JP2019160789A - リチウムイオン電池用負極及びリチウムイオン電池 - Google Patents

リチウムイオン電池用負極及びリチウムイオン電池 Download PDF

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Abstract

【課題】サイクル特性に優れたリチウムイオン電池用負極及びこれを用いたリチウムイオン電池を提供する。【解決手段】負極活物質粒子30と導電助剤40とを含む非結着体からなる負極活物質層20が負極集電体10上に形成されてなるリチウムイオン電池用負極1であって、上記負極活物質粒子は、珪素及び/又は珪素化合物粒子を含み、上記導電助剤は、JIS Z8827−1:2008に準拠した方法により得られる導電助剤の投影像における単位粒子の最大フェレー径の平均値が上記負極活物質粒子の体積平均粒子径の0.001〜0.1倍である導電性炭素フィラーであり、上記負極活物質層に含まれる上記導電助剤の割合が、上記負極活物質粒子と上記導電助剤との合計重量に基づいて5〜25重量%であることを特徴とするリチウムイオン電池用負極。【選択図】図1

Description

本発明は、リチウムイオン電池用負極及びリチウムイオン電池に関する。
近年、環境保護のため二酸化炭素排出量の低減が切に望まれている。自動車業界では、電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV)の導入による二酸化炭素排出量の低減に期待が集まっており、これらの実用化の鍵を握るモータ駆動用二次電池の開発が鋭意行われている。二次電池としては、高エネルギー密度、高出力密度が達成できるリチウムイオン電池(リチウムイオン二次電池ともいう)に注目が集まっている。
リチウムイオン電池の高エネルギー密度化のためには、より理論容量の大きい活物質、すなわち単位体積あたりにより多くのリチウムイオンを吸蔵できる材料が注目されている。しかしながら、単位体積あたりに吸蔵可能なリチウムイオン量が多くなると、リチウムイオンの挿入・脱離に伴う体積変化も大きくなる。そのため、体積変化によって材料の自壊が発生する場合があり、活物質層が集電体表面から剥離しやすくなるため、サイクル特性を向上させることが困難であった。
例えば、特許文献1には、炭素繊維が絡み合った担持体の隙間にシリコン/無定形炭素複合粒子を担持させてなるリチウムイオン電池用の負極材料が開示されている。
特開2013−89403号公報
しかしながら、特許文献1に記載された負極材料では、サイクル特性が充分でないという問題があった。この問題について本発明者らが鋭意研究したところ、シリコン/無定形炭素複合粒子の体積膨張によって炭素繊維の絡み合い構造も膨張するが、収縮する際に炭素繊維の絡み合い構造が充分に収縮できないことが原因であると推察される。すなわち、充電に伴うシリコン/無定形炭素複合粒子の体積膨張によって炭素繊維の絡み合い構造が膨張したままになるため、シリコン/無定形炭素複合粒子と炭素繊維との導電パスが失われてしまい、サイクル特性が劣化すると考えられる。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、サイクル特性に優れたリチウムイオン電池用負極及びこれを用いたリチウムイオン電池を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、負極活物質粒子と導電助剤とを含む非結着体からなる負極活物質層が負極集電体上に形成されてなるリチウムイオン電池用負極であって、上記負極活物質粒子は、珪素及び/又は珪素化合物粒子を含み、上記導電助剤は、JIS Z8827−1:2008に準拠した方法により得られる導電助剤の投影像における単位粒子の最大フェレー径の平均値が上記負極活物質粒子の体積平均粒子径の0.001〜0.1倍である導電性炭素フィラーであり、上記負極活物質層に含まれる上記導電助剤の割合が、上記負極活物質粒子と上記導電助剤との合計重量に基づいて5〜25重量%であることを特徴とするリチウムイオン電池用負極;これを備えたリチウムイオン電池に関する。
本発明のリチウムイオン電池用負極は、サイクル特性に優れる。
図1は、本発明のリチウムイオン電池用負極の一例を模式的に示す断面図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、本明細書において、リチウムイオン電池と記載する場合、リチウムイオン二次電池も含む概念とする。
本発明のリチウムイオン電池用負極は、負極活物質粒子と導電助剤とを含む非結着体からなる負極活物質層が負極集電体上に形成されてなるリチウムイオン電池用負極であって、上記負極活物質粒子は、珪素及び/又は珪素化合物粒子を含み、上記導電助剤は、JIS Z8827−1:2008に準拠した方法により得られる導電助剤の投影像における単位粒子の最大フェレー径の平均値が上記負極活物質粒子の体積平均粒子径の0.001〜0.1倍である導電性炭素フィラーであり、上記負極活物質層に含まれる上記導電助剤の割合が、上記負極活物質粒子と上記導電助剤との合計重量に基づいて5〜25重量%であることを特徴とする。
[負極活物質層]
本発明のリチウムイオン電池用負極では、負極活物質層が負極活物質粒子と導電助剤とを含む非結着体からなり、導電助剤が、JIS Z8827−1:2008に準拠した方法により得られる導電助剤の投影像における単位粒子の最大フェレー径の平均値(以下、平均最大フェレー径ともいう)が上記負極活物質粒子の体積平均粒子径の0.001〜0.1倍である導電性炭素フィラーであり、負極活物質層に含まれる導電助剤の割合が、上記負極活物質粒子と上記導電助剤との合計重量に基づいて5〜25重量%である。
導電助剤が、単位粒子の平均最大フェレー径が上記負極活物質粒子の体積平均粒子径の0.001〜0.1倍である導電性炭素フィラーであり、その含有量が上記負極活物質粒子と上記導電助剤との合計重量に基づいて5〜25重量%であると、負極活物質層中で導電性炭素フィラー同士が弱く凝集しながら分散し、負極活物質粒子の周りにランダムな網目様構造を形成することができる。このような導電性炭素フィラーによる網目様構造は、網目様構造で囲まれた負極活物質粒子へのリチウムイオンの挿入脱離反応で生じた電子を集電体に伝達するための導電パスとなる。
本発明における負極活物質層は負極活物質粒子と導電助剤とを含む非結着体からなるため、導電性炭素フィラーは負極活物質層中でその位置を固定されておらず、負極活物質層中をある程度自由に移動することができる。そのため、充放電によって負極活物質層が膨張・収縮を繰り返したとしても、導電性炭素フィラーによる網目様構造は常に再構成されてその構造が失われることはない。従って、負極活物質層の体積変化が起こっても負極活物質粒子間の導電パスが維持されるため、サイクル特性に優れる。
導電助剤を構成する単位粒子の平均最大フェレー径が上記負極活物質粒子の体積平均粒子径の0.001〜0.1倍である導電性炭素フィラーは、上記の網目様構造の構成及び再構成が容易であり、サイクル特性が良好になるだけでなく、比表面積が大きいため、他の導電性炭素フィラーや負極活物質粒子との接点を形成しやすい。また、網目様構造の再構成が容易であるため、負極活物質層の電気抵抗値を低くすることができる。
