JP6196630B2 - 樹脂組成物および成形体 - Google Patents

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Description

本発明は、樹脂組成物および成形体に関する。
従来より、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂などの樹脂の難燃性を向上させる検討が行われている。
例えば、モールドデポジットやブリードアウトを抑制でき、成形品の外観特性を改善できる難燃性樹脂組成物として、特定のグアナミン化合物又はその塩と樹脂とを含む難燃性樹脂組成物が知られている(例えば、特開2004−203846号公報参照)。
また、ポリアセタール樹脂の熱安定性、特に成形加工時の溶融安定性を改善できる樹脂組成物として、ポリアセタール樹脂と、アイオノマー樹脂と、尿素又はその誘導体及びアミジン誘導体から選択された少なくとも一種の抑制剤とで構成されているポリアセタール樹脂組成物が知られている(例えば、特開2000−239485号公報参照)。
また、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリスチレン、ポリオレフィン、塩化ビニル樹脂、ポリフェニレンエーテル等有機材料の難燃化剤として有用な化合物として、特定構造のジグアナミン化合物が知られている(例えば、特開平5−202007号公報参照)。
しかしながら、樹脂に対し、上述したグアナミン化合物やアミジン誘導体等を添加するだけでは十分な難燃性が得られない場合がある。
本発明は上記に鑑みなされたものである。上記状況の下、難燃性に顕著に優れた樹脂組成物および成形体が求められている。
本発明者は、エチレンから導かれる構造単位と不飽和カルボン酸から導かれる構造単位とを含む共重合体及びそのアイオノマーの少なくとも一方と、融点が30℃以上であり一分子内にアミノ基を2つ以上有するアミン化合物と、無機フィラーと、の組み合わせを含む樹脂組成物が、これらの成分のうち少なくとも1つが欠けている樹脂組成物と比較して、極めて優れた難燃性を示すとの知見を得、この知見に基づき本発明を完成した。
即ち、前記課題を解決するための具体的手段は以下のとおりである。
<1> エチレンから導かれる構造単位と不飽和カルボン酸から導かれる構造単位とを含む共重合体及びそのアイオノマーの少なくとも一方である樹脂成分(A)と、融点が30℃以上であり一分子内にアミノ基を2つ以上有するアミン化合物(B)と、無機フィラー(C)と、を含有する樹脂組成物である。
<2> 含有される樹脂成分の全量中に占める前記樹脂成分(A)の比率が、80質量%以上である<1>に記載の樹脂組成物である。
<3> 含有される樹脂成分の全量中に占める前記樹脂成分(A)の比率が、90質量%以上である<1>又は<2>に記載の樹脂組成物である。
<4> 前記樹脂成分(A)と前記アミン化合物(B)との合計量を100質量部としたとき、前記樹脂成分(A)の量が99質量部〜80質量部であり、前記アミン化合物(B)の量が1質量部〜20質量部である<1>〜<3>のいずれか1つに記載の樹脂組成物である。
<5> 前記樹脂成分(A)と前記アミン化合物(B)との合計量を100質量部としたとき、無機フィラー(C)の量が20質量部〜100質量部である<1>〜<4>のいずれか1つに記載の樹脂組成物である。
<6> 前記アミン化合物(B)の融点が、200℃以上である<1>〜<5>のいずれか1つに記載の樹脂組成物である。
<7> 前記アミン化合物(B)が、グアナミン構造を有する<1>〜<6>のいずれか1つに記載の樹脂組成物である。
<8> 前記無機フィラー(C)が、炭酸カルシウム、クレー、タルク、及びシリカからなる群から選択される少なくとも1種を含む<1>〜<7>のいずれか1つに記載の樹脂組成物である。
<9> 前記樹脂成分(A)が、前記アイオノマーを含む<1>〜<8>のいずれか1つに記載の樹脂組成物である。
<10> 前記無機フィラー(C)が、炭酸カルシウムを含む<1>〜<9>のいずれか1つに記載の樹脂組成物である。
<11> <1>〜<10>のいずれか1つに記載の樹脂組成物を含む成形体である。
本発明によれば、難燃性に顕著に優れた樹脂組成物および成形体を提供することができる。
≪樹脂組成物≫
本発明の樹脂組成物は、エチレンから導かれる構造単位と不飽和カルボン酸から導かれる構造単位とを含む共重合体及びそのアイオノマーの少なくとも一方である樹脂成分(A)(以下、単に「樹脂成分(A)」ともいう)と、融点が30℃以上であり一分子内にアミノ基を2つ以上有するアミン化合物(B)(以下、単に「アミン化合物(B)」ともいう)と、無機フィラー(C)と、を含有する。
本発明の樹脂組成物は、樹脂成分(A)とアミン化合物(B)と無機フィラー(C)との組み合わせにより、顕著に優れた難燃性を示す。
かかる難燃性の効果が得られる理由は明らかではないが、以下のように推測される。
即ち、本発明の樹脂組成物では、樹脂成分(A)及びアミン化合物(B)に加えて無機フィラー(C)を含むことにより、樹脂成分(A)に含まれるカルボキシル基又はその塩が、アミン化合物(B)に含まれる一部のアミノ基(例えば、アミン化合物(B)の一分子に含まれる2つ以上のアミノ基のうちの1つ)によって架橋されている状態が形成されていると考えられる。この架橋には、アミン化合物(B)に含まれる全てのアミノ基が用いられているわけではなく、一部のアミノ基のみが用いられていると考えられる。このように架橋の度合いがある程度抑制されているので、樹脂組成物の流動性がある程度維持され、その結果、樹脂成分(A)とアミン化合物(B)とが均一性よく混合されていると考えられる。
