以下、図面を参照して、本発明の実施形態のリアクトルについて説明する。
[1.第1の実施形態]
[1−1.概略構成]
図1は、本実施形態に係るリアクトルの全体構成を示す斜視図であり、図2は、その分解斜視図である。
リアクトル1は、電気エネルギーを磁気エネルギーに変換して蓄積及び放出する電磁気部品であり、電圧の昇降圧等に使用される。本実施形態のリアクトルは、例えばハイブリッド自動車や電気自動車の駆動システム等で使用される大容量のリアクトルである。リアクトルは、これら自動車に搭載される昇圧回路の主要部品である。
リアクトルは、リアクトル本体1と、リアクトル本体1を収容するケース4と、を備える。リアクトル本体1は、環状コア10、コイル5、樹脂部材2を備える。環状コア10は、磁性体を含み構成される。この環状コア10の一部の外周には、コイル5が装着される。環状コア10とコイル5とは、樹脂部材2により絶縁される。換言すると、環状コア10と、コイル5の間には、樹脂部材2が介在する。一方、ケース4は、内側にリアクトル本体1を収容する。つまり、ケース4は、リアクトル本体1より若干大きく、隙間を空けてリアクトル本体1が収容される。そして、この隙間に充填材が固化してなる充填樹脂部6が設けられている。
また、このリアクトル1には、その内部温度を検出する温度センサ9(図2参照)が設けられている。温度センサ9は、コイル5として設けられた一対のコイル51a、51bの間に設置される。設置方法としては、樹脂部材2の一部として延設された保持部23により保持される。保持部23は、温度センサ9の先端を挿入する挿入部24と、温度センサ9の一部分が当接し、係止を行う係止部25とを備える。
温度センサ9は、温度検出部91aと、リード線92と、コネクタ93とを含む。温度検出部91aには、コネクタ93を介して検出した情報をリアクトル外部に伝送するための伝送用のリード線92が接続される。リード線92は、第1のリード線とも呼ぶ。リード線92は、温度検出部91aと、他の部材を電気的に繋ぐ配線である。リード線92は、金属線とそれを被覆する被覆部とからなる。金属線の材質としては、銅、ニッケル、ニッケルメッキ、アルミ、銀、金、銀メッキ、金メッキなどである。金属線は、1本のみの単線、または複数本をより合わせたより線を使用する。被覆部は、ビニール、シリコンゴム、フッ素ゴムなどの絶縁性部材で金属線を被覆する。
図3に示すように、リード線92は、温度検出部91aが検出した温度情報をリアクトル外部に伝達する。リード線92は、2本のリード線が隣り合って並列に延びる。2本のリード線は、接着材などにより、接着されても良い。それ故、リード線92において、リード線の径方向の最長寸法は、2本のリード線の太さの合計寸法であり、寸法Eとなる。また、リード線92は、他のリード線と接続する際に使用する接続用のコネクタ93と接続される。リード線92のコネクタ93側には、2本のリード線の外周を保護する被覆を設けても良い。
コネクタ93は樹脂製の部材からなり、対になる他のコネクタ(図示せず)と接続する。他のコネクタは、例えば、リアクトルの外部に設置された装置に接続するリード線と接続する。コネクタ93が、対になる他のコネクタと接続することで、温度検出部91aと、リアクトルの外部に設置された装置とが電気的に繋がれる。
樹脂部材2は、樹脂体21、22を有する。樹脂体21、22は、樹脂により一体成形された部材である。すなわち、樹脂体21を構成する直線部21a、21b、連結部21c、及び固定部31は継ぎ目なく一続きに構成されている。樹脂体22を構成する連結部22a、保持部23、及び固定部31も同様に、継ぎ目なく一続きに構成されている。
樹脂部材2は、リアクトル本体1をケース4に固定するための固定部31を有している。固定部31には、ネジ挿入穴が設けられ、この穴に金属製の円筒形状のカラー32が埋め込まれている。ネジ挿入穴にネジ33が挿入され、ネジ締結されることで、リアクトル本体1がケース4に固定される。
固定部31の数は特に限定されないが、ここでは、固定部31は、3つであり、直角三角形の各頂点に位置するように、樹脂体21の連結部21cの側部に1つ設けられ、樹脂体22の連結部22aの側部に2つ設けられている。
[1−2.詳細構成]
本実施形態のリアクトルの各部の詳細構成について、図1〜図6を用いて説明する。なお、本明細書において、各部材の構成を説明するのに、図1に示すz軸方向を「上」側、その逆方向を「下」側と称する。また、「下」を「底」とも称する。z軸方向は、リアクトルの上下方向であり、リアクトルの高さ方向である。
(温度センサ9)
図3は本実施形態の温度センサ9の構成を示す平面図である。図3に示す様に、本実施形態の温度センサ9は、温度検出部91a、リード線91b、コネクタ91c、絶縁チューブ91dを有する。
温度検出部91aは、温度測定用の素子を備える温度検出用のセンサである。温度検出部91aは、温度センサ91の先端部分に位置する。温度センサ9が保持部23に保持された場合、温度検出部91aは、挿入部24に挿入される。温度検出部91aは、コイル51a、51b間に配置される挿入部24内の温度を、リアクトルの内部の温度として検出する。温度検出部91aの環状コア10の直線部方向(y軸方向)の最大寸法は、寸法Fとする。温度検出部9aの形状は、ここでは四角柱形状であるが、円柱形状を含む他の柱状であっても良い。温度検出部9aの温度測定用の素子としては、例えば、温度変化に対して電気抵抗が変化するサーミスタを用いることができるが、これに限定されない。例えば熱電素子や、白金(Pt)用いた測温素子を用いても良い。
