用紙の束から切り出しされた1枚の用紙に印刷を行った直後に次の用紙にも印刷する需要や、必要な内容を予め印刷した複数の枚葉を綴じ合わせた後に、綴じられた各用紙の内、所定の枚葉毎に、その一部領域に必要に応じて指定の企業名、店舗名や広告などを追加印刷する需要が有り、1枚の枚葉に印刷した直後に次の枚葉にも続いて印刷を可能にするため、印刷直後の各葉を即時切り出しおよび移動する技術が必要である。また、本発明は、印刷面を汚すことが無いように、気体以外の物質と印刷面全面が物理的に接触する事の無い新たな技術を用いた「用紙の非接触自動捲りシステム」に関するものである。
従来から、用紙の束から切り出された1枚の用紙に印刷を行った直後に移動させるために、ローラを用いて切り出しや捲りまたは移動する技術が使われてきた。ローラを使用する場合、用紙全面をローラで押し付けて回転しながら切り出しや捲り、更に搬送を行うので、インクが乾燥していない状態で該各葉の印刷部を擦ることが有った。そこで、印刷直後の用紙を擦り始める前に緊急乾燥する技術が開発され、その例は一般に良く知られている通り、UV印刷やプリコートやポストコート技術を駆使し瞬時乾燥やコーティングする技術である。しかし、これらの技術は初期コストに加え高額なインクを使用する必要があるなど運用コストが高額となる場合があり、複雑で高価な機構が必要となっており、限定的な採用に止まっている。本発明は、前述の瞬時乾燥する技術は高価で複雑であるため利用できない応用分野に向けて有用となるインクの擦れ防止などのため、印刷直後の用紙の切り出し技術、そしてこの用紙の搬送技術を搭載した全ての機構の動作が各枚葉の印刷面全面を擦ることが無く、かつ、インクが乗ったばかりの印刷直後の用紙を直接擦することが無い新たな技術に関する。
また、近年のインクは改良が進み、印刷直後の用紙を直接擦ることが無く、更に、この用紙に物理的衝撃を加えないように印刷直後の用紙を積み重ねる限りは、印刷面の汚れや、いわゆる裏写りという不具合は起きない様になっている。そのため、搬送終了時の用紙を物理的衝撃のない動作で積み重ねる技術が重要となっており、その対応策を講じた非接触自動捲りシステム関する。
用紙の1辺が綴じられている冊子やカレンダーから一部の領域に追加印刷直後の枚葉を切り出す場合に、1枚目の用紙を2枚目以降と切り離す手段としてローラを使う機構が実用化されている。実用新案文献1に開示されている通帳のページ捲り機構では、印字直後の用紙の切り出しと捲る動作のためにローラが使われている。この例の他にも、市販されている多くのプリンターで、印刷前にも後にも用紙の切り出しのための分離や移動、搬送などに複数のローラが使われている。ローラを使用した場合、回転時に用紙の表面を擦るので、印刷直後にこの印刷領域を擦るとインク汚れを発生し、印刷品質を低下させるので精緻な印刷品質が求められる冊子やカレンダーの印刷の場合は印刷直後の印刷部を擦ることが無いようにローラを設置しなければならない場合や、更に、一部の領域にのみ追加印刷した場合でも、「この印刷部位を擦らない場所にのみローラの設置が許容される」、といった大きな制約が掛かる場合があった。また、ローラは一般に「定期交換部品」であり、業務用プリンターでも使われているこれらのローラについては、プリンター各社から「定期交換部品」に関する情報が利用者に対して提供されている。これらの情報によれば、各種ローラに関して、A4サイズの普通紙や上質紙などの用紙で20万枚程度の印刷数が交換寿命であると説明されている。解決しようとする第1の課題は、ローラを使用する場合に受ける制約を回避するできる方式を実現する事、特にカレンダーの「名入れ印刷」の場合に、A4用紙の2倍、4倍など用紙サイズが大きく交換寿命が短くなる場合や印刷枚数が多量な場合にも、前記ローラ技術に替わり、追加印刷した印刷部の品質低下を避ける事および交換の手間やコスト発生を大幅に抑える事を可能にする、切り出し機構や捲りや搬送機構などにローラを使用する事なく切り出しや搬送動作などができる非接触自動捲りシステムを実現することである。
特許文献1には、真空吸着ノズルで1枚目の用紙が2枚目以降と切り離される実施例が開示されている。この実施例では、切り出す用紙の一部を真空吸着ノズルで吸着するので、印刷直後の領域を吸着すると、印刷部を擦り、汚れを発生するので、吸着ノズルが接触する場所には印刷できないという制約があった。解決しようとする第2の課題は、吸着ノズルを利用する場合の制約を受ける事が無い、用紙の切り出しや捲り、搬送動作などが可能な非接触自動捲りシステムを確立し、用紙の左右両側の端までや小口端ぎりぎりまで印刷することを可能にする事である。また、この特許文献1には、真空吸着ノズルで印刷された用紙を吸着し、2枚目以降と切り離した後、「圧縮エアノズル」から吹き出される気体を用紙の裏面にぶつけ、用紙を吹き飛ばして移動する実施例が開示されている。 この実施例では、柔らかく軽い用紙では用紙に皺を発生させてしまう事が多発し、印刷物の品質低下をきたしていた。また、厚く重く腰の強い用紙では用紙の吹き飛ばしが難しかった。解決しようとする第3の課題は、搬送される用紙の品質低下を避けるために、吹き出しエアを用紙裏面にぶつけ、用紙を吹き飛ばす従来技術に替わり、薄手あるいは厚手の用紙でも搬送可能な技術の確立により、用紙の非接触自動捲りシステムを確立する事である。
従来から印刷直後の用紙を擦っても印刷品質の劣化を引き起こさない様にするためにUV印刷やプリコート技術を用いて瞬時乾燥する技術開発が行われている。これらの技術を使用するには高価な装置が必要で、また特殊なインクが必要となり、装置周辺が高温になったりするなどの問題が有った。また印刷インクを噴出するインクノズルと同様に、プリコート剤塗布用ノズルを設置しインクが噴出されるスポットの位置に直前にプリコート剤の噴出を行い、インクを即時吸収し滲みを抑制する機構が必要となっている。この機構には、インクヘッドと同等の精細度を維持する制御機構を用いてインクの乗るドット毎にすべてのインクドットに対応するべく直前にプリコート剤の吹き付けを行うなど、運用コストが高くなり、制御機構に精密さが要求されるなどの問題が有った。本発明が解決しようとする第4の課題は、UV印刷やプリコート技術を用いて瞬時乾燥したりする高価で複雑な技術の代替手段として、用紙の切り出しや捲り、そして搬送などの機構を非接触で行う用紙の非接触自動捲りシステムを確立する事である。なお近年のインクは改良が進み、通常使う事のできる安価なインクでも印刷直後の用紙の印刷面を直接擦り圧迫を加えたり、この印刷直後の用紙に物理的衝撃を加えないように用紙を積み重ねる限りは、印刷面の汚れや、いわゆる裏写りという不具合は起きない様になっている。本発明は前述の瞬時乾燥する技術は高価で複雑であるため利用できない応用分野に向けて、改良の進むインク技術と共に活用するに有用となるインクの擦れ防止などのため、印刷直後の用紙の切り出し機構、そして用紙の搬送機構の全ての機構の動作が、各枚葉の印刷面全面を擦ることが無く、従ってインクが乗ったばかりの印刷直後の用紙を直接擦することが無い新たな技術を確立し、印刷した印刷領域と上記全ての機構が非接触で動作する機構、および搬送終了時の用紙が物理的衝撃のない動作で、この用紙を収容する台や既に搬送完了している用紙の上に積み重ねることが可能な非接触自動捲りシステムを実現する事である。
