒型硬化剤を用いる場合、溶媒を除いた配向膜用組成物100重量部に対して、硬化剤が0.1重量部以上となるように用いることが好ましく、0.2重量部以上となるように用いることが更に好ましい。また、20重量部以下となるように用いることが好ましく、15重量部以下となるように用いることが更に好ましい。
上記範囲にすることで、硬化温度が低温でも、十分に硬化することができ、効率よく配向膜の異方性規則構造を形成させつつ、配向膜の強度を高め、成膜性を向上させる効果を得られる傾向にある。
本発明の配向膜用組成物は、溶剤を含有していてもよく、溶剤を用いる場合は、配向膜用組成物の各種材料が、溶剤に溶解又は分散した状態で使用される。
溶剤としては、沸点(圧力1013.25[hPa]条件下。以下、沸点に関しては全て同様。)が80℃以上であることが好ましく、100℃以上であることがより好ましい。また、300℃以下であることが好ましく、250℃以下であることがより好ましく、200℃以下であることが更に好ましい。これらの範囲であることで、配向膜を形成する際に、塗布等により基材上に配向膜用組成物をムラや凹凸なく適用でき、適用後に溶剤を乾燥しやすい傾向にある。
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール−モノt−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、メトキシメチルペンタノール、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールモノアルキルエーテル類;
エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等のグリコールジアルキルエーテル類;
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、メトキシブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、メトキシペンチルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート等のグリコールアルキルエーテルアセテート類;
ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジアミルエーテル、エチルイソブチルエーテル、ジヘキシルエーテル等のエーテル類;
アセトン、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソアミルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、エチルアミルケトン、メチルブチルケトン、メチルヘキシルケトン、メチルノニルケトン等のケトン類;
エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン等の1価又は多価アルコール類;
n−ペンタン、n−オクタン、ジイソブチレン、n−ヘキサン、ヘキセン、イソプレン、ジペンテン、ドデカン等の脂肪族炭化水素類;
シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロヘキセン、ビシクロヘキシルの等の脂環式炭化水素類;
ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン等の芳香族炭化水素類;
アミルホルメート、エチルホルメート、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸アミル、メチルイソブチレート、エチレングリコールアセテート、エチルプロピオネート、プロピルプロピオネート、酪酸ブチル、酪酸イソブチル、イソ酪酸メチル、エチルカプリレート、ブチルステアレート、エチルベンゾエート、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−メトキシプロピオン酸ブチル、γ−ブチロラクトンのような鎖状又は環状エステル類;
3−メトキシプロピオン酸、3−エトキシプロピオン酸等のアルコキシカルボン酸類;
ブチルクロライド、アミルクロライド等のハロゲン化炭化水素類;
メトキシメチルペンタノン等のエーテルケトン類;
アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類:
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド類:
ジメチルスルホキシド等の非プロトン系溶剤:
等から選択される。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の配向膜用組成物は、異方性色素膜を塗布する際の濡れ性、塗布性等を向上させるため、界面活性剤を含有することが好ましい。
