JP4857528B2 - シランカップリング基含有含フッ素エーテル化合物、溶液組成物、コーティング膜および物品 - Google Patents

シランカップリング基含有含フッ素エーテル化合物、溶液組成物、コーティング膜および物品 Download PDF

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Description

本発明は、離形剤、表面改質剤、または撥水撥油膜剤等として有用である新規なシランカップリング基含有含フッ素エーテル化合物、および該化合物がコーティングされた物品に関する。
ペルフルオロ化された化合物は、撥水、撥油性もしくは物品の剥離性を向上する表面改質剤等として広く使用される。ガラス基材をはじめとする無機基材の撥水性向上のために、フルオロアルキル基を含む化合物やジメチルシロキサンなどの化合物をガラス表面に塗布する試みがなされている。
このような化合物としては、たとえば下式(i)で表される化合物、および下式(ii)で表される化合物(ただし、式中のd、e、f、gは、それぞれ独立に1以上の整数を示す。)が知られている。
CF3O−(CF2CF2O)d−(CF2O)e−CF3・・・(i)
CF3O−(CF(CF3)CF2O)f−(CF2O)g−CF3・・・(ii)
しかし、これらの化合物は基材と化学的な結合を形成することのできる官能基を有していない。したがって、長期の使用に際しては塗布された該化合物が失われ、潤滑性などの機能が消失するという問題があった。
この課題を解決する化合物、特に無機材料表面の処理剤としては、一般に、ポリフルオロアルキル基含有シラン化合物または該化合物の部分加水分解縮合物と、アルコキシシラン化合物またはハロゲノシラン化合物とからなることが知られている。たとえば、末端基にシランカップリング基を有す化合物として下式(iii)(特許文献1および2参照)で表される化合物、下式(iv)(ダイキン社製;オプツール)(特許文献3参照)で表される化合物等が知られている。(ただし、式中のhは1以上の整数を示す。)
CF3 (CF27 (CH22 Si(NCO)3・・・(iii)
CF3CF2CF2O−(CF2CF2CF2O)h−CF2CF2(CH23 Si(OCH33・・・(iv)
該化合物(iii)または化合物(iv)を無機材料、例えばガラス基材上に塗布した場合、化合物末端のシランカップリング基は基材表面に移行し、加水分解性基である基材上の水酸基、もしくは系中の水分によって分解してシラノール基となる。同部分は部分的に縮合してオリゴマーとなって、基材上に速やかに吸着して水素結合的に結合する。その後、基材上の水酸基と脱水縮合反応して強固な化学結合を形成する。
このように、シランカップリング基は水酸基を有する材料とは強い吸着性と反応性を有すため、様々な用途で優れたコーティング剤として用いられる。さらに、形成する結合は一般的に化学結合と水素結合を有しており、熱応力などにも柔軟に対応できることが知られている(非特許文献1参照)。
シランカップリング基が基材と結合を生じると、対極のフルオロアルキル基および/またはフルオロポリエーテル基は大気側に配列する。化合物(iii)の場合はペルフルオロオクチル基が配列して、撥水性を向上させる。具体的には自動車用ガラスの表面改質剤として用いられており、既往の文献では、剛直なペルフルオロアルキル基が配列することによって高い撥水、撥油性能を実現すると報告されている。
しかし、付着した油脂汚れの除去性に関しては、これらの剛直なペルフルオロアルキル基は化合物(iv)に代表されるフルオロポリエーテル基に比べ性能が劣る。これはフルオロポリエーテル基の構造が、剛直なフルオロアルキル基を酸素が分断した柔軟なものであることが要因である。
フルオロポリエーテル基は柔軟で運動性に優れるため、表面に付着した油脂を容易にふき取ることができ、一方で撥水撥油性を保持することが出来る。しかし、化合物(iv)は炭素3原子に酸素が1原子という構造であるため、充分な性能を得るためにはhに大きな値であること、すなわち多数の繰り返し単位が必要であった。
酸素含有率の高い他の繰り返し単位を持つものとしては上記の化合物が挙げられる。 (ただし、式中のi、j、kは、それぞれ独立に1以上の整数を示す。)
CF3CF2CF2O−(CF(CF3)CF2O)i−CF(CF3)(CH23 Si(OCH33・・・(v)
(OCH33Si(CH23CF2O−(CF2CF2O)j−(CF2O)k−CF2(CH23Si(OCH33・・・(vi)
化合物(v)は主鎖の酸素含有率が大きいものの、側鎖であるCF3が存在するため運動性が制限され、油脂のふき取り性は充分でない。一方で、化合物(vi)は酸素含有率も大きく、側鎖も持たないものの、安定性に問題がある。
同フルオロポリエーテル部分はテトラフルオロエチレンの光酸化重合によって合成されるが、この際、(CF2O)で表される部位の生成が不可避であり、一般的にj/kはほぼ1.0である。この(CF2O)は酸触媒存在下、極めて容易に分解が進行することが報告されている(非特許文献2〜4参照)。さらに、同フルオロポリエーテル部分はその製造法から、片方の末端に官能基を有すものを得ることが困難で、両方の末端に官能基を有すものとの混合物となる。したがって基材に塗布した場合、既に述べた撥水撥油、油脂ふき取り性を発現するフルオロポリエーテルを大気側に構成できないという問題があった。
特開2002−145645号公報 特開平9−286639号公報 特開2000−094567号公報 「接着の技術」,2002年,第22巻,第2号,第67頁 シー・トーネリら(C.Tonelli et al)、ジャーナル・オブ・フルオリンケミストリー (J.Fluorine Chem.),1999年,第95巻,第51頁−第70頁 ジェー・シェールス(J.Scheirs)著、現代フッ素ポリマー(Modern Fluoropolymers)、ジョン・ウイリィー・アンド・サンズ社(John Wiley & Sons Ltd.),1997年,第466頁−第468頁 ピー・エッチ・カサイ(P.H.Kasai)、マクロモレキュール(Macromolecules),1992年,第25巻,第6791頁
本発明は、上記の問題を解決する目的でなされたものであり、化合物同士もしくは塗布される基材と強固な結合を形成しうる、使用時の劣化の問題がなく、撥水撥油性、汚染の除去性に優れ、かつ、潤滑性、低屈折率性に優れたコーティング剤等として有用に用いうるシランカップリング基含有含フッ素エーテル化合物の提供を目的とする。さらには該含フッ素エーテル化合物を用いた表面処理用などの溶液組成物、該溶液組成物をコーティン
グされた物品、撥水撥油剤の提供を目的とする。
本発明は、以下の発明を提供する。
[1]下式(1)で示されるシランカップリング基含有含フッ素エーテル化合物および溶剤を含有する、表面処理用溶液組成物。
X−(Y(Z))a−X ・・・(1)
ただし、式中の記号は以下の意味を示す。
X: 下式(2)で表されるペルフルオロ飽和炭化水素基、または下式(2)で表されるペルフルオロ飽和炭化水素基における炭素−炭素原子間にエーテル性酸素原子が挿入されたペルフルオロ飽和炭化水素基であり、該基中には−OCF2O−構造は存在しない。