そして本発明の樹脂組成物を燃焼させようとして熱を加えても、加えられた熱の大部分は、アミン化合物(B)に含まれる残りの(架橋に用いられていない)アミノ基と樹脂成分(A)中の未架橋のカルボキシル基又はその塩との架橋反応のために消費され、その結果、燃焼に至り難くなっている(即ち、難燃性が高くなっている)と考えられる。
以上により、本発明の樹脂組成物は、樹脂成分(A)とアミン化合物(B)と無機フィラー(C)との組み合わせにより、顕著に優れた難燃性を発現すると推測される。
本発明の樹脂組成物において上記樹脂成分(A)を上記樹脂成分(A)以外のその他の樹脂成分(例えば、エチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体)に置き換えた場合には、難燃性が低下する。
また、本発明の樹脂組成物において、アミン化合物(B)を、融点が30℃未満であり一分子内にアミノ基を2つ以上有するアミン化合物に置き換えた場合には、難燃性が低下する。この理由は明らかではないが、理由としては、樹脂成分(A)と融点が30℃未満であるアミン化合物とを溶融混合する際、両者の相溶性が悪いことや、融点が30℃未満であるアミン化合物が揮発すること等が考えられる。
なお、本発明において「溶融混合」とは、溶融状態にある樹脂成分(A)と、その他の成分(例えば、アミン化合物(B)、無機フィラー(C)等)と混合することを指す。このとき、樹脂成分(A)は溶融状態となっているが、その他の成分は必ずしも溶融状態となっている必要はない。
本発明における溶融混合の好ましい形態は、溶融混練である。
また、本発明の樹脂組成物において、アミン化合物(B)に代えて、樹脂の難燃剤として通常用いられる金属水酸化物(水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等)を用いた場合には、樹脂組成物の流動性が顕著に低下し、樹脂成分(A)と金属水酸化物とを混合すること自体が困難となる傾向がある。
また、本発明の樹脂組成物において無機フィラー(C)を含有させなかった場合には、難燃性が低下する。
また、本発明の樹脂組成物によれば、樹脂成分(A)とアミン化合物(B)と無機フィラー(C)との組み合わせにより、難燃性が向上することに加え、耐摩耗性も向上する。
かかる耐摩耗性の効果が得られる理由は明らかではないが、以下のように推測される。
即ち、本発明の樹脂組成物では、前述のとおり、樹脂成分(A)に含まれるカルボキシル基又はその塩がアミン化合物(B)に含まれる一部のアミノ基によって架橋された状態で、樹脂成分(A)とアミン化合物(B)とが均一性よく混合されており、このことが、耐摩耗性の向上に寄与していると考えられる。
本発明の樹脂組成物において上記樹脂成分(A)を上記樹脂成分(A)以外のその他の樹脂成分(例えば、エチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体)に置き換えた場合には、耐摩耗性が低下する。
また、本発明の樹脂組成物において、アミン化合物(B)を、融点が30℃未満であり一分子内にアミノ基を2つ以上有するアミン化合物に置き換えた場合には、耐摩耗性が低下する。
また、本発明の樹脂組成物において無機フィラー(C)を含有させなかった場合には、耐摩耗性が低下する。
次に、本発明の樹脂組成物における、樹脂成分(A)、アミン化合物(B)、及び無機フィラー(C)の好ましい含有比率の範囲について説明するが、本発明は以下の好ましい範囲に限定されるものではない。
本発明の樹脂組成物において、樹脂成分(A)とアミン化合物(B)との合計量を100質量部としたとき、樹脂成分(A)の量が99.9質量部〜60質量部でありアミン化合物(B)の量が0.1質量部〜40質量部であることが好ましく、樹脂成分(A)の量が99質量部〜80質量部でありアミン化合物(B)の量が1質量部〜20質量部であることがより好ましい。
アミン化合物(B)の量が0.1質量部以上であると、難燃性がより向上する。また、アミン化合物(B)の量は、実用的な性能及び経済性の観点からは40質量部以下で充分である。
また、本発明の樹脂組成物において、前記樹脂成分(A)と前記アミン化合物(B)との合計量を100質量部としたとき、無機フィラー(C)の量は、10質量部〜200質量部が好ましく、20質量部〜100質量部がより好ましい。
無機フィラー(C)の量が10質量部以上であると、難燃性がより向上する。
無機フィラー(C)の量が200質量部以下であると、成形性及び樹脂物性がより良好となる。
以下、本発明の樹脂組成物に含まれる各成分について説明する。
<樹脂成分(A)>
本発明の樹脂組成物は、エチレンから導かれる構造単位と不飽和カルボン酸から導かれる構造単位とを少なくとも含む共重合体(以下、「エチレン・不飽和カルボン酸共重合体」ともいう)及びそのアイオノマーの少なくとも一方である樹脂成分(A)を含有する。
前記エチレン・不飽和カルボン酸共重合体は、少なくともエチレンと不飽和カルボン酸とを共重合成分として共重合させた共重合体である。
共重合体としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体などが挙げられるが、ランダム共重合体が好ましい。
