JP6883259B2 - 負極および二次電池の製造方法、ならびに二次電池 - Google Patents

負極および二次電池の製造方法、ならびに二次電池 Download PDF

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Description

本発明は、負極および二次電池の製造方法に関する。本発明はまた、二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池(リチウム二次電池)等の非水電解質二次電池は、既存の電池に比べて軽量且つエネルギー密度が高いことから、近年、パソコンや携帯端末等のいわゆるポータブル電源や車両駆動用電源として用いられている。特に、軽量で高エネルギー密度が得られるリチウムイオン二次電池は、電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)等の車両の駆動用高出力電源として今後ますます普及していくことが期待されている。
リチウムイオン二次電池に用いられる負極は、典型的には、負極集電体上に負極活物質層が設けられた構成を有する。負極活物質層は、典型的には、炭素材料等の負極活物質を含む。負極活物質は、電荷担体であるリチウムイオンを可逆的に吸蔵および放出可能な物質である。リチウムイオン二次電池に用いられる負極は、典型的には、負極集電体の片面または両面に、負極活物質を含む混合ペーストを塗布して乾燥した後、プレス(圧延)して製造される。このような製造方法によれば、負極活物質を高密度で充填配置することができる。
しかしながら、負極活物質間に隙間が存在する。そこで、特許文献1では、負極活物質層を作製するためのペーストにセラミック粒子を混合して、負極活物質層間に存在する隙間にセラミック粒子を配置することが提案されている。特許文献1には、これにより、負極の機械強度が向上し、サイクル特性が向上することが記載されている。
特開平10−255807号公報
しかしながら、本発明者らの検討によれば、負極活物質、およびセラミック粒子を用いて負極を製造する際に、ペーストの塗工性、および負極活物質層の剥離強度および硬さに改善の余地があることを見出した。
そこで本発明の目的は、負極活物質、およびセラミック粒子を用いて負極を製造する方法であって、ペーストの塗工性が良好であり、得られる負極活物質層の剥離強度および硬さが高い方法を提供することにある。
ここに開示される負極の製造方法は、負極集電体上に、負極活物質、およびセラミック粒子を含有する負極ペーストを塗工する工程と、前記塗工した負極ペーストを乾燥して負極活物質層を形成する工程と、前記負極活物質層をプレスする工程と、を包含する。前記セラミック粒子のアスペクト比は、1.5以上20以下である。前記セラミック粒子の短辺長さは、前記負極活物質の平均粒子径の1/5以下である。前記負極ペーストにおいて、前記セラミック粒子は、前記負極ペーストの全固形分に対して3〜20質量%含有されている。
このような構成によれば、負極ペーストの粘度の過度の増大を招くことがなくペースト塗工性が良好である。また、負極活物質層の剥離強度および硬さ(例えば、ばね定数)を高くすることができる。すなわち、このような構成によれば、ペーストの塗工性が良好であり、得られる負極活物質層の剥離強度および硬さが高い負極の製造方法を提供することができる。
ここに開示される二次電池の製造方法は、上述の負極の製造方法により負極を作製する工程と、得られた前記負極を、正極およびセパレータと共に積層して電極体を作製する工程と、得られた前記電極体を用いて二次電池を作製する工程と、を包含する。
このような構成によれば、負極のペースト塗工性が良好であり、負極活物質層の剥離強度および硬さが高いことから、材料歩留まり良く二次電池を作製することができる。
ここに開示される二次電池は、正極と、負極とがセパレータを介して積層されている電極体と、非水電解質と、を備える。前記負極は、負極活物質層を有し、前記負極活物質層は、負極活物質、およびセラミック粒子を含有する。前記セラミック粒子のアスペクト比は、1.5以上20以下である。前記セラミック粒子の短辺長さは、前記負極活物質の平均粒子径の1/5以下である。前記セラミック粒子は、前記負極活物質層中3〜20質量%含有されている。
このような構成によれば、負極製造時において、負極のペースト塗工性が良好であり、負極活物質層の剥離強度および硬さが高いことから、材料歩留まり良く製造することが可能な二次電池が提供される。
ここに開示される二次電池の好ましい一態様では、前記負極のばね定数が、前記セパレータのばね定数よりも高い。このような構成によれば、充放電を繰り返した際に負極活物質層からの非水電解質の過度の流出を抑制することができる。よって、電極体からの非水電解質の過度の流出を抑制することができ、これにより、ハイレートで充放電を繰り返した際の二次電池の抵抗増加を抑制することができる。
ここに開示される二次電池の好ましい一態様では、前記セラミック粒子が、角部を有した板状である。このような構成によれば、セラミック粒子の角部が負極活物質に食い込むようになるため、負極活物質層の剥離強度および硬さを効果的に向上させることができ、これにより特に材料歩留まり良く製造することが可能な二次電池が提供される。
