JP6922587B2 - 電子写真感光体、電子写真感光体の製造方法、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
請求項1に係る発明は、
導電性基体と、
前記導電性基体上に設けられ結着樹脂と電荷発生材料とを含有する単層型の感光層であって、前記導電性基体側の領域に前記電荷発生材料が存在せず、かつ、前記電荷発生材料が存在しない前記導電性基体側の領域の厚みは前記単層型の感光層における膜厚の1%以上15%以下である単層型の感光層と、
を有する電子写真感光体である。
前記電荷発生材料が存在しない前記導電性基体側の領域の厚みは、前記単層型の感光層における膜厚の1%以上10%以下である請求項1に記載の電子写真感光体である。
請求項3に係る発明は、
前記電荷発生材料が存在しない前記導電性基体側の領域の厚みは、前記単層型の感光層における膜厚の1%以上5%以下である請求項2に記載の電子写真感光体である。
前記電荷発生材料は、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料及びクロロガリウムフタロシアニン顔料の少なくとも一方を含む請求項1に記載の電子写真感光体である。
請求項5に係る発明は、
前記電荷発生材料の含有量は、前記単層型の感光層全体に対し、0.5質量%以上10質量%以下である請求項4に記載の電子写真感光体である。
請求項6に係る発明は、
前記電荷発生材料の含有量は、前記単層型の感光層全体に対し、1質量%以上7質量%以下である請求項5に記載の電子写真感光体である。
前記単層型の感光層は、正孔輸送材料を含有する請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の電子写真感光体である。
請求項8に係る発明は、
前記正孔輸送材料は、下記一般式(1)で表される正孔輸送材料である請求項7に記載の電子写真感光体である。
級アルキル基、アルコキシ基、フェノキシ基、ハロゲン原子、又は、低級アルキル基、低級アルコキシ基及びハロゲン原子から選ばれる置換基を有していてもよいフェニル基を示す。m及びnは、各々独立に0又は1を示す。
前記単層型の感光層は、電子輸送材料を含有する請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の電子写真感光体である。
請求項10に係る発明は、
前記電子輸送材料は、下記一般式(2)で表される電子輸送材料である請求項9に記載の電子写真感光体である。
請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の電子写真感光体を備え、
画像形成装置に着脱するプロセスカートリッジである。
請求項12に係る発明は、
請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、
前記電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
トナーを含む現像剤により、前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
を備える画像形成装置である。
請求項3に係る発明によれば、単層型の感光層のうち電荷発生材料が存在しない導電性基体側の領域の厚みが単層型の感光層における膜厚の5%を超える場合に比べ、速いプロセススピードで形成された画像における前サイクルの履歴による残像現象を抑制した電子写真感光体が提供される。
請求項5に係る発明によれば、電荷発生材料の含有量が単層型の感光層全体に対し0.5質量%以上10質量%以下であっても、単層型の感光層のうち電荷発生材料が存在しない導電性基体側の領域の厚みが単層型の感光層における膜厚の0%以上1%未満又は15%を超える場合に比べ、速いプロセススピードで形成された画像における前サイクルの履歴による残像現象を抑制しつつ、画像形成を繰り返した後に形成された画像における意図しない色点の発生を抑制した電子写真感光体が提供される。
請求項6に係る発明によれば、電荷発生材料の含有量が単層型の感光層全体に対し1質量%以上7質量%以下であっても、単層型の感光層のうち電荷発生材料が存在しない導電性基体側の領域の厚みが単層型の感光層における膜厚の0%以上1%未満又は15%を超える場合に比べ、速いプロセススピードで形成された画像における前サイクルの履歴による残像現象を抑制しつつ、画像形成を繰り返した後に形成された画像における意図しない色点の発生を抑制した電子写真感光体が提供される。
本実施形態に係る電子写真感光体(以下、単に「感光体」又は「単層型感光体」と称することがある)は、導電性基体を備え、導電性基体上に単層型の感光層を有する。
そして、単層型の感光層は、結着樹脂と電荷発生材料とを含有し、導電性基体側の領域に電荷発生材料が存在せず、かつ、電荷発生材料が存在しない導電性基体側の領域の厚みは単層型の感光層における膜厚の1%以上15%以下である。
