以下、図面を参照して本発明の例示的実施形態を詳細に説明する。なお、本例示的実施形態は本発明を限定するものではない。
[第1例示的実施形態]
本例示的実施形態の放射線画像撮影装置は、撮影対象である被写体を透過した放射線を検出して被写体の放射線画像を表す画像情報を出力することにより、撮影対象の放射線画像を撮影する機能を有する。
まず、図1を参照して本例示的実施形態の放射線画像撮影装置における電気系の構成の一例の概略を説明する。図1は、本例示的実施形態の放射線画像撮影装置における電気系の要部構成の一例を示すブロック図である。
図1に示すように、本例示的実施形態の放射線画像撮影装置1は、放射線検出器10、制御部100、駆動部102、信号処理部104、画像メモリ106、及び電源部108を備える。
放射線検出器10は、センサ基板12(図3参照)と、放射線を光に変換する変換層30(図3参照)と、を備える。センサ基板12は、可撓性の基材14と、基材14の第1の面14Aに設けられた複数の画素16と、を備えている。なお、以下では、複数の画素16について、単に「画素16」という場合がある。
図1に示すように本例示的実施形態の各画素16は、変換層が変換した光に応じて電荷を発生して蓄積するセンサ部22、及びセンサ部22にて蓄積された電荷を読み出すスイッチング素子20を備える。本例示的実施形態では、一例として、薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)をスイッチング素子20として用いている。そのため、以下では、スイッチング素子20を「TFT20」という。本例示的実施形態では、センサ部22及びTFT20が形成され、さらに平坦化された層として基材14の第1の面14Aに画素16が形成された層が設けられる。以下では、画素16が形成された層についても、説明の便宜上「画素16」という場合がある。
画素16は、センサ基板12の画素領域15に、一方向(図1の横方向に対応する走査配線方向、以下「行方向」ともいう)及び行方向に対する交差方向(図1の縦方向に対応する信号配線方向、以下「列方向」ともいう)に沿って二次元状に配置されている。図1では、画素16の配列を簡略化して示しているが、例えば、画素16は行方向及び列方向に1024個×1024個配置される。
また、放射線検出器10には、画素16の行毎に備えられた、TFT20のスイッチング状態(オン及びオフ)を制御するための複数の走査配線26と、画素16の列毎に備えられた、センサ部22に蓄積された電荷が読み出される複数の信号配線24と、が互いに交差して設けられている。複数の走査配線26の各々は、それぞれパッド(図6A等、パッド130参照)を介して、駆動部102に接続される。駆動部102には、後述する制御部100が接続されており、制御部100から出力される制御信号に応じて駆動信号を出力する。複数の走査配線26の各々は、駆動部102から出力される、TFT20を駆動してスイッチング状態を制御する駆動信号が、複数の走査配線の各々に流れる。また、複数の信号配線24の各々が、それぞれパッド(図6A等、パッド130参照)を介して、信号処理部104に接続されることにより、各画素16から読み出された電荷が、電気信号として信号処理部104に出力される。信号処理部104は、入力された電気信号に応じた画像データを生成して出力する。
信号処理部104には後述する制御部100が接続されており、信号処理部104から出力された画像データは制御部100に順次出力される。制御部100には画像メモリ106が接続されており、信号処理部104から順次出力された画像データは、制御部100による制御によって画像メモリ106に順次記憶される。画像メモリ106は所定の枚数分の画像データを記憶可能な記憶容量を有しており、放射線画像の撮影が行われる毎に、撮影によって得られた画像データが画像メモリ106に順次記憶される。
制御部100は、CPU(Central Processing Unit)100A、ROM(Read Only Memory)とRAM(Random Access Memory)等を含むメモリ100B、及びフラッシュメモリ等の不揮発性の記憶部100Cを備えている。制御部100の一例としては、マイクロコンピュータ等が挙げられる。制御部100は、放射線画像撮影装置1の全体の動作を制御する。
また、各画素16のセンサ部22には、各画素16にバイアス電圧を印加するために、共通配線28が信号配線24の配線方向に設けられている。共通配線28が、パッド(図6A等、パッド130参照)を介して、センサ基板12の外部のバイアス電源(図示省略)に接続されることにより、バイアス電源から各画素16にバイアス電圧が印加される。
電源部108は、制御部100、駆動部102、信号処理部104、及び画像メモリ106等の各種素子や各種回路に電力を供給する。なお、図3では、錯綜を回避するために、電源部108と各種素子や各種回路を接続する配線の図示を省略している。
さらに、本例示的実施形態の放射線検出器10について詳細に説明する。図2Aは、本例示的実施形態の放射線検出器10を、第1の面14A側からみた平面図である。また、図3は、図2Aにおける放射線検出器10のA−A線断面図である。
本例示的実施形態の放射線検出器10は、図2A及び図3に示すように、基材14及び画素16を含むセンサ基板12と、変換層30と、粘着層32と、反射層34と、接着層36と、保護層38と、接着層40と、弾力層42と、を備えており、基材14、画素16、及び変換層30がこの順に設けられている。なお、以下では、基材14、画素16、及び変換層30が並ぶ方向(図3における上下方向)を積層方向(図3、積層方向P参照)という。また、説明の便宜上、放射線検出器10における積層方向Pの変換層30側を「上」といい、センサ基板12側を「下」という場合がある。
基材14は、可撓性を有し、例えば、PI(PolyImide:ポリイミド)等のプラスチックを含む樹脂シートである。基材14の厚みは、材質の硬度、及びセンサ基板12の大きさ(第1の面14Aまたは第2の面14Bの面積)等に応じて、所望の可撓性が得られる厚みであればよい。可撓性を有する例としては、矩形状の基材14単体の場合に、基材14の1辺を固定した状態で、固定した辺より10cm離れた位置で基材14の自重による重力で2mm以上、基材14が垂れ下がる(固定した辺の高さよりも低くなる)ものを指す。基材14が樹脂シートの場合の具体例としては、厚みが5μm〜125μmのものであればよく、厚みが20μm〜50μmのものであればより好ましい。
なお、基材14は、詳細を後述する画素16の製造に耐え得る特性を有しており、本例示的実施形態では、アモルファスシリコンTFT(a−Si TFT)の製造に耐え得る特性を有している。このような、基材14が有する特性としては、300℃〜400℃における熱膨張率(CTE:Coefficient of Thermal Expansion)が、アモルファスシリコン(Si)ウェハと同程度(例えば、±5ppm/K)であることが好ましく、具体的には、20ppm/K以下であることが好ましい。また、基材14の熱収縮率としては、厚みが25μmの状態において400℃におけるMD(Machine Direction)方向の熱収縮率が0.5%以下であることが好ましい。また、基材14の弾性率は、300℃〜400℃間の温度領域において、一般的なPIが有する転移点を有さず、500℃における弾性率が1GPa以上であることが好ましい。
また、本例示的実施形態の基材14は、図2B及び図2Cに示したように、平均粒子径が0.05μm以上、2.5μm以下の無機の微粒子14Pを含む微粒子層14Lを有することが好ましい。なお、図2Cは、本例示的実施形態の放射線検出器10を、センサ基板12側から放射線Rが照射される、ISS(Irradiation Side Sampling)方式の放射線検出器に適用した場合の例を示す。
図2C及び図2Dに示すように、基材14では、被写体Sを透過した放射線Rにより、後方散乱線Rbが発生する。基材14がPI等の樹脂製の場合、有機物であるため、有機物を構成する、比較的原子番号の小さい、C、H、O、及びN等の原子は、コンプトン効果により、後方散乱線Rbが多くなる。
図2Cに示すように、基材14が、基材14内で発生した後方散乱線Rbを吸収する微粒子14Pを含む微粒子層14Lを有する場合、図2Dに示すように、基材14が、微粒子層14Lを有さない場合に比べて、基材14を透過し、後方に散乱する後方散乱線Rbが抑制されるため、好ましい。
このような微粒子14Pとしては、自身による後方散乱線Rbの発生量が少なく、また、後方散乱線Rbを吸収する一方、被写体Sを透過した放射線Rの吸収が少ない原子を含む無機物が好ましい。なお、後方散乱線Rbの抑制と、放射線Rの透過性とはトレードオフの関係にある後方散乱線Rbの抑制の観点からは、微粒子14Pは、基材14の樹脂を構成するC、H、O、及びN等よりも原子番号が大きい元素を含んでいることが好ましい。一方、原子番号が大きいほど、後方散乱線Rbを吸収する能力が高くなるものの、原子番号が30を超えると、放射線Rの吸収量が増加し、変換層30に到達する放射線Rの線量の減少が著しくなるため好ましくない。そのため、微粒子14Pは、樹脂性の基材14の場合、原子番号が、基材14である有機物を構成する原子よりも大きく、かつ30以下である無機物を用いることが好ましい。このような微粒子14Pの具体例としては、原子番号が14のSiの酸化物であるSiO2、原子番号が12のMgの酸化物であるMgO、原子番号が13のAlの酸化物であるAl2O3、及び原子番号が22のTiの酸化物であるTiO2等が挙げられる。
このような特性を有する樹脂シートの具体例としては、XENOMAX(登録商標)が挙げられる。
なお、本例示的実施形態における上記の厚みについては、マイクロメーターを用いて測定した。熱膨張率については、JIS K7197:1991に則して測定した。なお測定は、基材14の主面から、15度ずつ角度を変えて試験片を切り出し、切り出した各試験片について熱膨張率を測定し、最も高い値を基材14の熱膨張率とした。熱膨張率の測定は、MD(Machine Direction)方向およびTD(Transverse Direction)方向のそれぞれについて、−50℃〜450℃において10℃間隔で行い、(ppm/℃)を(ppm/K)に換算した。熱膨張率の測定には、MACサイエンス社製 TMA4000S装置を用い、サンプル長さを10mm、サンプル幅を2mm、初荷重を34.5g/mm2、昇温速度を5℃/min、及び雰囲気をアルゴンとした。弾性率については、JIS K 7171:2016に則して測定した。なお測定は、基材14の主面から、15度ずつ角度を変えて試験片を切り出し、切り出した各試験片について引っ張り試験を行い、最も高い値を基材14の弾性率とした。