特願2015−011822には、「冊子に含まれる用紙をめくる用紙めくり装置」であって、めくりの対象となるめくり用紙が付着した状態にて当該めくり用紙が付着した付着部分が前記冊子の外周縁の内側方向へ移動するように且つ当該付着部分が当該冊子から離れる方向へ移動するように変位し、あるいは、めくりの対象となるめくり用紙が付着した状態にて前記冊子の縁から離れる方向へ回転し、当該めくり用紙と当該冊子に含まれる他の用紙との間に隙間を形成する隙間形成部材と、前記隙間形成部材により前記隙間が形成された後、当該隙間形成部材以外の部材を用いて前記めくり用紙をめくるめくり手段と、を備える用紙めくり装置が開示されている。この付着部分の形成手段として粘着テープやエアの吸引を用いる手段が開示されている。本発明が解決しようとする第5の課題は、隙間を形成する隙間形成部材と、前記隙間形成部材により前記隙間が形成された後、当該隙間形成部材以外の部材を用いて前記めくり用紙をめくるめくり手段を別々に必要とする事によるコストの上昇を抑える事のできる非接触自動捲りシステムを確立する事である。加えて、前記特願2015−011822には、枚葉用紙を切り出す手段として、粘着テープやエアの吸引による負圧などの隙間形成部材が用いられており、この隙間形成部材が切り出される用紙と直接接触する実施例が開示されている。本発明が解決しようとする第6の課題は、切り出される用紙と隙間形成部材とが気体以外と接触する事無く隙間を空ける事ができる非接触切り出し可能な技術手段を確立することである。この様に、従来の自動捲り装置には数々の制約が有ったために普及が限定的であった。 その為、現在でも人手による手作業での搬送や捲り作業が多くの作業現場で用いられている。 特に、カレンダーの枚葉の搬送および捲り作業は平台オフセット印刷機を用いて手作業で行われており、手が巻き込まれる危険を伴なったり、また過酷な就労が強いられる状況が今でも続いている事も解決すべき大きな課題である。
本発明は、従来の用紙自動捲り機に於いて、前述の通りローラ使用に関わる第1の課題、吸着ノズル使用に関わる第2の課題、高価な高速乾燥技術使用に係る第4の課題、そして切り出される用紙と隙間形成部材との直接的接触に関わる第6の課題を解決するために、気体の流れ起こして生じるベルヌーイ効果により発生する気圧差による浮力を利用する事と、気体の有する粘性や気体と用紙の間に発生する摩擦力と気体の滞留特性、更に気体の流れにより作り出される空間の擬似分断効果、つまりエアカーテン効果など、気体の有する物理現象を組み合わせる手段を用紙の捲りシステムに適用し、用紙の印刷面は気体とだけ接触し、捲りシステムの全ての機構がこの用紙と直接接触することのない非接触自動捲りシステムを構築し、前記複数の課題を解決する。なお、上記滞留特性については、ある囲われた空間と外部空間とに気圧差がない場合には気体に流れや移動が起きにくい特性の事を意味している。 紙風船はその一例である。また、自動捲りシステムの前半の段階に行われる切り出しまたは隙間空け動作に用いる吸着チャックもベルヌーイ効果を利用する非接触吸着チャックを用いることにより切り出し動作においても非接触動作を維持し、用紙の吸着場所が用紙の移動に伴って動く場合にも用紙と吸着パッド間に存在する気体により用紙は吸着チャックをはじめとする全ての機構部材と物理的な接触をすることなく滑る特性を課題解決手段として用いている。次に第3の課題解決の手段に関して説明する。従来、エアコンプレッサにより圧縮された高圧気体がエア・レギュレータなどを経由してビニール配管などにより「圧縮エアノズル」に導かれ、直径1mm程度の微少な複数の噴出口を有するこの「圧縮エアノズル」から吹き出される集中と強さを特徴とする高圧気体を用いていたが、この従来技術に替わり、あるいはこの従来例と共に併用するため、風量が大きくなる特徴を活かす電動送風機から送られる気体を塩ビ管などの配管を通して送りこみ圧力は小さく力は弱いが多数の大きな吹き出し口や一つの非常に大きな吹き出し口から気体を均一に吹き出す構造を有する「送風エア吹き出し機」を用いて、気体の流れ起こして生じるベルヌーイ効果により発生する気圧差による浮力を利用する事と気体の有する粘性や気体と用紙の間に発生する摩擦力を利用する技術を課題解決手段として用いている。また用紙の各枚葉の搬送が完了する直前の期間は、この各枚葉の上部または側面に気体の流れを維持する前記「送風エア吹き出し機」を設置する事により、この気体の流れによって生じるベルヌーイ効果により発生する気圧差による浮力により、前記各枚葉が急激に落下することを抑える特性を課題解決手段として用いている。また、印刷面のみならずその裏面側も非接触動作を維持する方法も課題解決手段の一つとして用いている。更に、第5の課題解決手段として、従来の回転部材は粘着テープが巻かれることにより形成されている例が示されおり、外周面に粘着剤が露出された実施例が開示されている。また、他の例として真空吸着する手段が例示されている。本発明ではこの粘着剤や真空吸着に替わってベルヌーイ効果を利用する非接触吸着チャックを用いることにより、この非接触吸着チャックを非接触切り出し機全般の動作時にも共用する技術を課題解決手段として用いている。更に補足すると、前記複数の非接触吸着チャック、「圧縮エアノズル」から噴出される高圧エアや「送風エア吹き出し機」から吹き出される気体の多くが印刷直後の各枚葉の印刷面に吹き込み表面を流れるように動作させるので、印刷直後のインク乾燥の補助的効果を発揮させる技術もインクの乾燥に関わる第4の課題解決のための補助手段として用いている。
以上述べたように、本発明の非接触自動捲りシステムは、インクの緊急乾燥が難しい分野の一例である冊子やカレンダーの名入れ印刷などの応用分野に適用できる。このカレンダーの名入れ印刷を行った直後に次の頁にも名入れ印刷するため、用紙をすぐさま移動させる必要がある。本発明の非接触自動捲りシステムにより、印刷直後の印刷面を直接擦り汚すことのなく、高価な設備と運用コストが必要となるUV乾燥やプリコートなどの機構を用いることなく、追加印刷した印刷部の品質の低下を避ける事および交換の手間やコスト発生を抑える事が可能となる。また、従来の自動捲りシステムでは0006段落、0007段落、および0008段落で説明したような制約により普及が進まず、この業界全体として自動化が遅れ、手捲り作業が現在でも行われている作業現場に、従来の自動捲りシステムの制約を解消できる本発明の非接触自動捲りシステムの実現により、過酷な作業現場の解消に寄与できるという効果をもたらすことができる。更に、現在でも多くの名入れ印刷にて行われている手作業においては、用紙を片手で掴んで切り出し、捲り、移動を行い、他方の手で次のカレンダーの搬入を行っている。 その際、用紙の動きに均一性を保つことが難しく、用紙に皺が入る事が有った。このため、全国団扇扇子カレンダー協議会のホームページのカレンダーに関する案内ページ には「人間が手で掴んでめくるため、めくりシワ(紙癖)がつきます」という注意書きが掲載されている。一方、本発明の非接触自動捲りシステムは集中と強さを特徴とする高圧気体噴出や真空技術などだけに頼らず、風量が大きくなる特徴を活かす電動送風機から送られる気体を塩ビ管などの配管を通して送りこみ圧力は小さく力は弱いが多数の大きな吹き出し口や一つの非常に大きな吹き出し口から均一に気体を吹き出す構造を有する「送風エア吹き出し機」も用い、用紙の左右方向に対しバランスの良い切り出し動作や搬送動作などを行っているので、シワの発生し易い薄手の用紙においても手作業時とは異なり、シワ発生を避ける事ができるのも大きな効果である。