JP2009108591A - 構造部材 - Google Patents

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武史 福原
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Abstract

【課題】施工性が良く、鋼管を補強する補強部材の取り付けが容易な、コンクリート製の柱や梁の構造部材を提供する。
【解決手段】コンクリート製の柱12を囲んで、柱12を補強する拘束鋼管10が設けられている。拘束鋼管10の対向する管壁には複数の貫通孔14が設けられ、貫通孔14には補強部材としての長ボルト16が断面視十字状に挿入されている。長ボルト16の両端部は、長さL1で拘束鋼管10の外部まで延出されており、長さL1で延出された部分を利用して、拘束鋼管10の外側から座金20を挟んでナット18で固定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、コンクリート製の柱や梁の構造部材に関する。
コンクリート製の柱や梁の脆性破壊を防止する方法として、柱や梁における曲げモーメントが大きく作用する位置を鋼管で囲み、鋼管の拘束力で変形を抑制する方法が用いられている。
例えば、図10に示すように、鋼管82の内部にコンクリート80を充填(主筋や帯筋は省略)して柱50とし、柱50における、曲げモーメントが大きく作用する位置の横方向の変形を抑える方法である。
このとき、柱50が横方向へ膨らもうとする力X1、Y1を、鋼管82で横から押さえて変形を抑制するには、鋼管82が反対方向の大きな拘束力X2、Y2を有する必要がある。このため、鋼管82を厚肉の鋼板で剛に形成して拘束力X2、Y2を確保している。しかし、厚肉の鋼管は施工性、経済性が悪い。
このため、図11に示すように、十字状の補強鋼板84を設けた鋼管83の内部に、コンクリート80を充填して柱62とし、補強鋼板84に拘束力X3、Y3を分担させ、鋼管83に要求される拘束力X2、Y2を軽減して、薄肉化を図る方法が提案されている。
しかし、この方法では、補強鋼板84の両端面を鋼管83の内面に溶接して接合部86を形成する必要がある。この溶接作業は鋼管83の内面側で行うため、作業性が悪い。更に、現場でのコンクリート打設時には、鋼管83を直立させ、直立させた状態で鋼管83を支持する必要があるが、鋼管83の外部には作業用の支掛り部がなく、鋼管83の位置決めに手間がかかるという問題もある。
他に、コンクリート製の柱の横方向の変形を抑える技術として、両端面に嵌合継手を形成した鋼板でコンクリート製の柱を囲む方法もある(特許文献1参照)。
特許文献1は、図12及び図13に示すように、鋼板6の両端面に嵌合継手5が形成され、鋼板6の嵌合継手5同士を嵌合させて鋼板6を連結し、連結された複数の鋼板6で鉄筋コンクリートの柱1を囲み、柱1と鋼板6の隙間に不定形の硬化材料4を充填している。しかし、囲むだけでは柱1を横方向から拘束する力は弱く、鋼板6を外部から補助具である治具10で押さえている。このため、施工性に加え経済性も悪い。
特開平9−125317号公報
本発明は係る事実を考慮し、施工性が良く、鋼管を補強する補強部材の取り付けが容易な、コンクリート製の柱や梁の構造部材を提供することを課題とする。
請求項1に記載の発明に係る構造部材は、対向する管壁には前記管壁を貫通する貫通孔が設けられ、コンクリートが充填された鋼管と、前記貫通孔に挿入され、前記鋼管を貫通し、前記鋼管を拘束する補強部材と、を有することを特徴としている。
請求項1に記載の発明では、鋼管にコンクリートが充填され、柱や梁等の構造部材とされている。この構造部材に軸力や曲げモーメントが作用したとき、鋼管の管壁を貫通し鋼管を拘束する補強部材で、鋼管の孕みを抑えることができる。