界面活性剤としては、例えば、アニオン系、カチオン系、非イオン系、両性界面活性剤等を用いることができる。中でも、異方性色素膜用としての配向膜の適用性から、非イオン系界面活性剤を用いるのが好ましく、中でもフッ素系やシリコン系の界面活性剤を用いることが、配向膜用組成物の塗布性の面でも効果的である。
フッ素系界面活性剤としては、ペルフルオロアルキルスルホン酸、ペルフルオロアルキルカルボン酸、フッ素テロマーアルコール等が挙げられる。シリコン系界面活性剤としては、種々の直鎖、及び分岐鎖を持つポリエーテル変性シリコン等が挙げられる。
なお、界面活性剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組合せ及び比率で併用してもよい。
中でも、重合性基を有するフッ素系界面活性剤が、分散性、凝集に起因する欠陥の低減及び界面活性作用の効果継続性の点で好ましい。フッ素系界面活性剤の有する重合性基としては、下記式U−1〜U−5に例示のものが挙げられる。
界面活性剤を用いる場合、その含有量は、溶媒を除いた配向膜用組成物に対して、0.001質量%以上であることが好ましく、0.005質量%以上がより好ましく、0.01質量%以上が更に好ましく、0.03質量%以上が特に好ましい。また、10質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましく、0.5質量%以下が更に好ましく、0.3質量%以下が特に好ましい。界面活性剤の含有量が上記範囲であることで、配向膜の平滑性及び均一性が得られる傾向がある。
配向膜用組成物の密着性を改善するため、例えば、シランカップリング剤等の密着向上剤を含有することができる。
シランカップリング剤の種類としては、エポキシ系、(メタ)アクリル系、アミノ系等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
好ましいシランカップリング剤として、例えば、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリロキシシラン類;2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、等のエポキシシラン類;3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のウレイドシラン類;3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネートシラン類が挙げられる。
これらの中でも、エポキシシラン類のシランカップリング剤が特に好ましい。
本発明の配向膜用組成物には、部分構造(P)を有し、且つ、エポキシ基及び官能基(R)は有しない化合物が含まれていてもよい。その場合は、エポキシ基や官能基(R)を有する化合物を併用するか、ケース(1)〜(7)等に添加して使用することができる。
部分構造(P)を有し、且つ、エポキシ基及び官能基(R)を有さない化合物は、配向膜用組成物の好適範囲に含まれる組成に制御できれば、構造、分子量、物性等に制限はなく、任意に使用することができる。またその場合、市販品を使用することもでき、例えば部分構造(P)を有する、ポリイミドやポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート等の市販ポリマーが使用可能である。
本発明の配向膜用組成物は、フィラーを強度の向上を目的に含んでいてもよい。フィラーの中でも、無機フィラーを用いることが好ましい。
無機フィラーとしては、アルミナ(Al2O3)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ホウ素(BN)、窒化ケイ素(Si3N4)、シリカ(SiO2)等が挙げられる。これらのなかでも、Al2O3、AlN、BN又はSiO2が好ましく、特にAl2O3、BN又はSiO2が好ましい。これらの無機フィラーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組合せ及び比率で混合して用いてもよい。
また、凝集状の無機フィラーであれば、平均結晶径が0.01μm〜5μmで、平均凝集径が1〜1000μmのものを用いることが好ましい。
上記した本発明の配向膜用組成物は、低温でも異方性色素膜用組成物への配向規制力が高い配向膜を作製でき、該配向膜の上に形成された異方性色素膜の配向特性が高いものである。また、本発明の配向膜用組成物から得られる配向膜は、ラビングなどの表面処理を行うことで、部分構造(P)の規則性が増した異方性規則構造を形成しやすくなり、得られる配向膜の規則性を増すことが可能となる。本発明の配向膜用組成物は、後述の異方性色素膜用の配向膜に特に有用であり、該異方性色素と組合せて、光学素子、特に偏光素子の形成用に好適に用いることができる。