以下、「電荷発生材料が存在しない導電性基体側の領域」を「特定領域」ともいう。
なお、単層型の感光層とは、電荷発生能と共に、正孔輸送性及び電子輸送性を持つ感光層である。
以下、「単層型の感光層」を単に「感光層」と称する場合がある。
また、「導電性基体側の領域」とは、感光層における導電性基体側の面(すなわち、感光層の内周面)を含む領域をいう。
そして、電荷発生材料が存在しない導電性基体側の領域の厚み(つまり特定領域の厚み)は、感光層の内周面から、感光層の内周面に最も近い位置に存在する電荷発生材料までの距離であり、以下の測定により得られる値を意味する。
次に、得られたTEM画像において確認された電荷発生材料のうち、感光層と下層(例えば導電性基体)との界面(すなわち感光層の内周面)から、前記界面に最も近い電荷発生材料までの距離を求める。
そして、上記測定を、感光体の軸方向に3箇所、周方向に4箇所(すなわち、合計12箇所)を観察したTEM画像について行い、求められた距離のうち最も短い距離を採用して「特定領域の厚み」とする。
上記TEM画像の観察に用いる測定試料の作製は、例えば、ダイヤモンドナイフを用いた切削機(例えばUltracutUCT(Leica社製))を用いて、感光体の回転軸を含む面で切断することで行い、それによって厚み200nmの測定試料を得る。
しかし、本実施形態では、特定領域の厚みが感光層の膜厚の1%以上15%以下であるため、上記ゴーストを抑制しつつ、成長型色点の発生も抑制される。
ここで、「プロセススピード」は記録媒体の搬送速度をいい、速いプロセススピードとは、例えば、150mm/sec以上が挙げられる。
なお、特定領域の厚みは、上記ゴーストの抑制の観点から、1%以上10%以下が好ましく、1%以上5%以下がより好ましい。
図1は、本実施形態に係る電子写真感光体7の一部の断面を概略的に示している。
図1に示した電子写真感光体7は、例えば、導電性基体3を備え、導電性基体3上に、単層型の感光層2が設けられて構成されている。
なお、必要に応じてその他の層を設けてもよい。その他の層としては、例えば、導電性基体3と単層型の感光層2との間に設けられる下引層、単層型の感光層2上に設けられる保護層等が挙げられる。
導電性基体としては、例えば、金属(アルミニウム、銅、亜鉛、クロム、ニッケル、モリブデン、バナジウム、インジウム、金、白金等)又は合金(ステンレス鋼等)を含む金属板、金属ドラム、及び金属ベルト等が挙げられる。また、導電性基体としては、例えば、導電性化合物(例えば導電性ポリマー、酸化インジウム等)、金属(例えばアルミニウム、パラジウム、金等)又は合金を塗布、蒸着又はラミネートした紙、樹脂フィルム、ベルト等も挙げられる。ここで、「導電性」とは体積抵抗率が1013Ωcm未満であることをいう。
酸性処理液による処理は、例えば、以下のようにして実施される。先ず、リン酸、クロム酸及びフッ酸を含む酸性処理液を調製する。酸性処理液におけるリン酸、クロム酸及びフッ酸の配合割合は、例えば、リン酸が10質量%以上11質量%以下の範囲、クロム酸が3質量%以上5質量%以下の範囲、フッ酸が0.5質量%以上2質量%以下の範囲であって、これらの酸全体の濃度は13.5質量%以上18質量%以下の範囲がよい。処理温度は例えば42℃以上48℃以下が好ましい。被膜の膜厚は、0.3μm以上15μm以下が好ましい。
単層型の感光層は、少なくとも結着樹脂と、電荷発生材料と、を含み、必要に応じて電子輸送材料、正孔輸送材料、その他添加剤を含んでもよい。
そして、単層型の感光層における特定領域は、前記の通り、1%以上15%以下である。
結着樹脂としては、特に制限はないが、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシラン等が挙げられる。これらの結着樹脂は、単独又は2種以上混合して用いてもよい。
また、感光層の成膜性の観点から、粘度平均分子量30000以上80000以下のポリカーボネート樹脂、及び粘度平均分子量30000以上80000以下のポリアリレート樹脂の少なくとも1種を用いることがよい。
電荷発生材料としては、ビスアゾ、トリスアゾ等のアゾ顔料;ジブロモアントアントロン等の縮環芳香族顔料;ペリレン顔料;ピロロピロール顔料;フタロシアニン顔料;酸化亜鉛;三方晶系セレン等が挙げられる。
電荷発生材料は、1種のみ使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料としては、特に制限はないが、感光体の高感度化の観点から、V型のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料がよい。