また、保持部23に保持させるセンサは、温度センサ9に限られない。センサの先端部の検出部の測定用の素子のy軸方向の寸法の最大寸法が寸法Fの柱形状であれば、挿入部24に挿入し、センサを保持することができる。そのため、温度検出部91aの温度測定用の素子を他の磁気センサや電流センサなどに代え、磁気センサ、電流センサとしても良い。また、温度ヒューズに代えることで、過熱保護回路における発熱感知手段及び遮断手段とすることもできる。
リード線91bは、温度検出部91aから延びる2本のリード線である。リード線91bを第2リード線と呼ぶ。リード線91bは、リード線92より細いリード線であり、温度検出部91aが検出した温度情報の伝送を行う。リード線91bは、コネクタ91cで、リード線92と電気的に接続される。
コネクタ91cは、リード線92とリード線91bとを接続する接続部となる。コネクタ91cとしては、リード線92とリード線91bとの接続や分断を容易に可能とする機構を備えるコネクタを用いることができ、例えば、ジャックとプラグなどが挙げられる。また、コネクタ91cとしては、リード線を差し込むだけで接続が可能な差込コネクタも含む。更に、接続部は、リード線92とリード線91bを電気的に接続可能であれば良く、所謂コネクタに限らない。例えば、リングスリーブなどの圧着金具や、はんだ付けを行った場合のはんだの融着部分も接続部となる。図3には図示しないが、コネクタ91cの内部には、リード線92用の接続端子と、リード線91b用に接続端子とが同じ数設けられる。設ける接続端子の数に決まりはないが、リード線92用の接続端子とリード線91b用に接続端子とは、同じ数であり、それぞれの端子が1対1で結線され、電気的に接続している。例えば、リード線92用の接続端子として、+極用と−極用の2つ接続端子を設けた場合には、リード線91b用の接続端子として+極用と−極用の2つ接続端子を設ける。そして、リード線92用の+極の接続端子と、リード線91b用の+極の接続端子とが結線される。同様に、リード線92用の−極の接続端子と、リード線91b用の−極の接続端子とが結線される。コネクタ91cは、温度検出部91aと同じ幅の柱形状を有する。コネクタ91cは、温度検出部91aと同様に、柱形状を有する。ここでは円柱形状であるが、四角柱形状など柱状であれば良い。
絶縁チューブ91dは、コネクタ91cの全体、及びコネクタ91cとリード線92との境界部分91c’を被覆する。絶縁チューブ91dは、絶縁性を有する円筒形状のチューブである。絶縁チューブ91dとしては、絶縁性を有し、熱を加えることより収縮する熱収縮性の熱伸縮チューブを利用することもできる。境界部分91c’においては、絶縁チューブ91dの径の寸法が変化する。即ち、リード線92を被覆した部分が一番細く、コネクタ91cを被覆した部分に近づくにつれて、徐々に太くなっていく。境界部分91c’において、絶縁チューブ91dにおいて、一番細い部分の径の寸法を、寸法F’とする。寸法F’は、リード線92の寸法Eと絶縁チューブ91dの厚さを加算した寸法である。また、絶縁チューブ91dでコネクタ91cを被覆した部分の寸法は、コネクタ91cと絶縁チューブ91dの厚さを加算した寸法であり、コネクタ91cと絶縁チューブ91dの厚さを加算した寸法Fとする。
(環状コア)
本実施形態の環状コア10は、環状形状を有する。環状コア10は、図2に示すように、環状の一部に一対の平行な直線部分と、これら直線部分を繋ぐU字形状の連結部分とを有する環状形状である。従って、リアクトル本体1の形状も環状コア10に倣い、環状形状である。
図1および図2に示すように、環状コア10のうち、コイル5が巻回されたそれぞれが対になる2つの直線部分は、磁束が発生する脚部である。言い換えれば、一対の脚部はコイル5に挿入されている。コイル5が巻回されていないU字形状の連結部分は、脚部で発生した磁束が通過するヨーク部である。すなわち、ヨーク部は、一対の直線部分を繋ぐ。環状コア10内には、脚部で発生した磁束がヨーク部を通過することで、環状の閉じた磁気回路が形成される。
環状コア10は、磁性体を含み構成される。環状コア10は、図2に示すように、複数のコア部材11〜13と、複数のスペーサ14とを有し、各コア部材11〜13間にスペーサ14を配置して接着剤によって環状になるように接続されている。
コア部材11〜13は、圧粉磁心、フェライトコア、又は積層鋼板などの磁性体からなる。ここでは、コア部材11〜13は圧粉磁心である。本実施形態のコア部材は、左右の脚部を構成する複数のI字型コア13と、ヨーク部を構成する2つのU字型コア11、12である。I字型コア13は、概略直方体形状であり、U字型コア11、12は、その上面及び下面がU字状の形状を有する。なお、環状コア10のU字型コア11、12の上面及び下面と直交する方向が、z軸方向であり、リアクトルの上下方向である。また、リアクトルの上下方向は、環状コア10の孔を貫く軸方向でもある。
スペーサ14は、板状のギャップスペーサである。このスペーサ14は、各コア部材11〜13間に配置されており、接着剤によってスペーサ14の両側のコア部材11〜13の接続面と接着固定される。
