JP6858092B2 - シュープレスベルト基布及びシュープレスベルト - Google Patents

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Description

本発明は、シュープレスベルト基布及びシュープレスベルトに関する。更に詳しくは、抄紙機の搾水に利用されるシュープレスベルト基布及びシュープレスベルトに関する。
製紙工程は、ワイヤーパート、プレスパート及びドライパートを含む。このうち、プレスパートはプレスフェルトを用いて、湿紙から水分を搾水して紙シートを得るパートであり、例えば、シュープレス装置8(図10参照)が利用される。シュープレス装置8は、プレスロール81と、プレスロールの周面形状に対応した曲面を有する加圧シュー82と、円筒状に固定されたシュープレスベルト1と、を備える。ここで利用されるシュープレスベルト1は、弾性層とその支持体として埋設されたシュープレスベルト基布とから構成される。そして、シュープレスベルト1は、プレスフェルト85、湿紙84及びフェルト83と重ねられ、プレスロール81と加圧シュー82との間で加圧しながら走行し、湿紙84を搾水する。シュープレスベルト基布としては、下記特許文献1が知られている。
特開2007−239132号公報
特許文献1に記載されるように、シュープレスベルトは、通常、幅方向(走行方向に垂直な方向)において、その中央部はシューと当接しながら走行し、両端部はシューと当接せず走行する。このため、中央部に対し、両端部は走行が遅れがちであり、シュープレスベルトのうち、シューと当接される部分と当接されない部分との境界付近の弾性層にクラック等を生じ易いという課題がある。特にシュープレスベルトのフェルト側面の弾性層が、近年、排水効率向上の観点から高硬度化される傾向にあり、柔軟な弾性層に比べてクラックを生じ易くなっていることが指摘されている。クラック発生がすぐに不具合となるわけではないが、摺動摩擦軽減用の潤滑油の滲出防止等の機能を維持するためにも、クラック発生までの期間がより長く、更には、発生したクラック進展速度が遅いという性能が求められている。上述の耐クラック性向上に関して、特許文献1は、シュープレスベルトの支持体であるシュープレスベルト基布からの対応を試みている。
即ち、特許文献1は、フェルト側の最外層経糸としてマルチフィラメント撚糸を利用することを提案している。マルチフィラメント撚糸の利用により、従来のシュープレスベルト基布のフェルト側経糸として利用されていたモノフィラメントのフィブリル化の可能性を排除でき、シュープレスベルトのクラック発生を抑制できることを開示した。しかしながら、更なる基布性能の向上、更には、シュープレスベルトの耐久性向上が求められている。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、多重織構造のシュープレスベルト基布において、伸度及び強度を維持しながらも、所定の経糸として利用されるマルチフィラメント撚糸と弾性材料との接着性を向上させることができるシュープレスベルト基布及びシュープレスベルトを提供することを目的とする。
本発明者は、上述の特許文献1に開示されたシュープレスベルト基布である、最外層経糸としてマルチフィラメント撚糸を利用した基布の更なる耐久性向上について検討を重ねるなかで、当該マルチフィラメント撚糸と、弾性層を構成する弾性材料との接着性に着眼した。即ち、マルチフィラメント撚糸と弾性材料との界面における両者の接着性を向上させることにより、耐クラック性向上を得ようと考えた。そして、この接着性向上には、マルチフィラメント撚糸と弾性材料との間への気泡介在の抑制、及び、マルチフィラメント撚糸と弾性材料との間におけるアンカー作用の増大、が有効であると考えた。そして、これらの作用を発現させるために、マルチフィラメント撚糸の撚りを強くすることに着眼した。即ち、撚りを強くすることで撚糸の表面凹凸を増大させることができ、下撚りを強くすることで糸内に含まれる空気量を低減できることを着想した。
このため、本発明者は、従来採用されているものよりも撚りの強いマルチフィラメント撚糸の利用について検討を行った。しかしながら、マルチフィラメント撚糸は、撚りを強くするに従い、強度が大きく低下するため、特性の劣る構成糸を利用した基布強度も低下するという問題を生じた。更に、基布厚さは精密にコントロールする必要があるなかで、撚りを強くすると、マルチフィラメント撚糸の見掛け太さが大きくなり、所望の基布厚みに収めることが困難になるという問題を生じた。
これに対し、本発明者は、様々に撚りを組み合わせた多数のマルチフィラメント撚糸について検討を行うなかで、所定の撚り特性を有するマルチフィラメント撚糸では、内部空隙の低減と、表面凹凸の増大と、それに伴う表面積の増大を実現しながらも、シュープレスベルト基布における基布強度を低下させないことを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、以下の通りである。
請求項1に記載のシュープレスベルト基布は、走行方向に延在された経糸及び幅方向に延在された緯糸を用いて、経三重又は経四重に織られたシュープレスベルト基布であって、
