JP3872769B2 - コンクリート部材の接合部構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は互いに接合される二つのコンクリート部材の接合部において、一方のコンクリート部材のコンクリートのひび割れや圧壊、鉄筋の座屈等の被害を抑制するコンクリート部材の接合部構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば鉄筋コンクリート造の柱部材と梁部材との接合部において、大地震時に梁主筋が降伏した後のコンクリートのひび割れや圧壊等の被害を抑制する方法として、梁主筋の一部の区間をコンクリートから絶縁させることにより梁主筋の伸び変形能力を高めると共に、コンクリートとの付着による付着割裂破壊を防止する方法がある(特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平5-5342号公報
【特許文献2】
特開平9-111865号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このように梁主筋の柱部材寄りの一部の区間の、コンクリートとの付着を切ることは梁端部におけるヒンジ形成後の梁部材の破壊を防止することが可能になるものの、梁部材自体の曲げモーメント及びせん断力に対する抵抗力を減少させることになるため、梁部材のヒンジ形成部分はもはやヒンジを生じていない部分と同等の耐力を維持することができない。
【0005】
この発明は上記背景より、ヒンジ形成部分の曲げモーメント及びせん断力に対する耐力の低下とコンクリートの損傷を抑制する接合部構造を提案するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1では図1に示すように互いに接合される二つのコンクリート部材A、Bの内、一方のコンクリート部材A中にその材軸方向に配筋される主筋1と、他方のコンクリート部材B中に、主筋1と平行に配筋される接合部筋2を用い、主筋1を少なくとも他方のコンクリート部材Bとの境界面まで配筋すると共に、接合部筋2を他方のコンクリート部材Bから一方のコンクリート部材Aの内部まで延長させて主筋1に重ねた形で配筋し、その重なった全区間の内の、一方のコンクリート部材A寄りの一部の区間をコンクリートに付着させ、他方のコンクリート部材B寄りの一部の区間をコンクリートに付着させないことにより、コンクリート部材Aのひび割れや圧壊等の被害を抑制すると共に、曲げモーメント及びせん断力に対する耐力の低下を抑制する。
【0007】
接合部筋2を主筋1に重ねた形で配筋する、とは両者間で応力の伝達が行える程度に重なることを言い、重ね継手のように完全に重なる場合と定着のように少し離れる場合がある。定着はナット等の定着用の金物を用いる場合とフック状に折り曲げる場合等がある。以下では接合部筋2と主筋1の重なり部分を単純に重ね継手と言う。図面では接合部筋2の内の太線で示す部分がコンクリートとの付着が切れた区間を示す。また接合部筋2をコンクリートに付着させない(接合部筋2の付着を切る)状態は接合部筋2にグリースを塗る、布やスリーブを被せる等により得られるが、方法は問われない。
【0008】
請求項1の場合、図3−(a)、図5−(a)のように一方のコンクリート部材Aに材軸に直交する方向の荷重(せん断力)が作用したとき、一方のコンクリート部材Aは図3−(b)のように荷重の作用方向に変形しようとし、引張側の接合部筋2は引張力を負担し、コンクリートとの付着がある区間において一方のコンクリート部材Aの変形に追従し、付着がない区間において伸び変形を生じ、降伏に至る。
【0009】
このとき、図2−(b)に示すように特許文献2の図12のように、特許文献2の梁主筋7に相当する主筋1が特許文献2の梁主筋5に相当する接合部筋2と重ね継手で接続される区間(付着ありの区間)までにしか配筋されず、接合部筋2の、主筋1との重ね継手の区間を除いてコンクリートとの付着が切られれば、接合部筋2のコンクリートとの付着が切られた区間(付着なしの区間)には一体化した鉄筋コンクリート造の主筋に相当する鉄筋が不在の状態になるため、一方のコンクリート部材Aの、他方のコンクリート部材B寄りの区間(付着なしの区間)においてはコンクリートのみで抵抗することになることから、曲げモーメント及びせん断力に対する抵抗力が低下する。
【0010】
これに対し、請求項1では図2−(a)に示すように一方のコンクリート部材Aの主筋1が少なくとも他方のコンクリート部材Bとの境界面まで配筋され、その境界面まで主筋1がその周囲のコンクリートに付着していることで、一方のコンクリート部材A中の付着を切った区間(付着なしの区間)にコンクリートと一体となった主筋1が存在しているため、一方のコンクリート部材Aのヒンジ形成部分にヒンジを形成しない部分と同様の曲げモーメント及びせん断力に対する抵抗力を持たせることが可能になる。
【0011】
すなわち、主筋1の、接合部筋2と重ね継手で接続されていない部分(付着なしの区間)とその周囲のコンクリートとは両者間の付着力によって一体化しているため、主筋1の、接合部筋2と重ね継手で接続されていない部分(付着なしの区間)の主筋1とコンクリート間ではヒンジを形成しない部分と同様の応力を付着力により伝達することができる。
【0012】
