JP6914135B2 - 柱状部材の耐震補強構造 - Google Patents

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Description

本発明は、柱状部材の耐震補強構造に関する。
建物の躯体を構成する柱や杭の端部を補強する手法として、例えば特許文献1には、コンクリート造の柱状体の外表面に、柱状体の周方向に沿って配設した高強度補強繊維を固化材により一体に固めて成形してなる補強層を設ける構成が開示されている。
特許文献1に開示されたような構成では、補強層を柱状体の全長にわたって設けているため、補強層を設けるのに手間とコストがかかる。
これに対し、例えば特許文献2には、予め筒状に形成された繊維強化プラスチックからなる筒状部材を杭本体の杭頭部に部分的に設けることで、杭頭部を補強する構成が開示されている。
特許文献2に開示されたような構成では、杭本体の杭頭部において、筒状部材によって覆われて補強がなされた区間と、筒状部材によって覆われておらずに杭本体が露出している区間との境界部において、強度が異なる。特に、杭本体の杭頭部をその上方の基礎や躯体と剛接合せず、地震時等に、杭頭部とその上方の基礎や躯体との間である程度の変位を許容する半剛接合とした場合、筒状部材によって覆われた区間と、杭本体が露出している区間との境界部に応力が集中しやすい。
また、特許文献3には、杭体の杭頭部に、杭頭部の上端面を覆う補強板と、補強板の外周に溶接されて杭頭部の外周を覆う円筒形部材と、を一体に備える構成が開示されている。
特許文献3に開示されたような構成においても、杭体の杭頭部において、円筒形部材によって覆われた区間と、円筒形部材によって覆われておらずに杭体が露出している区間との境界部において、強度が異なる。このため、特に、地震時等に杭頭部とその上方の基礎や躯体との間である程度の変位を許容する半剛接合とした場合、円筒形部材によって覆われた区間と、杭体が露出している区間との境界部に応力が集中しやすい。
特開昭62−133223号公報 特開2009−243238号公報 特開2015−10349号公報
本発明の目的は、柱状部材の特定部分への応力集中を避けることで、高い耐力を確保し、耐震性能を向上させることが可能な、柱状部材の耐震補強構造を提供することである。
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明の柱状部材の耐震補強構造は、杭または柱を形成する柱状部材と、前記柱状部材の軸方向の端部の外周面に沿うよう設けられた鋼製の第一筒状補強部と、前記柱状部材の前記外周面が前記第一筒状補強部によって覆われた部分と、前記柱状部材の前記外周面が露出した部分との間において、前記柱状部材の前記外周面を覆うように設けられた鋼材または繊維強化樹脂からなる第二筒状補強部と、を備えることを特徴とする。
このような構成によれば、鋼材または繊維強化樹脂からなる第二筒状補強部を設けることで、柱状部材の端部に設けられた鋼製の第一筒状補強部と、柱状部材の外周面が露出した部分との間で強度が大きく異なるのを抑える。これにより、地震時等に柱状部材の特定部分に応力が集中するのを抑えることができる。
本発明の一態様においては、本発明の柱状部材の耐震補強構造は、前記第一筒状補強部と、前記第二筒状補強部とは、前記柱状部材の前記軸方向において、少なくともその一部が互いに重なるように設けられている。
このような構成によれば、第一筒状補強部と第二筒状補強部とを重ね合わせることで、第一筒状補強部と第二筒状補強部との境界部分への応力集中を抑えることができる。
本発明の一態様においては、本発明の柱状部材の耐震補強構造は、前記柱状部材は筒状をなし、前記柱状部材の少なくとも前記端部の内側の中空部に、モルタルまたはコンクリートからなる充填材が充填されている。
このような構成によれば、第一筒状補強部や第二筒状補強部が外周側に設けられた柱状部材の端部の中空部にモルタルまたはコンクリートを充填することで、柱状部材の端部をさらに補強することができる。これにより、地震時等に柱状部材の特定部分に応力が集中するのを、より有効に抑えることができる。
