JP6638900B2 - 柱同士の接合構造の設計方法及び柱同士の接合構造 - Google Patents
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上記の複合構造建物における境界層は、外殻をなす鋼管と、鋼管内に挿入された主筋と、主筋の周囲に巻回された帯筋と、鋼管内に充填されたコンクリートと、を備えている。また、鋼管の内周面の上端部及び下端部には、内方に突出するリブが、鋼管の内周面に沿って全周にわたって設けられている。当該構成では、地下階等一層分のみの境界層で、上層部の構造と下層部の構造とを切り替えることができる。
すなわち、本発明に係る柱同士の接合構造の設計方法は、コンクリート部及び該コンクリート部内を鉛直方向に延びる柱主筋を有する鉄筋コンクリート造の第一柱と、該第一柱の上方に配置された鉄骨造又は充填鋼管コンクリート造の第二柱とを接合する柱同士の接合構造の設計にあたり、前記第一柱と前記第二柱とは、応力切替部を介して接合されており、該応力切替部は、前記第二柱の下部と、該第二柱の下部の外周側に配置され、前記柱主筋と連続して前記コンクリート部から前記鉛直方向に突出して延びる主筋部と、該主筋部を全て囲繞するとともに、前記鉛直方向全長にわたって配置された平面視矩形状の鋼管と、該鋼管内に充填された充填コンクリート部と、を備え、前記鋼管の前記鉛直方向の上部及び下部には、隅角部以外の部分に、該鋼管の各内周面から水平方向に突出するようにリブが設けられ、前記リブの前記内周面からの突出長さが、下記の条件式(1)〜(5)を満たすように設定することを特徴とする。
MC:鋼管の平面視一辺の中央部分の曲げモーメント
w:第二柱に作用するせん断力の支圧反力
BC:鋼管の平面視一辺の内法長さ
W:支圧反力wの作用領域高さ
tFB:鋼管の内周面からのリブ突出長さ
eqt:支圧反力wの作用領域高さにおけるtFBを考慮した鋼管の等価厚さ
tP:鋼管の厚さ
eqZ:Wとeqtとで構成される断面係数
σC:Wとeqtとで構成される断面を有する鋼管の平面視一辺の中央部分の曲げ応力度
F:鋼管を形成する鋼材のF値
MC:鋼管の平面視一辺の中央部分の曲げモーメント
w:第二柱に作用するせん断力の支圧反力
BC:鋼管の平面視一辺の内法長さ
W:支圧反力wの作用領域高さ
tFB:鋼管の内周面からのリブ突出長さ
eqt:支圧反力wの作用領域高さにおけるtFBを考慮した鋼管の等価厚さ
tP:鋼管の厚さ
eqZ:Wとeqtとで構成される断面係数
σC:Wとeqtとで構成される断面を有する鋼管の平面視一辺の中央部分の曲げ応力度
F:鋼管を形成する鋼材のF値
また、リブは、鋼管の隅角部には設けられておらず、平面視矩形状の鋼管の平面部に沿って設けられているため、リブの加工及び鋼管への固定等の作業を容易にすることができる。
また、補剛部は、一の内周面と他の内周面とを連結する構成であり、その形状等は適宜決定できるため、補剛部の加工を容易にすることができる。
本発明の第一実施形態に係る建築物について、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の第一実施形態に係る柱同士の接合構造を示す概略正面図である。以下の図面において、構成を分かりやすくするために、破線で示すべきところを実線で示している場合がある。
図1に示すように、本実施形態に係る建築物100は、鉄筋コンクリート造の第一柱1と、第一柱1の上端部に設けられた地下一階の床スラブF0と、第一柱1の上方に配置された充填鋼管コンクリート造の第二柱2とを備えている。さらに、建築物100は、第二柱2の上方に配置された第三柱3と、第二柱2と第三柱3の接合部分から水平方向に延びる地上一階の床スラブF1と、鉄筋コンクリート造又は鉄骨造の梁(不図示。)とを備えている。
図2は、柱同士の接合構造の構成を示す縦断面図である。図3は、図2のA−A断面図である。
図2及び図3に示すように、第一柱1は、水平方向に所定の間隔を有して鉛直方向に延びる複数の主筋10と、これら複数の主筋10を束ねるように鉛直方向に間隔を有して配置された複数の帯筋12と、これら複数の主筋10及び複数の帯筋12を覆うように平面視略矩形状に充填されたコンクリートである第一コンクリート部13とを有している。
第二柱2は、区間Xの上方に位置する鉛直方向の区間Yにわたって配置され、角筒状の鋼管(以下、角鋼管という)21と、角鋼管21内に充填されたコンクリートである第二コンクリート部22とを有している。
なお、第二柱2の鋼管21は角筒状に限られず、円筒状であってもよく、当該形状は適宜選択可能である。
