JP6477325B2 - 電子写真感光体、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置 - Google Patents
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請求項1に係る発明は、
導電性基体と、
前記導電性基体上に設けられた単層型の感光層であって、結着樹脂と、電荷発生材料と、正孔輸送材料と、電子輸送材料と、下記一般式(1)で表される化合物と、を含む感光層と、
を有する電子写真感光体。
前記一般式(1)で表される化合物の含有量は、前記感光層全体に対し1質量%以上20質量%以下である請求項1に記載の電子写真感光体。
前記電子輸送材料が下記一般式(2)で表される化合物を含有する請求項1又は請求項2に記載の電子写真感光体。
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の電子写真感光体を備え、
画像形成装置に着脱するプロセスカートリッジ。
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、
前記電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
トナーを含む現像剤により、前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
を備える画像形成装置。
本実施形態に係る電子写真感光体(以下、「感光体」と称することがある)は、導電性基体を備え、導電性基体上に単層型の感光層を有する正帯電有機感光体(以下、「単層型感光体」と称することがある)である。
そして単層型の感光層は、結着樹脂と、電荷発生材料と、正孔輸送材料と、電子輸送材料と、一般式(1)で表される化合物(以下「特定トリフェニレン」と称する場合がある)と、を含む。
なお、単層型の感光層とは、電荷発生能と共に、正孔輸送性及び電子輸送性を持つ感光層である。
一方、特定トリフェニレンは、トリフェニレン骨格における外側のベンゼン環3つすべてに「−O−L1−R1」及び「−O−L1−R2」が結合しており、対称性が高いため化合物全体の双極子モーメントが小さい。そのため、単層型の感光層に特定トリフェニレンを添加することで、感光層の帯電性が向上することにより暗減衰が抑制され、帯電維持性も向上すると考えられる。
また、特定トリフェニレンは、トリフェニレン骨格が電荷輸送性の高いπ共役電子を有しており、感光層中の正孔輸送性及び電子輸送性を阻害しにくい。それに加え、3つのベンゼン環に「−O−L1−」を介して「−R1」及び「−R2」が結合しているため、特定トリフェニレンは、感光層に含まれる他の成分(結着樹脂、電荷発生材料、正孔輸送材料、及び電子輸送材料)との親和性が高い。そのため、感光層全体にわたって高い電荷輸送性を維持でき、帯電維持性も向上すると推測される。
以上の理由により、本実施形態では、電子写真感光体の表面における帯電維持性が良好となると推測される。
図1は、本実施形態に係る電子写真感光体10の一部の断面を概略的に示している。
図1に示した電子写真感光体10は、例えば、導電性基体3を備え、導電性基体3上に、下引層1及び単層型の感光層2がこの順で設けられて構成されている。
なお、下引層1は、必要に応じて設けられる層である。即ち、単層型の感光層2は、導電性基体3上に直接設けられていてもよく、下引層1を介して設けられてもよい。
また、必要に応じてその他の層を設けてもよい。具体的には、例えば、必要に応じて、単層型の感光層2上に保護層を設けてもよい。
導電性基体としては、例えば、金属(アルミニウム、銅、亜鉛、クロム、ニッケル、モリブデン、バナジウム、インジウム、金、白金等)又は合金(ステンレス鋼等)を含む金属板、金属ドラム、及び金属ベルト等が挙げられる。また、導電性基体としては、例えば、導電性化合物(例えば導電性ポリマー、酸化インジウム等)、金属(例えばアルミニウム、パラジウム、金等)又は合金を塗布、蒸着又はラミネートした紙、樹脂フィルム、ベルト等も挙げられる。ここで、「導電性」とは体積抵抗率が1013Ωcm未満であることをいう。
酸性処理液による処理は、例えば、以下のようにして実施される。先ず、リン酸、クロム酸及びフッ酸を含む酸性処理液を調製する。酸性処理液におけるリン酸、クロム酸及びフッ酸の配合割合は、例えば、リン酸が10質量%以上11質量%以下の範囲、クロム酸が3質量%以上5質量%以下の範囲、フッ酸が0.5質量%以上2質量%以下の範囲であって、これらの酸全体の濃度は13.5質量%以上18質量%以下の範囲がよい。処理温度は例えば42℃以上48℃以下が好ましい。被膜の膜厚は、0.3μm以上15μm以下が好ましい。
下引層は、例えば、無機粒子と結着樹脂とを含む層である。
これらの中でも、上記抵抗値を有する無機粒子としては、例えば、酸化錫粒子、酸化チタン粒子、酸化亜鉛粒子、酸化ジルコニウム粒子等の金属酸化物粒子がよく、特に、酸化亜鉛粒子が好ましい。