本発明の一態様においては、本発明の柱状部材の耐震補強構造は、前記柱状部材の前記端部は、前記柱状部材の接合対象に形成された凹部に挿入されて前記接合対象に半剛接合され、前記第二筒状補強部は、前記凹部の外部に設けられている。
このような構成によれば、柱状部材の端部を接合対象に半剛接合することで、地震時等において柱状部材の接合対象に対する回転拘束度が緩和され、柱状部材の耐力を高めることができる。このような構成において、第二筒状補強部を凹部の外部に設けることで、接合対象に半剛接合された柱状部材の端部に作用するモーメントが第二筒状補強部に影響するのを避けつつ、第一筒状補強部と、柱状部材の外周面が露出した部分との境界部分に応力が集中するのを有効に抑えることができる。
本発明によれば、柱状部材の特定部分への応力集中を避けることで、高い耐力を確保し、耐震性能を向上させることが可能となる。
本発明の柱状部材の耐震補強構造を杭頭部に適用した杭の構成を示す断面図である。 図1のA−A矢視断面図である。 半剛接合した杭の杭頭部の地震時における変位の様子を模式的に示した断面図である。 上記杭の耐震補強構造の効果を確認するために用いた試験体を示す断面図である。 本発明の柱状部材の耐震補強構造を柱脚部に適用した柱の構成を示す断面図である。
以下、添付図面を参照して、本発明による柱状部材の耐震補強構造を実施するための形態について、図面に基づいて説明する。
[第1の実施形態]
本発明の柱状部材の耐震補強構造を杭頭部に適用した杭の構成を示す断面図を図1に示す。図1のA−A矢視断面図を図2に示す。
図1に示されるように、杭1は、地盤中に構築され、その上端部の杭頭部1tが、建物の基礎を構成する基礎コンクリート(接合対象)2に形成された凹部3に半剛接合されている。杭1は、杭本体(柱状部材)11と、第一筒状補強部15と、第二筒状補強部20と、を備えている。
杭本体11は、工場でコンクリートを遠心成型して形成され、プレストレストコンクリート造、またはプレストレスト鉄筋コンクリート造からなる。杭本体11は、上下方向に延びる円筒状で、その内部には、軸方向Cに沿って連続する中空部12が形成されている。図2に示されるように、杭本体11をプレストレストコンクリート造とする場合、杭本体11を構成するコンクリート11cの内部にプレストレスを付与するPC(プレストレスト)鋼棒13が設けられ、プレストレスト鉄筋コンクリート造の場合、PC鋼棒13に加えて鉄筋(主筋14a及びせん断補強筋14b)が設けられている。
図1に示されるように、第一筒状補強部15は、杭本体11の上端部(端部)に設けられている。第一筒状補強部15は、杭本体11の上端面に沿う円環状の端板16と、端板16の外周部から軸方向Cに延びる筒状部17と、を一体に有している。この第一筒状補強部15は、鋼材から形成され、端板16の外周部と筒状部17の上端部とは溶接により一体に接合されている。筒状部17は、杭本体11の上端部の外周面11fに形成された段部11xに嵌め込まれ、筒状部17の外周面17fが杭本体11の外周面11fと略面一となるよう形成されている。
第二筒状補強部20は、杭本体11の外周面11fに沿って軸方向Cに延びる円筒状をなしている。第二筒状補強部20は、上端部20aが、基礎コンクリート2の下面2bに形成された凹部3内に挿入されず、凹部3の外部に位置するよう設けられている。したがって、第二筒状補強部20の上端部20aは、例えば基礎コンクリート2の下面2bとほぼ同じ高さ、あるいは下面2bよりも僅かに低い位置に配置されている。また、第二筒状補強部20は、上端部20aが第一筒状補強部15の下端部15bよりも所定寸法上方に位置し、下端部20bが第一筒状補強部15の下端部15bよりも所定寸法下方に位置するよう設けられている。これにより、第二筒状補強部20は、杭本体11の外周面11fが第一筒状補強部15によって覆われた部分と、杭本体11の外周面11fが露出した部分11rとの間において、杭本体11の外周面11fを覆うように設けられている。さらに、第二筒状補強部20は、上端部20a側の一定長が、第一筒状補強部15の下端部15b側に重なっており、第一筒状補強部15に接合されている。