本発明の配向膜用組成物は、上記の化合物、反応混合物、溶剤等を混合することで得られる。また、本発明の配向膜用組成物の固形分濃度は、通常1質量%以上であり、好ましくは3質量%以上である。また、通常50質量%以下であり、好ましくは30質量%以下である。本発明の配向膜用組成物は、溶剤を使用して、上記範囲となるように、調液され、使用される。
本発明の配向膜用組成物の硬化においては、所定の組成で混合した配向膜用組成物を後述する方法及び条件で被塗布材料(基板)に塗布してから熱硬化する方法が挙げられる。
本発明の配向膜用組成物に含まれる化合物の製造方法は特に限定されず、公知の方法を用いて製造することができる。
例えば、部分構造(P)を含む化合物は、その構造構築法は特に制限されず、公知の方法を用いた構築と化合物への誘導が可能である。また、例えば、部分構造(P)及び官能基(R)を含む化合物は、部分構造(P)と官能基(R)との導入順序に制限はなく、原料入手や加工上の容易性及び反応性に応じて実施することができる。エポキシ基と反応する官能基を有する成分を出発物質に用いても、後から官能基(R)を導入可能な別の官能基を有する成分を出発物質に用い、部分構造(P)を構築したのちに官能基(R)へ誘導化してもよい。
化合物A及び化合物Bの製造例を示すが、化合物E及び化合物Fもそれぞれ同様の方法で得ることができる。
化合物Aの具体的な製造例の1つとして、部分構造(P)としてフタルイミド構造を含む化合物A(例示化合物A3)の誘導方法について説明する。なお、化合物Eについても同様の方法で製造することができる。
一般に、イミド骨格は、酸無水物又はジカルボン酸とアミンとの縮合、水素化イミドのアルキル化又はアミノ基との反応で誘導することが知られている。そこで、エポキシ基を導入することができる官能基として水酸基を有する一級アミンとフタル酸無水物との反応により、水酸基を有するフタルイミド構造を構築したのち、水酸基のグリシジル化又は水酸基のアリル化を行う。さらに、引き続く公知の酸化剤を用いたアリル基の酸化により、エポキシ基を導入でき、化合物A3(l3=m3=1)を製造することができる。
化合物Bの具体的な製造例を説明する。なお、化合物Fについても同様の方法で製造することができる。
部分構造(P)としてフタルイミド構造を含み、官能基(R)として水酸基を有する化合物B(例示化合物B3)の場合を説明する。化合物B3は、化合物A3の製造例で挙げたフタルイミド構造を構築した際に得られた中間体をそのまま化合物B3(R3=OH、e3=f3=1)として用いることができる。
混合した配向膜用組成物を予め低い反応率で硬化反応を起こさせておき、その後被塗布材料(基板)に塗布し、再度加熱して完全に熱硬化するという方法も挙げられる。この方法としては特に限定されないが、簡便な方法としては、方法(1)フェノキシ樹脂化、方法(2)オリゴマー化の二つが挙げられる。
フェノキシ樹脂化とは、一般に二官能性エポキシ化合物を付加型の硬化剤と共に加熱して、可溶性の線状樹脂(高分子型エポキシ樹脂又はフェノキシ樹脂と呼ばれる)へ誘導することである。方法(1)では、配向膜用組成物を、塗布前にフェノキシ樹脂化するものである。特に、二官能性のエポキシ化合物と二官能性の硬化剤との組合せにおいて好適である。前記の配向膜用組成物であれば、フェノキシ樹脂化の反応転化率は特に限定されない。エポキシ基と硬化剤との反応転化率は、触媒、温度、時間等の反応条件で適宜制御することができる。
方法(2)は、所定の混合比に調整した配向膜用組成物を、塗布前に低い反応率で加熱硬化させたオリゴマー溶液を用いる方法である。特に、配向膜用組成物に溶媒を使用する場合に特に好適に実施できる。
方法(2)としては、例えば、化合物Aとして例示した化合物A29と酸無水物硬化剤とを硬化助剤の存在下で数時間加熱処理する方法が挙げられる。
オリゴマー化の反応率は1H−NMRによる反応物中のエポキシ基の残存から推算できる。本発明においてオリゴマー化の反応率に特に制限はなく、得られるオリゴマーが本発明における配向膜組成物として問題なく使用できる範囲の反応率を選択すればよい。例えば、50%以下の反応率で得られるオリゴマーを用いることで、本発明の異方性色素膜用配向膜の形成が容易となる。
本発明の配向膜は、被塗布材料に対して本発明の配向膜用組成物を塗布することによる形成できる。
塗布方法は、均一な厚さの層を形成できる方法であれば特に限定されないが、例えば、ダイコーティング、スピンコーティング、スクリーン印刷、フレキソ印刷、スプレー、アプリケーターを用いたキャスティング法、コーターを用いる方法、吹き付けによる方法、浸漬法、カレンダー法、流延法等が挙げられる。