スペーサ14は、コア部材11〜13間に所定幅の磁気的なギャップを与え、リアクトルのインダクタンス低下を防止する。スペーサ14の材料としては、非磁性体、セラミック、非金属、樹脂、炭素繊維、若しくはこれら二種以上の合成材又はギャップ紙を用いることができる。なお、スペーサ14は必ずしも設けなくても良い。
(樹脂部材)
樹脂部材2は、環状コア10の外周を樹脂により被覆している部材である。従って、樹脂部材2は、環状コア10の形状に倣って環状に形成されている。すなわち、一対の直線部分とこれら直線部分を繋ぐ連結部分とを有している。
樹脂部材2を構成する樹脂の種類としては、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ウレタン樹脂、BMC(Bulk Molding Compound)、PPS(Polyphenylene Sulfide)、PBT(Polybutylene Terephthalate)等が挙げられる。
本実施形態では、樹脂部材2は、二分割されて構成されており、樹脂体21と樹脂体22とを有する。すなわち、樹脂部材2は、略U字形状の樹脂体21と、略C字形状の樹脂体22とを別々に成形しておき、互いの端部を向かい合わせることで構成される。樹脂体21と樹脂体22とを別々に成形するのは、互いの端部を向かい合わせる前に環状コア10の脚部を構成するI字型コア13を樹脂体21内部に収容するため、及び、コイル5を直線部分にはめ込んで樹脂部材2にコイル5を装着するためである。
樹脂体21は、一対の直線部21a、21bと、これら直線部21a、21bを繋ぐC字形状の連結部21cと、を有する。また、連結部21cには、リード線92と接続する接続用のコネクタ93と掛合する係合部21dが設けられる。直線部21a、21bはコイル5が装着される部分であり、ボビンとも称される。連結部21cの内部には、U字型コア12がモールド成形法によって埋め込まれている。換言すれば、連結部21cは、U字型コア12の被覆部であり、連結部21cに覆われたU字型コア12の外周部分が、連結部21cの内周と密着している。但し、U字型コア12の接続面は露出している。
直線部21a、21bの内部には、環状コア10の直線方向に沿って、I字型コア13、スペーサ14が交互に積層して配置されている。直線部21a、21bの先端には開口部がそれぞれ設けられており、直線部21a、21bの開口部からI字型コア13、スペーサ14が挿入される。
一方、樹脂体22は、C字形状の連結部22aと、保持部23とを有する。連結部22aの内部には、連結部21cの場合と同様に、U字型コア11がモールド成形法によって埋め込まれている。つまり、連結部22aは、U字型コア11の被覆部となる。連結部22aに覆われたU字型コア11の外周部分では、連結部22aの内周と密着している。U字型コア11の接続面は、U字型コア12と同様に露出する。
図4は、保持部を説明するための樹脂体22の斜視図である。保持部23は、温度検出部91a及びコネクタ91cを保持する。保持部23には、温度検出部9aを挿入する挿入部24と、挿入部24の上方に設けられたコネクタ91cから延びるリード線92を挿通させる切り欠き部25aを有する係止部25を有する。保持部23は、挿入部24に温度検出部91aを挿入しつつ、切り欠き部25aとコネクタ91cとを係止させることで、温度センサ9を保持する。
保持部23は、継ぎ目なく一続きの板状の部材で構成される。当該板状の部材は、連結部22aからリアクトル内部に向けて延びる。保持部23において、連結部22aと接する側には案内体23aが設けられ、保持部23の先端側には挿入部24が形成される先端部23bが設けられる。保持部23に設けられる挿入部24は、リアクトルの上下方向に沿って延び、対向する2つの側面部24a、24bと、1つの底面部24cからなる溝である。挿入部24の上方には、情報に向けて開口した開口部が設けられる。挿入部24の開口部から、温度センサ9の先端部に設けられた温度検出部91aが挿入する。挿入部24に挿入した温度検出部91aの先端部は、底面部24cからと対向する。挿入部24には、少なくとも温度検出部91aが挿入できれば良いが、本実施形態では、挿入部24に温度検出部91aだけでなく、リード線92とコネクタ91cの一部が挿入するとして説明を行う。
また、挿入部24の上方には、係止部25が設けられる。係止部25には、切り欠き部25aが設けられる。挿入部24に挿入した温度検出部91aから延びるリード線92は、切り欠き部25aを挿通する。この際、リード線92が上方に引っ張られ、係止部25とコネクタ91cとが当接する。挿入部24に挿入した温度検出部91aの位置が固定する。保持部23の保持対象は、側面を有する形状、換言すれば柱状のセンサであれば良い。ここでは温度検出部9aを有する温度センサ9として説明する。保持部23は、樹脂部材2の一部として、環状コア10のヨーク部を被覆する連結部22aと継ぎ目なく一続きに形成されており、一対のコイル51a、51b間に配置されている。