前記不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、フマル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノエステル(マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル等)、無水マレイン酸モノエステル(無水マレイン酸モノメチル、無水マレイン酸モノエチル等)等の炭素数3〜8の不飽和カルボン酸またはハーフエステルが挙げられる。
中でも、アクリル酸、メタクリル酸が好ましい。
前記エチレン・不飽和カルボン酸共重合体中において、不飽和カルボン酸から導かれる構成単位の含有量は、工業的な入手のしやすさを考慮すると、共重合体の全量に対し、2質量%〜40質量%が好ましく、より好ましくは2質量%〜40質量%であり、特に好ましくは5質量%〜25質量%である。
不飽和カルボン酸から導かれる構成単位の含有量が2質量%以上であると、難燃性がより向上する。
また、前記エチレン・不飽和カルボン酸共重合体中において、エチレンから導かれる構成単位の含有量は、共重合体の全量に対し、40質量%〜98質量%が好ましく、より好ましくは60質量%〜98質量%であり、特に好ましくは70質量%〜95質量%である。
前記エチレン・不飽和カルボン酸共重合体は、不飽和カルボン酸エステルから導かれる構造単位を含んでいてもよい。
前記不飽和カルボン酸エステルとしては、前記不飽和カルボン酸のアルキルエステルを挙げることができ、好ましくは前記不飽和カルボン酸の炭素数2〜5のアルキルエステルであり、更に好ましくは前記不飽和カルボン酸の炭素数4のアルキルエステル(イソブチルエステルやn−ブチルエステルなど)である。
前記不飽和カルボン酸エステルとして、具体的には、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソオクチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソオクチル、マレイン酸ジメチル等が挙げられる。中でも、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソオクチル、などの、アクリル酸又はメタクリル酸のアルキルエステルが好ましく、アクリル酸又はメタクリル酸の低級アルキルエステル(炭素数2〜5のアルキルエステル)がより好ましい。
更には、アクリル酸又はメタクリル酸の炭素数4のアルキルエステルが好ましく、中でも、アクリル酸の炭素数4のアルキルエステル(特に好ましくはイソブチルエステル)が更に好ましい。
前記エチレン・不飽和カルボン酸共重合体が不飽和カルボン酸エステルから導かれる構造単位を含む場合、不飽和カルボン酸エステルから導かれる構造単位の含有量は、共重合体の全量に対し、3質量%〜20質量%が好ましく、より好ましくは5質量%〜20質量%である。
前記エチレン・不飽和カルボン酸共重合体には、エチレンから導かれる構造単位、不飽和カルボン酸から導かれる構造単位、及び不飽和カルボン酸エステルから導かれる構造単位の合計100質量%に対し、0質量%超30質量%以下、好ましくは0質量%超25質量%以下のその他の共重合性モノマーから導かれる構成単位が含まれていてもよい。
前記その他の共重合性モノマーとしては、不飽和エステル、例えば、酢酸ビニル及びプロピオン酸ビニル等のビニルエステル、一酸化炭素、二酸化硫黄などが挙げられる。
本発明におけるアイオノマーの構造は、前述のエチレン・不飽和カルボン酸共重合体をベースポリマーとし、このベースポリマーに含まれるカルボキシル基が金属イオンによって中和された構造となっている。
前記金属イオンの種類には特に制限はなく、例えば、リチウム(Li)イオン、カリウム(K)イオン、ナトリウム(Na)イオンなどのアルカリ金属イオン、カルシウム(Ca)イオン、マグネシウム(Mg)イオン、亜鉛(Zn)イオン、アルミニウム(Al)イオンなどの多価金属イオンなどを例示することができる。特に、アミン化合物(B)との反応のしやすさの観点からは多価金属イオンが好ましく、中でも、亜鉛イオンが特に好ましい。
前記アイオノマーにおける中和度は、10%〜90%が好ましく、20%〜80%がより好ましい。
本発明における樹脂成分(A)は、加工性および機械強度を考慮すると、JIS K7210−1999に準拠し、190℃、2160g荷重の条件で測定されたメルトフローレート(MFR)が0.01〜1000g/10分であることが好ましく、0.1〜100g/10分であることがより好ましい。
本発明の樹脂組成物は、樹脂成分(A)を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。
本発明の樹脂組成物に含有される樹脂成分の全量中に占める樹脂成分(A)の比率は、40質量%以上であることが好ましい。
樹脂成分(A)の比率が40質量%以上であることは、本発明の樹脂組成物に含有される樹脂成分のうちの大部分が樹脂成分(A)であることを意味している。これにより、難燃性がより向上する。
前記樹脂成分(A)の比率は、60質量%以上がより好ましく、80質量%以上が更に好ましく、90質量%以上が更に好ましく、95質量%以上が更に好ましく、98質量%以上が更に好ましく、100質量%(即ち、本発明の樹脂組成物に含有される樹脂成分が、前記樹脂成分(A)のみからなる形態)が最も好ましい。
本発明の樹脂組成物は、樹脂成分(A)以外のその他の樹脂成分を少なくとも1種含んでいてもよい。
