JP6923697B1 - エアフィルタ及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】オイルミストと粉塵を含む空気を清浄にし、目詰まりを抑制する。【解決手段】オイルミストと粉塵を含む空気が流入する一面と、この一面に対向し空気が流出する他面との間を貫通する多数の気孔が繊維間に形成された不織布を含むエアフィルタである。不織布の繊維表面に式(1)のペルフルオロエーテル構造を含むフッ素系官能基成分(A)が結合した平均粒子径2nm〜90nmの金属酸化物粒子(B)とシリカゾルゲル(C)とを含む撥水撥油性膜が形成される。化合物(A)は膜を100質量%とするとき1〜30質量%の割合で含まれ、化合物(A)と粒子(B)は合計して膜を100質量%とするとき5〜80質量%の割合で含まれ、質量比(A/B)が0.05〜0.80の範囲にあり、フィルタ通気度が1〜30ml/cm2/秒である。【選択図】図1

Description

本発明は、オイルミストと粉塵を含む空気を清浄にするエアフィルタ及びその製造方法に関する。更に詳しくは、撥水性と撥油性を有する撥水撥油性膜が不織布の繊維表面に形成されたエアフィルタ及びその製造方法に関するものである。
金属製品を切削油を用いて加工する切削機や旋削機等の工作機械からは機械の高速稼働により切削油が飛散して、オイルミストが発生し、同時に粉塵も発生する。これらのオイルミスト及び粉塵は作業環境を悪化させ、その作業効率を低下させる。このため、従来より、オイルミストと粉塵を含む空気を清浄にするエアフィルタとして、空気中に浮遊する粉塵だけでなく、オイルミストによる目詰まりを抑制できるエアフィルタ濾材が提案されている(例えば、特許文献1(請求項1、段落[0006]、段落[0021]、段落[0045]、段落[0053]〜段落[0060])。
このエアフィルタ濾材は、第1のPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)多孔質膜と、第2のPTFE多孔質膜を含み、気流が、エアフィルタ濾材の第1主面から第1のPTFE多孔質膜、第2のPTFE多孔質膜の順にエアフィルタ濾材の第2主面へと、通過するようになっている。第1のPTFE多孔質膜の厚さは4〜40μmの範囲にあり、第1のPTFE多孔質膜の比表面積は0.5m2/g以下にあり、第2のPTFE多孔質膜の比表面積は、第1のPTFE多孔質膜のそれより大きい1.5〜10m2/g以下の範囲にある。
第1及び第2のPTFE多孔質膜は、それぞれPTFE微粉末と液状潤滑剤を加えた混合物をシート状成形体に成形する。第1のPTFE多孔質膜は、シート状成形体をPTFEの融点(327℃)以上の温度と50倍以上の倍率で、長手(MD)方向に加熱しつつ延伸し、次いで横(TD)方向に130〜400℃の温度で、延伸前の長さに対して5〜8倍になるように、加熱しつつ延伸することにより、製造される。第2のPTFE多孔質膜は、PTFEのシート状成形体をPTFEの融点未満の温度(270〜290℃)で、かつ15〜40倍の倍率でMD方向に加熱しつつ延伸し、次いでTD方向に更に120〜130℃の温度で、延伸前の長さに対して15〜40倍になるように、とMD方向延伸時と同じ倍率で加熱しつつ延伸することにより、製造される。
特開2018−51546号公報
特許文献1に開示されたエアフィルタ濾材では、第1のPTFE多孔質膜を、第2のPTFE多孔質膜と比較して、延伸温度を高くし、延伸倍率を大きくして、製造することにより、第1のPTFE多孔質膜の比表面積を0.5m2/g以下と小さくし、これにより、大きい粒径の粉塵及びオイルミストを捕集する。一方、第2のPTFE多孔質膜の比表面積を1.5〜10m2/gと大きくし、これにより、小さい粒径の粉塵及びオイルミストを捕集している。
しかしながら、特許文献1に開示されるエアフィルタ濾材では、第1及び第2のPTFE多孔質膜により、粒径の異なる粉塵とオイルミストを捕集するとしても、PTFE多孔質膜は、静電気が発生し易く、かつ発生した静電気の除去が困難であるため、フィルタ形状に加工することが容易でなかった。また撥油性よりも撥水性が高いため、大気中に含まれる水分がPTFE多孔質膜を塞ぐことがあり、そこに粉塵が付着し易かった。そのため、エアフィルタ濾材を使用し続けると、オイルミストがエアフィルタ濾材の内部に残留し続け、エアフィルタ濾材が目詰まりし易く、その結果、エアフィルタを通過する風量が低下し易く、新しいエアフィルタと頻繁に交換しなければならない課題があった。
本発明の目的は、オイルミストと粉塵を含む空気を清浄にし、目詰まりを抑制するエアフィルタを提供することにある。本発明の別の目的は、オイルミストと粉塵を含む空気を清浄にし、目詰まりを抑制するエアフィルタを簡便に製造する方法を提供することにある。
本発明の第1の観点は、オイルミストと粉塵を含む空気が流入する一面と、この一面に対向し前記空気が流出する他面との間を貫通する多数の気孔が繊維間に形成された不織布を含むエアフィルタであって、前記不織布の繊維表面に撥水撥油性膜が形成され、前記撥水撥油性膜は、下記の一般式(1)又は式(2)で示されるペルフルオロエーテル構造を含むフッ素系官能基成分(A)が結合した平均粒子径2nm〜90nmの金属酸化物粒子(B)とシリカゾルゲル(C)とを含み、前記フッ素系官能基成分(A)は、前記撥水撥油性膜を100質量%とするとき、1質量%〜30質量%の割合で含まれ、前記フッ素系官能基成分(A)と前記金属酸化物粒子(B)とは、合計して前記撥水撥油性膜を100質量%とするとき、5質量%〜80質量%の割合で含まれ、前記金属酸化物粒子(B)に対する前記フッ素系官能基成分(A)の質量比(A/B)が0.05〜0.80の範囲にあり、前記金属酸化物粒子(B)に対する前記フッ素系官能基成分(A)の質量比(A/B)が0.05〜0.80の範囲にあり、前記エアフィルタの通気度が1ml/cm2/秒〜30ml/cm2/秒であることを特徴とするエアフィルタである。
Figure 0006923697
上記式(1)及び式(2)中、p、q及びrは、それぞれ同一又は互いに異なる1〜6の整数であって、直鎖状又は分岐状であってもよい。また上記式(1)及び式(2)中、Xは、炭素数2〜10の炭化水素基であって、エーテル結合、CO−NH結合、O−CO−NH結合及びスルホンアミド結合から選択される1種以上の結合を含んでいてもよい。更に上記式(1)及び式(2)中、Yはシランの加水分解体又はシリカゾルゲルの主成分である。
