JP2008280294A - 多官能含フッ素アルコール類の製造方法、多官能含フッ素重合性化合物およびそれらを用いた反射防止膜、反射防止フイルム、画像表示装置 - Google Patents
多官能含フッ素アルコール類の製造方法、多官能含フッ素重合性化合物およびそれらを用いた反射防止膜、反射防止フイルム、画像表示装置 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】第1に、3官能以上の含フッ素アルコール類を安全、経済的かつ高純度で製造する方法を提供する。第2には、該製造方法により得られた多官能含フッ素アルコール類から誘導される多官能含フッ素重合性化合物を提供する。第3には、これらの多官能含フッ素重合性化合物を用いた反射防止膜、反射防止フイルムおよび画像表示装置を提供する。
【解決手段】一般式(I)で表される含フッ素カルボニル化合物を、炭素数3から5のアルコール溶媒中、水素化ホウ素金属を用いて還元する一般式(II)で表される多官能含フッ素アルコールの製造方法。
式中、Rf1はn価のフッ化アルキル基を表し、Zはハロゲン原子またはアルコキシ基を表し、nは3以上の整数を表す。
【選択図】なし
【解決手段】一般式(I)で表される含フッ素カルボニル化合物を、炭素数3から5のアルコール溶媒中、水素化ホウ素金属を用いて還元する一般式(II)で表される多官能含フッ素アルコールの製造方法。
式中、Rf1はn価のフッ化アルキル基を表し、Zはハロゲン原子またはアルコキシ基を表し、nは3以上の整数を表す。
【選択図】なし
Description
本発明は、多官能含フッ素カルボニル化合物の還元による、多官能含フッ素アルコール類の製造方法に関する。また、本発明は、該製造方法により得られた多官能含フッ素アルコール類から誘導される多官能含フッ素重合性化合物に関する。さらに、本発明は、これらを用いた反射防止膜、反射防止フイルムおよび画像表示装置に関する。
多官能含フッ素モノマーは、低屈折率、耐熱性、耐候性、撥水・撥油性、防汚性、低摩擦性等、フッ素原子に由来する特性を有する架橋材、または、ポリマー原料として有用である。これらの中で、架橋密度が高く、硬化性に優れた含フッ素多官能モノマーおよびその原料である含フッ素多官能アルコールの例が特許文献1や2に記載されている。
これらの含フッ素多官能モノマーやその原料である含フッ素多官能アルコールは、多官能カルボン酸エステルをフッ素化した後、還元工程を経て合成しているが、多官能であるが故に、すべての官能基を所望の官能基に変換するのは困難であり、また、反応中間体や副生成物の数も増えて反応系が複雑になるという問題があった。特に、フッ素化後の還元工程において改善が求められていた。
これらの含フッ素多官能モノマーやその原料である含フッ素多官能アルコールは、多官能カルボン酸エステルをフッ素化した後、還元工程を経て合成しているが、多官能であるが故に、すべての官能基を所望の官能基に変換するのは困難であり、また、反応中間体や副生成物の数も増えて反応系が複雑になるという問題があった。特に、フッ素化後の還元工程において改善が求められていた。
すなわち、上記特許文献1,2ではフッ素化後の含フッ素カルボン酸エステルの還元において水素化アルミニウムリチウムが用いられているが、該還元剤は、高活性故に、使用できる溶媒の制約が大きく、また発火の危険性も高いことから、工業的な利用は困難である。また、特許文献3では含フッ素カルボン酸エステルの還元にボラン・テトラヒドロフラン錯体を用いているが、この還元剤も安全上の懸念があり、また、コストの観点からも工業的な利用は困難である。さらに、これらの文献ではいずれも還元後カラム精製が必要であり、この観点からも工業的に利用し難いものである。
特許文献4には、分子内に1乃至2のアルコキシカルボニル基を有する含フッ素カルボン酸エステル類を、炭素数3〜5のアルコール溶媒中、水素化ホウ素金属を用いて含フッ素アルコールに還元する例が記載されているが、分子内に3つ以上のアルコキシカルボニル基を有する含フッ素エステル類の還元に関する記載はない。また、該特許文献は、基質添加後、反応を完結させるために、さらにメタノールを添加することを特徴としているが、本発明者らが検討したところ、メタノールを添加することにより構造不明の副生成物がそれぞれ少量ではあるものの多数生成することがわかった。分子内に3つ以上のアルコキシカルボニル基を有する含フッ素エステル類を還元した場合、得られる3官能アルコールは一般に高沸点のオイルであり、蒸留や再結晶による精製が困難なため、少量とはいえ反応の段階で副生成物が生成することは好ましくない。
特開2006−28280
特願2006−268406
特開2006−45159
特開平2−169528
本発明は上記諸問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、第1に、3官能以上の含フッ素アルコール類を安全、経済的かつ高純度で製造する方法を提供することにある。第2には、該製造方法により得られた多官能含フッ素アルコール類から誘導される多官能含フッ素重合性化合物を提供することにある。第3には、これらの多官能含フッ素重合性化合物を用いた反射防止膜、反射防止フイルムおよび画像表示装置を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、以下の方法により本発明を完成するに至った。すなわち、本発明によれば、以下の解決手段が提供される。
《1》一般式(I)で表される含フッ素カルボニル化合物を、炭素数3から5のアルコール溶媒中、水素化ホウ素金属を用いて還元することを特徴とする一般式(II)で表される多官能含フッ素アルコールの製造方法。
《1》一般式(I)で表される含フッ素カルボニル化合物を、炭素数3から5のアルコール溶媒中、水素化ホウ素金属を用いて還元することを特徴とする一般式(II)で表される多官能含フッ素アルコールの製造方法。
式中、Rf1はn価のフッ化アルキル基を表し、Zはハロゲン原子またはアルコキシ基を表し、nは3以上の整数を表す。
《2》一般式(I)および一般式(II)で表される化合物がそれぞれ一般式(Ia)および一般式(IIa)で表される化合物であることを特徴とする《1》に記載の多官能含フッ素アルコールの製造方法。
《2》一般式(I)および一般式(II)で表される化合物がそれぞれ一般式(Ia)および一般式(IIa)で表される化合物であることを特徴とする《1》に記載の多官能含フッ素アルコールの製造方法。
式中、Rf1aはn価のフッ化アルキル基を表し、Rf2は1価のフッ化アルキル基を表し、Zおよびnは上記と同義であり、kは0または1を表す。
《3》《2》の方法で得られる一般式(II)で表される含フッ素アルコールから誘導される一般式(III)で表される多官能重合性化合物。
《3》《2》の方法で得られる一般式(II)で表される含フッ素アルコールから誘導される一般式(III)で表される多官能重合性化合物。
式中、R11は、水素原子、フッ素原子、トリフルオロメチル基、炭素数1〜4のアルキル基を表す。R21は水酸基、イソシアネート基または加水分解される基を表し、R22は水素原子または炭化水素基を表す。R31、R32およびR33は、それぞれ独立に水素原子または炭化水素基を表し、それぞれが結合して環を形成してもよい。R41、R42、R43、R44およびR45は、それぞれ独立に水素原子または炭化水素基を表し、それぞれが結合して環を形成してもよい。R51、R52およびR53は、それぞれ独立に水素原子または炭化水素基を表し、それぞれが結合して環を形成してもよい。R61は、それぞれ独立に水素原子または炭化水素基を表す。p,q,r,s,tはそれぞれ1以上の整数であり、mは1〜3の整数である。
《4》《2》の方法で得られる一般式(IIa)で表される含フッ素アルコールから誘導される一般式(IIIa)で表される多官能重合性化合物。
《4》《2》の方法で得られる一般式(IIa)で表される含フッ素アルコールから誘導される一般式(IIIa)で表される多官能重合性化合物。
式中、Rf1a、Rf2、G、k、nは上記と同義を表す。
《5》《3》、《4》のいずれかに記載の重合性含フッ素化合物を少なくとも1種含有する硬化性樹脂組成物を硬化してなる低屈折率層を有することを特徴とする反射防止膜。
《6》《3》、《4》のいずれかに記載の重合性含フッ素化合物および無機酸化物微粒子を含有する硬化性樹脂組成物を硬化してなる低屈折率層を有することを特徴とする反射防止膜。
《7》前記無機酸化物微粒子が中空シリカ微粒子であることを特徴とする《6》に記載の反射防止膜。
《8》透明支持体上に《5》〜《7》のいずれか1項に記載の反射防止膜が設けられたことを特徴とする反射防止フィルム。
《9》《8》に記載の反射防止フィルムを備えたことを特徴とする画像表示装置。
《5》《3》、《4》のいずれかに記載の重合性含フッ素化合物を少なくとも1種含有する硬化性樹脂組成物を硬化してなる低屈折率層を有することを特徴とする反射防止膜。
《6》《3》、《4》のいずれかに記載の重合性含フッ素化合物および無機酸化物微粒子を含有する硬化性樹脂組成物を硬化してなる低屈折率層を有することを特徴とする反射防止膜。
《7》前記無機酸化物微粒子が中空シリカ微粒子であることを特徴とする《6》に記載の反射防止膜。
《8》透明支持体上に《5》〜《7》のいずれか1項に記載の反射防止膜が設けられたことを特徴とする反射防止フィルム。
《9》《8》に記載の反射防止フィルムを備えたことを特徴とする画像表示装置。
本発明によれば、3官能以上の含フッ素アルコール類を安全、経済的かつ高純度で製造することができる。また、該製造方法により得られた多官能含フッ素アルコール類から多官能含フッ素重合性化合物へと誘導し、さらにこれらの多官能含フッ素重合性化合物を用いた反射防止膜、反射防止フイルムおよび画像表示装置を作成することができる。
以下、本発明の多官能含フッ素アルコール類の製造方法、多官能含フッ素重合性化合物、反射防止膜、反射防止フイルム、および画像表示装置について詳細に説明する。
一般式(I)、(II)において、Rf1は、酸素原子を含んでいてもよい直線状、分岐状または環状のn価のフッ化アルキル基であり、好ましい炭素数としては、4〜50であり、より好ましくは5〜30であり、さらに好ましくは、10〜20である。Rf1は好ましくは、n価のペルフルオロアルキル基である。Zはハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、または酸素原子及び/又はハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)を含んでもよい、直線状、分岐状または環状のアルコキシ基(好ましい炭素数としては、1〜30であり、より好ましくは2〜20である。)であり、より好ましくは、フッ素原子または炭素数1〜5のアルコキシ基、さらに好ましくは、フッ素原子またはメトキシ基である。nは3以上の整数を表し、好ましくは20以下であり、より好ましくは10以下、さらに好ましくは6以下である。一般式(I)、(II)の好ましい態様はそれぞれ一般式(Ia)、(IIa)で表されるものである。
