JP6994162B2 - 非水電解液二次電池 - Google Patents
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Description
すなわち、ここに開示される非水電解液二次電池は、正極と、負極と、非水電解液と、を備える。前記正極は、正極活物質層を備える。前記正極活物質層は、正極活物質、およびバインダを含有する。前記正極活物質は、リチウム含有遷移金属酸化物を含む。前記バインダは、ポリフッ化ビニリデンを含む。前記正極活物質は、水酸化リチウムを含む。前記正極活物質に対する水酸化リチウムの質量割合は、0.03質量%以上0.15質量%以下である。前記正極活物質に対するポリフッ化ビニリデンの質量割合は、1.0質量%以上2.2質量%以下である。
このような構成によれば、電池抵抗が小さい非水電解液二次電池が提供される。
また、「非水電解液二次電池」とは、非水電解液(典型的には、非水溶媒中に支持電解質を含む非水電解液)を備えた電池をいう。
正極活物質層54は、正極活物質と、バインダとを含有する。
本実施形態においては、正極活物質として、リチウム含有遷移金属酸化物(すなわち、リチウム元素と遷移金属元素とを含有する複合酸化物)が用いられる。リチウム含有遷移金属酸化物の例としては、リチウムニッケル系複合酸化物、リチウムコバルト系複合酸化物、リチウムマンガン系複合酸化物、リチウムニッケルマンガン系複合酸化物、リチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物等が挙げられる。なかでも、下記式(I)で表されるリチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物が好ましい。
LiaNixMnyCozO2 (I)
ここで、aは、0.98≦a≦1.20を満たす。x、yおよびzは、x+y+z=1を満たす。xは、好ましくは0.20≦x≦0.60を満たし、より好ましくは0.34≦x≦0.60を満たす。yは、好ましくは0<y≦0.50を満たし、より好ましくは0<y≦0.40を満たす。zは、好ましくは0<z≦0.50を満たし、より好ましくは0<z≦0.40を満たす。
余剰のリチウム成分は、正極活物質として用いられるリチウム含有遷移金属酸化物の製造上理由から、リチウム含有遷移金属酸化物に(特に、リチウム含有遷移金属酸化物の表面に)存在する成分である。このため、正極活物質中の水酸化リチウムの含有量は、リチウム含有遷移金属酸化物製造時の原料の混合比、焼成条件等によって変化する。
本実施形態においては、正極活物質に対する(正極活物質中の)水酸化リチウムの質量割合は、0.03質量%以上0.15質量%以下である。この質量割合の範囲の意義については後述する。
なお、正極活物質に対する水酸化リチウムの質量割合は、滴定法等によって求めることができる。
本実施形態においては、正極活物質に対するPVdFの質量割合は、1.0質量%以上2.2質量%以下である。この質量割合の範囲の意義については後述する。
Li3PO4は、非水電解液の分解により発生する酸を捕捉する作用、および電極上に被膜形成する作用を有する。そのため、Li3PO4の使用により、電池の耐久性等が向上する。Li3PO4の含有量は、特に限定されないが、例えば、正極活物質層54中1質量%以上15質量%以下である。
導電材としては、例えばアセチレンブラック(AB)等のカーボンブラックやその他(例、グラファイト等)の炭素材料を好適に使用し得る。正極活物質層54中の導電材の含有量は、特に限定されないが、1質量%以上15質量%以下が好ましく、3質量%以上13質量%以下がより好ましい。
負極活物質層中の負極活物質の含有量は、90質量%以上が好ましく、95質量%以上99質量%以下がより好ましい。負極活物質層中のバインダの含有量は、0.1質量%以上8質量%以下が好ましく、0.5質量%以上3質量%以下がより好ましい。負極活物質層中の増粘剤の含有量は、0.3質量%以上3質量%以下が好ましく、0.5質量%以上2質量%以下がより好ましい。
非水溶媒としては、一般的なリチウムイオン二次電池の電解液に用いられる各種のカーボネート類、エーテル類、エステル類、ニトリル類、スルホン類、ラクトン類等の有機溶媒を、特に限定なく用いることができる。具体例として、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、モノフルオロエチレンカーボネート(MFEC)、ジフルオロエチレンカーボネート(DFEC)、モノフルオロメチルジフルオロメチルカーボネート(F-DMC)、トリフルオロジメチルカーボネート(TFDMC)等が例示される。このような非水溶媒は、1種を単独で、あるいは2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
支持塩としては、例えば、LiPF6、LiBF4、LiClO4等のリチウム塩(好ましくはLiPF6)を好適に用いることができる。支持塩の濃度は、0.7mol/L以上1.3mol/L以下が好ましい。
