以下、図面を参照して、本発明の一実施形態のリアクトル1(コイル装置)について説明する。
(第1実施形態)
図1はリアクトル1の斜視図であり、図2はその分解図である。なお、以下の実施形態に関する説明において、図1における右上側から左下側に向かう方向を幅方向(X軸方向)、左上側から右下側に向かう方向を奥行方向(Y軸方向)、下側から上側に向かう方向を上下方向(Z軸方向)と定義する。なお、リアクトル1を使用する際には、リアクトル1をどのような方向に向けて配置してもよい。
図1及び図2に示されるように、リアクトル1は、リアクトル本体1a、サーミスタ(温度センサ)41、放熱ケース50及び端子台60を備えている。リアクトル本体1aは、コイル10とコアモジュール20を有する。
放熱ケース50は略箱形を有しており、リアクトル本体1aの下側の部分を収容する。放熱ケース50は、熱伝導性の高い材料で形成されている。放熱ケース50の材料は、例えば、アルミニウム、真鍮、ステンレス鋼等の金属材料が用いられる。リアクトル本体1a(具体的にはコアモジュール20)のX軸方向両端には、それぞれリアクトル本体1aを放熱ケース50に取り付けるためのブラケット30が形成されている。ブラケット30には、上下方向に貫通する開口が設けられている。また、放熱ケース50のブラケット30に対応する箇所には、雌ネジが形成されている。ブラケット30の開口に通されたボルト31を、雌ネジにねじ込み、締め付けることで、リアクトル本体1aが放熱ケース50に固定される。
リアクトル本体1aが放熱ケース50に取り付けられた後、放熱ケース50とリアクトル本体1aとの隙間に充填剤90(図2では、不図示)が充填される。充填剤90は、例えば、シリコーン系の樹脂であり、絶縁性及び比較的高い熱伝導性を有している。また、放熱ケース50は、その底部に板状の放熱板51を有し、放熱板51を介して外部の冷却装置(不図示)によって冷却される。冷却装置は、例えば、水冷式の冷却装置であり、冷却水を循環させることによって放熱板51を冷却するものである。なお、冷却装置は、空冷式のものであってもよく、或いは、駆動制御が不要なヒートシンクであってもよい。このように、放熱板51の上にリアクトル本体1aを配置することにより、リアクトル本体1aを効率よく冷却可能となり、温度上昇によるリアクトル1の特性の低下を抑制可能となる。また、放熱ケース50とリアクトル本体1aの隙間に、比較的高い熱伝導性を有する充填剤90を充填することにより、リアクトル本体1aをより効率的に冷却可能となる。
図2に示されるように、コアモジュール20は、2つの略U字状に形成されたU型コアユニット20a及び20bのU字の先端同士を、ギャップ部材20gを介して突き合わせて接合させた、略O字形のリングコアである。U型コアユニット20a及び20bは、磁性体から形成されたU型コア21a及び21bをそれぞれ、ボビン(被覆部材)22a及び22bで被覆したものである。ボビン22a及び22bの材料には、例えば、絶縁性及び耐熱性を有する樹脂が使用される。ボビン22a及び22bに使用される樹脂材料は、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ウレタン樹脂、BMC(Bulk Molding Compound)、PPS(Polyphenylene Sulfide)、PBT(Polybutylene Terephthalate)などである。ギャップ部材20gは、所定の厚さを有する非磁性体(例えば、アルミナ等の各種セラミックスや樹脂)の板材である。
U型コアユニット20a(U型コア21a、ボビン22a)は、2つの直線部20a1と、2つの直線部20a1を連結する連結部20a2を有する。U型コアユニット20aの連結部20a2では、U型コア21aとボビン22aが射出成形により一体に成形されている。また、U型コアユニット20aの直線部20a1では、U型コア21aとボビン22aとは別体である。直線部20a1のボビン22aは筒状に成形されており、この筒状の中空部にブロック状のコアが挿入されている。これにより、U型コア21aがボビン22aによって被覆される。U型コアユニット20a(ボビン22a)の外壁面のうち、2つの直線部20a1と連結部20a2との境界部分には、フランジ22a1が形成されている。フランジ22a1は、U型コアユニット20aの外壁面からZ軸方向及びX軸方向に突出した板状を有する。
