以下、本発明の実施の形態を説明する。
[香料組成物]
本発明の一形態は、
下記式(1):
[上記式(1)中、Rは、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル基である]
で表される化合物を有効成分として含有する、香料組成物である。
本発明者らは、驚くべきことに、シソ様の香気に寄与する化合物として従来知られていた特許文献1に開示された化合物とは異なり、上記式(1)で表されるペリルアルデヒドのアセタール化合物(本明細書中、単に「本発明の一形態に係る化合物」、「アセタール化合物」などとも称することがある)が、清々しい、フレッシュな生薬感のあるシソ様の風味を感じさせる香気を有していることを見出した。したがって、上記式(1)で表されるアセタール化合物を有効成分として含有する香料組成物(本明細書中、単に「本発明の一形態に係る香料組成物」、「香料組成物」などとも称することがある)を飲食品や香粧品に添加することにより、これらに対し、上記のようなフレッシュな生薬感のあるシソ様の香気・香味を付与することができる。
また、本発明者らは、上記式(1)で表されるアセタール化合物が、上記シソ様の風味を感じさせる効果を長期間にわたって発揮できることも見出した。よって、上記式(1)で表されるアセタール化合物を有効成分として含有する香料組成物は、シソ様の香気の持続性に優れる。
さらに、上記式(1)で表されるアセタール化合物は、上述のように、シソ様の香気・香味に寄与するため、本発明の一形態に係る香料組成物を飲食品や香粧品に添加すると、これらが本来有している香気(特に、ウメ様香気などのシソ様香気と相性の良い香気)の特徴を強調することもできる。
なお、「シソ(紫蘇)」は、非常に多くの品種を含むが、本明細書中、「シソ」の用語は、これらの品種の総称を指す。好ましくは、「シソ」とは、「アカジソ」、「アオジソ」および「チリメンジソ」をいい、より好ましくは、「アカジソ」および「アオジソ」をいう。
本発明の一形態に係る香料組成物に含まれる、上記式(1)で表されるアセタール化合物について説明する。
上記式(1)中、「R」は、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル基であり、具体的には、炭素数1〜6の直鎖または分岐鎖のアルキル基である。これらの基として、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基等が挙げられる。アセタール化合物がより放散しやすく、シソ様の香気をより感じさせやすくなるという観点からは、上記式(1)において、Rは、炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖のアルキル基であると好ましく、炭素数1〜3の直鎖または分岐鎖のアルキル基であるとより好ましく、炭素数2〜3の直鎖または分岐鎖のアルキル基であるとさらにより好ましく、炭素数2のアルキル基であると特に好ましい。
また、上記式(1)は、2つのRを有するが、これらは、互いに異なっていても同じであってもよい。ただし、製造時の原料の入手容易性等の観点から、2つのRは、互いに同じ置換基であると好ましい。さらに、2つのRは、同じ置換基であって、且つ、両方のRが、炭素数1〜3の直鎖または分岐鎖のアルキル基であるとより好ましい。さらにこのとき、2つのRは、両方が炭素数2〜3の直鎖または分岐鎖のアルキル基であるとさらにより好ましく、炭素数2のアルキル基であると特に好ましい。
上記式(1)で表されるアセタール化合物は、あらゆる立体異性体を包含する。例えば、二つのエステル基(−COOR)が置換したジオキソラン環の不斉中心の立体配置(絶対配置)に関し、(S,S)体、(R,R)体、(R,S)体、(S,R)体のいずれであってもよい。また、イソプロペニル基が置換したシクロヘキセン環の不斉中心の立体配置(絶対配置)に関し、R体、S体のいずれであってもよい。
すなわち、上記式(1)で表されるアセタール化合物は、以下の構造等を含み、具体的には、下記式(1−1)で表される化合物(本明細書中、単に「化合物(1−1)」とも称する)、下記式(1−2)で表される化合物(本明細書中、単に「化合物(1−2)」とも称する)、下記式(1−3)で表される化合物(本明細書中、単に「化合物(1−3)」とも称する)、および下記式(1−4)で表される化合物(本明細書中、単に「化合物(1−4)」とも称する)等を含む。上記式(1)は、単独の化合物(1−1)〜(1−4)等のみならず、化合物(1−1)〜(1−4)等のうち、2種以上が混合された形態も包含する。このとき、混合比は特に制限されず、任意の比率とすることができる。
上記式(1−1)〜(1−4)における「R」の定義は、上記式(1)と同様である。
上記式(1−1)〜(1−4)において、Rは、それぞれ独立して、炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖のアルキル基であると好ましく、炭素数1〜3の直鎖または分岐鎖のアルキル基であるとより好ましく、炭素数2〜3の直鎖または分岐鎖のアルキル基であるとさらにより好ましく、炭素数2のアルキル基であると特に好ましい。
さらに、上記式(1−1)〜(1−4)における2つのRは、互いに同じ置換基であると好ましい。さらに、2つのRは、同じ置換基であって、且つ、両方のRが、炭素数1〜3の直鎖または分岐鎖のアルキル基であるとより好ましい。さらにこのとき、2つのRは、両方が炭素数2〜3の直鎖または分岐鎖のアルキル基であるとさらにより好ましく、炭素数2のアルキル基であると特に好ましい。
本発明の一形態に係る香料組成物は、上記式(1−1)〜(1−4)で表されるアセタール化合物を単独で含んでいてもよいし、混合物として含んでいてもよい。なかでも、清々しく、青々とした(グリーンな)シソ様の香気がより得られやすいという観点から、香料組成物は、上記式(1−1)および/または(1−2)で表される化合物を有効成分として含有すると好ましい。同様の観点から、香料組成物は、上記式(1−1)で表される化合物を有効成分として含有すると特に好ましい。
本発明の一形態に係る香料組成物は、上記アセタール化合物を有効成分として含む。ここで、上記アセタール化合物を「有効成分として含む」とは、所望の香気を発揮するのに充分な量で含むことを意味する。したがって、本発明の一形態に係る香料組成物は、上記アセタール化合物のみを含有してもよいが、所望の香気を損なわない限りにおいて、他の香料成分や、溶剤等の他の添加剤などを含んでいてもよい。このような他の香料成分および他の添加剤は、当該香料組成物(および、当該組成物に含まれるアセタール化合物)が、被添加物中において、適切な濃度で、かつ均一に分散される目的で添加されうる。
他の香料成分としては、特に制限されず、公知のものが使用できるが、各種の合成香料、天然香料、天然精油、動植物エキスなどを挙げることができる。
例えば、炭化水素化合物としてα−ピネン、β−ピネン、ミルセン、カンフェン、リモネン、オシメンなどのモノテルペン;バレンセン、セドレン、カリオフィレン、ロンギフォレンなどのセスキテルペン;1,3,5−ウンデカトリエンなどが挙げられる。