また図2−(b)のように主筋1が接合部筋2と重ね継手される区間(付着ありの区間)までにしか配筋されなければ、一方のコンクリート部材Aに前記せん断力が作用し、主筋1に引張力が作用したとき、接合部筋2と主筋1が重ね継手される全区間(付着ありの区間)においてコンクリートと付着していても、前記のように付着なしの区間においてはコンクリートと一体となった主筋1に相当する鉄筋が不在になるため、曲げモーメント及びせん断力に対する抵抗力は小さい。
【0013】
これに対し、請求項1では主筋1に作用する引張力が接合部筋2の、他方のコンクリート部材Bから一方のコンクリート部材A側へ突出している区間の内、コンクリートとの付着が切れた区間(付着なしの区間)を除く主筋1との重ね継手部分の区間(付着ありの区間)から接合部筋2へ伝達されることに加え、主筋1が少なくとも他方のコンクリート部材Bとの境界面まで配筋され、その境界面まで主筋1がコンクリートに付着していることで、他方のコンクリート部材B寄りの部分(付着なしの区間)においても主筋1がコンクリートと一体となって曲げモーメント及びせん断力に抵抗し得る。
【0014】
この他、図5−(b)に示すように引張側及び圧縮側の接合部筋2が付着なしの区間から付着ありの区間へ移行した部分で曲げモーメントに対する曲げ戻しの偶力を形成するため、せん断力による曲げモーメントを低減する効果が発揮され、一方のコンクリート部材Aのヒンジ部におけるコンクリートの損傷が軽減されることになる。偶力の形成によって一方のコンクリート部材Aの接合部筋2を除いた部分の曲げモーメントは図5−(c)のような分布となる。曲げ戻しによる曲げモーメントの低減効果からも、一方のコンクリート部材Aの端部におけるひび割れと圧壊が抑制されることが分かる。
【0015】
主筋1と接合部筋2との重ね継手部分での応力の伝達効果を上げる上では、図4−(a)に示すように主筋1と接合部筋2を包囲するスパイラル筋等の拘束筋5を重ね継手部分の回りに配置することが効果的である。また主筋1と接合部筋2のそれぞれのコンクリート中での定着効果を上げる上では、図4−(b)に示すようにコンクリート部材Aにおいて複数本の主筋1と複数本の接合部筋2毎にスターラップやフープ、スパイラル筋等のせん断補強筋6を配筋することが効果的である。
【0016】
図6−(a)に示すように1本の主筋1に付き、複数本の接合部筋2を配筋した上で、接合部筋2毎に一方のコンクリート部材Aにおけるコンクリートに付着していない区間の長さを相違させた場合(請求項2)には、(b)に示すように付着を切った区間の長さの異なる接合部筋2毎に曲げ戻しの偶力を形成するため、接合部筋2を除いた一方のコンクリート部材Aの曲げモーメント分布は(c)のようになり、接合部筋2を除いた一方のコンクリート部材Aが受ける曲げモーメントが一層低減される。この場合、接合部筋2毎に付着を切る長さが相違すればよいため、必ずしも各接合部筋2の長さが異なる必要はない。
【0017】
1本の主筋1に付き、複数本の接合部筋2を配筋し、接合部筋2毎に付着を切る区間の長さを相違させた請求項2によれば、接合部筋2が1本の場合より曲げ戻しによる曲げモーメントの低減効果が増大するため、コンクリートの損傷防止効果が向上する。
【0018】
請求項1における一方のコンクリート部材Aの主筋1は少なくとも他方のコンクリート部材2との境界面まで配筋されればよいため、図7に示すようにコンクリート部材A、Bの部位によって他方のコンクリート部材Bとの境界面で留まる場合と、図8に示すように他方のコンクリート部材Bの内部まで配筋される場合(請求項3)がある。図9は図7と図8を併用した場合を示す。
【0019】
一方のコンクリート部材Aの主筋1を他方のコンクリート部材Bの内部まで配筋する請求項3によれば、境界面で留まる場合よりヒンジ部の損傷は増すものの、主筋1に作用する引張力の負担能力が増大するため、曲げモーメントに対する抵抗力が増大することになる。
【0020】
主筋1が他方のコンクリート部材Bの内部まで配筋される場合には、図8に示すように主筋1を他方のコンクリート部材Bの内部においてコンクリートに完全に付着させる場合と、他方のコンクリート部材Bの内部における付着割裂破壊、並びにヒンジ部の損傷を減じる等のために、図10に示すように他方のコンクリート部材Bの内部における一方のコンクリート部材A寄りの一部の区間をコンクリートに付着させない場合がある(請求項4)。図11は図10における接合部筋2を一方のコンクリート部材A側へ延長させた場合、図12は図7と図11を組み合わせた場合を示す。
【0021】
主筋1の、他方のコンクリート部材Bの内部における一方のコンクリート部材A寄りの一部の区間の付着を切る請求項4によれば、その付着を切った区間において主筋1が降伏することができるため、コンクリート部材Aが損傷をほとんど受けずに変形することが可能である。
【0022】
請求項5では図13に示すように互いに接合される二つのコンクリート部材A、Bの内、一方のコンクリート部材A中にその材軸方向に、他方のコンクリート部材Bの内部まで配筋される主筋3と、一方のコンクリート部材A中に、主筋3と平行に配筋される曲げ補強筋4を用い、曲げ補強筋4を少なくとも他方のコンクリート部材Bとの境界面まで主筋3に重ねた形で配筋し、主筋3の、曲げ補強筋4に重なった全区間の内の、一方のコンクリート部材A寄りの一部の区間をコンクリートに付着させ、他方のコンクリート部材B寄りの一部の区間をコンクリートに付着させないことにより、請求項1と同様に一方のコンクリート部材Aにほとんど損傷を与えることなく、曲げモーメント及びせん断力に対する抵抗力の低下を抑制する。曲げ補強筋は主筋のコンクリートに付着した区間において曲げ補強筋から主筋へ引張力が伝達されるだけの、主筋との重なり代を有する。
【0023】
