以下、図面を参照して、本発明の一実施形態のリアクトル1(コイル装置)について説明する。なお、本発明はリアクトルに限定されず、例えば、トランス等の別の種類のコイル装置に適用することができる。
図1はリアクトル1の斜視図であり、図2はその分解図である。なお、以下の実施形態に関する説明において、図1における右上側から左下側に向かう方向を幅方向(X軸方向)、左上側から右下側に向かう方向を奥行方向(Y軸方向)、下側から上側に向かう方向を上下方向(Z軸方向)と定義する。なお、リアクトル1を使用する際には、リアクトル1をどのような方向に向けて配置してもよい。
図1及び図2に示されるように、リアクトル1は、リアクトル本体1a、コイル用サーミスタ(温度センサ)41、ケース用サーミスタ(温度センサ)42、放熱ケース50及び端子台60を備えている。リアクトル本体1aは、コイル10とコアモジュール20を有する。
放熱ケース50は略箱形を有しており、リアクトル本体1aの下側の部分を収容する。放熱ケース50は、熱伝導性の高い材料で形成されている。放熱ケース50の材料は、例えば、アルミニウム、真鍮、ステンレス鋼等の金属材料が用いられる。リアクトル本体1a(具体的にはコアモジュール20)のX軸方向両端には、それぞれリアクトル本体1aを放熱ケース50に取り付けるためのブラケット30が形成されている。ブラケット30には、上下方向に貫通する開口が設けられている。また、放熱ケース50のブラケット30に対応する箇所には、雌ネジが形成されている。ブラケット30の開口に通されたボルト31を、雌ネジにねじ込み、締め付けることで、リアクトル本体1aが放熱ケース50に固定される。
リアクトル本体1aが放熱ケース50に取り付けられた後、放熱ケース50とリアクトル本体1aとの隙間に充填剤70が充填される。なお、放熱ケース50に充填剤70が流し込まれた後に、リアクトル本体1が放熱ケース50に取り付けられてもよい。充填剤70は、例えば、シリコーン系の樹脂であり、絶縁性及び比較的高い熱伝導性を有している。充填剤70は、放熱ケース50に流し込まれる際には液体状である。充填剤70は、放熱ケース50に流し込まれた後に加温されることによって硬化される。
また、放熱ケース50は、その底部に板状の放熱板51を有し、放熱板51を介して外部の冷却装置(不図示)によって冷却される。冷却装置は、例えば、水冷式の冷却装置であり、冷却水を循環させることによって放熱板51を冷却するものである。なお、冷却装置は、空冷式のものであってもよく、或いは、駆動制御が不要なヒートシンクであってもよい。このように、放熱板51の上面(配置面)51aの上にリアクトル本体1aを配置することにより、リアクトル本体1aを効率よく冷却可能となり、温度上昇によるリアクトル1の特性の低下を抑制可能となる。また、放熱ケース50とリアクトル本体1aの隙間に、比較的高い熱伝導性の充填剤70を充填することにより、リアクトル本体1aをより効率的に冷却可能となる。
図2に示されるように、コアモジュール20は、2つの略U字状に形成されたU型コアユニット20a及び20bのU字の先端同士を、ギャップ部材20gを介して突き合わせて接合させた、略O字形のリングコアである。U型コアユニット20a及び20bは、磁性体から形成されたU型コア21a及び21bをそれぞれ、ボビン(被覆部材)22a及び22bで被覆したものである。ボビン22a及び22bの材料には、例えば、絶縁性及び耐熱性を有する樹脂が使用される。ボビン22a及び22bに使用される樹脂材料は、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ウレタン樹脂、BMC(Bulk Molding Compound)、PPS(Polyphenylene Sulfide)、PBT(Polybutylene Terephthalate)などである。ギャップ部材20gは、所定の厚さを有する非磁性体(例えば、アルミナ等の各種セラミックスや樹脂)の板材である。