このYについて更に述べると、Yは、金属酸化物粒子(B)と結合する部位である。具体例としては、後述する式(3)又は式(4)において、Yとして、Z部分が加水分解した構造が挙げられる。また、Yとして、式(3)又は式(4)のシラン化合物と、テトラエトキシシランやテトラメトキシシラン等のケイ素アルコキシドとを混合し、加水分解重合したシリカゾルゲルの主成分等も挙げられる。更に、Yとして、式(3)又は式(4)のシラン化合物と、テトラエトキシシランやテトラメトキシシラン等のケイ素アルコキシドと、エポキシ基やビニル基、エーテル基を含有したシラン等とを混合し、加水分解重合したシリカゾルゲルの主成分等も挙げられる。因みに、上記シリカゾルゲル(C)は、上記フッ素系官能基成分(A)が結合した金属酸化物粒子(B)を、不織布の基材に密着させるために用いられるバインダである。
本発明の第2の観点は、第1の観点に基づく発明であって、前記金属酸化物粒子(B)は、Si,Al、Mg、Ca、Ti、Zn及びZrからなる群より選ばれた1種又は2種の金属の酸化物粒子であるエアフィルタである。
本発明の第3の観点は、第1の観点に基づく発明であって、前記シリカゾルゲル(C)は、前記シリカゾルゲルを100質量%としたときに、炭素数2〜7のアルキレン基成分を0.5質量%〜20質量%含むエアフィルタである。
本発明の第4の観点は、第1の観点に基づく発明であって、前記不織布が単一層により構成されるか、又は複数層の積層体により構成されるエアフィルタである。
本発明の第5の観点は、第1又は第4の観点のうちいずれかの観点に基づく発明であって、前記不織布を構成する繊維がポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ガラス、アルミナ、炭素、セルロース、パルプ、ナイロン及び金属からなる群より選ばれた1種又は2種以上の繊維であるエアフィルタである。
本発明の第6の観点は、図3に示すように、フッ素含有金属酸化物粒子の分散液とシリカゾルゲル液とを混合して撥水撥油性膜形成用液組成物を調製する工程と、前記撥水撥油性膜形成用液組成物の希釈液に不織布をディッピングする工程と、前記ディッピングした不織布を脱液し乾燥する工程とを含むエアフィルタの製造方法である。
本発明の第7の観点は、第6の観点に基づく発明であって、前記フッ素含有金属酸化物粒子の分散液が、金属酸化物粒子の分散液にフッ素系化合物を添加混合し、この混合液に水と触媒を添加混合して、調製されるエアフィルタの製造方法である。
本発明の第8の観点は、第7の観点に基づく発明であって、前記金属酸化物粒子がSi,Al、Mg、Ca、Ti、Zn及びZrからなる群より選ばれた1種又は2種の金属の酸化物粒子であるエアフィルタの製造方法である。
本発明の第9の観点は、第6の観点に基づく発明であって、前記シリカゾルゲル液が、ケイ素アルコキシドとアルコールと水の混合液に触媒を添加混合して、調製されるエアフィルタの製造方法である。
本発明の第1の観点のエアフィルタは、エアフィルタに含まれる不織布の繊維表面に撥水撥油性膜が形成され、撥水撥油性膜が、前述した一般式(1)又は式(2)で示されるフッ素系官能基成分(A)が結合した平均粒子径2nm〜90nmの金属酸化物粒子(B)とシリカゾルゲル(C)とを含み、前記フッ素系官能基成分(A)は、前記撥水撥油性膜を100質量%とするとき、1質量%〜30質量%の割合で含まれ、前記フッ素系官能基成分(A)と前記金属酸化物粒子(B)は、合計して前記撥水撥油性膜を100質量%とするとき、5質量%〜80質量%の割合で含まれ、前記金属酸化物粒子(B)に対する前記フッ素系官能基成分(A)の質量比(A/B)が0.05〜0.80の範囲にあり、前記エアフィルタの通気度が1ml/cm2/秒〜30ml/cm2/秒である。このため、エアフィルタ内にオイルミストと粉塵を含む空気がエアフィルタの一面から流入すると、オイルミストと粉塵が不織布で捕集され、空気だけが不織布の気孔を通過しエアフィルタの他面から流出して、空気が清浄になり、目詰まりが抑制される。
このとき、撥水撥油性膜の撥油性能のため、またエアフィルタの通気度が1ml/cm2/秒〜30ml/cm2/秒であるため、オイルミストが不織布の繊維表面の撥水撥油性膜に吸着せずに弾かれて付着するに止まる。エアフィルタを使用し続けてオイルミストの不織布内部における捕集量が増えると、エアフィルタが水平に配置される場合には、オイルミストは液状化して通過する空気に随伴されてエアフィルタの他面に集まり、エアフィルタが鉛直に配置される場合には、捕集されたオイルミストが自重によりエアフィルタの下端に集まり、不織布の気孔を閉塞しない。これにより、オイルミストによる気孔の目詰まりは抑制される。
一方、粉塵は、エアフィルタの通気度が1ml/cm2/秒〜30ml/cm2/秒であるため、不織布の繊維表面の撥水撥油性膜に直接付着するか、或いは撥水撥油性膜に付着したオイルミストに付着する。このため、エアフィルタを長期間使用して粉塵等で目詰まりしたときに、エアノッカー等でエアフィルタに衝撃を与えると、オイルミストと一緒に付着した粉塵を容易に落とすことができ、エアフィルタを再生することができる。
本発明の第2の観点のエアフィルタでは、撥水撥油性膜に含まれる金属酸化物粒子が、Si,Al、Mg、Ca、Ti、Zn及びZrからなる群より選ばれた1種又は2種の金属酸化物粒子であるため、多種の金属酸化物粒子の中から、エアフィルタの使用環境に適した金属酸化物粒子を含むことができる。
本発明の第3の観点のエアフィルタでは、シリカゾルゲル中に炭素数2〜7のアルキレン基成分を0.5質量%〜20質量%含むため、撥水撥油性膜が不織布の繊維に良好に密着し、かつ撥水撥油性膜の厚さが均一になり、撥水撥油性膜により一層優れた撥油性能を付与することができる。
本発明の第4の観点のエアフィルタでは、不織布が単一層により構成される場合には、簡単な構成のエアフィルタになり、不織布が複数層の積層体により構成される場合には、流入する粉塵の粒径、オイルミストの油粒子のサイズ等の性状に応じて各層を構成することができる。
本発明の第5の観点のエアフィルタでは、不織布を構成する繊維の材質を、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ガラス、アルミナ、炭素、セルロース、パルプ、ナイロン及び金属から、流入する粉塵の粒径、オイルミストの油粒子のサイズ等の性状に応じて、或いは後述する撥水撥油性膜を形成するための液組成物中のエポキシ基含有シランが加水分解してなる炭素数2〜7のアルキレン基成分の含有量に応じて、選択することができる。
