JP5053152B2 - 磁気記録媒体及びその製造方法 - Google Patents
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Description
また、パターンドメディアの最表層を平坦な面とする別の方法として、基板上に、所望のパターン形状に対応する凹部を形成した後、該凹部に磁性層を積層する方法が提案されている(特許文献6参照)。しかし、この提案の方法によるパターンドメディアでは、パターン状の磁性層部と磁性層の間の非磁性体からなる部分の高さを安定的に精度良く一致させることが難しく、同様に基板表面の平坦性を向上させることが望まれている。
<1> 基板の表面に、該表面を基準として複数の凸部が配列されたことによって形成された凹凸部を有する磁性層上に、該凹凸部における凹部の深さ以上の厚さに非磁性材料を埋設して非磁性層を形成する非磁性層形成工程と、
前記非磁性層表面に樹脂層を形成する樹脂層形成工程と、
前記樹脂層表面に平板を大気圧以上の圧力でプレスする平板プレス工程と、
前記樹脂層及び前記非磁性層をエッチングして磁性層上に平坦な非磁性層を形成するエッチング工程と、を含むことを特徴とするパターン表面の平坦化方法である。
<2> 平板プレスが、流体加圧方式で行われる前記<1>に記載のパターン表面の平坦化方法である。
<3> エッチングが、入射角が規定されたイオンミリング法、及び樹脂層のエッチング速度と非磁性層のエッチング速度が同一となる条件のRIE法のいずれかで行われる前記<1>から<2>のいずれかに記載のパターン表面の平坦化方法である。
<4> 樹脂層が、インクジェット法、スピンコート法、蒸着法、及びディップコート法のいずれかで形成される前記<1>から<3>のいずれかに記載のパターン表面の平坦化方法である。
<5> 樹脂層にプレスする側の平板の表面粗さ(Ra)が0.5nm以下であり、該平板表面の最大高低差が5nm以下であり、かつ平板表面の高さ変動が100nm/mm以下である前記<1>から<4>のいずれかに記載のパターン表面の平坦化方法である。
<6> 前記<1>から<5>のいずれかに記載のパターン表面の平坦化方法を含むことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法である。
<7> 前記<6>に記載の磁気記録媒体の製造方法により製造され、最表面の表面粗さ(Ra)が0.5nm以下であり、かつ最表面の高さ変動が100nm/mm以下であることを特徴とする磁気記録媒体である。
本発明のパターン表面の平坦化方法は、非磁性層形成工程と、樹脂層形成工程と、平板プレス工程と、エッチング工程とを含み、更に必要に応じて保護層形成工程、潤滑層形成工程等のその他の工程を含んでなる。
前記非磁性層形成工程は、基板の表面に、該表面を基準として複数の凸部が配列されたことによって形成された凹凸部を有する磁性層上に、該凹凸部における凹部の深さ以上の厚さに非磁性材料を埋設して非磁性層を形成する工程である。
前記基板としては、その形状、構造、大きさ、材質等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記形状としては、情報記録媒体である場合には、円板状である。前記構造としては、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよい。また、前記材質としては、基板材料として公知のものの中から、適宜選択することができ、例えば、ニッケル、アルミニウム、ガラス、シリコン、石英、透明樹脂、などが挙げられる。これらの基板材料は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、透明性の点から、石英、ガラス、透明樹脂が好ましく、石英が特に好ましい。
前記基板は、適宜合成したものであってもよいし、市販品を使用してもよい。
前記基板の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、50μm以上が好ましく、100μm以上がより好ましい。前記基板の厚みが50μm未満であると、加工対象物とモールドとの密着時にモールド側に撓みが発生し、均一な密着状態を確保できない可能性がある。
前記垂直磁気記録媒体における垂直磁気記録膜の構成及び作製方法としては、例えば特開2007−335034号公報、特開2005−285275号公報、特開2008−10088号公報等に記載の従来公知の方法を適宜使用することができる。
