JP6881345B2 - ポット精紡方法およびポット精紡機 - Google Patents

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Description

本発明は、ポット精紡方法およびポット精紡機に関する。
精紡方法の1つとして、円筒形のポットを用いるポット精紡方法が知られている。特許文献1には、ポット精紡方法およびポット精紡機に関する技術が記載されている。特許文献1に記載の技術では、導糸管の外側に、導糸管と同軸に円筒形のボビンを配置するとともに、ボビンの一端部に切り欠き部を形成している。そして、導糸管から紡出される糸に撚りを加えながら、ポットの内壁に糸を巻き付けてケークを形成した後、ボビンの一端部を軸方向に突出させて切り欠き部に糸を引っ掛けることにより、ボビンへの巻き返しを開始する構成になっている。
特開平8−325854号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術には、次のような課題がある。
特許文献1に記載の技術で使用するボビンは、ボビンの一端部が裾状に広く形成され、そこに切り欠き部が形成された特殊な構造になっている。また、特許文献1に記載の技術では、ボビンの上部にフランジ部を形成し、このフランジ部に係止手段を係止して、ボビンの位置を保持する構成を採用している。このため、特許文献1に記載の技術に使用するボビンは、フランジ付きの特殊な構造になっている。
したがって、特許文献1に記載の技術では、たとえば、リング紡績機を導入済みの既存の紡績工場に新たにポット精紡機を導入する場合、リング紡績で使用しているボビンとは別に、ポット精紡のための専用のボビンを用意する必要がある。また、ポット精紡機から取り出されたボビンを取り扱うワインダーなども、ボビンの構造にあわせて特殊な仕様にする必要がある。このため、ポット精紡機の導入に伴うコストが高くなってしまう。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、その目的は、特殊な構造のボビンを使用しなくても、ボビンへの巻き返しを適切に行うことができるポット精紡方法およびポット精紡機を提供することにある。
本発明に係るポット精紡方法は、
開口部を有するポットを回転させるとともに、所定の細さに引き伸ばされた糸を前記ポットの内壁に巻き付けてケークを形成するステップと、
前記開口部を通して前記ポット内にボビンを配置するステップと、
前記ポットの内壁において前記ケークの前記開口部側の端部よりも前記開口部側の領域に圧縮空気を吹き付けることにより、前記領域に存在する糸部を前記ポット外に排出するステップと、
前記ポット外に排出した前記糸部を前記巻き返し起点部として、前記ケークを形成する糸を前記ポットの内壁から前記ボビンへと巻き返すステップと、
を有する。
本発明のポット精紡方法において、前記ケークを形成する際は前記ポットを第1の回転数で回転させ、前記圧縮空気を吹き付ける際は前記ポットを前記第1の回転数よりも低い第2の回転数で回転させてもよい。
また、前記圧縮空気の吹き付け角度は、前記ポットの内壁に対して前記開口部側に20度以上60度以下に設定するとよい。
また、前記ポットの内壁において前記ケークの巻き終わり側の端部よりも前記開口部側の領域に、ボビンの巻き返し起点部となる糸部を巻き付けるステップを有してもよい。
また、前記巻き返し起点部となる糸部の糸強力が、前記ケークを形成している糸部の糸強力よりも強いものとしてもよい。
本発明に係るポット精紡方法は、
開口部を有するポットを回転させるとともに、所定の細さに引き伸ばされた糸を前記ポットの内壁に巻き付けてケークを形成するステップと、
前記開口部を通して前記ポット内にボビンを配置するステップと、
前記ケークを形成する糸を前記ポットの内壁から前記ボビンへと巻き返すステップと、
を有し、
前記ケークの形成途中で糸切れが発生した場に、前記糸切れによって生じた糸の端が巻かれる糸切れ位置から前記開口部に至る前記ポットの内壁に対し、前記ポットの中心軸方向に位置をずらして複数の箇所に圧縮空気を吹き付けることにより、前記糸切れによって生じた糸の端を前記ポット外に排出する。
本発明に係るポット精紡機は、
導糸管と、
開口部を有し、前記開口部と反対側から前記導糸管の一部が挿入されるポットと、
前記ポットの中心軸方向において前記導糸管と対向するように配置されるとともに、前記導糸管と反対側に位置する前記ポットの前記開口部から前記ポット内に挿入されるボビンと、を備え、
所定の細さに引き伸ばされた糸を前記導糸管および前記ポットの動作により前記ポットの内壁に巻き付けてケークを形成するとともに、前記ケークを形成する糸を前記ポットの内壁から前記ボビンへと巻き返すポット精紡機であって、
前記ボビンと共に前記ポット内に挿入され、前記ポットの内壁に向けて圧縮空気を吹き付けるエアーノズルを具備し、
前記エアーノズルは、前記ポットの内壁において前記ケークの前記開口部側の端部よりも前記開口部側の領域に圧縮空気を吹き付けることにより、前記領域に存在する糸部を前記ポット外に排出する。
本発明によれば、特殊な構造のボビンを使用しなくても、ボビンへの巻き返しを適切に行うことができる、
