JP2012150905A - 樹脂集電体および二次電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡易な工程で作成することが可能で、液絡を防ぐと共に十分な強度を発現する双極型リチウム二次電池用樹脂集電体、及び当該集電体を有する双極型リチウム二次電池用積層電極に関する。
【解決手段】双極型リチウム二次電池に用いられる樹脂集電体であって、樹脂集電体を形成する樹脂バインダーの計算溶解性パラメータ(SP値)が10以下であり、且つ重量平均分子量が30万以上のであることを特徴とする双極型リチウム二次電池用樹脂集電体
【選択図】なし
【解決手段】双極型リチウム二次電池に用いられる樹脂集電体であって、樹脂集電体を形成する樹脂バインダーの計算溶解性パラメータ(SP値)が10以下であり、且つ重量平均分子量が30万以上のであることを特徴とする双極型リチウム二次電池用樹脂集電体
【選択図】なし
Description
本発明は、双極型リチウム二次電池用樹脂集電体に関する。さらに詳しくは、リチウム二次電池の陽極及び陰極の導電体として好適に使用することができる双極型リチウム二次電池用樹脂集電体および当該集電体を有する双極型リチウム二次電池用積層電極に関する。
近年、環境や燃費の観点から、ハイブリッド自動車や電気自動車、さらには燃料電池自動車が製造・販売され、新たな開発が続けられている。これらのいわゆる電動車両においては、放電・充電ができる電源装置の活用が不可欠である。この電源装置としては、リチウム電池やニッケル水素電池等の二次電池や、電気二重層キャパシタ等が利用される。特に、リチウム二次電池はそのエネルギー密度の高さや繰り返し充放電に対する耐久性の高さから、電動車両に好適と考えられ、各種の開発が鋭意進められている。ただし、上記したような各種自動車のモータ駆動用電源に適用するためには、大出力を確保するために、複数の二次電池を直列に接続して用いる必要がある。
しかしながら、接続部を介して電池を接続した場合、接続部の電気抵抗によって出力が低下してしまう。また、接続部を有する電池は空間的にも不利益を有する。即ち、接続部によって、電池の出力密度やエネルギー密度の低下がもたらされる。
この問題を解決するものとして、双極型リチウム二次電池(双極型電池)が開発されている(例えば、特許文献1を参照)。双極型電池は、片面に正極活物質層が形成され、他方の面に負極活物質層が形成された双極型電極が、電解質層を介して複数積層された構成を有する。集電体としては通常金属箔などが用いられ、正極活物質層または負極活物質層は、一般に、正極活物質または負極活物質と、導電物質と、バインダとを含む。
上述の特許文献1に記載されるような双極型電池は、電池内で積層方向に直列に接続されているため、電池を高電圧化でき、また接触抵抗値がないので低抵抗化することができる。さらに、直列時の接続部がないことで、電池のパッケージングをコンパクト化することができ、電池の高出力密度化が可能になる。特許文献2では集電体の強度を上げる手法として、金属箔ではなく樹脂に導電剤を添加した樹脂集電体が提案されており、また特許文献3では樹脂集電体を用いることで軽量化することが可能になるという技術が開示されている。
しかし、こうした樹脂集電体は、樹脂集電体内を通じて電解液(さらに電解液内を通してイオン)が透過し、双極型電極内の正極層、負極層との間で液絡が生じる問題があった。この為、特許文献4では、120℃以上の融点を有する結晶性の樹脂を用いることで、液絡の課題を解決する試みがなされている。しかし、高い融点を有する樹脂に導電剤を均一に分散させる為に、高温で長時間の混錬しなければならず、或いは樹脂の分子量を下げて溶融粘度を下げて混錬する必要があった。この場合、長時間の高温混錬は製造時に使用するエネルギーが膨大になり、また混錬時間を短くする為に樹脂の分子量を下げた場合は樹脂集電体が割れやすくなり、双極型電池の信頼性低下を招く恐れがあった。
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、簡易な工程で作成することが可能で、液絡を防ぐと共に十分な強度を発現する双極型リチウム二次電池用樹脂集電体、及び当該集電体を有する双極型リチウム二次電池用積層電極に関する。
本発明は、
(1) リチウム二次電池に用いられる樹脂集電体であって、樹脂集電体を形成する樹脂バインダーの計算溶解性パラメータ(SP値)が10以下であり、且つ重量平均分子量が30万以上のであることを特徴とする双極型リチウム二次電池用樹脂集電体用
(2) 樹脂集電体を形成する樹脂が架橋性基により架橋されてなることを特徴とする前記(1)に記載の双極型リチウム二次電池用樹脂集電体
(3) 樹脂集電体と活物質層とが順次積層されてなる双極型リチウム二次電池用積層電極であって、前記樹脂集電体として前記(1)〜(2)のいずれかに記載の樹脂集電体を用いられていることを特徴とする双極型リチウム二次電池用積層電極
に関する。
(1) リチウム二次電池に用いられる樹脂集電体であって、樹脂集電体を形成する樹脂バインダーの計算溶解性パラメータ(SP値)が10以下であり、且つ重量平均分子量が30万以上のであることを特徴とする双極型リチウム二次電池用樹脂集電体用
(2) 樹脂集電体を形成する樹脂が架橋性基により架橋されてなることを特徴とする前記(1)に記載の双極型リチウム二次電池用樹脂集電体
(3) 樹脂集電体と活物質層とが順次積層されてなる双極型リチウム二次電池用積層電極であって、前記樹脂集電体として前記(1)〜(2)のいずれかに記載の樹脂集電体を用いられていることを特徴とする双極型リチウム二次電池用積層電極
に関する。
本発明によれば、作成することが簡便で、液絡を防ぐと共に、十分な強度を発現する双極型リチウム二次電池用樹脂集電体、及び当該集電体を有する双極型リチウム二次電池用積層電極が提供される。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る双極型リチウム二次電池の全体構造を模式的に示す概略断面図である。
図1を参照して、双極型リチウム二次電池は、概説すれば、樹脂集電体3の一方の面に正極活物質層4が形成され他方の面に負極活物質層2が形成された双極型電極10を、電解質を含むセパレータ1を挟んで複数直列に積層した双極型リチウム二次電池である。双極型リチウム二次電池は、樹脂集電体3の外周縁と接するシール部6を有している。シール部6は、絶縁性のシール材によって形成してある。シール部6は、樹脂集電体3の外周部である端部を固定する。シール部6は、2つのセパレータ1における外周部の間に配置されている。図示例にあっては、2つのセパレータ1は、隣り合うセパレータ同士である。以下、詳述する。
図1には、本発明を適用した、双極型リチウム二次電池が示される。双極型リチウム二次電池は、双極型電極10を、セパレータ1を挟んで複数直列に積層している。セパレータ1は、電解質を含んでおり、電解質層を形成している。双極型電極10は、セパレータ1を挟んで、隣合う双極型電極10の正極活物質層4と負極活物質層2とが対向する。隣接する正極活物質層4、セパレータ1および負極活物質層2は、一つの単電池層(単セル)を構成する。双極型リチウム二次電池の基本構成は、複数積層した単電池層を直列に接続した構成である。電池要素の最外層に位置する最外層電極5は、片面に正極活物質層4、もしくは負極活物質層2を配置した構造を有しており、電池タブとし、電池外部に導出している。
図1には、本発明を適用した、双極型リチウム二次電池が示される。双極型リチウム二次電池は、双極型電極10を、セパレータ1を挟んで複数直列に積層している。セパレータ1は、電解質を含んでおり、電解質層を形成している。双極型電極10は、セパレータ1を挟んで、隣合う双極型電極10の正極活物質層4と負極活物質層2とが対向する。隣接する正極活物質層4、セパレータ1および負極活物質層2は、一つの単電池層(単セル)を構成する。双極型リチウム二次電池の基本構成は、複数積層した単電池層を直列に接続した構成である。電池要素の最外層に位置する最外層電極5は、片面に正極活物質層4、もしくは負極活物質層2を配置した構造を有しており、電池タブとし、電池外部に導出している。
セパレータ1における外周部は、双極型電極10に対して外方に伸びている。ここに、「双極型電極14に対して外方に伸びる」とは、双極型電極10を構成する部材(樹脂集電体3、正極活物質層4、および負極活物質層2)のうち面方向に最も小さい部材の端部よりも面方向の外方に向けて伸び、双極型電極10を構成する部材のうち面方向に最も大きい部材の端部を超えて延長していることをいう。隣り合うセパレータ1のそれぞれにおける外周部同士の間に、絶縁性のシール材によって形成されるシール部6を樹脂集電体の外周縁に接して配置している。シール部6は、隣り合うセパレータ1のそれぞれと露出部との間にシール材が充填されて、双極型電極10の外周部全体を包み込んでいる。
絶縁性のシール材は、樹脂集電体の端部を固定して樹脂集電体3同士の内部短絡を防ぐのに有効であり、電解液の漏れ出しや外部からの水分に対するシール性(密封性)を発揮する材料であれば特に制限されず、公知の絶縁性シール材を使用できる。具体的には、絶縁性シール材としては、シリコン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、パラフィンワックス、ポリ(メタ)アクリル樹脂などが挙げられる。なかでも、耐蝕性、耐薬品性、製膜性、経済性などの観点から、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリ(メタ)アクリル樹脂が好ましい。
本実施形態の電解質層は、電解質を含むセパレータ1を用いている。電解質の材料として、高分子ゲル電解質(ゲルポリマー電解質)、全固体電解質(高分子固体電解質、無機固体型電解質)、液体電解質(電解液)を用いることができる。
セパレータ1の具体的な形態としては、特に制限されず、微多孔膜セパレータおよび不織布(ノンウーブンファブリック)セパレータなどを利用することができる。
該微多孔膜セパレータの材質としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン、PP/PE/PPの3層構造をした積層体、ポリイミドなどが挙げられる。
