JP2002227084A - 製紙用織物及びその製造方法 - Google Patents

製紙用織物及びその製造方法

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JP2002227084A
JP2002227084A JP2001023997A JP2001023997A JP2002227084A JP 2002227084 A JP2002227084 A JP 2002227084A JP 2001023997 A JP2001023997 A JP 2001023997A JP 2001023997 A JP2001023997 A JP 2001023997A JP 2002227084 A JP2002227084 A JP 2002227084A
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papermaking
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papermaking fabric
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Akio Nakashiro
暁雄 中城
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 製紙用織物の耳カールを防止して、使用安定
性及び耐摩耗性に優れ、長期にわたって使用可能な製紙
用織物及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 本発明の製紙用織物1aは、上層経糸2
1及び上層緯糸22が織込まれることにより構成される
平組織の上層2と、下層経糸31及び下層緯糸32が織
込まれることにより構成される下層3とからなり、上記
下層3の外側面に、ウレタン樹脂で構成される樹脂層部
5を有し、且つ上記樹脂層部5の短方向幅が、上記製紙
用織物の短方向幅の少なくとも2%以上である。本発明
の製紙用織物は、かかる構成とすることにより、経糸及
び緯糸の吸水を防止し、また、経糸・緯糸の収縮性、屈
曲のつきやすさ等の要因から生じる上層と下層の引張り
方の差違を緩和することにより、耳カールが生じるのを
防止することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、製紙用織物及びそ
の製造方法に関し、更に詳しくは、製紙用織物の短方向
側端部がカールすること(以下、「耳カール」とい
う。)を防止して、従来の製紙用織物と比較して使用安
定性及び耐摩耗性に優れ、長期にわたって使用可能な製
紙用織物及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より製紙工程においては、ワイヤー
パートで脱水された湿紙を受け取ってプレスパートへ運
び、プレスロールの間を通してさらに水を絞り、同時に
湿紙の表面を平滑にしてドライパートに送るために製紙
用織物が利用されている。そして今日、抄造される紙の
品質向上及び抄速の高速化による生産効率向上の要請に
応えるために、表面平滑性、脱水性、使用安定性等の諸
性質に優れた製紙用織物の開発が求められている。そし
て従来より、かかる製紙用織物を構成する経糸、緯糸と
して、ポリエステルモノフィラメント、あるいはナイロ
ンモノフィラメントが用いられている。
【0003】しかし、ナイロンモノフィラメントの場
合、耐摩耗性に優れる反面、吸水性が大きいという性質
がある。そして、製紙工程で製紙用織物が運搬する紙料
は水分を含んでいることから、ナイロンモノフィラメン
ト等の吸水性を有するフィラメントを用いた製紙用織物
を長期にわたって使用したとき、フィラメントが湿紙の
水分を吸収することにより、あるいは、経糸及び緯糸の
収縮性、屈曲のつきやすさ等の要因から、製紙用織物の
上層と下層の引張り方に差違が生じる等により、図4に
示すように、製紙用織物の短方向側端部が耳カールを起