U型コアユニット20b(U型コア21b、ボビン22b)は、2つの直線部20b1と、2つの直線部20b1を連結する連結部20b2を有する。U型コアユニット20bの連結部20b2では、U型コア21bとボビン22bが射出成形により一体に成形されている。また、U型コアユニット20bの直線部20b1では、U型コア21bとボビン22bとは別体である。直線部20b1のボビン22bは筒状に成形されており、この筒状の中空部にブロック状のコアが挿入されている。これにより、U型コア21bがボビン22bによって被覆される。U型コアユニット20b(ボビン22b)の外壁面のうち、2つの直線部20b1と連結部20b2との境界部分には、フランジ22b1が形成されている。フランジ22b1は、U型コアユニット20bの外壁面からZ軸方向及びX軸方向に突出した板状を有する。
コイル10は、互いに平行に配置された2つの同一構造の直線コイル12a、12bを有している。直線コイル12aと直線コイル12bの間には、所定の間隙が設けられている。各直線コイル12a、12bは、導線をY軸と平行な軸の周りで螺旋状に巻回して形成したものである。本実施形態の直線コイル12a、12bは、平角線を幅方向に曲げたエッジワイズコイルであるが、導線に丸線を用いたものであってもよい。2つの直線コイル12a、12bのそれぞれのY軸負方向側の一端同士は接続されている。また、2つの直線コイル12a、12bのそれぞれのY軸正方向側の端部(リード部11a、11b)は、後述する端子台60に接続される。
リアクトル本体1aを組み立てる際には、直線コイル12a、12bの中空部に、一端側からU型コアユニット20aの2つの直線部20a1が通され、他端側からU型コアユニット20bの2つの直線部20b1が通される。次いで、直線部20a1と直線部20b1の端面同士が、ギャップ部材20gを介して突き合わせて接着される。各U型コアユニット20a、20bの連結部20a2、20b2は、直線コイル12a、12bの中空部には挿入されず、直線コイル12a、12bの外部に配置される。フランジ22a1、22b1は、リアクトル本体1aが組み立てられた状態において、直線コイル12a、12bの軸方向(Y軸方向)への移動を規制する。これにより、直線コイル12a、12bは、それぞれ軸方向において2つのフランジ22a1、22b1の間の領域に配置される。
放熱ケース50の縁部の一端には、端子台60が取り付けられている。端子台60は、バスバー61a及び61bを備えており、各バスバー61a、61bは、それぞれコイル10のリード部11a、11bに溶接される。
サーミスタ41は、柱状のセンサヘッド41aと2本のリード41bを有する。本実施形態では、センサヘッド41aの形状は角柱状であるが、断面が多角形の多角柱状や断面が円形の円柱状であってもよい。センサヘッド41a内には、温度に対して感度を有する感熱素子が配置されている。感熱素子からの出力は、センサヘッド41aの軸線方向における一端(後端)側の面(後端面)に接続されたリード41bを通って外部の温度測定装置(不図示)に入力される。2本のリード41bは、1本の樹脂製のチューブ41f内に挿入され、被覆されている。
サーミスタ41のセンサヘッド41aは、長手方向が上下方向(Z軸方向)と平行となるように配置され、センサ保持部70によって保持されている。図3は、サーミスタ41が取り付けられたU型コアユニット20aの斜視図である。また、本実施形態では、センサ保持部70は、ボビン22aと一体に成形されている。また、センサ保持部70は、ボビン22aと同じ材質の樹脂で形成されている。
