JP6909821B2 - リチウムイオン電池用部材の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、リチウムイオン電池用部材の製造方法に関する。
近年、環境保護のため二酸化炭素排出量の低減が切に望まれている。自動車業界では、電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV)の導入による二酸化炭素排出量の低減に期待が集まっており、これらの実用化の鍵を握るモータ駆動用二次電池の開発が鋭意行われている。二次電池としては、高エネルギー密度、高出力密度が達成できるリチウムイオン電池に注目が集まっており、安定して効率良く高性能のリチウムイオン電池用部材を製造する方法が求められている。
リチウムイオン電池用部材は、例えば、電極活物質等を含有する電極材料をシート状に形成し、このシートを集電体に圧着することで得ることができる。
特許文献1には、電極活物質及び結着剤を含む電極組成物層を支持体表面上に乾式法で形成し、その後支持体から電極組成物層を剥離して集電体に圧着、又は電極組成物層を集電体に圧着した後に支持体から剥離することでリチウムイオン電池用部材を製造する方法が記載されている。
特開2010−171366号公報
しかし、特許文献1に記載の方法で得られたリチウムイオン電池用部材を用いて電池を製造する際には大量の電解液を含浸させる必要があり、含浸には多大な時間を要することから、製造コストの面で不利であった。また、リチウムイオン電池用部材の品質が安定しない問題もあった。
前記課題を解決するために、本発明では電極組成物層を電解液を含んだ状態で成形する湿式法で形成した。また、電極組成物層が電解液を含むことで変化する、電極−支持体間の剥離強度、電極強度、電極−集電体間の剥離強度の関係を最適化できる電極組成物層の構成も見出した。
本発明者らは、これらの課題を解決するべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。
すなわち本発明は、電極活物質粒子と電解液とを含む電極組成物層を集電体又はセパレータ上に形成してなるリチウムイオン電池用部材の製造方法であって、前記電極組成物層を、集電体及びセパレータとは異なる支持体表面に形成する工程と、前記電極組成物層を支持体表面から集電体上又はセパレータ上に載せ替える工程とを有し、前記電極組成物層を支持体表面に形成する工程、及び、前記電極組成物層を集電体上又はセパレータ上に載せ替える工程において、前記電極組成物層に含まれる電解液の重量割合が、前記電極組成物層の重量を基準として10重量%以下である。
本発明によれば、簡便な方法で高品質なリチウムイオン電池用部材を安定的に製造する方法を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、電極活物質粒子と電解液とを含む電極組成物層を集電体又はセパレータ上に形成してなるリチウムイオン電池用部材の製造方法であって、前記電極組成物層を、集電体及びセパレータとは異なる支持体表面に形成する工程と、前記電極組成物層を支持体表面から集電体上又はセパレータ上に載せ替える工程とを有し、前記電極組成物層を支持体表面に形成する工程、及び、前記電極組成物層を集電体上又はセパレータ上に載せ替える工程において、前記電極組成物層に含まれる電解液の重量割合が、前記電極組成物層の重量を基準として10重量%以下である。
本発明の製造方法で得られるリチウムイオン電池用部材は、電極活物質粒子と電解液とを含む電極組成物層を集電体又はセパレータ上に形成してなる。
集電体上に電極組成物層を形成したものは、リチウムイオン電池用電極ともいう。
電極組成物層を構成する電極活物質粒子が正極活物質粒子の場合をリチウムイオン電池用正極ともいい、電極組成物層を構成する電極活物質粒子が負極活物質粒子の場合をリチウムイオン電池用負極ともいう。
また、集電体とセパレータとの間に電極組成物層を形成したものは、リチウムイオン電池用電極シートともいう。電極組成物層を構成する電極活物質粒子が正極活物質粒子の場合をリチウムイオン電池用正極シートともいい、電極組成物層を構成する電極活物質粒子が負極活物質粒子の場合をリチウムイオン電池用負極シートともいう。
[電極組成物層を支持体表面に形成する工程]
本発明のリチウムイオン電池用部材の製造方法は、電極活物質粒子と電解液とを含む電極組成物層を、集電体及びセパレータとは異なる支持体表面に形成する工程を有する。
前記支持体としては、電極組成物層を支持体上に形成することができれば無機材料、有機材料等の制限はなく使用することができる。例えば、アルミニウム箔、銅箔などの金属箔;プラスチックフィルム;紙などが挙げられる。また、前記フィルムを重ねた多層構造のフィルムを用いてもよい。これらの中でも、汎用性や取扱いの観点から紙、熱可塑性樹脂フィルムが好ましく、特に紙、熱可塑性樹脂フィルムの中では、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム、ポリオレフィン系フィルム、PVA(ポリビニルアルコール)フィルム、PVB(ポリビニルブチラールフィルム)、PVC(ポリ塩化ビニル)フィルムが好ましい。なお、本発明における支持体は、集電体及びセパレータとしては使用されない。