乾燥時間は、溶剤成分の種類、使用する乾燥機の性能等に応じて、通常は、15秒〜10分間の範囲で選ばれ、好ましくは30秒〜5分間の範囲で選ばれる。
溶剤の乾燥には、減圧下乾燥させる方法と加熱による方法を併用してもよいし、いずれかを用いてもよい。
この温度範囲で硬化することにより、部分構造(P)が異方性規則構造を形成しながら硬化が進むため、得られる配向膜が異方性規則構造のあるドメインを有し、その表面に形成される異方性色素膜の配向を高めることができる。また、この温度範囲で硬化することにより、配向膜が異方性規則構造を有し、適度な膜強度となることで、ラビング等の表面処理によりさらに規則性が増し、その表面に形成される異方性色素膜の配向性を高めることができる。
また、硬化温度及び硬化時間が上記範囲であることで、エポキシ基の反応が適当な速度で進み、配向膜が、規則構造を形成しやすく、ラビング等の表面処理のし易い強度となる傾向にある。また、生産性に優れる傾向にある。
硬化の加熱方法は特に限定されないが、低温から徐々に昇温することにより、部分構造(P)の異方性規則構造をさらに形成しやすくなる傾向にある。
本発明の配向膜用組成物と組合せて用いる異方性色素膜は、湿式成膜法にて形成される。異方性色素膜は、色素及び溶剤を含む異方性色素膜用組成物を用いて得られる。また、異方性色素膜用組成物には、必要に応じ、バインダー樹脂、モノマー、硬化剤、添加剤等が配合されてもよい。異方性色素膜用組成物の態様としては、溶液状であってもよいし、ゲル状であってもよい。異方性色素膜用組成物は、溶剤中に色素等が溶解又は分散している状態であってもよい。
色素については、通常、2色性色素が用いられる。本発明において、色素は、液晶相を有する色素であることが好ましい。ここで、液晶相を有する色素とは、溶剤中でリオトロピック液晶性を示す色素を意味する。
リオトロピック液晶性化合物は1種のみを用いてもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。
本発明に用いられる色素は特に限定されず、公知の色素を用いることができる。
E1は任意の有機基を表し、
R30及びR31は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基又は置換基を有していてもよいアシル基を表し、
p及びqは、それぞれ独立に0〜6の整数であり、p+qは6以下である。]
E2は任意の有機基を表し、
R32及びR33は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいフェニル基を表す。]
2)塩型で得られた色素の水溶液に、所望の対イオンを有する大過剰の中性塩(例えば、塩化リチウム)を添加し、塩析ケーキの形で塩交換を行う方法。
3)塩型で得られた色素の水溶液を、強酸性陽イオン交換樹脂で処理し、色素を遊離酸の形で酸析せしめた後、所望の対イオンを有するアルカリ溶液(例えば水酸化リチウム水溶液)で色素酸性基を中和し塩交換する方法。
4)予め所望の対イオンを有するアルカリ溶液(例えば水酸化リチウム水溶液)で処理した強酸性陽イオン交換樹脂に、塩型で得られた色素の水溶液を作用させ、塩交換を行う方法。
上記の塩型の例としては、Na、Li、K等のアルカリ金属の塩、アルキル基もしくはヒドロキシアルキル基で置換されていてもよいアンモニウムの塩又は有機アミンの塩が挙げられる。有機アミンの例として、炭素数1〜6の低級アルキルアミン、ヒドロキシ置換された炭素数1〜6の低級アルキルアミン、カルボキシ置換された炭素数1〜6の低級アルキルアミン等が挙げられる。これらの塩型の場合、その種類は1種類に限られず複数種混在していてもよい。
また、本発明において、色素は単独で使用することができるが、これらの2種以上を併用してもよく、また、配向を低下させない程度に上記例示色素以外の色素を配合して用いることもできる。これにより各種の色相を有する異方性色素膜を製造することができる。
Yellow 132、C.I.Acid Yellow 25、C.I.Direct Orange 39、C.I.Direct Orange 72、C.I.Direct Orange 79、C.I.Acid Orange 28、C.I.Direct Red 39、C.I.Direct Red 79、C.I.Direct Red 81、C.I.Direct Red 83、C.I.Direct Red 89、C.I.Acid Red 37、C.I.Direct Violet 9、C.I.Direct Violet 35、C.I.Direct Violet 48、C.I.Direct Violet 57、C.I.Direct Blue 1、C.I.Direct Blue 67、C.I.Direct Blue 83、C.I.Direct Blue 90、C.I.Direct Green 42、C.I.Direct Green 51、C.I.Direct Green 59等が挙げられる。