なお、導電助剤を構成する単位粒子の平均最大フェレー径が負極活物質粒子の体積平均粒子径の0.001倍未満であると、導電助剤を構成する単位粒子の平均最大フェレー径が小さすぎるために導電助剤同士の凝集が強くなりすぎて網目様構造を充分に形成できなくなる。一方、導電助剤を構成する単位粒子の平均最大フェレー径が、負極活物質粒子の体積平均粒子径の0.1倍を超えると、網目様構造で囲むべき負極活物質粒子が小さすぎるために網目様構造と負極活物質粒子との接点の形成が充分にできない。すなわち、いずれの場合も負極活物質層として必要な電気抵抗値を得ることができない。
また、導電助剤が、単位粒子の平均最大フェレー径が負極活物質粒子の体積平均粒子径の0.001〜0.1倍である導電性炭素フィラーであり、導電助剤の含有量が上記負極活物質粒子と上記導電助剤との合計重量に基づいて5重量%未満であると、導電性炭素フィラーによる網目様構造を形成することができず、25重量%を超えると負極活物質層に含まれる負極活物質粒子の量が少なすぎるためにリチウムイオン電池として必要な放電容量を保つことができない。
導電助剤である導電性炭素フィラーとしては、単位粒子の平均最大フェレー径が負極活物質粒子の体積平均粒子径の0.001〜0.01倍であることが好ましい。導電助剤を構成する単位粒子の平均最大フェレー径が上記範囲にあると、導電パスの構成及び再構成がさらに容易となり、放電容量とサイクル特性が良好となる。
なお、本発明において単位粒子とは、その外見上の幾何学的形態から1個の粒子として把握できる粒子の最小単位を意味する。
単位粒子は、それぞれが独立して存在していてもよく、互いに凝集していてもよい。単位粒子が独立して存在する場合を非凝集粒子、単位粒子が凝集している場合を凝集粒子ともいう。また、凝集粒子を構成する単位粒子を一次粒子ともいう。
負極活物質粒子の形態が非凝集粒子であるか凝集粒子であるかは、負極活物質粒子を顕微鏡等により拡大観察することで確認することができる。
負極活物質粒子が凝集粒子を含む場合、凝集粒子の体積平均粒子径は、電気抵抗値を低くする観点から、上述した負極活物質粒子を構成する一次粒子の体積平均粒子径の200%以上であることが望ましい。また負極活物質粒子を構成する一次粒子の体積平均粒子径は、負極活物質層の表面平滑性を高める観点から、負極活物質層の厚さの50%以下であることが望ましい。
なお、負極活物質粒子として、組成、形態又はその両方が異なる2種以上の負極活物質粒子を併用する場合、導電助剤を構成する単位粒子の平均最大フェレー径は、少なくとも1種の負極活物質粒子の体積平均粒子径の0.001〜0.1倍であればよいが、すべての負極活物質粒子の体積平均粒子径の0.001〜0.1倍であることが好ましい。
例えば、凝集粒子と、該凝集粒子を構成する一次粒子(非凝集粒子)とを併用する場合は、2種の負極活物質粒子を併用していることになる。
また、導電助剤を構成する単位粒子の平均最大フェレー径は、負極活物質粒子の体積平均粒子径の0.001〜0.01倍であることがより好ましい。
本明細書において、負極活物質粒子の体積平均粒子径とは、負極活物質粒子それ自体の体積平均粒子径を意味する。
すなわち、負極活物質粒子は、非凝集粒子であってもよく、凝集粒子であってもよいが、負極活物質粒子として非凝集粒子を用いる場合、導電助剤を構成する単位粒子の最大平均フェレー径は、非凝集粒子の体積平均粒子径の0.001〜0.1倍である。
一方、負極活物質粒子として凝集粒子を用いる場合、導電助剤を構成する単位粒子の最大平均フェレー径は、凝集粒子を構成する一次粒子ではなく、凝集粒子の体積平均粒子径の0.001〜0.1倍である。
負極活物質層は、負極活物質粒子と導電助剤とを含む非結着体からなる。
負極活物質粒子と導電助剤とを含む非結着体とは、負極活物質粒子同士の間、負極活物質粒子と導電助剤との間、負極活物質粒子と負極集電体との間、及び、導電助剤と負極集電体との間が、いずれも公知の結着剤(電池用バインダともいう)によって結着していないものをいう。
公知の結着剤とは、電極活物質粒子同士及び電極活物質粒子と集電体とを結着固定するために用いられる公知の溶剤乾燥型のリチウムイオン電池用結着剤(デンプン、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、スチレン−ブタジエンゴム、ポリエチレン、ポリプロピレン及びスチレン−ブタジエン共重合体等)等であり、溶媒成分を揮発させること等により乾燥、固体化して電極活物質粒子同士及び電極活物質粒子と集電体とを強固に固定するものである。
導電助剤において、単位粒子の最大フェレー径は、JIS Z8827−1:2008 に準拠した方法で得られる粒子径であり、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)等の観察手段を用いて観察した導電助剤の一次元投影像(投影図ともいう)において、その外見上の幾何学的形態から粒子の最小単位として把握できる粒子(単位粒子)を挟む2本の平行線の間隔のうち、最大の間隔Lを意味する。なお、平均値の計算に用いる単位粒子の数は、許容誤差δを0.05とし、JIS Z8827−1:2008に従う。
負極活物質層に含まれる導電助剤の割合が負極活物質粒子と導電助剤との合計重量に基づいて5重量%未満であると、負極活物質層中において導電性炭素フィラーが網目様構造を充分に形成することができず、内部抵抗が増加してしまう。一方、負極活物質層に含まれる導電助剤の割合が上記負極活物質粒子と上記導電助剤との合計重量に基づいて25重量%を超える場合には、負極活物質層全体に占める負極活物質粒子の割合が少なくなりすぎて、エネルギー密度が低下してしまう。
本発明のリチウムイオン電池用負極の構成の例を、図1を用いて説明する。
図1は、本発明のリチウムイオン電池用負極の一例を模式的に示す断面図である。
図1に示すリチウムイオン電池用負極1は、負極集電体10上に負極活物質層20が形成されてなる。
負極活物質層20は、負極活物質粒子30及び導電助剤40を含む非結着体である。リチウムイオン電池用負極1では、負極活物質粒子30は、珪素粒子又は珪素化合物粒子31の表面の少なくとも一部が、被覆用樹脂33と任意成分である導電材35を含む被覆用樹脂組成物37により被覆された珪素系被覆活物質粒子39である。また、負極活物質層20が有する空隙が非水電解液50により満たされている。
また、導電助剤40は、単位粒子の平均最大フェレー径が負極活物質粒子30の体積平均粒子径の0.001〜0.1倍の導電性炭素フィラーである。
図1に示すリチウムイオン電池用負極1では、負極活物質層20における導電助剤40の含有量が5〜25重量%であるため、負極活物質層20中で導電助剤40同士が弱く凝集しながら分散し、ランダムな網目様構造を形成する。このような導電助剤40による網目様構造は導電パスとなる。負極活物質層20は、負極活物質粒子30と導電助剤40とを含む非結着体であるため、導電助剤40は負極活物質層20中でその位置を固定されておらず、負極活物質層20中をある程度自由に移動することができる。そのため、充放電によって負極活物質層20が膨脹・収縮を繰り返したとしても、導電助剤40による網目様構造は常に再構成されて失われることはない。従って、負極活物質層20の体積変化が起こっても負極活物質粒子30同士の導電パスが維持されるため、サイクル特性に優れると考えられる。
なお、負極活物質層20中において、導電助剤40が負極活物質粒子30とは別に存在しているのに対し、任意成分である導電材35は被覆用樹脂組成物37中に存在し、負極活物質粒子30と一体となって存在している点で異なり、導電助剤40と導電材35は区別される材料である。
[負極活物質粒子]
負極活物質粒子は、珪素及び/又は珪素化合物粒子を含む。
負極活物質粒子は、珪素及び/又は珪素化合物粒子の表面の少なくとも一部が被覆用樹脂からなる被覆用樹脂組成物により被覆された珪素系被覆活物質粒子であってもよい。