本発明の一実施形態に係る負極の製造方法の各工程を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態に係る製造方法により得られる負極を用いたリチウムイオン二次電池の内部構造を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る製造方法により得られる負極を用いたリチウムイオン二次電池の捲回電極体の構成を示す模式図である。 (a)は、粒子径の大きい球状のセラミック粒子を用いた例を模式的に示す図であり、(b)は、粒子径の小さい球状のセラミック粒子を用いた例を模式的に示す図であり、(c)は、本実施形態の例を模式的に示す図である。
以下、図面を参照しながら、本発明による実施の形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えば、本発明を特徴付けない負極および二次電池の一般的な構成および製造プロセス)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。また、図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は実際の寸法関係を反映するものではない。
なお、本明細書において「二次電池」とは、繰り返し充放電可能な蓄電デバイス一般をいい、リチウムイオン二次電池等のいわゆる蓄電池ならびに電気二重層キャパシタ等の蓄電素子を包含する用語である。また、本明細書において「リチウムイオン二次電池」とは、電荷担体としてリチウムイオンを利用し、正負極間におけるリチウムイオンに伴う電荷の移動により充放電が実現される二次電池をいう。
以下、一実施形態を挙げて、本発明について詳細に説明するが、本発明をかかる実施形態に限定することを意図したものではない。
図1に、本実施形態に係る負極の製造方法の各工程を示す。本実施形態に係る負極の製造方法は、負極集電体上に、負極活物質、およびセラミック粒子を含有する負極ペーストを塗工する工程(ペースト塗工工程)S101と、当該塗工した負極ペーストを乾燥して負極活物質層を形成する工程(乾燥工程)S102と、当該負極活物質層をプレスする工程(プレス工程)S103と、を包含する。本実施形態に係る負極の製造方法においては、当該セラミック粒子のアスペクト比は、1.5以上20以下である。また、当該セラミック粒子の短辺長さは、当該負極活物質の平均粒子径の1/5以下である。さらに、当該負極ペーストにおいて、当該セラミック粒子は、当該負極ペーストの全固形分に対して3〜20質量%含有されている。
まず、ペースト塗工工程S101について説明する。ペースト塗工工程S101は、例えば、次のようにして実施することができる。まず、負極活物質、およびセラミック粒子を含有するペーストを用意する。なお、本明細書において、「ペースト」とは、固形分の一部またはすべてが溶媒に分散した混合物のことをいい、いわゆる「スラリー」、「インク」等を包含する。
負極活物質としては、従来の二次電池に用いられるものを特に限定なく使用し得る。例えば、少なくとも一部にグラファイト構造を有する炭素材料が挙げられ、中でも、黒鉛、ハードカーボン、ソフトカーボン等の炭素材料を好適に用いることができる。炭素材料の表面は、非晶質炭素膜で被覆されていてもよい。
負極活物質の平均粒子径は、特に限定されず、従来の二次電池と同程度であってよい。負極活物質の平均粒子径は、例えば50μm以下、典型的には20μm以下、好ましくは1μm〜20μm、より好ましくは5μm〜15μmである。
なお、本明細書中において「平均粒子径」とは、特記しない限り、レーザ回折散乱法に
より測定される粒度分布おいて、累積度数が体積百分率で50%となる粒子径(D50)のことをいう。
セラミック粒子としては、充放電反応に関与しないものが好ましく、その例としては、アルミナ、ベーマイト、水酸化アルミニウム、ジルコニア、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化ナトリウム等が挙げられる。これらは1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。セラミック粒子は、通常、炭素材料である負極活物質粒子よりもはるかに硬い材料であるため、負極活物質層の機械強度、例えば、硬さを高めることができる。その結果、本実施形態の製造方法により得られる負極を用いた二次電池は、負極活物質層の圧縮変形が抑制されているため、サイクル特性(特にハイレートサイクル特性)に優れたものとなる。
セラミック粒子の形状について、セラミック粒子のアスペクト比は、1.5以上20以下の範囲内にある。当該アスペクト比が1.5未満だと、セラミック粒子の形状が球状に近くなるため、比表面積が大きくなり、下記のペーストが含む溶媒(特に水)をセラミック粒子が吸収する量が多くなって、ペースト粘度が増大する。その結果、塗工性が悪くなる。一方、アスペクト比が20を超えると、セラミック粒子の、負極活物質層のばね定数の増大(硬さの増加)に関与しない部分の体積が大きくなる。その結果、セラミック粒子の添加量に応じたばね定数増大効果が得られず、また、負極活物質層の特性を損なうおそれがある。