その他の樹脂成分としては特に制限はなく、例えば、ポリエチレン、エチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。その他の樹脂成分としては、ポリエチレンが好ましい。
ポリエチレンとしては、高密度ポリエチレン(HDPE)、高圧法低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、等が挙げられる。HDPE、LDPE、及びLLDPEは、1種単独で用いられてもよいし、2種以上の混合物として用いられてもよい。
また、難燃性及び耐摩耗性をより向上させる観点から、樹脂成分(A)は、前記アイオノマーを含むことが好ましい。
樹脂成分(A)が前記アイオノマーを含む場合、樹脂成分(A)の全量に対する前記アイオノマーの比率は、40質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、80質量%以上が更に好ましく、90質量%以上が更に好ましく、100質量%(前記樹脂成分(A)が、前記アイオノマーのみからなる形態)が最も好ましい。
前記樹脂成分(A)中におけるアイオノマーの比率が40質量%以上であると、難燃性がより向上する。この理由は明らかではないが、樹脂成分(A)とアミン化合物(B)との反応性が上がり難燃性が向上するためと推測される。
また、前記樹脂成分(A)中におけるアイオノマーの比率が40質量%以上であると、耐摩耗性もより向上する。
また、本発明の樹脂組成物中における樹脂成分(A)の含有量は特に制限はないが、樹脂組成物全量に対し、20質量%〜99.9質量%が好ましく、40質量%〜90質量%がより好ましく、50質量%〜80質量%が特に好ましい。
<アミン化合物(B)>
本発明の樹脂組成物は、融点が30℃以上であり一分子内にアミノ基を2つ以上有するアミン化合物(B)を含有する。
アミン化合物(B)の融点は、難燃性をより向上させる観点から、200℃以上が好ましく、250℃以上がより好ましい。
アミン化合物(B)の融点が200℃以上であると、樹脂成分(A)と溶融混合する際、アミン化合物(B)の溶解又は分解が抑制されるので、溶融状態にある前記樹脂成分(A)と、より均一性良く混合される。これにより、樹脂組成物としたときの難燃性がより向上する。
アミン化合物(B)としては特に制限はないが、例えば、グアナミン(別名:2,4−ジアミノ−1,3,5−トリアジン)(融点300℃以上、分子量111.11)、CTUグアナミン(別名:3,9−ビス[2−(3,5−ジアミノ−2,4,6−トリアザフェニル)エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン)(融点270℃、分子量434.46)、アセトグアナミン(別名:2,4−ジアミノ−6−メチル−1,3,5−トリアジン)(融点274℃〜276℃、分子量125.13)、ベンゾグアナミン(別名:2,4−ジアミノ−6−フェニル−1,3,5−トリアジン)(融点219℃〜221℃、分子量187.2)、ヘキサメチレンジアミン(融点39℃〜42℃、分子量116.20)、2,4−ジアミノトルエン(融点99℃、分子量122.17)、4,4’−ジアミノジフェニルメタン(別名:4,4’−メチレンジアニリン)(融点91℃、分子量198.26)、4,4’−ジアミノジフェニルエタン(融点136℃〜138℃、分子量212.29)等が挙げられる。
また、アミン化合物(B)としては、特開2004−203846号公報に記載されているグアナミン化合物及びその塩、特開2000−239485号公報に記載されている、尿素、尿素の誘導体、及びアミジン誘導体、並びに、特開平5−202007号公報に記載されているジグアナミン化合物のうち、融点が30℃以上であり一分子内にアミノ基を2つ以上有する化合物も挙げられる。
アミン化合物(B)としては、トリアジン構造を有する化合物が好ましく、グアナミン構造を有する化合物がより好ましい。
ここで、トリアジン構造を有する化合物としては、一分子内に、トリアジン構造を少なくとも1つ有していれば特に制限されない。また、グアナミン構造を有する化合物としては、一分子内に、グアナミン構造を少なくとも1つ有していれば特に制限されない。
ここで、グアナミン構造とは、下記式(1)で表される構造である。
式(1)において、*は、水素原子または炭素原子との結合位置を表す。
グアナミン構造を有する化合物としては、グアナミン、CTUグアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミンが挙げられる。
グアナミン構造を有する化合物の中でも、融点が200℃以上(好ましくは250℃以上)である化合物が特に好ましい。このような化合物としては、グアナミン、CTUグアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミンが挙げられ、グアナミン、CTUグアナミン、アセトグアナミンが好ましい。
アミン化合物(B)の分子量には特に制限はないが、本発明の効果をより効果的に奏する観点より、100以上1000以下が好ましく、200以上600以下がより好ましく、400以上500以下が特に好ましい。
本発明の樹脂組成物は、アミン化合物(B)を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。
