JP2017117714A - 二次電池モジュール及び非接触充電システム - Google Patents

二次電池モジュール及び非接触充電システム Download PDF

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Abstract

【課題】簡易な構成でありながら、発熱を抑制しつつ充電効率を高めることを可能にする。【解決手段】正極集電体の表面に正極活物質層が形成された正極と、負極集電体の表面に負極活物質層が形成された負極とがセパレータを介して積層された電池セルと、この電池セルの外部に配置された送電コイルからの磁束に応じて電池セルに充電用電力を供給する受電コイルとを有する二次電池モジュールにおいて、正極集電体及び負極集電体を樹脂集電体とし、受電コイルを、正極集電体及び負極集電体の少なくとも一方を貫通する磁束により充電用電力が生じる位置に配置した。【選択図】図3

Description

本発明は、電池セルと、電磁誘導方式により充電用電力を受電する受電コイルと、充電用電力をこの二次電池セルに供給する充電回路とを有する二次電池モジュール及び非接触充電システムに関する。
ケーブル、コネクタ等を介することなく、電力供給を必要とする各種電気機器に対して非接触状態で電力を供給する、いわゆる非接触電力供給、非接触給電と呼ばれる技術が知られている。このような非接触給電技術の一つとして、送電用コイルと受電用コイルとを近接させ、送電用コイル側に一定周波数の電力を供給し、これら送電用コイルと受電用コイルとの間の電磁誘導により受電用コイル側に電力を発生させ、この電力を電気機器に供給する、電磁誘導方式による非接触給電技術が実用化されている(例えば非特許文献1参照)。
このような非接触給電技術を、例えばリチウムイオン電池等の二次電池を備える移動体通信機器やICカードに適用した場合、二次電池は通常金属筒体や金属箔入りのラミネートフィルムからなる外装体を備えており、送電用コイルからの磁束に対する外装体のシールド効果及び外装体に渦電流が発生する等の理由により給電効率が低下する課題があった。
このような課題に対応して、送電用コイルからの磁束をシールドするために、二次電池と送電用コイルとの間に、受電用コイルを備えた磁性体からなる基板を配置する技術や、受電用コイルで囲まれた位置に配置された二次電池を磁性体フィルムで覆う技術が提案されている(特許文献1、2参照)。
特開平09−190938号公報 特開2009−104374号公報
ワイヤレスパワーコンソーシアム WPC,[online},[平成27年10月21日検索],インターネット<URL:http://www.wirelesspowerconsortium.com/jp>
しかしながら、上述した従来の技術では、基板を磁性体から構成する、従来の二次電池を磁性体フィルムで覆う等の付加的な構成が必要になるために構成が複雑化し、二次電池の歩留まりが低下する等の課題があった。
本発明は上述した課題に鑑みてなされたものであり、簡易な構成でありながら、給電効率を高めることの可能な二次電池モジュール及び非接触充電システムの提供を、その目的の一つとしている。
本発明は、正極集電体の表面に正極活物質層が形成された正極と負極集電体の表面に負極活物質層が形成された負極とがセパレータを介して積層されてなる二次電池セル、給電装置が有する送電コイルから電磁誘導方式により充電用電力を受電する受電コイル、及び前記充電用電力を前記受電コイルから前記二次電池セルに供給する充電回路を有する二次電池モジュールに適用される。そして、送電用コイルが発生する磁束が正極集電体又は負極集電体の有する面を貫通する位置にこれら正極集電体又は負極集電体の少なくとも一方を配置し、かつ、受電コイルの中心部を磁束が通過する位置にこの受電コイルを配置してなり、正極集電体及び負極集電体が樹脂集電体であることにより、上述の課題の少なくとも一つを解決している。
正極集電体及び負極集電体が樹脂集電体であるので、受電コイルからの磁束が正極集電体及び負極集電体の少なくとも一方を貫通しても、磁束に与える影響を抑制することができる。
ここで、受電コイルが無端状に形成され、電池セルを取り囲む位置に配置されていることが好ましい。あるいは、受電コイルが平板状に形成され、電池セルと送電コイルとの間に配置されることが好ましい。
