JP6850595B2 - フッ素化方法およびパーフルオロポリエーテル系化合物の製造方法 - Google Patents

フッ素化方法およびパーフルオロポリエーテル系化合物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、潤滑剤として有用なパーフルオロポリエーテル系化合物を製造するためのフッ素化方法および該フッ素化方法を用いたパーフルオロポリエーテル系化合物の製造方法に関する。
パーフルオロ化されたポリエーテル系化合物は、潤滑剤として広く使用される化合物であり、末端基が−CH2OHであるパーフルオロポリエーテル系化合物は特に有用であることが知られている。
炭化水素系化合物中のC−H部分の全てをC−Fにフッ素化する方法としては、フッ素ガスを用いてフッ素化する方法、または、フッ化水素を電解槽中で電気分解することにより発生する生成物をフッ素原子源としてフッ素化する方法が知られている。また、フッ素ガスを用いた反応には、気相法と液相法が知られている。
しかし、電解フッ素化反応は、異性化反応や、C−C結合の切断および再結合反応等が起こりやすく、目的とする化合物を純度よく得られないという問題があった。また、気相でフッ素ガスと反応させると、C−C単結合の切断が起こり、多種類の副生成物が生成するという問題があった。
気相法の問題を解決する方法として、液相でフッ素ガスと反応させる方法が報告されている(例えば特許文献1)。しかしながら、特許文献1の方法には、以下の問題点がある。
・高分子量のポリエチレングリコール(n≧4)のフッ素化には適していない。
・反応器内にNaFを存在させた場合、NaF存在下でパーフルオロ化を実施しているので、末端の分解反応が進行して目的物が取得できない。
・反応器外にNaFを設置して、ガス状生成物を循環させた場合、ポリエチレングリコールの流通導入時に発生したHFがエーテル結合を分解するため、繰り返し数の多いポリエチレングリコールのフッ素化に適さず、エーテル結合の分解を防ぐためには極端に導入速度を落とさなければならない。
・パーフルオロ化のために低分子量の炭化水素を添加しているが、炭化水素の場合、HFが副生して副反応が進行する確率が高くなる。
特許第2945693号
本発明は、従来の方法が有する課題を解決する目的でなされ、繰り返し数の多いポリエチレングリコール等の安価で入手容易な原料化合物から、高効率でパーフルオロポリエーテル系化合物を製造し得る方法を提供することを目的とする。
本発明者は、前記課題を解決するために鋭意検討を行った。その結果、原料導入時に反
応系内にフッ化水素捕捉剤を共存させることで原料を速く導入でき、第一段階のフッ素化
工程で反応消費分のフッ素ガスを逐次的に導入することでF2ロスを減らし、次いで、フ
ッ化水素捕捉剤を分離した後、第二段階のフッ素化工程を行いながら、パーハロゲン不飽
和化合物を流通させることで、高収率でパーフルオロポリエーテル系化合物を製造するこ
とができることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下の態様を
含む。
[1] 下記式(i)で表される化合物、フッ化水素捕捉剤、不活性ガス、フッ素ガス、および溶媒を反応器に導入する工程(1)と、
前記工程(1)の後に、前記反応器からフッ化水素捕捉剤を除去する工程(2)と、
前記工程(2)の後に、前記反応器に不活性ガスおよびフッ素ガスを流通させる工程(3)と、
前記工程(3)を行いながら、前記反応器にパーハロゲン不飽和化合物を流通させる工程(4)とを含む、下記式(i)で表される化合物のフッ素化方法。
1−O−(R−O−)n−R2 (i)
式(i)中、(R−O−)は直鎖構造もしくは分岐構造の炭素数2〜3の繰り返し単位を表し、R1およびR2は水酸基の保護基を表し、nは4〜20の整数を表す。
[2] 前記R1およびR2がアシル基である、項[1]に記載のフッ素化方法。
[3] 前記フッ化水素捕捉剤がアルカリ金属フッ化物である、項[1]または[2]に記載のフッ素化方法。
[4] 前記工程(1)における溶媒が完全ハロゲン置換された化合物である、項[1]〜[3]のいずれか1項に記載のフッ素化方法。
[5] 項[1]〜[4]のいずれか1項に記載のフッ素化方法を含み、かつ、
前記工程(4)の後に、前記反応器に炭素数1〜3のアルコールを導入してエステル化反応を行う工程(5)を含む、下記式(ii)で表される化合物の製造方法。
3O−CO−CF2−O−(Rf)n-2−CF2−CO−OR4 (ii)