珪素及び/又は珪素化合物粒子の周囲が被覆用樹脂組成物により被覆されていると、珪素及び/又は珪素化合物粒子の体積膨脹によって負極が膨脹することを抑制できる。
珪素化合物粒子を構成する材料としては、酸化珪素(SiOx)、珪素−炭素複合体(炭素粒子の表面を珪素及び/又は炭化珪素で被覆したもの、珪素粒子又は酸化珪素粒子の表面を炭素及び/又は炭化珪素で被覆したもの並びに炭化珪素等)及び珪素合金(珪素−アルミニウム合金、珪素−リチウム合金、珪素−ニッケル合金、珪素−鉄合金、珪素−チタン合金、珪素−マンガン合金、珪素−銅合金及び珪素−スズ合金等)等]等が挙げられる。
これらの中では酸化珪素が望ましい。
珪素粒子としては、公知の二次電池負極用珪素粒子を用いることができる。
珪素化合物粒子としては、信越化学工業製KSC−1064[酸化珪素粒子の表面を炭素で被覆したもので、体積平均粒子径が5μm]等を市場から入手して用いてもよく、特開2001−220123号公報及び特開2001−226112号公報等に記載の公知の方法で合成した酸化珪素粒子を用いてもよい。
負極活物質層の形成に用いる負極活物質粒子の形態は、非凝集粒子であってもよく、凝集粒子であってもよい。負極活物質層の内部抵抗を低下させる観点から、負極活物質粒子が非凝集粒子である場合には、その体積平均粒子径が0.1〜10μmであることが望ましく、負極活物質粒子が凝集粒子である場合には、凝集粒子である負極活物質粒子を構成する一次粒子の体積平均粒子径が0.1〜10μmであることが望ましい。
負極活物質粒子は、被覆用樹脂組成物により表面が被覆されていない珪素及び/又は珪素化合物粒子が単位粒子単独で存在する状態(非凝集粒子)であってもよく、珪素系被覆活物質粒子が単位粒子単独で存在する状態(非凝集粒子)であってもよく、一次粒子である珪素及び/又は珪素化合物粒子が複数個凝集して得られる凝集粒子であってもよく、一次粒子である珪素系被覆活物質粒子が複数個凝集して得られる凝集粒子であってもよく、被覆用樹脂組成物により表面が被覆されていない珪素及び/又は珪素化合物粒子の一次粒子が凝集して得られる凝集粒子の表面の少なくとも一部が被覆用樹脂組成物により被覆された被覆凝集粒子であってもよい。
すなわち、珪素及び/又は珪素化合物粒子が非凝集粒子である場合には、その体積平均粒子径が0.1〜10μmであることが望ましく、珪素及び/又は珪素化合物粒子が凝集粒子である場合には、珪素及び/又は珪素化合物粒子である凝集粒子を構成する一次粒子の体積平均粒子径が0.1〜10μmであることが望ましい。
なお、負極活物質粒子を構成する単位粒子の体積平均粒子径は、マイクロトラック法により測定することができるが、負極活物質粒子が凝集粒子である場合、そのままでは凝集粒子を構成する一次粒子の体積平均粒子径を測定することができないため、以下の方法を採用する。
凝集粒子を構成する一次粒子の体積平均粒子径は、凝集粒子を造粒する際に用いる凝集粒子造粒用結着樹脂が溶解する溶媒中に凝集粒子を分散させて凝集粒子から一次粒子を分離した後、マイクロトラック法により測定する方法、及び、公知の分散機(高速ディスパー、ビーズミル、ボールミル等)を用いて凝集粒子を解凝集して一次粒子を得た後、マイクロトラック法により測定する方法により確認することができる。
また、負極活物質粒子が珪素系被覆活物質粒子の非凝集粒子である場合、上記体積平均粒子径には、珪素及び/又は珪素化合物粒子の体積だけでなく珪素系被覆活物質を構成する被覆樹脂組成物の体積が含まれている。
被覆用樹脂としては、特開2017−054703号公報に非水系二次電池活物質被覆用樹脂として記載されたものを好適に用いることができる。
珪素系被覆活物質粒子を構成する被覆用樹脂組成物は、さらに導電材を含んでいてもよい。ただし、負極活物質層を構成する導電助剤と、被覆用樹脂組成物を構成する導電材とは明確に異なるものである。導電材は被覆用樹脂組成物中に含まれているので、珪素系被覆活物質粒子間の導電パスの形成に寄与しない。
なお、リチウムイオン電池用負極に導電助剤と導電材とが含まれる場合、被覆用樹脂が溶解しない溶媒に負極活物質層を分散させると導電助剤のみが溶媒に抽出されるので、被覆用樹脂組成物に残る導電材と導電助剤とを分離することができる。
導電材は、導電性を有する材料から選択される。
具体的には、金属[ニッケル、アルミニウム、ステンレス(SUS)、銀、銅、ニッケル及びチタン等]、カーボン[グラファイト及びカーボンブラック(アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルランプブラック等)等]、及びこれらの混合物等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
これらの導電材は1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。また、これらの合金又は金属酸化物を用いてもよい。電気的安定性の観点から、好ましくは銅、ニッケル及びカーボンであり、より好ましくはカーボンである。またこれらの導電材としては、非導電性粒子(セラミック材料や樹脂材料からなる粒子)の周りに導電性材料(上記した導電材の材料のうち金属のもの)をめっき等でコーティングしたものでもよい。
導電材の体積平均粒子径は、特に限定されるものではないが、電池の電気特性の観点から、0.01〜10μmであることが好ましく、0.02〜5μmであることがより好ましく、0.03〜1μmであることがさらに好ましい。
導電材の体積平均粒子径は、マイクロトラック法により測定することができる。
導電材の形状(形態)は、粒子形態に限られず、粒子形態以外の形態であってもよく、カーボンナノフィラー、カーボンナノチューブ等、いわゆるフィラー系導電性樹脂組成物として実用化されている形態であってもよい。
導電材は、その形状が繊維状である導電性繊維であってもよい。
導電性繊維としては、PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維等の炭素繊維、合成樹脂の中に導電性のよい金属や黒鉛を均一に分散させてなる導電性繊維、ステンレス鋼のような金属を繊維化した金属繊維、有機繊維(植物繊維、動物繊維及び合成繊維等)の表面を金属で被覆した導電性繊維、有機繊維の表面を導電性物質を含む樹脂で被覆した導電性繊維等が挙げられる。これらの導電性繊維の中では炭素繊維が好ましい。また、グラフェンを練りこんだポリプロピレン樹脂も好ましい。
導電材が導電性繊維である場合、その平均繊維径は0.1〜20μmであることが好ましい。
珪素系被覆活物質粒子は、特開2017−054703号公報等に記載された公知の方法で珪素及び/又は珪素化合物粒子の周囲を被覆用樹脂組成物により被覆することができ、例えば、被覆用樹脂及び必要により用いる導電材を含む被覆用樹脂組成物と珪素及び/又は珪素化合物粒子を混合することによって製造することができる。被覆用樹脂組成物が導電材を含む場合には、例えば、被覆用樹脂及び導電材と、珪素及び/又は珪素化合物粒子を混合することによって製造してもよく、被覆用樹脂と導電材とを混合して被覆材を準備したのち、該被覆材と珪素及び/又は珪素化合物粒子とを混合することにより製造してもよい。
上記方法により、被覆用樹脂からなる被覆用樹脂組成物によって珪素及び/又は珪素化合物粒子の表面の少なくとも一部が被覆される。
[導電助剤]
導電助剤は、投影像における単位粒子の平均最大フェレー径が、負極活物質粒子の体積平均粒子径の0.001〜0.1倍の導電性炭素フィラーである。