このように、補強部材に拘束力を分担させることで、鋼管の薄肉化が図れ、鋼管のコストダウンにつながる。また、鋼管を貫通した補強部材を鋼管の外側から鋼管を拘束できるため、作業性がよい。
請求項2に記載の発明に係る構造部材は、第1貫通孔が形成されたコンクリート製の柱と、対向する管壁には前記管壁を貫通する第2貫通孔が形成され、前記柱を囲む鋼管と、前記第1貫通孔と前記第2貫通孔に挿入され、前記第1貫通孔と前記第2貫通孔を貫通し、前記鋼管を拘束する補強部材と、を有することを特徴としている。
請求項2に記載の発明では、コンクリート製の柱に第1貫通孔が形成され、鋼管の管壁に第2貫通孔が形成されている。第1貫通孔と第2貫通孔を貫通し、鋼管を拘束する補強部材で鋼管が補強されている。これにより、柱の変形が鋼管で抑制される。
請求項3に記載の発明に係る構造部材は、第3貫通孔が形成されたコンクリート製の梁と、対向する管壁には前記管壁を貫通する第4貫通孔が形成され、前記梁を囲む鋼管と、前記第3貫通孔と前記第4貫通孔に挿入され、前記第3貫通孔と前記第4貫通孔を貫通し、前記鋼管を拘束する補強部材と、を有することを特徴としている。
請求項3に記載の発明では、コンクリート製の梁に第3貫通孔が形成され、鋼管の管壁に第4貫通孔が形成されている。第3貫通孔と第4貫通孔を貫通し、鋼管を拘束する補強部材で鋼管が補強されている。これにより、梁の変形が鋼管で抑制される。
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3のいずれか1項に記載の構造部材において、 前記鋼管は、前記柱又は前記梁の両端部を囲むことを特徴としている。
請求項4に記載の発明では、鋼管が前記柱又は前記梁の両端部を囲んでいる。これにより、柱又は梁における曲げモーメントが大きく作用する位置の変形を抑えることができる。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の構造部材において、前期補強部材は、前記鋼管を断面視したとき、十字状若しくは格子状に配置されていることを特徴としている。
請求項5に記載の発明では、断面視が十字状若しくは格子状に補強部材が配置されている。補強部材を断面視が十字状に配置することにより、鋼管の断面2軸方向の変形を抑えることができる。また、補強部材を断面視が格子状に配置することにより、補強部材が十字状にされている場合に比べ、鋼管の広い範囲の変形を、より均一に、かつ、より強く抑制できる。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の構造部材において、前記補強部材は、前記鋼管の長さ方向に多段に設けられていることを特徴としている。
請求項6に記載の発明では、補強部材が鋼管の長さ方向に多段に設けられている。これにより、柱又は梁に曲げモーメントが大きく作用する位置の変形を、構造部材で必要な範囲に渡り広範囲に、均一、かつより強く抑制できる。
本発明は上記構成としたので、施工性が良く、鋼管を補強する補強部材の取り付けが容易な、コンクリート製の柱や梁の構造部材を提供できる。
(第1の実施の形態)
図1に示すように、柱12は、鋼管としての拘束鋼管10の中にコンクリート11を充填することで構成される。
拘束鋼管10の対向する管壁には、貫通孔14が設けられ、貫通孔14には補強部材としての長ボルト16が断面視が十字状に挿入されている。
長ボルト16は、両端部が拘束鋼管10から長さL1だけ延出する長さとされ、この延出された長さL1の部分を利用して、拘束鋼管10を、両端部から座金20を挟んでナット18で固定している。