該化合物中のXはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
FO(CF2CF2O)b(CF2p(CH2o− ・・・(2)
(ただし、RFは炭素数1〜16のペルフルオロアルキル基、または炭素数1〜16のペルフルオロアルキル基の炭素−炭素原子間にエーテル性酸素原子が挿入された基。bは3〜200の整数、pは1以上の整数、oは0以上の整数。)
Y: XとZを接続する基であり、2つ以上の炭素原子を有し、エーテル結合、エステル結合、およびウレタン結合から選択される1種以上の結合を含んでいてもよい炭素数2〜10の炭化水素基である。
Z: −Si(Z1c(Z2(3-c) ・・・(3)
1はイソシアネート基、ハロゲン原子、またはアルコキシ基、Z2は水素原子または、メチル基、cは1〜3の整数。
a: 1以上の整数。
[2]前記式(1)で示されるシランカップリング基含有含フッ素エーテル化合物が以下に挙げる化合物である、[1]に記載の表面処理用溶液組成物。
[3]前記式(1)で示されるシランカップリング基含有含フッ素エーテル化合物とシランカップリング基を持つ縮合性化合物である化合物(B)とを共縮合させて得られた化合物をさらに含む、[1]または[2]に記載の表面処理用溶液組成物。
[4]前記化合物(B)がテトラメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、およびC 17 CH CH Si(OMe である、[3]に記載の表面処理用溶液組成物。
[5]前記溶剤が、ペルフルオロアミン類、ペルフルオロアルカン類、およびフルオロエーテル類から選択される1種以上、または、
ペルフルオロアミン類、ペルフルオロアルカン類、およびフルオロエーテル類から選択される1種以上とn−ペンタン、2−メチルブタン、および2,3−ジメチルブタンから選択される1種以上との併用である、[1]〜[4]のいずれか一項に記載の表面処理用溶液組成物。
[6]前記式(1)で示されるシランカップリング基含有含フッ素エーテル化合物が表面処理用溶液組成物中に0.01〜50質量%含まれる、[1]〜[5]のいずれか一項に記載の表面処理用溶液組成物。
[7][1]〜[6]のいずれか一項に記載の表面処理用溶液組成物から形成された塗膜を有する物品。
[8]下式で示されるシランカップリング基含有含フッ素エーテル化合物。
ただし、Xはそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、下式(2)で表されるペルフルオロ飽和炭化水素基、または下式(2)で表されるペルフルオロ飽和炭化水素基における炭素−炭素原子間にエーテル性酸素原子が挿入されたペルフルオロ飽和炭化水素基であり、該基中には−OCFO−構造は存在しない。
FO(CF2CF2O)b(CF2p(CH2o− ・・・(2)
(ただし、RFは炭素数1〜16のペルフルオロアルキル基、または炭素数1〜16のペルフルオロアルキル基の炭素−炭素原子間にエーテル性酸素原子が挿入された基。bは3〜200の整数、pは1以上の整数、oは0以上の整数。)
Zは−Si(Z1c(Z2(3-c)で表される基であり、Z1はエトキシ基またはメトキシ基、Z2は水素原子またはメチル基、cは1〜3の整数である。
本発明の好ましい態様は、以下の含フッ素エーテル化合物、該含フッ素エーテル化合物を含有する表面処理用溶液組成物、該表面処理用溶液組成物から形成された塗膜を有する物品である。
<1> 下式(1)で示されるシランカップリング基含有含フッ素エーテル化合物。
X−(Y(Z))a−X ・・・(1)
ただし、式中の記号は以下の意味を示す。
X: 下式(2)で表されるペルフルオロ飽和炭化水素基、または下式(2)で表されるペルフルオロ飽和炭化水素基における炭素−炭素原子間にエーテル性酸素原子が挿入されたペルフルオロ飽和炭化水素基であり、該基中には−OCF2O−構造は存在しない。
該化合物中のXはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
FO(CF2CF2O)b(CF2p(CH2o− ・・・(2)
(ただし、RFは炭素数1〜16のペルフルオロアルキル基、または炭素数1〜16のペルフルオロアルキル基の炭素−炭素原子間にエーテル性酸素原子が挿入された基。bは3〜200の整数、pは1以上の整数、oは0以上の整数。)
Y: XとZを接続する基であり、2つ以上の炭素原子を有し、エーテル結合、エステル結合、およびウレタン結合から選択される1種以上の結合を含んでいてもよい炭素数2〜10の炭化水素基である。
Z: −Si(Z1c(Z2(3-c) ・・・(3)
1はイソシアネート基、ハロゲン原子、またはアルコキシ基、Z2は水素原子または、メチル基、cは1〜3の整数。
a: 1以上の整数。
<2> ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した分子量が400〜100万である<1>に記載の含フッ素エーテル化合物。
<3> <1>または<2>に記載の含フッ素エーテル化合物(A)を含有する溶液組成物。
<4> さらに、該含フッ素エーテル化合物(A)が有するシランカップリング基と反応しうる官能基を有する化合物(B)を含有する<3>に記載の溶液組成物。
<5> さらに含フッ素有機溶剤(C)および該含フッ素有機溶剤(C)と相溶性を有する有機溶剤(D)を含有する<3>に記載の溶液組成物。
<6> 該溶液組成物中の含フッ素エーテル化合物(A)の濃度が、0.01〜20質量%である<3>〜<5>のいずれかに記載の溶液組成物。
<7> <3>〜<6>に記載の溶液組成物が表面処理用である溶液組成物。
<8> <1>または<2>に記載の含フッ素エーテル化合物(A)の1種以上と該含フッ素エーテル化合物(A)が有するシランカップリング基と反応しうる官能基を有する化合物(B)の1種以上とを反応させて得られた化合物。
<9> 化合物(B)もまた、<1>または<2>に記載の含フッ素エーテル化合物(A)である上記<8>に記載の化合物。
<10> <8>または<9>に記載の化合物からなるコーティング膜。
<11> <10>に記載のコーティング膜を有する物品。
<12> <8>または<9>に記載の化合物および有機溶媒を含有する溶液組成物。
<13> <8>または<9>に記載の化合物の濃度が0.001〜50質量%である<12>に記載の溶液組成物。
<14> <3>、<4>、<5>、<6>、<12>または<13>に記載の溶液組成物を、基材表面に塗布した後、有機溶媒を乾燥させる、もしくは基材表面に蒸着させることにより、表面にコーティング膜を形成させた基材。
<15> <1>および<2>に記載の含フッ素エーテル化合物および<8>および<9>に記載の化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する撥水撥油剤。