導電性炭素フィラーとしては、具体的には、カーボン[グラファイト及びカーボンブラック(アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルランプブラック等)等]及びこれらの混合物等が挙げられる。
これらの導電助剤は1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
導電助剤が、上記の条件を満たす導電性炭素フィラーであると、導電助剤によって形成される網目様構造の構造単位(網目)と負極活物質粒子との接触が多く得られるため、良好な導電パスが形成される。
負極活物質層に含まれる導電助剤の割合は、負極活物質粒子と導電助剤との合計重量に基づいて5〜25重量%であり、耐久性等の観点から7〜15重量%であることが好ましい。
導電助剤の上記割合が5重量%未満であると、導電パスとなる網目様構造を負極活物質層内に充分に形成することができない。一方、導電助剤の上記割合が25重量%を超えると、負極活物質層に占める導電助剤の量が多すぎて、負極活物質層の形状維持が困難となるだけでなく、負極活物質層に含まれる負極活物質粒子の割合が低下するため高いエネルギー密度を得ることが困難となる。
導電助剤の投影像における単位粒子の最小フェレー径の平均値に対する単位粒子の最大フェレー径の平均値の比率(以下、アスペクト比ともいう)は、1〜50であることが望ましい。
導電助剤のアスペクト比が50を超える場合、導電助剤同士の絡み合いが発生して、導電助剤による網目様構造の再構成が行われにくくなることがある。
すなわち、導電性炭素フィラーのうち、カーボンブラック(アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルランプブラック等)の単位粒子が球状に近いものが好ましい。これらのカーボンブラックは、原料油又はガスを、空気中で燃焼又は熱分解して炭素を析出させて粒子化するため、その単位粒子形状は球に近く、アスペクト比は1〜50の範囲に含まれる。
なお、単位粒子の最小フェレー径は、最大フェレー径と同様の方法で得られる投影像を用い、その外見上の幾何学的形態から単位粒子として把握できる粒子を挟む2本の平行線の間隔のうち、最小の間隔L’を測定し、最大フェレー径と同様に平均することで得られる。
導電助剤の比表面積は、25〜1500m/gであることが望ましい。
導電助剤の比表面積が25m/g未満であると、導電助剤が網目様構造を形成したとしても、充分な導電性が得られないことがある。一方、導電助剤の比表面積が1500m/gを超える場合、導電助剤同士が凝集しやすくなって網目様構造を形成することが困難となる場合がある。
なお、比表面積は窒素ガスを用いてJIS Z8830:2013に記載の方法で得られる値である。
好ましい導電助剤としては、アセチレンブラック[デンカ(株)製デンカブラック(比表面積:76m/g)、デンカブラックLi−400(比表面積:39m/g)等]、ケッチェンブラック[ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製EC600D(比表面積:1270m/g)、ECC300J(比表面積:800m/g)等]及びカーボンブラック[キャボットコーポレーション製バルカンXC−72(比表面積:214m/g)等]等が挙げられる。
これらの好ましい導電助剤は、微細な単位粒子(好ましい数平均粒子径は10〜50nm)が凝集結合してストラクチャと呼ばれる凝集構造を形成していることが知られている。これらの好ましい導電助剤を用いる場合、導電助剤の単位粒子とは、ストラクチャを構成する一次粒子を意味する。
負極活物質粒子は、珪素及び/又は珪素系化合物粒子の他に、炭素系負極活物質粒子を含んでいてもよく、炭素系負極活物質粒子は、その表面の少なくとも一部が被覆用樹脂組成物により被覆された炭素系被覆活物質粒子であってもよい。
[炭素系負極活物質粒子]
炭素系負極活物質粒子としては、炭素系材料[例えば黒鉛、難黒鉛化性炭素(ハードカーボンともいう)、アモルファス炭素、樹脂焼成体(例えばフェノール樹脂及びフラン樹脂等を焼成し炭素化したもの等)、コークス類(例えばピッチコークス、ニードルコークス及び石油コークス等)、導電性高分子(例えばポリアセチレン及びポリピロール等)]等が挙げられる。
なお、炭素系負極活物質粒子のうち上記の炭素系材料はリチウムイオンの挿入・脱離反応が可能な材料であり、リチウムイオンの挿入・脱離反応ができない導電助剤とは区別される。
本発明において、負極活物質粒子として炭素系負極活物質粒子を含む場合、導電助剤の平均最大フェレー径は、炭素系負極活物質粒子の体積平均粒子径の0.001〜0.1倍であり、炭素系負極活物質粒子の体積平均粒子径は、0.1〜10μmであることが望ましい。
炭素系負極活物質粒子は、非凝集粒子であっても凝集粒子であってもよい。
炭素系負極活物質粒子が非凝集粒子である場合には、その体積平均粒子径が0.1〜10μmであることが望ましく、炭素系負極活物質粒子が凝集粒子である場合には、炭素系負極活物質粒子である凝集粒子を構成する一次粒子の体積平均粒子径が0.1〜10μmであることが望ましい。
また、炭素系負極活物質粒子は、その表面の少なくとも一部が被覆用樹脂及び必要により導電材を含む被覆用樹脂組成物によって被覆された炭素系被覆活物質粒子であってもよい。
炭素系被覆活物質粒子を構成する被覆用樹脂及び必要により用いられる導電材としては、珪素系被覆活物質粒子を構成する被覆用樹脂及び導電材と同様のものを好適に用いることができ、炭素系被覆活物質粒子を得る方法としては、上記珪素系被覆活物質粒子を得る方法と同様の方法を好適に用いることができる。
炭素系被覆活物質粒子の体積平均粒子径は、珪素系被覆活物質粒子の体積平均粒子径と同様に、マイクロトラック法で測定することができる。
負極活物質粒子が、珪素及び/又は珪素系化合物粒子の他に、炭素系負極活物質粒子を含んでいる場合において、珪素及び/又は珪素系化合物粒子と炭素系負極活物質粒子との合計重量に基づく珪素及び/又は珪素系化合物粒子の重量の割合は特に限定されないが、高いエネルギー密度とサイクル特性とを両立させる観点から、2〜50重量%であることが望ましい。
なお、凝集粒子を構成する凝集粒子造粒用結着樹脂は、凝集粒子同士を結着していない。従って、負極活物質粒子として凝集粒子を用いた場合であっても、凝集粒子同士は負極活物質層中でその位置を固定されないため、負極活物質層は負極活物質粒子と導電助剤とを含む非結着体である。
[凝集粒子造粒用結着樹脂]
本発明のリチウムイオン電池用負極において、凝集粒子造粒用結着樹脂は、凝集粒子を構成する一次粒子同士を結着している。
凝集粒子造粒用結着樹脂を構成する樹脂としては、(メタ)アクリル酸(共)重合体、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等が好ましく、これら2種以上を併用してもよく、2種以上の(メタ)アクリル酸(共)重合体を併用してもよい。
凝集粒子造粒用結着樹脂が(メタ)アクリル酸(共)重合体であると、凝集粒子の機械的強度に優れるため好ましい。
なお本明細書において、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を示しており、(共)重合体とは、重合体又は共重合体を示している。
(メタ)アクリル酸(共)重合体は、アクリル酸及び/又はメタクリル酸とその他の単量体の共重合体であってもよい。その他の単量体としては、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル及びメタクリル酸2−ヒドロキシエチル等が挙げられる。
