JP6868970B2 - 分散液、その製造方法、及び、それを用いたcmp用研磨剤 - Google Patents

分散液、その製造方法、及び、それを用いたcmp用研磨剤 Download PDF

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Description

本発明は、分散液、その製造方法、及び、それを用いたCMP用研磨剤に関する。
半導体デバイスの高集積化に伴って、配線技術は益々微細化且つ多層化の方向に進んでいる。そして、上記配線技術の多層化により半導体基板表面の段差は大きくなり、且つ、配線の基板に対する勾配は急峻になるため、その上部に形成される配線の加工精度及び信頼性を低下させる傾向にある。
上記の問題点を解決するために、化学機械研磨法(以下、CMP法ともいう)が注目されている。CMP法とは、砥粒などの粒子による機械的な除去作用と加工液による化学的な溶去作用とを重畳させた研磨方法であり、シリカ又はアルミナなどの微粒子をアルカリ性或いは酸性の化学的水溶液中に混合及び分散させた研磨剤(水性分散液)と研磨パッドとが使用される。シリコンウェーハ面を例にすれば、砥粒により直接削り取られるというよりも、ウェーハ面に生成された水和物膜が砥粒で除かれ加工が進行すると一般的に考えられている。CMP法は、加工変質層の深さも殆ど皆無に近く、高能率で鏡面に仕上げられる特徴がある。
加工対象によって、研磨パッド、砥粒及び加工液の種類、濃度、並びにpHなどを選んで加工する。例えば、酸化膜(SiO)のCMPは、KOHなどのアルカリによってpHを制御したシリカスラリーを用い、Si−O−Si結合を切り離し、Si(OH)のような水和物にした後、微粒子によって除去していく。一方、メタルのCMPは、酸化剤を添加した酸性溶液の中に、アルミナ又はシリカ粒子を分散させたスラリーによって、メタル表面に生成させたメタル酸化膜を微粒子が除去するメカニズムと考えられている。
係るCMP法は、半導体デバイスの製造工程中において、シリコン酸化膜等の層間絶縁膜又は配線層を形成するアルミニウム、タングステンもしくは銅等の金属膜、又はTiN、TaN、もしくはSiN等の材料を平坦化する手法として、近年急速に普及している。該CMP法において使用される研磨剤に関しては、研磨対象に対して汚染の少ないこと、スクラッチの少ないこと、研磨能率が高いこと及びシリコン酸化膜を研磨する選択比が高いことなど様々な性能が求められている。
従来は、CMP法に用いられる研磨剤として、粒径200nm程度の球状シリカ粒子を含んだ分散液が使用されていた。しかしながら、このような球状シリカ粒子を含んだ分散液はディッシング(過研磨)等の問題を有していた。そこで、この問題に対して、例えば特許文献1及び2のように、異形シリカを含んだ分散液が提案されている。
特開2013−32276号公報(2013年2月14日公開) 特開2015−86102号公報(2015年5月7日公開)
しかしながら、上述のような従来の異形シリカを含んだ分散液は、ディッシングの抑制等の観点から、依然として改善の余地があった。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ディッシング及びスクラッチ(研磨傷)を低減させるとともに、研磨速度を向上させ得る分散液、その製造方法、及び、それを用いたCMP用研磨剤を実現することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、特定の物性を有する異形シリカを含む分散液をCMP用研磨剤とした場合、ディッシング及びスクラッチが低減され、かつ研磨速度が向上する効果があることを見出し、本発明を完成させるに至った。即ち本発明は、以下の構成からなるものである。
〔1〕以下の(A)〜(C)を満たす異形シリカを含むことを特徴とする分散液:
(A)遠心沈降法により測定された重量基準粒度分布のメジアン径が50〜1000nmの範囲にある;
(B)画像解析法により得られた面積(S)と画像解析法により得られた包絡面積(S)との比(S/S)が、0.70〜0.95の範囲にある;
(C)遠心沈降法により得られる重量基準粒度分布の極大(ピーク)が一つであり、かつ幾何標準偏差σgが1.5以下である。
〔2〕上記異形シリカは、画像解析法により得られる粒子の平均円形度が0.40〜0.85の範囲にあることを特徴とする〔1〕に記載の分散液。
〔3〕上記異形シリカは、画像解析法により得られる円形度が0.95以上である粒子の含有量が5個数%以下であることを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載の分散液。
〔4〕上記異形シリカは、ナトリウム及びカリウムの含有量が、それぞれ1ppm未満であることを特徴とする〔1〕〜〔3〕のいずれか1つに記載の分散液。
〔5〕上記異形シリカは、鉄の含有量が、0.4ppm以下であることを特徴とする〔1〕〜〔4〕のいずれか1つに記載の分散液。
〔6〕上記異形シリカは、以下の(D)〜(H)の少なくとも1つを満たすことを特徴とする〔1〕〜〔5〕のいずれか1つに記載の分散液:
(D)アルミニウムの含有量が、0.3ppm以下である;
(E)ニッケルの含有量が、0.1ppm以下である;
(F)クロムの含有量が、0.1ppm以下である;
(G)ホウ素の含有量が、1.3ppm以下である;
(H)リンの含有量が、0.5ppm以下である。
〔7〕〔1〕〜〔6〕のいずれか1つに記載の分散液を含むことを特徴とするCMP用研磨剤。
〔8〕ヒュームドシリカ分散液に、アルコキシシランもしくはその加水分解物及び/又はその部分縮合物を添加し重縮合反応させてシリカ粒子を製造する工程を含むことを特徴とする分散液の製造方法。
〔9〕コア部と、当該コア部を被覆するシェル部と、から構成されるコアシェル型の異形シリカを含む分散液であって、
上記コア部がヒュームドシリカからなり、
上記シェル部がゾルゲル法により得られたシリカ層であることを特徴とする分散液。
本発明によれば、ディッシング及びスクラッチを低減し、研磨速度を向上させ得るシリカ分散液を提供できるという効果を奏する。
本発明の一実施形態に係る分散液に含まれる異形シリカを示す図である。 画像解析法により得られた面積(S)及び画像解析法により得られた包絡面積(S)の取得方法を示す概略図である。 重量基準粒度分布を表すグラフの一例を示す図である。 本発明の一実施形態に係る分散液に含まれる異形シリカの製造方法と従来の球状シリカの製造方法とを比較した概略図である。 本発明の一実施形態に係る分散液に含まれる異形シリカの製造方法と従来の異形シリカの製造方法とを比較した概略図である。
本発明の実施の形態について、以下に詳細に説明する。なお、説明の便宜上、同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A〜B」は、「A以上(Aを含みかつAより大きい)B以下(Bを含みかつBより小さい)」を意味する。
〔1.分散液〕
<1−1.異形シリカ>
まず、本分散液に含まれる異形シリカの概要について以下に説明する。なお、本明細書において、「シリカ」とは、粒度分布を有するシリカ粒子の集合体を意図しており、「シリカ粒子」を含むものである。例えば、本明細書中、粒度分布に関して述べるために「シリカ」との表現を用い、個数に関して述べるために「シリカ粒子」との表現を用いる場合もある。
図1は、本発明の一実施形態に係る分散液に含まれる異形シリカを示す図である。図1は走査型電子顕微鏡(SEM)によって取得した画像を示している。当該異形シリカは、後述するように、数珠状粒子を核とし、これを粒成長して得られるものである。換言すれば、当該異形シリカは、球状の一次粒子が融着した二次粒子を核とし、これを粒成長して得られるものであるともいえる。それゆえ、当該異形シリカは、図1に示すように異形となり、球状のシリカ粒子を実質的に含まない態様となる。
本明細書において、「異形」とは球形ではないこと(非球形)を意味する。当該異形シリカは、後述の実施形態に記載の構成を備えるがゆえに、CMP用研磨剤とした場合にディッシング及びスクラッチを低減し、研磨速度を向上させることができる。