本発明によれば、撥水撥油性、潤滑性、汚染の除去性に優れたコーティング膜を形成しうる縮合性化合物または表面改質剤等として有用な新規な含フッ素ポリエーテル化合物が提供される。本発明のシランカップリング基含有含フッ素エーテル化合物、もしくはその縮合生成物は、基材上に容易にコーティング膜を形成し、撥水撥油性、潤滑性、油脂の除去性を付与でき、使用時の劣化の問題が少ない性質を有する。
本明細書においては、例えば、式(1)で表される化合物を化合物(1)とも記す。また、例えば式(2)で表される基を基(2)とも記す。他の式で表される化合物および基についても同様に記す。
本発明は下記化合物(1)を提供する。
X−(Y(Z))a−X ・・・(1)
化合物(1)における各記号は以下の意味を示す。
式(1)においてXは、下式(2)で表されるペルフルオロ飽和炭化水素基、または下式(2)で表されるペルフルオロ飽和炭化水素基における炭素−炭素原子間にエーテル性酸素原子が挿入されたペルフルオロ飽和炭化水素基である。ただし、該基中には−OCF2O−構造は存在しない。式(1)中の二つのXはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
FO(CF2CF2O)b(CF2p(CH2o− ・・・(2)
ただし、RFは炭素数1〜20のペルフルオロアルキル基、または炭素数1〜20のペルフルオロアルキル基の炭素−炭素原子間にエーテル性酸素原子が挿入された基である。bは3〜200の整数であり、pは1以上の整数、oは0以上の整数である。
Fの構造としては、直鎖構造、分岐構造、環構造、または部分的に環構造を有する構造が挙げられ、直鎖構造または分岐構造が好ましく、直鎖構造がより好ましい。RFの炭素数は1〜20が好ましく、1〜16がより好ましい。
Fが炭素数1〜20のペルフルオロアルキル基の炭素−炭素原子間にエーテル性酸素原子が挿入された基である場合、挿入される酸素原子の数は1〜7個が好ましく、1〜4個がより好ましい。酸素原子が挿入される位置は、環の中もしくは直鎖中であり、酸素同士の間に含まれる炭素原子が少なくとも2つ以上である。
Fの具体例としては、以下の基が挙げられる。
CF3(CF2l− (lは0〜15の整数を示す。)
たとえば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等が挙げられ、撥水撥油性の点からは、トリフルオロメチル基が好ましく、製造工程の一つである液相直接フッ素化における収率の点からはペンタフルオロエチル基が好ましい。
したがって、基(2)として以下のものが挙げられる。
CF3−O−(CF2CF2O)b−・・・(X−1)
CF3CF2−O−(CF2CF2O)b−・・・(X−2)
CF3(CF22−O−(CF2CF2O)b−・・・(X−3)
CF3(CF25−O−(CF2CF2O)b−・・・(X−4)
基(2)としては、撥水撥油性能の点からX−1またはX−2が好ましく、合成のしやすさの点からX−2がより好ましい。
CyF−(CF2m−(CyFはペルフルオロシクロヘキシル基を示し、mは0〜15の整数を示す。)、
AdF−(CF2n−(AdFはペルフルオロアダマンタンのフッ素原子の1個が結合手となった基を示し、nは0〜15の整数を示す。)。
bは−(CF2CF2O)−単位の数を示し、3〜200の整数であり、3〜100の整数が好ましく、3〜70の整数がより好ましく、5〜50の整数が特に好ましい。
pは−(CF2)−単位の数を示し、1〜10の整数であり、1〜5の整数が好ましく、1〜2の整数がより好ましい。該単位の数は用いる合成手法によって決められる。
oは−(CH2)−単位の数を示し、0〜10の整数であり、0〜5の整数が好ましく、0〜2の整数がより好ましい。該単位の数も用いる合成手法によって決められる。
式(1)においてYは、XとZの接続部分であり、2つ以上の炭素原子を有する有機基、好ましくは炭素数2〜20の有機基、より好ましくは炭素数2〜10の有機基を表す。Yで表される該部分は使用に際して充分な強度を持つ構造で、XとZを連結するのみならず、化合物(1)を実際の塗装工程において希釈して用いる場合、特に炭化水素系の溶剤への溶解性に大きな影響を与える。
Yとしての2つ以上の炭素原子を有する有機基は、2つ以上の炭素原子とともに、水素原子、酸素原子、窒素原子、フッ素原子等の他の原子とともに構成される有機基であり、例えば、飽和炭化水素基である。
また、Yとしての有機基は、エーテル結合、エステル結合、およびウレタン結合を含んでいてもよい。
Yは用途や原料の入手のしやすさから自由に選択できる。
Yが炭素結合のみの骨格でX、Zが連結される場合、Si元素のβ位、すなわちSiから数えて2番以内にフッ素原子を有する炭素原子は存在しないことが好ましい。これはβ位以内にフッ素原子が存在した場合、比較的低温で分解反応が進行するためで、既往の文献で報告されている。
Yの構造として具体的には以下の式(1)で示される化合物の例中に示すものが挙げられる。
Z:基材と化合物(1)と接続するシランカップリング基であり、下式(3)で表される。
−Si−(Z1c(Z2(3-c) …(3)
ここで、Z1は脱離による縮合が可能な基、Z2 は水素原子または不活性な一価の有機基、cは1〜3の整数を表す。
1としてはイソシアネート基、ハロゲン原子、アルコキシ基などであり、例えばイソシアネート基、塩素原子、メトキシ基、エトキシ基があげられる。該部分は用途と塗装を行う物品によって選択される。しかし、現在一般的には塗装時のアウトガスの問題、保存安定性の問題から、アルコキシ基が好まれ、長期にわたる安定性が必要な場合はエトキシ基が、塗装時に短いエージング時間がもとめられる場合はメトキシ基が特に好ましい。
2は水素原子または不活性な一価の有機基である。ここで、Z2としての「不活性な一価の有機基」とは、Z1が脱離による縮合が可能な基であるのに対し、縮合を起こさない一価の有機基であることを意味する。Z2の具体例としては水素原子、メチル基等が挙げられる。Z2についてZ1と同様、用途と塗装を行う物品に応じて適宜選択することができる。
式(1)においてaは、−(Y(Z))−単位の数を示し、1〜10の整数であり、1〜5の整数がより好ましく、1〜3の整数が特に好ましい。工業的にはaの異なるものの混合物が入手しやすい。
aは1以上の整数で、1〜100の整数が好ましく、1〜10の整数が機能発現の点からより好ましく、1〜5の整数が特に好ましい。
本発明の化合物(1)中には−(OCF2O)−で表される単位は存在しない。−(OCF2O)−単位が存在しない化合物とは、式(1)の化合物の構造中に−(OCF2O)−単位が実際に存在しない化合物である。また該単位が仮に存在していたとしても通常の分析手法(19F−NMR等)の検出限界以下の量で存在することを意味する。
化合物(1)は、例えばXで表される部分、すなわち基(2)を含有する化合物(2)を出発原料として合成することができる。
化合物(1)における、Xで表される部分、すなわち基(2)を含有する化合物(2)は、それに対応する炭素骨格を有するポリエチレングリコールから、WO02/4397等に記載される方法と同様の方法で製造することができる。原料となるポリエチレングリコールとしては、種々の構造、分子量のものが安価に市販されており、容易に入手できる。また、RFに相当する炭素骨格を有するアルコールにエチレンオキシドを付加することによって容易に合成できる。