U型コアユニット20a(U型コア21a、ボビン22a)は、2つの直線部20a1と、2つの直線部20a1を連結する連結部(突出部)20a2を有する。U型コアユニット20aの連結部20a2では、U型コア21aとボビン22aが射出成形により一体に成形されている。また、U型コアユニット20aの直線部20a1では、U型コア21aとボビン22aとは別体である。直線部20a1のボビン22aは筒状に成形されており、この筒状の中空部にブロック状のコアが挿入されている。これにより、U型コア21aがボビン22aによって被覆される。U型コアユニット20a(ボビン22a)の外壁面のうち、2つの直線部20a1と連結部20a2との境界部分には、フランジ22a1が形成されている。フランジ22a1は、U型コアユニット20aの外壁面からZ軸方向及びX軸方向に突出した板状を有する。
U型コアユニット20b(U型コア21b、ボビン22b)は、2つの直線部20b1と、2つの直線部20b1を連結する連結部(突出部)20b2を有する。U型コアユニット20bの連結部20b2では、U型コア21bとボビン22bが射出成形により一体に成形されている。また、U型コアユニット20bの直線部20b1では、U型コア21bとボビン22bとは別体である。直線部20b1のボビン22bは筒状に成形されており、この筒状の中空部にブロック状のコアが挿入されている。これにより、U型コア21bがボビン22bによって被覆される。U型コアユニット20b(ボビン22b)の外壁面のうち、2つの直線部20b1と連結部20b2との境界部分には、フランジ22b1が形成されている。フランジ22b1は、U型コアユニット20bの外壁面からZ軸方向及びX軸方向に突出した板状を有する。
コイル10は、互いに平行に配置された2つの同一構造の直線コイル部12a、12bを有している。直線コイル部12aと直線コイル部12bの間には、所定の間隙が設けられている。各直線コイル部12a、12bは、導線をY軸と平行な軸の周りで螺旋状に巻回して形成したものである。本実施形態の直線コイル部12a、12bは、平角線を幅方向に曲げたエッジワイズコイルであるが、導線に丸線を用いたものであってもよい。2つの直線コイル部12a、12bのそれぞれの左上側(Y軸負方向側)の一端同士は接続されている。また、2つの直線コイル部12a、12bのそれぞれの右下側(Y軸正方向側)の端部(リード部11a、11b)は、後述する端子台60に接続される。
リアクトル本体1aを組み立てる際には、直線コイル部12a、12bの中空部に、一端側からU型コアユニット20aの2つの直線部20a1がそれぞれ通され、他端側からU型コアユニット20bの2つの直線部20b1がそれぞれ通される。次いで、直線部20a1と直線部20b1の端面同士が、ギャップ部材20gを介して突き合わされて接着される。各U型コアユニット20a、20bの連結部(突出部)20a2、20b2は、直線コイル部12a、12bの中空部には挿入されず、中空部から突出している。フランジ22a1、22b1は、リアクトル本体1aが組み立てられた状態において、直線コイル部12a、12bの軸方向(Y軸方向)への移動を規制する。これにより、直線コイル部12a、12bは、それぞれ軸方向において2つのフランジ22a1、22b1に挟まれた領域に配置される。
放熱ケース50の縁部の一端には、端子台60が取り付けられている。端子台60は、バスバー61a及び61bを備えており、各バスバー61a、61bは、それぞれコイル10のリード部11a、11bに溶接される。
コイル用サーミスタ41は、柱状のセンサヘッド41aと2本のリード41bを有する。また、ケース用サーミスタ42は、柱状のセンサヘッド42aと2本のリード42bを有する。本実施形態では、各センサヘッド41a、42bの形状は角柱状であるが、断面が多角形の多角柱状や断面が円形の円柱状であってもよい。各センサヘッド41a、42a内には、温度に対して感度を有する感熱素子41c、42cがそれぞれ配置されている(図3及び図4参照)。各感熱素子41c、42cからの出力は、センサヘッド41a、42aの軸線方向における一端側の面(後端面)に接続されたリード41b、42bを通って外部の温度測定装置(不図示)にそれぞれ入力される。感熱素子41c、42cは、センサヘッド41a、42a内の他端側(先端側)に配置されている。そのため、センサヘッド41a、42aは、先端側が、後端側に比べて温度に対する感度が高い。2本のリード41bは、チューブ状の被覆部材41fで被覆されている。2本のリード42bはチューブ状の被覆部材42fで被覆されている。被覆部材41fと被覆部材42fは何れも樹脂製である。