磁性層をパターニングされた凹凸構造にする方法としては、例えば特許第1888363号公報、特開平9−97419号公報、特開2001−110050号公報、米国特許第6518189B1号明細書等に記載の方法の少なくとも一部分を使用することができ、具体的には、既存のフォトリソ方法、エッチング方法、真空製膜法、リフトオフ法を適宜組み合わせた方法である。
前記垂直磁性層をパターニングされた凹凸構造にする方法は、垂直磁性層のみを前記方法によりパターニングする方法、配向性を促進する下地層から表面側をパターニングする方法、軟磁性層からパターニングする方法、等を適宜選択することができる。
前記非磁性材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばC、Si、SiO、SiO2、Ge、Te、Se、などが挙げられる。
前記非磁性層の形成方法としては、特に制限はなく、公知の真空製膜方法を使用することができ、例えばスパッタ法、蒸着法、CVD法、イオンプレーティング法等を適宜好ましく使用することができるが、付着強度と膜厚分布と生産性の観点からスパッタ法がより好ましく用いられる。
前記樹脂層形成工程は、前記非磁性層上に樹脂層を形成する工程である。
この場合、前記非磁性層上に、非磁性層の凹凸構造の凹部の深さ以上の厚みで樹脂層を形成する。
前記樹脂層の製膜方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばスピンコート法、ディップ法、インクジェット法、蒸着法、などが挙げられる。
前記低分子材料としては、架橋性基を有するものが好ましく、工程の容易さの観点からUV硬化性の材料がより好ましく、例えば(メタ)アクリレート系モノマー、アリル基やビニル基を有するモノマー、アセチル基を有するモノマー、グリシジルエステル類、グリシジルエーテル類、ウレタンエポキシ化合物、エポキシ化ポリブタジエン類等のオキシラン環を有する化合物;メラミン系樹脂、イソシアネート基を有するモノマー、オキセタン化合物、などが挙げられる。これらのモノマーは、架橋性基が単官能であっても、多官能であってもよく、2種類以上の架橋性基を同時に有していてもよい。また、側鎖として脂肪族基を有していてもよいが、後述の平坦化工程の容易さの観点からは脂環構造や芳香環構造を有していることが好ましい。
前記低分子材料組成物は、前記低分子材料以外にも、光開始剤又は熱開始剤、及び界面活性剤を添加することができ、更に平板プレスでの剥れを抑制する目的で密着性材料の添加も可能である。
前記低分子材料組成物は、次工程である平板プレス工程をより容易にする目的で、製膜後の乾燥工程にて揮散する揮発成分を除いた成分が室温で流動性があることが好ましい。前記揮発成分を除いた低分子材料組成物の粘度は、25℃で100cp以下であることが好ましく、60cp以下であることがより好ましく、40cp以下であることが更に好ましい。
前記平板プレス工程は、前記樹脂層表面に平板を大気圧以上の圧力でプレスする工程であり、形成した樹脂層の上面より、平板にてプレスすることで樹脂層表面を平坦化する。
前記平板としては、表面粗さ(Ra)は0.5nm以下が好ましく、0.3nm以下がより好ましく、0.2nm以下が更に好ましい。
前記平板表面の高さ変動(歪み)は100nm/mm以下が好ましく、50nm/mm以下がより好ましく、30nm/mm以下が更に好ましい。
前記平板表面の最大高低差は5.0nm以下が好ましく、3.0nm以下がより好ましく、2.0nm以下が更に好ましい。
前記平板の厚みとしては、50μm以上が好ましく、100μm以上がより好ましい。
前記平板の強度としては、プレス時に歪みが生じなければ特に制限はなく、プレス条件にもよるが、弾性率が1,000MPa以上であることが好ましく、2,000MPa以上であることがより好ましい。
なお、前記樹脂層が紫外線硬化性材料、電子線硬化性材料等からなる場合には、紫外線や電子線等を平板を通して照射するため、前記平板は、紫外線や電子線等の光の透過性が50%以上であることが好ましい。
平板プレス時には、平板と樹脂層を合わせるときに気泡が入らないようにすることが必要であり、減圧下にて合わせる方が好ましい。又は合わせた後に周辺雰囲気を減圧して間に介在する空気等の気体を除去することが好ましい。
平板プレスの圧力条件は、低粘度であるUV硬化性材料、又は熱硬化性材料からなる樹脂層の場合には、大気圧以上であればよく、1MPa以上が好ましく、3MPa以上がより好ましい。平板プレスの温度条件は、室温でもよいが、より低圧でプレスしたい場合には加熱して樹脂粘度を低減してもよい。また、UV硬化性材料、又は熱硬化性材料からなる樹脂層の場合にはプレス時にUV照射、又は加熱等により硬化反応を進行させ、表面が平坦化された樹脂層の形状を固定化することが好ましい。なお、硬化条件は、樹脂組成物が十分硬化する条件であればよい。