第二筒状補強部20は、鋼材、または繊維強化樹脂から形成されている。繊維強化樹脂としては、例えば、アラミド繊維やカーボン繊維等からなる繊維材料を第一筒状補強部15の筒状部17の外周面17f、および杭本体11の外周面11fに沿って周方向に巻き付け、樹脂を含浸させて固化させたものを用いることができる。繊維材料は、糸状であってもよいし、テープ状、シート状であってもよい。
第二筒状補強部20の軸方向Cの長さL1は、杭本体11の直径Dの1〜3倍程度に設定するのが好ましい。
また、杭本体11の上端部の内側の中空部12には、モルタルまたはコンクリートからなる充填材30(グラウト材)が充填されている。
充填材30の軸方向Cにおける区間の長さL2は、第二筒状補強部20の長さL1よりも、杭本体11の直径Dの1倍程度短くするのが好ましい。
上記したような杭1の杭頭部1tは、基礎コンクリート2の下面に形成された凹部3内に所定長が挿入されている。凹部3は、その内周面3fが上方から下方に向かって漸次拡径するテーパ状に形成され、杭頭部1tの第一筒状補強部15の外周面との径方向の隙間が、下方に向かって漸次大きくなるように設けられている。凹部3内において、第一筒状補強部15と凹部3との隙間には、モルタル等が充填されている。これにより、杭1の杭頭部1tと基礎コンクリート2とは半剛接合され、杭頭部1tにおける杭頭せん断力は杭頭部1tから基礎コンクリート2に伝達される。
このようにして、第一筒状補強部15、第二筒状補強部20、充填材30によって杭頭部1tの補強がなされた杭1においては、地震時等おける水平変位によって、基礎コンクリート2の凹部3に半剛接合された杭頭部1tに回転モーメント(曲げモーメント)が作用する。
半剛接合した杭の杭頭部の地震時における変位の様子を模式的に示した断面図を図3に示す。
図3に示されるように、このモーメントが大きくなると、杭頭部1tに設けられた端板16と基礎コンクリート2に形成された凹部3の底面3bとの間に隙間(ギャップ)を生じ、杭1の杭頭部1tにおける回転拘束度が緩和される。
端板16と凹部3の底面3bとの間に隙間(ギャップ)を生じるときには、端板16の径方向の一端16a側の引張縁において、凹部3の底面3bから浮き上がる一方で、端板16の径方向の他端16b側の圧縮縁においては、基礎コンクリート2から杭頭部1tに軸方向Cに沿った圧縮力が作用する。杭1の杭頭部1tにおいては、下方に向かって、第一筒状補強部15、第二筒状補強部20が順次設けられ、第一筒状補強部15の下端部15bと、杭本体11の外周面11fが露出した部分11rとの間の領域が第二筒状補強部20によって補強されている。これにより、第一筒状補強部15の下端部15bと杭本体11の外周面11fとの境界部分Kにおいて、杭頭部1tに作用する軸方向Cの圧縮力による応力の集中が緩和される。その結果、想定外の大きな圧縮力が作用した場合に、境界部分Kで杭本体11を構成するコンクリート11cの圧壊、杭本体11の座屈を防止する。
また、中空部12への充填材30の充填により、杭頭部1tに曲げ応力やせん断応力が作用した場合に、筒状の杭本体11と、その内側の充填材30が充填された部分とで、発生する応力差が発生するのを抑える。また、充填材30による杭頭部1tの実質的な断面積増大により、杭頭部1tに作用する軸方向Cの圧縮力による応力の集中を抑える。
上述したような杭1の耐震補強構造によれば、杭本体11と、杭頭部1tにおいて杭本体11の外周面11fに沿うよう設けられた鋼製の第一筒状補強部15と、杭本体11の外周面11fが第一筒状補強部15によって覆われた部分と、杭本体11の外周面11fが露出した部分との間において、杭本体11の外周面11fを覆うように設けられた鋼材または繊維強化樹脂からなる第二筒状補強部20と、を備える。