また、本発明の樹脂組成物中におけるアミン化合物(B)の含有量は特に制限はないが、樹脂組成物全量に対し、0.05質量%〜40質量%が好ましく、0.1質量%〜40質量%がより好ましく、0.5質量%〜20質量%が更に好ましく、1質量%〜20質量%が更に好ましく、1質量%〜10質量%が特に好ましい。
<無機フィラー(C)>
本発明の樹脂組成物は、無機フィラー(C)を含有する。
本発明の樹脂組成物は、無機フィラー(C)を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。
無機フィラー(C)としては特に制限はなく、公知の無機フィラーを用いることができる。
無機フィラー(C)として、具体的には、炭酸カルシウム、クレー、タルク、シリカ、強化繊維(ガラス繊維、カーボン繊維など)、ガラスフレーク、マイカ、等が挙げられる。無機フィラー(C)としては、合成されたものを用いてもよいし、市販品を用いてもよい。
無機フィラー(C)は、難燃性をより向上させる観点から、炭酸カルシウム、クレー、タルク、及びシリカからなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、炭酸カルシウム、クレー、及びタルクからなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、炭酸カルシウムを含むことがより好ましい。
また、無機フィラー(C)が、炭酸カルシウム、クレー、タルク、及びシリカからなる群から選択される少なくとも1種(より好ましくは、炭酸カルシウム、クレー、及びタルクからなる群から選択される少なくとも1種、更に好ましくは炭酸カルシウム)を含むことにより、耐摩耗性も向上する。
無機フィラー(C)が炭酸カルシウムを含む場合、無機フィラー(C)は炭酸カルシウムのみを含むものであってもよいし、炭酸カルシウムと他の無機フィラー(例えば、クレー、タルク、及びシリカからなる群から選択される少なくとも1種)を含むものであってもよい。
無機フィラー(C)が炭酸カルシウムを含む場合、無機フィラー(C)全量に対する炭酸カルシウムの量の比率は、50質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上が更に好ましく、100質量%(前記無機フィラー(C)が、炭酸カルシウムのみからなる形態)が最も好ましい。
本発明の樹脂組成物中における無機フィラー(C)の含有量は特に制限はないが、樹脂組成物全量に対し、10質量%〜70質量%が好ましく、10質量%〜60質量%が好ましく、10質量%〜50質量%がより好ましい。
<その他の成分>
本発明の樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、上記成分以外のその他の成分を含んでいてもよい。
その他の成分としては、酸化防止剤、老化防止剤、光安定剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、滑剤(例えば、ステアリン酸亜鉛等のステアリン酸金属塩)、ブロッキング防止剤、可塑剤、粘着剤、着色剤(顔料、染料)、難燃剤(例えば、金属水酸化物(水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等))、難燃助剤、発泡剤、発泡助剤、ダイマー酸(又はその金属塩)などを挙げることができる。
但し、本発明の効果をより効果的に奏する観点からは、樹脂成分(A)、アミン化合物(B)、及び無機フィラー(C)の合計量は、樹脂組成物全量に対し、好ましくは80質量%以上であり、より好ましくは85質量%以上であり、特に好ましくは90質量%以上である。
本発明の樹脂組成物は、JIS K7210−1999に準拠し、230℃、10kg荷重の条件で測定されたメルトフローレート(MFR)が0.01〜1000g/10分であることが好ましく、0.1〜100g/10分であることがより好ましい。
<製造方法>
本発明の樹脂組成物を製造する方法としては、少なくとも、樹脂成分(A)、アミン化合物(B)、及び無機フィラー(C)を混合する方法であれば特に制限はない。
本発明の樹脂組成物を製造する方法の例として、
(方法1)樹脂成分(A)、アミン化合物(B)、及び無機フィラー(C)(及び、必要に応じその他の成分と)を溶融混合する方法や、
(方法2)まず、樹脂成分(A)とアミン化合物(B)とを溶融混合し、得られた混合物に無機フィラー(C)(及び、必要に応じその他の成分)を添加して更に溶融混合する方法、等が挙げられる。
このうち、各成分をより均一性良く混合させる観点からは、方法2が好ましい。
方法1及び方法2における溶融混合の形態としては、溶融混練が好ましい。
方法1及び方法2における溶融混合は、公知の混合装置(例えば、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダー等の混練装置)を用いて行うことができる。
上記方法1における溶融混合時の樹脂温度としては、150℃以上250℃以下が好ましい。
上記方法2において、樹脂成分(A)とアミン化合物(B)とを溶融混合する際の樹脂温度としては、200℃以上350℃以下が好ましく、200℃以上330℃以下がより好ましく、250℃以上300℃以下が特に好ましい。
上記方法2において、樹脂成分(A)及びアミン化合物(B)の混合物と無機フィラー(C)とを溶融混合する際の樹脂温度としては、150℃以上250℃以下が好ましく、かつ、樹脂成分(A)とアミン化合物(B)とを溶融混合する際の樹脂温度よりも低い温度であることが好ましい。
≪成形体≫