アスペクト比は、例えば、電子顕微鏡を用いて求めることができる。具体的には、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、負極ペーストまたは負極活物質層に含まれるセラミック粒子を観察し、観察した粒子の長辺長さ(長径)L1と短辺長さ(短径)L2とを求め、長辺長さL1を短辺長さL2で除することにより求めることができる。なお、SEM観察によりアスペクト比を求める際には、50個以上の粒子について測定を行い、その平均値として求める。
セラミック粒子の短辺長さ(L2)は、負極活物質の平均粒子径の1/5以下である。セラミック粒子の短辺長さが負極活物質の平均粒子径の1/5より大きいと、後述のプレス工程S103においてプレス処理を行なった場合に、セラミック粒子が移動し易くなり、その結果、負極活物質層の剥離強度の低下を招く。したがって、製造過程において負極活物質層の剥離等の不具合を生じ得る。あるいは、負極活物質層の硬さの低下を招く。
なお、セラミック粒子の短辺長さは、電子顕微鏡を用いて求めることができる。なお、SEM観察により短辺長さを求める際には、50個以上の粒子について測定を行い、その平均値として求める。
セラミック粒子の形状は、上記のアスペクト比と短辺長さの関係を満たす限り特に制限はない。セラミック粒子の形状は、例えば、板状、棒状等であってよく、好ましくは角部を有した板状(例えば、方形板状、円盤状等)である。セラミック粒子の形状が角部を有した板状である場合には、セラミック粒子の角部が負極活物質に食い込むようになるため、後述のようにプレス工程S103においてプレス処理を行なった場合に、セラミック粒子がより移動しにくくなる。
なお、セラミック粒子が板状である場合には、中辺長さ(中径)L3は、L1に対して0.5倍以上1倍以下が好ましく、0.7倍以上1倍以下がより好ましい。なお、セラミック粒子が板状である場合には、短辺長さL2は、板状粒子の厚さであり、長辺長さL1は、板状粒子の平面の長辺長さ(長径)であり、中辺長さL3は、板状粒子の平面の短辺長さ(短径)である。セラミック粒子の中辺長さL3は、セラミック粒子の短辺長さL2と同様にして測定することができる。
また、負極ペーストは溶媒を含有する。溶媒としては、水系溶媒が好ましく用いられる。水系溶媒とは、水または水を主体とする混合溶媒を指す。当該混合溶媒を構成する水以外の溶媒としては、水と均一に混合し得る有機溶剤(例、低級アルコール、低級ケトン等)が挙げられる。水系溶媒は、好ましくは、80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上、水を含む。水系溶媒として最も好ましくは、水である。
負極ペーストは、結着剤を含有していてもよい。結着剤としては、例えば、スチレンブタジエンラバー(SBR)およびその変性体、アクリロニトリルブタジエンゴムおよびその変性体、アクリルゴムおよびその変性体、フッ素ゴム等が挙げられる。なかでも、SBRが好ましい。
負極ペーストは、増粘剤を含有していてもよい。増粘剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース(MC)、酢酸フタル酸セルロース(CAP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)等のセルロース系ポリマーや、ポリビニルアルコール(PVA)等が挙げられ、なかでも、CMCが好ましい。
負極ペーストにおいて、セラミック粒子は、負極ペーストの全固形分に対して3〜20質量%含有される。セラミック粒子の含有量が3質量%未満だと、セラミック粒子を含有させることにより得られるサイクル特性向上効果が十分に得られない。一方、セラミック粒子の含有量が20質量%を超えると、セラミック粒子の量が多くなることに伴い、ペーストが含む溶媒(特に水)をセラミック粒子が吸収する量の総量が多くなって、ペースト粘度が増大する。また、負極活物質層の剥離強度の低下を招く。
負極活物質は、負極ペーストの全固形分中、50質量%を超えて含有されることが好ましく、より好ましくは70質量%〜96質量%、さらに好ましくは、75〜95質量%含有される。
結着剤は、負極ペーストの全固形分中、0.1質量%〜8質量%含まれることが好ましく、より好ましくは0.2質量%〜3質量%、さらに好ましくは0.3質量%〜2質量%含まれる。
増粘剤は、負極ペーストの全固形分中、好ましくは0.3質量%〜3質量%、より好ましくは0.4質量%〜2質量%含まれる。
負極ペーストの固形分濃度は、好ましくは40質量%〜80質量%であり、より好ましくは45質量%〜60質量%である。固形分濃度が上記範囲内であることにより、負極ペーストの乾燥効率を向上させることができる。また、負極ペーストの取り扱いが容易となり、均一な塗工が容易となるため、均一な厚みを有する負極活物質層を容易に形成することができる。
負極ペーストの調製は、負極活物質と、セラミック粒子と、溶媒と、任意成分とを公知方法に従い混合することにより、行うことができる。