このような構成によれば、鋼材または繊維強化樹脂からなる第二筒状補強部20を設けることで、杭頭部1tに設けられた鋼製の第一筒状補強部15と、杭本体11の外周面11fが露出した部分との間の境界部分Kで強度が大きく異なるのを抑える。これにより、地震時等に杭本体11の特定部分である境界部分Kに応力が集中するのを抑えることができる。その結果、基礎コンクリート2に半剛接合されることで高い回転性能を有した杭1において、高い耐力を確保し、杭1を備えた建物全体の耐震性能を向上させることが可能となる。また、第二筒状補強部20や充填材30は、杭本体11の全長ではなく、基礎コンクリート2の一部、具体的には応力が集中しやすい第一筒状補強部15と杭本体11の外周面11fとの境界部分Kを中心とした部分的な領域に設けるようにしたので、経済的な補強構造を実現することができる。
また、第一筒状補強部15と、第二筒状補強部20とは、杭本体11の軸方向Cにおいて、少なくともその一部が互いに重なるように設けられている。このような構成によれば、第一筒状補強部15と第二筒状補強部20との境界部分への応力集中を抑えることができる。
また、杭本体11は筒状をなし、杭本体11の少なくとも杭頭部1tの内側の中空部12に、モルタルまたはコンクリートからなる充填材30が充填されている。
このような構成によれば、第一筒状補強部15や第二筒状補強部20が外周側に設けられた杭本体11の上端部において、中空部12にモルタルまたはコンクリートからなる充填材30を充填することで、杭1の杭頭部1tをさらに補強することができる。これにより、地震時等に杭1の特定部分に応力が集中するのを、より有効に抑えることができる。その結果、杭頭部1tにおけるひび割れの発生の抑制、充填材30による杭頭部1tの実質的な断面積増大による応力集中の抑制を図ることができる。
また、杭頭部1tは、基礎コンクリート2に形成された凹部3に挿入されて基礎コンクリート2に半剛接合され、第二筒状補強部20は、凹部3の外部に設けられている。
このような構成によれば、第二筒状補強部20を凹部3の外部に設けることで、基礎コンクリート2に半剛接合された杭頭部1tに作用するモーメントが第二筒状補強部20に直接影響するのを避けつつ、第一筒状補強部15と、杭本体11の外周面11fとの境界部分Kに応力が集中するのを有効に抑えることができる。
[実験例]
上記のような杭1の耐震補強構造の効果について確認したので、その結果を以下に示す。
杭1の耐震補強構造の効果を確認するために用いた試験体を示す断面図を図4に示す。
杭本体11としては、外形700mm、内径500mmのプレストレスト鉄筋コンクリート造のものを用いた。杭本体11のPC鋼棒13として、直径11.2mmのものを周方向に16本を配置し、主筋14aとして直径22.2mmのものを周方向に16本配置し、せん断補強筋14bとして直径4mmのものを70mmピッチで螺旋状に配置した。
このような杭1の杭頭部1tを、基礎コンクリート2の凹部3に130mm挿入し、杭頭部1tと凹部3との隙間に無収縮モルタルを充填し、基礎コンクリート2に半剛接合で接合した。
試験体T1として、上記の杭本体11の上端部に、鋼製で軸方向Cの長さが200mmの第一筒状補強部15と、炭素繊維を用いた繊維強化樹脂からなり、軸方向Cの長さL1=1500mmの第二筒状補強部20とを設けたものを用意した。
また、試験体T2として、杭頭部1tに、試験体T1と同様に鋼製の第一筒状補強部15と、シート状の炭素繊維を用いた繊維強化樹脂からなる第二筒状補強部20とを設け、さらに、杭本体11の上端部において、長さL2=1000mmの区間にわたって充填材30を充填したものを用いた。
さらに、比較のため、比較試験体T3として、杭頭部1tに第一筒状補強部15のみを設け、第二筒状補強部20および充填材30を備えないものを用意した。
図4に示されるように、上記のような試験体T1、T2、比較試験体T3を、基礎コンクリート2を下方にし、杭本体11を上方に向け、上方から軸力N=3800kNを導入した後、加力点で、変形角を1/800〜1/25に漸次増加しながら繰り返し与えた。
その結果、第二筒状補強部20および充填材30を備えない比較試験体T3においては、軸力導入時に、第一筒状補強部15の下端部15bと杭本体11の外周面11fとの境界部分Kにおいて、杭本体11を構成するコンクリート11cの剥離が発生した。さらに、コンクリート11cの剥離後、PC鋼棒13および主筋14aの座屈、せん断補強筋14bの破断が生じた。
