JP5053140B2 - インプリント用モールド構造体、及び該インプリント用モールド構造体を用いたインプリント方法、並びに、磁気記録媒体、及びその製造方法 - Google Patents
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Description
そして、ポータブル機器に搭載される記録デバイスとしてのシェアの拡大に伴い、より一層の小型大容量化という要求に応える必要があり、記録密度を向上させる技術が求められている。
前記ハードディスクドライブの記録密度を高めるためには、磁気記録媒体におけるデータトラック間隔の狭小化や、磁気ヘッドの幅を狭小化するという手法が従来より用いられてきた。
しかしながら、前記データトラック間隔を狭めることにより、隣接トラック間の磁気の影響(クロストーク)や、熱揺らぎの影響が無視できなくなり、記録密度に限界があった。
一方、前記磁気ヘッドの幅を狭小化することによる面記録密度の向上にも限界があった。
また、前記熱揺らぎによる減磁を解決する手段として、信号記録のための個々のビットを予め所定の形状パターンで備えたパターンドメディアと呼ばれる形態の磁気記録媒体が提案されている(特許文献3参照)。
このインプリンティング法は、具体的には、加工対象となる基材上に、インプリントレジストとして、熱可塑性の樹脂、又は光硬化性の樹脂を塗布し、塗布された樹脂に対して、所望の形状に加工されたモールドを密着し、押圧して、前記樹脂を加熱、又は光照射により硬化させ、前記モールドを引き剥がすことで、該モールドに形成されたパターンに対応したパターンを形成し、このパターンをマスク(以下、レジストマスクということがある。)として用いてドライ、あるいはウェット方式のエッチングによるパターニングを行い、所望の磁気記録媒体を得る方法である。
本発明者らは、フッ素修飾された剥離機能材料(以下、剥離剤ということがある。)を表面に吸着させて剥離層を形成したモールドを用いて、レジストマスクを形成したところ、インプリントプロセス後において、モールドと、インプリントレジスト層との剥離性が格段に改善されたことを確認した。
しかし、その後、形成された前記レジストマスクを用いて、多数の磁気記録媒体の基板に対し、磁性層及び非磁性層のパターニングを行う際、非磁性層を埋設するためにエッチング加工する領域に磁性材料が残存することがあり、転写性が低下する問題があった。
そして更に、このレジストマスクのパターン不良を引き起こしたモールドを詳細に解析した結果、モールド上の凸部の端部が特徴的に破損し、その角部に丸まりが生じていることが確認された。
このような現象の検証を行ったところ、硬化時におけるレジストの体積収縮が大きな要因であることがわかった。具体的には、モールドの凹凸パターン内に流入したレジストは、硬化する際に、等方的に収縮する。特に、凹凸部(凹凸パターン)のうち、凸部の平坦面、凹部の平坦面、及び凹凸間傾斜面ではパターン平坦面にほぼ垂直方向に体積収縮による力が働く。一方、前記凸部の端部では、前記凸部の平坦面及び前記傾斜面の双方の収縮力が働き、前記凸部の端部に剪断力が働き、該凸部の端部に特徴的にパターン劣化が発生すると推定した。
したがって、モールドの表面に形成された凸部、特に、該凸部の端部における剥離機能を強固にすることにより、インプリントレジスト層に対する剥離性が高いだけでなく、転写性、及び転写耐久性が高いインプリント用モールド構造体を提供することができるという知見である。
なお、前記凹凸間傾斜面とは、以下のように定義される凹凸境界端2、及び凹凸境界端3で形成される部分である。
前記凹凸境界端2とは、モールド構造体の凹凸部のSEM像において、最大輝度の95%を閾値として画像を二値化した際の1/0境界である。
前記凹凸境界端3とは、同じく、モールド構造体の凹凸部のSEM像において、最大輝度の5%を閾値として画像を二値化した際の1/0境界である。
<1> 基板と、該基板の一の表面上に、該表面を基準として複数の凸部が配列されたことによって形成された凹凸部を有し、該凹凸部上に剥離層が形成され、前記凸部上に形成された剥離層に含まれる剥離剤の量(MT)と、前記凸部間に形成された凹部上に形成された剥離層に含まれる剥離剤の量(MB)とが、下記数式(1)を満たすことを特徴とするインプリント用モールド構造体である。
MT>MB・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・数式(1)
該<1>に記載のインプリント用モールド構造体においては、凸部上に形成された剥離層に含まれる剥離剤の量が、凹部上に形成された剥離層に含まれる剥離剤の量よりも大であることにより、インプリントレジストから剥離する際に比較的負荷がかかりやすい前記凸部の端部における剪断力に対する転写耐久性が向上すると共に、前記凹部に対応するインプリントレジスト(凸部)への転写性が向上する。
<2> 凸部の端部における剥離剤の量をMTEとし、凸部の中央部における剥離剤の量をMTOとしたとき、下記数式(2)及び数式(3)を満たす前記<1>に記載のインプリント用モールド構造体である。
MTE>MTO・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・数式(2)
MT=αMTE+(1−α)MTO・・・・・・・・・・・・・・・・・数式(3)
ただし、上記数式(3)において、0.01≦α≦0.12である。
<3> MTE/MTOが、下記数式(4)を満たす前記<2>に記載のインプリント用モールド構造体である。
1.05<MTE/MTO<1.3・・・・・・・・・・・・・・・・・数式(4)