式(ii)中、R3およびR4は炭素数1〜3のアルキル基を表し、Rfは、前記式(i)におけるRの全ての水素原子がフッ素原子に置換されたパーフルオロポリエーテル鎖を表し、nは4〜20の整数を表す。
[6] 項[5]に記載の製造方法により得られた化合物を水素化ホウ素金属によって還元する工程(6)を含む、下記式(iii)で表わされる化合物の製造方法。
HO−CH2−CF2−O−(Rf)n-2−CF2−CH2−OH (iii)
式(iii)中、Rfおよびnは、前記式(ii)のRfおよびnと同義である。
本発明によれば、繰り返し数の多いポリエチレングリコール等の安価で入手容易な原料化合物からパーフルオロポリエーテル系化合物を製造する際に、エーテル結合の分解反応を抑制してフッ素化することができ、短時間、かつ、高収率でパーフルオロポリエーテル系化合物を製造することができる。
以下、本発明に係るフッ素化方法およびパーフルオロポリエーテル系化合物の製造方法について詳細に説明する。なお、本発明における「パーフルオロポリエーテル系化合物」は、ポリエーテル鎖がパーフルオロ化されていればよく、末端部分はパーフルオロ化されていなくてもよい。
[フッ素化方法]
本発明のフッ素化方法は、下記式(i)で表される化合物(以下「化合物(i)」ともいう。)のフッ素化方法であって、該化合物(i)、フッ化水素捕捉剤、不活性ガス、フッ素ガス、および溶媒を反応器に導入する工程(1)と、前記工程(1)の後に、前記反応器からフッ化水素捕捉剤を除去する工程(2)と、前記工程(2)の後に、前記反応器に不活性ガスおよびフッ素ガスを流通させる工程(3)と、前記工程(3)を行いながら、前記反応器にパーハロゲン不飽和化合物を流通させる工程(4)とを含むことを特徴とする。
1−O−(R−O−)n−R2 (i)
式(i)中、(R−O−)は直鎖構造もしくは分岐構造の炭素数2〜3の繰り返し単位を表し、R1およびR2は水酸基の保護基を表し、nは4〜20の整数を表す。
<工程(1)>
工程(1)は、前記化合物(i)、フッ化水素捕捉剤、不活性ガス、フッ素ガス、および溶媒等の原料を反応器に導入する原料導入工程である。
前記化合物(i)における−R−O−としては、例えば、−CH2−CH2−O−、−CH2−CH2−CH2−O−、−CH2−CH(CH3)−O−、−CH(CH3)−CH2−O−が挙げられる。
ここで、本発明のフッ素化方法により化合物(i)をフッ素化することにより得られる生成物の末端は、1級OH由来の構造(酸素の隣は−CF2−)と2級OH由来の構造(酸素の隣は−CF(CF3)−)との両方が存在(混在)する場合がある。このように2種の末端構造が混在した生成物が、後述するアルコール導入によるエステル化工程を経ることにより、1級OH由来の構造については脱フルオライドとエステル化によって末端基としてアルコキシカルボニル基が生成する一方、2級OH由来の構造については脱フルオライドによって末端基として−CF2−CO−CF3が生成する。さらに還元工程を経ることにより、前記アルコキシカルボニル基は−CH2OHに変換される。なお、−R−O−が−CH2−CH2−O−または−CH2−CH2−CH2−O−のときは、混在することなく、後述する式(ii)および式(iii)で表わされる化合物のみが生成する。このように混在しない場合、両末端がアルコキシカルボニル基の化合物が単一成分として取得でき、精製が容易になることから好ましい。一方、混在した場合、両末端アルコキシカルボニル、片末端アルコキシカルボニル―片末端ケトン、両末端ケトンの混合物として取得され、それぞれを単離する必要性が生じることがある。
前記化合物(i)において、R1およびR2は同一でも異なっていてもよい。前記R1およびR2における水酸基の保護基は、2価の結合基と1価の有機基からなる。2価の結合基としては、例えば、−CO−、−SO2−、−O−、−CH2−、−C24−、−SO2NR’−、−CONR’−(R’は炭素数1〜3の低級アルキル)などが挙げられ、−CO−が容易に合成できることから好ましい。1価の有機基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、ビニル基、アリル基、フェニル基、ベンジル基、アミノ基、ニトリル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化シクロアルキル基、ハロゲン化ビニル基、ハロゲン化アリル基、ハロゲン化フェニル基、ハロゲン化ベンジル基、ハロゲン化アミノ基などが挙げられ、入手の容易さから、アルキル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
