JP6909005B2 - シート用樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本開示は、シート用樹脂組成物に関する。
エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体又はそのアイオノマーは、金属・ガラス接着性、透明性、機械的強度、柔軟性、伸び、復元性などに優れていることから、接着剤、封止剤、自動車内外装材、床材などの建材、雑貨等のフィルム、シート用途をはじめ、種々の用途に使用されている。
エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体又はそのアイオノマーは、用途や要求物性に応じて、他の成分と組み合わせて用いられることが多い。例えば、エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体などのエチレン・極性モノマー共重合体に、酸化チタンなどの白色系無機顔料、架橋剤及びアリル基及び/又は(メタ)アクリロキシ基を含有する架橋助剤を配合してなる太陽電池封止用エチレン共重合体組成物が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2006−36876号公報
他の成分との組み合わせに関連して、エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体又はそのアイオノマーと特定の酸化チタンとを含む樹脂組成物は、経時的に熱溶融時の流動性が低下する傾向にあるが、高温高湿条件(例えば、40℃かつ90%相対湿度(以下「%RH」という。))に曝されることにより、熱溶融時の流動性低下が顕在化する。樹脂組成物における熱溶融時の流動性の低下は、溶融成形における生産性低下の原因となる。
上記に鑑み、本開示は、高温高湿条件に曝された場合の熱溶融時の流動性の低下が抑制された樹脂組成物の提供を目的とし、該目的を達成することを課題とする。
本開示において、「高温高湿条件」とは、30℃〜70℃かつ80%RH〜100%RHを意味する。
前記課題を達成するための具体的手段には、以下の態様が含まれる。
<1> 少なくとも、エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体又はそのアイオノマーと、表面処理された酸化チタンと、を含有し、前記エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体又はそのアイオノマー100質量部と前記酸化チタン30質量部とを溶融混合した混合物を40℃かつ90%RH条件で10日間保持した時点のメルトフローレート保持率が80%以上である、樹脂組成物。
<2> 前記表面処理された酸化チタンの105℃から290℃における揮発水分量が3000ppm以下である、<1>に記載の樹脂組成物。
本開示によれば、高温高湿条件に曝された場合の熱溶融時の流動性の低下が抑制された樹脂組成物が提供される。
<樹脂組成物>
本開示の樹脂組成物は、少なくとも、エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体又はそのアイオノマーと、表面処理された酸化チタンと、を含有し、前記エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体又はそのアイオノマー100質量部と前記酸化チタン30質量部とを溶融混合した混合物を40℃かつ90%RH条件で10日間保持した時点のメルトフローレート保持率が80%以上である。
本開示における保持率は、エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体又はそのアイオノマー100質量部と前記酸化チタン30質量部とを溶融混合した時点のメルトフローレートに対する、前記溶融混合後10日間40℃かつ90%RH条件で保持した時点のメルトフローレートの比を指す。
エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体又はそのアイオノマーには、白色系無機顔料として又は隠蔽性を付与する目的などで、酸化チタンが含まれる場合がある。しかし、エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体又はそのアイオノマーと特定の酸化チタンとの混合物は、高温高湿条件(例えば、40℃かつ90%RH)に曝されることにより、経時的に熱溶融時の流動性が低下する。これに対し、本開示の樹脂組成物は、高温高湿条件に曝されても熱溶融時の流動性の低下が抑制される。
その詳細は明らかではないが、以下のように推察される。すなわち、本開示の樹脂組成物は、酸化チタンの表面処理に由来する水分が少ないため、酸化チタンの表面処理剤の成分とエチレン・不飽和カルボン酸系共重合体又はそのアイオノマーに含有されるカルボキシル基との反応が抑制されると考えられる。
[エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体]
本開示のエチレン・不飽和カルボン酸系共重合体は、エチレンから導かれる構造単位と不飽和カルボン酸から導かれる構造単位とを少なくとも含む。前記エチレン・不飽和カルボン酸共重合体は、少なくともエチレンと不飽和カルボン酸とを共重合成分として共重合させた共重合体である。共重合体としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体などが挙げられるが、ランダム共重合体が好ましい。
前記不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、フマル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノエステル(マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル等)、無水マレイン酸モノエステル(無水マレイン酸モノメチル、無水マレイン酸モノエチル等)等の炭素数3〜8の不飽和カルボン酸またはハーフエステルが挙げられる。なかでも、アクリル酸、メタクリル酸が好ましい。
前記エチレン・不飽和カルボン酸共重合体において、エチレンから導かれる構造単位の含有量は、共重合体の全質量に対し、40質量%〜99質量%が好ましく、より好ましくは60質量%〜99質量%であり、特に好ましくは70質量%〜99質量%である。
また、前記エチレン・不飽和カルボン酸共重合体において、不飽和カルボン酸から導かれる構造単位の含有量は、共重合体の全質量に対し、1質量%〜60質量%が好ましく、1質量%〜40質量%がより好ましく、1質量%〜30質量%が更により好ましい。
前記エチレン・不飽和カルボン酸共重合体は、不飽和カルボン酸エステルから導かれる構造単位を含んでいてもよい。前記不飽和カルボン酸エステルとして、具体的には、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソオクチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソオクチル、マレイン酸ジメチル等の不飽和カルボン酸のアルキルエステルが挙げられる。なかでも、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソオクチル、などの、アクリル酸又はメタクリル酸のアルキルエステルが好ましく、アクリル酸又はメタクリル酸の低級アルキルエステル(炭素数2〜5のアルキルエステル)がより好ましい。更には、アクリル酸又はメタクリル酸の炭素数4のアルキルエステルが好ましく、なかでも、アクリル酸の炭素数4のアルキルエステル(特に好ましくはイソブチルエステル)が更に好ましい。
前記エチレン・不飽和カルボン酸共重合体が不飽和カルボン酸エステルから導かれる構造単位を含む場合、不飽和カルボン酸エステルから導かれる構造単位の含有量は、共重合体の全質量に対し、0質量%超25質量%以下が好ましく、0質量%超20質量%以下がより好ましい。
前記エチレン・不飽和カルボン酸共重合体には、エチレンから導かれる構造単位、不飽和カルボン酸から導かれる構造単位、及び不飽和カルボン酸エステルから導かれる構造単位の合計100質量%に対し、0質量%超30質量%以下、好ましくは0質量%超25質量%以下のその他の共重合性モノマーから導かれる構造単位が含まれていてもよい。前記その他の共重合性モノマーとしては、不飽和エステル、例えば、酢酸ビニル及びプロピオン酸ビニル等のビニルエステル、一酸化炭素、二酸化硫黄などが挙げられる。
[アイオノマー]
本開示におけるアイオノマーは、前記エチレン・不飽和カルボン酸共重合体をベースポリマーとし、このベースポリマーに含まれるカルボキシル基が金属イオンによって中和された構造となっている。
前記金属イオンの種類には特に制限はなく、例えば、リチウム(Li)イオン、カリウム(K)イオン、ナトリウム(Na)イオンなどのアルカリ金属イオン、カルシウム(Ca)イオン、マグネシウム(Mg)イオン、亜鉛(Zn)イオン、アルミニウム(Al)イオンなどの多価金属イオンなどを例示することができる。
前記アイオノマーにおける中和度は、10%〜90%が好ましく、20%〜80%がより好ましい。
本開示の樹脂組成物は、エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体又はそのアイオノマーを1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。