フェルト側の最外層を構成する前記経糸に諸撚糸Xが含まれ、
前記諸撚糸Xは、S回/25.4mmの下撚りが施されたマルチフィラメント原糸を3本又は4本束ねてZ回/25.4mmの上撚りが施された撚糸であり、
前記S及び前記Zは、下記(1)乃至(3)を満たすことを要旨とする。
(1)S≧15
(2)Z≧10
(3)S/Z≧1.5
請求項2に記載のシュープレスベルト基布は、請求項1に記載のシュープレスベルト基布において、前記マルチフィラメント原糸の繊度が、220dtex以上3300dtex以下であることを要旨とする。
請求項3に記載のシュープレスベルト基布は、請求項1又は2に記載のシュープレスベルト基布において、前記フェルト側の最外層を構成する経糸数は、25.4mmあたりに8本以上18本以下の経糸を含むことを要旨とする。
請求項4に記載のシュープレスベルト基布は、請求項1乃至3のうちのいずれかに記載のシュープレスベルト基布において、シュー側の最外層を構成する経糸が諸撚糸Xであることを要旨とする。
請求項5に記載のシュープレスベルト基布は、請求項4に記載のシュープレスベルト基布において、前記シュー側の最外層を構成する経糸数は、25.4mmあたりに8本以上18本以下の経糸を含むことを要旨とする。
請求項6に記載のシュープレスベルトは、弾性層と、前記弾性層内に埋設された請求項1乃至5のうちのいずれかに記載のシュープレスベルト基布と、を備えることを要旨とする。
本発明のシュープレスベルト基布は、フェルト側の最外層を構成する経糸に諸撚糸Xが含まれ、この諸撚糸Xが、S回/25.4mmの下撚りが施されたマルチフィラメント原糸を3本又は4本束ねてZ回/25.4mmの上撚りが施された撚糸であり、S及びZが(1)S≧15、(2)Z≧10及び(3)S/Z≧1.5を満たす。この構成によれば、従来の基布に利用されたマルチフィラメント撚糸に比べて、その見掛け太さを抑えつつも、諸撚糸X内に含まれる空隙量を低減しつつ、表面凹凸を大幅に増大できる。このため、諸撚糸Xと弾性材料との接着性を向上させることができる一方で、諸撚糸Xを用いても、シュープレスベルト基布の伸度及び強度は維持できる。
また、マルチフィラメント原糸の繊度が、220dtex以上3300dtex以下である場合には、従来製品にそのまま代替できる形態(基布厚さ等)を実現しながら、とりわけ良好に、本シュープレスベルト基布の伸度及び強度を維持しつつ、諸撚糸Xと弾性材料との接着性を向上させることができる。
本シュープレスベルトは、弾性材料によって形成された弾性層と、本発明のシュープレスベルト基布とを備えており、弾性層にシュープレスベルト基布が埋設されている。この構成によって、本シュープレスベルトは、シュープレスベルト基布と弾性材料との接着性が向上されることによる耐クラック性向上を達することができる。
本シュープレスベルト基布の一例(経四重織)の断面を説明する説明図である。 本シュープレスベルト基布の他例(経四重織)の断面を説明する説明図である。 本シュープレスベルト基布の他例(経四重織)の断面を説明する説明図である。 本シュープレスベルト基布の他例(経三重織)の断面を説明する説明図である。 本シュープレスベルトの一例の断面を説明する説明図である。 本シュープレスベルト基布に用いる諸撚糸Xの説明図である。 従来のマルチフィラメント撚糸の説明図である。 凹部深さDを説明する説明図である。 凹部面積Sを説明する説明図である。 シュープレス装置の一例を模式的に示す説明図である。
以下、本発明の実施形態を添付した図面を参照しつつ説明するが、これらの実施形態は、本発明を具現化した一例であり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。また、以下の説明における記述、図示及び符号は例示的なものである。更に、図中の各部は説明のために適宜大きさを強調することもあり、実際の各部の比率及び大きさが反映されるものではない。
[1]シュープレスベルト基布
本シュープレスベルト基布2は、走行方向Dに延在された経糸21及び幅方向Dに延在された緯糸22を用いて、経三重又は経四重に織られたシュープレスベルト基布である。
更に、本シュープレスベルト基布2は、フェルト側2aの最外層を構成する経糸(最外層経糸)に諸撚糸Xが含まれる。
また、諸撚糸Xは、S回/25.4mmの下撚りが施されたマルチフィラメント原糸を3本又は4本束ねてZ回/25.4mmの上撚りが施された撚糸であり、S及び前記Zは、(1)S≧15、(2)Z≧10及び(3)S/Z≧1.5を満たす(図1〜図4参照)。
尚、以下では、フェルト側2aの最外層経糸211として含まれる諸撚糸Xを単に「諸撚糸X211」ともいう。また、シュー側2bの最外層経糸214として含まれる諸撚糸Xを単に「諸撚糸X214」ともいう。そして、これらに共通する事項については、諸撚糸Xとして説明する。
本シュープレスベルト基布2(以下、単に「基布」ともいう)は、走行方向をD(図10参照)とし、この方向に延在された構成糸を経糸21とする。一方、幅方向をD(図1〜図4参照)とし、この方向に延在された構成糸を緯糸22とする。これらの走行方向Dと幅方向Dとは、通常、直交される。