更に、正極活物質層が、正極活物質粒子の表面の少なくとも一部が導電助剤と高分子とを含んでなる層で被覆されている被覆正極活物質粒子を含み、負極活物質層が、負極活物質粒子の表面の少なくとも一部が導電助剤と高分子とを含んでなる層で被覆されている被覆負極活物質粒子を含むことが好ましく、更に、正極活物質層及び負極活物質層は更に繊維状導電性物質を含むことが好ましい。
また、本発明は、上述の二次電池モジュール及び給電装置を有してなることを特徴とする非接触充電システムにより、上述の課題の少なくとも一つを解決している。
本発明によれば、簡易な構成でありながら、給電効率を高めることの可能な二次電池モジュール及び非接触充電システムを提供することができる。
本発明の第1実施形態である二次電池モジュールを示す断面図である。 第1実施形態の二次電池モジュールによるスマートフォンの充電状態を示す斜視図である。 第1実施形態の二次電池モジュールを示す斜視図である。 本発明の第2実施形態である二次電池モジュールを示す断面図である。 本発明の第3実施形態である二次電池モジュールを示す一部破断斜視図である。 第3実施形態である二次電池モジュールによるデジタルカメラ用電池の充電状態を示す斜視図である。 第3実施形態の二次電池モジュールとコネクタとを示す一部破断斜視図である。 本発明の第4実施形態である二次電池モジュールを示す一部破断斜視図である。 本発明の第5実施形態である二次電池モジュールによる車載用電池の充電状態を示す概略図である。
(第1実施形態)
図1〜図3を参照して、本発明の第1実施形態である二次電池モジュールについて説明する。図1は本発明の第1実施形態である二次電池モジュールを示す断面図、図2は第1実施形態の二次電池モジュールによるスマートフォンの充電状態を示す斜視図、図3は第1実施形態の二次電池モジュールを示す斜視図である。
これら図において、本実施形態の二次電池モジュールCは、外形略平板状の二次電池セルであるリチウム二次単電池1と、このリチウム二次単電池1を取り囲む位置に配置された受電コイル10と、受電コイル10が受電した充電用電力をリチウム二次単電池に供給する図略の充電回路とを備える。
ここで、本発明においてリチウム二次単電池1とは、正極電極活物質と電解液とを含む正極電極組成物層を正極集電体の表面に形成した正極と、負極電極活物質と電解液とを含む負極電極組成物層を負極集電体の表面に形成した負極とを有し、正極電極組成物と負極電極組成物とがセパレータを介して積層された構造を有し、電池容器、端子配置及び電子制御装置等を備えていない電池である(参考:日本工業規格JIS C8715-2「産業用リチウム二次電池の単電池及び電池システム」)。なお、リチウム二次単電池1は単電池と略する場合がある。
二次電池セルの一態様である単電池1は、図1及び図3に詳細を示すように、略平板状の樹脂集電体である正極集電体7の表面に正極電極活物質と電解液とを含む略平板状の正極電極組成物層5が形成された正極2と、同様に略平板状の樹脂集電体である負極集電体8の表面に負極電極活物質と電解液とを含む略平板状の負極電極組成物層6が形成された負極3とが、同様に略平板状のセパレータ4を介して積層されて構成され、全体として略平板状に形成されている。これにより、正極集電体7及び負極集電体8を図中上面及び下面にそれぞれ有する単電池1が構成される。
正極集電体7及び負極集電体8は、単電池1の端部に形成されたシール部材9により所定間隔をもって対向するように位置決めされている。また、セパレータ4の端部がこのシール部材9内に埋め込まれることで、このセパレータ4が支持されるとともに、セパレータ4と正極集電体7及び負極集電体8との位置関係が定められている。
正極集電体7とセパレータ4との間の間隔、及び、負極集電体8とセパレータ4との間の間隔は単電池1の容量に応じて調整され、これら正極集電体7、負極集電体8及びセパレータ4の位置関係は必要な間隔が得られるように定められている。
本実施形態の二次電池モジュールCにおける単電池1に設けられた正極集電体7及び負極集電体8は、図1にもっともよく示すように、後述する送電コイル11が発生する磁束Fが、これら正極集電体7及び負極集電体8の有する面、より詳細には、正極集電体7の図中上面及び負極集電体8の図中下面を貫通する方向に配置されている。
単電池1の周囲には、図1及び図3に示すように、この単電池1を取り囲む位置に受電コイル10が設けられている。本実施形態では、単電池1が外形略矩形状に形成されており、これに対応して、受電コイル10も、単電池1が収納される中空部を有する、外形略矩形枠状に形成されている。
