JP4999069B2 - ナノインプリント用スタンパ、ナノインプリント用スタンパの製造方法、およびナノインプリント用スタンパの表面処理剤 - Google Patents

ナノインプリント用スタンパ、ナノインプリント用スタンパの製造方法、およびナノインプリント用スタンパの表面処理剤 Download PDF

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本発明は、微細な凹凸からなる微細パターンを表面に有するスタンパを被転写体に押圧することによって、被転写体にスタンパの凹凸形状を転写するスタンパであるナノインプリント用スタンパ、ナノインプリント用スタンパの製造方法、およびナノインプリント用スタンパの表面処理剤に関する。
近年のIT技術の進歩により、ネットワーク技術、ソフトウェア技術、および、デバイス技術の更なる発展が必要となっている。特に半導体集積回路は、微細化、集積化による高速動作、低消費電力動作などの高い技術が求められている。現在、光露光リソグラフィは最小線幅が130nmであるKrFレーザーリソグラフィから、より高解像度なArFレーザーリソグラフィへと移行している。しかし、ArFレーザーリソグラフィの量産レベルでの最小線幅が100nmであるのに対して、2007年には45nmデバイスの製造が始まろうとしている。このような状況で、より微細な技術として期待されているのがFレーザーリソグラフィや極端紫外線露光、電子線縮小転写露光、X線リソグラフィである。しかし、微細化の進歩につれて、露光装置自身の初期コストが指数関数的に増大していることに加え、使用光波長と同程度の解像度を得るためのマスクの価格が急騰している問題がある。
これに対し、微細パターンの形成をプレスにより実施するインプリント技術がある。これは、基板上に形成したい微細パターンと同じ微細パターンの凹凸を有するスタンパを、被転写体の表面に対して型押して、スタンパを剥離することで所定の微細パターンを被転写体に転写する技術である(例えば、非特許文献1参照)。
このインプリント技術は、安価に、しかも25nm以下の微細構造を被転写体に形成することができる。そして、このインプリント技術では、大容量記録媒体の記録ビットの形成や、半導体集積回路のパターンの形成等への応用が検討されてきている。
一方、このようなナノインプリント技術においては、微細パターンを形成する微細な凸凹形状をその表面(以下に、「スタンパ表面」ということがある)に有するスタンパを被転写体の表面から剥離する必要がある。この際、微細でアスペクト比の大きな構造を高精度に転写する上で、スタンパ表面は、良好な剥離性を有することが望まれる。また、スタンパは、多数回の転写を繰り返して行う上で、その転写回数が増大しても剥離性が劣化しないことが望まれる。
一般的な機械加工においては、金型の表面エネルギを低減して剥離性を向上させるために、シリコーンオイルやフッ素樹脂溶液を金型に塗布することがプレス加工や射出成形加工で行われている。これらの金型の構造寸法は100μm以上であることが多い。
しかしながら、ナノインプリント法においてはスタンパ表面の微細な凸凹のサイズが数十nmから数μmのオーダであることから、スタンパ表面にシリコーンオイルやフッ素樹脂溶液を塗布すると、これらがスタンパ表面の凹部の溝部分に入り込み、微細パターンを正確に転写することができない問題がある。
また、Baileyらは、短鎖フッ化アルキル鎖からなるシランカップリング剤であるトリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチルトリクロロシラン[CF−(CF−CH−CHSiCl]で石英製の金型を表面処理し、微細な形状を有する金型の表面にフッ素含有分子からなる剥離層を形成する技術を提案している(非特許文献2参照)。この技術によれば、微細な形状を有する表面での表面エネルギが低減され、金型の剥離性が改善される。
また、短鎖アルキル鎖からなるシランカップリング剤を基板表面に化学吸着させた場合に、アルキル鎖が自己組織的にパッキングすることによって、基板の表面にアルキル鎖が単層で緻密に配列した膜(自己組織化単分子膜)を形成することが知られている(例えば、非特許文献3参照)。しかしながら、フッ化アルキル鎖からなるシランカップリング剤の場合には、アルキル鎖からなるシランカップリング剤と異なって、フッ素原子間の反発力が大きい。そのため、緻密な自己組織化単分子膜が形成されずに低密度な膜となる。したがって、スタンパ表面の自由エネルギが十分に小さくならずに、良好な剥離性が得られない場合が多い。また、得られる膜は単分子膜ではなく、分子が多層に積み重なった膜になる場合が多い。そのため、転写回数の増加に伴い、膜が上層部から被転写体に随伴して剥離されて膜が劣化する問題も有する。
このような問題を解決する一つの方法として、パーフルオロポリエーテル鎖を含むシランカップリング剤や、側鎖にフッ化アルキル基を有するポリエーテル鎖を含むシランカップリング剤を用いてスタンパ表面を処理する方法が知られている(例えば、特許文献1、および特許文献2参照)。これらの方法によれば、スタンパ表面にフッ素含有分子からなる剥離層を形成することで、フッ素を含有する高分子をスタンパ表面に修飾することが可能となる。そして、このようなスタンパ表面においては、フッ素含有高分子鎖が糸鞠状の構造を形成すると考えられる。そのため、この方法によれば、自己組織化単分子膜を形成する方法と比較して、修飾密度、すなわちスタンパ表面とシランカップリングで化学的に結合している結合点の密度が小さくとも、効率的にスタンパ表面をフッ素含有分子で被覆することが可能となる。
特開2002−283354号公報 特開2004−225009号公報 S. Y. Chou et al., Appl. Phys. Lett. 67, 3114 (1995). "An Introduction to Ultrathin Organic Films from Longmuir-Blodgett to Self Assembly"Abraham Ulman ed., Academic Press,199, P245. T.Bailey et al., J. Vac. Sci. Technol. B, 18, 3572 (2000)
しかしながら、これらの方法では、パーフルオロポリエーテル鎖の広がりが大きく、その立体障害によってスタンパ表面に密にパーフルオロポリエーテル鎖を結合させることができない。そのため、得られる剥離層の密度は小さくなる。そして、スタンパを被転写体に押し当てた際に、剥離層の表面は、被転写体である樹脂組成物に曝されて膨潤する。その結果、スタンパを被転写体から剥離する際に、剥離層を構成するパーフルオロポリエーテル鎖が機械的に切断されて樹脂組成物側(被転写体側)に移行するという問題を有する。つまり、これらの方法では、転写回数の増加に伴って剥離層が劣化するために、スタンパは良好な剥離性を維持することが困難となる。
そこで、本発明の課題は、剥離層をスタンパ表面に簡便に形成することが可能であり、かつ多数回に渡って連続して転写が行われても剥離性の劣化が少ない耐久性に優れたナノインプリント用スタンパ、ナノインプリント用スタンパの表面処理剤、およびナノインプリント用スタンパの製造方法を提供することにある。
前記課題を解決する本発明のナノインプリント用スタンパは、被転写体に転写する微細パターンが表面に形成されているナノインプリント用スタンパにおいて、
前記表面に含フッ素ポリエーテルが付与されており、前記含フッ素ポリエーテルの片末端は前記表面と化学的に結合しているとともに、前記含フッ素ポリエーテルを構成するフルオロポリエーテル鎖は、パーフルオロポリエーテル鎖の主鎖のフッ素原子の一部が水素原子に置換されたものであって、その水素置換率が原子百分率で、0.1%以上、10%以下であり、
前記含フッ素ポリエーテルが、
F-(CF CF CF O) -(CH CF CF O) -R 15 -Si(R 16 ) (R 17 ) m−3
(ただし、R 15 は、2価のアルキル基、2価のフルオロアルキル基、または
−R 18 −CONH―R 19 ―(ただし、R 18 は、2価のフルオロアルキル基であり、R 19 は、2価のアルキル基である)で示されるアミド結合含有基であり、R 16 は、加水分解可能な基、または水酸基であり、R 17 は、水素原子またはアルキル基であり、mは、1、2または3であり、PおよびQのそれぞれは、5≦P+Q≦100、かつ
0.1≦100Q/(3P+3Q)≦10を満足する整数である)
で示されるものであることを特徴とする。
また、前記課題を解決する本発明のナノインプリント用スタンパの製造方法は、含フッ素ポリエーテルを構成するフルオロポリエーテル鎖がパーフルオロポリエーテル鎖の主鎖のフッ素原子の一部を水素原子に置換したものであって、その水素置換率が原子百分率で、0.1%以上、10%以下である下記式で示される当該含フッ素ポリエーテルが、スタンパ基板の表面に与されて、当該含フッ素ポリエーテルの片末端が前記表面と化学的に結合しているナノインプリント用スタンパの製造方法であって、表面に水酸基を有するスタンパ基板を準備する第1工程と、前記含フッ素ポリエーテルに前記スタンパ基板の表面を曝す第2工程と、を有することを特徴とするナノインプリント用スタンパの製造方法。
含フッ素ポリエーテル:
F-(CF CF CF O) -(CH CF CF O) -R 15 -Si(R 16 ) (R 17 ) m−3
(ただし、R 15 は、2価のアルキル基、2価のフルオロアルキル基、または
−R 18 −CONH―R 19 ―(ただし、R 18 は、2価のフルオロアルキル基であり、R 19 は、2価のアルキル基である)で示されるアミド結合含有基であり、R 16 は、加水分解可能な基、または水酸基であり、R 17 は、水素原子またはアルキル基であり、mは、1、2または3であり、PおよびQのそれぞれは、5≦P+Q≦100、かつ
0.1≦100Q/(3P+3Q)≦10を満足する整数である)
また、前記課題を解決する本発明のナノインプリント用スタンパの表面処理剤は、含フッ素ポリエーテルの片末端はナノインプリント用スタンパの表面と化学的に結合する官能基を有しているとともに、前記含フッ素ポリエーテルを構成するフルオロポリエーテル鎖は、パーフルオロポリエーテル鎖の主鎖のフッ素原子の一部が水素原子に置換されたものであって、その水素置換率が原子百分率で、0.1%以上、10%以下である下記式で示される当該含フッ素ポリエーテルであることを特徴とするナノインプリント用スタンパの表面処理剤。
含フッ素ポリエーテル:
F-(CF CF CF O) -(CH CF CF O) -R 15 -Si(R 16 ) (R 17 ) m−3
(ただし、R 15 は、2価のアルキル基、2価のフルオロアルキル基、または
−R 18 −CONH―R 19 ―(ただし、R 18 は、2価のフルオロアルキル基であり、R 19 は、2価のアルキル基である)で示されるアミド結合含有基であり、R 16 は、加水分解可能な基、または水酸基であり、R 17 は、水素原子またはアルキル基であり、mは、1、2または3であり、PおよびQのそれぞれは、5≦P+Q≦100、かつ
0.1≦100Q/(3P+3Q)≦10を満足する整数である)