本発明の実施形態に係るポット精紡機の主要部の構成例を示す概略図である。 エアーノズルの配置を説明する部分拡大図である。 本発明の実施形態に係るポット精紡機の駆動制御系の構成例を示すブロック図である。 ポット精紡方法の基本的な流れを示す図である。 本発明の実施形態に係るポット精紡方法の第1の状態を説明する断面図である。 導糸管の動作を説明する図である。 本発明の実施形態に係るポット精紡方法の第2の状態を説明する断面図である。 本発明の実施形態に係るポット精紡方法の第3の状態を説明する断面図である。 本発明の実施形態に係るポット精紡方法の第4の状態を説明する断面図である。 本発明の実施形態に係るポット精紡方法の第5の状態を説明する断面図である。 本発明の実施形態に係るポット精紡方法の第6の状態を説明する断面図である。 本発明の第2の実施形態を説明する断面図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
<ポット精紡機>
まず、本発明の実施形態に係るポット精紡機について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るポット精紡機の主要部の構成例を示す概略図である。
図1に示すように、ポット精紡機1は、ドラフト装置10と、導糸管11と、ポット12と、ボビン支持部13と、を備えている。なお、これらの構成要素は、紡績の一単位となる1つの紡錘を構成するものである。ポット精紡機1は、複数の紡錘を備えるものであるが、ここではそのうちの1つの紡錘の構成について説明する。
(ドラフト装置)
ドラフト装置10は、粗糸などの糸材料を所定の細さに引き伸ばす装置である。ドラフト装置10は、バックローラ対15、ミドルローラ対16およびフロントローラ対17からなる複数のローラ対を用いて構成されている。複数のローラ対は、糸材料の搬送方向の上流側から下流側に向かって、バックローラ対15、ミドルローラ対16およびフロントローラ対17の順に配置されている。
各々のローラ対15,16,17は、後述するドラフト駆動部の駆動に従って回転するものである。各々のローラ対15,16,17の単位時間あたりの回転数(rpm)を比較すると、ミドルローラ対16の回転数はバックローラ対15の回転数よりも高く、フロントローラ対17の回転数はミドルローラ対16の回転数よりも高い。このように各々のローラ対15,16,17の回転数は互いに異なり、この回転数の違い、すなわち回転速度差を利用して、ドラフト装置10は糸材料を細く引き伸ばす。以降の説明では、ローラ対の回転数を回転速度ともいう。ローラ対の回転数と回転速度とは互いに比例関係にある。
(導糸管)
導糸管11は、ドラフト装置10で所定の細さに引き伸ばされた糸18をポット12内に導くものである。導糸管11は、細長い管状に形成されている。導糸管11を長さ方向と直交する方向に断面したときの形状は円形になっている。
導糸管11は、ドラフト装置10の下流側に、ポット12と同軸に配置されている。導糸管11の下部は、ポット12内に挿入されている。導糸管11は、フロントローラ対17から糸供給管14を通して供給される糸18をポット12内に導く。ドラフト装置10で引き伸ばされた糸18は、たとえば、空気の旋回流を利用して糸供給管14に引き込まれた後、糸供給管14を通して導糸管11に導入される。導糸管11に導入された糸18は、導糸管11の下端部11aから紡出される。導糸管11は、後述する導糸管駆動部によって上下方向に移動可能に設けられている。
フロントローラ対17と糸供給管14との間には糸センサ19が配置されている。糸センサ19は、ドラフト装置10によって引き伸ばされる糸の状態を検出するセンサである。本実施形態においては、糸センサ19が検出する糸の状態の一例として、糸切れを挙げる。また、本実施形態では、一例として、発光器19aと受光器19bを組み合わせた光センサを用いて糸センサ19が構成されている。
(ポット)
ポット12は、ケーク28の形成と糸の巻き返しに用いられるものである。ポット12は、円筒形に形成されている。ポット12は、ポット12の中心軸回りに回転可能に設けられている。ポット12の中心軸Kは、鉛直方向と平行に配置されている。このため、ポット12の中心軸方向の一方は上方、他方は下方となっている。
ポット12は、後述するポット駆動部の駆動に従って回転するものである。ポット12の上端側には導糸管挿入口21が形成されている。導糸管挿入口21は、ポット12に導糸管11を挿入するための開口である。ポット12の下端部には開口部23が形成されている。導糸管挿入口21は、ポット12の内容積を規定する、内壁22の位置を基準とする直径(以下、「ポット内径」という。)よりも小さな直径で上向きに開口している。開口部23は、ポット内径と同じ直径で下向きに開口している。
(ボビン支持部)
ボビン支持部13は、ボビン25を支持するものである。ボビン支持部13は、ボビン台座26と、ボビン装着部27と、を有する。ボビン台座26は板状に形成されている。ボビン装着部27はボビン台座26に固定されている。ボビン装着部27は、柱状に形成されるとともに、ボビン台座26の上面から上方に突出するように配置されている。
ボビン装着部27は、ボビン25が着脱自在に装着される部分となる。ボビン装着部27は、ポット12の中心軸方向で導糸管11と対向するように、導糸管11およびポット12と同軸に配置されている。また、ボビン装着部27は、導糸管11よりも下方に配置されている。このため、ボビン装着部27にボビン25を装着すると、ボビン25は、ポット12の中心軸K上で導糸管11と対向するように配置される。
ボビン25は、ボビン外周径がボビン中心軸方向の一端側から他端側に向かって連続的に変化するテーパー構造になっている。ボビン25は、リング精紡などでも用いられる汎用のボビンに相当する。ボビン25は、少なくとも一端側が中空の構造になっている。ボビン25は、一端側の中空の部分をボビン装着部27に嵌合させることにより、ボビン台座26から垂直に起立して支持されるようになっている。