保持部23の構成について、更に詳細に説明する。図5は、挿入部24の側面から平面視した図である。図6は、挿入部24を上方から平面視した図である。前述の通り保持部23は、先端部23bのコイルに対する相対位置を調整する案内体23a、温度検出部91a、リード線91b及びコネクタ91cを挿入する挿入部24が設けられる先端部23bを備える。また、先端部23bには、挿入部24の他に係止部25と、係止部25を経由したリード線92を配する溝である配線用スリット部26とが設けられる。係止部25には、コネクタ91cから延びるリード線92を挿通させる切り欠き部25aと、リード線92を引っ掛ける引掛部25bを有する。
(保持部の各部構成)
案内体23a及び先端部23bは、それぞれ板状体であり、上方から見て同一直線上に位置している。案内体23a及び先端部23bの厚み(x軸方向の長さ)は同じである。案内体23a及び先端部23bは、成形時に充填する充填剤の流動性を高めるために、凹凸が設けられている。先端部23bの高さ(z軸方向の長さ)は、案内体23aの高さよりも高くなっている。
図4及び図5に示すように、案内体23aは、連結部22aの内周面を基端として、環状コア10の直線部方向(y軸方向)に延びる板状部材である。案内体23aは、x軸方向と直交している。案内体23aの連結部22aと反対側には、先端部23bが位置する。案内体23aは、先端部23bの位置を調整するための部材である。すなわち、案内体23aは、直線部方向(y軸方向)に所定の長さを有する。この長さを調整することで、先端部23bをリアクトルの中心に位置させる。
先端部23bは、側壁部24a、側壁部24b、底面部24cを有する。側壁部24a、側壁部24b、及び底面部24cは、挿入部24を形成する。側壁部24a及び側壁部24bは、先端部23bの高さ方向(z軸方向の長さ)に立設する2つの壁である。側壁部24a及び側壁部24bの対向面は、平行となる。
側壁部24a及び側壁部24bが、温度検出部91a及びコネクタ91cの側面と所定の間隔離れ、対向する。側壁部24aが案内体23a側に立設し、側壁部24bが先端側に位置する。側壁部24a及び側壁部24bの間隔の寸法を寸法Aとすると、寸法Aは、温度検出部9a及びコネクタ91cの直線部方向(y軸方向)の寸法Fより大きい。これにより、リアクトルの組み立ての際、側壁部24a及び側壁部24bは、温度検出部9a及びコネクタ91cの挿入の際のガイドとなる。つまり、温度検出部91a及びコネクタ91cの挿入の際には、温度検出部91a及びコネクタ91cが側壁部24a及び側壁部24bの間に位置するように配置する。このような寸法にすることで側壁部24a及び側壁部24bに、温度検出部91a及びコネクタ91cが当接せずに挿入することが可能となる。このため、温度検出部91a及びコネクタ91cに強い負荷を加えなくとも、温度検出部91a及びコネクタ91cを挿入部24に、挿入することが可能となる。また、温度検出部91a及びコネクタ91cの挿入の際に、側壁部24aまたは側壁部24bに当接した場合にでも大きな負荷がかかることがない。また、寸法Aと寸法Fとを同じ寸法としても良い。その場合にでも、必要最小限度の負荷により、温度検出部91a及びコネクタ91cを挿入部24に、挿入することが可能となる。
また、側壁部24a及び側壁部24bの上部にテーパー部24dが設けられる。テーパー部24dでは、対抗する側壁部24a及び側壁部24b間の寸法が、上部ほど相対的に大きくなる。言い換えると、最上部では、寸法B(>寸法A)離れている側壁部24a及び側壁部24bとは、高さが下がるにつれて近づく。そして、側壁部24a及び側壁部24bの寸法Aとなった後は、その高さに関係なく、側壁部24a及び側壁部24bは、寸法Aを保ちつつ対向する。
底面部24cは、側壁部24a及び側壁部24bを繋ぐように、直線部方向(y軸方向)に延びる板状部材である。底面部24cの長さを調節することで、側壁部24a及び側壁部24bを、寸法A離間させる。底面部24cは、温度検出部91aの底面と所定の間隔で対向する。底面部24cと温度検出部91aが対向することで、温度検出部91aを挿入部24に挿入する際の位置決めを容易にすることができる。すなわち、底面部24cは、温度検出部91aを設置するためのガイドとして機能する。また、所定の間隔離間させることにより、温度検出部91aを挿入部24に挿入する際に底面部24cから温度検出部91aへ、負荷がかかることを防止することができる。
係止部25は、境界部分91c’を介してコネクタ91cと当接する。挿入部24に設置されたコネクタ91cから延びるリード線92が、高さ方向(z軸方向)の上側に引っ張られた場合、リード線92の移動に伴ってコネクタ91cが上方へ移動し、コネクタ91cは境界部分91c’を介して係止部25に接触する。つまり、コネクタ91cと係止部25は、互いに係止する。
係止部25は、図4に示すように、環状コア10の直線部方向(y軸方向)に延びる長尺状の部材である。係止部25は、先端部23bの上方に設けられる。係止部25は、底面部24cから寸法C離間する位置に配置される。寸法Cは、温度検出部91aの底面から境界部分91c’の先端までの長さ以上とする。寸法Cと、温度検出部91aの底面から境界部分91c’の先端までの長さとを調整することで、温度検出部91aの設置位置の調整を行う。例えば、寸法Cを、温度検出部91aの底面から、境界部分91c’の先端までの長さより長くする。この場合には、温度検出部91aの底面と、底面部24cとの間に所定の間隔をもたせることができる。また、本実施形態では、温度検出部91aの底面と、底面部24cとの間に所定の間隔をもたせることとしたが、その間隔を0としても良い。その場合には、寸法Cを、温度検出部91aの底面から、境界部分91c’の先端までの長さを等しくする。この場合にでも、温度検出部91aを挿入部24に挿入する際に底面部24cから温度検出部91aへ、大きな負荷がかかることを防止することができる。