更に、基布2は、経糸層を3層有する経三重織の織布、又は、経糸層を4層有する経四重織の織布である。
尚、シュープレスベルト基布として、経糸5層以上に更に多重に織られた織布を利用することは少ないが、基布の伸度及び強度を維持しながら、経糸と弾性材料との接着性を向上させるという目的においては、これらの織布に対しても本発明を適用することは当然効果的である。
基布2は、経糸21のうち、フェルト側2aの最外層経糸211として諸撚糸Xを有する。そして、この諸撚糸Xは、S回/25.4mmの下撚りが施されたマルチフィラメント原糸を3本又は4本束ねてZ回/25.4mmの上撚りを施した撚糸であり、更に、(1)S≧15、(2)Z≧10及び(3)S/Z≧1.5を満たしている。
即ち、諸撚糸Xは、下撚りが25.4mm(1インチ)あたり15回以上施されたマルチフィラメント原糸を、3本又は4本束ね、更に、上撚りを25.4mm(1インチ)あたり10回以上施こすとともに、下撚り数を上撚り数の1.5倍以上に維持したマルチフィラメント撚糸である。
シュープレスベルト基布において、マルチフィラメント撚糸の採用は、モノフィラメント単糸やモノフィラメント撚糸に比べて、弾性層との接着面積を増大させられるメリットがある。即ち、糸の表面積が増大されるのに伴い弾性層と接する面積が増加されるため、接着面積が増大される。一方で、糸表面と弾性層とは常に最も好ましい接着状態となるわけでなく、接着不足や気泡混入等の不具合が潜在され得る。これらは糸と弾性層との界面に生じる不具合であり、クラック起点となることから、初期クラックの1つの発生原因と考えられる。従って、マルチフィラメント撚糸の採用は、接着面積増大という観点ではメリットとなるが、正常な接着ばかりが得られるわけではないことから、界面増大に伴うクラック起点の潜在リスクを増大させるという観点ではデメリットとなり得る。そこで、表面積増大だけでなく、表面凹凸の大きさ及び数の増大により、構成糸と弾性層との間に、従来、得られ難かったアンカー効果を積極的に生じさせ、そのアンカー効果により基布と弾性層との接着性を向上させることに着眼した。
しかしながら、撚糸においては、撚りを加えること、更には、その撚りを強くすることで、表面凹凸の大きさと数を増やすことができるが、撚りを強くするほどに強度が低下する。即ち、アンカー効果増大と、強度の増大と、は相反してしまう。このため、特に高強度が要求されるシュープレスベルト基布の構成糸として利用するうえで、撚りの強い撚糸を利用するメリットは乏しく、従来、シュープレスベルト基布には甘撚糸が利用されてきた。
この点、実際に、様々な諸撚糸を利用してみると、下撚りが15回/インチ以上施されたマルチフィラメント原糸を、3本又は4本束ね、更に、上撚りを10回/インチ以上施こし、下撚り数を上撚り数の1.5倍以上に維持したマルチフィラメント撚糸では、構成糸自体の強度の低下は認められても、基布においては強度低下をきたさず、寧ろ、僅かながらであっても強度上昇が認められる場合があることが分かった。
この諸撚糸Xの下撚り数Sは、S≧15であればよく、通常、S≦30である。従って、通常、下撚り数Sは、15≦S≦30である。この数は、更に15.5≦S≦25.0とすることができ、更に16.0≦S≦24.0とすることができ、更に16.5≦S≦23.0とすることができ、更に17.0≦S≦22.0とすることができる。
また、諸撚糸Xの上撚り数Zは、Z≧10であればよく、通常、Z≦20である。従って、通常、上撚り数Zは、10≦Z≦20である。この数は、更に10.1≦Z≦19.0とすることができ、更に10.2≦Z≦18.0とすることができ、更に10.3≦Z≦17.0とすることができ、更に10.4≦Z≦16.0とすることができる。
更に、下撚り数Sと上撚り数Zとの比(S/Z)は、S/Z≧1.5であればよく、通常、S/Z≦3.0である。従って、通常、比S/Zは、1.5≦S/Z≦3.0である。この比は、更に1.55≦S/Z≦2.50とすることができ、更に1.60≦S/Z≦2.25とすることができ、更に1.65≦S/Z≦2.00とすることができ、更に1.70≦S/Z≦1.95とすることができる。
尚、諸撚糸Xの撚数は、JIS R3912:2014(補強用糸−より数の試験方法)に準拠して検撚器を用いて測定される。但し、本発明では25.4mmあたりの撚り数(撚数)を規定する。
諸撚糸Xを構成する材料については後述するが、特に、諸撚糸Xがポリアミド系樹脂からなる場合(特にナイロン6又はナイロン66からなる場合)、下撚り数Sは、上記のなかでも、15.0≦S≦23.0が好ましく、15.5≦S≦22.0がより好ましく、16.0≦S≦21.0が特に好ましい。上撚り数Zは、上記のなかでも、10.0≦Z≦15.0が好ましく、10.1≦Z≦14.0がより好ましく、10.2≦Z≦13.0が特に好ましい。比(S/Z)は、上記のなかでも、1.50≦S/Z≦2.20が好ましく、1.55≦S/Z≦2.10がより好ましく、1.60≦S/Z≦2.00が特に好ましい。