セパレータ1の具体的な形態としては、特に制限されず、微多孔膜セパレータおよび不織布(ノンウーブンファブリック)セパレータなどを利用することができる。
該微多孔膜セパレータの材質としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン、PP/PE/PPの3層構造をした積層体、ポリイミドなどが挙げられる。
上記微多孔膜セパレータの厚みとしては、電池の薄膜化の観点から、単層あるいは多層で1〜60μmであることが望ましい。上記微多孔膜セパレータの微細孔の径は、最大で1μm以下(通常、数十nm程度の孔径である)であり、その空孔率は20〜80%であることが望ましい。
また、上記不織布セパレータとしても、セパレータ機能を有し、高分子ゲル電解質を保持させることができるものであれば特に制限されるべきものではなく、従来公知のものを利用できる。また、使用繊維としては、特に制限されるものではなく、例えば、綿、レーヨン、アセテート、ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン、ポリイミド、アラミドなど従来公知のものを用いることができる。これらは、使用目的(電解質層に要求される機械強度など)に応じて、単独または混合して用いる。
不織布セパレータの空孔率は30〜70%であることが好ましい。空孔率が30%未満では、電解質の保持性が悪化する場合があり、70%超では強度が不足する場合がある。さらに、不織布セパレータの厚さは、好ましくは5〜40μmであり、特に好ましくは5〜30μmである。厚さが5μm未満ではショート不良が増加電解質の保持性が悪化し、40μmを超える場合には抵抗が増大することになる。
本発明の双極型リチウム二次電池用樹脂集電体は、前記したように、リチウム二次電池に用いられる樹脂集電体であって、導電性粒子を含む導電剤と樹脂バインダーとを含有し、樹脂集電体を形成する樹脂バインダーの計算溶解性パラメータ(SP値)が10以下であり、且つ重量平均分子量が30万以上であることを特徴とする。また、本発明のリチウム二次電池用積層電極は、樹脂集電体と活物質層とが順次積層されており、当該導電層として前記樹脂集電体が用いられていることを特徴とする。
樹脂バインダーの重量平均分子量は、好ましくは30万以上、より好ましくは50万以上である。樹脂バインダーの重量平均分子量が小さすぎると、樹脂流動性が高くなりすぎて熱プレスした際に樹脂集電体の破断されやすくなるなど、強度の低下が顕著になる。なお、樹脂バインダーの重量平均分子量はゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の測定値またはカタログ値である。
計算溶解性パラメータが高い場合には、高温条件下で電池が劣化する場合があるため、溶解性パラメータは10以下が好ましい。計算溶解性パラメータは、「POLYMER ENGINEERING AND SCIENCE」(1974年、Vol.14、No.2)の147ページから154ページ記載の方法によって計算される値である。以下にその方法を概説する。
単独重合体の溶解性パラメータ(δ)は、該重合体を形成している構成単位の蒸発エネルギー(△ei)及びモル体積(△vi)に基づいて、下式の計算法により算出される。δ=(Σ△ei/Σ△vi)1/2
△ei: i成分の原子または原子団の蒸発エネルギー
△vi: i成分の原子または原子団のモル体積
共重合体の溶解性パラメータは、その共重合体を構成する各構成単量体の蒸発エネルギーにモル分率を乗じて合算したもの(Σ△Ei)を、各構成単量体のモル体積にモル分率を乗じて合算したもの(Σ△Vi)で割り、1/2乗をとることで算出される。
△ei: i成分の原子または原子団の蒸発エネルギー
△vi: i成分の原子または原子団のモル体積
共重合体の溶解性パラメータは、その共重合体を構成する各構成単量体の蒸発エネルギーにモル分率を乗じて合算したもの(Σ△Ei)を、各構成単量体のモル体積にモル分率を乗じて合算したもの(Σ△Vi)で割り、1/2乗をとることで算出される。
各単量体の溶解性パラメータは例えば、シクロヘキシルメタクリレート(CHMA)の単独重合体では7.4、ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)の単独重合体では14.5、エチルアクリレート(EA)の単独重合体では10.2、2−エチルヘキシルアクリレート(2−EHA)の単独重合体では9.2、グリシジルメタクリレート(GMA)の単独重合体では9.4、メチルメタクリレート(MMA)の単独重合体では9.9である。
本発明における樹脂バインダーの計算溶解性パラメータは好ましくは10以下であり、より好ましくは9.7以下、さらに好ましくは9.4以下である。
樹脂集電体の厚さは、その用途が双極型リチウム二次電池用積層電極であることから、好ましくは1〜500μm、より好ましくは3〜300μm、さらに好ましくは5〜200μmである。膜厚が薄すぎる樹脂集電体の強度が維持できず、膜厚が厚すぎると電池の抵抗になることや、得られる双極型電池の厚みも大きくなるためにエネルギー密度が低下してしまう。また、樹脂集電体の大きさは、通常、リチウム二次電池用積層電極に適した大きさが選択され、樹脂集電体の形状もかかる例示のみに限定されるものではない。
樹脂集電体の厚さは、その用途が双極型リチウム二次電池用積層電極であることから、好ましくは1〜500μm、より好ましくは3〜300μm、さらに好ましくは5〜200μmである。膜厚が薄すぎる樹脂集電体の強度が維持できず、膜厚が厚すぎると電池の抵抗になることや、得られる双極型電池の厚みも大きくなるためにエネルギー密度が低下してしまう。また、樹脂集電体の大きさは、通常、リチウム二次電池用積層電極に適した大きさが選択され、樹脂集電体の形状もかかる例示のみに限定されるものではない。
樹脂集電体の導電剤としては、例えば、アルミニウム粒子、SUS粒子、銀粒子、金粒子、銅粒子、チタン粒子などの金属粒子、カーボン粒子が好ましく、カーボン粒子が特に好ましい。カーボンブラックやグラファイトなどのカーボン粒子は電位窓が非常に広く、正極電位および負極電位の双方に対して幅広い範囲で安定であり、さらに導電性に優れている。また、カーボン粒子は非常に軽量なため、質量の増加が最小限になる。さらに、カーボン粒子は、電極の導電助剤として用いられることが多いため、これらの導電助剤と接触しても、同材料であるがゆえに接触抵抗が非常に低くなる。なお、カーボン粒子を導電性粒子として用いる場合には、カーボンの表面に疎水性処理を施すことにより電解質のなじみ性を下げ、樹脂集電体の空孔に電解質が染み込みにくい状況を作ることも可能である。
また導電剤の長径と短径との比(長径/短径)が小さい球状導電剤としては、球状化天然黒鉛、球状の非晶質炭素粒子などが挙げられる。非晶質炭素粒子は、例えば、ポリアクリロニトリルなどの樹脂の炭化物などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
なお、導電剤には、充放電特性を向上させる観点から、カーボンブラックが含まれていることが好ましい。カーボンブラックとしては、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルランプブラックなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのカーボンブラックは、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよく、またその他のその他の導電剤と併用しても良い。
カーボンブラックは、通常、1μm以下の粒子径を有する。カーボンブラックの平均粒子径は、導電層における分散安定性を向上させる観点から、好ましくは0.05μm以上、より好ましくは0.07μm以上、さらに好ましくは0.08μm以上であり、導電層内における充填率を高めることによって積層電極の充放電特性を向上させる観点から、好ましくは0.8μm以下、より好ましくは0.6μm以下である。カーボンブラックの平均粒子径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置〔(株)堀場製作所製、品番:LA−910〕を用いて測定されるD50の平均粒子径を意味する。
導電剤と樹脂バインダーとの質量比は、積層電極の充放電特性を向上させる観点から、好ましくは3/95以上、より好ましくは5/95以上であり、樹脂集電体の強度を維持する観点から好ましくは80/20以下、より好ましくは70/30以下である。
樹脂バインダーは、樹脂集電体の両面に形成された活物質層とを接着させる機能を必要とする。樹脂バインダーとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ジエン系樹脂、フッ素樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの樹脂バインダーのなかでは、樹脂集電体と活物質層とを強固に接着させる観点から、アクリル系樹脂、オレフィン系樹脂およびジエン系樹脂が好ましく、アクリル系樹脂がより好ましい。
アクリル系樹脂のなかでは、導電層を介して集電体と活物質層とを強固に接着させる観点から、置換基を有していてもよいシクロアルキル基をエステル部に有する(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステルおよび炭素数4〜8のアルキル基をエステル部に有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルのうちの少なくとも1種を含有する(メタ)アクリル酸(シクロ)アルキルエステルを主成分とする単量体成分を重合させることによって得られるアクリル系樹脂が好ましい。
なお、本願明細書において、「(メタ)アクリル酸」は、「アクリル酸」および/または「メタクリル酸」を意味する。「(シクロ)アルキルエステル」は、「アルキルエステル」および/または「シクロアルキルエステル」を意味する。また、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート」および/または「メタクリレート」を意味する。