例えば、システムLSIの製造においては、配線層上に絶縁膜を積層し、凹凸を有する配線パターンを形成する。当該配線パターンにバリアメタルを形成した上で、凹凸を塞ぐように銅等の金属を用いてめっきを施す。ここで余分な金属を除去する。しかしながら、従来の球状シリカを含む分散液をCMP用研磨剤として用いた場合、絶縁膜の表面(共面)以下まで金属がディッシングされる問題があった。
一方、本分散液は球状シリカではなく、異形シリカを含むものである。そのため、本分散液をCMP用研磨剤とした場合には、ディッシング及びスクラッチを低減し、研磨速度を向上させることができる。以下、異形シリカの各構成につき、具体的に詳説する。
[実施形態1]
本分散液は、以下の(A)〜(C)を満たす異形シリカを含む:
(A)遠心沈降法により測定された重量基準粒度分布のメジアン径が50〜1000nmの範囲にある;
(B)画像解析法により得られた面積(S)と画像解析法により得られた包絡面積(S)との比(S/S)が、0.70〜0.95の範囲にある;
(C)遠心沈降法により得られる重量基準粒度分布の極大(ピーク)が一つであり、かつ幾何標準偏差σgが1.5以下である。
上記S/Sは、異形シリカの表面の凹凸の程度を示す。本分散液は、上記物性を有する異形シリカを含むがゆえに、ディッシング及びスクラッチを低減し、研磨速度を向上させることができる。異形シリカの物性について、以下に詳細に説明する。
(1−1−1.重量基準粒度分布のメジアン径)
上記異形シリカは、遠心沈降法により測定された重量基準粒度分布のメジアン径が50〜1000nmの範囲にある。上記メジアン径は、100nm以上であることが好ましく、120nm以上であることがより好ましく、150nm以上であることがさらに好ましい。また、上記メジアン径は、500nm以下であることが好ましく、400nm以下であることがより好ましく、300nm以下であることがさらに好ましく、250nm以下であることが特に好ましい。
上記メジアン径が50nm以上であれば、研磨速度を十分に向上させることができる。また、上記メジアン径が1000nm以下であれば、スクラッチを十分に低減させることができる。
本明細書において、遠心沈降法による重量基準粒度分布のメジアン径は、異形シリカを0.6質量%濃度で出力20W、分散時間3分の条件で水に分散させて得られる分散粒子の重量基準粒度分布のメジアン径を意味する。
遠心沈降法において使用される粒度分布測定機の例としては、CPS製ディスク遠心沈降式粒度分布測定装置DC−24000が挙げられる。
(1−1−2.凹凸度)
上記異形シリカは、画像解析法により得られた面積(S)と画像解析法により得られた包絡面積(S)との比(S/S)が、0.70〜0.95の範囲にある。なお、本明細書において、画像解析法により得られた面積(S)と画像解析法により得られた包絡面積(S)との比(S/S)を、凹凸度とも称する。凹凸度が1に近いほど、凹凸の程度が小さいこと(即ち、凹凸がない状態に近いこと)を表す。
上記凹凸度が0.95以下であれば、異形シリカが十分な凹凸を有しているため、研磨速度を十分に向上させることができる。これは、異形シリカにおいて、共面(研磨面)と接触する点が多くなるためであると考えられる。凹凸度は、値が小さいほど粒子の凹凸が増し、研磨速度を向上させることができるので下限は特に限定されないが、通常は0.70以上である。
上記凹凸度は、0.93以下であることが好ましく、0.90以下であることがより好ましく、0.90未満であることがさらに好ましい。また、上記凹凸度は、0.75以上であることが好ましく、0.80以上であることがより好ましい。
また、上記異形シリカは、凹凸度が0.97以上である粒子の含有量が、10個数%以下であることが好ましく、5個数%以下であることがより好ましく、4個数%以下であることがさらに好ましい。凹凸度が0.97以上である粒子の含有量が、10個数%以下であれば、凹凸がない粒子の含有量が極めて少ないため、好ましい。
本明細書において、画像解析法により得られた凹凸度は、500個以上のシリカ粒子について、画像を撮影し、その画像を解析して、個々の粒子の面積(S)と個々の粒子の凸部を結んだ包絡線で囲まれた包絡面積(S)とを求め、当該各粒子の面積と包絡面積との比(S/S)を算出し、平均したものである。
具体的には、面積(S)及び包絡面積(S)は、FE−SEMを用いて、シリカ粒子の明視野−走査透過像(BF−STEM)を撮影し、撮影した写真を画像解析ソフト「A像くん」(旭化成エンジニアリング(株)製)に取り込み、粒子解析をすることにより、求めることができる。
図2は、画像解析法により得られた面積(S)及び画像解析法により得られた包絡面積(S)の取得方法を示す概略図である。図2において、画像解析法により得られる粒子6の面積がSであり、粒子6の凸部を結んだ包絡線7で囲まれた中の面積がSである。
なお、本明細書において、画像解析法により得られる凹凸度が0.97以上である粒子の含有量は、凹凸度が0.97以上である粒子の個数割合を意味する。
(1−1−3.重量基準粒度分布の極大(ピーク)及び幾何標準偏差σg)
上記異形シリカは、遠心沈降法により得られる重量基準粒度分布の極大(ピーク)が一つであり、かつ幾何標準偏差σgが1.50以下である。幾何標準偏差σgは、粒度分布の幅を表す。幾何標準偏差σgの値が1に近いほど、粒度分布の幅が狭く、極大がシャープであることを意味する。上記構成によれば、異形シリカの粒子径が揃っているため、粒子が研磨面を押し付ける力が均一となり、それゆえに、平滑に研磨することができる。また、上記構成は、上記異形シリカにおいて、メジアン径及び凹凸度が上記範囲であることと併せて、ディッシング及びスクラッチの低減、並びに研磨速度の向上に寄与する粒子の数が極めて多いことを示している。
図3は、重量基準粒度分布を表すグラフの一例を示す図である。上記異形シリカは、図3に例示するように、重量基準粒度分布の極大(ピーク)が一つである。一方、従来の異形シリカは、一般的に球状の微小なシリカ粒子を凝集させた後、粒成長して得られるため、凝集しなかったシリカ粒子に由来する、大粒径の球状シリカ粒子が一定量含まれることになる。つまり、球状のシリカ粒子と非球状のシリカ粒子とを含有するため、粒度分布がブロードとなる。このため、従来の異形シリカの重量基準粒度分布は図3に比べて広範になる(即ち、幾何標準偏差σgが大きくなる)、及び/又は重量基準粒度分布の極大(ピーク)が複数になる。従って、この重量基準粒度分布を指標とすることにより、本分散液に含まれる異形シリカが、従来の異形シリカとは異なるものであることがわかる。粒度分布がブロードである場合、粒子が研磨面を押し付ける力が不均一となり、平滑に研磨することができない。
また、幾何標準偏差σgは、1.45以下であることがより好ましく、1.42以下であることがさらに好ましく、1.40以下であることが特に好ましく、1.38以下であることが最も好ましい。かかる範囲内であれば、ディッシング及びスクラッチの低減、並びに研磨速度の向上に寄与する粒子数が多いことから、好ましい。
本明細書において、遠心沈降法による重量基準粒度分布の極大は、上述の重量基準粒度分布のメジアン径と同様に、異形シリカを0.6質量%濃度で出力20W、分散時間3分の条件で水に分散させて得られる分散粒子の重量基準粒度分布の極大を意味する。また、本明細書において、粒度分布の幾何標準偏差σgは、上述のように得られた重量基準粒度分布を累積頻度10質量%〜90質量%の範囲で対数平均分布フィッティング(最小2乗法)し、そのフィッティングから算出した値を意味する。
(1−1−4.円形度及び平均円形度)
上記異形シリカは、画像解析法により得られる粒子の平均円形度が0.40〜0.85の範囲にあることが好ましい。なお、本明細書において、「円形度」とは各粒子について算出したものであり、「平均円形度」とは粒子の集合体に関して円形度の平均を算出した値を意図する。円形度が1に近いほど、球形に近いことを表す。即ち、円形度から、上記異形シリカの異形度(即ち、球状でない度合い)がわかる。
また、平均円形度が1に近いほど、粒子の集合体に含まれる球形に近い粒子の割合が多いことを示す。上記平均円形度が0.85以下であれば、異形シリカが十分に異形であるため、ディッシングをより低減することができる。平均円形度は、値が小さいほど粒子が球形ではなくなり、ディッシングを低減することができるので下限は特に限定されないが、通常は0.40以上である。