本開示の樹脂組成物に含有される樹脂成分の全質量中に占めるエチレン・不飽和カルボン酸系共重合体又はそのアイオノマーの比率は、90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上がより好ましく、98質量%以上が更に好ましく、100質量%(即ち、本開示の樹脂組成物に含有される樹脂成分が、前記エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体又はそのアイオノマーのみからなる形態)が最も好ましい。
本開示の樹脂組成物におけるエチレン・不飽和カルボン酸系共重合体又はそのアイオノマーの含有量は特に制限はないが、樹脂組成物全質量に対し、50質量%〜99質量%が好ましく、55質量%〜95質量%がより好ましく、55質量%〜90質量%が特に好ましい。
[表面処理された酸化チタン]
本開示の酸化チタンは、有機化合物、無機化合物、又は有機化合物と無機化合物との組み合わせ(以下「表面処理剤」という。)で表面処理されている。
酸化チタンは、ルチル型若しくはアナターゼ型のいずれかの結晶形態であってよく、又はルチル型若しくはアナターゼ型の混合物であってもよい。酸化チタンは、硫酸法又は塩素法のいずれで製造されたものであってもよい。
酸化チタンの「表面処理」には、表面処理剤を酸化チタンの表面に吸着及び/又は結合させることを含む。表面処理には、1種の表面処理剤が使用されてよく、又は2種以上の表面処理剤が使用されてもよい。酸化チタンの表面処理は、表面処理剤で酸化チタンの表面を完全に被覆するものであってよく、又は不完全に被覆するものであってよい。被覆は、1層であってよく、又は2層以上であってもよい。酸化チタンは、表面処理されることにより、酸化チタン表面における光触媒作用が抑制され、及び/又は樹脂に対する分散性が改善される。
酸化チタンの表面処理に好ましい無機化合物としては、例えば、酸化アルミニウム(アルミナを含む)、水酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、塩化アルミニウム、リン酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、酸化ケイ素(シリカを含む)、酸化ジルコニウム、塩化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化バリウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、酸化チタン、塩化チタン、酸化アンチモン、酸化スズ、塩化スズ、酸化セリウム、塩化セリウム、硫酸セリウム、硝酸セリウム、水酸化セリウム、炭酸セリウム、酸化亜鉛、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、又はこれらの任意の組み合わせなどが挙げられる。無機化合物は、水和物の形態であってもよい。
酸化チタンの表面処理に好ましい有機化合物としては、例えば、シリコーンオイル、アルキルシラン、アルキルチタネート、アルキルアルミネート、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリオール、アルカノールアミン、シロキサン、金属石鹸、アミノ酸、アミノ酸塩、若しくは窒化炭素、又はこれらの任意の組み合わせなどが挙げられる。なかでも、化学的な安定性の観点からは、シリコーンオイルが好ましく、その具体例としては、例えば、ジメチルポリシロキサン(例えば、信越化学工業株式会社製KF−96A−100cs、旭化成ワッカーシリコーン株式会社製DM10)、メチルハイドロジェンポリシロキサン(例えば、信越化学工業株式会社製KF−99P、東レ・ダウコーニング株式会社製SH1107C)、(ジメチコン/メチコン)コポリマー(例えば、信越化学工業株式会社製KF−9901)、メチルフェニルシリコーン(例えば、信越化学工業株式会社製KF−50−100cs)、アミノ変性シリコーン(例えば、信越化学工業株式会社製KF−8015、東レ・ダウコーニング株式会社製JP−8500 Conditioning Agent、旭化成ワッカーシリコーン株式会社製ADM6060)、トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルジメチコン(例えば、信越化学工業株式会社製KF−9908)、トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルヘキシルジメチコン(例えば、信越化学工業株式会社製KF−9909)などが挙げられる。
また、ステアリン酸、ラウリン酸、リシノール酸、オクチル酸などを脂肪酸部分として有する金属石鹸は、表面処理された酸化チタンに撥水性を付与し、その含水量を減少させるので好ましい。
あるいは、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等のカップリング剤を使用して、有機化合物を酸化チタンの表面に処理することもできる。