コイル用サーミスタ41のセンサヘッド41aは、センサ保持部23によって保持されている。ケース用サーミスタ42のセンサヘッド42aは、センサ保持部24によって保持されている。センサ保持部23及び24の詳細は後述する。
次に、センサ保持部23の詳細を説明する。図3は、U型コアユニット20a及びコイル用サーミスタ41の斜視図である。本実施形態では、センサ保持部23は、U型コアユニット20aのボビン22aと一体に成形されている。
センサ保持部23は、2つの直線コイル部12aと直線コイル部12bの間に配置される板状部23aを有している。また、センサ保持部23は、Y軸方向において、板状部23aの端部23dと対向して配置された支持部23cを有している。支持部23cは、直線コイル部12a、12bよりも上方において、連結部23gにより板状部23a(端部23d)と連結されている。端部23dの下方には、Y軸方向において支持部23cに向かって突出する板状の突出部23hが形成されている。支持部23cと連結部23gは湾曲するように弾性変形可能であり、この弾性変形により支持部23cと端部23dの間隔が変化する。なお、自然状態における支持部23cと端部23dの間隔は、センサヘッド41aの幅(Y軸方向における長さ)と略同じである。支持部23cと端部23dの互いに対向する位置にはそれぞれ、突起23eが形成されている。これらの突起23eは、何れも同じ高さに形成されている。
支持部23cと端部23dは、コイル用サーミスタ41のセンサヘッド41aを収容する収容部23bを形成している。収容部23bは、Y軸方向におけるコイル10の中央付近に対応する位置に形成されている。また、突出部23hの上側の面は、収容部23bの底面を形成している。
センサヘッド41aが収容部23bに上方から挿入されると、センサヘッド41aが支持部23cの突起23eを押すことにより、2つの突起23eの間隔が広がるように支持部23cが反る(弾性変形する)。これにより、センサヘッド41aは収容部23b内の突起23eよりも下側の領域に挿入可能となる。また、センサヘッド41aの全長が突起23eの間を通過すると、支持部23cの反りが解消して、支持部23cは自然状態に戻る。センサヘッド41aが収容部23b内に挿入されると、センサヘッド41aの先端側の面が突出部23hに突き当たり、センサヘッド41aが放熱板51付近まで挿入され過ぎてしまうことが防止される。
各突起23eの下側の面は、水平面(XY平面)と平行に形成されている。また、センサヘッド41aは、角柱状(直方体状)であるため、収容部23b内に収容されると、センサヘッド41aの上端面は(後端面)水平に配置される。そのため、一旦、センサヘッド41aが収容部23b内の突起23eよりも下側の領域に挿入されると、リード41bが上に引っ張られても、各突起23eの下側の面とセンサヘッド41aの後端面が突き当たるため、センサヘッド41aが収容部23bから引き抜かれることが防止される。なお、センサヘッド41aの厚さ(X軸方向の長さ)は、2つの直線コイル部12aと直線コイル部12bの隙間よりも僅かに薄くなっている。そのため、センサヘッド41aは、X軸方向に移動することができず、収容部23bから抜け落ちてしまうことがない。
センサ保持部23の連結部23gには、センサヘッド41aから引き出されたリード41bを保持するリード保持部23fが設けられている。リード保持部23fは、リード41bが引っ掛けられる椀部23f1と、リード41bが通される切れ込み23f2とを有している。センサヘッド41aが収容部23bの突起23eよりも下側に挿入された後、リード41bは上方に向かって引っ張られながら椀部23f1に引っ掛けられる。椀部23f1に引っ掛けられたリード41bは、切れ込み23f2に通される。切れ込み23f2は、Y軸方向に貫通し、上方に向かって開いている。切れ込み23f2のX軸方向の幅は、リード41bを被覆する被覆部材41fの自然状態における外径よりも小さく設計されている。そのため、切れ込み23f2内に被覆部材41fが通されると、被覆部材41fが潰れるように弾性変形する。