本発明により、インクの緊急乾燥が難しい分野の一例であり、前述の通り必要な内容を予め印刷した複数の用紙を丁合して綴じ合わせた後に、必要に応じて指定の企業名、店舗名や広告などを各葉の一部に後から追加印刷するカレンダーなどの「名入れ印刷」需要に対応し、この追加印刷直後に枚葉を移動させる際、用紙の印刷品質の低下無しに、また、用紙が厚手か薄手かなど種類を選ぶことなく搬送機構を安価に提供する事が可能となる。なお、用紙以外のワークとしては、フィルム状のワークや薄板ワークなどを非接触切り出しにも適用可能となる機構を提供する事ができる。 また、複数の枚葉に1枚ずつ連続で用紙の全領域に印刷した直後に印刷した用紙を切り出し、連続して次の枚葉に印刷する場合にも、高価な設備と運用コストが必要となるUV乾燥やプリコートなどの機構を用いることなくインクの裏写りが起きない機構を提供する事ができる、という効果を発揮する。更に、本発明と共に使用する印刷機がタイミング制御上マスター動作し、本発明の非接触自動捲りシステムはスレーブ動作する。この印刷機の動作タイミングで決まる許容範囲内で、スレーブ動作するこの非接触自動捲りシステムの内部動作はコンピュータ制御機構により微調整することが可能となる事も大きな効果と言える。
印刷直後の冊子やカレンダー用紙の切り出し機構および切り出し完了時の用紙の搬送機構の全ての機構の動作を用紙の綴じ代またはその近傍を押さえる固定器を除いて、気体以外の物質が各枚葉の印刷面全面を直接擦ることが無く非接触動作する事、更に印刷面のみならずその裏面側も非接触動作を維持する方法を用いる事を可能にする新たな手段を用いる非接触自動捲りシステムを実現した。以下、本発明の実施例について、添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1の実施例(実施例1)に係り、非接触自動捲りシステム90の全体を示す構成図である。この非接触自動捲りシステム90は非接触切り出し機91と切り出し動作の完了後、矢印97に示す通り、切り出し完了した用紙を搬送する非接触搬送機93で構成され、搬送動作を行うと共に、搬送が終了する時の各用紙が物理的衝撃のない動作で、既に搬送完了している用紙の上に積み重なることが可能な搬送機構部分を有する様に構成されている。更に、この非接触自動捲りシステムにはコンピュータ制御機構98が設置され、非接触切り出し機91と、非接触搬送機93の全ての機構が電子制御されるようにシステム化してある。
図2aは本発明の第2の実施例(実施例2)に係り、非接触自動捲りシステム90で使用する新規の非接触切り出し機91の上面図である。この図2aにおいて、上下左右に位置する4本の大きな矢印は用紙の方向を示している。左側にある縦の矢印36は正面側を示し、右側に在る矢印37は後面側を示している。また、下側に在る横向きの矢印38は右側面を示し、上側に在る矢印39は左側面を示している。最上位用紙40の天地の天側には金具や厚紙で綴じられた綴じ代17が設けられており、この天側が後面側となる。一方、地側18はカレンダーでは小口と呼ばれ、こちら側が正面側となる。また、中央には非接触吸着チャック機60が設置されている。そして、この非接触吸着チャック機60の上側が左側面39、下側が右側面38となる。
次に、図2bは本発明の第2の実施例(実施例2)に係り、非接触自動捲りシステム90で使用する新規の非接触切り出し機91の正面側から見た断面図(1)である 図2bにおいて、非接触吸着チャック機60は上部待機位置(第1の高さ)にある。この非接触吸着チャック機60の上下動は左側に設置した左側エアシリンダ56と右側に設置した右側エアシリンダ57により行われる。この上下動作は中央部に1台のエアシリンダを設置した機構でも行えるし、動力としてモーターを利用する事も可能である。支持台1の上には綴じ代の有る用紙束が置かれており、その束の最上位用紙40を分けて表示してある。また、用紙の切り出し時の用紙の重送防止のため、最上位用紙の切り出し後に残りの用紙の束を押さえる用紙押さえ機54と55が左右に設置されている。この状態からエアシリンダの下降に伴い非接触吸着チャック機60が下降する。この際、左側に設置した「圧縮エアノズル(左)」65および右側に設置した「圧縮エアノズル(右)」66から気体を噴出し用紙の束の最上位用紙や下部に残るその他の用紙間に気体を噴射して用紙間の圧着を解し、前記最上位用紙の前記非接触吸着チャック機60の非接触吸着動作を補助する機能を持たすことができる。なお、本特許の明細書に於いて、「圧縮エアノズル」と表記する場合は、前述の通りコンプレッサーにより圧縮された高圧エアがエア・レギュレータなどを経由してビニール配管などによりノズルまで送り込まれ、この高圧エアを直径1mm程度の微少な複数の噴出口から強く噴射する「圧縮エアノズル」の事を意味している。
図3は本発明の第2の実施例(実施例2)に係り、非接触自動捲りシステム90で使用する新規の非接触切り出し機91の正面側から見た断面図(2)である。図3に於いて、非接触吸着チャック機60は下降完了した位置にあり、非接触吸着動作に入る。なお、非接触吸着チャック機60の下降完了位置は非接触チャックによる負圧発生領域59が前記最上位用紙40に届く位置(第2の高さ)に設定する。この図3では、ちょうど負圧領域59が最上位用紙40に接している第2の高さに非接触吸着チャック機60が到達した時点が示されている。
図4は本発明の第2の実施例(実施例2)に係り、非接触自動捲りシステム90で使用する新規の非接触切り出し機91の正面側から見た断面図(3)である。この図4では、非接触吸着チャック機60は前記第2の高さに止まっているが、気体の流れを起こして生じるベルヌーイ効果により発生する気圧差による浮力により最上位用紙は下降した非接触吸着チャック機60に引き寄せられ、41で示す位置に上昇した位置を示している。この時、ベルヌーイ効果により発生する負圧は、吸着された最上位用紙によりブロックされ、下部に在る用紙には作用せず、重送発生などの要因とはならない。この後、この最上位用紙は41の位置から更に左右のエアシリンダの上昇動作により上昇し切り出し動作を完了させる。この際、最上位用紙の急上昇により下部に残る用紙束との間に発生する負圧などにより下部用紙が重送することを避けるため、この上昇開始直前に左側の用紙押さえ機(左)54と右側の用紙押さえ機(右)55を下部に残る用紙束2を押さえるように動作させたところを示している。この際の更なる重送防止のため、下部に残存する用紙にエアブラシとして機能する気体の噴射などの動作を行うか、あるいは下部用紙間に残存する気体の高速吸引用に左右に設置した「圧縮エアノズル」65と66を動作させても良い。この高速吸引用の場合は、エジェクタという装置を介した配管により気体の高速吸引が可能となる。なお、左側の用紙押さえ機(左)54と右側の用紙押さえ機(右)55は下部に残る用紙束2を押さえる動作を行うが、この用紙束2は印刷未了の用紙であり印刷汚れには関係しない。また、この左右の用紙押さえ機は印刷直後の最上位用紙の下側に接触することなく潜り込むので印刷直後の用紙の印刷品質を劣化させることもない。このような動作により、第3の高さにおいて最上位用紙と下部に残る用紙束の切り離しが行われる。また、この左右の用紙押さえ機は印刷未了の用紙を下向き押さえつける動作を行わずに前記印刷直後の最上位用紙の下側に接触することなく潜り込むだけの動作に留めても良い。