曲げ補強筋4を主筋3に重ねた形で配筋する、とは両者間で応力の伝達が行える程度に重なることを言い、重ね継手のように完全に重なる場合と定着のように少し離れる場合がある。定着はナット等の定着用金物を用いる場合とフック状に折り曲げる場合等がある。以下では曲げ補強筋4と主筋3の重なり部分を単純に重ね継手と言う。図面では主筋3の内の太線で示す部分がコンクリートとの付着が切れた区間を示す。また主筋3をコンクリートに付着させない(主筋3の付着を切る)状態は主筋3にグリースを塗る、布やスリーブを被せる等により得られるが、方法は問われない。
【0024】
請求項5の場合も図3−(a)、図5−(a)のように一方のコンクリート部材Aに材軸に直交する方向の荷重(せん断力)が作用したとき、一方のコンクリート部材Aは図3−(b)のように荷重の作用方向に変形しようとし、引張側の主筋3は引張力を負担し、コンクリートとの付着がある区間において一方のコンクリート部材Aの変形に追従し、付着がない区間において伸び変形を生じ、降伏に至る。
【0025】
このとき、図14−(b)に示すように特許文献2の図12のように、特許文献2の梁主筋7に相当する請求項1における主筋1が特許文献2の梁主筋5に相当する接合部筋2と重ね継手で接続される区間(付着ありの区間)までにしか配筋されず、接合部筋2の、主筋1との重ね継手の区間を除いてコンクリートとの付着が切られれば、接合部筋2のコンクリートとの付着を切った区間(付着なしの区間)にはコンクリートと一体となって曲げモーメント及びせん断力に抵抗する請求項1における主筋1に相当する鉄筋が不在の状態になるため、一方のコンクリート部材Aの、他方のコンクリート部材B寄りの区間(付着なしの区間)においてはコンクリートのみで抵抗することになることから、曲げモーメント及びせん断力に対する抵抗力が低下する。
【0026】
これに対し、請求項5では図14−(a)に示すように一方のコンクリート部材A中の曲げ補強筋4が少なくとも他方のコンクリート部材Bとの境界面まで配筋され、曲げ補強筋4の、主筋3に重なった全区間の内の、他方のコンクリート部材B寄りの一部の区間(付着なしの区間)がコンクリートに付着していることで、一方のコンクリート部材A中の付着を切った区間(付着なしの区間)には一体化した鉄筋コンクリート造の主筋に相当する曲げ補強筋4が存在しているため、一方のコンクリート部材Aのヒンジ形成部分にヒンジを形成しない部分と同様の曲げモーメント及びせん断力に対する抵抗力を持たせることが可能になる。請求項5では主筋3が他方のコンクリート部材Bの内部まで配筋されるため、引張力による降伏は曲げ補強筋4ではなく、主筋3に生ずることになる。
【0027】
曲げ補強筋4の、主筋3と重ね継手で接続されていない部分(付着なしの区間)とその周囲のコンクリートとは両者間の付着力によって一体化しているため、曲げ補強筋4の、主筋3と重ね継手で接続されていない部分(付着なしの区間)の曲げ補強筋4とコンクリート間ではヒンジを形成しない部分と同様の応力を付着力により伝達することができる。
【0028】
また図14−(b)のように主筋1が接合部筋2と重ね継手される区間(付着ありの区間)までにしか配筋されなければ、一方のコンクリート部材に前記せん断力が作用し、主筋1に引張力が作用したとき、接合部筋2と主筋1が重ね継手される全区間(付着ありの区間)においてコンクリートと付着していても、前記のように付着なしの区間においてはコンクリートと一体となった主筋1に相当する鉄筋が不在になるため、曲げモーメント及びせん断力に対する抵抗力は小さい。
【0029】
これに対し、請求項5では一方のコンクリート部材Aの主筋3が他方のコンクリート部材Bの内部まで配筋されることと、曲げ補強筋4の、主筋3と重ね継手で接続される区間以外の区間(付着なしの区間)がコンクリートに付着していることで、他方のコンクリート部材B寄りの部分(付着なしの区間)において曲げ補強筋4がコンクリートと一体となって曲げモーメント及びせん断力に抵抗し得る。
【0030】
この他、請求項1と同様に図5−(b)に示すように引張側及び圧縮側の主筋3が付着なしの区間から付着ありの区間へ移行した部分で曲げモーメントに対する曲げ戻しの偶力を形成するため、せん断力による曲げモーメントを低減する効果が発揮され、一方のコンクリート部材Aのヒンジ部におけるコンクリートの損傷が軽減されることになる。偶力の形成によって一方のコンクリート部材Aの付着なしの区間における主筋3を除いた部分の曲げモーメントは図5−(c)のような分布となる。曲げ戻しによる曲げモーメントの低減効果からも、一方のコンクリート部材Aの端部におけるひび割れと圧壊が抑制されることが分かる。
【0031】
請求項5においても主筋3と曲げ補強筋4との重ね継手部分での応力の伝達効果を上げる上では、図4−(a)のように主筋3と曲げ補強筋4を包囲するスパイラル筋等の拘束筋5を重ね継手部分の回りに配置することが効果的であり、主筋3と曲げ補強筋4のそれぞれのコンクリート中での定着効果を上げる上では、図4−(b)のようにコンクリート部材Aにおいて複数本の主筋3と複数本の曲げ補強筋4毎にスターラップやフープ、スパイラル筋等のせん断補強筋6を配筋することが効果的である。
【0032】
複数本の接合部筋2を配筋した場合(請求項2)を示す図6−(a)と同様に、1本の曲げ補強筋4に付き、複数本の主筋3を配筋した上で、主筋3毎に一方のコンクリート部材Aにおけるコンクリートに付着していない区間の長さを相違させた場合(請求項6)には、図6−(b)に示すように付着を切った区間の長さの異なる主筋3毎に曲げ戻しの偶力を形成するため、一方のコンクリート部材Aの付着なしの区間における主筋3を除いた部分の曲げモーメント分布は図6−(c)と同じようになり、付着なしの区間の主筋3を除くコンクリート部材Aの曲げモーメントが一層低減される。