置換基を有していてもよいシクロアルキル基をエステル部に有する(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステルおよび炭素数4〜8のアルキル基をエステル部に有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
置換基を有していてもよいシクロアルキル基をエステル部に有する(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステルのシクロアルキル基は、樹脂集電体と活物質層とを強固に接着させる観点から、炭素数が4〜20のシクロアルキル基であることが好ましく、炭素数が4〜10のシクロアルキル基であることがより好ましい。
置換基を有していてもよいシクロアルキル基をエステル部に有する(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステルは、本発明の目的が阻害されない範囲内で置換基を有していてもよい。当該(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステルが有していてもよい置換基としては、例えば、メチル基、tert−ブチル基などのアルキル基、ニトロ基、ニトリル基、アルコキシル基、アシル基、スルホン基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
置換基を有していてもよいシクロアルキル基をエステル部に有する(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステルとしては、例えば、シクロアルキル(メタ)アクリレート、シクロアルキルアルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられ、これらの単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
シクロアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどのシクロアルキル基の炭素数が好ましくは4〜20、より好ましくは4〜10のシクロアルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられ、これらのシクロアルキル(メタ)アクリレートは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
シクロアルキルアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、シクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルプロピル(メタ)アクリレート、4−メチルシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートなどのシクロアルキル基の炭素数が好ましくは4〜20、より好ましくは4〜10であり、シクロアルキル基に結合しているアルキル基の炭素数が好ましくは1〜4であるシクロアルキルアルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられ、これらのシクロアルキルアルキル(メタ)アクリレートは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
置換基を有していてもよいシクロアルキル基をエステル部に有する(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステルのなかでは、炭素数が4〜20のシクロアルキル基を有するシクロアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、炭素数が4〜10のシクロアルキル基を有するシクロアルキル(メタ)アクリレートがより好ましく、イソボルニル(メタ)アクリレートおよびシクロヘキシル(メタ)アクリレートがさらに好ましく、シクロヘキシル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
炭素数4〜8のアルキル基をエステル部に有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、イソヘキシル(メタ)アクリレート、n−へプチル(メタ)アクリレート、イソヘプチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(メタ)アクリル酸(シクロ)アルキルエステルのなかでは、導電層を介して集電体と活物質層とを強固に接着させる観点から、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロへキシルおよびメタクリル酸シクロへキシルが好ましく、アクリル酸2−エチルヘキシルおよびメタクリル酸シクロへキシルがより好ましく、アクリル酸2−エチルヘキシルとメタクリル酸シクロへキシルとの併用がさらに好ましい。
前記単量体成分における(メタ)アクリル酸(シクロ)アルキルエステルの含有率は、樹脂集電体と活物質層とを強固に接着させる観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上であり、積層電極の充放電特性を向上させる観点から、好ましくは99質量%以下、より好ましくは90質量%以下、さらに好ましくは80質量%以下である。
単量体成分には、カルボキシル基含有単量体が含まれていてもよい。カルボキシル基含有単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノブチルエステル、イタコン酸モノメチルエステル、イタコン酸モノブチルエステル、ビニル安息香酸などのカルボキシル基含有脂肪族系単量体などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのカルボキシル基含有単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらのカルボキシル基含有単量体のなかでは、共重合性の観点から、アクリル酸およびメタクリル酸が好ましい。
単量体成分におけるカルボキシル基含有単量体の含有率を多くしてしまうと、電解質であるリチウム塩を中和してしまう為に充放電容量が低下が起こる為、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。
さらに本発明では、樹脂バインダーが架橋されていることが好ましい。架橋の形態としては、樹脂バインダーに導入した官能基により架橋を行っても良いし、また架橋剤を添加し、後から架橋しても良い。重合中または重合後に自己架橋構造を与える官能基を有している単量体としては、例えばエポキシ基含有ビニル単量体、多官能重合性基含有単量体、メチロール基含有単量体、アルコキシメチル基含有単量体、加水分解性シリル基を有するビニル単量体等を挙げることができる。
エポキシ基含有ビニル単量体としては、例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、メチルグリシジルアクリレート、メチルグリシジルメタクリレートなどが挙げられる。好ましくはグリシジルメタクリレートである。 多官能重合性基含有単量体としては、(メタ)アクリル酸とエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の多価アルコールとのエステル;ジビニルベンゼン等の多官能ビニル化合物;(メタ)アクリル酸アリル等の(メタ)アクリル酸とアリルエステルなどが挙げられる。
エポキシ基含有ビニル単量体としては、例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、メチルグリシジルアクリレート、メチルグリシジルメタクリレートなどが挙げられる。好ましくはグリシジルメタクリレートである。 多官能重合性基含有単量体としては、(メタ)アクリル酸とエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の多価アルコールとのエステル;ジビニルベンゼン等の多官能ビニル化合物;(メタ)アクリル酸アリル等の(メタ)アクリル酸とアリルエステルなどが挙げられる。
メチロール基含有ビニル単量体としては、例えば、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、ジメチロールアクリルアミド、ジメチロールメタクリルアミドなどが挙げられる。
アルコキシメチル基含有ビニル単量体としては、例えば、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−メトキシメチルメタクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、N−ブトキシメチルメタクリルアミドなどが挙げられる。
加水分解性シリル基を有するビニル単量体としては、例えば、ビニルシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
後添加系の架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、過酸化物系架橋剤、エポキシ系架橋剤、イミン系架橋剤などが挙げられる。
イソシアネート系架橋剤としては、例えば、トリレンジイソシアネート、クロルフェニレンジイソシアナート、テトラメチレンジイソシアナート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添されたジフェニルメタンジイソシアネートなどのイソシアネートモノマー及びこれらイソシアネートモノマーをトリメチロールプロパンなどと付加したイソシアネート化合物やイソシアヌレート化物、ビュレット型化合物、さらにはポリエーテルポリオールやポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオールなど付加反応させたウレタンプレポリマー型のイソシアネートなどを挙げることができる。特に好ましくは、ポリイソシアネート化合物であり、ヘキサメチレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、およびイソホロンジイソシアネートからなる群より選択される1種またはそれに由来するポリイソシアネート化合物である。ここで、ヘキサメチレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、およびイソホロンジイソシアネートからなる群より選択される1種またはそれに由来するポリイソシアネート化合物には、ヘキサメチレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ポリオール変性ヘキサメチレンジイソシアネート、ポリオール変性水添キシリレンジイソシアネート、トリマー型水添キシリレンジイソシアネート、およびポリオール変性イソホロンジイソシアネートなどが含まれる。例示したポリイソシアネート化合物は、水酸基との反応が、特にポリマーに含まれる酸、塩基を触媒のようにして、迅速に進む為、特に架橋の早さに寄与し、好ましい。