こすという問題がある。
【0004】かかる耳カールが生じると、図4のように
短方向側端面が上がった場合は、紙料が製紙用織物の短
方向側中央によって不均衡となったり、あるいは、製紙
用織物の端面側が下に接しなくなる結果、その部分にあ
る湿紙の水分の脱水効率が低下して、得られる紙の品質
に悪影響を及ぼすという問題がある。また、図4とは逆
に短方向端面が下がった場合は、製紙用織物から紙料が
こぼれたりすることにより、抄造効率が低下する場合も
ある。更に、ワイヤーガードの作動不良を起こし、製紙
用織物の片寄りが生じ、その結果、抄紙された紙の地合
不良を起こすおそれもある。特に、近時の製紙用織物と
しては、耐摩耗性、強度、使用安定性等の諸性質を向上
させるべく、経糸及び緯糸を織成して構成される織物層
を二層以上有する多層構造の製紙用織物が用いられてい
るが、かかる多層構造の製紙用織物においては、上層と
下層の引張り方に差違が生じ易く、更に耳カールを生じ
易くなることがある。
【0005】従来、かかる耳カールを防止する方法とし
て、製紙用織物の短方向側両端部の裏面を研磨すること
により、経糸、緯糸の収縮性等を調節し、上層と下層の
引張りの差違を小さくするという方法が行われていた
(特公昭60−37234号公報)。しかし、耳カール
防止効果を向上させるために研磨量を多くすると、場合
によっては製紙用織物の耐摩耗性が低下して寿命が短く
なるおそれがあるという問題がある。そこで従来より、
製紙用織物の寿命を低下させることなく、簡易な方法で
耳カールを十分に防止することができる製紙用織物が求
められていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記実情に鑑
みてなされたものであり、製紙用織物の耳カールを防止
して、従来の製紙用織物と比較して使用安定性及び耐摩
耗性に優れ、長期にわたって使用可能な製紙用織物及び
その製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記目的を達
成するべく、製紙用織物の構造と耳カールが生じる原因
との関係について鋭意検討した結果、製紙用織物の上層
及び/又は下層の少なくとも外側面に樹脂層部を設ける
ことにより、簡易に且つ十分に耳カールを防止すること
ができると共に、製紙用織物の耐摩耗性を向上させ、寿
命延長を図ることができることを見出して本発明を完成
するに至った。
【0008】請求項1記載の製紙用織物は、緯糸及び経
糸で構成される製紙用織物において、該製紙用織物の上
層及び/又は下層の少なくとも外側面に樹脂層部を有
し、且つ該樹脂層部の短方向幅が、上記製紙用織物の短
方向幅の少なくとも2%以上であることを特徴とする。
【0009】請求項1記載の製紙用織物の一例を図1及
び図2〔A〕に示す。請求項1記載の製紙用織物1a
は、上層経糸21及び上層緯糸22が織込まれることに
より構成される上層2と、下層経糸31及び下層緯糸3
2が織込まれることにより構成される下層3とからな
る。そして、図1及び図2〔A〕に示すように、使用時
には上層2が製紙面側、下層3が走行面側となり、ロー
ルの回転によって図1の太矢印の方向へ回転移動して紙
料を運搬する。請求項1記載の製紙用織物において、上
層及び/又は下層の「外側面」とは、上層の場合は上層
2の上側表面を、下層の場合は下層3の下側表面を意味
する(図2〔A〕参照)。尚、図2〔B〕に示すように
一層の場合において、上層及び/又は下層の「外側面」
とは、上側表面及び/又は下側表面を意味する。
【0010】請求項1記載の製紙用織物の上記「樹脂層
部」は、樹脂によって構成され、製紙用織物の上層及び
/又は下層の少なくとも外側面に設けられている。図1
及び図2〔A〕では、製紙用織物1aの下層3の外側面
にのみ設けられている。また、図2〔B〕では、製紙用
織物1bの下側表面にのみ設けられている。請求項1記
載の製紙用織物において、上記「樹脂層部」を設けるこ
とにより、経糸や緯糸の吸水を防止したり、あるいは、