センサ保持部70は、2つの直線コイル12aと直線コイル12bの間に配置される板状部71を有している。また、センサ保持部70は、Y軸方向において、板状部71の端部(支持部)72と対向して配置された支持部73を有している。支持部72及び支持部73は、センサヘッド41aの長手方向と平行な対向面72a及び対向面73aをそれぞれ有している。対向面72a及び対向面73aは、Y軸方向において互いに対向している。対向面72aと対向面73aの間には、所定の間隔が空けられている。支持部73は、連結部77により板状部71(支持部72)と連結されている(図5(b)参照)。この連結部77は、直線コイル12a、12bよりも上方に配置されている(図1参照)。支持部72の下方には、Y軸負方向に向かって突出する板状の突出部(当接部)76が形成されている。支持部72及び支持部73の互いに対向する面(対向面)72a、73aには、突起72b及び突起73bがそれぞれ形成されている。これらの突起72b、73bは、上下方向において同じ高さに形成されている。本実施形態では、対向面72aには二つの突起72bがX軸方向に並んで形成され、対向面73aには一つの突起73bが形成されている。
支持部72と支持部73は、サーミスタ41のセンサヘッド41aを収容する収容部74を形成している。収容部74は、Y軸方向におけるコイル10の中央付近に対応する位置に形成されている。また、突出部76の上側の面76aは、収容部74の底面を形成している。
図4(a)〜図4(d)は、センサ保持部70の収容部74にサーミスタ41のセンサヘッド41aを収容する手順を説明するための図である。センサヘッド41aが収容部74に挿入されると、センサ保持部70及びサーミスタ41は、図4(a)に示す状態から図4(d)に示す状態に向かって変化する。
図4(a)は、センサヘッド41aが取り付けられる前の状態を示す。この状態(自然状態)では、支持部72と支持部73の間隔は、センサヘッド41aのY軸方向における長さと略同じである。また、自然状態において、突起72bと突起73bの間隔は、センサヘッド41aのY軸方向における長さよりも小さい。各支持部72及び73の上部には、それぞれガイド部72c及び73cが設けられている。
ガイド部72cは、支持部72の上端部と連結部77を接続している。ガイド部73cは、支持部73の上端部と連結部77を接続している。ガイド部72c及びガイド部73cはそれぞれ、互いに対向する面72c1及び面73c1を有している。面72c1と73c1の間隔は、下方では対向面72aと対向面73aの間隔と同じであり、上方に向かうほど大きくなっている。また、面72c1及び73c1はそれぞれ、対向面72a及び73aと繋がっている。また、面72c1及び73c1は、X軸方向において、対向面72a及び73aと略同じ位置に配置されている。センサヘッド41aが上方から支持部72と支持部73の間に向かって挿入されると、センサヘッド41aは、ガイド部72c及び73cによって収容部74内に向かって案内される。
図4(b)は、センサヘッド41aが突起72bと73bの間を通されている状態を示す。各突起72b及び73bは、それぞれガイド面72b1及び73b1を有している。ガイド面72b1とガイド面73b1は、ガイド面72b1とガイド面73b1のY軸方向における間隔が下方に向かうほど小さくなるように、上下方向に対して傾いている。センサヘッド41aが下方に向かって押されると、センサヘッド41aはガイド面72b1及び73b1に接触しながら突起72bと突起73bの間に押し込まれる。
2つの突起72b、73bの間隔は、自然状態においてセンサヘッド41aのY軸方向における長さよりも小さい。そのため、センサヘッド41aが2つの突起72b、73bの間に押し込まれると、突起72b及び73bはセンサヘッド41aによりY軸方向に付勢される。センサ保持部70は樹脂製の部材で形成されており、センサ保持部70の各部材は弾性を有している。そのため、突起72b、73bがセンサヘッド41aによって付勢されると、各部材が、突起72b及び73bの間隔を広げるように弾性変形する。本実施形態では、突起73bが設けられている支持部73及び支持部73に接続されたガイド部73cは、湾曲し易い棒状を有している。従って、本実施形態では、図4(b)に示すように、支持部73及びガイド部73cが反るように湾曲して(反って)弾性変形する。