具体的に化合物(2)で表される化合物は以下の方法で製造できる。
すなわち、下記化合物(a)を下記化合物(b)と反応させて下記化合物(c)を得て、該化合物(c)をペルフルオロ化して、化合物(2)である下記化合物(d)を得る。
なお、以降の式においてb、o、pおよびRFは、前記と同様である。
RはRFと同一の基、またはRFのフッ素原子の一部または全部が水素原子に置換された基を示し、RFと同一の基が好ましい。
bは、1価の含フッ素有機基を示し、ペルフルオロアルキル基またはエーテル性酸素原子を含有するペルフルオロアルキル基が好ましい。RbFは、Rbをペルフルオロ化した基を示す。Rcはアルキル基を示す。
化合物(2)である化合物(d)における末端は、ペルフルオロエステル、酸フルオリド、メチルエステル、イソシアネート、アイオダイドもしくはアルコールなど、多様な反応性官能基に誘導が可能である。化合物(2)が有し得るこれらの反応性官能基を利用し、さまざまな化合物(1)を誘導できる。
例えば、該化合物(d)においてエステル結合の分解反応を行って上記化合物(e)を得ることができる。
また、化合物(e)に下記化合物(e−1)を反応させて下記化合物(f−1)を得て、または化合物(e)を加水分解して下記化合物(f−2)を得て、つぎに化合物(f−1)または化合物(f−2)をそれぞれ還元して下記化合物(g−1)を得る。さらに、化合物(g−1)と種々のハロゲン化剤と反応することでアルコールをハロゲン置換した化合物(h−3)を得ることが出来る。例えば、COCl2などの塩素化剤と反応させることで水酸をClに置換することが出来る。
また、前記方法における化合物(e)にI2またはLiI等を反応させることにより、末端−COF基を−I(ヨウ素原子)に変換して化合物(h−1)を得ることができる。 つぎに化合物(h−1)に任意のモル数のエチレン、もしくはテトラフルオロエチレンを付加反応させて化合物(h−2)とした後に、化合物(h−2)の末端−I基を発煙硫酸もしくはベタインによってアルコール化する方法によって化合物(g−2)を得ることができる。
更に、化合物(e)とアンモニアを反応させ、COCl2とともに加熱することで、末端をイソシアネート基とすることができる。
また化合物(f−1)は、上記方法によって得た化合物(d)に式Rc−OH(ただし、Rcは前記と同じを示す。)で表される化合物を添加してエステル交換することによっても得られる。該製造方法の出発物質である化合物(a)は、通常の場合、−(CH2CH2O)−単位の数が異なる2種以上の混合物であるものが入手しやすい。混合物である化合物(a)を用いて上記製造方法を実施した場合には、生成する化合物(2)もまた混合物として生成する。
化合物(2)を製造する反応において、エステル化反応、フッ素化反応、エステル結合の分解反応は、公知の反応の手法および条件(たとえばWO02/4397等に記載される方法)にならって実施できる。また化合物(e)の化合物(f)への変換(エステル化反応、加水分解反応、およびヨウ素化、エチレン付加、アルコール化)は、公知の方法(たとえば米国特許第3810874号明細書)にしたがって実施できる。化合物(f)の還元反応は、特開平10−72568号公報(段落0021)等に記載される方法にしたがって実施できる。該還元反応は、NaBH4、ボラン−THF、リチウムアルミニウムヒドリド等の還元剤を用いて実施するのが好ましい。
上記方法で得た化合物(2)を含む生成物は、通常の場合、目的に応じた精製処理を行って高純度の化合物(2)を得た後に目的とする用途に用いるのが好ましい。
上述のように多様な反応性官能基を有し得る化合物(2)を用いて化合物(1)を合成する方法について、以下に例を挙げて説明する。
連結基Yにペルフルオロポリエーテル基Xを導入する場合、前記化合物(e)または(h−1)などを用いて合成することができる。
化合物(e)を用いる場合、従来の方法(例えば特公平7−68210号公報、もしくは、Jiang Xikui,J.Org.Chem.,1982,47,2009−2013)に示されるポリフルオロアルカノイルペルオキシドを経由する方法が利用できる。下式におけるxは1以上の整数。
すなわち、酸ハライド末端を有するペルフルオロポリエーテルを過酸化水素、水酸化ナトリウムを溶解した水−フッ素系溶剤の懸濁相に滴下し、パーオキサイド化合物を得る。 酸ハライドとしては酸フルオリド、酸クロライドが好ましく、フッ素化反応で得られたペルフルオロエステルを熱分解して得られる酸フルオリドが工程簡略化の点から好ましい。このようにして得たパーオキサイド化合物は熱で容易に分解し、ペルフルオロポリエーテルラジカルを生じる。したがって、ここに不飽和結合を有すシランカップリング剤、例えばアリルトリメトキシシランを存在させることで化合物(1)を得ることが出来る。
また、アイオダイド末端を有するペルフルオロポリエーテルを用いる場合、公知の反応が利用できる。
すなわち、アイオダイド末端を有するペルフルオロポリエーテルと不飽和結合を有するシランカップリング剤、例えばアリルトリメトキシシランの共存下、ラジカル開始剤を投入、分解温度で撹拌を行うことで不飽和結合にペルフルオロポリエーテルを導入できる。このようにして得た化合物を加熱などの方法で脱HI反応させれば、不飽和結合を作ることが出来、上述と同じ手法で再度ペルフルオロポリエーテルを導入することができる。さらに、このようにして得た化合物を亜鉛微粉を懸濁させた極性溶媒中に滴下し、加熱する
ことで、ヨウ素を引き抜き、化合物(1)を得ることが出来る。
エステル結合を介して連結基Yにペルフルオロポリエーテル基Xを導入する場合、酸フルオリド末端化合物である化合物(e)、もしくはカルボン酸末端化合物である化合物(f−1)を用い、公知の手法で合成することが出来る。
すなわち、複数の水酸基と末端に不飽和結合を持つ化合物、例えば3,4−ジヒドロキシ−1−ブテンと酸ハライド末端であるペルフルオロポリエーテルとのエステル化反応、もしくはカルボン酸末端であるペルフルオロポリエーテルとの脱水縮合反応にてペルフルオロポリエーテルと不飽和結合を有す化合物が容易に入手できる。酸ハライドとしては酸フルオリド、酸クロライドが好ましく、フッ素化反応で得られたペルフルオロエステルを熱分解して得られる酸フルオリドが工程簡略化の点から好ましい。このようにして得た化合物は、トリアルコキシシランとのヒドロシリレーションにより不飽和結合に容易にアルコキシシランを導入することができ、化合物(1)を得ることが出来る。
また、同様の反応でアルコール末端を有するペルフルオロポリエーテルと複数の酸ハライド基と末端に不飽和結合を持つ化合物、もしくは複数のカルボン酸基と末端に不飽和結合を持つ化合物を反応させ、化合物(1)を得ることが出来る。
エーテル結合を介して連結基Yにペルフルオロポリエーテル基Xを導入する場合、化合物(g−1)などを用いて合成することができる。