なお、微粒子層14Lに含まれる微粒子14Pにより、基材14の表面に凹凸が生じる場合がある。このように基材14の表面に凹凸が生じた状態の上には、画素16の形成が困難な場合がある。そのため、図2Cに示すように、基材14は、画素16が形成される第1の面と反対側の第2の面14B、換言すると変換層30が設けられる第1の面と反対側の第2の面14Bに、微粒子層14Lを有することが好ましい。
また、基材14内で発生した後方散乱線Rbを十分に吸収するためには、基材14において、被写体Sに近い側の面に、微粒子層14Lを有することが好ましく、図2Cに示すようにISS方式の放射線検出器10では、第2の面14Bに、微粒子層14Lを有することが好ましい。
このようにISS方式の放射線検出器10では、基材14が、第2の面14Bに微粒子層14Lを有することにより、精度良く画素16を形成することができ、かつ効果的に後方散乱線Rbを抑制することができる。
なお、所望の可撓性を有する基材14としては、樹脂シート等、樹脂製のものに限定されない。例えば、基材14は、厚みが比較的薄いガラス基板等であってもよい。基材14がガラス基板の場合の具体例としては、一般に、一辺が43cm程度のサイズでは、厚さが0.3mm以下ならば可撓性を有しているため、厚さが0.3mm以下のものであれば所望のガラス基板であってもよい。
図2A及び図3に示すように、複数の画素16は、基材14の第1の面14Aにおける内側の一部の領域に設けられている。換言すると、本例示的実施形態のセンサ基板12では、基材14の第1の面14Aの外周部には、画素16が設けられていない。本例示的実施形態では、基材14の第1の面14Aにおける画素16が設けられた領域を画素領域15としている。なお、本例示的実施形態では、センサ基板12について「外周部」とは、センサ基板12の第1の面14A(または第2の面14B)において外縁(センサ基板12の縁)から中心に向けた所定の範囲の領域をいい、本例示的実施形態では、少なくとも、変換層30が設けられた領域外のことをいう。また、センサ基板12における外周部に囲まれた内周部には、少なくとも画素領域15全体が含まれる。
また、本例示的実施形態のセンサ基板12では、外縁部から中心に向けた所定の範囲の領域をパッド部17としている。パッド部17とは、上述した複数の走査配線26、複数の信号配線24、共通配線28及び後述する制御基板110(図6A等参照)等の各種のフレキシブルなケーブル(図6A等、ケーブル112参照)が接続されるパッド(図6A等、パッド130参照)が設けられる領域である。本例示的実施形態のパッド部17が、本開示の端子部の一例である。なお、走査配線26が接続される駆動部102、信号配線24が接続される信号処理部等の回路基板、制御基板110を総称する場合、「PCB(Printed Circuit Board:プリント配線基板)」という。
図2及び図3に示すように、本例示的実施形態の変換層30は、センサ基板12の画素領域15を含む一部の領域上に設けられている。このように、本例示的実施形態の変換層30は、センサ基板12の外周部の領域上には設けられていない。
本例示的実施形態では、変換層30の一例としてCsI(ヨウ化セシウム)を含むシンチレータを用いている。このようなシンチレータとしては、例えば、X線照射時の発光スペクトルが400nm〜700nmであるCsI:Tl(タリウムが添加されたヨウ化セシウム)やCsI:Na(ナトリウムが添加されたヨウ化セシウム)を含むことが好ましい。なお、CsI:Tlの可視光域における発光ピーク波長は565nmである。
本例示的実施形態の放射線検出器10では、一例として、変換層30は、センサ基板12上に直接、真空蒸着法、スパッタリング法、及びCVD(Chemical Vapor Deposition)法等の気相堆積法によって短冊状の柱状結晶として形成される。変換層30の形成方法としては、例えば、変換層30としてCsI:Tlを用いた場合、真空度0.01Pa〜10Paの環境下、CsI:Tlを抵抗加熱式のるつぼ等の加熱手段により加熱して気化させ、センサ基板12の温度を室温(20℃)〜300℃としてCsI:Tlをセンサ基板12上に堆積させる真空蒸着法が挙げられる。変換層30の厚さとしては、100μm〜800μmが好ましい。
なお、本例示的実施形態では、変換層30の柱状結晶の、成長方向の基点側(本例示的実施形態ではセンサ基板12側)の端部を「根元」といい、成長方向における根元と反対側の尖った端部を「先端」という。
また、本例示的実施形態の変換層30は、上述のように気相堆積法により形成しているため、図3に示すように、変換層30の外周の領域は、全体的に見ると外側に向かうほど厚さが薄くなる傾向を有しており、そのため、外側に向かうほど厚さが薄くなる傾斜を有している。本例示的実施形態では、製造誤差及び測定誤差を無視すると厚さが略一定とみなせる、変換層30の中央から所定の範囲内における変換層30の厚さの平均値を基準とし、一例として図4に示したように、基準の厚さに対する相対的な膜厚(以下、「相対膜厚」という)が90%以下の外周の領域を「周縁部(周縁部30C)」という。また、図4に示すように、周縁部30Cに囲まれた変換層30の領域を「中央部(中央部30B)」という。換言すると、「中央部」とは、変換層30の厚さが略一定の部分を少なくとも含み、相対膜厚が90%を超える部分も含む領域のことをいう。本例示的実施形態では、具体例として、変換層30の外周から5mm以内の領域内であり、かつ相対膜厚が90%以下の外周の領域を「周縁部(周縁部30C)」という。そのため、図3及び図4等に示すように、周縁部30Cでは、変換層30の厚さが外周(縁)に向けて徐々に薄くなる傾向にある。
なお、本例示的実施形態では、変換層30の厚さが外周に向けて薄くなる例として、一定の傾斜を有し徐々に厚さが薄くなる形態を例示したが、この形態に限定されず、例えば、階段状に厚さが変化する形態であってもよい。
粘着層32は、一例として図2及び図3に示すように、本例示的実施形態の放射線検出器10では、粘着層32及び反射層34が、中央部(30B)及び周縁部(30C)を含む変換層30上の領域全体に設けられている。換言すると、本例示的実施形態の粘着層32及び反射層34は、変換層30の上面全体を覆っている。一方、本例示的実施形態の粘着層32及び反射層34は、センサ基板12の上に直接設けられてはいない。
本例示的実施形態の粘着層32は、光透過性の層であり、粘着層32の材料としては、アクリル系粘着剤、ホットメルト系粘着剤、及びシリコーン系接着剤等が挙げられる。アクリル系粘着剤としては、例えば、ウレタンアクリレート、アクリル樹脂アクリレート、及びエポキシアクリレート等が挙げられる。ホットメルト系粘着剤としては、例えば、EVA(エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂)、EAA(エチレンとアクリル酸の共重合樹脂)、EEA(エチレン−エチルアクリレート共重合樹脂)、及びEMMA(エチレン−メタクリル酸メチル共重合体)等の熱可塑性プラスチックが挙げられる。
粘着層32の厚さが厚くなるほど、すなわち、変換層30と反射層34との間隔が広がるほど、変換層30により変換された光が粘着層32内でぼけてしまうため、結果として、放射線検出器10により得られる放射線画像がぼやけた画像となる。そのため、粘着層32の厚さが厚くなるほど、MTF(Modulation Transfer Function)及びDQE(Detective Quantum Efficiency)が低下し、かつその低下度合も大きくなる。
一方、粘着層32を設けない場合も含み、粘着層32の厚さを薄くしすぎた場合、変換層30と反射層34との間に、微小な空気層(図示省略)が形成される場合がある。この場合、変換層30から反射層34に向かった光が、空気層と変換層30との間、及び空気層と反射層34との間で多重反射が生じる。多重反射によって光が減衰してしまうと、放射線検出器10の感度が低下する。粘着層32の厚さが7μmを越えると、DQEの低下度合がより大きくなり、粘着層32を設けない場合(厚さが0μmの場合)よりも低下してしまう。また、粘着層32の厚さが2μm未満の場合、放射線検出器10の感度が低下する。そこで、本例示的実施形態では、粘着層32の厚さを2μm以上、7μm以下としている。なお、材料によっても異なるが粘着層32の屈折率は、概ね1.5程度である。
なお、粘着層32は、反射層34を変換層30に固定する機能を有するが、粘着層32の厚さが2μm以上であれば、反射層34が変換層30に対して面内方向(厚さ方向と交差する方向)においてずれてしまうことを抑制する十分な効果が得られる。
一方、反射層34は、一例として図2及び図3に示すように、粘着層32上に設けられており、粘着層32そのものの上面全体を覆っている。反射層34は、変換層30で変換された光を反射する機能を有する。
反射層34の材料としては、有機系の材料を用いたものが好ましく、例えば、白PET(Polyethylene Terephthalate)、TiO2、Al2O3、発泡白PET、ポリエステル系高反射シート、及び鏡面反射アルミ等の少なくとも1つを材料として用いたものが好ましい。特に、反射率の観点から、白PETを材料として用いたものが好ましい。
なお白PETとは、PETに、TiO2や硫酸バリウム等の白色顔料を添加したものである。また、ポリエステル系高反射シートとは、薄いポリエステルのシートを複数重ねた多層構造を有するシート(フィルム)である。また、発泡白PETとは、表面が多孔質になっている白PETである。