図4(c)は、センサヘッド41aが、収容部74の突起72b及び73bよりも下側の領域に挿入された状態を示す。センサヘッド41aが、突起72b及び73bの間を通過すると、支持部73及びガイド部73cの反りが解消して、支持部73及びガイド部73cは自然状態に戻る。収容部74の下方(センサヘッド41aの前方)には、突出部76が配置されている。突出部76は、Z軸方向(センサヘッド41aの長手方向)において、センサヘッド41aのZ軸負方向側の端部と対向している。そのため、センサヘッド41aが突出部76に当接することにより、収容部74よりも下側に挿入され過ぎてしまうことが防止される。
センサヘッド41aは、角柱状(直方体状)であるため、収容部74内に収容されると、センサヘッド41aの上側の面(後端面)は水平に配置される。また、突起72bの下側の面(当接面)72b2及び突起73bの下側の面(当接面)73b2は、水平面(XY平面)と平行に(センサヘッド41aの長手方向と垂直に)形成されている。そのため、一旦、センサヘッド41aが収容部74内の突起72b、73bよりも下側の領域に挿入されると、当接面72b2、73b2が、センサヘッド41aの後端面と、センサヘッド41aの長手方向において互いに対向する。この状態においてリード41bが上に引っ張られても、各当接面72b2、73b2とセンサヘッド41aの後端面が突き当たるため、センサヘッド41aが収容部74から引き抜かれることが防止される。なお、センサヘッド41aの厚さ(X軸方向の長さ)は、2つの直線コイル12aと直線コイル12bの隙間よりも僅かに薄くなっている。そのため、センサヘッド41aは、X軸方向において、2つの直線コイル12a、12bの隙間に略隙間なく配置される。これにより、センサヘッド41aは、X軸方向に移動することができず、収容部74から抜け落ちてしまうことがない。
このように、センサヘッド41aが収容部74の突起72b、73bよりも下側の領域に挿入されると、センサヘッド41aの上下方向(Z軸方向)への移動は、突起72b、73b及び突出部76によって規制される。また、センサヘッド41aのY軸方向への移動は、支持部72、73によって規制される。更に、センサヘッド41aのX軸方向への移動は、直線コイル12a、12bによって規制される。これにより、センサヘッド41aの位置を、突起72b、73b、突出部76、支持部72、73、直線コイル12a、12bで規定された(囲まれた)所定の領域内に維持することができる。
また、図4(c)に示すように、センサヘッド41aが収容部74の突起72b、73bよりも下側の領域に挿入された状態において、支持部73はセンサヘッド42aの下方(前方)の端部よりも下側の突出部76近傍まで延びている。これにより、センサヘッド42aが突出部76と支持部73の間から抜け落ちてしまうことをより確実に防止することができる。ただし、支持部73は、必ずしもセンサヘッド41aよりも下方まで延びていなくてもよい。例えば、センサ保持部70が比較的硬い材質で形成されており、支持部73やガイド部73cを弾性変形させるために比較的強い力を加える必要がある場合、センサヘッド43aが支持部73やガイド部73cの弾性力に抗してY軸負方向に移動し難くなる。この場合、支持部73がセンサヘッド41aよりも下方まで延びていなくても、センサヘッド43aはY軸負方向に移動せず、収容部74から脱落してしまうことはない。
また、本実施形態において、突出部76の上側の面と支持部72の対向面72aは隣接している。これにより、少なくともセンサヘッド41aがY軸正方向へ移動して収容部74から脱落してしまうことが確実に防止される。
図4(d)は、リード41bが連結部77に形成されたリード保持部80によって保持された状態を示す。リード保持部80の詳細については後述する。リード41bは、センサヘッド41aが収容部74の突起72b、73bよりも下側の領域まで挿入された後、上方に引っ張られながらリード保持部80によって保持される。これにより、センサヘッド41aは、突起72b、73bの下側の面に当接した状態が維持され、その位置が固定される。
図5(a)は、センサ保持部70及びサーミスタ41の、リード保持部80近傍の拡大斜視図である。図5(a)は、センサ保持部70及びサーミスタ41の、リード保持部80近傍の分解斜視図である。リード41bは、リード保持部80に絡められて保持される。