すなわち、複数のハロゲン置換基と末端に不飽和結合を持つ化合物、ここで、ハロゲンとはF、Cl、BrおよびIを示し、FおよびClが好ましい。例えば3,4−ジクロロ−1−ブテンへのアルコール末端であるペルフルオロポリエーテルの置換反応によってペルフルオロポリエーテルと不飽和結合を有す化合物が容易に入手できる。ここから、前述したようにヒドロシリレーションにより化合物(1)を得ることが出来る。また、末端に塩素を有すペルフルオロポリエーテルである化合物(h−3)と複数の水酸基と末端に不飽和結合を持つ化合物、例えば3,4−ジヒドロキシ−1−ブテンとの反応でも同様の化合物を得ることが出来る。さらには、複数のハロゲン置換を有すアルキルトリアルコキシシランと、化合物(g−1)との置換反応を用いれば、一工程で目的物を得ることが出来る。
ウレタン結合を介して連結基Yにペルフルオロポリエーテル基Xを導入する場合、公知であるイソシアネート基とアルコール基の反応を用いることが出来る。
すなわち、末端にイソシアネート基を持つペルフルオロポリエーテルである化合物(g−3)と、複数の水酸基と末端に不飽和結合を持つ化合物、例えば3,4−ジヒドロキシ−1−ブテンとの反応によって得ることが出来る。
また、複数のイソシアネート基と末端に不飽和結合、もしくはアルコキシシランを持つ化合物と末端がアルコールである化合物(g−1)との反応によっても目的物を得ることが出来る。
上述したとおり、さまざまな化合物(1)を誘導でき、用途や、コストによって様々な構造が選択できる。
また、複数のイソシアネート基と末端に不飽和結合、もしくはアルコキシシランを持つ化合物と末端がアルコールである(g−1)との反応によっても目的物を得ることが出来る。
上述したとおり、さまざまな化合物(1)を誘導でき、用途や、コストによって様々な構造が選択できる。また、ここで示した以外の構造を持つ末端官能基に関しても、Claudio Tonelli、J.Fluorine Chemistry、1999年、第95巻、第51頁に記載の方法を用いて誘導することが可能である。
化合物(1)は、撥水撥油性、潤滑性、油脂の除去性に優れたコーティング膜を形成しうる縮合性化合物または表面改質剤等として有用な化合物である。
化合物(1)により処理する対象である基材の材質及び形状は特に限定されず、例えば、金属、ガラスなどの無機材料、重合成型物などの有機材料、より具体的には、インプリンティング用金型の表面コートおよび金型、射出成型用金型、採光部材、光学部材、光ファイバ、鏡、太陽電池、光ディスク、タッチパネル、感光および定着ドラム、フィルムコンデンサ、ガラス窓用反射防止フィルムなどの各種フィルムなどが挙げられる。
化合物(1)は、特にガラスや石材などの無機材料および構造中に水酸基を有する高分子材料に対して、基材表面の水酸基がアルコキシシランと反応し、コーティング膜と基材が化学結合にてつながれた耐擦傷性に優れた強固なコーティング膜を形成することができる。水酸基を有する高分子材料としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、エチレン-ビニルアルコール共重合体が例として挙げられる。
レンズなどの光学材料に塗布した場合、化合物(1)由来のコーティング膜によって表面に優れた油脂の除去性を付与することができる。金型や容器などでは、剥離性が向上し、あるいは耐薬品性を改善する等の用途に用いることができる。
化合物(1)を基材上に、塗布などによりコーティング膜を形成した後、縮合を行うことで化合物(1)同士が化学結合でつながれたコーティング膜を形成できる。化合物(1)のコーティング膜として形成した後の縮合は、室温における養生でも可能だが、高温に置くことで短時間で完了させることができる。
なお、化合物(1)は、化合物(1)及び溶剤を含有する溶液組成物として、基材への塗布に用いることが好ましい。
化合物(1)を含有する溶液組成物の調製に使用する溶剤としては、含フッ素有機溶剤が好ましく、例えば、ペルフルオロトリプロピルアミン、トリブチルアミン等のペルフルオロアミン類やフロリナート(3M社製)、バートレル(デュポン社製)などのペルフルオロアルカン類、更には1,1,2,2−テトラフルオロエチル−1,2,2−トリフルオロエチルエーテル、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)プロパンなどのフルオロエーテル類を用いるのが好ましい。含フッ素有機溶剤は1種でも2種以上併用してもよい。
しかし、含フッ素有機溶剤は一般に高価であるため、溶解性を阻害しない範囲で他の有機溶剤を加えて使用してもよい。
他の有機溶剤の好ましい例としては、含フッ素有機溶剤と相溶性を有する有機溶剤が好ましく、炭化水素類、アルコール類、ケトン類、エーテル類、エステル類、およびハロゲン化炭化水素類からなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。有機溶剤としての炭化水素類は、炭素数5〜15の鎖状または環状の飽和または不飽和炭化水素類が好ましく、具体的にはn−ペンタン、2−メチルブタン、2,3−ジメチルブタンなどが挙げられる。
化合物(1)を含有する溶液組成物の調製のための溶剤は、含フッ素有機溶剤のみからなることが好ましいが、他の有機溶剤を含む場合、溶剤全量に対する他の有機溶剤の含有割合は、一般的には40質量%以下である。また、溶剤に共沸組成が存在する場合には、その共沸組成での使用が好ましい。
また、溶剤は、上述したものの中から選ばれ、コーティング(たとえばディップコート工程におけるコーティング)に適した沸点を持つ溶剤を用いるのが好ましい。
該溶液組成物は、溶液、懸濁液、または乳化液のいずれであってもよく、溶液であるのが好ましい。
溶液組成物中の化合物(1)もしくは化合物(1)の縮合生成物の濃度は、用途に応じて適宜調節でき、0.01〜50質量%が好ましく、0.01〜20質量%がより好ましい。
また、化合物(1)は、化合物(1)が有するシランカップリング基と反応しうる官能基を有する化合物(B)とともに共縮合してもよく、上記溶液組成物も化合物(B)を含有することができる。
化合物(B)としては、化合物(1)におけるのと同様の縮合性官能基、すなわちシランカップリング基を持つ縮合性化合物を挙げることができ、例えば、テトラメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランが挙げられる。シラン化合物は得られる膜の特性、たとえば硬度や耐湿性などを改良し、エポキシ系シランカップリング剤は、体積抵抗率、曲げ強度ともに優れた性能を付与する効果がある。また、C817CH2CH2Si(OCH3)3などの含フッ素シランカップリング剤を挙げることができる。
化合物(1)と化合物(B)の比率は目的とする用途により任意に調節することができ、化合物(B)の添加量は、化合物(1)に対して、一般的には50質量%以下、好ましくは25質量%以下である。
溶液組成物中には、化合物(1)、溶剤、化合物(B)以外の成分(以下、他の成分という)が含まれていてもよい。
他の成分としては、白金触媒類が挙げられ、シランカップリング基の縮合を促進する必要がある場合は含まれていてもよい。
また、塗膜の耐久性、特性の持続性を高めるためには、上述したように他のシリコン化