上記平均円形度は、0.80以下であることがより好ましく、0.75以下であることがさらに好ましく、0.70以下であることが特に好ましく、0.65以下であることが最も好ましい。また、上記平均円形度は、0.50以上であることがより好ましく、0.55以上であることがさらに好ましく、0.60以上であることが特に好ましい。
上記異形シリカは、画像解析法により得られる円形度が0.95以上である粒子の含有量が5個数%以下であることが好ましく、3個数%以下であることがより好ましく、1個数%以下であることがさらに好ましい。上記円形度が0.95以上である粒子の含有量が5個数%以下であれば、ディッシングの原因となる球状に近い粒子の含有量が少ないため、好ましい。
本明細書において、画像解析法により得られる粒子の平均円形度は、500個以上のシリカ粒子について、画像を撮影し、その画像を解析して、個々の粒子の面積(S)と個々のシリカ粒子の周囲長とを求め、各粒子の円形度を下記式(1)より円形度を算出し、平均したものである。
円形度=4π×面積/(周囲長) (1)
具体的には、円形度は、上記凹凸度と同様に、個々のシリカ粒子についてFE−SEMを用いて、明視野−走査透過像(BF−STEM)を撮影し、撮影した写真を画像解析ソフト「A像くん」(旭化成エンジニアリング(株)製)に取り込み、粒子解析をすることにより、「円形度2」というパラメータとして求めることができる。
なお、本明細書において、画像解析法により得られる円形度が0.95以上である粒子の含有量は、円形度が0.95以上である粒子の個数割合を意味する。
(1−1−5.アスペクト比)
上記異形シリカは、画像解析法により得られたアスペクト比が4.0以下であることが好ましく、3.0以下であることがより好ましく、2.0以下であることがさらに好ましい。また、上記アスペクト比は、1.2を超えることが好ましい。
アスペクト比が4.0以下であれば、合成時に粘度が上昇せず、取り扱いやすいため、好ましい。また、アスペクト比が1.2を超えていれば、ディッシング及びスクラッチをより低減し、研磨速度をより向上させることができる。
本明細書において、画像解析法により得られたアスペクト比は、500個以上のシリカ粒子について、画像を撮影し、その画像を解析して、個々の粒子の任意の2点間のうち最大の長さである最大長と、該最大長と垂直な方向の幅である最小幅とを求め、最大長と最小幅の比(最大長/最小幅)として算出し、平均したものである。
具体的には、最大長と最小幅との比は、個々のシリカ粒子についてFE−SEMを用いて、明視野−走査透過像(BF−STEM)を撮影し、撮影した写真を画像解析ソフト「A像くん」(旭化成エンジニアリング(株)製)に取り込み、粒子解析をすることにより、「最大/最小」というパラメータとして求めることができる。
(1−1−6.不純物の含有量)
上記異形シリカは、不純物の含有量が少ないことが好ましい。具体的には、上記異形シリカは、ナトリウム(Na)及びカリウム(K)の含有量が、それぞれ1ppm未満であることが好ましい。上記含有量であれば、金属不純物が嫌われる半導体用途等でも好適に使用することができる。例えば、トランジスタ分離層にナトリウム又はカリウムなどの不純物が残存した場合、所望の性能が発揮されなかったり、不具合の原因となったりすることがある。
また、上記異形シリカは、鉄(Fe)の含有量が、0.4ppm以下であることが好ましい。上記含有量とすることにより、研磨時におけるスクラッチの発生をより低減させることができる。上記鉄の含有量が、研磨時におけるスクラッチの発生メカニズムにどのように影響するかは明らかではないが、一般に鉄の濃度が高くなるとスクラッチが増加する傾向にあり、鉄の含有量が上記範囲である場合には、スクラッチの発生はより高度に抑制できる。上記鉄は、通常、原料に由来して含有されるが、反応容器又は配管等からの摩耗粉の混入もあり得る。
さらに、上記異形シリカは、以下の(D)〜(H)の少なくとも1つを満たすことが好ましい:
(D)アルミニウム(Al)の含有量が、0.3ppm以下である;
(E)ニッケル(Ni)の含有量が、0.1ppm以下である;
(F)クロム(Cr)の含有量が、0.1ppm以下である;
(G)ホウ素(B)の含有量が、1.3ppm以下である;
(H)リン(P)の含有量が、0.5ppm以下である。
このように不純物が低減された異形シリカは、特に高純度の砥粒の使用が要求されるCMP用途、例えば、半導体デバイスのCMP工程等において好適に使用できるため好ましい。なお、シラン化合物の火炎加水分解により製造されるヒュームドシリカにおいては、一般に、上記不純物のうちホウ素及びリンは原料由来であり、アルミニウム、ニッケル及びクロムは原料由来だけでなく、反応容器又は配管等の摩耗粉に由来するものも含まれる。これらの不純物の含有量が多くなると、研磨時に被研磨面を汚染しやすくなる。この場合、研磨対象物の材質又は用途によっては、基板等の電気特性を低下する原因となり得る。
また、従来の異形シリカでは、球状の一次粒子を凝集させて異形の二次粒子を得るため、金属塩等を凝集剤として使用する場合がある。この場合、金属不純物の量が比較的大きくなる。一方、上記異形シリカは、後述のとおり、異形のシリカを核とした粒成長によって得られるものであるため、凝集剤は不要である。従って、上記異形シリカは、金属不純物の含有量が極めて少ない。
本明細書において、ナトリウム及びカリウムの含有量はイオンクロマトグラフィーシステムを使用して測定した値を意味する。また、鉄、アルミニウム、ニッケル及びクロムの含有量は、ICP発光分析装置を使用して測定した値を意味する。なお、鉄及びアルミニウムの含有量は、それぞれ酸化物換算し、Fe及びAlとして測定した値を意味する。また、リンの含有量は、二重集束型ICP−MSを使用して測定した値を意味する。ホウ素の含有量は、ICP発光法を使用して測定した値を意味する。
[実施形態2]
また、他の態様において、本分散液は、コア部と、当該コア部を被覆するシェル部と、から構成されるコアシェル型の異形シリカを含み、上記コア部がヒュームドシリカからなり、上記シェル部がゾルゲル法により得られたシリカ層であってもよい。上記異形シリカは、異形であるヒュームドシリカをコア部とし、これを粒成長して得られた構成である。それゆえ、本分散液に含まれるシリカは異形であり、実質的に球状のシリカ粒子は含まない態様である。従って、本分散液をCMP用研磨剤とした場合には、ディッシング及びスクラッチを低減し、研磨速度を向上させることができる。
ヒュームドシリカは乾式シリカの一種であり、一般に、一次粒子が数珠状に融着して形成された複雑な形状を有する。本発明において、コア部となるヒュームドシリカは特に限定されず、公知のものを使用することができる。
例えば、当該ヒュームドシリカにおけるBET比表面積は、70〜330m/gであることが好ましく、180〜330m/gであることがより好ましく、270〜330m/gであることがさらに好ましい。また、当該ヒュームドシリカにおける平均一次粒子径は、7〜22nmであることが好ましく、7〜12nmであることがより好ましい。BET比表面積及び/又は平均一次粒子径が上記範囲であれば、得られる異形シリカを含む分散液をCMP用研磨剤として用いた場合、ディッシング及びスクラッチをより低減することができる。
上記シェル部は、上述のようにゾルゲル法によって得られたシリカ層である。本明細書において「ゾルゲル法」とは、例えば、後述の〔2.分散液の製造方法〕の<2−1.シリカ粒子を製造する工程>に記載の方法を意味する。
また、本実施形態の分散液には、実施形態1に示すように、以下の(A)〜(C)を満たす異形シリカを含む分散液も含まれ得る:
(A)遠心沈降法により測定された重量基準粒度分布のメジアン径が50〜1000nmの範囲にある;
(B)画像解析法により得られた面積(S)と画像解析法により得られた包絡面積(S)との比(S/S)が、0.70〜0.95の範囲にある;
(C)遠心沈降法により得られる重量基準粒度分布の極大(ピーク)が一つであり、かつ幾何標準偏差σgが1.5以下である。
即ち、本実施形態の分散液には、実施形態1に示す各物性を有する異形シリカを含む分散液も含まれ得る。
<1−2.溶媒>
本分散液は、溶媒に上記異形シリカが分散されたものであればよく、目的に応じて、分散粒子として、上記異形シリカの他に、さらに、既存のシリカ粒子、セリア粒子及び/又はアルミナ粒子等の他の粒子が分散されたものであってもよい。