【0033】
1本の曲げ補強筋4に付き、複数本の主筋3を配筋し、主筋3毎に付着を切る区間の長さを相違させた請求項6によれば、図6−(c)から、請求項2と同様に主筋3が1本の場合より曲げ戻しによる曲げモーメントの低減効果が増大するため、コンクリートの損傷防止効果が向上する。
【0034】
請求項5における曲げ補強筋4は少なくとも他方のコンクリート部材Bとの境界面まで配筋されればよいため、図15に示すようにコンクリート部材A、Bの部位によって他方のコンクリート部材Bとの境界面で留まる場合と、図16、図17に示すように他方のコンクリート部材Bの内部まで配筋される場合(請求項7)がある。図17は図15と図16を併用した場合を示す。
【0035】
曲げ補強筋4を他方のコンクリート部材Bの内部まで配筋する請求項7によれば、ヒンジ部の損傷は増すものの、境界面で留まる場合より曲げ補強筋4の引張力の負担能力が増すため、曲げモーメントに対する抵抗力が増大する。
【0036】
曲げ補強筋4が他方のコンクリート部材Bの内部まで配筋される場合には、図16に示すように曲げ補強筋4を他方のコンクリート部材Bの内部においてコンクリートに完全に付着させる場合と、他方のコンクリート部材の内部における付着割裂破壊、並びにヒンジ部の損傷を減じるために、図18に示すように他方のコンクリート部材Bの内部における一方のコンクリート部材A寄りの一部の区間をコンクリートに付着させない場合(請求項8)がある。
【0037】
曲げ補強筋4の、他方のコンクリート部材Bの内部における一方のコンクリート部材A寄りの一部の区間の付着を切る請求項8によれば、その付着を切った区間において曲げ補強筋4が降伏することができるため、コンクリート部材Aがほとんど損傷を受けずに変形することが可能である。
【0038】
請求項9では請求項5における曲げ補強筋4を、一方のコンクリート部材Aの内部、もしくは表面に、主筋7と材軸を平行にして配置される鉄骨、または鋼管8に置き換えた形にすることにより、請求項5と同様に主筋7のコンクリートとの付着を切った部分においても鉄骨、または鋼管8がコンクリートと一体となって曲げモーメント及びせん断力に抵抗できるようにする。
【0039】
この場合、図28−(a)、図29−(a)に示すように鉄骨、または鋼管8は少なくとも他方のコンクリート部材Bとの境界面まで主筋7に重なった形で配置され、一方のコンクリート部材A中にその材軸方向に、他方のコンクリート部材Bの内部まで配筋される主筋7の、鉄骨、または鋼管8に重なった全区間の内の、一方のコンクリート部材A寄りの一部の区間がコンクリートに付着し、他方のコンクリート部材B寄りの一部の区間がコンクリートに付着しない。鉄骨、または鋼管8を主筋7に重ねた形で配筋する、とは両者間で応力の伝達が行える程度に重なることを言う。図面では主筋7の内の太線で示す部分がコンクリートとの付着が切れた区間を示す。
【0040】
一方のコンクリート部材Aに生ずる曲げモーメントに対しては一方のコンクリート部材A側の鉄骨、または鋼管8が少なくとも他方のコンクリート部材Bとの境界面まで配置され、鉄骨、または鋼管8の、主筋7に重なった全区間の内の、他方のコンクリート部材B寄りの一部の区間がコンクリートに付着していることで、主筋7の付着を切った部分が付着を切っていない部分と同様の曲げモーメント及びせん断力に対する抵抗力を有する。
【0041】
また引張側と圧縮側において主筋7の、コンクリートとの付着を切った区間から付着を切らない区間への移行部分が曲げモーメントに対して曲げ戻しの偶力を形成するため、せん断力による曲げモーメントを低減する効果が発揮され、一方のコンクリート部材Aのヒンジ部におけるコンクリートの損傷が軽減されることになる。
【0042】
主筋7のコンクリートとの付着を切った区間に位置する鉄骨、または鋼管8とその区間のコンクリートとは両者間の付着力によって一体化しているため、一方のコンクリート部材Aのヒンジ形成部分はヒンジ部を形成しない部分と同様の曲げモーメント及びせん断力に対する抵抗力を有する。
【0043】
【発明の実施の形態】
請求項1に記載の発明は互いに接合される二つのコンクリート部材A、Bの内、一方のコンクリート部材A中にその材軸方向に配筋される主筋1と、他方のコンクリート部材B中に、主筋1と平行に配筋される接合部筋2を重ねた形で二つのコンクリート部材A、Bを接合して構成されるコンクリート部材の接合部構造である。
【0044】
主筋1は少なくとも他方のコンクリート部材Bとの境界面まで配筋され、接合部筋2はその他方のコンクリート部材Bから一方のコンクリート部材Aの内部まで延長させられ、主筋1に重なった形で配筋され、その重なった全区間の内の、一方のコンクリート部材A寄りの一部の区間はコンクリートに付着し、他方のコンクリート部材B寄りの一部の区間はコンクリートに付着しない。
【0045】
請求項5に記載の発明は互いに接合される二つのコンクリート部材A、Bの内、一方のコンクリート部材A中にその材軸方向に、他方のコンクリート部材Bの内部まで配筋される主筋3と、一方のコンクリート部材A中に、主筋3と平行に配筋される曲げ補強筋4を重ねた形で二つのコンクリート部材A、Bを接合して構成されるコンクリート部材の接合部構造である。
【0046】