一方、諸撚糸Xがポリエステル系樹脂からなる場合(特にポリエチレンテレフタレートからなる場合)、下撚り数Sは、上記のなかでも、20.0≦S≦30.0が好ましく、
21.0≦S≦29.0がより好ましく、22.0≦S≦28.0が特に好ましい。上撚り数Zは、上記のなかでも、13.0≦Z≦20.0が好ましく、13.5≦Z≦19.5がより好ましく、14.0≦Z≦19.0が特に好ましい。比(S/Z)は、上記のなかでも、1.50≦S/Z≦3.00が好ましく、1.60≦S/Z≦2.75がより好ましく、1.70≦S/Z≦2.50が特に好ましい。即ち、ポリアミド系樹脂からなる諸撚糸Xに比べると、ポリエステル系樹脂からなる諸撚糸Xでは、撚数を大きく設定することができる。
また、諸撚糸Xを構成するマルチフィラメント原糸の繊度は限定されないが、220dtex以上3300dtex以下であることが好ましい。マルチフィラメント原糸の繊度をこの範囲に収めることにより、効果的に表面凹凸を大きくできる。この繊度は、更に230dtex以上3000dtex以下とすることができ、更に240dtex以上2800dtex以下とすることができ、更に250dtex以上2500dtex以下とすることができ、更に260dtex以上2200dtex以下とすることができ、更に270dtex以上1900dtex以下とすることができ、280dtex以上1700dtex以下がとりわけ好ましい。
更に、マルチフィラメント原糸を構成する単糸数も限定されないが、例えば、20本以上1000本以下とすることができ、更に30本以上600本以下とすることができ、更に40本以上300本以下とすることができる。
このような諸撚糸Xの見掛け外径は限定されないが、例えば、0.2mm以上1.2mm以下とすることができる。この範囲では、最外層経糸として諸撚糸Xを利用した場合に、従来製品にそのまま代替できる形態(基布厚さ等)を実現しながら、とりわけ良好に、基布の伸度及び強度を維持しつつ、諸撚糸Xと弾性材料との接着性を向上させることができる。この見掛け外径は、更に0.3mm以上0.9mm以下とすることができ、更に0.3mm以上0.8mm以下とすることができ、更に0.4mm以上0.7mm以下とすることができる。
尚、本発明では、テンションを掛けない状態の諸撚糸Xにおいて、無作為にピックアップした10箇所の最太部幅を、寸法測定機能付きの拡大カメラを用いて測定し、得られた測定値の平均値を見掛け外径とする。
諸撚糸Xを構成する材料は特に限定されず、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等)、ポリアミド系樹脂(ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン11、ナイロン12、アラミド等)、ポリエーテルケトン系樹脂(ポリエーテルエーテルケトン等)、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、熱可塑性樹脂フッ素樹脂(ポリフッ化ビニリデン等)などを用いることができる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらのなかでは、ポリエステル系樹脂及び/又はポリアミド系樹脂が好ましく、更には、ポリアミド系樹脂がより好ましい。ポリアミド系樹脂を用いることで耐摩耗性(例えば、ポリエステルモノフィラメントに対する耐摩耗性)を十分に得ることもできる。
ポリアミド系樹脂としては、脂肪族系ポリアミド及び芳香族系ポリアミドが挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。このうち、脂肪族系ポリアミドとしては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン11、ナイロン12等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。また、芳香族系ポリアミドとしては、アラミドが挙げられる。このアラミドは、パラ系アラミドであってもよく、メタ系アラミドであってもよく、これらの両方でもよい。
これらのなかでも、機械的強度、耐摩耗性及び比重等の観点から、ナイロン6又はナイロン66を用いることが特に好ましい。
前述のように、基布2は、フェルト側2aの最外層経糸211として諸撚糸X211を含んでいる。諸撚糸X211は、基布2のフェルト側2aの最外層経糸211の全部(即ち、最外層経糸211の全数に対して100%)の経糸として利用してもよいが、最外層経糸211のうちの一部にのみ利用してもよい。一部にのみ利用する場合、最外層経糸211の全数に対して50%以上の構成糸が諸撚糸X211であることが好ましい。この割合は、60%以上がより好ましく、70%以上が更に好ましく、80%以上が特に好ましく、90%以上がとりわけ好ましい。