<4> 前記<1>から<3>のいずれかに記載のインプリント用のモールド構造体の製造方法であって、インプリント用モールド構造体の凹凸部上に剥離層を形成する剥離層形成工程と、前記剥離層に紫外線を照射して、該剥離層に含まれる剥離剤の量を制御する剥離剤量制御工程とを含むことを特徴とするインプリント用モールド構造体の製造方法である。
<5> 前記<1>から<3>のいずれかに記載のインプリント用モールド構造体を、磁気記録媒体の基板上に形成されたインプリントレジスト組成物よりなるインプリントレジスト層に押圧して前記インプリント用モールド構造体に形成された凹凸部に基づく凹凸パターンを転写する転写工程を少なくとも含むことを特徴とするインプリント方法である。
<6> インプリントレジスト層の体積収縮率が、21%以下である前記<5>に記載のインプリント方法である。
<7> 前記<1>から<3>のいずれかに記載のインプリント用モールド構造体を、磁気記録媒体の基板上に形成されたインプリントレジスト層に押圧して前記インプリント用モールド構造体に形成された凹凸部に基づく凹凸パターンを転写する転写工程と、前記凹凸パターンが転写されたインプリントレジスト層をマスクにして、前記磁気記録媒体の基板の表面に形成された磁性層をエッチングして、前記凹凸パターンに基づく磁性パターン部を前記磁性層に形成する磁性パターン部形成工程と、前記磁性層に形成された凹部に非磁性材料を埋め込む非磁性パターン部形成工程と、を少なくとも含むことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法である。
<8> インプリントレジスト層の体積収縮率が、21%以下である前記<7>に記載の磁気記録媒体の製造方法である。
(インプリント用モールド構造体)
図1は、本発明に係るインプリント用モールド構造体の一実施形態における構成を示す部分断面斜視図である。
図1に示すように、本実施形態のインプリント用モールド構造体1は、円板状の基板2の一の表面2a(以下、基準面2aということがある。)に、凸部4が、所定の間隔で複数形成されてなる凹凸部3を有する。この凹凸部3には、剥離層6がこの順に積層されている。
ここで、凸部4は、基板2に対して略垂直に立設した面である側壁部4aと、相互に対向する側壁部4aを表面2aに略平行な面で連結する頂部4bとから構成される。
また、凸部4が配列されている方向に直交する面における凸部4の断面形状は、矩形をなすことが好ましい。
なお、前記凸部4の断面形状は、目的に応じて、後述するエッチング工程を制御することにより、任意の形状を選択することができる。
一方、凹部5は、隣接する2つの凸部4の間に形成され、相互に離間するように対向する2つの側壁部4a,4aと、表面2aとによって構成される。
以下、本実施形態の説明において、「断面(形状)」とは、特に断りがない限り、前記同心円の半径方向(凸部4が列設されている方向)における断面(形状)を指す。
また、基板2の凸部4の高さ(凹部5の深さ)Hは、10〜800nmの範囲が好ましく、30〜300nmがより好ましい。
また、基板2の材料としては、ニッケルなどの金属が用いられることが好ましい。
前記凸部の中央部とは、凸パターン両側の凹凸境界端2で形成される中間点(領域)における、面積25nm2の領域のことである。
なお、前記凹凸境界端1、凹凸境界端2は、活性化処理/剥離層形成前に行なう、モールド構造体の凹凸部のSEM観察結果より求められる。
前記凹凸境界端1とは、観察されたSEM像において、最大輝度の80%を閾値として画像を二値化した際の1/0境界である。
前記凹凸境界端2とは、上述の通り、モールド構造体の凹凸部のSEM像において、最大輝度の95%を閾値として画像を二値化した際の1/0境界である。
なお、MTO値(凸部パターンの中央部における剥離剤の量)、MTE値(凸部パターンの端部における剥離剤の量)、MB値(凹部パターン上に形成された剥離層における剥離剤の量)及びMT値(凸部パターン上に形成された剥離層における剥離剤の量)を求める際、前記凸部の端部を10箇所、及び前記凸部の中央部を10箇所作成し、それぞれ10箇所の平均値を使用する。
本発明のインプリント用モールド構造体1は、凸部4上に形成された剥離層に含まれる剥離剤の量(MT)と、凸部4間に形成された凹部3上に形成された剥離層に含まれる剥離剤の量(MB)とが、下記数式(1)を満たすことが好ましい。
MT>MB・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・数式(1)
なお、上記数式(1)は、剥離剤の条件を変更して行なった実験の結果から得たものである。上記数式(1)において、MT<MBであると、モールドパターン凹部に十分な厚みを有するレジスト層を確保できず、磁性層の加工不良が発生することがある。また、モールド凸部の剥離状態が不十分であり、モールドパターン破損を引き起こすことがある。
MTE>MTO・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・数式(2)
MT=αMTE+(1−α)MTO・・・・・・・・・・・・・・・・・数式(3)
ただし、上記数式(3)において、0.01≦α≦0.12である。
なお、上記数式(2)及び(3)は、剥離剤の条件を変更して行なった実験の結果から得たものである。上記数式(2)、(3)を満たさないと、モールド凸端部の剥離状態が不十分であり、パターン破損を引き起こすことがある。
1.05<MTE/MTO<1.3・・・・・・・・・・・・・・・・・数式(4)
なお、上記数式(4)は、剥離剤の条件を変更して行った実験の結果から得たものである。上記数式(4)を満たさないと、モールド凸部の剥離状態が不十分でありパターン破損を引き起こすことがあり、安定したNILを達成することができない。