過酸化物としては、加熱または光照射によりラジカル活性種を発生して粘着剤組成物のベースポリマーの架橋を進行させるものであれば適宜使用可能であるが、作業性や安定性を勘案して、1分間半減期温度が80℃〜160℃である過酸化物を使用することが好ましく、90℃〜140℃である過酸化物を使用することがより好ましい。用いることができる過酸化物としては、たとえば、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート(1分間半減期温度:90.6℃)、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート(1分間半減期温度:92.1℃)、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート(1分間半減期温度:92.4℃)、t−ブチルパーオキシネオデカノエート(1分間半減期温度:103.5℃)、t−ヘキシルパーオキシピバレート(1分間半減期温度:109.1℃)、t−ブチルパーオキシピバレート(1分間半減期温度:110.3℃)、ジラウロイルパーオキシド(1分間半減期温度:116.4℃)、ジ−n−オクタノイルパーオキシド(1分間半減期温度:117.4℃)、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(1分間半減期温度:124.3℃)、ジ(4−メチルベンゾイル)パーオキシド(1分間半減期温度:128.2℃)、ジベンゾイルパーオキシド(1分間半減期温度:130.0℃)、t−ブチルパーオキシイソブチレート(1分間半減期温度:136.1℃)、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン(1分間半減期温度:149.2℃)などが挙げられる。なかでも特に架橋反応効率が優れることから、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート(1分間半減期温度:92.1℃)、ジラウロイルパーオキシド(1分間半減期温度:116.4℃)、ジベンゾイルパーオキシド(1分間半減期温度:130.0℃)などが好ましく用いられる。
単量体成分には、本発明の目的が阻害されない範囲内であれば、他の単量体が含まれていてもよい。他の単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレートなどの炭素数1〜3のアルキル基をエステル部に有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル;スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、tert−メチルスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエンなどのスチレン系単量体;ベンジル(メタ)アクリレート、フェニルエチル(メタ)アクリレート、メチルベンジル(メタ)アクリレート、ナフチルメチル(メタ)アクリレートなどのアラルキル(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどの水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル;エチレングリコール(メタ)アクリレート、エチレングリコールメトキシ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールメトキシ(メタ)アクリレートなどのオキソ基含有単量体;トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレートなどのフッ素原子含有単量体;グリシジル(メタ)アクリレート、α−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルアリルエーテルなどのエポキシ基含有単量体;メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシブチル(メタ)アクリレート、エトキシブチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリプロポキシ(メタ)アクリレートなどのアルコキシアルキル(メタ)アクリレート;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ(メトキシエトキシ)シラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、2−スチリルエチルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルヒドロキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルヒドロキシシランなどのシラン基含有単量体;(メタ)アクリロイルアジリジン、(メタ)アクリル酸2−アジリジニルエチルなどのアジリジニル基含有単量体などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
ジエン系樹脂としては、例えば、共役ジエンの単独重合体、共役ジエンと他の単量体との共重合体などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。ジエン系重合体の具体例としては、ポリブタジエン、ポリイソプレンなどの共役ジエン単独重合体;スチレン−ブタジエン共重合体などの芳香族ビニル−共役ジエン共重合体;スチレン−ブタジエン−メタクリル酸からなる三元共重合体、スチレン−ブタジエン−イタコン酸からなる三元共重合体などの芳香族ビニル−共役ジエン−カルボン酸基含有単量体からなる三元共重合体;アクリロニトリル−ブタジエン共重合体などのシアン化ビニル−共役ジエン共重合体などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
樹脂バインダーは、例えば、以下のようにして調製することができることを例示するが、これ以外の手法により調整することも可能である。例えば、単量体成分を溶剤系均一重合、沈殿重合、分散重合、乳化重合など、種々の重合法により調製することができる。単量体成分を乳化重合させる方法としては、例えば、メタノールなどの低級アルコールなどの水溶性有機溶媒と水とを含む水性媒体、水などの媒体中に乳化剤を溶解させ、撹拌下で単量体成分および重合開始剤を滴下させる方法、乳化剤および水を用いてあらかじめ乳化させておいた単量体成分を水または水性媒体中に滴下させる方法などが挙げられるが、本発明は、かかる方法のみに限定されるものではない。なお、媒体の量は、得られる樹脂エマルションに含まれる不揮発分量を考慮して適宜設定すればよい。媒体は、あらかじめ反応容器に仕込んでおいてもよく、あるいはプレエマルションとして使用してもよい。また、媒体は、必要により、単量体成分を乳化重合させ、樹脂エマルションを製造しているときに用いてもよい。
単量体成分を乳化重合させる際には、単量体成分、乳化剤および媒体を混合した後に乳化重合を行なってもよく、単量体成分、乳化剤および媒体を攪拌することによって乳化させ、プレエマルションを調製した後に乳化重合を行なってもよく、あるいは単量体成分、乳化剤および媒体のうちの少なくとも1種類とその残部のプレエマルションとを混合して乳化重合を行なってもよい。単量体成分、乳化剤および媒体は、それぞれ一括添加してもよく、分割添加してもよく、あるいは連続滴下してもよい。
乳化剤としては、アニオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤、カチオン性乳化剤、両性乳化剤、高分子乳化剤などが挙げられ、これらの乳化剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
アニオン性乳化剤としては、例えば、アンモニウムドデシルサルフェート、ナトリウムドデシルサルフェートなどのアルキルサルフェート塩;アンモニウムドデシルスルホネート、ナトリウムドデシルスルホネートなどのアルキルスルホネート塩;アンモニウムドデシルベンゼンスルホネート、ナトリウムドデシルナフタレンスルホネートなどのアルキルアリールスルホネート塩;ポリオキシエチレンアルキルサルフェート塩;ポリオキシエチレンアルキルアリールサルフェート塩;ジアルキルスルホコハク酸塩;アリールスルホン酸−ホルマリン縮合物;アンモニウムラウリレート、ナトリウムステアリレートなどの脂肪酸塩などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
ノニオン性乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとの縮合物、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセライド、エチレンオキサイドと脂肪族アミンとの縮合生成物などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
カチオン性乳化剤としては、例えば、ドデシルアンモニウムクロライドなどのアルキル
アンモニウム塩などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではな
い。
アンモニウム塩などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではな
い。
両性乳化剤としては、例えば、ベタインエステル型乳化剤などが挙げられるが、本発明
は、かかる例示のみに限定されるものではない。
は、かかる例示のみに限定されるものではない。
高分子乳化剤としては、例えば、ポリアクリル酸ナトリウムなどのポリ(メタ)アクリル酸塩;ポリビニルアルコール;ポリビニルピロリドン;ポリヒドロキシエチルアクリレ
ートなどのポリヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;これらの重合体を構成する単量体のうちの1種類以上を共重合成分とする共重合体などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
ートなどのポリヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;これらの重合体を構成する単量体のうちの1種類以上を共重合成分とする共重合体などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
また、前記乳化剤として、耐水性を向上させる観点から、重合性基を有する乳化剤、す
なわち、いわゆる反応性乳化剤が好ましく、環境保護の観点から、非ノニルフェニル型の
乳化剤が好ましい。
なわち、いわゆる反応性乳化剤が好ましく、環境保護の観点から、非ノニルフェニル型の
乳化剤が好ましい。
反応性乳化剤としては、例えば、プロペニル−アルキルスルホコハク酸エステル塩、(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンスルホネート塩、(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンホスフォネート塩〔例えば、三洋化成工業(株)製、商品名:エレミノールRS−30など〕、ポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテルスルホネート塩〔例えば、第一工業製薬(株)製、商品名:アクアロンHS−10など〕、アリルオキシメチルアルキルオキシポリオキシエチレンのスルホネート塩〔例えば、第一工業製薬(株)製、商品名:アクアロンKH−10など〕、アリルオキシメチルノニルフェノキシエチルヒドロキシポリオキシエチレンのスルホネート塩〔例えば、(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSE−10など〕、アリルオキシメチルアルコキシエチルヒドロキシポリオキシエチレン硫酸エステル塩〔例えば、(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR−10、SR−30など〕、ビス(ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル)メタクリレート化スルホネート塩〔例えば、日本乳化剤(株)製、商品名:アントックスMS−60など〕、アリルオキシメチルアルコキシエチルヒドロキシポリオキシエチレン〔例えば、(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープER−20など〕、ポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテル〔例えば、第一工業製薬(株)製、商品名:アクアロンRN−20など〕、アリルオキシメチルノニルフェノキシエチルヒドロキシポリオキシエチレン〔例えば、(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープNE−10など)などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
乳化剤の量は、単量体成分100質量部あたり、重合安定性を向上させる観点から、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、さらに好ましくは1質量部以上、特に好ましくは2質量部以上であり、導電層を介して集電体と活物質層とを強固に接着させる観点から、好ましくは20質量部以下、より好ましくは10質量部以下、さらに好ましくは8質量部以下、特に好ましくは6質量部以下である。
重合開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2−アゾビス(2―ジアミノプロパン)ハイドロクロライド、4,4−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)などのアゾ化合物;過硫酸カリウムなどの過硫酸塩;過酸化水素、ベンゾイルパーオキサイド、パラクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、過酸化アンモニウムなどの過酸化物などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの重合開始剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
重合開始剤の量は、単量体成分100質量部あたり、重合速度を高め、未反応の単量体成分の残存量を低減させる観点から、好ましくは0.05質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上であり、耐水性を向上させる観点から、好ましくは3質量部以下、より好ましくは1質量部以下である。
重合開始剤の添加方法は、特に限定されない。その添加方法としては、例えば、一括仕込み、分割仕込み、連続滴下などが挙げられる。また、重合反応の終了時期を早める観点から、単量体成分を反応系内に添加する終了前またはその終了後に、重合開始剤の一部を添加してもよい。
なお、重合開始剤の分解を促進するために、例えば、亜硫酸水素ナトリウムなどの還元剤、硫酸第一鉄など遷移金属塩などの重合開始剤の分解剤を反応系内に適量で添加してもよい。
また、反応系内には、必要により、例えば、tert−ドデシルメルカプタンなどのチオール基を有する化合物などの連鎖移動剤、pH緩衝剤、キレート剤、造膜助剤などの添加剤を添加してもよい。添加剤の量は、その種類によって異なるので一概には決定することができないが、通常、単量体成分100質量部あたり、好ましくは0〜5質量部程度、より好ましくは0〜3質量部程度である。
単量体成分を乳化重合させる際の雰囲気は、特に限定されないが、重合開始剤の効率を向上させる観点から、窒素ガスなどの不活性ガスであることが好ましい。
単量体成分を乳化重合させる際の重合温度は、特に限定がないが、通常、好ましくは50〜100℃、より好ましくは60〜95℃である。重合温度は、一定であってもよく、重合反応の途中で変化させてもよい。
樹脂バインダーのガラス転移温度は、積層電極の充放電特性を向上させる観点から、好ましくは−70℃以上、より好ましくは−65℃以上、さらに好ましくは−60℃以上であり、導電層を介して集電体と活物質層とを強固に接着させる観点から、好ましくは80℃以下、より好ましくは50℃以下、さらに好ましくは30℃以下である。重合体のガラス転移温度は、単量体成分に使用される単量体の組成を調整することにより、容易に調節することができる。
なお、本明細書において、樹脂バインダーのガラス転移温度は、当該重合体を構成する単量体成分に使用されている単量体の単独重合体のガラス転移温度を用いて、式:
1/Tg=Σ(Wm/Tgm)/100
〔式中、Wmは重合体を構成する単量体成分における単量体mの含有率(質量%)、Tgmは単量体mの単独重合体のガラス転移温度(絶対温度:K)を示す〕で表されるフォックス(Fox)の式に基づいて求められた温度を意味する。
1/Tg=Σ(Wm/Tgm)/100
〔式中、Wmは重合体を構成する単量体成分における単量体mの含有率(質量%)、Tgmは単量体mの単独重合体のガラス転移温度(絶対温度:K)を示す〕で表されるフォックス(Fox)の式に基づいて求められた温度を意味する。
重合体のガラス転移温度は例えば、シクロヘキシルメタクリレートの単独重合体では83℃、ヒドロキシエチルアクリレートの単独重合体では−32、エチルアクリレートの単独重合体では−22℃、2−エチルヘキシルアクリレートの単独重合体では−70℃、グリシジルメタクリレートの単独重合体では40℃、メチルメタクリレートの単独重合体では105℃である。
重合体のガラス転移温度は、前記フォックス(Fox)の式に基づいて求められた値であるが、重合体のガラス転移温度の実測値は、前記フォックス(Fox)の式に基づいて求められた値と同じであることが好ましい。重合体のガラス転移温度の実測値は、例えば、その示差走査熱量の測定によって求めることができる。
示差走査熱量の測定装置としては、例えば、セイコーインスツル(株)製、品番:DSC220Cなどが挙げられる。また、示差走査熱量を測定する際、示差走査熱量(DSC)曲線を描画する方法、示差走査熱量(DSC)曲線から一次微分曲線を得る方法、スムージング処理を行なう方法、目的のピーク温度を求める方法などには特に限定がない。例えば、前記測定装置を用いた場合には、当該測定装置を用いることによって得られたデータから作図すればよい。その際、数学的処理を行なうことができる解析ソフトウェアを用いることができる。当該解析ソフトウェアとしては、例えば、解析ソフトウェア〔セイコーインスツル(株)製、品番:EXSTAR6000〕などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。なお、このようにして求められたピーク温度には、上下5℃程度の作図による誤差が含まれることがある。
エマルション粒子の平均粒子径は、導電層の厚さによって異なるので一概には決定することができないことから、当該導電層の厚さに応じて適宜決定することが好ましいが、積層電極の充放電特性を向上させる観点から、好ましくは0.03μm以上、より好ましくは0.05μm以上、さらに好ましくは0.07μm以上であり、導電層を介して集電体と活物質層とを強固に接着させる観点から、好ましくは1μm以下、より好ましくは0.7μm以下、さらに好ましくは0.5μm以下である。