本発明の第6の観点の方法では、図3に示すように、フッ素含有金属酸化物粒子の分散液とシリカゾルゲル液とを混合して撥水撥油性膜形成用液組成物を調製し、この撥水撥油性膜形成用液組成物の希釈液に不織布をディッピングして不織布を脱液し乾燥することにより、エアフィルタが製造されるため、不織布の繊維表面に撥水撥油性膜を均一に形成することができる。また粒子表面が撥水撥油性である金属酸化物粒子がシリカゾルゲル中に存在するため、撥水撥油性を維持しながら不織布の通気度を低くすることが容易になる。更に特許文献1のPTFE多孔質膜とは異なり、撥水撥油性膜には静電気が発生しにくく、簡便にエアフィルタを製造することができる。
本発明の第7の観点のエアフィルタの製造方法では、金属酸化物粒子の分散液にフッ素系化合物を添加混合し、この混合液に水と触媒を添加混合するため、フッ素含有金属酸化物粒子が均一に分散した分散液が得られる。
本発明の第8の観点のエアフィルタの製造方法では、金属酸化物粒子が、Si,Al、Mg、Ca、Ti、Zn及びZrからなる群より選ばれた1種又は2種の金属酸化物粒子であるため、多種の金属酸化物粒子の中から、エアフィルタの使用環境に適した金属酸化物粒子を含んだエアフィルタを製造することができる。
本発明の第9の観点のエアフィルタの製造方法では、ケイ素アルコキシドとアルコールと水の混合液に触媒を添加混合して調製されたシリカゾルゲル液は、フッ素含有金属酸化物粒子のバインダとして作用するとともに、撥水撥油性膜を不織布の繊維表面に堅牢に結着させることができる。
なお、比較のために述べると、後述する比較例4に示すように、ケイ素アルコキシドとフッ素含有シランとアルコールと水の混合液に触媒を添加混合して得られたゾルゲル液に、金属酸化物粒子の分散液を添加する、図3に示した本発明とは異なる方法でエアフィルタを製造した場合には、不織布の通気度を下げることができるけれども、肝心の撥油性能を十分に得ることができない。これに対して、本発明の第6ないし第9の観点のいずれかの観点のエアフィルタの製造方法では、通気度を下げながら、撥水撥油性膜を不織布の繊維表面に結着させるため、撥油性能を十分に得ることができる。更に金属酸化物粒子により、膜の摩耗強度を向上させる効果も得られる。
本実施形態の単一層の不織布の側面図である。 本実施形態の二層の不織布の側面図である。 本実施形態のエアフィルタを製造するフロー図である。
次に本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。
〔エアフィルタ〕
図1に示すように、本実施形態のエアフィルタ10は、不織布20とこの不織布の繊維表面に形成された撥水性と撥油性を有する撥水撥油性膜21とを備える。このエアフィルタ10の主たる構成要素である不織布20は、オイルミストと粉塵を含む空気が流入する一面20aと、この一面20aに対向し前記空気が流出する他面20bを有し、単一層からなる。図2に示すように、上層の不織布30と下層の不織布40の二層の積層体により構成されるエアフィルタ50でもよい。この場合、上層の不織布30の上面がオイルミストと粉塵を含む空気が流入する一面30aとなり、下層の不織布40の下面がこの一面30aに対向する他面40bとなる。なお、積層体は二層に限らず、三層、四層等の複数層から構成することもできる。
図1中央の拡大図に示すように、不織布20は多数の繊維20cが絡み合って形成され、繊維と繊維の間には気孔20dが形成される。気孔20dは不織布20の一面20aと他面20bとの間を貫通する。不織布の繊維20cの表面には撥水撥油性膜21が形成される。不織布の目付は、100g/m2〜400g/m2の範囲にあることが好ましいが、この範囲に限定されるものではない。撥水撥油性膜21は、平均粒子径が2nm〜90nmの金属酸化物粒子(B)とシリカゾルゲル(C)とを含む。この金属酸化物粒子(B)には、前述した一般式(1)又は式(2)で示されるフッ素系官能基成分(A)が結合する。フッ素系官能基成分(A)は、撥水撥油性膜21を100質量%とするとき、1質量%〜30質量%の割合で含まれる。またフッ素系官能基成分(A)と金属酸化物粒子(B)は、合計して撥水撥油性膜21を100質量%とするとき、5質量%〜80質量%の割合で含まれる。更に金属酸化物粒子(B)に対するフッ素系官能基成分(A)の質量比(A/B)が0.05〜0.80の範囲にある。
図1上部の更なる拡大図に示すように、撥水撥油性膜21は、粒子表面がフッ素系官能基成分に覆われた多数の金属酸化物粒子21aがバインダとしてのシリカゾルゲル21bで結着して構成される。撥水撥油性膜21は金属酸化物粒子21aを含むため、見かけ上、厚膜となり、繊維と繊維の間の気孔20dを狭くすることができる。また膜厚は、金属酸化物粒子の粒子径と膜成分中の金属酸化物粒子の含有割合を変えることにより制御することができる。
不織布の目付が100g/m2未満であると、繊維間の気孔が大き過ぎることから、粉塵を捕集する能力が不足し易い。400g/m2を超えると、通気度が1ml/cm2/秒未満となり、粉塵が直ぐに繊維間の気孔に詰まり易くなるか、或いは通気度が低過ぎるため、エアフィルタに送り込む空気の抵抗によりエアフィルタで圧力損失が生じ易く、送風エネルギーの効率が悪化し易い。不織布の目付は、200g/m2〜350g/m2の範囲にあることが更に好ましい。
繊維表面に撥水撥油性膜21が形成されたエアフィルタ10の状態で、不織布20は1ml/cm2/秒〜30ml/cm2/秒の通気度を有するように作製される。通気度が1ml/cm2/秒未満では、通気性に劣り、オイルミストと粉塵を含む空気が通過しにくくなる。30ml/cm2/秒を超えると、不織布の気孔20dの大きさが流入する空気中のオイルミストの油粒子22及び粉塵の粒子23の各粒径よりも遙かに大きくなり、油粒子22及び粉塵の粒子23が空気とともに不織布の気孔を通してエアフィルタ10から通過し、オイルミストと粉塵を捕集することができない。通気度は1.5ml/cm2/秒〜25ml/cm2/秒であることが好ましい。通気度はJIS−L1913:2000に記載のフラジール形試験機を用いて測定される。
撥水撥油性膜21を100質量%とするときのフッ素系官能基成分(A)の含有割合が1質量%未満では、撥油性の効果に乏しく、オイルミストを弾く性能が不十分になる。即ち、オイルミストがエアフィルタに到達したときに、オイルミストが繊維表面上に濡れ広がり、気孔20dを塞ぎ易くなる。フッ素系官能基成分(A)の含有割合が30質量%を超えると、撥水撥油性膜の不織布への密着性が悪くなる。撥水撥油性膜21を100質量%とするときのフッ素系官能基成分(A)の含有割合は、5質量%〜25質量%であることが好ましい。