本例示的実施形態では、反射層34の厚さは、10μm以上、40μm以下としている。反射層34の厚さが厚くなると、反射層34の外周部の上面と変換層30の上面との間の段差が大きくなる。本例示的実施形態では、接着層36及び保護層38のシート(フィルム)を反射層34までが形成された状態のセンサ基板12に貼り合わせることにより放射線検出器10を製造している。上記段差が大きいと、反射層34の上に接着層36及び保護層38を貼り合わせた場合に、この段差部分において、接着層36及び保護層38の少なくとも一方が浮き上がってしまう場合がある。
また、反射層34の厚さが厚くなると、いわばコシがある状態になるため、変換層30の周縁部30Cの傾斜に沿って曲がり難くなる場合があり、加工し難くなる。
そのため、これらの観点から、本例示的実施形態の放射線検出器10では、反射層34の材料として白PETを用いた場合、上述のように反射層34の厚さを40μm以下としている。
一方、反射層34の厚さが薄くなるほど、反射率が低下する。反射率が低下すると、放射線検出器10により得られる放射線画像の画質も低下する傾向がある。そのため、放射線検出器10により得られる放射線画像の画質の観点から、所望の反射率(例えば、80%)を考慮して反射層34の厚さの下限を定めることが好ましい。本例示的実施形態の放射線検出器10では、反射層34の材料として白PETを用いた場合、上述のように反射層34の厚さを10μm以上としている。
一方、接着層36は、一例として図2及び図3に示すように、センサ基板12における変換層30の外周部近傍の領域上から反射層34端部を覆う領域まで設けられている。換言すると、本例示的実施形態の放射線検出器10では、粘着層32及び反射層34が設けられた変換層30全体を覆う接着層36が、センサ基板12の表面のパッド部17以外の領域に直接固定(接着)されている。接着層36は、反射層34を、センサ基板12及び変換層30に対して固定する機能を有する。また、接着層36は、保護層38を固定する機能を有する。接着層36の材料としては、例えば、粘着層32と同様の材料が挙げられる。なお、本例示的実施形態では、接着層36が有する接着力は、粘着層32が有する接着力よりも強い。
さらに、保護層38は、一例として図2及び図3に示すように、接着層36上に設けられており、本例示的実施形態の保護層38は、粘着層32及び反射層34に上面が覆われた状態の変換層30を覆う接着層36の上面全体を覆っている。本例示的実施形態の保護層38は、変換層30を湿気等の水分から保護する機能を有する。また、本例示的実施形態の保護層38は、接着層36と共に、反射層34を、センサ基板12及び変換層30に対して固定する機能を有する。保護層38の材料としては、例えば、有機膜が挙げられ、例えば、PET、PPS(PolyPhenylene Sulfide:ポリフェニレンサルファイド)、OPP(Oriented PolyPropylene:二軸延伸ポリプロピレンフィルム)、PEN(PolyEthylene Naphthalate:ポリエチレンナフタレート)、PI等が挙げられる。また、保護層38としては、ポリエチレンテレフタレート等の絶縁性のシート(フィルム)に、アルミ箔を接着させる等してアルミを積層したアルペット(登録商標)のシートを用いてもよい。
なお、以下では、変換層30、粘着層32、反射層34、接着層36、及び保護層38が積層された状態のものを積層体19という。
一方、弾力層42は、一例として図2及び図3に示すように、変換層30における、センサ基板12が設けられた側の反対側(図3の上側)に設けられている。具体的には、本例示的実施形態の弾力層42は、図2及び図3に示すように、変換層30の中央部30Bと接着層40を介して積層されており、変換層30を挟んでセンサ基板12と略並行に突出している。図3に示すように、弾力層42は、変換層30の中央部30Bに対応する領域のみ積層体19と接着層40を介して積層されている。
また、図2及び図3に示すように、弾力層42の端部の位置は、接着層36及び保護層38の端部と位置と同様とされている。弾力層42は、パッド部17に対応する領域には突出されておらず、センサ基板12とは直接接してはいない。本例示的実施形態の放射線検出器10では、このように、パッド部17と対応する領域には弾力層42を設けないことにより、パッド部17にケーブル112(図6A等参照)を接続する等、いわゆるリワーク等を行う場合に、弾力層42が邪魔になることを抑制する。
なお、接着層40は、一例として図2及び図3に示すように、変換層30の中央部30Bに対応する領域に設けられている。接着層40は、弾力層42を、積層体19に対して固定する機能を有する。接着層40の材料としては、例えば、粘着層32及び接着層36と同様の材料が挙げられる。
弾力層42は、詳細を後述するように、センサ基板12(基材14)に撓みが生じた場合に、センサ基板12を撓む前の状態に戻す復元力を有する。具体的には、本例示的実施形態の弾力層42は、センサ基板12よりも撓みに対する高い復元力を有している。また、本例示的実施形態の弾力層42は、センサ基板12(基材14)を撓みにくくするために、センサ基板12よりも高い剛性を有している。
このような特性を有する弾力層42としては、有機系の材料を用いたものが好ましく、例えば、PET、白PET、及び発泡白PET等の少なくとも1つを材料として用いたシート等が好ましい。また、弾力層42の他の例としては、PC(Polycarbonate:ポリカーボネート)、LDPE(Low Density Polyethylene:低密度ポリエチレン)、PPS、OPP、PEN、及びPI等の有機膜等が挙げられる。
また、本例示的実施形態では一例として、弾力層42の厚さは、弾力層42の材質や、所望の復元力等に応じて予め定められる。また、所望の復元力は、基材14の厚さや、想定されるセンサ基板12(基材14)の撓み量等に応じて定められ、厚さとして例えば1mmが挙げられる。なお、弾力層42の厚さが薄くなるほど復元力は小さくなる。また厚さが厚くなるほど復元力が大きく、さらに撓みにくくなるが、後述するセンサ基板12の製造工程等において、センサ基板12を撓ませたい場合に撓みにくくなり、また放射線検出器10の積層方向Pの寸法が大きくなる。そのため、弾力層42の厚さは所望の復元力が得られる最低限の厚さとすることが好ましい。
具体的には、本例示的実施形態の弾力層42は、曲げ弾性率が150MPa以上、2500MPa以下の素材を用いることが好ましい。曲げ弾性率の測定方法は、例えばJIS K 7171:2016準拠に基づく。弾力層42は、基材14の撓みを抑制する観点からは、基材14よりも曲げ剛性が高いことが好ましい。なお、曲げ弾性率が低くなると曲げ剛性も低くなり、所望の曲げ剛性を得るためには、弾力層42の厚みを厚くしなくてはならず、放射線検出器10全体の厚みが増大してしまう。上述の弾力層42の材料を考慮すると、140000Pacm4を越える曲げ曲げ剛性を得ようとする場合、弾力層42の厚みが、比較的厚くなってしまう傾向がある。そのため、適切な剛性が得られ、かつ放射線検出器10全体の厚みを考慮すると、弾力層42に用いる素材は、曲げ弾性率が150MPa以上、2500MPa以下であることがより好ましい。また、弾力層42の曲げ剛性は、540Pacm4以上、140000Pacm4以下であることが好ましい。
また、本例示的実施形態の弾力層42の熱膨張率は、変換層30の材料の熱膨張率に近い方が好ましく、より好ましくは、変換層30の熱膨張率に対する弾力層42の熱膨張率の比(弾力層42の熱膨張率/変換層30の熱膨張率)が、0.5以上、4以下であることが好ましい。このような弾力層42の熱膨張率としては、30ppm/K以上、200ppm/K以下であることが好ましい。例えば、変換層30がCsI:Tlを材料とする場合、熱膨張率は、50ppm/Kである。この場合、熱膨張率が100ppm/K〜200ppm/KであるLDPE、熱膨張率が60ppm/K〜80ppm/Kであるポリ塩化ビニル(PVC:Polyvinyl Chloride)、熱膨張率が70ppm/K〜80ppm/Kであるアクリル、熱膨張率が65ppm/K〜70ppm/KであるPET、熱膨張率が65ppm/KであるPC、及び熱膨張率が45ppm/K〜70ppm/Kであるテフロン(登録商標)等が、弾力層42の材料として挙げられる。
さらに、上述した曲げ弾性率を考慮すると、弾力層42の材料としては、PET、PC、及びLDPEの少なくとも一つを含む材料であることがより好ましい。
なお、弾力層42は、弾力性の観点からは、降伏点を有する材料を含むことが好ましい。なお、本例示的実施形態において「降伏点」とは、材料を引っ張った場合に、応力が一旦、急激に下がる現象をいい、応力とひずみとの関係を表す曲線上で、応力が増えずにひずみが増える点のことをいい、材料について引っ張り強度試験を行った際の応力−ひずみ曲線における頂部を指す。降伏点を有する樹脂としては、一般的に、硬くて粘りが強い樹脂、及び柔らかくて粘りが強く、かつ中程度の強度の樹脂が挙げられる。硬くて粘りが強い樹脂としては、例えば、PC等が挙げられる。また、柔らかくて粘りが強く、かつ中程度の強度の樹脂としては、例えば、ポリプロピレン等が挙げられる。
なお、本例示的実施形態の放射線検出器10は、図5に示した一例のように、基材14に比べて厚さの厚いガラス基板等の支持体50に、剥離層51を介して、例えば、ラミネート法等によりセンサ基板12が形成される。なお、ラミネート法によりセンサ基板12を形成する場合、剥離層51上に、基材14となるシートを貼り合わせる。
さらに、上述したように、基材14の上に、変換層30、粘着層32、反射層34、接着層36、及び保護層38を順次設け、積層体19を形成する。さらに積層体19上に、接着層40及び弾力層42を順次形成する。その後、剥離層51により、センサ基板12を支持体50から剥離する。剥離方法は特に限定されず、例えば、メカニカル剥離では、センサ基板12(基材14)の四辺のいずれかを剥離の起点とし、起点となる辺から対向する辺に向けて徐々にセンサ基板12を支持体50から引きはがすことにより、センサ基板12の剥離を行えばよい。また、例えば、レーザ剥離(laser Lift Off)では、支持体50の裏面(センサ基板12が設けられている面と反対側の面)からレーザを照射し、支持体50を透過してレーザにより剥離層51を分解させることにより、支持体50からセンサ基板12を剥離すればよい。