次いで、調製したペーストを、負極集電体上に塗工する。
負極集電体としては、従来のリチウムイオン二次電池と同様に、導電性の良好な金属(例えば、銅、ニッケル、チタン、ステンレス鋼等)からなる導電性部材が好ましく用いられ、なかでも、銅が好ましい。負極集電体の形状は、得られる負極を用いて構築されるリチウムイオン二次電池の形状等に応じて異なり得るため特に制限はなく、棒状、板状、シート状、箔状、メッシュ状等の種々の形態であってよい。好適には、負極集電体は、シート状または箔状である。負極集電体の厚みは特に限定されないが、負極集電体として銅製シートまたは銅箔を用いる場合、その厚みは、例えば6μm〜30μmである。
負極集電体への上記負極ペーストの塗工は、公知方法に従い行うことができる。例えば、グラビアコーター、コンマコーター、スリットコーター、ダイコーター等の塗布装置を用いて、負極集電体上に上記負極ペーストを塗布することにより行うことができる。なお、負極活物質層は、負極集電体の片面のみに形成してもよいし、両面に形成してもよく、好ましくは、両面に形成する。したがって、上記負極ペーストの塗工は、負極集電体の片面または両面に行われ、好ましくは両面に行われる。
次に、乾燥工程S102について説明する。当該工程S102は、公知方法に従い行うことができる。例えば、負極ペーストが塗工された負極集電体から、乾燥炉等の乾燥装置を用いて上記溶媒を除去することにより行うことができる。乾燥温度および乾燥時間は、使用する溶媒の種類に応じて適宜決定すればよく、特に限定されない。乾燥温度は、例えば70℃超200℃以下(典型的には110℃〜150℃)である。乾燥時間は、例えば10秒〜240秒(典型的には30秒〜180秒)である。
次にプレス工程S103について説明する。当該工程S103は、公知方法に従い行うことができる。プレス条件は、所望の負極活物質層の厚み、目付量、密度等に応じて適宜設定すればよい。
以上のようにして、負極集電体上に負極活物質層が形成された負極を得ることができる。
本実施形態の製造方法では、ペーストの塗工性が良好であり、同時に、負極活物質層の剥離強度が良好である。その理由は以下のように推測される。
図4(a)は、球状、すなわちアスペクト比が約1であり、かつ粒子径の大きなセラミック粒子14Aを用いた場合の例である。負極活物質粒子12は、樹脂成分(典型的には結着剤、増粘剤等)16によって接合されており、そこにセラミック粒子14Aが接合されている。大粒子径の球状セラミック粒子14Aを用いた場合、プレス工程S103を行った際に、大粒子径の球状セラミック粒子14Aは大きく移動して、図4(a)に示す矢印ように樹脂成分16と共に分離する。その結果、負極活物質層の剥離強度および硬さの少なくとも一方の低下を招く。
図4(b)は、球状、すなわちアスペクト比が約1であり、かつ粒子径の小さなセラミック粒子14Bを用いた場合の例である。負極活物質粒子12は、樹脂成分(典型的には結着剤、増粘剤等)16によって接合されており、そこにセラミック粒子14Bが接合されている。小粒子径の球状セラミック粒子14Bを用いた場合、プレス工程S103を行った際でも、小粒子径の球状セラミック粒子14Bの移動は小さく、セラミック粒子14Bは接合された状態で留まる。このため、負極活物質層の剥離強度および硬さの低下は起こらない。しかしながら、球状セラミック粒子14Bは粒子径が小さいため、比表面積が大きい。このため、負極ペーストに含有される溶媒を吸収しやすく、負極ペーストの粘度上昇を招き、塗工性の悪化を招く。
図4(c)は、本実施形態に従い、アスペクト比が1.5以上20以下であり、短辺長さが、負極活物質粒子12の平均粒子径の1/5以下であるセラミック粒子14Cを用いた場合の例である。セラミック粒子14Cは、短辺長さが小さいため、粒子径の小さなセラミック粒子14Bを用いた場合のように、プレス工程S103を行った際でも、セラミック粒子14Cの移動は小さい。よって、セラミック粒子14Cは接合された状態で留まり、負極活物質層の剥離強度および硬さの低下は起こらない。むしろ、アスペクト比が1.5以上20以下という範囲にあるため、図示例のように複数のセラミック粒子14Cが負極活物質粒子12間に入りこんで、負極活物質粒子12間の隙間を埋める体積が大きくなる。この結果、負極活物質層の剥離強度および硬さが向上する。なお、セラミック粒子14Cの形状が角部を有した板状である場合には、セラミック粒子14Cの角部が負極活物質に食い込みやすい。そのため、プレス工程S103においてプレス処理を行なった場合に、セラミック粒子14Cが応力を受けた場合でも、負極活物質粒子12と接触するセラミック粒子14Cの角部がフックとして機能するため、セラミック粒子がより移動しにくくなる。さらに、アスペクト比が1.5以上20以下という範囲にあるため、球状粒子と比べて比表面積は小さい。そのため、負極ペーストの粘度上昇が小さく、塗工性に悪影響を及ぼさない。
本実施形態に係る負極の製造方法によれば、負極ペーストの粘度の過度の増大を招くことがなくペースト塗工性が良好である。また、負極活物質層の剥離強度および硬さ(例えば、ばね定数)を大きくすることができる。すなわち、本実施形態に係る負極の製造方法によれば、ペーストの塗工性が良好であり、および負極活物質層の剥離強度および硬さが高い負極を生産性よく製造することができる。
