JP6905671B2 - 非水電解質リチウム二次電池用正極の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、非水電解質リチウム二次電池用正極の製造方法に関する。
近年、非水電解質リチウム二次電池は、パソコン、携帯端末等のポータブル電源や、電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)等の車両駆動用電源などに好適に用いられている。
非水電解質リチウム二次電池は、発電要素として、正極および負極を有する電極体を備える。当該正極は典型的には、シート状の正極集電体上に正極活物質を含む正極活物質層を有する。このような正極は、一般的に、正極活物質、導電材、結着材、および溶媒を含む正極合材ペーストを正極集電体上に塗工した後、高温で乾燥することによって製造される(例えば、特許文献1参照)。特許文献1では、結着材として、ポリフッ化ビニリデンが用いられている。
特開2015−103332号公報
本発明者らが鋭意検討した結果、正極の結着材としてポリフッ化ビニリデンを用いた場合には、正極合材ペーストの粘度が経時的に増加するという問題があることを見出した。また、一方で、非水電解質リチウム二次電池には、特に車両駆動用電源用途において低温出力が高いことが求められている。
そこで本発明の目的は、結着材としてポリフッ化ビニリデンを用いる非水電解質リチウム二次電池用正極の製造方法であって、正極合材ペーストの経時的な増粘が抑制されており、非水電解質リチウム二次電池に高い低温出力を与えることが可能な正極の製造方法を提供することである。
ここに開示される非水電解質リチウム二次電池用正極の製造方法は、正極活物質、ポリフッ化ビニリデン、無水酢酸、および溶媒を用いて正極合材ペーストを調製する工程と、前記正極合材ペーストを、正極集電体上に塗工する工程と、前記塗工された正極合材ペーストを乾燥する工程と、を包含する。前記ポリフッ化ビニリデンに対する、前記正極活物質に含まれるLiOHの質量比は0.040以上0.075以下である。前記正極合材ペーストを調製する際の全固形成分の量に対する無水酢酸の量は0.01質量%以上0.2質量%以下である。
PVdFに対する上記正極活物質に含まれるLiOHの質量比が上記範囲内にあり、かつ無水酢酸の量が上記範囲内にあることによって、正極活物質表面に存在するLiOHを適切に中和することができ、かつ正極活物質の表面のLiOHおよびLiCOを除去することができる。そして、これにより正極合材ペーストの経時的な増粘を抑制することができる。また、得られる正極を非水電解質リチウム二次電池に用いた場合に、低温出力を高くすることができる。すなわち、このような構成によれば、正極合材ペーストの経時的な増粘が抑制されており、非水電解質リチウム二次電池に高い低温出力を与えることが可能な正極の製造方法を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る製造方法により得られる正極を用いた非水電解質リチウム二次電池の内部構造を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る製造方法により得られる正極を用いた非水電解質リチウム二次電池の捲回電極体の構成を示す模式図である。
以下、図面を参照しながら、本発明による実施の形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えば、本発明を特徴付けない非水電解質リチウム二次電池用正極の一般的な構成および製造プロセス)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。また、図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は実際の寸法関係を反映するものではない。
なお、本明細書において「二次電池」とは、繰り返し充放電可能な蓄電デバイス一般をいい、非水電解質リチウム二次電池等のいわゆる蓄電池ならびに電気二重層キャパシタ等の蓄電素子を包含する用語である。また、本明細書において「非水電解質リチウム二次電池」とは、電荷担体としてリチウムイオンを利用し、正負極間におけるリチウムイオンに伴う電荷の移動により充放電が実現される二次電池をいう。
以下、一実施形態を挙げて、本発明について詳細に説明するが、本発明をかかる実施形態に限定することを意図したものではない。