一般式(I)、(II)において、Rf1は、酸素原子を含んでいてもよい直線状、分岐状または環状のn価のフッ化アルキル基であり、好ましい炭素数としては、4〜50であり、より好ましくは5〜30であり、さらに好ましくは、10〜20である。Rf1は好ましくは、n価のペルフルオロアルキル基である。Zはハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、または酸素原子及び/又はハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)を含んでもよい、直線状、分岐状または環状のアルコキシ基(好ましい炭素数としては、1〜30であり、より好ましくは2〜20である。)であり、より好ましくは、フッ素原子または炭素数1〜5のアルコキシ基、さらに好ましくは、フッ素原子またはメトキシ基である。nは3以上の整数を表し、好ましくは20以下であり、より好ましくは10以下、さらに好ましくは6以下である。一般式(I)、(II)の好ましい態様はそれぞれ一般式(Ia)、(IIa)で表されるものである。
一般式(Ia)〜(IIa)において、Rf1aは、酸素原子を含んでいてもよい直線状、分岐状または環状のn価のフッ化アルキル基または4級炭素であり、好ましい炭素数としては、1〜20であり、より好ましくは1〜10であり、さらに好ましくは、1〜5である。Rf1aは、好ましくはn価のペルフルオロアルキル基または4級炭素である。
Rf2は、酸素原子を含んでもよい、直線状、分岐状または環状の1価のフッ化アルキル基であり、好ましい炭素数としては、1〜10であり、より好ましくは1〜5であり、最も好ましくは1である。Rf2は、好ましくは1価のペルフルオロアルキル基である。kは0または1を表し、kが1を表す時、Rf2は好ましくは、フッ素原子を表す。Zおよびnは、それぞれ上記と同義を表す。
Rf2は、酸素原子を含んでもよい、直線状、分岐状または環状の1価のフッ化アルキル基であり、好ましい炭素数としては、1〜10であり、より好ましくは1〜5であり、最も好ましくは1である。Rf2は、好ましくは1価のペルフルオロアルキル基である。kは0または1を表し、kが1を表す時、Rf2は好ましくは、フッ素原子を表す。Zおよびnは、それぞれ上記と同義を表す。
以下に、一般式(I)および(II)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
一般式(II)および(IIa)で表される含フッ素アルコールから誘導される一般式(III)および(IIIa)で表される多官能含フッ素重合性化合物において、Rf1a、Rf2、k、nは上記と同義を表し、Gは、G1〜G6から選ばれるいずれかの基を表す。
G1において、R11は水素原子、フッ素原子、トリフルオロメチル基、炭素数1〜4のアルキル基を表し、好ましくは水素原子またはメチル基である。
G2において、R21は水酸基、イソシアネート基または加水分解される基を表し、R22は水素原子または炭化水素基を表し、pは1以上の整数であり、mは1〜3の整数を表す。R21において、加水分解される基は加水分解反応により水酸基に変換される基をいい、例えば、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等)、アシルオキシ基(アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基等)などが挙げられる。R21として好ましくは、水酸基またはアルコキシ基であり、特に好ましくは、水酸基またはメトキシ基である。
G1において、R11は水素原子、フッ素原子、トリフルオロメチル基、炭素数1〜4のアルキル基を表し、好ましくは水素原子またはメチル基である。
G2において、R21は水酸基、イソシアネート基または加水分解される基を表し、R22は水素原子または炭化水素基を表し、pは1以上の整数であり、mは1〜3の整数を表す。R21において、加水分解される基は加水分解反応により水酸基に変換される基をいい、例えば、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等)、アシルオキシ基(アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基等)などが挙げられる。R21として好ましくは、水酸基またはアルコキシ基であり、特に好ましくは、水酸基またはメトキシ基である。
R22で表される炭化水素基は好ましくは炭素数1〜10の置換または無置換の直鎖、分岐鎖または環状のアルキル基、炭素数1〜10の置換または無置換の直鎖、分岐鎖または環状のアルケニル基、炭素数1〜10の置換または無置換の直鎖、分岐鎖または環状のアルキニル基、または炭素数6〜10の置換または無置換のアリール基で、より好ましくは、メチル基、エチル基、ビニル基、アリル基、フェニル基である。
pは好ましくは1〜4の整数であり、より好ましくは、2または3である。mは好ましくは3である。
G3において、R31、R32およびR33は、それぞれ独立に水素原子または炭化水素基を表し、それぞれが結合して環を形成してもよく、qは1以上の整数を表す。炭化水素基は、好ましくは炭素数1〜10の置換または無置換の直鎖、分岐鎖または環状のアルキル基または炭素数6〜10の置換または無置換のアリール基で、より好ましくは炭素数1〜4の無置換のアルキル基である。R31、R32およびR33は好ましくは水素原子であり、qは好ましくは1〜4の整数であり、より好ましくは1である。
pは好ましくは1〜4の整数であり、より好ましくは、2または3である。mは好ましくは3である。
G3において、R31、R32およびR33は、それぞれ独立に水素原子または炭化水素基を表し、それぞれが結合して環を形成してもよく、qは1以上の整数を表す。炭化水素基は、好ましくは炭素数1〜10の置換または無置換の直鎖、分岐鎖または環状のアルキル基または炭素数6〜10の置換または無置換のアリール基で、より好ましくは炭素数1〜4の無置換のアルキル基である。R31、R32およびR33は好ましくは水素原子であり、qは好ましくは1〜4の整数であり、より好ましくは1である。
G4においてR41、R42、R43、R44およびR45はそれぞれ独立に水素原子または炭化水素基を表し、それぞれが結合して環を形成してもよく、rは1以上の整数を表す。炭化水素基は、好ましくは炭素数1〜10の置換または無置換の直鎖、分岐鎖または環状のアルキル基または炭素数6〜10の置換または無置換のアリール基で、より好ましくは炭素数1〜4の無置換のアルキル基である。R41〜R45は好ましくは水素原子であり、rは好ましくは1〜4の整数であり、より好ましくは1である。
G5において、R51、R52およびR53は、それぞれ独立に水素原子または炭化水素基を表し、それぞれが結合して環を形成してもよく、sは1以上の整数を表す。炭化水素基は、好ましくは炭素数1〜10の置換または無置換の直鎖、分岐鎖または環状のアルキル基または炭素数6〜10の置換または無置換のアリール基で、より好ましくは炭素数1〜4の無置換のアルキル基およびフェニル基である。R51〜R53は好ましくは水素原子であり、sは好ましくは1〜4の整数であり、より好ましくは1である。
G5において、R51、R52およびR53は、それぞれ独立に水素原子または炭化水素基を表し、それぞれが結合して環を形成してもよく、sは1以上の整数を表す。炭化水素基は、好ましくは炭素数1〜10の置換または無置換の直鎖、分岐鎖または環状のアルキル基または炭素数6〜10の置換または無置換のアリール基で、より好ましくは炭素数1〜4の無置換のアルキル基およびフェニル基である。R51〜R53は好ましくは水素原子であり、sは好ましくは1〜4の整数であり、より好ましくは1である。
G6において、R61は、水素原子または炭化水素基を表し、tは1以上の整数を表す。炭化水素基は、好ましくは炭素数1〜10の置換または無置換の直鎖、分岐鎖または環状のアルキル基または炭素数6〜10の置換または無置換のアリール基で、より好ましくは炭素数1〜4の無置換のアルキル基およびフェニル基である。R61は好ましくは水素原子であり、tは好ましくは1〜4の整数であり、より好ましくは1である。
以下に、G1〜G6で表される重合性基の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下に、G1〜G6で表される重合性基の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明において、好ましい重合性基は上記G1で表されるものであり、G1を有する一般式(III)で表される多官能含フッ素重合性化合物の具体例としては以下のものが挙げられる。但し、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明において、一般式(III)で表される多官能含フッ素重合性化合物は下記(1)〜(3)の工程を経由して合成することが好ましい。
(1)一般式(IV)および/または(V)で表される化合物を液相中でフッ素ガスを用いてフッ素化して一般式(I)で表される含フッ素カルボニル化合物を合成する工程。
(2)一般式(I)で表される含フッ素カルボニル化合物を還元して一般式(II)で表される含フッ素アルコール類に変換する工程。
(3)一般式(II)で表される含フッ素アルコール類に重合性基を導入して、一般式(III)で表される多官能含フッ素重合性化合物を合成する工程。
(1)一般式(IV)および/または(V)で表される化合物を液相中でフッ素ガスを用いてフッ素化して一般式(I)で表される含フッ素カルボニル化合物を合成する工程。
(2)一般式(I)で表される含フッ素カルボニル化合物を還元して一般式(II)で表される含フッ素アルコール類に変換する工程。
(3)一般式(II)で表される含フッ素アルコール類に重合性基を導入して、一般式(III)で表される多官能含フッ素重合性化合物を合成する工程。
式中、R1は少なくとも炭素原子及び水素原子を含み、酸素原子及び/又はハロゲン原子を含んでもよく、また、不飽和結合を含んでもよい、直線状、分岐状または環状のn価の炭化水素基を表し、好ましい炭素数としては、4〜50であり、より好ましくは5〜30であり、さらに好ましくは、10〜20である。
R3は、酸素原子及び/又はハロゲン原子を含んでもよい、直線状、分岐状または環状の1価のアルキル基であり、好ましい炭素数としては、1〜30であり、より好ましくは2〜20である。R3はフッ素原子を含有していることが好ましく、より好ましくは−CH2(CF2)gY(式中、Yは水素原子またはフッ素原子を表し、gは1〜20、好ましくは2〜10の整数を表す。)または−CH2CF(CF3)[OCF2CF(CF3)]hO(CF2)3F(式中、hは0〜10、好ましくは0〜5の整数を表す。)で表される基である。