曲げ補強筋4は少なくとも他方のコンクリート部材Bとの境界面まで配筋され、主筋3の、曲げ補強筋4に重なった全区間の内の、一方のコンクリート部材A寄りの一部の区間はコンクリートに付着し、他方のコンクリート部材B寄りの一部の区間はコンクリートに付着しない。
【0047】
前記手段の項目で述べた通り、請求項5乃至請求項8に記載の発明の力学的なメカニズムは請求項1乃至請求項4に記載の発明と同様であるため、以下では主に図19〜図27に基づいて請求項1乃至請求項4に記載の発明を説明する。
【0048】
コンクリート部材A、Bは図1、図3、図5〜図13、図15〜図18、図19〜図23、図24〜図26、図27〜図30に示すような柱と梁、耐力壁と柱又は梁、上階の柱と下階の柱、柱と基礎、杭と基礎(フーチング)の他、耐力壁と耐力壁等、互いに接合されるコンクリート部材であれば部位を問わず、現場打ちコンクリート造であるかプレキャストコンクリート製であるかも問わず、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造、鋼管コンクリート造(CFT)、またはいずれかの組み合わせの場合の他、プレストレスを与える場合もある。
【0049】
図19はある階、例えば1階の耐力壁、もしくは耐震壁(以下耐力壁等)の壁脚での変形能力を確保するために、コンクリート部材Aとしての1階柱の、2階から連続する主筋1を1階スラブの天端位置で止めると共に、コンクリート部材Bとしての地下階柱の、接合部筋2としての主筋を2階スラブの下端まで延長させ、その接合部筋2としての主筋の、2階スラブ寄り部分以外の部分において1階柱のコンクリートとの付着を切った場合を示す。この場合は1階柱の主筋1が1階スラブの天端で留まり、地下階柱の主筋が1階柱の主筋1と重なって配筋されることで、地下階柱の主筋が接合部筋2に相当するため、請求項1に記載の発明の実施例に該当する。
【0050】
図19では耐力壁等が変形するときの1階柱の柱脚における曲げモーメントに対しては接合部筋2の、コンクリートとの付着が切れた部分で降伏が起こり、その時点で1階柱の変形能力が上がるため、柱にほとんど損傷を与えることなく、耐力壁等が変形することができる。また1階柱の主筋1が降伏することはないため、耐力壁等の大変形時にも1階柱においては主筋1によるコンクリートに対する良好な拘束効果は維持される。なお、耐力壁等の縦筋についても図19と同様の構造とするか、1階床より下の部分に定着しなければ、耐力壁等はより良好な変形能力を有する。
【0051】
図20はコンクリート部材Aとしての1階柱の、2階から連続する主筋1を地下階柱まで延長させ、その地下階柱部分においてコンクリートとの付着を切ると共に、コンクリート部材Bとしての地下階柱の、前記主筋1の内側に位置する接合部筋2としての主筋を2階スラブを超えて延長させ、その接合部筋2としての主筋の、1階部分のコンクリートとの付着を切った場合を示す。この場合は1階柱の主筋1の、地下階柱まで延長させられた部分のコンクリートとの付着が切られ、接合部筋2としての主筋の1階柱部分のコンクリートとの付着が切られることで、請求項4に記載の発明の実施例に該当する。
【0052】
図20では外側に位置する主筋1の降伏が地下階柱部分で生じ、内側に位置する接合部筋2としての主筋の降伏が1階柱部分で生じるため、耐力壁等は大きな損傷を受けることなく大きな変形を生じることができる。
【0053】
図21は図20における外側の主筋1の地下階柱部分での付着を切らずに付着させ、接合部筋2に相当する内側の主筋の付着を切った部分での、内側の主筋(接合部筋2)による曲げ戻し効果を期待する場合である。この場合はコンクリート部材Aとしての1階柱の主筋1を単にコンクリート部材Bとしての地下階柱まで延長させた形であるため、請求項3に記載の発明の実施例に該当する。
【0054】
図21では1階の耐力壁等が受ける曲げモーメントは耐力壁等が接続する梁からの曲げ戻し効果によって図22に破線で示すような分布になるが、更に内側の主筋(接合部筋2)による曲げ戻し効果によって実線で示すように内側の主筋(接合部筋2)を除く部分の曲げモーメントが低減され、耐力壁等のコンクリートが受ける応力の低減によりひび割れ、圧壊、座屈の防止が図られる。
【0055】
図23は図21の接合部筋2に相当する内側の主筋を複数本配筋し、各主筋の付着を切る長さを相違させることにより、曲げモーメントの一層の低減を図った場合を示す。この場合は1本の主筋1に重なった形で配筋される接合部筋2が複数本ある形であるため、請求項2に記載の発明の実施例に該当する。
【0056】
図24は一方のコンクリート部材Aが杭で、他方のコンクリート部材Bがフーチングであり、主筋1である杭主筋をフーチングとの境界面で止め、複数本の接合部筋2の付着を切る長さを相違させた場合を示す。この場合は請求項2に記載の発明の実施例に該当する。杭の接合部筋2を除く部分の曲げモーメント分布は図25に示すようになる。
【0057】
図26は主筋1である杭主筋をフーチングの内部まで配筋し、そのフーチング内の杭寄りの区間の付着を切り、杭とフーチングの相対的な変形能力を確保した場合、図27はフーチング内の杭主筋の付着を切らず、杭に生ずる曲げモーメントの低減のみを図った場合を示す。
【0058】
図28、図29は請求項9に記載の発明の実施例を示す。請求項9に記載の発明は請求項5における曲げ補強筋4を、一方のコンクリート部材Aの内部、もしくは表面に、主筋7と材軸を平行にして配置される鉄骨、または鋼管8に置き換えた形に相当する。鉄骨、または鋼管8はコンクリート部材Aの表面に配置される場合は図28に示す鋼管であり、内部に配置される場合は図29に示すH形鋼等の鉄骨、または鋼管となる。