前記保護基の具体例としては、ホルミル、アセチル、エトキシアセチル、フルオロアセチル、ジフルオロアセチル、トリフルオロアセチル、クロロアセチル、ジクロロアセチル、トリクロロアセチル、ブロモアセチル、ジブロモアセチル、トリブロモアセチル、プロピオニル、2−クロロプロピオニル、3−クロロプロピオニル、ブチリル、2−クロロブチリル、3−クロロブチリル、4−クロロブチリル、2−メチルブチリル、2−エチルブチリル、バレリル、2−メチルバレリル、4−メチルバレリル、ヘキサノイル、イソブチリル、イソバレリル、ピバロイル、ベンゾイル、o−クロロベンゾイル、m−クロロベンゾイル、p−クロロベンゾイル、o−ヒドロキシベンゾイル、m−ヒドロキシベンゾイル、p−ヒドロキシベンゾイル、o−アセトキシベンゾイル、o−メトキシベンゾイル、m−メトキシベンゾイル、p−メトキシベンゾイル、p−ニトロベンゾイル等のアシル基、トリメチルシリル、トリエチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、t−ブチルジフェニルシリルなどのシリル基、テトラヒドロピラニル、メトキシメチル、メトキシエトキシメチル、1−エトキシエチルなどのアルコキシメチル基、ベンジル基、p−メトキシベンジル基、t−ブチル基、トリチル基、メチル基、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基等が挙げられる。これらの中ではアシル基が好ましい。
前記化合物(i)において、nは、好ましくは4〜10の整数、より好ましくは5〜8の整数である。
前記化合物(i)は、市販品を使用してもよいし、末端が水酸基のポリエーテルとクロライドまたはフルオライドとを反応させて得られる化合物を使用してもよい。
前記フッ化水素捕捉剤としては、例えば、NaFやKF等のアルカリ金属フッ化物およびトリアルキルアミン等の有機塩基が挙げられ、分離の容易さから固体状のアルカリ金属フッ化物が好ましく、NaFが特に好ましい。原料導入時に反応系内にフッ化水素捕捉剤を共存させることで、フッ化水素によるエーテル結合の分解反応を抑制することができるため、高収率でフッ素化反応を行うことが可能になる。
前記溶媒としては、前記化合物(i)の溶解性が高い化合物が好ましく、C−H結合を含まない完全ハロゲン置換された化合物がより好ましく、フッ素原子と塩素原子を含有するパーハロゲンアルカンが特に好ましい。C−H結合を含む化合物を溶媒として使用した場合、溶媒中のC−H結合とフッ素ガスが反応して、フッ素ガス使用量の増加と反応熱での温度上昇により分解反応の促進が懸念される。
前記完全ハロゲン置換された化合物としては、飽和の炭素数2〜8のものが好ましく、環状でも直鎖状でも分岐があってもよく、エーテル結合を含有してもよく、例えば、ジクロロテトラフルオロエタン、トリクロロトリフルオロエタン、ジクロロヘキサフルオロプロパン、テトラクロロヘキサフルオロブタン、ジクロロトリフルオロエチルトリフルオロメチルエーテル、ジクロロトリフルオロエチルペンタフロロエチルエーテル、n-またはイソ-ヘプタフルオロプロピルジクロロトリフルオロエチルエーテル、ペンタフルオロエチルヘプタフルオロプロピルエーテル、パーフルオロシクロブテン、パーフルオロ(メチルシクロプロペン)、パーフルオロポリエーテル油などが挙げられる。
前記溶媒は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記溶媒と前記フッ化水素捕捉剤は、前記化合物(i)を導入する前に反応器に導入することが望ましい。溶媒とフッ化水素捕捉剤を同時に反応器に導入してから、反応器を密閉する方法が簡便で好ましい。
前記化合物(i)の導入方法としては、反応器内に不活性ガスおよびフッ素ガスを流通させながら、前記化合物(i)を前記溶媒に溶解して供給する方法が好ましい。フッ素ガスを導入する前に前記化合物(i)を反応器に導入した場合、副生したフッ化水素とエーテル結合の分解反応が進行して副生成物が揮発するため、収率が低下する傾向にある。
不活性ガスおよびフッ素ガスの導入方法としては、前記化合物(i)を反応器に導入する前に、または前記化合物(i)の反応器への導入とともに、不活性ガスおよびフッ素ガスを導入する工程(1a)と、前記化合物(i)を反応器に導入した後に、フッ素ガス、または不活性ガスおよびフッ素ガスを導入する工程(1b)とが存在することが好ましい。
≪工程(1a)≫
前記工程(1a)は、不活性ガスおよびフッ素ガスの反応器への導入を、前記化合物(i)の反応器への導入前または前記化合物(i)の反応器への導入とともに行う。