経糸及び緯糸の収縮性、屈曲のつきやすさ等の要因によ
り上層と下層の引張り方に差違が生じるのを緩和するこ
とにより、耳カールが生じるのを防止することができ
る。
【0011】請求項1記載の発明の製紙用織物におい
て、上記「樹脂層部」を設ける箇所については、製紙用
織物の上層及び/又は下層の少なくとも外側面に設けら
れていれば特に限定はない。通常、耳カールは短方向側
(製紙用織物において短い方向側、図1のW方向側)端
部から発生するので(図4参照)、請求項2に示すよう
に、少なくとも一部が上記製紙用織物の短方向側端部か
ら短方向側へ上記製紙用織物の短方向幅(製紙用織物に
おいて短い方向の幅、図1のW方向)の30%、好まし
くは25%、更に好ましくは20%、特に好ましくは1
0%の長さにわたる領域に設けられ、特には、請求項3
に示すように、上記製紙用織物の短方向側端部から設け
られているものとすることができる(図1及び図3)。
また、図1に示すように製紙用織物全体に設ける他、図
3に示すように、一部にのみ設けてもよい。更に、請求
項4に示すように、左右樹脂層部51、52をそれぞれ
独立に設けるようにすることもできる(図3〔A〕)。
この場合、請求項5に示すように、上記左右樹脂層部の
少なくとも1つは、少なくとも一部が上記製紙用織物の
短方向側端部から短方向側へ上記製紙用織物の短方向幅
の30%、好ましくは25%、更に好ましくは20%、
特に好ましくは10%の長さにわたる領域に設けたり、
あるいは、請求項6に示すように、上記製紙用織物の短
方向側端部から設けられているようにすることができ
る。更に、上層と下層の両側の外側面に設ける他、上層
又は下層の外側面にのみ設けることもできる。この場
合、一般に製紙用織物においてナイロンモノフィラメン
トが下層を構成するように織成されること、及び摩耗防
止という観点からも、図2〔A〕に示すように下層3の
外側面にのみに設けるのが好ましい。
【0012】上記「樹脂層部」を構成する樹脂として
は、経糸及び緯糸の吸水を防止し、また、上層と下層の
引張り方の差違を緩和することにより、耳カールが生じ
るのを防止することができる限り特に限定はなく、通常
は、吸湿防止性、耐水性、はっ水性等の性質を備えた樹
脂が用いられる。このような樹脂としては例えば、ウレ
タン樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、シリコーン樹
脂、エポキシ樹脂、ポリアミド−エピクロロヒドリン系
樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられ
る。この中で、請求項7に示すように、水等の水系溶媒
に溶解又はエマルジョンとして存在し得る水溶性樹脂
(ウレタン樹脂等)が環境への影響の点から見て好まし
い。特には請求項8に示すように、ポリアミド−エピク
ロロヒドリン系樹脂又はウレタン樹脂が耳カール防止効
果、耐摩耗性の向上及び環境への影響の点から好まし
く、また、請求項9に示すように、シリコーン樹脂は耳
カール防止効果に更に優れていることから好ましい。
【0013】上記「樹脂層部」の大きさについても特に
限定はないが、通常は、その短方向幅が、上記製紙用織
物の短方向幅の少なくとも2%以上であり、好ましくは
3〜16%、更に好ましくは6〜12%である。樹脂層
部の上記短方向幅が2%未満では耳カールを十分に防止
することができないので好ましくない。また、樹脂層部
の上記短方向幅を上記の好ましい範囲とすると、全体に
設ける場合と比べて簡易に設けることができると共に、
耳カールを十分防止することができるので好ましい。ま
た、請求項4に示すように、製紙用織物の短方向側両端
部から左右樹脂層部51、52をそれぞれ独立に設ける
場合(図3〔A〕)、左右樹脂層部の少なくとも一方の
短方向幅(図3のW1)を、上記製紙用織物の短方向幅
の少なくとも1%以上、好ましくは1.5〜8%、更に
好ましくは3〜6%とすることができる。
【0014】本発明の製紙用織物において、上記「樹脂