特に、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料としては、例えば、600nm以上900nm以下の波長域での分光吸収スペクトルにおいて、810nm以上839nm以下の範囲に最大ピーク波長を有するヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料がより優れた分散性が得られる観点から好ましい。電子写真感光体の材料として用いた場合に、優れた分散性と、十分な感度、帯電性及び暗減衰特性とが得られ易くなる。
ここで、平均粒径が0.20μmより大きい場合、又は比表面積が45m2/g未満である場合は、顔料粒子が粗大化しているか、又は顔料粒子の凝集体が形成される場合がある。そして、分散性や、感度、帯電性及び暗減衰特性といった特性に欠陥が生じやすい場合があり、それにより画質欠陥を生じ易くなることがある。
クロロガリウムフタロシアニン顔料としては、特に制限はないが、電子写真感光体材料として優れた感度が得られる、ブラッグ角度(2θ±0.2°)7.4°、16.6°、25.5°及び28.3°に回折ピークを有するものであることが好ましい。
クロロガリウムフタロシアニン顔料の好適な分光吸収スペクトルの最大ピーク波長、平均粒径、最大粒径、及び比表面積値は、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料と同様である。
正孔輸送材料としては、特に制限はないが、例えば、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール誘導体;1,3,5−トリフェニル−ピラゾリン、1−[ピリジル−(2)]−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノスチリル)ピラゾリン等のピラゾリン誘導体;トリフェニルアミン、N,N′−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン、トリ(p−メチルフェニル)アミニル−4−アミン、ジベンジルアニリン等の芳香族第3級アミノ化合物;N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−N,N′−ジフェニルベンジジン等の芳香族第3級ジアミノ化合物、3−(4′−ジメチルアミノフェニル)−5,6−ジ−(4′−メトキシフェニル)−1,2,4−トリアジン等の1,2,4−トリアジン誘導体;4−ジエチルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン等のヒドラゾン誘導体;2−フェニル−4−スチリル−キナゾリン等のキナゾリン誘導体;6−ヒドロキシ−2,3−ジ(p−メトキシフェニル)ベンゾフラン等のベンゾフラン誘導体;p−(2,2−ジフェニルビニル)−N,N−ジフェニルアニリン等のα−スチルベン誘導体;エナミン誘導体;N−エチルカルバゾール等のカルバゾール誘導体;ポリ−N−ビニルカルバゾール及びその誘導体等;上記した化合物で構成される基を主鎖又は側鎖に有する重合体;などが挙げられる。これらの正孔輸送材料は、1種又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、低級アルキル基としては、メチル基、エチル基が好ましい。
なお、フェニル基に置換し得る置換基としては、例えば、R1〜R6が示す低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロゲン原子が挙げられる。
・4−Me:フェニル基の4−位に置換するメチル基
・3−Me:フェニル基の3−位に置換するメチル基
・4−Cl:フェニル基の4−位に置換する塩素原子
・4−MeO:フェニル基の4−位に置換するメトキシ基
・4−F:フェニル基の4−位に置換するフッ素原子
・4−Pr:フェニル基の4−位に置換するプロピル基
・4−PhO:フェニル基の4−位に置換するフェノキシ基
なお、式(1)の正孔輸送材料以外の他の正孔輸送材料を含有させる場合の含有量としては、正孔輸送材料全体に対し、例えば25質量%以下の範囲が挙げられる。
なお、この正孔輸送材料の含有量は、2種以上の正孔輸送材料を併用した場合、それらの正孔輸送材料全体の含有量である。
電子輸送材料は、電子輸送材料としては、特に制限はないが、例えば、クロラニル、ブロモアニル等のキノン系化合物;テトラシアノキノジメタン系化合物;2,4,7−トリニトロフルオレノン、9−ジシアノメチレン−9−フルオレノン−4−カルボン酸オクチル、9−フルオレノン−4−カルボン酸オクチル、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物;2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール系化合物;キサントン系化合物;チオフェン化合物;3,3’−ジ−tert−ペンチル-ジナフトキノン等のジナフトキノン化合物;3,3’−ジ−tert−ブチル−5,5’−ジメチルジフェノキノン、3,3’,5,5’−テトラ−tert−ブチル−4,4’−ジフェノキノン等のジフェノキノン化合物;上記した化合物で構成される基を主鎖又は側鎖に有する重合体;などが挙げられる。これらの電子輸送材料は、1種又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