ボビン支持部13は、後述するボビン駆動部によって上下方向に移動可能に設けられている。ボビン25の外周径は、ポット12の内壁22に形成されるケーク28の最小径よりも小さく設定されている。これにより、ポット12の開口部23を通してポット12内にボビン25を挿入して配置するときに、ボビン25とケーク28の接触を避けることができる。
(エアーノズル)
本発明の実施形態に係るポット精紡機1は、上記の構成要素に加えて、エアーノズル31を備えている。エアーノズル31は、導糸管11およびポット12の動作によってポット12の内壁22に形成されるケーク28の巻き終わり側の端部28bよりも開口部23側の領域22aに圧縮空気を吹き付けるものである。エアーノズル31は、ポット12内の領域22aに巻き付けられた、ボビン25への巻き返し起点部となる糸部を、圧縮空気の吹き付けによってポット12外に排出する。
巻き返し起点部は、ケーク28を形成する糸をボビン25に巻き返す際に、ボビン25に最初に巻き付けられる糸の部分である。このため、ボビン25への巻き返しは、巻き返し起点部となる糸部がボビン25に巻き付いたときに始まる。本実施形態においては、ポット12の内壁22に巻き付けられる糸のうち、ポット12の中心軸方向においてケーク28の巻き終わり側の端部と開口部23との間に巻き付けられる糸の部分が、巻き返し起点部となる。また、ケーク28の巻き終わり側の端部は、ポット12の中心軸方向でみると、ケーク28の開口部23側の端部に相当する。
エアーノズル31は、ボビン支持部13に設けられている。エアーノズル31は、ボビン台座26に取り付けられている。エアーノズル31は、ボビン台座26から垂直に起立するように、ボビン装着部27の近傍に配置されている。
エアーノズル31は、圧縮空気を噴出する噴出口32を有する。エアーノズル31の噴出口32は、エアーノズル31の上端部近傍に配置されている。エアーノズル31の噴出口32から噴出する圧縮空気は、後述するボビン駆動部とエアーノズル駆動部の駆動により、ポット12の開口部23側に向けて、ポット12の内壁22に斜めに吹き付けられるようになっている。
ここで、図2に示すように、エアーノズル31からポット12の内壁22に圧縮空気33を吹き付ける場合、ポット12の内壁22対する圧縮空気33の吹き付け角度θは、開口部23側に所定の傾き角度をもつ。圧縮空気33の吹き付け角度θは、好ましくは、20度以上60度以下であり、より好ましくは、30度以上45度以下である。このように圧縮空気33の吹き付け角度θを設定することにより、ポット12の内壁22とエアーノズル31との間に、圧縮空気33の吹き付けに適した距離Lを確保しやすくなる。
図3は、本発明の実施形態に係るポット精紡機の駆動制御系の構成例を示すブロック図である。
図3に示すように、ポット精紡機1は、制御部51と、ドラフト駆動部52と、導糸管駆動部53と、ポット駆動部54と、ボビン駆動部55と、ノズル駆動部56、を備えている。
(制御部)
制御部51は、ポット精紡機1全体の動作を統括的に制御するものである。制御部51には、動作制御の対象として、ドラフト駆動部52、導糸管駆動部53、ポット駆動部54、ボビン駆動部55およびノズル駆動部56が電気的に接続されている。また、制御部51には、糸センサ19が電気的に接続されている。糸センサ19は、ドラフト装置10で糸切れが発生した場合に、その旨を知らせる糸切れ発生信号を制御部51に出力する。
(ドラフト駆動部)
ドラフト駆動部52は、バックローラ対15、ミドルローラ対16およびフロントローラ対17をそれぞれ所定の回転数で回転させるものである。ドラフト駆動部52は、制御部51からドラフト駆動部52に与えられるドラフト駆動信号に基づいて駆動することにより、バックローラ対15、ミドルローラ対16およびフロントローラ対17を回転させる。
(導糸管駆動部)
導糸管駆動部53は、導糸管11を動作させるものである。導糸管駆動部53は、導糸管11を上下方向に移動させるように動作させる。導糸管駆動部53は、制御部51から導糸管駆動部53に与えられる導糸管駆動信号に基づいて駆動することにより、導糸管11を上下方向に移動させる。
(ポット駆動部)
ポット駆動部54は、ポット12を回転させるものである。ポット駆動部54は、制御部51から与えられるポット駆動信号に基づいて駆動することにより、ポット12の中心軸Kを回転中心としてポット12を回転させる。
(ボビン駆動部)
ボビン駆動部55は、ボビン25を動作させるものである。ボビン駆動部55は、ボビン支持部13のボビン装着部27に装着されたボビン25を、ボビン支持部13およびエアーノズル31と一体に上下方向に移動させるように動作させる。ボビン駆動部55は、制御部51から与えられるボビン駆動信号に基づいて駆動することにより、ボビン25を上下方向に移動させる。
(ノズル駆動部)
ノズル駆動部56は、エアーノズル31を動作させるものである。ノズル駆動部56は、エアーノズル31の噴出口32から圧縮空気を噴出させるように動作させる。ノズル駆動部56は、制御部51から与えられるノズル駆動信号に基づいて駆動することにより、エアーノズル31から圧縮空気を噴出させる。
<ポット精紡方法>
続いて、本発明の実施形態に係るポット精紡方法について説明する。
図4は、ポット精紡方法の基本的な流れを示す図である。
図4に示すように、ポット精紡方法は、引き伸ばしステップS1と、ケーク形成ステップS2と、巻き返しステップS3と、を備える。
引き伸ばしステップS1は、粗糸などの糸材料を所定の細さに引き伸ばすステップである。ケーク形成ステップS2は、引き伸ばしステップS1で所定の細さに引き伸ばされた糸をポット12の内壁22に巻き付けてケーク28を形成するステップである。巻き返しステップS3は、ケーク28を形成する糸をボビン25へと巻き返すステップである。以下、各ステップに基づくポット精紡機1の動作について説明する。