ここで、前記剥離剤の量の測定方法の一例について説明する。
まず、平坦基板上(4インチ−Siウエハー)に、前記モールドに形成した剥離層に用いたのと同一の剥離剤をディップ塗布法により形成する。その後、前記剥離層を形成したときと同一の条件で塗布、形成した試料に対して、マイクロオージェ装置(PHI700,アルバックファイ社製)を用いてフッ素元素のスペクトル強度(I_REF)を検出する。
そして、前記同一試料に対して、エリプソメーター(DHA−XA/S4,溝尻光学工業所社製)を使用し、剥離層の厚み(THR)を導出する。
モールドに対しては上記と同じ評価法にて、1μm角の領域に対してフッ素元素スペクトル強度をマッピングする。そして、同装置に設置されている簡易SEMにて凹凸形状を観察、このSEM像とフッ素元素スペクトル強度マップを対応させ、凹凸パターン中央部、端部を決定し、所定の箇所におけるフッ素量を導出する。
具体的には、凸部パターン端部におけるフッ素量を「IF_MTE」とし、凸部パターン中央部におけるフッ素量を「IF_MTO」とし、凹部パターンの中央部におけるフッ素量を「IF_MB」としたとき、凸部パターン上に形成された剥離層における剥離剤の量MT、凹部パターン上に形成された剥離層における剥離剤の量MB、凸部パターンの端部における剥離剤の量(MTE)、及び凸部パターンの中央部における剥離剤の量(MTO)は、以下の式により厚みに換算されて導出される。
MT=MTE+MTO
MB=(THR/I_REF)×IF_MB
MTE=(THR/I_REF)×IF_MTE
MTO=(THR/I_REF)×IF_MTO
前記剥離剤は、加工対象物に対して剥離機能を有する材料であることが好ましく、加工対象物に対して剥離機能を有する材料としては、公知のフッ素系樹脂、炭化水素系潤滑剤、フッ素系潤滑剤、フッ素系シランカップリング剤などを使用できる。
前記フッ素系樹脂としては、PTFA,PFA,FEP,ETFEなどが挙げられる。
前記炭化水素系潤滑剤としては、ステアリン酸、オレイン酸等のカルボン酸類、ステアリン酸ブチル等のエステル類、オクタデシルスルホン酸等のスルホン酸類、リン酸モノオクタデシル等のリン酸エステル類、ステアリルアルコール、オレイルアルコール等のアルコール類、ステアリン酸アミド等のカルボン酸アミド類、ステアリルアミン等のアミン類などが挙げられる。
前記フッ素系潤滑剤としては、上記炭化水素系潤滑剤のアルキル基の一部または全部をフルオロアルキル基もしくはパーフルオロポリエーテル基で置換した潤滑剤が挙げられる。
前記パーフルオロポリエーテル基としては、パーフルオロメチレンオキシド重合体、パーフルオロエチレンオキシド重合体、パーフルオロ−n−プロピレンオキシド重合体(CF2CF2CF2O)n、パーフルオロイソプロピレンオキシド重合体(CF(CF3)CF2O)nまたはこれらの共重合体等である。
前記フッ素系シランカップリング剤としては、分子中に少なくとも1個、好ましくは1〜10個のアルコキシシラン基、クロロシラン基を有するものであり、分子量200〜500,000のものが好ましい。
前記アルコキシシラン基の例としては、-Si(OCH3)3基、-Si(OCH2CH3)3基、-Si(OCH3)3基が挙げられ、前記クロロシラン基としては、-Si(Cl)3基などが挙げられる。具体的には、ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラ-ハイドロデシルトリメトキシシラン、ペンタフルオロフェニルプロピルジメチルクロロシラン、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラ-ハイドロオクチルトリエトキシシラン、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラ-ハイドロオクチルトリメトキシシランなどの素材である。
以下、インプリント用モールド構造体の一実施形態における作製方法について図面を参照して説明する。
図2A〜Bは、第2の実施形態におけるモールド構造体の作製方法を示す断面図である。図2Aに示すように、まず、円板状のSi基板10上に、スピンコータなどでPMMAなどのフォトレジスト液を塗布し、フォトレジスト層21を形成する(フォトレジスト層形成工程)。
その後、Si基板10を回転させながら、サーボ信号に対応して変調したレーザー光(又は電子ビーム)を照射する(描画工程)。
その後、フォトレジスト全面に所定のパターン、例えば各トラックに回転中心から半径方向に線状に延びるサーボ信号に相当するパターン(サーボパターン)を円周上の各フレームに対応する部分に露光する(露光工程)。
その後、フォトレジスト層21を現像処理し、露光部分を除去して、除去後のフォトレジスト層21のパターンをマスクにしてRIE(反応性イオンエッチング)などの選択エッチングを行い(エッチング工程)、凹凸部を有する原盤11を得る。
その後、導電膜22に対して、メッキ法により、導電膜22を所定の厚みに成膜して、ポジ状凹凸パターンを有するNi基板23を作製し、原盤11から剥離する。
剥離層用組成物を調製し、該剥離層用組成物を前記ポジ状凹凸パターン上に塗布して剥離層6を形成する。
以上のようにして、インプリント用モールド構造体1が得られる。
以下、本発明に係るインプリント用モールド構造体を用いて、ディスクリートトラックメディアや、パターンドメディアなどの磁気記録媒体を作製する作製方法について図面を参照して説明する。
図3に示すように、磁性層50と、PMMAなどのインプリントレジスト液を塗布してなるインプリントレジスト層24とがこの順に形成された磁気記録媒体の基板40に対して、インプリント用モールド構造体1を押し当て、加圧することにより、インプリント用モールド構造体1上に形成された凸部4のパターンをインプリントレジスト層24に転写する。