以下、下記一般式(2)で示される電子輸送材料について説明する。
一般式(2)中、R11〜R17が示すアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基等が挙げられる。
炭素数1以上12以下の直鎖状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル基等が挙げられる。
炭素数3以上10以下の分岐状のアルキル基としては、例えば、イソプロピル基、
イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、イソヘキシル基、sec−ヘキシル基、tert−ヘキシル基、イソヘプチル基、sec−ヘプチル基、tert−ヘプチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、イソノニル基、sec−ノニル基、tert−ノニル基、イソデシル基、sec−デシル基、tert−デシル基等が挙げられる。
L19が示すアルキレン基としては、直鎖状又は分岐状の炭素数1以上12以下のアルキレン基が挙げられ、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、sec−ブチレン基、tert−ブチレン基、n−ペンチレン基、イソペンチレン基、ネオペンチレン基、tert−ペンチレン基等が挙げられる。
R20が示すアルキル基としては、上記R11〜R17が示すアルキル基と同様の基が挙げられる。
なお、R18が示すアリール基は、アルキル基で置換されたアルキル置換アリール基であることが、溶解性の観点で好ましい。アルキル置換アリール基のアルキル基としては、R11〜R17が示すアルキル基と同様の基が挙げられる。
L21が示すアルキレン基としては、直鎖状又は分岐状の炭素数1以上12以下のアルキレン基が挙げられ、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、sec−ブチレン基、tert−ブチレン基、n−ペンチレン基、イソペンチレン基、ネオペンチレン基、tert−ペンチレン基等が挙げられる。
Arが示すアリール基としては、フェニル基、メチルフェニル基、ジメチルフェニル基エチルフェニル基等が挙げられる。
・Ph:フェニル基
なお、一般式(2)で表される電子輸送材料以外の電子輸送材料を含有させる場合の含有量としては、電子輸送材料全体に対し、10質量%以下の範囲であることが好ましい。
なお、この電子輸送材料の含有量は、2種以上の電子輸送材料を併用した場合、それらの電子輸送材料全体の含有量である。
正孔輸送材料と電子輸送材料との比率は、質量比(正孔輸送材料/電子輸送材料)で、50/50以上90/10以下が好ましく、より好ましくは60/40以上80/20以下である。
なお、本比率は、他の電荷輸送材料を併用した場合、その合計での比率である。
単層型の感光層には、界面活性剤、酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤等の周知のその他添加剤を含んでいてもよい。また、単層型の感光層が表面層となる場合、フッ素樹脂粒子、シリコーンオイル等を含んでいてもよい。
感光層の形成は、上記成分を溶剤に加えた感光層形成用塗布液を用いて行われる。具体的には、上記成分を溶剤に加えた後、粒子を分散させて得られた感光層形成用塗布液を導電性基体上(又は下引層を有する場合は下引層上)に塗布し、乾燥して単層型の感光層が形成される。
これらの中でも、吸光度比A1000/A830が25以下に制御し易くなる点で、サンドミル等のメディア分散機よりも、高圧ホモジナイザー等のメディアレス分散機を用いることが好ましい。
上記温度差は、感光層形成用塗布液の組成や塗布液内における電荷発生材料の分散状態によっても異なるが、例えば導電性基体が塗布対象であり、導電性基体の温度が25℃である場合、感光層形成用塗布液の温度としては、28℃以上35℃以下が挙げられる。
また、特定領域の厚みとしては、例えば0.1μm以上10μm以下が挙げられ、成長型色点及びゴーストの抑制の観点から、0.1μm以上6μm以下が好ましく、0.1μm以上5μm以下がより好ましい。
−下引層−
本実施形態に係る感光体は、導電性基体上に単層型の感光層が直接設けられていることが好ましいが、これに限られず、導電性基体上に下引層を介して単層型の感光層が設けられていてもよい。