無機粒子の体積平均粒径は、例えば、50nm以上2000nm以下(好ましくは60nm以上1000nm以下)がよい。
特に、電子受容性化合物としては、アントラキノン構造を有する化合物が好ましい。アントラキノン構造を有する化合物としては、例えば、ヒドロキシアントラキノン化合物、アミノアントラキノン化合物、アミノヒドロキシアントラキノン化合物等が好ましく、具体的には、例えば、アントラキノン、アリザリン、キニザリン、アントラルフィン、プルプリン等が好ましい。
下引層に用いる結着樹脂としては、例えば、電荷輸送性基を有する電荷輸送性樹脂、導電性樹脂(例えばポリアニリン等)等も挙げられる。
これら結着樹脂を2種以上組み合わせて使用する場合には、その混合割合は、必要に応じて設定される。
添加剤としては、多環縮合系、アゾ系等の電子輸送性顔料、ジルコニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物、アルミニウムキレート化合物、チタニウムアルコキシド化合物、有機チタニウム化合物、シランカップリング剤等の公知の材料が挙げられる。シランカップリング剤は前述のように無機粒子の表面処理に用いられるが、添加剤として更に下引層に添加してもよい。
下引層の表面粗さ(十点平均粗さ)は、モアレ像抑制のために、使用される露光用レーザ波長λの1/4n(nは上層の屈折率)から1/2λまでに調整されていることがよい。
表面粗さ調整のために下引層中に樹脂粒子等を添加してもよい。樹脂粒子としてはシリコーン樹脂粒子、架橋型ポリメタクリル酸メチル樹脂粒子等が挙げられる。また、表面粗さ調整のために下引層の表面を研磨してもよい。研磨方法としては、バフ研磨、サンドブラスト処理、湿式ホーニング、研削処理等が挙げられる。
これらの溶剤として具体的には、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロロベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤が挙げられる。
図示は省略するが、下引層と感光層との間に中間層をさらに設けてもよい。
中間層は、例えば、樹脂を含む層である。中間層に用いる樹脂としては、例えば、アセタール樹脂(例えばポリビニルブチラール等)、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、カゼイン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂等の高分子化合物が挙げられる。
中間層は、有機金属化合物を含む層であってもよい。中間層に用いる有機金属化合物としては、ジルコニウム、チタニウム、アルミニウム、マンガン、ケイ素等の金属原子を含有する有機金属化合物等が挙げられる。
これらの中間層に用いる化合物は、単独で又は複数の化合物の混合物若しくは重縮合物として用いてもよい。
中間層を形成する塗布方法としては、浸漬塗布法、突き上げ塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、ブレード塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が用いられる。
単層型の感光層は、結着樹脂と、電荷発生材料と、正孔輸送材料と、電子輸送材料と、前記特定トリフェニレンと、を含み、必要に応じてその他添加剤を含んでもよい。
結着樹脂としては、特に制限はないが、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコーン樹脂、シリコーンアルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシラン等が挙げられる。これらの結着樹脂は、単独又は2種以上混合して用いてもよい。
本実施形態では、単層型の感光層が特定トリフェニレンを含ことにより感光層全体の比誘電率が高くなりにくく、帯電維持性が得られやすい。
また、感光層の成膜性の観点から、結着樹脂として、例えば、粘度平均分子量30000以上80000以下のポリカーボネート樹脂及び粘度平均分子量30000以上80000以下のポリアリレート樹脂がよい。
電荷発生材料としては、これら顔料を単独で用いてもよいが、必要に応じて併用してもよい。そして、電荷発生材料としては、感光体の高感度化、及び画像の点欠陥抑制の観点から、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料がよい。
特に、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料としては、例えば、600nm以上900nm以下の波長域での分光吸収スペクトルにおいて、810nm以上839nm以下の範囲に最大ピーク波長を有するヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料がより優れた分散性が得られる観点から望ましい。電子写真感光体の材料として用いた場合に、優れた分散性と、十分な感度、帯電性及び暗減衰特性とが得られ易くなる。