アルコール化合物としてブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、イソアミルアルコール、3−オクタノール、1−オクテン−3−オール、ラウリルアルコールなどの直鎖または分岐鎖飽和アルカノール;プレノール(3−メチル−2−ブテン−1−オール)、(Z)−3−ヘキセン−1−オール、2,6−ノナジエノールなどの直鎖不飽和アルコール;リナロール、ゲラニオール、ネロール、シトロネロール、テトラヒドロミルセノール、ファルネソール、ネロリドール、セドロール、α−テルピネオール、β−テルピネオール、γ−テルピネオール、δ−テルピネオール、ペリルアルコールなどのテルペンアルコール;ベンジルアルコール、ジメチルベンジルカルビノール、シンナミックアルコール、フェニルエチルアルコール、イソオイゲノールなどの芳香族アルコールなどが挙げられる。
アルデヒド化合物としてアセトアルデヒド、ヘキサナール、デカナールなどの直鎖・飽和アルデヒド;(E)−2−ヘキセナール、2,4−オクタジエナールなどの直鎖・不飽和アルデヒド;シトロネラール、シトラール、ペリルアルデヒドなどのテルペンアルデヒド;ベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、シンナミックアルデヒド、アミルシンナミックアルデヒド、バニリン、エチルバニリン、ヘリオトロピンなどの芳香族アルデヒドなどが挙げられる。
ケトン化合物として2−ヘプタノン、2−ウンデカノン、1−オクテン−3−オンなどの直鎖・飽和および不飽和ケトン;アセトイン(3−ヒドロキシ−2−ブタノン)、ジアセチル(2,3−ブタンジオン)、2,3−ペンタジオン、マルトール、エチルマルトール、2,5−ジメチル−4−ヒドロキシ−3(2H)−フラノンなどの直鎖および環状ジケトンおよびヒドロキシケトン;カルボン、メントン、ヌートカトンなどのテルペンケトン;α−イオノン、β−イオノン、β−ダマセノンなどのテルペン分解物に由来するケトン;ラズベリーケトンなどの芳香族ケトンなどが挙げられる。
アセタール化合物としてアセトアルデヒドジエチルアセタール、シトラールエチレングリコールアセタール、フェニルアセトアルデヒドジメチルアセタールなどが挙げられる。
フラン・エーテル化合物としてフルフリルアルコール、フルフラール、ローズオキシド、リナロールオキサイド、メントフラン、テアスピランなどの環状エーテル類などが挙げられる。
エステル化合物として酢酸エチル、酢酸イソアミルなどの脂肪族アルコールの酢酸エステル;酢酸リナリル、酢酸ゲラニル、酢酸ラバンジュリルなどのテルペンアルコール酢酸エステル;酪酸エチル、酪酸ブチル、カプロン酸エチル、カプロン酸アリル、カプリル酸エチル、イソ吉草酸イソアミル、マロン酸ジエチル(ジエチルマロネート)などの脂肪酸の低級アルコールエステル;酢酸ベンジル、プロピオン酸ベンジル、サリチル酸メチルなどの芳香族エステルなどが挙げられる。
ラクトン化合物としてγ−デカラクトン、γ−ドデカラクトン、δ−デカラクトン、δ−ドデカラクトンなどの飽和ラクトン;7−デセン−4−オリド、2−デセン−5−オリドなどの不飽和ラクトンなどが挙げられる。
酸化合物として酢酸、プロピオン酸、酪酸、2−メチル酪酸、オクタン酸、ステアリン酸、イソ酪酸、イソ吉草酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などの飽和・不飽和脂肪酸などが挙げられる。
含窒素化合物としてインドール、スカトール、ピリジン、アルキル置換ピラジン、アントラニル酸メチルなどが挙げられる。
含硫化合物としてメタンチオール、ジメチルスルフィド、ジメチルジスルフィド、アリルイソチオシアネートなどが挙げられる。
天然精油としてはシソ、スイートオレンジ、ビターオレンジ、プチグレン、レモン、ベルガモット、マンダリン、ネロリ、ペパーミント、スペアミント、ラベンダー、カモミール、ローズマリー、ユーカリ、セージ、バジル、ローズ、ゼラニウム、ジャスミン、イランイラン、アニス、クローブ、ジンジャー、ナツメグ、カルダモン、スギ、ヒノキ、ベチバー、パチョリ、ラブダナムなどが挙げられる。
天然香料としてはヒヤシンスアブソリュート、ローズアブソリュート、チュベローズアブソリュート、バニラアブソリュート、ガルバナムレジノイドなどが挙げられる。
また、各種のエキスとしてハーブ・スパイス抽出物、コーヒー・緑茶・紅茶・ウーロン茶抽出物など、乳または乳加工品およびこれらのリパーゼ・プロテアーゼなどの酵素分解物などが挙げられる。
加えて、他の香料成分として、「特許庁、周知慣用技術集(香料)第II部食品香料、P.7−87、平成12年1月14日発行」に記載されている合成香料、天然精油、天然香料、動植物エキス等を挙げることができる。
なお、上記他の香料成分は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上の組み合わせで用いられてもよい。
また、他の添加剤としては、特に制限されず、公知のものが使用できるが、例えば、水、エタノール、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ヘキシルグリコール、ベンジルベンゾエート、トリアセチン、トリエチルシトレート、ジエチルフタレート、ハーコリン、中鎖脂肪酸トリグリセライド、中鎖脂肪酸ジグリセライド等の溶剤または香料保留剤を挙げることができる。なお、上記他の添加剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上の組み合わせで用いられてもよい。
また、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、レシチン、キラヤサポニン、カゼインナトリウムなどの乳化剤を添加してもよい。かような乳化剤を添加することにより、本発明の一形態に係る香料組成物は、乳化香料として使用することができる。
さらにまた、アラビアガムやデキストリンなどの乳化香料を添加してもよい。かような乳化香料を添加した後、さらに乾燥することで、本発明の一形態に係る香料組成物は、粉末香料として使用することができる。
本発明の一形態に係る香料組成物の製造方法としては特に制限されず、上記式(1)で表される化合物と、必要に応じて添加される、上記他の香料成分および/または他の添加剤等とを混合することにより製造できる。このとき、各成分の添加方法や混合方法は特に制限されず、公知の手法を用いることができる。また、各成分の添加順序も特に制限されない。
本発明の一形態に係る香料組成物において、上記式(1)で表されるアセタール化合物の含有量は特に制限されず、その目的や、使用される飲食品および香粧品等の種類、香料組成物の種類に応じて異なるが、例えば、香料組成物の全質量に対して1質量ppm〜5質量%であると好ましく、100質量ppm(0.01質量%)〜3質量%であるとより好ましく、0.1質量%〜2質量%であると特に好ましい。1質量ppm以上とすることにより、清々しい印象を与え、フレッシュな生薬感のあるシソ様の香気を十分に付与することができる。また、かような香気の持続性も向上する。一方、5質量%以下とすることにより、過剰な香気・香味特性が付与・強調されることを抑制(異臭としての香気・香味特性の付与・強調を抑制)でき、上記のようなフレッシュな生薬感のあるシソ様の香気が強すぎない天然感に優れた香気を付与することができる。なお、香料組成物が上記アセタール化合物を2種以上含む場合には、その合計量が上記範囲内であると好ましい。
[飲食品]
