JP4686617B2 - スタンパ作製用マスター原盤およびその製造方法並びにNiスタンパの製造方法 - Google Patents
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Description
図1に、ディスクリートトラック媒体(DTR媒体)1の周方向に沿う平面図を示す。図1に示すように、媒体1の周方向に沿って、サーボ領域10と、データ領域20が交互に形成されている。サーボ領域10には、プリアンブル部11、アドレス部12、バースト部13が含まれる。データ領域20には互いに分断されたディスクリートトラック21が含まれる。
図3(a)に示すように、たとえば6インチSi基板31上に厚さ10nmのNiからなる第1の金属層32、厚さ40nmのSi層33、厚さ10nmのNiからなる第2の金属層34をスパッタリングにより順次成膜する。その上に、日本ゼオン社製のレジストZEP−520Aをアニソールで2倍に希釈し、0.05μmのフィルタでろ過した溶液をスピンコートした後、200℃で3分間プリベークして、厚さ約50nmのEBレジスト35を形成する。次に、ZrO/W熱電界放射型の電子銃エミッターを有する電子ビーム描画装置を用い、加速電圧50kVの条件で、EBレジスト35に所望のパターンを直接描画する。描画時には、図1に示したサーボパターン、バーストパターン、アドレスパターン、トラックパターンを形成するための信号と、描画装置のステージ駆動系(少なくとも一方向の移動軸の移動機構と回転機構とを有する、いわゆるX−θステージ駆動系)へ送る信号と、電子ビームの偏向制御信号とを同期させて発生する信号源を用いる。描画中は線速度500mm/sのCLV(constant linear velocity)でステージを回転させるとともに、半径方向にもステージを移動させる。1回転毎に電子ビームに偏向をかけて、同心円をなすデータ領域を描画する。また、1回転あたり7.8nmずつ送り、10周で1トラック(1アドレスビット幅に相当)を形成する。次いで、現像液(日本ゼオン社製、ZED−N50)に90秒間浸漬してレジストを現像した後、リンス液(日本ゼオン社製、ZMD−B)に90秒間浸漬してリンスを行い、エアーブローにより乾燥させる。こうしてEBレジスト35に凹凸パターンを形成する。
図4(a)に示すように、本発明のマスター原盤30上に、スパッタリングによってNiからなる導電化膜41を形成する。たとえばチャンバー内を8×10-3Paまで真空引きした後、アルゴンガスを導入して圧力を1Paに調整し、400WのDCパワーを印加して20秒間スパッタリングを行い、厚さ約5nmのNiからなる導電化膜41を成膜する。導電化膜41は純Niでもよいが、Niに微量のVやRuを混合した合金でもよい。
ホウ酸:40g/L
界面活性剤(ラウリル硫酸ナトリウム):0.15g/L
液の温度:55℃
pH:4.0
電流密度:20A/dm2。
従来のマスター原盤の製造方法では、Si基板をエッチングするRIE工程においてマイクロローディング現象が生じ、サーボ領域とデータ領域で凹部の深さにバラツキが生じていた。このバラツキはマスター原盤からNiスタンパおよび樹脂スタンパに転写される。凹凸にバラツキのある樹脂スタンパを用いて図5(c)に示すようにUVインプリントを行うと、図6(a)に示すように、UV硬化レジスト55の凹部の底に残存するレジスト残渣の厚さにバラツキができる。これが原因となり、製造されるDTR媒体またはBPMにもパターン形成不良が生じていた。
UV硬化レジスト(2P剤)は紫外線硬化性を持つ材料であり、モノマー、オリゴマー、重合開始剤を含む組成物であり、溶媒は含まない。
ビスフェノールA・エチレンオキサイド変性ジアクリレート(BPEDA)
ジペンタエリスリトールヘキサ(ペンタ)アクリレート(DPEHA)
ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート(DPEHPA)
ジプロピレングリコールジアクリレート(DPGDA)
エトキシレイテッドトリメチロールプロパントリアクリレート(ETMPTA)
グリセリンプロポキシトリアクリレート(GPTA)
4−ヒドロキシブチルアクリレート(HBA)
1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)
2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)
2−ヒドロキシプロピルアクリレート(HPA)
イソボルニルアクリレート(IBOA)
ポリエチレングリコールジアクリレート(PEDA)
ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)
テトラヒドロフルフリルアクリレート(THFA)
トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)
トリプロピレングリコールジアクリレート(TPGDA)
・メタクリレート類
テトラエチレングリコールジメタクリルレート(4EDMA)
アルキルメタクリレート(AKMA)