そこで、本実施形態においては、正極活物質に対する水酸化リチウムの質量割合が、0.03質量%以上0.15質量%以下であり、かつ正極活物質に対するポリフッ化ビニリデンの質量割合が、1.0質量%以上2.2質量%以下である。
水酸化リチウムの質量割合およびポリフッ化ビニリデンの質量割合の一方または両方が上記範囲よりも小さいと、上記の架橋反応が十分に起こらずにネットワーク構造がほとんど形成されず、3次元的な結着作用を十分に得ることができない。したがって、電池抵抗低減効果が十分に得られない。一方、水酸化リチウムの質量割合およびポリフッ化ビニリデンの質量割合の両方が上記範囲よりも大きいと、バインダ同士が結着するようになり、その結果、バインダの凝集が起こり、バインダの分散状態が不均一となる。その結果、正極活物質同士および正極活物質と正極集電体52との間の密着性(さらには導通性)が悪くなり、抵抗が高くなる。
正極活物質としてのLiNi0.38Co0.32Mn0.30O2(LNCM)と、導電材としてのアセチレンブラック(AB)と、バインダとしてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)とを、N-メチルピロリドン(NMP)と混合し、正極活物質層形成用ペーストを作製した。正極活物質には、表1に示す量のLiOHを含有するものを用いた。導電材は、正極活物質100質量部に対して8.9質量部とした。バインダは、正極活物質に対し、表1に示す質量割合で用いた。このペーストを、長尺状のアルミニウム箔の両面に帯状に塗布して乾燥した後、プレスすることにより、正極シートを作製した。
また、負極活物質としての天然黒鉛(C)と、バインダとしてのスチレンブタジエンゴム(SBR)と、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)とを、C:SBR:CMC=98:1:1の質量比でイオン交換水と混合して、負極活物質層形成用スラリーを調製した。このスラリーを、長尺状の銅箔の両面に帯状に塗布して乾燥した後、プレスすることにより、負極シートを作製した。
また、セパレータシートとして、PP/PE/PPの三層構造を有する2枚の厚さ20μmの多孔性ポリオレフィンシートを用意した。
作製した正極シートと負極シートと用意した2枚のセパレータシートとを重ね合わせ、捲回して捲回電極体を作製した。このとき、正極シートと負極シートとの間にセパレータが介在するようにした。正極シートと負極シートにそれぞれ電極端子を取り付け、これを、注液口を有する電池ケースに収容した。
続いて、電池ケースの注液口から非水電解液を注入し、当該注液口を気密に封止した。なお、非水電解液には、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)とエチルメチルカーボネート(EMC)と含む混合溶媒に、支持塩としてのLiPF6を溶解させたものを用いた。電解液の組成に関し、質量比LiPF6:EC:DMC:EMCを14:30:28:28とした。
このようにして、評価用リチウムイオン二次電池No.1~15を作製した。
25℃の温度環境下で、各評価用リチウムイオン二次電池をSOC20%の状態に調整した。次に、25℃の温度環境下で、この電池に対して20Cのレートで10秒間の定電流放電を行い、電圧降下量を測定した。次に、かかる電圧降下量を放電電流値で除して、電池抵抗を算出した。結果を表1に示す。
したがって、ここに開示される非水電解液二次電池によれば、電池抵抗が小さいことがわかる。
30 電池ケース
36 安全弁
42 正極端子
42a 正極集電板
44 負極端子
44a 負極集電板
50 正極シート(正極)
52 正極集電体
52a 正極活物質層非形成部分
54 正極活物質層
60 負極シート(負極)
62 負極集電体
62a 負極活物質層非形成部分
64 負極活物質層
70 セパレータシート(セパレータ)
100 リチウムイオン二次電池
Claims (1)
- 正極と、負極と、非水電解液と、を備える非水電解液二次電池であって、
前記正極は、正極活物質層を備え、
前記正極活物質層は、正極活物質、およびバインダを含有し、
前記正極活物質は、リチウム含有遷移金属酸化物を含み、
前記バインダは、ポリフッ化ビニリデンを含み、
前記正極活物質は、水酸化リチウムを含み、
前記正極活物質に対する水酸化リチウムの質量割合は、0.09質量%以上0.15質量%以下であり、
前記正極活物質に対するポリフッ化ビニリデンの質量割合は、1.0質量%以上1.67質量%以下であり、
前記リチウム含有遷移金属酸化物は、下記式(I)で表されるリチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物である、非水電解液二次電池。
Li a Ni x Mn y Co z O 2 (I)
(式(I)において、aは、0.98≦a≦1.20を満たし、x、yおよびzは、x+y+z=1を満たし、xは、0.20≦x≦0.60を満たし、yは、0<y≦0.50を満たし、zは、0<z≦0.50を満たす。)
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