上述のように、フェルト側2aの最外層経糸211は、諸撚糸X211以外の他の構成糸(以下、単に「他構成糸」という)を含むことができる。他構成糸はどのような糸であってもよいが、通常、フィラメントヤーンである。そのうえで、モノフィラメントであってもよく、マルチフィラメントであってもよい。更に、モノフィラメント単糸を2本以上(通常、6本以下)束ねて撚り合わせたモノフィラメント撚糸(片撚糸)であってもよく、マルチフィラメント原糸を2本以上(通常、6本以下)束ねて撚り合わせたマルチフィラメント撚糸(諸撚糸Xを除く他の諸撚糸)であってもよい。更に、他構成糸を構成する材料は限定されず、例えば、上述した諸撚糸Xを構成できる各種の材料を適用できる。
なかでも、モノフィラメント3本又は4本からなる片撚糸を採用できる。更に、この片撚糸の撚数は、25.4mmあたり3.5回以上8.5回以下であることが好ましく、更には、見掛け外径が0.15mm以上0.40mm以下であることが好ましい。尚、撚数及び見掛け外径は、各々、前述した諸撚糸Xの撚数及び見掛け外径の測定方法に拠る。
また、基布2は、フェルト側2aの最外層経糸211として諸撚糸X211を用いる以外に、同時に、シュー側2bの最外層経糸214として諸撚糸X214を用いることができる(図2参照)。即ち、フェルト側2a及びシュー側2bの両方の最外層経糸として諸撚糸Xを含むことができる。これらの諸撚糸X211と諸撚糸X214と、は同じ諸撚糸Xであってもよいが、撚数及び/又は材料(構成材料)が異なる諸撚糸Xでもよい。
更に、諸撚糸X211の場合と同様に、諸撚糸X214は、基布2のシュー側2bの最外層経糸214の全部(即ち、最外層経糸214の全数に対して100%)の経糸として利用してもよいが、最外層経糸214のうちの一部にのみ利用してもよい。一部にのみ利用する場合、最外層経糸214の全数に対して50%以上の構成糸が諸撚糸X214であることが好ましい。この割合は、60%以上がより好ましく、70%以上が更に好ましく、80%以上が特に好ましく、90%以上がとりわけ好ましい。
また、諸撚糸X211の場合と同様に、シュー側2bの最外層経糸214は、諸撚糸X214以外の他構成糸を含むことができる。他構成糸はどのような糸であってもよいが、通常、フィラメントヤーンである。そのうえで、モノフィラメントであってもよく、マルチフィラメントであってもよい。更に、モノフィラメント単糸を2本以上(通常、6本以下)束ねて撚り合わせたモノフィラメント撚糸(片撚糸)であってもよく、マルチフィラメント原糸を2本以上(通常、6本以下)束ねて撚り合わせたマルチフィラメント撚糸(諸撚糸Xを除く他の諸撚糸)であってもよい。更に、他構成糸を構成する材料は限定されず、例えば、上述した諸撚糸Xを構成できる各種の材料を適用できる。
一方、前述の通り、基布2は、フェルト側2aの最外層経糸211及びシュー側2bの最外層経糸214として諸撚糸Xを含むことができるが、それ以外の経糸には含まれない基布とすることができる。即ち、経三重織の織布である場合、中間層経糸212は、諸撚糸Xでない構成糸とすることができる(図4参照)。また、経四重織の織布である場合、中間層経糸212及び213は、諸撚糸Xでない構成糸とすることができる(図1〜図3参照)。
経三重織の織布の場合の中間層経糸212や、経四重織の織布の場合の中間層経糸212又は213として、構成材料がポリエステル系樹脂(特にポリエチレンテレフタレート)であるマルチフィラメント諸撚糸(以下、単に「諸撚糸Y」という)が含まれることが好ましい。この諸撚糸Yの撚数は限定されないが、下撚り数Sは、3≦S<12が好ましく、4≦S≦10がより好ましい。上撚り数Zは、3≦Z<8が好ましく、3.5≦Z≦7.5がより好ましい。比(S/Z)は、0.7≦S/Z<2.0が好ましく、0.8≦S/Z≦1.8がより好ましい。
また、諸撚糸Yを構成するマルチフィラメント原糸の繊度は限定されないが、500dtex以上3300dtex以下であることが好ましく、700dtex以上2200dtex以下がより好ましい。特に、諸撚糸Xのマルチフィラメント原糸の繊度に対して、諸撚糸Yのマルチフィラメント原糸の繊度は、2倍以上(通常、5倍以下)であることが好ましい。
更に、経四重織の織布の場合の中間層経糸212又は213としては、構成材料がポリアミド系樹脂(特にナイロン6又はナイロン66)であるマルチフィラメント諸撚糸(以下、単に「諸撚糸Y」という)が含まれることが好ましい。この諸撚糸Yの撚数は限定されないが、下撚り数Sは、4≦S<15が好ましく、5≦S≦10がより好ましい。上撚り数Zは、3≦Z<10が好ましく、3.5≦Z≦9.5がより好ましい。比(S/Z)は、0.8≦S/Z<1.5が好ましく、0.85≦S/Z≦1.45がより好ましい。
また、諸撚糸Yを構成するマルチフィラメント原糸の繊度は限定されないが、220dtex以上1670dtex以下であることが好ましく、280dtex以上1100dtex以下がより好ましい。特に、諸撚糸Xのマルチフィラメント原糸の繊度に対して、諸撚糸Yのマルチフィラメント原糸の繊度は、2倍未満(通常、0.5倍以上)であることが好ましい。
また、基布2において、フェルト側2aの最外層を構成する経糸数は限定されないが、25.4mmあたりに8本以上18本以下であることが好ましい。この値は、更に、8.5本以上17本以下が好ましく、9本以上16本以下がより好ましく、9.5本以上15本以下が特に好ましい。