アリルメタクリレート(AMA)
1,3−ブチレングリコールジメタクリレート(BDMA)
n−ブチルメタクリレート(BMA)
ベンジルメタクリレート(BZMA)
シクロヘキシルメタクリレート(CHMA)
ジエチレングリコールジメタクリレート(DEGDMA)
2−エチルヘキシルメタクリレート(EHMA)
グリシジルメタクリレート(GMA)
1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート(HDDMA)
2−ヒドロキシエチルメタクリレート(2−HEMA)
イソボルニルメタクリレート(IBMA)
ラウリルメタクリレート(LMA)
フェノキシエチルメタクリレート(PEMA)
t−ブチルメタクリレート(TBMA)
テトラヒドロフルフリルメタクリレート(THFMA)
トリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPMA)
特に、イソボルニルアクリレート(IBOA)、トリプロピレングリコールジアクリレート(TPGDA)、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)、ジプロピレングリコールジアクリレート(DPGDA)、ネオペンチルグリコールジアクリレート(NPDA)、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート(TITA)などは粘度を10cP以下にすることができるため良好である。
RIE(反応性イオンエッチング)により、レジストの凹部の底に残存している残渣を除去する。プラズマソースは、低圧で高密度プラズマを生成可能なICP(inductively coupled plasma)が好適であるが、ECR(electron cyclotron resonance)プラズマや、一般的な並行平板型RIE装置を用いてもよい。UV硬化レジスト(2P剤)の残渣除去には酸素ガスを用いるのが好ましい。
記録再生ヘッドの浮上性を考慮すると凹凸の深さを10nm以下にすることが好ましいが、信号出力を確保するために磁気記録層の厚さが15nm程度必要となる。そこで、磁気記録層の厚さ15nmのうち、10nmを物理的に除去し残りの5nmを磁気的に失活させるようにすれば、記録ヘッドの浮上性を確保しつつサイドイレースおよびサイドリードを抑制できるので、DTR媒体およびBPMを製造できる。厚さ5nmの磁気記録層を磁気的に失活させる方法として、HeやN2イオンを曝露する方法が用いられる。Heイオンを曝露した場合、曝露時間に従ってヒステリシスループの角形を維持したままHc(保磁力)が減少し、やがてヒステリシスがなくなる(磁性失活)。この場合、Heガスの曝露時間が不十分であると、角形のよい(Hn(反転核形成磁界)がある)ヒステリシスが保持される。しかし、このことは、凹部底部の磁性層に記録能力があることを意味し、DTR媒体またはBPMの利点が失われる。一方、N2イオンを曝露した場合、曝露時間に従ってヒステリシスループの角形が劣化して、やがてヒステリシスがなくなる。この場合、Hnは急激に劣化するが、Hcが減少しにくい。しかし、N2ガス曝露時間が不十分であると、凹部底部にHcの大きい磁性層が残ることになり、DTR媒体またはBPMの利点が失われる。そこで、Heガスによる磁性失活とN2ガスによる磁性失活の挙動が異なることに着目し、He+N2混合ガスを用いることにより、磁気記録層をエッチングしながら効率的に凹部底部の磁気記録層の磁性を失活することができる。
磁気記録層の磁性を失活させた後、カーボンからなるエッチング保護膜を剥離する。エッチング保護膜は、酸素プラズマ処理を行うことで容易に剥離できる。
最後に表面保護膜を形成する。表面保護膜は、凹凸へのカバレッジをよくするためにCVDで成膜することが望ましいが、スパッタ法または真空蒸着法でもよい。CVD法によれば、sp3結合炭素を多く含むDLC膜が形成される。表面保護膜の厚さが2nm未満だとカバレッジが悪くなり、10nmを超えるとヘッドと媒体との磁気スペーシングが大きくなってSNRが低下するので好ましくない。表面保護膜上に潤滑剤を塗布する。潤滑剤としては、たとえばパーフルオロポリエーテル、フッ化アルコール、フッ素化カルボン酸などを用いることができる。
実施例1
図3に示した方法でマスター原盤を作製した。6インチSi基板上に、厚さ10nmのNiからなる第1の金属層、厚さ40nmのSi、厚さ10nmのNiからなる第2の金属層を、スパッタリングにより順次成膜した。その上に、厚さ50nmのEBレジストを塗布した。このSi基板をEB描画機にセットし、図1に示したようなDTR媒体に対応するパターンを描画した。トラックピッチを75nm、グルーブ幅を25nmとした。EBレジストのパターンをマスクとして、ECRイオンガンによりArガスを用いて第2の金属層(Ni)をエッチングした。次に、ICP装置によりCF4ガスを用いてSi層をエッチングした。EBレジストを剥離した後、ICP装置を用い、第2の金属層、Si層および第1の金属層の露出部分を酸素プラズマに60秒間曝露して凸部の表面に金属酸化膜を形成し、マスター原盤を作製した。