本発明の他の形態は、上記香料組成物を含有する、飲食品である。なお、飲食品は、上記式(1−1)〜(1−4)で表される化合物(各立体異性体)をそれぞれ単独で含んでいてもよいし、また、混合物として含んでいてもよい。
本発明に係る香料組成物は、清々しい、フレッシュな生薬感のあるシソ様の風味に大きく寄与するため、これらを含む飲食品は、より天然のシソに近い香気・香味が増強される。したがって、当該香料組成物を含む飲食品には、より天然感に優れたシソを想起させる香気・香味が付与される。また、上記香料組成物は、シソ様の香気を呈する時間(期間)が長く、当該香気の持続性にも優れる。したがって、上記香料組成物を含む飲食品は、シソ様の香気を長期にわたって保持できる。さらに、上記香料組成物を飲食品に添加すると、その飲食品が本来有している香気(特に、ウメ様香気などのシソ様香気と相性の良い香気)の特徴が強調されるという効果も奏しうる。
よって、本発明のさらに他の形態として、上記香料組成物を飲食品に添加することを含む、飲食品の香味改善方法が提供される。
本発明の一形態に係る飲食品としては、特に制限されないが、従来シソ様の風味を有するか、または、シソ様の風味が付与されることにより、より嗜好性が高まると期待される飲食品であることが好ましく、例えば、食卓塩、調味塩、醤油、粉末しょうゆ、味噌、粉末味噌、食酢、ポン酢、粉末すし酢、ドレッシング、マヨネーズなどの調味料類;うどん、そば、そうめん、ひやむぎ、中華めん等のつけ汁(めんつゆ)、パスタソースなどの調味液;焼き肉、焼き鳥、鰻蒲焼きなどに用いられるタレなどのソース類;ふりかけ、お茶漬けの素などの顆粒状食品;バター、チーズ、ミルク、ヨーグルトなどの乳製品;ジャムやマーマレードなどのジャム類;アイスクリーム、ラクトアイス、氷菓、ヨーグルト、プリン、ゼリー、ムース、デイリーデザートなどのデザート類およびそれらを製造するためのミックス類;キャンディー、ガム、チョコレート、金平糖、キャラメル、錠菓、クラッカー、プレッツェル、ビスケット、クッキー、パイ、スナックなどの菓子類およびそれらを製造するためのケーキミックスなどのミックス類;パン、スープ等の各種インスタント食品などの一般食品類;果汁飲料、野菜飲料、スポーツドリンク、ハチミツ飲料、豆乳、ビタミン補給飲料、ミネラル補給飲料、栄養ドリンク、滋養ドリンク、乳酸菌飲料、乳飲料などのソフト飲料類;果汁入り炭酸飲料、乳類入り炭酸飲料、コーラ飲料などの炭酸飲料類;緑茶、紅茶、ウーロン茶、ハーブティー、ミルクティー、コーヒー飲料などの嗜好飲料類;チューハイ、カクテルドリンク、発泡酒、果実酒、薬味酒、ビール、発泡酒、第3のビール、ビール風味発泡飲料などのアルコール飲料類;ノンアルコールビール風味飲料などの飲料類;ハム、ソーセージ、ベーコンなどの加工食肉;かまぼこ等の水産加工品などが挙げられるが、これらに限定されない。
上記香料組成物を含むこのような飲食品は、当業者に公知の手法を用いて製造されうる。
本発明の一形態に係る飲食品において、上記香料組成物の含有量は特に制限されず、その目的や、飲食品の種類に応じて異なるが、例えば、香料組成物中に含まれるアセタール化合物の含有量に換算して、以下の範囲となる含有量であると好ましい。
具体的には、香料組成物中に含まれるアセタール化合物が、飲食品の全質量に対して100質量ppb(0.1質量ppm)〜3質量%であると好ましく、1質量ppm〜1質量%であるとより好ましく、1質量ppm〜5000質量ppm(0.5質量%)であるとさらにより好ましく、10質量ppm〜1000質量ppm(0.1質量%)であると特に好ましく、100質量ppm(0.01質量%)〜1000質量ppmであると最も好ましい。100質量ppb以上とすることにより、清々しい印象を与え、フレッシュな生薬感のあるシソ様の香気を十分に有する飲食品を得ることができる。また、かような香気の持続性も向上する。一方、3質量%以下とすることにより、過剰な香気・香味特性が付与・強調されることを抑制(異臭としての香気・香味特性の付与・強調を抑制)でき、上記のようなフレッシュな生薬感のあるシソ様の香気が強すぎない天然感に優れた香気を付与することができる。なお、飲食品(香料組成物)が上記アセタール化合物を2種以上含む場合には、その合計量が上記範囲内であると好ましい。
上記香料組成物を飲食品へ添加する方法は特に制限されず、上記香料組成物を、一括してもしくは別々に、段階的にもしくは連続して加えてもよい。また、混合方法も特に制限されず、公知の方法を用いることができる。
[香粧品]
本発明のさらに他の形態は、上記香料組成物を含有する、香粧品である。なお、香粧品は、上記式(1−1)〜(1−4)で表される化合物(各立体異性体)をそれぞれ単独で含んでいてもよいし、また、混合物として含んでいてもよい。
本発明に係る香料組成物は、上述のように、清々しい、フレッシュな生薬感のあるシソ様の風味に大きく寄与するため、これらを含む香粧品は、より天然のシソに近い香気・香味が増強される。したがって、当該香料組成物を含む香粧品には、より天然感に優れたシソを想起させる香気・香味が付与される。また、上記香料組成物は、シソ様の香気を呈する時間(期間)が長く、当該香気の持続性にも優れる。したがって、上記香料組成物を含む香粧品は、シソ様の香気を長期にわたって保持できる。さらに、上記香料組成物を香粧品に添加すると、その香粧品が本来有している香気(特に、ウメ様香気などのシソ様香気と相性の良い香気)の特徴が強調されるという効果も奏しうる。
本発明の一形態に係る香粧品としては、特に制限されないが、天然感のあるシソ様の香気が求められる香粧品であることが好ましく、例えば、フェイス用石鹸、ボディ用石鹸、洗濯用石鹸、洗濯用洗剤、消毒用洗剤、防臭洗剤等の保健・衛生用洗剤類;歯みがき、ティッシュペーパー、トイレットペーパーなどの保健・衛生材料類;バスソルト、バスタブレット、バスリキッド、フォームバス、バスオイル、ミルクバス、バスジェリー、バスキューブ等の入浴剤;香水;シャンプー、リンス、整髪料(ヘアクリーム、ポマード等)等のヘアケア製品;ファンデーション、口紅、リップクリーム、リップグロス、化粧水、化粧用乳液、化粧用クリーム、化粧用ゲル、美容液、パック剤等の化粧品類;サンタン製品、サンスクリーン製品等の日焼け化粧品類;室内芳香剤、カーコロンなどの芳香製品を挙げることができる。
また、香粧品の形態(剤型)としては、特に制限されない。例えば、液状、乳液状、クリーム状、ペースト状、固形状、多層状等の種々の形態に適用可能である。これらの他にも、シート剤、スプレー剤、ムース剤としても適用できる。
上記香料組成物を含むこのような香粧品は、当業者に公知の手法を用いて製造されうる。
本発明の一形態に係る香粧品は、所望の香気を損なわない限りにおいて、上記香料組成物(および、当該組成物に含まれるアセタール化合物)が適切な濃度で、かつ均一に分散されるように、他の添加剤を含んでいてもよい。