図5は本発明の第2の実施例(実施例2)に係り、非接触自動捲りシステム90で使用する新規の非接触切り出し機91の正面側から見た断面図(4)である。図5では左右のエアシリンダの上昇動作により非接触吸着チャック機60は最上位用紙を非接触吸着した状態で上昇し、最上位用紙は42で示す位置(第4の高さ)に至る。なお、この第4の高さではなく元の第1の高さに戻っても良い。また、切り出し時に用いる吸着チャックもベルヌーイ効果を利用する非接触吸着チャックを用いるので、最上位用紙の非接触吸着位置が42の位置へ上昇した場合に最上位用紙が天地方向にずれ動く場合にも用紙と吸着パッド間に存在する気体により用紙は気体以外とは物理的な接触をすることなく滑る特性を活かすように動作する。このずれ動く用紙の挙動は、綴じ代により束ねられた用紙の際には必ず発生するので機械的な把持機構や真空吸着などではこの用紙の綴じ代との引っ張り合いなどが発生し用紙にダメージを与えることになる場合が有る。以上の切り出し動作が完了すると、42で示す位置に在る最上位用紙は非接触チャック吸着動作が停止し、非接触切り出し機91から切り離され、図1に示した通り次の非接触搬送機93に引き渡される直前の状態が示されている。なお、この切り出し機構91の動作中、切り出される用紙は切り出し開始から完了まで用紙の表面側だけではなく裏面側も非接触切り出し機能とは物理的に接触することなく動作する。
図6は本発明の第3の実施例(実施例3)に係り、非接触自動捲りシステム90で使用する新規の非接触切り出し機91の正面側から見た断面図(1)である。図6の実施例3は図2の実施例2に対し中央・エアシリンダ58が追加されている。この目的は一挙に大きく上下動する左右のエアシリンダ56と57に対し小さな幅を上下動し、非接触吸着チャック機60を小さく上下動を行うために設置してある。この断面図(1)では左右のエアシリンダ56と57は最上位に在り、中央・シリンダ58も最上位に在り、非接触吸着チャック機60も最上位の位置(第1の高さ)で待機している状態にあり、次に下降開始する際には、左右のエアシリンダおよび中央・エアシリンダが共にシリンダ動作範囲の各々の最下位の位置に移動する。
図7は本発明の第3の実施例(実施例3)に係り、非接触自動捲りシステム90で使用する新規の非接触切り出し機91の正面側から見た断面図(2)である。図7では左右のエアシリンダ56と57および中央・エアシリンダ58が共に最下位の位置に移動する。ここでも、非接触吸着チャック機60の下降完了位置は非接触チャックによる負圧発生領域59が前記最上位用紙40に届く位置(第2の高さ)に設定する。非接触吸着チャック機60が最下位の位置に到達し、非接触吸着を開始し、気体の流れを起こして生じるベルヌーイ効果により発生する気圧差による浮力により最上位用紙が40で示す位置にて吸着開始した状態を示している。
図8は本発明の第3の実施例(実施例3)に係り、非接触自動捲りシステム90で使用する新規の非接触切り出し機91の正面側から見た断面図(3)である。前記図7にて非接触吸着チャック機60が最下位の位置に到達し非接触吸着を開始し上昇し始めると共に、この図8では、中央・エアシリンダが単独上昇し非接触吸着チャック機は第3の高さまで上昇する。この上昇位置は左右に設置された用紙押さえ機54と55が41の位置にある最上位用紙と用紙束2の間に進入するに十分な隙間を確保できる上昇位置に設定する。0017段落項の図3の動作説明や0018段落の図4の動作説明と同様に、この吸着開始時前後の重送防止のため下部に残存する用紙にエアブラシとして機能する気体の噴射などの動作を行うかあるいは下部用紙間に残存する気体の高速吸引用に「圧縮エアノズル」65と66を動作させても良い。この高速吸引用の場合はエジェクタという装置を介した配管により気体の高速吸引が可能となる。この隙間への用紙押さえ機54と55の進入動作完了の直後から左右のエアシリンダ56と57は最上位位置に移動する。なお、前期中央・エアシリンダが前記第3の高さまで単独上昇している期間に前記左右に設置された用紙押さえ機54と55が最上位用紙と用紙束2の間に進入させることも可能である。 この場合、前期中央・エアシリンダが前記第3の高さまで単独上昇する最終段階に左右のエアシリンダ56と57の上昇動作を開始する事も可能である。0018段落の図8の説明と同様に、この動作により、第3の高さにおいて最上位用紙と下部に残る用紙束の切り離しが行われ、非接触吸着チャック機は前記第3の高さで停止して、または第3の高さを通過中にこの切り離しを行う様に設定する事も可能である。
図9は本発明の第3の実施例(実施例3)に係り、非接触自動捲りシステム90で使用する新規の非接触切り出し機91の正面側から見た断面図(4)である。図9では左右のエアシリンダ56と57が最上位位置に移動すると共に非接触吸着チャック機60も最上位の位置(第1の高さ)に復帰し、最上位用紙は42で示す位置に到達する。なお、図5の実施例2と同様に切り出し時に用いる吸着チャックもベルヌーイ効果を利用する非接触吸着チャックを用いるので、最上位用紙の非接触吸着位置が42の位置へ上昇した場合に最上位用紙が天地方向にずれ動く場合にも用紙と吸着パッド間に存在する気体により用紙は気体以外と物理的な接触をすることなく滑る特性を活かすように動作する。このずれ動く用紙の挙動は綴じ代により束ねられた用紙の際には必ず発生するので、機械的な把持機構や真空吸着などではこの用紙の綴じ代との引っ張り合いなどが発生し用紙にダメージを与えることになる場合が有る。以上で切り出し動作は完了し42の位置に在る最上位用紙は非接触チャックが停止し非接触切り出し機91から切り離され図1に示した通り次の非接触搬送機93に矢印97に示す通り引き渡される直前の状態が示されている。なお、図5の実施例2と同様にこの実施例3の切り出し機構91の動作中、切り出される用紙は切り出し開始から完了まで用紙の表面側だけではなく裏面側も非接触切り出し機能とは物理的に接触することなく動作する。
図10aは本発明の第4の実施例(実施例4)に係り、非接触自動捲りシステム90で使用する新規の非接触切り出し機91の正面側から見た断面図(2)である。図3の本発明の非接触切り出し機91の第2の実施例の断面図(2)や図7の本発明の非接触切り出し機91の第3の実施例の断面図(2)に対し、図示した通り非接触吸着チャック機60の両端に1台ずつそれぞれ非接触吸着面を外向きに傾ける事が可能な左端非接触吸着チャック69bおよび右端非接触吸着チャック69cを取り付けてある。この図に示す非接触吸着チャック機60の下降完了位置は両端のチャック69bと69cも含め、図3の本発明の非接触切り出し機91の第2の実施例の断面図(2)や図7の本発明の非接触切り出し機91の第3の実施例の断面図(2)と同様に、非接触チャックによる負圧発生領域59が前記最上位用紙40に届く位置(第2の高さ)に設定する。