なお、本明細書において、エマルション粒子の平均粒子径は、動的光散乱法による粒度分布測定器〔パーティクル・サイジング・システムズ(Particle Sizing Systems)社製、商品名:NICOMP Model 380)を用いて測定された体積平均粒子径を意味する。
樹脂集電体には、さらに導電剤を樹脂バインダー中で均一に分散させるために、分散剤が含有されていることが好ましい。
分散剤として、例えば水系配合では、カルボキシメチルセルロース系化合物、界面活性剤などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの成分は、それぞれ単独で用いてもよく、併用してもよい。分散剤のなかでは、導電剤を樹脂バインダー中で均一に分散させる観点から、カルボキシメチルセルロース系化合物が好ましい。
カルボキシメチルセルロース系化合物としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースアンモニウム塩、カルボキシメチルセルロースアルカリ金属塩、カルボキシメチルセルロースアルカリ土類金属塩などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのカルボキシメチルセルロース系化合物は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのカルボキシメチルセルロース系化合物のなかでは、カルボキシメチルセルロースアルカリ金属塩が好ましい。
界面活性剤としては、例えば、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、脂肪酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物などの陰イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレナルキルエーテル、グリセリン脂肪酸エステルなどの非イオン性界面活性剤、アルキルアミン塩、第四級アンモニウム塩などの陽イオン性界面活性剤、アルキルアミンオキサイド、アルキルベタインなどの両性界面活性剤などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。界面活性剤のなかでは、本発明の積層電極の耐久性を向上させる観点から、陰イオン界面活性剤および非イオン性界面活性剤が好ましく、陰イオン性界面活性剤がより好ましい。
分散剤の量は、導電剤100質量部あたり、導電剤を樹脂バインダー中で均一に分散させる観点から、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上、さらに好ましくは0.5質量部以上であり、樹脂集電体と活物質層とを強固に接着させる観点から、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下、さらに好ましくは10質量部以下である。
樹脂集電体は、例えば、導電剤と樹脂バインダーと必要により分散剤および溶媒とを混合し、得られた樹脂集電体組成物を離形性が良好な基材に塗布し、乾燥させた後で剥離させることで得ることができる。また乾燥させたバインダーと導電剤を混錬してペレット化し、押出し形成することによっても形成することができる。
導電剤と樹脂バインダーと必要により分散剤および溶媒とを混合する際には、例えば、ボールミル、サンドミル、擂潰機、超音波分散機、ホモジナイザー、ミキサー、などの分散機を用いて各成分が均一に分散するようにすることが好ましい。
なお、溶媒を用いる場合には、環境保護の観点から、溶媒は水であることが好ましい。また、樹脂バインダーとして、樹脂エマルションを用いる場合には、溶媒を用いなくてもよいという利点がある。
樹脂集電体用組成物における固形分量は、塗工性および生産性を向上させる観点から、好ましくは10〜70質量%、より好ましくは15〜60質量%、さらに好ましくは20〜55質量%である。
樹脂集電体用組成物の粘度(BM型粘度計を用いて回転速度30r/m、25℃にて測定)は、塗工性および形成される導電層の均一性を向上させる観点から、好ましくは5〜5000mPa・s、より好ましくは10〜3000mPa・s、さらに好ましくは15〜2000mPa・sである。
樹脂集電体用組成物を塗布する方法としては、例えば、浸漬法、ロールコーター法、ドクターブレード法、ハケ塗り法、リバースロール法、ダイレクトロール法、グラビア法などが挙げられるが、本発明は、かかる例示によって限定されるものではない。
基材に塗布された樹脂集電体用組成物を乾燥させる方法としては、例えば、温風ないし熱風乾燥法、真空乾燥法、赤外線照射による乾燥法などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。基材に塗布された樹脂集電体用組成物を乾燥させる際の乾燥温度は、特に限定されないが、常温〜200℃程度であることが好ましい。また、基材上に塗布された樹脂集電体用組成物を乾燥させるのに要する乾燥時間は、乾燥方法によって異なるため一概には決定することができない。前記乾燥時間は、通常、樹脂集電体用組成物における溶媒の含有率が0.1質量%以下となるまで乾燥させることが好ましい。また乾燥過程の過熱で架橋反応を起こさせる場合には、架橋による反応率が90%以上になるまで加熱乾燥することが好ましい。
基材に塗布された樹脂集電体用組成物を乾燥させる方法としては、例えば、温風ないし熱風乾燥法、真空乾燥法、赤外線照射による乾燥法などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。基材に塗布された樹脂集電体用組成物を乾燥させる際の乾燥温度は、特に限定されないが、常温〜200℃程度であることが好ましい。また、基材上に塗布された樹脂集電体用組成物を乾燥させるのに要する乾燥時間は、乾燥方法によって異なるため一概には決定することができない。前記乾燥時間は、通常、樹脂集電体用組成物における溶媒の含有率が0.1質量%以下となるまで乾燥させることが好ましい。また乾燥過程の過熱で架橋反応を起こさせる場合には、架橋による反応率が90%以上になるまで加熱乾燥することが好ましい。
以上のようにして形成される樹脂集電体層の厚さは、集電体の強度を確保し、液絡を防ぐ為に、好ましくは1μm以上、より好ましくは3μm以上、さらに好ましくは5μm以上であり、積層電極の充放電特性を向上させる観点から、好ましくは500μm以下、より好ましくは300μm以下、さらに好ましくは200μm以下である。
樹脂集電体の一方表面には正極活物質層が、他方表面には負極活物質層が積層される。活物質層は、活物質、活物質用導電剤および活物質層用樹脂バインダーを含有する。
活物質の種類は、リチウム二次電池の正極と負極とでは相違する。本発明においては、活物質として正極用活物質および負極用活物質のいずれを用いることもできる。正極用活物質および負極用活物質としては、通常使用されているものを用いることができ、本発明は、正極用活物質および負極用活物質の種類によって限定されるものではない。正極用活物質としては、例えば、コバルト酸リチウム、マンガン酸リチウムなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。また、負極用活物質としては、例えば、金属リチウム、グラファイト、アモルファスカーボン、チタン酸リチウムなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
活物質用導電剤としては、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルランプブラックなどのカーボンブラックなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。また、負極用活物質として用いられるグラファイトを活物質用導電剤として用いてもよい。これらの活物質用導電剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。活物質用導電剤の平均粒子径は、分散安定性を向上させる観点から、好ましくは0.05μm以上、より好ましくは0.07μm以上、さらに好ましくは0.08μm以上であり、導電層内における充填率を高めることによって積層電極の充放電特性を向上させる観点から、好ましくは30μm以下、より好ましくは20μm以下、さらに好ましくは15μm以下である。カーボンブラックの平均粒子径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置〔(株)堀場製作所製、品番:LA−910〕を用いて測定されるD50の平均粒子径を意味する。
活物質用導電剤の量は、活物質100質量部あたり、活物質層の導電性を向上させる観点から、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、さらに好ましくは1質量部以上であり、積層電極の単位体積あたりの充電容量を高める観点から、好ましくは50質量部以下、より好ましくは20質量部以下、さらに好ましくは15質量部以下である。
なお、本発明においては、活物質用導電剤には、本発明の目的が阻害されない範囲内であれば、カーボンファイバー、カーボンウィスカーなどが含まれていてもよい。
活物質層用樹脂バインダーは、活物質と活物質用導電剤とを結着させるために用いられる。活物質層用樹脂バインダーとしては、例えば、アクリル系樹脂、SBR系樹脂、ジエン系樹脂、フッ素樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの樹脂バインダーのなかでは、活物質と活物質用導電剤とを強固に接着させる観点から、フッ素樹脂、SBR系樹脂が好ましく、ポリフッ化ビニリデンがより好ましい。
活物質層用樹脂バインダーの量は、活物質100質量部あたり、活物質と活物質用導電剤とを強固に接着させる観点から、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、さらに好ましくは1質量部以上であり、活物質層の導電性を向上させる観点から、好ましくは50質量部以下、より好ましくは30質量部以下、さらに好ましくは10質量部以下である。