これにより、被覆部材41f(リード41b)は、切れ込み23f2内で弾性的に挟み込まれて保持される。また、リード41bが上方に引っ張られると、リード41bを介してセンサヘッド41aも上方に引っ張られて、センサヘッド41aと突起23eが面接触する。また、リード41bがリード保持部23fによって保持されると、リード41bは上方に引っ張られた状態で維持されると共に、センサヘッド41aは、上端面(後端面)が突起23eの下面に面接触した状態が維持される。これにより、センサヘッド41aは、その位置が固定される。リード保持部23fによって保持されたリード41bは、外部の温度測定装置(不図示)に接続される。
次に、センサ保持部24の詳細を説明する。図4はU型コアユニット20b及びケース用サーミスタ42の斜視図である。また、図5及び図6は、U型コアユニット20bにケース用サーミスタ42を取り付ける前の状態を示した図である。本実施形態では、センサ保持部24は、U型コアユニット20bのボビン22bと一体に成形されている。
センサ保持部24は、位置決め部25とリード保持部26とを有する。位置決め部25は、ケース用サーミスタ42のセンサヘッド42aが収容される収容部25aを有している。詳しくは、位置決め部25は、ボビン22bのX軸正方向側の外壁面のうち、Y軸負方向側の端部の下部から突出して形成されている。言い換えると、位置決め部25は、U型コアユニット20bの連結部20b2のX軸正方向側の外壁面のうち、下部から突出して形成されている。収容部25aには、そのY軸負方向側端面からZ軸方向負方向側端面にかけて開口25bが設けられており、センサヘッド42aは、長手方向を上下に向けて、その上側(後端側)の部分が開口25bを通して収容部25aに収容される。収容部25aの上下方向の長さは、センサヘッド42aの全長よりも短い。そのため、センサヘッド42aのうち、感熱素子42aが配置されている先端側(下側)の部分は収容部25aから下方に突出している。これにより、放熱板51からセンサヘッド42aの先端側の部分へ向かう熱がセンサ保持部24で遮蔽されてしまうことが防止され、ケース用サーミスタ42による放熱板51の温度の測定精度を向上することができる。なお、この収容部25aの上下方向の長さは、センサヘッド42aの全長と同じ長さまで長くしてもよい。
位置決め部25の上下方向の位置は、リアクトル本体1aが放熱ケース50内に収容されて固定されたときに、センサヘッド42aの下側(先端側)の端面42eが、放熱板51の上面51aに近接して配置されるような位置となっている。
本実施形態では、センサヘッド42aと放熱板51の上面51aとの間には、所定の隙間が設けられている。この隙間を小さくするほど、センサヘッド42aが放熱板51に近付き、ケース用サーミスタ42による放熱板51の温度の測定精度が向上する。また、ボビン22a、22bや放熱ケース50の寸法に製造誤差があると、リアクトル本体1aが放熱ケース50に固定される際に、センサヘッド42aが放熱板51に強く付勢されて接触し、センサヘッド42aが破損する虞がある。そのため、位置決め部25の位置を、当接面25dにセンサヘッド42aの後端面42dが接触しているときにセンサヘッド42aと放熱板51の上面51aとの間に僅かに隙間が生じるように設計することにより、センサヘッド42aが放熱板51に強く付勢されることを防止することができる。
また、センサヘッド42aと放熱板51の隙間には、比較的高い熱伝導性を有する充填剤70(例えば、シリコーン系の樹脂)が充填される(図7参照)。これにより、放熱板51からセンサヘッド42aへ熱が伝達し易くなり、ケース用サーミスタ42による放熱板51の温度の測定精度が向上する。センサヘッド42aを含むリアクトル本体1aが放熱ケース50に取り付けられた後に、放熱ケース50内に充填剤70が流し込まれる場合、センサヘッド42aと放熱板51の隙間の大きさは、外部から充填剤70を充填可能な大きさに設計されている。
なお、センサヘッド42aの下側の端面42eは平坦面であり、放熱板51の上面51aに面接触してもよい。センサヘッド42aが放熱板51に面接触することにより、両者の間に隙間を設けられている場合に比べてケース用サーミスタ42による放熱板51の温度の測定精度が向上する。