ここで、支持体50からセンサ基板12を剥離する場合、センサ基板12が撓む。特に、メカニカル剥離では、センサ基板12を撓ませながら支持体50から剥離する場合が多い。センサ基板12に用いられる可撓性の基材14は、ガラス製の基材に比べて剛性が低いため、撓みやすい。また、センサ基板12が撓む場合、基材14全体が一体的に撓むのではなく、部分的または局所的に撓んだり歪んだり、基材14の面内(第1の面14A及び第2の面14B)の位置毎に撓み方が異なったりする場合がある。このような場合に生じる撓みや歪みについて、全体が一体的に撓むのに対して本例示的実施形態では、「不連続な撓み」と称する。また、この不連続な撓みは、特に、変換層30の外周部近傍において、比較的起きやすい傾向がある。
このようにセンサ基板12(基材14)が撓む場合、本例示的実施形態の放射線検出器10では、弾力層42が基材14よりも高い復元力を有しているため、生じた撓み部分が元の状態(撓む前の状態)に戻り易く、また、基材14が撓み過ぎるのを抑制することができる。
一方、センサ基板12(基材14)に撓みが生じたままの場合、特に不連続な撓みが生じたままの場合、センサ基板12から変換層30が剥離し易くなったり、変換層30や画素16が損傷し易くなったりする。
本例示的実施形態の放射線検出器10では、上述したように、弾力層42が基材14よりも高い復元力を有しているため、生じた撓み部分が元の状態(撓む前の状態)に戻り易く、また、基材14が撓み過ぎるのを抑制する。
従って、本例示的実施形態の放射線検出器10によれば、支持体50を用いて製造される可撓性の基材14を有するセンサ基板12を備えた放射線検出器10の製造工程において、センサ基板12を支持体50から剥離する際に生じる撓みの影響を抑制することができる。
また、本例示的実施形態の放射線検出器10は、図2及び図3に示したように、支持体50からセンサ基板12を剥離した後も、弾力層42が積層体19上に設けられている。そのため、放射線検出器10の製造後、特に放射線画像撮影装置1としてではなく、センサ基板12が単体で取り扱われる場合に、センサ基板12(基材14)が撓んだ場合についても、弾力層42が撓みに対する高い復元力を有しているため、上述したような撓みの影響による問題を抑制することができる。
次に、本例示的実施形態の放射線検出器10を適用した放射線画像撮影装置1について説明する。放射線画像撮影装置1では、放射線を透過し、防水性、抗菌性、及び密閉性を有する筐体内に放射線検出器10が設けられている。
図6Aには、PSS方式(Penetration Side Sampling)に本例示的実施形態の放射線画像撮影装置1を適用した場合における、放射線検出器10が筐体120内に設けられた状態の一例を示す。
図6Aに示すように、筐体120内には、放射線検出器10、電源部108、及び制御基板110が積層方向Pと交差する方向に並んで設けられている。放射線検出器10は、被写体を透過した放射線が照射される筐体120の撮影面120A側と反対側、すなわち放射線が出射される筐体120の側に、基材14の第2の面14Bが対向する状態で設けられている。
また、図6Bには、ISS方式に本例示的実施形態の放射線画像撮影装置1を適用した場合における、放射線検出器10が筐体120内に設けられた状態の一例を示す。
図6Bに示すように、筐体120内には、放射線検出器10、電源部108、及び制御基板110が積層方向Pと交差する方向に並んで設けられている。放射線検出器10は、被写体を透過した放射線が照射される筐体120の、放射線が照射される照射面である撮影面120A側に、基材14の第2の面14Bが対向するように設けられている。
制御基板110は、画像メモリ106及び制御部100等が形成された基板であり、放射線検出器10のパッド部17に設けられたパッド130に接続された複数の信号配線を含むケーブル112により、センサ基板12の画素16と電気的に接続されている。なお、本例示的実施形態では、ケーブル112上に駆動部102及び信号処理部104が設けられた、いわゆる、COF(Chip On Film)としているが、駆動部102及び信号処理部104の少なくとも一方が制御基板110に形成されていてもよい。また、制御基板110と電源部108とは、電源線114により接続されている。
筐体120は、軽量であり、放射線R、特にX線の吸収率が低く、且つ高剛性であることが好ましく、弾性率が十分に高い材料により構成されることが好ましい。筐体120の材料として、曲げ弾性率が10000MPa以上である材料を用いることが好ましい。筐体120の材料として、20000〜60000MPa程度の曲げ弾性率を有するカーボンまたはCFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics)を好適に用いることができる。
放射線画像撮影装置1による放射線画像の撮影においては、筐体120の撮影面120Aに被写体からの荷重が印加される。筐体120の剛性が不足する場合、被写体からの荷重によりセンサ基板12に撓みが生じ、画素16が損傷する等の不具合が発生するおそれがある。10000MPa以上の曲げ弾性率を有する材料からなる筐体120内部に、放射線検出器10が収容されることで、被写体からの荷重によるセンサ基板12の撓みを抑制することが可能となる。
図6A及び図6Bに示した放射線画像撮影装置1は、放射線検出器10を基材14の第2の面14Bの面外方向に撓ませた状態で放射線画像の撮影を行うことが可能である。例えば、被写体の撮影部位等に応じて放射線検出器10を撓ませた状態に維持して放射線画像の撮影を行うことができる。
図6A及び図6Bに示した放射線画像撮影装置1では、相対的に剛性の高い筐体120の周辺部に電源部108及び制御基板110が設けられるため、電源部108及び制御基板110に与える外力の影響を抑制することができる。
なお、図6A及び図6Bでは、電源部108及び制御基板110の両方を放射線検出器10の一方の側、具体的には、矩形状の放射線検出器10の一方の辺の側に設けた形態を示したが、電源部108及び制御基板110を設ける位置は図6A及び図6Bに示した形態に限定されない。例えば、電源部108及び制御基板110を、放射線検出器10の対向する2辺の各々に分散させて設けてもよいし、隣接する2辺の各々に分散させて設けてもよい。また、図6A及び図6Bでは、電源部108及び制御基板110を1つの構成部(基板)とした形態を示したが、図6A及び図6Bに示した形態に限定されず、電源部108及び制御基板110の少なくとも一方を複数の構成部(基板)とした形態であってもよい。例えば、電源部108を第1電源部及び第2電源部(いずれも図示省略)を含む形態とし、第1電源部及び第2電源部の各々を、放射線検出器10の対向する2辺の各々に分散させて設けてもよい。
なお、放射線画像撮影装置1(放射線検出器10)全体を撓ませて放射線画像の撮影を行った場合、撓みによる画像への影響は画像補正を行うことにより抑制することができる。
また、図6A及び図6Bに示す例のように、電源部108及び制御基板110の各々の方が、放射線検出器10よりも厚みを有している場合が多い。このような場合、図6Cに示す例のように、電源部108及び制御基板110の各々が設けられている筐体120の部分の厚みよりも、放射線検出器10が設けられている筐体120の部分の厚みの方が薄くてもよい。なお、このように、電源部108及び制御基板110の各々が設けられている筐体120の部分と、放射線検出器10が設けられている筐体120の部分とで、厚みを異ならせる場合、両部分の境界部に段差が生じていると境界部120Bに接触した被検者に違和感等を与える懸念があるため、境界部120Bの形態は傾斜を有する状態とすることが好ましい。
これにより、放射線検出器10の厚さに応じた極薄型の可搬型電子カセッテを構成することが可能となる。
また例えば、この場合、電源部108及び制御基板110の各々が設けられている筐体120の部分と、放射線検出器10が設けられている筐体120の部分とで、筐体120の材質が異なっていてもよい。さらに、例えば、電源部108及び制御基板110の各々が設けられている筐体120の部分と、放射線検出器10が設けられている筐体120の部分とが、別体として構成されていてもよい。
また、上述したように、筐体120は、放射線R、特にX線の吸収率が低く、且つ高剛性であることが好ましく、弾性率が十分に高い材料により構成されることが好ましいが、図6Dに示す例のように、筐体120の撮影面120Aに対応する部分120Cについて、放射線Rの吸収率が低く、且つ高剛性であり、弾性率が十分に高い材料で構成し、その他の部分については、部分120Cと異なる材料、例えば、部分120Cよりも弾性率が低い材料で構成してもよい。
また、図6Eに示す例のように、放射線検出器10と筐体120の内壁面とが接していてもよい。この場合、放射線検出器10と筐体120の内壁面とは、接着層を介して接着されていてもよいし、接着層を介さずに単に接触しているだけでもよい。このように、放射線検出器10と筐体120の内壁面とが接していることにより、放射線検出器10の剛性がより確保される。
また、図7Aには、PSS方式に本例示的実施形態の放射線画像撮影装置1を適用した場合における、放射線検出器10が筐体120内に設けられた状態の他の例を示す。
図7Aに示すように、筐体120内には、積層方向Pと交差する方向に電源部108及び制御基板110が並んで設けられており、放射線検出器10と電源部108及び制御基板110とは積層方向Pに並んで設けられている。
また、図7Bには、ISS方式に本例示的実施形態の放射線画像撮影装置1を適用した場合における、放射線検出器10が筐体120内に設けられた状態の他の例を示す。
図7Bに示すように、筐体120内には、積層方向Pと交差する方向に電源部108及び制御基板110が並んで設けられており、放射線検出器10と電源部108及び制御基板110とは積層方向Pに並んで設けられている。
また、図7A及び図7Bに示した放射線画像撮影装置1では、制御基板110及び電源部108と基材14との間に、放射線検出器10及び制御基板110を支持する基台118が設けられている。基台118には、例えば、カーボン等が用いられる。