応力切替部5は、区間Xの上端部から区間Yの下部にわたる区間Zにわたって配置されている。この応力切替部5は、第二柱2の下部2Aと、この下部2Aの外周側に配置された第一柱1の主筋10の主筋部70と、この主筋部70を全て囲繞する接合鋼管(鋼管)50と、接合鋼管50内に充填された充填コンクリート部80とを備えている。
このようにして、接合鋼管50は、第一柱1の上端部から第二柱2の下部にわたって配置されている。
図4は、本発明の第一実施形態に係る柱同士の接合構造において、支圧反力wの作用領域高さWを示す縦断面図である。図5は、図4のB−B断面図である。図6は、本発明の第一実施形態に係る柱同士の接合構造において、想定しているせん断力に対する鋼管上部に作用する支圧反力による曲げ応力状態を示す図である。
リブ51,52は次の条件式を満たすように設定されている。
上記の接合構造において、第二柱2に作用するせん断力の支圧反力wがBC×Wの領域に作用し、図6に示すような曲げ応力が接合鋼管50の平面視一辺に作用しているものと考える。
このとき、BC中央部分(接合鋼管50の平面視一辺の中央部分)の曲げモーメントMCは、下記の条件式(1)で表される。
MC:鋼管の平面視一辺の中央部分の曲げモーメント
w:第二柱に作用するせん断力の支圧反力
BC:鋼管の平面視一辺の内法長さ
W:支圧反力wの作用領域高さ
tFB:鋼管の内周面からのリブ突出長さ
eqt:支圧反力wの作用領域高さにおけるtFBを考慮した鋼管の等価厚さ
tP:鋼管の厚さ
eqZ:Wとeqtとで構成される断面係数
σC:Wとeqtとで構成される断面を有する鋼管の平面視一辺の中央部分の曲げ応力度
F:鋼管を形成する鋼材のF値
ただし、支圧反力wの単位は、単位長さあたりの力(N/mm)である。
また、リブ51,52は、接合鋼管50の隅角部Sには設けられておらず、平面視矩形状の接合鋼管50の平面部に沿って設けられているため、リブ51,52の加工及び接合鋼管50への固定等の作業を容易にすることができる。
次に、上記に示す実施形態の変形例について、主に図7を用いて説明する。
図7は、本発明の第一実施形態の変形例に係る柱同士の接合構造を示す概略正面図である。
以下の他の実施形態において、前述した第一実施形態で用いた部材と同一の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
図7に示すように、床スラブF0から鉛直方向に延びるように鉄筋コンクリート造の第一柱101が配置されていてもよい。この場合には、第一柱101を構成する柱主筋11(図2参照)、帯筋12(図2参照)、第一コンクリート部13(図2参照)は、区間X1に設けられている。なお、柱主筋11に連続する主筋部70(図2参照)は、区間Z1にまで延びている。
また、第二柱102は、区間Y1にわたって配置されている。
応力切替部105は、区間X1の上側から区間Y1の下部にわたる区間Z1にわたって配置されている。なお、第二柱102は、第三柱3と一体として構成されていてもよい。
なお、第一柱の第一コンクリート部の上端が床スラブF0の厚さ方向途中に達するように第一柱が配置され、これに連続して応力切替部が配置されていてもよい。つまり、応力切替部の下端が、床スラブF0の厚さ方向途中から立ち上がるように配置されていてもよい。
次に、第二実施形態について、主に図8,9を用いて説明する。
図8は、本発明の第二実施形態に係る柱同士の接合構造の構成を示す縦断面図である。図9は、図8のC−C断面図である。
図8に示すように、リブ151は、接合鋼管50の上端部50Tよりもわずかに下方に設けられている。図8,9に示すように、接合鋼管50は、隅角部Sでは湾曲形成されている。隅角部Sには、互いに直交する一の内周面50Nと他の内周面50Nとを連結する補剛プレート(補剛部)H1が設けられている。
次に、第二実施形態の変形例1について、主に図10,11を用いて説明する。
図10は、本発明の第二実施形態の変形例1,2に係る柱同士の接合構造を示す縦断面図である。図11は、本発明の第二実施形態の変形例1における図10のD−D断面図である。
図10,11に示すように、本変形例では、補剛プレートH2は、リブ51の下方に設けられている。補剛プレートH2は、平面視略直角に折曲されている。補剛プレートH2の折曲された折曲部H20が、接合鋼管50の隅角部Sに対向するように配置されている。補剛プレートH2は、上下方向に離間して2箇所に設けられている。
次に、第二実施形態の変形例2について、主に図10,12を用いて説明する。
図12は、本発明の第二実施形態の変形例2における図10のD−D断面図である。
図10,12に示すように、本変形例では、補剛プレートH3は、リブ51の下方に設けられている。補剛プレートH3は、接合鋼管50の直交する一の内周面50N、隅角部S、一の内周面50Nと直交する内周面50Nに沿うように配置されている。