他の添加剤としては、特に制限されず、公知のものが使用できるが、例えば、スクワラン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類;ホホバ油、カルナウバワックス、オレイン酸オクチルドデシル、酢酸フェニルエチル、酪酸フェニルエチル、ギ酸フェニルエチル、フェニル酢酸フェニルエチル、イソ酪酸フェニルエチル、安息香酸ベンジル、プロピオン酸フェニルエチル、酢酸フェニルプロピル等のエステル類;フェニルアセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、シンナミックアルデヒド、ヘキシルシンナミックアルデヒド等のアルデヒド類、オリーブ油、牛脂、椰子油等のトリグリセライド類;ステアリン酸、オレイン酸、リチノレイン酸等の脂肪酸;リナロール、シトロネロール、バクダノール、ジハイドロミルセノール、ジハイドロリナロール、ゲラニオール、ネロール、サンダロール、サンタレックス、ターピネオール、テトラハイドロリナロール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、フェニルエチルジメチルカルビノール、ヒドロキシシトロネラール等のアルコール類;オレイルアルコール、ステアリルアルコール、オクチルドデカノール等の高級アルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,3−ブタンジオール等の多価アルコール類;インドール、5−メチル−3−ヘプタノンオキシム、リモネンチオール、1−p−メンテン−8−チオール、アントラニル酸ブチル、アントラニル酸シス−3−ヘキセニル、アントラニル酸フェニルエチル、アントラニル酸シンナミル、ジメチルスルフィド、8−メルカプトメントン等の含窒素および/または含硫化合物類;スルホコハク酸エステルやポリオキシエチレンアルキル硫酸ナトリウム等のアニオン界面活性剤類;アルキルベタイン塩等の両性界面活性剤類;ジアルキルアンモニウム塩等のカチオン界面活性剤類;ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセライド、これらのポリオキシエチレン付加物、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等の非イオン界面活性剤類;増粘・ゲル化剤;酸化防止剤;紫外線吸収剤;色剤;防腐剤;粉体等を挙げることができる。また、これら以外にも、上記[香料組成物]の項に挙げた他の香料成分もまた、香粧品における他の添加剤として用いることができる。なお、上記他の添加剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上の組み合わせで用いられてもよい。
本発明の一形態に係る香粧品において、上記香料組成物の含有量は特に制限されず、その目的や、香粧品の種類に応じて異なるが、例えば、香料組成物中に含まれるアセタール化合物の含有量に換算して、以下の範囲となる含有量であると好ましい。
具体的には、香料組成物中に含まれるアセタール化合物が、香粧品の全質量に対して100質量ppb(0.1質量ppm)〜5質量%であると好ましく、1質量ppm〜3質量%であるとより好ましく、1質量ppm〜1質量%であるとさらにより好ましく、10質量ppm〜5000質量ppm(0.5質量%)であると特に好ましく、10質量ppm〜1000質量ppm(0.1質量%)であると最も好ましい。100質量ppb以上とすることにより、清々しい印象を与え、フレッシュな生薬感のあるシソ様の香気を十分に有する香粧品を得ることができる。また、かような香気の持続性も向上する。一方、5質量%以下とすることにより、過剰な香気・香味特性が付与・強調されることを抑制(異臭としての香気・香味特性の付与・強調を抑制)でき、フレッシュな生薬感のあるシソ様の香気が強すぎない天然感に優れた香気を付与することができる。なお、香粧品(香料組成物)が上記アセタール化合物を2種以上含む場合には、その合計量が上記範囲内であると好ましい。
上記香料組成物を香粧品へ添加する方法は特に制限されず、上記香料組成物を、一括してもしくは別々に、段階的にもしくは連続して加えてもよい。また、混合方法も特に制限されず、公知の方法を用いることができる。
[アセタール化合物の製造方法]
上記式(1)で表されるアセタール化合物の製造方法としては特に制限されない。
上記式(1)で表されるアセタール化合物の合成は、公知の方法を適宜改変し、またこれらを組み合わせて行うことができる。例えば、以下の2段階の合成を経て合成することができる(具体的には、実施例の項の[合成例2]を参照)。
なお、上記反応式において、「A」は、一価の有機基を表し、好ましくは、炭素数1〜6の直鎖または分岐鎖のアルキル基を表す。また、上記反応式において、「R」の定義は、上記式(1)のRと同様である。
上記方法では、まず、ペリルアルデヒドを出発原料とし、触媒(好ましくは酸性触媒)存在下、例えば、オルトギ酸トリエチルといったオルトギ酸トリアルキルを反応させることにより(アセタール化反応)、ペリルアルデヒドのジアルキルアセタールを得る。その後、触媒(好ましくは酸性触媒)存在下、適当な酒石酸エステルを反応させ(好ましくは加熱還流下)、アセタール交換反応を行うことにより、目的物である上記式(1)で表されるアセタール化合物(酒石酸ジエステルアセタール)を得ることができる。かような合成方法は、上記非特許文献1および非特許文献2に記載された方法を参照して、当業者であれば実施することができる。なお、この際、反応温度、溶媒、触媒等の細部の条件を変更してもよい。
一方で、本発明者らは、上記方法により上記式(1)で表されるアセタール化合物を一応得ることはできるものの、その収率が低いという問題点を新たに見出し、これを解決すべく鋭意検討を行った。その結果、驚くべきことに、以下の方法により上記式(1)で表されるアセタール化合物の収率が劇的に向上することを見出した。具体的には、ペリルアルデヒド(下記式(2)で表される化合物)と、環状オルトエステル化合物(下記式(3)で表される化合物)とを反応させる方法により、上記式(1)で表されるアセタール化合物を高収率で製造することができる。
すなわち、本発明のさらに他の形態は、下記式(2):
で表されるアルデヒドと、
下記式(3):
[上記式(3)中、RおよびR’は、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル基である]
で表される化合物と、を反応させることを含む、下記式(1):
[上記式(1)中、Rは、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル基である]
で表される化合物の製造方法(本明細書中、単に「本発明の一形態に係る製造方法」、「本発明の方法」などとも称することがある)である。
上記式(3)における「R」の定義は、上記式(1)と同様である。すなわち、目的とする上記式(1)で表されるアセタール化合物のRに対応するように、上記式(3)のRが選択される。上記式(3)において、Rは、それぞれ独立して、炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖のアルキル基であると好ましく、炭素数1〜3の直鎖または分岐鎖のアルキル基であるとより好ましく、炭素数2〜3の直鎖または分岐鎖のアルキル基であるとさらにより好ましく、炭素数2のアルキル基であると特に好ましい。
さらに、上記式(3)における2つのRは、互いに同じ置換基であると好ましい。さらに、2つのRは、同じ置換基であって、且つ、両方のRが、炭素数1〜3の直鎖または分岐鎖のアルキル基であるとより好ましい。さらにこのとき、2つのRは、両方が炭素数2〜3の直鎖または分岐鎖のアルキル基であるとさらにより好ましく、炭素数2のアルキル基であると特に好ましい。