受電コイル10は、いわゆる非接触給電により充電用電力を受電するコイルである。より詳細には、受電コイル10は、後述する送電コイル11が発生する磁束F(図1参照)に応じた電磁誘導によりこの受電コイル10に所定電圧の充電用電力を生じさせ、この充電用電力により単電池1を充電させるものである。このため、受電コイル10は、図1にもっともよく示すように、後述する給電装置が有する送電用コイル11が発生する磁束Fがその中心部を通過する位置に設けられている。好ましくは、この受電コイル10を含む二次電池モジュールC及び後述する送電コイル11を含む給電装置である充電台Pからなる非接触充電システムは、ワイヤレスパワーコンソーシアム(Wireless Power Consortium :WPC)が策定した、非接触(ワイヤレス)給電の国際標準規格であるQi(チー)規格に準じたものとされる。Qi規格そのものは周知であるので、詳細は説明を割愛するが、少なくとも5Wの充電用電力を受電コイル10に生じさせることができるように、その寸法、材質等が選定されている。
また、Qi規格では送電コイル11と受電コイル10との間で認証等を行うための通信を行っており、好ましくは本実施形態の二次電池モジュールCは、この通信を行うためのICチップ等の充電回路を備える。但し、このICチップ等については、図1〜図3において図示を省略している。また、Qi規格では、送電コイル11と受電コイル10との間の位置決めのために、永久磁石等の磁性体を送電コイル11、受電コイル10の中央部、すなわち、受電コイル10については単電池1の位置に配置することがあり、磁性体は必要に応じて図3において単電池1の上方に設けられる。
図3に示すように、単電池1の正極集電体7及び負極集電体8の一端部(図3において右奥部)は、受電コイル10を越えて単電池1の側方まで延びて接続部7a、8aとされ、これら接続部7a、8aの先端部はそれぞれコネクタ12、13に接続されている。従って、正極集電体7、負極集電体8の接続部7a、8aは電極端子として作用する。
そして、このコネクタ12、13が図示を省略した導線等により受電コイル10に電気的に接続され、これにより、受電コイル10に生じた充電用電力が充電回路を介して単電池1に供給される。
正極電極活物質は正極活物質粒子を含んでなり、正極活物質粒子としては、リチウムと遷移金属との複合酸化物(例えばLiCoO2、LiNiO2、LiMnO2、Li(Ni−Mn−Co)O及びLiMn24並びにこれらの遷移金属の一部が他の元素により置換されたもの)、遷移金属酸化物(例えばMnO2及びV25)、遷移金属硫化物(例えばMoS2及びTiS2)及び導電性高分子(例えばポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリ−p−フェニレン及びポリカルバゾール)等が挙げられる。これらは2種以上を併用してもよい。正極活物質粒子としては、容量及び出力特性等の観点から、リチウム−遷移金属複合酸化物が、好ましく用いられる。
また、負極電極活物質は負極活物質粒子からなり、負極活物質粒子としては、黒鉛、難黒鉛化性炭素、アモルファス炭素、高分子化合物焼成体(例えばフェノール樹脂及びフラン樹脂等を焼成し炭素化したもの等)、コークス類(例えばピッチコークス、ニードルコークス及び石油コークス等)、炭素繊維、導電性高分子(例えばポリアセチレン及びポリキノリン等)、スズ、シリコン、及び金属合金(例えばリチウム−スズ合金、リチウム−シリコン合金、リチウム−アルミニウム合金及びリチウム−アルミニウム−マンガン合金等)並びにリチウムと遷移金属との複合酸化物(例えばLi4Ti512等)等が挙げられる。これらの負極活物質は、1種のみを単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
単電池1においては、正極活物質粒子及び負極活物質粒子は、耐久性等の観点から、表面の少なくとも一部が被覆用樹脂及び導電助剤を含む被覆剤で被覆されてなる被覆活物質粒子であることが好ましい。活物質粒子の周囲が被覆剤で被覆されていると、電極の体積変化が緩和され、電極の膨脹を抑制することができる。なお、正極活物質粒子及び負極活物質粒子の表面に被覆剤が付着している状態は、走査型電子顕微鏡(SEMともいう)等を用いて得られた被覆活物質粒子の拡大観察画像を観察することで確認することができる。
被覆用樹脂としては、ビニル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂及びポリカーボネート等が挙げられる。これらの中ではビニル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂又はポリアミド樹脂が好ましい。