図10bは本発明の第4の実施例(実施例4)に係り、非接触自動捲りシステム90で使用する新規の非接触切り出し機91の正面側から見た断面図(3)である。図10bでは、前記両端に追加した非接触チャック69および69cは後に記載する図11にて説明する手段により、隙間をより大きく開ける動作時にのみ傾ける。この際、この非接触吸着チャック機60の構造の変更により、負圧領域は図3または図8の例と同じく59の位置に発生すると共に、追加して設置された非接触吸着機により、第2の負圧領域59bと59cが発生し、この非接触吸着動作により前記最上位用紙は図10aに示した位置40より若干上昇する。この第2の負圧領域59bと59cの発生により、40の位置にある最上位用紙の両端部分は上向きに折れ曲がり、より多くの隙間が空くことになる。その後、非接触チャック69bと69cの設置角度を0027段落で説明する手段により戻し、全ての底面が第2の高さの位置に戻ると、非接触チャックの非接触吸着により前記最上位用紙は元の40の位置よりは若干高い位置にて水平な状態に至る。用紙の性質に依存するが、用紙には繊維質などにより折れ曲がりを抑止する用紙の腰が存在する。最上位用紙は該用紙の腰の強さに勝ち、非接触チャックの非接触吸着による負圧領域の形状に従い折れ曲がるが、下部用紙束にある用紙は用紙の腰や、密着状態に在る用紙間の負圧により折れ曲がれず、前記用紙束2の位置に留まる。なお、ベルヌーイチャックにより該チャックと最上位用紙の間に発生する負圧領域の下部用紙束への影響の拡がりは該最上位用紙自体によりブロックされていることに加え、非接触吸着チャックがベルヌーイ型のチャックであり、真空チャックの様に最上位用紙の繊維質の微少な穴を通る真空貫通は起きず、最上位用紙に引き付けられて持ち上がる事は無くなる。以上をまとめると、前記非接触切り出し機において、前記最上位用紙の腰の強さによる折れ曲がりを阻止しようとする力と、該最上位用紙とその直下の用紙間の隙間発生時に該用紙間に残る負圧により当該用紙同士を密着した状態に留めようとする力の和に対し、前記非接触吸着された最上位用紙が上昇したり折れ曲がり下部の用紙との隙間を大きくする力が勝る条件で動作している事が本発明の非接触切り出し機の特徴である。なお、最上位用紙は折れ曲がるが、その際にも非接触吸着チャックと最上位用紙の間にはチャックから吹き出す気体が存在しエアマットの様に動作するので、折れ目の付くような傷は発生しない。以上の説明の通り、非接触吸着チャック機60の両端に設置した追加の非接触チャックにより、用紙の隙間空けの動作安定度を増すことができる。より大きく開けられた最上位用紙と下部用紙束の間には容易に用紙押さえ機54および55が挿入可能となる。
図10cは本発明の第4の実施例(実施例4)に係り、非接触自動捲りシステム90で使用する新規の非接触切り出し機91の正面側から見た断面図(4)である。ここでは、中央・エアシリンダ58だけが上昇し非接触吸着チャック機は第3の高さに至り、最上位用紙は41で示す位置まで上昇する。なお、両端に追加した非接触チャック69および69cがより大きな隙間を開けるように回転して傾いた後、図10bで説明した期間に逆回転して戻しても良いが、この図10cの期間に前記中央・エアシリンダ58が上昇する際に逆回転して戻すこともできる。この図10cにおいては、中央・エアシリンダ58だけが上昇し非接触吸着チャック機が第3の高さに至る期間に、並行して両端に追加した非接触チャックを次の0027段落で説明する手段により、逆回転し全ての非接触チャックの底面が水平となり、更に中央・エアシリンダ58の上昇した分だけ上昇し、第3の高さに至った状態を示している。前記最上位用紙の位置は41で示す高さに移動して行くので、左右に設置された用紙押さえ機54と55は、0025段落で説明した期間に両端に追加した非接触チャック69bと69cを傾けて大きな隙間を開けた期間の替わりこの図10cに示す期間においても前記用紙押さえ機を挿入することもできる。この隙間への用紙押さえ機54と55の挿入動作が完了の後、左右のエアシリンダ56と57は上昇し、非接触吸着チャック機は第4の高さの最上位位置に移動する。 あるいは直接元の第1の高さに戻っても良い。なお、0018段落にて説明した通り、この期間前記押さえ機は印刷未了の下部用紙を押さえる事はあっても、印刷直後の最上位用紙に接触することはない様に動作している。
図11は本発明の第5の実施例(実施例5)に係り、非接触自動捲りシステム90で使用する新規の非接触切り出し機91の正面側から見た断面図(3)である。この図11を用いて、前記図10bや図10cにて両端に設置した非接触チャック69bと69cを回転し傾ける時と、元に戻す動作を行う時の動作と機構を説明する。下部に左側の仮想的支点72を有する非接触チャック74の取り付け台76と、右側の仮想的支点73を有する非接触チャック75の取り付け台77がある。非接触チャック74と75は左側の仮想的支点72と右側支点73とをそれぞれ中心とする点線で示した3個の同心円の円弧に沿って回転運動する。この回転運動を行うため各非接触チャックはそれぞれ取り付け台76と77に前記円弧に沿って空けられた各々の長穴2個を用い、アクチュエータの動力などを用い回転運動を行う。 この動作により、あらたに59bと59cで示す位置にベルヌーイ効果により発生する気圧差による浮力が発生し、前記最上位用紙40の両端は捲り上がり隙間が発生する。この様な方法により、左側仮想的支点72と右側仮想的支点73とをそれぞれ中心とする円弧に沿って回転運動する左右の非接触チャックの動作により、より大きな隙間を空ける動作を行う場合にも、用紙の印刷面全面に亘り非接触動作を維持することができる。なお、前記アクチュエータの動力などを用いて前記非接触チャックを仮想支点72と73を中心に逆回転することにより前記非接触チャックを回転前の水平の状態に戻すことができる。また、この逆回転動作は0026段落の図10cの動作の説明した通り、中央・エアシリンダ58だけが上昇し、最上位用紙は41で示す位置まで上昇する動作と並行して実施することもできる。
図12は本発明の第5の実施例(実施例5)に係り、非接触自動捲りシステム90で使用する新規の非接触切り出し機91の上面図である。0015段落で説明した図2aと同様に、この図において、4本の大きな矢印は用紙の方向を示している。左側にある縦の矢印36は正面側を示し、右側に在る矢印37は後面側を示している。また、下側に在る横向きの矢印38は右側面を示し、上側に在る矢印39は左側面を示している。0009段落で説明した特願2015−011822の実施例の図5には回転部材に取付けられた粘着テープが左右側面に設置されている図が示されている。また、前記特願2015−011822の実施例の図9(A)および図10(A)には、カレンダー用紙の左右側面に吸引エアによる吸着機が左右側面に設置されている。これらの従来手段では用紙の綴じ代と粘着テープや吸引エアによる吸着機との間に引っ張り合いが容易に発生し、枚葉に対し皺などの不具合を発生する場合があった。一方、本発明の図2から図10cまでに示した実施例2から実施例4にはこの様な不具合を起こす事のない実施例を開示している。さらに、この本発明の実施例5では印刷直後のインク汚れを起こさず、用紙の皺などの用紙品質の劣化を起こさない設置方法により、前記非接触切り出し動作を実現する技術手段を示しており、以下にその説明を行う。