図7A及び図7Bに示した放射線画像撮影装置1は、放射線検出器10を基材14の第2の面14Bの面外方向にわずかに撓ませた状態、例えば、中央部を1mm〜5mm程度撓ませた状態で放射線画像の撮影を行うことが可能であるが、制御基板110及び電源部108と放射線検出器10とが積層方向Pに設けられており、かつ基台118が設けられているため、図7A及び図7Bに示した放射線画像撮影装置1の場合ほどは撓まない。
[第2例示的実施形態]
次に、第2例示的実施形態について説明する。なお、本例示的実施形態の放射線検出器10は、第1例示的実施形態の放射線検出器10(図1〜3参照)と同様の構成を含むため、同様の構成については、詳細な説明を省略する。
図8には、本例示的実施形態の放射線検出器10の一例の断面図を示す。図8に示すように、本例示的実施形態の放射線検出器10では、積層体19と弾力層42との間に、充填材70が充填されている。すなわち、図8に示すように、本例示的実施形態の放射線検出器10は、第1例示的実施形態の放射線検出器10では、積層体19と弾力層42との間に開いていた空間に、充填材70が充填されている点で異なっている。
充填材70の材料は特に限定されず、一般的な半導体材料の封止材等を用いることができる。また、充填材70も、弾力層42と同様に弾力性や復元力を有していてもよい。 なお、本例示的実施形態では、接着層40は、弾力層42を充填材70に対して固定するために、弾力層42と充填材70との間全体に設けられており、図8に示した例では、弾力層42のセンサ基板12に対向する面全体に設けられている。
充填材70を設ける方法は特に限定されず、例えば、積層体19上に接着層40、及び弾力層42を順次形成した後、接着層40と積層体19との間(隙間)に、流動性を有する充填材70を注入し、充填材70を固化させることで充填材70を設けてもよい。また例えば、センサ基板12に積層体19が形成された状態で、充填材70を充填すべき箇所に、流動性を有する充填材70を載せておき、積層体19及び充填材70の上に、接着層40、及び弾力層42を順次形成することで、充填材70を設けてもよい。
このように、本例示的実施形態の放射線検出器10は、積層体19と弾力層42との間に、充填材70を充填しており、充填材70によって、中央部30Bから先に(センサ基板12の端部側に)突出していた弾力層42が支えられている。そのため、本例示的実施形態の放射線検出器10によれば、弾力層42が安定的に設けられており、積層体19から剥離しにくくなる。また、本例示的実施形態の放射線検出器10によれば、弾力層42と充填材70とにより、積層体19をセンサ基板12に固定するため、センサ基板12から変換層30が剥離しにくくなる。
なお、図8に示した例では、積層体19と弾力層42との間に、隙間無く充填材70が充填されている形態を示したが、図8に示した形態に限定されず、例えば、積層体19と弾力層42との間の一部に隙間(充填材70が充填されていない領域)があってもよい。
[第3例示的実施形態]
次に、第3例示的実施形態について説明する。なお、本例示的実施形態の放射線検出器10は、第1例示的実施形態の放射線検出器10(図1〜3参照)と同様の構成を含むため、同様の構成については、詳細な説明を省略する。
図9には、本例示的実施形態の放射線検出器10の一例の断面図を示す。図9では、パッド部17に上述したパッド130が設けられており、パッド130にケーブル112が電気的に接続されている状態を示している。図9に示すように、本例示的実施形態の放射線検出器10は、パッド部17に対向する領域に至るまで、弾力層42が設けられている点で第1例示的実施形態の放射線検出器10と異なっている。
図9に示した例では、弾力層42は、パッド部17に対向する領域全体に設けられており、弾力層42の端部と、センサ基板12(基材14)の端部とが同じ位置である。換言すると、弾力層42の端部の側面とセンサ基板12の端部の側面とが、いわゆる面一である。なお、図9に示した例に限らず、弾力層42がパッド部17に対向する領域の一部に至るまで設けられていてもよい。換言すると、弾力層42の端部が、パッド部17内の領域に対向する位置に位置していてもよい。
このように、本例示的実施形態の放射線検出器10は、パッド部17に対向する領域に至るまで、弾力層42が設けられているため、センサ基板12のより端部まで、撓みに対する高い復元力(弾力性)を付与することができる。
なお、このように、弾力層42がパッド部17に対向する領域に至るまで、設けられている場合、図10に示した放射線検出器10の一例のように、上記第2例示的実施形態と同様に、弾力層42と積層体19との間に、充填材70が充填されていることが好ましい。特に、図10に示した例のように、パッド部17における弾力層42とセンサ基板12との間にも充填材70が充填されていることがより好ましい。なお、この場合、パッド部17にパッド130及びケーブル112が設けられた後、充填材70を充填することが好ましい。
図10に示した放射線検出器10のように、充填材70が充填されていることにより、弾力層42が安定的に設けられるため、積層体19から弾力層42が剥離しにくくなり、また、センサ基板12から変換層30が剥離しにくくなる。なお、第2例示的実施形態において上述したように、一部の領域において、充填材70が充填されていなくてもよい。
また、図11に示した放射線検出器10の一例のように、パッド部17に、弾力層42の端部とセンサ基板12との間を支える支持部として機能するスペーサ72を設けた形態としてもよい。
スペーサ72を設ける方法は特に限定されず、例えば、弾力層42の端部に接着剤(図示省略)等により、スペーサ72を貼り付けておき、スペーサ72が設けられた状態の弾力層42を、積層体19、接着層40、パッド130、及びケーブル112が設けられた状態のセンサ基板12に貼り付けることで、スペーサ72をパッド部17の端部とセンサ基板12との間に設けてもよい。
図11に示した放射線検出器10のように、スペーサ72を設けた場合、積層体19及びセンサ基板12と、弾力層42との間に、充填材70を充填した場合よりも広い空間が設けられることになるが、弾力層42の端部が支持されるため、弾力層42が積層体19から剥がれ難くなり、また、センサ基板12のより端部まで、撓みに対する高い復元力(弾力性)を付与することができる。
なお、スペーサ72の幅(積層方向Pと交差する方向)は、図11に示した例に限定されない。例えば、ケーブル112の先端よりも変換層30に近い位置までスペーサ72の幅が拡がっていてもよい。また例えば、スペーサ72は、パッド部17全体に亘る幅を有していてもよい。
[第4例示的実施形態]
次に、第4例示的実施形態について説明する。なお、本例示的実施形態の放射線検出器10は、第1例示的実施形態の放射線検出器10(図1〜3参照)と同様の構成を含むため、同様の構成については、詳細な説明を省略する。
図12には、本例示的実施形態の放射線検出器10の一例の断面図を示す。図12に示すように、本例示的実施形態の放射線検出器10は、センサ基板12の基材14の第2の面14Bに、弾力部材41が設けられている点で第1例示的実施形態の放射線検出器10と異なっている。
図12に示すように、弾力部材41は、基材14の第2の面14Bに、基材14の外縁から変換層30が設けられた領域の一部に至るまで設けられており、変換層30の中央部30Bの内側に、弾力部材41の先端が位置している。なお、弾力部材41は、弾力層42と同様に接着層(図示省略)を介して、第2の面14Bに貼り合わせ等により形成される。
弾力部材41は、弾力層42と同様に、センサ基板12が撓んだ場合に、撓む前の状態に戻る復元力を有している。具体的には、本例示的実施形態の弾力部材41は、センサ基板12よりも撓みに対する高い復元力を有している。また、本例示的実施形態の弾力部材41は、センサ基板12(基材14)を撓みにくくするために、センサ基板12よりも高い剛性を有している。
また、本例示的実施形態の弾力部材41の熱膨張率は、上述した弾力層42と同様に、変換層30の材料の熱膨張率に近い方が好ましく、より好ましくは、変換層30の熱膨張率に対する弾力部材41の熱膨張率の比(弾力部材41の熱膨張率/変換層30の熱膨張率)が、0.5以上、4以下であることが好ましい。このような弾力部材41の熱膨張率としては、30ppm/K以上、200ppm/K以下であることが好ましい。例えば、変換層30がCsI:Tlを材料とする場合、熱膨張率は、50ppm/Kである。この場合、熱膨張率が100ppm/K〜200ppm/KであるLDPE、熱膨張率が60ppm/K〜80ppm/Kであるポリ塩化ビニル(PVC:Polyvinyl Chloride)、熱膨張率が70ppm/K〜80ppm/Kであるアクリル、熱膨張率が65ppm/K〜70ppm/KであるPET、熱膨張率が65ppm/KであるPC、及び熱膨張率が45ppm/K〜70ppm/Kであるテフロン(登録商標)等が、弾力部材41の材料として挙げられる。
このような特性を有する弾力部材41としては、弾力層42と同様に、有機系の材料を用いたものが好ましく、例えば、PET、白PET、発泡白PET、及びPC、LDPE、PPS、OPP、PEN、及びPI等の少なくとも1つを材料として用いたシート等が好ましい。
このように、本例示的実施形態の放射線検出器10では、基材14の外縁から変換層30が設けられた領域の一部に至るまで弾力部材41が設けられているため、センサ基板12の外縁部に復元力及び剛性を付与することができる。
また、本例示的実施形態の放射線検出器10では、センサ基板12及び積層体19(変換層30)を挟んで、弾力層42の一部と弾力部材41とが対向して設けられているため、互いの復元力及び剛性を補完することができ、より基材14の撓みによる影響を抑制することができる。
なお、弾力部材41と弾力層42とが対向して設けられている領域は、変換層30の周縁部30Cの境界に接する中央部30Bから予め定められたオーバーラップ領域43を含んでいることが好ましい。
変換層30は、周縁部30Cにおいて、外側に向かうほど厚さが薄くなる傾斜を有している。そのため、変換層30の厚さが変化する中央部30Bと周縁部30Cとの境界近傍では、センサ基板12に不連続な撓みが生じ易くなる。そのため、不連続な撓みが生じ易い変換層30の周縁部30Cの境界に接する中央部30Bから予め定められた領域を、オーバーラップ領域43として含んでいることが好ましい。