層部」の形状及び設け方は、構成する経糸、緯糸の吸水
を防止し、耳カールの発生を防止できる限り特に限定は
ない。通常は、緯糸及び経糸を織成して織物とし、次い
で、該織物の上記「樹脂層部」を設ける箇所に溶液状又
はエマルション状の樹脂を噴霧又は塗布し、その後、乾
燥させることより、図2〔A〕に示すように、製紙用織
物1aの表面(図2〔A〕では下層3の外側面)に略層
状の樹脂層部5とする。その他、緯糸及び/又は経糸の
表面を予め樹脂コーティングして樹脂層を設け、かかる
経糸及び緯糸を織成して樹脂コーティングされた経糸及
び緯糸を集積することにより、樹脂層部とすることがで
きる。このように層状でなくとも、樹脂により構成さ
れ、樹脂コーティングにより被覆して耳カールの発生を
防止できる限り、本発明の上記「樹脂層部」に含まれ
る。
【0015】本発明の製紙用織物の構成については特に
限定はなく、経糸及び緯糸で構成される織物層を一層の
み備える単層構造とする他、請求項10に示すように、
経糸及び緯糸で構成される織物層を2以上有する多層構
造とすることができる(図2〔A〕参照)。かかる多層
構造とすることにより、単層構造の場合と比べて、要求
される性能に応じて製紙面側となる上層と走行面側とな
る下層の組織を種々変化させることができる。例えば、
製紙面側となる上層を比較的緻密な組織とすることによ
り、平滑性及び紙料支持性を向上させると同時に、走行
面側となる下層の緯糸の数を減らして比較的疎な組織と
することにより、脱水負荷を低減して走行負荷を低減す
ることができる。また、多層とすることにより、単層構
造と比較して、製紙用織物の寿命延長を図ることができ
る。請求項10記載の製紙用織物において、織物層の数
については2以上であれば特に限定はなく、通常は2〜
5層、好ましくは2〜4層、更に好ましくは2〜3層程
度である。尚、上記各織物層を連結する方法について
は、連結できる限り特に限定はなく、通常は接結糸によ
って連結されている。
【0016】また、請求項10記載の製紙用織物におい
て、上記「樹脂層部」を設ける箇所及び範囲については
特に限定はない。通常は、請求項11に示すように、走
行面側の最表層となる製紙用織物の最下層(図2〔A〕
では下層3)の少なくとも外側面にのみ樹脂層部が設け
られる。かかる部分に樹脂層部を設けることにより、簡
易に樹脂層部を設けることができると共に、耳カールを
十分に防止し、更に製紙用織物の耐摩耗性を向上させる
ことができる。その他、例えば、溶液状又はエマルショ
ン状の樹脂を塗布又は噴霧し、乾燥させることにより、
製紙面側の最表層となる最上層(図2では上層3)の外
側面全体と最下層の外側面全体に設けたり、あるいは、
最上層又は最下層の外側面全体にのみ設けることができ
る。勿論、全体でなく一部でもよい。更に、樹脂コーテ
ィングされた経糸及び緯糸を集積することにより樹脂層
部を形成した織物層を織成し、かかる織物層を最上層、
最下層又は最上層と最下層の間にある中間層とすること
により樹脂層部を有する製紙用織物とすることができ
る。
【0017】本発明の製紙用織物を構成する経糸及び緯
糸の材質については限定はなく、例えば、ポリエステル
モノフィラメント、ナイロンモノフィラメント(6ナイ
ロン、66ナイロン、610ナイロン、612ナイロン
等)等を使用することができる。この中で、請求項12
に示すように、ナイロンモノフィラメントは耐摩耗性に
優れていることから好ましい。また、上記経糸及び緯糸
を構成する糸は単一素材でなく、二種以上の材質で構成
される複合糸を用いることができる。更に、上記経糸や
緯糸は、同一材質で構成されているものの他、材質が異
なる糸を併用することができる。例えば、本発明の製紙
用織物が多層構造の場合、最下層の緯糸として、ナイロ
ンモノフィラメントとポリエステルモノフィラメントを
併用することができる。また、上記経糸と緯糸を同じ材
質のものとする他、経糸と緯糸で異なる材質のものとす
ることができる。例えば、本発明の製紙用織物が多層構