前記電極組成物層を前記支持体表面に形成する方法は特に限定されないが、例えば、電極活物質粒子と電解液とを含む混合物(電極組成物ともいう)と前記支持体とを、略水平に配置された一対のプレス用ロール又はベルトに供給し、前記一対のプレス用ロール又はベルトにより前記電極組成物をシート状の成形体である電極組成物層に成形するとともに、これを前記支持体に圧着する等の方法が挙げられる。
このとき、電極組成物に含まれる電解液の重量割合が、電極組成物の重量に対して10重量%を超えていてもよい。
前記電極組成物層は、電極活物質粒子と電解液とを含む。前記電極活物質粒子には正極用(正極活物質粒子)と負極用(負極活物質粒子)とがある。
正極活物質粒子としては、リチウムと遷移金属との複合酸化物{遷移金属が1種である複合酸化物(LiCoO、LiNiO、LiAlMnO、LiMnO及びLiMn等)、遷移金属元素が2種である複合酸化物(例えばLiFeMnO、LiNi1−xCo、LiMn1−yCo、LiNi1/3Co1/3Al1/3及びLiNi0.8Co0.15Al0.05)及び金属元素が3種類以上である複合酸化物[例えばLiMM’M’’(M、M’及びM’’はそれぞれ異なる遷移金属元素であり、a+b+c=1を満たす。例えばLiNi1/3Mn1/3Co1/3)等]等}、リチウム含有遷移金属リン酸塩(例えばLiFePO、LiCoPO、LiMnPO及びLiNiPO)、遷移金属酸化物(例えばMnO及びV)、遷移金属硫化物(例えばMoS及びTiS)及び導電性高分子(例えばポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン及びポリ−p−フェニレン及びポリビニルカルバゾール)等が挙げられ、2種以上を併用してもよい。
なお、リチウム含有遷移金属リン酸塩は、遷移金属サイトの一部を他の遷移金属で置換したものであってもよい。
正極活物質粒子の体積平均粒子径は、電池の電気特性の観点から、0.01〜100μmであることが好ましく、0.1〜35μmであることがより好ましく、2〜30μmであることがさらに好ましい。
負極活物質粒子としては、炭素系材料[黒鉛、難黒鉛化性炭素、アモルファス炭素、樹脂焼成体(例えばフェノール樹脂及びフラン樹脂等を焼成し炭素化したもの等)、コークス類(例えばピッチコークス、ニードルコークス及び石油コークス等)及び炭素繊維等]、珪素系材料[珪素、酸化珪素(SiOx)、珪素−炭素複合体(炭素粒子の表面を珪素及び/又は炭化珪素で被覆したもの、珪素粒子又は酸化珪素粒子の表面を炭素及び/又は炭化珪素で被覆したもの並びに炭化珪素等)及び珪素合金(珪素−アルミニウム合金、珪素−リチウム合金、珪素−ニッケル合金、珪素−鉄合金、珪素−チタン合金、珪素−マンガン合金、珪素−銅合金及び珪素−スズ合金等)等]、導電性高分子(例えばポリアセチレン及びポリピロール等)、金属(スズ、アルミニウム、ジルコニウム及びチタン等)、金属酸化物(チタン酸化物及びリチウム・チタン酸化物等)及び金属合金(例えばリチウム−スズ合金、リチウム−アルミニウム合金及びリチウム−アルミニウム−マンガン合金等)等及びこれらと炭素系材料との混合物等が挙げられる。
前記負極活物質粒子のうち、内部にリチウム又はリチウムイオンを含まないものについては、予め負極活物質粒子の一部又は全部にリチウム又はリチウムイオンを含ませるプレドープ処理を施してもよい。
これらの中でも、電池容量等の観点から、炭素系材料、珪素系材料及びこれらの混合物が好ましく、炭素系材料としては、黒鉛、難黒鉛化性炭素及びアモルファス炭素がさらに好ましく、珪素系材料としては、酸化珪素及び珪素−炭素複合体がさらに好ましい。
負極活物質粒子の体積平均粒子径は、電池の電気特性の観点から、0.01〜100μmであることが好ましく、0.1〜20μmであることがより好ましく、2〜10μmであることがさらに好ましい。
前記電極活物質粒子は、その粒子表面の少なくとも一部が高分子化合物を含む被覆層で被覆された被覆電極活物質粒子であることが好ましい。
被覆電極活物質粒子を構成する電極活物質粒子が正極活物質粒子の場合を被覆正極活物質粒子ともいい、被覆電極活物質粒子を構成する電極活物質粒子が負極活物質粒子の場合を被覆負極活物質粒子ともいう。
前記高分子化合物としては国際公開第2015/005117号及び特開2017−054703号公報に記載のリチウムイオン電池活物質被覆用樹脂等を用いることができる。具体的には、ビニル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート、ポリサッカロイド(アルギン酸ナトリウム等)及びこれらの混合物等が挙げられる。これらの中では電解液への濡れ性及び吸液の観点からビニル樹脂が好ましい。
前記ビニル樹脂は、ビニルモノマー(b)を必須構成単量体とする重合体(B)を含んでなることが望ましい。
ビニルモノマー(b)を必須構成単量体とする重合体(B)は適度な膨潤度と湿潤時の高い機械強度を有するため、活物質粒子を重合体(B)で被覆することにより湿潤時の電極の強度低下を抑制することができる。
特に、ビニルモノマー(b)としてカルボキシル基を有するビニルモノマー(b1)及び下記一般式(1)で表されるビニルモノマー(b2)を含むことが望ましい。