まず、左側面39側に追加設置した非接触チャック74の隣に左側仮想的支点72が設置されているが、実際にはこの上面図の通り、斜めの線分84の角度で設置してある。線分84は82A、82D、82Eの3点を頂点とする直角三角形の82Aと82Dを結ぶ辺と82Aと82Eを結ぶ辺に切片を持つ線分である。同様に、右側面38側に追加設置した非接触チャック75の隣に右側仮想的支点73が設置されているが、実際にはこの上面図の通り、斜めの線分85の角度で設置してある。線分85は82B、82C、82Eの3点を頂点とする直角三角形の82Bと82Cを結ぶ辺と82Bと82Eを結ぶ辺に切片を持つ線分である。この条件は、線分84と85がカレンダー上で交差したり、各々が綴じ代17や固定器6と交差して、カレンダーの最上位用紙に皺などの異常を発生させないためである。また、固定器の長さは通常、綴じ代より短く設定するが、長くなる場合は前記三角形の頂点の82Dあるいは82Cはそれぞれ固定器の両端となる場合がある。これに伴い、前記直角三角形の直角となる頂点82Aと82Bは固定器6の両端からカレンダーの小口18におろした垂線が小口と交わる交点にそれぞれ移る。以上をまとめると、前記左右の二つの仮想的支点を中心に回転動作する左右両端の非接触チャックが、上方から見た吸着される前記最上位用紙の領域内に設置され、上方から見た前記左右の前記仮想的支点の2本の延長線が、前記最上位用紙の上で交差することなく、更に、前記仮想的な左右の二つの支点の上方から見た延長線が前記最上位用紙の綴じ代部または該最上位用紙を上から押える固定器による用紙の固定部と交差しないことが印刷直後の用紙に皺を発生させない条件となる。更に折り目と折り目がぶつかり合う事をなくし、折り目と固定器や綴じ代がぶつかり合う事を無くすことが隙間を空ける動作を阻害しない条件となり、皺を発生させないための条件となる。なお、左右両側面に追加した前記非接触チャック74および75はカレンダー用紙上に設置されることにより、安定した非接触吸着動作が可能となるので、前記線分84および85がそれぞれ側辺と交わる角度は、この非接触チャックの大きさや設置位置にも依存するが、目安として約5度以上に設定されることになる。また、左右の各仮想的支点72と73は、実際の支点の場合であっても同じ動作を行うことになる。印刷直後の領域から離れた位置に支点を設置できる場合において、印刷直後の用紙と前記実際の支点が物理的に接触しても印刷直後の印刷場所を擦り汚すことのない場合には、実際の支点を設置する事もできる。更に、図2から図10cまでの説明の中で、これらの実施例2、3、および4の隙間空け動作の直前から直後までの期間中に1回または複数回、左右側面から「圧縮エアノズル」で前記隙間部分にエアの噴射を行い、静電気や湿気などによる用紙間の圧着状態を解す処置を行う事もできる。
図13は本発明の第6の実施例(実施例6)に係り、本発明の非接触自動捲りシステム90で使用する新規の非接触搬送機93の上面図である。この非接触搬送機93の実施例6は非接触吸着チャック機60、綴じ代17を有する用紙束2、固定器6、そして正面側、左側面側と右側面側に設置した「送風エア吹き出し機」51、52および53、そして擬似閉鎖空間10などで構成される。図13に示すように、この非接触搬送機93の実施例6の上面を俯瞰すると支持台1の上には非接触切り出し機91の非接触吸着チャック機60が最上位まで上昇し、42の位置に上昇した最上位用紙が見える。この上昇により後面側が固定機6で押さえられているため、この42の位置への移動によりこの用紙の正面側の小口部18は後面側37の方向に移動し、その後ろ側には下側の用紙束2の小口側の一部が見えるようになる。また、前記擬似閉鎖空間10の構成と動作は次の通りとなる。 まず、後面側には用紙束を綴じている綴じ代17があり、その近傍には用紙束2とその用紙束の最上位用紙とを上から押さえる固定器6がある。また、正面側の「送風エア吹き出し機」51が支持台の上方に設置され複数のスリットや複数の吹き出し口が設けられており、矢印で示す通り気体は支持台1に向け斜め下方に吹き出される。この矢印が各々直列につながっているのは、最上位用紙や下部の用紙束2に入射する気体の流れと、最上位用紙や下部の用紙束2に反射され右手上方に向かう気体の流れを示している。この正面側の「送風エア吹き出し機」51からの気体の流れが用紙の小口近傍を下方に押さえつける動作を行っている。次に、左側面側の「送風エア吹き出し機」52と右側面側の「送風エア吹き出し機」53は支持台とほぼ同じ高さに設置され、複数のスリットや複数の吹き出し口、あるいは大きな吹き出し口が一つまたは少数設けられており、各々に付記した矢印の方向に気体を斜め上方に吹き出しており、この「送風エア吹き出し機」52および53から吹き出される気体の流れがエアカーテンのように擬似エア分断機として機能する。更に、上面側は最上位用紙が壁となり、下面側は支持台や下部用紙が壁になっている。こうして立体構造の前後左右上下の6面が閉鎖される擬似閉鎖空間10が形成され、気体の滞留特性や摩擦特性や気体分断特性などによりこの擬似閉鎖空間10に閉じ込められた気体は、前記左側面側および右側面側の各「送風エア吹き出し機」から吹き出される気体と共に「紙風船」の様に膨らんだ状態を維持または膨張することができる。また、前記擬似閉鎖空間10の閉鎖性向上のため、必要に応じて、左側面に第1の気体遮断ガイド61と第2の気体遮断ガイド62を設置し、右側面に第3の気体遮断ガイド63と第4の気体遮断ガイド64を設置し、遮蔽効果を高めても良い。なお、前記非接触切り出し機91は、複数のベルヌーイ効果を利用する非接触吸着チャック機60で示す図となっているが、図2から図12までに示した非接触切り出し機91の各実施例を適用でき、この非接触切り出し機91動作終了時の用紙42を本発明の非接触搬送機93が受け取る様に動作する。なお、前記の各「送風エア吹き出し機」には電動送風機などから送られる大量の気体が塩ビ管などの配管を通して送りこまれ、前記の各吹き出し口から供給される構造となっている。また、本特許の明細書に於いては、「圧縮エアノズル」と表記する場合は、コンプレッサーにより圧縮された高圧エアがエア・レギュレータなどを経由してビニール配管などによりノズルまで送り込まれ、この高圧エアを直径1mm程度の微少な複数の噴出口から強く噴射する「圧縮エアノズル」の事を意味している。