位置決め部25の上部には、収容部25aの内部と外部を繋ぐ、上下方向に貫通したスリット25cが形成されている。スリット25cは、Y軸負方向側において開口25bと繋がっている。また、スリット25cは、X軸方向における幅が、センサヘッド42aの幅よりも細く、且つ、リード42bの外径よりも広くなるように形成されている。センサヘッド42aが収容部25aに収容されると、リード42bがスリット25cに通され、収容部25aの外側に引き出される。
センサヘッド42aが収容部25aに収容されると、リード42bが上に引っ張られる。このとき、スリット25cの周縁部の下面25d(当接面25d)にセンサヘッド42aの後端面42dが当接する。これにより、センサヘッド42aが上下方向において位置決めされる。また、収容部25aのX軸方向における長さは、センサヘッド42aの厚さ(X軸方向における長さ)よりも僅かに大きい。そのため、センサヘッド42aは、収容部25a内に、X軸方向において略隙間なく収容される。また、収容部25a内には、Y軸方向においてセンサヘッド42aと当接する当接面25eを有している。従って、収容部25a内にセンサヘッド42aが収容され、リード42bが上に引っ張られると、センサヘッド42aは、X、Y、Z軸方向の3方向において収容部25a内の面に当接する。これにより、センサヘッド42aが全方向において位置決めされる。
また、センサ保持部24のリード保持部26は、図4に示すように、ボビン22bの上部(Z軸正方向側の外壁面)から上方に向かって突出した板状を有している。リード保持部26には、X軸方向に切れ込まれ、Y軸方向に貫通した切れ込み26aが形成されている。切れ込み26aは、X軸負方向(すなわち、位置決め部25から遠ざかる方向)に開いている。位置決め部25のスリット25cを通して引き出されたリード42bは、ボビン22bの側面及び上面に沿って引き回され、リード保持部26の切れ込み26aに通される。切れ込み26aのZ軸方向の幅は、リード42bを被覆する被覆部材42fの自然状態における外径よりも小さく設計されている。そのため、切れ込み26a内に被覆部材42fが通されると、被覆部材42fが潰れるように弾性変形する。これにより、被覆部材42f(リード42b)は、リード保持部26によって弾性的に挟み込まれて保持される。このとき、リード42bには、適度な張力が加えられているため、センサヘッド42aの後端面42dが収容部25aの当接面25dに突き当てられた状態で位置決め部25に保持される。これにより、ケース用サーミスタ42は、リアクトル本体1a(ボビン22b)に取り付けられる。また、センサヘッド42aと当接面25dが面で接触することにより、センサヘッド42aは、その位置が安定して保持される。切れ込み26aを通されたリード42bは、外部の温度測定装置(不図示)に接続される。
なお、本実施形態において、リード保持部26が形成されている位置はボビン22bの上部に限定されない。例えば、リード保持部26は、位置決め部25のスリット25cを通されたリード42bを保持可能であればよく、例えば、ボビン22bの位置決め部25が形成されている面に形成されていてもよい。或いは、リード保持部26は、放熱ケース50に設けられていてもよい。
また、位置決め部25のスリット25cが、リード保持部26を兼ねていてもよい。この場合、スリット25cの幅は、リード42bの外径よりも小さく設計されている。また、位置決め部25は弾性変形可能であり、スリット25cにリード42bが通されると、スリット25cの幅が広がるように弾性変形する。これにより、リード42bはスリット25c内において位置決め部25によって挟み込まれて保持される。
また、位置決め部25が、単独でセンサヘッド42aを保持する構成としてもよい。この場合、例えば、収容部25aのX軸方向の長さが、センサヘッド42aのX軸方向の長さよりも僅かに小さく設計される。この構成において、収容部25aにセンサヘッド42aが収容されると、収容部25aのX軸方向の幅が広がるように弾性変形する。これにより、センサヘッド42aは収容部25a内において、位置決め部25によって挟み込まれて保持される。