本発明によれば、剥離層をスタンパ表面に簡便に形成することが可能であり、かつ多数回に渡って連続して転写が行われても剥離性の劣化が少ない耐久性に優れたナノインプリント用スタンパ、ナノインプリント用スタンパの表面処理剤、およびナノインプリント用スタンパの製造方法を提供することができる。
次に、本発明の実施形態について適宜図面を参照しながら詳細に説明する。参照する図面において、図1は、実施形態に係るナノインプリント用スタンパが使用される微細構造転写装置の構成説明図である。ここでは、本発明に係るナノインプリント用スタンパ(以下、単に「スタンパ」という)の説明に先立って、このスタンパが使用される微細構造転写装置について説明する。
(微細構造転写装置)
図1に示すように、微細構造転写装置A1は、昇降機構11によって上下に可動するステージ5上に、プレート3および緩衝層7がこの順番に配置されている。また、微細構造転写装置A1は、図示しないポンプ等の吸引手段に接続された吸気路Eを備えており、この吸気路Eは、昇降機構11の内部、ステージ5、およびプレート3を通過して緩衝層7の上面で開口している。そして、昇降機構11側の吸気路Eの開口は、前記した吸引手段に接続されることとなる。そして、プレート3上には、緩衝層7を介して被転写体1が配置されるとともに、この被転写体1の上方には、スタンパ2が配置されている。被転写体1のスタンパ2側の面には、後記する光硬化性樹脂6(図4(a)参照)が塗布されるとともに、スタンパ2の被転写体1側の面には、凹凸形状からなる微細パターン2a(図4(a)参照)が形成されている。ちなみに、このスタンパ2は、図1に示すように、スタンパ保持冶具4で保持されており、昇降機構11がステージ5を上昇させることによって、スタンパ2に向かって被転写体1が押し当てられるようになっている。また、ステージ5が配置される空間は、減圧室を形成しており、図示しない真空ポンプ等の排気手段によって減圧可能となっている。このような微細構造転写装置A1は、スタンパ2を被転写体1に接触させて、被転写体1の表面にスタンパ2の微細パターン2a(図4(a)参照)を転写するものであり、微細パターン2aの転写領域で不均一な圧力分布を持たせるようになっている。
プレート3は、ガラス、金属、樹脂等が使用可能であり、次に説明する緩衝層7よりも硬く、弾性率が大きいものであって、強度と所望の曲面加工が可能である材料であればよい。そして、プレート3は、その上面が曲面Cとなっており、ステージ5上にその上面が中高となるように配置されている。
緩衝層7は、プレート3の曲面C上に形成される弾性層であって、プレート3を構成する材料や、次に説明する被転写体1、およびスタンパ2を構成する材料と比較して弾性率が小さい部材で形成されている。このような弾性率の緩衝層7は、被転写体1にスタンパ2が加圧される際に被転写体1の位置がずれることを防止することができる。
この緩衝層7の材料や厚さは、後記する薄膜層を形成するために必要な圧力分布を実現するのに適したものを適宜に選択すればよい。このような緩衝層7は、例えば、ポリスチレン、ポリイミド、ポリカーボネート等の樹脂や、シリコーンを含んだゴムで形成することができる。この緩衝層7の上面は、プレート3の曲面Cに沿う曲面となっている。
被転写体1は、円盤状の部材であって、スタンパ2に形成された微細パターンが転写されるものである。本実施形態での被転写体1は、後記するように基板10(図4(a)参照)上に、後記するパターン形成層の形成材料となる光硬化性樹脂6(図4(a)参照)が塗布されたものである。この光硬化性樹脂6としては、公知のものでよく、樹脂材料に感光性物質を添加したものを使用することができる。樹脂材料としては、例えば、主成分がシクロオレフィンポリマー、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレンポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ乳酸、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
(スタンパ)
次に、本実施形態に係るスタンパ2について説明する。ここで参照する図2は、スタンパの表面に形成された剥離層の状態を表す模式図であり、スタンパの表面の部分拡大図である。なお、スタンパの表面は、図1中のスタンパの被転写体側の面に相当する。
図2に示すように、スタンパ2は、スタンパ基板101bと、このスタンパ基板101bの表面101c(以下、単に「スタンパ表面101c」ということがある)に形成された剥離層101aとを備えている。
スタンパ基板101bは、図1に示す被転写体1に転写するための微細パターン(図示せず)を有するものである。
この微細パターンを構成する凸凹の形状やサイズは、目的に応じて選択すればよく制限されるものではないが、例えば、直径が10nm〜5μmであって、アスペクト比が0.1〜5程度のピラー状の形状ものが挙げられる。
この微細パターンをスタンパ2の表面に形成する方法としては、例えば、フォトリソグラフィ、集束イオンビームリソグラフィ、電子ビーム描画法、メッキ法等が挙げられる。これらの方法は、形成する微細パターンの加工精度に応じて適宜に選択することができる。
スタンパ基板101bの材料としては、例えば、シリコン、ガラス、ニッケル、樹脂等が挙げられる。中でも、ガラス、石英、TEOS(テトラエトキシシラン)、シリコン、シリコンの酸化物をその表面に有するものが加工精度や熱安定性が優れているので好ましい。ちなみに本実施形態でのスタンパ2は、後記するように被転写体1に塗布された光硬化性樹脂6(図4(a)参照)にこのスタンパ2を介して紫外光等の電磁波を照射する必要があることから透明性を有するものから選択される。ただし、光硬化性樹脂6に代えて、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂等のその他の被加工材料が使用される場合には、不透明なものであってもよい。
剥離層101aは、被転写体1(図1参照)とスタンパ2との剥離を促進するものである。この剥離層101aの厚さは、スタンパ2における微細パターンの凸凹形状、すなわち転写形状のサイズに対応して決定することができる。具体的には、例えば、複数の突起で形成されている微細パターンの凹凸サイズは、そのアスペクト比(突起の高さ/突起の幅)が0.5以上で突起の間隔が5nm以上、100nm以下である場合には、剥離層101aの厚さは、0.5nm以上、4nm以下であることが望ましい。
このような剥離層101aは、次に説明する本発明に係る表面処理剤である含フッ素ポリエーテルで、スタンパ基板101b(図2参照)の微細パターン(図示せず)を有する面が処理されることによって形成される。
(含フッ素ポリエーテル)
本実施形態に係る表面処理剤としての含フッ素ポリエーテルを構成するフルオロポリエーテル鎖は、パーフルオロポリエーテル鎖の主鎖のフッ素原子の一部が水素原子に置換されたものであって、その水素置換率が原子百分率で、0.1%以上、10%以下である。
ここでパーフルオロポリエーテル鎖とは、2価のポリエーテル基の水素原子のすべてをフッ素原子で置換した構造を有するものと定義する。そして、図2に示すように、この含フッ素ポリエーテル102の片末端は、スタンパ表面101cと化学的に結合している。なお、本発明では、含フッ素ポリエーテル102の両末端がスタンパ表面101cと化学的に結合しているものであってもよい。なお、以下において、含フッ素ポリエーテルの符号102は適宜に省略することがある。
含フッ素ポリエーテルは、次式(1)
−Rf−R (1)
(ただし、Rは、水素原子、フッ素原子、アルキル基、アルコキシ基、または「スタンパ表面101cと化学的に結合する官能基」であり、Rは、前記Rとしての「スタンパ表面101cと化学的に結合する官能基」と同一でも異なっていてもよい「スタンパ表面101cと化学的に結合する官能基」であり、Rfは、含フッ素ポリエーテルを構成するフルオロポリエーテル鎖であり、パーフルオロポリエーテル鎖の主鎖を形成するフッ素原子の一部のみが水素原子に置換された2価の含フッ素有機基である)
で示される。
含フッ素有機基(Rf)は、前記したように、パーフルオロポリエーテル鎖の主鎖を形成するフッ素原子の一部のみが水素原子に置換されており、パーフルオロポリエーテル鎖の主鎖を形成するフッ素原子の平均0.1原子%以上、10原子%以下が水素原子で置換されているものが望ましい。
含フッ素有機基(Rf)としては、例えば、次式(2)から次式(4)で示される構造単位から選ばれる少なくとも1つを繰り返し単位とする鎖状有機基が挙げられる。
−C(R)(R)−C(R)(R)−C(R)(R)−O−・・・(2)
−C(R)(R10)−C(R11)(R12)−O−・・・(3)
−C(R13)(R14)−O−・・・(4)
(ただし、RからR14は、その一部が水素原子であるとともに、その他はフッ素原子、またはパーフルオロアルキル基である)
前記パーフルオロアルキル基としては、例えば、−CF、−C、−C等が挙げられる。
なお、式(2)で示される構造単位としては、
−CF−CF−CF−O−、−CF−CF−CH−O−、
−CH−CF−CF−O−、および−CF−CF−CF−O−
が好ましい。
また、式(3)で示される構造単位としては、
−CF−CF−O−、−CF(CF)−CF−O−、
−CF−CH−O−、−CH−CF−O−、および
−CHF−CHF−O−
が好ましい。
また、式(4)で示される構造単位としては、
−CF−O−、−CF(CF)−O−、および−CH−O−
が好ましい。
また、前記した構造単位を2種以上有する含フッ素有機基(Rf)は、その構造単位がランダム重合したものであっても、ブロック重合したものであってもよい。
このような構造単位を有する含フッ素有機基(Rf)としては、次の式(5)で示されるものを挙げることができる。
(ただし、RからR14は、前記式(2)から前記式(4)のRからR14と同義であり、L、MおよびNのそれぞれは、1≦L+M+Nを満たす整数(0を含む。以下同じ)であり、好ましくは、5≦L+M+N≦100を満たす整数である)
なお、式(5)で示される含フッ素有機基(Rf)の括弧で括られるそれぞれの構造単位の繰り返しはランダムでもブロックでもよく、配列の順序も特に制限はない。
このような含フッ素有機基(Rf)は、言い換えれば、次式(2−1)
−C(R´)(R´)−C(R´)(R´)−C(C´)(R´)−O−・・・(2−1)
(ただし、R´からR´は、その一部が水素原子であるとともに、その他はフッ素原子、またはパーフルオロアルキル基である)
で示される構造単位、
次式(3−1)
−C(R´)(R10´)−C(R11´)(R12´)−O−・・・(3−1)
(ただし、R´からR12´は、その一部が水素原子であるとともに、その他はフッ素原子、またはパーフルオロアルキル基である)
で示される構造単位、および
次式(4−1)
−C(R13´)(R14´)−O−・・・(4−1)
(ただし、R13´およびR14´は、いずれか一方が水素原子であるとともに、他方はフッ素原子、またはパーフルオロアルキル基である)
で示される構造単位から選ばれる少なくとも1つの構造単位が、パーフルオロポリエーテルの主鎖に導入されたものとも言える。この際、同種の構造単位は所定の重合度のブロックであってもよい。