また、上記式(3)中、「R’」は、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル基であり、具体的には、炭素数1〜6の直鎖または分岐鎖のアルキル基である。これらの基として、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基等が挙げられる。その後のペリルアルデヒドとの反応を進行しやすくすると共に、原料の入手も容易であるという観点からは、上記式(3)において、R’は、炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖のアルキル基であると好ましく、炭素数1〜3の直鎖または分岐鎖のアルキル基であるとより好ましく、炭素数2〜3の直鎖または分岐鎖のアルキル基であるとさらにより好ましく、炭素数2のアルキル基であると特に好ましい。
上記方法は、出発原料としてペリルアルデヒド(上記式(2)で表される化合物)を用いる点では、上述の2段階を経る従来法(および、これを改変した方法)と共通するが、ペリルアルデヒドに対し、環状オルトエステル化合物(上記式(3)で表される化合物)を反応させる点で相違する。このように、上記方法によれば、ペリルアルデヒドに対し、直接、環骨格を備える化合物を反応させることで、収率を向上させることができる。さらに、後述するように、環状オルトエステル化合物をin situで生成させて反応に用いることにより、1段階で目的物を得ることができる。ゆえに、製造過程が簡素化されることから、上記方法は、コスト的な観点からも有利な方法であると言える。
上記式(2)で表される化合物(ペリルアルデヒド)および上記式(3)で表される化合物(本明細書中、単に「環状オルトエステル化合物」とも称する)は、市販品を用いてもよいし、合成品を用いてもよいが、特に、環状オルトエステル化合物は、以下の方法により得ることが好ましい。
具体的には、酒石酸エステルとオルトギ酸トリアルキルとを反応させ、脱アルコール反応を伴う環化反応を行うことにより、環状オルトエステル化合物を得ることができる。酒石酸エステルは、目的化合物の構造により適宜選択され、例えば、L−(+)−酒石酸ジメチル、D−(−)−酒石酸ジメチル、メソ酒石酸ジメチル、L−(+)−酒石酸ジエチル、D−(−)−酒石酸ジエチル、メソ酒石酸ジエチル、L−(+)−酒石酸ジイソプロピル、D−(−)−酒石酸ジイソプロピル、メソ酒石酸ジイソプロピル等を用いることができる。オルトギ酸トリアルキルは、上記式(3)で表される化合物のR’に対応するものを適宜選択すればよく、例えば、オルトギ酸トリメチル、オルトギ酸トリエチル、オルトギ酸トリイソプロピル等を用いることができる。
環状オルトエステル化合物を得る反応は、酸触媒の存在下で行うことが好ましい。酸触媒は、特に制限されず、公知のものを用いることができるが、弱酸性の触媒を用いることが好ましく、具体的には、ピリジニウムp−トルエンスルホナート(PPTS)、硝酸アンモニウム等が挙げられる。
また、本反応では、溶媒を用いてもよい。適当な溶媒としては、特に制限されないが、副反応を抑制する目的から、アセトニトリル、ベンゼン、トルエン等の非プロトン性溶媒を用いると好ましい。
環状オルトエステル化合物を得る反応において、酒石酸エステルとオルトギ酸トリアルキルとの比率(モル比)は特に制限されないが、酒石酸エステル:オルトギ酸トリアルキルの比率(モル比)が1.0〜1.5:1.0であると好ましく、1.1〜1.3:1.0であるとより好ましい。かような範囲とすることにより、脱アルコール反応による環化反応を促進させ、目的の環状オルトエステル化合物が生成しやすくなる。用いる触媒の量も特に制限されないが、上記と同様の観点から、オルトギ酸トリアルキルの全量100モル%に対し、0.1〜10モル%であると好ましく、1〜5モル%であるとより好ましい。反応時の温度も特に制限されないが、反応を促進する目的で、環化反応時に生成するアルコールの沸点よりも高い温度に加熱しながら反応を行うことが好ましい。反応時間も特に制限されないが、副反応を抑制すると共に、所望の環状オルトエステル化合物を収率よく得るという観点からは、5分〜60分間であると好ましく、10〜30分間であるとより好ましい。
上記の方法により得られる環状オルトエステル化合物(上記式(3)で表される化合物)と、ペリルアルデヒド(上記式(2)で表される化合物)とを反応させることにより、上記式(1)で表されるアセタール化合物を得ることができる。
本反応において、ペリルアルデヒドは、上記環状オルトエステル化合物を生成した反応系中に添加すると好ましい。すなわち、本発明の一形態に係る製造方法では、上記方法により環状オルトエステル化合物をin situで生成させ、当該反応系中にペリルアルデヒドを添加する方法であると好ましい。さらに換言すると、本発明の方法では、ペリルアルデヒド(上記式(2)で表される化合物)と、in situで合成した環状オルトエステル化合物(上記式(3)で表される化合物)とを反応させ、上記式(1)で表されるアセタール化合物を得ることが好ましい。かような方法により、目的物(上記化学式(1)で表されるアセタール化合物)の収率を向上させることができると共に、製造工程を簡素化することができる。
本反応は、酸触媒の存在下で行うことが好ましい。酸触媒は、特に制限されず、公知のものを用いることができるが、弱酸性の触媒を用いることが好ましく、具体的には、ピリジニウムp−トルエンスルホナート(PPTS)、硝酸アンモニウム等が挙げられる。なお、上記のように、in situ合成を行う場合には、環状オルトエステル化合物の生成において用いた触媒をそのまま利用することができる。
また、本反応では、溶媒を用いてもよい。適当な溶媒としては、特に制限されないが、副反応を抑制する目的から、アセトニトリル、ベンゼン、トルエン等の非プロトン性溶媒を用いると好ましい。
本反応において、ペリルアルデヒドと環状オルトエステル化合物との比率(モル比)は特に制限されないが、ペリルアルデヒド:環状オルトエステル化合物の比率(モル比)が1.0:1.0〜2.0であると好ましく、1.0:1.3〜1.6であるとより好ましい。かような範囲とすることにより、収率よく目的物を得ることができる。
なお、上記のようにin situ合成を行う場合、ペリルアルデヒド:環状オルトエステル化合物の原料として用いたオルトギ酸トリアルキルの比率(モル比)も特に制限されないが、収率よく目的物を得るために、ペリルアルデヒド:オルトギ酸トリアルキルの比率(モル比)が1.0:1.0〜2.0であると好ましく、1.0:1.3〜1.6であるとより好ましい。用いる触媒の量も特に制限されないが、上記と同様の観点から、環状オルトエステル化合物の全量100モル%に対し、0.1〜10モル%であると好ましく、1〜5モル%であるとより好ましい。反応時の温度も特に制限されないが、反応を促進する目的で、環化反応時に生成するアルコールの沸点よりも高い温度に加熱しながら反応を行うことが好ましい。反応時間も特に制限されないが、副反応を抑制すると共に、目的物を収率よく得るという観点からは、0.5時間〜5時間であると好ましく、1時間〜3時間であるとより好ましい。
[アセタール化合物]
本発明のさらに他の形態は、以下のアセタール化合物である。すなわち、本発明のさらに他の形態は、下記式(1):
[上記式(1)中、Rは、それぞれ独立して、炭素数1、3〜6のアルキル基である]
で表される、化合物である。