本実施形態に係る製造方法により得られる負極は、二次電池用負極として好適に用いることができる。
そこで別の側面から、ここに開示される二次電池の製造方法は、上記の実施形態に係る製造方法により負極を作製する工程(負極作製工程)と、得られた当該負極を、正極およびセパレータと共に積層して電極体を作製する工程(電極体作製工程)と、得られた当該電極体を用いて二次電池を作製する工程(二次電池作製工程)と、を包含する。
負極作製工程は、上述の実施形態に係る負極の製造方法を行なうことにより、実施することができる。電極体作製工程および二次電池作製工程は、公知方法に従い、行なうことができる。このような二次電池の製造方法によれば、負極のペースト塗工性が良好であり、負極活物質層の剥離強度および硬さが高いことから、材料歩留まり良く二次電池を作製することができる。なお、電極体作製工程において、負極のばね定数より低いばね定数を有するセパレータを用いた場合には、得られる二次電池のハイレートで充放電を繰り返した際の抵抗増加が高度に抑制される。
そこでまた別の側面から、ここに開示される二次電池は、正極と、負極とがセパレータを介して積層されている電極体と、非水電解質と、を備える。当該負極は、負極活物質層を含む。当該負極活物質層は、負極活物質とセラミック粒子を含有する。当該セラミック粒子のアスペクト比は、1.5以上20以下である。当該セラミック粒子の短辺長さは、当該負極活物質の平均粒子径の1/5以下である。当該セラミック粒子は、当該負極活物質層中3〜20質量%含有されている。
ここに開示される二次電池は、材料歩留まり良く作製可能なものである。
以下、図2および図3を参照しながら、ここに開示される二次電池の製造方法により製造される二次電池、およびここに開示される二次電池の構成を、リチウムイオン二次電池を例として説明する。
図2に示すリチウムイオン二次電池100は、扁平形状の捲回電極体20と非水電解液(図示せず)とが扁平な角形の電池ケース(即ち外装容器)30に収容されることにより構築される密閉型のリチウムイオン二次電池100である。電池ケース30には外部接続用の正極端子42および負極端子44と、電池ケース30の内圧が所定レベル以上に上昇した場合に該内圧を開放するように設定された薄肉の安全弁36が設けられている。また、電池ケース30には、非水電解液を注入するための注入口(図示せず)が設けられている。正極端子42は、正極集電板42aと電気的に接続されている。負極端子44は、負極集電板44aと電気的に接続されている。電池ケース30の材質としては、例えば、アルミニウム等の軽量で熱伝導性の良い金属材料が用いられる。
捲回電極体20は、図2および図3に示すように、長尺状の正極集電体52の片面または両面(ここでは両面)に長手方向に沿って正極活物質層54が形成された正極シート50と、長尺状の負極集電体62の片面または両面(ここでは両面)に長手方向に沿って負極活物質層64が形成された負極シート60とが、2枚の長尺状のセパレータシート70を介して重ね合わされて長手方向に捲回された形態を有する。なお、捲回電極体20の捲回軸方向(上記長手方向に直交するシート幅方向をいう。)の両端から外方にはみ出すように形成された正極活物質層非形成部分52a(即ち、正極活物質層54が形成されずに正極集電体52が露出した部分)と負極活物質層非形成部分62a(即ち、負極活物質層64が形成されずに負極集電体62が露出した部分)には、それぞれ正極集電板42aおよび負極集電板44aが接合されている。
正極シート50を構成する正極集電体52としては、例えばアルミニウム箔等が挙げられる。正極活物質層54に含まれる正極活物質としては、例えばリチウム遷移金属酸化物(例、LiNi1/3Co1/3Mn1/3、LiNiO、LiCoO、LiFeO、LiMn、LiNi0.5Mn1.5等)や、リチウム遷移金属リン酸化合物(例、LiFePO等)が挙げられる。正極活物質層54は、活物質以外の成分、例えば導電材やバインダ等を含み得る。導電材としては、例えばアセチレンブラック(AB)等のカーボンブラックやその他(例、グラファイト等)の炭素材料を好適に使用し得る。バインダとしては、例えばポリフッ化ビニリデン(PVdF)等を使用し得る。
負極シート60には、上述の実施形態に係る製造方法により得られる負極が用いられる。したがって、負極活物質層64は、負極活物質、およびセラミック粒子を含有する。当該セラミック粒子のアスペクト比は、1.5以上20以下である。当該セラミック粒子の短辺長さは、当該負極活物質の平均粒子径の1/5以下である。当該セラミック粒子は、負極活物質層64中3〜20質量%含有されている。
セパレータ70としては、例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル、セルロース、ポリアミド等の樹脂から成る多孔性シート(フィルム)が挙げられる。かかる多孔性シートは、単層構造であってもよく、二層以上の積層構造(例えば、PE層の両面にPP層が積層された三層構造)であってもよい。セパレータ70の表面には、耐熱層(HRL)が設けられていてもよい。