撥水撥油性膜21に含まれる金属酸化物粒子(B)は、平均粒子径が2nm〜90nm、好ましくは2nm〜85nmの範囲にある。平均粒子径が2nm未満では、金属酸化物粒子の凝集が起こりやすくなり、媒体中に分散しにくくなる。90nmを超えると、金属酸化物粒子(B)が撥水撥油性膜から脱落する。撥水撥油性膜21を100質量%とするとき、フッ素系官能基成分(A)と金属酸化物粒子(B)は、合計して5質量%〜80質量%、好ましくは7質量%〜75質量%の割合で含まれ、金属酸化物粒子(B)に対するフッ素系官能基成分(A)の質量比(A/B)が0.05〜0.80、好ましくは0.07〜0.70の範囲にある。成分(A)と粒子(B)が合計して撥水撥油性膜21を100質量%とするとき、5質量%未満では、撥水撥油性膜の撥油性能が低下する。また合計して80質量%を超えると、シリカゾルゲル(C)の含有量が相対的に低くなり、撥水撥油性膜が不織布表面に堅牢に結着しなくなる。また質量比(A/B)が0.05未満では、撥水撥油性膜が撥油性に劣り、0.80を超えると、撥水撥油性膜の繊維表面への密着性が低下する。なお、本明細書において、金属酸化物粒子の平均粒子径とは、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した粒子形状のうち、200点の粒子サイズを画像解析により測定したものの平均値をいう。
このようなエアフィルタ10の作用について説明する。図1に示すように、オイルミストと粉塵を含む空気が、エアフィルタ10を構成する不織布20の一面20aに到来する。ここでエアフィルタ10は所定の通気度を有するため、また撥水撥油性膜21が撥油性を示すため、オイルミストの油粒子22は気孔20dの孔径より粒径が大きい場合は勿論のこと、気孔20dの孔径より粒径が僅かに小さくても、エアフィルタ10を通過できず、不織布20の繊維20cと繊維20cの間に、撥水撥油性膜21によって弾かれながら、撥水撥油性膜21に付着して止まる。同時に粉塵の粒子23も撥水撥油性膜21に付着して止まる。撥水撥油性膜21中に金属酸化物粒子21aを含むため、膜が凹凸になり、油粒子22の膜への付着の程度は低い一方、粉塵の粒子23は付着し易くなる。これにより、オイルミストの油粒子22及び粉塵の粒子23が不織布に捕集され、オイルミストと粉塵を含んだ空気が、図1の拡大図に示す繊維20cと繊維20cの間に形成された気孔20dを通過して他面20bに至り、オイルミストと粉塵のない空気となって、不織布20を通過する。
エアフィルタを使用し続けてオイルミストの不織布内部における捕集量が増えると、エアフィルタが水平に配置される場合には、膜への付着の程度が低いオイルミストは液状化して通過する空気に随伴されてエアフィルタの他面に集まり、エアフィルタが鉛直に配置される場合には、捕集されたオイルミストが自重によりエアフィルタの下端に集まり、不織布の気孔を閉塞しない。これにより、オイルミストによる気孔の目詰まりは抑制される。粉塵は不織布の繊維表面の撥水撥油性膜に直接付着するか、或いは撥水撥油性膜に付着したオイルミストに付着する。不織布20に溜まったオイルミストと粉塵は、定期的にエアノッカー等でエアフィルタ10に衝撃を与えることにより、エアフィルタ10から除去することができる。
〔エアフィルタの製造方法〕
エアフィルタは次の方法により、概略製造される。
図3に示すように、金属酸化物粒子51と有機溶媒52を混合して金属酸化物粒子の分散液53を調製する。この分散液53にフッ素系官能基成分(B)を含むフッ素系化合物54を混合し、更に水55と触媒56を混合してフッ素含有金属酸化物粒子の分散液57を調製する。一方、ケイ素アルコキシド61とアルコール62と水63と、必要に応じてアルキレン基成分64を混合し、この混合液に触媒65を加えることにより、シリカゾルゲル液66を調製する。
このシリカゾルゲル液66にアルコール67を混合し、この混合液と上記フッ素含有金属酸化物粒子の分散液57とを混合することにより、撥水撥油性膜形成用液組成物70を調製する。この液組成物70をアルコール71により希釈して希釈液72を調製し、そこに不織布73をディッピングする。続いて不織布73を脱液し、乾燥することによりエアフィルタ10を製造する。
以下、エアフィルタの製造方法を詳述する。
〔不織布の準備〕
先ず、1.1ml/cm2/秒〜40ml/cm2/秒の通気度を有する不織布を準備する。具体的には、後述する撥水撥油性膜が不織布の繊維表面に形成されたエアフィルタになった状態で、1ml/cm2/秒〜30ml/cm2/秒の通気度を有する不織布を準備する。撥水撥油性膜が厚膜に形成される場合には、通気度の大きい不織布が選定され、撥水撥油性膜が薄膜に形成される場合には、通気度の小さい不織布が選定される。
この不織布としては、例えば、セルロース混合エステル性のメンブレンフィルタ、ガラス繊維ろ紙、ポリエチレンテレフタレート繊維とガラス繊維を混用した不織布(安積濾紙社製、商品名:340)がある。このように不織布は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ガラス、アルミナ、炭素、セルロース、パルプ、ナイロン及び金属からなる群より選ばれた1種又は2種以上の繊維から作られる。繊維は、2以上の繊維を混合した繊維でもよい。繊維の太さ(繊維径)は、上記通気度が得られるように、0.01μm〜10μmの太さが好適である。不織布の厚さは、エアフィルタが単一層である場合には、0.2mm〜0.8mm、複数層の積層体である場合には、積層体の厚さが0.2mm〜1.6mmになる厚さが好ましい。本発明の撥水撥油性膜形成材料の主成分がシリカゾルゲルであるときには、繊維との密着性を得るために、繊維に水酸基をもつ材料が好ましい。その中でも、ガラス、アルミナ、セルロースナノ繊維等は、繊維径も細いものがあり、通気度を上記範囲内の低い値にすることができる。
前述したように不織布が図2に示すように複数の不織布30、40を積層した積層体である場合、オイルミストと粉塵を含む空気が流入する側の不織布30を構成する繊維をガラス繊維にすることにより、シリカゾルゲルを主成分として含む撥水撥油性膜が、より一層強固にガラス繊維に密着し、不織布の繊維から剥離しにくくなる。
〔撥水撥油性膜形成用液組成物の製造方法〕