図7(a)は、リアクトル1のうち、ケース用サーミスタ42近傍の側面図を示す。図7(b)は、リアクトル1のうち、ケース用サーミスタ42近傍の上面図を示す。図7(a)において、放熱ケース50はYZ面に平行な断面を示している。図7(a)及び図7(b)において、充填剤70は透過させて示している。
図7(a)に示すように、ケース用サーミスタ42のセンサヘッド42aは、感度の比較的高い先端側が放熱板51の上面(配置面)51aに近接して配置される。図7(a)に示す例では、センサヘッド42aの端面42eと放熱板51との間に隙間が設けられているが、センサヘッド42aは放熱板51に接触していてもよい。また、センサヘッド42aと放熱板51の間に隙間がある場合、その隙間は熱伝導率の高い充填剤70で充填される。そのため、ケース用サーミスタ42を用いて、放熱板51の温度を正確に測定することができる。放熱板51は、放熱ケース50のうち、外部の冷却装置によって冷却される箇所である。そのため、放熱板51の温度を正確に測定することにより、リアクトル1の発熱に対する冷却装置の冷却効果を把握可能になり、冷却装置を用いたリアクトル1の温度制御が容易となる。
また、図7(a)及び図7(b)に示すように、ケース用サーミスタ42のセンサヘッド42aは、放熱ケース50内においてコイル10から比較的離れた位置に配置されている。詳しくは、センサヘッド42aは、U型コアユニット20bのうち、直線コイル部12a、12bの中空部に挿入されていない箇所(連結部20b2)の外壁面に配置されている。そのため、センサヘッド42aは、コイル10の軸方向(Y軸方向)において、コイル10と重ならない位置に配置される。また、軸方向(Y軸方向)において、センサヘッド42aは、コイル10から所定の間隔Lを空けて配置されている。
本実施形態のリアクトル1内の部材のうち、電流が流されるコイル10は、特に発熱量の多い部材である。そのため、仮に、センサヘッド42aが、コイルの軸方向(本実施形態ではY軸方向)においてコイル10と重なる位置に配置されていると、コイル10からセンサヘッド42aまでの距離が小さくなり、センサヘッド42aによって測定される温度に対するコイル10の発熱の影響が大きくなる。この場合、ケース用サーミスタ42により、放熱板51の温度を正確に測定できなくなる虞がある。これに対し、本実施形態では、センサヘッド42aが、軸方向においてコイル10と重ならないように配置されているため、コイル10からセンサヘッド42aまでの距離が比較的大きくなる。そのため、ケース用サーミスタ42によって測定される温度へのコイル10の発熱の影響が小さくなり、放熱板51の温度の測定精度を向上することができる。更に、本実施形態では、軸方向(Y軸方向)において、センサヘッド42aがコイル10から所定の間隔Lだけ離されて配置されているため、ケース用サーミスタ42によって測定される温度へのコイル10の発熱の影響を更に抑えることができる。
また、コイル10のうち、2つの直線コイル部12a及び12bによって挟まれ、且つ、Y軸方向における中央付近の領域(コイル用サーミスタ41のセンサヘッド41aの近傍)の温度が特に上昇し易い。しかし、本実施形態では、センサヘッド42aは、コイル10の中央付近から、U型コアユニット20bの連結部20b2やフランジ22b2によって隔てられた位置に配置されている。言い換えると、コイル10の中心部とセンサヘッド42aを結ぶ線上に、連結部20b2やフランジ22b2が配置されている。そのため、コイル10の中心部で発生した熱がセンサヘッド42aまで伝わり難くなり、ケース用サーミスタ42によって測定される温度へのコイル10の発熱の影響を更に抑えることができる。
また、本実施形態では、コイル用サーミスタ41を用いてコイル10近傍の温度が測定される。コイル用サーミスタ41のセンサヘッド41aは、直線コイル部12aと直線コイル部12bに挟まれた位置に配置されている。そのため、コイル用サーミスタ41により、コイル10の発熱の度合いを正確に測定することができる。
また、本実施形態では、2つのサーミスタ41、42により、放熱板51とコイル10近傍の2箇所の温度が測定される。そのため、発熱量の多いコイル10の温度と、コイル10の発熱に伴うリアクトル1の冷却効果の度合いの両方を正確に把握することができる。これにより、コイル10に電流を供給する電源装置と放熱板51を冷却する冷却装置の両方の制御が容易となる。