ここで、負極シート60が上述の実施形態に係る製造方法により製造されることにより、負極活物質層64のばね定数(すなわち、硬さ)が向上している。
そこで、負極シート60のばね定数がセパレータ50のばね定数よりも高いことが好ましい。
セパレータ50のばね定数が負極シート60のばね定数がよりも高い場合(すなわち、セパレータ50が、負極シート60よりも硬い場合)には、負極活物質層64の体積がほとんど増大することなく、充放電時に負極活物質が体積変化する。そのため、負極活物質が膨張した際に、負極活物質層64から非水電解質が過度に流出しやすい。しかしながら、負極シート60のばね定数がセパレータ50のばね定数よりも高い場合には、充放電時の負極活物質の体積変化に伴い、負極活物質層64も体積変化することができる。したがって、充放電を繰り返した際に負極活物質層64からの非水電解質の過度の流出を抑制することができる。よって、捲回電極体20からの非水電解質の過度の流出を抑制することができ、これにより、ハイレートで充放電を繰り返した際のリチウムイオン二次電池100の抵抗増加を抑制することができる。
負極シート60のばね定数は、高ければ高い方がよく、好ましくは210kN/mm以上であり、より好ましくは220kN/mm以上300kN/mm以下であり、さらに好ましくは234kN/mm以上261kN/mm以下である。
セパレータ50のばね定数は、例えば90kN/mm以上200kN/mm以下であり、好ましくは120kN/mm以上190kN/mm以下である。
なお、負極シート60およびセパレータ50のばね定数はそれぞれ、例えば、5cm×5cm角に切り出した50枚のシートを積層して測定用サンプルを作製し、これをSUS板で挟んだ後、オートグラフ精密万能試験機にて荷重を印加し、「ばね定数=Δ荷重/Δ厚み変位」として求めることができる。
非水電解質は従来のリチウムイオン二次電池と同様のものを使用可能であり、典型的には有機溶媒(非水溶媒)中に、支持塩を含有させたものを用いることができる。非水溶媒としては、一般的なリチウムイオン二次電池の電解液に用いられる各種のカーボネート類、エーテル類、エステル類、ニトリル類、スルホン類、ラクトン類等の有機溶媒を、特に限定なく用いることができる。具体例として、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)等が例示される。このような非水溶媒は、1種を単独で、あるいは2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。支持塩としては、例えば、LiPF、LiBF、LiClO等のリチウム塩を好適に用いることができる。支持塩の濃度は、0.7mol/L以上1.3mol/L以下が好ましい。
なお、上記非水電解液中は、例えば、ガス発生剤、被膜形成剤、分散剤、増粘剤等の各種添加剤を含み得る。
以上のようにして構成されるリチウムイオン二次電池100は、各種用途に利用可能である。好適な用途としては、電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)等の車両に搭載される駆動用電源が挙げられる。
以上、例として扁平形状の捲回電極体20を備える角型のリチウムイオン二次電池100について説明した。しかしながら、ここに開示される二次電池の製造方法により製造される二次電池、およびここに開示される二次電池は、上記の例に限られず、他の種類のリチウムイオン二次電池であってもよい。例えば、これらの二次電池は、積層型電極体を備えるリチウムイオン二次電池であってよく、円筒型リチウムイオン二次電池、ラミネート型リチウムイオン二次電池等であってよい。また、これらの二次電池は、公知方法に従い、リチウムイオン二次電池以外の二次電池として構成することができる。
以下、本発明に関する実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
<負極A1〜9および負極B1〜11の作製>
負極活物質としての平均粒子径10μmの黒鉛と、セラミック粒子と、結着材としてのSBRと、増粘剤としてのCMCとを、これらの材料の質量比が、黒鉛とセラミック粒子の合計:SBR:CMC=98:1:1となるよう混練機に投入し、水で粘度を調整しながら混練して、負極ペースト(固形分濃度50質量%)を調製した。使用したセラミック粒子の種類、添加量、長辺長さ、短辺長さ、アスペクト比を表1に示す。なお、長辺長さおよび短辺長さはSEM観察によって測定した値である。この負極ペーストを厚み10μmの長尺状の銅箔(負極集電体)の両面に105mm幅で塗布し、乾燥後、所定の厚みにプレスすることによって、負極集電体の両面に負極活物質層を有する負極シートを作製した。
<塗工性の評価>
負極ペーストの粘度を、B型粘度計を用いて回転速度20rpmの条件で測定した。また、製造した負極の負極活物質層を目視により観察し、ボイドの発生状態について調べ、以下の基準にて評価した。なお、このボイドは、いわゆる泡かみ(気泡が塗布後のペーストに残っている状態)に起因するものである。
○:負極活物質層にボイドがない。あるいはボイドが小さく、負極集電体が透けて見えない。