前記インプリントレジスト層は、インプリントレジスト組成物(以下、「インプリントレジスト液」ということがある。)を磁気記録媒体の基板に塗布することによって形成される層である。
インプリントレジスト層25としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができるが、例えば、熱可塑性樹脂、及び光硬化性樹脂の少なくともいずれかを含有するインプリントレジスト組成物(以下、「インプリントレジスト液」ということがある。)を磁気記録媒体の基板40に塗布することによって形成される層である。また、インプリントレジスト層13を形成するインプリントレジスト組成物としては、例えば、ノボラック系樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、有機ガラス樹脂、無機ガラス樹脂などが用いられる。
前記インプリントレジスト層の厚みとしては、モールド1の表面2a上に形成される凸部の高さに対して5%以上、200%未満であることが好ましい。5%未満ではレジスト量が不足し、所望のレジストパターンを形成することができない。
インプリントレジスト層の厚みは、例えば、レジストが塗布された磁気記録媒体の基板から一部レジストを剥離、剥離後の段差をAFM装置(Dimension5000、日本ビーコ(株)製)にて測定することができる。
前記インプリントレジスト組成物の粘度は、例えば、超音波式粘度計などを用いて測定される。
以下、本発明に係るインプリント用モールド構造体の作製方法の例について図面を参照して説明する。なお、本発明に係るインプリント用モールド構造体は、下記の作製方法以外の作製方法により作製されたものであってもよい。
図2A〜Bは、モールド構造体1の作製方法を示す断面図である。図2Aに示すように、まず、Si基材10上に、スピンコートなどでノボラック系樹脂、アクリル樹脂などのフォトレジスト液を塗布し、フォトレジスト層21を形成する。
その後、Si基材10を回転させながら、サーボ信号に対応して変調したレーザー光(又は電子ビーム)を照射し、フォトレジスト全面に所定のパターン、例えば各トラックに回転中心から半径方向に線状に延びるサーボ信号に相当するパターンを円周上の各フレームに対応する部分に露光する。
その後、フォトレジスト層21を現像処理し、露光部分を除去して、除去後のフォトレジスト層21のパターンをマスクにしてRIEなどにより選択エッチングを行い、凹凸形状を有する原盤11を得る。
メッキ法でのモールド作製方法は以下の通りである。
まず、原盤11の表面に導電層(図示せず)を形成する。
前記導電膜の形成方法としては、一般的に真空製膜方法(スパッタリング、蒸着など)、無電解メッキ法などを用いることができる。
前記導電層の材料としては、Ni、Cr、W、Ta、Fe、Coのうち、少なくとも一種類の元素を含有する金属、合金を用いることができ、Ni、Co、FeCo合金などが好ましい。また、導電性を示すTiOなどの非金属材質も前記導電層として使用可能である。
前記導電層の膜厚は、5nm〜30nmの範囲が好ましく、10nm〜25nmの範囲がより好ましい。
上記導電層を形成した原盤を用い、メッキ法にて金属、及び合金素材を積層して、所定の厚みとなるまで形成した後に、原盤11からメッキ基体を剥離することでモールドを形成する。
ここで、前記モールドを構成するメッキ素材としては、Ni、Cr、FeCo合金などを使用することができ、Ni素材を用いたものが特に好ましい。
また、引き剥がし後のモールド1の厚みは、30μm〜500μmの範囲が好ましく、45μm〜300μmの範囲がより好ましい。30μm未満ではモールドの剛性が低下し機械特性を確保することができない。
加えて、上記転写工程(NIL、ナノインプリントリソグラフィ)を多数回実施することで、モールド1自身が変形し、著しく実用特性が低下することがある。したがって、モールドの厚みが500μm以上では剛性が高くなりすぎるため、NIL時のモールド1と、磁気記録媒体の基板40との間の密着を確保することができない。
密着確保のためには、密着圧力をあげる必要があるため、異物などが混入した際にはモールド1と、磁気記録媒体の基板40との間に致命的な形状欠陥が発生する。
ナノインプリント法を用いたモールドの複製方法は以下の通りである。
図2Bに示すように、熱可塑性樹脂、あるいは光硬化性樹脂を含有するインプリントレジスト液を塗布してなるインプリントレジスト層25が一方の面に形成された基板40に対して、原盤11を押し当て、原盤11上に形成された凸部のパターンがインプリントレジスト層25に転写される。
また、前記「光透過性を有する」とは、具体的には、基板40にインプリントレジスト層25が形成される一方の面から出射するように、基板40の他方の面から光を入射した場合に、インプリントレジスト液が十分に硬化することを意味しており、少なくとも、前記他方の面から前記一方の面へ波長400nm以下の光の光透過率が50%以上であることを意味する。
また、前記「モールド構造体として機能する強度」とは、基板40上に形成されたインプリントレジスト層25に対して、平均面圧力が1kgf/cm2以上という条件下で押し当て、加圧しても剥離可能に破損しない強度を意味する。
その後、インプリントレジスト層25に熱を印加する、あるいは、紫外線などを照射して転写されたパターンを硬化させる。紫外線を照射してパターンを硬化する場合は、パターニング後であってモールド構造体と磁気記録媒体とを剥離した後に紫外線を照射し硬化してもよい。