本発明の成形体は、本発明の樹脂組成物を含んで構成され、本発明の樹脂組成物を公知の方法により成形してなるものである。
成形の方法としては、ヒートプレス成形、押出成形(溶融押出成形)、射出成形、ブロー成形、延伸成形等、種々の方法が挙げられる。
既述のように、本発明の樹脂組成物は難燃性に優れていることから、該樹脂組成物を成形して得られた成形体は、天井材、床材等の建築、土木材料;自動車部品;OA機器;電気・電子部品、家電製品部品、太陽電池構成部品(例えばバックシートや封止材など)またはそれらの保管・収納ケース;文具;日用品などの用途に広く用いることができる。
次に、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら制限されるものではない。
以下において、「部」は質量部を表す。
また、原料としての樹脂成分のメルトフローレート(MFR)は、JIS K7210−1999に準拠し、190℃、2160g荷重の条件で測定した。
また、「エチレン含量」は、共重合体全体に対する、エチレンに由来する構造単位の含有量(質量%)を指す(他の「含量」との表記も同様である)。
<原料>
本実施例において使用した原料は以下のとおりである。
−樹脂成分−
・アイオノマー1:
エチレン・メタクリル酸共重合体(エチレン含量=85質量%、メタクリル酸含量=15質量%)の亜鉛アイオノマー(中和度=59%、MFR=0.9g/10分)
・アイオノマー2:
エチレン・メタクリル酸共重合体(エチレン含量=85質量%、メタクリル酸含量=15質量%)のナトリウムアイオノマー(中和度=54%、MFR=0.9g/10分)
・アイオノマー3:
エチレン・メタクリル酸・アクリル酸イソブチル共重合体(エチレン含量=80質量%、メタクリル酸含量=10質量%、アクリル酸イソブチル含量=10質量%)の亜鉛アイオノマー(中和度=70%、MFR=1g/10分)
・アイオノマー4:
エチレン・メタクリル酸共重合体(エチレン含量=85質量%、メタクリル酸含量=15質量%)の亜鉛アイオノマー(中和度=21%、MFR=16g/10分)
・EMAA1:
エチレン・メタクリル酸共重合体(エチレン含量=85質量%、メタクリル酸含量=15質量%、MFR=25g/10分)
・EMAA2:
エチレン・メタクリル酸・アクリル酸イソブチル共重合体(エチレン含量=80質量%、メタクリル酸含量=10質量%、アクリル酸イソブチル含量=10質量%、MFR=35g/10分)
・EMAA3:
エチレン・メタクリル酸・アクリル酸イソブチル共重合体(エチレン含量=80質量%、メタクリル酸含量=10質量%、アクリル酸イソブチル含量=10質量%、MFR=30g/10分)
・EEA1:
エチレン・アクリル酸エチル共重合体(エチレン含量=82質量%、アクリル酸エチル含量=18質量%、MFR=6g/10分)
・EEA2:
エチレン・アクリル酸エチル共重合体(エチレン含量=84質量%、アクリル酸エチル含量=16質量%、MFR=1g/10分)
・EVA1:
エチレン・酢酸ビニル共重合体(エチレン含量=81質量%、酢酸ビニル含量=19質量%、MFR=2.5g/10分)
・EVA2:
エチレン・酢酸ビニル共重合体(エチレン含量=83質量%、酢酸ビニル含量=17質量%、MFR=0.8g/10分)
・PE:
直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)((株)プライムポリマー製のエボリューSP0511;密度=903kg/m、MFR=1.2g/10分)
上記樹脂成分のうち、アイオノマー1、アイオノマー2、アイオノマー3、アイオノマー4、EMAA1、EMAA2、及びEMAA3は、本発明における樹脂成分(A)に該当する。
−アミン化合物−
・Aceto: アセトグアナミン(融点274℃〜276℃)
・CTU: CTUグアナミン(融点270℃)
・4,4’−ジアミノジフェニルメタン(融点91℃)
・1,3−BAC: 1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン(融点−70℃)
・エチレンジアミン(融点9℃)
上記アミン化合物のうち、Aceto、CTU、及び4,4’−ジアミノジフェニルメタンは、本発明におけるアミン化合物(B)に該当する。
−無機フィラー−
・炭酸カルシウム(CaCO;日東粉化工業(株)製(商品名;NCC#110))
・クレー(関東化学(株)製(商品名;カオリン))
・タルク(松村産業(株)製(商品名;ハイ・フィラー#5000PJ))
・シリカ(SiO;富士シリシア化学(株)製(商品名;サイリシア450))
−その他の成分−
・ステアリン酸亜鉛(和光純薬工業(株)製)
・水酸化マグネシウム(Mg(OH);協和化学工業(株)製の「キスマ5A」)
〔実施例1〕
<樹脂組成物の作製>
樹脂成分としてのアイオノマー1(95質量部)とアミン化合物としてのAceto(5質量部)とを樹脂温度275℃で15分間溶融混練し、得られた混練物(100質量部)と無機フィラーとしてのCaCO(50質量部)とを樹脂温度200℃で10分間溶融混練し、樹脂組成物を得た。
<成形体の作製及び評価>
得られた樹脂組成物を樹脂温度180℃でヒートプレスし、厚さ3mmの試験用シート1(成形体)を得た。
得られた試験用シート1から、80mm×6.5mm×厚さ3mmの試験片を切り出し、この試験片について、難燃性の評価として、以下の評価を行った。
評価結果を下記表1に示す。
(酸素指数(O.I)の測定)