合物、及びその部分加水分解生成物を加えることが有効である。具体的には、テトラメトキシシランなどが挙げられる。
更に他の化合物、例えばシリカゾルあるいは酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウムなどの超微粒子金属酸化物、さらにはエポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂等の各種樹脂の添加も可能である。また、組成物の塗膜形成性(作業性)を高めるために界面活性剤の添加も有用である。
該溶液組成物に添加される上記の如きシリコーン化合物、シリカゲル、超微粒子金属酸化物、および各種樹脂などの量は、化合物(1)の100質量部に対して、シリコーン化合物は10〜40質量部、シリカゲルおよび超微粒金属酸化物は5〜20質量部、樹脂は0.5〜5質量部が好ましい。而して、かかる添加成分は1種のみの添加で効果が認められるが、2種以上併用してもよい。
化合物(1)を含有する溶液組成物は、基材にそのまま塗布し、その後縮合してもよいし、溶液組成物を加熱し、化合物(1)をある程度縮合させた縮合生成物を含む溶液組成物を塗布し、その後本縮合してもよい。また、縮合組成物を取り出し、別途溶剤に溶解し、塗布してもよい。
すなわち、化合物(1)自体の状態で物品に塗布、もしくは金型に注入し、コーティング膜とした上で縮合操作を行う手法、および、あらかじめ縮合を行って得た高分子量体を熱、もしくは溶媒で溶解して成型を行う手法がある。
化合物(1)またはその縮合生成物の塗布方法としては、ロールコート法、キャスト法、ディップコート法、スピンコート法、ダイコート法、ラングミュア・プロジェット法、および真空蒸着法などの既往の方法が挙げられ、スピンコート法、ディップコート法、または真空蒸着法が好ましい。スピンコート法、ディップコート法により塗布する場合には、すでに述べた溶液組成物として用いるのが好ましい。
化合物(1)またはその縮合生成物、またはこれらを含有する溶液組成物を、基材表面に塗布し、乾燥することによって化合物(1)のコーティング膜を形成させた後、一定の養生期間をおくことでシランカップリング基が縮合し、強固な膜が形成される。短時間で形成させる場合は120℃以下の高温での養生が好ましい。
透明基材上への溶液組成物による塗膜の形成に際して基材表面の特別な前処理は必要としないが、目的に応じて前処理を行うことは何ら問題はなく、上述した手法以外により耐久性の高い膜を得る方法として、例えば、基(2)を有する化合物(1)を希釈したフッ酸、塩酸等による酸処理、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム水溶液等によるアルカリ処理を行うことができる。しかる後、基材表面に上述の手法で塗布し、基材の耐熱性を考慮して50〜500℃の温度で5〜120分間加熱して硬化させる。形成される塗膜の厚さは組成物を含む液状物の組成物濃度、塗布条件、加熱条件などによって適宜制御し得て所望膜厚に応じて選定される。
また、化合物(1)と共縮合しうる化合物(B)が含まれる場合も、以上のことが同様に当てはまる。
また、あらかじめ化合物(1)の一部を縮合し、得られた縮合生成物を溶媒に希釈して同様にコーティングすることでも薄膜を形成することができる。この場合も縮合生成物を溶液組成物として用いるのが好ましい。溶液組成物やその濃度などに関しては上述の化合物(1)を塗布する場合と同様のことが言える。
化合物(1)を用いて形成した薄膜は、透明であり、屈折率が低く、または耐熱性もしくは耐薬品性に優れる。また該薄膜は、高い潤滑性を保持し、かつ部材との高い密着性を
有する。該薄膜の膜厚は、通常0.001〜50μmが好ましい。
化合物(1)を他の用途に用いる場合においては、化合物(1)をそのまま用いても、縮合生成物として用いても、またはそれらの溶液組成物等の形態で用いてもよい。本発明の化合物(1)を前記用途に用いた場合には長期にわたり安定した性能を維持できるなどの利点がある。
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、これらによって本発明は限定されない。なお、以下においてテトラメチルシランをTMS、CCl2FCClF2をR−113、ジクロロペンタフルオロプロパンをAK−225と記す。また、NMRスペクトルデータは、みかけの化学シフト範囲として示し、積分値は比率で表記した。
また、平均分子量は数平均分子量(Mn)で表し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(以下、GPCと記す。)によって測定した。
GPCの測定方法は、特開2001−208736号公報に記載する方法にしたがった。具体的には、AK−225(旭硝子社製商品名:アサヒクリンAK−225SECグレード1)およびヘキサフルオロイソプロピルアルコール(HFIP)の(99:1)混合溶媒を移動相として用い、PLgel MIXED−Eカラム(ポリマーラボラトリーズ社製、商品名)を2本直列に連結して分析カラムとした。分子量測定用標準試料として、Mw/Mnで表される分子量分布が1.1未満である分子量が2000〜10000のペルフルオロポリエーテル4種および分子量分布が1.1以上である分子量が1300のペルフルオロポリエーテル1種を用いて分析した。移動相流速を1.0mL/分、カラム温度を37℃とし、検出器としては、蒸発光散乱検出器を用いた。ただし、Mwは質量平均分子量を示す。Mnは数平均分子量を示す。
[実施例−1]シランカップリング基含有含フッ素エーテル化合物の製造例
(例1−1)含フッ素有機基を導入したポリオキシエチレン化合物の製造例
市販のポリオキシエチレングリコールモノメチルエーテル(CH3O[CH2CH2O]nH(n=8.3(平均値))の25g、AK−225の20g、NaFの1.2g、ピリジンの1.6gをフラスコに入れ、内温を10℃以下に保ちながら激しく撹拌して、窒素をバブリングさせた。そこにFCOCF(CF3)OCF2CF(CF3)OCF2CF2CF3の46.6gを、内温を5℃以下に保ちながら3.0時間かけて滴下した。滴下終了後、50℃にて12時間、その後室温にて24時間撹拌して、粗液を回収した。さらに粗液を減圧濾過し、その後、回収液を真空乾燥機(50℃、5.0torr)で12時間乾燥した。
ここで得た粗液を100mLのAK−225に溶解し、1000mLの飽和重曹水で3回水洗を行い、有機相を回収した。さらに、回収した有機相に硫酸マグネシウムの1.0gを加え、12時間撹拌を行った。その後、加圧濾過を行って硫酸マグネシウムを除去し、エバポレーターにてAK−225を留去し、室温で液体のポリマーの56.1gを得た。1H−NMR、19F−NMR分析の結果、得られたポリマーはCH3O[CH2CH2O]nC(O)CF(CF3)OCF2CF(CF3)OCF2CF2CF3(nは前記と同じ意味を示す。)で表される化合物であることを確認した。
1H−NMR(300.4MHz、溶媒:CDCl3、基準:TMS)δ(ppm):4.2,4.35,4.4,4.75.