×:負極活物質層に大きなボイドがあり、負極集電体が見える(透けて見えるものを含む)。
<強度の評価>
[剥離強度]
上記作製した負極を幅10mmの短冊状にカットし、負極活物質層を、剥離強度試験用土台に貼り付けた。負極集電体をオートグラフ精密万能試験機にて引張って荷重を印加し、剥離強度を測定した。
[ばね定数測定]
上記作製した負極を5cm×5cm角に50枚切り出し、積層して測定用サンプルを作製した。このサンプルをSUS板で挟み、オートグラフ精密万能試験機にて荷重を印加した。「ばね定数=Δ荷重/Δ厚み変位」としてばね定数を算出した。
また、セパレータのばね定数もこれと同じ方法で算出した。
<評価用リチウムイオン二次電池の作製>
上記作製した負極を用いて、評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
具体的には、正極活物質としての平均粒子径5μmのLiNi1/3Mn1/3Co1/3(LNCM)と、導電材としてのアセチレンブラック(AB)と、バインダとしてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)とを、これら材料の質量比がLNCM:AB:PVdF=92:5:3となるよう混練機に投入し、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)で粘度を調整しながら混練して、正極ペースト(固形分濃度50質量%)を調製した。この正極ペーストを厚み15μmの長尺状のアルミニウム箔(正極集電体)の両面に100mm幅で塗布し、乾燥後、所定の厚みにプレスすることによって、正極集電体の両面に正極活物質層を有する正極シートを作製した。
上記で作製した正極シートと負極シートとを、1枚の厚み24μmのセパレータシート(PP/PE/PPの三層構造の多孔質シート;ばね定数=160kN/mm)とともに積層し、捲回した後、側面方向から押圧して拉げさせることによって扁平形状の捲回電極体を作製した。次に、捲回電極体に、ケース蓋体と接続された正極端子および負極端子を溶接し、注液孔を有する角型の電池ケース本体に挿入した。そしてケース蓋体と電池ケース本体とを溶接して封止した。
続いて、電池ケースの注液孔から非水電解液を注入し、当該注液孔に封止用のネジを締め付けることにより、気密に封止した。非水電解液には、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とをEC:DMC:EMC=1:1:1の体積比で含む混合溶媒に、支持塩としてのLiPFを1.0mol/Lの濃度で溶解させたものを用いた。電池ケースの側面をSUS板で500kgfの荷重で拘束して、評価用リチウムイオン二次電池(電池設計容量:5Ah)を得た。
<電池抵抗の測定>
作製したリチウムイオン二次電池をSOC60%の充電状態に調整した後、25℃の環境雰囲気下に置いた。20Cの電流値で10秒間の放電を行い、放電開始から10秒後の電圧値を測定し、電池抵抗を算出した。これを初期電池抵抗とした。
<ハイレート充電サイクル試験>
電池抵抗を測定したリチウムイオン二次電池をSOC60%の充電状態に調整した後、25℃の環境雰囲気下に置いた。そして30Cで10秒間の定電流充電、10秒間の休止、1Cで300秒間の定電流放電、10秒間の休止を1サイクルとする充放電を2000サイクル行なった。2000サイクル後の電池抵抗を上記と同様の方法で求めた。(2000サイクル後電池抵抗/初期電池抵抗)×100より、抵抗増加率(%)を算出した。
Figure 0006883259
表1より、負極A1〜A7は、ペースト塗工性および負極活物質層の剥離強度と硬さのすべてが優れていることがわかる。また、負極A1〜A7を用いた電池は、ハイレート充電サイクル試験後の抵抗増加率が低く、サイクル特性に優れることがわかる。
一方、負極B1は、セラミック粒子が添加されていないため、ばね定数が低く(すなわち、負極活物質層の硬さが低く)、その結果、負極B1を用いた電池は、ハイレート充電サイクル試験後の抵抗増加率が高かった。
粒子径1μmの球状(アスペクト比が1)のセラミック(アルミナ)粉末を用いた負極B2は、負極B1と比べて、ばね定数が高く、電池とした際のハイレート充電サイクル試験後の抵抗増加率は低かったが、ペースト粘度が大幅に上昇し、塗工性が悪かった。これは、セラミック粒子の粒子径が小さいため、セラミック粒子の比表面積が大きくなってセラミック粒子の吸収する水量が多くなり、ペースト粘度が増加したためと考えられる。
粒子径2μmの球状のセラミック粒子を用いた負極B3は、負極B1と比べて、ばね定数が高く、電池とした際のハイレート充電サイクル試験後の抵抗増加率は低かったが、剥離強度の低下が見られた。これは、負極作製時にプレスした際に、プレスによる衝撃でセラミック粒子が大きく移動することにより、黒鉛とセラミック粒子がCMCやSBRが結合した状態から、セラミック粒子がCMCやSBRと共に脱離して、負極活物質層の強度が低下したためと考えられる。
負極B4では、負極B2と負極B3で用いた球状セラミック粒子の粒子径の中間の粒子径の球状セラミック粒子を用いたが、ペースト粘度の増大と剥離強度の低下が共に顕著だった。