係止部25は、側壁部24a及び側壁部24bを繋ぐように設けられる。係止部25は、長尺状の板面を先端部23bの高さ(z軸方向の長さ)とは、直交する方向に延在させる。また、図6に示す様に係止部25は、z軸方向上方から上方視した平面図において、挿入部24と重ならない位置に配置される。
係止部25は、板状の部材と当該部材の一部を切欠くことで設けた切り欠き部25aを含む。切り欠き部25aは、長尺状の係止部25のおおよそ中央部分、換言すると長尺状の部材における長辺部分の略中央に設けられる。この切り欠き部25aの内径の最大寸法を寸法Dとする。この寸法Dの切り欠き部25aにリード線92を挿通させる。それ故、寸法Dは、リード線92の寸法E以上となる。また、前述の通り、係止部25は、境界部分91c’を介してコネクタ91cと当接する。そのため、寸法Dは、リード線92の寸法Eと絶縁チューブ91dの厚さを加算した寸法F’未満となる。それ故、リード線92が上側に引っ張られた場合、境界部分91c’を介してコネクタ91cが、係止部25の板状部分と接触する。これにより、温度センサ9の位置決めが可能となる。
また、係止部25には、引掛部25bが設けられる。引掛部25bは、長尺状の係止部25の短辺部分に設けられる。引掛部25bは、係止部25の端部のうち連結部22a側に設けられる。引掛部25bは、リード線92の配線経路において、係止部25と後述の配線用スリット部26の間に設けられる。そのため、引掛部25bには、係止部25を挿通したリード線92が引っかけられる。リード線92は、引掛部25bに引っかけられ、配線用スリット部26を挿通する。引掛部25bに引っかかることにより、適度に張られ、リード線92が弛まない状態を保持することができる。
さらに、図4〜6に示す様に、係止部25に隣接するように先端部23bの上部には、配線用スリット部26が設けられる。配線用スリット部26は、係止部25の引掛部25bが設けられる端部とは、反対側の端部の近傍に設けられる。配線用スリット部26は、係止部25の端部の樹脂体21側に設けられる切欠けが設けられている。配線用スリット部26は、保持部23に設けられた溝である。配線用スリット部26となる溝は、係止部25の深さ方向(z軸方向の長さ)と直交する方向(y軸方向の長さ)に延びる。溝の内部にリード線92を配することで、リード線92の配線を行う。本実施形態では、コネクタ91cから延びるリード線92は、コネクタ91cと対向する面(係止部25の裏面)側から係止部25を挿通する。係止部25を挿通したリード線92は、引掛部25bに引っかかる。それにより、リード線92は係止部25の上面側(係止部25の表面)から係止部25の下面(係止部25の裏面)側へ配される。リード線92は、係止部25の下面(係止部25の裏面)側を通り、配線用スリット部26へ延びる。配線用スリット部26は、挿入部24と係合部21d間の寸法や、リード線92の長さに応じて、複数設けることができる。また、配線用スリット部26は、係止部25だけでなく案内体23aや樹脂体22の他の部分に設けても良い。
(コイル)
コイル5は、絶縁被覆を有する導線である。本実施形態では、コイル5は、平角線のエッジワイズコイルである。但し、コイル5の線材や巻き方は平角線のエッジワイズコイルに限定されず、他の形態であっても良い。
コイル5は、左右の一対のコイル51a、51bを有し、これらの一端部がコイル51a、51bと同じ素材でなる連結線51cによって連結されている。コイル51a、51bは、エナメルなどの絶縁被覆した1本の銅線によって構成されている。コイル5は、コイル51a、51bの空芯部に環状コア10の脚部の周囲を囲うように、樹脂部材2の一対の直線部分の外周に装着されており、コイル51a、51bが互いに平行である。つまり、コイル51a、51bの巻軸方向が互いに平行である。
コイル51a、51bの端部52a、52bは、樹脂体22の連結部22aの上方を介してリアクトル本体1の外部に引き出されており、外部電源などの外部機器の配線と接続される。例えば、ケース4の側壁外部に樹脂製の端子台を設置しても良い。
端子台に設けた端子とコイル51a、51bの端部52a、52bとが溶接等により電気的に接続させる。そして、この端子台の端子を介してコイル51a、51bと外部機器の配線と電気的に接続される。外部電源から電力供給されると、コイル51a、51bに電流が流れてコイル51a、51bを突き抜ける磁束が発生し、環状コア10内に環状の閉じた磁気回路が形成される。
(ケース)
図1及び図2に示すように、ケース4は、リアクトル本体1を収容する収容部材である。ケース4は、例えばアルミニウム合金等、熱伝導性が高く軽量な金属で構成されており、放熱性を有する。
本実施形態では、ケース4は、上面に開口を備えた略直方体形状であり、主として底面とその底面の縁から立ち上がる側壁とで構成され、底面と側壁とで囲われ、リアクトル本体1を収容するスペースを有する。