アクリル酸及びメタクリル酸並びに他の単量体の合計重量に対するアクリル酸及びメタクリル酸の合計重量の割合は、結着強度等の観点から70〜100重量%であることが好ましい。
凝集粒子造粒用結着樹脂として(メタ)アクリル酸(共)重合体を用いる場合、上記の単量体を公知の方法で重合して得られたものを用いてもよく、市場から入手可能な(メタ)アクリル酸(共)重合体を用いてもよい。
市場から入手可能な(メタ)アクリル酸(共)重合体としては、東亜合成(株)製のポリアクリル酸等の他に和光純薬工業(株)製の試薬等を用いることができる。
なお、使用できる(メタ)アクリル酸(共)重合体としては、結着剤として販売されているものだけでなく、分散剤として販売しているものも同じように用いることができる。
凝集粒子造粒用結着樹脂としては、酸価が500〜800である(メタ)アクリル酸(共)重合体であることが望ましい。
酸価が上記範囲にある(メタ)アクリル酸(共)重合体を凝集粒子造粒用結着樹脂として用いると、負極活物質粒子及び導電助剤に対する密着性が良好であり、体積変化時に凝集体から負極活物質粒子が欠落することを抑制できる。
凝集粒子を構成する凝集粒子造粒用結着樹脂には、必要に応じて導電材が添加されていてもよい。凝集粒子造粒用結着樹脂に導電材を添加することで、凝集粒子内における一次粒子間の導電性が良好となる。
導電材としては、上記被覆用樹脂組成物で説明した導電材と同様のものを好適に用いることができる。
凝集粒子は、例えば、一次粒子である負極活物質粒子と凝集粒子造粒用結着樹脂と必要により用いる導電材とを公知の撹拌造粒機で造粒することで得ることができる。
珪素系被覆活物質粒子の一次粒子が複数個凝集した凝集粒子を得たい場合、非凝集粒子である珪素系被覆活物質粒子(一次粒子)と凝集粒子造粒用結着樹脂に加えて必要に応じて導電材を用いればよい。また、珪素及び/又は珪素化合物粒子の一次粒子が凝集してなる凝集粒子を得たい場合には、非凝集粒子である珪素及び/又は珪素化合物粒子(一次粒子)と凝集粒子造粒用結着樹脂に加えて必要に応じて導電材を用いればよい。
なお、凝集粒子の表面の少なくとも一部が被覆用樹脂組成物で被覆された被覆凝集粒子を得たい場合には、上述した珪素系被覆活物質粒子を得る方法と同様の方法により、凝集粒子と被覆用樹脂組成物とを混合すればよい。
[負極集電体]
本発明のリチウムイオン電池用負極において、負極集電体を構成する材料は特に限定されないが、公知の金属集電体及び導電材料と樹脂とから構成されてなる樹脂集電体(特開2012−150905号公報等に記載されている)等を好適に用いることができる。
金属集電体としては、例えば、銅、アルミニウム、チタン、ニッケル、タンタル、ニオブ、ハフニウム、ジルコニウム、亜鉛、タングステン、ビスマス、アンチモン及びこれらの金属を1種以上含む合金、並びに、ステンレス合金からなる群から選択される1種以上の金属材料が挙げられる。これらの金属材料は薄板や金属箔等の形態で用いてもよい。また、上記金属材料以外で構成される基材表面にスパッタリング、電着、塗布等の方法により上記金属材料を形成したものを金属集電体として用いてもよい。
樹脂集電体を構成する導電材料は、上述した導電材と同様のものを好適に用いることができる。
樹脂集電体を構成する樹脂としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン(PMP)、ポリシクロオレフィン(PCO)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメチルアクリレート(PMA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂又はこれらの混合物等が挙げられる。
電気的安定性の観点から、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン(PMP)及びポリシクロオレフィン(PCO)が好ましく、さらに好ましくはポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)及びポリメチルペンテン(PMP)である。
本発明のリチウムイオン電池用負極において、負極活物質層は、負極活物質層が有する空隙が電解液で満たされていてもよく、満たされていなくてもよい。
空隙が電解液で満たされていない場合、本発明のリチウムイオン電池用負極を、セパレータを介して対極となる正極と積層して積層体を得た後、又は、該積層体を電池外装体に収容した後に、電解液を注液して空隙を電解液で満たし、正極集電体及び負極集電体の間に配置することによって、リチウムイオン電池として機能する。
[非水電解液]
非水電解液としては、リチウムイオン電池の製造に用いられる、電解質及び非水溶媒を含有する非水電解液を使用することができる。
電解質としては、公知の非水電解液に用いられているもの等が使用でき、好ましいものとしては、例えば、LiPF、LiBF、LiSbF、LiAsF及びLiClO等の無機酸のリチウム塩系電解質、LiN(FSO、LiN(CFSO及びLiN(CSO等のフッ素原子を有するスルホニルイミド系電解質、LiC(CFSO等のフッ素原子を有するスルホニルメチド系電解質等が挙げられる。これらの内、高濃度時のイオン伝導性及び熱分解温度の観点から好ましいのはフッ素原子を有するスルホニルイミド系電解質であり、LiN(FSOがより好ましい。LiN(FSOは、他の電解質と併用してもよいが、単独で使用することがより好ましい。
非水電解液の電解質濃度は、特に限定されないが、非水電解液の取り扱い性及び電池容量等の観点から1〜5mol/Lであることが好ましく、1.5〜4mol/Lであることがより好ましく、2〜3mol/Lであることがさらに好ましい。
非水溶媒としては、公知の非水電解液に用いられているもの等が使用でき、例えば、ラクトン化合物、環状又は鎖状炭酸エステル、鎖状カルボン酸エステル、環状又は鎖状エーテル、リン酸エステル、ニトリル化合物、アミド化合物、スルホン等及びこれらの混合物を用いることができる。
ラクトン化合物としては、5員環(γ−ブチロラクトン及びγ−バレロラクトン等)及び6員環のラクトン化合物(δ−バレロラクトン等)等を挙げることができる。
環状炭酸エステルとしては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート及びブチレンカーボネート等が挙げられる。
鎖状炭酸エステルとしては、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチル−n−プロピルカーボネート、エチル−n−プロピルカーボネート及びジ−n−プロピルカーボネート等が挙げられる。
鎖状カルボン酸エステルとしては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル及びプロピオン酸メチル等が挙げられる。
環状エーテルとしては、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3−ジオキソラン及び1,4−ジオキサン等が挙げられる。
鎖状エーテルとしては、ジメトキシメタン及び1,2−ジメトキシエタン等が挙げられる。
リン酸エステルとしては、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸エチルジメチル、リン酸ジエチルメチル、リン酸トリプロピル、リン酸トリブチル、リン酸トリ(トリフルオロメチル)、リン酸トリ(トリクロロメチル)、リン酸トリ(トリフルオロエチル)、リン酸トリ(トリパーフルオロエチル)、2−エトキシ−1,3,2−ジオキサホスホラン−2−オン、2−トリフルオロエトキシ−1,3,2−ジオキサホスホラン−2−オン及び2−メトキシエトキシ−1,3,2−ジオキサホスホラン−2−オン等が挙げられる。