プレス圧力としては、平坦性をより向上させる目的で大気圧以上であればよく、1MPa以上であることが好ましく、3MPa以上であることがより好ましく、10MPa以上であることが更に好ましい。
プレスの方式としては、特に制限はなく、公知の平板プレス方法を適宜選択できるが、圧力の均一性の観点から流体加圧方式により加圧することが好ましい。前記流体加圧方式としては、例えば米国特許出願公開2004−131718A1公報に記載の方法などが挙げられる。
前記エッチング工程は、前記樹脂層及び前記非磁性層をエッチングして磁性層上に平坦な非磁性層を形成する工程である。
表面を平坦化した樹脂層を、その下層の非磁性層と合わせて表面側より、パターニングされた凹凸構造表面の凸部の直ぐ上部までエッチングする(エッチバック)ことで、パターニングされた凹凸構造表面を高精度に平坦化することができる。
前記斜方入射によるイオンミリング法については、一般的に対象物のエッチング速度に入射角依存性があり、かつ入射角依存性のプロファイルが材料により異なることを利用して、樹脂層の材料と非磁性層の材料のエッチング速度が等しくなる入射角条件にてイオンミリングを行うことで、前工程にて形成した平坦化表面を維持したままエッチングを進めることができる。例えば特開昭61−227183号公報、特開昭61−222010号公報に記載の方法により、非磁性層としてSiO2を使用し、かつ樹脂層としてキノンジアジド等のフォトレジストを使用し、Arイオンを加工面の法線方向から60°〜80°の角度で入射させることで、フォトレジストとSiO2のエッチングレートを等しくすることができる。
前記保護層としては、磁性層の腐食を防ぐとともに、磁気ヘッドが磁気記録媒体に接触したときに媒体表面の損傷を防ぐためのもので、例えばダイヤモンド状炭素膜(DLC(Diamond Like Carbon))、スパッタカーボンなどが挙げられる。
前記保護層の厚さは、1nm以上5nm以下とするのがヘッドと磁気記録媒体の距離を小さくできるので高記録密度の点から望ましい。
前記潤滑剤層の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばパーフルオロプリエーテル等の含フッ素鎖を有する材料を適宜使用することができる。また、潤滑剤層の安定性の観点から、基板上の保護層への吸着性に優れる官能基として、アルコール基、カルボン酸基、エーテル基、チオエーテル基、などを有することができる。
前記潤滑剤層の製膜方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばディップ法、蒸着法などが挙げられることができる。
この図1のAでは、基板10の表面に、該表面を基準として複数の凸部が配列されたことによって形成された凹凸部を有する磁性層11を形成する。
次に、図1のBでは、該凹凸部における凹部の深さ以上の厚さに非磁性材料を埋設して非磁性層12を形成する。非磁性材料としては、例えばSiO2、カーボン、アルミナ、ポリメタアクリル酸メチル(PMMA)、ポリスチレン(PS)等のポリマー、円滑油などが挙げられる。
次に、図1のCでは、前記非磁性層12表面に樹脂層13を形成する。
次に、図1のDでは、前記樹脂層13表面に平板14を大気圧以上の圧力でプレスするする。
次に、前記樹脂層13及び前記非磁性層12をエッチングして凹凸部を有する磁性層1
1上に平坦な非磁性層12を形成する。
なお、前記保護膜としては、ダイヤモンドカーボン(DLC)、スパッタカーボン等が好ましく、該保護膜の上に更に潤滑剤層を設けてもよい。
本発明によれば、凹凸部を有する磁性層の表面をより高精度、簡便かつ低コストに平坦化することができ、平坦化により磁気ヘッドの走査性と読み書き(read/write)性向上させることができる。
本発明の磁気記録媒体の製造方法は、本発明の前記パターン表面の平坦化方法を含み、更に必要に応じてその他の工程を含んでなり、例えば、モールド構造体を、磁気記録媒体の基板上に形成したインプリントレジスト層に押圧して前記モールド構造体に形成された凹凸パターンを転写する転写工程と、
前記インプリントレジスト層に転写された凹凸パターンを硬化させ、モールド構造体を剥離する硬化工程と、
前記凹凸パターンが転写されたインプリントレジスト層をマスクにして、前記磁気記録媒体の基板の表面に形成された磁性層をエッチングして、前記凹凸パターンに基づく磁性パターン部を前記磁性層に形成する磁性パターン部形成工程と、