溶媒としては、極性溶媒を用いることが好ましい。ここで、極性溶媒とは、水、又は常温及び常圧下で100g当たり10g以上の水を溶解する有機溶媒を意味する。溶媒として水以外の有機溶媒を複数種混合して使用してもよく、この場合には、当該有機溶媒の混合物が、上記の要件を満たせばよい。
上記有機溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール及びブタノール等のアルコール;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン及びジオキサン等のエーテル;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド及びN−メチルピロリドン等のアミド化合物等を挙げることができる。
上記溶媒は、単独で用いることも、2種以上の溶媒の混合物として用いることも可能である。
上記溶媒は、後述の分散液の製造方法におけるヒュームドシリカ分散液の溶媒を利用したものであってもよく、ヒュームドシリカ分散液の溶媒を改めて他の溶媒へ置換したものであってもよい。
置換後の溶媒は、水、アルコール類、エーテル類及びケトン類、並びにこれらの混合物であってもよい。なかでも、水を用いることが好ましい。
本分散液における上記異形シリカの濃度は1〜60重量%の範囲であることが好ましい。異形シリカの濃度が60重量%以下であれば、分散液粘度の上昇を防ぐことができ、それゆえに、分散液のゲル化時間が著しく短くなるなどの安定性の問題が起こらないため好ましい。また、異形シリカの濃度が1重量%以上であれば、異形シリカを十分に分散させることができる。このため、実用的な研磨速度の確保が容易となる。なお、分散液が高濃度である場合は、用途によって所望の濃度に希釈して使用してもよい。
〔2.分散液の製造方法〕
本分散液の製造方法(以下、単に「本製造方法」とも称する。)は、ヒュームドシリカ分散液に、アルコキシシランもしくはその加水分解物及び/又はその部分縮合物を添加し重縮合反応させてシリカ粒子を製造する工程を含む。即ち、本製造方法は、異形であるヒュームドシリカを核として粒成長させる工程を含むものであればよい。本製造方法により得られる分散液に含まれるシリカは異形である。さらに、得られた異形シリカにおける球状のシリカ粒子の含有量は極めて少なくなる。それゆえ、本製造方法によれば、CMP用研磨剤とした場合にディッシング及びスクラッチを低減し、研磨速度を向上させ得る異形シリカを含む分散液を得ることができる。
即ち、本製造方法によれば、上述の〔1.分散液〕にて説明した異形シリカを含む分散液を得ることができる。なお、〔1.分散液〕にて既に説明した事項について、以下では説明を省略し、適宜、上述の記載を援用する。
図4は、本発明の一実施形態に係る分散液に含まれる異形シリカの製造方法と従来の球状シリカの製造方法とを比較した概略図である。図4の(a)は、従来の球状シリカの製造方法を示している。図4の(b)は、本発明の一実施形態に係る分散液に含まれる異形シリカの製造方法を示している。
シリカは、例えば、Si(OCHから加水分解によってSiOHを得て、重縮合によってSiOを得る反応によって得られる。従来の球状シリカの製造方法では、まず、図4の(a)の(i)に示すように、塩基性触媒及び溶媒等を含む反応液2を仕込む。そして、図4の(a)の(ii)に示すように、塩基性触媒及びアルコキシシラン等を添加し、核生成反応によって核粒子3を生成する。その後、図4の(a)の(iii)に示すように、核成長反応により、粒子径が増大した球状シリカ粒子4を得る。一方、本製造方法の場合、図4の(b)の(i)に示すように、異形のヒュームドシリカを核粒子(出発物質)として用いる。本製造方法では、図4の(b)の(ii)に示すように、最初に、異形の核粒子5を反応液2とともに仕込む。その後、図4の(b)の(iii)に示すように、核成長反応により、粒子径が増大した異形シリカ(異形シリカ粒子)1を得る。
図5は、本発明の一実施形態に係る分散液に含まれる異形シリカの製造方法と従来の異形シリカの製造方法とを比較した概略図である。図5の(a)は、従来の異形シリカの製造方法を示している。図5の(b)は、本発明の一実施形態に係る分散液に含まれる異形シリカの製造方法を示している。
従来の異形シリカの製造方法では、まず、図5の(a)の(i)に示すように、球状の核粒子を生成する。そして、図5の(a)の(ii)に示すように、当該球状の核粒子を凝集させる。その後、図5の(a)の(iii)に示すように、粒成長によって大粒径の異形シリカ粒子を得る。しかしながら、この場合、凝集しなかった球状の核粒子に由来する、大粒径の球状のシリカ粒子が一定量残存することになる。そのため、従来の異形シリカの製造方法では、上述のように粒度分布が広範になってしまう。
上述の特許文献1及2に記載の技術は、図5の(a)に示す製造方法に相当する。特許文献1においては、珪酸液を原料に使用してシリカゾルを含むシード液を得て、それから異形シリカを含むCMP用研磨剤を得る製造方法が開示されている。また、特許文献2においては、珪酸アルカリ水溶液と酸性珪酸液とを混合し、加熱熟成を行った後に酸性珪酸液を添加することによって、異形シリカを得る製造方法が開示されている。
一方、本製造方法の場合、図5の(b)の(i)に示すように、異形のヒュームドシリカを核粒子として用いる。そして、図5の(b)の(ii)に示すように、この核粒子を粒成長させることによって粒子径が増大した異形のシリカ粒子を得る。そのため、本製造方法の場合、球状のシリカ粒子の含有量は極めて少なくなる。
<2−1.シリカ粒子を製造する工程>
本工程では、ヒュームドシリカ分散液に、アルコキシシランもしくはその加水分解物及び/又はその部分縮合物を添加し重縮合反応させてシリカ粒子を製造する。即ち、本工程では、ゾルゲル法によって、ヒュームドシリカを粒成長させる。本工程では、ヒュームドシリカを核粒子とするために、異形のシリカ粒子を得ることができる。また、球状のシリカ粒子を核粒子としないため、得られた異形シリカにおいて、球状のシリカ粒子の含有量は極めて少ない。
なお、ヒュームドシリカ分散液の分散性指数は、2.5以上であることが好ましく、2.6以上であることがより好ましく、2.7以上であることがさらに好ましく、2.8以上であることが特に好ましい。分散性指数が2.5以上であれば、ヒュームドシリカが分散液中に凝集することなく十分に分散しているため、好ましい。なお、本明細書において、分散性指数とは、後述の実施例に記載の方法によって測定された値を意味する。
(2−1−1.ヒュームドシリカ)
上記ヒュームドシリカ分散液に含有されるヒュームドシリカは、上述の〔1.分散液〕で説明したヒュームドシリカであれば特に限定されない。
(2−1−2.溶媒)
上記ヒュームドシリカ分散液における溶媒としては、極性溶媒が挙げられる。ここで、極性溶媒とは、水、又は常温及び常圧下で100g当たり10g以上の水を溶解する有機溶媒を意味する。溶媒として水以外の有機溶媒を複数種混合して使用してもよく、この場合には、当該有機溶媒の混合物が、上記の要件を満たせばよい。
上記有機溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール及びブタノール等のアルコール;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン及びジオキサン等のエーテル;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド及びN−メチルピロリドン等のアミド化合物等を挙げることができる。
アルコールはゾルゲル法の反応時に副生するものであるから、上記のうちメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール又はブタノール等のアルコールを使用することが、反応後の分散液中への不必要な不純物の混入を抑制する点及び加熱によって容易に除去可能である点等から特に好ましい。
上記溶媒は、単独で用いることも、2種以上の溶媒の混合物として用いることも可能である。