その後、転写されたパターンをマスクにしてRIEなどにより選択エッチングを行い、凹凸形状を有するモールド構造体1を得る。また基材の表面に無機系材質を形成し、レジストマスクを基として無機系材質マスクを形成し、この無機系材質マスクを用いて基材をエッチングし、モールド構造体1を形成してもよい。
以下、本発明に係るインプリント用モールド構造体を用いて作製されたディスクリートトラックメディアや、パターンドメディアなどの磁気記録媒体を、図面を参照して説明する。但し、本発明に係る磁気記録媒体は、本発明に係るインプリント用モールド構造体を用いて製造されていれば、下記の製造方法以外の製造方法により作製されたものであってもよい。
以下、特に断らない限り、インプリントレジスト層、及びインプリントレジスト組成物は、磁気記録媒体の作製におけるインプリントレジスト層25、及び該インプリントレジスト層25を形成するインプリントレジスト組成物を指すものとする。
前記エッチング工程は、データ領域におけるインプリントレジスト層25に形成されたレジスト凹凸パターン形状に基づく凹凸形状を、データ領域の磁性層50に形成する工程である。
前記凸凹形状の形成方法としては、イオンビームエッチング、反応性化学エッチング、ウェットエッチングなどの手法を用いることができる。
イオンビームエッチングでのプロセスガスとしては、Ar、反応性化学エッチングのエッチャントとしてはCO+NH3、塩素ガスなどを用いることができる。
前記その他の工程としては、必要に応じて、前記磁性層の凹部をSiO2、カーボン、アルミナ;ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリスチレン(PS)等のポリマー;潤滑油等の非磁性材料で埋める工程、表面を平坦化する工程、平坦化した表面にDLC(ダイヤモンドライクカーボン)等で保護膜を形成する工程、最後に潤滑剤を塗布する工程などが挙げられる。
上記のようにして作製された本発明の磁気記録媒体は、図5に示すように、基板40の一の表面上に、同心円状に、所定の間隔で形成された複数のデータ領域の磁性パターン部51と、基板2の半径方向に所定の間隔で形成された複数のサーボ領域の磁性パターン部52とが非磁性層70によって隔たれて形成されている。
このようなデータ領域130、及びサーボ領域140の構成において、サーボ領域140は、データ領域130を分断するように、円周方向において略等間隔で複数形成されている。
<インプリント用モールド構造体の作製>
<<原盤の作製>>
直径8インチの円板状のSi基板上に電子線レジストを、スピンコート法を用いて100nmの厚みに塗布した。
回転式電子線露光装置にて所望のパターンを露光、現像することで、凹凸パターンを有する前記電子線レジストをSi基板上に形成する。
凹凸パターンを有する前記電子線レジストをマスクとして、前記Si基板に対して反応性イオンエッチング処理を行い、Si基板上に凹凸形状を形成する。
残存した前記電子線レジストを、可溶溶剤にて洗浄することで除去し、乾燥した後に原盤を得た。
データ部は、凸部の巾:500nm、凹部の巾:300nm(トラックピッチ=800nm)の凹凸パターンとした。
サーボ部に関しては、基準信号長を200nmとし、総セクタ数を128とし、プリアンブル部(45bit)、SAM部(10bit)、SectorCode部(8bit)、CylinderCode部(32bit)、及びBurst部で構成されている。
前記SAM部は、“0000101011”であり、前記SectorCode部における凹凸パターンは、Binary変換を用いて形成され、CylinderCode部における凹凸パターンは、Gray変換を用いて形成され、最終的にマンチェスター変換を用いて形成される。
また、前記Burst部における凹凸パターンは、一般的な位相バースト信号(16bit)である。
そして、原盤をモールドとして使用し、ナノインプリントを行う。ナノインプリント後の凹凸レジストパターンを元にエッチャントとしてCHF3を用いたRIEでインプリント用モールド構造体1を得た。
モールドの表面の活性化状態を変化させることにより、剥離層中の剥離剤量を制御できる。該活性化状態を変化させる方法としては、例えば、紫外線を照射する方法(紫外線照射方式)がある。該紫外線照射方式は、光源/モールド間照射距離、照射時間、光源投入パワーを調整することで、モールドの表面の活性化状態を制御できる。例えば、紫外線照射時間を長くし、投入電力を上げ、前記照射距離を短くすると、紫外線積分照射量が大きくなり、剥離剤のモールド表面に対する吸着効率が向上する。特に、前記照射距離の調整、及び紫外線の入射角度の調整が剥離剤の吸着効率の改善に有効である。
用いられる装置としては、卓上型光表面処理装置 PL16−110(セン特殊光源株式会社製)が挙げられる。
具体的には、剥離剤を形成する前のインプリント用モールド構造体1の表面に対して紫外線を照射する。紫外線を照射する条件は、光源/モールド間照射距離:10mm、照射時間:2min、光源投入パワー:18mW/cm2である。
なお、剥離層を形成した後に、該剥離層に対して酸素プラズマを照射することによっても、剥離層中の剥離剤量を制御できる。該剥離層に酸素プラズマを照射すると、該剥離層中の剥離剤が分解して、剥離剤を除去した場合と同じ効果が得られるからである。
2.5インチガラス基板上に、以下の手順で各層を形成し、磁気記録媒体を作製した。
作製した磁気記録媒体は、軟磁性層、第1の非磁性配向層、第2の非磁性配向層、磁性層(「磁気記録層」ということがある。)、保護層、及び潤滑剤層が順次形成されている。
なお、軟磁性膜、第1の非磁性配向層、第2の非磁性配向層、磁気記録層、及び保護層はスパッタリング法で形成し、潤滑剤層はディップ法で形成した。