導電助剤としては、導電性を有する材料から選択される。
導電性を有する材料としては、金属[アルミニウム、ステンレス(SUS)、銀、金、銅及びチタン等]、導電性カーボン[グラファイト、カーボンブラック、アセチレンブラック、バルカン(登録商標)、ケッチェンブラック(登録商標)、ブラックパール(登録商標)、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルランプブラック、カーボンナノチューブ(単層カーボンナノチューブ及び多層カーボンナノチューブ等)、カーボンナノホーン、カーボンナノバルーン、ハードカーボン及びフラーレン等]、及びこれらの混合物等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
これらの導電助剤は1種単独で用いられてもよいし、2種以上併用してもよい。また、これらの合金又は金属酸化物が用いられてもよい。電気的安定性の観点から、好ましくはアルミニウム、ステンレス、カーボン、銀、金、銅、チタン及びこれらの混合物であり、より好ましくは銀、金、アルミニウム、ステンレス及びカーボンであり、更に好ましくはカーボンである。またこれらの導電助剤とは、粒子系セラミック材料や樹脂材料等の非導電性材料の周りに導電性材料(上記した導電助剤の材料のうち金属のもの)をメッキ等でコーティングしたものでもよい。
導電助剤の形状に特に制限はなく、球状、不定形状、繊維状、単一粒子状、凝集体及びこれらの組み合わせ等の形状を有するものを用いることができ、なかでも、導電性等の観点から、一次粒子径が5〜50nmの微粒子の凝集体であることが好ましい。導電助剤の形状は、走査型電子顕微鏡(SEMともいう)等を用いて得られた導電助剤の拡大観察画像を観察し視野にある粒子を計測することで得ることができる。
導電助剤としては、導電性繊維を用いることも可能である。導電性繊維としては、PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維等の炭素繊維、合成繊維の中に導電性のよい金属や黒鉛を均一に分散させてなる導電性繊維、ステンレス鋼のような金属を繊維化した金属繊維、有機物繊維の表面を金属で被覆した導電性繊維、有機物繊維の表面を導電性物質を含む樹脂で被覆した導電性繊維等が挙げられる。これらの導電性繊維の中では炭素繊維が好ましい。
被覆活物質粒子は、例えば、活物質粒子を万能混合機に入れて30〜500rpmで撹拌した状態で、被覆用樹脂及び必要により用いる導電助剤を含む樹脂溶液を1〜90分かけて滴下混合し、更に必要により用いる導電助剤を混合し、撹拌したまま50〜200℃に昇温し、0.007〜0.04MPaまで減圧した後に10〜150分保持することにより得ることができる。被覆活物質粒子が得られたことは、走査型電子顕微鏡(SEMともいう)等を用いて得られた被覆活物質粒子の拡大観察画像を観察することで確認することができる。
電解液としては、リチウムイオン電池の製造に用いられる、電解質及び非水溶媒を含有する電解液を使用することができる。
電解質としては、通常の電解液に用いられているもの等が使用でき、例えば、LiPF6、LiBF4、LiSbF6、LiAsF6及びLiClO4等の無機酸のリチウム塩、LiN(CF3SO22、LiN(C25SO22及びLiC(CF3SO23等の有機酸のリチウム塩等が挙げられ、これらの電解質は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの内、電池出力及び充放電サイクル特性の観点から好ましいのはLiPF6である。
非水溶媒としては、通常の電解液に用いられているもの等が使用でき、例えば、ラクトン化合物、環状又は鎖状炭酸エステル、鎖状カルボン酸エステル、環状又は鎖状エーテル、リン酸エステル、ニトリル化合物、アミド化合物、スルホン、スルホラン等及びこれらの混合物を用いることができる。
非水溶媒は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
非水溶媒の内、電池出力及び充放電サイクル特性の観点から好ましいのは、ラクトン化合物、環状炭酸エステル、鎖状炭酸エステル及びリン酸エステルであり、より好ましいのはラクトン化合物、環状炭酸エステル及び鎖状炭酸エステルであり、更に好ましいのは環状炭酸エステルと鎖状炭酸エステルの混合液である。特に好ましいのはプロピレンカーボネート(PC)、又はエチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)の混合液である。