柱12は、長ボルト16を拘束鋼管10に固定した後に、拘束鋼管10の内部にコンクリート11を充填して形成される。このとき、柱12は、周囲に拘束鋼管10を有しているため、内部には図示しない主筋が配置されているが帯筋は設けていない。
このような構成とすることにより、柱12に軸力や曲げモーメントが作用したとき、柱12に生じる横方向に膨らもうとする力X1、Y1を、拘束鋼管10の拘束力X2、Y2で抑えると共に、拘束鋼管10を貫通し、拘束鋼管10を拘束する長ボルト16の引張力X3、Y3で抑え、柱12の変形を抑制する。このとき、長ボルト16は断面視が十字状に配置されており、柱12の断面2軸方向の変形が抑えられる。
このように、長ボルト16に、柱12の横方向の変形を拘束する拘束力を分担させることで、試算例は後述するが、拘束鋼管10の薄肉化が図れ、コストを低減できる。
また、拘束鋼管10から延出された、長ボルト16の両端部を利用して、ナット18で拘束鋼管10に固定できるため、作業性が良い。
更に、この延出させた長ボルト16の両端部は、例えば、拘束鋼管10を生産した工場から、拘束鋼管10を組付ける現場までの運搬用の引っ掛け部、作業時の玉掛け部、又は外装材、断熱材若しくは耐熱材等を取り付ける場合の固定部材等に利用でき、作業性を向上できる。
また、長ボルト16と柱12のコンクリート11との定着を切ることで、長ボルト16の差し替えが可能となる。この結果、例えば、長ボルト16の径を変えて鋼管の拘束力を変更したり、長ボルト16の長さを変えて施工後の収まりを改善することができる。
なお、高強度コンクリートにおいては、コンクリートが横方向に膨らもうとする力X1、Y1が、普通強度のコンクリートに比べ強いので、本発明の構造部材による補強は、より有効である。
長ボルト16を拘束鋼管10に固定した後に、コンクリート11を充填し、柱12を形成した例について説明したが、次に説明するように、既築のコンクリート製の柱13を、分割できる分割拘束鋼管22で囲んで補強することもできる。
図2(A)に示すように、分割拘束鋼管22は、第1鋼管部材21と第2鋼管部材23とで構成されている。第1鋼管部材21は、断面視がL字状で、さらに片方の端部21EがL字状に折り曲げられている。他方の端部21Fは折り曲げられていない。端部21Eと端部21Fには貫通孔48が設けられている。第2鋼管部材23も、同じ構成とされている。第1鋼管部材21と第2鋼管部材23の端部同士を重ねて、貫通孔48を利用してボルト44で接合すれば分割拘束鋼管22が形成される。このとき、組み合わせた状態の分割拘束鋼管22の対向する管壁には、第2貫通孔19が設けられている。
このような構成とすることにより、図2(B)に示すように、既築のコンクリート製の柱13に、予め第1貫通孔15を開けておき、第1鋼管部材21と第2鋼管部材23で外側から柱13を囲むことができる。
次に、第1鋼管部材21の端部21Eと、第2鋼管部材23の折り曲げられていない端部23Fを、貫通孔48を一致させて重ね合わせ、同時に、第2鋼管部材23の折り曲げられた折り曲げ端部23Eと、第1鋼管部材21の端部21Fを、貫通孔48を一致させて重ね合わせ、ボルト44で重ね合わせた部分を接合する。
最後に、第1貫通孔15と第2貫通孔14をそれぞれ一致させ、長ボルト16を第1貫通孔15と第2貫通孔19に断面視が十字状に挿入し、両端部から座金20を挟んでナット18で固定する。
これにより、既築のコンクリート製の柱13を分割拘束鋼管22で囲み、横方向の変形を抑制できる。
この結果、上述の拘束鋼管10と同じ効果を得ることができる。
分割拘束鋼管22は、後から取り外すことができるので、建物のリニューアルや廃棄時に、解体作業が容易になる。
拘束鋼管10及び分割拘束鋼管22を補強する補強部材は長ボルト16とし、ナットで固定する場合について説明したが、後述する鋼棒を使用し、溶接接合で固定する方法でもよい。