〔金属酸化物粒子分散液の調製〕
先ず、有機溶媒中に、金属酸化物粒子を分散させて金属酸化物粒子の分散液を調製する。有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール(以下、IPAということもある。)、テトラヒドロフラン、ヘキサン、クロロホルム、トルエン、酢酸エチル、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトン、フッ素系溶剤などが例示される。これらの中でも、沸点が120℃未満の炭素数1〜4の範囲にあるメタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコールが好ましい。金属酸化物粒子としては、SiO2、Al23、MgO、CaO、TiO2、ZnO、ZrO2の粒子、これらの混合粒子、複合酸化物粒子等が例示される。
〔フッ素含有金属酸化物粒子分散液の調製〕
次に、調製された金属酸化物粒子の分散液中に、上述した式(1)又は式(2)で表されるフッ素系官能基成分を含むフッ素系化合物を添加して、金属酸化物粒子とフッ素系官能基成分とがナノコンポジット化された複合材料を合成する。更に反応を促進するために、水及び触媒を添加する。これにより、フッ素含有金属酸化物粒子の分散液を調製する。
上記触媒としては、有機酸、無機酸又はチタン化合物が挙げられ、有機酸としてはギ酸、シュウ酸が例示され、無機酸としては塩酸、硝酸、リン酸が例示され、チタン化合物としてはテトラプロポキシチタン、テトラブトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、乳酸チタン等が例示される。触媒は上記のものに限定されない。上記水としては、不純物の混入防止のため、イオン交換水や純水等を使用するのが望ましい。
フッ素系官能基成分を含むフッ素系化合物は、下記一般式(3)又は式(4)で示される。これらの式(3)又は式(4)中のペルフルオロエーテル基としては、より具体的には、下記式(5)〜(13)で示されるペルフルオロエーテル構造を挙げることができる。
Figure 0006923697
Figure 0006923697
Figure 0006923697
また、上記式(3)及び式(4)中のXとしては、下記式(14)〜(18)で示される構造を挙げることができる。なお、下記式(14)はエーテル結合、下記式(15)はエステル結合、下記式(16)はアミド結合、下記式(17)はウレタン結合、下記式(18)はスルホンアミド結合を含む例を示している。
Figure 0006923697
ここで、上記式(14)〜(18)中、R2及びR3は炭素数が0から10の炭化水素基、R4は水素原子又は炭素数1から6の炭化水素基である。R3の炭化水素基の例とは、メチレン基、エチレン基等のアルキレン基が挙げられ、R4の炭化水素基の例とは、メチル基、エチル基等のアルキル基の他、フェニル基等も挙げられる。
また、上記式(3)及び式(4)中、R1は、メトキシ基、エトキシ基等が挙げられる。
また、上記式(3)及び式(4)中、Zは、加水分解されてSi−O−Si結合を形成可能な加水分解性基であれば特に限定されるものではない。このような加水分解性基としては、具体的には、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシ基、フェノキシ基、ナフトキシ基などのアリールオキシ基、ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基などのアラルキルオキシ基、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、バレリルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基などのアシルオキシ基等が挙げられる。これらの中でも、メトキシ基、エトキシ基を適用することが好ましい。
ここで、上記式(3)又は式(4)で表されるペルフルオロエーテル構造を有するフッ素系官能基成分を含むフッ素系化合物の具体例としては、例えば、下記式(19)〜(27)で表される構造が挙げられる。なお、下記式(19)〜(27)中、Rはメチル基又はエチル基である。
Figure 0006923697
Figure 0006923697
上述したように、本実施の形態の撥水撥油性膜形成用液組成物に含まれるフッ素系化合物は、分子内に酸素原子に炭素数が6以下の短鎖長のペルフルオロアルキル基とペルフルオロアルキレン基が複数結合したペルフルオロエーテル基を有しており、分子内のフッ素含有率が高いため、形成した膜に優れた撥水撥油性を付与することができる。
〔シリカゾルゲル液の調製〕
先ず、ケイ素アルコキシドとしてのテトラメトキシシラン又はテトラエトキシシランと、沸点が120℃未満の炭素数1〜4の範囲にあるアルコールと、水とを混合して混合液を調製する。このときアルキレン基成分となるエポキシ基含有シランを一緒に混合してもよい。このケイ素アルコキシドとしては、具体的には、テトラメトキシシラン、そのオリゴマー又はテトラエトキシシラン、そのオリゴマーが挙げられる。例えば、耐久性の高い撥水撥油性膜を得る目的には、テトラメトキシシランを用いることが好ましく、一方、加水分解時に発生するメタノールを避ける場合は、テトラエトキシシランを用いることが好ましい。
上記アルキレン基成分となるエポキシ基含有シランとしては、具体的には、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン又は多官能エポキシシランが挙げられる。アルキレン基成分はケイ素アルコキシドとアルキレン基成分の合計質量に対して1質量%〜40質量%、好ましくは2.5質量%〜20質量%含まれる。アルキレン基成分が下限値の1質量%未満では、水酸基を含まない不織布の繊維に膜を形成した場合に、繊維への密着性が不十分になる。また上限値の40質量%を超えると、形成した膜の耐久性が低くなる。アルキレン基成分を上記1質量%〜40質量%の範囲になるようにエポキシ基含有シランを含むと、エポキシ基も加水分解重合過程において開環して重合に寄与し、これにより乾燥過程にレベリング性が改善し膜厚さが均一になる。なお、不織布の繊維がガラス繊維等の親水基を含む場合には、アルキレン基成分の含有量は極少量であるか、若しくはゼロでもよい。一方、不織布の繊維が親水基を含まない場合には、このアルキレン基成分をシリカゾルゲル(C)を100質量%とするとき、0.5質量%〜20質量%含むことが好ましい。