R4は、酸素原子及び/又はハロゲン原子を含んでもよい、直線状、分岐状または環状の1価のアルキル基であり、好ましい炭素数としては、1〜30であり、好ましくは2〜20である。R4はフッ素原子を含有していることが好ましく、より好ましくは、−(CF2)gY(式中、Y,gはそれぞれ上記と同義を表す。)または−CF(CF3)[OCF2CF(CF3)]hO(CF2)3F(式中、hは上記と同義を表す。)で表される基である。nは上記と同義を表す。
R4は、酸素原子及び/又はハロゲン原子を含んでもよい、直線状、分岐状または環状の1価のアルキル基であり、好ましい炭素数としては、1〜30であり、好ましくは2〜20である。R4はフッ素原子を含有していることが好ましく、より好ましくは、−(CF2)gY(式中、Y,gはそれぞれ上記と同義を表す。)または−CF(CF3)[OCF2CF(CF3)]hO(CF2)3F(式中、hは上記と同義を表す。)で表される基である。nは上記と同義を表す。
一般式(IV)および(V)の好ましい態様はそれぞれ一般式(IVa)および(Va)で表される化合物である。
R1aは少なくとも炭素原子及び水素原子を含み、酸素原子及び/又はハロゲン原子を含んでもよく、また、不飽和結合を含んでもよい、直線状、分岐状または環状のn価の炭化水素基または4級炭素であり、好ましい炭素数としては、1〜20であり、より好ましくは1〜10であり、さらに好ましくは、1〜5である。R3aおよびR4aはそれぞれ上記R3、R4と同義を表す。R2aは水素原子または、酸素原子及び/又はハロゲン原子を含んでもよい、直線状、分岐状または環状の1価のアルキル基であり、好ましい炭素数としては、1〜10であり、より好ましくは1〜5であり、最も好ましくは1である。kおよびnはそれぞれ上記と同義であり、kが1を表す時、R2aは好ましくは水素原子を表す。
以下に、一般式(IV)および(V)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下に、一般式(IV)および(V)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
一般式(IV)で表される含フッ素カルボニル化合物の合成法は特に限定されない。例えば、化合物例(IV−13)、(IV−17)などは、市販の多官能カルボン酸誘導体と含フッ素アルコールとのエステル化反応によって得ることができる。
一般式(IVa)で表される化合物の合成法は特に限定されないが、例えば、市販の多官能アルコールR1a−(OH)nから以下のルートにより合成することができる。
一般式(IVa)で表される化合物の合成法は特に限定されないが、例えば、市販の多官能アルコールR1a−(OH)nから以下のルートにより合成することができる。
式中、R1a、R5a、R3a、nは上記と同義であり、Xはハロゲン原子(好ましくは、塩素原子または臭素原子)を表す。
一般式(V)[(Va)を含む]で表される化合物の合成法は特に限定されないが、例えば、一般式(IV)[(IVa)を含む]で表される化合物を還元して多官能アルコールとした後に、アシル化することによって得ることができる。還元方法としては、水素/遷移金属触媒を用いた接触還元による方法や、水素化リチウムアルミニウム、水素化ホウ素ナトリウム等の金属水素錯化合物を用いる方法等が考えられるが、安全性やコストを考慮すると水素化ホウ素ナトリウムによる還元が好ましい。
一般式(V)[(Va)を含む]で表される化合物の合成法は特に限定されないが、例えば、一般式(IV)[(IVa)を含む]で表される化合物を還元して多官能アルコールとした後に、アシル化することによって得ることができる。還元方法としては、水素/遷移金属触媒を用いた接触還元による方法や、水素化リチウムアルミニウム、水素化ホウ素ナトリウム等の金属水素錯化合物を用いる方法等が考えられるが、安全性やコストを考慮すると水素化ホウ素ナトリウムによる還元が好ましい。
上記(1)〜(3)の工程を経て、所望の機能を有する一般式(III)で表される多官能重合性化合物を含む組成物を経済的に製造するためには、1)各工程できるだけ安全で安価な試薬や溶媒を用いること、2)できるかぎりきれいに反応を進行させ、カラム精製を行わないで目的物を取り出すこと、が肝要である。これらを実現するための各工程の具体的な反応条件について以下に述べる。
まず、(1)一般式(IV)および/または(V)を含む化合物を液相中でフッ素ガスを用いてフッ素化する工程について説明する。
本発明においてフッ素化は、好ましくはペルフルオロ化である。ここで、ペルフルオロ化とは化合物中の全てのC−H結合をC−F結合に変換し、また、炭素−炭素不飽和結合が存在する場合には飽和するまでF2を付加させることを意味する。
本発明においてフッ素化は、好ましくはペルフルオロ化である。ここで、ペルフルオロ化とは化合物中の全てのC−H結合をC−F結合に変換し、また、炭素−炭素不飽和結合が存在する場合には飽和するまでF2を付加させることを意味する。
フッ素化工程は、米国特許第5093432号公報やWO00/56694公報等に記載されているのと同様な方法、すなわち、フッ素で飽和した溶媒中に、一般式(IV)および/または(V)で表される化合物及び、窒素やヘリウム等の不活性ガスで希釈された理論量以上のフッ素ガスを同時に供給していく方法で行うことが好ましい。このとき一般式(IV)および/または(V)で表される化合物は溶媒で希釈して添加してもよいし、希釈しないでそのまま添加してもよい。
フッ素化工程に適した溶媒は、反応条件下フッ素ガスと反応しない溶媒、すなわちC−H結合及び、炭素−炭素不飽和結合を含まない溶媒であり、好ましくはペルフルオロアルカン類、または、塩素原子、窒素原子および酸素原子から選ばれる1種類以上の原子を構造中に有するペルフルオロ化合物である。
このような溶媒の例としては、ペルフルオロアルカン化合物[FC−72(商品名、住友スリーエム社製)等]、ペルフルオロエーテル化合物[FC−75,FC−77(共に商品名、住友スリーエム社製)等]、ペルフルオロポリエーテル化合物[商品名:クライトックス(KrytoxR、DuPont社商標)、ペルフルオロ酸フルオリド類、フォブリン(FomblinR、AUSIMONT社商標)、ガルデン(GaldenR、AUSIMONT社商標)、デムナム{ダイキン工業(株)}等)、クロロフルオロカーボン類(CFC−11,CFC−113等)、クロロフルオロポリエーテル化合物、ペルフルオロトリアルキルアミン化合物、不活性流体(商品名:フロリナート、FluorinertR、3M社商標)等が挙げられる。
このような溶媒の例としては、ペルフルオロアルカン化合物[FC−72(商品名、住友スリーエム社製)等]、ペルフルオロエーテル化合物[FC−75,FC−77(共に商品名、住友スリーエム社製)等]、ペルフルオロポリエーテル化合物[商品名:クライトックス(KrytoxR、DuPont社商標)、ペルフルオロ酸フルオリド類、フォブリン(FomblinR、AUSIMONT社商標)、ガルデン(GaldenR、AUSIMONT社商標)、デムナム{ダイキン工業(株)}等)、クロロフルオロカーボン類(CFC−11,CFC−113等)、クロロフルオロポリエーテル化合物、ペルフルオロトリアルキルアミン化合物、不活性流体(商品名:フロリナート、FluorinertR、3M社商標)等が挙げられる。
反応温度は好ましくは−78℃〜100℃であり、さらに好ましくは−50℃〜80℃であり、より好ましくは−20℃〜50℃である。反応圧力は常圧〜2MPaが好ましく、より好ましくは常圧である。
一般式(IV)および/または(V)で表される化合物を供給後、フッ素化がペルフルオロ化まで達していない場合には、必要により一般式(IV)および/または(V)で表される化合物以外のC−Hand/or不飽和結合含有化合物をフッ素ガスとともに供給するか、または、フッ素ガスを供給しながら反応系に紫外線を照射することによりペルフルオロ化反応をより速やかに終了することができる。好ましいC−Hand/or不飽和結合化合物としてはベンゼン、トルエン、ヘキサフルオロベンゼン、α,α,α−トリフルオロメチルベンゼンなどが挙げられる。これらのC−Hand/or不飽和結合化合物の添加量は、好ましくは一般式(I)および/または(II)で表される化合物中の水素原子に対して0.1〜10モル%であり、より好ましくは0.1〜5モル%である。
一般式(IV)および/または(V)で表される化合物を供給後、フッ素化がペルフルオロ化まで達していない場合には、必要により一般式(IV)および/または(V)で表される化合物以外のC−Hand/or不飽和結合含有化合物をフッ素ガスとともに供給するか、または、フッ素ガスを供給しながら反応系に紫外線を照射することによりペルフルオロ化反応をより速やかに終了することができる。好ましいC−Hand/or不飽和結合化合物としてはベンゼン、トルエン、ヘキサフルオロベンゼン、α,α,α−トリフルオロメチルベンゼンなどが挙げられる。これらのC−Hand/or不飽和結合化合物の添加量は、好ましくは一般式(I)および/または(II)で表される化合物中の水素原子に対して0.1〜10モル%であり、より好ましくは0.1〜5モル%である。
フッ素化反応の進行とともにフッ化水素が副生するが、このフッ化水素を除去するには、反応系中にフッ化水素補足剤を共存させる、または、反応器ガス出口でフッ化水素補足剤と出口ガスを接触させるのが好ましい。フッ化水素補足剤としてはトリアルキルアミン等の有機塩基およびフッ化ナトリウムやフッ化カリウム等のアルカリ金属フッ化物が挙げられ、より好ましくはフッ化ナトリウムである。
反応系中にフッ化水素補足剤を共存させる場合、フッ化水素補足剤の量は、一般式(IV)および/または(V)で表される化合物中に存在する全水素原子量に対して1〜20倍モルが好ましく、1〜5倍モルがより好ましい。
反応系中にフッ化水素補足剤を共存させる場合、フッ化水素補足剤の量は、一般式(IV)および/または(V)で表される化合物中に存在する全水素原子量に対して1〜20倍モルが好ましく、1〜5倍モルがより好ましい。
フッ素化工程でペルフルオロ化されて得られる化合物は、例えば、化合物例(I−3)や(I−4)のようなペルフルオロエステルである。このようなペルフルオロエステルをそのまま還元して化合物例(II−3)、(II−4)のような含フッ素アルコールに誘導してもよいが、好ましくは、フッ素化工程で得られたペルフルオロエステルを化合物例(I−7)や(I−8)のような酸フルオリドもしくは、化合物例(I−2)、(I−6)、(I−9)、(I−10)などのような低級アルキルエステルに変換した後に還元するのが好ましい。