溶媒の使用割合は、目的とするシリカ粒子の粒径及び濃度の所望値に応じて適宜決定すればよい。例えば、有機溶媒としてアルコールを使用する場合、ゾルゲル法の反応により得られるシリカ粒子の分散液の質量(100質量%)におけるアルコールの割合が好ましくは10〜90質量%、より好ましくは15〜80質量%の範囲となるように使用される。
水は、溶媒の一部又は全部として使用してもよく、水以外の反応原料等を全部準備した後に反応液に加えてもよい。しかしながら、ゾルゲル法の反応を速やか且つ安定的に進行させるためには、水を溶媒の一部として使用すること、即ち溶媒として水と有機溶媒との混合物を用いることが好ましい。ここでいう、溶媒としての水は、塩基性触媒添加等に伴って添加される場合も含む概念である。
水の使用割合は、製造するシリカ粒子の粒径に応じて適宜調整して選択される。水の使用割合が少なすぎると反応速度が遅くなり、逆に多すぎると後述する溶媒を置換する工程を含む場合、溶媒除去の際に長時間を要するため、水の使用割合はこれらの両要件を勘案して選択される。水の使用割合としては、ゾルゲル法の反応により得られるシリカ粒子の分散液の全質量に対して、2〜50質量%の範囲とすることが好ましく、5〜40質量%の範囲とすることがより好ましい。
(2−1−3.塩基性触媒)
上記ヒュームドシリカ分散液には、塩基性触媒を添加してもよい。塩基性触媒を用いることによって、アルコキシシランの加水分解反応及び/又は縮合反応を促進させることができる。塩基性触媒としては、ゾルゲル法の反応による無機酸化物粒子の製造に用いられる公知の塩基性触媒であれば、これを好適に使用することができる。このような塩基性触媒としては、アミン化合物及び水酸化アルカリ金属等が挙げられる。特に、不純物量が少なく、高純度のシリカ粒子を得られるという観点から、アミン化合物を用いることが好適である。このようなアミン化合物としては、例えばアンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジメチルアミン及びトリメチルアミン等が挙げられる。これらのうち、揮発性が高く除去しやすいこと及びゾルゲル法の反応速度が速いこと等から、アンモニアを使用することが特に好ましい。上記塩基性触媒は、単独で使用することも、2種類以上を使用することも可能である。
上記塩基性触媒は、工業的に入手可能なものを、そのまま(市販されている形態のまま)使用することも可能であるし、例えばアンモニア水等のように、水又は有機溶媒に希釈して使用することも可能である。特に、反応の進行速度を制御しやすい点で、塩基性触媒を水に希釈し、必要に応じて濃度を調整した水溶液として使用することが好ましい。塩基性触媒の水溶液を使用する場合、工業的に入手が容易であること及び濃度調整が容易であること等から、1〜30質量%の範囲の濃度の水溶液とすることが好ましい。
塩基性触媒の添加量は、アルコキシシランの加水分解及び重縮合反応の反応速度等を勘案して適宜決定すればよい。塩基性触媒の添加量としては、反応液中における塩基性触媒の存在量が、使用するアルコキシシランの質量に対して、0.1〜60質量%とすることが好ましく、0.5〜40質量%の範囲で使用することがより好ましい。
(2−1−4.アルコキシシラン)
上記アルコキシシランとしては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン及びテトラブトキシシラン等が挙げられる。工業的に入手が容易に可能であるという観点及び取扱いが容易であるという観点から、上記アルコキシシランは、メチルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン又はテトラエトキシシランであることが好ましく、テトラメトキシシラン又はテトラエトキシシランであることがより好ましい。なお、上記アルコキシシランとしては、1種類のみを使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。また、本工程においては、アルコキシシランの加水分解物を添加してもよく、アルコキシシラン又はその加水分解物の部分縮合物を添加してもよい。
(2−1−5.反応条件)
本工程は、例えば以下のように行うことができる。反応容器にヒュームドシリカ、溶媒及び塩基性触媒を仕込み、ここにアルコキシシラン(又はアルコキシシランの有機溶媒溶液)と塩基性触媒の水溶液とを同時に添加する方法を挙げることができる。この方法によれば、反応効率が良好で、粒度分布の幅が小さいシリカ粒子を、効率よく、且つ再現性よく製造することができ、好ましい。2種類以上のアルコキシシランを併用する場合、各々を混合して同時に添加してもよく、各々を順次に添加してもよい。
アルコキシシラン及び塩基性触媒の添加は、反応液に液中滴下することが好ましい。ここで液中滴下とは、アルコキシシラン及び塩基性触媒を反応液中に滴下する際、滴下口の先端が反応液中に浸されていることをいう。滴下口先端の位置は、液中にあれば特に限定されないが、攪拌羽根の近傍等の、攪拌が十分に行われ、滴下物が反応液中に速やかに拡散することのできる位置とすることが望ましい。
アルコキシシラン及び塩基性触媒の添加時間(添加開始から添加終了までの時間)は、例えば、48時間以内とすることが好ましい。例えば、上記添加時間が0.2時間以上であれば、粒度分布の幅を小さくすることができる。また、上記添加時間が48時間以下であれば、安定した粒成長を行うことができる。
反応温度は、ゾルゲル法の反応が速やかに進行する温度であれば、特に制限されず、目的とするシリカ粒子の粒径に応じて適宜に選択すればよい。一般的に、反応温度が低いほど得られるシリカ粒子の粒径が大きくなる傾向にある。例えば、反応温度としては、−10〜60℃の範囲で適宜選択すればよい。
ゾルゲル法の反応を確実に進行させるために、アルコキシシラン及び塩基性触媒の滴下が終了した後、熟成(次の疎水化処理剤の添加を行うまで暫く時間をおくこと)を行ってもよい。この場合、熟成温度としては反応温度と同程度の温度、即ち−10〜60℃とすることが好ましい。また、熟成時間としては0.25〜5時間とすることが好ましい。
なお、上記シリカ粒子(異形シリカ)は分散液中で利用される。従って、上記シリカ粒子を粉末として分離する必要がないため、疎水化処理は不要である。
<2−2.溶媒を置換する工程>
本製造方法は、溶媒を置換する工程を含んでいてもよい。すなわち、本製造方法では、上述のヒュームドシリカ分散液における溶媒を用いて異形シリカが分散された分散液を得た後、さらに所望の溶媒へと置換してもよい。
置換する方法としては特に限定されず、例えば、上記異形シリカを含む分散液を遠心分離にかけて異形シリカを沈殿させ、溶媒を置換する方法が挙げられる。置換後の溶媒としては、例えば、水、アルコール類、エーテル類及びケトン類、並びにこれらの混合物が挙げられる。なかでも、水を用いることが好ましい。
〔3.CMP用研磨剤〕
本CMP用研磨剤は、上記分散液を含む。それゆえ、本CMP用研磨剤によれば、ディッシング及びスクラッチを低減し、研磨速度を向上させることができる。
本CMP用研磨剤は、上記分散液からなるものであってもよく、上記分散液以外の成分をさらに含むものであってもよい。
例えば、本CMP用研磨剤には、上記分散液における異形シリカの分散性を損なわない範囲で、例えば、研磨促進剤、酸化剤、酸、塩基、錯化剤、腐食防止剤及び/又は界面活性剤などの添加剤を含有させることができる。
研磨促進剤としては、例えば、ピペラジン類、炭素数1〜6の第1級アミン化合物及び第4級アンモニウム塩などが挙げられる。ピペラジン類としては、例えば、ピペラジン、無水ピペラジン、ピペラジン6水和物、N−アミノエチルピペラジン及び1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジンなどが挙げられる。炭素数1〜6の第1級アミン化合物としては、例えば、α−オキシエチルアミン(α−アミノエチルアルコール)、モノエタノールアミン(β−アミノエチルアルコール)、アミノエチルエタノールアミン、トリエチレンテトラミン及びエチレンジアミンなどが挙げられる。第4級アンモニウム塩としては、例えば、テトラメチルアンモニウム塩化物、テトラメチルアンモニウム水酸化物、ジメチルジエチルアンモニウム塩化物、N,N−ジメチルモルホリニウム硫酸塩及びテトラブチルアンモニウム臭化物などが挙げられる。研磨促進剤としては、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。本CMP用研磨剤における研磨促進剤の含有量は特に制限されないが、好ましくは本CMP用研磨剤全量の0.001〜5重量%程度である。