上記アセタール化合物に係る説明は、上記[香料組成物]の項における、香料組成物中に含まれるアセタール化合物に係る説明と同様である。
上記アセタール化合物は、清々しい、フレッシュな生薬感のあるシソ様の風味を感じさせる香気を有する。したがって、上記アセタール化合物によれば、上記のようなフレッシュな生薬感のあるシソ様の香気・香味を飲食品や香粧品に付与することができる。加えて、上記アセタールを飲食品や香粧品等に添加すると、その飲食品や香粧品等が本来有している香気(特に、ウメ様香気などのシソ様香気と相性の良い香気)の特徴が強調されるという効果も奏しうる。
また、上記アセタール化合物は、上記シソ様の風味を感じさせる効果を長期間にわたって発揮できる。したがって、上記アセタール化合物を飲食品や香粧品に添加することにより、これらの飲食品や香粧品は、清々しい、フレッシュな生薬感のあるシソ様の香気を保持することができる。
さらに、上記アセタール化合物は、それ自身が上記のような特徴的な香気を有するが、一方で、経時変化により、シソ様の香気を有するペリルアルデヒドを生成するため、ペリルアルデヒドの前駆体としての用途も有する。
なお、上記アセタール化合物は、上記[アセタール化合物の製造方法]に記載の方法により製造できる。
以下、本発明を実施例および比較例を用いてさらに具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されない。また、特記しない限り、各操作は室温(25℃)/相対湿度40〜50%RHの条件で行われた。以下では、特記しない限り、「ppm」は「質量ppm」を意味する。
なお、以下において、核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR、13C−NMR)測定には、JEOL RESONANCE社製ECX−400A、400MHzを用いた。また、質量分析スペクトル(MS)測定には、Agilent Technology社製GC7890B、MS5977A(イオン化方式:EI 70eV)を用いた。なお、以下において、ジアステレオマー生成比(化合物(C)/化合物(D))は、ガスクロマトグラフィー(GC)により分析した。当該分析には、島津製作所社製GC(装置名:GC−2014およびクロマトパックC−R8A、使用カラム:ジーエルサイエンス社製TC−1(長さ30m、内径0.53mm、液層膜厚1.50マイクロメータ)、温度範囲:70〜300℃(20℃/分昇温))を用い、得られたピーク強度比により上記ジアステレオマー生成比を求めた。
[合成例1:化合物(A)の合成(1段階合成)]
以下の反応式(1)に従い、(S)−perillaldehyde diethyl L−tartrate acetal(化合物(A))を合成した。
1L四つ口フラスコにdiethyl L−tartrate(74.23g,360mmol)、triethyl orthoformate(44.46g,300mmol)、ピリジニウムp−トルエンスルホナート(PPTS、2.52g,10.0mmol)、トルエン(300mL)を入れ、15分間加熱することでEtOHおよびトルエンの混合溶液を50mL留去し、環状オルトエステル化合物を生成させた。
次いで、反応液に(S)−perillaldehyde(上記化合物(i))(30.00g,200mmol)を上記フラスコに入れ、20分間加熱することでEtOHおよびトルエンの混合溶液を50mL留去し、その後1時間15分加熱還流した。
反応液を冷却後、5%ソーダ灰水(200mL)でクエンチし、得られた有機層を20%食塩水(200mL)で洗浄した。その後、乾燥、濃縮を経て濃縮物を101.30g得た。これを減圧蒸留し、49.10gの目的物を得た(収率72.5%、純度95.6%)。本合成例1のように、環状オルトエステル化合物とペリルアルデヒドとを反応させる方法によれば、以下で示す合成例2と比較して、目的物を高収率で得ることができた。また、合成例1では、in situで環状オルトエステル化合物を生成させ、これをペリルアルデヒドと反応させたが、かようなin situ法もまた、上記高収率に寄与したと考えられる。
得られた化合物について、NMRおよびMSの結果を以下に示す;
化合物(A):1H NMR(CDCl3,400MHz) δ 1.32(t,3H,J=7.2Hz),1.32(t,3H,J=7.2Hz),1.40−1.50(m,1H),1.73(s,3H),1.84−1.91(m,1H),1.93−2.04(m,1H),2.10−2.27(m,4H),4.28(q,2H,J=7.2Hz),4.29(q,2H,J=7.2Hz),4.69(d,1H,J=4.4Hz),4.69−4.74(m,2H),4.80(d,1H,J=4.4Hz),5.49(s,1H),5.99−6.06(m,1H).
13C NMR(CDCl3,100MHz) δ 14.12,14.14,20.72,21.85,26.99,30.43,40.82,61.93,61.94,77.23(2C),108.82,109.07,130.58,132.82,149.45,169.02,169.83.
MS(m/z) 93(36),105(36),117(100),121(40),132(36),133(58),149(97),217(74),265(51),269(38),295(36),338(42)。
[合成例2:化合物(A)の合成(2段階合成)]
《(S)−perillaldehyde diethyl acetal(化合物(ii))の合成》
まず、以下の反応式(2)に従い、(S)−perillaldehyde diethyl acetal(化合物(ii))を合成した。
2L四つ口フラスコに(S)−perillaldehyde(上記化合物(i))(50.00g,333mmol)、triethyl orthoformate(254.40g,1.72mol)、99%EtOH(254.40g)、ピリジニウムp−トルエンスルホナート(PPTS、4.18g,16.6mmol)を入れ、室温下1.5時間撹拌し、原料の消失を確認した。
反応液を5%ソーダ灰水(500mL)でクエンチし、Et2O(500mL)で抽出した。得られた有機層を20%食塩水(500mL)で洗浄後、乾燥、濃縮を経て211.36gの濃縮物を得た。これを減圧蒸留し(S)−perillaldehyde diethyl acetal(上記化合物(ii))を66.66g得た(収率89.2%、純度93.0%)。
得られた化合物について、NMRおよびMSの結果を以下に示す;
化合物(ii):1H−NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 1.21(t,3H,J=7.2Hz),1.21(t,3H,J=7.2Hz),1.40−1.51(m,1H),1.73(s,3H),1.80−1.88(m,1H),1.92−2.10(m,2H),2.12−2.22(m,3H),3.39−3.49(m,2H),3.54−3.63(m,2H),4.65(s,1H),4.70−4.73(m,1H),5.83−5.87(m,1H).
13C−NMR (CDCl3, 100 MHz) δ 15.18(2C),20.74,23.74,27.29,30.25,41.16,61.39,61.52,104.21,108.60,124.98,135.20,149.83.