なお、ポット精紡機1を動作させる前は、糸供給管14に導糸管11が近接して配置されるとともに、ボビン支持部13のボビン装着部27にボビン25が装着され、かつ、ボビン25がポット12よりも下方に退避して配置されているものとする。
(引き伸ばしステップ)
引き伸ばしステップS1は、ドラフト装置10を用いて行われる。ドラフト駆動部52は、制御部51から与えられるドラフト駆動信号に基づいて駆動することにより、バックローラ対15、ミドルローラ対16およびフロントローラ対17をそれぞれ所定の回転速度で回転させる。これにより、粗糸などの糸材料は、各々のローラ対15,16,17の回転に従って搬送される。
その際、制御部51は、バックローラ対15の回転速度をミドルローラ対16の回転速度よりも低速に設定するとともに、ミドルローラ対16の回転速度をフロントローラ対17の回転速度よりも低速に設定する。これにより、バックローラ対15とミドルローラ対16との間では、それらのローラ対の回転速度差によって糸が引き伸ばされる。同様に、ミドルローラ対16とフロントローラ対17との間でも、それらのローラ対の回転速度差によって糸が引き伸ばされる。
その結果、粗糸などの糸材料は、バックローラ対15、ミドルローラ対16およびフロントローラ対17を順に通過しながら所定の細さに引き伸ばされる。こうして引き伸ばされた糸18は、その後、空気の旋回流を利用して糸供給管14に引き込まれた後、導糸管11に導入される。
また、制御部51は、引き伸ばしステップS1の開始に先立って、ポット駆動部54にポット駆動信号を与えることにより、ポット12を所定の回転数で回転させる。
(ケーク形成ステップ)
ケーク形成ステップS2は、導糸管11とポット12を用いて行われる。導糸管駆動部53は、制御部51から与えられる導糸管駆動信号に基づいて駆動することにより、導糸管11を所定量だけ下方に移動させる。また、ポット駆動部54は、制御部51から与えられるポット駆動信号に基づいて駆動することにより、ポット12の回転を継続する。なお、導糸管11を下方に移動させると、糸供給管14から導糸管11が離間した状態となる。また、糸供給管14から導糸管11に導入された糸18は、導糸管11の下端部11aから紡出される。
導糸管11の下端部11aから紡出される糸18には、ポット12の回転による遠心力が働き、この遠心力によって糸18がポット12の内壁22に押し付けられる。また、ポット12の内壁22に押し付けられた糸18は、ポット12の回転によって撚られる。その結果、導糸管11の下端部11aから紡出される糸18は、ポット12の回転によって撚りを加えられた状態でポット12の内壁22に巻き付けられる。
また、導糸管駆動部53は、上記導糸管駆動信号に基づいて駆動することにより、図5に示すように、導糸管11を所定の周期で繰り返し上下方向に往復移動させながら、導糸管11の位置を相対的に下方に変位させる。これにより、ポット12の内壁22にケーク28が形成される。ケーク28は、ポット12の内壁22に巻かれた糸18によって形成される積層体である。
図6は、ケーク形成ステップにおける導糸管の動作を説明する図である。図中の縦軸は、ポット中心軸方向における導糸管の位置を示し、横軸は時間を示す。
図6において、導糸管11は、まず、P1位置まで下降した後、P2位置まで上昇し、次いでP3位置まで下降した後、P4位置まで上昇する。つまり、導糸管11は繰り返し上下方向に往復移動する。この場合、導糸管11がP1位置に到達してからP3位置に到達するまでの期間T1、および、導糸管11がP2位置に到達してからP4位置に到達するまでの期間T2が、それぞれ一周期となる。また、導糸管11の位置を相対的に下方に変位させるため、P3位置はP1位置よりも低位となり、P4位置はP2位置よりも低位となる。P1位置とP3位置との上下方向のズレ量H1、および、P2位置とP4位置との上下方向のズレ量H2は、それぞれ一周期における導糸管11の変位ステップ量となる。つまり、導糸管11は、一定の周期で繰り返し上下方向への往復移動を繰り返しながら、一定の変位ステップ量ずつ下方に変位する。このような導糸管11の動作は、導糸管11がPm位置に到達するまで続く。この場合、P1位置は、図1に示すケーク28の巻き始め側の端部28aを規定し、Pm位置は、同図に示すケーク28の巻き終わり側の端部28bを規定する。
制御部51は、導糸管駆動部53に導糸管駆動信号を与えることにより、図5および図6に示すように導糸管11を動作させる。これにより、ポット12の内壁22には図5に示すような形状でケーク28が形成される。本実施形態では、ケーク形成ステップS2において、導糸管11の動作によりケーク28を形成した後、さらに次のようなステップを含む。
制御部51は、導糸管11がPm位置に到達した後、導糸管11を所定量Lhだけ下方に移動させる。これにより、ポット12の内壁22には、図7に示すように、ケーク28の終端28bよりも開口部23側の領域22aに、ボビン25への巻き返し起点部となる糸部18aが巻き付けられる。この糸部18aは、1層で巻き付けてもよいし、複数層で巻き付けてもよい。糸部18aを1層で巻き付ける場合は、導糸管11をPm位置からPn位置へと下降させた段階で糸切りを行えばよい。また、糸部18aを複数層で巻き付ける場合は、導糸管11をPm位置からPn位置へと下降させてから、Pn位置よりも高い位置まで上昇させる動作を、少なくとも1回行った段階で糸切りを行えばよい。なお、所定量Lhは、好ましくは、3mm以上7mm以下である。
ここで、「糸切り」と「糸切れ」の違いについて説明する。
糸切りは、ポット12の内壁22に予め決められた所定量の糸18が巻かれた段階で意図的に行われるものである。これに対し、糸切れは、ポット12の内壁22に所定量の糸18が巻かれる前に何らかの理由によって途中で糸18が切れてしまう現象である。