異方性色素膜用組成物中の色素の濃度としては、成膜条件にもよるが、好ましくは0.01重量%以上、更に好ましくは0.1重量%以上、特に好ましくは5質量%以上、より好ましくは7質量%以上である。また、好ましくは50重量%以下、更に好ましくは30重量%以下である。色素濃度が上記範囲であることで、粘度が高くなり過ぎず、均一な薄膜塗布ができる。また、異方性色素膜用組成物中で色素が析出することを抑制する傾向にある。さらに、得られる異方性色素膜において十分な二色比等の異方性を得ることができる傾向にある。
溶媒としては、水、水混和性のある有機溶剤、これらの混合物等が適している。有機溶剤の具体例としては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、グリセリン等のアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール等のグリコール類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ類等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
異方性色素膜組成物には、さらに必要に応じて、界面活性剤、レベリング剤、カップリング剤、pH調整剤等の添加剤を配合することができる。添加剤により、濡れ性、塗布性等を向上させ得る場合がある。
界面活性剤としては、アニオン性、カチオン性及びノニオン性のいずれも使用可能である。その添加濃度は、特に限定されるものではないが、異方性色素膜用組成物中の濃度として通常、0.05重量%以上、0.5重量%以下であることが好ましい。これらの範囲であることで、添加した効果を得るために十分であって、且つ、色素分子の配向を阻害しない傾向にある。
また、異方性色素膜用組成物中での色素の造塩や凝集等の不安定性を抑制する等の目的のために、公知の酸/アルカリ等のpH調整剤等を、異方性色素膜用組成物の構成成分の混合の前後又は混合中のいずれかで添加してもよい。なお、上記以外の添加剤として“Additive for Coating”, Edited by J.Bieleman,Willey−VCH(2000)記載の公知の添加剤を用いることもできる。
また、本発明の異方性色素膜用組成物は、日本国特開2007−178993号公報に記載されているように、異方性色素膜用組成物中のアゾ系化合物の酸性基に対して、カチオン0.9当量以上、0.99当量以下、及び強酸性アニオン0.02当量以上、0.1当量以下を含有させる等して、異方性色素膜用組成物の温度5℃、歪印加後0.01秒後の緩和弾性率Gが10分の1に低下するまでの時間を0.1秒以下とし、異方性色素膜の欠陥を制御することができる。
本発明においては、湿式成膜法により、本発明の配向膜上に異方性色素膜を形成することが好ましい。本発明でいう湿式成膜法とは、異方性色素膜用組成物を配向膜上に何らかの手法により適用し、溶剤が乾燥する過程を経て色素等を基材上で配向・積層させる方法である。
湿式成膜法では、異方性色素膜用組成物が基材上に形成されると、すでに異方性色素膜用組成物中で、又は、溶剤が乾燥する過程で、色素自体が自己会合することにより微小面積での配向が起こる。この状態に外場を与えることにより、マクロな領域でー定方向に配向させ、所望の性能を有する異方性色素膜を得ることができる。この点で、いわゆるポリビニルアルコール(PVA)フィルム等を、色素を含む溶液で染色して延伸し、延伸工程だけで色素を配向させることを原理とする方法とは異なる。なお、ここで外場とは、あらかじめ基材上に施された配向膜等の処理層の影響、せん断力、磁場等が挙げられ、これらを単独で用いてもよく、複数組合せて用いてもよい。
また、異方性色素膜用組成物を基材上に形成する過程、外場を与えて配向させる過程、溶剤を乾燥させる過程は、逐次行ってもよいし、同時に行ってもよい。
湿式成膜法における異方性色素膜用組成物の基材上への適用方法としては、例えば、塗布法、ディップコート法、LB膜形成法、公知の印刷法等が挙げられる。またこのようにして得た異方性色素膜を別の基材に転写する方法もある。これらの中でも、本発明は塗布法を用いることが好ましい。
異方性色素膜の配向方向は、通常、塗布方向と一致するが、塗布方向と異なっていてもよい。なお、本実施の形態において異方性色素膜の配向方向とは、例えば、異方性色素膜であれば、偏光の透過軸又は吸収軸であり、位相差膜であれば、進相軸又は遅相軸のことである。