リード保持部80は、腕部81、案内部82、挟持部83を有している。腕部81は、収容部74の上方に配置され、Y軸方向に延びた形成を有している。収容部74から上方に引き出されたリード41bは、上方に引っ張られながら腕部81に引っ掛けられ、下方に折り返される。腕部81で折り返されたリード41bは、案内部82によってY軸負方向に向かって案内される。案内部82は板状を有し、下方を向いた案内面82aを有している。案内面82aは、上下方向において、腕部81の上端81aよりも低い位置に配置されている。これにより、リード41bは、腕部81で折り返された状態が維持されたまま案内面82a上に沿って引き回される。案内面82a上を案内されたリード41bは、挟持部83によって挟み込まれる。挟持部83は、Y軸方向に貫通し、上方に向かって開いている切れ込み83aを有している。切れ込み83aのX軸方向の幅は、リード41bを被覆するチューブ41fの自然状態における外径よりも小さく設計されている。そのため、切れ込み83a内にチューブ41fが通されると、チューブ41fが弾性変形する。これにより、チューブ41f(リード41b)は、挟持部83によって弾性的に挟み込まれて保持される。
リード41bが挟持部83によって保持されると、リード41bは、収容部74よりも上方に引っ張られた状態が維持される。また、リード41bが引っ張られた状態が維持されることにより、センサヘッド41aは、突起72b、73bに当接した状態が維持され、その位置が固定される。
リード保持部80によって保持されたリード41bは、外部の温度測定装置(不図示)に接続される。
このように、第1実施形態では、サーミスタ41のセンサヘッド41aを上方から支持部72、73の間(収容部74)に向かって挿入するという簡単な操作により、リード41bが保持されていなくてもセンサヘッド41aを所定の領域内に維持することができる。詳しくは、第1実施形態の図4(c)に示す状態では、リード41bは保持されていないが、センサヘッド41aの位置は、突起72b、73b、突出部76、支持部72、73、直線コイル12a、12bで囲まれた所定の領域内に維持されている。図4(c)に示す状態では、突起72b及び73bと突出部76の上下方向における間隔が、センサヘッド41aの長手方向における全長よりも大きい場合、センサヘッド41aは所定の領域内で移動可能である。しかし、センサヘッド41aが移動可能な範囲は全て、2つの直線コイル12a、12bによって挟まれた領域である。そのため、センサヘッド41aが所定の領域内で移動したとしても、センサヘッド41aによりコイル10(直線コイル12a、12b)の発熱の度合いを正確に測定することができる。
また、第1実施形態では、リード41bをリード保持部80に絡めるという簡単な操作により、センサヘッド41aの位置を容易に固定することができる。これにより、センサヘッド41aが移動することによる温度の測定誤差が低減される。
また、第1実施形態では、センサヘッド41aが収容部74の突起72b、73bよりも下側の領域に挿入された後、リード41bは上方に引っ張られる。次いで、リード41bは、コイル10よりも上方に配置されたリード保持部80によって保持される。このように、本実施形態では、リード保持部80は、センサヘッド41aやコイル10よりも上方に配置されており、2つの直線コイル12aと直線コイル12bの隙間に配置する必要はない。そのため、直線コイル12aと直線コイル12bの隙間をリード保持部80を配置するために広げる必要がないため、本実施形態のサーミスタ41の取り付け構造(センサ保持部70)はリアクトル1の小型化に有利である。また、本実施形態では、リード41bを保持する箇所(リード保持部80)とセンサヘッド41aが保持される箇所(収容部74)を離して配置することができるため、リアクトル1内におけるサーミスタ41の配置の自由度が高い。
なお、上記の第1実施形態では、対向面72aには二つの突起72bが形成され、対向面73aには一つの突起73bが形成されているが、第1実施形態のセンサ保持部70はこの構成に限定されない。突起72bの数は、一つであってもよく、二つ以上であってもよい。また、突起73bの数は、一つであってもよく、二つ以上であってもよい。