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:CDCl3、基準:CFCl3)δ(ppm):−79.5,−80.0,−82.5〜−85.0,−128.0〜−129.2,−131.5,−144.5.
(例1−2)含フッ素有機基を導入したポリオキシエチレン化合物のフッ素化物の製造例
3000mLのハステロイ製オートクレーブに、R−113の1560gを加えて撹拌し、25℃に保った。オートクレーブガス出口には、20℃に保持した冷却器、NaFペレット充填層、および−20℃に保持した冷却器を直列に設置した。なお、−20℃に保持した冷却器からは凝集した液をオートクレーブに戻すための液体返送ラインを設置した。窒素ガスを1.0時間吹き込んだ後、窒素ガスで10モル%に希釈したフッ素ガス(以下、10%フッ素ガスと記す。)を、流速24.8L/hで1時間吹き込んだ。
つぎに、10%フッ素ガスを同じ流速で吹き込みながら、例1−1で得た生成物の27.5gをR−113の1350gに溶解した溶液を30時間かけて注入した。
つぎに、10%フッ素ガスを同じ流速で吹き込みながら、R−113溶液を12mL注入した。この際、内温を40℃に変更した。つづけて、ベンゼンを1wt%溶解したR−113溶液を6mL注入した。さらに、10%フッ素ガスを1.0時間吹き込んだ後、窒素ガスを1.0時間吹き込んだ。
反応終了後、溶媒を真空乾燥(60℃、6.0hr)にて留去し、室温で液体の生成物の45.4gを得た。NMR分析の結果、例1で得た生成物の水素原子の総数の99.9%がフッ素原子に置換された、CF3O[CF2 CF2O]nC(O)CF(CF3)OCF2CF(CF3)OCF2CF2CF3で表される化合物であることを確認した。
1H−NMR(300.4MHz、溶媒:R−113、基準:TMS、内部標準:ニトロベンゼン)δ(ppm):5.9〜6.4.
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:R−113、基準:CFCl3、内部標準:ヘキサフルオロベンゼン)δ(ppm):−54.9,−77.5〜−80.0,−81.5,−82.2,−84.5,−87.5,−89.7,−91.5,−129,−131.5,−135.0〜−139.0,−144.5.
(例1−3)含フッ素有機基を導入したポリオキシエチレン化合物のフッ素化物の熱分解例
スターラーチップを投入した50mLのナスフラスコを充分に窒素置換した。該ナスフラスコに1,1,3,4−テトラクロロヘキサフルオロブタンの5.0g、KFの0.05gおよび、例1−2で得た生成物の2.0gを加えて激しく撹拌し、120℃に保った。ナスフラスコ出口には、20℃に保持した冷却器、およびドライアイス−エタノール冷却管を直列に設置し、窒素シールを行った。
8時間後、内温を室温まで下げ、粗液を濾過し、続いて冷却管に真空ポンプを設置して系内を減圧に保ち、溶媒、および反応副性物を留去した。3時間後、室温で液体の生成物の0.86gを得た。
分析の結果、例1−2で得た生成物のエステル結合の総数の99%がフッ素原子に置換された、CF3O[CF2CF2O]n-1CF2COFで表される化合物が主たる生成物であることを確認した。
1H−NMR(300.4MHz、溶媒:R−113、基準:TMS、内部標準:ニトロベンゼン)δ(ppm):5.9〜6.4.
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:R−113、基準:CFCl3、内部標準:ヘキサフルオロベンゼン)δ(ppm):12.7,−54.9, −78.1,−87.5,−89.7,−135.0〜−139.0.
(例1−4)例1−3で得た化合物のエステル化例
ナスフラスコに3,4−ジヒドロキシ−1−ブテンの2.0g、AK−225の100g、およびNaFの2.0gを投入し、内温を10℃以下に保ちながら激しく撹拌した。 そこに例1−3と同様の手法で得たCF3O[CF2 CF2O]n-1CF2COF(45.3g)を内温を10℃以下に保ちながらゆっくりと滴下した。
8時間後、撹拌を停止し、粗液を加圧濾過器にて濾過してNaFを除去した。続いて、1000mLの蒸留水で三回水洗操作を行い有機層を回収した。回収した有機層はエバポレーターを用いてAK−225を完全に除去した。その結果、室温で液状の生成物の8.5gを得た。
分析の結果、投入した3,4−ジヒドロキシ−1−ブテンの99%の水酸基が酸フルオリドによってエステル化された、CF3O[CF2 CF2O]n-1CF2C(O)OCH2CH(OC(O)CF2[CF2 CF2O]n-1OCF3)CH=CH2で表される化合物が主たる生成物であることを確認した。
1H−NMR(300.4MHz、溶媒:R−113、基準:TMS、内部標準:ニトロベンゼン)δ(ppm):3.8,4.2,4.3,4.5,5.2〜5.4,5.6〜5.75.
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:R−113、基準:CFCl3、内部標準:ヘキサフルオロベンゼン)δ(ppm): −54.9, −77.8,−78.1,−87.5,−89.7,−135.0〜−139.0.
[例1−5]例1−4の生成物へのトリメトキシシラン付加反応例
PTFE製の内袋を備えた50mLのステンレス鋼製耐圧反応容器に、合成例1−4で得られた化合物の15.0g、トリエトキシシランの3.3g、Pt触媒の50mgおよびビストリフルオロメチルベンゼン(セイミケミカル社製)の50gを入れ、100℃で1.5時間反応を行い、反応粗液を得た。得られた反応粗液から溶媒を留去し、カラムクロマトグラフィーによって精製を行い、化合物の15.98gを得た。
NMRによる分析の結果、得られた化合物は合成例1−4で得られた化合物の不飽和結合の97%にトリメトキシシランが付加された、CF3O[CF2 CF2O]n-1CF2C(O)OCH2CH(OC(O)CF2[CF2 CF2O]n-1OCF3)CH2CH2Si(OCH33で表される化合物が主たる生成物であることを確認した。純度は94モル%であった。なお、GPC分析の結果、生成物のMnは2700であった。
1H−NMR(300.4MHz、溶媒:R−113、基準:TMS、内部標準:ニトロベンゼン)δ(ppm):0.95,1.5,3.45,4.0,5.2〜5.4.
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:R−113、基準:CFCl3、内部標準:ヘキサフルオロベンゼン)δ(ppm): −54.9, −77.8,−78.1,−87.5,−89.7,−135.0〜−139.0.