【0059】
主筋7は一方のコンクリート部材A中にその材軸方向に、他方のコンクリート部材Bの内部まで配筋され、鉄骨、または鋼管8は少なくとも他方のコンクリート部材Bとの境界面まで主筋7に重なった形で配置される。主筋7の、鉄骨、または鋼管8に重なった全区間の内の、一方のコンクリート部材A寄りの一部の区間はコンクリートに付着し、他方のコンクリート部材B寄りの一部の区間はコンクリートに付着しない。主筋7はコンクリートに付着する区間において鉄骨、または鋼管8に溶接、もしくは機械的に緊結されることもある。
【0060】
図28は一方のコンクリート部材Aが柱(鋼管コンクリート柱)で、他方のコンクリート部材Bが基礎である場合に、柱内に配筋される主筋7を基礎まで延長させ、柱内に位置する主筋7の、基礎寄りの一部の区間のコンクリートとの付着を切り、それ以外の区間をコンクリートに付着させ、コンクリート部材Aの表面に配置される鋼管8との間で応力の伝達が行われるようにした場合である。
【0061】
ここでは主筋7の、柱内に位置する全区間の回りにフープやスパイラル筋等のせん断補強筋9を配筋しているが、曲げモーメントによる引張力は鋼管8が負担し、主筋7のコンクリートとの付着が切れた区間は柱の変形時に伸び出す部分であるため、コンクリートとの付着が切れた区間には必ずしもせん断補強筋9を配筋する必要はない。
【0062】
鋼管8を用いる場合には鋼管8の外側に主筋7とせん断補強筋9が配筋され、コンクリートが打設される場合もある。
【0063】
図29は一方のコンクリート部材Aが鉄骨内蔵の鉄筋コンクリート造(SRC造)の梁で、他方のコンクリート部材Bが柱である場合に、梁内に配筋される主筋7を柱まで延長させ、梁内に位置する主筋7の柱寄りの一部の区間のコンクリートとの付着を切り、それ以外の区間をコンクリートに付着させ、コンクリート部材Aの内部に配置される鉄骨8との間で応力の伝達が行われるようにした場合である。
【0064】
ここでも主筋7の、梁内に位置する全区間の回りにスターラップやスパイラル筋等のせん断補強筋9を配筋しているが、曲げモーメントによる引張力は鉄骨8が負担し、主筋7のコンクリートとの付着が切れた区間は梁の変形時に伸び出す部分であるため、コンクリートとの付着が切れた区間には必ずしもせん断補強筋9を配筋する必要はない。図29における梁と柱はそれぞれ柱と基礎に置き換えることができる。
【0065】
図30は一方のコンクリート部材Aが、端部以外の柱鉄骨がコンクリートから露出した形式の鉄骨造の柱である場合の例を示す。図30では詳細を示していないが、一方のコンクリート部材Aの部分の詳細は図29−(a)と同様となる。
【0066】
【発明の効果】
請求項1では一方のコンクリート部材中の主筋を少なくとも他方のコンクリート部材との境界面まで配筋すると共に、他方のコンクリート部材中に配筋される接合部筋を他方のコンクリート部材から一方のコンクリート部材の内部まで延長させて主筋に重ねた形で配筋し、その重なった全区間の内の、一方のコンクリート部材寄りの一部の区間をコンクリートに付着させ、他方のコンクリート部材寄りの一部の区間をコンクリートに付着させないため、一方のコンクリート部材にほとんど損傷を与えることなく、一方のコンクリート部材を変形させることが可能であり、且つ一方のコンクリート部材中の付着を切った区間においてもコンクリートと一体となった主筋が存在する状態を得ることができる。
【0067】
この結果、一方のコンクリート部材中の付着を切った区間は付着を切っていない区間と同様の曲げモーメント及びせん断力に対する抵抗力を有することが可能になる。
【0068】
また請求項1では接合部筋が付着なしの区間から付着ありの区間へ移行した部分で曲げモーメントに対する曲げ戻しの偶力を形成するため、せん断力による曲げモーメントを低減する効果が発揮され、一方のコンクリート部材のヒンジ部におけるコンクリートの損傷を軽減することができる。
【0069】
請求項2では1本の主筋に付き、複数本の接合部筋を配筋し、接合部筋毎に一方のコンクリート部材におけるコンクリートに付着していない区間の長さを相違させることで、接合部筋毎に曲げ戻しの偶力を形成させるため、曲げモーメントの低減効果が増大する結果、コンクリートの損傷防止効果が向上する。
【0070】
請求項3では一方のコンクリート部材の主筋を他方のコンクリート部材の内部まで配筋することで、ヒンジ部の損傷は増すものの、主筋に作用する引張力の負担能力を増大させるため、複数本の接合部筋を用いなくても曲げモーメントに対する抵抗力が増大する。
【0071】
請求項4では主筋の、他方のコンクリート部材の内部における一方のコンクリート部材寄りの一部の区間の付着を切ることで、その付着を切った区間において主筋を降伏させることができるため、一方のコンクリート部材がほとんど損傷を受けずに変形することができる。
【0072】
請求項5では一方のコンクリート部材中の主筋を他方のコンクリート部材の内部まで配筋すると共に、一方のコンクリート部材中に配筋される曲げ補強筋を少なくとも他方のコンクリート部材との境界面まで主筋に重ねた形で配筋し、主筋の、曲げ補強筋に重なった全区間の内の、一方のコンクリート部材寄りの一部の区間をコンクリートに付着させ、他方のコンクリート部材寄りの一部の区間をコンクリートに付着させないため、一方のコンクリート部材にほとんど損傷を与えることなく、一方のコンクリート部材を変形させることが可能であり、且つ一方のコンクリート部材中の付着を切った区間に、コンクリートに一体化した主筋に相当する曲げ補強筋が存在する状態を得ることができる。