ここで、平均粒径が0.20μmより大きい場合、又は比表面積値が45m2/g未満である場合は、顔料粒子が粗大化しているか、又は顔料粒子の凝集体が形成される場合がある。そして、分散性や、感度、帯電性及び暗減衰特性といった特性に欠陥が生じやすい場合があり、それにより画質欠陥が生じ易くなることがある。
クロロガリウムフタロシアニン顔料の好適な分光吸収スペクトルの最大ピーク波長、平均粒径、最大粒径、及び比表面積値は、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料と同様である。
正孔輸送材料としては、例えば、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物等の化合物が挙げられる。これらの正孔輸送材料は1種を単独で又は2種以上を混合して用いられるが、これらに限定されるものではない。
上記各基の置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基が挙げられる。また、上記各基の置換基としては、炭素数1以上3以下のアルキル基で置換された置換アミノ基も挙げられる。
電子輸送材料としては、例えば、p−ベンゾキノン、クロラニル、ブロマニル、アントラキノン等のキノン系化合物;テトラシアノキノジメタン系化合物;2,4,7−トリニトロフルオレノン等のフルオレノン化合物;キサントン系化合物;ベンゾフェノン系化合物;シアノビニル系化合物;エチレン系化合物等の電子輸送性化合物が挙げられる。これらの電子輸送材料は1種を単独で又は2種以上を混合して用いられるが、これらに限定されるものではない。
分岐状のアルキル基としては、例えば、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、イソヘキシル基、sec−ヘキシル基、tert−ヘキシル基、イソヘプチル基、sec−ヘプチル基、tert−ヘプチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、イソノニル基、sec−ノニル基、tert−ノニル基、イソデシル基、sec−デシル基、tert−デシル基等が挙げられる。これらの中でも、アルキル基の炭素数は、1以上4以下がより好ましく、1以上3以下がさらに好ましい。
Ar114が示すアリール基は、前記一般式(2)中、R11、R12、R13、R14、R15、R16、及びR17が示すアリール基と同様のものが挙げられ、アリール基が有する置換基についても同様である。
直鎖状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等が挙げられる。
分岐状のアルキル基としては、例えば、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、イソヘキシル基、sec−ヘキシル基、tert−ヘキシル基、イソヘプチル基、sec−ヘプチル基、tert−ヘプチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、イソノニル基、sec−ノニル基、tert−ノニル基、イソデシル基、sec−デシル基、tert−デシル基等が挙げられる。
環状のアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロへプチル基、シクロオクチル基等が挙げられる。
L111が示すアルキレン基としては、直鎖状又は分岐状の炭素数1以上12以下のアルキレン基が挙げられ、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、sec−ブチレン基、tert−ブチレン基、n−ペンチレン基、イソペンチレン基、ネオペンチレン基、tert−ペンチレン基等が挙げられる。
R112が示すアルキル基としては、上記R11、R12、R13、R14、R15、R16、及びR17が示すアルキル基と同様の基が挙げられる。
なお、アリール基がさらにアルキル基又はアルコキシ基で置換されていることが、溶解性の観点で好ましい。アリール基に置換されるアルキル基又はアルコキシ基としては、上記のR11、R12、R13、R14、R15、R16、及びR17が示すアルキル基又はアルコキシ基と同様の基が挙げられる。例えば、アルキル基又はアルコキシ基で置換されたアリール基としては、メチルフェニル基(トリル基)、ジメチルフェニル基、エチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基、(p−tert−ブチルフェニル等)、メトキシフェニル基(p−メトキシフェニル基等)、エトキシフェニル基等が挙げられる。
R115が示すアルキレン基としては、直鎖状又は分岐状の炭素数1以上12以下のアルキレン基が挙げられ、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、sec−ブチレン基、tert−ブチレン基、n−ペンチレン基、イソペンチレン基、ネオペンチレン基、tert−ペンチレン基等が挙げられる。