一方、基布2において、シュー側2bの最外層を構成する経糸数は限定されないが、25.4mmあたりに8本以上18本以下であることが好ましい。この値は、更に、8.5本以上17本以下が好ましく、9本以上16本以下がより好ましく、9.5本以上15本以下が特に好ましい。
本発明のシュープレスベルト基布は、その用途が製紙用途であればよく、その形状、大きさ及び厚さ等の寸法は限定されず、製紙分野において広く利用される。具体的には、シュープレスベルト基布、トランファーベルト基布、及び、カレンダーベルト基布等が挙げられる。
[2]シュープレスベルト
本シュープレスベルト1(図5参照)は、弾性材料によって形成された弾性層3と、前述のシュープレスベルト基布2とを備える。そして、シュープレスベルト基布2は、少なくとも弾性層3に埋設されている。
この構成により、本シュープレスベルト1は、本シュープレスベルト基布2による有利な作用及び効果をそのままシュープレスベルト1において得ることができる。
基布2の埋設の程度は特に限定されないが、基布2の全体が弾性層3内に完全に埋設(即ち、埋没)されていることが好ましい。
具体的には、図5に示すように、シュープレスベルト1とすることができる。即ち、シュープレスベルト1は、フェルト側1aの面及びその対面であるシュー側1bの面を有している。そして、基布2と、基布2のフェルト側2aに積層(弾性材料が基布2のフェルト側2aから含浸され、基布2内に浸透されて固化された状態)されたフェルト側弾性層31を備える。即ち、シュープレスベルト1において、基布2のフェルト側2aを構成する構成糸が埋設されるように弾性材料が配置される。このフェルト側弾性層31には、図5に示すように、その表面に排水溝311を備えることができる。
一方、基布2と、基布2のシュー側2bに積層(弾性材料が基布2のシュー側2bから含浸され、基布2内に浸透されて固化された状態)されたシュー側弾性層32を備える。
基布2を弾性層3に埋設する方法は特に限定されず、例えば、弾性層3を構成する原料(弾性材料)に基布2を浸漬して基布2内に原料を含浸させた後、この原料を固化させることで埋設できる。また。原料を基布2に塗布(スプレー塗布、刷毛塗り等)して基布2内に原料を含浸させた後、この原料を固化させることで埋設することができる。
弾性層3を構成する弾性材料は特に限定されないが、基布2を弾性層3に埋設しやすいように、即ち、基布2を構成する構成糸間に原料が行きわたり易いように粘度の低い材料を用いることが好ましい。具体的には、硬化されて弾性を発揮できる弾性樹脂が好ましく、このような原料としては、ウレタンプレポリマー(硬化されてウレタン樹脂となる)が挙げられる。ウレタンプレポリマーは、1液タイプであってもよく、2液タイプであってもよい。
また、ウレタン樹脂(ウレタンプレポリマー)を用いる場合、その硬化形式は特に限定されず、例えば、水硬化型ウレタン樹脂(NCO末端を有するプレポリマーが水分と反応して硬化されるウレタン樹脂等)、加熱硬化型(イソシアネート基が保護基によって保護されたポリイソシアネートを含み、加熱によって保護基が解離して硬化されるウレタン樹脂等)、溶剤除去硬化型(重合された高分子化ポリウレタンを有機溶剤に溶解させた溶液から、有機溶剤を除去することで硬化されるウレタン樹脂等)、分散媒除去硬化型(水等の分散媒に乳化分散させたウレタンエマルジョンから分散媒を除去することで硬化されるウレタン樹脂等)などが挙げられる。これらは1 種のみを用いてもよく2 種以上を併用してもよい。
以下、本発明を、実施例を用いて具体的に説明する。
[1]諸撚糸X
(1)諸撚糸Xの製造
ナイロン66製の460dtex(72f)であるマルチフィラメント原糸に対して18.5回/25.4mm(即ち、S=18.5)の下撚りを施した。ついで、このマルチフィラメント原糸3本を束ねて10.5回/25.4mm(即ち、Z=10.5)の上撚りを施して諸撚糸Xを得た。この諸撚糸Xの撚数比(S/Z)は1.76である。
尚、撚数S及び撚数Zは、製造時に撚糸製造機に設定した値ではなく、実際に得られた諸撚糸Xから実測された値である。
(2)諸撚糸Xの諸特性の測定
(2−1)見掛け外径
テンションを掛けない状態で載置した諸撚糸Xを、寸法測定機能付きの拡大カメラを用いて拡大撮影し、得られた画像を取得した。この拡大画像内において、無作為にピックアップした10箇所の最太部幅を測定し、得られた測定値の平均値を算出した。その結果、見掛け外径は0.630mmであった。
尚、上記で得られた画像の一部を図6(実測3.8mm分に相当)に示した。
(2−2)凹部(R)数
上記(2−1)で得られた画像において、諸撚糸Xの1cmあたりに含まれる凹部R(図6参照)の数を片側10箇所(無作為にピックアップ)で測定し、得られた測定値の平均値を算出した。その結果、凹部R数は12箇所であった。
(2−3)凹部深さ(D
上記(2−1)で得られた画像を用いて、無作為にピックアップした10箇所の凹部Rの深さD(図8参照)を測定し、得られた測定値の平均値を算出した。その結果、凹部深さDは74.57μmであった。