反応器内に流通させるフッ素ガス濃度は、好ましくは1〜50体積%、より好ましくは10〜30体積%である。フッ素ガス濃度が高すぎる場合、溶媒およびフッ素ガス中に可燃性混合物が生じて、爆発反応の可能性が高くなる一方で、フッ素ガス濃度が低すぎる場合、反応速度が低下して反応時間が長くなり非効率になる傾向にある。前記フッ素ガス濃度となるように不活性ガスを反応器内に流通させるが、不活性ガスとフッ素ガスは別系統で導入してもよく、予め不活性ガスでフッ素ガスを希釈した混合ガスを反応器内に導入してもよい。不活性ガスとしては、入手、取扱いの容易さから、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガスなどが好ましい。
前記工程(1a)において、フッ素ガス導入時における反応器内の温度は、好ましくは−20〜60℃、より好ましくは−10〜30℃である。前記温度が低すぎる場合、反応速度が低下する一方で、前記温度が高すぎる場合、爆発反応の可能性が高くなる。また、フッ素ガス導入時における反応器内の圧力は、好ましくは0.10〜0.20MPa、より好ましくは0.10〜0.15MPaである。前記圧力が低すぎる場合、反応速度が低下する一方で、前記圧力が高すぎる場合、爆発反応の可能性が高くなる。
≪工程(1b)≫
前記工程(1b)は、前記工程(1a)および前記化合物(i)を反応器に導入する工程に引き続いて行われる工程であり、反応器にフッ素ガス、または不活性ガスおよびフッ素ガスを導入して前記化合物(i)のフッ素化を行う第一フッ素化工程である。工程(1b)におけるフッ素ガスの導入方法は、流通方式またはバッチ方式が好ましい。
流通方式では、不活性ガスで希釈したフッ素ガスを反応器内に流通させてフッ素化反応を行う。フッ素ガス濃度は、好ましくは5〜50体積%、より好ましくは10〜30体積%である。フッ素ガス濃度が高すぎる場合、溶媒およびフッ素ガス中に可燃性混合物が生じて、爆発反応の可能性が高くなる一方で、フッ素ガス濃度が低すぎる場合、反応速度が低下して反応時間が長くなり非効率になる。また、フッ素ガス導入時において、反応器内の温度は、好ましくは−20〜60℃、より好ましくは−10〜30℃であり、反応器内の圧力は、好ましくは0.10〜0.20MPa、より好ましくは0.10〜0.15MPaである。前記温度が低すぎる場合、反応速度が低下する一方で、前記温度が高すぎる場合、爆発反応の可能性が高くなる。前記圧力が低すぎる場合、反応速度が低下する一方で、前記圧力が高すぎる場合、爆発反応の可能性が高くなる。また、流通時間は、好ましくは1〜3時間である。
バッチ方式では、不活性ガスで置換した反応器内にフッ素ガスを導入する。反応器出口を閉めて、入口から圧力調整したフッ素ガスを反応消費した分だけ導入する。フッ素ガス導入時における反応器内の圧力は、好ましくは0.11〜0.30MPa、より好ましくは0.15〜0.25MPaである。前記圧力が低すぎる場合、反応速度が低下して反応時間が長くなり非効率になる一方で、前記圧力が高すぎる場合、溶媒およびフッ素ガス中に可燃性混合物が生じて、爆発反応の可能性が高くなる。また、フッ素ガス導入時における反応器内の温度は、好ましくは−20〜60℃、より好ましくは−10〜30℃である。前記温度が低すぎる場合、反応速度が低下する一方で、前記温度が高すぎる場合、爆発反応の可能性が高くなる。フッ素ガス濃度は圧力に応じて決定される。
工程(1b)でのフッ素化度は、好ましくは50〜90%、より好ましくは70〜85%である。ここでいうフッ素化度とは、前記化合物(i)中の水素原子がフッ素原子に置換された割合をいう。フッ素化度が低い場合、後工程での分解反応が顕著になり収率が低下する一方で、フッ素化度が高い場合、水酸基の保護基の分解反応が進行して収率が低下する傾向にある。
<工程(2)>
工程(2)は、反応器から前記フッ化水素捕捉剤を除去する分離工程である。前記フッ化水素除去剤を分離しない場合、後述する工程(4)において、前記化合物(i)の末端の分解反応が進行して目的物が得られない傾向にある。
前記フッ化水素捕捉剤の除去方法は、ろ過による分離が簡便で好ましい。具体的には、反応器内を不活性ガスでパージした後、反応器を開放してセルロースのろ紙にフッ化水素捕捉剤が混濁した反応液を通過させることで、反応液とフッ化水素捕捉剤を分離できる。作業時間の短縮が可能であることから、フッ素ガスに不活性なフィルターを反応器内に設置して、ドレイン弁から反応液を流通させることで反応液とフッ化水素捕捉剤を分離する方法が、より好ましい。フッ素ガスに不活性なフィルターとしては、例えば、SUSやニッケルといった金属またはテフロン材質のフィルターが挙げられる。