軟磁性層として、CoZrNbよりなる層を100nmの厚みで形成した。
具体的には、前記ガラス基板を、CoZrNbターゲットと対向させて設置し、Arガスを0.6Paの圧になるように流入させ、DC 1,500Wで成膜した。
第1の非磁性配向層として、5nmの厚みのTi層を形成した。
具体的に、第1の非磁性配向層は、Tiターゲットと対向設置し、Arガスを0.5Paの圧になるように流入させ、DC 1,000Wで放電し、5nmの厚みになるようにTiシード層を成膜した。
その後、第2の非磁性配向層として、6nmの厚みのRu層を形成した。
第1の非磁性配向層形成後に、Ruターゲットと対向させて設置し、Arガスを0.5Paの圧になるように流入させ、DC 1,000Wで放電し、10nmの厚みになるように第2の非磁性配向層としてRu層を成膜した。
その後、磁気記録層として、CoCrPtO層を15nmの厚みで形成した。
具体的には、CoPtCrターゲットと対向させて設置し、O2 0.04%を含むArガスを、圧力が18Paとなるようにして流入させ、DC 290Wで放電し、磁気記録層を形成した。
磁性層形成後に、Cターゲットと対向させて設置し、Arガスを、圧力が0.5Paになるように流入させ、DC 1,000Wで放電し、C保護層を4nmの厚みで形成した。
なお、磁気記録媒体の保磁力は、334kA/m(4.2kOe)とした。
また、本実施例における磁気記録媒体の第1の非磁性材料は、PtOである。
前記保護層上に、アクリル系レジスト(PAK−01−500、東洋合成工業(株)製)を100nmの厚みになるように、スピンコート法(3,600rpm)により、インプリントレジスト層を形成した。
インプリントレジスト層が形成された基板に対して、上記モールドの凹凸部が形成された側の面を対向させて配置し、インプリントレジスト層が形成された基板を3MPaの圧力にて10秒間密着させ、紫外線を10mJ/cm2照射した。
以上の工程を終了した後、インプリントレジスト層が形成された基板から前記モールドを剥離した。
その後、前記モールドの凹凸部に基づく凹凸パターンをインプリントレジスト層に転写することによって、該インプリントレジスト層に形成された凹凸パターンのうち、凹部に残存したインプリントレジスト層を、O2反応性化学エッチングにて除去した。このO2反応性化学エッチングは、前記凹部において前記磁性層が露出するように行われる。
前記凹部に残存したインプリントレジスト層を除去した後に、磁性層の凹凸形状の加工を実施した。
磁性層の加工としては、イオンビームエッチング法を用いた。
具体的には、Arガスを用い、イオン加速エネルギーは500eVとし、磁性層に対して垂直方向よりイオンビームを入射した。
このようにして磁性層を加工した後、O2反応性化学エッチングにて、磁性層(未加工部分)上に残存したレジストを除去する。
その後、ディップ法により、PFPE潤滑剤を2nmの厚みに塗布した。
上記磁性層を加工した後に、磁性材料を含む層として、厚みが50nmとなるように、スパッタリングを実施してSiO2層を形成し、イオンビームエッチングにて磁性層と、非磁性層とが面一になるように、SiO2層を除去した。
<凸部パターンの表面の剥離剤の量の定量>
平坦基板上(4インチ−Siウエハー)に、前記モールドに形成した剥離層に用いたのと同一の剥離剤をディップ塗布法により形成する。その後、前記剥離層を形成したときと同一の条件で塗布、形成した試料に対して、マイクロオージェ装置(PHI700,アルバックファイ社製)を用いてフッ素元素のスペクトル強度(I_REF)を検出した。
そして、前記同一試料に対して、エリプソメーター(DHA−XA/S4,溝尻光学工業所社製)を使用し、剥離層の厚み(THR)を導出した。
モールドに対しては上記と同じ評価法にて、1μm角の領域に対してフッ素元素スペクトル強度をマッピングする。そして、同装置に設置されている簡易SEMにて凹凸形状を観察、このSEM像とフッ素元素スペクトル強度マップを対応させ、凹凸パターン中央部、端部を決定し、所定の箇所におけるフッ素量を導出した。なお、凸部パターン端部におけるフッ素量を「IF_MTE」とし、凸部パターン中央部におけるフッ素量を「IF_MTO」とし、凹部パターン中央部におけるフッ素量を「IF_MB」とする。
また、モールドの表面に形成した剥離層における材料の量は、以下関係式により厚みに換算したものとした。
MTO=(THR/I_REF)×IF_MTO
MTE=(THR/I_REF)×IF_MTE
MT=MTO+MTE
MB=(THR/I_REF)×IF_MB
このようにして導出された、凸部パターン上に形成された剥離層における剥離剤の量(MT)、凹部パターン上に形成された剥離層における剥離剤の量MB、凸部パターンの端部における剥離剤の量(MTE)、及び凸部パターンの中央部における剥離剤の量(MTO)の結果を表1に示す。
一つのモールドにおいて、1,000回のインプリント処理を実施した。処理後のモールドの凹凸パターン、並びに、990〜1,000回目における磁気記録媒体の凹凸パターン、及びナノインプリント後のレジストの成形性について、以下の指標に基づき評価した。
1μm角の評価範囲にてAFM(日本ビーコ社製Dimension5000)を用いて操作し、表面の凸凹形状のデータを取得した。パターン差の80%に閾値を設け、この閾値で凸部形状に形成される側面部の寸法バラツキを標準偏差(1μm角視野)にて評価した。1ディスクに対して半径25mm、ほぼ等間隔で16カ所測定を行い、全測定量域内の標準偏差(σ)を算出した。3xσ値が15nm以下であれば“○”、15nmより大きければ“×”とした。なお、この評価において、使用可能な評価は“○”である。評価結果を表1に示す。