また、上記の第1実施形態では、支持部72の対向面72aと支持部73の対向面73aのそれぞれに、突起72b、73bが設けられているが、第1実施形態のセンサ保持部70はこの構成に限定されない。例えば、突起は、対向面72aと対向面73aの何れか一方にのみ設けられていてもよい。これにより、突起が設けられている位置における支持部72と支持部73のY軸方向における間隔が広くなる。そのため、センサヘッド41aを収容部74に挿入する際の支持部73及びガイド部73cの弾性変形の量が小さくなり、センサヘッド41aを比較的弱い力で収容部74に収容させることができる。
また、上記の第1実施形態では、センサ保持部70はボビン22aと一体に成形されている。そのため、本実施形態の構成は、センサ保持部70とボビン22aを別体とした場合に比べて、リアクトル1の部品点数が少なくなると共に、リアクトル1の組み立てが容易となる。また、本実施形態の構成は、センサ保持部70とボビン22aを別体とした場合に比べて、センサ保持部70のボビン22aへの取り付け時の位置ズレが発生しない分、センサ保持部70の位置精度が向上する。これにより、センサヘッド41aの位置精度が向上し、位置の誤差に起因する温度の測定精度の低下が抑制される。
また、センサ保持部70とボビン22aは別体であってもよい。この場合、センサ保持部70は、ボビン22aに対し接着やネジ留め等で取り付けられる。センサ保持部70を、ボビン22aと別体とすることにより、ボビン22aは、構成が簡素となり、作製が容易となる。
また、上記の第1実施形態では、リード保持部80は、腕部81、案内部82、挟持部83を有しているが、本実施形態のリード保持部80はこの構成に限定されない。リード保持部80はリード41bを保持可能であればよく、例えば、リード41bを複数回折り曲げながら案内する案内部や、リード41bが複数回巻き付けられる腕部を有していてもよい。また、リード保持部80には、必ずしもリード41bが絡められる必要はない。例えば、リード保持部80は、収容部74から引き出されたリード41bを、途中で折り曲げることなく挟持する構成であってもよい。
また、上記の第1実施形態では、リード保持部80は連結部77に設けられているが、第1実施形態のセンサ保持部70はこの構成に限定されない。例えば、リード保持部80は、連結部77とは別に設けられていてもよい。この場合、リード保持部80と連結部77の両方がコイル10よりも上方に設けられていてもよい。また、リード保持部80はコイル10の上方に設けられ、連結部77は2つの直線コイル12a、12bの隙間、或いは、コイル10よりも下方に設けられていてもよい。
第1実施形態の変形例に係るセンサ保持部70及びサーミスタ41の側面図を図6に示す。本変形例では、連結部77がセンサヘッド41aよりも下方に設けられ、リード保持部80がセンサヘッド41aよりも上方に設けられている。本変形例では、突出部76が連結部77を兼ねている。本変形例においても、センサヘッド41aを支持部72、支持部73、突出部76によって構成された収容部74に挿入することにより、センサヘッド41aをリアクトル1に容易に取り付けることができる。
(第2実施形態)
また、上記の第1実施形態では、センサ保持部70により、サーミスタ41が2つの直線コイル12a、12bの隙間に保持されるが、本発明の実施形態はこの構成に限定されない。例えば、サーミスタ41は、2つの直線コイル12a、12bの隙間以外の箇所に設けられていてもよい。
以下、本発明の第2実施形態に係るリアクトル1について説明する。説明の便宜の為、第1実施形態と同等の構成要素には同一の符号を用いることとする。第2実施形態では、サーミスタ41は、U型コアユニット20bのボビン22bに取り付けられる。
図7はU型コアユニット20b及びサーミスタ41の斜視図である。図8はU型コアユニット20b及びサーミスタ41の、ヘッド保持部180近傍の分解斜視図である。図9は、U型コアユニット20b及びサーミスタ41のYZ面内における断面図である。第2実施形態では、U型コアユニット20bのボビン22bにセンサ保持部170が一体に形成されている。センサ保持部170は、ヘッド保持部180とリード保持部190とを有している。