Ar116が示すアリール基としては、フェニル基、メチルフェニル基、ジメチルフェニル基、エチルフェニル基等が挙げられる。
なお、後述する一般式(1)で表される化合物におけるR1及びR2の炭素数がそれぞれ独立に8以上である場合は、一般式(2)で表される電子輸送材料として、R18が炭素数1以上4以下のアルキル基、又は総炭素数1以上4以下の−L111−O−R112で示される基である化合物も好ましく用いられる。R18の炭素数が小さい化合物はR18の炭素数が大きい化合物に比べて融解温度が高いため、一般式(2)で表される電子輸送材料としてR18の炭素数が小さい化合物を用いると、電子写真感光体の表面へのトナーの固着がさらに抑制される。
なお、本比率における「電子輸送材料」とは、電子輸送材料を2種以上併用した場合、その合計であり、正孔輸送材料についても同様である。
前記の通り、単層型の感光層は、添加剤として特定トリフェニレン(下記一般式(1)で表される化合物)を含む。特定トリフェニレンは、1種のみ用いてもよく、2種以上併用してもよい。
直鎖状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等が挙げられる。
分岐状のアルキル基としては、例えば、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、イソヘキシル基、sec−ヘキシル基、tert−ヘキシル基、イソヘプチル基、sec−ヘプチル基、tert−ヘプチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、イソノニル基、sec−ノニル基、tert−ノニル基、イソデシル基、sec−デシル基、tert−デシル基等が挙げられる。
環状のアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロへプチル基、シクロオクチル基等が挙げられる。
無置換のアルキル基の炭素数は、帯電維持性の観点及び感光層に含まれる他の材料との相溶性の観点から、3以上8以下がより好ましく、4以上6以下がさらに好ましい。
R3、R4、及びR5が示すアルキル基としては、上記R1及びR2が示す無置換のアルキル基のうち炭素数1以上4以下のアルキル基が挙げられる。
L61が示すアルキレン基としては、直鎖状又は分岐状のアルキレン基が挙げられ、例えば、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、sec−ブチレン基、tert−ブチレン基、n−ペンチレン基、イソペンチレン基、ネオペンチレン基、tert−ペンチレン基等が挙げられる。
R61が示すアルキル基としては、上記R1及びR2が示す無置換のアルキル基と同様の基が挙げられる。
無置換のアルキルエーテル基の総炭素数は、帯電維持性の観点及び感光層に含まれる他の材料との相溶性の観点から、2以上10以下がより好ましく、4以上8以下がさらに好ましい。
無置換のアルキルエーテル基におけるエーテル結合の数(−(L61−O)a−R61で示される基におけるaの値)は、相溶性の観点から、1以上2以下が好ましい。
置換のアルキルエーテル基が有する置換基としては、例えば、−SiR3R4R5、フェニル基等が挙げられ、R3、R4、及びR5は前述の通りである。
置換基としてフェニル基を含まない場合、置換のアルキルエーテル基における総炭素数(置換基の炭素も含む数)は、帯電維持性の観点及び感光層に含まれる他の材料との相溶性の観点から、2以上14以下が好ましく、2以上10以下がより好ましく、4以上8以下がさらに好ましい。置換基としてフェニル基を含む場合、置換のアルキルエーテル基における総炭素数(置換基の炭素も含む数)は、帯電維持性の観点及び感光層に含まれる他の材料との相溶性の観点から、8以上18以下が好ましく、8以上12以下がより好ましい。
L62及びL63が示すアルキレン基としては、上記L61が示すアルキレン基と同様の基が挙げられる。またR62及びR63が示すアルキル基としては、上記R61が示すアルキル基と同様の基が挙げられる。
無置換のアルキルエステル基の総炭素数は、帯電維持性の観点及び感光層に含まれる他の材料との相溶性の観点から、4以上8以下がより好ましく、4以上6以下がさらに好ましい。
無置換のアルキルエステル基におけるエステル結合の数(−(L62−O−CO)b−R62で示される基におけるbの値、又は−(L63−CO−O)c−R63で示される基におけるcの値)は、膜強度の観点から、1以上3以下が好ましく、1以上2以下がより好ましく、1がさらに好ましい。
置換のアルキルエステル基が有する置換基としては、例えば、−SiR3R4R5、フェニル基等が挙げられ、R3、R4、及びR5は前述の通りである。
置換基としてフェニル基を含まない場合、置換のアルキルエステル基における総炭素数(置換基の炭素も含む数)は、帯電維持性の観点及び感光層に含まれる他の材料との相溶性の観点から、3以上15以下が好ましく、3以上8以下がより好ましく、3以上6以下がさらに好ましい。置換基としてフェニル基を含む場合、置換のアルキルエステル基における総炭素数(置換基の炭素も含む数)は、帯電維持性の観点及び感光層に含まれる他の材料との相溶性の観点から、9以上19以下が好ましく、9以上12以下がより好ましい。