糸切りは、制御部51の制御下で行われる。具体的には、制御部51は、フロントローラ対17の回転を継続したまま、バックローラ対15およびミドルローラ対16の回転を共に停止するように、ドラフト駆動部52の駆動を制御する。これにより、ミドルローラ対16の下流側で糸18が強制的に切られる。
また、制御部51は、ボビン25への巻き返し起点部となる糸部18aの糸強力が、ケーク28を形成している糸部の糸強力よりも強くなるように、糸切りに際して紡績条件を変更する。この場合、制御部51は、紡績条件変更部に相当する。糸強力は、糸の太さが太いほど強くなる。また、糸強力は、糸の撚りが多いほど強くなる。糸強力を強くするために変更する紡績条件は、1つでもあってもよいし、複数であってもよい。本実施形態では、変更すべき紡績条件の一例として、フロントローラ対17の回転速度を挙げる。フロントローラ対17の回転速度を変更すると、これに応じて、ミドルローラ対16とフロントローラ対17との間の回転速度差が変化する。
そこで、制御部51は、上述のように巻き返し起点部となる糸部18aの糸強力が強くなるように、フロントローラ対17の回転速度を減速させる。フロントローラ対16の回転速度を減速させると、ミドルローラ対16とフロントローラ対17との間の回転速度差が小さくなる。また、フロントローラ対17から送り出される糸の速度が遅くなるため、撚り数も増加する。これにより、ドラフト装置10によって引き伸ばされる糸18の太さが太くなる。このため、ポット12の内壁22の領域22aに巻かれる予定の糸18がドラフト装置10を通過するときに、フロントローラ対17の回転速度を減速させることにより、巻き返し起点部となる糸部18aの糸強力を強めることができる。
ケーク形成ステップS2は、上述のようにケーク形成および糸切りが行われ、かつ、糸切りによって生じた糸の端部がポット12の内壁22に巻かれた段階で終了となる。
(巻き返しステップ)
巻き返しステップS3は、ポット12とボビン25とエアーノズル31を用いて行われる。巻き返しステップS3では、ポット駆動部54の駆動により、開口部23を通してポット12内にボビン25とエアーノズル31を配置する。ポット駆動部54は、制御部51から与えられるポット駆動信号に基づいて駆動することにより、ポット12の回転を継続する。ボビン駆動部55は、制御部51から与えられるボビン駆動信号に基づいて駆動することにより、図9に示すように、ボビン支持部13を上方に移動させる。これにより、ボビン装着部27(図1参照)に装着されているボビン25と、ボビン台座26に取り付けられているエアーノズル31が、共に上方に移動する。また、ボビン25とエアーノズル31は、ポット12の開口部23を通してポット12内に進入する。その際、エアーノズル31の噴出口32は、ポット12の内壁22に向かって斜め下向きに配置される。一方、導糸管駆動部53は、制御部51から与えられる導糸管駆動信号に基づいて駆動することにより、図9に示すように、導糸管11を上方に移動させる。これにより、ポット12内では、ボビン25の進入に先立って、導糸管11の下端部11aがボビン25に接触しない位置へと退避する。
次に、制御部51は、ノズル駆動部56にノズル駆動信号を与えることにより、図10に示すように、エアーノズル31の噴出口32から圧縮空気33を噴出させる。圧縮空気33の噴出時間は、たとえば、0.2秒以上2秒以下の範囲内に設定するとよい。これにより、エアーノズル31の噴出口32から噴出された圧縮空気33が、ポット12の内壁22に向かって吹き付けられる。圧縮空気33の吹き付け角度θ(図2参照)は、ポット12の内壁22に対して開口部23側に20度以上60度以下であることが好ましく、より好ましくは40度以上50度以下である。エアーノズル31から噴出する圧縮空気33は、ケーク28の終端28bよりも開口部23側に巻かれた糸部、すなわちボビン25への巻き返し起点部となる糸部18aに吹き付けられる。そうすると、糸部18aが圧縮空気33に押されてポット12の開口部23からポット12外に排出される。
制御部51は、圧縮空気33の吹き付けに際して、ポット12の回転数を相対的に下げるように、ポット駆動部54の駆動を制御する。具体的には、ケーク28を形成する際のポット12の回転数を第1の回転数(rpm)とし、圧縮空気を吹き付ける際のポット12のポット12の回転数を第2の回転数(rpm)とする。そうした場合、制御部51は、第2の回転数が第1の回転数よりも低くなるように、ポット駆動部54の駆動を制御する。ここで、第1の回転数をA(rpm)、第2の回転数をB(rpm)とすると、制御部51は、好ましくは「0.6A≦B≦0.8A」の条件を満たすように、ポット駆動部54の駆動を制御するとよい。
このように、ポット12の回転数を制御することにより、圧縮空気の吹き付けに際しては、ポット12の内壁22に糸を押し付けようとする力、すなわち遠心力が弱まる。このため、エアーノズル31から圧縮空気33を吹き付けたときに、ポット12の内壁22から糸部18aが剥がれやすくなる。したがって、ポット12の回転数を下げない場合に比べて、より小さな力で糸部18aをポット12外に排出することができる。また、ポット12の回転数を下げることで、糸に加わる張力が小さくなる。このため、圧縮空気33の吹き付けによってポット12外に排出される糸部18aが糸切れを起こしにくくなる。したがって、糸切れによって巻き返しに失敗するリスクを低減することができる。