特許文献1の方法でSiマスター原盤を作製した。6インチSi基板上に厚さ50nmのEBレジストを塗布した。実施例1と同様に、Si基板をEB描画機にセットし、図1に示したようなDTR媒体に対応するパターンを描画した。EBレジストのパターンをマスクとして、ICP装置を用いCF4ガスによりSi基板をエッチングして、トラック対応部分の凹凸が50nmになるようにした。ICP装置を用い酸素プラズマでEBレジストを剥離してSiマスター原盤を得た。
6インチSi基板上に成膜する第1および第2の金属層として、Niの代わりに、Al、Cr、Co、FeまたはHfを用いた以外は実施例1と同様の方法でマスター原盤を作製した。得られたマスター原盤の凹凸をAFMで測定したところ、全ての原盤でサーボ領域、データ領域ともに凹部の深さは50nmであった。トラック対応部分のLERを測定したところ、全てのマスター原盤で6nm以下であった。Xeランプによる遮光検査によりマスター原盤の表面を目視で観察したところ、パーティクル付着はゼロであった。作製したマスター原盤から実施例1と同様にNiスタンパを作製した。この際、マスター原盤からNiスタンパを良好に剥離することができた。
Si層の厚さを表1のように変えたこと以外は実施例1と同様の方法でマスター原盤を作製した。マスター原盤のLERをSEM(走査型電子顕微鏡)で測定したところ、表1のようになった。Si層の厚さが50nm以下のときにLERが6nm以下であった。
第2の金属層(Ni)の厚さを表2のように変えたこと以外は実施例1と同様の方法でマスター原盤を作製した。作製したマスター原盤から図4に示した方法でNiスタンパを連続して10枚作製した。得られたNiスタンパの表面を光学顕微鏡で観察し、マイクロクラックの有無を調べた。その結果を表2にまとめた。
実施例1と同様の方法で樹脂スタンパを作製した。樹脂スタンパの材料は、日本ゼオン製ZEONOR 1060Rを用いた。次に図5に示した方法でDTR媒体を作製した。磁気記録層のためのカーボン保護層上に成膜する金属層としてSiを用いた。UV硬化レジストとして85%のIBOA、10%のPUDA、5%のダロキュア1173を含む組成物を用いた。作製したDTR媒体は、トラックピッチ75nm、トラック幅50nm、グルーブ幅25nmであった。潤滑剤を塗布し、HDDドライブに搭載して評価した。その結果、記録再生ヘッドの位置決め精度は6nm、オントラックでのBER(ビットエラーレート)は−5乗であった。
マスター原盤を作製するためのEBリソグラフィーにおいて図2に示したパターンを描画した以外は実施例5と同様の方法でBPMを作製した。作製したBPMのビットサイズは55nm×20nmであった。BPMではBERの定義ができないため、信号振幅強度を評価した。BPMを一方向に着磁し、ドライブへ組み込み再生波形を観察したところ、信号振幅強度200mVが得られた。記録再生ヘッド位置決め精度は6nmであった。DTR媒体と同様の作製方法でBPMも作製できることがわかった。
Claims (3)
- Si基板と、
前記Si基板上に形成された、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、鉄(Fe)およびハフニウム(Hf)のいずれかからなる平坦な第1の金属層と、
前記第1の金属層上に形成された、厚さ50nm以下のシリコン(Si)層および前記第1の金属層と同一の材料からなる厚さ30nm以下の第2の金属層からなり、データ領域の記録トラックまたは記録ビットおよびサーボ領域の情報に対応する凸部と、
前記シリコン(Si)層および第2の金属層からなる凸部の上面および側面、ならびに凹部に位置する前記第1の金属層の表面に形成された金属酸化膜と
を有することを特徴とするスタンパ作製用のマスター原盤。 - Si基板上に、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、鉄(Fe)およびハフニウム(Hf)のいずれかからなる第1の金属層、厚さ50nm以下のシリコン(Si)層、および前記第1の金属層と同一の材料からなる厚さ30nm以下の第2の金属層を成膜し、
前記第2の金属層上に電子ビームレジストを塗布し、
電子ビームリソグラフィーにより、前記電子ビームレジストにデータ領域の記録トラックまたは記録ビットに対応するパターンおよびサーボ領域の情報に対応するパターンを描画した後、レジストを現像して凹凸パターンを形成し、
アルゴン(Ar)ガスを用いて第2の金属層をエッチングし、
フッ素系ガスを用いてSi層を反応性イオンエッチングし、
前記第2の金属層、Si層および第1の金属層の露出部分を酸素プラズマに曝露して金属酸化膜を形成する
ことを含むことを特徴とするスタンパ作製用のマスター原盤の製造方法。 - 請求項1に記載のスタンパ作製用のマスター原盤上に導電化膜を形成し、
前記導電化膜上にニッケル(Ni)電鋳層を形成し、
前記Ni電鋳層をマスター原盤から剥離する
ことを特徴とするNiスタンパの製造方法。
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