L64が示すアルキレン基としては、直鎖状又は分岐状のアルキレン基が挙げられ、例えば、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、sec−ブチレン基、tert−ブチレン基、n−ペンチレン基、イソペンチレン基、ネオペンチレン基、tert−ペンチレン基等が挙げられる。
Ar64が示すアリール基としては、例えば、フェニル基、ビフェニリル基、ナフチル基等が挙げられる。
アリール骨格の水素を置換するアルキル基としては、上記R1及びR2が示す無置換のアルキル基が挙げられ、炭素数1以上6以下のアルキル基が好ましく、炭素数1以上4以下のアルキル基がより好ましく、炭素数1以上2以下のアルキル基がさらに好ましい。
アリール骨格の水素がアルキル基で置換されたアラルキル基としては、例えば、メチルベンジル基、ジメチルベンジル基、フェニルエチル基、メチルフェニルエチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基等が挙げられる。
一般式(1)中のR1及びR2はいずれも、炭素−炭素二重結合を有さないことが好ましく、炭素−炭素二重結合及び炭素−炭素三重結合を有さないことがより好ましい。
なお、一般式(1)中のR1とR2とは、同じであっても異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。
特定トリフェニレンの含有量が上記範囲であることにより、上記範囲よりも少ない場合に比べてさらに帯電維持性が良好となる。また、特定トリフェニレンの含有量が上記範囲であることにより、上記範囲よりも多い場合に比べて、感光層の膜硬度が高く、膜の結晶化が抑制され、感光層表面のキズがつきにくくなるとともに、電気特性の制御がしやすい。
感光層の全固形分に対する特定トリフェニレンの含有量は、5質量%以上15質量%以下がより好ましく、5質量%以上12質量%以下が特に好ましい。
単層型の感光層には、界面活性剤、酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤等の周知のその他添加剤を含んでいてもよい。また、単層型の感光層が表面層となる場合、フッ素樹脂粒子、シリコーンオイル等を含んでいてもよい。
単層型の感光層は、上記成分を溶剤に加えた感光層形成用塗布液を用いて形成される。
溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類、アセトン、2−ブタノン等のケトン類、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類、テトラヒドロフラン、エチルエーテル等の環状若しくは直鎖状のエーテル類等の通常の有機溶剤が挙げられる。これら溶剤は単独又は2種以上混合して用いる。
本実施形態に係る画像形成装置は、電子写真感光体と、電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、トナーを含む現像剤により電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、を備える。そして、電子写真感光体として、上記本実施形態に係る電子写真感光体が適用される。
本実施形態に係る画像形成装置100は、図2に示すように、電子写真感光体7を備えるプロセスカートリッジ300と、露光装置9(静電潜像形成手段の一例)と、転写装置40(一次転写装置)と、中間転写体50とを備える。なお、画像形成装置100において、露光装置9はプロセスカートリッジ300の開口部から電子写真感光体7に露光し得る位置に配置されており、転写装置40は中間転写体50を介して電子写真感光体7に対向する位置に配置されており、中間転写体50はその一部が電子写真感光体7に接触して配置されている。図示しないが、中間転写体50に転写されたトナー像を記録媒体(例えば用紙)に転写する二次転写装置も有している。なお、中間転写体50、転写装置40(一次転写装置)、及び二次転写装置(不図示)が転写手段の一例に相当する。
帯電装置8としては、例えば、導電性又は半導電性の帯電ローラ、帯電ブラシ、帯電フィルム、帯電ゴムブレード、帯電チューブ等を用いた接触型帯電器が使用される。また、非接触方式のローラ帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン帯電器やコロトロン帯電器等のそれ自体公知の帯電器等も使用される。
露光装置9としては、例えば、電子写真感光体7表面に、半導体レーザ光、LED光、液晶シャッタ光等の光を、定められた像様に露光する光学系機器等が挙げられる。光源の波長は電子写真感光体の分光感度領域内とする。半導体レーザの波長としては、780nm付近に発振波長を有する近赤外が主流である。しかし、この波長に限定されず、600nm台の発振波長レーザや青色レーザとして400nm以上450nm以下に発振波長を有するレーザも利用してもよい。また、カラー画像形成のためにはマルチビームを出力し得るタイプの面発光型のレーザ光源も有効である。