このような含フッ素有機基(Rf)の中でも、L、MおよびNのそれぞれが5≦L+M+N≦100となるような重合度のものは、図2に示すスタンパ表面101cとの結合点103からの分子鎖が、より好適となって、スタンパ表面101cに対する含フッ素ポリエーテル102の結合密度を向上させることができる。その結果、このような含フッ素ポリエーテル102で形成された剥離層101aは緻密となる。なお、重合度が小さすぎる含フッ素ポリエーテル102で形成された剥離層101aは、その厚さが減少して剥離性能が低下する場合がある。また、重合度が大きすぎると、分子鎖が長くなってスタンパ表面101cに対する含フッ素ポリエーテル102の結合密度が低下する場合がある。つまり、緻密な剥離層101aが得られない場合がある。
そして、前記式(1)のRで示されるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられる。
また、前記式(1)のRで示されるアルコシキ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等が挙げられる。
また、前記式(1)のRまたはRで示される「スタンパ表面101cと化学的に結合する官能基」としては、スタンパ表面101cの材質に応じて選択すればよいが、反応性の観点からシランカップリング基を含む官能基が好ましい。
シランカップリング基は、次式(6)
−R15−Si(R16(R17m−3・・・(6)
(ただし、R15は、2価のアルキル基、2価のフルオロアルキル基、または−R18−CONH―R19―(ただし、R18は、2価のフルオロアルキル基であり、R19は、2価のアルキル基である)で示されるアミド結合含有基であり、R16は、加水分解可能な基、または水酸基であり、R17は、水素原子またはアルキル基であり、mは、1、2または3である)
で示されるものが挙げられる。
なお、R15またはR19で示される2価のアルキル基としては、
−CH−、−CH−CH−、および−CH−CH−CH−が好ましい。
また、R15またはR18で示される2価のフルオロアルキル基としては、−CF−、
−CF(CF)−、−CH−CF−、−CF−CF−、
−CF−CF−CH−CH−、−CH−CF−CH−CH−、および
−CF(CF)−CH−CH
が好ましい。
また、R16はで示される加水分解可能な基としては、塩素原子等のハロゲン原子、前記式(1)のRで示されるアルコシキ基と同様のものが挙げられる。
また、R17で示されるアルキル基としては、前記式(1)のRで示されるアルキル基と同様のものが挙げられる。
そして、中でも好ましいシランカップリング基(後記するXに相当する)としては、
−CFCFCHCH−SiCl
−CFCFCHCH−Si(OCH
−CFCFCHCH−Si(OCHCH
−CF(CF)CHCH−SiCl
−CF(CF)CHCH−Si(OCH
−CF(CF)CHCH−Si(OCHCH
−CHCFCHCH−SiCl
−CHCFCHCH−Si(OCH
−CHCFCHCH−Si(OCHCH
−CFCFCONHCHCHCH−Si(OCH
−CFCFCONHCHCHCH−Si(OCHCH
−CHCFCONHCHCHCH−Si(OCH
−CHCFCONHCHCHCH−Si(OCHCH
−CF(CF)CONHCHCHCH−Si(OCH、および
−CF(CF)CONHCHCHCH−Si(OCHCH
が挙げられる。
以上のような含フッ素ポリエーテルの中でも好ましいものは、
F−(CFCFCFO)−(CFCFCHO)−X、
F−(CFCFCFO)−(CHCFCFO)−X、
F−(CFCFCFO)−(CFCHO)−X、
F−(CFCFCFO)−(CHCFO)−X、
F−(CF(CF)CFO)−(CFCFCHO)−X、
および
F−(CF(CF)CFO)−(CHCFCFO)−X
である。但し、Xは、前記した好ましいシランカップリング基であり、PおよびQのそれぞれは、5≦P+Q≦100、かつ0.1≦100Q/(3P+3Q)≦10を満足する整数である。なお、このような好ましい含フッ素ポリエーテルは、前記した構造単位としての−CFCFCFO−、
−CFCFCHO−、−CFCHO−、−CHCFO−、および
−CF(CF)CFO−が、ランダム重合したものでもブロック重合したものであってもよい。
次に、このような含フッ素ポリエーテル(表面処理剤)の合成方法について説明する。参照する図3は、実施形態に係る表面処理剤としての含フッ素ポリエーテルの合成工程図である。なお、ここでは、次式(6)で示される含フッ素ポリエーテルを例にとって合成方法を説明する。
F-(CFCFCFO)-(CHCFCFO)- CFCF- CHCH-Si(OCH)
・・・(6)
(ただし、PおよびQのそれぞれは、5≦P+Q≦100、かつ0.1≦100Q/(3P+3Q)≦10を満足する整数である)
まず、この合成方法は、図3に示すように、パーフルオロオキセタン(A)とテトラフルオロオキセタン(B)とを開環重合させることで、フルオロポリエーテルのケトン体(C)を得る工程を有する。
この工程では、まず重合開始剤としてのCsF、またはスプレードライしたKFと、溶媒としてのN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)とが仕込まれ、−78℃に冷却されたこれらの中にモノマ成分としてのパーフルオロオキセタンとテトラフルオロオキセタンとが導入される。そして、室温で1時間攪拌された後に0℃に冷却されて、耐圧反応容器には、更にCHMgBrのエーテル溶液(1モル)がゆっくりと加えられる。これらは室温で2時間攪拌される。次いで、耐圧反応容器に3モル%の塩酸が加えられることで耐圧反応容器内の反応混合物は中和される。そして、この反応混合物には更にエーテルが加えられるとともに、得られたエーテル相には無水硫酸ナトリウムが加えられて、エーテル相に含まれる抽出物が乾燥される。その後、エーテル相が減圧下に濃縮されることによってフルオロポリエーテルのケトン体(C)が抽出物として得られる。
この工程では、使用された重合開始剤(CsFまたはKF)と、モノマ成分(パーフルオロオキセタンとテトラフルオロオキセタン)とのモル比によって、得られる共重合体の重合度が決定されるとともに、構造単位(繰り返し単位)としての
−CFCFCFO−と、−CHCFCFO−との比が決定される。さらに詳しく言うと、重合開始剤αモルと、パーフルオロオキセタンβモルと、テトラフルオロオキセタンγモルとを耐圧反応容器に導入した場合に、得られる共重合体(フルオロポリエーテルのケトン体(C))の平均重合度は、量論的に(β+γ)/αとなり、前記した構造単位の比は次のようになる。
(−CFCFCFO−):(−CHCFCFO−)=β:γ
次に、この合成方法では、図3に示すように、フルオロポリエーテルのケトン体(C)からビニル基を有するフルオロポリエーテル(D)が誘導される。
この工程では、まず、0℃に冷却されたケトン体(C)のジエチルエーテル溶液に、水素化アルミニウムリチウムのテトラヒドロフラン(THF)溶液(0.5モル)が滴下される。そして、2時間攪拌した後に、硫酸ナトリウム飽和水溶液が加えられることで、アルミニウム分およびリチウム分が沈殿物として取り除かれる。これに更にエーテルが加えられるとともに、得られたエーテル相には無水硫酸ナトリウムが加えられて、エーテル相に含まれる抽出物が乾燥される。その後、エーテル相が減圧下に濃縮されることによって片末端に水酸基を有するフルオロポリエーテルが抽出物として得られる。
次に、得られた水酸基を有するフルオロポリエーテルのピリジン溶液に、等モル量のパラトルエンスルホニルクロライドおよび0.01モル%のカテコールが加えられるとともに、3時間水処理が施される。その後、これに更にエーテルが加えられるとともに、得られたエーテル相には無水硫酸ナトリウムが加えられて、エーテル相に含まれる抽出物が乾燥される。そして、エーテル相が減圧下に濃縮されることによって片末端にビニル基を有するフルオロポリエーテル(D)が抽出物として得られる。
次に、この合成方法では、図3に示すように、ビニル基を有するフルオロポリエーテル(D)から目的物である含フッ素ポリエーテル(E)が誘導される。
この工程では、ビニル基を有するフルオロポリエーテル(D)に、塩化白金酸が触媒として添加されるとともに、トリクロロシランが加えられることによって、ビニル基を有するフルオロポリエーテル(D)は、ヒドロシリル化される。次に、これに3モルの乾燥メタノールが加えられるとともに、200mmHgの減圧下に2時間攪拌される。そして、得られた反応混合物は、減圧濃縮が施されるとともに、フロリナート溶媒FC77が加えられる。次いで、フロリナート溶媒FC77が加えられたことで析出した沈殿が取り除かれた後に、再度減圧濃縮が施されることによって、目的物の含フッ素ポリエーテル(E)がその粗製物として得られる。
以上のような含フッ素ポリエーテル(E)の合成工程で副生した中間体の除去方法としては、前記したヒドロシリル化前の工程で副生物の重合度が小さい場合には減圧蒸留が用いられ、重合度が大きい場合にはカラムクロマトグラフィーが用いられる。そして、ヒドロシリル化後の工程で副生物の重合度が小さい場合には減圧蒸留が用いられる。なお、ヒドロシリル化後の工程で副生物の重合度が大きい場合(分子鎖が長い場合)には、副生物の除去が困難となるので前駆体の段階で副生物は十分除去しておくことが望ましい。なお、得られた目的物や中間体の同定には、水素、フッ素、および炭素のNMRが好適に使用される。
(スタンパの製造方法)
次に、本実施形態に係るスタンパ2の製造方法について説明する。
この製造方法は、表面に水酸基を有するスタンパ基板101b(図2参照)を準備する第1工程と、前記した含フッ素ポリエーテルであって、少なくとも片末端にシランカップリング基を有するものにスタンパ表面101c(図2参照)を曝す第2工程とを有している。
(第1工程)
この第1工程で使用されるスタンパ基板101bは、スタンパ表面101c(図2参照)に水酸基を有している。スタンパ表面101cへの水酸基の導入に先立って、まず、スタンパ基板101bが洗浄される。この洗浄は、中性洗剤溶液中での超音波洗浄が望ましい。そして、スタンパ基板101bは、洗浄後に純水で十分に水洗される。
次に、スタンパ表面101cに、含フッ素ポリエーテル102(図2参照)の化学的な接合基点となる水酸基が導入される。水酸基の導入方法としては、スタンパ基板101bの材質に応じて公知の方法を適宜に採用することができるが、少なくともスタンパ表面101cが、前記したガラスや、石英、TEOS、シリコン、およびシリコンの酸化物で形成されている場合には、ピラニア溶液(濃硫酸70%、過酸化水素水30%)にスタンパ基板101bを浸漬する方法や、スタンパ基板101bに酸素プラズマ処理を施す方法が挙げられる。なお、ピラニア処理を施した場合には、スタンパ基板101bを十分に水洗し乾燥することが望まれる。
(第2工程)
この第2工程では、前記したように、水酸基が導入されたスタンパ表面101cが前記した含フッ素ポリエーテルに曝される。このことによって、含フッ素ポリエーテルの少なくとも片末端に設けられたシランカップリング基と、スタンパ表面101cに導入された水酸基とが化学的に結合する。ちなみに、シランカップリング基を有する含フッ素ポリエーテルが使用される場合には、この含フッ素ポリエーテルの溶液にスタンパ基板101bを浸漬する方法が好適に使用される。