なお、オーバーラップ領域43とする領域は、図12に示した例に限定されない。例えば、図12では、中央部30Bに対応する領域のみをオーバーラップ領域43としているが、中央部30Bと周縁部30Cとの境界を含み、中央部30Bから周縁部30Cに亘る予め定められた範囲の領域をオーバーラップ領域43としてもよい。
なお、弾力部材41が設けられる領域も、上記オーバーラップ領域43に設けられていればよく、図12に示した例に限定されない。例えば弾力部材41を基材14の第2の面14B全体に亘って設けてもよい。
このように上記条件を満たせば、具体的なオーバーラップ領域43とする領域、及び弾力部材41が設けられる領域は特に限定されず、弾力層42の材質、画素領域15の位置、及び読取方式等によって定めればよい。
以上説明したように、上記各例示的実施形態の放射線検出器10は、可撓性の基材14、及び基材14の第1の面14Aに設けられ、かつ放射線から変換された光に応じて発生した電荷を蓄積する複数の画素16が形成された層を含むセンサ基板12と、センサ基板12の第1の面14Aの側に設けられ、かつ放射線を光に変換する変換層30と、変換層30における、センサ基板12が設けられた側の反対側に設けられ、かつセンサ基板12よりも撓みに対する高い復元力を有する弾力層42と、を備える。
このように上記各例示的実施形態の放射線検出器10では、変換層30における、センサ基板12が設けられた側の反対側に設けられ、かつセンサ基板12よりも撓みに対する高い復元力を有する弾力層42を備えるため、センサ基板12よりも撓みに対する高い復元力を有しない層を設けた構成に比べて、支持体50を用いて製造される可撓性の基材14を有するセンサ基板12を備えた放射線検出器10の製造工程において、センサ基板12を支持体50から剥離する際に生じる撓みの影響を抑制することができる。また、上記各例示的実施形態の放射線検出器10では、撓みの影響を抑制することができるため、センサ基板12からの変換層30の剥離や、画素16や変換層30の損傷等を抑制することができる。
なお、弾力層42を設ける領域は上記各例示的実施形態に限定されず、少なくとも変換層30の中央部30Bを覆う領域であればよい。例えば、弾力層42の端部が、中央部30Bを覆う領域から周縁部30Cの外周(変換層30の第1の面14Aに接する側の縁)に対応する領域に至るまで設けられていてもよい。弾力層42を設ける領域の一例として、図13に示した放射線検出器10の一例のように、積層体19の表面(上面)を覆うように、換言すると、積層体19との間に空間を設けずに弾力層42を接着層40を介して形成してもよい。図13に示した例では、弾力層42は、積層体19に含まれる変換層30における中央部30B全体、及び周縁部30Cの一部を覆っており、弾力層42の端部が、周縁部30Cに対応する領域内に位置する。また例えば、図14に示した放射線検出器10の一例のように、弾力層42の端部が、センサ基板12の端部よりも外側に突出していてもよい。
また、上記各例示的実施形態では、弾力層42が単一の層(単層)である形態について説明したが、弾力層42を多層とした形態であってもよい。例えば、図15に示した放射線検出器10の一例のように、弾力層42を、積層体19に近い方から順に、第1弾力層42A、第2弾力層42B、及び第3弾力層42Cが積層された3層の多層膜とした形態を示している。なお、図15に示した放射線検出器10は、上述した図8に示した放射線検出器10に弾力層42を多層とした形態の放射線検出器10の一例である。このように弾力層42を多層とした場合、弾力層42全体で、センサ基板12よりも撓みに対する高い復元力を有していればよい。
弾力層42を多層とした場合、弾力層42に含まれる各層は、異なる機能を有していることが好ましい。例えば、図15に示した一例では、第1弾力層42A及び第3弾力層42Cを非導電性の帯電防止機能を有する層とし、第2弾力層42Bを導電性の層とすることで、弾力層42に電磁シールド機能をもたせてもよい。この場合の第1弾力層42A及び第3弾力層42Cとしては、例えば、帯電防止塗料「コルコート」(商品名:コルコート社製)を用いた膜等の帯電防止膜が挙げられる。 また、第2弾力層42Bとしては、例えば、導電性シートや、Cu等の導電性のメッシュシート等が挙げられる。
例えば、放射線検出器10の読取方式がISS方式の場合、センサ基板12(積層体19)の上側に制御基板110や電源部108等が設けられる場合があるが、このように弾力層42が帯電防止機能を有する場合、制御基板110や電源部108からの電磁ノイズを遮蔽することができる。
また、上記各例示的実施形態では、センサ基板12の上に直接、変換層30が設けられている形態について説明したが、この形態に限定されず、センサ基板12と変換層30との間に他の層(膜)が設けられていてもよい。例えば、図16に示した一例のように、放射線検出器10は、センサ基板12と変換層30との間に密着層49を有していてもよい。換言すると、センサ基板12は、密着層49を介して変換層30に積層されていてもよい。密着層49を有することにより、センサ基板12と変換層30との密着度が向上するため、密着層49を設けない場合よりも変換層30がセンサ基板12から剥離し難くなる。従って、密着層49を設ける場合、密着層49を設けない場合よりも、弾力層42の剛性を小さくすることができる。このような密着層49としては、例えば、パリレン膜等が挙げられる。
また例えば、図17に示した一例のように、放射線検出器10は、センサ基板12と変換層30との間に緩衝層47を有していてもよい。緩衝層47は、変換層30の熱膨張率と、基材14の熱膨張率との差を緩衝させる機能を有する。緩衝層47の熱膨張率は、センサ基板12の熱膨張率と、変換層30の熱膨張率との間の熱膨張率である。放射線検出器10は、変換層30の熱膨張率と、基材14の熱膨張率との差が大きいほど、緩衝層47を有することが好ましい。例えば、基材14に、上記XENOMAX(登録商標)を用いる場合、他の材質に比べて、変換層30の熱膨張率との差が大きくなるため、図17に示した放射線検出器10のように、緩衝層47を設けることが好ましい。緩衝層47としては、PI膜や、パリレン膜が用いられる。
また、上記各例示的実施形態では、ラミネート法で放射線検出器10を製造する形態について説明したが、この形態に限定されず、塗布法で放射線検出器10を製造する形態であってもよい。また、メカニカル剥離により、支持体50からセンサ基板12を剥離する形態について説明したが、レーザ剥離により、支持体50からセンサ基板12を剥離する形態であってもよい。
また、変換層30としてCsIのシンチレータを用いる場合、本例示的実施形態と異なる方法で、センサ基板12に変換層30を形成することもできる。例えば、アルミの板等に気相堆積法によってCsIを蒸着させたものを用意し、CsIのアルミの板と接していない側と、センサ基板12の画素16とを粘着性のシート等により貼り合わせることにより、センサ基板12に変換層30を形成してもよい。この場合、アルミの板も含めた状態の変換層30全体を保護層38により覆った状態のものを、センサ基板12の画素16と貼り合わせることが好ましい。なお、この場合、変換層30における画素16と接する側が、柱状結晶の成長方向先端側となる。
また、本例示的実施形態の放射線検出器10と異なり、変換層30としてCsIに替わり、GOS(Gd2O2S:Tb)等を用いてもよい。この場合、例えば、GOSを樹脂等のバインダに分散させたシートを、白PET等により形成された支持体に粘着層等により貼り合わせたものを用意し、GOSの支持体が貼り合わせられていない側と、センサ基板12の画素16とを粘着性のシート等により貼り合わせることにより、センサ基板12に変換層30を形成することができる。なお、変換層30にCsIを用いる場合の方が、GOSを用いる場合に比べて、放射線から可視光への変換効率が高くなる。
また、上記各例示的実施形態では、図1に示したように画素16がマトリクス状に2次元配列されている態様について説明したがこれに限らず、例えば、1次元配列であってもよいし、ハニカム配列であってもよい。また、画素の形状も限定されず、矩形であってもよいし、六角形等の多角形であってもよい。さらに、画素領域15の形状も限定されないことはいうまでもない。
その他、上記各例示的実施形態で説明した放射線画像撮影装置1及び放射線検出器10等の構成や製造方法等は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において状況に応じて変更可能であることはいうまでもない。
[その他の例示的実施形態]
まず、図18〜図30を参照して弾力層42の他の例示的実施形態について説明する。
図18に示すように、弾力層42が変換層30の中央部30B及び周縁部30Cに対応する領域に延在している場合において、弾力層42は、変換層30の外周部における傾斜に沿った折り曲げ部を有していなくてもよい。この場合、弾力層42は、変換層30の中央部30Bに対応する領域において、接着層40を介して保護層38に接着される。変換層30の周縁部30Cに対応する領域において、変換層30(保護層38)と弾力層42との間には、変換層30の周縁部30Cにおける傾斜に応じた空間が形成される。
上述したように、センサ基板12の外周部の続領域に設けられる端子130には、ケーブル112が接続される。センサ基板12は、ケーブル112を介して制御基板(制御基板110、図6A等参照)に接続される。センサ基板12に撓みが生じた場合、ケーブル112がセンサ基板12から剥離したり、位置ズレを生じたりするおそれがある。この場合、ケーブル112とセンサ基板12との接続をやり直す作業が必要となる。このケーブル112とセンサ基板12との接続をやり直す作業をリワークと呼ぶ。図18及び上記図13に示すように、弾力層42の端部を変換層30の端部よりも内側に配置することで、弾力層42が、接続領域の近傍にまで延在している場合と比較して、容易にリワークを行うことができる。
図19、図20、及び上記図3、図8に示すように、弾力層42は、その端部が、変換層30の端部よりも外側に配置され、且つセンサ基板12上にまで延在する接着層36及び保護層38の端部に揃うように設けられていてもよい。なお、弾力層42の端部の位置と、接着層36及び保護層38の端部の位置とが完全に一致していることを要しない。