上述のように、ボビン25への巻き返し起点部となる糸部18aをポット12外に排出すると、ポット12外に排出された糸部18aは、ポット12と一体に回転できずに、ポット12の回転に遅れて連れ回るようになる。その結果、糸部18aは、ポット12の中心軸K上に配置されたボビン25に巻き付き始める。これにより、ポット12内に排出された糸部18aを巻き返し起点部として、ボビン25への巻き返しを開始することができる。
その後、ケーク28を形成しているすべての糸が図11に示すようにボビン25に巻き返されると、制御部51は、ボビン駆動部55にボビン駆動信号を与えることにより、ボビン支持部13を下方に移動させる。これにより、巻き返しステップS3が終了となる。
以上の動作により、管糸29が巻かれたボビン25が得られる。管糸29が巻かれたボビン25はボビン装着部27から取り外される。その後、空のボビン25がボビン装着部27に装着された後、上記同様の動作が行われる。
<実施形態の効果>
本発明の実施形態においては、ポット精紡機1にエアーノズル31を設けた構成を採用している。そして、ポット精紡方法においては、ポット12の内壁22の領域22aに巻き付けられた、ボビン25への巻き返し起点部となる糸部18aを、エアーノズル31を用いた圧縮空気の吹き付けによってポット12外に排出することにより、ボビン25への巻き返しを行う構成を採用している。これにより、特殊な構造のボビンを使用しなくても、ボビン25への巻き返しを適切に行うことができる。したがって、たとえば、リング紡績機を導入済みの既存の紡績工場に新たにポット精紡機を導入する場合、リング紡績で使用しているボビンをポット精紡に転用することができる。このため、ポット精紡機の導入に伴うコストを安価に抑えることができる。加えて、従来技術ではボビンを導糸管の外側に装着していたため、ポットの上部開口部や支持する軸受の径を大きくする必要があり、軸受の寿命や電力、コストの点で劣る問題があったが、本実施形態によればそのような問題は生じない。
また、本発明の実施形態によれば、ポット12の内壁22に形成されるケーク28に対し、物理的に何らかの部材を接触させる接触方式ではなく、圧縮空気の吹き付けを利用した非接触方式を採用している。このため、接触方式で懸念される種々の不具合を招くことなく、ボビン25への巻き返しを行うことができる。なお、接触方式で懸念される不具合としては、たとえば、部材の摩耗による耐久性の低下、あるいは、摩耗粉の混入による管糸の品質低下などが考えられる。
さらに、本発明の実施形態によれば、上記特許文献1に記載の技術に比べて、ケーク形成ステップS2の途中で糸切れが発生した場合に、異常紡錘への対応時間を確保できるというメリットが得られる。その理由は次のとおりである。
まず、特許文献1に記載の技術では、ポットの内壁に糸を巻き付けてケークを形成する場合に、導糸管の下端部から糸の紡出を継続したまま、ボビンの一端部を軸方向に突出させてボビンの切り欠き部に糸を引っ掛けることで糸切りが行われる構成になっている。このため、ポットの内壁に所定量の糸が巻かれたタイミング(以下、「満管タイミング」という。)で、ボビンの一端部を突出させないと、所定量を超える過剰な糸が巻かれてケークの内径が小さくなる。そうすると、ボビンを突出させるときに、ポットと一緒に回転しているケークにボビンが接触するおそれがある。その結果、たとえば、ボビンが破損する、あるいは、ボビンへの巻き返しが適切に行われないなど、種々の問題が生じる可能性がある。したがって、特許文献1に記載の技術では、満管タイミングになったときに、糸の紡出を継続したままボビンを突出させ、ボビンへの巻き返しを開始する必要がある。
これに対し、本発明の実施形態においては、ポット12の内壁22に所定量の糸18が巻かれた段階で、制御部51がドラフト装置10を制御して糸切りを行い、その後は、エアーノズル31から圧縮空気を噴出しないかぎり、ボビン25への巻き返しが始まらない構成になっている。このことは、ポット12の内壁22に所定量の糸18が巻かれた後でも、任意のタイミングでボビン25への巻き返しを開始できることを意味する。一方、特許文献1に記載の技術では、ボビンへの巻き返しを開始するタイミングが任意ではなく、ごく狭い範囲に制限される。
したがって、本発明の実施形態によれば、ケーク形成ステップS2の途中で糸切れが発生した場合に、たとえば、糸切れが発生したタイミングが満管タイミングの直前であっても、異常紡錘への対応を終えるまでボビン25への巻き返しを待つことができる。具体的には、異常紡錘への対応に要する時間だけ、圧縮空気の噴出タイミングを遅らせることができる。したがって、満管タイミングの直前に糸切れが発生した場合でも、糸切れに対応するための時間を確保することができる。この点に関して、特許文献1に記載の技術では、満管タイミングとほぼ同時にボビンへの巻き返しを開始する必要があるため、満管タイミングの直前に糸切れが発生すると、糸切れに対応するための時間を確保できなくなる。
ちなみに、糸切れに対応するための時間とは、たとえば、次のような時間である。
ケーク形成ステップS2の途中で糸切れが発生すると、糸センサ19が糸切れ発生信号を出力し、この糸切れ発生信号を受けて制御部51が、糸切れ発生信号を出力した糸センサ19が属する紡錘を特定する。さらに、制御部51は、ポット精紡機1が備える自走式のワゴン(不図示)を、上述のように特定した紡錘の位置まで移動させる。ワゴンは、糸切れが発生した紡錘でも他の紡錘と同様のタイミングでボビン25への巻き返しが開始されるよう、各々の紡錘に設けられるエアーノズルを上昇させる昇降機を備える。このため、いずれかの紡錘で糸切れが発生した場合は、その都度、ワゴンを移動させるための時間と昇降機を動作させるための時間が必要になり、これらの時間が、糸切れに対応するための時間となる。