含フッ素ポリエーテルの溶液の濃度は、0.01質量%〜0.2質量%が望ましい。
含フッ素ポリエーテルの溶液に使用される溶媒としては、例えば、ハイドロフルオロエーテル、パーフルオロヘキサン、パーフルオロメチルシクロヘキサン、パーフルオロ−1,3−ジメチルシクロヘキサン等のフッ素系不活性溶媒が望ましい。
スタンパ基板101bの浸漬時間は、含フッ素ポリエーテルの溶液の濃度や温度等に応じて適宜に設定することができ、通常、10分〜24時間程度が望ましい。なお、浸漬時間や、含フッ素ポリエーテルの溶液の濃度、温度を設定する場合に、前記した剥離層101a(図2参照)の厚さや密度を、X線反射率測定法や分光エリプソメトリー法等によって測定して決定することが望ましい。なお、X線反射率測定法や分光エリプソメトリー法による剥離層101aの厚さや密度の測定は、微細パターンを有していないスタンパ基板101bを別途に作製し、このスタンパ基板101bに同じ条件で形成した剥離層101aについて行うことが望ましい。このような測定方法によれば、より正確に剥離層101aの厚さや密度を求めることができる。
次に、含フッ素ポリエーテルの溶液から引き上げられたスタンパ基板101bは、前記した溶媒に数回浸漬、引き上げが繰り返されることで、スタンパ表面101cに過剰に吸着した含フッ素ポリエーテルが洗浄されて除去される。この際、スタンパ表面101cは、溶媒中で超音波洗浄が施されてもよい。そして、このように洗浄されたスタンパ基板101bは、窒素ガスでブロー乾燥される。
次に、スタンパ基板101bは、大気中において120℃で15分程度ベークされる。このことによってスタンパ表面101cに導入された水酸基と、含フッ素ポリエーテルのシランカップリング基との化学的な結合がより強固となる。そして、含フッ素ポリエーテルを構成するパーフルオロポリエーテル鎖の主鎖において、フッ素原子と置換された一部の水素原子は、近接する他のパーフルオロポリエーテル鎖において置換された水素原子、およびスタンパ表面101cに導入された水酸基と相互に誘引し合う(結合し合う)。
その一方で、このようにして得られたスタンパ2は、パーフルオロポリエーテル鎖における未置換のフッ素原子によって良好な剥離性を発揮することとなる。ちなみに、このスタンパ2では、水の接触角が115度〜120度となる。
(スタンパを使用した微細パターンの転写方法)
次に、本実施形態に係るスタンパ2を使用した微細構造転写装置A1(図1参照)の動作について説明しつつ、微細パターン(微細構造)の転写方法について説明する。参照する図面において、図4の(a)から(d)は、微細構造の転写方法の工程を示す模式図であって、主にスタンパと被転写体の位置関係を示している。
まず、図1に示す微細構造転写装置A1では、被転写体1が、プレート3上に緩衝層7を介して配置される。つまり、被転写体1は、緩衝層7の上面である中高の曲面に配置されることとなる。このとき被転写体1は、緩衝層7の上面で吸気路Eの開口で吸着されて緩衝層7上に支持される。そして、前記したように減圧室から排気されることによって被転写体1は減圧雰囲気に晒されることとなる。
次に、図1に示す昇降機構11によってステージ5が上昇すると、スタンパ2と被転写体1とが接触する。その結果、図4(b)に示すように、被転写体1に塗布された光硬化性樹脂6は、スタンパ2の微細パターン2a(図4(a)参照)と接触する。このとき、被転写体1の下面は、中高になった緩衝層7と接触しているので、被転写体1の上面では、その中央部が最も大きな力でスタンパ2に加圧される。さらに、ステージ5を上昇させることで圧力が増加し、その際、圧力分布は時間に依存して変化する。
そして、緩衝層7が曲面になっているので、被転写体1の中央部から周囲に向かうほど加圧される力が次第に小さくなっていく。つまり、圧力分布は、不均一になっている。また、ステージ5が上昇するにつれて、被転写体1の中央部から周囲にかけて圧力分布が時間に依存して変化する。このとき、弾性を有する緩衝層7は、中央部が最も大きく変形し、被転写体1の外周に近づくにつれて変形量が小さくなる。その結果として、被転写体1の中央部で圧力が最大となり、周囲に向かうほど圧力が徐々に小さくなって、被転写体1の外周端部で圧力が最小となる。つまり、被転写体1には、同心円状の圧力等高線が形成されることとなる。このようにスタンパ2が被転写体1に接触することによって光硬化性樹脂6はスタンパ2と被転写体1との間に押し広げられる。
このようにスタンパ2と被転写体1とを接触させる際に、スタンパ2と被転写体1との相対位置を合せ込むアライメント機構(図示せず)を設置することが望ましい。アライメント方式としては、例えば、被転写体1とスタンパ2を、基準となる部品へ物理的に当てる機械方式や、被転写体1とスタンパ2に設けられた所定の基準点を光学的に検出する光学方式等が挙げられる。これらのアライメント方式は、被転写体1の形状や要求されるアライメントの精度等に応じて適宜に選択することができる。なお、このアライメントの実施は、光硬化性樹脂6が硬化する前であれば、被転写体1とスタンパ2との接触前後を問わない。
次に、図4(c)に示すように、スタンパ2を介して光硬化性樹脂6に図示しない光源から紫外光UVが照射されて、光硬化性樹脂6は硬化する。次に、図1に示す昇降機構11によってステージ5が下降すると、緩衝層7の上面で吸気路Eの開口で吸着されて支持されている被転写体1は、スタンパ2から剥離する。その結果、図4(d)に示すように、剥離した被転写体1には、スタンパ2の微細パターン2aが転写される。
次に、本実施形態に係る表面処理剤としての含フッ素ポリエーテル、およびこの含フッ素ポリエーテルで表面処理されたスタンパ2の作用効果について説明する。参照する図5(a)は、実施形態に係る表面処理剤としての含フッ素ポリエーテルがスタンパ表面で広がる様子を示す模式図、図5(b)は、従来の表面処理剤としてのパーフルオロポリエーテルがスタンパ表面で広がる様子を示す模式図である。
図5(b)に示すように、従来の表面処理剤としてのパーフルオロポリエーテル202は、スタンパ基板201の表面と結合点203を介して化学的に結合した際に、それを構成するフッ素原子間の反発力によって、パーフルオロポリエーテル202の分子内、および分子間に斥力が作用する。また、スタンパ基板201の表面とパーフルオロポリエーテル202の分子鎖との間にも斥力が作用する。そのため、パーフルオロポリエーテル202の分子鎖の広がり204が大きくなって、スタンパ基板201の表面にパーフルオロポリエーテル202を高密度で結合させることが困難となる。したがって、従来の表面処理剤(パーフルオロポリエーテル202)を使用したスタンパ200は、得られる剥離層201aの密度が小さく、微細パターンの転写時に剥離層201aの表面が被転写体である樹脂組成物に曝されて膨潤する。その結果、スタンパ200を被転写体から剥離する際に、剥離層201aを構成するパーフルオロポリエーテル202が機械的に切断して被転写体側に移行するという問題を有する。すなわち、これらの方法では、転写回数の増加に伴って剥離層201aが劣化するために、スタンパ200は良好な剥離性を維持することが困難となる。
これに対し、図5(a)に示すように、本実施形態に係る表面処理剤としての含フッ素ポリエーテル204は、スタンパ基板201の表面と結合点203を介して化学的に結合した際に、この含フッ素ポリエーテル204がパーフルオロポリエーテルの主鎖を形成するフッ素原子の一部を水素原子で置換したものであるので、この水素原子によって、含フッ素ポリエーテル204の分子間および分子内の反発力が低減される。そして、この水素原子によって、含フッ素ポリエーテル204の分子鎖とスタンパ基板201との吸着力が向上する。このため、含フッ素ポリエーテル204の分子鎖の広がり204が抑制される。
したがって、本実施形態に係る表面処理剤としての含フッ素ポリエーテル204によれば、従来の表面処理剤としてのパーフルオロポリエーテル202(図5(b)参照)と比較して、スタンパ基板201の表面に対する結合密度を向上させることができる。
その結果、本実施形態に係るスタンパ2は、多数回に渡って連続して転写が行われても剥離性の劣化が少なく、耐久性に優れる。
また、本実施形態に係るスタンパ2の製造方法によれば、含フッ素ポリエーテル204をスタンパ基板201の表面に付与することで剥離層201aを簡単に形成することができる。
なお、本発明は、前記実施形態に限定されることなく、様々な形態で実施される。
前記実施形態では、スタンパ2が使用された微細構造転写装置A1を例示したが、本発明のスタンパ2が使用される微細構造転写装置は、次のように構成されていてもよい。ここで参照する図6は、他の実施形態に係る微細構造転写装置を示す図であり、(a)は構成説明図、(b)は、送気路の開口の配置を示す模式図である。
図6(a)に示すように、微細構造転写装置A2は、プレート3の上面、つまりスタンパ2側の面が平坦になっている。そして、この平坦な上面に沿って緩衝層7が配置されており、緩衝層7の上面も平坦になっている。また、微細構造転写装置A2は、加圧された流体が流通する複数の流路Hを備えており、これらの流路Hのそれぞれは、昇降機構11の内部、ステージ5、およびプレート3を通過して緩衝層7の上面で開口している。
図6(b)に示すように、緩衝層7の上面における流路Hの開口は、5つの同心円上に並んでいる。そして、同じ同心円上で開口同士が並ぶ各流路Hは、相互に同じ配管に接続されている。具体的には、図6(b)に示すように、緩衝層7の上面側で開口が最も内側の同心円上に並ぶ流路Hは、環状の配管P1に接続され、さらにその外側の同心円上に並ぶ流路Hは、順次に外側に向かうほど、環状の配管P2、配管P3、配管P4、および配管P3にそれぞれ接続されている。なお、これらの配管P1,P2,P3,P4,P4は、図示しないが、昇降機構11(図6(a)参照)の内部に配置されている。そして、図6(b)に示すように、これらの配管P1,P2,P3,P4,P5のそれぞれには、各配管P1,P2,P3,P4,P5内を流れる流体の圧力を調節する圧力調整機構B1,B2,B3,B4,B5が接続されている。そして、圧力調整機構B1,B2,B3,B4,B5は、同じ同心円上の流路Hの開口から同じ圧力の流体を噴出させるように圧力を調節するようになっている。開口から噴出させる圧力は必ずしも同じ圧力にする必要はなく、必要に応じて異なる圧力に調整してもよい。
次に、微細構造転写装置A2の動作について説明しつつ、微細パターンの転写方法について説明する。
