JP4235212B2 - 製紙用ベルト基布及び製紙用ベルト - Google Patents
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(1)多重織り織布からなり、湿紙供給側の最外面を構成する経糸は隣接された5本あたり2本以上がマルチフィラメント撚糸であり、
上記マルチフィラメント撚糸の伸度2.5%における強度は、1.0〜2.5daNであり、
上記マルチフィラメント撚糸における撚りは、上撚り及び下撚り共に7〜15回/インチであることを特徴とする製紙用ベルト基布。
(2)上記マルチフィラメント撚糸を構成する材料は、アセタール化されたポリビニルアルコール樹脂、及びポリエステル系樹脂のうちの少なくとも1種である上記(1)に記載の製紙用ベルト基布。
(3)上記マルチフィラメント撚糸は、樹脂集束されていない糸である上記(1)又は(2)に記載の製紙用ベルト基布。
(4)上記マルチフィラメント撚糸を構成する材料は、アセタール化されたポリビニルアルコール樹脂であり、
上記マルチフィラメント撚糸は、樹脂集束されていない糸である上記(1)に記載の製紙用ベルト基布。
(5)弾性樹脂部と少なくとも一部が該弾性樹脂部内に埋設された上記(1)乃至(3)のうちのいずれかに記載の製紙用ベルト基布とを備え、
該製紙用ベルト基布を構成する上記マルチフィラメント撚糸は、該弾性樹脂部を構成する樹脂に含浸されて埋設されていることを特徴とする製紙用ベルト。
(6)弾性樹脂部と少なくとも一部が該弾性樹脂部内に埋設された上記(4)に記載の製紙用ベルト基布とを備え、
該製紙用ベルト基布を構成する上記マルチフィラメント撚糸は、該弾性樹脂部を構成する樹脂に含浸されて埋設されていることを特徴とする製紙用ベルト。
上記マルチフィラメント撚糸が2本以上のマルチフィラメント原糸を撚ってなる場合は、更に膨れ及びクラックの発生が抑制された製紙用ベルトを得ることができる。
上記マルチフィラメント撚糸の伸度2.5%における強度が0.7〜3.5daNである場合は、更に膨れ及びクラックの発生が抑制されると共に、クラックが発生した場合であってもクラックの進展速度が抑制された製紙用ベルトを得ることができる。
本発明の製紙用ベルトによれば、長期にわたって安定した湿紙脱水を行うことができる。
[1]製紙用ベルト基布
本発明の製紙用ベルト基布は、多重織り織布からなり、湿紙供給側の最外面を構成する経糸は隣接された5本あたり2本以上がマルチフィラメント撚糸であり、上記マルチフィラメント撚糸の伸度2.5%における強度は、1.0〜2.5daNであり、上記マルチフィラメント撚糸における撚りは、上撚り及び下撚り共に7〜15回/インチであることを特徴とする。
上記「湿紙供給側」は、製紙用ベルト基布が製紙用ベルト内に埋設されて使用される際に、湿紙が供給されることとなる側である。尚、シュープレス用ベルト及びシュープレス用ベルト基布においては、湿式供給側に対する反対側をシュー側というものとする。
上記「最外面」は、湿紙供給側の基布の最も外側の表面である。この最外層には、通常、経糸と緯糸とが現れる。即ち、最外面は経糸と緯糸とから構成される。
上記「隣接された5本あたり2本以上」とは、完全組織のシャフト数には関係なく、隣接された経糸を5本づつ組とした場合に、各組のなかに少なくとも2本以上のマルチフィラメント撚糸が含まれていることを表す。
本発明の製紙用ベルトは、弾性樹脂部と少なくとも一部が該弾性樹脂部内に埋設された本発明の製紙用ベルト基布とを備え、該製紙用ベルト基布を構成する上記マルチフィラメント撚糸は、該弾性樹脂部を構成する樹脂に含浸されて埋設されていることを特徴とする。
湿紙脱水用シュープレス装置の一例を図6に示す。湿紙脱水用シュープレス装置30は、プレスロール31と、プレスロールの外周に沿った形状の湾曲面321を備えるシュー32とを備える。また、湿紙脱水用シュープレス装置は、このシュー32をプレスロール31に対して加圧できる機構を備える。更に、湿紙脱水用シュープレス装置は、無端ベルト状に形成されたシュープレス用ベルト20を固定ビーム33に挿通して管状に保持し、シュープレス用ベルト20を固定ビーム33の外周を回転させる機構を備える。この湿紙脱水用シュープレス装置は、プレスロール31とシュー32との間に製紙用フェルト34を介して湿紙40を供給することで湿紙35を脱水することができる。