図13に示すa(せん断力Qd=0の位置から接合鋼管50の上端部50Tまでの鉛直方向の長さ)、h1、h2は、それぞれ以下の条件式(6)〜(8)で表される。
2…第二柱
2A…第二柱の下部
5…応力切替部
11…柱主筋
13…第一コンクリート部
50…接合鋼管(鋼管)
52…リブ
70…主筋部
80…充填コンクリート部
100…建築物
S…隅角部
H1…補剛プレート(補剛部)
Claims (4)
- コンクリート部及び該コンクリート部内を鉛直方向に延びる柱主筋を有する鉄筋コンクリート造の第一柱と、該第一柱の上方に配置された鉄骨造又は充填鋼管コンクリート造の第二柱とを接合する柱同士の接合構造の設計にあたり、
前記第一柱と前記第二柱とは、応力切替部を介して接合されており、
該応力切替部は、
前記第二柱の下部と、
該第二柱の下部の外周側に配置され、前記柱主筋と連続して前記コンクリート部から前記鉛直方向に突出して延びる主筋部と、
該主筋部を全て囲繞するとともに、前記鉛直方向全長にわたって配置された平面視矩形状の鋼管と、
該鋼管内に充填された充填コンクリート部と、を備え、
前記鋼管の前記鉛直方向の上部及び下部には、隅角部以外の部分に、該鋼管の各内周面から水平方向に突出するようにリブが設けられ、
前記リブの前記内周面からの突出長さが、下記の条件式(1)〜(5)を満たすように設定することを特徴とする柱同士の接合構造の設計方法。
MC:鋼管の平面視一辺の中央部分の曲げモーメント
w:第二柱に作用するせん断力の支圧反力
BC:鋼管の平面視一辺の内法長さ
W:支圧反力wの作用領域高さ
tFB:鋼管の内周面からのリブ突出長さ
eqt:支圧反力wの作用領域高さにおけるtFBを考慮した鋼管の等価厚さ
tP:鋼管の厚さ
eqZ:Wとeqtとで構成される断面係数
σC:Wとeqtとで構成される断面を有する鋼管の平面視一辺の中央部分の曲げ応力度
F:鋼管を形成する鋼材のF値 - コンクリート部及び該コンクリート部内を鉛直方向に延びる柱主筋を有する鉄筋コンクリート造の第一柱と、該第一柱の上方に配置された鉄骨造又は充填鋼管コンクリート造の第二柱とを接合する柱同士の接合構造であって、
前記第一柱と前記第二柱とは、応力切替部を介して接合されており、
該応力切替部は、
前記第二柱の下部と、
該第二柱の下部の外周側に配置され、前記柱主筋と連続して前記コンクリート部から前記鉛直方向に突出して延びる主筋部と、
該主筋部を全て囲繞するとともに、前記鉛直方向全長にわたって配置された平面視矩形状の鋼管と、
該鋼管内に充填された充填コンクリート部と、を備え、
前記鋼管の前記鉛直方向の上部及び下部には、隅角部以外の部分に、該鋼管の各内周面から水平方向に突出するようにリブが設けられ、
前記リブの前記内周面からの突出長さは、下記の条件式(6)〜(10)を満たすように設定されていることを特徴とする柱同士の接合構造。
MC:鋼管の平面視一辺の中央部分の曲げモーメント
w:第二柱に作用するせん断力の支圧反力
BC:鋼管の平面視一辺の内法長さ
W:支圧反力wの作用領域高さ
tFB:鋼管の内周面からのリブ突出長さ
eqt:支圧反力wの作用領域高さにおけるtFBを考慮した鋼管の等価厚さ
tP:鋼管の厚さ
eqZ:Wとeqtとで構成される断面係数
σC:Wとeqtとで構成される断面を有する鋼管の平面視一辺の中央部分の曲げ応力度
F:鋼管を形成する鋼材のF値 - 前記隅角部には、一の前記内周面と該一の内周面と交差する他の前記内周面とを連結する補剛部が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の柱同士の接合構造。
- コンクリート部及び該コンクリート部内を鉛直方向に延びる柱主筋を有する鉄筋コンクリート造の第一柱と、該第一柱の上方に配置された鉄骨造又は充填鋼管コンクリート造の第二柱とを接合する柱同士の接合構造であって、
前記第一柱と前記第二柱とは、応力切替部を介して接合されており、
該応力切替部は、
前記第二柱の下部と、
該第二柱の下部の外周側に配置され、前記柱主筋と連続して前記コンクリート部から前記鉛直方向に突出して延びる主筋部と、
該主筋部を全て囲繞するとともに、前記鉛直方向全長にわたって配置された平面視矩形状の鋼管と、
該鋼管内に充填された充填コンクリート部と、を備え、
前記鋼管の前記鉛直方向の上部及び下部には、隅角部以外の部分に、該鋼管の各内周面から水平方向に突出するようにリブが形成され、
前記隅角部には、一の前記内周面と該一の内周面と交差する他の前記内周面とを連結する補剛部が設けられていることを特徴とする柱同士の接合構造。
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