酸化剤としては、過酸化物、過塩素酸塩、過ヨウ素酸塩、過硫酸塩、酸化性金属塩及び酸化性金属錯体などが挙げられる。それらの中でも、取り扱いやすさ及び純度等の観点から、過酸化水素及び過硫酸アンモニウムなどが好ましく用いられる。また、ヨウ素酸カリウム、過ヨウ素酸、ヨウ化カリウム又はヨウ素酸なども使用できる。一般に、酸化剤は空気中に放置しておくと徐々に分解して、その酸化力が低下する場合が多いので使用時に添加することが望ましい。例えば、酸化剤としては、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。本CMP用研磨剤における酸化剤の含有量は特に制限されないが、好ましくは本CMP用研磨剤全量の0.01〜20重量%程度である。
酸としては、例えば、公知の有機酸又は鉱酸が制限なく使用できる。例えば、鉱酸としては塩酸などが挙げられる。また、有機酸として、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、バレリン酸及び乳酸などの炭素数2〜6のモノカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸及びフマル酸などの炭素数2〜6のジカルボン酸、クエン酸及びイソクエン酸などの炭素数3〜6のトリカルボン酸、サリチル酸などの芳香族カルボン酸、アスコルビン酸、並びにアミノ酸などが挙げられる。酸には、上記カルボン酸類及びアスコルビン酸の塩も包含される。酸としては、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。本CMP用研磨剤における酸の含有量は特に制限されないが、好ましくは本CMP用研磨剤全量の0.005〜5重量%程度である。
塩基としては、例えば、公知の塩基が制限なく使用できる。例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、アンモニア水及びテトラメチルアンモニウムハイドライドなどが挙げられる。塩基としては、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。本CMP用研磨剤における塩基の含有量は特に制限されないが、好ましくは本CMP用研磨剤全量の0.005〜5重量%程度である。
錯化剤としては、エチレンジアミン4酢酸(EDTA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン3酢酸(HEDTA)、ジエチレントリアミン5酢酸(DTPA)、ニトリロ3酢酸(NTA)、トリエチレンテトラミン6酢酸(TTHA)、ヒドロキシエチルイミノ2酢酸(HIDA)、ジヒドロキシエチルグリシン(DHEG)、エチレングリコール−ビス(β−アミノエチルエーテル)−N,N’−4酢酸(EGTA)及び1,2−ジアミノシクロヘキサン−N,N,N’,N’−4酢酸(CDTA)などが挙げられる。錯化剤としては、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。本CMP用研磨剤における錯化剤の含有量は特に制限されないが、好ましくは本CMP用研磨剤全量の0.005〜5重量%程度である。
腐食防止剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、ベンゾトリアゾール−4−カルボン酸及びそのアルキルエステル、ナフトトリアゾール及びその誘導体、イミダゾール、キナルジン酸、並びにインパール誘導体などが挙げられる。腐食防止剤としては、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。本CMP用研磨剤における腐食防止剤の含有量は特に制限されないが、好ましくは本CMP用研磨剤全量の0.005〜0.5重量%程度である。
界面活性剤としては、例えば、ポリアクリル酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩及びα−オレフィンスルホン酸塩などのアニオン系界面活性剤、並びに、脂肪酸モノエタノールアミド、脂肪酸ジエタノールアミド、脂肪酸エチレングリコールエステル、モノ脂肪酸グリセリンエステル、脂肪酸ソルビタンエステル、脂肪酸ショ糖エステル、アルキルポリオキシエチレンエーテル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びポリエチレングリコールなどの非イオン系界面活性剤などが挙げられる。界面活性剤としては、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。界面活性剤の含有量は特に制限されないが、好ましくは本CMP用研磨剤全量の1重量%以下程度、さらに好ましくは0.001〜1重量%程度である。
本CMP用研磨剤は、その研磨対象に応じて、pHをアルカリ、中性又は酸性の領域に適宜調整することができる。ただし、一般に、シリカ砥粒を用いた場合、中性領域で粒子の凝集が起こり易く研磨時のスクラッチの原因となるため、pH1〜5又はpH8〜11に調整することが好ましい。
また、CMP用研磨剤を長期保存した場合にカビ又はバクテリアが発生することがある。そのような場合には本CMP用研磨剤に抗菌剤を添加してもよい。抗菌剤としては特に制限はなく、研磨剤としての性能を低下させることのないものを添加すればよい。添加量は特に制限されないが、通常は1〜1000ppmの範囲から選べばよい。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例における各種の物性測定等は以下の方法による。
〔物性の測定方法〕
(1)重量基準粒度分布のメジアン径及び拡大(ピーク)、並びに幾何標準偏差σg
(測定試料調製)
測定試料であるシリカの濃度が0.6質量%である水懸濁液を、以下のように調製した。シリカ分散液から、遠心分離器を用いて溶媒を分離し、得られたシリカ固形分0.12gをガラス製のサンプル管瓶(アズワン(株)製、内容量30mL、外径約28mm)に秤とり水を加えて20gとした後、超音波細胞破砕器(BRANSON製、型番Sonifier II Model 250D、プローブ:1.4インチ)のプローブチップ面が水面下15mmになるように試料入りサンプル管瓶を設置した。当該超音波細胞破砕器を用いて、出力20w、分散時間3分の条件でシリカ粒子を水に分散し、測定試料であるシリカの濃度が0.6%である水懸濁液を調製した。
(測定方法)
ディスク遠心沈降式粒度分布測定装置(CPS製、型番DC−24000)を用いて、粒子径及び粒度分布を測定した。測定条件は、回転数18000rpm、シリカ真密度2.1g/cmとして、0.476μmのPVC粒子で測定毎に校正した。粒度分布の幾何標準偏差σgは、得られた重量基準粒度分布を累積頻度10質量%〜90質量%の範囲で対数平均分布フィッティング(最小2乗法)し、そのフィッティングから算出した。
(2)画像解析法により得られた面積(S)と画像解析法により得られた包絡面積(S)との比(S/S)、粒子の平均円形度、円形度が0.95以上である粒子の含有量
(観察用試料作製)
得られたシリカ分散液にその100倍の重量の水を添加し、超音波分散機を用いてシリカ粒子を水に分散させた。得られた分散液をSEM用試料台に滴下し、乾燥させ、観察用試料を作製した。
(測定方法)
500個以上のシリカ粒子についてFE−SEM((株)日立ハイテクノロジーズ製、型番S−5500)を用いて、加速電圧30kV、倍率20000倍で明視野−走査透過像(BF−STEM)を撮影した。撮影した写真を画像解析ソフト「A像くん」(旭化成エンジニアリング(株)製)に取り込み、粒子解析パラメータを以下の通りとし、粒子解析した。
粒子の明度:暗
2値化の方法:手動
収縮分離回数:20回
小図形:0
雑音除去フィルター:有
シェーディング:有
結果表示単位:nm
粒子解析により、各粒子の面積(S)、包絡面積(S)(粒子の凸部を結んだ包絡線で囲まれた中の面積)及びアスペクト比を求めた。さらに、各粒子の面積と包絡面積との比(S/S)を求めた。また、各粒子の円形度を、各粒子の面積及び周囲長を用いて下記式(1)より算出した。