尚、凹部深さDは、隣合ったヤマ(撚り合わせにより形成される糸の凹凸状外形線のうちの凸部分)のうち、ヤマMとヤマMとに挟まれた凹部Rの深さである。凹部深さDは、下記により特定される。即ち、ヤマMの左側凹部底をB11、右側凹部底をB12とし、B11及びB12を結ぶ線分をL11とする。線分L11に平行な線分であり、ヤマMに対する接線のうちL11との距離Hが最大となる線分をL12とする(線分L12とヤマMとの接点は頂部T)。同様に、ヤマMの左側凹部底をB21、右側凹部底をB22とし、B21及びB22を結ぶ線分をL21とする。線分L21に平行な線分であり、ヤマMに対する接線のうちL21との距離Hが最大となる線分をL22とする(線分L22とヤマMとの接点は頂部T)。上記で定まるHとHとを用い、「(H+H)/2」(=D)により特定される。
(2−4)凹部面積(S
上記(2−1)で得られた画像を用いて、10箇所の凹部Rの面積S(図9参照)を測定し、得られた測定値の平均値を算出した。その結果、凹部面積Sは41.88×10μmであった。
尚、凹部面積Sは、隣合ったヤマ(撚り合わせにより形成される糸の凹凸状外形線のうちの凸部分)のうち、ヤマMとヤマMとに挟まれた凹部Rの面積である。凹部面積Sは、下記により特定される。即ち、ヤマMとヤマMとに共通した接線をLとする(線分LとヤマMとの接点は頂部T、線分LとヤマMとの接点は頂部T)。そして、ヤマMの外形線とヤマMの外形線と接線Lとで囲まれた面積(図89の斜線部)として特定される。
(2−5)糸強度試験
諸撚糸Xの各種強度特性を、強伸度試験器(株式会社東洋精機製作所製、型式「V10−D」)を用いて測定した。具体的には、長さ60cmの諸撚糸Xを用い、チャック間距離を200mmとし試験速度を100mm/分として、1%、2%、3%、5%伸度時強度、切断強度、切断伸度の各特性を各5回の測定し、その平均値を各値とした。その結果を表1に示した。
[2]比較例糸(従来糸)
(1)比較例糸(従来糸)の製造
ナイロン66製の460dtex(72f)であるマルチフィラメント原糸に対して9.2回/25.4mm(即ち、S=9.2)の下撚りを施した。ついで、このマルチフィラメント原糸3本を束ねて6.7回/25.4mm(即ち、Z=6.7)の上撚りを施して諸撚糸Xに対する比較品である従来糸を得た。この従来糸の撚数比(S/Z)は1.37である。
尚、撚数S及び撚数Zは、製造時に撚糸製造機に設定した値ではなく、実際に得られた諸撚糸Xから実測された値である。
(2)比較例糸の諸特性の測定
(2−1)見掛け外径
諸撚糸Xの場合と同様に、測定した見掛け外径は0.646mmであった。
尚、得られた画像の一部を図7(実測3.8mm分に相当)に示した。
(2−2)凹部(R)数
諸撚糸Xの場合と同様に、測定した凹部R数は8箇所であった。
(2−3)凹部深さ(D
諸撚糸Xの場合と同様に、測定した凹部深さDは59.51μmであった。
(2−4)凹部面積(S
諸撚糸Xの場合と同様に、測定した凹部面積Sは32.28×10μmであった。
(2−5)糸強度試験
諸撚糸Xの場合と同様に、測定した1%、2%、3%、5%、10%伸度時強度、切断強度、切断伸度を表1に併記した。
Figure 0006858092
[2]シュープレスベルト基布の製造
諸撚糸Xを用いて下記構成の基布を得た。更に、併せて比較例1の基布を得た。
(1)実施例1(経四重織、図1参照)
最外層経糸(211);諸撚糸X
各種特性は上述の通り。
第2層経糸(212);諸撚糸Y
ナイロン66製470dtexマルチフィラメント(S=9.2)3本を諸撚(Z=6.7)した糸(S/Z=1.37)。
第3層経糸(213);諸撚糸Y
ポリエチレンテレフタレート製1100dtexマルチフィラメント(S=8.9)3本を諸撚(Z=5.0)した糸(S/Z=1.78)。
第4層経糸(214);モノフィラメント
線径0.35mmのナイロン6製モノフィラメント。
経糸数;最外層から第4層まで各々15.5本/25.4mm(経糸密度)
緯糸;線径0.4mmのポリエステル製モノフィラメント
緯糸数;56本/25.4mm(緯糸密度)
組織;経四重織
(4)比較例(経四重織)
最外層経糸(211);諸撚糸
ナイロン66製470dtexマルチフィラメント(S=9.2)3本を諸撚(Z=6.7)した糸(S/Z=1.37)。
第2層経糸(212);諸撚糸
ナイロン66製470dtexマルチフィラメント(S=9.2)3本を諸撚(Z=6.7)した糸(S/Z=1.37)。
第3層経糸(213);諸撚糸
ポリエチレンテレフタレート製1100dtexマルチフィラメント(S=8.9)3本を諸撚(Z=5.0)した糸(S/Z=1.78)。
第4層経糸(214);モノフィラメント
線径0.35mmのナイロン6製モノフィラメント。
経糸数;最外層から第4層まで各々15.8本/25.4mm(経糸密度)
緯糸;線径0.40mmのポリエステル製モノフィラメント
緯糸数;58本/25.4mm(緯糸密度)
組織;経四重織
[3]評価
(1)基布厚さの測定