ニトリル化合物としては、アセトニトリル等が挙げられる。
アミド化合物としては、N,N−ジメチルホルムアミド(以下、DMFと記載する)等が挙げられる。
スルホンとしては、ジメチルスルホン及びジエチルスルホン等の鎖状スルホン及びスルホラン等の環状スルホン等が挙げられる。
非水溶媒は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
非水溶媒の内、電池出力及び充放電サイクル特性の観点から好ましいのは、ラクトン化合物、環状炭酸エステル、鎖状炭酸エステル及びリン酸エステルであり、ニトリル化合物を含まないことが好ましい。更に好ましいのはラクトン化合物、環状炭酸エステル及び鎖状炭酸エステルであり、特に好ましいのは環状炭酸エステルと鎖状炭酸エステルの混合液である。最も好ましいのはエチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)の混合液、又は、エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)の混合液である。
[リチウムイオン電池用負極の製造方法]
続いて、本発明のリチウムイオン電池用負極を製造する方法について説明する。
本発明のリチウムイオン電池用負極は、例えば、珪素及び/又は珪素化合物粒子と導電助剤を含む負極活物質層作製用組成物を、所望の形状に直接成形する方法や、基板上に付与して成形する方法等によって製造することができる。
負極活物質層作製用組成物は、珪素及び/又は珪素化合物粒子、導電助剤並びに分散媒を混合したスラリーであってもよく、スラリーよりも流動性の低い状態(例えばファニキュラー状態やペンデュラー状態とも呼ばれるおからのような半固体状)であってもよい。
負極活物質層作製用組成物を基板上に付与する方法の場合、例えば、該負極活物質層作製用組成物は、珪素及び/又は珪素化合物粒子並びに導電助剤の他に分散媒を含んだ分散液(スラリーともいう)を用いる方法が挙げられる。
分散液を用いる場合、例えば、珪素及び/又は珪素化合物粒子と導電助剤の合計濃度が30〜60重量%となるように、水又は溶媒(好ましくは非水電解液又は非水電解液に用いる非水溶媒等)と珪素及び/又は珪素化合物粒子並びに導電助剤を混合した分散液を、負極集電体にバーコーター等の塗工装置で塗布した後、必要に応じて乾燥して水又は溶媒を除去する方法が挙げられる。上記乾燥の後、負極活物質層を必要によりプレス機でプレスしてもよい。
なお、上記分散液を用いて負極活物質層を得る場合、負極集電体上に負極活物質層を直接形成する方法だけでなく、例えば、他の基材(例えば、紙、アラミドセパレータ等)の表面に上記分散液を塗布して基材上に負極活物質層を形成した後、該基材を取り除く方法を用いることもできる。
また、上記分散液を塗布した後に必要により行う乾燥は、順風式乾燥機等の公知の乾燥機を用いて行うことができ、その乾燥温度は分散液に含まれる分散媒(水又は溶媒)の種類に応じて調整することができる。
上記分散液には、公知のリチウムイオン電池に含まれるポリフッ化ビニリデン(PVdF)等のバインダを添加しない。上記分散液に公知のリチウムイオン電池用の負極に含まれるバインダを添加してしまうと、負極活物質層中で導電助剤同士が互いに結着されてしまい、負極活物質層の体積変化に応じて網目様構造の再構成が行われなくなるためである。
従来のリチウムイオン電池用の負極においては、バインダで負極活物質粒子を負極内に固定することで導電経路を維持する必要がある。しかし、本発明の場合は、導電助剤が負極活物質層中で網目様構造を形成することによって導電経路を維持することができるため、バインダを添加する必要がない。さらに、負極活物質粒子が珪素系被覆活物質粒子である場合には、バインダを添加しないことによって珪素系被覆活物質が負極内に固定化されないため、珪素系被覆活物質自身が負極活物質層中を移動することによって電極の体積変化を緩和することができる。
なお、公知のリチウムイオン電池用バインダとしてはデンプン、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、スチレン−ブタジエンゴム、ポリエチレン及びポリプロピレン等が挙げられるが、上述したように、これらのリチウムイオン電池用バインダは上記分散液に使用しない。
乾燥させたスラリーをプレスする場合、その圧力は特に限定されないが、圧力が高すぎると負極活物質層に充分な量の空隙を形成することができず、圧力が低すぎると、プレスによる効果がみられないことから、1〜200MPaでプレスすることが好ましい。
なお、負極活物質層作製用組成物を所望の形状に直接成形する方法としては、例えば、珪素及び/又は珪素化合物粒子並びに導電助剤に、非水電解液を添加した混合物(液状であってもよく、おからのような半固体状であってもよい)を所望の形状となるように押出成形する方法や、所定の領域に充填して圧縮する方法等が挙げられる。
[リチウムイオン電池]
本発明のリチウムイオン電池は、本発明のリチウムイオン電池用負極を備えることを特徴とし、例えば、以下に示す方法で得られる。
[リチウムイオン電池の製造方法]
本発明のリチウムイオン電池は、例えば、本発明のリチウムイオン電池用負極と対極となる電極とを組み合わせて、セパレータと共にセル容器に収容し、非水電解液を注入し、セル容器を密封する方法等により製造することができる。
また、負極集電体の一方の面だけに負極活物質層を形成した本発明のリチウムイオン電池用負極の、負極集電体の他方の面に正極活物質からなる正極活物質層を形成して双極型電極を作製し、双極型電極をセパレータと積層してセル容器に収容し、非水電解液を注入し、セル容器を密閉することでも得られる。
セパレータとしては、ポリエチレン又はポリプロピレン製の微多孔フィルム、多孔性ポリエチレンフィルムと多孔性ポリプロピレンとの積層フィルム、合成繊維(ポリエステル繊維及びアラミド繊維等)又はガラス繊維等からなる不織布、及びそれらの表面にシリカ、アルミナ、チタニア等のセラミック微粒子を付着させたもの等の公知のリチウムイオン電池用のセパレータが挙げられる。
非水電解液としては、本発明のリチウムイオン電池用負極において説明したものを好適に用いることができる。
上記のリチウムイオン電池用負極の対極となる電極(正極)は、公知のリチウムイオン電池に用いられる正極を用いることができる。
本発明のリチウムイオン電池は、本発明のリチウムイオン電池用負極を備えることを特徴とする。本発明のリチウムイオン電池は、本発明のリチウムイオン電池用負極を備えているため、サイクル特性に優れる。
珪素及び/又は珪素化合物粒子、被覆用樹脂、導電材としては、本発明のリチウムイオン電池用負極において説明したものを好適に用いることができる。
次に本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明の主旨を逸脱しない限り本発明は実施例に限定されるものではない。なお、特記しない限り部は重量部、%は重量%を意味する。また本実施例において、珪素及び/又は珪素化合物粒子を珪素系負極活物質粒子と記載する。
[樹脂集電体の作製]
2軸押出機にて、ポリプロピレン[商品名「サンアロマーPL500A」、サンアロマー(株)製]70部、カーボンナノチューブ[商品名:「FloTube9000」、CNano社製]25部及び分散剤[商品名「ユーメックス1001」、三洋化成工業(株)製]5部を200℃、200rpmの条件で溶融混練して樹脂混合物を得た。