前記磁性層上に形成された凹部に非磁性材料を埋め込む非磁性パターン部形成工程と、を少なくとも含み、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
アルミニウム、ガラス、シリコン、石英等の基板上に、Fe又はFe合金、Co又はCo合金等の磁性層50を有する磁気記録媒体中間体の磁性層上にポリメタアクリル酸メチル(PMMA)等のインプリントレジスト液を塗布してなるレジスト層24を形成したレジスト層付き磁気記録媒体中間体に対して、表面に凹凸パターンが形成されたモールド構造体を押し当て、加圧することにより、モールド構造体上に形成された凹凸パターンをレジスト層24に転写する。
−光照射による硬化−
インプリントレジスト層を形成するインプリントレジスト組成物が、光硬化性樹脂を含む場合、紫外線などの電子線を透明性を有するインプリント用モールド構造体1を介してインプリントレジスト層に照射し、該インプリントレジスト層が硬化することとなる。
ここで用いる光硬化性樹脂としては、ラジカル重合タイプとカチオン重合タイプがあるが、要求されるパターン形状精度や硬化速度に対し適宜選択することができる。
−加熱による硬化−
インプリントレジスト層を形成するインプリントレジスト組成物が、熱可塑性樹脂を含む場合、インプリントレジスト層にインプリント用モールド構造体1を押し当てる際に、系を前記レジスト液のガラス転移点(Tg)付近に維持しておき、転写後、前記レジスト液のガラス転移点よりも低下することによりインプリントレジスト層が硬化することとなる。さらに、必要に応じて紫外線などを照射してパターンを硬化させてもよい。
なお、インプリントレジスト組成物が、熱硬化性樹脂を含む場合、室温あるいは加熱して流動性を示す状態でインプリントレジスト層にインプリント用モールド構造体1を押し当てて凹凸パターンを転写した後、樹脂の硬化温度まで加熱することにより、インプリントレジスト層が硬化することとなる。
次に、凹凸部のパターンが転写されたインプリントレジスト層をマスクにして、ドライエッチングを行い、インプリントレジスト層に形成された凹凸パターン形状に基づく凹凸形状を磁性層に形成する。
前記ドライエッチングとしては、磁性層に凹凸形状を形成できるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イオンミリング法、反応性イオンエッチング(RIE)、スパッタエッチング、等が挙げられる。これらの中でも、イオンミリング法、反応性イオンエッチング(RIE)が特に好ましい。
前記イオンミリング法は、イオンビームエッチングとも言われ、イオン源にAr等の不活性ガスを導入し、イオンを生成した。これを、グリッドを通して加速して、試料基板に衝突させてエッチングするものである。
前記イオン源としては、例えばカウフマン型、高周波型、電子衝撃型、デュオプラズマトロン源、フリーマン型、ECR(電子サイクロトロン共鳴)型、Closed drift型などが挙げられる。
イオンビームエッチングでのプロセスガスとしてはAr、RIEのエッチャントとしてはCO+NH3、塩素ガス、CF系ガス、CH系ガス、及びこれらのガスに酸素ガス、窒素ガス、水素ガスを添加したものなどを用いることができる。
次に、本発明のパターン表面の平坦化方法により、形成された凹部に非磁性材料を埋め込み、表面を平坦化した後、必要に応じて、保護膜などを形成して磁気記録媒体100を作製することができる。
本発明の磁気記録媒体は、本発明の磁気記録媒体の製造方法により製造される。
前記磁気記録媒体の最表面の表面粗さ(Ra)が0.5nm以下であり、0.3nm以下が好ましく、0.2nm以下がより好ましい。また、最表面の最大高低差は5nm以下が好ましく、3nm以下がより好ましく、2nm以下がさらに好ましい。
また、最表面の高さ変動は100nm/mm以下であり、50nm/mm以下が好ましい。
ここで、前記磁気記録媒体の最表面の表面粗さ(Ra)、及び最大高低差は、例えばAFMにより表面状態を解析することで測定することができる。また、前記磁気記録媒体の最表面の高さ変動(微小歪み)については、例えば光干渉計により測定することができる。
<インプリント用モールド構造体の作製>
直径8インチの円板状の石英基板上に電子線レジスト(FEP171、富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ社製)を、スピンコート法を用いて100nmの厚さに塗布した。
その後、回転式電子線露光装置にて所望のパターンを露光し、現像することで、凹凸パターンを有する前記電子線レジストを石英基板上に形成した。
凹凸パターンを有する前記電子線レジストをマスクとして、前記石英基板に対して反応性イオンエッチング処理を行い、石英基板上に凹凸形状を形成した。