フッ素化工程で得られたペルフルオロエステルの酸フルオリドへの変換は、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム等のアルカリ金属フッ化物の存在下、ペルフルオロエステルを熱分解することにより行うことができる。使用するアルカリ金属フッ化物の量は、ペルフルオロエステルに対して、好ましくは0.01〜5当量であり、より好ましくは0.1〜1当量である。反応温度は好ましくは50〜300℃であり、より好ましくは100〜250℃である。反応は気相で行っても、液相で行ってもよい。液相反応の場合、溶媒は、ペルフルオロエステルと相溶性があり、かつ原料および生成物と反応しないものであれば特に制限はなく、例えば、上記で述べたペルフルオロポリエーテル化合物、クロロフルオロポリエーテル化合物、ペルフルオロ酸フルオリド類等を用いてもよいが、溶媒と生成物との分離を考慮すると無溶媒または生成する酸フルオリドと同じ酸フルオリドを溶媒とするのが好ましい。
フッ素化工程で得られたペルフルオロエステルの低級アルキルエステルへの変換は、
ペルフルオロエステルまたは上記の方法で得られる酸フルオリドに対してメタノールやエタノール等の低級アルコールを作用させることにより行うことができる。反応温度は好ましくは−20〜100℃であり、より好ましくは0〜50℃である。反応は溶媒中で行ってもよいし、無溶媒で行ってもよい。また、塩基の存在下で反応を行ってもよいし、無塩基で行ってもよい。
使用できる溶媒としては、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、アセトン、酢酸エチル、ヘキサン、トルエン、キシレン、アセトニトリル等および上記フッ素化反応で使用した溶媒およびこれらの混合溶媒を挙げることができる。溶媒の使用量はペルフルオロエステルおよび/または酸フルオリドに対して1〜100質量倍が好ましく、2〜50質量倍がより好ましい。
ペルフルオロエステルまたは上記の方法で得られる酸フルオリドに対してメタノールやエタノール等の低級アルコールを作用させることにより行うことができる。反応温度は好ましくは−20〜100℃であり、より好ましくは0〜50℃である。反応は溶媒中で行ってもよいし、無溶媒で行ってもよい。また、塩基の存在下で反応を行ってもよいし、無塩基で行ってもよい。
使用できる溶媒としては、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、アセトン、酢酸エチル、ヘキサン、トルエン、キシレン、アセトニトリル等および上記フッ素化反応で使用した溶媒およびこれらの混合溶媒を挙げることができる。溶媒の使用量はペルフルオロエステルおよび/または酸フルオリドに対して1〜100質量倍が好ましく、2〜50質量倍がより好ましい。
使用できる塩基としては、ピリジン、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン等の有機塩基、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の無機塩基が挙げられる。また、フッ化水素捕捉剤としてフッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム等のアルカリ金属フッ化物を用いてもよい。
塩基の使用量としてはペルフルオロエステルおよび/または酸フルオリドに対して0.5〜10当量が好ましく、1〜3当量がより好ましい。
使用する低級アルコールの量は特に制約は無いが、ペルフルオロエステルおよび/または酸フルオリドに対して1〜100当量が好ましく、4〜20当量がより好ましい。
塩基の使用量としてはペルフルオロエステルおよび/または酸フルオリドに対して0.5〜10当量が好ましく、1〜3当量がより好ましい。
使用する低級アルコールの量は特に制約は無いが、ペルフルオロエステルおよび/または酸フルオリドに対して1〜100当量が好ましく、4〜20当量がより好ましい。
一般式(I)で表される含フッ素カルボニル化合物を一般式(II)で表される含フッ素アルコール類に還元する方法として、例えば水素/遷移金属触媒を用いた接触還元による方法や水素化ホウ素金属、水素化アルミニウムリチウム、水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム(商品名Red−Al,Vitride)等の金属水素錯化合物による方法などが考えられるが、これらの中で、水素化ホウ素金属を用いる方法が経済性や安全性の観点からより好ましい。水素化ホウ素金属としては、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、水素化ホウ素マグネシウム、水素化ホウ素カルシウム等を使用することができるが、これらの中で水素化ホウ素ナトリウムが最も好ましい。
水素化ホウ素金属を用いて還元する場合、炭素数3から5のアルコール類を少なくとも1種類含む溶媒中に水素化ホウ素ナトリウムを分散させ、そこに一般式(I)で表される含フッ素カルボニル化合物をを供給していく方法が好ましい。
炭素数3から5のアルコール類としては、n‐プロパノール、イソプロパノール、n‐ブタノール、sec‐ブタノール、tert‐ブタノール等、n‐ペンタノール等を挙げることができるが、中でもイソプロパノールが好ましい。また、これらのアルコールの他にテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジオキサン、ジクロペンチルメチルエーテル、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル系溶媒を共溶媒として用いてもよい。
炭素数3から5のアルコール類としては、n‐プロパノール、イソプロパノール、n‐ブタノール、sec‐ブタノール、tert‐ブタノール等、n‐ペンタノール等を挙げることができるが、中でもイソプロパノールが好ましい。また、これらのアルコールの他にテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジオキサン、ジクロペンチルメチルエーテル、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル系溶媒を共溶媒として用いてもよい。
水素化ホウ素ナトリウム/アルコール系溶媒分散液への一般式(I)で表される含フッ素カルボニル化合物の供給方法として、これらの化合物を溶媒で希釈して供給してもよいし、無希釈で供給してもよい。溶媒で希釈して供給する場合の溶媒としては、上記で述べた炭素数3〜5のアルコール溶媒やエーテル系溶媒を用いることができる。ペルフルオロエステルや酸フルオリド等、アルコール溶媒と反応する可能性のある原料を希釈する場合には、エーテル系溶媒が好ましい。供給速度(カルボニル基換算)としては、使用する水素化ホウ素ナトリウム1モルあたり0.002〜0.2モル/分が好ましく、より好ましくは0.004〜0.1モル/分である。
用いる水素化ホウ素ナトリウムの当量数は、カルボニル基1モル当量あたり、0.5〜10モル当量用いるのが好ましく、より好ましくは1〜3モル当量である。
溶媒に対する水素化ホウ素ナトリウムの濃度は0.05〜10質量%が好ましく、より好ましくは、0.2〜5質量%であり、さらに好ましくは0.5〜2である。
反応温度は0℃〜100℃であり、好ましくは10〜80℃、さらに好ましくは20〜60℃である。反応時間は一般式(I)で表される含フッ素カルボニル化合物を供給後、10分〜6時間であり、より好ましくは30分〜3時間である。尚、一般式(I)で表される含フッ素カルボニル化合物を供給後、反応進行が遅かったり、反応が完全に行き切らない場合、反応液にメタノールあるいはエタノールを添加することにより反応を加速させることができる。メタノールあるいはエタノールを添加する場合、その量は、用いた溶媒の1〜50質量%であり、好ましくは2〜20質量%である。高純度の含フッ素アルコールを得るためには、メタノールやエタノールは添加しないほうが好ましい。
溶媒に対する水素化ホウ素ナトリウムの濃度は0.05〜10質量%が好ましく、より好ましくは、0.2〜5質量%であり、さらに好ましくは0.5〜2である。
反応温度は0℃〜100℃であり、好ましくは10〜80℃、さらに好ましくは20〜60℃である。反応時間は一般式(I)で表される含フッ素カルボニル化合物を供給後、10分〜6時間であり、より好ましくは30分〜3時間である。尚、一般式(I)で表される含フッ素カルボニル化合物を供給後、反応進行が遅かったり、反応が完全に行き切らない場合、反応液にメタノールあるいはエタノールを添加することにより反応を加速させることができる。メタノールあるいはエタノールを添加する場合、その量は、用いた溶媒の1〜50質量%であり、好ましくは2〜20質量%である。高純度の含フッ素アルコールを得るためには、メタノールやエタノールは添加しないほうが好ましい。
上記方法で得られる一般式(II)で表される含フッ素アルコール類に重合性基Gを導入する方法は特に限定されないが、塩基存在下、G−X(Xはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子であり、好ましくは塩素原子)で表されるハロゲン化合物と反応させるのが好ましい。Gがアクリル誘導体の場合、G−Xは酸ハライドであり、反応性の点でより好ましい。
以下、一般式(II)で表される含フッ素アルコール類とCH2=CH(R11)COClで表されるアクリル酸類の酸クロリドによるエステル化反応について述べる。
好ましい塩基としては、ピリジン、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン等の有機塩基、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、水素化ナトリウム等の無機塩基などが挙げられる。中でも、炭酸金属塩が好ましく、炭酸カリウムが特に好ましい。使用する塩基は、水酸基1モル当量あたり、0.1当量〜10当量が好ましく、より好ましくは1当量〜3当量である。
好ましい塩基としては、ピリジン、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン等の有機塩基、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、水素化ナトリウム等の無機塩基などが挙げられる。中でも、炭酸金属塩が好ましく、炭酸カリウムが特に好ましい。使用する塩基は、水酸基1モル当量あたり、0.1当量〜10当量が好ましく、より好ましくは1当量〜3当量である。