[例1−6]例1−5で得た生成物をコーティングした例
例1−5で得た化合物の0.1g、1,3−ビストリフルオロメチルベンゼンの2g、イソプロピルアルコールの0.5gを混合し、よく撹拌した。これに1%HCl水溶液1.0gを徐々に滴下した。滴下終了後25℃に保温し7日間放置してコーティング溶液を調製した。そして、あらかじめフッ化セリウムで洗浄した50mm四方のガラス片上にスピンコートにてコーティング溶液を塗布した。スピン回転速度は1500rpmであった。塗布後のガラス片を100℃の恒温槽に入れて12時間保持し、試験片を作製した。
接触角計を用いて、乾燥状態(20℃−65%RH)の該試験片表面に直径1.0mmの液滴を針先に作り、これを基材(固体)の表面に接触させて液滴を作った。液体には、
蒸留水とn−ヘキサンを使用した。蒸留水接触角は107°、オレイン酸接触角は68°、蒸留水転落角は14°であり、コーティングによって撥水撥油性が付与されたことが明らかとなった。
また、基材表面に油性ペン(マジックインキ:細書き用No.500)を用いて、長さ1cmの直線を書き、その付き易さあるいは目立ち易さを目視判定を行ったところ、油性ペンが表面で球状にはじかれていることが確認された。さらに、基材表面に付着した油性ペンをセルロース製不織布(ベンコットM−3:旭化成(株)製)でふき取ったところ、油性ペンを完全にふき取ることが出来た。
指紋の付着性に関しては基材表面にオレイン酸スタンプによる模擬試験を行った。スタンプを数秒押しつけて、指紋を付着させ、セルロース製不織布にてふき取りを行い。ヘーズ値の変化を観察したところ、5回程度のふき取りで完全にスタンプ痕を除去できた。
[実施例−2]実施例−1の例1−5で得た化合物の安定性試験例
窒素雰囲気(100mL/min)下、10℃/minの割合で25℃から500℃まで昇温した際の、実施例1の例1−5で得た化合物(25mg)の質量減少を示差熱天秤上で測定する方法でペルフルオロポリエーテル部分の安定性試験を行った結果、質量減少プロフィールは一定であり、優れた安定性を示した。
さらに、γ−アルミナ微粉(0.5g、日揮化学社製、N−611N)を存在させた場合の、標記化合物(25mg)の安定性試験を行った場合でも、質量減少プロフィールは一定であり、優れた安定性を示した。
[比較例1]
実施例−2の比較例として公知のペルフルオロポリエーテル(アウジモント社製、フォンブリンZ DiOL4000)を用いて、同様の方法で安定性試験を行った結果、該エーテルはγ−アルミナが存在すると250℃で全量が一瞬に分解し、低分子量化合物となって気化した。
本発明の含フッ素エーテル化合物は、撥水撥油剤として用いることができ、紙、布等の防水剤または半導体用保護コート(たとえば防湿コート剤、半田這い上がり防止剤)などが挙げられる。塗料に添加する場合には、塗料に対する本発明の含フッ素エーテル化合物の量が0.01〜5質量%程度になるように添加するのが好ましい。
本発明の含フッ素エーテル化合物は上記以外の他の用途にも有用に用いうる。たとえば、電線被覆材、撥インク剤(たとえば塗装用、インクジェットなどの印刷機器用)、半導体素子用接着剤(たとえばLOC(リードオンチップ)テープ用接着剤、光学分野に用いる薄膜(たとえばペリクル膜等)への添加剤、ディスプレイ用反射防止膜の潤滑剤、レジスト用反射防止膜)等が挙げられる。

Claims (8)

  1. 下式(1)で示されるシランカップリング基含有含フッ素エーテル化合物および溶剤を含有する、表面処理用溶液組成物。
    X−(Y(Z))a−X ・・・(1)
    ただし、式中の記号は以下の意味を示す。
    X: 下式(2)で表されるペルフルオロ飽和炭化水素基、または下式(2)で表されるペルフルオロ飽和炭化水素基における炭素−炭素原子間にエーテル性酸素原子が挿入されたペルフルオロ飽和炭化水素基であり、該基中には−OCF2O−構造は存在しない。
    該化合物中のXはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
    FO(CF2CF2O)b(CF2p(CH2o− ・・・(2)
    (ただし、RFは炭素数1〜16のペルフルオロアルキル基、または炭素数1〜16のペルフルオロアルキル基の炭素−炭素原子間にエーテル性酸素原子が挿入された基。bは3〜200の整数、pは1以上の整数、oは0以上の整数。)
    Y: XとZを接続する基であり、2つ以上の炭素原子を有し、エーテル結合、エステル結合、およびウレタン結合から選択される1種以上の結合を含んでいてもよい炭素数2〜10の炭化水素基である。
    Z: −Si(Z1c(Z2(3-c) ・・・(3)
    1はイソシアネート基、ハロゲン原子、またはアルコキシ基、Z2は水素原子または、メチル基、cは1〜3の整数。
    a: 1以上の整数。
  2. 前記式(1)で示されるシランカップリング基含有含フッ素エーテル化合物が以下に挙げる化合物である、請求項1に記載の表面処理用溶液組成物。
  3. 前記式(1)で示されるシランカップリング基含有含フッ素エーテル化合物とシランカップリング基を持つ縮合性化合物である化合物(B)とを共縮合させて得られた化合物をさらに含む、請求項1または2に記載の表面処理用溶液組成物。
  4. 前記化合物(B)がテトラメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、およびC17CHCHSi(OMeである、請求項3に記載の表面処理用溶液組成物。
  5. 前記溶剤が、ペルフルオロアミン類、ペルフルオロアルカン類、およびフルオロエーテル類から選択される1種以上、または、
    ペルフルオロアミン類、ペルフルオロアルカン類、およびフルオロエーテル類から選択される1種以上とn−ペンタン、2−メチルブタン、および2,3−ジメチルブタンから選択される1種以上との併用である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の表面処理用溶液組成物。
  6. 前記式(1)で示されるシランカップリング基含有含フッ素エーテル化合物が表面処理用溶液組成物中に0.01〜50質量%含まれる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の表面処理用溶液組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の表面処理用溶液組成物から形成された塗膜を有する物品。
  8. 下式で示されるシランカップリング基含有含フッ素エーテル化合物。
    ただし、Xはそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、下式(2)で表されるペルフルオロ飽和炭化水素基、または下式(2)で表されるペルフルオロ飽和炭化水素基における炭素−炭素原子間にエーテル性酸素原子が挿入されたペルフルオロ飽和炭化水素基であり、該基中には−OCFO−構造は存在しない。
    FO(CF2CF2O)b(CF2p(CH2o− ・・・(2)
    (ただし、RFは炭素数1〜16のペルフルオロアルキル基、または炭素数1〜16のペルフルオロアルキル基の炭素−炭素原子間にエーテル性酸素原子が挿入された基。bは3〜200の整数、pは1以上の整数、oは0以上の整数。)
    Zは−Si(Z1c(Z2(3-c)で表される基であり、Z1はエトキシ基またはメトキシ基、Z2は水素原子またはメチル基、cは1〜3の整数である。
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