このような微細構造転写装置A2では、図6(a)に示す昇降機構11によってステージ5が上昇するとともに、緩衝層7の各流路Hの開口から流体を噴出させると、被転写体1の下面が緩衝層7の上面から離れて、被転写体1の上面がスタンパ2に接触する。そして、最も内周側の配管P1を介して緩衝層7の流路Hの開口から流体を噴出させ、次いで、順次に、外周側の配管P2に接続された流路H、配管P3に接続された流路H、配管P4に接続された流路H、および配管P5に接続された流路Hの開口からそれぞれ流体を噴出させることで、被転写体1の中央部から周囲にかけて圧力分布が時間に依存して変化する。また、配管P1内の流体の圧力を最も高くするように、そして配管P2から配管P5まで段階的に圧力を低くするように調整することで、被転写体1の上面では、その中央部が最も大きな力でスタンパ2に加圧され、被転写体1の中央部から周囲に向かうほど加圧される力が次第に小さくなっていく。このとき、弾性を有する緩衝層7は、中央部が最も大きく変形し、被転写体1の外周に近づくにつれて変形量が小さくなる。その結果として、被転写体1の中央部で圧力が最大となり、被転写体1の外周端部で圧力が最小となる。つまり、被転写体1には、同心円状の圧力等高線が規定されることとなる。このようにスタンパ2が被転写体1に接触することによって光硬化性樹脂6はスタンパ2と被転写体1との間に押し広げられる。また、前記したように配管P1,P2,P3,P4,P5の流体を噴出させるタイミングを変えずに、配管P1,P2,P3,P4,P5から同時に流体を噴出させてもよい。この場合、各配管P1,P2,P3,P4,P5の圧力を変化させて圧力分布をもたせることが好ましい。
そして、光硬化性樹脂6を前記実施形態と同様にして硬化させた後に、圧力調整機構B1,B2,B3,B4,B5で、配管P1,P2,P3,P4,P5内の圧力を減じることによって被転写体1を緩衝層7の上面で吸着する。次いで、図6(a)に示す昇降機構11によってステージ5を下降させることで、被転写体1は、スタンパ2から剥離する。その結果、スタンパ2の微細パターン2a(図2(d)参照)が転写された被転写体1が得られる。
前記実施形態では、被転写体1の片面にのみ微細パターンが転写されたが、本発明は、被転写体1の両面に微細パターンが転写されるものであってもよい。この際、被転写体1を挟むように1対のスタンパ2が配置されることとなる。
また、前記実施形態では、減圧雰囲気下で、スタンパ2と被転写体1とを接触させているが、本発明は、大気圧の雰囲気下でスタンパ2と被転写体1とを接触させるものであってもよい。
前記実施形態では、スタンパ2をプレート3に配置してから、このスタンパ2に相対するように、光硬化性樹脂6を予め塗布した被転写体1を配置したが、本発明は、例えば、光硬化性樹脂6を塗布した被転写体1をプレート3に配置し、これにスタンパ2を相対するように配置してもよい。また、スタンパ2に光硬化性樹脂6を予め塗布して同様に配置してもよい。さらに、前記実施形態に係る微細構造転写装置A1,A2は、ディスペンサ、インクジェットヘッドなどの光硬化性樹脂6を付与する手段を組み込むことにより、光硬化性樹脂6を被転写体1や、スタンパ2に自動的に塗布するように構成することもできる。
前記実施形態で微細パターンが転写された被転写体1は、磁気記録媒体や光記録媒体等の情報記録媒体に適用可能である。また、この被転写体1は、大規模集積回路部品や、レンズ、偏光板、波長フィルタ、発光素子、光集積回路等の光学部品、免疫分析、DNA分離、細胞培養等のバイオデバイスへの適用が可能である。
次に、実施例を示しながら本発明をさらに具体的に説明する。
(実施例1)
本実施例では、後記する次式(7)で示される含フッ素ポリエーテル(表面処理剤)でスタンパ表面101c(図2参照)が表面処理されたスタンパ2(図2参照)について説明する。
このスタンパ2のスタンパ基板101b(図2参照)には、直径27.4mm、厚さ0.381mm、中心穴径7mmの石英基板が使用された。そして、スタンパ表面101cには、直径で20mmから25mmまでの範囲に、フォトリソグラフィ法にて幅2μm、ピッチ4μm、深さ80nmの溝パターンが同心円状に形成された。溝パターンは、中心穴の中心軸と同心となるように配置された。
このスタンパ基板101bのスタンパ表面101cには、次式(7)で示される含フッ素ポリエーテルが付与された。
F-(CFCFCFO)35-(CHCFCFO)- CFCF- CHCH-Si(OCH)・・・(7)
この含フッ素ポリエーテルは、前記した合成方法(図3参照)によって得られたものであり、パーフルオロオキセタンとテトラフルオロオキセタンとのランダム共重合体である。そして、この含フッ素ポリエーテルの水素置換率は約2%であった。つまり、この含フッ素ポリエーテルに対応する次式(8)
F-(CFCFCFO)37- CFCF- CHCH-Si(OCH)・・・(8)
で示されるパーフルオロポリエーテルにおいて、そのフッ素原子の約2原子%を水素原子に置換した構造を有する。なお、重合度は、含フッ素ポリエーテルの合成過程におけるヒドロシリル化前の中間体を、NMR(水素、フッ素)とGPCとによって測定した値の平均である。
次に、式(7)で示される含フッ素ポリエーテルがフロリナート溶媒FC72(住友3M社製PF5060)に窒素雰囲気化で溶解されて、濃度0.1質量%の表面処理液が調製された。
その一方で、スタンパ基板101bとは別途に、表面が平滑な石英基板が準備された。この石英基板は、後記するように形成する剥離層101a(図2参照)の厚さ、密度等を求めるために使用するものである。
この石英基板とスタンパ基板101bとに次の処理が施された。
まず、スタンパ基板101bと石英基板とは、中性洗剤溶液中で10分間超音波洗浄されるとともに、純水の流水で10分間リンスされた。
次に、濃硫酸と過酸化水素水の体積比が7:3のピラニア溶液(90℃)に、スタンパ基板101bと石英基板とが15分間浸漬された。その結果、スタンパ基板101bおよび石英基板の表面は、付着していた有機汚染物が除去されるとともに、その表面には水酸基が導入された。
そして、スタンパ基板101bと石英基板とは、純水の流水で十分にリンスされた後に、赤外線乾燥器で乾燥された。なお、スタンパ基板101bおよび石英基板の表面に対する水の接触角は、約2度となっており、スタンパ基板101bおよび石英基板の表面には、十分な水酸基が導入されていることが確認された。
次に、スタンパ基板101bと石英基板とは、前記した表面処理液に浸漬された。浸漬は室温で4時間行った。浸漬後、スタンパ基板101bと石英基板とは、フロリナート溶媒(前記に同じ)に浸漬されることによって、余分に吸着された含フッ素ポリエーテルが除去された。その後、スタンパ基板101bと石英基板とがホットプレートにて120℃で15分間ベークされることで、スタンパ2(剥離層101aを有するスタンパ基板101b)と、剥離層101aを有する石英基板とが得られた。
得られたスタンパ2の表面、および剥離層101aを有する石英基板の表面に対する水の接触角は、117度となっており、スタンパ基板101b、および剥離層101aを有する石英基板の表面には、式(7)で示される含フッ素ポリエーテルが結合されていることが確認された。
次に、含フッ素ポリエーテルで形成された剥離層101a(図2参照)が、X線反射率測定法およびXPS法によって分析された。この分析は、石英基板の表面に形成された剥離層101aについて行われた。
XPS法による分析では、C1sに由来するXPSシグナルが測定された。その結果、294eVにフルオロエーテル構造に由来するピークが観察され、石英基板の表面には、前記式(1)の含フッ素有機基(Rf)に相当するフルオロエーテル鎖が確認された。なお、C1sのピークを分離してフルオロエーテル構造に由来するピークのカウント数は、5200カウント/秒であった。
X線反射率測定法による分析では、剥離層101a(図2参照)の厚さと密度が測定された。剥離層101aの厚さは1.8nmであり、密度は2.5g/cmであった。これらの厚さと密度とから求めた石英基板の表面に対する含フッ素ポリエーテルの分子の結合密度は、0.42分子/nmであった。このことでスタンパ基板101bの表面にも同様な剥離層101aが形成されていることが検証された。
次に、得られたスタンパ2を使用して微細パターン(微細構造)が被転写体1(図1参照)に転写された。
スタンパ2は、次のように構成された微細構造転写装置に組み込まれた。参照する図7は、本実施例で使用した微細構造転写装置の構成説明図である。まず、微細構造転写装置について説明する。
図7に示すように、微細構造転写装置A3は、ステージ5の表面が平坦であり、複数の流路Hの開口がプレート3aの上面で、図6(b)に示したと同様に、5つの同心円上に並ぶように形成されている。また各流路Hには、図6(b)に示したと同様に、同心円ごとに独立した圧力調整機構B1,B2,B3,B4,B5が接続されている。そして、圧力調整機構B1,B2,B3,B4,B5は、同じ同心円上の開口から同じ圧力の窒素ガスを噴出させるように構成されている。ステージ5の中心には、被転写体1とスタンパ2の中心穴の軸を合せるピンL1が通されている。そして、図示しないがピン先端部L2はピンL1を押し込むことで直径が変化する構造となっており、被転写体1とスタンパ2の中心軸を合わせるときにのみピンL1の直径が広がり、被転写体1とスタンパ2の設置および加圧の際には、ピンL1の直径が小さくなる。
次いで、ここでは、ステージ5上に、被転写体1を設置した。被転写体1の微細パターンを転写する面に相対して、微細パターンを有するスタンパ2が設置された。スタンパ2は、スタンパ保持冶具3cで保持した。被転写体1とスタンパ2を合せる前に減圧室が−80kPaまで減圧され、被転写体1とスタンパ2の表面が大気圧以下の雰囲気に曝された。
ここでは、被転写体1として直径27.4mm、厚さ0.381mm、中心穴径7mmのガラス基板を使用した。被転写体1の表面には、ディスペンス法で樹脂が滴下された。樹脂は感光性物質を添加したアクリレート系樹脂であり、粘度が4cP(4mPas)になるように調合された。樹脂は、ノズルが512(256×2列)個配列され、ピエゾ方式で樹脂を吐出する塗布ヘッドで塗布された。塗布ヘッドのノズル間隔は、列方向に70μm、列間140μmである。各ノズルからは約5pLの樹脂が吐出されるように制御された。
吐出位置は、スタンパ2と被転写体1を加圧することで求められる樹脂1滴分の広がりより決定した。前記被転写体1の表面に樹脂を滴下し、スタンパ2を押し当てた結果、樹脂は溝パターンに対して、溝パターンと垂直方向(被転写体1の半径方向)に約140μm、溝パターンと平行方向(被転写体1の周回方向)に約850μmとなる楕円状に広がった。結果として、樹脂の滴下ピッチは、直径20mmから25mmの範囲で、半径方向に80μmとされ、周回方向ピッチは510μmとされた。
次に、ステージ5の流路Hの開口から窒素ガスを噴出させることで、被転写体1の裏面がステージ5の表面から離れ、被転写体1の表面がスタンパ2の表面に接触した。噴出した窒素ガスはステージ5と被転写体1の裏面との隙間を通り抜け、所定の排出口(図示せず)より排出された。圧力調整機構B1,B2,B3,B4,B5から送り込まれる窒素ガスの噴出量が制御されることで、噴出する窒素ガスの圧力は、ステージ5の内周側から順番に0.5MPa、0.5MPa、0.45MPa、0.4MPa、0.4MPaに設定された。このとき、被転写体1の中心穴端部が最大圧力になり、被転写体1の外周端部に向って圧力が小さくなる、同心円状の圧力等高線分布となった。