(第2の実施の形態)
図3に示すように、床面38に立てられた柱12は、拘束鋼管10の内部にコンクリート11を充填した構成である。
拘束鋼管10は、床面38から天井面(図示せず)までの間を連続して囲んでいる。
このとき、柱拘束鋼管10は、両端部を、床面38及び天井面からそれぞれ隙間hを開けている。これにより、柱拘束鋼管10の両端部には、床面38及び天井面から鉛直荷重が作用しないので座屈を防ぐことができる。
拘束鋼管10の両端部(床面38及び天井面側)の対向する管壁には、複数の貫通孔14が設けられ、貫通孔14には、補強部材としての長ボルト16が断面視が十字状に挿入され、断面視が十字状の長ボルト16が、拘束鋼管10の長さ方向に3段に挿入されている。
長ボルト16は、拘束鋼管10から長さL1だけ延出する長さとされ、延出された部分を利用して、拘束鋼管10の外側から座金20を挟んでナット18で固定されている。
このような構成とすることにより、曲げモーメントが大きく作用する、柱12の床面38及び天井面の近くを、必要な範囲に渡り広範囲に、均一、かつより強く拘束できる。
長ボルト16は、曲げモーメントが大きく作用する、柱12の両端部に設ける方法が効果的であるが、柱12の構造によっては中間部に設けてもよい。柱12の中間部に設ければ、柱12の中間部の変形が抑制できる。
なお、説明では、長ボルト16は、断面視が十字状で長さ方向に3段に配置したが、必要に応じて長ボルト16の段数は増減してもよい。
また、本実施の形態は、上述した拘束鋼管10にコンクリート11を充填した柱に限定されず、既築のコンクリート製の柱13を分割拘束鋼管22で囲む場合にも適用できる。
更に、図は省略するが、予め鋼管の内部にコンクリートが充填された鋼管コンクリート工法(CFT)による柱にも応用できる。この場合には、鋼管コンクリートの柱の接合部ではなく、上述と同様に、曲げモーメントが大きく作用する位置に貫通孔を開け、必要な範囲に渡り長ボルト16を断面視が十字状に挿入し、長ボルト16を外からナットで固定することで、鋼管コンクリートの柱の変形を抑制できる。
これまでは、拘束鋼管10で柱12を、床面38から天井面の間を連続して囲む場合について説明したが、次に、分割して囲む場合について説明する。
図4に示すように、柱17は、床側の分割鋼管25と天井側の分割鋼管26の内部にコンクリート11を充填して形成されている。このとき、柱17の中間部で、床側の分割鋼管25及び天井側の分割鋼管26で覆われていない範囲には、分解できる枠材が用いられている。
分割鋼管25は、柱12の幅D以上の長さHで形成され、床面38から隙間hを開けて設けられている。分割鋼管25の対向する管壁には貫通孔46が開けられ、貫通孔46には、長ボルト16が断面視が十字状に挿入、固定されている。長ボルト16は、分割鋼管25の高さ方向に3段に設けられている。
また、柱12の天井面40側の端部には、天井側の分割鋼管26が設けられている。分割鋼管26の構成は分割鋼管25と同じである。
なお、分割鋼管25及び分割鋼管26で囲まれる範囲の、柱12の内部には、主筋のみが配置され帯筋は設けられていない。一方、柱12の中間部分で、分割鋼管25若しくは分割鋼管26で囲まれていない範囲には、主筋と帯筋が設けられている(図示せず)。
このような構成とすることにより、柱17の変形を抑制し、かつ、使用する鋼材量を減らすことができる。
以上、分割鋼管25及び分割鋼管26の内部にコンクリート11を充填して形成された場合について説明したが、既築の柱の床側と天井側を、それぞれ分割拘束鋼管で囲む構成でもよい。
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態は、第1の実施の形態とは補強部材の構成のみが異なる。共通する部分の記載は省略する。