円形度=4π×面積/(周囲長)2 (1)
面積と包絡面積との比(S/S)、平均円形度及びアスペクト比は、上記画像解析により得られた各粒子の面積と包絡面積との比(S/S)、円形度及びアスペクト比の平均をとり、求めた。また、面積と包絡面積との比(S/S)が0.97以上である粒子の個数割合及び円形度が0.95以上である粒子の個数割合を求めた。
(3)ナトリウム、カリウム、金属不純物、リン及びホウ素の含有量
<ナトリウム及びカリウムの含有量>
(測定試料調製)
分散液を遠心分離し、乾燥させて得たシリカ5gに超純水50gを添加し、テフロン(登録商標)分解容器を用いて120℃で24時間加熱した。超純水及びシリカは0.1mg単位まで秤量した。その後、遠心分離器を用いてシリカ固形分を分離し、イオンクロマト測定試料を得た。なお、超純水のみで上記操作を行い、ブランク試料を得た。
(測定)
イオンクロマトグラフィーシステム(日本ダイオネクス(株)製、型番ICS−2100)を用いて、測定試料中のナトリウム及びカリウムの濃度を測定した。シリカのナトリウム及びカリウムの含有量は下記式(2)を用いて算出した。
Silica=(CSample−CBlank)×MPW/MSilica (2)
Silica:シリカ中のイオン濃度(ppm)
Sample:測定試料中のイオン濃度(ppm)
Blank:ブランク試料中のイオン濃度(ppm)
PW:超純水水量(g)
Silica:シリカ重量(g)
なお、各イオンのCBlankはすべて0ppmであった。
<金属不純物の含有量>
分散液を遠心分離し、乾燥させて得たシリカ2gを精秤して白金皿に移し、濃硝酸10mL及びフッ酸10mLをこの順で加えた。これを200℃に設定したホットプレート上に乗せて加熱して内容物を乾固した。室温まで冷却後、さらに濃硝酸2mLを加え、200℃に設定したホットプレート上に乗せて加熱して溶解した。室温まで冷却後、白金皿の内容物である溶液を容量50mLのメスフラスコに移し、超純水で希釈して標線に合わせた。これを試料として、ICP発光分析装置((株)島津製作所製、型番ICPS−1000IV)により、不純物の含有量を測定した。鉄及びアルミニウムはそれぞれ酸化物換算し、Fe及びAlとしての含有量とした。ニッケル及びクロムは金属元素単体での含有量とした。
<リン及びホウ素の含有量>
分散液を遠心分離し、乾燥させて得たシリカをポリテトラフルオロエチレン樹脂製容器に入れメルク(株)製のホウ素定量用マンニトールを加えた後、蒸留フッ酸及び蒸留硝酸を加えシリカを溶解した。溶解した液を160℃のホットプレートで蒸発乾固した後、1%のウルトラピュア100硝酸(関東化学(株)製)を加え、純度分析用の試料とした。上記純度分析用試料について、リンの測定はサーモフィッシャーサイエンスティフィック(株)製、二重収束型ICP−MS ELEMENT IIを用いて31Pを測定した。ホウ素についてはICP発光法で測定した。
(4)研磨特性評価
(スラリー調製)
遠心分離器を用いて、分散液から溶媒を分離した。得られたシリカ固形物に、5質量%水酸化ナトリウム水溶液及び超純水を加え、シリカ濃度10質量%、pH10.5の研磨用スラリーを調製した。
(研磨速度比及びスクラッチの評価)
被研磨基板として、強化ガラス製のハードディスク用ガラス基板を使用した。
上記被研磨基板を、研磨装置((株)ナノファクター製、卓上型ポリッシング装置、型番NF−300)を使用して研磨した。なお、基板荷重は0.10MPa、テーブル回転速度は60rpm、研磨用スラリー供給速度は25g/分、供給時間は10分間とした。
上記研磨条件で研磨された基板について研磨速度比及びスクラッチを測定した。研磨速度比は、後述する比較例1の研磨速度を1としたときの、研磨速度の比率を研磨速度比とした。スクラッチは、研磨表面を観察し、スクラッチの発生程度を評価した。研磨表面にスクラッチがないものを◎、小さなスクラッチがわずかに存在するものを○、小さなスクラッチが広い範囲にわたり存在するものを△、大きなスクラッチが存在するものを×とした。
(ディッシングの評価)
被研磨基板として、シリコン基板表面に、深さ500nmのパターンを持つ絶縁膜を形成し、つづいて30nmのTaN膜と20nmのCu膜とを形成し、さらに電解メッキ法により1.4μmのCuを堆積した被研磨用基板を使用した。
上記研磨基板を、研磨装置((株)ナノファクター製、卓上型ポリッシング装置、型番NF−300)を使用して研磨した。なお、基板荷重は10kPa、テーブル回転速度は60rpm、研磨用スラリー供給速度は25g/分、供給時間は5分間とした。
上記研磨条件で研磨された基板についてディッシングの評価を行った。配線幅100μm、配線スペース幅100μm部を接触式段差計(Veeco製DECKTAK V200−Si)で走査して得られた段差量を求めた。
(5)分散性指数
ヒュームドシリカとメタノールとからなる分散液を測定試料セル(東京硝子器(株)製、合成セル、5面透明、10×10×45H)に入れ、分光光度計(日本分光(株)製、型番V−630)を使用して、分散液の吸光度τ700及びτ460を求めた。分散液の分散性指数nは下記式(3)を用いて算出した。
n=2.382×ln(τ460700) (3)
なお、τ700は波長700nmの光に対する分散液の吸光度を表し、τ460は波長460nmの光に対する分散液の吸光度を表す。
得られた分散性指数の値が2.5以上であれば、ヒュームドシリカが分散液中に凝集することなく十分に分散していると判断した。
〔実施例1〕
ヒュームドシリカ((株)トクヤマ製、商品名QS−30、BET比表面積302m/g、平均一次粒子径7nm)5.25g及びメタノール520gを容量2Lのディスポカップ((株)アズワン製)に投入した。試料入りの当該ディスポカップを、超音波細胞破砕器(BRANSON製Sonifier II Model 250D、プローブ:1.4インチ)のプローブチップ面がディスポカップ底から10mmになるように設置した。当該超音波細胞破砕器を用いて、出力60W、分散時間30分の条件でヒュームドシリカをメタノールに分散し、ヒュームドシリカ分散液を調製した。本操作を2回実施して調製した分散液を混合し、ヒュームドシリカ10.5g及びメタノール1040gからなるヒュームドシリカ分散液を得た。なお、ヒュームドシリカ分散液の分散性指数は2.82であり、ヒュームドシリカが十分に分散されていることを確認した。
つづいて、5Lの4つ口フラスコに、調製したヒュームドシリカ分散液1050.5gと、仕込みアンモニア水として15質量%アンモニア水152gとを投入し、35℃で撹拌した。アルコキシシランとしてテトラメトキシシラン705.5gと、添加アンモニア水として5質量%アンモニア水232.2gとを、それぞれ独立に液中滴下した。滴下は120分で終了するように速度を調整して実施した。滴下開始後10分の段階で反応液が白濁しており、反応が進行している様子が確認された。滴下終了後、30分熟成を行い、シリカ分散液を得た。
〔実施例2〕
テトラメトキシシランの添加量を680gに変更したこと以外は、実施例1と同様にしてシリカ分散液を得た。なお、ヒュームドシリカ分散液を2回調製し、これらの分散液を混合した際の分散性指数が2.5以上であることを確認した。
〔実施例3〕
テトラメトキシシランの添加量を352.8gに変更したこと、添加アンモニア水としての5質量%アンモニア水の添加量を116.1gに変更したこと及びこれらの滴下時間(供給時間)を60分に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてシリカ分散液を得た。なお、ヒュームドシリカ分散液を2回調製し、これらの分散液を混合した際の分散性指数が2.5以上であることを確認した。
〔実施例4〕
調製した分散液と仕込みアンモニア水とを4つ口フラスコ中で撹拌する際の温度を40℃に変更したこと以外は、実施例3と同様にしてシリカ分散液を得た。なお、ヒュームドシリカ分散液を2回調製し、これらの分散液を混合した際の分散性指数が2.5以上であることを確認した。
〔実施例5〕