これに対し、第二筒状補強部20を備えた試験体T1、第二筒状補強部20および充填材30を備えた試験体T2は、試験終了時まで、加力での破壊には至らなかった。
また、試験体T1、T2において、上記試験の前後で、第二筒状補強部20を構成する炭素繊維の歪み量を、周方向複数個所で計測した。その結果、充填材30が充填されていない試験体T1よりも、充填材30が充填されている試験体T2の方が、炭素繊維の歪み量が小さかった。
[第2の実施形態]
本発明の柱状部材の耐震補強構造を柱脚部に適用した柱の構成を示す断面図を図5に示す。
この図5に示されるように、基礎コンクリート2上に設けられる柱6の柱脚部6dは、基礎コンクリート2の下面に形成された凹部7内に所定長が挿入されている。凹部7内において、第一筒状補強部15Bと凹部7との隙間には、モルタル等が充填されている。これにより、柱6の柱脚部6dと基礎コンクリート2とは半剛接合されている。
柱6は、柱本体(柱状部材)8と、第一筒状補強部15Bと、第二筒状補強部20Bと、を備えている。
柱本体8は、杭本体11と同様、工場でコンクリートを遠心成型して形成された、プレストレストコンクリート造、またはプレストレスト鉄筋コンクリート造である。柱本体8は、上下方向に延びる円筒状で、その内部には、軸方向Cに沿って連続する中空部12Bが形成されている。
第一筒状補強部15Bは、柱本体8の下端面に沿う円環状の端板16と、端板16の外周部から柱本体8の外周面に沿って軸方向Cの上方に延びる筒状部17と、を一体に有している。この第一筒状補強部15Bは、鋼材から形成され、端板16の外周部と筒状部17の下端部とは溶接により一体に接合されている。
第二筒状補強部20Bは、柱本体8の下端部に設けられ、柱本体8の外周面8fに沿って軸方向Cに延びる円筒状をなしている。第二筒状補強部20Bは、下端部20cが、基礎コンクリート2の上面2aに形成された凹部7の外部、例えば基礎コンクリート2の上面2aとほぼ同じ高さに配置されている。また、第二筒状補強部20Bは、下端部20cが第一筒状補強部15Bの上端部15cよりも所定寸法下方に位置し、上端部20dが第一筒状補強部15Bの上端部15cよりも所定寸法上方に位置するよう設けられている。これにより、第二筒状補強部20Bは、柱本体8の外周面8fが第一筒状補強部15Bによって覆われた部分と、柱本体8の外周面8fが露出した部分8rとの間において、柱本体8の外周面8fを覆うように設けられている。さらに、第二筒状補強部20Bは、下端部20c側の一定長が、第一筒状補強部15Bの上端部15c側に重なっており、第一筒状補強部15Bに接合されている。
第二筒状補強部20Bは、鋼材、または繊維強化樹脂から形成されている。繊維強化樹脂としては、例えば、アラミド繊維やカーボン繊維等の繊維材料を柱本体8の外周面8fに沿って周方向に巻き付け、樹脂を含浸させて固化させたものを用いることができる。繊維材料は、糸状であってもよいし、テープ状、シート状であってもよい。
また、第一筒状補強部15Bや第二筒状補強部20Bが外周側に設けられた柱本体8の内側の中空部12Bには、モルタルまたはコンクリートからなる充填材30(グラウト材)が充填されている。
上述したような柱6の耐震補強構造によれば、柱本体8と、柱本体8の下端部において柱本体8の外周面8fに沿うよう設けられた鋼製の第一筒状補強部15Bと、柱本体8の外周面8fが第一筒状補強部15Bによって覆われた部分と、柱本体8の外周面8fが露出した部分8rとの間において、柱本体8の外周面8fを覆うように設けられた鋼材または繊維強化樹脂からなる第二筒状補強部20Bと、を備える。
このような構成によれば、鋼材または繊維強化樹脂からなる第二筒状補強部20Bを設けることで、柱本体8の下端部に設けられた鋼製の第一筒状補強部15Bと、柱本体8の外周面8fが露出した部分8rとの間で強度が大きく異なるのを抑える。これにより、地震時等に柱本体8の特定部分に応力が集中するのを抑えることができる。その結果、柱6の高い耐力を確保し、柱6を備えた建物全体の耐震性能を向上させることが可能となる。