現像装置11としては、例えば、現像剤を接触又は非接触させて現像する一般的な現像装置が挙げられる。現像装置11としては、上述の機能を有している限り特に制限はなく、目的に応じて選択される。例えば、一成分系現像剤又は二成分系現像剤をブラシ、ローラ等を用いて電子写真感光体7に付着させる機能を有する公知の現像器等が挙げられる。中でも現像剤を表面に保持した現像ローラを用いるものが好ましい。
クリーニング装置13は、クリーニングブレード131を備えるクリーニングブレード方式の装置が用いられる。
なお、クリーニングブレード方式以外にも、ファーブラシクリーニング方式、現像同時クリーニング方式を採用してもよい。
転写装置40としては、例えば、ベルト、ローラ、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触型転写帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン転写帯電器やコロトロン転写帯電器等のそれ自体公知の転写帯電器が挙げられる。
中間転写体50としては、半導電性を付与したポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ゴム等を含むベルト状のもの(中間転写ベルト)が使用される。また、中間転写体の形態としては、ベルト状以外にドラム状のものを用いてもよい。
図3に示す画像形成装置120は、プロセスカートリッジ300を4つ搭載したタンデム方式の多色画像形成装置である。画像形成装置120では、中間転写体50上に4つのプロセスカートリッジ300がそれぞれ並列に配置されており、1色に付き1つの電子写真感光体が使用される構成となっている。なお、画像形成装置120は、タンデム方式であること以外は、画像形成装置100と同様の構成を有している。
−下引層の形成−
ジルコニウム化合物(ジルコニウムトリブトキシモノアセチルアセトネート、製品名:オルガチックスZC540、マツモトファインケミカル社製)10部と、シラン化合物(3−アミノプロピルトリメトキシシラン、製品名:A1110、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)1部と、イソプロパノール40部と、ブタノール20部と、を混合し、攪拌して下引層形成用塗布液を得た。
得られた下引層形成用塗布液を、浸漬塗布法にて、直径30mm、長さ245mmのアルミニウム基体上に塗布し、160℃において15分間の加熱乾燥を行い、厚さ0.1μmの下引層を形成した。
電荷発生物質としてのCukα特性X線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)が少なくとも7.3゜,16.0゜,24.9゜,28.0゜の位置に回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン0.5質量部、並びに7.4°、16.6°、25.5°、および28.3°に強い回折ピークを有するクロロガリウムフタロシアニン1質量部と、結着樹脂としてのポリカーボネートZ樹脂49.5質量部と、テトラヒドロフラン300質量部と、の混合物を、直径1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて6時間分散した。
得られた感光層形成用塗布液を下引層上に浸漬塗布し、130℃、45分乾燥して、膜厚が22μmの単層型の感光層を形成し、感光体1を得た。
以上の工程を経て、電子写真感光体を作製した。
表1に従って、下引層の有無、感光層形成用塗布液に用いる正孔輸送材料、電子輸送材料、及び特定トリフェニレン(一般式(1)で表される化合物)の種類を変更し、かつ、結着樹脂及び特定トリフェニレンの添加量を調整することで感光層(すなわち感光層形成用塗布液の固形分)全体に対する特定トリフェニレンの含有量を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体(感光体2〜13、比較感光体1〜3)を作製した。なお、下引層を設けない場合は、アルミニウム基体上に直接感光層形成用塗布液を塗布して単層型の感光層を形成した。表1中の括弧内の数値(含有量)は感光層形成用塗布液の固形分全体に対する特定トリフェニレンの含有量(質量%)を表し、「−」は該当する成分を添加していないことを表す。
特定トリフェニレンの代わりに、他の添加剤として下記化合物(T−1)を用い、かつ、結着樹脂及び化合物(T−1)の添加量を調整することで感光層(すなわち感光層形成用塗布液の固形分)全体に対する化合物(T−1)の含有量を表1に示すようにした以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体(比較感光体4)を作製した。なお表1中の括弧内の数値(含有量)は感光層形成用塗布液の固形分全体に対する化合物(T−1)の含有量(質量%)を表し、「−」は該当する成分を添加していないことを表す。