【0073】
この結果、一方のコンクリート部材の付着を切った区間は付着を切っていない区間と同様の曲げモーメント及びせん断力に対する抵抗力を有することが可能になる。
【0074】
また請求項5では主筋が付着なしの区間から付着ありの区間へ移行した部分で曲げモーメントに対する曲げ戻しの偶力を形成するため、せん断力による曲げモーメントを低減する効果が発揮され、一方のコンクリート部材のヒンジ部におけるコンクリートの損傷を軽減することができる。
【0075】
請求項6では1本の曲げ補強筋に付き、複数本の主筋を配筋し、主筋毎に付着を切る区間の長さを相違させることで、主筋毎に曲げ戻しの偶力を形成させるため、曲げモーメントの低減効果が増大する結果、コンクリートの損傷防止効果が向上する。
【0076】
請求項7では曲げ補強筋を他方のコンクリート部材の内部まで配筋することで、境界面で留まる場合よりヒンジ部の損傷は増すものの、曲げモーメントに対する抵抗力が増大する。
【0077】
請求項8では曲げ補強筋の、他方のコンクリート部材の内部における一方のコンクリート部材寄りの一部の区間の付着を切ることで、その付着を切った区間において曲げ補強筋を降伏させることができるため、一方のコンクリート部材がほとんど損傷を受けずに変形することができる。
【0078】
請求項9では一方のコンクリート部材中の主筋を他方のコンクリート部材の内部まで配筋すると共に、一方のコンクリート部材の内部、もしくは表面に鉄骨、または鋼管を少なくとも他方のコンクリート部材との境界面まで主筋に重ねた形で配置し、主筋の、鉄骨、または鋼管に重なった全区間の内の、一方のコンクリート部材寄りの一部の区間をコンクリートに付着させ、他方のコンクリート部材寄りの一部の区間をコンクリートに付着させないため、一方のコンクリート部材にほとんど損傷を与えることなく変形を生じさせることが可能で、且つ付着を切った区間においても鉄骨、または鋼管とコンクリートが一体となって曲げモーメント及びせん断力に対して抵抗することができる。
【0079】
また請求項9では請求項1と同じく主筋が付着なしの区間から付着ありの区間へ移行した部分で曲げモーメントに対する曲げ戻しの偶力を形成するため、せん断力による曲げモーメントを低減する効果が発揮され、一方のコンクリート部材のヒンジ部におけるコンクリートの損傷を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1記載の発明の概要を示した立面図である。
【図2】 (a)は請求項1記載の発明の主筋と接合部筋の関係を示した概念図、(b)は従来型に置換した場合の主筋と接合部筋の関係を示した概念図である。
【図3】 (a)は柱である一方のコンクリート部材に材軸に直交する方向の荷重が作用するときの様子を示した立面図、(b)はそのときの一方のコンクリート部材の変形の様子を示した立面図である。
【図4】 (a)は主筋と接合部筋の重ね継手部分に拘束筋を配置した様子を示した斜視図、(b)は主筋毎と接合部筋毎にせん断補強筋を配筋した様子を示した断面図である。
【図5】 (a)は梁である一方のコンクリート部材に材軸に直交する方向の荷重が作用するときの様子を示した立面図、(b)はそのときの一方のコンクリート部材端部における反力を示した立面図、(c)は一方のコンクリート部材の接合部筋を除く部分に生ずる曲げモーメントを示した分布図である。
【図6】 (a)は梁である一方のコンクリート部材内に複数本の接合部筋が配筋される場合(請求項2)の、材軸に直交する方向の荷重が作用するときの様子を示した立面図、(b)はそのときの一方のコンクリート部材端部における反力を示した立面図、(c)は一方のコンクリート部材の接合部筋を除く部分に生ずる曲げモーメントを示した分布図である。
【図7】主筋を他方のコンクリート部材との境界面で止めた場合を示した立面図である。
【図8】主筋を他方のコンクリート部材の内部まで配筋した場合(請求項3)を示した立面図である。
【図9】図7と図8を組み合わせた場合を示した立面図である。
【図10】主筋の、他方のコンクリート部材内の一部の区間のコンクリートとの付着を切った場合(請求項4)を示した立面図である。
【図11】図10の接合部筋を一方のコンクリート部材側へ延長させた場合を示した立面図である。
【図12】図7と図11を組み合わせた場合を示した立面図である。
【図13】請求項5記載の発明の概要を示した立面図である。
【図14】 (a)は請求項5記載の発明の主筋と曲げ補強筋の関係を示した概念図、(b)は従来型に置換した場合の概念図である。
【図15】曲げ補強筋を他方のコンクリート部材とのとの境界面で止めた場合を示した立面図である。
【図16】曲げ補強筋を他方のコンクリート部材の内部まで配筋した場合(請求項7)を示した立面図である。
【図17】図15と図16を組み合わせた場合を示した立面図である。
【図18】曲げ補強筋の、他方のコンクリート部材内の一部の区間のコンクリートとの付着を切った場合(請求項8)を示した立面図である。
【図19】一方のコンクリート部材としての1階柱の主筋と、他方のコンクリート部材としての地下階柱の、接合部筋としての主筋の配筋例を示した立面図である。
【図20】一方のコンクリート部材としての1階柱の主筋と、他方のコンクリート部材としての地下階柱の、接合部筋としての主筋の配筋例であり、1階柱の主筋を地下階柱まで延長させ、その地下階柱部分においてコンクリートとの付着を切り、接合部筋としての主筋の、1階部分のコンクリートとの付着を切った場合を示した立面図である。