CH=C(R)COOR (1)
[式(1)中、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは炭素数4〜36の分岐アルキル基である。]
カルボキシル基を有するビニルモノマー(b1)としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、桂皮酸等の炭素数3〜15のモノカルボン酸;(無水)マレイン酸、フマル酸、(無水)イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸等の炭素数4〜24のジカルボン酸;アコニット酸等の炭素数6〜24の3価〜4価又はそれ以上の価数のポリカルボン酸等が挙げられる。これらの中でもアクリル酸メチルが好ましい。
前記一般式(1)で表されるビニルモノマー(b2)において、Rは水素原子又はメチル基を表す。Rはメチル基であることが好ましい。
は炭素数4〜36の分岐アルキル基であり、Rの具体例としては、1−アルキルアルキル基(1−メチルプロピル基(sec−ブチル基)、1,1−ジメチルエチル基(tert−ブチル基)、1−メチルブチル基、1−エチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、1−メチルペンチル基、1−エチルブチル基、1−メチルヘキシル基、1−エチルペンチル基、1−メチルヘプチル基、1−エチルヘキシル基、1−メチルオクチル基、1−エチルヘプチル基、1−メチルノニル基、1−エチルオクチル基、1−メチルデシル基、1−エチルノニル基、1−ブチルエイコシル基、1−ヘキシルオクタデシル基、1−オクチルヘキサデシル基、1−デシルテトラデシル基、1−ウンデシルトリデシル基等)、2−アルキルアルキル基(2−メチルプロピル基(iso−ブチル基)、2−メチルブチル基、2−エチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、2−メチルペンチル基、2−エチルブチル基、2−メチルヘキシル基、2−エチルペンチル基、2−メチルヘプチル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルオクチル基、2−エチルヘプチル基、2−メチルノニル基、2−エチルオクチル基、2−メチルデシル基、2−エチルノニル基、2−ヘキシルオクタデシル基、2−オクチルヘキサデシル基、2−デシルテトラデシル基、2−ウンデシルトリデシル基、2−ドデシルヘキサデシル基、2−トリデシルペンタデシル基、2−デシルオクタデシル基、2−テトラデシルオクタデシル基、2−ヘキサデシルオクタデシル基、2−テトラデシルエイコシル基、2−ヘキサデシルエイコシル基等)、3〜34−アルキルアルキル基(3−アルキルアルキル基、4−アルキルアルキル基、5−アルキルアルキル基、32−アルキルアルキル基、33−アルキルアルキル基及び34−アルキルアルキル基等)、並びに、プロピレンオリゴマー(7〜11量体)、エチレン/プロピレン(モル比16/1〜1/11)オリゴマー、イソブチレンオリゴマー(7〜8量体)及びα−オレフィン(炭素数5〜20)オリゴマー(4〜8量体)等に対応するオキソアルコールのアルキル残基のような1又はそれ以上の分岐アルキル基を含有する混合アルキル基等が挙げられる。
これらのうち、電解液の吸液の観点から好ましいのは2−アルキルアルキル基であり、更に好ましいのは2−エチルヘキシル基及び2−デシルテトラデシル基である。
高分子化合物の数平均分子量の好ましい下限は3,000、さらに好ましくは50,000、とくに好ましくは100,000、最も好ましくは200,000であり、好ましい上限は2,000,000、さらに好ましくは1,500,000、とくに好ましくは1,000,000、最も好ましくは800,000である。
高分子化合物の数平均分子量は、以下の条件でGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)測定により求めることができる。
装置:Alliance GPC V2000(Waters社製)
溶媒:オルトジクロロベンゼン
標準物質:ポリスチレン
サンプル濃度:3mg/ml
カラム固定相:PLgel 10μm、MIXED−B 2本直列(ポリマーラボラトリーズ社製)
カラム温度:135℃
高分子化合物の溶解度パラメータ(SP値)は9.0〜20.0(cal/cm1/2であることが望ましい。高分子化合物のSP値は9.5〜18.0(cal/cm1/2であることがより望ましく、9.5〜14.0(cal/cm1/2であることがさらに望ましい。高分子化合物のSP値が9.0〜20.0(cal/cm1/2であると、電解液の吸液の点で好ましい。
なお、本発明のリチウムイオン電池用部材の製造方法におけるSP値(cal/cm1/2は、Robert F Fedorsらの著によるPolymer engineering and science第14巻、151〜154ページに記載されている方法で計算した25℃における値である。
また、高分子化合物のガラス転移点[以下Tgと略記、測定法:DSC(走査型示差熱分析)法]は、電池の耐熱性の観点から好ましくは80〜200℃、さらに好ましくは90〜180℃、とくに好ましくは100〜150℃である。