なお、活物質層には、必要により、活物質および活物質用導電剤の分散性を向上させる観点から、活物質用分散剤が用いられていてもよい。活物質用分散剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース、これらのアンモニウム塩またはアルカリ金属塩;ポリ(メタ)アクリル酸ナトリウムなどのポリ(メタ)アクリル酸塩;ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド;ポリビニルピロリドン、ポリカルボン酸、酸化スターチ、リン酸スターチ、カゼイン、各種変性デンプン、キチン、キトサン誘導体などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの活物質用分散剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
活物質用分散剤の量は、活物質100質量部あたり、活物質および活物質用導電剤の分散性を向上させる観点から、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.3質量部以上、さらに好ましくは0.5質量部以上であり、活物質層の機械的強度を向上させる観点から、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、さらに好ましくは3質量部以下である。
なお、活物質用組成物には、必要により、塗工性を向上させる観点から、水、或いは有機溶媒を含有させてもよい。有機溶媒としては、例えば、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエ−テル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、2,6−ジメチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソランなどのエーテル類;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネートなどのカーボネート類;炭酸ジメチル、炭酸エチルメチル、炭酸ジエチル、炭酸ジフェニル、炭酸メチルフェニル、炭酸エチレン、炭酸プロピレンなどの炭酸エステル類;ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸アミルなどの脂肪族カルボン酸エステル類;安息香酸メチル、安息香酸エチルなどの芳香族カルボン酸エステル類;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトンなどの環状エステル類;リン酸トリメチル、リン酸エチルジメチル、リン酸ジエチルメチル、リン酸トリエチルなどのリン酸エステル類;アセトニトリル、プロピオニトリル、メトキシプロピオニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、2−メチルグルタロニトリルなどのニトリル類;N−メチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリジノン、N−メチルピロリドン、N−ビニルピロリドンなどのアミド類;エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルなどのアルコール類;ジメチルスルホキシド、メチルエチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのスルホキシド類などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
これらの溶媒は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの有機溶媒のなかでは、アミド類が好ましく、N−メチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリジノン、N−メチルピロリドンおよびN−ビニルピロリドンがより好ましく、N−メチルピロリドンがさらに好ましい。有機溶媒の量は、特に限定されないが、通常、塗工性を向上させる観点から、活物質用組成物における不揮発分の含有率(不揮発分量)が5〜50質量%程度となるように調整することが好ましい。
活物質層は、例えば、活物質、活物質用導電剤、活物質層用樹脂バインダーおよび必要により活物質用分散剤および溶媒を混合し、得られた活物質用組成物を樹脂集電体層上に形成することによって積層することができる。
活物質用組成物を樹脂集電体上に形成させる方法としては、例えば、活物質用組成物をシート状に成形し、得られたシート状の活物質層組成物を樹脂集電体上に積層する乾式法、活物質用組成物を樹脂集電体上に塗布した後に乾燥させる湿式法などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの方法のなかでは、湿式法は、生産性を向上させる観点から好ましい。湿式法を採用する場合、活物質、活物質用導電剤、活物質層用樹脂バインダー、有機溶媒および必要により活物質用分散剤を混合し、ディスパーなどを用いて各成分を分散させ、得られた活物質用組成物をドクターブレード、アプリケーター、バーコーターなどの塗工手段により樹脂集電体上に形成することによって活物質層を樹脂集電体層上に積層することができる。活物質層の形成後には、必要により、加熱乾燥によって活物質層に含まれている有機溶媒を除去してもよい。
活物質層の厚さは、特に制限されないが、通常、好ましくは5〜1000μm、より好ましくは20〜500μm、さらに好ましくは30〜300μmである。
以上のようにして得られる本発明の双極型リチウム二次電池用樹脂集電体は、充放電特性および膜厚方向の導電性に優れている。また、本発明の双極型リチウム二次電池用積層電極は、前記樹脂集電体が用いられているので、充放電特性に優れ、活物質層と樹脂集電体との接着性にも優れていることから、双極型リチウム二次電池の陽極と陰極を形成する集電体として好適に使用することができる。
なお、本発明の双極型リチウム二次電池用樹脂集電体は、基材の表面上に活物質層を形成し、形成された活物質層と樹脂集電体とを貼り合わせた後、活物質層から基材を分離することにより、製造することもできる。この場合、前記基材の表面には、基材と活物質層とを容易に剥離させる観点から、剥離処理が施されていることが好ましい。前記基材としては、例えば、アルミニウム箔などの金属基材、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステルなどの熱可塑性樹脂からなるフィルムなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
本発明の双極型リチウム二次電池用積層電極を用いてリチウム二次電池を製造する方法は、特に限定されず、通常の製造方法を採用することができる。例えば、本発明のリチウム二次電池用積層電極を金属箔集電体上に形成された正極と負極を、セパレータを介して対極に配置する。ラミネートセル型のリチウム二次電池を製造する場合には、本発明のリチウム二次電池用積層電極、負極、電解質(電解液)およびセパレーターを用いて双極型リチウム二次電池を組み立てることができる。
次に本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。なお、以下の実施例において、特に断りがない限り、「部」は「質量部」を意味し、「%」は「質量%」を意味する。
製造例1
滴下ロート、攪拌機、窒素導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコ内に、脱イオン水101.0部を仕込んだ。
製造例1
滴下ロート、攪拌機、窒素導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコ内に、脱イオン水101.0部を仕込んだ。
一方、滴下ロートにポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテルスルホネート塩〔第一工業製薬(株)製、商品名:アクアロンHS−10〕の25%水溶液4.0部、ポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテル〔第一工業製薬(株)製、商品名:アクアロンRN−20〕の25%水溶液4部、脱イオン水5.8部、単量体成分として2−エチルヘキシルアクリレート56部、シクロヘキシルメタクリレート40部、ヒドロキシエチルアクリレート2部、グリシジルメタクリレート2部を添加し、これらの成分からなるプレエマルションを調製した。
得られたプレエマルションのうち、単量体成分全量の5%にあたる5.7部をフラスコ内に添加し、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら攪拌下で80℃まで昇温した。昇温後、5%過硫酸カリウム水溶液6部をフラスコ内に添加して重合を開始し、反応温度80℃で10分間維持し、初期反応を終了した。
初期反応の終了後、反応系内を80℃に維持しながら、前記プレエマルションの残部を120分間にわたってフラスコ内に均一に滴下した。滴下終了後、脱イオン水5gで滴下ロートを洗浄し、得られた洗浄液をフラスコ内に添加した。その後、フラスコ内の内温を80℃で30分間維持、撹拌した。
得られた反応混合物を室温まで冷却した後、10%水酸化ナトリウム水溶液でpHを8に調整し、100メッシュ(JISメッシュ)の金網で濾過したところ、不揮発分量が45.0%であり、25℃での粘度が50mPa・sであるアクリル系樹脂エマルションを得た。得られたアクリル系樹脂エマルションに含まれているエマルション粒子を構成している樹脂のガラス転移温度は−24℃、重量平均分子量は1.0×106であった。
なお、本明細書において、アクリル系樹脂エマルションの不揮発分量、粘度およびpHは、以下の方法に基づいて測定した。
(1)アクリル系樹脂エマルションの不揮発分量
アクリル系樹脂エマルションの質量(1g)を秤量し、熱風乾燥機で105℃にて1時間乾燥させることによって得られたアクリル系樹脂エマルションの不揮発分の質量を測定し、式:
〔アクリル系樹脂エマルションの不揮発分量(%)〕=〔アクリル系樹脂エマルションの不揮発分の質量〕÷〔アクリル系樹脂エマルションの質量(1g)〕×100
に基づいて求めた。
(2)アクリル系樹脂エマルションの粘度