前記フッ化水素捕捉剤の除去は乾燥雰囲気で行うことが好ましく、不活性ガス雰囲気で行うことがより好ましい。いくつかの水素原子がフッ素原子に置換された化合物(i)の水酸基の保護基は、水と容易に反応するため、前記工程(1)後の反応液を大気と接触させると副反応が進行して収率が低下する。
<工程(3)>
工程(3)は、反応器に不活性ガスおよびフッ素ガスを流通させてフッ素化反応を進行させる第二フッ素化工程である。
工程(3)において、反応器内の温度は、副生したHFを効率的に除去するため、好ましくはHFの沸点(20℃)以上、より好ましくは20℃〜100℃、さらに好ましくは20℃〜60℃である。前記温度が高すぎる場合、爆発反応の可能性が高くなり収率が低下する。また、反応器内の圧力は、好ましくは0.10〜0.20MPa、より好ましくは0.10〜0.15MPaである。前記圧力が低すぎる場合、反応速度が低下する一方で、前記圧力が高すぎる場合、爆発反応の可能性が高くなる。
フッ素ガス濃度は、好ましくは5〜50体積%、より好ましくは10〜30体積%である。フッ素ガス濃度が高すぎる場合、溶媒およびフッ素ガス中に可燃性混合物が生じて、爆発反応の可能性が高くなる一方で、フッ素ガス濃度が低すぎる場合、反応速度が低下して反応時間が長くなり非効率になる傾向にある。
<工程(4)>
フッ素化反応の後期では、フッ素化反応の反応速度が低下してくる。工程(4)は、効率的にフッ素化反応を進行させるため、前記工程(3)を行いながら、反応器にパーハロゲン不飽和化合物を添加する第三フッ素化工程である。工程(4)を行わないと、化合物内に水素原子が残存し、パーフルオロ化合物が得られない傾向にある。
前記パーハロゲン不飽和化合物としては、ヘキサフルオロベンゼン、ヘキサクロロベンゼン、クロロペンタフルオロベンゼン、トリクロトリフルオロベンゼン、デカフルオロビフェニル、オクタフルオロナフタレン、テトラクロロエチレン、トリクロロフルオロエチレン、ジクロロジフルオロエチレン、トリクロロトリフルオロプロペン、ジクロロテトラフルオロプロペンなどが挙げられ、これらの中では入手および取扱いが容易なヘキサフルオロベンゼンが特に好ましい。パーハロゲン不飽和化合物ではなく、ベンゼン等の炭化水素化合物を使用した場合、該炭化水素化合物中のC−H結合のフッ素化にフッ素ガスが消費されるため、フッ素ガスの使用量が増加する。
前記パーハロゲン不飽和化合物の添加方法としては、溶媒に溶解して一定量を流通導入することが好ましい。前記パーハロゲン不飽和化合物の流通量は、好ましくはフッ素ガス流通量の1/50〜1/5モル倍量、より好ましくは1/30〜1/10モル倍量である。前記流通量が少なすぎると、フッ素化反応の進行が遅くなり、反応時間が長くなる一方で、前記流通量が多すぎると、溶媒およびフッ素ガス中に可燃性混合物が生じて、爆発反応の可能性が高くなる傾向にある。
[パーフルオロポリエーテル系化合物の製造方法]
本発明のパーフルオロポリエーテル系化合物の製造方法としては、前述した本発明のフッ素化方法を含み、かつ、前記工程(4)の後に、前記反応器に炭素数1〜3のアルコールを導入してエステル化反応を行う工程(5)を含む、下記式(ii)で表される化合物(以下「化合物(ii)」ともいう。)の製造方法と、前記工程(5)の後に、得られた前記化合物(ii)を水素化ホウ素金属によって還元する工程(6)を含む、下記式(iii)で表わされる化合物(以下「化合物(iii)」ともいう。)の製造方法とが挙げられる。
3O−CO−CF2−O−(Rf)n-2−CF2−CO−OR4 (ii)
HO−CH2−CF2−O−(Rf)n-2−CF2−CH2−OH (iii)
式(ii)および(iii)中、R3およびR4は炭素数1〜3のアルキル基を表し、Rfは前記式(i)におけるRの全ての水素原子がフッ素原子に置換されたパーフルオロポリエーテル鎖を表し、nは4〜20の整数である。
<工程(5)>
工程(5)は、反応器にアルコールを導入するエステル化工程である。工程(4)で生成した化合物は、大気中の水分と容易に反応してカルボン酸化合物となるため、後工程での取扱いの容易さを考慮すると、アルコールと反応させて前記化合物(ii)とすることが好ましい。
前記アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノールなどが挙げられる。これらの中では、メタノールが好ましい。
エステル化の反応温度は、好ましくは0〜60℃、より好ましくは10〜40℃である。反応圧力は、好ましくは0.1〜0.2MPa、より好ましくは0.1〜0.15MPaである。アルコールの導入量は、好ましくは理論量の2〜10倍、より好ましくは3〜5倍である。