造の場合、最下層の経糸及び/又は緯糸のみをナイロン
モノフィラメントとし、残りの経糸及び/又は緯糸は、
ポリエステル等の別の材質のものを用いることができ
る。
【0018】請求項13記載の製紙用織物の製造方法
は、緯糸及び経糸を織成して織物とし、次いで、該織物
の上層及び/又は下層の少なくとも外側面に溶液状又は
エマルション状の樹脂を噴霧又は塗布し、その後、乾燥
させて樹脂層部を形成することを特徴とする。かかる方
法により、製紙用織物に樹脂層部を簡易に設けることが
でき、その結果、本発明の製紙用織物を容易に製造する
ことができる。また、かかる方法によれば、ナックル部
等、経糸と緯糸の接触する部分に樹脂層部を形成するこ
とにより、経糸と緯糸が樹脂で固められて、その織成状
態を安定化することにより、耳カールをより効果的に防
止することができるので好ましい。
【0019】請求項13記載の製紙用織物の製造方法に
おいて、溶液状又はエマルション状の樹脂を噴霧又は塗
布する箇所は、該織物の上層及び/又は下層の少なくと
も外側面であれば特に限定はなく、全体に設ける他、樹
脂層部を設けたい一部にのみに噴霧又は塗布することも
できる。更に、請求項13記載の製紙用織物の製造方法
において、樹脂層部を形成できる限り乾燥手段について
は特に限定はなく、自然乾燥の他、ロールドライヤー上
で約100℃程度の温度で加熱乾燥することによること
もできる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の製紙用織物につい
て、実施例を挙げて具体的に説明する。 (1)製紙用織物の調製 実施例1〜3の製紙面織物1の下層側平面図を図1に、
その縦断面模式図を図2〔A〕に示す。実施例1〜3の
製紙面織物1aは、図2〔A〕に示すように、上層経糸
21及び上層緯糸22が織込まれることにより構成され
る平組織の上層2と、下層経糸31及び下層緯糸32が
織込まれることにより構成される崩し織りの下層3とか
らなり、接結糸4が織込まれることにより、上記上層2
と下層3とを連結している経糸2重緯糸2重の二層構造
の製紙用織物である。そして、上層経糸21及び上層緯
糸22は径が0.20mmである。一方、下層経糸31
は径が0.25mmであり、下層緯糸32は径が0.3
5mmである。また、上記上層経糸21、上層緯糸22
及び下層経糸31はいずれもポリエステル製であり、下
層緯糸32はナイロン製である。尚、接結糸4は径が
0.17mmのナイロン製である。
【0021】そして、実施例1〜3は、上記上層経糸2
1、上層緯糸22、下層経糸31、下層緯糸32及び接
結糸4を織成して織物とし、次いで、該織物の下層3の
外側面全体に溶液状又はエマルション状の樹脂を噴霧・
塗布し、約100℃で加熱乾燥させることにより、樹脂
層部5を設けている。実施例1の樹脂層部を構成する樹
脂はポリアミド−エピクロロヒドリン系樹脂(商品名
「ポリフィックス301」 昭和高分子株式会社製)で
あり、実施例2の樹脂層部を構成する樹脂は水系ウレタ
ン樹脂(商品名「アデカボンタイターHUX−386」
旭電化工業株式会社製)であり、実施例3の樹脂層部
を構成する樹脂はシリコーン樹脂(商品名「Polon
coat E」 信越シリコーン株式会社製)である。
【0022】(2)性能試験 上記実施例1〜3の製紙用織物について、性能試験とし
て、以下に示す方法により、耳カール防止効果試験及び
耐摩耗性試験を行った。
【0023】耳カール防止効果試験 上記実施例1の製紙用織物と、樹脂層部を設けていない
点でのみ実施例1と相違する比較例1の製紙用織物につ
いて、3日間湿潤させ、次いで、この実施例1及び比較
例1の製紙用織物を図4に示すように、アクリル板6の
上に載置し、その中央部分にアクリル板7を立て、製紙
用織物の短方向幅端部とアクリル板6との間の距離(図
4中のH、単位はcm)を測定することにより、耳カー
ル防止効果の評価を行った。同様に、上記実施例2の製
紙用織物と、樹脂層部を設けていない点でのみ実施例2