ヘッド保持部180は、突出部181を有している。突出部181は、直方体状を有し、ボビン22bのX軸正方向側の外壁面のうち、Y軸負方向側の端部の下部から突出して形成されている。突出部181には、Z軸方向に貫通する切れ込み181aが設けられている。切れ込み181aは、Y軸負方向側に向かって開いている。突出部181の切れ込み181aを囲う3つの壁部のうち、X軸方向において互いに対向する一対の壁部182の間隔は、センサヘッド41aのX軸方向における長さよりも僅かに長くなっている。一対の壁部182は、Y軸正方向側において、壁部183を介して繋がっている。壁部182及び壁部183は、後述するようにセンサヘッド41aを支持するため、以下では、壁部182及び壁部183を、支持部182及び支持部183と呼ぶ。
また、ヘッド保持部180は、支持部184を有している。支持部184は、切れ込み181aのY軸負方向側に配置されている。支持部184は、上下方向に長尺な棒状を有し、上側の端部がボビン22bのX軸正方向側の側面に固定されている。支持部184の上側の端部以外の箇所は、ボビン22bに固定されていない。支持部184は弾性変形可能であり、この弾性変形により支持部183と支持部184のY軸方向における間隔が変化する。なお、自然状態における一対の支持部183と支持部184の間隔は、センサヘッド41aのY軸方向における長さと略同じである。支持部183及び支持部184の互いに対向する面(対向面)183a、184aにはそれぞれ、突起183b、184bが形成されている。これらの突起183b、184bは、上下方向において同じ高さに形成されている。また、自然状態において、突起183bと突起184bの間隔は、センサヘッド41aのY軸方向における長さよりも小さい。
突出部181の切れ込み181aを囲っている3つの支持部(一対の支持部182、及び、支持部183)と、支持部184は、サーミスタ41のセンサヘッド41aを収容する収容部185を形成している。センサヘッド41aは、リード41bが接続された後端部が上方を向き、前端部が下方を向いた状態で、収容部185に上方から挿入される。センサヘッド41aが収容部185に挿入され、突起183b及び突起184bに当接すると、センサヘッド41aによって突起184bがY軸負方向側に向かって付勢される。これにより、支持部184が突起183bと突起184bの間隔を広げるように湾曲して(反って)弾性変形し、センサヘッド41aが、突起183bと突起184bの間に通される。
センサヘッド41aが、突起183b及び突起184bの間を通過すると、支持部184の反りが解消して、支持部184は自然状態に戻る。センサヘッド41aは、角柱状(直方体状)であるため、収容部185内の突起183b、184bよりも下側の領域に収容されると、センサヘッド41aの上側の面(後端面)は水平に配置される。また、突起183b及び突起184bの下側の面は、水平面(XY平面)と平行に(センサヘッド41aの長手方向と垂直に)形成されている。そのため、一旦、センサヘッド41aが収容部185内の突起183b、184bよりも下側の領域に挿入されると、リード41bが上に引っ張られても、各183b、184bの下側の面とセンサヘッド41aの後端面が突き当たるため、センサヘッド41aが収容部185から上方に引き抜かれることが防止される。また、センサヘッド41aは、X軸方向において一対の支持部182により支持されている。また、センサヘッド41aは、Y軸方向において支持部183及び支持部184により支持されている。そのため、収容部185に収容されたセンサヘッド41aのXY面内における移動は、支持部182〜184によって規制される。
また、第2実施形態では、収容部185に収容されたセンサヘッド41aの前方(下方)への移動は、放熱ケース50の放熱板51(図2参照)によって規制されている。ただし、第2実施形態のセンサ保持部170は、第1実施形態の突出部76のように、センサヘッド41aの前方への移動を規制する部材を有していてもよい。