上記[2]で得られたシュープレスベルト基布の厚さを、デジマチックインジケータを用いて測定した。具体的には、上記[2]で得られたシュープレスベルト基布上から無作為に選択した10箇所の厚さを測定し、得られた測定値の平均値を各基布の厚さとした。その結果を表2に示した。
(2)強度特性の測定
上記[2]で得られたシュープレスベルト基布の各種強度特性を、強伸度試験器(株式会社オリエンテック製、型式「RTG−1310」)を用いて測定した。具体的には、経方向は巾10mm×長さ300mmの試料を用い、チャック間距離を200mmとし、緯方向は巾10mm×長さ200mmの試料を用い、チャック間距離を100mmとし、試験速度を200mm/分として、経方向及び緯方向の1%、2%、5%、10%(経方向のみ)伸度時強度、切断強度、切断伸度の各特性を各5回の測定し、その平均値を各値とした。その結果を表2に示した。
Figure 0006858092
表1の結果より、実施例の糸(諸撚糸X)は、S=18.5、Z=10.5、S/Z=1.76である。一方、比較例の糸(従来糸)は、S=9.2、Z=6.7、S/Z=1.37である。これらの糸を比較すると、従来糸に対して諸撚糸Xの凹部数は、150%も増加されており、また、凹部深さも125.3%もの増加であり、凹部面積は129.7%もの増加となっている。即ち、150%に増加された各凹部において129.7%の凹部面積増加が認められることから、全体としての凹部面積増加は極めて顕著であることが分かる。このことから、弾性層に対する高いアンカー効果が期待されることが分かる。その一方で、従来糸に対して諸撚糸Xは、撚数が多くなっているにも係らず、見掛け外径は僅か2.5%抑制されており、従来製品(基布)にそのまま代替できる形態を維持していることが分かる。
また、従来糸に対して諸撚糸Xは、伸度1%から切断に至るまでの全範囲において強度が低下していることが分かる。
しかしながら、製織後の基布としての強度を測定すると、表2に示すように、伸度1%程度では劣るものの、他の伸度領域や切断強度及び切断伸度では、実施例の基布と比較例の基布とではほとんど差がなく、寧ろ、僅かながら実施例の基布が勝っている場合もあることが分かる。このように、諸撚糸X単独では、従来糸に対して劣る強度特性を有していても、基布においては優れた特性を維持し得ることが分かる。
本発明のシュープレスベルト基布及びシュープレスベルトは、製紙分野における抄紙に係るプレスパートにおいて広く利用される。具体的には、新聞巻取紙、印刷情報用紙、衛生用紙、雑種紙、段ボール原紙、白板紙、その他の紙類の製造に際して、シュープレスベルト基布及びシュープレスベルトとして利用される。更に、本発明のシュープレスベルト基布の構成は、トランスファーベルトやカレンダーベルトの基布の構成としても適する。更に、本発明のシュープレスベルトの構成は、トランスファーベルトやカレンダーベルトの構成としても適する。
1;シュープレスベルト、1a;フェルト側、1b;シュー側、
2;基布(シュープレスベルト基布)、2a;フェルト側、2b;シュー側、
21;経糸、
211;フェルト側の最外層経糸(第1層経糸)、
212;第2層経糸(中間層経糸)、
213;第3層経糸(中間層経糸)、
214;シュー側の最外層経糸、
22;緯糸、
3;弾性層、
31;表側弾性層(フェルト側弾性層)、311;排水溝、
32;裏側弾性層(シュー側弾性層)、
8;シュープレス装置
81;プレスロール
82;加圧シュー
83;フェルト
84;湿紙
85;プレスフェルト(フェルト)、
;走行方向、
;幅方向、
X;諸撚糸、
211;フェルト側の最外層経糸である諸撚糸X、
214;シュー側の最外層経糸である諸撚糸X。

Claims (6)

  1. 走行方向に延在された経糸及び幅方向に延在された緯糸を用いて、経三重又は経四重に織られたシュープレスベルト基布であって、
    フェルト側の最外層を構成する前記経糸に諸撚糸(X)が含まれ、
    前記諸撚糸(X)は、S回/25.4mmの下撚りが施されたマルチフィラメント原糸を3本又は4本束ねてZ回/25.4mmの上撚りが施された撚糸であり、
    前記S及び前記Zは、下記(1)乃至(3)を満たすことを特徴とするシュープレスベルト基布。
    (1)S≧15
    (2)Z≧10
    (3)S/Z≧1.5
  2. 前記マルチフィラメント原糸の繊度が、220dtex以上3300dtex以下である請求項1に記載のシュープレスベルト基布。
  3. 前記フェルト側の最外層を構成する経糸数は、25.4mmあたりに8本以上18本以下の経糸を含む請求項1又は2に記載のシュープレスベルト基布。
  4. シュー側の最外層を構成する経糸が諸撚糸(X)である請求項1乃至3のうちのいずれかに記載のシュープレスベルト基布。
  5. 前記シュー側の最外層を構成する経糸数は、25.4mmあたりに8本以上18本以下の経糸を含む請求項4に記載のシュープレスベルト基布。
  6. 弾性層と、前記弾性層内に埋設された請求項1乃至5のうちのいずれかに記載のシュープレスベルト基布と、を備えることを特徴とするシュープレスベルト。
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