本発明において正極活物質層及び負極活物質層は、イオン抵抗を低減できる等の観点から、それぞれ前記の被覆活物質粒子と繊維状導電性物質を含むことが好ましい。繊維状導電性物質としては、前記の導電性繊維と同じものを用いることができ、なかでも炭素繊維が好ましい。
セパレータ4としては、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン(PVdF−HFP)等の炭化水素系樹脂及びポリオレフィン(ポリエチレン及びポリプロピレン等)製の多孔性フィルム、多孔性フィルムの多層フィルム(例えば、PP/PE/PPの3層構造をした積層体等)、ポリエステル繊維、アラミド繊維、ガラス繊維等からなる不織布からなる微多孔質フィルム並びにそれらの表面にシリカ、アルミナ、チタニア等のセラミック微粒子を付着させたもの等の公知のリチウムイオン電池用セパレータ等を用いることができる。
樹脂集電体である正極集電体7、負極集電体8は、導電性高分子材料から構成された樹脂集電体であっても、導電性を付与した非導電性高分子材料から構成された樹脂集電体であってもよい。
樹脂集電体を構成する高分子材料のうち、導電性高分子材料としては、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリアクリロニトリル、及びポリオキサジアゾール等が挙げられる。
導電性を有さない高分子材料としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン(PMP)、ポリシクロオレフィン(PCO)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメチルアクリレート(PMA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂又はこれらの混合物等が挙げられる。
電気的安定性の観点から、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン(PMP)及びポリシクロオレフィン(PCO)が好ましく、更に好ましくはポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)及びポリメチルペンテン(PMP)である。
また、樹脂集電体は、導電性高分子材料から構成された樹脂集電体の導電性を向上させる目的、あるいは、非導電性高分子材料から構成された樹脂集電体に導電性を付与する目的から、導電性フィラーを含んでいると好ましい。導電性フィラーは、導電性を有する材料から得られるフィラーから選択される。導電性を有する材料としては、好ましくは、集電体内のイオン透過を抑制する観点から、電荷移動媒体として用いられるイオンに関して伝導性を有さない材料を用いるのが好ましい。具体的には、カーボン材料、アルミニウム、金、銀、銅、鉄、白金、クロム、スズ、インジウム、アンチモン、チタン、ニッケル及びステンレス(SUS)等の合金材などから得られるフィラー等が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、耐食性の観点から、好ましくはアルミニウム、ステンレス、カーボン材料、ニッケル、より好ましくはカーボン材料から得られるフィラーである。これらの導電性フィラーは1種単独で用いられてもよいし、2種以上併用してもよい。また、これらの導電性フィラーは、粒子系セラミック材料や樹脂材料の周りに、上記で示される金属をメッキ等でコーティングしたものであってもよい。
樹脂集電体は、特開2012−150905号公報及び国際公開番号WO2015/005116号等に記載の公知の方法で得ることができ、具体例としては、ポリプロピレンに導電性フィラーとしてアセチレンブラックを5〜20部分散させた後、熱プレス機で圧延したものが挙げられる。また、その厚みも特に制限されず、公知のものと同様、あるいは適宜変更して適用することができる。
シール部材9を構成する材料としては、正極、負極集電体7、8との接着性を有し、電解液に対して耐久性のある材料であれば特に限定されないが、高分子材料、特に熱硬化性樹脂が好ましい。具体的には、エポキシ系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリフッ化ビニデン樹脂等が挙げられ、耐久性が高く取り扱いが容易であることからエポキシ系樹脂が好ましい。