−正孔輸送材料−
・HT−2: 一般式(B−1)で表されるトリアリールアミン誘導体の例示化合物(HT−2)
・2−3:一般式(2)で表される電子輸送材料の例示化合物(2−3)
・2−10:一般式(2)で表される電子輸送材料の例示化合物(2−10)
・2−11:一般式(2)で表される電子輸送材料の例示化合物(2−11)
・ET−B:一般式(2)で表される電子輸送材料以外の電子輸送材料の具体例化合物(ET−B)
・ET−F:一般式(2)で表される電子輸送材料以外の電子輸送材料の具体例化合物(ET−F)
・1−1:一般式(1)で表される特定トリフェニレンの例示化合物(1−1)
・1−2:一般式(1)で表される特定トリフェニレンの例示化合物(1−2)
・1−3:一般式(1)で表される特定トリフェニレンの例示化合物(1−3)
・1−4:一般式(1)で表される特定トリフェニレンの例示化合物(1−4)
・1−6:一般式(1)で表される特定トリフェニレンの例示化合物(1−6)
・T−1:前記化合物(T−1)
得られた各電子写真感光体について、以下の評価を行った。その結果を表2に示す。
感光体の外周面に、オレイン酸1質量%ヘキサン溶液を0.5ml噴霧し、室温(25℃)で1週間放置し、感光体表面のクラックを以下の基準で評価した。なお、用いた顕微鏡はデジタルマイクロスコープ(キーエンス社製、型番:VHX−700)であり、700倍に拡大して観察した。
A:顕微鏡で観察して問題なし(クラックが観察されない)
B:顕微鏡観察で微細なクラック発生するが実用上問題なし(目視でクラックが観察されない)
C:目視でクラックが確認される
室温30℃、湿度85%の環境下で、Brother社製HL-2360DWの帯電器にTREC社製の外部電源(MODEL610C)を取り付ける改造を施し、帯電電位+800Vとして、5%ハーフトーンで1万枚の画像形成を行った。その後、感光体表面におけるトナーフィルミングの有無及び1万枚目の画像の画質を以下の基準で評価した。
A:目視で感光体表面にトナーフィルミングを確認できず、紙面上の画質も全く問題なし。
B:感光体表面に僅かなトナーフィルミングを確認できるが、紙面上の画質は許容できるレベル
C:トナーフィルミングが多発し、紙面上の画質も問題となるレベル。
上記、トナーフィルミングの評価における1万枚の画像形成の前後において、現像器の代わりにTREC社製の表面電位計(MODEL344)及びプローブ(MODEL555P−1)を取り付ける改造を施し、帯電電位を測定した。1万枚の画像形成前に測定された帯電電位を「初期帯電電位(V)」とし、1万枚の画像形成後に測定された帯電電位を「1万枚画像形成後の帯電電位(V)」とし、その差「ΔV=1万枚画像形成後の帯電電位(V)−初期帯電電位(V)」を求めた。差「ΔV」の値が大きい(差「ΔV」の絶対値が小さい)ほど帯電維持性が良好である。
Claims (5)
- 導電性基体と、
前記導電性基体上に設けられた単層型の感光層であって、結着樹脂と、電荷発生材料と、正孔輸送材料と、電子輸送材料と、下記一般式(1)で表される化合物と、を含む感光層と、
を有する電子写真感光体。
(一般式(1)中、L1は単結合又はカルボニル基を示す。R1及びR2は、各々独立に、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルキルエーテル基、置換若しくは無置換のアルキルエステル基、又は置換若しくは無置換のアラルキル基を示す。) - 前記一般式(1)で表される化合物の含有量は、前記感光層全体に対し1質量%以上20質量%以下である請求項1に記載の電子写真感光体。
- 前記電子輸送材料が下記一般式(2)で表される化合物を含有する請求項1又は請求項2に記載の電子写真感光体。
(一般式(2)中、R11、R12、R13、R14、R15、R16、及びR17は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、又はアラルキル基を示す。R18は、アルキル基、−L111−O−R112、アリール基、又はアラルキル基を示す。ただし、L111はアルキレン基を示し、R112はアルキル基を示す。) - 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の電子写真感光体を備え、
画像形成装置に着脱するプロセスカートリッジ。 - 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、
前記電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
トナーを含む現像剤により、前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
を備える画像形成装置。
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