また、本発明の実施形態においては、巻き返し起点部となる糸部18aの糸強力が、ケーク28を形成している糸部の糸強力よりも強くなるように、糸切りに際して紡績条件を変更する構成を採用している。これにより、糸切れに際して紡績条件を変更しない場合に比べて、圧縮空気の吹き付けによってポット12外に排出される糸部18aが糸切れを起こしにくくなる。このため、ポット12外に排出される糸部18aを、より確実にボビン25に巻き付けることができる。その結果、ボビン25への巻き返しに失敗するリスクを低減することができる。
ところで、ケーク形成の途中で糸切れが発生した場合は、糸切れによって生じた糸18の端がポット12の内壁22に巻かれた段階で実質的にケーク形成が終了となる。このため、糸切れによって生じた糸18の端が巻かれる位置(以下、「糸切れ位置」という。)は、正常にケーク形成を終えて糸切りを行う場合よりも上方にずれる。そうした場合、糸切れ位置からポット12の開口部23までの距離が長くなる。このため、上述したエアーノズル31を用いて圧縮空気を吹き付ける構成では、糸切れした糸18の端をポット12外に排出することが難しくなる。
<第2の実施形態>
そこで、本発明の第2の実施形態においては、図12に示すような構成を採用することとした。
図12においては、ボビン支持部13のボビン台座26にエアーノズル61が取り付けられている。エアーノズル61は、糸切れ位置の高さに合わせて図示しない昇降手段により昇降可能である。エアーノズル61には複数の噴出口62が設けられている。複数の噴出口62は、それぞれ圧縮空気を噴出するものである。複数の噴出口62は、ポット12の中心軸方向となる上下方向に位置をずらして設けられている。各々の噴出口32から噴出する圧縮空気は、ポット12の開口部23側に向けて、ポット12の内壁22に斜めに吹き付けられるようになっている。また、エアーノズル61は、複数の噴出口62のうちポット12の開口部23から遠い側の噴出口62から噴出する圧縮空気が、糸切れによって生じた糸18の端、すなわち糸切れ位置に吹き付けられるように配置されている。ケーク28の糸切れ位置は、ポット12の中心軸方向でみると、ケーク28の開口部23側の端部に相当する。ポット12の内壁22に対する圧縮空気の吹き付け角度は、先述した実施形態と同様に、好ましくは、20度以上60度以下であり、より好ましくは、30度以上45度以下である。ポット12の円周方向に対する圧縮空気の吹き付け方向は、たとえば、ポット12の円周方向に垂直な法線方向と平行な方向に設定するとよい。この点は第1の実施形態も同様である。
本発明の第2の実施形態においては、ケーク形成ステップS2におけるケーク形成の途中で糸切れが発生した場合に、制御部51は、糸センサ19から出力される糸切れ発生信号を基に、ケークにおける糸切れ位置を特定する。その後、制御部51は、巻き返しステップS3において、ボビン台座26の上昇により開口部23を通してポット12内にボビン25とエアーノズル61を配置した後、先に特定した糸切れ位置から開口部23に至るポット12の内壁22に、エアーノズル61を用いて圧縮空気を吹き付ける。
エアーノズル61を用いた圧縮空気の吹き付けは、制御部51がノズル駆動部56にノズル駆動信号を出力することで行う。これにより、糸切れ位置から開口部23に至るポット12の内壁22に対しては、ポット12の中心軸方向に位置をずらして複数の箇所に圧縮空気が吹き付けられる。その際、最上位の噴出口62から噴出する圧縮空気を糸切れ位置に向けて吹き付けることにより、糸切れ位置においてポット12の内壁22から糸を剥がすことができる。さらに、ポット12の内壁22から剥がした糸を、上記最上位よりも下位の噴出口62から噴出する圧縮空気の吹き付けによって開口部23側に移動させ、ポット12外に排出することができる。その結果、ケーク形成の途中で糸切れが発生した場合でも、エアーノズル61による圧縮空気の吹き付けにより、ポット12の内壁22からボビン25へと糸を巻き返すことができる。
なお、エアーノズル61は、ケーク形成の途中で糸切れが発生した場合に限らず、正常にケーク形成を終えた後の巻き返しにも適用可能である。その場合は、複数の噴出口62から噴出する圧縮空気がケーク28に直接吹き付けられないよう、ポット12の中心軸方向においてエアーノズル61の位置を調整するノズル位置調整機構を設け、ノズル位置調整機構の駆動を制御部51によって制御する構成を採用するとよい。また、エアーノズル61の位置は、糸センサ19から糸切れ発生信号が出力されるタイミングを基に制御部51が糸切れ位置を特定し、特定した糸切れ位置に応じて制御部51がノズル位置調整機構の駆動を制御することで調整する構成を採用するとよい。
また、ノズル位置調整機構は、エアーノズル61を備える構成に限らず、先述したエアーノズル31を備える構成に適用してもよい。この構成を採用すれば、ポット12の中心軸方向においてケーク28の終端位置が変更される場合でも、変更後のケーク28の終端位置に対応する適切な位置にエアーノズル31を配置することができる。
<変形例等>
本発明の技術的範囲は上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の構成要件やその組み合わせによって得られる特定の効果を導き出せる範囲において、種々の変更や改良を加えた形態も含む。
たとえば、上記実施形態においては、ポット精紡機1の構成として、導糸管11を相対的に上方に配置し、ボビン25を相対的に下方に配置する例を示したが、本発明はこれに限らず、導糸管11を相対的に下方に配置し、ボビン25を相対的に上方に配置してもよい。また、ポット12の中心軸K(図1参照)は必ずしも鉛直方向と平行でなくてもよい。たとえば、ポット12の中心軸Kは鉛直方向に対して傾いて配置されてもよし、鉛直方向と垂直に配置されてもよい。