被覆電極活物質粒子の重量を基準とした高分子化合物の重量割合は、1〜20重量%であることが好ましく、成形性と抵抗値との観点から、2〜7重量%であることがより好ましい。
前記被覆層は、必要に応じて、導電助剤を含んでもよい。
導電助剤としては、金属[ニッケル、アルミニウム、ステンレス(SUS)、銀、銅及びチタン等]、カーボン[グラファイト及びカーボンブラック(アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルランプブラック等)等]、及びこれらの混合物等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
これらの導電助剤は1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。また、これらの合金又は金属酸化物を用いてもよい。電気的安定性の観点から、好ましくはアルミニウム、ステンレス、カーボン、銀、銅、チタン及びこれらの混合物であり、より好ましくは銀、アルミニウム、ステンレス及びカーボンであり、さらに好ましくはカーボンである。またこれらの導電助剤としては、粒子系セラミック材料や樹脂材料の周りに導電性材料(前記導電助剤の材料のうち金属のもの)をめっき等でコーティングしたものでもよい。
導電助剤の平均粒子径は、特に限定されるものではないが、電池の電気特性の観点から、0.01〜10μmであることが好ましく、0.02〜5μmであることがより好ましく、0.03〜1μmであることがさらに好ましい。なお、本明細書中において、「粒子径」とは、導電助剤の輪郭線上の任意の2点間の距離のうち、最大の距離Lを意味する。「平均粒子径」の値としては、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)等の観察手段を用い、数〜数十視野中に観察される粒子の粒子径の平均値として算出される値を採用するものとする。
導電助剤の形状(形態)は、粒子形態に限られず、粒子形態以外の形態であってもよく、カーボンナノチューブ等、いわゆるフィラー系導電性樹脂組成物として実用化されている形態であってもよい。
導電助剤は、その形状が繊維状である導電性繊維であってもよい。
導電性繊維としては、PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維等の炭素繊維、合成繊維の中に導電性のよい金属や黒鉛を均一に分散させてなる導電性繊維、ステンレス鋼のような金属を繊維化した金属繊維、有機物繊維の表面を金属で被覆した導電性繊維、有機物繊維の表面を導電性物質を含む樹脂で被覆した導電性繊維等が挙げられる。これらの導電性繊維の中では炭素繊維が好ましい。また、グラフェンを練りこんだポリプロピレン樹脂も好ましい。
導電助剤が導電性繊維である場合、その平均繊維径は0.1〜20μmであることが好ましい。
被覆電極活物質粒子を製造する方法について説明する。
被覆電極活物質粒子は、例えば、前記高分子化合物及び電極活物質粒子並びに必要により用いる導電助剤を混合することによって製造してもよく、前記高分子化合物と導電助剤とを混合して被覆材を準備したのち、該被覆材と電極活物質粒子とを混合することにより製造してもよい。
なお、電極活物質粒子と前記高分子化合物と導電助剤とを混合する場合、混合順序には特に制限はないが、電極活物質粒子と前記高分子化合物とを混合した後、さらに導電助剤を加えて混合することが好ましい。
前記方法により、前記高分子化合物と必要により用いる導電助剤を含む被覆層によって電極活物質粒子の表面の少なくとも一部が被覆される。
例えば、被覆電極活物質粒子は、電極活物質粒子を万能混合機に入れて30〜500rpmで撹拌した状態で、高分子化合物及び必要により導電助剤を含む樹脂組成物溶液を1〜90分かけて滴下混合し、さらに必要に応じて導電助剤を混合し、撹拌したまま50〜200℃に昇温し、0.007〜0.04MPaまで減圧した後に10〜150分保持することにより得ることができる。
本発明の製造方法で得られるリチウムイオン電池用部材を構成する電極組成物層は、電極活物質粒子と電解液とを含む。
前記電解液としては、リチウムイオン電池の製造に用いられる公知の電解質及び非水溶媒を含有する非水電解液を使用することができる。
電解質としては、公知の非水電解液に用いられているもの等が使用でき、好ましいものとしては、例えば、LiPF、LiBF、LiSbF、LiAsF及びLiClO等の無機酸のリチウム塩系電解質、LiN(FSO、LiN(CFSO及びLiN(CSO等のフッ素原子を有するスルホニルイミド系電解質、LiC(CFSO等のフッ素原子を有するスルホニルメチド系電解質等が挙げられる。これらの内、LiPFがより好ましい。LiPFは、他の電解質と併用してもよいが、単独で使用することがより好ましい。
非水電解液の電解質濃度は、特に限定されないが、非水電解液の取り扱い性及び電池容量等の観点から1〜5mol/Lであることが好ましく、1.5〜4mol/Lであることがより好ましく、2〜3mol/Lであることがさらに好ましい。