受電コイル10は導線を所定回数巻回することで、単電池1が収納される中空部を有する、外形略矩形枠状に形成されている。導線を構成する材質は、コイルを構成する導線に通常用いられるものから適宜選択されればよく、銅線が好適に適用される。導線には各々の導線を絶縁するために、ポリウレタン、ポリエステル等により被覆される。巻回された導線は、必要に応じて樹脂等により被覆され、一体化されてもよい。
受電コイル10を構成する導線の直径、形状、更には巻数等は、後述する送電コイル11が発生する磁束に応じた電磁誘導によりこの受電コイル10に所定電圧の充電用電力が生じるものに設定されており、好ましくは、上述のQi規格に準じたものとされる。
以上の構成の単電池1は、正極集電体7及び負極集電体8のそれぞれの表面に、正極電極活物質と電解液とを含む正極電極組成物5、及び負極電極活物質と電解液とを含む負極電極組成物6を形成して正極2及び負極3を形成する。正極2及び負極3を形成する手法は任意であり、正極集電体7及び負極集電体8のそれぞれの表面に正極電極組成物5及び負極電極組成物6を塗布する、正極集電体7及び負極集電体8のそれぞれの表面に、ノズル等を介して正極電極組成物5及び負極電極組成物6を載置した後に所定厚になるようにヘラ等で均す、など、種々の手法が挙げられる。その後、セパレータ4を介して正極2及び負極3を積層し、正極集電体7及び負極集電体8の端部、更にセパレータ4の端部をシール部材9により封止することで単電池1を製造することができる。
なお、単電池1の特性維持のために、この単電池1を封止する容器を適宜設けることが可能であるが、この容器をラミネートフィルムのように金属箔を備える素材から構成すると、送電コイル11からの磁束により渦電流を生じてしまうので、金属箔を用いずとも密閉性を担保することの可能な材質、例えばバリアフィルム等により容器を構成することが好ましい。
一方、以上の構成の受電コイル10は、コイル巻線機等により導線を所定の形状にかつ所定の巻数だけ巻回し、必要に応じて樹脂等により被覆して導線を含めて一体化することで製造することができる。
そして、受電コイル10の中空部に単電池1を配置し、接続部7a、8aをコネクタ12、13に接続して単電池1と受電コイル10とを電気的に接続することで、本実施形態の二次電池モジュールCを製造することができる。
以上のような構成の本実施形態の二次電池モジュールCが搭載された、図2に示すようなスマートフォン等の電子機器Sが、送電コイル11(図2において図示略)を備える給電装置である充電台Pに載置されると、図1に示すように、送電コイル11が発生する磁束Fに応じて受電コイル10に充電用電力が生じ、この充電用電力が充電回路を介して単電池1に供給されることで単電池1の充電動作が行われる。
この際、送電コイル11からの磁束Fは、図1に示すように単電池1を厚さ方向に貫く方向に発生するが、本実施形態の二次電池モジュールCでは、単電池1を構成する正極集電体7、負極集電体8が樹脂集電体であるので、磁束Fにより単電池1に生じる渦電流が抑制されるものと考えられる。しかも、本実施形態の二次電池モジュールCでは、磁束をシールドするために必要とされていた磁性体等の付加的構成を設ける必要が無い。従って、本実施形態によれば、簡易な構成でありながら、給電効率を高めることの可能な二次電池モジュールを提供することができる。
また、本実施形態では、正極集電体7、負極集電体8の接続部7a、8aが単電池1から側方に延びて形成されているので、図1に示すように、送電コイル11と接続部7a、8aとの間の距離を離すことができ、これにより、送電コイル11からの磁束が単電池1への充電用電力供給に及ぼす影響を減少させることができる。
(第2実施形態)
次に、図4は、本発明の第2実施形態である二次電池モジュールを示す断面図である。
本実施形態の二次電池モジュールCと上述の第1実施形態の二次電池モジュールCとの相違点は、電池の構成にある。より詳細には、本実施形態では、単電池1は、隣り合う単電池1の正極集電体7の上面と負極集電体8の下面とが隣接するように直列に積層されて外形略矩形板状の積層型電池モジュール21が形成されている。
本実施形態においても、受電コイル10は、積層型電池モジュール21を取り囲む位置に配置されている。より詳細には、本実施形態では、上述のように積層型電池モジュール21が外形略矩形状に形成されており、これに対応して、受電コイル10も、積層型電池モジュール21が収納される中空部を有する、外形略矩形枠状に形成されている。