被転写体1とスタンパ2を加圧した状態で、上部プレート3bの上部に設置した図示しない光源から紫外光UVが照射され、スタンパ2を通して樹脂に紫外光UVが照射されることで、樹脂は硬化した。樹脂が硬化した後、圧力調整機構B1,B2,B3,B4,B5で窒素ガスの噴出圧力が減じられて被転写体1はステージ5に吸引された。そして、スタンパ2は被転写体1から剥離された。被転写体1の表面には、スタンパ2の表面に形成した微細パターンに対応する、幅2μm、ピッチ4μm、深さ80nmの溝パターンが同心円状に形成された。
このような転写工程が、同一のスタンパ2で300回繰り返して行われた。スタンパ2は、300回目の転写工程においても剥離性が良好であった。また、スタンパ2には、被転写体1側からの樹脂が転移して残存することもなかった。
次に、スタンパ2に代えて、剥離層101aを形成した前記石英基板を使用した以外は前記したと同様に転写工程が300回繰り返して行われた。そして、使用した石英基板に形成された剥離層101aが、X線反射率測定法およびXPS法によって分析された。
XPS法による分析では、C1sに由来するXPSシグナルが測定された。フルオロエーテル構造に由来する294eVに現れるピークカウント数は、4800カウント/秒であった。
X線反射率測定法による分析では、剥離層101aの厚さと密度が測定された。剥離層101aの厚さは1.7nmであり、密度は2.5g/cmであった。つまり、剥離層101aは、300回の転写工程を経た後であっても、初期状態と略同一の状態を維持していることが確認された。
以上の結果から、前記式(7)で示される本発明に係る含フッ素ポリエーテルで形成された剥離層101aは、十分な耐久性を示すことが確認された。
(比較例1)
比較例1では、前記式(7)で示される本発明に係る含フッ素ポリエーテルに代えて、前記式(8)で示されるパーフルオロエーテルを使用した以外は、実施例1のスタンパ2と同様にしてスタンパ200(図5(b)参照)が形成された。その一方で、前記含フッ素ポリエーテルに代えて、前記パーフルオロエーテルを使用した以外は、実施例1の剥離層101aを有する石英基板と同様にして剥離層201a(図5(b)参照)を有する石英基板が形成された。
剥離層201a(図5(b)参照)を有する石英基板の表面に対する水の接触角は115度であった。つまり、この剥離層201aの接触角は、実施例1の剥離層101aと同程度であった。
次に、X線反射率測定法よって測定された剥離層201aの厚さは2.5nmであり、密度は1.6g/cmであった。これらの厚さと密度とから求めた石英基板の表面に対するパーフルオロエーテルの結合密度は、0.37分子/nmであった。つまり、実施例1の剥離層101aは、比較例1の剥離層201aと比較して密度が大きく、また結合密度も大きいことが検証された。
次に、実施例1でのスタンパ2に代えて、この比較例1で得られた剥離層201aを有する石英基板を使用した以外は、実施例1と同様にして転写工程が繰り返して行われた。その結果、115回目の転写工程で石英基板の表面に被転写体1側からの樹脂が転移した。
この比較例1で得られたスタンパ200(図5(b)参照)で同様に転写工程が繰り返して行われた。その結果、102回目の転写工程でスタンパ200の表面に被転写体1側からの樹脂が転移した。
以上の結果から、パーフルオロポリエーテルの主鎖を形成するフッ素原子の一部が水素原子で置換された化学構造を有する実施例1に係る含フッ素ポリエーテルは、連続した転写工程が実施された場合でも剥離性の劣化が少なく、耐久性に優れた剥離層101aを形成することが検証された。
(実施例2)
実施例2では、微細孔を有するスタンパ基板101bを使用したスタンパ2について説明する。
スタンパ基板101bには、直径27.4mm、厚さ0.381mm、中心穴径7mmの石英基板が使用された。そして、直径20mmから25mmの範囲に、周知の電子線直接描画法で直径25nm、深さ50nmの微細孔がピッチ50nmで形成された。
次に、このスタンパ基板101bを使用した以外は実施例1と同様にして剥離層101aが形成されてスタンパ2が作製された。そして、このスタンパ2について、実施例1と同様にして転写工程が繰り返された。その結果、300回目の転写工程を経てもスタンパ2の剥離性は良好に維持されていた。また、スタンパ2には、被転写体1側からの樹脂が転移して残存することもなかった。
そして、300回目の転写工程で、被転写体1の表面に転写された微細パターンを原子間力顕微鏡で観察したところ、スタンパ2に形成された微細パターンに対応する微細ピラーアレイが確認された。ちなみに、微細ピラーアレイの直径は、25nmであり、深さは50nmであり、ピッチは50nmであった。
(比較例2)
比較例2では、前記式(7)で示される本発明に係る含フッ素ポリエーテルに代えて、前記式(8)で示されるパーフルオロエーテルを使用した以外は、実施例2のスタンパ2と同様にしてスタンパ200(図5(b)参照)が形成された。
そして、このスタンパ200について、実施例2と同様にして転写工程が繰り返された。その結果、その結果、95回目の転写工程でスタンパ200の表面に被転写体1側からの樹脂が転移した。
以上の結果から、パーフルオロポリエーテルの主鎖を形成するフッ素原子の一部が水素原子で置換された化学構造を有する実施例1に係る含フッ素ポリエーテルは、微細孔を有するスタンパ2であっても、剥離性の劣化が少なく、耐久性に優れた剥離層101aを形成することが検証された。
(実施例3)
実施例3では、実施例1と同様な手順により、パーフルオロオキセタンとテトラフルオロオキセタンとの重合度を変えた種々の表面処理剤を合成し、その化合物を用いて連続インプリント試験を実施した結果を説明する。
この実施例3では、次式(9)に示す化学構造を有し、式(9)中のパーフルオロオキセタンの重合度Pとテトラフルオロオキセタンの重合度Qを変化させた種々の表面処理剤が合成された。
F-(CFCFCFO)-(CHCFCFO)- CFCF- CHCH-Si(OCH)・・・(9)
合成した表面処理剤の化学構造(式(9)のPとQの平均値)および水素置換率を表1に示す。
表面処理剤1−aから1−cは重合度(式(9)のP+Qの値)が約4であり、表面処理剤2−aから2−dは重合度が約38であり、表面処理剤3−aから3−dは重合度が約110である。
以上の表面処理剤を用い、まず、表面が平滑な石英基板の表面に剥離層101aを形成し、その初期状態を接触角測定およびX線反射率測定により評価した。また、その石英基板を用いて転写工程を繰り返して行った。その結果を表1に示す。表1中の「連続転写可能回数」は、同一の石英基板を用いて繰り返して転写を行い、剥離層101aに剥離欠陥が発生するまでに何回の繰り返し転写が可能であったかの回数を示す。
表1から明らかなように、重合度が4程度と小さな表面処理剤1−aから1−cを用いてスタンパ基板101bを処理した場合、初期状態において剥離層の水に対する接触角は、95度以下であった。また、X線反射率で測定では明瞭な強度が得られず、剥離層101aの膜さや密度の評価ができなかった。さらに、連続転写可能回数は、最大で8回と十分な結果が得られなかった。これは、重合度が小さいため、パーフルオロポリエーテルあるいは含フッ素ポリエーテルがスタンパ基板101bの表面を完全に覆うことができなかったためであると考えられる。
重合度が38程度の表面処理剤2−aから2−dを用いてディスク基板表面を処理した結果を説明する。水素置換率が2%と9%の2−bと2−cを用いた場合、300回以上の連続転写可能回数が確認された。これに対して、水素置換率が0%、すなわち主鎖がパーフルオロポリエーテル基である2−aでは連続転写可能回数は115回にとどまった。剥離層の初期状態を分析した結果、2−bおよび2−cを用いた場合は、2−aを用いた場合に比べて剥離層101aの密度および基板表面への結合密度が大きく、緻密な剥離層101aが形成されていることが判明した。以上の結果より、重合度が38程度の場合、パーフルオロポリエーテルの主鎖中のフッ素原子を2〜9%の割合で水素原子に置換することにより剥離層101aの耐久性を向上させることが可能であることが判明した。なお、水素置換率が16%である2−dを用いた場合、連続転写可能回数は10回と非常に小さくなった。これは、水素置換率が大きくなると剥離層101a内のフッ素原子の割合が小さくなり、剥離性能が低下したためであると考えられる。
重合度が110程度の表面処理剤3−aから3−dを用いて石英基板の表面を処理した結果を説明する。この場合、剥離性に関しては重合度が38程度の表面処理剤2−aから2−dを用いた場合と同様な結果が得られた。
次に、平滑な石英基板の代わりに、微細パターンが形成されたスタンパ基板101bの表面に剥離層101aを形成することによって得られたスタンパ2を使用して転写工程が実施された。
この実施例3では、実施例1で適用したフォトリソグラフィ法で幅2μm、ピッチ4μm、深さ80nmの溝パターンを同心円状に形成したスタンパ基板101b、および実施例2で適用した電子線直接描画法で直径25nm、深さ50nmの微細孔を、ピッチ50nmで形成したスタンパ基板101bを用いた。
次に、表1に示す各表面処理剤により溝パターンを形成したスタンパ基板101bの表面に剥離層101aが形成されてスタンパ2が得られた。このスタンパ2は以下に「溝スタンパ」という。そして、微細孔を形成したスタンパ基板101の表面に剥離層101aが形成されてスタンパ2が得られた。このスタンパ2は以下に「微細孔スタンパ」という。これらの溝スタンパおよび微細孔スタンパについて転写工程が実施された。その結果を表2に示す。
重合度が約4程度の表面処理剤1−aから1−cを適用した場合、前記した石英基板を用いて転写工程が実施された場合と同様に、溝スタンパおよび微細孔スタンパは、十分な剥離性を得ることができなかった。
重合度が約38程度の表面処理剤2−aから2−cを適用した場合、溝スタンパおよび微細孔スタンパは、前記した石英基板を用いて転写工程が実施された場合と同様の傾向が認められた。すなわち、パーフルオロポリエーテルの主鎖中のフッ素原子を2〜9%の割合で水素原子に置換することにより剥離層101aの耐久性を向上さることが可能であることが判明した。一方、水素置換率が16%である2−dを用いた場合、溝スタンパおよび微細孔スタンパは、連続転写可能回数が10回と非常に小さくなった。
なお、1−bおよび1−cにより剥離層101aを形成した溝スタンパ、および微細孔スタンパを用いて連続300回転写工程を行い作成した被転写体1の表面形状を原子間力顕微鏡により観察したところ、300回目の転写工程においても、被転写体1に、溝スタンパおよび微細孔スタンパのそれぞれに形成された微細パターンに対応する形状が形成されていることが確認された。
重合度が約110の表面処理剤3−aから3−dを適用した場合、溝スタンパおよび微細孔スタンパは、連続転写可能回数は表2に示すように石英基板を用いて転写工程を実施した場合と同様の傾向が認められた。しかしながら、微細孔スタンパにより転写工程を実施した被転写体1の表面形状を原子間力顕微鏡により観察したところ、スタンパ2に形成された微細パターンに対応する微細ピラーアレイに多くの欠陥が認められた。すなわち、形成されたピラーの高さがスタンパの孔の深さに比べて半分程度である場合や、ピラーがあるべき位置にピラーが存在しない場合が散見された。これは、重合度が大きい場合、スタンパ表面101cの微細な孔の表面に均一に剥離層101aを形成することができなかったためであると考えられる。