溶媒を用いてもよいし、無溶媒で行ってもよい。好ましい溶媒としてはジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、アセトン、2−ブタノン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、ヘキサン、トルエン、キシレン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、1−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、DMSO、スルホラン等が挙げられる。より好まし溶媒としては、テトラヒドロフラン、アセトン、2−ブタノン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、1−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等を挙げることができる。使用する溶媒の量としては特に制約は無いが、好ましくは含フッ素アルコール類の0.5〜100質量倍であり、より好ましくは1〜10質量倍である。
使用するCH2=CH(R11)COClの量は、水酸基1モル当量あたり、0.5当量〜5当量用いるのが好ましく、より好ましくは1〜3当量である。
反応温度は、0℃〜100℃が好ましく、より好ましくは20℃〜50℃である。反応時間は使用する塩基、溶媒および反応温度によって左右される。これらを適切に調節して12時間以内(好ましくは6時間以内)で反応を行うことが好ましい。
反応温度は、0℃〜100℃が好ましく、より好ましくは20℃〜50℃である。反応時間は使用する塩基、溶媒および反応温度によって左右される。これらを適切に調節して12時間以内(好ましくは6時間以内)で反応を行うことが好ましい。
上記方法によって得られる一般式(II)表される含フッ素アルコール類および/または一般式(III)で表される含フッ素重合性化合物が、高沸点のオイルで、蒸留や再結晶による精製が不可能な場合、これらは、カラムクロマトグラフィーによる精製を行って用いてもよいし、カラムクロマトグラフィーによる精製を行わずに所望の目的に用いてもよい。経済性を考えると、カラムクロマトグラフィーによる精製を行わずに用いるのが好ましく、その場合、一般式(II)や一般式(III)で表される化合物は幾つかの成分の混合物でもよい。例えば、具体例(III−9)で表される化合物を、(1)〜(3)の工程においていずれもカラムクロマトグラフィーによる精製を行わずに合成し、以下のような成分を含む混合物として用いてもよい。また、これ以外の副生成物が含まれていても構わない。
式中、b、c、d、e、f、gはそれぞれ0〜4であって、b+c+d+e+f+g=4を満たす整数を表す。
本発明において、一般式(IV)および/または(V)を含む化合物から、一般式(II)で表される含フッ素アルコールを含む混合物を経由し、一般式(III)で表される含フッ素重合性化合物の混合物を得た場合、この混合物(反応溶媒は除く)中の一般式(III)で表される含フッ素重合性化合物の含有率は好ましくは30質量%以上であり、より好ましくは60質量%以上であり、さらに好ましくは75質量%以上である。
本発明において、一般式(IV)および/または(V)を含む化合物から、一般式(II)で表される含フッ素アルコールを含む混合物を経由し、一般式(III)で表される含フッ素重合性化合物の混合物を得た場合、この混合物(反応溶媒は除く)中の一般式(III)で表される含フッ素重合性化合物の含有率は好ましくは30質量%以上であり、より好ましくは60質量%以上であり、さらに好ましくは75質量%以上である。
本発明の反射防止膜の低屈折率層を形成するための硬化性樹脂組成物は、上記で述べた一般式(III)で表される含フッ素重合性化合物の他に、無機酸化物微粒子を含有することが好ましい。また、一般式(III)で表される含フッ素重合性化合物の他に、重合性の不飽和結合を有する化合物を有していてもよい。
上記、無機酸化物微粒子は粒子サイズが5nm以上120nm以下の無機微粒子であることが好ましく、より好ましくは、内部に空孔を有する無機微粒子であり、さらに好ましくは、中空シリカ微粒子である。これらの無機微粒子および一般式(III)で表される含フッ素重合性化合物以外の重合性の不飽和化合物を有する化合物の詳細については、特願2006−290035の段落[0056]〜段落[0116]に詳しく記載されている。
本発明の反射防止膜、反射防止フイルムを形成するために必要なその他の材料や層構成等および本発明の画像表示装置については、特願2006−290035の段落[0117]〜段落[0170]や特願平2006−268406の段落[0051]〜段落[0088]等に詳しく記載されている。
上記、無機酸化物微粒子は粒子サイズが5nm以上120nm以下の無機微粒子であることが好ましく、より好ましくは、内部に空孔を有する無機微粒子であり、さらに好ましくは、中空シリカ微粒子である。これらの無機微粒子および一般式(III)で表される含フッ素重合性化合物以外の重合性の不飽和化合物を有する化合物の詳細については、特願2006−290035の段落[0056]〜段落[0116]に詳しく記載されている。
本発明の反射防止膜、反射防止フイルムを形成するために必要なその他の材料や層構成等および本発明の画像表示装置については、特願2006−290035の段落[0117]〜段落[0170]や特願平2006−268406の段落[0051]〜段落[0088]等に詳しく記載されている。
以下、実施例に基づき本発明についてさらに詳細に説明するが本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1:化合物例(III−6)の合成>
[化合物例(I−6)の合成]
原料供給口、フッ素供給口、へリウムガス供給口およびドライアイスで冷却した還流装置を経由してフッ素トラップに接続されている排気口を備えた500mlテフロン(登録商標)製容器に、フッ化ナトリウム(29.5g)およびFC−72(350ml)を入れて、内温0℃にてヘリウムガスを流速100ml/minで30分間吹き込んだ。引き続き20%F2/N2ガスを100ml/minで30分間吹き込んだ後、フッ素流量を200ml/minとし、化合物例(IV−6)(15g)とヘキサフルオロベンゼン(4.35ml)の混合溶液を2.6ml/hで添加した。フッ素流量を100ml/minに下げ、ヘキサフルオロベンゼン(1.3ml)を0.6ml/hで添加し、さらに20%F2/N2ガスを100ml/minで15分間流した。反応器をヘリウムガスで置換した後、メタノール(100ml)を加え、1時間攪拌した。反応液をろ過した後、常圧にてFC−72を加熱留去し、さらに100mmHgの減圧下でメタノールを留去した。濃縮残留物をAK−225/炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、AK−225層を硫酸マグネシウム上で乾燥した。AK−225を300mmHgで留去した後、残留物を2mmHgで蒸留精製することにより、化合物例(I−6)(3.5g、40%)を無色の油状物として得た。
1H NMR(CDCl3) δ 3.98(s,3H)
19F NMR(CDCl3) δ −63.04〜−63.15(m, 3F), −63.78(d, J=154Hz, 3F), −68.46(d, J=154Hz, 3F), −82.10(s, 9F), −130.98〜−131.31(m, 3F)
b.p.=115℃( 2mmHg)
[化合物例(I−6)の合成]
原料供給口、フッ素供給口、へリウムガス供給口およびドライアイスで冷却した還流装置を経由してフッ素トラップに接続されている排気口を備えた500mlテフロン(登録商標)製容器に、フッ化ナトリウム(29.5g)およびFC−72(350ml)を入れて、内温0℃にてヘリウムガスを流速100ml/minで30分間吹き込んだ。引き続き20%F2/N2ガスを100ml/minで30分間吹き込んだ後、フッ素流量を200ml/minとし、化合物例(IV−6)(15g)とヘキサフルオロベンゼン(4.35ml)の混合溶液を2.6ml/hで添加した。フッ素流量を100ml/minに下げ、ヘキサフルオロベンゼン(1.3ml)を0.6ml/hで添加し、さらに20%F2/N2ガスを100ml/minで15分間流した。反応器をヘリウムガスで置換した後、メタノール(100ml)を加え、1時間攪拌した。反応液をろ過した後、常圧にてFC−72を加熱留去し、さらに100mmHgの減圧下でメタノールを留去した。濃縮残留物をAK−225/炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、AK−225層を硫酸マグネシウム上で乾燥した。AK−225を300mmHgで留去した後、残留物を2mmHgで蒸留精製することにより、化合物例(I−6)(3.5g、40%)を無色の油状物として得た。
1H NMR(CDCl3) δ 3.98(s,3H)
19F NMR(CDCl3) δ −63.04〜−63.15(m, 3F), −63.78(d, J=154Hz, 3F), −68.46(d, J=154Hz, 3F), −82.10(s, 9F), −130.98〜−131.31(m, 3F)
b.p.=115℃( 2mmHg)
[化合物例(II−6)の合成]
滴下漏斗、還流冷却管、及び温度計を取り付けたガラス製反応容器に、水素化ホウ素ナトリウム(0.5g、13.2mmol)、イソプロピルアルコール40mlを取り、40℃に加熱した浴中で攪拌させた。これに、上記で得た化合物例(I−6)(3.0g、4.0mmol)をイソプロピルアルコール20mlに溶解させた溶液を滴下し、そのまま4時間攪拌させた。浴を外し室温まで放冷させた後、滴下漏斗から希塩酸を滴下してフラスコ内を酸性とし、これに炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて中和させ、さらに水層が飽和するまで塩化ナトリウムを加えた。この溶液に酢酸エチルを加えて抽出、分液し、有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧下で留去することにより、化合物例(II−6)(2.24g、収率84%)を無色の油状物として得た。
1H NMR(CDCl3) δ 4.12〜4.17(m, 6H)
19F NMR(CDCl3) δ −63.78(d, J=147Hz, 3F), −64.18〜−64.41(m, 3F), −68.46(d, J=147Hz, 3F), −82.95(s, 9F), −136.20〜−136.53(m, 3F)
HPLC(検出器:ESA Biosciences社製荷電化粒子検出器 CoronaTMCADTM)純度:
92%(相対面積比)