沸点が120℃未満の炭素数1〜4の範囲にあるアルコールは、上述したアルコールが挙げられる。特にメタノール又はエタノールが好ましい。これらのアルコールは、ケイ素アルコキドとの混合がしやすいためである。上記水としては、不純物の混入防止のため、イオン交換水や純水等を使用するのが望ましい。ケイ素アルコキシドに、或いはケイ素アルコキシドとエポキシ基含有シランに、炭素数1〜4の範囲にあるアルコールと水を添加して、好ましくは10℃〜30℃の温度で5分〜20分間撹拌することにより混合液を調製する。
上記調製された混合液に触媒を添加混合する。この触媒としては、有機酸、無機酸又はチタン化合物が例示される。このとき液温を好ましくは30℃〜80℃の温度に保持して、好ましくは1時間〜24時間撹拌する。これにより、シリカゾルゲル液が調製される。次の工程のために、シリカゾルゲル液にアルコールを添加混合する。
上記アルコールが添加混合されたシリカゾルゲル液は、ケイ素アルコキシドを2質量%〜50質量%、炭素数1〜4の範囲にあるアルコールを20質量%〜98質量%、水を0.1質量%〜40質量%、触媒として0.01質量%〜5質量%の割合で含有する。アルキレン基成分となるエポキシ基含有シランを混合した場合には、エポキシ基含有シランを最大30質量%まで含有する。
炭素数1〜4の範囲にあるアルコールの割合を上記範囲に限定したのは、アルコールの割合が下限値未満では、ケイ素アルコキシドが、溶液中に溶解せず分離してしまうこと、ケイ素アルコキシドの加水分解反応中に反応液がゲル化しやすく、一方、上限値を超えると、加水分解に必要な水、触媒量が相対的に少なくなるために、加水分解の反応性が低下して、重合が進まず、膜の密着性が低下するためである。水の割合を上記範囲に限定したのは、下限値未満では加水分解速度が遅くなるために、重合が進まず、撥水撥油性膜の密着性が不十分になり、一方、上限値を超えると加水分解反応中に反応液がゲル化し、水が多過ぎるためケイ素アルコキシド化合物がアルコール水溶液に溶解せず、分離する不具合を生じるからである。
シリカゾルゲルを100質量%とするときのSiO2濃度(SiO2分)は1質量%〜40質量%であるものが好ましい。このSiO2濃度が下限値未満では、重合が不十分であり、膜の密着性の低下やクラックの発生が起こり易く、上限値を超えると、相対的に水の割合が高くなりケイ素アルコキシドが溶解せず、反応液がゲル化する不具合を生じる。
有機酸、無機酸又はチタン化合物は加水分解反応を促進させるための触媒として機能する。有機酸としてはギ酸、シュウ酸が例示され、無機酸としては塩酸、硝酸、リン酸が例示され、チタン化合物としてはテトラプロポキシチタン、テトラブトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、乳酸チタン等が例示される。触媒は上記のものに限定されない。上記触媒の割合を上記範囲に限定したのは、下限値未満では反応性に乏しく重合が不十分になるため、膜が形成されず、一方、上限値を超えても反応性に影響はないが、残留する酸による不織布の繊維の腐食等の不具合を生じる。
〔撥水撥油性膜形成用液組成物〕
本実施の形態の撥水撥油性膜形成用液組成物は、上記製造方法で製造され、前述したフッ素系官能基成分が結合した金属酸化物粒子と、シリカゾルゲルと、溶媒とを含む。このフッ素系官能基成分は、上記の一般式(1)又は式(2)で示されるペルフルオロエーテル構造を有し、撥水撥油性膜形成用液組成物を100質量%とするとき、1質量%〜30質量%含まれる。
上記溶媒は、水と炭素数1〜4のアルコールとの混合溶媒であるか、或いは水と炭素数1〜4のアルコールと上記アルコール以外の有機溶媒との混合溶媒である。ペルフルオロエーテル構造の具体例としては、上述した式(19)〜(27)で示される構造を挙げることができる。
本実施の形態の撥水撥油性膜形成用液組成物がシリカゾルゲル液を主成分として含むため、撥水撥油性膜の不織布の繊維への密着性に優れ、剥離しにくい高い強度の撥水撥油性膜が得られる。また撥水撥油性膜形成用液組成物が上記一般式(1)又は式(2)で示されるペルフルオロエーテル構造のフッ素系官能基成分を含むため、撥油性の効果がある。膜中で、フッ素系官能基成分が1質量%未満では形成した膜に撥油性を付与できず、30質量%を超えると膜の弾き等が発生し成膜性に劣る。好ましいフッ素系官能基成分の含有割合は2質量%〜28質量%である。
〔不織布の繊維表面への撥水撥油性膜の形成方法〕
本実施形態の不織布の繊維表面に撥水撥油性膜を形成するには、撥水撥油性膜形成用液組成物を、沸点が120℃未満の炭素数1〜4の範囲にあるアルコールで、液組成物に対する質量比(液組成物:アルコール)が1:1〜50の割合になるように希釈した液を調製し、この希釈液に不織布をディッピングして希釈液から引上げ、大気中、室温で不織布を水平な金網等の上に拡げて一定の液分量になるまで脱液する。別法として、引き上げた不織布を振り払って余分な液を除去するか、或いは引き上げた不織布をマングルロール(絞り機)に通して脱液する。脱液した不織布は、大気中、25℃〜140℃の温度で0.5時間〜24時間乾燥する。これにより、図1中央の拡大図に示すように、不織布20を構成している繊維20cの表面に撥水撥油性膜21が形成される。脱液量が少ない場合には、撥水撥油性膜は厚膜に不織布の繊維表面に形成され、脱液量が多い場合には、撥水撥油性膜は薄膜に不織布の繊維表面に形成される。
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。先ず、金属酸化物粒子の分散液を調製する合成例1〜9及び比較合成例1〜3を説明し、次いでこれらの合成例及び比較合成例を用いた撥水撥油性膜形成用液組成物の調製とエアフィルタの製造に関する実施例1〜9及び比較例1〜4を説明する。
〔金属酸化物粒子分散液を調製するための合成例1〜9、比較合成例1〜3〕
<合成例1>
平均粒子径が12nmの二酸化ケイ素のIPA分散液(IPA−ST、日産化学社製、SiO2濃度30%)が50.0g入ったビーカーに、上述した式(19)で表されるフッ素系化合物を9.75g添加し混合した。次に、水を3.51g添加し混合した。更に、硝酸を0.031g添加し、40℃で2時間混合し、フッ素系化合物が二酸化ケイ素粒子に結合した二酸化ケイ素(シリカ)粒子の分散液を得た。金属酸化物粒子(B)である二酸化ケイ素に対するフッ素系官能基成分(A)の質量比(A/B)は0.61であった。