と相違する比較例2の製紙用織物について測定し、更
に、上記実施例3の製紙用織物と、樹脂層部を設けてい
ない点でのみ実施例3と相違する比較例3の製紙用織物
についても測定した。その結果を以下の表1に示す。
【0024】
【表1】
【0025】耐摩耗性試験 上記実施例1及び2並びに樹脂層部を設けていない比較
例4の製紙用織物につき、走行試験機において1000
m/min、5kg/cmで50時間走行させ、各時間
における製紙用織物の厚さの変化を調べた。その結果を
図5に示す。
【0026】(3)実施例の効果 表1より、樹脂層部を設けた実施例1〜3の製紙用織物
と、樹脂層部を設けていない比較例1〜3の製紙用織物
の湿潤後における耳カール防止効果について測定した結
果、実施例1〜3では、比較例1〜3と比較して、耳カ
ールの大きさを示す図4のHの値がいずれも減少してい
ることから、樹脂層部を設けることにより、耳カールを
防止できることが判る。特に、ポリアミド−エピクロロ
ヒドリン系樹脂による樹脂層部を設けた実施例1では、
Hの値の平均値が、樹脂層部を設けていない比較例1の
約88%であり、水系ウレタン樹脂による樹脂層部を設
けた実施例2では、Hの値の平均値が、樹脂層部を設け
ていない比較例2の約84%であるのに対し、シリコー
ン樹脂による樹脂層部を設けた実施例3では、Hの値の
平均値が、樹脂層部を設けていない比較例3の約64%
であることから、シリコーン樹脂が吸水に起因する耳カ
ール防止効果に優れていることが判る。
【0027】また、耐摩耗性について調べたところ、図
5より、樹脂層部を設けていない比較例4の製紙用織物
と比べて、樹脂層部を設けた実施例1及び2の製紙用織
物では、製紙用織物の厚さの変化が少なく、耐摩耗性に
優れていることが判る。特に、ポリアミド−エピクロロ
ヒドリン系樹脂を用いた実施例1の製紙用織物の方が、
ウレタン樹脂を用いた実施例2の製紙用織物よりも厚さ
の変化が少なく、耐摩耗性により優れていることが判
る。これにより、経糸と緯糸の引張りの差違に起因する
耳カール防止効果が期待できる。
【0028】尚、本発明においては、前記具体的実施例
に示すものに限られず、目的、用途に応じて種々変更し
た実施例とすることができる。例えば、本発明の製紙用
織物において、上層を構成する上層緯糸が上層経糸に織
込まれることにより、隣の上層緯糸との間に形成される
窪みを補うため、隣合う上層緯糸の間に、上層緯糸より
も径の小さい補助緯糸を織込むことができる。かかる補
助緯糸を織込むことにより上記窪みを補う結果、織物構
造に実質的変化を与えることなく、紙料の支持性、平滑
性を向上させて、表面性に優れた紙を抄造することがで
きる。また、本発明の製紙用織物の形状については特に
限定はなく、無端状とする他、有端状とすることもでき
る。更に、本発明の製紙用織物において、織り込む際の
各経糸及び緯糸の込数についても特に限定はなく、要求
性能に応じて、密にするために込数を適宜多くしたり、
疎にするために込数を適宜少なくすることができる。ま
た、本発明の製紙用織物を構成する経糸及び緯糸、接結
糸の線径についても特に限定はない。
【0029】
【発明の効果】本発明の製紙用織物によれば、従来の製
紙用織物と比較して、製紙用織物の強度を低下させるこ
となく耳カールを十分に防止することができる。これに
より、従来の製紙用織物と比較して使用安定性を向上さ
せると共に、耐摩耗性に優れたものとして、長期にわた
って使用することが可能になる。また、本発明の製紙用
織物の製造方法によれば、従来と比べて簡易な方法で、
上記特徴を有する製紙用織物を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例1〜3の製紙用織物の下層側平面図で
ある。
【図2】図1の製紙用織物のA−A’断面模式図〔A〕
と、本発明の製紙用織物の他の例の縦断面模式図〔B〕
である。
【図3】本発明の製紙用織物の他の例の下層側平面図で
ある。
【図4】耳カール防止効果試験の方法の説明図である。