滴下漏斗、還流冷却管、及び温度計を取り付けたガラス製反応容器に、水素化ホウ素ナトリウム(0.5g、13.2mmol)、イソプロピルアルコール40mlを取り、40℃に加熱した浴中で攪拌させた。これに、上記で得た化合物例(I−6)(3.0g、4.0mmol)をイソプロピルアルコール20mlに溶解させた溶液を滴下し、そのまま4時間攪拌させた。浴を外し室温まで放冷させた後、滴下漏斗から希塩酸を滴下してフラスコ内を酸性とし、これに炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて中和させ、さらに水層が飽和するまで塩化ナトリウムを加えた。この溶液に酢酸エチルを加えて抽出、分液し、有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧下で留去することにより、化合物例(II−6)(2.24g、収率84%)を無色の油状物として得た。
1H NMR(CDCl3) δ 4.12〜4.17(m, 6H)
19F NMR(CDCl3) δ −63.78(d, J=147Hz, 3F), −64.18〜−64.41(m, 3F), −68.46(d, J=147Hz, 3F), −82.95(s, 9F), −136.20〜−136.53(m, 3F)
HPLC(検出器:ESA Biosciences社製荷電化粒子検出器 CoronaTMCADTM)純度:
92%(相対面積比)
[化合物例(III−6)の合成]
上記で得た化合物例(II−6)(2.20g、3.27mmol)および炭酸カリウム(4.51g、32.7mmol)のアセトニトリル(30ml)溶液に、10℃以下の温度でアクリル酸クロリド(1.33ml、16.4mmol)を滴下した。反応液を室温にて20時間攪拌後、反応液を酢酸エチル(200ml)/希塩酸水(200ml)に注ぎ、分液した。有機層を炭酸水素ナトリウム水溶液(2回)および飽和食塩水で洗浄後、溶媒を減圧下で留去することにより、化合物例(III−6)(2.62g、収率96%)を無色の油状物として得た。
1H NMR(CDCl3) δ 4.61〜4.80(m, 6H)、 5.97(dd、 J=10.5, 1.2Hz, 3H), 6.14(dd、 J=17.1, 10.5Hz, 3H), 6.50(dd、 J=17.1,1.2Hz, 3H)
19F NMR(CDCl3) δ −63.21(brs, 3F), −63.52(d, J=147Hz, 3F), −65.88(d, J=147Hz, 3F), −82.57(s, 9F), −133.39〜−133.48(m, 3F)
HPLC(検出器:ESA Biosciences社製荷電化粒子検出器 CoronaTMCADTM)純度:
85%(相対面積比)
上記で得た化合物例(II−6)(2.20g、3.27mmol)および炭酸カリウム(4.51g、32.7mmol)のアセトニトリル(30ml)溶液に、10℃以下の温度でアクリル酸クロリド(1.33ml、16.4mmol)を滴下した。反応液を室温にて20時間攪拌後、反応液を酢酸エチル(200ml)/希塩酸水(200ml)に注ぎ、分液した。有機層を炭酸水素ナトリウム水溶液(2回)および飽和食塩水で洗浄後、溶媒を減圧下で留去することにより、化合物例(III−6)(2.62g、収率96%)を無色の油状物として得た。
1H NMR(CDCl3) δ 4.61〜4.80(m, 6H)、 5.97(dd、 J=10.5, 1.2Hz, 3H), 6.14(dd、 J=17.1, 10.5Hz, 3H), 6.50(dd、 J=17.1,1.2Hz, 3H)
19F NMR(CDCl3) δ −63.21(brs, 3F), −63.52(d, J=147Hz, 3F), −65.88(d, J=147Hz, 3F), −82.57(s, 9F), −133.39〜−133.48(m, 3F)
HPLC(検出器:ESA Biosciences社製荷電化粒子検出器 CoronaTMCADTM)純度:
85%(相対面積比)
<比較例1:化合物例(IV−6)の合成>
特開平2−169528と同様の方法で化合物例(I−6)を還元した結果を以下に示す。
特開平2−169528と同様の方法で化合物例(I−6)を還元した結果を以下に示す。
[化合物例(II−6)の合成]
滴下漏斗、還流冷却管、及び温度計を取り付けたガラス製反応容器に、水素化ホウ素ナトリウム(0.5g、13.2mmol)、イソプロピルアルコール15mlを取り、40℃に加熱した浴中で攪拌させた。これに、実施例1と同様の方法で得た化合物例(I−6)(3.0g、4.0mmol)を1.5時間かけて少しずつ添加し、1時間攪拌させた。この溶液にメタノールを1mlを1時間かけてゆっくり添加し、さらに2時間攪拌支えた。浴を外し室温まで放冷させた後、滴下漏斗から希塩酸を滴下してフラスコ内を酸性とし、これに炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて中和させ、さらに水層が飽和するまで塩化ナトリウムを加えた。この溶液に酢酸エチルを加えて抽出、分液し、有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧下で留去することにより、化合物例(II−6)(2.15g、収率81%)を無色の油状物として得た。
HPLC(検出器:ESA Biosciences社製荷電化粒子検出器 CoronaTMCADTM)純度:
89%(相対面積比)(実施例1と比べて多数の副生成物が認められた。)
滴下漏斗、還流冷却管、及び温度計を取り付けたガラス製反応容器に、水素化ホウ素ナトリウム(0.5g、13.2mmol)、イソプロピルアルコール15mlを取り、40℃に加熱した浴中で攪拌させた。これに、実施例1と同様の方法で得た化合物例(I−6)(3.0g、4.0mmol)を1.5時間かけて少しずつ添加し、1時間攪拌させた。この溶液にメタノールを1mlを1時間かけてゆっくり添加し、さらに2時間攪拌支えた。浴を外し室温まで放冷させた後、滴下漏斗から希塩酸を滴下してフラスコ内を酸性とし、これに炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて中和させ、さらに水層が飽和するまで塩化ナトリウムを加えた。この溶液に酢酸エチルを加えて抽出、分液し、有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧下で留去することにより、化合物例(II−6)(2.15g、収率81%)を無色の油状物として得た。
HPLC(検出器:ESA Biosciences社製荷電化粒子検出器 CoronaTMCADTM)純度:
89%(相対面積比)(実施例1と比べて多数の副生成物が認められた。)
<実施例2:化合物例(III−9)の合成>
[化合物例(I−9)の合成]
原料供給口、フッ素供給口、へリウムガス供給口およびドライアイスで冷却した還流装置を経由してフッ素トラップに接続されている排気口を備えた1000mlテフロン(登録商標)製容器に、フッ化ナトリウム(40.7g)およびFC−72(700ml)を入れて、内温0℃にてヘリウムガスを流速100ml/minで30分間吹き込んだ。引き続き20%F2/N2ガスを100ml/minで60分間吹き込んだ後、フッ素流量を250ml/minとし、化合物例(V−9)(15g)とAK−225(33g)の混合溶液を6.0ml/hで添加した。フッ素流量を200ml/minに下げ、ヘキサフルオロベンゼン(3ml)のFC−72(6ml)溶液を2.8ml/hで添加し、さらに20%F2/N2ガスを200ml/minで15分間流した。反応器をヘリウムガスで置換した後、濾過した。濾液にフッ化ナトリウム(10g)を添加し、メタノール(300ml)を加え、2時間攪拌した。反応液をろ過した後、常圧にてFC−72を加熱留去し、さらに100mmHgの減圧下でメタノールを留去した。濃縮残留物をジエチルエーテル/炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥した。溶媒を減圧下で濃縮することにより、化合物例(I−9)(6.59g、81%)を無色の油状物として得た。
1H NMR(CDCl3) δ 3.98(s,3H)
19F NMR(CDCl3) δ −66.2(s, 8F), −86.8(s, 8F), −122.8(s, 8F)
HPLC(検出器:ESA Biosciences社製荷電化粒子検出器 CoronaTMCADTM)純度:
90%(相対面積比)
[化合物例(I−9)の合成]
原料供給口、フッ素供給口、へリウムガス供給口およびドライアイスで冷却した還流装置を経由してフッ素トラップに接続されている排気口を備えた1000mlテフロン(登録商標)製容器に、フッ化ナトリウム(40.7g)およびFC−72(700ml)を入れて、内温0℃にてヘリウムガスを流速100ml/minで30分間吹き込んだ。引き続き20%F2/N2ガスを100ml/minで60分間吹き込んだ後、フッ素流量を250ml/minとし、化合物例(V−9)(15g)とAK−225(33g)の混合溶液を6.0ml/hで添加した。フッ素流量を200ml/minに下げ、ヘキサフルオロベンゼン(3ml)のFC−72(6ml)溶液を2.8ml/hで添加し、さらに20%F2/N2ガスを200ml/minで15分間流した。反応器をヘリウムガスで置換した後、濾過した。濾液にフッ化ナトリウム(10g)を添加し、メタノール(300ml)を加え、2時間攪拌した。反応液をろ過した後、常圧にてFC−72を加熱留去し、さらに100mmHgの減圧下でメタノールを留去した。濃縮残留物をジエチルエーテル/炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥した。溶媒を減圧下で濃縮することにより、化合物例(I−9)(6.59g、81%)を無色の油状物として得た。
1H NMR(CDCl3) δ 3.98(s,3H)
19F NMR(CDCl3) δ −66.2(s, 8F), −86.8(s, 8F), −122.8(s, 8F)
HPLC(検出器:ESA Biosciences社製荷電化粒子検出器 CoronaTMCADTM)純度:
90%(相対面積比)
[化合物例(II−9)の合成]
滴下漏斗、還流冷却管、及び温度計を取り付けたガラス製反応容器に、水素化ホウ素ナトリウム(1.0g、26.4mmol)、イソプロピルアルコール50mlを取り、40℃に加熱した浴中で攪拌させた。これに、上記で得た化合物例(I−9)(5.47g、6.0mmol)をイソプロピルアルコール50mlに溶解させた溶液を滴下し、そのまま4時間攪拌させた。浴を外し室温まで放冷させた後、滴下漏斗から希塩酸を滴下してフラスコ内を酸性とし、これに炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて中和させ、さらに水層が飽和するまで塩化ナトリウムを加えた。この溶液に酢酸エチルを加えて抽出、分液し、有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧下で留去することにより、化合物例(II−9)(4.18g、収率87%)を無色の油状物として得た。