<合成例2>
平均粒子径が45nmの二酸化ケイ素のIPA分散液(IPA−ST−L、日産化学社製、SiO2濃度30%)が50.0g入ったビーカーに、上述した式(20)で表されるフッ素系化合物を1.50g添加し混合した。次に、水を0.54g添加し混合した。更に、硝酸を0.005g添加し、以下、合成例1と同様にして二酸化ケイ素(シリカ)粒子の分散液を得た。質量比(A/B)は0.09であった。
<合成例3>
平均粒子径が80nmの二酸化ケイ素のIPA分散液(IPA−ST−ZL、日産化学社製、SiO2濃度30%)が50.0g入ったビーカーに、上述した式(21)で表されるフッ素系化合物を0.75g添加し混合した。次に、水を0.27g添加し混合した。更に、硝酸を0.005g添加し、以下、合成例1と同様にして二酸化ケイ素(シリカ)粒子の分散液を得た。質量比(A/B)は0.05であった。
<合成例4>
合成例1と同じ二酸化ケイ素のIPA分散液が50.0g入ったビーカーに、上述した式(22)で表されるフッ素系化合物を2.25g添加し混合した。次に、水を0.81g添加し混合した。更に、硝酸を0.010g添加し、以下、合成例1と同様にして二酸化ケイ素(シリカ)粒子の分散液を得た。質量比(A/B)は0.14であった。
<合成例5>
合成例4で用いたフッ素系化合物を上述した式(27)で表されるフッ素系化合物に代えた以外、合成例4と同様にして二酸化ケイ素(シリカ)粒子の分散液を得た。質量比(A/B)は0.14であった。
<合成例6>
平均粒子径が3nmの二酸化ジルコニウムのメタノール分散液(SZR−M、堺化学社製、ZrO2濃度30%)が50.0g入ったビーカーに、上述した式(27)で表されるフッ素系化合物を11.25g添加し混合した。次に、水を4.05g添加し混合した。更に、硝酸0.035g添加し、以下、合成例1と同様にして二酸化ジルコニウム粒子の分散液を得た。金属酸化物粒子(B)である二酸化ジルコニウムに対するフッ素系官能基成分(A)の質量比(A/B)は0.71であった。
<合成例7>
平均粒子径が6nmの二酸化チタンのIPA分散液(TKD−701、テイカ社製、TiO2濃度18%)が50.0g入ったビーカーに、上述した式(27)で表されるフッ素系化合物を2.70g添加し混合した。次に、水を0.97g添加し混合した。更に、硝酸0.010g添加し、以下、合成例1と同様にして二酸化チタン粒子の分散液を得た。金属酸化物粒子(B)である二酸化チタンに対するフッ素系官能基成分(A)の質量比(A/B)は0.28であった。
<合成例8>
平均粒子径が60nmのアルミナと二酸化ケイ素のIPA分散液(バイラールAS−L10、多木化学社製、3Al23・2SiO2濃度10%)が50.0g入ったビーカーに、上述した式(27)で表されるフッ素系化合物を0.25g添加し混合した。次に、水0.09g添加混合した。更に、硝酸0.005g添加し、以下、合成例1と同様にしてアルミナと二酸化ケイ素の粒子の分散液を得た。金属酸化物粒子(B)であるアルミナと二酸化ケイ素に対するフッ素系官能基成分(A)の質量比(A/B)は0.05であった。
<合成例9>
平均粒子径が25nmの酸化亜鉛のIPA分散液(MZ−500、テイカ社製、ZnO濃度30%)が50.0g入ったビーカーに、上述した式(27)で表されるフッ素系化合物を1.50g添加し混合した。次に、水を0.54g添加し混合した。更に、硝酸を0.005g添加し、以下、合成例1と同様にして酸化亜鉛粒子の分散液を得た。金属酸化物粒子(B)である酸化亜鉛に対するフッ素系官能基成分(A)の質量比(A/B)は0.09であった。
<比較合成例1>
平均粒子径が230nmの二酸化チタンのIPA分散液(R32、堺化学社製、TiO2濃度30%)が50.0g入ったビーカーに、上述した式(27)で表されるフッ素系化合物を1.50g添加し混合した。次に、水を0.54g添加し混合した。更に、硝酸を0.005g添加し、以下、合成例1と同様にして二酸化チタン粒子の分散液を得た。金属酸化物粒子(B)である二酸化チタンに対するフッ素系官能基成分(A)の質量比(A/B)は0.09であった。
<比較合成例2>
合成例1と同じ二酸化ケイ素のIPA分散液が50.0g入ったビーカーに、上述した式(27)で表されるフッ素系化合物を0.45g添加し混合した。次に、水を0.16g添加し混合した。更に、硝酸を0.005g添加し、以下、合成例1と同様にして二酸化ケイ素(シリカ)粒子の分散液を得た。質量比(A/B)は0.03であった。
<比較合成例3>
合成例1と同じ二酸化ケイ素のIPA分散液が50.0g入ったビーカーに、上述した式(27)で表されるフッ素系化合物を15.00g添加し混合した。次に、水を5.40g添加し混合した。更に、硝酸を0.047g添加し、以下、合成例1と同様にして二酸化ケイ素(シリカ)粒子の分散液を得た。質量比(A/B)は0.95であった。
以下の表1に、合成例1〜9及び比較合成例1〜3のフッ素含有金属酸化物粒子の分散液の内容を示す。なお、表1において、フッ素系化合物として式(19)〜式(22)及び式(27)で表わされるフッ素含有シランの式中のRはすべてエチル基である。
Figure 0006923697
〔撥水撥油性膜形成用液組成物の調製とエアフィルタの製造のための実施例1〜9、比較例1〜4〕
<実施例1>
正ケイ酸エチル30gとエタノール60gと水10gを混合した後、硝酸を1g添加し、30℃で3時間混合し、シリカゾルゲル液を得た。得られたシリカゾルゲル液10.00gに工業アルコール(AP−7、日本アルコール産業社製)を73.49g添加し混合した後、合成例1の金属酸化物粒子の分散液を11.51g添加し混合し、撥水撥油性膜形成用液組成物を得た。得られた撥水撥油性膜形成用液組成物10gを工業アルコール100gで希釈して希釈液を調製した。エアフィルタの基材として、PET繊維とガラス繊維の混合繊維(質量比でPET:ガラス=80:20)からなる、通気度が9.3ml/cm 2 /秒の安積ろ紙社製不織布356を用いた。上記希釈液にこの不織布をディッピングし、余分な液を振り払い、室温で24時間乾燥させ、通気度が7.5ml/cm2/秒のエアフィルタを作製した。この内容を以下の表2及び表3に示す。表2において、『(C)/[(A)+(B)+(C)]×100』は、フッ素系官能基成分(A)の質量と金属酸化物粒子(B)の質量とシリカゾルゲル(C)の質量の合計に対するシリカゾルゲル(C)の質量の百分率(%)であり、『[(A)+(B)]/[(A)+(B)+(C)]×100』は、フッ素系官能基成分(A)の質量と金属酸化物粒子(B)の質量とシリカゾルゲル(C)の質量の合計に対するフッ素系官能基成分(A)の質量と金属酸化物粒子(B)の質量の合計の百分率(%)であり、『(A)/[(A)+(B)+(C)]×100』は、フッ素系官能基成分(A)の質量と金属酸化物粒子(B)の質量とシリカゾルゲル(C)の質量の合計に対するフッ素系官能基成分(A)の質量の百分率(%)である。