以上の結果より、式(9)に示される化学構造を有する表面処理剤を用いてスタンパ2の剥離層101aを形成する場合、重合度は5以上100以下であることが望ましく、また水素置換率は0.1%以上10%以下とすることが望ましいことが判明した。
(実施例4)
実施例4では、スタンパ2が組み込まれた微細構造転写装置A3(図7参照)を使用して大容量記磁気録媒体(ディスクリートトラックメディア)用の微細パターンが転写されたものを作製した。ここでは被転写体1として直径27.4mm、厚さ0.381mm、中心穴径7mmのガラスディスク基板が使用された。
スタンパ2には直径27.4mm、厚さ0.381mm、中心穴径7mmの石英基板が使用された。そして、周知の電子線直接描画法で幅50nm、深さ80nm、ピッチ100nmの溝が同心円状に形成された。このとき、同心円状の溝の中心軸が、被転写体1の中心穴の中心軸と一致するように配置された。スタンパ2には、実施例1と同様にして剥離層101aが形成されている。
ガラスディスク基板の表面には、ディスペンス法で樹脂が滴下された。樹脂は、感光性物質が添加され、粘度が4cP(4mPa・s)になるよう調合された。樹脂は、ノズルが512(256×2列)個配列され、ピエゾ方式で樹脂を吐出する塗布ヘッドで塗布された。塗布ヘッドのノズル間隔は、列方向に70μm、列間140μmである。各ノズルからは約5pLの樹脂が吐出されるように制御された。樹脂の滴下ピッチは、半径方向に150μm、周回方向ピッチを270μmとした。
実施例1と同じ方法で、ガラスディスク基板の表面には平均厚さ10nmの薄膜層と、薄膜層上にスタンパ2に対応する幅50nm、深さ80nm、ピッチ100nmの溝パターンからなるパターン形成層とが形成された。図8は、薄膜層およびパターン形成層の断面を示す電子顕微鏡写真である。
次に、前記したディスクリートトラックメディアの製造方法について適宜図面を参照しながら説明する。参照する図面において、図9の(a)から(d)は、ディスクリートトラックメディアの製造工程の説明図である。
まず、図9(a)に示すように、得られたガラスディスク基板22上に、スタンパ2の表面形状が転写された光硬化性樹脂6からなるパターン形成層21を有するものが準備された。
次に、パターン形成層21をマスクとして、周知のドライエッチング法でガラスディスク基板22の表面が加工された。その結果、図9(b)に示すように、ガラスディスク基板22の表面には、パターン形成層21のパターンに対応する凹凸が削り出された。なお、ここでのドライエッチングにはフッ素系ガスが用いられた。また、ドライエッチングは、パターン形成層21の薄層部分を酸素プラズマエッチングで除去した後、フッ素系ガスで露出したガラスディスク基板22をエッチングするように行ってもよい。
次に、図9(c)に示すように、凹凸が形成されたガラスディスク基板22には、プリコート層、磁区制御層、軟磁性下地層、中間層、垂直記録層、および保護層からなる磁気記録媒体形成層23がDCマグネトロンスパッタリング法(例えば、特開2005−038596号公報参照)により形成された。なお、ここでの磁区制御層は非磁性層および反強磁性層で形成されている。
次に、図9(d)に示すように、磁気記録媒体形成層23上には、非磁性体27が付与されることで、ガラスディスク基板22の表面は平坦化された。その結果、面記録密度200Gbpsi相当のディスクリートトラックメディアM1が得られた。
ここでは前記した微細パターンの転写方法を使用した他のディスクリートトラックメディアの製造方法について適宜図面を参照しながら説明する。参照する図面において、図10の(a)から(e)は、ディスクリートトラックメディアの製造工程の説明図である。
本実施例では、前記したパターン形成層21を有するガラスディスク基板22に代えて、次のような基板が準備された。この基板は、図10(b)に示すように、ガラスディスク基板22上に軟磁性下地層25が形成されたものである。そして、この基板上に、スタンパ2の表面形状が転写された光硬化性樹脂6からなるパターン形成層21が形成された。
次に、パターン形成層21をマスクとして、周知のドライエッチング法で軟磁性下地層25の表面が加工された。その結果、図10(c)に示すように、軟磁性下地層25の表面には、パターン形成層21のパターンに対応する凹凸が削り出された。なお、ここでのドライエッチングにはフッ素系ガスが用いられた。
次に、図10(d)に示すように、凹凸が形成された軟磁性下地層25の表面には、プリコート層、磁区制御層、軟磁性下地層、中間層、垂直記録層、および保護層からなる磁気記録媒体形成層23がDCマグネトロンスパッタリング法(例えば、特開2005−038596号公報参照)により形成された。なお、ここでの磁区制御層は非磁性層および反強磁性層で形成されている。
次に、図10(e)に示すように、磁気記録媒体形成層23上には、非磁性体27が付与されることで、軟磁性下地層25の表面は平坦化された。その結果、面記録密度200Gbpsi相当のディスクリートトラックメディアM2が得られた。
また、ここでは前記した微細パターンの転写方法を使用した他のディスクリートトラックメディアの製造方法について適宜図面を参照しながら説明する。参照する図面において、図11の(a)から(e)は、ディスクリートトラックメディア用ディスク基板の製造工程の説明図である。
図11(a)に示すように、ガラスディスク基板22の表面に、予めノボラック系の樹脂材料が塗布されて平坦層26が形成された。この平坦層26は、スピンコート法や平板で樹脂を押し当てる方法が挙げられる。次に、図11(b)に示すように、平坦層26上にパターン形成層21が形成された。このパターン形成層21は、平坦層26上にシリコンを含有させた樹脂材料を塗布し、前記したように、スタンパ2の表面形状を転写する転写工程を経て形成されたものである。
そして、図11(c)に示すように、パターン形成層21の薄層部分が、フッ素系ガスを使用したドライエッチングで除去された。次に、図11(d)に示すように、残されたパターン形成層21部分をマスクとして酸素プラズマエッチングで平坦層26が除去された。そして、フッ素系ガスでガラスディスク基板22の表面をエッチングし、残されたパターン形成層21を取り除くことで、図11(e)に示すように、面記録密度200Gbpsi相当のディスクリートトラックメディアに使用されるディスク基板M3が得られた。
また、ここでは前記した微細パターンの転写方法を使用した他のディスクリートトラックメディア用ディスク基板の製造方法について適宜図面を参照しながら説明する。参照する図面において、図12の(a)から(e)は、ディスクリートトラックメディア用ディスク基板の製造工程の説明図である。
図12(a)に示すように、ガラスディスク基板22の表面に感光性物質を添加したアクリレート系樹脂を塗布するとともに、前記したように、スタンパ2の表面形状を転写することで、ガラスディスク基板22上にパターン形成層21が形成された。ここでは、形成しようとするパターンと凹凸が反転した凹凸を有するパターンがガラスディスク基板22上に形成された。次に、図12(b)に示すように、パターン形成層21の表面には、シリコンおよび感光性物質を含む樹脂材料が塗布されて、平坦層26が形成された。平坦層26の形成方法としては、スピンコート法や平板で樹脂を押し当てる方法が挙げられる。そして、図12(c)に示すように、平坦層26の表面がフッ素系ガスでエッチングされると、パターン形成層21の最上面が露出する。次いで、図12(d)に示すように、残った平坦層26をマスクとして、パターン形成層21が酸素プラズマエッチングで除去されて、ガラスディスク基板22の表面が露出する。そして、図12(e)に示すように、露出したガラスディスク基板22の表面がフッ素系ガスでエッチングされることで、面記録密度200Gbpsi相当のディスクリートトラックメディアに使用されるディスク基板M4が得られた。
(実施例5)
実施例5では、実施例1のスタンパ2を使用して製造した光情報処理装置について説明する。
本実施例では入射光の進行方向が変わる光デバイスを光多重通信系の光情報処理装置に適用した一例を述べる。図13は、光デバイスの基本部品としての光回路の概略構成図である。図14は、光回路の導波路の構造を示す模式図である。
図13に示すように、光回路30は縦(l)30mm、横(w)5mm、厚さ1mmの窒化アルミニウム製の基板31上に形成した。光回路30は、インジウムリン系の半導体レーザーとドライバ回路からなる複数の発信ユニット32、光導波路33,33a、光コネクタ34,34aから構成されている。なお、複数の半導体レーザーのそれぞれの発信波長は、2〜50nmずつ異なるように設定されている。
この光回路30では、発信ユニット32から入力された光信号が導波路33a、および導波路33を経由して、光コネクタ34aから光コネクタ34に送信される。この場合、光信号は、各導波路33aから合波される。
図14に示すように、導波路33の内部には、複数の柱状微細突起35が立設されている。そして、発信ユニット32と導波路33とのアライメント誤差を許容できるように、導波路33aの入力部の幅(l)は20μmで、平断面視でラッパ状になっている。そして、導波路33を形成するストレート部分の中央部には、柱状微細突起35が1列分だけ除去されている。つまり、フォトニックバンドギャップのない領域が形成されており、これによって信号光が幅1μmの領域(W)に導かれる構造になっている。なお、柱状微細突起35間の間隔(ピッチ)は0.5μmに設定されている。なお、図14では、簡略化し、実際の本数よりも柱状微細突起35を少なく示している。
本発明に係るスタンパ2を使用した転写は、導波路33,33a、および光コネクタ34aの形成に適用されている。つまり、基板31とスタンパ2(図1等参照)との相対位置の合わせ込みは、前記した転写工程が実施されている。この転写工程は、発信ユニット32内に柱状微細突起35を形成する際に、所定の柱状微細突起35を所定の発信ユニット32に形成する際に適用される。ちなみに光コネクタ34aの構造は、図14の導波路33aの左右を反対にした構造となっており、光コネクタ34aにおける柱状微細突起35の配置は、図14の柱状微細突起35と左右逆向きに配置されている。
ここで、柱状微細突起35の相当直径(直径あるいは一辺)は、半導体レーザー等に用いる光源の波長との関係から、10nmから10μmの間で任意に設定することができる。また、柱状微細突起35の高さは、50nmから10μmが好ましい。また、柱状微細突起35の距離(ピッチ)は、用いる信号波長の約半分に設定される。
このような光回路30は、複数の異なる波長の信号光を重ね合わせて出力できるが、光の進行方向を変更できるために、光回路30の幅(w)が5mmと非常に短くできる。そのため、光デバイスを小型化することができる。また、スタンパ2(図1等参照)からの転写によって柱状微細突起35が形成されるために、光回路30の製造コストを下げることができる。なお、本実施例では、入力光を重ね合わせる光デバイスに適用した例を示したが、本発明は光の経路を制御する全ての光デバイスに有用である。
(実施例6)
実施例6では、実施例1のスタンパ2を使用して製造した細胞培養シートについて説明する。参照する図15は、細胞培養シートの平面図である。図16は、細胞培養シート上に培養液を載せた様子を示す断面図である。図17は、細胞培養シートの電子顕微鏡写真である。