本実施形態に係る非水電解質リチウム二次電池用正極の製造方法は、正極活物質、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、無水酢酸、および溶媒を用いて正極合材ペーストを調製する工程(以下、「正極合材ペースト調製工程」ともいう)と、当該正極合材ペーストを、正極集電体上に塗工する工程(以下、「塗工工程」ともいう)と、当該塗工された正極合材ペーストを乾燥する工程(以下、「乾燥工程」ともいう)と、を包含する。当該ポリフッ化ビニリデンに対する、当該正極活物質に含まれるLiOHの質量比は0.040以上0.075以下である。当該正極合材ペーストを調製する際の全固形成分の量に対する無水酢酸の量は、0.01質量%以上0.2質量%以下である。
本発明者らが鋭意検討した結果、正極合材ペーストが経時的に増粘する原因が、正極活物質の表面に存在する、塩基である余剰のLiOHが、時間の経過に従い、結着材であるPVdFの脱HR反応を促進することによってゲル化を引き起こすことにあることを見出した。その対策として、酸である無水酢酸を適量使用することにより、中和作用によってLiOHの上記の作用を抑えて増粘を抑制できることを見出した。さらに、酸である無水酢酸の添加によって、正極活物質の表面のLiOHおよびLiCOが取り除かれることにより、正極活物質の活性な領域が増加し、反応抵抗が低減され、低温での出力が増加することを見出した。
まず、本実施形態に係る非水電解質リチウム二次電池用正極の製造方法の正極合材ペースト調製工程について説明する。
正極活物質としては、リチウム複合酸化物を用いることができる。リチウム複合酸化物は、表面に余剰のLiOHを含む。リチウム複合酸化物の例としては、リチウムニッケル系複合酸化物、リチウムコバルト系複合酸化物、リチウムマンガン系複合酸化物、リチウムニッケルマンガン系複合酸化物(例、LiNi0.5Mn1.5)、リチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物(例、LiNi1/3Mn1/3Co1/3)等が挙げられる。
正極活物質の性状は特に限定されないが、典型的には粒子状である。粒子状正極活物質の平均粒径は、通常20μm以下(典型的には1〜20μm、例えば5〜15μm)である。なお、本明細書において「平均粒径」とは、一般的なレーザー回折・光散乱法に基づく体積基準の粒度分布において、粒径が小さい微粒子側からの累積頻度50体積%に相当する粒径(D50、メジアン径ともいう。)をいう。
正極活物質は、正極合材ペーストを構成する全固形成分中、50質量%を超えて含まれることが好ましく、より好ましくは80質量%以上97質量%以下、さらに好ましくは85質量%以上96質量%以下含有される。
本実施形態では、結着材としてPVdFを使用する。
PVdFと正極活物質の使用量に関し、PVdFに対する、上記正極活物質に含まれるLiOHの質量比(LiOH/PVdF)は、0.040以上0.075以下である。
無水酢酸は、酸として機能し、正極活物質の表面に存在する余剰のLiOHを中和する成分である。
正極合材ペーストを調製する際の全固形成分の量に対する無水酢酸の量が、0.01質量%以上0.2質量%以下である。
PVdFに対する上記正極活物質に含まれるLiOHの質量比が上記範囲内にあり、かつ無水酢酸の量が上記範囲内にあることによって、正極活物質表面に存在するLiOHを適切に中和することができ、かつ正極活物質の表面のLiOHおよびLiCOを除去することができる。そして、これにより正極合材ペーストの経時的な増粘を抑制することができる。また、本実施形態に係る製造方法により得られる正極を非水電解質リチウム二次電池に用いた場合に、低温出力を高くすることができる。
正極合材ペーストを調製する際の全固形成分の量に対する無水酢酸の量は、0.02質量%以上0.2質量%以下が好ましく、0.05質量%以上0.2質量%以下がより好ましい。
PVdFに対する、上記正極活物質に含まれるLiOHの質量比をA、正極合材ペーストを調製する際の全固形成分の量に対する無水酢酸の量をBとした場合に、比A/Bが0.2以上75以下であることが好ましい。
溶媒としては、例えば、N−メチルピロリドン(NMP)等を用いることができる。
正極合材ペーストの固形分濃度は、乾燥効率の観点から、例えば45質量%以上であり、好ましくは50質量%以上80質量%以下である。したがって、溶媒は、正極合材ペーストがこのような固形分濃度となるように使用量を選択することが好ましい。
なお、正極合材ペーストを調製する際に、正極活物質、PVdF、無水酢酸、および溶媒以外の任意成分を用いてもよい。任意成分の例としては、導電材、リン酸リチウム、pH調整剤、増粘剤、分散剤等が挙げられる。
導電材としては、カーボンブラック(例えばアセチレンブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラック等)、コークス、黒鉛の炭素材料が挙げられ、中でも、カーボンブラックが好ましい。導電材は、正極活物質に対し、0.1質量%以上20質量%以下含有されることが好ましく、1質量%以上15質量%以下含有されることがより好ましく、2質量%以上10質量%以下含有されることがさらに好ましい。