得られた樹脂混合物を、Tダイ押出しフィルム成形機に通して、それを延伸圧延することで、膜厚100μmの樹脂集電体用導電性フィルムを得た。次いで、得られた樹脂集電体用導電性フィルムを3cm×3cmに切断し、片面にニッケル蒸着を施した後、電流取り出し用の端子(5mm×3cm)を接続した樹脂集電体を得た。
[珪素系負極活物質粒子の作製]
酸化珪素粒子(信越化学(株)製、体積平均粒子径5μmである非凝集粒子)を横型加熱炉中に入れ、横型加熱炉内にメタンガスを通気しながら1100℃/1000Pa、平均滞留時間約2時間の化学蒸着操作を行い、炭素含有量が2重量%で、表面が炭素で被覆された珪素系負極活物質粒子(N−1)を得た。得られた珪素系負極活物質粒子(N−1)は非凝集粒子であった。
[被覆用樹脂溶液の作製]
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロート及び窒素ガス導入管を付した4つ口フラスコにDMF407.9部を仕込み75℃に昇温した。次いで、メタクリル酸242.8部、メチルメタクリレート97.1部、2−エチルヘキシルメタクリレート242.8部及びDMF116.5部を配合したモノマー配合液と、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1.7部及び2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)4.7部をDMF58.3部に溶解した開始剤溶液とを4つ口フラスコ内に窒素を吹き込みながら、撹拌下、滴下ロートで2時間かけて連続的に滴下してラジカル重合を行った。滴下終了後、75℃で反応を3時間継続した。次いで80℃に昇温し反応を3時間継続し樹脂固形分濃度50重量%の共重合体溶液を得た。これにDMFを789.8部加えて、樹脂固形分濃度30重量%である被覆用樹脂溶液を得た。
[珪素系被覆活物質粒子の作製]
珪素系負極活物質粒子(N−1)68.2部を万能混合機ハイスピードミキサーFS25[(株)アーステクニカ製]に入れ、室温、720rpmで撹拌した状態で、上記被覆用樹脂溶液33.3部を2分かけて滴下し、さらに5分撹拌した。その後、撹拌を維持したまま0.01MPaまで減圧し、次いで撹拌と減圧度を維持したまま温度を140℃まで昇温し、撹拌、減圧度及び温度を8時間維持して揮発分を留去し、珪素系被覆活物質粒子(体積平均粒子径6μm)(N−2)を得た。得られた珪素系被覆活物質粒子(N−2)は非凝集粒子であった。
[凝集粒子の作製]
上記の珪素系被覆活物質粒子(N−2)60部と凝集粒子造粒用結着樹脂であるポリアクリル酸[和光純薬工業(株)製 PHA(非架橋タイプ)、酸価:780](下記の表1中ではPAAと表記)の水溶液(固形分25重量%)80部と、導電材であるアセチレンブラック[デンカ(株)製 デンカブラックLi−400](下記の表1中ではABと表記)20部を二軸撹拌式造粒機(アキラ機工(株)製バランスグラン)を用いて2000rpmで10分間撹拌し、続いて100℃に設定した減圧乾燥機内で3時間加熱することで溶媒である水を除去した。
得られた混合物をふるい分けにより分級し、235メッシュ(目開き63μm)を通過し、635メッシュ(目開き20μm)のふるい上に残ったものを凝集粒子(N−3)として得た。
得られた凝集粒子(N−3)の体積平均粒子径をマイクロトラック法で測定したところ、25μmであった。
また、得られた混合物を分級しないものを凝集粒子(N−4)として得た。
得られた凝集粒子(N−4)の体積平均粒子径をマイクロトラック法で測定したところ、62μmであった。
[炭素繊維の作製]
炭素繊維(VGCF2)[昭和電工(株)製 VGCF−H 平均繊維長(平均最大フェレー径に相当)が10μmで平均繊維径(平均最小フェレー径に相当)が150nmのカーボンナノファイバ(形状から求めるアスペクト比は66.7)比表面積:13m/g]をプロピレンカーボネートに5重量%になるよう分散させて、超音波粉砕機[アズワン(株)製 ASU−20M]を用いて、40kHzで5分間超音波解砕した。その後、3分間静置して浮遊成分を分取した。分取した炭素繊維に対して、上記解砕及び分取によって炭素繊維を得る工程をさらに2回行い、炭素繊維(VGCF1)を得た。
得られた炭素繊維(VGCF1)は、平均繊維長(平均最大フェレー径に相当)が3μmで平均繊維径(平均最小フェレー径に相当)が150nmのカーボンナノファイバ(形状から求めるアスペクト比は20)比表面積:26m/gであった。
<実施例1>
[負極活物質スラリーの作製]
エチレンカーボネート(EC)とプロピレンカーボネート(PC)の混合溶媒(体積比率1:1)にLiPFを1mol/Lの割合で溶解させて作製した非水電解液150部に上記珪素系被覆活物質粒子(N−2)88部、導電助剤であるアセチレンブラック[デンカ(株)製 デンカブラック Li−400 アスペクト比:1、平均最大フェレー径:0.048μm、比表面積:39m/g](下記の表1中ではABと表記)12部を添加した後、遊星撹拌型混合混練装置{あわとり練太郎[(株)シンキー製]}を用いて1000rpmで5分間混合して、負極活物質スラリーを作製した。
[負極活物質層の作製]
得られた負極活物質スラリーをφ15mmのマスクを装着したφ23mmのアラミド不織布(日本バイリーン製、2415R)上に目付量が30mg/cmとなるように塗工する。塗工したスラリー上部からアラミド不織布を配置し、油圧プレス機を用いて5MPaの圧力で約10秒プレスすることで負極活物質層を作製した。
接触式膜厚計で測定した負極活物質層の厚さは260μmであった。
[外装材の作製]
端子(5mm×3cm)付き銅箔(3cm×3cm、厚さ17μm)と端子(5mm×3cm)付きカーボンコートアルミ箔(3cm×3cm、厚さ21μm)を、同じ方向に2つの端子が出る向きで順に積層し、それを2枚の市販の熱融着型アルミラミネートフィルム(10cm×8cm)に挟み、端子の出ている1辺を熱融着し、電池外装材を作製した。
[試験用電池(ハーフセル)の作製]
外装材の銅箔上にアラミド不織布を剥がした負極活物質層を配置し、非水電解液を100μL添加した。セパレータ(5cm×5cm、厚さ23μm、セルガード2500 ポリプロピレン製)を負極活物質層上に配置し、非水電解液を100μL添加した。2.5cm×2.5cm、厚さ1mmのLi金属を、セパレータを介して負極活物質層に対向するように積層し、非水電解液を100μL添加した。その後、Li金属と外装材の銅箔とが重なるように外装材を被せた。外装材の外周のうち、先に熱融着した1辺に直交する2辺をヒートシールし、さらに真空シーラーを用いてセル内を真空にしながら残る開口部をヒートシールすることでラミネートセルを密封し、本発明のリチウムイオン電池用負極を有する実施例1に係る試験用電池(ハーフセル)1を得た。
<実施例2>
導電助剤をケッチェンブラック[ライオン(株)製 ケッチェンブラック EC300J アスペクト比:1、平均最大フェレー径:0.04μm、比表面積:800m/g](下記の表1中ではKBと表記)5部に変更し、固形分重量が合計100部となるように珪素系被覆活物質粒子(N−2)の添加量を変更した以外は、実施例1と同様の手順で実施例2に係る試験用電池(ハーフセル)2を得た。負極活物質スラリーの目付量は30mg/cmのままとし、得られた負極活物質層の厚さは250μmであった。
<実施例3>