図18に示す例では、弾力層42の外周部は、変換層30の周縁部30Cにおける傾斜に沿うように折り曲げられており、且つ接着層36及び保護層38がセンサ基板12上を覆う部分をも覆っている。また、弾力層42の端部は、接着層36及び保護層38の端部に揃っている。なお、弾力層42の端部の位置と、接着層36及び保護層38の端部の位置とが完全に一致していることを要しない。
弾力層42、接着層40、保護層38、及び接着層36の端部は、封止部材71によって封止されている。封止部材71は、センサ基板12の表面から弾力層42の表面に亘る領域であり、且つ画素領域15を覆わない領域に設けられていることが好ましい。封止部材71の材料として、樹脂を用いることができ、特に熱可塑性樹脂が好ましい。具体的には、アクリル糊、及びウレタン系の糊等を封止部材71として用いることができる。弾力層42は、保護層38と比較して剛性が高く、弾力層42の折り曲げ部において、折り曲げを解消しようとする復元力が作用し、これによって保護層38が剥離するおそれがある。弾力層42、接着層40、保護層38及び接着層36の端部を封止部材71によって封止することで、保護層38の剥離を抑制することが可能となる。
図20に示す例では、上記図8に示す形態と同様、変換層30の周縁部30Cに対応する領域、及びさらにその外側の領域において、変換層30(保護層38)と弾力層42との間に形成された空間に充填材70が設けられている。また、変換層30の端部に対応する領域において、弾力層42の表面にさらに別の弾力層42Aが、接着層40Aを介して積層されている。より具体的には、弾力層42Dは、変換層30の端部(外縁、エッジ)を跨ぐ領域に設けられている。弾力層42Dは、弾力層42と同一の材料で構成されていてもよい。放射線検出器10では、変換層30の端部において、センサ基板12の撓み量が比較的大きい。変換層30の端部に対応する領域において、弾力層42及び42Dによる積層構造を形成することで、変換層30の端部におけるセンサ基板12の撓みを抑制する効果を促進させることが可能となる。
図19、図20及び上記図3、図8に示すように、弾力層42の端部が変換層30の端部よりも外側に配置され且つ接着層36及び保護層38の端部に揃う状態に設けられる場合においても、弾力層42が、接続領域の近傍にまで延在している場合と比較して、容易にリワークを行うことができる。
また、図21〜図24に示すように、弾力層42は、その端部が、センサ基板12上にまで延在する接着層36及び保護層38の端部よりも外側であり、且つセンサ基板12の端部よりも内側に位置する状態に設けられていてもよい。
図20に示す例では、弾力層42は、変換層30の中央部30Bに対応する領域において、接着層40を介して保護層38に接着されており、変換層30の周縁部30Cに対応する領域、及びさらにその外側の領域において、変換層30(保護層38)と弾力層42との間、及びセンサ基板12と弾力層42との間には、変換層30の周縁部30Cにおける傾斜に応じた空間が形成されている。
図22に示す例では、弾力層42の端部がスペーサ72によって支持されている。すなわち、スペーサ72の一端はセンサ基板12の基材14の第1の面14Aに接続され、スペーサ72の他端は弾力層42の端部に接続されている。センサ基板12との間に空間を形成しつつ延伸する弾力層42の端部をスペーサ72によって支持することで、弾力層42の剥離を抑制することが可能となる。また、センサ基板12の端部近傍にまで弾力層42による撓み抑制効果を作用させることができる。なお、スペーサ72を設けることに代えて、若しくはスペーサ72を設けることに加えて、図20に示す例に倣って、変換層30(保護層38)と弾力層42との間、及びセンサ基板12と弾力層42との間に形成された空間に充填材を充填してもよい。
図23に示す例では、弾力層42の外周部が、変換層30の周縁部30Cにおける傾斜に沿うように折り曲げられており、且つ接着層36及び保護層38がセンサ基板12上を覆う部分、及びその外側のセンサ基板12上をも覆っている。すなわち、接着層36及び保護層38の端部が、弾力層42によって封止されている。弾力層42のセンサ基板12上に延在する部分は、接着層40を介してセンサ基板12に接着されている。このように、接着層36及び保護層38の端部を弾力層42によって覆うことで、保護層38の剥離を抑制することが可能である。なお、図18に記載の例に倣って、封止部材71を用いて、弾力層42の端部を封止してもよい。
図24に示す例では、弾力層42の端部がスペーサ72によって支持されている形態において、弾力層42の表面の、変換層30の端部に対応する領域に、さらに別の弾力層42Dが、接着層40Aを介して積層されている。より具体的には、弾力層42Dは、変換層30の端部(外縁、エッジ)を跨ぐ領域に設けられている。弾力層42Dは、弾力層42と同一の材料で構成されていてもよい。放射線検出器10では、変換層30の端部におけるセンサ基板12の撓み量が比較的大きい。変換層30の端部に対応する領域において、弾力層42及び42Dによる積層構造を形成することで、変換層30の端部におけるセンサ基板12の撓みを抑制する効果を促進させることが可能となる。なお、スペーサ72を設けることに代えて、図20に示す例に倣って、変換層30(保護層38)と弾力層42との間、及びセンサ基板12と弾力層42との間に形成された空間に充填材70を充填してもよい。
図25、図26、及び上記図9〜図11に示すように、弾力層42は、その端部が、センサ基板12の端部に揃うように設けられていてもよい。なお、弾力層42の端部の位置とセンサ基板12の端部の位置とが完全に一致していることを要しない。
図25に示す例では、弾力層42の外周部が、変換層30の周縁部30Cにおける傾斜に沿うように折り曲げられており、且つ接着層36及び保護層38がセンサ基板12上を覆う部分、その外側の基板上、及び端子130とケーブル112との接続部をも覆っている。弾力層42のセンサ基板12上及びケーブル112上に延在する部分は、それぞれ、接着層40を介してセンサ基板12及びケーブル112に接着されている。ケーブル112と端子130との接続部が撓み弾力層42によって覆われることで、ケーブル112の剥離を抑制することが可能となる。また、ケーブル112の他端には、電子部品を搭載した制御基板が接続されることが想定されることから、ケーブル112と端子130との接続部において、センサ基板12に比較的大きな撓みが生じるおそれがある。ケーブル112と端子130との接続部が、弾力層42によって覆われることで、当該部分におけるセンサ基板12の撓みを抑制することが可能となる。
図26に示す例では、変換層30(保護層38)と弾力層42との間、及びセンサ基板12と弾力層42との間に形成された空間に充填材70が充填されている。また、変換層30の端部に対応する領域において、弾力層42の表面にさらに別の撓み弾力層42Aが、接着層40Aを介して積層されている。より具体的には、弾力層42Dは、変換層30の端部(外縁、エッジ)を跨ぐ領域に設けられている。弾力層42Dは、弾力層42と同一の材料で構成されていてもよい。放射線検出器10では、変換層30の端部において、センサ基板12の撓み量が比較的大きい。変換層30の端部に対応する領域において、弾力層42及び42Dによる積層構造を形成することで、変換層30の端部におけるセンサ基板12の撓みを抑制する効果を促進させることが可能となる。
また、図27〜図30、及び上記図14に示すように、弾力層42は、その端部が、センサ基板12の端部よりも外側に位置するように設けられていてもよい。
図27に示す例では、弾力層42の端部がスペーサ72によって支持されている。すなわち、スペーサ72の一端は、センサ基板12の端部に設けられるケーブル112に接続され、スペーサ72の他端は弾力層42の端部に接続されている。センサ基板12との間に空間を形成しつつ延伸する弾力層42の端部を、スペーサ72によって支持することで、弾力層42の剥離を抑制することが可能となる。また、センサ基板12の端部近傍にまで弾力層42による撓み抑制効果を作用させることができる。
図28に示す例では、変換層30(保護層38)と弾力層42との間、及びセンサ基板12と弾力層42との間に形成された空間に充填材70が充填されている。本例示的実施形態において、ケーブル112と端子130との接続部が充填材70によって覆われている。このように、変換層30(保護層38)と弾力層42との間、及びセンサ基板12と弾力層42との間に形成された空間に充填材70が充填されることで、図29に示す形態と比較して、弾力層42の変換層30(保護層38)からの剥離を抑制することができる。さらに、変換層30は、弾力層42及び充填材70の双方によりセンサ基板12に固定される構造となるため、変換層30のセンサ基板12からの剥離を抑制することが可能となる。また、ケーブル112と端子130との接続部が充填材70によって覆われることで、ケーブル112の剥離を抑制することが可能となる。
図29に示す例では、弾力層42の外周部が、変換層30の周縁部30Cにおける傾斜に沿うように折り曲げられており、且つ接着層36及び保護層38がセンサ基板12上を覆う部分、その外側の基板上、及び端子130とケーブル112との接続部をも覆っている。弾力層42のセンサ基板12上及びケーブル112上に延在する部分は、それぞれ、接着層40を介してセンサ基板12及びケーブル112に接着されている。ケーブル112と端子130との接続部が弾力層42によって覆われることで、ケーブル112の剥離を抑制することが可能となる。また、ケーブル112の他端には、電子部品を搭載した制御基板が接続されることが想定されることから、ケーブル112と端子130との接続部補愛において、センサ基板12に比較的大きな撓みが生じるおそれがある。ケーブル112と端子130との接続部が、弾力層42によって覆われることで、当該部分におけるセンサ基板12の撓みを抑制することが可能となる。