アクリル系樹脂エマルションの粘度は、BM型粘度計〔東京計器(株)製〕を用いて回転速度30r/m、25℃にて測定した。なお、粘度の測定時には、測定粘度に応じたロータを選定した。
(3)アクリル系樹脂エマルションのpH
アクリル系樹脂エマルションのpHは、pHメータ〔(株)堀場製作所製、品番:F-23〕を用いて25℃の温度で測定した。
(1)アクリル系樹脂エマルションの不揮発分量
アクリル系樹脂エマルションの質量(1g)を秤量し、熱風乾燥機で105℃にて1時間乾燥させることによって得られたアクリル系樹脂エマルションの不揮発分の質量を測定し、式:
〔アクリル系樹脂エマルションの不揮発分量(%)〕=〔アクリル系樹脂エマルションの不揮発分の質量〕÷〔アクリル系樹脂エマルションの質量(1g)〕×100
に基づいて求めた。
(2)アクリル系樹脂エマルションの粘度
アクリル系樹脂エマルションの粘度は、BM型粘度計〔東京計器(株)製〕を用いて回転速度30r/m、25℃にて測定した。なお、粘度の測定時には、測定粘度に応じたロータを選定した。
(3)アクリル系樹脂エマルションのpH
アクリル系樹脂エマルションのpHは、pHメータ〔(株)堀場製作所製、品番:F-23〕を用いて25℃の温度で測定した。
実施例1
製造例1で得られたアクリル系樹脂エマルション100部、カーボンブラック〔ライオン(株)製、品番:W−310A〕37部、分散剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウム塩〔第一工業製薬(株)製、商品名:セロゲンF−BSH4〕0.2部を混合し、得られた混合物をディスパーで分散させ、純水を添加して固形分量を40%に調整した。その後、100メッシュ(JISメッシュ)の金網で濾過することにより、樹脂集電体用組成物を調製した。得られた樹脂集電体用組成物において、導電剤と樹脂バインダーとの質量比〔カーボンブラック粒子/樹脂バインダー(不揮発分)〕は10/90(分散剤を除く)であった。
製造例1で得られたアクリル系樹脂エマルション100部、カーボンブラック〔ライオン(株)製、品番:W−310A〕37部、分散剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウム塩〔第一工業製薬(株)製、商品名:セロゲンF−BSH4〕0.2部を混合し、得られた混合物をディスパーで分散させ、純水を添加して固形分量を40%に調整した。その後、100メッシュ(JISメッシュ)の金網で濾過することにより、樹脂集電体用組成物を調製した。得られた樹脂集電体用組成物において、導電剤と樹脂バインダーとの質量比〔カーボンブラック粒子/樹脂バインダー(不揮発分)〕は10/90(分散剤を除く)であった。
次に、基材としてアルミニウム箔を用い、このアルミニウム箔の一方表面上に、前記で得られた樹脂集電体用組成物を設計膜厚に応じたアプリケーターで塗布した後、熱風乾燥機で100℃にて10分間乾燥させ、さらに真空乾燥機で100℃にて24時間乾燥させることにより、樹脂集電体塗膜を得た。
(評価試験)
形成した実施例1の樹脂集電塗膜および比較例1の比較樹脂集電塗膜(以下、これらを総称して単に集電塗膜ともいう)について、耐薬品性、電気抵抗値、耐熱プレス性を評価した。
(評価試験)
形成した実施例1の樹脂集電塗膜および比較例1の比較樹脂集電塗膜(以下、これらを総称して単に集電塗膜ともいう)について、耐薬品性、電気抵抗値、耐熱プレス性を評価した。
<耐薬品性>
上記で得られた各集電塗膜について、溶剤に対する初期耐久性を下記の方法で評価した。各集電塗膜(2cm角)をエチレンカーボネート/プロピレンカーボネート混合溶液30ccに浸漬し、3日後の形状変化と色目の変化を観測した。ここで、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとの混合比は、1:1(体積比)とした。得られた結果を下記の評価基準に従って評価した。
上記で得られた各集電塗膜について、溶剤に対する初期耐久性を下記の方法で評価した。各集電塗膜(2cm角)をエチレンカーボネート/プロピレンカーボネート混合溶液30ccに浸漬し、3日後の形状変化と色目の変化を観測した。ここで、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとの混合比は、1:1(体積比)とした。得られた結果を下記の評価基準に従って評価した。
〜評価基準〜
5点 : 外観の変化無
4点 : 僅かに白化が見られるが形状に変化無
3点 : 白化が見られ、塗膜に変形が見られる
2点 : 自立膜として取り扱えなくなる
1点 : 溶解する
(結果)
実施例1の集電塗膜は僅かに白化が見られた程度であったのに対し、比較例1の集電塗膜はフィルム形状を残していたが、自立膜として取り扱うことができなくなっていた。
5点 : 外観の変化無
4点 : 僅かに白化が見られるが形状に変化無
3点 : 白化が見られ、塗膜に変形が見られる
2点 : 自立膜として取り扱えなくなる
1点 : 溶解する
(結果)
実施例1の集電塗膜は僅かに白化が見られた程度であったのに対し、比較例1の集電塗膜はフィルム形状を残していたが、自立膜として取り扱うことができなくなっていた。
<電気抵抗値>
上記のフィルムについて下記の方法で膜厚方向の抵抗を評価した。
上記で得られた各集電シート(フィルム)について、下記の方法で電気抵抗を評価した。ペットフィルムに、樹脂集電体体塗膜を乾燥膜厚が40μmになるようにアプリケーターで塗工し、100℃で15分間乾燥後、100℃で24時間真空乾燥し、樹脂集電体がペットフィルム上に形成された表面抵抗値測定用試験体を得た。この表面抵抗値測定用試験体を4端子4探針法抵抗率計ロレスタGP(三菱化学アナリテック社製)を用いて、表面抵抗値を測定した。
(結果)
実施例1、比較例1において、低抵抗なシートが得られた。
上記のフィルムについて下記の方法で膜厚方向の抵抗を評価した。
上記で得られた各集電シート(フィルム)について、下記の方法で電気抵抗を評価した。ペットフィルムに、樹脂集電体体塗膜を乾燥膜厚が40μmになるようにアプリケーターで塗工し、100℃で15分間乾燥後、100℃で24時間真空乾燥し、樹脂集電体がペットフィルム上に形成された表面抵抗値測定用試験体を得た。この表面抵抗値測定用試験体を4端子4探針法抵抗率計ロレスタGP(三菱化学アナリテック社製)を用いて、表面抵抗値を測定した。
(結果)
実施例1、比較例1において、低抵抗なシートが得られた。
<電極強度>
下記の電極を熱転写して得られた電極の強度を確認した。得られた結果を表1にまとめた。
○電極活物質層の形成(電極の作製)
活物質:導電助剤:PVdF(バインダ)=90:5:5(質量比)とし、これらに対し、スラリー粘度調整溶媒であるN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を適量添加して電極スラリーを調製した。ここで、活物質にはLiMn2O4(平均粒子径:10μm)を用いた。導電助剤にはアセチレンブラックを用いた。
上記電極スラリーをアルミ箔(転写用基材シート)上に塗布して乾燥したもの(電極シート)を、各集電シートにそれぞれ熱転写した。
詳しくは、集電シート(8cm角)上の中央に上記電極シート(4cm角)を重ね、150℃に加熱した熱プレスで2MPaでプレスした。
5分間、上記条件で加圧プレスした後、室温にて冷却し、アルミ箔(転写用基材シート)を剥がして電極層が転写された電極シートを得た。得られた電極シートを折り曲げ試験により状態を観察した。
(結果)
実施例1の集電塗膜を使用した電極シートは、繰り返し折り曲げても樹脂集電体の破断は見られなかった。それに対し、比較例1の集電塗膜は折り曲げる途中で破断した。
下記の電極を熱転写して得られた電極の強度を確認した。得られた結果を表1にまとめた。
○電極活物質層の形成(電極の作製)
活物質:導電助剤:PVdF(バインダ)=90:5:5(質量比)とし、これらに対し、スラリー粘度調整溶媒であるN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を適量添加して電極スラリーを調製した。ここで、活物質にはLiMn2O4(平均粒子径:10μm)を用いた。導電助剤にはアセチレンブラックを用いた。
上記電極スラリーをアルミ箔(転写用基材シート)上に塗布して乾燥したもの(電極シート)を、各集電シートにそれぞれ熱転写した。
詳しくは、集電シート(8cm角)上の中央に上記電極シート(4cm角)を重ね、150℃に加熱した熱プレスで2MPaでプレスした。
5分間、上記条件で加圧プレスした後、室温にて冷却し、アルミ箔(転写用基材シート)を剥がして電極層が転写された電極シートを得た。得られた電極シートを折り曲げ試験により状態を観察した。
(結果)
実施例1の集電塗膜を使用した電極シートは、繰り返し折り曲げても樹脂集電体の破断は見られなかった。それに対し、比較例1の集電塗膜は折り曲げる途中で破断した。
※HEA、GMA:架橋性官能基含有単量体
表1に示された結果から、実施例で得られた樹脂集電体は電気抵抗、耐薬品性に優れると共に集電体塗膜強度についてもに優れていることがわかる。
表1に示された結果から、実施例で得られた樹脂集電体は電気抵抗、耐薬品性に優れると共に集電体塗膜強度についてもに優れていることがわかる。
1 セパレーター
2 負極活物質層
3 樹脂集電体
4 正極活物質層
5 最外層集電体
6 シール部
7 アクリル板
10 双極型電極
2 負極活物質層
3 樹脂集電体
4 正極活物質層
5 最外層集電体
6 シール部
7 アクリル板
10 双極型電極
Claims (3)
- リチウム二次電池に用いられる樹脂集電体であって、樹脂集電体を形成する樹脂バインダーの計算溶解性パラメータ(SP値)が10以下であり、且つ重量平均分子量が30万以上のであることを特徴とする双極型リチウム二次電池用樹脂集電体
- 樹脂集電体を形成する樹脂が架橋性基により架橋されてなることを特徴とする請求項1に記載の双極型リチウム二次電池用樹脂集電体
- 樹脂集電体と活物質層とが順次積層されてなる双極型リチウム二次電池用積層電極であって、前記樹脂集電体として請求項1〜2のいずれかに記載の樹脂集電体を用いられていることを特徴とする双極型リチウム二次電池用積層電極
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