積層型電池モジュール21の図4において上部及び下部には、それぞれ電極端子14、15が設けられている。より詳細には、積層型電池モジュール21の最上層に位置する単電池1の正極集電体7の上面には、導電体からなる導電部14aが形成されており、導電部14aの一端部(図4において右部)は積層型電池モジュール21の側方まで延びて接続部14bとされ、この接続部14bの先端部は、図4において図略のコネクタに接続されている。そして、これら導電部14a及び接続部14bにより電極端子14が構成されている。
また、積層型電池モジュール21の最下層に位置する単電池1の負極集電体8の下面にも、詳細な図示は省略するが、電極端子14と同様の構成を有する電極端子15が設けられている。
そして、電極端子14、15が、図示を省略したコネクタ及び導線等により受電コイル10に電気的に接続され、これにより、受電コイル10に生じた充電用電力が単電池1に供給される。
電極端子14、15は金属等の導電体から形成される。電極端子14、15を形成する金属の材質等に特段の限定はなく、一例として、アルミニウム、銅、ニッケル又はチタン等が公的に採用される。電極端子14、15を製造する工程も、周知のものから任意に選択可能であり、一例として、プレス加工等により所定形状に切断、折曲された電極端子14、15を、導電性接着剤等を用いて正極集電体7及び負極集電体8の上面及び下面にそれぞれ貼付するような手法が挙げられる。
従って、本実施形態によっても、上述の第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
(第3実施形態)
次に、図5は、本発明の第3実施形態である二次電池モジュールを示す一部破断斜視図、図6は第3実施形態である二次電池モジュールによるデジタルカメラ用電池の充電状態を示す斜視図、図7は第3実施形態の二次電池モジュールとコネクタとを示す一部破断斜視図である。
本実施形態の二次電池モジュールCと上述の第1、第2実施形態の二次電池モジュールCとの相違点は、受電コイル10の構成にある。より詳細には、本実施形態では、図5に示すように、受電コイル10が平板状に形成され、単電池1又は積層型電池モジュール21と、図5において図示を省略する送電コイル11との間に配置されている。また、本実施形態においても、受電コイル10は、後述する給電装置(充電台P)が有する送電用コイル11が発生する磁束Fがその中心部を通過する位置に設けられている。
また、本実施形態では、図7に詳細を示すように、単電池1又は積層型電池モジュール21の側方にコネクタ16が設けられており、単電池1又は積層型電池モジュール21は、上述の第1、第2実施形態と同様に、コネクタ16に電気的に接続されている。
更に、本実施形態では、単電池1又は積層型電池モジュール21と受電コイル10、更にはコネクタ16を含めて、図6及び図7に示すように全体が矩形板状に一体化されたリチウムイオン電池Lとされている。
このような、本実施形態の二次電池モジュールCが適用されたリチウムイオン電池Lは、図6に示すように、充電の際にデジタルスチルカメラD等から取り外されて給電装置である充電台Pに載置されると、送電コイル11が発生する磁束Fに応じて受電コイル10に充電用電力が生じ、この充電用電力がリチウムイオン電池Lに供給されることでリチウムイオン電池Lの充電動作が行われる。
従って、本実施形態によっても、上述の第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
また、本実施形態では、受電コイル10が平板状に形成され、単電池1又は積層型電池モジュール21と送電コイル11との間に配置されているので、上述の第1実施形態のように、受電コイル10が単電池1を取り囲む位置に設けられている場合に比較して、コネクタ16の配置位置の自由度を高めることができる。
(第4実施形態)
次に、図8は、本発明の第4実施形態である二次電池モジュールを示す一部破断斜視図である。
本実施形態の二次電池モジュールCと上述の第3実施形態の二次電池モジュールCとの相違点は、受電コイル10の構成にある。より詳細には、本実施形態では、上述の第1実施形態と同様に、受電コイル10は単電池1又は積層型電池モジュール21を取り囲む位置に設けられている。また、本実施形態では、単電池1又は積層型電池モジュール21を樹脂シートからなる容器22により封止している。