下引層としては、特に限定されず、例えば、結着樹脂と電荷輸送材料(例えば上述した正孔輸送材料等)とを含む層、結着樹脂と無機粒子(例えば金属酸化物粒子)とを含む層、結着樹脂と樹脂粒子を含む層、硬化膜(架橋膜)で形成された層、硬化膜に種々の粒子を含む層等が挙げられる。
下引層に含まれる結着樹脂としては、例えば、アルコール可溶性ポリアミド樹脂、ポリビニル樹脂等が挙げられる。
下引層の形成は、例えば、下引層形成用塗布液を用い、浸漬塗布法にて導電性基体上に塗布し、乾燥させることで行う。
下引層の膜厚としては、例えば、0.1μm以上30μm以下の範囲が挙げられる。
本実施形態に係る感光体は、必要に応じて、感光層上に最表面層として保護層を設けてもよい。
保護層は特に限定されないが、例えば、硬化膜(架橋膜)で構成された層が挙げられる。
本実施形態に係る画像形成装置は、電子写真感光体と、電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、トナーを含む現像剤により電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、を備える。そして、電子写真感光体として、上記本実施形態に係る電子写真感光体が適用される。
本実施形態に係る画像形成装置100は、図2に示すように、電子写真感光体7を備えるプロセスカートリッジ300と、露光装置9(静電潜像形成手段の一例)と、転写装置40(一次転写装置)と、中間転写体50とを備える。なお、画像形成装置100において、露光装置9はプロセスカートリッジ300の開口部から電子写真感光体7に露光し得る位置に配置されており、転写装置40は中間転写体50を介して電子写真感光体7に対向する位置に配置されており、中間転写体50はその一部が電子写真感光体7に接触して配置されている。図示しないが、中間転写体50に転写されたトナー像を記録媒体(例えば用紙)に転写する二次転写装置も有している。なお、中間転写体50、転写装置40(一次転写装置)、及び二次転写装置(不図示)が転写手段の一例に相当する。
帯電装置8としては、例えば、導電性又は半導電性の帯電ローラ、帯電ブラシ、帯電フィルム、帯電ゴムブレード、帯電チューブ等を用いた接触型帯電器が使用される。また、非接触方式のローラ帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン帯電器やコロトロン帯電器等のそれ自体公知の帯電器等も使用される。
露光装置9としては、例えば、電子写真感光体7表面に、半導体レーザ光、LED光、液晶シャッタ光等の光を、定められた像様に露光する光学系機器等が挙げられる。光源の波長は電子写真感光体の分光感度領域内とする。半導体レーザの波長としては、780nm付近に発振波長を有する近赤外が主流である。しかし、この波長に限定されず、600nm台の発振波長レーザや青色レーザとして400nm以上450nm以下に発振波長を有するレーザも利用してもよい。また、カラー画像形成のためにはマルチビームを出力し得るタイプの面発光型のレーザ光源も有効である。
現像装置11としては、例えば、現像剤を接触又は非接触させて現像する一般的な現像装置が挙げられる。現像装置11としては、上述の機能を有している限り特に制限はなく、目的に応じて選択される。例えば、一成分系現像剤又は二成分系現像剤をブラシ、ローラ等を用いて電子写真感光体7に付着させる機能を有する公知の現像器等が挙げられる。中でも現像剤を表面に保持した現像ローラを用いるものが好ましい。
クリーニング装置13は、クリーニングブレード131を備えるクリーニングブレード方式の装置が用いられる。
なお、クリーニングブレード方式以外にも、ファーブラシクリーニング方式、現像同時クリーニング方式を採用してもよい。
転写装置40としては、例えば、ベルト、ローラ、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触型転写帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン転写帯電器やコロトロン転写帯電器等のそれ自体公知の転写帯電器が挙げられる。
中間転写体50としては、半導電性を付与したポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ゴム等を含むベルト状のもの(中間転写ベルト)が使用される。また、中間転写体の形態としては、ベルト状以外にドラム状のものを用いてもよい。
図3に示す画像形成装置120は、プロセスカートリッジ300を4つ搭載したタンデム方式の多色画像形成装置である。画像形成装置120では、中間転写体50上に4つのプロセスカートリッジ300がそれぞれ並列に配置されており、1色に付き1つの電子写真感光体が使用される構成となっている。なお、画像形成装置120は、タンデム方式であること以外は、画像形成装置100と同様の構成を有している。