非水溶媒としては、公知の非水電解液に用いられているもの等が使用でき、例えば、ラクトン化合物、環状又は鎖状炭酸エステル、鎖状カルボン酸エステル、環状又は鎖状エーテル、リン酸エステル、ニトリル化合物、アミド化合物、スルホン等及びこれらの混合物を用いることができる。
ラクトン化合物としては、5員環(γ−ブチロラクトン及びγ−バレロラクトン等)及び6員環のラクトン化合物(δ−バレロラクトン等)等を挙げることができる。
環状炭酸エステルとしては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート及びブチレンカーボネート等が挙げられる。
鎖状炭酸エステルとしては、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチル−n−プロピルカーボネート、エチル−n−プロピルカーボネート及びジ−n−プロピルカーボネート等が挙げられる。
鎖状カルボン酸エステルとしては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル及びプロピオン酸メチル等が挙げられる。
環状エーテルとしては、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3−ジオキソラン及び1,4−ジオキサン等が挙げられる。
鎖状エーテルとしては、ジメトキシメタン及び1,2−ジメトキシエタン等が挙げられる。
リン酸エステルとしては、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸エチルジメチル、リン酸ジエチルメチル、リン酸トリプロピル、リン酸トリブチル、リン酸トリ(トリフルオロメチル)、リン酸トリ(トリクロロメチル)、リン酸トリ(トリフルオロエチル)、リン酸トリ(トリパーフルオロエチル)、2−エトキシ−1,3,2−ジオキサホスホラン−2−オン、2−トリフルオロエトキシ−1,3,2−ジオキサホスホラン−2−オン及び2−メトキシエトキシ−1,3,2−ジオキサホスホラン−2−オン等が挙げられる。
ニトリル化合物としては、アセトニトリル等が挙げられる。
アミド化合物としては、N,N−ジメチルホルムアミド(以下、DMFと記載する)等が挙げられる。
スルホンとしては、ジメチルスルホン及びジエチルスルホン等の鎖状スルホン及びスルホラン等の環状スルホン等が挙げられる。
非水溶媒は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
非水溶媒の内、電池出力及び充放電サイクル特性の観点から好ましいのは、ラクトン化合物、環状炭酸エステル、鎖状炭酸エステル及びリン酸エステルであり、ニトリル化合物を含まないことが好ましい。更に好ましいのはラクトン化合物、環状炭酸エステル及び鎖状炭酸エステルである。特に好ましいのはエチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)の混合液、又は、エチレンカーボネート(EC)とプロピレンカーボネート(PC)の混合液である。
前記電極組成物層は、必要に応じて、導電助剤を含んでもよい。導電助剤としては、前述のものが挙げられる。前記電極組成物層に含まれる導電助剤の重量割合は、前記の被覆活物質の被覆層に含まれる導電助剤も併せて、前記電極組成物層の重量を基準として0.1〜12重量%であることが好ましく、0.5〜10重量%であることがより好ましく、1.0〜8.0重量%であることが特に好ましい。前記電極組成物層に含まれる導電助剤の重量割合がこの範囲であると、得られる電池の電気特性が良好となる。
前記電極組成物層に含まれる電極用バインダ(単に結着剤又はバインダとも呼ばれる)の含有量は、電極組成物層の重量を基準として1重量%以下であることが好ましく、実質的には含まないことがより好ましく、粘着性樹脂を含むことがさらに好ましい。
前記電極用バインダとしては、デンプン、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン及びスチレン−ブタジエン共重合体等が挙げられる。これらの電極用バインダは電極活物質粒子同士及び電極活物質粒子と集電体とを結着固定するために用いられる公知のリチウムイオン電池用結着剤として知られており、溶剤に溶解又は分散して用いられ、溶剤を揮発、留去して固体として析出させることで電極活物質粒子同士及び電極活物質粒子と集電体とを結着する。
電極組成物が前記バインダを含む場合には、電極組成物層を形成した後に乾燥工程を行うことで電極組成物層を一体化する必要があるが、粘着性樹脂を含む場合には、乾燥工程を行うことなく、常温において僅かな圧力で電極組成物層を一体化することができる。乾燥工程を行わない場合、加熱による電極組成物層の収縮や亀裂の発生がおこらないため好ましい。
また、電極活物質、電解液及び粘着性樹脂を含む電極組成物は、電極組成物層を形成した後であっても、電極組成物層が非結着体のままで維持される。電極組成物層が非結着体であれば、電極組成物層を厚くすることができ、高容量の電池を得ることができ好ましい。
粘着性樹脂としては、前記被覆電極活物質粒子の被覆層を構成する高分子化合物に少量の有機溶剤を混合してそのガラス転移温度を室温(25℃)以下に調整したもの、及び、特開平10−255805号公報等に粘着剤として記載されたものを好適に用いることができる。