残存した前記電子線レジストを、可溶溶剤にて洗浄することで除去し、乾燥した後に原盤を作製した。
データ領域は、凸部の巾:50nm、凹部の巾:100nm(トラックピッチ=150nm)の凹凸パターンとした。
サーボ領域に関しては、基準信号長を90nmとし、総セクタ数を240とし、プリアンブル部(45bit)、SAM部(10bit)、SectorCode部(8bit)、CylinderCode部(32bit)、及びBurst部で構成されている。
前記SAM部は、“0000101011”であり、前記SectorCode部における凹凸パターンは、Binary変換を用いて形成され、CylinderCode部における凹凸パターンは、Gray変換を用いて形成される。
また、前記Burst部における凹凸パターンは、一般的な4バースト(各バーストは16bit)である。
形成した凹凸レジストパターンを元にエッチャントとしてCHF3を用いたRIEでインプリント用モールド構造体を作製した。
2.5インチのガラス基板上に、以下の手順で各層を形成し、磁気記録媒体を作製した。
作製した磁気記録媒体は、密着層、第1の軟磁性層、密着層、第2の軟磁性層、第1の非磁性配向層、第2の非磁性配向層、磁性層、及び保護層が順次形成されている。
なお、第1の軟磁性膜、密着層、第2の軟磁性層、第1の非磁性配向層、第2の非磁性配向層、及び磁性層はスパッタリング法で形成した。
洗浄済みのガラス基板上に、密着層としてCrTiよりなる層を10nmの厚さで形成した。
第1の軟磁性層としてCoZrNbよりなる層を45nmの厚さで形成し、更に密着層としてRuよりなる層を0.9nm、更に第2の軟磁性層として、CoZrNbよりなる層を45nmの厚さで形成した。
具体的には、前記密着層付きガラス基板を、CoZrNbターゲットと対向させて設置し、Arガスを0.6Paの圧になるように流入させ、DC 1,500Wで成膜した。更に、前記、Ruターゲットと対向させて設置し、Arガスを0.6Paの圧となるように流入させ、DC 1,000Wで製膜した。更に、前記ガラス基板を、CoZrNbターゲットと対向させて設置し、Arガスを0.6Paの圧になるように流入させ、DC 1,500Wで成膜した。
第1の非磁性配向層として、5nmの厚さのTi層を形成した。
具体的に、第1の非磁性配向層は、Tiターゲットと対向設置し、Arガスを0.5Paの圧になるように流入させ、DC 1,000Wで放電し、5nmの厚さになるようにTiシード層を成膜した。
その後、第2の非磁性配向層として、6nmの厚さのRu層を形成した。
第1の非磁性配向層形成後に、Ruターゲットと対向させて設置し、Arガスを0.8Paの圧になるように流入させ、DC 900Wで放電し、6nmの厚さになるように第2の非磁性配向層としてRu層を成膜した。
その後、磁性層として、CoCrPtO層を18nmの厚さで形成した。
具体的には、CoPtCrターゲットと対向させて設置し、O2 0.06%を含むArガスを、圧力が14Paとなるようにして流入させ、DC 290Wで放電し、磁性層を形成した。
ここで、第1のマスク層としては、TiNをターゲットと対向させて設置し、O2 0.06%を含むArガスを、圧力が14Paとなるようにして流入させ、DC 290Wで放電し、第1のマスク層を形成した。更に第2のマスク層としては、Niをターゲットと対向させて設置し、O2 0.06%を含むArガスを、圧力が14Paとなるようにして流入させ、DC 290Wで放電し、第2のマスク層を形成した。また、レジスト層としては、市販のFEP171(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ社製)を使用した。
データ領域は、凸部(トラック部)の巾:80nm、凹部(グルーブ部)の巾:70nm(トラックピッチ=150nm)の凹凸パターンとした。
サーボ領域に関しては、基準信号長を90nmとし、総セクタ数を240とし、プリアンブル部(45bit)、SAM部(10bit)、SectorCode部(8bit)、CylinderCode部(32bit)、及びBurst部で構成されている。
前記SAM部は、“0000101011”であり、前記SectorCode部における凹凸パターンは、Binary変換を用いて形成され、CylinderCode部における凹凸パターンは、Gray変換を用いて形成される。
また、前記Burst部における凹凸パターンは、一般的な4バースト(各バーストは16bit)である。