MS(m/z) 55(7),67(8),75(16),77(8),79(15),81(11),83(10),91(18),93(17),103(43),105(17),107(16),109(7),111(12),117(10),121(10),123(12),133(36),135(17),137(17),149(12),150(9),151(11),163(7),165(9),178(50),179(100),180(15),224(7)。
《(S)−perillaldehyde diethyl L−tartrate acetal(化合物(A))の合成》
次に、以下の反応式(3)に従い、(S)−perillaldehyde diethyl L−tartrate acetal(化合物(A))を合成した。
500mL四つ口フラスコに(S)−perillaldehyde diethyl acetal(上記化合物(ii))(30.00g,134mmol)、diethyl L−tartrate(110.74g,537mmol)、メチルtert−ブチルエーテル(MTBE、200g)、ピリジニウムp−トルエンスルホナート(PPTS、1.68g,6.69mmol)を入れ、1.5時間加熱還流を行った。
反応液を冷却後、5%ソーダ灰水(200mL)でクエンチし、ついで有機層を20%食塩水(200mL)で洗浄した。有機層を乾燥、濃縮し濃縮物を85.24g得た。これを減圧蒸留することで目的物を25.46g得た(収率56.1%、純度99.0%)。
得られた化合物について、NMRおよびMSの分析を行ったところ、上記合成例1にて得られた化合物(A)と同様のデータが得られた。
[合成例3:化合物(B)の合成]
以下の反応式(4)に従い、(S)−perillaldehyde diethyl D−tartrate acetal(化合物(B))を合成した。
Dean−Stark装置を付けた300mLナスフラスコに(S)−perillaldehyde(上記化合物(i))(20.00g,133mmol)、diethyl D−tartrate(54.85g,266mmol)、トルエン(150mL)、シュウ酸(0.60g,6.66mmol)を入れ、水を留去しながら14時間加熱還流を行った。
反応液を冷却後、5%ソーダ灰水(100mL)でクエンチし、得られた有機層を20%食塩水(100mL)で洗浄した。その後、乾燥、濃縮を経て濃縮物を55.28g得た。このうちの54.18gを減圧蒸留し目的物を残渣に濃縮した(残渣:8.77g)。残渣のうち7.02gをシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、得られた4.43gの生成物をさらに減圧蒸留し4.27gの目的物を得た(収率12.1%、純度98.8%)。
得られた化合物について、NMRおよびMSの結果を以下に示す;
化合物(B):1H NMR(CDCl3,400MHz) δ 1.32(t,3H,J=7.2Hz),1.32(t,3H,J=7.2Hz),1.43−1.54(m,1H),1.72(s,3H),1.82−1.89(m,1H),1.93−2.23(m,4H),2.29−2.37(m,1H),4.27(q,2H,J=7.2Hz),4.28(q,2H,J=7.2Hz),4.69(d,1H,J=4.4Hz),4.69−4.73(m,2H),4.78(d,1H,J=4.4Hz),5.48(s,1H),6.02−6.05(m,1H).
13C NMR(CDCl3,100MHz) δ 14.08,14.12,20.64,21.85,26.99,30.42,40.93,61.90(2C),76.94,77.21,108.83,109.06,130.57,132.77,149.45,169.03,169.79.
MS(m/z) 93(37),105(38),117(100),132(36),133(56),149(95),217(71),265(53),269(36),295(34),338(38)。
[合成例4:化合物(C)および(D)の合成(2段階合成)]
以下の反応式(5)に従い、(S)−Perillaldehyde diethyl mesotartrate acetal(化合物(C)および化合物(D))を合成した。
300mL四つ口フラスコに(S)−perillaldehyde diethyl acetal(上記化合物(ii):上記合成例2に記載の方法で合成した)(11.99g,純度81.6%のため、43.6mmol)、diethyl mesotartrate(9.00g,43.6mmol)、メチルtert−ブチルエーテル(MTBE、65g)、ピリジニウムp−トルエンスルホナート(PPTS、0.55g,2.19mmol)を入れ、45分間加熱還流を行った。
反応液を冷却後、5%ソーダ灰水(100mL)でクエンチし、ついで有機層を20%食塩水(100mL)で洗浄した。有機層を乾燥、濃縮し濃縮物を15.93g得た(ジアステレオマー比(C):(D)=3:1)。これを減圧蒸留し目的物を残渣に濃縮させた(残渣量:7.70g)。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し2.58gの精製物を得た。さらに蒸留精製を行い2.30gの目的物を得た(収率12.7%、ジアステレオマー合計純度96.5%、ジアステレオマー比(C):(D)=31:1)。
得られた化合物(C)および化合物(D)について、NMRおよびMSの結果を以下に示す;
化合物(C):1H NMR(CDCl3,400MHz) δ 1.29(t,3H,J=7.2Hz),1.29(t,3H,J=7.2Hz),1.43−1.55(m,1H),1.73(s,3H),1.85−1.92(m,1H),1.94−2.04(m,1H),2.15−2.28(m,3H),2.40−2.48(m,1H),4.14−4.28(m,4H),4.70−4.74(m,2H),4.75(s,1H),4.75(s,1H),5.32(s,1H),6.02−6.05(m,1H).
13C NMR(CDCl3,100MHz) δ 14.02(2C),20.70,22.00,27.04,30.49,40.88,61.64(2C),76.36,76.43,108.53,108.80,130.84,133.03,149.56,167.65,167.70.
MS(m/z) 93(31),105(29),117(88),121(32),132(33),133(50),149(100),265(38),338(29).
化合物(D):MS(m/z) 67(15),68(17),79(26),81(20),91(23),93(33),99(11),105(24),107(18),117(32),121(39),122(14),123(13),127(18),133(35),149(100),150(13),166(23),173(20),189(14),265(31),269(23),338(11)。
なお、本合成例にて合成された化合物(C)および化合物(D)の混合物を、以下、「合成例4で得られた化合物」と称する。
[合成例5:化合物(E)の合成]
以下の反応式(6)に従い、(S)−perillaldehyde diisoprpyl L−tartrate acetal(化合物(E))を合成した。
Dean−Stark装置を付けた5L四つ口フラスコに(S)−perillaldehyde(上記化合物(i))(200.00g,1.33mol)、diisopropyl L−tartrate(623.1g,2.66mol)、トルエン(1.5L)、シュウ酸(6.00g,66.6mmol)を入れ、水を留去しながら21時間加熱還流を行った。その後シュウ酸(6.00g,66.6mmol)を追加し5.5時間加熱還流を行った。
反応液を冷却後、5%ソーダ灰水(1.5L)でクエンチし、得られた有機層を20%食塩水(1.5L)で洗浄した。その後、乾燥、濃縮を経て濃縮物を827.45g得た。このものを減圧蒸留し目的物を残渣に濃縮した(残渣:117.33g)。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し76.16gの精製物を得た。これをさらに減圧蒸留し65.99gの目的物を得た(収率13.5%、純度97.7%)。
得られた化合物について、NMRおよびMSの結果を以下に示す;
化合物(E):1H NMR(CDCl3,400MHz) δ 1.28−1.32(m,12H),1.39−1.51(m,1H),1.73(s,3H),1.84−1.91(m,1H),1.93−2.04(m,1H),2.15−2.25(m,4H),4.61(d,1H,J=4.4Hz),4.69−4.79(m,2H),4.72(d,1H,J=4.4Hz),5.08−5.18(m,2H),5.48(s,1H),6.02−6.05(m,1H).