【図21】図20における1階柱の主筋の地下階柱部分での付着を切らずに付着させた場合を示した立面図である。
【図22】図21の場合の1階の耐力壁等の接合部筋を除く部分に生ずる曲げモーメントを示した分布図である。
【図23】図21の接合部筋に相当する地下階柱の主筋を複数本配筋し、その各主筋の付着を切る長さを相違させた場合を示した立面図である。
【図24】一方のコンクリート部材が杭で、他方のコンクリート部材がフーチングである場合に、複数本の接合部筋の付着を切る長さを相違させた場合を示した立面図である。
【図25】図24の場合の杭の接合部筋を除く部分に生ずる曲げモーメントを示した分布図である。
【図26】主筋である杭主筋をフーチングの内部まで配筋し、そのフーチング内の杭寄りの区間の付着を切った場合を示した立面図である。
【図27】図26におけるフーチング内の杭主筋の付着を切らず、付着させた場合を示した立面図である。
【図28】 (a)は一方のコンクリート部材が柱で、他方のコンクリート部材が基礎である場合に、柱内に位置する主筋の、基礎寄りの一部の区間のコンクリートとの付着を切り、それ以外の区間をコンクリートに付着させた請求項9の実施例を示した立面図、(b)は(a)の平面図である。
【図29】 (a)は一方のコンクリート部材が鉄骨内蔵の鉄筋コンクリート造の梁で、他方のコンクリート部材が柱である場合に、梁内に位置する主筋の柱寄りの一部の区間のコンクリートとの付着を切り、それ以外の区間をコンクリートに付着させた請求項9の実施例を示した立面図、(b)は(a)の直交する方向の断面図である。
【図30】一方のコンクリート部材が、端部以外の柱鉄骨がコンクリートから露出した形式の鉄骨鉄筋コンクリート造の柱で、他方のコンクリート部材が梁である場合を示した立面図である。
【符号の説明】
A……一方のコンクリート部材、B……他方のコンクリート部材、1……主筋、2……接合部筋、3……主筋、4……曲げ補強筋、5……拘束筋、6……せん断補強筋、7……主筋、8……鉄骨、または鋼管、9……せん断補強筋。
Claims (9)
- 互いに接合される二つのコンクリート部材の内、一方のコンクリート部材中にその材軸方向に配筋される主筋と、他方のコンクリート部材中に、前記主筋と平行に配筋される接合部筋を用い、前記二つのコンクリート部材を接合して構成される接合部構造であり、前記主筋は少なくとも他方のコンクリート部材との境界面まで配筋され、前記接合部筋は他方のコンクリート部材から一方のコンクリート部材の内部まで延長させられ、前記主筋に重なった形で配筋され、その重なった全区間の内の、一方のコンクリート部材寄りの一部の区間はコンクリートに付着し、他方のコンクリート部材寄りの一部の区間はコンクリートに付着していないコンクリート部材の接合部構造。
- 1本の主筋に付き、複数本の接合部筋が配筋され、各接合部筋の、一方のコンクリート部材におけるコンクリートに付着していない区間の長さが相違している請求項1記載のコンクリート部材の接合部構造。
- 主筋は他方のコンクリート部材の内部まで配筋されている請求項1、もしくは請求項2記載のコンクリート部材の接合部構造。
- 主筋の、他方のコンクリート部材の内部における一方のコンクリート部材寄りの一部の区間はコンクリートに付着していない請求項3記載のコンクリート部材の接合部構造。
- 互いに接合される二つのコンクリート部材の内、一方のコンクリート部材中にその材軸方向に、他方のコンクリート部材の内部まで配筋される主筋と、前記一方のコンクリート部材中に、前記主筋と平行に配筋される曲げ補強筋を用い、前記二つのコンクリート部材を接合して構成される接合部構造であり、前記曲げ補強筋は少なくとも他方のコンクリート部材との境界面まで前記主筋に重なった形で配筋され、前記主筋の、曲げ補強筋に重なった全区間の内の、一方のコンクリート部材寄りの一部の区間はコンクリートに付着し、他方のコンクリート部材寄りの一部の区間はコンクリートに付着しておらず、前記曲げ補強筋は前記主筋のコンクリートに付着した区間において前記曲げ補強筋から前記主筋へ引張力が伝達されるだけの、前記主筋との重なり代を有しているコンクリート部材の接合部構造。
- 複数本の主筋と、曲げ補強筋が配筋され、各主筋の、一方のコンクリート部材におけるコンクリートに付着していない区間の長さが相違している請求項5記載のコンクリート部材の接合部構造。
- 曲げ補強筋は他方のコンクリート部材の内部まで配筋されている請求項5、もしくは請求項6記載のコンクリート部材の接合部構造。
- 曲げ補強筋の、他方のコンクリート部材の内部における一方のコンクリート部材寄りの一部の区間はコンクリートに付着していない請求項7記載のコンクリート部材の接合部構造。
- 互いに接合される二つのコンクリート部材の内、一方のコンクリート部材中にその材軸方向に、他方のコンクリート部材の内部まで配筋される主筋と、前記一方のコンクリート部材の内部、もしくは表面に、前記主筋と材軸を平行にして配置される鉄骨、または鋼管を用い、前記二つのコンクリート部材を接合して構成される接合部構造であり、前記鉄骨、または鋼管は少なくとも他方のコンクリート部材との境界面まで前記主筋に重なった形で配置され、前記主筋の、鉄骨、または鋼管に重なった全区間の内の、一方のコンクリート部材寄りの一部の区間はコンクリートに付着し、他方のコンクリート部材寄りの一部の区間はコンクリートに付着していないコンクリート部材の接合部構造。
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