ケース4の収容スペースは、リアクトル本体1の大きさより若干大きい。換言すれば、ケース4の壁は、リアクトル本体1の周囲を覆うように、リアクトル本体1より一回り大きい略矩形上に配置されている。そのため、ケース4にリアクトル本体1を収容すると、ケース4の側壁内面とリアクトル本体1の側面との間には隙間が形成される。
リアクトル本体1とケース4との隙間には、充填樹脂部6が形成されている。充填樹脂部6の形状は、上面部分がリアクトル本体1の形状になった形状であり、下面部分がケース4の底面の形状に倣った形状である。充填樹脂部6の形成方法としては、ケース4にリアクトル本体1に収容した後に、充填材を充填、固化しても良いし、予めケース4に充填材を充填しておき、その後、リアクトル本体1を収容し、充填材を固化させても良い。充填材には、リアクトルの放熱性能の確保及びリアクトルからケースへの振動伝搬の軽減のため、比較的柔らかく熱伝導性の高い樹脂が適している。
[1−3.作用・効果]
(1)本実施形態のリアクトルは、一対のコイル51a、51bと、リアクトルの状態を測定する温度センサ9と、コイル51a、51bの間に温度センサ9を保持させる保持部23を備える。温度センサ9は、温度センサ9の先端に設置される温度検出部91aと、温度検出部91aの後段に設置される接続部であるコネクタ91cと、コネクタ91cに接続され温度検出部91aからの信号を外部に伝送するためのリード線92を備える。また、保持部23は、温度検出部91aを挿入する挿入部24と、挿入部24の上方に設けられリード線92を挿通させる切り欠き部25aを有する係止部25とを備える。切り欠き部25aの寸法Dは、寸法Fのリード線92を通すが、寸法F’の境界部分91c’は通さない寸法とする。これにより、リード線92が上方に引っ張られた場合に、境界部分91c’を介してコネクタ91cと係止部25とが互いに当接する。
図7は、樹脂体にセンサが挿入された状態を示す斜視図である。図7に示すように、係止部25とコネクタ91cとが、境界部分91c’を介して接触し、係止しているとこが分かる。この状態であれば、例えリード線92を上方に、引っ張った場合にでも、その力は、リード線92とコネクタ91cの接続部分や、コネクタ91cとリード線91bの接続部分や、リード線91bと温度検出部91aとの接続部分には伝わらない。また、リアクトルに温度センサ9を搭載する工程では、温度検出部91a及びコネクタ91cを設置後、リード線92を引掛部25bや配線用スリット部26に配する場合、リード線92に対して力を加える必要がある。万が一、その力により、温度検出部91aやコネクタ91cが上方に引っ張られた場合にでも、境界部分91c’を介してコネクタ91cが係止部25と接触する。これにより、リード線92を伝わる力が、温度検出部91aとの接触部分へ伝わることを防止できる。その結果、温度センサ9における接続不良、すなわち、リード線92とコネクタ91cの接続部分や、コネクタ91cとリード線91bの接続部分や、リード線91bと温度検出部91aとの接続部分での接触不良や、導通不良が発生を抑制することができる。これにより、センサを取り付けやすく、信頼性の高いセンサの保持構造を有するリアクトルを提供することが可能となる。
(2)本実施形態では、コネクタ91c全体、及び境界部分91c’を絶縁チューブ91dで被覆したが、必ずしもこれに限らない。例えば、コネクタ91c自体を絶縁チューブで覆わず、コネクタ91cの寸法を、切り欠き部25aの寸法Dより大きくする。これにより、リード線92が上方に引っ張られた場合に、コネクタ91cが直接係止部25と当接する。この場合でも、本実施形態の効果と同様の効果を奏することが可能となる。
(3)詳述すると、コネクタ91cの幅、または絶縁チューブ91で被覆した境界部分91c’の幅が、切り欠き部25aの幅である寸法Dよりも大きな幅であれば良い。図8(a)は、本実施形態の場合であり、境界部分91c’において、最小となるリード線92を絶縁チューブ91dで被覆した部分の寸法F’ が切り欠き部25aの寸法Dより大きくなる場合である。図8(b)は、境界部分91c’のうち最小の寸法となる部分の寸法F’は、切り欠き部25aの幅である寸法Dよりも小さいが、境界部分91c’の一部の寸法が切り欠き部25aの寸法Dより大きくなる場合である。図8(c)は、コネクタ91cを絶縁チューブで被覆しない場合である。この場合でも、コネクタ91cの幅が切り欠き部25aの寸法Dより大きければ、本実施形態と同様の効果を奏することが可能となる。図8(d)は、コネクタ91cの幅が切り欠き部25aの寸法Dより小さいが、絶縁チューブ91で被覆した境界部分91c’の幅が切り欠き部25aの寸法Dより大きい場合である。以上の図8の(b)〜(d)のような場合にでも、本実施形態の効果を奏することができる。
(4)本実施形態では、絶縁チューブ91dは、弾性力を有するとした。これにより、リード線92を強く引っ張った場合の応力の一部を、絶縁チューブ91dの弾性力で緩和することができる。これにより、係止部25に加わる力を低減することができ、係止部25の破壊や変形を防止しつつ、リード線92とセンサ間の接触不良や、導通不良が発生を抑制することが可能となる。