13C NMR(CDCl3,100MHz) δ 20.71,21.71(4C),21.90,26.99,30.43,40.85,69.69,69.72,77.22,77.38,108.82,109.09,130.44,132.97,149.50,168.54,169.44.
MS(m/z) 43(40),93(32),105(42),107(43),117(42),121(42),131(40),132(39),133(67),149(100),159(33),237(38),279(54),366(45)。
[実施例1:香気評価]
上記合成例1〜5で得られた化合物について、訓練されたパネリストによりそれぞれ香気評価を行った。ただし、合成例1および2では同じ化合物を合成したため(化合物(A))、評価用の化合物としては、合成例1で得られたサンプルを用いた(以下の評価も同様である)。
具体的には、30mLサンプル瓶に各化合物の1%トリアセチン溶液を用意し、瓶口の香気およびその溶液を含浸させたにおい紙により行った。5名のパネリストの香気評価によれば、合成例1〜5で得られた化合物は、いずれも、シソ様の香気を有するとの評価であった。
[実施例2:シソ様調合香料組成物への添加]
まず、シソ様の調合香料組成物として、以下の表1に示す成分からなる基本調合香料組成物を調製した。
次に、上記組成物99.0gに合成例1で得られた化合物(A)1.0gを混合して、新規なシソ様の調合香料組成物を調製した。この新規調合香料組成物および化合物(A)を加えていない上記表1のシソ様基本調合香料組成物の香気について、専門パネリスト10名により比較した。その結果、専門パネリスト10名の全員が化合物(A)を加えた新規調合香料組成物は、化合物(A)を加えていない上記表1のシソ様基本調合香料組成物と比較して、シソ様の香気を想起させ、持続性の点でも格段に優れていると評価した。
また、上記組成物99.0gに合成例5で得られた化合物(E)1.0gを混合して、新規なシソ様の調合香料組成物を調製した。上記と同様に、専門パネリスト10名による評価を行ったところ、専門パネリスト10名の全員が化合物(E)を加えた新規調合香料組成物は、化合物(E)を加えていない上記表1のシソ様基本調合香料組成物と比較して、シソ様の香気を想起させ、持続性の点でも格段に優れていると評価した。
[実施例3:シソドレッシングへの添加]
以下の表2に記載の濃度となるように、市販のシソドレッシング(比較品1)に上記合成例1で得られた化合物(A)を添加し、専門パネリスト10名で評価した。評価基準は以下の通りである。結果を以下の表2に示す。
(評価基準)
比較品1と比較して、
0:比較品1と変化なし;
1:比較品1と比べややシソ感を想起させる香気有り;
2:比較品1と比べシソ感を想起させる香気有り;
3:比較品1と比べ強いシソ感を想起させる香気有り。
その結果、化合物(A)を0.1ppm添加した場合は、市販のシソドレッシング(比較品1)とそれほど香気は変わらないが、わずかにシソ様の香気が強調できることが分かった。さらに、化合物(A)を1ppm添加した場合は、比較品1と比較してシソ様の香気が強調されているとの評価であった。さらに、化合物(A)を5000ppm添加すると、シソ様の香気が強くなり、香気のバランスがやや低下するという結果が得られた。
[実施例4:シソドレッシングへの添加]
上記合成例1で得られた化合物(A)に代えて、上記合成例5で得られた化合物(E)を市販のシソドレッシング(比較品1)に加えたこと以外は、上記実施例3と同様にして評価を行った。結果を以下の表3に示す。
その結果、化合物(E)を0.1ppm添加した場合は、市販のシソドレッシング(比較品1)とそれほど香気は変わらないが、わずかにシソ様の香気が強調できることが分かった。さらに、化合物(E)を1ppm添加した場合は、比較品1と比較してシソ様の香気が強調されているとの評価であった。さらに、化合物(E)を5000ppm添加すると、シソ様の香気が強くなり、香気のバランスがやや低下するという結果が得られた。
[実施例5:ウメ飲料への添加]
以下の表4に記載の濃度となるように、市販のウメ飲料(比較品2)に上記合成例1で得られた化合物(A)を添加し、専門パネリスト10名で評価した。評価基準は実施例3と同様とした。結果を以下の表4に示す。
その結果、化合物(A)を0.1ppm添加した場合は、市販のウメ飲料(比較品2)とそれほど香気は変わらないが、わずかにウメ様の香気が強調できることが分かった。さらに、化合物(A)を1ppm添加した場合は、比較品2と比較してウメ様の香気が強調されているとの評価であった。さらに、化合物(A)を5000ppm添加すると、ウメ様の香気が強くなり、香気のバランスがやや低下するという結果が得られた。
[実施例6:ウメ飲料への添加]
上記合成例1で得られた化合物(A)に代えて、上記合成例5で得られた化合物(E)を市販のウメ飲料(比較品2)に加えたこと以外は、上記実施例5と同様にして評価を行った。結果を以下の表5に示す。
その結果、化合物(E)を0.1ppm添加した場合は、市販のウメ飲料(比較品2)とそれほど香気は変わらないが、わずかにウメ様の香気が強調できることが分かった。さらに、化合物(E)を1ppm添加した場合は、比較品1と比較して梅様の香気が強調されているとの評価であった。さらに、化合物(E)を5000ppm添加すると、ウメ様の香気が強くなり、香気のバランスがやや低下するという結果が得られた。
[実施例7:ガムへの添加]
ガムベース25質量部、水飴および砂糖を合計74.5質量部、ならびに実施例2の表1に示すシソ様基本調合香料組成物0.5質量部を混合し、ガムを調製した(これを「比較品3」とする)。また、比較品3の調製において、シソ様基本調合香料組成物0.5質量部に代えて、[シソ様基本調合香料組成物0.49質量部および化合物(A)を0.01質量部]を添加したこと以外は、同様にしてガムを調製した(これを「本発明品25」とする)。比較品3および本発明品25を専門パネリスト10名で評価した。
その結果、専門パネリスト10名すべてが、本発明品25のほうが、シソの香りが強調され、味に対する効果も強いものであると評価した。
[実施例8:シャンプーへの添加]
市販のシャンプー99.9質量部および実施例2の表1に示すシソ様基本調合香料組成物0.1質量部を混合した(これを「比較品4」とする)。また、比較品4の調製において、シソ様基本調合香料組成物0.1質量部に変えて、[シソ様基本調合香料組成物0.09質量部および化合物(A)を0.01質量部]を添加したこと以外は、同様にしてシャンプーを調製した(これを「本発明品26」とする)。比較品4および本発明品26を専門パネリスト10名で評価した。
その結果、専門パネリスト10名すべてが、本発明品26のほうが、シソの香りが強調され、香質ならびに香りの持続性も優れているとの評価が得られた。