図30に示す例では、変換層30(保護層38)と弾力層42との間、及びセンサ基板12と弾力層42との間に形成された空間に充填材70が充填されている。また、変換層30の端部に対応する領域において、弾力層42の表面にさらに別の弾力層42Dが、接着層40Aを介して積層されている。より具体的には、弾力層42Dは、変換層30の端部(外縁、エッジ)を跨ぐ領域に設けられている。弾力層42Dは、弾力層42と同一の材料で構成されていてもよい。放射線検出器10では、変換層30の端部において、センサ基板12の撓み量が比較的大きい。変換層30の端部に対応する領域において、弾力層42及び42Dによる積層構造を形成することで、変換層30の端部におけるセンサ基板12の撓みを抑制する効果を促進させることが可能となる。
上述したように、放射線検出器10の製造工程においては、ガラス基板等の支持体50に、可撓性を有するセンサ基板12を貼り付け、センサ基板12上に変換層30を積層した後、支持体50をセンサ基板12から剥離する。このとき、可撓性を有するセンサ基板12に撓みが生じ、これによってセンサ基板12上に形成された画素16が損傷するおそれがある。支持体50をセンサ基板12から剥離する前に、図18〜図30に例示したような形態で変換層30上に弾力層42を積層しておくことで、支持体50をセンサ基板12から剥離する際に生じるセンサ基板12の撓みを抑制することができ、画素16の損傷のリスクを低減することが可能となる。
また、図31は、弾力層42の構造の一例を示す平面図である。弾力層42は、その主面に複数の貫通孔42Hを有していてもよい。貫通孔42Hの大きさ及びピッチは、弾力層42において所望の剛性が得られるように定められる。
弾力層42が複数の貫通孔42Hを有することで、弾力層42と変換層30との接合面に導入される空気を貫通孔42Hから排出させることが可能となる。これにより、弾力層42と変換層30との接合面における気泡の発生を抑制することが可能となる。
弾力層42と変換層30との接合面に導入される空気を排出させる手段が存在しない場合には、上記接合面に気泡が発生するおそれがある。例えば、放射線画像撮影装置1の稼働時における熱により、上記接合面に生じた気泡が膨張すると、弾力層42と変換層30との密着性が低下する。これにより弾力層42による撓み抑制効果が十分に発揮されないおそれがある。図31に示すように、複数の貫通孔42Hを有する弾力層42を用いることで、上記のように、弾力層42と変換層30との接合面における気泡の発生を抑制することができるので、弾力層42と変換層30との密着性を維持することが可能となり、弾力層42による撓み抑制効果を維持することが可能となる。
図32は、弾力層42の構造の他の例を示す斜視図である。図32に示す例では、弾力層42は、変換層30との接合面に凹凸構造を有する。この凹凸構造は、図32に示すように、互いに平行に配置された複数の溝63を含んで構成されていてもよい。弾力層42は、例えば、図33に示すように、複数の溝63による凹凸構造を有する面が、反射層34で覆われた変換層30に接合される。このように、弾力層42が変換層30との接合面に凹凸構造を有することで、弾力層42と変換層30との接合部に導入される空気を溝63から排出させることが可能となる。これにより、図35に示す形態と同様、弾力層42と変換層30との接合面における気泡の発生を抑制することが可能となる。これにより、弾力層42と変換層30との密着性を維持することが可能となり、弾力層42による撓み抑制効果を維持することが可能となる。
図34及び図35は、それぞれ、弾力層42の構造の他の例を示す平面図である。図34及び図35に示すように、弾力層42は、複数の断片54に分断されていてもよい。弾力層42は、図34に示すように、複数の断片54(545〜5411)、一方向に配列するように分断されていてもよい。また、弾力層42は、図35に示すように、複数の断片54(541〜494)が、縦方向及び横方向に配列するように分断されていてもよい。
弾力層42の面積が大きくなる程、弾力層42と変換層30との接合面に気泡が発生しやすくなる。図38及び図39に示すように、弾力層42を複数の断片54に分断することで、弾力層42と変換層30との接合面における気泡の発生を抑制することが可能となる。これにより、弾力層42と変換層30との密着性を維持することが可能となり、弾力層42による撓み抑制効果を維持することが可能となる。
また、弾力部材41のセンサ基板12(第2の面14B)と接する側とは反対の側に、補強部材55を設けてもよい。図36〜図40は、それぞれ、補強部材55の設置形態の例を示す断面図である。
図36〜図40に示す例では、弾力部材41のセンサ基板12側の面とは反対側の面には、補強部材55が、接着層56を介して積層されている。補強部材55は、弾力層42と同一の材料で構成されていてもよい。放射線検出器10をISS方式として用いる場合、補強部材55と画素領域15とが重なる部分の面積を極力小さくするために、補強部材55は、センサ基板12の外周部にのみ設けられていることが好ましい。すなわち、補強部材55は、図36〜図40に示すように、画素領域15に対応する部分に開口61を有する環状であってもよい。このように、センサ基板12の外周部に、弾力部材41及び補強部材55による積層構造を形成することで、比較的撓みが生じやすいセンサ基板12の外周部の剛性を補強することができる。
図36〜図40に示す例では、補強部材55は、変換層30の端部(外縁、エッジ)を跨ぐ領域に設けられている。放射線検出器10では、変換層30の端部において、センサ基板12の撓み量が比較的大きい。変換層30の端部に対応する領域において、弾力部材41及び補強部材55による積層構造を形成することで、変換層30の端部におけるセンサ基板12の撓みを抑制する効果を促進させることが可能となる。
放射線検出器10をISS方式として用いる場合において、図36に示すように、補強部材55の一部が画素領域15と重なる場合には、補強部材55の材質によっては、画像に影響を与えるおそれがある。従って、補強部材55の一部が画素領域15と重なる場合には、補強部材55の材料としてプラスチックを用いることが好ましい。
図37及び図38に示すように、補強部材55が、変換層30の端部(外縁、エッジ)を跨ぎ、且つ画素領域15と重ならない形態(すなわち、補強部材55の開口61の端部が、画素領域15の外側に配置されている形態)が最も好ましい。図41に示す例では、補強部材55の開口61の端部の位置と、画素領域15の端部の位置とが略一致している。図42に示す例では、補強部材55の開口61の端部が、画素領域15の端部と変換層30の端部との間に配置されている。
また、補強部材55の開口61の端部の位置が、図39に示すように、変換層30の端部の位置と略一致していてもよく、また、図44に示すように、変換層30の端部よりも外側に配置されていてもよい。この場合、補強部材55が、変換層30の端部(外縁、エッジ)を跨ぐ構造となっていないため、変換層30の端部におけるセンサ基板12の撓みを抑制する効果は低下するおそれがある。しかしながら、ケーブル112と端子130との接続部が存在するセンサ基板12の外周部において、弾力部材41及び補強部材55による積層構造が形成されることで、ケーブル112と端子130との接続部におけるセンサ基板12の撓みを抑制する効果は維持される。
また、上記各例示的実施形態の放射線検出器10では、センサ基板12(基材14)と弾力部材41との大きさが同一である形態について説明したが、センサ基板12と弾力部材41とは大きさが異なっていてもよい。
例えば、放射線検出器10を放射線画像撮影装置1に適用する場合、放射線検出器10を収納する筐体120(図11等参照)等に放射線検出器10を固定して用いられることがある。このような場合、例えば、図41Aに示した一例のように、弾力部材41をセンサ基板12よりも大きくして、フラップ等を設けて、フラップ等の部分を用いて放射線検出器10の固定を行ってもよい。例えば、弾力部材41のフラップ部分に穴を設け、穴を貫通するネジを用いて筐体120(図6A等参照)と固定する形態としてもよい。
なお、弾力部材41をセンサ基板12よりも大きくする形態は、図41Aに示した形態に限定されない。弾力部材41を積層された複数の層で構成し、一部の層について、センサ基板12よりも大きくする形態としてもよい。例えば、図41Bに示すように、弾力部材41をセンサ基板12(基材14)と同程度の大きさを有する第1層41A、及びセンサ基板12よりも大きな第2層41Bの2層構造としてもよい。第1層41Aと、第2層41Bとは両面テープや粘着層等(図示省略)により貼り合わせられる。第1層41Aとしては、例えば、上述の弾力部材41と同様の材質で形成され、弾力部材41と同様の性質を有することが好ましい。また、第2層41Bは、基材14の第2の面14Bに両面テープや粘着層等(図示省略)により貼り合わせられる。第2層41Bとしては、例えば、アルペット(登録商標)が適用できる。また、弾力部材41を複数の層で構成する場合、図41Bに示す形態とは逆に、図41Cに示すように、第1層41Aを基材14の第2の面14Bに貼り合わせる形態としてもよい。
上述したように、弾力部材41に設けたフラップ等を用いて放射線検出器10を筐体120(図6A等参照)等に固定する場合、フラップ部分を曲げた状態で固定を行う場合がある。厚みが薄くなるほど、弾力部材41のフラップ部分が曲げ易くなり、放射線検出器10本体に影響を与えず、フラップ部分のみを曲げることができる。そのため、フラップ部分等を屈曲させる場合、図41B及び図41Cに示した一例のように、弾力部材41を積層された複数の層で構成し、一部の層についてセンサ基板12よりも大きくする形態とすることが好ましい。
また、図42に示した例のように、上記図41A〜図41Cの放射線検出器10とは逆に、弾力部材41をセンサ基板12よりも小さくしてもよい。センサ基板12の端部が、弾力部材41の端部よりも外部に位置していることにより、例えば、放射線検出器10を筐体120(図7等参照)に収納する等、組み立てを行う場合に、センサ基板12の端部の位置が確認し易くなるため、位置決めの精度を向上させることができる。なお、図42に示した形態に限定されず、センサ基板12(基材14)の端部の少なくとも一部が、弾力部材41よりも外部に位置していれば、同様の効果が得られるため好ましい。
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