上記試験片について、JIS K7201−1995に準拠して燃焼試験を行い、酸素指数(O.I)を測定した。
測定された酸素指数は、値が大きいほど、難燃性に優れている(即ち、難燃性が高い)ことを示している。
(ドリップの評価)
上記燃焼試験における燃焼時、目視によりドリップの有無を確認した。
ドリップが無いことは、難燃性に優れている(即ち、難燃性が高い)ことを示している。
〔実施例2〜12〕
実施例1において、樹脂成分の種類及び量、アミン化合物の種類及び量、並びに無機フィラーの種類及び量を、表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして樹脂組成物を作製し、実施例1と同様にして成形体の作製及び評価を行った。
評価結果を下記表1に示す。
〔実施例13〕
実施例4において、樹脂成分とアミン化合物と無機フィラーとを同時に樹脂温度200℃で10分間溶融混練したこと以外は実施例4と同様にして樹脂組成物を作製し、実施例4と同様にして成形体の作製及び評価を行った。
評価結果を下記表1に示す。
〔比較例1〕
実施例1において、アミン化合物及び無機フィラーを用いず、樹脂成分としてのアイオノマー1を用いて成形体を作製したこと以外は実施例1と同様にして成形体の作製及び評価を行った。
評価結果を下記表1に示す。
〔比較例2、17、及び20〕
比較例1において、樹脂成分の種類を表1に示すように変更したこと以外は比較例1と同様にして成形体の作製及び評価を行った。
評価結果を下記表1に示す。
〔比較例3〜13、15、16、18、19、21、22、及び23〕
実施例1において、樹脂成分の種類及び量、アミン化合物の種類及び量、並びに無機フィラーの種類及び量を、表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして樹脂組成物を作製し、実施例1と同様にして成形体の作製及び評価を行った。
ここで、アミン化合物の量を0質量部とした例(アミン化合物を用いなかった例)における樹脂組成物は、樹脂成分と無機フィラーとを樹脂温度200℃で10分間溶融混練することにより作製した。
また、無機フィラーの量を0質量部とした例(無機フィラーを用いなかった例)における樹脂組成物は、樹脂成分とアミン化合物とを樹脂温度275℃で15分間溶融混練することにより作製した。
評価結果を下記表1に示す。
〔比較例14〕
樹脂成分としてのアイオノマー1(95質量部)とアミン化合物としての1,3−BAC(5質量部)とを樹脂温度200℃で15分間溶融混練し、得られた混練物(100質量部)と無機フィラーとしてのCaCO(50質量部)とを樹脂温度200℃で10分間溶融混練し、樹脂組成物を作製し、実施例1と同様にして成形体の作製及び評価を行った。
評価結果を下記表1に示す。
−表1の説明−
・各成分の量(部)は、質量部である。
表1に示すように、樹脂成分(A)、アミン化合物(B)、及び無機フィラー(C)を用いた実施例1〜13では、樹脂成分(A)、アミン化合物(B)、及び無機フィラー(C)の少なくとも1つが欠けている比較例1〜23と比較して、酸素指数が高く、難燃性に優れていた。
詳細には、樹脂成分(A)としてアイオノマー1を用いた場合における難燃性向上効果は、例えば、実施例2、比較例1、比較例3、及び比較例7により確認できる。
即ち、アイオノマー1単独の比較例1(酸素指数19.0)と比較して、アイオノマー1にアミン化合物(B)のみを加えた比較例7(酸素指数19.0)では、酸素指数は増大しない。また、この比較例1と比較して、アイオノマー1に無機フィラー(C)のみを加えた比較例3(酸素指数21.5)でも、酸素指数はわずかに増大する程度である。これに対し、アイオノマー1にアミン化合物(B)及び無機フィラー(C)を加えた実施例2(酸素指数28.0)では、酸素指数が顕著に増大している。
同様にして、表1(特に酸素指数)からは、樹脂成分(A)としてアイオノマー2、アイオノマー3、又はEMAA1を用いた場合の難燃性向上効果も確認できる。
また、樹脂成分として樹脂成分(A)を用いることによる難燃性向上効果は、実施例1〜13及び比較例10〜13により確認できる。
例えば、樹脂成分(A)に該当しないEEA1にアミン化合物(B)及び無機フィラー(C)の両方を加えても(比較例12)、EEA1にアミン化合物(B)及び無機フィラー(C)のいずれか一方のみを加えた場合(比較例10、11)と比較して、酸素指数は殆ど増大しない。
〔実施例14〕
樹脂成分としてのアイオノマー3(85.5質量部)及びPE(9.5質量部)と、アミン化合物としてのAceto(5質量部)と、無機フィラーとしての炭酸カルシウム(50質量部)と、を同時に樹脂温度200℃で10分間溶融混練し、樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を用い、実施例13と同様にして、成形体の作製及び評価を行った。その結果、酸素指数は25.5であり、ドリップは無かった。
〔実施例15〕
樹脂成分としてのアイオノマー1(95質量部)とアミン化合物としての4,4’−ジアミノジフェニルメタン(和光純薬工業(株)製、融点91℃、5質量部)とを樹脂温度200℃で15分間溶融混練し、得られた混練物(100質量部)と無機フィラーとしてのCaCO(50質量部)とを樹脂温度200℃で10分間溶融混練し、樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を用い、実施例1と同様にして、成形体の作製及び評価を行った。その結果、酸素指数は26.0であり、ドリップは無かった。