なお、異方性色素膜用組成物の塗布温度としては、通常0℃以上80℃以下、好ましくは40℃以下である。また、異方性色素膜用組成物の塗布時の湿度は、好ましくは10%RH以上、さらに好ましくは30%RH以上であり、好ましくは80RH%以下である。
好ましくは、得られた異方性色素膜を、日本国特開2007−241267号公報等に記載の方法で処理し、水に対して不溶性の異方性色素膜とすることが、後工程の容易さ及び耐久性等の点から好ましい。
例えば、偏光度を高くする場合には、50%以下であることが好ましい。透過率が特定範囲であることで、下記の光学素子として有用であり、特にカラー表示に用いる液晶ディスプレイ用の光学素子として有用である。
光学素子は、光吸収の異方性を利用し直線偏光、円偏光、楕円偏光等を得る偏光素子、位相差素子、屈折異方性や伝導異方性等の機能を有する素子である。これらの機能は、膜形成プロセスと基板や有機化合物(色素や透明材料)を含有する組成物の選択により、適宜調整することができる。本発明では、偏光素子として用いることが好ましい。
本発明の偏光素子は、本発明の配向膜用組成物から形成された配向膜及び色素を含む異方性色素膜を少なくとも有するものであれば特に制限されず、他の如何なる膜(層)を有するものであってもよい。例えば、上記方法により形成された配向膜の表面に、上記のとおり異方性色素膜を形成することにより製造することができる。本実施の形態における偏光素子においては、配向膜、異方性色素膜以外に必要に応じて、オーバーコート層、粘着層、反射防止層、位相差フィルムとしての機能を持つ層、輝度向上フィルムとしての機能を持つ層、反射フィルムとしての機能を持つ層、半透過反射フィルムとしての機能を持つ層、拡散フィルムとしての機能を持つ層等、様々な機能をもつ層を塗布や貼合等により積層形成し、積層体として使用してもよい。
これら光学機能を有する層は、例えば以下の様な方法により形成することができる。
位相差フィルムは、例えば、日本国特開平2−59703号公報、日本国特開平4−230704号公報等に記載の延伸処理を施したり、日本国特開平7−230007号公報等に記載された処理を施したりすることにより形成することができる。
輝度向上フィルムは、例えば、日本国特開2002−169025号公報及び日本国特開2003−29030号公報に記載されるような方法で微細孔を形成すること、又は、選択反射の中心波長が異なる2層以上のコレステリック液晶層を重畳することにより形成することができる。
拡散フィルムとしての機能を有する層は、例えば、偏光素子を構成する他の層に微粒子を含む樹脂溶液をコーティングすることにより、形成することができる。
本発明の光学素子は、基板上に塗布等により形成することで偏光素子を得ることができるという点から、フレキシブルディスプレイ等の用途にも好適に使用することができる。
下記式(15)で表される化合物は新規化合物である。
Z2及びZ3は、それぞれ独立に、直接結合又は任意の2価の基を表し、
Z4は、芳香環を有する2価の基を表し、nは1以上、500以下の整数を表す。)
Z1は、環状イミド構造を有する2価の基である。環状イミド構造としては、単環でもよく、複数の環を有していてもよい。環状イミド構造が有する環の数は特に限定されないが、3以下が好ましい。また、Z1がZ2及びZ3と連結する位置は特に限定されない。
環状イミド構造の具体例としては、フタルイミド、スクシンイミド、グルタルイミド、3−メチルグルタルイミド、マレイミド、ジメチルマレイミド、トリメリットイミド、ピロメリットイミド等が挙げられる。これらの中でもフタルイミド構造を有することが好ましい。
Z1は、環状イミド構造以外にも他の基を有していてもよい。例えば、ベンゼン環、ナフタレン環等の芳香族炭化水素基;ピリジン、ピリミジン等の芳香族複素環基;炭素数1以上8以下のアルキレン基;炭素数1以上8以下のアルケニレン基;ヘテロ原子;アミド基;エステル基等が挙げられる。また、上記の基は置換基を有していてもよく、例えば、ヘテロ原子、アミノ基等が挙げられる。
環状イミド構造以外の基としては、ベンゼン環、不飽和結合及び/又はヘテロ原子を有している基等が好ましい。
不飽和結合及び/又はヘテロ原子を有している基としては、−O−C(=O)−、−NH−C(=O)−、−C(=O)−、−C=C−C(=O)−、−(O=)S(=O)−、−O−等が挙げられる。
Z1としては、例えば、以下式(16)で表される構造が挙げられる。
Z2及びZ3は、それぞれ独立に、直接結合又は任意の2価の基を表す。任意の2価の基としては特に限定されないが、ベンゼン環、ナフタレン環等の芳香族炭化水素基;ピリジン、ピリミジン等の芳香族複素環基;炭素数1以上8以下のアルキレン基;炭素数1以上8以下のアルケニレン基;これらを組み合わせた基等が挙げられる。また、上記の基は置換基を有していてもよく、例えば、ヘテロ原子、アミノ基等が挙げられる。