また、本実施形態では、各サーミスタ41、42のセンサヘッド41a、42aは、それぞれセンサ保持部23、24によって位置決めされた上で保持される。これにより、センサヘッド41a、42aの配置のバラツキに起因する温度の測定誤差が低減する。
以上が本発明の実施形態の説明である。本発明の実施の形態は、上記に説明したものに限定されず、特許請求の範囲の記載により表現された技術的思想の範囲内で任意に変更することができる。
例えば、上述の実施形態では、リアクトル本体1aは放熱ケース50内に収容されているが、放熱ケース50は必ずしも必要ではない。例えば、板状の放熱板の面(配置面)上にリアクトル本体1aが配置されてもよい。この場合、放熱板が外部の冷却装置によって冷却される。
上述の実施形態では、センサ保持部24はボビン22bと一体に成形されている。そのため、本実施形態の構成は、センサ保持部24とボビン22bを別体とした場合に比べて、リアクトル1の部品点数が少なくなると共に、リアクトル1の組み立てが容易となる。また、本実施形態の構成は、センサ保持部24とボビン22bを別体とした場合に比べて、センサ保持部24のボビン22bへの取り付け時の位置ズレが発生しない分、センサ保持部24の位置精度が向上する。これにより、放熱板51に対するセンサヘッド42aの位置精度が向上し、位置の誤差に起因する温度の測定精度の低下が抑制される。なお、センサ保持部24は放熱ケース50の内壁面と一体に成形されていてもよい。
また、センサ保持部24とボビン22bは別体であってもよい。この場合、センサ保持部24は、ボビン22b或いは放熱ケース50に対し接着やネジ留め等で取り付けられる。センサ保持部24を、ボビン22bや放熱ケース50は別体とすることにより、ボビン22bや放熱ケース50は、構成が簡素となり、作製が容易となる。
上述の実施形態では、ケース用サーミスタ42は、センサ保持部24を用いてボビン22bに保持されるが、本実施形態はこの構成に限定されない。例えば、ケース用サーミスタ42は、ボビン22bの外壁面に接着やねじ留めによって直接取り付けられてもよい。或いは、ケース用サーミスタ42は、放熱ケース50の内壁面に接着やネジ留め等によって直接取り付けられてもよい。
上述の実施形態は、U型コア21aの一部はボビン22aと一体に成形されており、U型コア21bの一部はボビン22bと一体に成形されているが、本実施形態はこの構成に限定されない。例えば、U側コア21aとボビン22aは別体であってもよい。また、U側コア21bとボビン22bは別体であってもよい。
また、上述の実施形態では、コイル用サーミスタ41のリード41bは、リード41bを被覆する被覆部材41fが潰れるように弾性変形することによってリード保持部23fに弾性的に挟み込まれて保持される。しかし、本実施形態のリード保持部23fはこの構成に限定されない。例えば、リード保持部23fは、切れ込み23f2のX軸方向の長さが広がるように弾性変形可能であってもよい。この場合、リード41bは、リード保持部23fが弾性変形することによって切れ込み23f2に通され、弾性的に保持される。
また、上述の実施形態では、ケース用サーミスタ42のリード42bは、リード42bを被覆する被覆部材42fが潰れるように弾性変形することによってリード保持部26に弾性的に挟み込まれて保持される。しかし、本実施形態のリード保持部26はこの構成に限定されない。例えば、リード保持部26は、切れ込み26aのZ軸方向の長さが広がるように弾性変形可能であってもよい。この場合、リード42bは、リード保持部26が弾性変形することによって切れ込み26aに通され、弾性的に保持される。
また、上述の実施形態は、コイル10は、2つの直線コイル部12a、12bを互いに平行に配置したものであるが、本実施形態のコイル10はこの構成に限定されない。例えば、コイル10は、直線コイル部を一つだけ含むものであってもよい。
また、コイル10の軸は、上下方向(Z軸方向)に平行であってもよい。この場合、ケース用サーミスタ42のセンサヘッド42aは、コイル10の軸方向(上下方向)において、コイル10と重ならないように配置される。