1μm角の評価範囲にてAFM(日本ビーコ社製Dimension5000)を用いて操作し、表面の凸凹形状のデータを取得する。パターン差の20%に閾値を設け、この閾値で凹部形状に形成される側面部の寸法バラツキを標準偏差(1um角視野)にて評価した。1ディスクに対して半径25mm、ほぼ等間隔で16カ所測定を行い、全測定量域内の標準偏差(σ)を算出した。3xσ値が15nm以下であれば“○”、15nmより大きければ“×”とした。なお、この評価において、使用可能な評価は“○”及び“△”である。
990回目〜1,000回目までの10回中に、“×”判定が3枚以上であれば“×”と総合判定し、1〜2回であれば“△”と総合判定し、0枚であれば“○”と総合判定した。なお、この評価において、使用可能な評価は“○”及び“△”である。評価結果を表2に示す。
データ部のパターンに対して磁性層凸部幅の均一性の評価を実施した。1μm角の評価範囲にてAFM(日本ビーコ社製Dimension5000)を用いて操作し、表面の凸凹形状のデータを取得する。パターン差の80%に閾値を設け、この閾値で凸部形状に形成される側面部の寸法バラツキを標準偏差(1μm角視野)にて評価した。1ディスクに対して半径25mm、ほぼ等間隔で16カ所測定を行い、全測定量域内の標準偏差(σ)を算出した。3xσ値が15nm以下であれば“○”、15nmより大きければ“×”とした。なお、この評価において、使用可能な評価は“○”である。
990回目〜1,000回目までの10回中に、“×”判定が3枚以上であれば“×”と総合判定し、1〜2回であれば“△”と総合判定し、0枚であれば“○”と総合判定した。なお、この評価において、使用可能な評価は“○”及び“△”である。評価結果を表3に示す。
<インプリント用モールド構造体の作製>
実施例1において、剥離層の形成時の引き上げ速度を0.5mm/secとした以外は、実施例1と同様にして、実施例2のインプリント用モールド構造体を作製した。
本実施例2で作製したインプリント用モールド構造体を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例2の磁気記録媒体を作製した。
<凸部パターンの表面の剥離剤の量の定量>
実施例1と同様にして、剥離層の厚み(THR)を導出し、凸部パターン上に形成された剥離層における剥離剤の量(MT)、凹部パターン上に形成された剥離層における剥離剤の量MB、凸部パターンの端部における剥離剤の量(MTE)、及び凸部パターンの中央部における剥離剤の量(MTO)を導出した。結果を表1に示す。
実施例1と同様に、一つのモールドにおいて、1,000回のインプリント処理を実施した。処理後のモールドの凹凸パターン、並びに、990〜1,000回目における磁気記録媒体の凹凸パターン、及びナノインプリント後のレジストの成形性について実施例1と同様にして評価した。結果を表1〜3に示す。
<インプリント用モールド構造体の作製>
実施例1における凸部パターンの表面の剥離剤の量の制御において、光源とモールドとの距離を15mmとした以外は、実施例1と同様にして、実施例3のインプリント用モールド構造体を作製した。
本実施例3で作製したインプリント用モールド構造体を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例3の磁気記録媒体を作製した。
<凸部パターンの表面の剥離剤の量の定量>
実施例1と同様にして、剥離層の厚み(THR)を導出し、凸部パターン上に形成された剥離層における剥離剤の量(MT)、凹部パターン上に形成された剥離層における剥離剤の量MB、凸部パターンの端部における剥離剤の量(MTE)、及び凸部パターンの中央部における剥離剤の量(MTO)を導出した。結果を表1に示す。
実施例1と同様に、一つのモールドにおいて、1,000回のインプリント処理を実施した。処理後のモールドの凹凸パターン、並びに、990〜1,000回目における磁気記録媒体の凹凸パターン、及びナノインプリント後のレジストの成形性について実施例1と同様にして評価した。結果を表1に示す。
<インプリント用モールド構造体の作製>
実施例1と同様にして、インプリント用モールド構造体を作製した。
インプリントレジスト層の形成において、インプリントレジスト組成物を、アクリル系レジスト(PAK01−500、東洋合成工業(株)製)と、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)とを90:10で混合したインプリントレジスト組成物に変えた以外は、実施例1と同様にして、実施例4の磁気記録媒体を作製した。
<凸部パターンの表面の剥離剤の量の定量>
実施例1と同様にして、剥離層の厚み(THR)を導出し、凸部パターン上に形成された剥離層における剥離剤の量(MT)、凹部パターン上に形成された剥離層における剥離剤の量MB、凸部パターンの端部における剥離剤の量(MTE)、及び凸部パターンの中央部における剥離剤の量(MTO)を導出した。結果を表1に示す。
実施例1と同様に、一つのモールドにおいて、1,000回のインプリント処理を実施した。処理後のモールドの凹凸パターン、並びに、990〜1,000回目における磁気記録媒体の凹凸パターン、及びナノインプリント後のレジストの成形性について実施例1と同様にして評価した。結果を表1に示す。
<インプリント用モールド構造体の作製>
実施例1における凸部パターンの表面の剥離剤の量の制御(紫外線照射)を行わなかった以外は、実施例1と同様にして、比較例1のインプリント用モールド構造体を作製した。