ここで、非結着体とは、電極組成物を構成する電極活物質粒子同士が、互いに結合していないことを意味し、結合とは不可逆的に電極活物質粒子同士が固定されていることを意味する。なお、前記バインダは、溶媒成分を揮発させることで乾燥、固体化して電極活物質粒子同士を強固に接着固定する。一方、粘着性樹脂は、溶媒成分を揮発させて乾燥させても固体化せずに粘着性(水,溶剤,熱などを使用せずに僅かな圧力を加えることで接着する性質)を有する。従って、前記バインダと粘着性樹脂とは異なる材料である。
本発明の製造方法で得られるリチウムイオン電池用部材は、前記電極組成物層を集電体又はセパレータ上に形成してなる。
前記集電体を構成する材料は特に限定されないが、公知の金属集電体及び導電材料と樹脂とから構成されてなる樹脂集電体(特開2012−150905号公報等に記載されている)等を好適に用いることができる。得られる電池の出力密度の観点から、より好ましいのは樹脂集電体である。
金属集電体としては、例えば、銅、アルミニウム、チタン、ニッケル、タンタル、ニオブ、ハフニウム、ジルコニウム、亜鉛、タングステン、ビスマス、アンチモン及びこれらの金属を1種以上含む合金、並びに、ステンレス合金からなる群から選択される1種以上の金属材料が挙げられる。これらの金属材料は薄板や金属箔等の形態で用いてもよい。また、前記金属材料以外で構成される基材表面にスパッタリング、電着、塗布等の方法により前記金属材料を形成したものを金属集電体として用いてもよい。
樹脂集電体を構成する導電材料は、上述した導電助剤と同様のものを好適に用いることができる。
樹脂集電体を構成する樹脂としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン(PMP)、ポリシクロオレフィン(PCO)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメチルアクリレート(PMA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂又はこれらの混合物等が挙げられる。
電気的安定性の観点から、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン(PMP)及びポリシクロオレフィン(PCO)が好ましく、さらに好ましくはポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)及びポリメチルペンテン(PMP)である。
セパレータとしては、ポリエチレン又はポリプロピレン製の微多孔フィルム、多孔性ポリエチレンフィルムと多孔性ポリプロピレンとの積層フィルム、合成繊維(ポリエステル繊維及びアラミド繊維等)又はガラス繊維等からなる不織布、及びそれらの表面にシリカ、アルミナ、チタニア等のセラミック微粒子を付着させたもの等の公知のリチウムイオン電池用のセパレータが挙げられる。
[電極組成物層を載せ替える工程]
本発明のリチウムイオン電池用電極の製造方法は、電極組成物層を支持体表面から集電体上又はセパレータ上に載せ替える工程を有する。電極組成物層を支持体表面から集電体上又はセパレータ上に載せ替える方法は特に限定されない。例えば、電極組成物層を支持体表面から剥離した後に、剥離した電極組成物層を集電体上又はセパレータ上に配置する方法や、集電体又はセパレータに支持体付電極組成物層を圧着した後、電極組成物層付集電体又はセパレータと支持体とを剥離する方法が挙げられる。
電極組成物層を支持体表面から集電体上又はセパレータ上に載せ替える工程は、前記電極組成物層を前記支持体から剥離する工程と、前記電極組成物層を集電体上又はセパレータ上に配置する工程とを含むことが好ましい。具体的には、前記電極組成物層を前記支持体から剥離する工程の後に、剥離した電極組成物層を集電体上又はセパレータ上に配置する工程があってもよいし、支持体付電極組成物層を集電体上又はセパレータ上に配置する工程の後に前記電極組成物層を前記支持体から剥離する工程があってもよい。また、ロールプレス上で前記電極組成物層を前記支持体から剥離する工程と前記電極組成物層を集電体上又はセパレータ上に配置する工程とが同時に行われてもよい。
電極組成物層を支持体表面から集電体上又はセパレータ上に載せ替える工程は、集電体上又はセパレータ上で前記電極組成物層を加圧する工程を含むことが好ましい。
電極組成物層を支持体表面から集電体上又はセパレータ上に載せ替える工程が、前記電極組成物層を前記支持体から剥離する工程と、前記電極組成物層を集電体上又はセパレータ上に配置する工程とを含む場合、集電体上又はセパレータ上で前記電極組成物層を加圧する工程は前記電極組成物層を集電体上又はセパレータ上に配置する工程の後、又は同時に実施される。
集電体上又はセパレータ上で前記電極組成物層を加圧することで、集電体又はセパレータと前記電極組成物層との密着性が増し、電極の内部抵抗が低下する。
前記電極組成物層を前記支持体表面に形成する工程、及び、前記電極組成物層を集電体又はセパレータ上に載せ替える工程において、前記電極組成物層に含まれる電解液の重量割合は、前記電極組成物層の重量を基準として10重量%以下である。前記電極組成物層に含まれる電解液の重量割合が、前記電極組成物層の重量を基準として10重量%を超えると、得られる電極組成物層の強度が足りず、ロールプレス中に電極組成物層が破壊されてしまう。