上記の中でも、芳香族炭化水素基及び/又は炭素数1以上8以下のアルキレン基が好ましい。
芳香環を有する2価の基を表す。芳香環を有する2価の基としては特に限定されないが、ベンゼン環、ナフタレン環等の芳香族炭化水素基、ピリジン、ピリミジン等の芳香族複素環基、上記基の組合せ等が挙げられる。
また、上記環は、脂肪族環と縮合していてもよい。さらに、上記環と、炭素数1以上8以下のアルキレン基、炭素数1以上8以下のアルケニレン基等を組み合わせて用いてもよい。
上記の基及び環は置換基を有していてもよく、例えば、炭素数1以上、8以下のアルキル基、ヘテロ原子、アミノ基等が挙げられる。
なお、以下の記載において、「部」は「質量部」を示す。
(化合物1(化合物B28(R28=OH、e28=f28=1))の合成)
3,3’,4,4’−ベンゾフェノン四酢酸二無水4.83g(15.0mmol)、4−アミノ−2−メチルフェノール3.71g(30.0mmol)及びNMP120mlを200ml四つ口フラスコに仕込み、50℃にて1時間撹拌した。続けて昇温し、内温150℃にて4時間反応させ、放冷した。反応液を水/メタノール=5/1 500ml中へ投入し、析出物をろ別した。得られた固体をメタノールにて懸濁洗浄し、ろ別乾燥後、5,5’−カルボニルビス[2−(4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン](化合物1)6.6gを得た。
3.23g(6.0mmol)の化合物1をDMF70ml中に溶解させた後、40℃にて、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド0.25g(1.1mmol)、エピクロロヒドリン20ml(227mmol)を添加した。さらに、ナトリウムメトキシド28%メタノール溶液2.4g(12.4mmol)を添加し、内温45℃にて6時間反応させ、放冷した。反応液を水/メタノール=1/1 300ml中へ激しく撹拌しながら投入し、析出物をろ別した。得られた固体をメタノールに懸濁させ十分に洗浄した後、クロロホルムに溶解させ、不溶物を除去した。濃縮後、クロロホルム−トルエン混合溶媒にてシリカゲルカラム精製を行い、2.4gの5,5’−カルボニルビス[2−(2−メチル−4−オキシラニルメトキシフェニル)−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン](化合物2)を得た。
トリメリット酸無水物15g(78mmol)及び3,4’−ジアミノフェニルエーテル7.82g(39mmol)、酢酸/ピリジン=3/2(体積比)混合溶媒300mlを500ml四つ口フラスコに仕込み、60℃にて1時間撹拌した。続けて昇温し、還流下で10時間反応させ、放冷した。反応液を水600ml中へ投入し、濃塩酸5mlを添加して、1時間撹拌した。析出物をろ別し、メタノールで洗浄した。得られた固体をDMF300mlに溶解し、メタノール600ml中に少量ずつ添加し、析出物をろ別した。メタノール洗浄、乾燥後、化合物3の前駆体であるジカルボン酸の淡黄色紛体15gを得た。
上記で得られたジカルボン酸3.0g(5.5mmol)をNMP40mlに50℃にて溶解させた後、炭酸カリウム1.52g(11mmol)を添加した。内温50℃にて2時間撹拌した後、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド0.12g(0.53mmol)、エピクロロヒドリン40ml(227mmol)を添加した。内温90℃にて1時間反応させた後、さらに昇温し110℃で2時間撹拌した。放冷後、反応液を水/メタノール=1/1 200ml中へ撹拌しながら投入し、析出物をろ別した。得られた固体をメタノールに懸濁させ十分に洗浄した後、クロロホルムに溶解させ、不溶物を除去した。濃縮後、クロロホルム−トルエン混合溶媒にてシリカゲルカラム精製を行い、1.0gの2−[3−[4−(5−オキシラニルメトキシカルボニル−1,3−ジヒドロ−1,3−ジオキソ−2H−イソインドール−2−イル)フェノキシ]フェニル]−2,3−ジヒドロ−1,3−ジオキソ−1H−イソインドール−5−カルボン酸オキシラニルメチルエステル(化合物3)を得た。
0.609g(0.95mmol)の化合物2、メチルテトラヒドロ無水フタル酸0.295g(1.77mmol)、メチルトリブチルホスホニウムジメチルホスフェート(商品名ヒシコーリンPX−4MP)0.011gを反応容器に仕込み、NMP 5.184gを加えて40℃にて撹拌し、均一な溶液とした。この溶液を130℃にて5時間撹拌し、室温まで冷却し、オリゴマー(化合物4)の15wt% NMP溶液を得た。1H−NMRより、得られたオリゴマー中のエポキシ基残存率は41%、メチルテトラヒドロ無水フタル酸の残存率は18%であった。