〔比較例24〕
樹脂成分としてのアイオノマー1(95質量部)とアミン化合物としてのエチレンジアミン(和光純薬工業(株)製、融点9℃、5質量部)とを樹脂温度200℃で15分間溶融混練し、得られた混練物(100質量部)と無機フィラーとしてのCaCO(50質量部)とを樹脂温度200℃で10分間溶融混練し、樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を用い、実施例1と同様にして、成形体の作製及び評価を行った。その結果、酸素指数は24.0であり、ドリップは無かった。
〔実施例16〜19、比較例25〜30〕
下記表2に示す樹脂組成物を用い、実施例1と同様にして、成形体の作製及び評価を行った。評価結果を下記表2に示す。
下記表2中の混練方法「1」及び「2」の詳細は以下の通りである。
−混練方法−
「1」 ・・・ 実施例13における混練方法である。即ち、全ての成分を同時に樹脂温度200℃で10分間溶融混練する方法である。
「2」 ・・・ 実施例1における混練方法である。即ち、まず、樹脂成分とアミン化合物とを樹脂温度275℃で15分間溶融混練して混練物とし、次いで、この混練物と無機フィラーとを樹脂温度200℃で10分間溶融混練する方法である。
(成形体の作製及び耐摩耗性の評価)
これら実施例16〜19及び比較例25〜30では、更に、以下のようにして耐摩耗性の評価を行った。
得られた樹脂組成物を樹脂温度180℃でヒートプレスし、厚さ2mmの試験用シート2(成形体)を得た。
得られた上記試験用シート2から、直径107mm、厚さ2mmの円盤状試験片を切り出した。得られた円盤状試験片について、JIS K7204−1999を参考にして、23℃55%RHの環境下、テーバー磨耗試験機(株式会社 東洋精機製作所製、ロータリーアブレージョンテスター(Rotary Abrasion Tester)(型式T))を用い、磨耗輪としてCS17を用い、荷重1kg、回転速度60rpm、回転数1000回転の条件で、テーバー摩耗試験を行った。
上記テーバー摩耗試験前の円盤状試験片の質量から上記テーバー摩耗試験後の円盤状試験片の質量を差し引くことにより、テーバー摩耗量(mg)を求めた。このテーバー摩耗量(mg)は、値が小さいほど耐摩耗性に優れることを示す。
テーバー摩耗量(mg)を下記表2に示す。
表2に示すように、実施例16〜19は、難燃性及び耐摩耗性に優れていた。
2012年11月9日に出願された日本国特許出願2012−247484の開示はその全体が参照により本明細書に取り込まれる。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、および技術規格は、個々の文献、特許出願、および技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。

Claims (10)

  1. エチレンから導かれる構造単位と不飽和カルボン酸から導かれる構造単位とを含む共重合体及びそのアイオノマーの少なくとも一方である樹脂成分(A)と、融点が30℃以上であり一分子内にアミノ基を2つ以上有するアミン化合物(B)と、無機フィラー(C)と、を含有し、含有される樹脂成分の全量中に占める前記樹脂成分(A)の比率が、80質量%以上である樹脂組成物。
  2. 含有される樹脂成分の全量中に占める前記樹脂成分(A)の比率が、90質量%以上である請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記樹脂成分(A)と前記アミン化合物(B)との合計量を100質量部としたとき、前記樹脂成分(A)の量が99質量部〜80質量部であり、前記アミン化合物(B)の量が1質量部〜20質量部である請求項1又は請求項2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記樹脂成分(A)と前記アミン化合物(B)との合計量を100質量部としたとき、前記無機フィラー(C)の量が20質量部〜100質量部である請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  5. 前記アミン化合物(B)の融点が、200℃以上である請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  6. 前記アミン化合物(B)が、グアナミン構造を有する請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  7. 前記無機フィラー(C)が、炭酸カルシウム、クレー、タルク、及びシリカからなる群から選択される少なくとも1種を含む請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  8. 前記樹脂成分(A)が、前記アイオノマーを含む請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  9. 前記無機フィラー(C)が、炭酸カルシウムを含む請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  10. 請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含む成形体。
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