図14は本発明の第6の実施例(実施例6)に係り、非接触自動捲りシステム90で使用する新規の非接触搬送機93の側面図である。この図14では、本発明の非接触搬送機93の動作により用紙を上昇させる動作を行う際、必要な内容を予め印刷した複数の用紙を綴じ合わせ後に、必要に応じて指定の企業名、店舗名や広告などを各葉の一部に追加印刷するカレンダーの「名入れ印刷」需要に対応する実施例を示している。この例では、あらかじめ綴じ合わせされた用紙の1辺には綴じ代17があり、この綴じ代または綴じ代近傍を固定器6により押えている間に、平台オフセット印刷機の転写胴9が所定の印刷のため印刷領域81で示す範囲にまで進入して、前記最上位用紙40に追加印刷を行う。この印刷領域は通常、カレンダーの小口端18から150mm程度の内部までの範囲となっている。印刷直後に、この印刷した最上位用紙40を前記非接触切り出し機91の切り出し動作を行う。この非接触切り出し機91には図2aから図12で説明した各機構を用いる事ができる。そして、図14において、非接触吸着チャック機60により用紙を非接触吸着して上昇させ、前記最上位用紙の位置と形状は42で示す位置と形状に至り、本発明の非接触搬送機93がこの用紙を受け取る。0029段落で説明した通り、「送風エア吹き出し機」51から斜め下方にエア51aが吹き出され、最上位用紙や下部の用紙束2に反射され右手上方に向かう気体51bが流れる。ここで、この最上位用紙が42から43で示す位置と形状に移動する際、前記の斜め上方への気体51bの流れに沿って、ベルヌーイ効果により発生する浮力を生じさせる負圧発生領域が気体51bの流れの下側に形成され、42の位置まで切り出された最上位用紙の小口側の領域は、この負圧発生領域の効果と共に、0029段落で説明した擬似閉鎖空間10の効果により発生する浮力により更に上昇し43で示す位置と形状に移る。なお、0010段落で説明した通り、気体の有する粘性や気体と用紙の間に発生する摩擦力と滞留特性など、気体の有する物理現象を組み合わせる手段をこの非接触搬送機に適用し、用紙と該非接触搬送機93が気体以外と物理的に接触することのない動作を行っている。なお、上記滞留特性については、前述の通り、囲われた空間と外部空間とに気圧差がない場合には気体に流れや移動が起きにくい特性の事を意味している。以上説明した通り、本発明の非接触切り出し機91と共に非接触搬送機93の動作中においても、印刷直後の印刷面を擦ることを無くす事ができると共に、切り出し動作から搬送動作の期間に急激な用紙の変形を起こさない様に制御可能な機構を用いているので、本発明の非接触搬送機93は品質が高く、安定動作を実現でき、交換の手間やコスト発生を大幅に抑える事が可能な非接触搬送機93を確立している。なお、前記の各「送風エア吹き出し機」は、例えば金属やプラスティック系のパイプに気体吹き出し口としてスリットが設けられているか、あるいは小穴が複数設けられ、パイプの側端部から送風機からの気体が注入される気体吹き出し機構造となっている。また、両側面に設置する「送風エア吹き出し機」は大きな開口を有しエアのビームが集中しない構造を使う事もできる。あるいは、電動送風機から吹き出すエアを直接または配管を通してそのまま吹き出す構造も使う事ができる。更に、電動送風機から吹き出す気体を直接または配管を通して全てまたは一部の前記各「送風エア吹き出し機」から吹き出す構造などと共に、圧縮気体を別の「圧縮エアノズル」から吹き出す機構とを併用するハイブリッド構造などの方法も適用できる。
図15は本発明の第7の実施例(実施例7)に係り、非接触自動捲りシステム90で使用する新規の非接触搬送機93で枚葉用紙を水平前方に搬送する非接触搬送機93の断面図である。図15には印刷前の用紙束2から1枚の用紙が公知のローラを使用するなど、枚葉用紙の搬入機構により移動し40で示す位置に到着し、その後の印刷動作が完了した状況が示されている。可動式印刷機8は矢印81で示す通り用紙の上の全面を移動できるような設置が可能であり、印刷完了後に退避する。次に、前記本発明の非接触切り出し機91により、40で示す位置にある1枚の用紙を、42の位置まで上昇させた後、用紙の切り出し動作が完了する。なお、非接触切り出し機91は、図2から図12までに示した本発明の非接触切り出し機91の各実施例を適用できる。この非接触切り出し機91動作終了時の用紙は42の位置で切り離され、図13と図14にて説明した本発明の非接触搬送機93の実施例6に引き渡され、更に上昇し、43で示した用紙の位置で、この用紙はこの非接触搬送機93の「送風エア吹き出し機」の動作に引き渡される。更に、この「送風エア吹き出し機」の動作について説明する。図15に示すこの実施例7では、本発明の非接触搬送機93において、43の位置にある用紙を非接触搬送するため、複数の「送風エア吹き出し機」11、12、13が設置してある。この「送風エア吹き出し機」の設置台数は2〜N台の設置が可能であるが、この図15においては3台の例を示している。ここで、Nは正の整数である。これらの「送風エア吹き出し機」から吹き出される気体により、ベルヌーイ効果により発生する負圧発生領域21、22、23が形成されると共に、気体の有する粘性により摩擦発生領域31、32、33が形成される。これらの機構の動作により、前記用紙は43の位置から前記負圧発生領域により発生する浮力により更に上昇する。そして、前記摩擦発生領域に到達すると、用紙は気体との摩擦力により点線5の矢印の方向に搬送される。この例に示す通り、「送風エア吹き出し機」11、12、13から吹き出される気体は点線5で示される軌跡で流れ、用紙は44で示される位置と形状に搬送された後、「送風エア吹き出し機」12や13の動作により更に前方に搬送され、支持台1の上のストッパ50の手前に落下し、49の位置に収まる。 また用紙の各枚葉の搬送が完了する直前の期間は、この各枚葉の上部には気体の流れが維持されているので、この気体の流れによって生じるベルヌーイ効果により発生する気圧差による浮力により、前記各枚葉が急激に落下することを抑えている。具体的には、49で示す位置に収まる直前の用紙は、「送風エア吹き出し機」から吹き出される気体は点線5で示される軌跡で流れるが、徐々に支持台に沿って流れるので、49の位置まで用紙が移動する際、用紙の上面側にエアの流れがあり、浮力が発生するので、各枚葉は急激に支持台に落下する事は無くなる。なお、この実施例では各負圧発生領域および摩擦発生領域が連続的につながっていない場合を示しているが、隣接する各ノズルの間隔を用紙の長さより充分に短く設定すれば、搬送される用紙には前述の負圧発生効果と摩擦発生効果が十分に働くので、各負圧発生領域および摩擦発生領域が連続的につながっている場合と同等の動作が行われる。以上により、本発明の用紙の非接触搬送機93を用いた搬送方式により印刷直後の用紙を汚すことのない高い品質を維持する非接触搬送機93を実現できる。なお、枚葉用紙の搬送の場合、搬送時の用紙の安定化のため、非接触吸着チャック機60は図12などに図示した一直線にチャックが配列された構造に替わり2次元平面にチャックが配列された構造に置き換えても良い。
図16は本発明の第7の実施例(実施例7)に係り、非接触自動捲りシステム90で使用する新規の非接触搬送機でワークを水平前方に搬送する非接触搬送機93の上面図である。図15に示すように、印刷機8は用紙上を移動できるような設置をしても良いし、用紙の一部に印刷できるように設置しても良い。印刷未了の用紙の束2は、支持台1の下部に置かれ、適切な公知の用紙搬入装置により、印刷前に最上位にある用紙を40の位置に移動させても良い。本発明の非接触搬送機において、0031段落にて説明した通り、印刷完了後に切り出された用紙は前記負圧発生領域により発生する浮力により更に上昇し 本発明の非接触搬送機93の動作に引き渡された用紙は、更に上昇し、43で示した用紙の位置で、この用紙はこの非接触搬送機93の「送風エア吹き出し機」の動作に引き渡される。「送風エア吹き出し機」11や12の動作により用紙は44で示す位置まで搬送され、更に、「送風エア吹き出し機」12や13の動作により、支持台1の上のストッパ50の手前まで送られながら落下し49の位置に収まる。前記「送風エア吹き出し機」11、12、13は、例えば金属やプラスティック系のパイプに気体吹き出し口としてスリットが設けられているか、あるいは小穴が複数設けられ、パイプの側端部から気体が注入される「送風エア吹き出し機」となっている。なおこの気体の注入は電動送風機から配管され供給される気体を用いる事ができる。