上記で作製したインプリント用モールド構造体を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例1の磁気記録媒体を作製した。
<凸部パターンの表面の剥離剤の量の定量>
実施例1と同様にして、剥離層の厚み(THR)を導出し、凸部パターン上に形成された剥離層における剥離剤の量(MT)、凹部パターン上に形成された剥離層における剥離剤の量MB、凸部パターンの端部における剥離剤の量(MTE)、及び凸部パターンの中央部における剥離剤の量(MTO)を導出した。結果を表1に示す。
実施例1と同様に、一つのモールドにおいて、1,000回のインプリント処理を実施した。処理後のモールドの凹凸パターン、並びに、990〜1,000回目における磁気記録媒体の凹凸パターン、及びナノインプリント後のレジストの成形性について実施例1と同様にして評価した。結果を表1に示す。
<インプリント用モールド構造体の作製>
実施例1における凸部パターンの表面の剥離剤の量の制御において、光源とモールドとの距離を50mmとし、処理時間を20minとし、更にその後、モールドを酸素プラズマに1min暴露した以外は、実施例1と同様にして、比較例2のインプリント用モールド構造体を作製した。
上記で作製したインプリント用モールド構造体を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例2の磁気記録媒体を作製した。
<凸部パターンの表面の剥離剤の量の定量>
実施例1と同様にして、剥離層の厚み(THR)を導出し、凸部パターン上に形成された剥離層における剥離剤の量(MT)、凹部パターン上に形成された剥離層における剥離剤の量MB、凸部パターンの端部における剥離剤の量(MTE)、及び凸部パターンの中央部における剥離剤の量(MTO)を導出した。結果を表1に示す。
実施例1と同様に、一つのモールドにおいて、1,000回のインプリント処理を実施した。処理後のモールドの凹凸パターン、並びに、990〜1,000回目における磁気記録媒体の凹凸パターン、及びナノインプリント後のレジストの成形性について実施例1と同様にして評価した。結果を表1に示す。
また、上記数式(1)を満たす実施例1〜4において作製されたインプリント用モールド構造体を用いることにより、上記数式(1)を満たさない比較例1〜2よりも、記録再生特性に優れた磁気記録媒体を提供することができた。
2 基板
2a 表面
3 凹凸部
4 凸部
5 凹部
6 剥離層
10 Si基板
11 Si原盤
21 フォトレジスト層
22 導電膜
23 Ni基板
24 インプリントレジスト層
40 磁気記録媒体の基板
50 磁性層
70 非磁性層
100 磁気記録媒体
Claims (8)
- 基板と、該基板の一の表面上に、該表面を基準として複数の凸部が配列されたことによって形成された凹凸部を有し、該凹凸部上に剥離層が形成され、前記凸部上に形成された剥離層に含まれる剥離剤の量(MT)と、前記凸部間に形成された凹部上に形成された剥離層に含まれる剥離剤の量(MB)とが、下記数式(1)を満たすことを特徴とするインプリント用モールド構造体。
MT>MB・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・数式(1) - 凸部の端部における剥離剤の量をMTEとし、凸部の中央部における剥離剤の量をMTOとしたとき、下記数式(2)及び数式(3)を満たす請求項1に記載のインプリント用モールド構造体。
MTE>MTO・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・数式(2)
MT=αMTE+(1−α)MTO・・・・・・・・・・・・・・・・・数式(3)
ただし、上記数式(3)において、0.01≦α≦0.12である。 - MTE/MTOが、下記数式(4)を満たす請求項2に記載のインプリント用モールド構造体。
1.05<MTE/MTO<1.3・・・・・・・・・・・・・・・・・数式(4) - 請求項1から3のいずれかに記載のインプリント用モールド構造体の製造方法であって、インプリント用モールド構造体の凹凸部上に剥離層を形成する剥離層形成工程と、前記剥離層に紫外線を照射して、該剥離層に含まれる剥離剤の量を制御する剥離剤量制御工程とを含むことを特徴とするインプリント用モールド構造体の製造方法。
- 請求項1から3のいずれかに記載のインプリント用モールド構造体を、磁気記録媒体の基板上に形成されたインプリントレジスト組成物よりなるインプリントレジスト層に押圧して前記インプリント用モールド構造体に形成された凹凸部に基づく凹凸パターンを転写する転写工程を少なくとも含むことを特徴とするインプリント方法。
- インプリントレジスト層の体積収縮率が、21%以下である請求項5に記載のインプリント方法。
- 請求項1から3のいずれかに記載のインプリント用モールド構造体を、磁気記録媒体の基板上に形成されたインプリントレジスト層に押圧して前記インプリント用モールド構造体に形成された凹凸部に基づく凹凸パターンを転写する転写工程と、
前記凹凸パターンが転写されたインプリントレジスト層をマスクにして、前記磁気記録媒体の基板の表面に形成された磁性層をエッチングして、前記凹凸パターンに基づく磁性パターン部を前記磁性層に形成する磁性パターン部形成工程と、
前記磁性層に形成された凹部に非磁性材料を埋め込む非磁性パターン部形成工程と、
を少なくとも含むことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。 - インプリントレジスト層の体積収縮率が、21%以下である請求項7に記載の磁気記録媒体の製造方法。
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