1H NMR(CD3OD) δ 3.93(t, J= 14Hz, 4H)
19F NMR(CD3OD) δ −66.73(s, 8F), −86.89(s, 8F), −127.23(t, J= 14Hz, 8F)
HPLC(検出器:ESA Biosciences社製荷電化粒子検出器 CoronaTMCADTM)純度:
83%(相対面積比)
滴下漏斗、還流冷却管、及び温度計を取り付けたガラス製反応容器に、水素化ホウ素ナトリウム(1.0g、26.4mmol)、イソプロピルアルコール50mlを取り、40℃に加熱した浴中で攪拌させた。これに、上記で得た化合物例(I−9)(5.47g、6.0mmol)をイソプロピルアルコール50mlに溶解させた溶液を滴下し、そのまま4時間攪拌させた。浴を外し室温まで放冷させた後、滴下漏斗から希塩酸を滴下してフラスコ内を酸性とし、これに炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて中和させ、さらに水層が飽和するまで塩化ナトリウムを加えた。この溶液に酢酸エチルを加えて抽出、分液し、有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧下で留去することにより、化合物例(II−9)(4.18g、収率87%)を無色の油状物として得た。
1H NMR(CD3OD) δ 3.93(t, J= 14Hz, 4H)
19F NMR(CD3OD) δ −66.73(s, 8F), −86.89(s, 8F), −127.23(t, J= 14Hz, 8F)
HPLC(検出器:ESA Biosciences社製荷電化粒子検出器 CoronaTMCADTM)純度:
83%(相対面積比)
[化合物例(III−9)の合成]
上記で得た化合物例(II−9)(4.0g、5.0mmol)および炭酸カリウム(9.2g、66.7mmol)のアセトニトリル(50ml)溶液に、10℃以下の温度でアクリル酸クロリド(2.71ml、33.3mmol)を滴下した。反応液を室温にて20時間攪拌後、反応液を酢酸エチル(300ml)/希塩酸水(300ml)に注ぎ、分液した。有機層を炭酸水素ナトリウム水溶液(2回)および飽和食塩水で洗浄後、溶媒を減圧下で留去することにより、化合物例(III−9)(4.83g、収率95%)を無色の油状物として得た。
1H NMR(CDCl3) δ 4.58(t, J=12.9Hz, 8H)、 5.95(dd、 J= 1.2, 10.5Hz, 4H), 6.16(dd、 J=17.4, 10.5Hz, 4H), 6.51(dd、 J=17.4, 1.2Hz, 4H)
19F NMR(CDCl3) δ −66.07(s, 8F), −85.93(s, 8F), −123.24(t, J=12.9Hz, 8F)
HPLC(検出器:ESA Biosciences社製荷電化粒子検出器 CoronaTMCADTM)純度:
78%(相対面積比)
上記で得た化合物例(II−9)(4.0g、5.0mmol)および炭酸カリウム(9.2g、66.7mmol)のアセトニトリル(50ml)溶液に、10℃以下の温度でアクリル酸クロリド(2.71ml、33.3mmol)を滴下した。反応液を室温にて20時間攪拌後、反応液を酢酸エチル(300ml)/希塩酸水(300ml)に注ぎ、分液した。有機層を炭酸水素ナトリウム水溶液(2回)および飽和食塩水で洗浄後、溶媒を減圧下で留去することにより、化合物例(III−9)(4.83g、収率95%)を無色の油状物として得た。
1H NMR(CDCl3) δ 4.58(t, J=12.9Hz, 8H)、 5.95(dd、 J= 1.2, 10.5Hz, 4H), 6.16(dd、 J=17.4, 10.5Hz, 4H), 6.51(dd、 J=17.4, 1.2Hz, 4H)
19F NMR(CDCl3) δ −66.07(s, 8F), −85.93(s, 8F), −123.24(t, J=12.9Hz, 8F)
HPLC(検出器:ESA Biosciences社製荷電化粒子検出器 CoronaTMCADTM)純度:
78%(相対面積比)
<比較例2:化合物例(II−9)の合成>
特開平2−169528と同様の方法で化合物例(I−9)を還元した結果を以下に示す。
[化合物例(II−9)の合成]
滴下漏斗、還流冷却管、及び温度計を取り付けたガラス製反応容器に、水素化ホウ素ナトリウム(0.17g、4.4mmol)、イソプロピルアルコール4mlを取り、40℃に加熱した浴中で攪拌させた。これに、実施例2で得た化合物例(I−9)(0.91g、1.0mmol)をイソプロピルアルコール1mlに溶解させた溶液を滴下し、1時間攪拌した。この溶液にメタノールを0.35ml添加し、さらに2時間攪拌させた。浴を外し室温まで放冷させた後、滴下漏斗から希塩酸を滴下してフラスコ内を酸性とし、これに炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて中和させ、さらに水層が飽和するまで塩化ナトリウムを加えた。この溶液に酢酸エチルを加えて抽出、分液し、有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧下で留去することにより、化合物例(II−9)(0.68g、収率85%)を無色の油状物として得た。
HPLC(検出器:ESA Biosciences社製荷電化粒子検出器 CoronaTMCADTM)純度:
79%(相対面積比)(実施例2と比べて多数の副生成物が認められた。)
特開平2−169528と同様の方法で化合物例(I−9)を還元した結果を以下に示す。
[化合物例(II−9)の合成]
滴下漏斗、還流冷却管、及び温度計を取り付けたガラス製反応容器に、水素化ホウ素ナトリウム(0.17g、4.4mmol)、イソプロピルアルコール4mlを取り、40℃に加熱した浴中で攪拌させた。これに、実施例2で得た化合物例(I−9)(0.91g、1.0mmol)をイソプロピルアルコール1mlに溶解させた溶液を滴下し、1時間攪拌した。この溶液にメタノールを0.35ml添加し、さらに2時間攪拌させた。浴を外し室温まで放冷させた後、滴下漏斗から希塩酸を滴下してフラスコ内を酸性とし、これに炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて中和させ、さらに水層が飽和するまで塩化ナトリウムを加えた。この溶液に酢酸エチルを加えて抽出、分液し、有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧下で留去することにより、化合物例(II−9)(0.68g、収率85%)を無色の油状物として得た。
HPLC(検出器:ESA Biosciences社製荷電化粒子検出器 CoronaTMCADTM)純度:
79%(相対面積比)(実施例2と比べて多数の副生成物が認められた。)
<実施例3>
本発明で得られる一般式(III)で表される含フッ素重合性化合物を用いた反射防止フイルムを作成し、評価した。尚、以下において特別の断りのない限り、「部」および「%」は質量基準である。
本発明で得られる一般式(III)で表される含フッ素重合性化合物を用いた反射防止フイルムを作成し、評価した。尚、以下において特別の断りのない限り、「部」および「%」は質量基準である。
(ゾル液aの調製)
攪拌機、還流冷却器を備えた反応器、メチルエチルケトン120部、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(KBM―5103、信越化学工業(株)製)100部、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート3部を加え混合したのち、イオン交換水30部を加え、60℃で4時間反応させたのち、室温まで冷却し、ゾル液aを得た
。質量平均分子量は1600であり、オリゴマー成分以上の成分のうち、分子量が1000〜20000の成分は100%であった。また、ガスクロマトグラフィー分析から、原料のアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランは全く残存していなかった。固形分濃度が29%になるようにメチルエチルケトンで調製しゾル液aとした。
攪拌機、還流冷却器を備えた反応器、メチルエチルケトン120部、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(KBM―5103、信越化学工業(株)製)100部、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート3部を加え混合したのち、イオン交換水30部を加え、60℃で4時間反応させたのち、室温まで冷却し、ゾル液aを得た
。質量平均分子量は1600であり、オリゴマー成分以上の成分のうち、分子量が1000〜20000の成分は100%であった。また、ガスクロマトグラフィー分析から、原料のアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランは全く残存していなかった。固形分濃度が29%になるようにメチルエチルケトンで調製しゾル液aとした。
(内部に空孔を有する粒子の調製)
(分散液B−1の調製)
特開2002−79616の調製例4から調製時の条件を変更して、内部に空洞を有するシリカ微粒子を作製した。最終ステップで水分散液状態からメタノールに溶媒置換し、20%シリカ分散液とした。平均粒子径45nm、シェル厚み約7nm、シリカ粒子の屈折率1.30の粒子が得られた。これを分散液(A−1)とする。
(分散液B−1の調製)
特開2002−79616の調製例4から調製時の条件を変更して、内部に空洞を有するシリカ微粒子を作製した。最終ステップで水分散液状態からメタノールに溶媒置換し、20%シリカ分散液とした。平均粒子径45nm、シェル厚み約7nm、シリカ粒子の屈折率1.30の粒子が得られた。これを分散液(A−1)とする。
分散液(A−1)の500部に対してアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン30部、およびジイソプロポキシアルミニウムエチルアセテート1.5部加え混合した後に、イオン交換水を9部を加えた。60℃で8時間反応させた後に室温まで冷却し、アセチルアセトン1.8部を添加した。総液量がほぼ一定になるようにMEKを添加しながら減圧蒸留により溶媒を置換した。最終的に固形分が20%になるように調節して分散液B−1を調製した。
(光学フィルムの作製)
(低屈折率層用塗布液(Ln1〜Ln6)の調製)