また、酸化チタンの表面処理に好ましい無機化合物及び/又は有機化合物の組み合わせには、例えば、酸化アルミニウム又は水酸化アルミニウムと酸化ジルコニウムとの組み合わせ、酸化アルミニウム又は水酸化アルミニウムと酸化ケイ素との組み合わせ、酸化ジルコニウムと酸化ケイ素との組み合わせ、酸化アルミニウム又は水酸化アルミニウムと酸化ジルコニウムと酸化ケイ素との組み合わせ、酸化アルミニウム又は水酸化アルミニウムと酸化ジルコニウムと有機化合物との組み合わせ、酸化アルミニウム又は水酸化アルミニウムと酸化ケイ素と有機化合物との組み合わせ、酸化ジルコニウムと酸化ケイ素と有機化合物との組み合わせ、酸化アルミニウム又は水酸化アルミニウムと酸化ジルコニウムと酸化ケイ素と有機化合物との組み合わせ、などが挙げられる。
表面処理剤は、酸化チタンの全質量に基づき、0.1質量%〜20質量%、好ましくは0.5質量%〜15質量%の量で存在することができる。
表面処理された酸化チタンは、一般的な方法で乾燥した粉末の形態で樹脂組成物に混合される。
表面処理された酸化チタンは、結晶水、結合水、及び/又は水和水として、水を含んでいてもよい。表面処理された酸化チタンは、その全質量に対し、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1質量%以下の水を含んでよい。本開示の樹脂組成物は、表面処理された酸化チタンに含まれる水が少ないほど、熱溶融時の流動性の経時的な低下が抑えられる傾向があり、水を含まないことが最も好ましい。特に100℃以上で揮発する水分が所定量以上存在することが経時的な熱溶融時の流動性の低下に大きく影響しており、105℃〜290℃における揮発水分量が3000ppm以下であれば実質的に樹脂組成物の経時的な熱溶融時の流動性の低下を抑制できる。
その詳細は明らかではないが、以下のように推察される。すなわち、100℃以上で揮発する水分を含む表面処理剤が、エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体又はそのアイオノマーに含有されるカルボキシル基と反応することにより、樹脂組成物の経時的な熱溶融時の流動性の低下が発生する。よって、100℃以上で揮発する水分量が少ないということは、流動性低下の原因が少ないことを意味し、その結果として樹脂組成物の経時的な熱溶融時の流動性を低下させる反応が抑制されていると考えられる。
表面処理された酸化チタンは、市販品を用いることができ、例えば、ケマーズ株式会社製のTi−PureのRシリーズ(例えば、R−104)、堺化学工業株式会社製のTCRシリーズ(例えば、TCR−52)、Rシリーズ(例えば、R−39)、石原産業株式会社製のCRシリーズ(例えば、CR−60、CR−97)、PFシリーズ(例えば、PF−726)などを用いることができる。
表面処理された酸化チタンの平均粒子径は、0.1μm〜0.7μmが好ましく、0.1μm〜0.4μmがより好ましい。平均粒子径は、遠心沈降法により測定される値である。
表面処理された酸化チタンの含有量は、MFR保持率と目的とする隠蔽性とのバランスに鑑みて決定されるが、本開示の樹脂組成物の全質量に対し、1質量%〜50質量%が好ましく、5質量%〜45質量%がより好ましく、10質量%〜45質量%が更により好ましい。
[他の成分]
本開示の樹脂組成物は、本開示の目的を損なわない範囲で、上記成分以外の他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、例えば、酸化防止剤、老化防止剤、光安定剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、ブロッキング防止剤、可塑剤、粘着剤、着色剤(顔料、染料)、フィラー、エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体又はそのアイオノマー以外の樹脂成分、難燃剤、難燃助剤、発泡剤、発泡助剤、ダイマー酸(又はその金属塩)などを挙げることができる。
他の成分は、本開示の効果が損なわれない範囲で含有させる事ができ、本開示の樹脂組成物全質量に対し、49質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましく、35質量%以下であることが特に好ましい。
(樹脂組成物の製造方法)
本開示の樹脂組成物を製造する方法は、少なくとも、エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体又はそのアイオノマーと、表面処理された酸化チタンとを溶融混合する方法であれば、特に制限はない。溶融混合の形態としては、溶融混練が好ましい。
溶融混合は、特に制限無く、公知の溶融混合装置(例えば、混練・押出成形評価試験装置、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダー等の混練装置)を用いて行うことができる。