センサヘッド41aが収容部185内の突起183b、184bよりも下側の領域まで挿入された後、リード41bは、上方に引っ張られながらボビン22bの側面及び上面を引き回された上でリード保持部190によって保持される。これにより、センサヘッド41aは、突起183b、184bの下側の面に当接した状態が維持され、その位置が固定される。
リード保持部190は、Y軸方向に貫通し、X軸負方向に向かって開いている切れ込み190aを有している。切れ込み190aのZ軸方向の長さは、リード41bを被覆するチューブ41fの自然状態における外径よりも小さく設計されている。そのため、切れ込み190a内にチューブ41fが通されると、チューブ41fが弾性変形する。これにより、チューブ41f(リード41b)は、リード保持部190によって弾性的に挟み込まれて保持される。リード保持部80によって保持されたリード41bは、外部の温度測定装置(不図示)に接続される。
なお、リード保持部190は、切れ込み190aのZ軸方向の長さが広がるように弾性変形可能であってもよい。この場合、リード41bは、リード保持部190が弾性変形することによって切れ込み190aに通され、弾性的に保持される。
このように、第2実施形態では、センサヘッド41aを収容部185に挿入するという簡単な操作により、センサヘッド41aを収容部185内の突起183b、184bより下側の領域に維持することができる。また、リード41bをリード保持部190の切れ込み190aに通すという簡単な操作により、センサヘッド41aの位置を容易に固定することができる。
また、上記の第2実施形態では、センサ保持部170はボビン22bと一体に成形されている。そのため、本実施形態の構成は、センサ保持部170とボビン22bを別体とした場合に比べて、リアクトル1の部品点数が少なくなると共に、リアクトル1の組み立てが容易となる。また、本実施形態の構成は、センサ保持部170とボビン22bを別体とした場合に比べて、センサ保持部170のボビン22bへの取り付け時の位置ズレが発生しない分、センサ保持部170の位置精度が向上する。これにより、センサヘッド41aの位置精度が向上し、位置の誤差に起因する温度の測定精度の低下が抑制される。
また、センサ保持部170とボビン22bは別体であってもよい。この場合、センサ保持部170は、ボビン22bに対し接着やネジ留め等で取り付けられる。センサ保持部170を、ボビン22bと別体とすることにより、ボビン22bは、構成が簡素となり、作製が容易となる。
以上が本発明の実施形態の説明である。本発明の実施の形態は、上記に説明したものに限定されず、特許請求の範囲の記載により表現された技術的思想の範囲内で任意に変更することができる。
例えば、上記の第1実施形態では、センサヘッド41aは、2つの直線コイル12aと直線コイル12bの隙間に配置され、第2実施形態では、センサヘッド41aは、ボビン22bに配置されるが、本発明の実施形態におけるセンサヘッド41aの配置場所は、温度測定の対象物(被測定物)に応じて適宜変更可能である。例えば、センサヘッド41aは、コイル10と放熱ケース50の側面の隙間、リアクトル本体1aの上部又は下部、或いは、コイル10とコアモジュール20の隙間に配置されてもよい。
上述の実施形態では、U型コア21aの一部はボビン22aと一体に成形されており、U型コア21bの一部はボビン22bと一体に成形されているが、本実施形態はこの構成に限定されない。例えば、U側コア21aとボビン22aは別体であってもよい。また、U側コア21bとボビン22bは別体であってもよい。
また、上述の実施形態は、コイル10は、2つの直線コイル12a、12bを互いに平行に配置したものであるが、本実施形態のコイル10はこの構成に限定されない。例えば、コイル10は、直線コイルを一つだけ含むものであってもよい。
また、上記の各実施形態は、サーミスタ41を有するコイル装置(リアクトル1)に本発明を適用した例であるが、当然ながら別種の温度センサ(熱電対、白金測温体等)の取り付けにも本発明を適用することができる。また、温度センサ以外の各種センサ(例えば、湿度センサ、ガスセンサ、振動センサ、磁気センサ、電位センサ、音圧センサ等)の取り付けにも本発明を適用することができる。
また、本発明はリアクトルに限定されず、例えば、トランス等の別の種類のコイル装置に適用することができる。