各成分を表1のように混合し、MEKに溶解して固形分5%の低屈折率層用塗布液を作製した。
(低屈折率層用塗布液(Ln1〜Ln6)の調製)
各成分を表1のように混合し、MEKに溶解して固形分5%の低屈折率層用塗布液を作製した。
なお、上記表中における略号は以下の通りである。
「P−1」:特開2004−45462号公報に記載の含フッ素共重合体P−3(質量平均分子量約50000)
「i」: 下記化合物
「P−1」:特開2004−45462号公報に記載の含フッ素共重合体P−3(質量平均分子量約50000)
「i」: 下記化合物
「III−9」、「III−11」、「III−2」、「III−6」:本文記載の多官能含フッ素アクリレート
DPHA:ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物、日本化薬(株)製
Irg.907:イルガキュア907、重合開始剤(日本チバガイギー(株)製)
B−5、B−6、B−19、B−24、B−30:ヘテロ原子を有する化合物の例示化合物
「MRS−033」:メタクリロキシ変性シリコーン(Gelest(株)製)
DPHA:ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物、日本化薬(株)製
Irg.907:イルガキュア907、重合開始剤(日本チバガイギー(株)製)
B−5、B−6、B−19、B−24、B−30:ヘテロ原子を有する化合物の例示化合物
「MRS−033」:メタクリロキシ変性シリコーン(Gelest(株)製)
(ハードコート層用塗布液(HCL−1)の調製)
MEK90質量部に対して、シクロヘキサノン10質量部、部分カプロラクトン変性の多官能アクリレート(DPCA−20、日本化薬(株)製)85質量部、KBM−5103(シランカップリング剤:信越化学工業(株)製)10質量部、光重合開始剤(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)5質量部、を添加して攪拌した。孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過してハードコート層用の塗布液(HCL−1)を調製した。
MEK90質量部に対して、シクロヘキサノン10質量部、部分カプロラクトン変性の多官能アクリレート(DPCA−20、日本化薬(株)製)85質量部、KBM−5103(シランカップリング剤:信越化学工業(株)製)10質量部、光重合開始剤(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)5質量部、を添加して攪拌した。孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過してハードコート層用の塗布液(HCL−1)を調製した。
(光学フィルム試料1の作製)
80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム“TAC−TD80U”{富士フイルム(株)製}をロール形態で巻き出して、直接、上記のハードコート層用塗布液(HCL−1)を、線数180本/in、深度40μmのグラビアパターンを有する直径50mmのマイクログラビアロールとドクターブレードを用いて、グラビアロール回転数30rpm、搬送速度30m/分の条件で塗布し、60℃で150秒乾燥の後、さらに窒素パージ下酸素濃度0.1体積%で160W/cmの「空冷メタルハライドランプ」{アイグラフィックス(株)製}を用いて、放射照度400mW/cm2、照射量50mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ10.0μmの層を形成し、巻き取った。このようにしてハードコート層(HC−1)を得た。
80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム“TAC−TD80U”{富士フイルム(株)製}をロール形態で巻き出して、直接、上記のハードコート層用塗布液(HCL−1)を、線数180本/in、深度40μmのグラビアパターンを有する直径50mmのマイクログラビアロールとドクターブレードを用いて、グラビアロール回転数30rpm、搬送速度30m/分の条件で塗布し、60℃で150秒乾燥の後、さらに窒素パージ下酸素濃度0.1体積%で160W/cmの「空冷メタルハライドランプ」{アイグラフィックス(株)製}を用いて、放射照度400mW/cm2、照射量50mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ10.0μmの層を形成し、巻き取った。このようにしてハードコート層(HC−1)を得た。
このようにして得られたハードコート層(HC−1)の上に、上記低屈折率層用塗布液Ln−1を用い、低屈折率層膜厚が95nmになるように調節して、マイクログラビア塗工方式で光学フィルム試料1を作製した。
低屈折率層形成の硬化条件を以下に示す。
硬化条件(1)乾燥:80℃−120秒(2)UV硬化:、酸素濃度が0.01体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度120mW/cm2、照射量500mJ/cm2の照射量とした。
硬化条件(1)乾燥:80℃−120秒(2)UV硬化:、酸素濃度が0.01体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度120mW/cm2、照射量500mJ/cm2の照射量とした。
(光学フィルム試料2〜6の作製)
光学フィルム試料1の作製において、低屈折率層用塗布液(Ln1)を用いる代わりに、(Ln2)〜(Ln6)を用いること以外は反射防止フィルム試料1と同様にして光学フィルム2〜6を作製した。
光学フィルム試料1の作製において、低屈折率層用塗布液(Ln1)を用いる代わりに、(Ln2)〜(Ln6)を用いること以外は反射防止フィルム試料1と同様にして光学フィルム2〜6を作製した。
(光学フィルムの鹸化処理)
得られた光学フィルムを以下の鹸化標準条件で処理・乾燥した。
アルカリ浴:1.5mol/dm3水酸化ナトリウム水溶液、55℃で120秒。
第1水洗浴:水道水、60秒。
中和浴:0.05mol/dm3硫酸、30℃−20秒。
第2水洗浴:水道水、60秒。
乾燥:120℃、60秒。
得られた光学フィルムを以下の鹸化標準条件で処理・乾燥した。
アルカリ浴:1.5mol/dm3水酸化ナトリウム水溶液、55℃で120秒。
第1水洗浴:水道水、60秒。
中和浴:0.05mol/dm3硫酸、30℃−20秒。
第2水洗浴:水道水、60秒。
乾燥:120℃、60秒。
(光学フィルムの評価)
上記の鹸化済みの光学フィルムを用いて以下の評価を行った。
スチールウール耐傷性評価:
本文記載の方法により試験し、こすり終えた試料の裏側に油性黒インキを塗り、反射光で目視観察して、こすり部分の傷を、以下の基準で評価した。荷重500g/cm2、回
数は10往復とした。
A :非常に注意深く見ても、全く傷が見えない。
B :非常に注意深く見ると僅かに弱い傷が見える。
C :弱い傷が見える。
D :中程度の傷が見える。
E :一目見ただけで分かる傷がある。
上記の鹸化済みの光学フィルムを用いて以下の評価を行った。
スチールウール耐傷性評価:
本文記載の方法により試験し、こすり終えた試料の裏側に油性黒インキを塗り、反射光で目視観察して、こすり部分の傷を、以下の基準で評価した。荷重500g/cm2、回
数は10往復とした。
A :非常に注意深く見ても、全く傷が見えない。
B :非常に注意深く見ると僅かに弱い傷が見える。
C :弱い傷が見える。
D :中程度の傷が見える。
E :一目見ただけで分かる傷がある。
動摩擦係数測定:
表面滑り性の指標として動摩擦係数にて評価した。動摩擦係数は試料を25℃、相対湿度60%で2時間調湿した後、HEIDON−14動摩擦測定機により5mmφステンレス鋼球、荷重100g、速度60cm/minにて測定した値を用いた。本発明の光学フィルムの動摩擦係数は好ましくは0.03〜0.40であるが、より好ましくは0.03〜0.35以下であり、さらには0.03〜0.30であることが最も好ましい。
ΔR:鹸化処理前後におけるスチールウール擦り試験による擦り部の反射率変化
ΔE:鹸化処理前後におけるD65標準光源下で測定したCIE1976L*a*b*色空間における色度変化△E
Δθ:鹸化処理前後の水に対する接触角の変化
表面滑り性の指標として動摩擦係数にて評価した。動摩擦係数は試料を25℃、相対湿度60%で2時間調湿した後、HEIDON−14動摩擦測定機により5mmφステンレス鋼球、荷重100g、速度60cm/minにて測定した値を用いた。本発明の光学フィルムの動摩擦係数は好ましくは0.03〜0.40であるが、より好ましくは0.03〜0.35以下であり、さらには0.03〜0.30であることが最も好ましい。
ΔR:鹸化処理前後におけるスチールウール擦り試験による擦り部の反射率変化
ΔE:鹸化処理前後におけるD65標準光源下で測定したCIE1976L*a*b*色空間における色度変化△E
Δθ:鹸化処理前後の水に対する接触角の変化
上記表に示された結果より、本発明で得られた光学フィルムは含フッ素多官能モノマーを用いることにより低反射で鹸化前後の色味変化、接触角変化、スチールウール擦り試験による擦り部の反射率変化が小さく、鹸化後の耐擦傷性が良好な光学フィルムが得られていることがわかる。
Claims (9)
- 請求項1の方法で得られる一般式(II)で表される含フッ素アルコールから誘導される一般式(III)で表される多官能重合性化合物。
- 請求項3,4のいずれかに記載の重合性含フッ素化合物を少なくとも1種含有する硬化性樹脂組成物を硬化してなる低屈折率層を有することを特徴とする反射防止膜。
- 請求項3,4のいずれかに記載の重合性含フッ素化合物および無機酸化物微粒子を含有する硬化性樹脂組成物を硬化してなる低屈折率層を有することを特徴とする反射防止膜。
- 前記無機酸化物微粒子が中空シリカ微粒子であることを特徴とする請求項6に記載の反
射防止膜。 - 透明支持体上に請求項5〜7のいずれか1項に記載の反射防止膜が設けられたことを特徴とする反射防止フィルム。
- 請求項8に記載の反射防止フィルムを備えたことを特徴とする画像表示装置。
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---|---|---|---|---|
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-
2007
- 2007-05-10 JP JP2007126067A patent/JP2008280294A/ja active Pending
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