テトラメトキシシランの添加量を493.9gに変更したこと、添加アンモニア水としての5質量%アンモニア水の添加量を162.5gに変更したこと及びこれらの滴下時間(供給時間)を84分に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてシリカ分散液を得た。なお、ヒュームドシリカ分散液を2回調製し、これらの分散液を混合した際の分散性指数が2.5以上であることを確認した。
〔実施例6〕
アルコキシシラン及び添加アンモニア水の滴下時間(供給時間)を240分に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてシリカ分散液を得た。なお、ヒュームドシリカ分散液を2回調製し、これらの分散液を混合した際の分散性指数が2.5以上であることを確認した。
〔実施例7〕
アルコキシシランとしてテトラメトキシシランの代わりにテトラエトキシシランを添加したこと、並びにアルコキシシラン及び添加アンモニア水の滴下時間(供給時間)を180分に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてシリカ分散液を得た。なお、ヒュームドシリカ分散液を2回調製し、これらの分散液を混合した際の分散性指数が2.5以上であることを確認した。
〔実施例8〕
ヒュームドシリカの投入量を26.7gに変更したこと、テトラメトキシシランの添加量を1763.6gに変更したこと、添加アンモニア水としての5質量%アンモニア水の添加量を580.5gに変更したこと及びこれらの滴下時間(供給時間)を300分に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてシリカ分散液を得た。なお、ヒュームドシリカ分散液を2回調製し、これらの分散液を混合した際の分散性指数が2.5以上であることを確認した。
〔実施例9〕
ヒュームドシリカとして(株)トクヤマ製の商品名QS−30の代わりに(株)トクヤマ製の商品名QS−102(BET比表面積205m/g、平均一次粒子径12nm)を用いたこと、並びにアルコキシシラン及び添加アンモニア水の滴下時間(供給時間)を180分に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてシリカ分散液を得た。なお、ヒュームドシリカ分散液を2回調製し、これらの分散液を混合した際の分散性指数が2.5以上であることを確認した。
〔実施例10〕
ヒュームドシリカとして(株)トクヤマ製の商品名QS−30の代わりに(株)トクヤマ製の商品名QS−09(BET比表面積85m/g、平均一次粒子径22nm)を用いたこと、並びにアルコキシシラン及び添加アンモニア水の滴下時間(供給時間)を240分に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてシリカ分散液を得た。なお、ヒュームドシリカ分散液を2回調製し、これらの分散液を混合した際の分散性指数が2.5以上であることを確認した。
〔実施例11〕
添加アンモニア水の濃度を2.6質量%に変更したこと及び当該添加アンモニア水の添加量を226.4gに変更したこと以外は、実施例1と同様にしてシリカ分散液を得た。なお、ヒュームドシリカ分散液を2回調製し、これらの分散液を混合した際の分散性指数が2.5以上であることを確認した。
〔実施例12〕
添加アンモニア水の濃度を9.5質量%に変更したこと及び当該添加アンモニア水の添加量を121.9gに変更したこと以外は、実施例1と同様にしてシリカ分散液を得た。なお、ヒュームドシリカ分散液を2回調製し、これらの分散液を混合した際の分散性指数が2.5以上であることを確認した。
〔比較例1〕
ヒュームドシリカを用いなかったこと、テトラメトキシシランの添加量を2116.5gに変更したこと、添加アンモニア水としての5質量%アンモニア水の添加量を696.6gに変更したこと、調製した分散液と仕込みアンモニア水とを4つ口フラスコ中で撹拌する際の温度を25℃に変更したこと、並びにアルコキシシラン及び添加アンモニア水の滴下時間(供給時間)を360分に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてシリカ分散液を得た。即ち、図4(a)のように、核生成反応により核粒子を生成させた後、当該核を粒成長させて、大粒径のシリカ分散液を得た。
〔結果〕
実施例1〜12及び比較例1の反応条件を表1に示す。また、実施例1〜12及び比較例1における各種物性の測定結果を表2に示す。さらに、実施例1〜12及び比較例1における研磨品評価の結果を表3に示す。
Figure 0006868970
Figure 0006868970
Figure 0006868970
表1〜3から、円形度が小さいほど、ディッシング量は小さいことがわかる。また、円形度の大きい粒子が少ないほど、ディッシング量が小さいこともわかる。
また、凹凸度が小さいほど、研磨速度は優れ、且つ、ディッシング量は小さいことがわかる。
なお、BET比表面積が小さく、平均一次粒子径が大きいQS−09を用いた実施例10に比べると、BET比表面積が大きく、平均一次粒子径が小さいQS−102を用いた実施例9は、スクラッチがより少なかった。さらにBET比表面積が大きく、平均一次粒子径が小さいQS−30を用いた実施例1〜8、11及び12では、スクラッチが見られなかった。
本発明は、例えば、CMP用研磨剤等の分野において、好適に利用することができる。
1 異形シリカ

Claims (8)

  1. コア部と、当該コア部を被覆するシェル部と、から構成されるコアシェル型の異形シリカを含む分散液であって、
    上記コア部がヒュームドシリカからなり、
    上記シェル部がゾルゲル法により得られたシリカ層であり、
    上記異形シリカは、画像解析法により得られる円形度が0.95以上である粒子の含有量が1個数%以下であることを特徴とする分散液。
  2. 上記異形シリカは、以下の(A)〜(C)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の分散液:
    (A)遠心沈降法により測定された重量基準粒度分布のメジアン径が50〜1000nmの範囲にある;
    (B)画像解析法により得られた面積(S)と画像解析法により得られた包絡面積(S)との比(S/S)が、0.70〜0.95の範囲にある;
    (C)遠心沈降法により得られる重量基準粒度分布の極大(ピーク)が一つであり、かつ幾何標準偏差σgが1.5以下である。
  3. 上記異形シリカは、画像解析法により得られる粒子の平均円形度が0.40〜0.85の範囲にあることを特徴とする請求項1又は2に記載の分散液。
  4. 上記異形シリカは、ナトリウム及びカリウムの含有量が、それぞれ1ppm未満であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の分散液。
  5. 上記異形シリカは、鉄の含有量が、0.4ppm以下であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の分散液。
  6. 上記異形シリカは、以下の(D)〜(H)の少なくとも1つを満たすことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の分散液:
    (D)アルミニウムの含有量が、0.3ppm以下である;
    (E)ニッケルの含有量が、0.1ppm以下である;
    (F)クロムの含有量が、0.1ppm以下である;
    (G)ホウ素の含有量が、1.3ppm以下である;
    (H)リンの含有量が、0.5ppm以下である。
  7. 請求項1〜のいずれか1項に記載の分散液を含むことを特徴とするCMP用研磨剤。
  8. ヒュームドシリカ分散液に、アルコキシシランもしくはその加水分解物及び/又はその部分縮合物と塩基性触媒とを添加し重縮合反応させてシリカ粒子を製造する工程を含み、
    上記ヒュームドシリカ分散液に含まれるヒュームドシリカのBET比表面積は、70〜330m/gであり、
    上記アルコキシシランは、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン及びテトラブトキシシランからなる群より選択される1種以上であることを特徴とする分散液の製造方法。
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