負極B5では、セラミック粒子のアスペクト比を1.25にしたが、ペースト粘度が高く、塗工性が悪かった。これは、アスペクト比が1.25でも、セラミック粒子の比表面積が十分大きいためセラミック粒子の吸収する水量が多く、ペースト粘度が増加したためと考えられる。
負極B6では、セラミック粒子のアスペクト比を30にしたが、剥離強度が低かった。また、ばね定数が低く、電池とした際のハイレート充電サイクル試験後の抵抗増加率が高かった。これは、負極活物質間に存在するセラミック粒子のばね定数向上に関与しない部分の体積が大きくなったためと考えられる。
負極B7では、セラミック粒子の添加量を2質量%にしたが、ばね定数が低く、電池とした際のハイレート充電サイクル試験後の抵抗増加率が高かった。これは、セラミック粒子の添加量が少なすぎて、負極活物質層中のばね定数が増加されていない部分による悪影響が顕著となったためと考えられる。
負極B8では、セラミック粒子の添加量を25質量%にしたが、ペースト塗工性が悪かった。これは、セラミック粒子の総量が多すぎて、セラミック粒子の吸収する水量が多くなったためと考えられる。また、剥離強度も低かった、これはCMCやSBRを介して結合していないセラミック粒子の量が増えたためと考えられる。
負極A8およびB9ならびに負極A9およびB10では、セラミック粒子の素材を、ベーマイトおよび水酸化アルミニウムに変更したが、同様の傾向が見られ、負極A8およびA9では、ペースト塗工性および負極活物質層の剥離強度と硬さのすべてが優れ、電池とした際のサイクル特性にも優れていた。
負極B11では、セラミック粒子の短辺長さを負極活物質の平均粒子径の1/5よりも大きくしたが、ばね定数が低く、ハイレート充電サイクル試験後の抵抗増加率が高かった。これは、セラミック粒子の短辺長さが大きすぎるために、黒鉛とセラミック粒子がCMCやSBRが結合した状態から、セラミック粒子がCMCやSBRと共に脱離して、負極活物質層の硬さが低下したためと考えられる。
以上の結果より、本実施形態に係る負極の製造方法によれば、ペースト塗工性が改善されており、また、負極活物質層の剥離強度および硬さが改善されていることがわかる。そして、本実施形態に係る製造方法により得られる負極を、ばね定数が低いセパレータと共に二次電池(特に、リチウムイオン二次電池)に用いた場合には、サイクル特性(特に、ハイレートサイクル特性)に優れたものとなることがわかる。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
20 捲回電極体
30 電池ケース
36 安全弁
42 正極端子
42a 正極集電板
44 負極端子
44a 負極集電板
50 正極シート(正極)
52 正極集電体
52a 正極活物質層非形成部分
54 正極活物質層
60 負極シート(負極)
62 負極集電体
62a 負極活物質層非形成部分
64 負極活物質層
70 セパレータシート(セパレータ)
100 リチウムイオン二次電池

Claims (4)

  1. 負極集電体上に、負極活物質、およびセラミック粒子を含有する負極ペーストを塗工する工程と、
    前記塗工した負極ペーストを乾燥して負極活物質層を形成する工程と、
    前記負極活物質層をプレスする工程と、
    を包含する負極の製造方法であって、
    前記セラミック粒子のアスペクト比は、1.5以上20以下であり、
    前記セラミック粒子の短辺長さは、前記負極活物質の平均粒子径の1/5以下であり、
    前記セラミック粒子は、板状であって、その厚さ方向の断面視において角部を有し、前記角部は、前記負極活物質の粒子と接触した際にフックとして機能し、
    前記負極ペーストにおいて、前記セラミック粒子は、前記負極ペーストの全固形分に対して3〜20質量%含有されている、
    負極の製造方法。
  2. 請求項1に係る負極の製造方法により負極を作製する工程と、
    得られた前記負極を、正極およびセパレータと共に積層して電極体を作製する工程と、
    得られた前記電極体を用いて二次電池を作製する工程と、
    を包含する、二次電池の製造方法。
  3. 正極と、負極とがセパレータを介して積層されている電極体と、
    非水電解質と、
    を備える二次電池であって、
    前記負極は、負極活物質層を有し、
    前記負極活物質層は、負極活物質、およびセラミック粒子を含有し、
    前記セラミック粒子のアスペクト比は、1.5以上20以下であり、
    前記セラミック粒子の短辺長さは、前記負極活物質の平均粒子径の1/5以下であり、
    前記セラミック粒子は、板状であって、その厚さ方向の断面視において角部を有し、前記角部は、前記負極活物質の粒子と接触した際にフックとして機能し、
    前記セラミック粒子は、前記負極活物質層中3〜20質量%含有されている、
    二次電池。
  4. 前記負極のばね定数が、前記セパレータのばね定数よりも高い、請求項3に記載の二次電池。
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