また、第一筒状補強部15Bと、第二筒状補強部20Bとは、柱本体8の軸方向Cにおいて、少なくともその一部が互いに重なるように設けられている。このような構成によれば、第一筒状補強部15Bと第二筒状補強部20Bとの境界部分への応力集中を抑えることができる。
また、柱本体8は筒状をなし、柱本体8の少なくとも下端部の内側の中空部12Bに、モルタルまたはコンクリートからなる充填材30が充填されている。
このような構成によれば、中空部12に充填材30を充填することで、柱6の柱脚部6dをさらに補強することができる。これにより、地震時等に柱本体8の特定部分に応力が集中するのを、より有効に抑えることができる。その結果、柱脚部6dにおける柱本体8へのひび割れの発生の抑制、充填材30による柱脚部6dの実質的な断面積増大による応力集中の抑制を図ることができる。
また、柱脚部6dは、基礎コンクリート2に形成された凹部7に挿入されて基礎コンクリート2に半剛接合され、第二筒状補強部20Bは、凹部7の外部に設けられている。
このような構成によれば、第二筒状補強部20Bを凹部7の外部に設けることで、基礎コンクリート2に半剛接合された柱脚部6dに作用するモーメントが第二筒状補強部20Bに直接影響するのを避けつつ、第一筒状補強部15Bと、柱本体8の外周面8fとの境界部分Kに応力が集中するのを有効に抑えることができる。
(実施形態の変形例)
なお、本発明の柱状部材の耐震補強構造は、図面を参照して説明した上述の実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
例えば、第二筒状補強部20は、上端部20aから下端部20bまでを一様の厚さで補強してもよいが、第一筒状補強部15の下端部15bと杭本体11や柱本体8の外周面11f、8fとの境界部分Kを含む部分のみを、他の部分よりも厚くして、より強固に補強するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、杭本体11や柱本体8の中空部12、12Bに充填材30を充填するようにしたが、この充填材30を省略した構成とすることも可能である。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
1 杭 11 杭本体(柱状部材)
1t 杭頭部 11f 外周面
2 基礎コンクリート(接合対象) 11r 外周面が露出した部分
3、7 凹部 12、12B 中空部
6 柱 15、15B 第一筒状補強部
6d 柱脚部 20、20B 第二筒状補強部
8 柱本体(柱状部材) 30 充填材
8f 外周面 C 軸方向
8r 外周面が露出した部分 K 境界部分

Claims (3)

  1. 杭または柱を形成する柱状部材と、
    前記柱状部材の軸方向の端部の外周面に沿うよう設けられた鋼製の第一筒状補強部と、
    前記柱状部材の前記外周面が前記第一筒状補強部によって覆われた部分と、前記柱状部材の前記外周面が露出した部分との間において、前記柱状部材の前記外周面を覆うように設けられた鋼材または繊維強化樹脂からなる第二筒状補強部と、
    を備え
    前記柱状部材の前記端部は、前記柱状部材の接合対象に形成された凹部に挿入されて前記接合対象に半剛接合され、
    前記第二筒状補強部は、前記凹部の外部に設けられていることを特徴とする柱状部材の耐震補強構造。
  2. 前記第一筒状補強部と、前記第二筒状補強部とは、前記柱状部材の前記軸方向において、少なくともその一部が互いに重なるように設けられていることを特徴とする請求項1に記載の柱状部材の耐震補強構造。
  3. 前記柱状部材は筒状をなし、
    前記柱状部材の少なくとも前記端部の内側の中空部に、モルタルまたはコンクリートからなる充填材が充填されていることを特徴とする請求項1または2に記載の柱状部材の耐震補強構造。
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