前記化合物(ii)は、溶媒を留去した残渣として単離することができる。溶媒の留去前に、フッ化水素等の副生成物を完全に除去するために、アルカリ水で洗浄することが好ましい。アルカリ水は特に限定されないが、入手と取扱いの容易さから、炭酸水素ナトリウム水が好ましい。アルカリ水での洗浄後、二層分離した溶媒層を回収して溶媒を留去することで化合物(ii)を単離できるとともに、回収された溶媒の再利用が容易となり、完全ハロゲン置換された化合物のような高価な溶媒のロスを低減することができる。
<工程(6)>
工程(6)は、前記化合物(ii)、アルコールおよび水素化ホウ素金属を混合することで前記化合物(iii)を得る還元反応工程である。
前記アルコールは、炭素数1〜5のアルコールから選択でき、エタノールが特に好ましい。前記水素化ホウ素金属は、水素化ホウ素のアルカリ金属塩または水素化ホウ素のアルカリ土類金属塩から選択でき、水素化ホウ素ナトリウムが入手および取扱いの容易さから特に好ましい。
<反応例>
工程(1)〜(4)における化合物(i)としてポリエチレングリコール由来の化合物、すなわち−R−O−が−CH2CH2−O−であり、R1およびR2が共に−COCH3である化合物を用い、工程(5)におけるアルコールとしてメタノールを用い、工程(6)における水素化ホウ素金属およびアルコールとして、それぞれ水素化ホウ素ナトリウムおよびエタノールを用いた反応例を以下に示す。なお、本発明は以下の反応例に限定されるものではない。
Figure 0006850595
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1]
<原料調製工程>
繰り返し数が7と8のポリエチレングリコール(PEG)混合物30gを200mLの三口フラスコに導入して、スターラーチップで撹拌しながら、窒素ガスを100mL/minで流通した。窒素ガスを100mL/minで流通したまま、塩化アセチル(CH3COCl)81gを3回に分けて三口フラスコに導入し、15時間撹拌を継続した。回収した反応液を酢酸エチル800mLに溶解して分液漏斗に導入した。分液漏斗に飽和NaHCO3水100mLを導入して撹拌した後、酢酸エチル相を回収した。エバポレーターで酢酸エチルを留去して生成物(1−i)35gを得た。得られた生成物(1−i)を1H−NMRおよび13C−NMRで分析したところ、CH3CO−O−(C24O)n−COCH3(n=7,8)であることを確認した。
<工程(1a)>
1LオートクレーブにNaF 35gとテトラクロロヘキサフルオロブタン(HFTCB)400mLを導入して密閉した。オートクレーブ内の撹拌を開始して、オートクレーブ内に窒素ガスを800mL/minで1時間流通してパージした。窒素ガスを800mL/minで流通しながらオートクレーブを−10℃に冷却された冷媒に浸し、オートクレーブ内が約−10℃になるまで冷却した。フッ素ガスを200mL/minで流通してオートクレーブ内を20体積%フッ素ガスでパージした。フッ素ガスを200mL/min、窒素ガスを800mL/minで流通しながら、CH3CO−O−(C24O)n−COCH3(n=7,8)10.0gをHFTCB200mLに溶解して3.3mL/minの流量で流通導入した。
<工程(1b)>
オートクレーブ内に窒素ガスを800mL/minで流通してパージした。窒素ガスの流通を止めて、オートクレーブ出口を閉じてオートクレーブ内を窒素雰囲気で0.1MPaAとした。0.2MPaAの100体積%フッ素ガスを、流量200mL/minに調整したマスフローコントローラーを通して、オートクレーブ内に導入した。CH3CO−O−(C24O)n−COCH3内の水素原子の68%がフッ素原子に置換される量のフッ素ガスをマスフローコントローラーの積算値でモニターしながらオートクレーブに導入した。
<工程(2)>
オートクレーブ内に窒素ガスを800mL/minで1時間流通してパージした。オートクレーブを窒素雰囲気のグローブボックス内で開放して、NaFが混濁した反応液をろ過して反応液からNaFを除去した。NaFを除去した反応液をオートクレーブに導入して密閉した。
<工程(3)および(4)>
オートクレーブ内の撹拌を開始して、オートクレーブ内温度が約30℃になるよう外部ヒーターで加熱した。窒素ガスを450mL/min、フッ素ガスを50mL/minでオートクレーブ内に流通してフッ素化反応を開始した。30分間窒素ガスとフッ素ガスを流通した後、窒素ガスとフッ素ガスを流通したままC66約1.5gをHFTCB30mLに溶解して0.5mL/minで流通導入した。なお、得られた反応生成物を1H−NMRで分析した結果、化合物内に水素原子が残存していないことを確認した。