作製したパターン付き磁性層について、ドライエッチングにより第2のマスク層、続いて第1のマスク層をエッチングした後、残存するマスクパターンに沿って磁性層のエッチングを行うことで、前記パターン状に磁性層の凹凸構造を有する磁気記録媒体を作製した。具体的には、Arガスを用いたイオンビームエッチングにより前記第2のマスク層をエッチングした後、SF6ガスを用いたRIEにより第1のマスク層をエッチングし、第1のマスク層の下側底面より磁性層の最表面が露出される。
作製した第2のマスク層底面からなるモールドに対し、COガス、NH3ガスを反応性ガスとするRIEにより、磁性層をパターニングした。また、残存する第1のマスク層やレジスト残渣や汚れを、SF6ガスを使用したRIEにより除去することにより、パターニングされた銃器記録層を有する磁気記録媒体を作製した。
−非磁性層形成−
作製したパターニングされた磁性層を有する磁気記録媒体の磁性層面側をCターゲットと対向させて設置し、Arガスを、圧力が0.5Paになるように流入させ、DC 1,000Wで放電し、C非磁性層を20nmの厚さで形成した。
作製した非磁性層上に樹脂層をスピンコート法により30nmの厚みで形成した。なお、樹脂材料としては、市販のPAK−01−60(東洋合成株式会社製)を使用し、更にPGMEAで50質量%に希釈して使用し、スピンコート後に100℃にて2分間の乾燥を行った。
なお、作製した樹脂層は凹凸部が前記パターニングされた磁性層の凹凸部に対し、同一のパターンをしているが全体に滑らかになった形状をしていた。別途、モデル系での検証として、同様の基板上にPAK−01−60を作製したところ、同様にパターニングされた凹凸が形成され、かつ最大高低差は15nmとなった。
作製した樹脂層を表面側より平板にてプレスした後、300mj/cm2のUV照射を行い、樹脂層を硬化し、更に平板を剥がすことで平坦化された樹脂層を形成した。
平板としては、市販の石英ウエハを使用した。石英ウエハのAFMによる表面の粗さ(Ra)は0.27nm、AFMによる最大高低差は2.0nmであった。また光干渉計による最表面の高さ変動は19nm/mmであった。
プレスの方法としては、まず樹脂側表面と平板とを合わせた後、0.01MPa以下に減圧して樹脂表面と平板とを良く密着させた。その後、チャンバー内の内圧を3MPaまで上昇させ、チャンバー内にて、予め設置されたランプによりUV照射を所定量以上行って樹脂層を硬化した後、平板を剥して平坦な表面の樹脂層を有するサンプルを作製した。
作製した、平坦な表面の樹脂層を有する磁気記録媒体に対し、平坦性を維持したまま、表面側から樹脂層、及び非磁性層を逐次エッチングし、磁性層より数nm以内の厚みで綺麗に製膜された状態とすることで、平坦性の高い表面を有するパターニングされた磁性層を有する磁気記録媒体を作製できた。
なお、Arイオンミリングは表面の磁性層が検出できるレベルまでエッチングしてしまってもよいし、表面より数ナノレベルの非磁性層をメディアの保護膜として使用することもできる。
また、前記Arイオンミリングにより磁性層表面が露出するくらいまでエッチングしてしまった場合は、更に保護層を形成することもできる。
具体的には、パターン形成したCターゲットと対向させて設置し、Arガスを、圧力が0.5Paになるように流入させ、DC 1,000Wで放電し、C保護層を4nmの厚さで形成した。
作製したパターニングされた磁気記録媒体について、ヘッド走査性を付与する目的で、最表面層にPFPE系の材料をディップ法により潤滑剤層を形成した。以上により、実施例1の磁気記録媒体を作製した。
即ち、実施例1では、(基板+磁性層+メタルマスク+レジスト層+EB+エッチング)+DLC製膜+樹脂層積層+平板NIL+斜方イオンミリング+潤滑剤製膜により、磁気記録媒体を作製した。
実施例1において、(基板+磁性層+レジスト層+EB+Arイオンミリング)+DLC製膜+樹脂層積層+平板NIL+斜方イオンミリング+潤滑剤製膜により、実施例2の磁気記録媒体を作製した。
即ち、メタルマスク層を使用せず、磁性層上にレジスト層(FEP171、富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ社製)を厚みが100nmになるように直接積層した後、実施例1と同様にEB描画を使用したフォトリソグラフィによりパターニングを行った。作製したパターンに対し、Arイオンミリング法により、プラズマ源としてICP(誘導結合型プラズマ;Inductively Coupled Plasma)を用い、イオンエネルギー90eV、圧力0.5Paの条件にてエッチングを行い、磁性層のパターニングを行った後、実施例1と同様にして平坦化を行った。