−感光層形成用塗布液の製造−
電荷発生材料としてCukα特性X線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)が少なくとも7.3゜、16.0゜、24.9゜、8.0゜の位置に回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料(以下「HOGaPC」ともいう)1.2部と、結着樹脂としてビスフェノールZポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量:5万)46.8部と、前記一般式(2)で表される電子輸送材料である例示化合物(2−1)15部と、前記一般式(1)で表される正孔輸送材料である例示化合物(1−1)37部と、溶剤としてテトラヒドロフラン250部と、からなる混合物を、直径1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて4時間分散し、感光層形成用塗布液を得た。
得られた感光層形成用塗布液を27℃に制御しながら、浸漬塗布法にて、直径30mm、長さ244.5mmであり、温度を25℃に制御されたアルミニウム基材上に塗布し、140℃、30分の乾燥硬化を行い、膜厚30μmの単層型の感光層を形成した。
以上の工程を経て、実施例1における電子写真感光体を作製した。
感光層の形成において、感光層形成用塗布液を表1に示す温度に制御した以外は、実施例1と同様にして、実施例2における電子写真感光体を作製した。
感光層形成用塗布液の製造において、用いた電荷発生材料の種類を、Cukα特性X線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)が少なくとも7.4゜、16.6゜、25.5゜、28.3゜の位置に回折ピークを有するクロロガリウムフタロシアニン顔料(以下「ClGaPC」ともいう)に変更した以外は、実施例1及び実施例2と同様にして、それぞれ、実施例3における電子写真感光体及び実施例4における電子写真感光体を作製した。
感光層形成用塗布液の製造において、用いた電荷発生材料の種類を、Cukα特性X線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)が少なくとも7.3゜、16.0゜、24.9゜、28.0゜の位置に回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料(HOGaPC)と、Cukα特性X線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)が少なくとも7.4゜、16.6゜、25.5゜、28.3゜の位置に回折ピークを有するクロロガリウムフタロシアニン顔料(ClGaPC)と、の1:1(質量比 HOGaPC:ClGaPC)混合物とした以外は、実施例1と同様にして、実施例5における電子写真感光体を作製した。
感光層形成用塗布液の製造において、用いた電荷発生材料の種類を、Cukα特性X線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)が少なくとも7.3゜、16.0゜、24.9゜、28.0゜の位置に回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料(HOGaPC)と、Cukα特性X線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)が少なくとも7.4゜、16.6゜、25.5゜、28.3゜の位置に回折ピークを有するクロロガリウムフタロシアニン顔料(ClGaPC)と、の1:2(質量比 HOGaPC:ClGaPC)混合物とした以外は、実施例2と同様にして、実施例6における電子写真感光体を作製した。
感光層の形成において、感光層形成用塗布液を表1に示す温度に制御した以外は、実施例1と同様にして、実施例7における電子写真感光体を作製した。
感光層形成用塗布液の製造において、電荷発生材料の添加量を3部、結着樹脂の添加量を50部、電子輸送材料の添加量を20部、正孔輸送材料の添加量を20部に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例8における電子写真感光体を作製した。
感光層形成用塗布液の製造において、電荷発生材料の添加量を5部、結着樹脂の添加量を50部、電子輸送材料の添加量を20部、正孔輸送材料の添加量を20部に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例9における電子写真感光体を作製した。
感光層の形成において、単層型の感光層の膜厚を20μmとした以外は、実施例1と同様にして、実施例10における電子写真感光体を作製した。