図5、図6に示すように、床面38には柱29が立てられ、柱29は拘束鋼管28の内部にコンクリート11を充填して形成されている。
拘束鋼管28は、コンクリート11を床面38から天井面(図示せず)の範囲で囲む長さとされ、床面38及び天井面との間にはスペーサ(図示せず)がはめ込まれ、それぞれ隙間hを開けて設けられている。
拘束鋼管28の床面38側及び天井面側の両端部には、対向する管壁に複数の貫通孔14が設けられ、貫通孔14には補強部材としての鋼棒30が、断面視が格子状に挿入されている。また、断面視が格子状とされた鋼棒30が、柱29の長さ方向に3段に配置されている。
鋼棒30は、両端部が拘束鋼管28から所定の長さL2だけ延出する長さとされ、延出された長さL2の部分を利用して、外から、拘束鋼管28に溶接接合32されている。
なお、図5では鋼棒30を2本ずつ平行に並べて格子状としているが、2本ずつに限定されることはなく、鋼棒30の必要本数は柱29の大きさに応じて決定すればよい。即ち、柱29が大きければ、必要とされる鋼棒30の本数は増える。
これにより、曲げモーメントが大きく作用する、柱29の床面38の近く及び天井面の近くを、必要な範囲に渡り広範囲に、均一、かつより強く拘束できる。
また、鋼棒30と拘束鋼管28は溶接で接合されている。これにより、鋼棒30と拘束鋼管28を強固に結合できる。また、溶接作業は拘束鋼管28の外側からできるため、施工性がよい。
なお、補強部材として鋼棒30の場合について説明したが、長ネジを使用してもよい。また、拘束鋼管28は柱29の全長に渡り設ける構成としたが、柱29の両端部(床面に近い範囲と天上面に近い範囲)に設けてもよい。
また、既築のコンクリート製の柱13を分割拘束鋼管22で囲む構成でもよい。
次に、本発明の効果の1例として、鋼材量低減効果の試算結果を説明する。
図7に示すように、比較対象は構成部材A〜Dとした。
試算方法は、構成部材A〜Dに、それぞれコンクリートを打設して同一寸法の柱を構築し、構成部材A〜Dの拘束効果を示す、強度上昇率Kを一定とするのに必要とする鋼材量を算出し、構成A〜Dの鋼材量の比を求めた。
構成部材Aは、板厚taの拘束鋼管52の内部に主筋54を配置し、コンクリート51を打設して柱50を構築している。補強部材は使用していない。鋼材量は主筋54と拘束鋼管52の鋼材量を合計した値となる。
構成部材Bは、板厚tbの拘束鋼管58の内部に主筋54(図示省略)を配置し、コンクリート51を打設して柱62を構築している。拘束鋼管58の内部を同じ厚さの補強板60で、断面視が格子状に補強している。鋼材量は主筋54、拘束鋼管58及び補強板60の鋼材量を合計した値となる。
構成部材Cは、板厚tcの拘束鋼管64の内部に主筋54(図示省略)を配置し、コンクリート51を打設して柱68を構築している。拘束鋼管64の対向する管壁を、柱68を貫通する長ネジ66(外径d)で補強している。鋼材量は主筋54、拘束鋼管64及び長ネジ66の鋼材量を合計した値となる。
試算において、強度上昇率Kは、コンクリートの強度(Fc)を90N/mm、せん断スパン比2、軸力比0.3程度の部材において、部材角1/75〜1/50まで安定して耐力を発揮できることが期待できる値として強度上昇率K=1.05とした。鋼材の強度(F値)は685N/mmとした。
拘束強度の上昇率Kは、次式で求めた。
Figure 2009108591


尚、(1)式は、出典「崎野健治、孫玉平著、直線型横補強材により拘束されたコンクリートの応力−ひずみ関係、日本建築学会構造系論文報告集、NO461、P95、1994年7月」による。