従って、本実施形態によっても、上述の第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
(第5実施形態)
次に、図9は、本発明の第5実施形態である二次電池モジュールによる車載用電池の充電状態を示す概略図である。
本実施形態では、例えば上述の第1実施形態にかかる二次電池モジュールCが自動車Vの下部に搭載されている。この自動車Vが、二次電池モジュールCの単電池1又は積層型電池モジュール21の充電のために、送電コイル11を備える充電ステーションまで自走し、二次電池モジュールCの受電コイル10と送電コイル11とが、図9に示すようにほぼ上下に重なる位置まで自動車Vが自走して停止した時点で、送電コイル11が、図示を省略した上下動機構により受電コイル10に接近する方向に上方に移動されて所定位置で停止される。これにより、送電コイル11からの磁束によって受電コイル10に充電用電力が供給され、その結果、単電池1又は積層型電池モジュール21が充電される。
なお、送電コイル11、受電コイル10が上述のQi規格に準じており、これら送電コイル11、受電コイル10が位置決め用の磁性体を備える場合、送電コイル11を水平方向(図9において左右方向及び紙面を貫く方向)に移動させる機構を設け、送電コイル11と受電コイル10との水平方向の位置決めを行ってもよい。
従って、本実施形態によっても、上述の第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
(変形例)
なお、本発明の二次電池モジュールCは、その具体的な構成が上述の各実施形態に限定されず、種々の変形例が可能である。一例として、受電コイル10の形状、寸法等は上述の各実施形態(特に図示例)に限定されず、電池セルとの相対的な位置関係が既に説明した関係を満たすならば、特段の限定はない。
C 二次電池モジュール
L リチウムイオン電池
1 単電池
2 正極
3 負極
4 セパレータ
5 正極電極組成物
6 負極電極組成物
7 正極集電体
8 負極集電体
9 シール部材
10 受電コイル
11 送電コイル
21 積層型電池モジュール

Claims (6)

  1. 正極集電体の表面に正極活物質層が形成された正極と負極集電体の表面に負極活物質層が形成された負極とがセパレータを介して積層されてなる二次電池セル、給電装置が有する送電用コイルから電磁誘導方式により充電用電力を受電する受電コイル、及び前記充電用電力を前記受電コイルから前記二次電池セルに供給する充電回路を有する二次電池モジュールにおいて、
    前記送電用コイルが発生する磁束が前記正極集電体又は前記負極集電体の有する面を貫通する位置にこれら正極集電体又は負極集電体の少なくとも一方を配置し、かつ、前記受電コイルの中心部を前記磁束が通過する位置にこの受電コイルを配置してなり、
    前記正極集電体及び前記負極集電体が樹脂集電体であることを特徴とする二次電池モジュール。
  2. 請求項1に記載の二次電池モジュールにおいて、
    前記受電コイルは無端状に形成され、前記電池セルを取り囲む位置に配置されていることを特徴とする二次電池モジュール。
  3. 請求項1又は2に記載の二次電池モジュールにおいて、
    前記受電コイルは平板状に形成され、前記電池セルと前記送電コイルとの間に配置されることを特徴とする二次電池モジュール。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の二次電池モジュールにおいて、
    前記正極活物質層が、正極活物質粒子の表面の少なくとも一部が導電助剤と高分子とを含んでなる層で被覆されている被覆正極活物質粒子を含み、
    前記負極活物質層が、負極活物質粒子の表面の少なくとも一部が導電助剤と高分子とを含んでなる層で被覆されている被覆負極活物質粒子を含む
    ことを特徴とする二次電池モジュール。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の二次電池モジュールにおいて、
    前記正極活物質層及び前記負極活物質層は更に繊維状導電性物質を含むことを特徴とする二次電池モジュール。
  6. 請求項1〜5に記載のいずれかに記載の二次電池モジュール及び給電装置を有してなることを特徴とする非接触充電システム。
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