正極合材ペーストは、正極活物質、PVdF、無水酢酸、溶媒、および任意成分を、プラネタリーミキサー、ホモジナイザー、クレアミックス、フィルミックス、ビーズミル、ボールミル、押出混練機等の公知の混合装置を用いて混合することにより、調製することができる。
なお、本明細書において、「ペースト」とは、固形分の一部またはすべてが溶媒に分散した混合物のことをいい、いわゆる「スラリー」、「インク」等を包含する。
次に、塗工工程について説明する。
正極集電体には、導電性の良好な金属(例えば、アルミニウム、ニッケル、チタン、ステンレス鋼等)からなる箔状体を用いることができ、好ましくは、アルミニウム箔が用いられる。
当該塗工は、公知方法に従い行うことができる。例えば、スリットコーター、ダイコーター、コンマコーター、グラビアコーター、ディップコーター等の塗布装置を用いて、正極集電体上に上記正極合材ペーストを塗布することにより行うことができる。なお、正極活物質層は、正極集電体の片面のみに形成してもよいし、両面に形成してもよく、好ましくは両面に形成される。したがって、上記ペーストの塗工は、正極集電体の片面または両面に行われ、好ましくは両面に行われる。
次に、乾燥工程について説明する。当該乾燥工程は、公知方法に従い行うことができる。例えば、ペーストが塗工された正極集電体から、乾燥炉等の乾燥装置を用いて上記溶媒を除去することにより行うことができる。乾燥温度および乾燥時間は、正極中に含まれる溶媒の量に応じて適宜決定すればよく、特に限定されない。乾燥温度は、例えば70℃〜200℃(典型的には110℃〜180℃)である。乾燥時間は、例えば5分〜120分である。
乾燥後、正極にロールプレス等のプレス処理を適宜施すことによって、正極活物質層の厚み、密度等を調整してもよい。
以上のようにして、正極集電体上に正極活物質層が形成された正極を製造することができる。
本実施形態の製造方法においては、正極合材ペーストの経時的な増粘が抑制されているため、正極作製時に、配管詰まり、フィルター詰まりの発生等が低減されている。そのため、歩留まりよく正極を作製することができる。また、このようにして製造された正極を非水電解質リチウム二次電池に用いることにより、低温出力の高い非水電解質リチウム二次電池を提供することができる。また、正極合材ペーストが歩留まりよく製造可能であるため、非水電解質リチウム電池の材料歩留まりを高くすることができる。
以下、図1および図2を参照しながら、本実施形態に係る製造方法により得られる正極を用いて作製される非水電解質リチウム二次電池の構成例について説明する。
図1に示す非水電解質リチウム二次電池100は、扁平形状の捲回電極体20と非水電解液(図示せず)とが扁平な角形の電池ケース(即ち外装容器)30に収容されることにより構築される密閉型電池である。電池ケース30には外部接続用の正極端子42および負極端子44と、電池ケース30の内圧が所定レベル以上に上昇した場合に該内圧を開放するように設定された薄肉の安全弁36が設けられている。また、電池ケース30には、非水電解液を注入するための注入口(図示せず)が設けられている。正極端子42は、正極集電板42aと電気的に接続されている。負極端子44は、負極集電板44aと電気的に接続されている。電池ケース30の材質としては、例えば、アルミニウム等の軽量で熱伝導性の良い金属材料が用いられる。
捲回電極体20は、図1および図2に示すように、長尺状の正極集電体52の片面または両面(ここでは両面)に長手方向に沿って正極活物質層54が形成された正極シート50と、長尺状の負極集電体62の片面または両面(ここでは両面)に長手方向に沿って負極活物質層64が形成された負極シート60とが、2枚の長尺状のセパレータシート70を介して重ね合わされて長手方向に捲回された形態を有する。なお、捲回電極体20の捲回軸方向(上記長手方向に直交するシート幅方向をいう。)の両端から外方にはみ出すように形成された正極活物質層非形成部分52a(即ち、正極活物質層54が形成されずに正極集電体52が露出した部分)と負極活物質層非形成部分62a(即ち、負極活物質層64が形成されずに負極集電体62が露出した部分)には、それぞれ正極集電板42aおよび負極集電板44aが接合されている。
正極シート50には、上述の本実施形態に係る製造方法により得られる正極が用いられる。
負極シート60を構成する負極集電体62としては、例えば銅箔等が挙げられる。負極活物質層64に含まれる負極活物質としては、例えば黒鉛、ハードカーボン、ソフトカーボン等の炭素材料を使用し得る。負極活物質層64は、活物質以外の成分、例えば結着材や増粘剤等を含み得る。結着材としては、例えばスチレンブタジエンラバー(SBR)等を使用し得る。増粘剤としては、例えばカルボキシメチルセルロース(CMC)等を使用し得る。