結果は、図7の鋼材低減率に示すように、構成部材Bは構成部材Aより21.5%鋼材量を低減でき、構成部材Cは構成部材Aより45.0%鋼材量を低減できる。ここに、体積比は、(鋼材の体積)/(コンクリートの体積)である。体積比から鋼材量を求め、構成部材Aを基準として、構成部材B、構成部材Cの鋼材量の削減量を算出した。
構成部材Bよりも本発明の構成部材Cの方が、鋼材量の削減量の面から優位といえる。
次に、構成部材Dの条件で、高さ方向の構成を加味した場合の鋼材量の低減効果を検討した。高さ方向により構造が異なるため、算出結果は平均値で表した。
構成部材Dは、柱68は、コンクリート51の床側の周囲を拘束鋼管64で囲み、天井側の周囲を拘束鋼管65で囲む構成とした。
柱68の一辺を幅Dとし、柱68の高さを一辺の4倍(4D)とした。また、拘束鋼管64と拘束鋼管65は、いずれも長さをDとした。補強部材としての長ネジ66は、断面視が格子状とし、長ネジ66が3本ずつで1つの格子を形成している。格子は、柱68の高さ方向に2段配置とした。
計算では、柱68の一辺を1000mm×1000mmとし、高さを4000mm、拘束鋼管64と拘束鋼管65の長さを、それぞれ1000mmとした。
結果は、図7の鋼材低減率に示すように、構成部材Dとすれば、構成部材Aに比べ、鋼材を56.8%低減できる。
次に、本発明の他の効果例として、帯筋拘束の方式と鋼管拘束の方式における耐力の比較結果について説明する。
図8(A)に示すように、構成部材Eが帯筋拘束の方式例として試算に使用した構成である。柱70において、コンクリート51の内部が、主筋72とそれを囲む帯筋74で補強されている。帯筋74の周囲は、所定量の被り厚さが確保されている。
構成部材Cが鋼管拘束の方式例として試算に使用した構成であり、柱68は、拘束鋼管64の内部にコンクリート51が充填され、拘束鋼管64を貫通して断面視が格子状に3本ずつ長ネジ66が挿入、固定されている。
試算条件として、施工上必要とする寸法を確保するため、鋼材は高強度材(降伏強度685N/mm)で比較した。せん断スパン比等の値は、既述の鋼材量の低減試算で使用した条件と同じ値とした。柱68の寸法は、一辺を1000mm×1000mmとし、帯筋拘束の方式、鋼管拘束の方式のいずれも、主筋比は2%とした。
結果を図8(B)に示す。図8(B)において、横軸は、柱の傾き量を示す部材角換算Rで、縦軸はモーメントM(耐力)である。特性F(実線)が構成部材Cの試算結果を示し、特性G(破線)が構成部材Eの試算結果を示す。
図8(B)から、特性Fは、部材角1/50程度まで傾斜させても耐力の低下はほとんど見られず安定した値を示している。
一方、特性Gは、部材角1/100に達する前から被り部分が早期に剥落することにより、耐力が低下を始めている。靭性に欠けるといえる。特性Gの最大耐力は7000kN−mで、特性Fに比して5%程度劣る。
上記から、本発明である構成部材Cの方が構成部材Eより、安定した耐力を維持できる面から優れているといえる。
(第4の実施の形態)
次に、既設のコンクリート製の梁への適用について説明する。
図9に示すように、既設のコンクリート製の梁36の両端は、梁拘束鋼管34で囲まれ、梁36の中央部は梁拘束鋼管33で囲まれている。梁36の両端部は、柱42で両側から支持されている。
梁拘束鋼管34は、梁36の成Vより広い幅Wとされ、柱42と隙間hを開けて設けられている。また、コンクリート37には第3貫通孔39が設けられ、梁拘束鋼管34には、第4貫通孔35が設けられている。第3貫通孔39と第4貫通孔35には補強部材としての長ボルト16が、断面視が十字状に挿入、固定されている。断面視が十字状の長ボルト16は、梁36の長手方向に3段に配置されている。
これにより、梁36において曲げモーメントが大きく発生する、両端部の変形を抑制できる。
梁拘束鋼管33は、梁36の中央部に設けられている。梁拘束鋼管33の構成は、梁拘束鋼管34と同じである。