前記電極組成物層を前記支持体表面に形成する工程、及び、前記電極組成物層を集電体又はセパレータ上に載せ替える工程において、前記電極組成物層に含まれる電解液の重量割合は、前記電極組成物層の重量を基準として好ましくは0.5〜5重量%であり、さらに好ましくは1〜2重量%である。
次に本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明の主旨を逸脱しない限り本発明は実施例に限定されるものではない。なお、特記しない限り部は重量部、%は重量%を意味する。
<被覆用樹脂溶液の作製>
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロート及び窒素ガス導入管を付した4つ口フラスコに、酢酸エチル83部とメタノール17部とを仕込み68℃に昇温した。
次いで、メタクリル酸242.8部、メチルメタクリレート97.1部、2−エチルヘキシルメタクリレート242.8部、酢酸エチル52.1部及びメタノール10.7部を配合したモノマー配合液と、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.263部を酢酸エチル34.2部に溶解した開始剤溶液とを4つ口フラスコ内に窒素を吹き込みながら、撹拌下、滴下ロートで4時間かけて連続的に滴下してラジカル重合を行った。滴下終了後、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.583部を酢酸エチル26部に溶解した開始剤溶液を、滴下ロートを用いて2時間かけて連続的に追加した。さらに、沸点で重合を4時間継続した。溶媒を除去し、樹脂582部を得た後、イソプロパノールを1,360部加えて、樹脂濃度30重量%のビニル樹脂からなる被覆用樹脂溶液を得た。
<被覆正極活物質粒子の作製>
LiNi0.8Co0.15Al0.05粉末94部を万能混合機に入れ、室温(25℃)、150rpmで撹拌した状態で、前記被覆用樹脂溶液(樹脂固形分濃度30質量%)を樹脂固形分として3部になるように60分かけて滴下混合し、さらに30分撹拌した。
次いで、撹拌した状態でアセチレンブラック[デンカ(株)製 デンカブラック(登録商標)](平均粒子径(一次粒子径):0.036μm)3部を3回に分けて混合し、30分撹拌したままで70℃に昇温し、100mmHgまで減圧し30分保持し、被覆正極活物質粒子を得た。なお、LiNi0.8Co0.15Al0.05粉末の平均粒子径は8μmであり、被覆正極活物質粒子を基準とした被覆用樹脂の重量割合は3重量%であった。
<被覆負極活物質粒子の作製>
難黒鉛化性炭素[(株)クレハ・バッテリー・マテリアルズ・ジャパン製 カーボトロン(登録商標)PS(F)]88部を万能混合機に入れ、室温(25℃)、150rpmで撹拌した状態で、被覆用樹脂溶液(樹脂固形分濃度30重量%)を樹脂固形分として6部になるように60分かけて滴下混合し、さらに30分撹拌した。
次いで、撹拌した状態でアセチレンブラック[デンカ(株)製 デンカブラック(登録商標)](平均粒子径(一次粒子径):0.036μm)6部を3回に分けて混合し、30分撹拌したままで70℃に昇温し、0.01MPaまで減圧し30分保持し、被覆負極活物質粒子を得た。なお、難黒鉛化性炭素粉末の平均粒子径は9μmであり、被覆負極活物質粒子を基準とした被覆用樹脂の重量割合は6重量%であった。
<電解液の調製>
エチレンカーボネート(EC)とプロピレンカーボネート(PC)の混合溶媒(体積比率1:1)に、LiPFを1mol/Lの割合で溶解させて、電解液を得た。
<製造例1:正極用樹脂集電体の製造>
2軸押出機にて、ポリプロピレン(PP)[商品名「サンアロマーPC630S」、サンアロマー(株)製]69.7部、アセチレンブラック[デンカ(株)製 デンカブラック(登録商標)]25.0部、分散剤[商品名「ユーメックス1001(酸変性ポリプロピレン)」、三洋化成工業(株)製]5.0部を180℃、100rpm、滞留時間5分の条件で溶融混練して正極樹脂集電体用材料を得た。得られた正極樹脂集電体用材料をTダイ押出しフィルム成形機に通して、その後熱プレス機により複数回圧延することで、膜厚42μmの正極用樹脂集電体を得た。
<製造例2:負極用樹脂集電体の製造>
2軸押出機にて、ポリプロピレン[商品名「サンアロマーPL500A」、サンアロマー(株)製]70部、ニッケル粒子[Vale社製]25部、及び分散剤[商品名「ユーメックス1001」、三洋化成工業(株)製]5部を200℃、200rpmの条件で溶融混練して負極樹脂集電体用材料を得た。得られた負極樹脂集電体用材料を、Tダイ押出しフィルム成形機に通して、その後熱プレス機により複数回圧延することで膜厚45μmの負極用樹脂集電体原反を得た。
この負極用樹脂集電体原反の両主面に、真空蒸着法により銅の金属層を厚さ5nmでそれぞれ形成して、金属層を両面に設けた負極用樹脂集電体を得た。
<実施例1>