セパレータ70としては、例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル、セルロース、ポリアミド等の樹脂から成る多孔性シート(フィルム)が挙げられる。かかる多孔性シートは、単層構造であってもよく、二層以上の積層構造(例えば、PE層の両面にPP層が積層された三層構造)であってもよい。セパレータ70の表面には、耐熱層(HRL)が設けられていてもよい。
非水電解質は従来の非水電解質リチウム二次電池と同様のものを使用可能であり、典型的には有機溶媒(非水溶媒)中に、支持塩を含有させたものを用いることができる。非水溶媒としては、一般的な非水電解質リチウム二次電池の非水電解質に用いられる各種のカーボネート類、エーテル類、エステル類、ニトリル類、スルホン類、ラクトン類等の有機溶媒を、特に限定なく用いることができる。具体例として、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、モノフルオロエチレンカーボネート(MFEC)、ジフルオロエチレンカーボネート(DFEC)、モノフルオロメチルジフルオロメチルカーボネート(F−DMC)、トリフルオロジメチルカーボネート(TFDMC)等が例示される。このような非水溶媒は、1種を単独で、あるいは2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。支持塩としては、例えば、LiPF、LiBF、LiClO等のリチウム塩(好ましくはLiPF)を好適に用いることができる。支持塩の濃度は、0.7mol/L以上1.3mol/L以下が好ましい。
非水電解質は、本発明の効果を著しく損なわない限りにおいて、上述した成分以外の成分、例えば、ビフェニル(BP)、シクロヘキシルベンゼン(CHB)等のガス発生剤;増粘剤;等の各種添加剤を含んでいてもよい。
以上のようにして構成される非水電解質リチウム二次電池100は、各種用途に利用可能である。好適な用途としては、電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)等の車両に搭載される駆動用電源が挙げられる。非水電解質リチウム二次電池100は、複数個を直列および/または並列に接続してなる組電池の形態でも使用され得る。
なお、本実施形態に係る製造方法により得られる正極を用いて構成される非水電解質リチウム二次電池は、上記の例に限られない。上記では、捲回電極体を備える扁平角型の非水電解質リチウム二次電池について説明したが、積層型電極体を備える非水電解質リチウム二次電池として構成することもできる。また、円筒型非水電解質リチウム二次電池、コイン型非水電解質リチウム二次電池、ラミネート型非水電解質リチウム二次電池等として構成することもできる。
以下、本発明に関する実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
<正極の作製>
正極活物質としてのLiNi1/3Co1/3Mn1/3(LNCM)と、導電材としてのアセチレンブラック(AB)と、分散剤と、LiPOと、無水酢酸と、結着材としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)とを、N−メチルピロリドン(NMP)と混合し、正極合材ペーストを作製した。このとき、LNCMと導電材と分散剤の質量比は、LNCM:導電材:分散剤:LiPO=89.8:8:0.2:3とした。PVdFは、LNCMが含有するLiOHの量に基づいて、表に示す正極活物質のLiOH含有量/PVdF量の質量比を満たすように添加した。無水酢酸は、正極合材ペーストを調製する際の全固形成分中の質量割合が、表に示す値(質量%)になるように添加した。正極合材ペーストの固形分濃度が62.5質量%となるように、NMPの使用量を設定した。
このペーストを、60m/minのライン速度にて、長尺状のアルミニウム箔の両面に帯状に塗布し、180℃で乾燥した後、プレスすることにより、正極シートを作製した。
<評価用リチウム二次電池の作製>
負極活物質として、天然黒鉛が非晶質な炭素材料でコートされたもの(非晶質炭素被覆天然黒鉛)を準備した。非晶質炭素被覆天然黒鉛(C)と、結着材としてのスチレンブタジエンゴム(SBR)と、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)とを、C:SBR:CMC=98:1:1の重量比でイオン交換水と混合して、負極活物質層形成用ペーストを調製した。このペーストを、長尺状の銅箔の両面に正極シートの正極活物質層よりも幅広に、帯状に塗布して乾燥した後、プレスすることにより、負極シートを作製した。