<工程(5)>
66を流通導入した後、フッ素ガスの流通を停止して、窒素ガスを450mL/minで1時間流通してオートクレーブ内をパージした。窒素ガスの流通を停止してオートクレーブ内が0.1MPaAの窒素雰囲気下でメタノール40gを導入した。30分間オートクレーブの撹拌を継続した後、反応液を回収した。回収した反応液を飽和炭酸水素ナトリウム水で洗浄して、二層分離した溶媒層を回収し、エバポレーターで溶媒を留去して生成物(1−ii)16.7gを得た。得られた生成物(1−ii)を19F NMRで分析した結果、CH3O−CO−CF2−O−(C24O)n−CF2−CO−OCH3(n=5,6)であることを確認した。
<工程(6)>
25mLナスフラスコにCH3O−CO−CF2−O−(C24O)n−CF2−CO−OCH3(n=5,6)16g、エタノール150gおよび水素化ホウ素ナトリウム1.1gを導入して撹拌した。4時間後、35%塩化水素を4mL加えた。反応液を水で洗浄した後、テトラクロロヘキサフルオロブタンで抽出した。抽出物からテトラクロロヘキサクロロブタンを留去して生成物(1−iii)約14gを得た。得られた生成物(1−iii)を1H NMRおよび19F NMRで分析した結果、HO−CH2−CF2−O−(C24O)n−CF2−CH2−OH(n=5,6)であることを確認した。
前記工程(1a)、(1b)、(3)〜(5)の詳細な条件を表1に示す。
[実施例2]
繰返し数が9と10のPEG混合物を使用したこと、および、表1に示す条件を採用したこと以外は、実施例1の原料調製工程および工程(1)〜(5)と同様の方法でパーフルオロポリエーテル系化合物を製造し、生成物(2−ii)17.9gを得た。得られた生成物(2−ii)を19F NMRで分析した結果、CH3O−CO−CF2−O−(C24O)n−CF2−CO−OCH3(n=7,8)であることを確認した。
[実施例3]
和光純薬工業製ポリエチレングリコール600を使用したこと、および、表1に示す条件を採用したこと以外は実施例1の原料調製工程および工程(1)〜(5) と同様の方法でパーフルオロポリエーテル系化合物を製造し、生成物(3−ii)17.0gを得た。得られた生成物(3−ii)を19F NMRで分析した結果、CH3O−CO−CF2−O−(C24O)n−CF2−CO−OCH3であることを確認した。
[比較例1]
比較例1では、実施例1の原料調製工程で得られた生成物(1−i)の代わりにCH3CO−O−(C24O)n−COCH3(n=6)を用いたこと、工程(1b)、(2)および(3)を行わなかったこと以外は、概ね実施例1の工程(1a)、(4)および(5)と同様にして、パーフルオロポリエーテル系化合物の製造を試みた。具体的には以下のとおりである。
1LオートクレーブにNaF 35gとHFTCB400mLを導入して密閉した。オートクレーブ内の撹拌を開始して、オートクレーブ内に窒素ガスを800mL/minで1時間流通してパージした。窒素ガスを800mL/minで流通しながらオートクレーブを−10℃に冷却された冷媒に浸し、オートクレーブ内が約−10℃になるまで冷却した。フッ素ガスを200mL/minで流通してオートクレーブ内を20体積%フッ素ガスでパージした。フッ素ガスを200mL/min、窒素ガスを800mL/minで流通しながら、CH3CO−O−(C24O)n−COCH3(n=6)4.9gをHFTCB200mLに溶解して3.3mL/minの流量で流通導入した。
オートクレーブ内の撹拌を開始して、オートクレーブ内温度が約30℃になるよう外部ヒーターで加熱した。窒素ガスを450mL/min、フッ素ガスを50mL/minでオートクレーブ内に流通してフッ素化反応を開始するとともに、C66約1.5gをHFTCB30mLに溶解して0.5mL/minで流通導入した。
66を流通導入した後、フッ素ガスの流通を停止して、窒素ガスを450mL/minで1時間流通してオートクレーブ内をパージした。窒素ガスの流通を停止してオートクレーブ内が0.1MPaAの窒素雰囲気下でメタノール40gを導入した。30分間オートクレーブの撹拌を継続した後、反応液を回収した。回収した反応液からエバポレーターで溶媒を留去して回収液3.5gを得た。得られた回収液を19F NMRで分析した結果、末端が−CF3のピークが検出され、LC分析の結果、CH3O−CO−CF2−O−(C24O)n−CF2−CO−OCH3が40%、CH3O−CO−CF2−O−(C24O)n−CF3が25%、および、フッ素化が不十分と考えられる不純物が35%で検出された。