これにより、梁36の中央部の変形を抑制できる。
なお、梁拘束鋼管34と梁拘束鋼管33において、補強部材は長ボルト16に限定されず、鋼棒でもよい。また、長ボルト16の配置は断面視が十字状に限定されず、梁36の形状に合わせて格子状でもよい。また、長ボルト16の配置の段数は3段に限定されることはなく、想定されるモーメントの大きさに応じて増加、減少させてよい。
本発明の第1の実施形態に係る構造部材の構造を示す図である。 本発明の第1の実施形態に係る構造部材の構造を示す図である。 本発明の第2の実施形態に係る構造部材の構造を示す図である。 本発明の第2の実施形態に係る構造部材の構造を示す図である。 本発明の第3の実施形態に係る構造部材の構造を示す図である。 本発明の第3の実施形態に係る構造部材の構造を示す図である。 本発明の第3の実施形態に係る構造部材の鋼材量の試算結果を示す図である。 本発明の第3の実施形態に係る構造部材の耐力の試算結果を示す図である。 本発明の第4の実施形態に係る構造部材の構造を示す図である。 従来の構造部材の構造を示す図である。 従来の構造部材の構造を示す図である。 従来の構造部材の構造を示す図である。 従来の構造部材の構造を示す図である。
符号の説明
10 鋼管(拘束鋼管)
12 コンクリートの柱
13 コンクリートの柱
14 貫通孔
15 第1貫通孔
16 補強部材(長ボルト)
19 第1貫通孔
21 第1鋼管部材
22 鋼管(分割拘束鋼管)
23 第2鋼管部材
28 鋼管(大型の拘束鋼管)
29 コンクリート製の柱
30 補強部材(鋼棒)
35 第4貫通孔
39 第3貫通孔
80 コンクリート製の梁
82 鋼管(梁拘束鋼管)
83 鋼管(梁拘束鋼管)

Claims (6)

  1. 対向する管壁には前記管壁を貫通する貫通孔が設けられ、コンクリートが充填された鋼管と、
    前記貫通孔に挿入され、前記鋼管を貫通し、前記鋼管を拘束する補強部材と、
    を有することを特徴とする構造部材。
  2. 第1貫通孔が形成されたコンクリート製の柱と、
    対向する管壁には前記管壁を貫通する第2貫通孔が形成され、前記柱を囲む鋼管と、
    前記第1貫通孔と前記第2貫通孔に挿入され、前記第1貫通孔と前記第2貫通孔を貫通し、前記鋼管を拘束する補強部材と、
    を有することを特徴とする構造部材。
  3. 第3貫通孔が形成されたコンクリート製の梁と、
    対向する管壁には前記管壁を貫通する第4貫通孔が形成され、前記梁を囲む鋼管と、
    前記第3貫通孔と前記第4貫通孔に挿入され、前記第3貫通孔と前記第4貫通孔を貫通し、前記鋼管を拘束する補強部材と、
    を有することを特徴とする構造部材。
  4. 前記鋼管は、前記柱又は前記梁の両端部を囲むことを特徴とする請求項2又は3のいずれか1項に記載の構造部材。
  5. 前記補強部材は、前記鋼管を断面視したとき、十字状、若しくは格子状に配置されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の構造部材。
  6. 前記補強部材は、前記鋼管の長さ方向に多段に設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の構造部材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017137689A (ja) * 2016-02-03 2017-08-10 清水建設株式会社 鋼管の補強構造
CN109930748A (zh) * 2019-03-22 2019-06-25 天津大学 一种应用预应力钢绞线的方钢管混凝土柱

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