(5)本実施形態の温度検出部91aは、リード線92より細いリード線91bを備えるものとした。一般に細いリード線は太いリード線に比べて、リード線自体の強度が低い。また、リード線を他の部材と接続した場合、接触する面積の関係上、細いリード線の方が接続部の強度が低くなる。温度センサ9において、リード線91bをリード線92より細くする場合には、リード線92よりリード線91bの強度が低くなる。加えて、各リード線と他の部材の接触部分の強度においても、リード線91bと他の部材との強度の方が低くなる。この様な場合にでも、温度センサ9への負荷を抑制することができるので、細いリード線を使用することで発生する接触不良や、導通不良が発生を抑制することが可能となる。
(6)本実施形態では、1つの切り欠き部25aに対して、並行して延びる2本のリード線を挿通させた。それだけでなく、2つの係止部25を設け、それぞれの係止部25に、1本のリード線92を挿通させても良い。その場合、それぞれのリード線92に、係り受け部を設ける。これにより、温度センサ9における接触不良や、導通不良が発生を抑制し、取り付けやすく信頼性の高いセンサを有するリアクトルを提供することが可能となる。
(7)本実施形態では、保持部23は、継ぎ目なく一続の樹脂部材であり、コア10のヨーク部を被覆する樹脂部材2と継ぎ目なく一続きに形成されている。保持部23を樹脂部材の一部として成型することが可能となるため、部品点数や組み立て工数の削減が可能となる。また、高精度を実現可能な樹脂成型を用いることで、寸法精度の向上を図ることが可能となる。
(8)本実施形態では、挿入部24は、温度検出部91aの底面と対向する底面部24cを有し、底面部24cと係止部25での長さは、温度検出部9aにおける底面から境界部分91c’の先端部までの長さ以上に離間して配置した。これにより、温度検出部9aやコネクタ91cをリアクトルに組み付ける場合に、温度検出部91aやコネクタ91cへ負担をかけずに、温度検出部91aやコネクタ91cの位置決めをすることが可能となる。そのため、高精度な温度検出を実現することが可能になる。また、底面部24cと係止部25までの寸法が、温度検出部9aの底面となる温度検出部9aの底面から境界部分91c’の先端部までの長さとより長い場合には、温度検出部9aと底面部24cとの間に隙間を作ることができる。この隙間は、振動に対するマージンとなる。これにより、取り付け時に発生する温度センサ9における接触不良や、導通不良が発生を抑制しつつ、リアクトルの温度を正確に測定できる。
(9)また、挿入部24は、温度センサ9を挟んで対向する側壁部24a及び側壁部24bを有することとした。側壁部24a及び側壁部24bの間隔の寸法Aは、温度センサ9の寸法Fよりも長いものとした。本実施形態では、温度センサ9の寸法Fとは、温度検出部91a及びコネクタ91cの幅の寸法である。これにより、温度検出部91aやコネクタ91cを組み付ける場合に、温度検出部91aやコネクタ91cが側壁部24aまたは側壁部24bに当接し、各側壁部からの受ける応力を低減することができる。これにより、取り付け時に発生するリード線92とセンサ間の接触不良や、導通不良が発生を抑制することができる。また、温度センサ9の寸法Aを、温度検出部9aの寸法とすることもできる。例えば、挿入部24にコネクタ91cを挿入させず、温度検出部91aだけを挿入する場合でも、挿入部24に温度検出部91aを挿入する際に、温度検出部91aが各側壁部からの受ける応力を低減することができる。
(10)また、底面部24c及び側壁部24a,24bは、保持部23を上方から見て同一直線上に配置される。これにより、コイル51a,51bを樹脂部材2に装着させた場合にでも、保持部23は、コイル51a,51bとの間に位置することになる。つまり、コイル51a,51bとの間には、直線状の隙間がある。この隙間に、位置するように保持部23が位置する。それ故に、コイル51a,51bの樹脂部材2への装着後、保持部23に対して温度センサ9を組み付ける際にも、コイル51a,51bが邪魔にならず、挿入部24に対する視界を確保することができ、組み付けを容易にする。
(11)長尺状の板状部材である係止部24の長辺の略中央に切り欠き部25aを設けた。そして、係止部24の短辺にリード線92を引っ掛ける引掛部25bを設けた。引掛部25bにリード線92を引っ掛けることで、温度センサ9を挿入部24上方に、引っ張りつつ固定することを容易にする。
(12)板状部材の保持部23の先端部に、リード線92を設置する配線用スリット部26を設けた。この配線用スリット部26の隣には、係止部25を設けた。このような、係止部25、引掛部25b、配線用スリット部26の位置関係とすることで、温度センサ9の係止を確実にすると共に、リード線92の一部が、弛んでコイル51a、bに接触することを防止することができる。
(13)挿入部24に設置された温度センサ9のコネクタ91cから延びるリード線92は、切り欠き部25aを挿通し、係止部25の表面へと抜ける。そして、引掛部25bに引っ掛かり、係止部25の裏面を経由して配線用スリット部26へ配される。このように、リード線92を引き回すことにより、係止部25とコネクタ91cを当接させた状態で保持することができる。これにより、リード線92が緩みを起因とする係止部25とコネクタ91cとが解離を抑制することができる。係止部25とコネクタ91cとが解離すると、リード線92が浮き上がってコイル51a、51bに接触したり、リード線92が撓みリード線92が切り欠き部25aから抜けてしまう恐れがある。