[1]マルチフィラメント撚糸
下記表1に示す特性のマルチフィラメント原糸を各々3本を撚り合わせて実験例1〜4のマルチフィラメント撚糸を得た。得られたマルチフィラメント撚糸について、強伸度試験機(株式会社東洋精機製作所製、形式「ストログラフ V10−B」)を用いて強伸度を測定し、表1に併記した。その結果、実験例1〜4は伸度2.5%における強度が0.77〜3.31であった。実験例1〜4のマルチフィラメント撚糸の伸度2.5%近傍における強度をグラフにして図7に示した。また、伸度2.5%における強度0.7〜3.5dNの範囲を同図内に併記した。
図1に示すものと同じ4重織りの製紙用ベルト基布(経糸68本/インチ且つ緯糸54本/インチ)を製造した。この基布では、湿紙委供給側最外面(最上層)を構成する経糸の全てに実験例1〜4のマルチフィラメント撚糸を各々用いた。また、中上層(上から2層目)の経糸にはPETモノフィラメント(線径0.35mm)を用いた。更に、中下層(上から3層目)の経糸にはPETマルチフィラメント(3000d)を樹脂止め層を形成するように用いた。また、最下層(上から4層目)の経糸にはポリアミドモノフィラメント(線径0.35mm)を用いた。更に、全ての層の緯糸にはPETモノフィラメント(線径0.40mm)を用いた。
また、この製紙用ベルト基布は、湿紙供給側最外面は平織りであり、最下層も平織りとなるように織った。
上記[2]で得られた各製紙用ベルトを抄紙機のプレスパートを構成する湿紙脱水用シュープレス装置に装着し、抄紙を行う。その結果、いずれの製紙用ベルトもクラックは最後期まで発生が認められず、膨れは生じない。即ち、従来のモノフィラメントを上記糸として用いた場合に比べて優れた耐膨れ性及び耐クラック性が得られる。また、使用最後期において発生するクラックは、実験例1のマルチフィラメント撚糸を用いた製紙用ベルトにおける進展速度を100とした場合に、実験例2のマルチフィラメント撚糸を用いた製紙用ベルトでは33であり、実験例3のマルチフィラメント撚糸を用いた製紙用ベルトでは33であり、実験例4のマルチフィラメント撚糸を用いた製紙用ベルトでは66となる。
尚、本発明においては、上記具体的実施例に示すものに限られず、目的、用途に応じて種々変更した実施例とすることができる。
Claims (6)
- 多重織り織布からなり、湿紙供給側の最外面を構成する経糸は隣接された5本あたり2本以上がマルチフィラメント撚糸であり、
上記マルチフィラメント撚糸の伸度2.5%における強度は、1.0〜2.5daNであり、
上記マルチフィラメント撚糸における撚りは、上撚り及び下撚り共に7〜15回/インチであることを特徴とする製紙用ベルト基布。 - 上記マルチフィラメント撚糸を構成する材料は、アセタール化されたポリビニルアルコール樹脂、及びポリエステル系樹脂のうちの少なくとも1種である請求項1に記載の製紙用ベルト基布。
- 上記マルチフィラメント撚糸は、樹脂集束されていない糸である請求項1又は2に記載の製紙用ベルト基布。
- 上記マルチフィラメント撚糸を構成する材料は、アセタール化されたポリビニルアルコール樹脂であり、
上記マルチフィラメント撚糸は、樹脂集束されていない糸である請求項1に記載の製紙用ベルト基布。 - 弾性樹脂部と少なくとも一部が該弾性樹脂部内に埋設された請求項1乃至3のうちのいずれかに記載の製紙用ベルト基布とを備え、
該製紙用ベルト基布を構成する上記マルチフィラメント撚糸は、該弾性樹脂部を構成する樹脂に含浸されて埋設されていることを特徴とする製紙用ベルト。 - 弾性樹脂部と少なくとも一部が該弾性樹脂部内に埋設された請求項4に記載の製紙用ベルト基布とを備え、
該製紙用ベルト基布を構成する上記マルチフィラメント撚糸は、該弾性樹脂部を構成する樹脂に含浸されて埋設されていることを特徴とする製紙用ベルト。
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