また、上記実施形態においては、ボビン支持部13のボビン台座26にエアーノズル31を取り付け、ボビン支持部13と一体にエアーノズル31が上下方向に移動する構成を採用したが、本発明はこれに限らない。たとえば、ボビン支持部13とは別体で、エアーノズル31を上下方向に移動可能な構成を採用してもよい。この点は、第2の実施形態として記載したエアーノズル61についても同様である。
また、上記実施形態においては、ケーク28を形成するための導糸管11の動作として、図6に示すように、導糸管11がPm−1位置からPm位置を経由してPn位置に到達するまで、導糸管11を連続して下降動作させるようにしているが、本発明はこれに限らない。たとえば、導糸管11がPm−1位置からPm位置に到達した段階で、導糸管11の下降動作を一旦停止し、その後で、導糸管11をPn位置まで下降動作させてもよい。さらに、図6においては、Pm−1位置からPm位置まで下降するときの導糸管11の下降速度と、Pm位置からPn位置まで下降するときの導糸管11の下降速度とは、互いに同じ速度になっているが、これに限らず、互いに異なる速度で導糸管11を下降動作させもよい。具体的には、Pm−1位置からPm位置まで下降するときの導糸管11の下降速度に比べて、Pm位置からPn位置まで下降するときの導糸管11の下降速度を速くしてもよいし、遅くしてもよい。
また、上記実施形態においては、リング精紡に転用可能なボビン25を用いるようにしたが、本発明はこれ以外のボビンを用いて実施することも可能である。
また、上記実施形態においては、導糸管11がPm位置に到達した後、導糸管11を所定量Lhだけ下方に移動させることで、ケーク28の終端28bよりも開口部23側の領域22aに、ボビン25への巻き返し起点部となる糸部18aを巻き付けていたが、糸種によっては、糸切り後に導糸管11内の糸が領域22aに数層分巻き付けられ、巻返し起点部としての糸部18aとなり得る。この場合は、糸切り後、導糸管11をPm位置より所定量下方に移動させることなく、圧縮空気により糸部18aをポット外に排出するステップに移行してもよい。
また、図6に示すようなケーク形成ステップとは別のケーク形成ステップ(例えば特開平4−308227号公報に開示されるようなステップ)であってもよい。
また、ポットは開口部が上側でもよい。
1 ポット精紡機、11 導糸管、12 ポット、18 糸、22 内壁、23 開口部、25 ボビン、28 ケーク、28b 終端(巻き終わり側の端部)、31 エアーノズル、32 噴出口、33 圧縮空気33、51 制御部(紡績条件変更部)、53 導糸管駆動部、54 ポット駆動部、61 エアーノズル、62 噴出口。

Claims (7)

  1. 開口部を有するポットを回転させるとともに、所定の細さに引き伸ばされた糸を前記ポットの内壁に巻き付けてケークを形成するステップと、
    前記開口部を通して前記ポット内にボビンを配置するステップと、
    前記ポットの内壁において前記ケークの前記開口部側の端部よりも前記開口部側の領域に圧縮空気を吹き付けることにより、前記領域に存在する糸部を前記ポット外に排出するステップと、
    前記ポット外に排出した前記糸部を前記巻き返し起点部として、前記ケークを形成する糸を前記ポットの内壁から前記ボビンへと巻き返すステップと、
    を有するポット精紡方法。
  2. 前記ケークを形成する際は前記ポットを第1の回転数で回転させ、前記圧縮空気を吹き付ける際は前記ポットを前記第1の回転数よりも低い第2の回転数で回転させる
    請求項1に記載のポット精紡方法。
  3. 前記圧縮空気の吹き付け角度は、前記ポットの内壁に対して前記開口部側に2
    0度以上60度以下である
    請求項1または2に記載のポット精紡方法。
  4. 前記ポットの内壁において前記ケークの巻き終わり側の端部よりも前記開口部側の領域に、ボビンの巻き返し起点部となる糸部を巻き付けるステップを有する
    請求項1〜3のいずれか1項に記載のポット精紡方法。
  5. 前記巻き返し起点部となる糸部の糸強力が、前記ケークを形成している糸部の糸強力よりも強い
    請求項1〜4のいずれか1項に記載のポット精紡方法。
  6. 前記ケークの形成途中で糸切れが発生した場合に、糸切れ箇所から前記ケークまでの糸が前記領域に巻き付いて形成される前記糸部から前記開口部に至る前記ポットの内壁に対し、前記ポットの中心軸方向に位置をずらして複数の箇所に圧縮空気を吹き付けることにより、前記糸部を前記ポット外に排出する
    請求項1〜5のいずれか1項に記載のポット精紡方法。
  7. 導糸管と、
    開口部を有し、前記開口部と反対側から前記導糸管の一部が挿入されるポットと、
    前記ポットの中心軸方向において前記導糸管と対向するように配置されるとともに、前記導糸管と反対側に位置する前記ポットの前記開口部から前記ポット内に挿入されるボビンと、を備え、
    所定の細さに引き伸ばされた糸を前記導糸管および前記ポットの動作により前記ポットの内壁に巻き付けてケークを形成するとともに、前記ケークを形成する糸を前記ポットの内壁から前記ボビンへと巻き返すポット精紡機であって、
    前記ボビンと共に前記ポット内に挿入され、前記ポットの内壁に向けて圧縮空気を吹き付けるエアーノズルを具備し、
    前記エアーノズルは、前記ポットの内壁において前記ケークの前記開口部側の端部よりも前記開口部側の領域に圧縮空気を吹き付けることにより、前記領域に存在する糸部を前記ポット外に排出する
    ポット精紡機。
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