感光層の形成において、単層型の感光層の膜厚を40μmとした以外は、実施例1と同様にして、実施例11における電子写真感光体を作製した。
感光層の形成において、感光層形成用塗布液を表1に示す温度に制御した以外は、実施例1と同様にして、それぞれ、比較例1における電子写真感光体、比較例2における電子写真感光体、及び比較例3における電子写真感光体を作製した。
感光層形成用塗布液の製造において、用いた電荷発生材料の種類を、Cukα特性X線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)が少なくとも7.4゜,16.6゜,25.5゜,28.3゜の位置に回折ピークを有するクロロガリウムフタロシアニン顔料(ClGaPC)に変更した以外は、比較例1及び比較例2と同様にして、それぞれ比較例4における電子写真感光体及び比較例5における電子写真感光体を作製した。
得られた各電子写真感光体について、以下の評価を行った。その結果を表3に示す。
Brother社製HL2270DWに、得られた電子写真感光体を取り付けた改造機を用いて画質評価を行った。
具体的には、上記改造機を用い、50%ハーフトーン画像を形成し、10枚目、1000枚、50000枚目の画像の点欠陥を以下に示した基準で評価した。評価方法の詳細としては、得られた画像の点欠陥(色点)を3つの大きさに分類し、各々の大きさの点欠陥の個数が基準に対して最も悪くなる評価を与えることとした。
評価基準は下記表2の通りである。なお、評価基準「6」以上であると実用上問題を生ずることがあると評価する。
Brother社製HL2270DWに、得られた電子写真感光体を取り付けた改造機を用いてゴースト評価を行った。
具体的には、上記改造機を用い、10℃、湿度15%の条件下にて、プロセススピード180mm/secで10枚画像形成した後、次のサイクルで全面ハーフトーン画像を印字し、ハーフトーン画像上に浮き出たゴースト画像を以下の基準に基づいて目視で評価し下記のとおりに分類した。同様に、プロセススピード180mm/secで1000枚画像形成した後の次サイクルにおける全面ハーフトーン画像、及びプロセススピード180mm/secで50000枚画像形成した後の次サイクルにおける全面ハーフトーン画像についてもゴースト評価を行った。
G1:発生なし。
G2:極軽微に発生。
G3:軽微に発生。実使用上問題なし。
G4:軽微に発生。実使用上問題あり。
G5:発生
Claims (12)
- 導電性基体と、
前記導電性基体上に設けられ結着樹脂と電荷発生材料とを含有する単層型の感光層であって、前記導電性基体側の領域に前記電荷発生材料が存在せず、かつ、前記電荷発生材料が存在しない前記導電性基体側の領域の厚みは前記単層型の感光層における膜厚の1%以上15%以下である単層型の感光層と、
を有する電子写真感光体。 - 前記電荷発生材料が存在しない前記導電性基体側の領域の厚みは、前記単層型の感光層における膜厚の1%以上10%以下である請求項1に記載の電子写真感光体。
- 前記電荷発生材料が存在しない前記導電性基体側の領域の厚みは、前記単層型の感光層における膜厚の1%以上5%以下である請求項2に記載の電子写真感光体。
- 前記電荷発生材料は、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料及びクロロガリウムフタロシアニン顔料の少なくとも一方を含む請求項1に記載の電子写真感光体。
- 前記電荷発生材料の含有量は、前記単層型の感光層全体に対し、0.5質量%以上10質量%以下である請求項4に記載の電子写真感光体。
- 前記電荷発生材料の含有量は、前記単層型の感光層全体に対し、1質量%以上7質量%以下である請求項5に記載の電子写真感光体。
- 前記単層型の感光層は、正孔輸送材料を含有する請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
- 前記単層型の感光層は、電子輸送材料を含有する請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
- 請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の電子写真感光体を備え、
画像形成装置に着脱するプロセスカートリッジ。 - 請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、
前記電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
トナーを含む現像剤により、前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
を備える画像形成装置。
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