(14)挿入部24を上方視した平面図(図6)に示すように、係止部25は、挿入部24を構成する底面部24cと重ならないように配置される。これにより、リアクトルの高さ方向に対して上下抜きの金型で保持部を一体成型する場合、アンダーカットにならず成形しやすい。さらに、温度センサ9の挿入時においては、底面部24cを含む挿入部24を上方から見る場合、係止部25に視線を遮られることがない。そのため、温度センサ9の挿入作業を効率よく行うことが可能となる。また、挿入部24の上方に係止部25が設けられている。これにより、挿入部24に挿入した温度センサ9の端部と係止部25の寸法が近くなる。これにより、挿入部24に挿入した温度センサ9をリード線92と、係止部25との係止が容易となり、組立て性が良くなる。
(15)本実施形態では、挿入部24の入口部分に、テーパー部24dを設けるようにした。これにより、センサを確実に挿入部24に挿入することができる。そのため、センサの挿入時に、センサと挿入部24との意図しない接触を防止することとができ、センサの破壊や、断線、または接触不良を防止することができる。
(16)本実施形態では、案内体の長さを調整し、温度検出部9aが一対のコイル51a、51b間に配置するようにした。一対のコイル51a、51b間がリアクトルの中で最も高温になりやすい部分の一つであるため、当該部分の温度を正確に検出することができる。そのため、コイル51a、51bの過熱に伴うリアクトルの電気特性低下を防止することができる。
[他の実施形態]
本発明は、第1の実施形態に限定されるものではなく、下記に示す他の実施形態も包含する。また、本発明は、第1の実施形態及び下記の他の実施形態を全て又はいずれかを組み合わせた形態も包含する。さらに、これらの実施形態を発明の範囲を逸脱しない範囲で、種々の省略や置き換え、変更を行うことができ、その変形も本発明に含まれる。
(1)第1の実施形態では、検出部と第1のリード線とを電気的に接続するために、検出部から延びる第2のリード線と第1のリード線とを接続部を用いて電気的に接続した。しかしながら、検出部と第1のリード線とを電気的に接続する方法としては、これに限らない。例えば、図9に示す様に、リード線91bを用いずに検出部と接続部とを電気的に接続しておく。そして、この接続部を用いて検出部と、第1のリード線とを接続する。このような構成においても、第1の実施形態の効果を奏することができる。
(2)また、温度センサ9を保持するための、係止部25と当接する部材は、切り欠き部25aの内径以上の径を有する部材であれば、コネクタ91cに限らない。例えば、リード線92の被覆を一部厚くし、厚くした部分を、第1の実施形態における接続部であるコネクタ91cの代わりとなる係り受け部としても良い。リード線92の被覆を厚くする方法としては、リード線92の被覆の上に新たに被覆を重ねる方法がある。例えば、リード線92の被覆を厚くしたい部分に、熱伸縮性のチューブ由来の被覆を新たに設ける方法を採用しても良い。これにより、簡単な方法で、係り受け部を設けることができる。
(3)第1の実施形態では、保持部23は、継ぎ目なく一続きに形成することで一体成形するようにしたが、保持部23を構成する案内体23a、先端部23b、係止部25の少なくとも何れかを別体として構成し、接着剤などにより接着して保持部23を構成しても良い。
(4)第1の実施形態では、保持部23は、樹脂体22に設けたが、樹脂体21に設けても良い。何れの場合であっても、樹脂体21又は樹脂体22の片側のみに設けられ、これらを成形するための金型の変更がどちらか一方だけで済むため、製造コストを削減することができる。また、樹脂体21と樹脂体22の両側から部材を設けて温度検出部91aやコネクタ91cを保持する態様と比べて、片側で済む分、充填材を流すことのできる空間を確保することができ、リアクトルの製造効率が向上する上、充填材による放熱性も向上する利点がある。さらに、片側で済む分、金型の設計の変更がしやすい利点もある。
(6)第1の実施形態では、保持部23を一対のコイル51a、51b間に設けたが、これに限定されない。例えば、ケース4とコイル51a又はコイル51bとの間に設けての良いし、ケース4と対面する連結部21c又は連結部22aの側面と、ケース4との間に設けても良い。
(7)第1の実施形態では、温度センサ9を構成する部材として温度検出部9a、コネクタ91c、リード線91b、絶縁チューブ91dを挙げたが、温度センサ9の構成は、他の構成でも良い。
(8)第1の実施形態では、環状コア10をコア部材としてU字型コア11、12、I字型コア13により構成したが、コア部材の形状はこれらに限定されない。環状形状を構成できるのであれば、E字型コア、T字型コア、J字型コア、円柱コアなどを用いても良い。
(9)第1の実施形態では、環が1つの環状コア10を用いたが、E字型コアのように脚部を3本以上備えたコアを用いて、環が2つのθ形状に形成された環状コア10を用いても良い。
(10)第1の実施形態では、保持部23を一対のコイル51a、51b間に設けたが、これに限定されない。例えば、ケース4とコイル51a又はコイル51bとの間に設けての良いし、ケース4と対面する連結部21c又は連結部22aの側面と、ケース4との間に設けても良い。