【図5】耐摩耗性試験の結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1a,1b,1c,1d;製紙用織物、2;上層、2
1;上層経糸、22;上層緯糸、3;下層、31;下層
経糸、32;下層緯糸、4;接結糸、5;樹脂層部、5
1,52;左右樹脂層部、6,7;アクリル板。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) D21F 7/08 D21F 7/08 Z // D06M 101:34 D06M 101:34

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 緯糸及び経糸で構成される製紙用織物に
    おいて、該製紙用織物の上層及び/又は下層の少なくと
    も外側面に樹脂層部を有し、且つ該樹脂層部の短方向幅
    が、上記製紙用織物の短方向幅の少なくとも2%以上で
    あることを特徴とする製紙用織物。
  2. 【請求項2】 上記樹脂層部は、少なくとも一部が上記
    製紙用織物の短方向側端部から短方向側へ上記製紙用織
    物の短方向幅の30%の長さの領域に設けられている請
    求項1記載の製紙用織物。
  3. 【請求項3】 上記樹脂層部は、上記製紙用織物の短方
    向側端部から設けられている請求項1又は2記載の製紙
    用織物。
  4. 【請求項4】 緯糸及び経糸で構成される製紙用織物に
    おいて、該製紙用織物の上層及び/又は下層の少なくと
    も外側面に左右樹脂層部を有し、且つ該左右樹脂層部の
    少なくとも一方の短方向幅が、上記製紙用織物の短方向
    幅の少なくとも1%以上であることを特徴とする製紙用
    織物。
  5. 【請求項5】 上記左右樹脂層部の少なくとも1つは、
    少なくとも一部が上記製紙用織物の短方向側端部から短
    方向側へ上記製紙用織物の短方向幅の30%の長さの領
    域に設けられている請求項4記載の製紙用織物。
  6. 【請求項6】 上記左右樹脂層部の少なくとも1つは、
    上記製紙用織物の短方向側端部から設けられている請求
    項4又は5記載の製紙用織物。
  7. 【請求項7】 上記樹脂層部を構成する樹脂が水溶性樹
    脂である請求項1乃至6のいずれかに記載の製紙用織
    物。
  8. 【請求項8】 上記樹脂層部を構成する樹脂がポリアミ
    ド−エピクロロヒドリン系樹脂又はウレタン樹脂である
    請求項1乃至6のいずれかに記載の製紙用織物。
  9. 【請求項9】 上記樹脂層部を構成する樹脂がシリコー
    ン樹脂である請求項1乃至6のいずれかに記載の製紙用
    織物。
  10. 【請求項10】 上記製紙用織物が、緯糸及び経糸で構
    成される織物層を2以上有する多層構造である請求項1
    乃至9のいずれかに記載の製紙用織物。
  11. 【請求項11】 上記製紙用織物の最下層の少なくとも
    外側面に樹脂層部を有する請求項10記載の製紙用織
    物。
  12. 【請求項12】 上記経糸及び/又は緯糸がナイロンモ
    ノフィラメントである請求項1乃至11のいずれかに記
    載の製紙用織物。
  13. 【請求項13】 緯糸及び経糸を織成して織物とし、次
    いで、該織物の上層及び/又は下層の少なくとも外側面
    に溶液状又はエマルション状の樹脂を噴霧又は塗布し、
    その後、乾燥させて樹脂層部を形成することを特徴とす
    る製紙用織物の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008509294A (ja) * 2004-08-04 2008-03-27 アルバニー インターナショナル コーポレイション 最適なシート構築特性を有する対となった縦糸の3層形成布
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