また、2枚のセパレータシート(多孔性ポリオレフィンシート)を用意した。
作製した正極シートと負極シートと用意した2枚のセパレータシートとを重ね合わせ、捲回して捲回電極体を作製した。正極シートと負極シートにそれぞれ電極端子を取り付け、これを、注液口を有する電池ケースに収容した。
続いて、電池ケースの注液口から非水電解液を注入し、当該注液口を気密に封止した。なお、非水電解液には、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とジメチルカーボネート(DMC)とを3:4:3の体積比で含む混合溶媒に、支持塩としてのLiPFを1.0mol/Lの濃度で溶解させたものを用いた。
このようにして、評価用リチウム二次電池を得た。
<低温出力評価>
上記作製した評価用リチウム二次電池をSOC27%の充電状態に調整し、−35℃の低温環境下においた。次いで、所定の出力値(W)で定電力放電を行って、放電開始からSOC0%となるまでに要した時間(放電秒数)を測定した。さらに、出力値を様々な値に設定して、同様な定電力放電を行い、放電開始からSOC0%となるまでに要した時間(放電秒数)を測定した。
これらの測定結果に基づいて、各電池について、放電秒数と出力値との相関を取得し、この相関から、放電秒数が2秒となる出力値(すなわち、−35℃の温度環境下において、SOC27%から2秒間でSOC0%まで定電力放電した場合の出力値)を、低温出力(W)として求めた。
無水酢酸の含有量が0質量%であるリチウム二次電池の低温出力を基準(基準値:100%)として、各評価用リチウム二次電池の低温出力の比(%)を算出した。結果を表1に示す。なお、比が100%を超えるものを良品と判断した。
Figure 0006905671
<正極合材ペースト粘度評価>
作製した直後の正極合材ペーストの粘度を、市販のレオメータを用いてせん断速度1S−1で測定した。また、作製した正極合材ペーストを3日間保管した後、その粘度を市販のレオメータを用いてせん断速度1S−1で測定した。3日間保存後の粘度の値と、作製直後の粘度の値を用いて、増粘率(%)を求めた。結果を表2に示す。なお、増粘率が500%以下のものを適正と判断した。
Figure 0006905671
表1より、正極活物質のLiOH含有量/PVdF量の質量比が0.040以上0.090以下であり、全固形成分中の無水酢酸の量が0.001質量%以上0.2質量%以下の範囲にある場合に、低温出力が向上していることがわかる。
さらに、表2より、正極活物質のLiOH含有量/PVdF量の質量比が0.040以上0.075以下であり、全固形成分中の無水酢酸の量が0.01質量%以上0.2質量%以下の範囲にある場合に、正極合材ペーストの粘度が適正範囲内にあることがわかる。
よって、表1および表2の結果を総合すると、正極活物質のLiOH含有量/PVdF量の質量比が0.040以上0.075以下であり、全固形成分中の無水酢酸の量が0.01質量%以上0.2質量%以下の範囲にある場合に、正極合材ペーストの経時的な増粘が抑制されると同時に、非水電解質リチウム二次電池の低温出力が高くなることがわかる。
以上のことから、本実施形態によれば、正極合材ペーストの経時的な増粘が抑制されており、非水電解質リチウム二次電池に高い低温出力を与えることが可能な正極の製造方法が提供されることがわかる。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
20 捲回電極体
30 電池ケース
36 安全弁
42 正極端子
42a 正極集電板
44 負極端子
44a 負極集電板
50 正極シート(正極)
52 正極集電体
52a 正極活物質層非形成部分
54 正極活物質層
60 負極シート(負極)
62 負極集電体
62a 負極活物質層非形成部分
64 負極活物質層
70 セパレータシート(セパレータ)
100 非水電解質リチウム二次電池

Claims (1)

  1. 正極活物質、ポリフッ化ビニリデン、無水酢酸、および溶媒を用いて正極合材ペーストを調製する工程と、
    前記正極合材ペーストを、正極集電体上に塗工する工程と、
    前記塗工された正極合材ペーストを乾燥する工程と、
    を包含する非水電解質リチウム二次電池用正極の製造方法であって、
    前記ポリフッ化ビニリデンに対する、前記正極活物質に含まれるLiOHの質量比が0.040以上0.075以下であり、
    前記正極合材ペーストを調製する際の全固形成分の量に対する無水酢酸の量が、0.01質量%以上0.2質量%以下である、
    非水電解質リチウム二次電池用正極の製造方法。
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