実施例1において、(基板+磁性層+メタルマスク+レジスト層+EB+エッチング)+SiO2製膜+樹脂層積層+平板NIL+斜方イオンミリング+DLC製膜+潤滑剤製膜により、実施例3の磁気記録媒体を作製した。
即ち、実施例1と同様にして作製したパターニングされた磁性層に、SiO2をスパッタ源としてスパッタによりSiO2膜を製膜した後、実施例1と同様の方法により平坦化を行った。
平坦化用の平板としては、市販の石英ウエハを使用した。石英ウエハのAFMによる表面の粗さ(Ra)は0.19nm、AFMによる最大高低差は1.8nmであった。また光干渉計による最表面の高さ変動は13nm/mmであった。
実施例1において、(基板+磁性層+メタルマスク+レジスト層+EB+エッチング)+SiO2製膜+樹脂層積層+平板NIL+RIE(Ar/CF4系)+DLC製膜+潤滑剤製膜により、実施例4の磁気記録媒体を作製した。
即ち、SiO2製膜を実施例3と同様にして作製したパターニングされた磁性層上にSiO2層膜を製膜した後、実施例1と同様にして樹脂層を積層後に表面を平坦化した。その後、RIE法により樹脂層とSiO2層のエッチングレートが等しくなる下記条件でエッチングを行い、平坦化した樹脂層の平坦性を維持したまま表面側から樹脂層、及び非磁性層を逐次エッチングし、磁性層より数nm以内の厚みで綺麗に製膜された状態とすることで、平坦性の高い表面を有するパターニングされた磁性層を有する磁気記録媒体を作製できた。
−エッチング条件−
エッチング条件としてエッチングガス系:CHF3(25SCCM)/Ar(50SCCM)、圧力0.6Pa、ICP300W、Bias60Wを設定し、非磁性層としてSiO2膜を使用し、モノマーとしてトリメチロールプロパントリアクリレートとエチレングリコールジアクリレートを1/1の比で混合し、かつ光重合開始剤としてイルガキュア907(チバ・スペシャルティケミカルズ社製)をモノマー総量の3質量%使用した系を樹脂層として使用することで、樹脂層と非磁性層のエッチングレートを等しくすることができた。
実施例1において、(基板+磁性層+メタルマスク+NILレジスト層+エッチング)+DLC製膜+樹脂層積層+平板NIL+RIE(Ar/CF4系)+潤滑剤製膜により、実施例5の磁気記録媒体を作製した。
即ち、実施例1と同様にして磁性層上にメタルマスク層を製膜した後、インプリントによりメタルマスク層上にレジストパターンを形成した。レジスト層としては下記組成の組成物を使用してメタルマスク層上に製膜した後、作製したインプリント用モールド構造体のパターニングされた表面をレジスト層側に合わせた後、大気圧以上の圧力にて流体加圧方式により加圧しながらUV照射を200mj/cm2のエネルギーで実施することでレジストパターンを形成した。作製したレジストパターンの凹部の残膜を酸素アッシングにより除去した後、実施例1と同様の方法により磁性層のエッチングを実施した。
<レジスト組成物>
・ベンジルアクリレート・・・10g
・ヒドロキシベンジルアクリレート・・・10g
・プロピレングリコールジアクリレート・・・2.5g
・トリメチロールプロパントリアクリレート・・・2.5g
・イルガキュア907(チバ・スペシャルティケミカルズ社製)・・・1g
・polyfox6320(オムノヴァ社製)・・・0.1g
・PGMEA・・・25g
また、平坦化工程におけるRIE法は実施例4と同様の条件にて行った。
実施例1において、樹脂層の形成を蒸着法により行い、そのままチャンバー内で平板NILした以外は、実施例1と同様にして、実施例6の磁気記録媒体を作製した。
即ち、実施例1と同様にしてパターニングされた磁性層上にDLC層を積層した後、該基板を蒸着装置のチャンバー内にセットし、蒸着源として実施例1と同様の樹脂層組成物を使用してDLC層上に樹脂層を製膜した。その後、チャンバー内の減圧状態を保ったまま平板を樹脂層へ合わせたままUV照射により樹脂層を硬化し、表面が平坦化した樹脂層を形成した。その後、実施例1と同様にして平坦化処理を行った。
実施例1において、樹脂層の形成をインクジェット(IJ)法により行った以外は、実施例1と同様にして、実施例7の磁気記録媒体を作製した。
即ち、実施例1と同様にしてパターニングされた磁性層上にDLC層を積層した後、該基板上に実施例1と同様の樹脂層組成物をインクジェット法によりDLC層上に樹脂層を製膜した。その後、実施例1と同様にして平坦化処理を行った。
実施例3において、(基板+磁性層+レジスト層+EB+Arイオンミリング)+SiO2製膜+ドライエッチング+潤滑剤製膜により、比較例1の磁気記録媒体を作製した。