各工程における詳細な条件を表1に示す。
[比較例2]
比較例2では、実施例1の原料調製工程で得られた生成物(1−i)の代わりにCH3CO−O−(C24O)n−COCH3(n=6)を用いたこと、工程(1b)、(2)〜(4)を行わなかったこと以外は、概ね実施例1の工程(1a)および(5)と同様にして、パーフルオロポリエーテル系化合物の製造を試みた。具体的には以下のとおりである。
1LオートクレーブにNaF 35gとHFTCB400mLを導入して密閉した。オートクレーブ内の撹拌を開始して、オートクレーブ内に窒素ガスを800mL/minで1時間流通してパージした。窒素ガスを800mL/minで流通しながらオートクレーブを−10℃に冷却された冷媒に浸し、オートクレーブ内が約−10℃になるまで冷却した。フッ素ガスを200mL/minで流通してオートクレーブ内を20体積%フッ素ガスでパージした。フッ素ガスを200mL/min、窒素ガスを800mL/minで流通しながら、CH3CO−O−(C24O)n−COCH3(n=6)4.0gをHFTCB200mLに溶解して3.3mL/minの流量で流通導入した。
CH3CO−O−(C24O)n−COCH3(n=6)を流通導入した後、フッ素ガスの流通を停止して、窒素ガスを450mL/minで1時間流通してオートクレーブ内をパージした。窒素ガスの流通を停止してオートクレーブ内が0.1MPaAの窒素雰囲気下でメタノール40gを導入した。30分間オートクレーブの撹拌を継続した後、反応液を回収した。回収した反応液からエバポレーターで溶媒を留去して回収液3.6gを得た。得られた回収液をLCで分析した結果、CH3O−CO−CF2−O−(C24O)n−CF2−CO−OCH3は検出されず、フッ素化が不十分と考えられる不純物が99%で検出された。
各工程における詳細な条件を表1に示す。
Figure 0006850595

Claims (5)

  1. 下記式(i)で表される化合物、フッ化水素捕捉剤、不活性ガス、フッ素ガス、および完全ハロゲン置換された飽和の炭素数2〜8の化合物である溶媒を反応器に導入する工程(1)と、
    前記工程(1)の後に、前記反応器からフッ化水素捕捉剤を除去する工程(2)と、
    前記工程(2)の後に、前記反応器に不活性ガスおよびフッ素ガスを流通させる工程(3)と、
    前記工程(3)を行いながら、前記反応器に、ヘキサフルオロベンゼン、ヘキサクロロベンゼン、クロロペンタフルオロベンゼン、トリクロロトリフルオロベンゼン、デカフルオロビフェニル、オクタフルオロナフタレン、テトラクロロエチレン、トリクロロフルオロエチレン、ジクロロジフルオロエチレン、トリクロロトリフルオロプロペン、およびジクロロテトラフルオロプロペンから選ばれるパーハロゲン不飽和化合物を流通させる工程(4)とを含む、下記式(i)で表される化合物のフッ素化方法。
    1−O−(R−O−)n−R2 (i)
    [式(i)中、(R−O−)は−CH 2 −CH 2 −O−、−CH 2 −CH 2 −CH 2 −O−、−CH 2 −CH(CH 3 )−O−、および−CH(CH 3 )−CH 2 −O−から選ばれる構造を表し、R1およびR2は水酸基の保護基を表し、nは4〜20の整数を表す。]
  2. 前記R1およびR2がアシル基である、請求項1に記載のフッ素化方法。
  3. 前記フッ化水素捕捉剤がアルカリ金属フッ化物である、請求項1または2に記載のフッ素化方法。
  4. 請求項1〜のいずれか1項に記載のフッ素化方法を含み、かつ、
    前記工程(4)の後に、前記反応器に炭素数1〜3のアルコールを導入してエステル化反応を行う工程(5)を含む、下記式(ii)で表される化合物の製造方法。
    3O−CO−CF2−O−(Rf)n-2−CF2−CO−OR4 (ii)
    [式(ii)中、R3およびR4は炭素数1〜3のアルキル基を表し、Rfは、前記式(i)におけるRの全ての水素原子がフッ素原子に置換されたパーフルオロポリエーテル鎖を表し、nは4〜20の整数を表す。]
  5. 請求項に記載の製造方法により得られた化合物を水素化ホウ素金属によって還元する工程(6)を含む、下記式(iii)で表わされる化合物の製造方法。
    HO−CH2−CF2−O−(Rf)n-2−CF2−CH2−OH (iii)
    [式(iii)中、Rfおよびnは、前記式(ii)のRfおよびnと同義である。]
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