図17は本発明の第8の実施例(実施例8)に係り、非接触自動捲りシステム90で使用する新規の非接触搬送機93であり、ワークを水平前方に搬送する非接触搬送機93の断面図である。図17に示すこの実施例では、必要な内容を予め印刷した複数の用紙を綴じ合わせ後に、必要に応じて指定の企業名、店舗名や広告などを各葉の一部に追加印刷するカレンダーなどの「名入れ印刷」需要に対応する実施例を示している。また、あらかじめ綴じ合わせされた用紙の1辺には綴じ代17があり、この綴じ代または綴じ代近傍を固定器6で押え、前記追加印刷を行う。この追加印刷に当たっては、業界で標準となっている平台オフセット印刷機が使われ、図17にはその転写胴9が、最上位用紙に前記追加印刷を行うために用紙束2に進入してきたところを図示しており、平台オフセット印刷機の転写胴9は所定の印刷のため印刷領域81で示す範囲にまで進入して、前記最上位用紙40に追加印刷を行う。0030段落にて図14に関して説明した通り、この印刷領域は通常カレンダーの小口端18から150mm程の内部までの範囲となっている。なお、この追加印刷には例えばインクジェット印刷機を使う事もできる。この追加印刷完了の直後、0031段落で図15に関して説明したと同様に、印刷完了直後の用紙は、前記非接触切り出し機91動作により42の位置まで上昇し、切り離され、図13と図14にて説明した本発明の非接触搬送機93の実施例6に引き渡され、更に上昇し、43で示した用紙の位置で、この用紙はこの非接触搬送機93の「送風エア吹き出し機」による搬送動作に引き渡される。印刷直後の枚葉を搬送するため、この図17に於いては非接触搬送機93の動作には複数の「送風エア吹き出し機」11、12、13、14、15が設置されている。「送風エア吹き出し機」の設置台数は2〜N台の複数設置が可能であるがこの図17においては5台の例を示している。この図17の例では、ベルヌーイ効果により発生する負圧発生領域21、22、23、24、25が連続的につながる様に形成されると共に、気体の有する粘性による摩擦発生領域31、32、33、34、35も連続的につながる様に形成される実施例を示している。非接触搬送機93の実施例8に引き渡された用紙は、続いて、「送風エア吹き出し機」11、12、13が発生する負圧領域21、22、23や摩擦領域31、32、33の機能により、用紙は上昇と前進が始まり順次44、45の形状と位置に導かれる。なお、この実施例8では、「送風エア吹き出し機」13と併用すべく「圧縮エアノズル」13cを設置してあり、厚くて重く腰の強い用紙などの搬送動作を支援するため圧縮気体13dを極短期間噴出している。引き続き「送風エア吹き出し機」14、15が発生する負圧領域24、25や摩擦領域34、35の機能により用紙の前進が続き、順次46、47、48の形状と位置に用紙は導かれる。本実施例では、最終的には用紙はシューター7の上、49の位置に収まる。 この過程において、前記摩擦発生領域に到達すると用紙は気体との摩擦力により矢印5の方向に搬送される。また、用紙の各枚葉の搬送が完了する直前の期間は、この各枚葉の上部に気体の流れが維持されているので、この気体の流れによって生じるベルヌーイ効果により発生する気圧差による浮力により、前記各枚葉が急激に落下することを抑える事ができる。具体的には、シューターに収まる直前の用紙は47から48の位置に在り、「送風エア吹き出し機」15から吹き出される気体は点線5で示される様にほぼ垂直に下降して流れ、シューターに近づくと徐々にシューターの傾きに沿って流れるので、47の位置から49の位置まで用紙が移動する際、裏返しされた用紙の裏面側にエアの流れがあり、浮力が発生するので、各枚葉は急激にシューターに落下したり、衝突する事は無くなる。この例に示す通り、「送風エア吹き出し機」11、12、13、14、15から吹き出される気体は点線5で示される軌跡で流れ、任意の搬送軌跡形状の構築が可能であることを示す。以上の説明の通り、本発明の用紙の搬送機構93において、印刷直後の用紙を汚すことのない高い品質を有する非接触搬送機を実現できる。なお、この図17では、負圧発生領域21、22、23、24、25が連続的につながる様に形成されると共に、気体の有する粘性による摩擦発生領域31、32、33、34、35が連続的につながる様に形成される例を示しているが、図15の例で説明した通り、連続的につながっていない場合も、隣接する各ノズルの間隔が用紙の長さがより充分短い場合には、上記と同等の動作が可能である。更に、この図17には0030段落にて、図14に示した本発明の非接触搬送機93の実施例6の側面図の説明にて触れた、前記各「送風エア吹き出し機」から気体を吹き込む構造などと共に圧縮気体を別の「圧縮エアノズル」から吹き込む機構とを併用するハイブリッド構造などの方法の実施例も示している。具体的には、「送風エア吹き出し機」51に関しては、「圧縮エアノズル」51cを併用することにより、高圧エアを複数のノズルから噴射する機構とのハイブリッド構造を実施例として示してある。加えて、「送風エア吹き出し機」52と53に関しては、「圧縮エアノズル」52cと53cを左右に設置し各々併用しており、ここでも高圧エアを複数のノズルから噴射する機構とのハイブリッド構造を実施例として示してある。このハイブリッド構造を用いる事により、厚く固い用紙の場合はハイブリッド機構の2種の気体の風量や強さ、あるいは噴出時間を制御して、より安定な動作を達成することができる。一方、薄くて軽い用紙では噴出時間を短くする制御を行う事により、安定動作を達成することができる。
図18は本発明の第8の実施例(実施例8)に係り、非接触自動捲りシステム90で使用する新規の非接触搬送機93でワークを水平前方に搬送する機構の上面図である。図18では、本発明の非接触搬送機93において、切り出された最上位の用紙40は印刷完了後、本発明の非接触切り出し機91により用紙束2から切り出され、次に本発明の非接触搬送機93に引き渡され、更に図17で示した本発明の非接触搬送機の実施例8により点線49で示される位置まで順次搬送される。0032段落で説明した例と同様に、「送風エア吹き出し機」11、12、13、14、15は各種パイプに気体吹き出し口としてスリットが設けられているか、あるいは小穴が複数設けられ、パイプの側端部から気体が注入されるノズル構造となっている。また、前記「0036」項で説明の通り、「送風エア吹き出し機」51、52、53、および13に関しては、それぞれ「圧縮エアノズル」を併用し、高圧エアを複数のノズルから噴射する機構とのハイブリッド構造を実施例として示してあるが、ハイブリッド構造適用箇所はこの実施例に限られる事は無い。なお、前記各「送風エア吹き出し機」によるこの気体の注入は電動送風機から配管され供給される気体を用いる事ができる。また、固定器6は上下動するニップ機構で構成する事ができる。なお、この非接触自動捲りシステムの機能はカレンダーの全てのページのシューターまでの搬送までで機能を完了するが、名入れ印刷完了したカレンダーはこのシューターに寄り掛かって停止した後、シューターを滑り落ちたりして、下部の収納ボックスに収まり、この収納ボックスに積載され名入れ印刷完了した用紙束を取り出して終了する。