溶融混合の条件は樹脂や混合物の物性、混合量や溶融混合装置の仕様に合わせて最適な条件で実施される。溶融混合時の温度は、100℃以上250℃以下が好ましく、100℃以上200℃以下がより好ましい。溶融混合時の回転数は、10rpm〜100rpm(rotation per minute)が好ましく、20rpm〜70rpmがより好ましい。
[メルトフローレート(MFR)]
本開示の樹脂組成物の「メルトフローレート」又は「MFR」とは、JIS K7210−1999に準拠して温度130℃及び荷重5kgの条件で測定される値をいい、単位は「g/10分」で表される。MFRが高いほど熱溶融時の流動性は高く、MFRが低いほど熱溶融時の流動性は低い。
MFRは、エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体又はそのアイオノマーと表面処理された酸化チタンとを溶融混合した時点(0日目)、及び前記溶融混合後10日間40℃かつ90%RH条件で保持した時点(10日目)のそれぞれで測定される。
また、MFRは、エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体又はそのアイオノマーと表面処理された酸化チタンとを溶融混合した後、1ヵ月間60℃かつ90%RH条件で保持した時点においても測定される。
[メルトフローレート保持率(MFR保持率)]
本開示の「メルトフローレート保持率」又は「MFR保持率」とは、前記10日目のMFRの値を前記0日目のMFRの値で除して100を掛けた値(小数点以下四捨五入)をいい、単位は「%」で表される。MFR保持率の値が高いほど、樹脂組成物の経時的な熱溶融時の流動性低下が抑制されていることを示し、MFR保持率の値が低いほど、樹脂組成物の経時的な熱溶融時の流動性低下が進行していることを示す。
本開示の樹脂組成物におけるMFR保持率としては、80%以上が好ましく、85%以上がより好ましく、90%以上が更により好ましい。
[揮発水分量]
本開示の「揮発水分量」とは、平沼産業株式会社製の水分気化装置EV−2000を備えたカールフィッシャー式水分測定装置AQ−2200Sを用いて測定される水分量をいい、サンプルの全質量に対してppm(parts per million)の単位で表わされる。したがって、揮発水分量は、サンプル中に含まれる水分量を表す。本開示において、揮発水分量は、表面処理された酸化チタンをサンプルとして測定される。
揮発水分量測定時に水分気化装置に流通させる窒素流量は、100mL/分〜300mL/分が好ましく、200mL/分〜300mL/分がより好ましく、250mL/分が更により好ましい。
また、「105℃から290℃における揮発水分量」とは、上記装置にサンプルを入れ、20℃で60分間維持し、次いで温度を105℃に設定して昇温時間を含めて60分間維持した後、温度を290℃に設定して昇温時間を含めて60分間水分量を測定した場合に測定される水分量をいう。
105℃から290℃における揮発水分量は、3000ppm以下が好ましく、2000ppm以下がより好ましく、1500ppm以下が更により好ましい。
以下、本開示を実施例により更に具体的に説明するが、本開示はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
[溶融混合]
エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体として三井・デュポンポリケミカル株式会社製エチレン・メタクリル酸共重合体(EMAA;エチレン単位含有量:89質量%、メタクリル酸単位含有量:11質量%)を100質量部、及び表面処理された酸化チタンとしてケマーズ株式会社製Ti−Pure R−104を30質量部それぞれ計りとり、東洋精機工業株式会社製ラボプラストミルを使用して温度110℃及び回転数50rpmで溶融混合し、樹脂組成物を作製した。この樹脂組成物を東邦マシナリー株式会社製50ton圧縮成形機でプレス温度130℃でプレスし、厚み2mmの熱プレスシートを作製した。
[MFRの測定]
上記工程により得られた熱プレスシートを二部に分け、その一部を使用してMFRを測定した(「0日目」)。残り一部の熱プレスシートは、40℃かつ90%RHに設定したヤマト科学株式会社製恒温恒湿機に入れて10日間放置した後、MFRを測定した(「10日目」)。
MFRの測定は、JIS K7210−1999に準拠して温度130℃及び荷重5kgの条件でそれぞれ行った。10日目のMFRの値を0日目のMFRの値で除して100を掛けた値(小数点以下四捨五入)をMFR保持率として算出し、下記表1に示した。
[加工適性の評価]
エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体として三井・デュポンポリケミカル株式会社製エチレン・メタクリル酸共重合体(EMAA;エチレン単位含有量:89質量%、メタクリル酸単位含有量:11質量%)を100質量部、及び表面処理された酸化チタンとしてケマーズ株式会社製Ti−Pure R−104を40質量部それぞれ計りとり、東洋精機工業株式会社製ラボプラストミルを使用して温度110℃及び回転数50rpmで溶融混合し、樹脂組成物を作製した。この樹脂組成物を東邦マシナリー株式会社製50ton圧縮成形機でプレス温度130℃でプレスし、厚み2mmの熱プレスシートを作製した。
得られた熱プレスシートを60℃かつ90%RHに設定したヤマト科学株式会社製恒温恒湿機に入れ1ヵ月間放置した。取り出した熱プレスシートについてMFRを測定し、熱溶融時の流動性が維持されているかどうか確認を行った。MFRが0.5g/10分以上であれば加工適性あり、0.5g/10分未満であれば加工適性なしと判断した。
[表面処理された酸化チタンの水分量の測定]
表面処理された酸化チタンの水分量の測定は、平沼産業株式会社製の水分気化装置EV−2000を備えたカールフィッシャー式水分測定装置AQ−2200Sを用いて下記手順で実施した。
はじめに、水分気化装置に表面処理された酸化チタン粉末(ケマーズ株式会社製Ti−Pure R−104)約1gを入れ、20℃で60分間水分量を測定した。続いて温度を105℃に設定して昇温時間を含めて60分間水分量を測定した。さらに温度を290℃に設定して昇温時間を含めて60分間水分量を測定した。投入した酸化チタン重量に対する水分量をppmで表し、特に105℃から290℃への昇温時の水分量を「105℃から290℃における揮発水分量」と定義した。なお、水分気化装置に流通させる窒素流量は250mL/分とした。
<実施例2>
表面処理された酸化チタンとして堺化学工業株式会社製TCR−52を使用した以外は、実施例1と同じ条件で樹脂組成物を作製し、MFR保持率を算出し、加工適性を評価し、105℃から290℃における揮発水分量を測定して、下記表1に示した。
<実施例3>
表面処理された酸化チタンとして石原産業株式会社製CR−60を使用した以外は、実施例1と同じ条件で樹脂組成物を作製し、MFR保持率を算出し、加工適性を評価し、105℃から290℃における揮発水分量を測定して、下記表1に示した。
<比較例1>
表面処理された酸化チタンとして堺化学工業株式会社製R−21を使用した以外は、実施例1と同じ条件で樹脂組成物を作製し、MFR保持率を算出し、加工適性を評価し、105℃から290℃における揮発水分量を測定して、下記表1に示した。
<比較例2>
表面処理された酸化チタンとしてケマーズ株式会社製R−108を使用した以外は、実施例1と同じ条件で樹脂組成物を作製し、MFR保持率を算出し、加工適性を評価し、105℃から290℃における揮発水分量を測定して、下記表1に示した。
<比較例3>
表面処理された酸化チタンとして堺化学工業株式会社製R−24を使用した以外は、実施例1と同じ条件で樹脂組成物を作製し、MFR保持率を算出し、加工適性を評価し、105℃から290℃における揮発水分量を測定して、下記表1に示した。
Figure 0006909005
MFR保持率が80%以上である実施例1〜3では、加工適性ありと判断されたのに対し、MFR保持率が80%未満である比較例1〜3では、加工適性なしと判断された。
本開示の樹脂組成物は、例えば、各種シート、各種建材、電線、各種包装材料、封止剤、難燃剤などの用途に好適に用いられる。

Claims (2)

  1. 少なくとも、エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体又はそのアイオノマーと、表面処理された酸化チタンと、を含有する樹脂組成物であって、
    前記樹脂組成物の全質量に対して、前記エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体又はそのアイオノマーの含有量は55質量%〜95質量%であって、
    前記樹脂組成物の全質量に対して、前記表面処理された酸化チタンの含有量は5質量%〜45質量%であって、
    前記表面処理された酸化チタンは、有機化合物と無機化合物との組み合わせで表面処理されており、
    前記エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体又はそのアイオノマー100質量部と前記酸化チタン30質量部とを溶融混合した混合物を40℃かつ90%RH条件で10日間保持した時点のメルトフローレート保持率が80%以上である、シート用樹脂組成物。
  2. 前記表面処理された酸化チタンの105℃から290℃における揮発水分量が3000ppm以下である、請求項1に記載のシート用樹脂組成物。
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