日本国特開2014−132074号公報に記載の方法で、2官能エポキシ樹脂にテトラメチルビフェノール型エポキシ(商品名YX4000)を、化合物B5(R5=OH、e5=f5=1)であるN,N’−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−4,4’−ジフタルイミドを用いて、フェノキシ樹脂(化合物5)を得た。
1.0g(1.86mmol)の化合物1、NMP8ml及びシクロヘキサノン5mlを反応器に仕込み、100℃に加温して均一な溶液とした。この溶液に40重量%テトラブチルホスホニウムヒドロキシド水溶液0.026mlを添加し、30分間還流させ、シクロヘキサノンの一部を留去した。この溶液を100℃まで冷却し、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノールグリシジルエーテル(商品名YX−4000)0.83g(2.22mmol)を添加して、還流下8時間撹拌した。放冷後、水/メタノール=1/1 100ml中へ撹拌子ながら少量ずつ投入し、析出物をろ別した。得られた固体をメタノールに懸濁させ十分に洗浄した後、ろ別、乾燥後、フェノキシ樹脂(化合物6)を得た。得られたフェノキシ樹脂は、1H−NMRより、数平均分子量は約4500、分子末端比率は、エポキシ/フェノール性水酸基/エポキシ加水分解による水酸基=36/47/17であった。
表1の実施例1に示す化合物及び硬化剤をサンプル瓶に秤量し、固形分濃度7wt%となるように表1の実施例1に記載の溶媒に溶解させた後、ろ過をして、配向膜用組成物1を得た。
この配向膜用組成物1をガラス基板上にスピンコート法により塗布し、80℃で1分間加熱後、表1に記載の硬化時間で硬化し、配向膜1を得た。この配向膜1に、レーヨン布を用いて、一方向にラビングを施した。
水79部に、式(21)で表されるアゾ化合物20部と、式(22)で表される化合物1部を加え、撹拌して溶解させた後、濾過して不溶分を除去することにより異方性膜用組成物を得た。
上記の方法で作製された配向膜1上に、上記の異方性色素膜用組成物をスロット幅50μmのダイコーターを用いて塗布したで塗布した後、自然乾燥することにより異方性色素膜1を得た。
実施例1と同様の方法で、配向膜用組成物2〜10、配向膜2〜10及び異方性色素膜2〜10を得た。
実施例1と同様の方法で、配向膜用組成物11及び12、配向膜11及び12並びに異方性色素膜11及び12を得た。
配向膜の評価は、得られた異方性色素膜の光学性能評価により行った。光学性能は、異方性色素膜の単体透過率と偏光度で以下のように評価した。
単体透過率及び偏光度から以下のように評価を行った。
A:単体透過率40%以上で偏光度99.9%以上
B:単体透過率が36%以上で偏光度が99.5%以上、99.9%未満
C:単体透過率が36%以上で偏光度が95.5%未満
偏光度(P)(%)={(Ty−Tz)/(Ty+Tz)}1/2×100
Tz:異方性色素膜の吸収軸方向の偏光に対する透過率
Ty:異方性色素膜の偏光軸方向の偏光に対する透過率
一方、部分構造(P)を有していない、比較例1及び比較例2の配向膜は、異方性色素膜の光学特性が低く、異方性色素膜用組成物への配向規制力が十分でないことが示された。
なお、実施例1、2及び6の化合物Aは、化合物Eにも属し、実施例4〜9の化合物Bは、化合物Fにも属し、実施例4、5及び7の化合物Cは、化合物Gにも属す。
TG3DAS:テトラグリシジルー3,3’−ジアミノジフェニルスルフォン(小西化学工業(株)製)
jER828:ビスフェノールA型エポキシ(三菱化学(株)製)
YX4000:ビフェニル型エポキシ(三菱化学(株)製)
BAPP:2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(東京化成(株)製)
TPP:トリフェニルホスフィン(東京化成(株)製)
DBU:1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(東京化成(株)製)
ヒシコーリン4MP:メチルトリブチルホスホニウムジメチルホスフェート(日本化学工業(株)製)
YH300:テトラヒドロメチル無水フタル酸(三菱化学(株)製)
カテコール:東京化成(株)製
NMP:1−メチル−2−ピロリドン(東京化成(株)製)
DMAc:N,N’−ジメチルアセトアミド(東京化成(株)製)
Claims (3)
- 請求項1又は2に記載の異方性色素膜用エポキシ樹脂熱硬化配向膜上に異方性色素膜を積層したものである、光学素子。
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