前記被覆正極活物質粒子100部、カーボンファイバー(大阪ガスケミカル(株)製 ドナカーボ・ミルド S−243:平均繊維長500μm、平均繊維径13μm:電気伝導度200mS/cm)6部をドライブレンドし、正極材料混合物を得た。その後、正極材料混合物に電解液11部を加え、混合機で混合し正極組成物を得た。得られた正極組成物を支持体(日本ラベル SP−8E PE製 厚み:100μm)上に60mg/cmの密度で配置し、ロールプレスで線厚12.7kN/cmで加圧成型することで、支持体上に正極組成物層を成型した。このとき、正極組成物層の厚みは232μmであった。
得られた正極組成物層の自由界面側に前記正極用樹脂集電体を設置し、ロールプレスで加圧し、正極組成物層と正極用樹脂集電体を密着させた。
その後、支持体を剥離し、リチウムイオン電池用正極でもあるリチウムイオン電池用部材を得た。得られた正極組成物層の外観に欠け、割れは観察されなかった。
正極組成物層を支持体上に形成する工程及び前記正極組成物層を正極用樹脂集電体に載せ替える工程における、前記正極組成物層に含まれる電解液の重量割合は、前記正極組成物層の重量を基準として9.4重量%であった。また、前記正極組成物層に含まれる導電助剤の重量割合は、前記正極組成物層の重量を基準として7.7重量%であった。
<実施例2>
前記被覆負極活物質粒子100部、カーボンファイバー(大阪ガスケミカル(株)製 ドナカーボ・ミルド S−243:平均繊維長500μm、平均繊維径13μm:電気伝導度200mS/cm)1部をドライブレンドし、負極材料混合物を得た。その後、負極材料混合物に電解液0.11部を加え、混合機で混合し、負極組成物を得た。その後、集電体として前記負極用樹脂集電体を用いた以外は、実施例1と同様の方法で支持体上に負極組成物層を成型し、負極用樹脂集電体上に転写してリチウムイオン電池用負極でもあるリチウムイオン電池用部材を得た。なお、支持体上に成型された時点での負極組成物層の厚みは321μmであった。また、得られた負極組成物層の外観に欠け、割れは観察されなかった。
負極組成物層を支持体上に形成する工程及び前記負極組成物層を負極用樹脂集電体に載せ替える工程における、前記負極組成物層に含まれる電解液の重量割合は、前記負極組成物層の重量を基準として0.1重量%であった。また、前記負極組成物層に含まれる導電助剤の重量割合は、前記負極組成物層の重量を基準として6.9重量%であった。
<比較例1>
電解液の量を14.5部に変更した以外は、実施例1と同様の方法で支持体上に正極組成物層を成型した。ロールプレスを行った際に、正極組成物から電解液が圧搾されて染み出してきた。その後、正極用樹脂集電体上に転写を試みた。支持体を剥離した際に、支持体側にも正極組成物層が付着していた。また、正極用樹脂集電体上の正極組成物層には欠け、割れが見られた。
正極組成物層を支持体上に形成する工程及び前記正極組成物層を正極用樹脂集電体に載せ替える工程における、前記電極組成物層に含まれる電解液の重量割合は、前記電極組成物層の重量を基準として12.0重量%であった。また、前記正極組成物層に含まれる導電助剤の重量割合は、前記正極組成物層の重量を基準として7.5重量%であった。
本発明のリチウムイオン電池用部材は、特に、携帯電話、パーソナルコンピューター、ハイブリッド自動車及び電気自動車用に用いられる双極型二次電池用及びリチウムイオン二次電池用等の部材として有用である。

Claims (5)

  1. 電極活物質粒子と電解液とを含む電極組成物層を集電体又はセパレータ上に形成してなるリチウムイオン電池用部材の製造方法であって、
    前記電極組成物層を、集電体及びセパレータとは異なる支持体表面に形成する工程と、
    前記電極組成物層を支持体表面から集電体上又はセパレータ上に載せ替える工程とを有し、
    前記電極組成物層を支持体表面に形成する工程、及び、前記電極組成物層を集電体上又はセパレータ上に載せ替える工程において、前記電極組成物層に含まれる電解液の重量割合が、前記電極組成物層の重量を基準として10重量%以下であるリチウムイオン電池用部材の製造方法。
  2. 前記電極組成物層を支持体表面から集電体上又はセパレータ上に載せ替える工程が、前記電極組成物層を前記支持体から剥離する工程と、前記電極組成物層を集電体上又はセパレータ上に配置する工程とを含む請求項1に記載のリチウムイオン電池用部材の製造方法。
  3. 前記電極組成物層を支持体表面から集電体上又はセパレータ上に載せ替える工程が、集電体上又はセパレータ上で前記電極組成物層を加圧する工程を含む請求項1又は2に記載のリチウムイオン電池用部材の製造方法。
  4. 前記電極活物質粒子が、粒子表面の少なくとも一部が高分子化合物を含む被覆層で被覆された被覆電極活物質粒子であり、前記被覆電極活物質粒子の重量を基準とした前記高分子化合物の重量割合が1〜20重量%である請求項1〜3のいずれか1項に記載のリチウムイオン電池用部材の製造方法。
  5. 前記電極組成物層が導電助剤を含み、前記電極組成物層に含まれる導電助剤の重量割合が前記電極組成物層の重量を基準として0.1〜12重量%である請求項1〜4のいずれか1項に記載のリチウムイオン電池用部材の製造方法。
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