即ち、実施例3と同様の方法によりパターニングした磁性層を作製し、更にSiO2層を積層した後、Arイオンミリング法により以下の条件にてパターニングされた磁気記録層の凸部の先端より2nm程度上面までエッチングを実施し、比較例1の磁気記録媒体を作製した。
<イオンミリング条件>
・Arガス流量:11sccm
・ガス圧:0.05Pa
・ビーム電圧:600V
・ビーム電流:600mA
・サプレッサー電圧:300V
・イオンビーム入射角:+60°
実施例1において、(基板+磁性層+レジスト層+EB+Arイオンミリング)+DLC製膜+樹脂層積層+平板NIL+ドライエッチングの条件変更+潤滑剤製膜により、比較例2の磁気記録媒体を作製した。
即ち、ドライエッチングの条件として、角度を傾斜させずに、基板の法線方向よりArイオンミリングを行う以外は、実施例1と同様の方法によりエッチングによる平坦化を行った。
実施例1において、(基板+磁性層+レジスト層+EB+Arイオンミリング)+DLC製膜+樹脂層積層+非平坦板+斜方イオンミリング+潤滑剤製膜により、比較例3の磁気記録媒体を作製した。
即ち、非平坦板として、表面粗さ(Ra)が7nm、最表面の最大高低差が63nm、最表面の高さ変動(歪み)1.3μm/mmの平板を使用した以外は、実施例1と同様の方法により磁気記録媒体を作製した。
実施例6において、平板NILをチャンバー内にて低圧力(0.1atm)にて実施した以外は、実施例6に記載と同様の方法により、比較例4の磁気記録媒体を作製した。
タッチダウンプレッシャー(TDP)とは、浮上量のデータを意味する。
チャンバー内のスピンスタンド(AEセンサー付き、チャンバー減圧可能、クボタコンプス社製)にメディアサンプルをセットし、メディア上にヘッドを走査させる際のチャンバー内圧力を低減させると、ヘッドの浮上量が低下してくる。減圧とヘッドの浮上量は相関しており、浮上量を雰囲気の圧力から予測できる。そこで、AEセンサーにより実際にメディア上へヘッドがタッチする際のコンタクトタイミングを捉え、そのときの圧力から浮上量を逆算した。
表面粗さ(Ra)については、AFM(SII社製)にて表面状態を解析することにより測定した。測定点数はサンプル中心より4方向についてパターン内周側近傍、外周側近傍にてサンプリングした。
最表面の高さ変動については、光干渉計(フジノン株式会社製)にて表面状態を解析することにより測定した。
スピンスタンド(R/W可能、アイメス社製)を使用し、電磁変換特性測定装置(協同電子株式会社製、型番:LS−90)により、作製した磁気記録媒体の磁化状態の評価を行った。ヘッドには、ヘッドギャップ0.06μm、トラック幅0.14μmであるGMRヘッドを使用した。
40MHzの信号を書き込み、S:40MHz±1MHz、N:0.5MHz〜80MHzとしたときに、20*log10(S/N−S)の値をSNRとした。
10 基板
11 磁性層
12 非磁性層
13 樹脂層
14 平板
24 インプリントレジスト層
40 磁気記録媒体の基板
50 磁性層
70 非磁性材料
100 磁気記録媒体
Claims (4)
- 基板の表面に、該表面を基準として複数の凸部が配列されたことによって形成された凹凸部を有する磁性層上に、該凹凸部における凹部の深さ以上の厚さに非磁性材料を埋設して非磁性層を形成する非磁性層形成工程と、
前記非磁性層表面に樹脂層を形成する樹脂層形成工程と、
前記樹脂層表面に表面粗さ(Ra)が0.5nm以下であり、表面の最大高低差が5nm以下であり、かつ表面の高さ変動が100nm/mm以下である平板を用いて大気圧以上の圧力でプレスする平板プレス工程と、
前記樹脂層及び前記非磁性層を、入射角が規定されたイオンミリング法、及び樹脂層のエッチング速度と非磁性層のエッチング速度が同一となる条件のRIE法のいずれかでエッチングして、前記非磁性層表面が平坦であり、かつ、該非磁性層表面が前記磁性層表面近傍に形成されるような厚みで非磁性層を形成するエッチング工程と、を含むことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。 - 平板プレスが、流体加圧方式で行われる請求項1に記載の磁気記録媒体の製造方法。
- 樹脂層が、インクジェット法、スピンコート法、蒸着法、及びディップコート法のいずれかで形成される請求項1から2のいずれかに記載の磁気記録媒体の製造方法。
- 請求項1から3のいずれかに記載の磁気記録媒体の製造方法により製造され、最表面の表面粗さ(Ra)が0.5nm以下であり、かつ最表面の高さ変動が100nm/mm以下であることを特徴とする磁気記録媒体。
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