図15に示すように、細胞培養シート900は、厚さ0.5μmのガラス基板902と、このガラス基板902上に形成した相当直径2μmの柱状微小突起群904とを備えている。この細胞培養シート900には、柱状微小突起群904の一部が十字形状に除去されて隙間905が形成されている。
このような細胞培養シート900は、ガラスシャーレなどの容器に収納されるとともに、容器内で培養液に浸されることによって培養を行うものである。つまり、図16に示すように、細胞培養シート900は、その柱状微小突起群904の上に、例えば皮膚、骨、血液等の細胞(組織)、培地、栄養素等の培養液903を載せることで細胞等の培養を行うものである。
また、細胞培養シート900は、十字形状に隙間905(図15参照)が設けられることによって、培養液903(図16参照)が流れやすくなる。その結果、細胞培養シート900は、細胞に対して効率良く栄養素を供給することができる。また、細胞培養時の細胞の老廃物を効率良く排出することができる。
実施例1と同様のスタンパ2を使用した転写工程は、所定のシート上に柱状微小突起郡902を形成する際に適用される。そして、細胞培養シート900は、柱状微小突起郡902が形成されたシートを所望の大きさ、形状に切断することで作製される。図17に本実施例で形成した柱状微小突起郡904の電子顕微鏡写真を示す。
このような細胞培養シート900は、通常のガラスシャーレを使用して培養したシート状の表皮細胞をガラスシャーレから剥離する際に生じていた表皮細胞の損傷を大幅に軽減することができる。また、細胞培養シート900は、シート状の表皮細胞を皮膚に移植する際の定着率を高めることができる。また、細胞培養シート900の柱状微小突起群904により形成される隙間905を通じて、シート状の表皮細胞の下部側から表皮細胞全体に培養液903が流れやすくなる。その結果、表皮細胞への栄養素の供給や細胞の老廃物の排出を効率良く行うことができ、従来生じていた細胞培養中の表皮細胞の死滅を抑えることができる。
(実施例7)
実施例7では、実施例1のスタンパ2使用した多層配線基板の製造方法について説明する。図18の(a)から(l)は、多層配線基板の製造方法の工程説明図である。
この製造方法では、図18(a)に示すように、シリコン酸化膜62と銅配線63とで構成された多層配線基板61の表面にレジスト52が形成された後に、スタンパ(図示省略)によるパターン転写が行われる。パターン転写が行われる前に、スタンパ2と基板との相対位置合せが行われ、基板上の所望の位置に所望の配線パターンが転写される。
次に、多層配線基板61の露出領域53がCF/Hガスによってドライエッチングされると、図18(b)に示すように、多層配線基板61の表面の露出領域53が溝形状に加工される。次に、レジスト52がRIEによりレジストエッチングされる。そして、段差の低い部分のレジストが除去されるまでレジストエッチングが行われると、図18(c)に示すように、レジスト52の周囲で多層配線基板61の露出領域53が拡大する。この状態から、さらに露出領域53のドライエッチングが行われることによって、図18(d)に示すように、先に形成した溝の深さが銅配線63に到達することとなる。
次に、レジスト52が除去されることで、図18(e)に示すように、表面に溝形状を有する多層配線基板61が得られる。そして、多層配線基板61の表面には、金属膜(図示せず)が形成された後に、電解メッキが施されて、図18(f)に示すように、金属メッキ膜64が形成される。その後、多層配線基板61のシリコン酸化膜62が露出するまで金属メッキ膜64の研磨が行われる。その結果、図18(g)に示すように、金属メッキ膜64からなる金属配線を表面に有する多層配線基板61が得られる。
ここで、多層配線基板61を作製するための別な工程を説明する。
図18(a)で示した状態から露出領域53のドライエッチングが行われる際に、図18(h)に示すように、多層配線基板61の内部の銅配線63に到達するまでエッチングが行われる。次に、レジスト52がRIEによりエッチングされて、図18(i)に示すように、段差の低いレジスト52部分が除去される。そして、図18(j)に示すように、多層配線基板61の表面には、スパッタによる金属膜65が形成される。次いで、レジスト52がリフトオフで除去されることで、図18(k)に示すように、多層配線基板61の表面に部分的に金属膜65が残った構造が得られる。次に、残った金属膜65に無電解メッキが施されることによって、図18(l)に示すように、多層配線基板61に金属膜65からなる金属配線を表面に有する多層配線基板61が得られる。このように本発明に係るスタンパ2を多層配線基板61の製造に適用することで、高い寸法精度を持つ金属配線を形成することができる。
実施形態に係るナノインプリント用スタンパが使用される微細構造転写装置の構成説明図である。 スタンパ表面に形成された剥離層の状態を表す模式図であり、スタンパ表面の部分拡大図である。 実施形態に係る表面処理剤としての含フッ素ポリエーテルの合成工程図である。 (a)から(d)は、微細構造転写方法の工程を示す模式図であって、主にスタンパと被転写体の位置関係を示している。 (a)は、実施形態に係る表面処理剤としての含フッ素ポリエーテルがスタンパ表面で広がる様子を示す模式図、図5(b)は、従来の表面処理剤としてのパーフルオロポリエーテルがスタンパ表面で広がる様子を示す模式図である。 他の実施形態に係る微細構造転写装置を示す図であり、(a)は構成説明図、(b)は、送気路の開口の配置を示す模式図である。 実施例で使用した微細構造転写装置の構成説明図である。 薄膜層およびパターン形成層の断面を示す電子顕微鏡写真である。 (a)から(d)は、ディスクリートトラックメディアの製造工程の説明図である。 (a)から(e)は、ディスクリートトラックメディアの製造工程の説明図である。 (a)から(e)は、ディスクリートトラックメディア用ディスク基板の製造工程の説明図である。 (a)から(e)は、ディスクリートトラックメディア用ディスク基板の製造工程の説明図である。 光デバイスの基本部品としての光回路の概略構成図である。 光回路の導波路の構造を示す模式図である。 細胞培養シートの平面図である。 細胞培養シート上に培養液を載せた様子を示す断面図である。 細胞培養シートの電子顕微鏡写真である。 (a)から(l)は、多層配線基板の製造方法の工程説明図である。
符号の説明
1 被転写体
2 スタンパ
101c スタンパ表面
101a 剥離層
102 含フッ素ポリエーテル

Claims (5)

  1. 被転写体に転写する微細パターンが表面に形成されているナノインプリント用スタンパにおいて、
    前記表面に含フッ素ポリエーテルが付与されており、前記含フッ素ポリエーテルの片末端は前記表面と化学的に結合しているとともに、前記含フッ素ポリエーテルを構成するフルオロポリエーテル鎖は、パーフルオロポリエーテル鎖の主鎖のフッ素原子の一部が水素原子に置換されたものであって、その水素置換率が原子百分率で、0.1%以上、10%以下であり、
    前記含フッ素ポリエーテルが、
    F-(CF CF CF O) -(CH CF CF O) -R 15 -Si(R 16 ) (R 17 ) m−3
    (ただし、R 15 は、2価のアルキル基、2価のフルオロアルキル基、または
    −R 18 −CONH―R 19 ―(ただし、R 18 は、2価のフルオロアルキル基であり、R 19 は、2価のアルキル基である)で示されるアミド結合含有基であり、R 16 は、加水分解可能な基、または水酸基であり、R 17 は、水素原子またはアルキル基であり、mは、1、2または3であり、PおよびQのそれぞれは、5≦P+Q≦100、かつ
    0.1≦100Q/(3P+3Q)≦10を満足する整数である)
    で示されるものであることを特徴とするナノインプリント用スタンパ。
  2. 前記含フッ素ポリエーテルを含む剥離層を、厚さ0.5nm以上、4nm以下でその表面に備えていることを特徴とする請求項1に記載のナノインプリント用スタンパ。
  3. ガラス、石英、TEOS、シリコン、またはシリコンの酸化物を含む表面に含フッ素ポリエーテルが付与されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のナノインプリント用スタンパ。
  4. 含フッ素ポリエーテルを構成するフルオロポリエーテル鎖がパーフルオロポリエーテル鎖の主鎖のフッ素原子の一部を水素原子に置換したものであって、その水素置換率が原子百分率で、0.1%以上、10%以下である下記式で示される当該含フッ素ポリエーテルが、スタンパ基板の表面に与されて、当該含フッ素ポリエーテルの片末端が前記表面と化学的に結合しているナノインプリント用スタンパの製造方法であって
    表面に水酸基を有するスタンパ基板を準備する第1工程と、
    記含フッ素ポリエーテルに前記スタンパ基板の表面を曝す第2工程と、
    を有することを特徴とするナノインプリント用スタンパの製造方法。
    含フッ素ポリエーテル:
    F-(CF CF CF O) -(CH CF CF O) -R 15 -Si(R 16 ) (R 17 ) m−3
    (ただし、R 15 は、2価のアルキル基、2価のフルオロアルキル基、または
    −R 18 −CONH―R 19 ―(ただし、R 18 は、2価のフルオロアルキル基であり、R 19 は、2価のアルキル基である)で示されるアミド結合含有基であり、R 16 は、加水分解可能な基、または水酸基であり、R 17 は、水素原子またはアルキル基であり、mは、1、2または3であり、PおよびQのそれぞれは、5≦P+Q≦100、かつ
    0.1≦100Q/(3P+3Q)≦10を満足する整数である)
  5. 含フッ素ポリエーテルの片末端はナノインプリント用スタンパの表面と化学的に結合する官能基を有しているとともに、前記含フッ素ポリエーテルを構成するフルオロポリエーテル鎖は、パーフルオロポリエーテル鎖の主鎖のフッ素原子の一部が水素原子に置換されたものであって、その水素置換率が原子百分率で、0.1%以上、10%以下である下記式で示される当該含フッ素ポリエーテルであることを特徴とするナノインプリント用スタンパの表面処理剤。
    含フッ素ポリエーテル:
    F-(CF CF CF O) -(CH CF CF O) -R 15 -Si(R 16 ) (R 17 ) m−3
    (ただし、R 15 は、2価のアルキル基、2価のフルオロアルキル基、または
    −R 18 −CONH―R 19 ―(ただし、R 18 は、2価のフルオロアルキル基であり、R 19 は、2価のアルキル基である)で示されるアミド結合含有基であり、R 16 は、加水分解可能な基、または水酸基であり、R 17 は、水素原子またはアルキル基であり、mは、1、2または3であり、PおよびQのそれぞれは、5≦P+Q≦100、かつ
    0.1≦100Q/(3P+3Q)≦10を満足する整数である)
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