負極活物質スラリーの作製において、珪素系被覆活物質粒子(N−2)を同重量の凝集粒子(N−3)に変更し、負極活物質スラリーの目付量を25mg/cmに変更した以外は、実施例1と同様の手順で実施例3に係る試験用電池(ハーフセル)3を得た。得られた負極活物質層の厚さは310μmであった。
<実施例4>
負極活物質スラリーの作製において、珪素系被覆活物質粒子(N−2)88部を凝集粒子(N−3)75部に変更し、アセチレンブラック12部を25部に変更し、負極活物質スラリーの目付量を25mg/cmに変更した以外は、実施例1と同様の手順で実施例4に係る試験用電池(ハーフセル)4を得た。得られた負極活物質層の厚さは250μmであった。
<実施例5>
負極活物質スラリーの作製において、凝集粒子(N−3)を10重量部、炭素系負極活物質粒子としてハードカーボン[(株)クレハ・バッテリー・マテリアルズ・ジャパン製、体積平均粒子径15μmの非凝集粒子](下記の表1中ではHCと表記)を75重量部、導電助剤としてアセチレンブラックを15重量部使用した以外は、実施例1と同様の手順で実施例5に係る試験用電池(ハーフセル)5を得た。負極活物質スラリーの目付量は20mg/cmとし、負極活物質層の厚さは310μmであった。
<実施例6>
負極活物質スラリーの作製において、凝集粒子(N−3)を同量の凝集粒子(N−4)に変更し、炭素系負極活物質としてのハードカーボンの添加量を75重量部から80重量部に変更し、導電助剤であるアセチレンブラック15重量部を炭素繊維(VGCF1)10部に変更したほかは、実施例5と同様の手順で実施例6に係る試験用電池(ハーフセル)6を得た。負極活物質スラリーの目付量は20mg/cmとし、負極活物質層の厚さは300μmであった。
<比較例1>
導電助剤を炭素繊維(VGCF2)15部に変更し、固形分重量が合計100部となるように珪素系被覆活物質粒子(N−2)の添加量を変更した以外は、実施例1と同様の手順で比較例1に係る比較試験用電池(ハーフセル)1を得た。
<比較例2>
負極活物質スラリーの作製において、導電助剤をアセチレンブラック3部に変更し、固形分重量が合計100重量部となるように珪素系被覆活物質粒子(N−2)の添加量を変更した以外は、実施例2と同様の手順で比較例2に係る比較試験用電池(ハーフセル)2を得た。
<比較例3>
負極活物質スラリーの作製において、凝集粒子(N−3)88部を凝集粒子(N−4)85部に変更し、導電助剤であるアセチレンブラック12部を炭素繊維[Sigmaaldrich社製 Product No.719811 平均繊維長(平均最大フェレー径に相当)が75μmで平均繊維径(平均最小フェレー径に相当)が150nmのカーボンナノチューブ(形状から求めるアスペクト比は500)比表面積:70m/g](下記の表1ではCNTと表記)15部に変更した以外は、実施例3と同様の手順で比較例3に係る比較試験用電池(ハーフセル)3を得た。
<比較例4>
負極活物質スラリーの作製において、凝集粒子(N−3)88部を凝集粒子(N−4)90部に変更し、導電助剤であるアセチレンブラック12部を炭素繊維(VGCF2)15部に変更した以外は、実施例3と同様の手順で比較例4に係る比較試験用電池(ハーフセル)4を得た。
[電池特性の測定]
作製した試験用電池1〜6及び比較試験用電池1〜4について、充放電測定装置「HJ0501SM」[北斗電工(株)製]を用いて以下の方法で充放電試験を行い、1回目放電時において珪素及び珪素化合物(以下、珪素系活物質ともいう)1gあたりが担った放電容量(珪素系活物質の初回放電容量)及び1回目放電時の試験用電池(ハーフセル)の放電容量に対する10回目放電時の試験用電池(ハーフセル)の放電容量の比率(10サイクル目容量維持率)を以下の下記計算式より求め、結果を表1に記載した。
10サイクル目容量維持率(%)=[(評価用電池の10回目の放電時の容量)÷(評価用電池の1回目の放電時の容量)×100]
(充放電試験の測定条件)
試験は下記の通り45℃で行い、充電と放電の間は10分の休止時間を設けた。
作製した各試験用電池及び比較試験用電池を充放電測定装置「HJ0501SM」[北斗電工(株)製]にセットし、45℃の条件下で定電流定電圧充電方式により、まず0.05Cの電流で0Vまで充電して10分間の休止を行った。その後0.05Cの電流で1.5Vまで放電して10分間の休止の後に再び0.05Cの電流で0Vまで充電した。その後、上記の10分間の休止時間を挟んで行う0.05Cでの0Vまで充電と0.05Cでの1.5Vまで放電とを回繰り返し、合計10回の充放電を行った。結果を表1に示す。
なお、本充放電試験においては、負極にリチウムイオンが挿入されて負極の電位が下がる方向(すなわち、正極に正極活物質を用いたフルセルにしたときの充電方向)を充電とした。
Figure 2019160789
なお、負極活物質粒子の体積平均粒子径に対する最大フェレー径の平均値の倍率の欄において、(vs.Si)とは負極活物質粒子が珪素及び/又は珪素化合物粒子である場合を示しており、(vs.C)とは負極活物質粒子が炭素系負極活物質粒子である場合を示している。
表1の結果より、本発明のリチウムイオン電池用負極を用いたリチウムイオン電池は、サイクル特性に優れることがわかる。
比較例1、3、4の結果より、導電助剤の単位粒子の最大フェレー径の平均値が負極活物質粒子の体積平均粒子径の0.1倍を超える場合には、充分なサイクル特性が得られないことがわかる。また、比較例2の結果より、たとえ導電助剤の最大フェレー径の平均値が負極活物質粒子の体積平均粒子径の0.001〜0.1倍であっても、負極活物質層に含まれる導電助剤の割合が、負極活物質粒子と導電助剤との合計重量に基づいて5重量%未満の場合には、充分なサイクル特性が得られないことがわかる。
本発明のリチウムイオン電池用負極は、特に、携帯電話、パーソナルコンピューター、ハイブリッド自動車及び電気自動車用に用いられる双極型二次電池用及びリチウムイオン二次電池用等の負極として有用である。
1 リチウムイオン電池用負極
10 負極集電体
20 負極活物質層
30 負極活物質粒子
31 珪素粒子又は珪素化合物粒子
33 被覆用樹脂
35 導電材
37 被覆用樹脂組成物
39 珪素系被覆活物質粒子
40 導電助剤(導電性炭素フィラー)
50 非水電解液

Claims (4)

  1. 負極活物質粒子と導電助剤とを含む非結着体からなる負極活物質層が負極集電体上に形成されてなるリチウムイオン電池用負極であって、
    前記負極活物質粒子は、珪素及び/又は珪素化合物粒子を含み、
    前記導電助剤は、JIS Z8827−1:2008に準拠した方法により得られる導電助剤の投影像における単位粒子の最大フェレー径の平均値が前記負極活物質粒子の体積平均粒子径の0.001〜0.1倍である導電性炭素フィラーであり、
    前記負極活物質層に含まれる前記導電助剤の割合が、前記負極活物質粒子と前記導電助剤との合計重量に基づいて5〜25重量%であることを特徴とするリチウムイオン電池用負極。
  2. 前記導電助剤の投影像における単位粒子の最小フェレー径の平均値に対する前記最大フェレー径の平均値の比率は、1〜50である請求項1に記載のリチウムイオン電池用負極。
  3. 前記導電助剤の比表面積は、25〜1500m/gである請求項1又は2に記載のリチウムイオン電池用負極。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のリチウムイオン電池用負極を備えることを特徴とするリチウムイオン電池。
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