Figure 0006923697
Figure 0006923697
<実施例2〜9及び比較例1〜3>
実施例2〜9及び比較例1〜3について、表2に示すように、フッ素含有金属酸化物粒子の分散液の種類と秤量、シリカゾルゲル液の秤量、及び実施例1と同一の工業アルコールの秤量を選定又は決定した。
シリカゾルゲル液に関して、実施例2〜9及び比較例1〜3では、実施例1で用いた正ケイ酸エチルの代わりに、テトラメトキシシラン(TMOS)の3量体〜5量体(三菱化学社製、商品名:MKCシリケートMS51)28.50gと、アルキレン基成分となるエポキシ基含有シランとして3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GPTMS:信越化学工業社製、商品名:KBM−403)1.50gを用いた。それ以外は、実施例1と同様の操作を行った。
また表3に示すように、通気度の異なる不織布と、エアフィルタの基材の種類を選定した。
また実施例1と同様にして、実施例2〜9及び比較例1〜3の撥水撥油性膜形成用液組成物を得た。
更に実施例1と同様にして、この撥水撥油性膜形成用液組成物の希釈液に不織布をディッピングし、脱液・乾燥して、表3に示す通気度を有するエアフィルタを得た。
<比較例4>
比較例4では、撥水撥油性膜形成用液組成物を上記実施例1〜9及び比較例1〜3とは異なる方法で調製した。即ち、ケイ素アルコキシドとしてテトラメトキシシラン(TMOS)の3量体〜5量体(三菱化学社製、商品名:MKCシリケートMS51)8.52gと、アルキレン基成分となるエポキシ基含有シランとして3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GPTMS:信越化学工業社製、商品名:KBM−403)0.48gと、フッ素系化合物として式(27)で表わされるフッ素含有シラン(R:エチル基)0.24gと、有機溶媒としてエタノール(EtOH)(沸点78.3℃)17.34gとを混合し、更にイオン交換水3.37gを添加して、セパラブルフラスコ内で25℃の温度で5分間撹拌することにより混合液を調製した。またこの混合液に、触媒として濃度35質量%の塩酸0.05gを添加し、40℃で2時間撹拌してフッ素含有シリカゾルゲル液を得た。このシリカゾルゲル液10gに、実施例1と同一の工業アルコール90gを混合し、金属酸化物粒子の分散液として、合成例1と同一の平均粒子径が12nmの二酸化ケイ素のIPA分散液を10g添加し混合して、撥水撥油性膜形成用液組成物を調製した。この撥水撥油性膜形成用液組成物の希釈液に実施例9と同一の不織布を、実施例1と同様にして、ディッピングし、脱液・乾燥して表3に示す特性を有するエアフィルタを得た。
なお、実施例9、比較例3及び比較例4に用いた不織布は、実施例1の不織布と異なり、ガラス繊維の不織布とPET繊維の不織布の二層からなり、実施例9、比較例3及び比較例4に用いた不織布から得られたエアフィルタの通気度は、それぞれ1.8ml/cm2/秒、1.4ml/cm2/秒及び0.8ml/cm 2 /秒であった。
<比較試験及び評価>
金属製品を切削油を用いて加工する工作機械から飛散するオイルミストと粉塵に模して、ヘキサデカンと酸化鉄(III)(富士フイルム和光純薬社製)を質量比で80:20の割合で自転公転撹拌機に投入して撹拌混合し、模擬液を得た。得られた模擬液1mlを、実施例1〜9及び比較例1〜4で得られた13種類の水平に置いたエアフィルタに上方から滴下した後、エアフィルタを鉛直に立てて、模擬液の転落性を確認した。模擬液がエアフィルタに染みこんだものは、エアフィルタの撥油性が『不良』であるとし、模擬液がエアフィルタから転落するものをエアフィルタの撥油性が『良好』であるとした。
表3から明らかなように、比較例1のエアフィルタは、平均粒子径が230nmである金属酸化物(二酸化チタン)粒子を含む比較合成例1から撥水撥油性膜形成用液組成物を調製し、この液組成物に不織布をディッピングし、脱液し乾燥して作られたため、金属酸化物粒子の平均粒子径が大き過ぎ、バインダ成分であるシリカゾルで金属酸化物粒子が不織布の繊維表面に結着しにくかった。この結果、模擬液がエアフィルタから転落せず、撥油性が『不良』であった。
比較例2のエアフィルタは、『(A)/(B)』が0.03であり、『[(A)+(B)]/[(A)+(B)+(C)]×100』が3質量%であり、『(A)/[(A)+(B)+(C)]×100』が0.1質量%であり、撥水撥油性膜中のフッ素系官能基成分の含有量が少な過ぎたため、エアフィルタの通気度が33.3ml/cm2/秒と高過ぎ、模擬液はエアフィルタに染みこんで転落せず、その撥油性は『不良』であった。
比較例3のエアフィルタでは、『(A)/(B)』が0.95であり、『[(A)+(B)]/[(A)+(B)+(C)]×100』が82質量%であり、『(A)/[(A)+(B)+(C)]×100』が41.0質量%であり、撥水撥油性膜中のフッ素系官能基成分の含有量が多過ぎたため、模擬液がエアフィルタから転落せず、撥油性が『不良』であった。
比較例4のエアフィルタでは、フッ素含有シリカゾルゲル液に金属酸化物粒子の分散液を添加し混合して撥水撥油性膜形成用液組成物を調製したため、粒子表面が親油性である金属酸化物粒子が膜中に多数存在することにより、撥油性能が大きく劣化していた。この結果、撥油性が『不良』であった。エアフィルタの通気度が0.8ml/cm2/秒と低過ぎたため、エアフィルタとして使用した場合、容易に目詰まりが発生すると予想された。
それに対して、実施例1〜9のエアフィルタでは、フッ素系官能基成分が式(1)又は式(2)であり、金属酸化物粒子の平均粒子径が2nm〜90nmの範囲にあり、『(A)/[(A)+(B)+(C)]×100』が1質量%〜30質量%の範囲に有り、『[(A)+(B)]/[(A)+(B)+(C)]×100』が5質量%〜80質量%の範囲にあり、『(A)/(B)』が0.05〜0.80の範囲にあり、エアフィルタの通気度が1ml/cm2/秒〜30ml/cm2/秒の範囲にあって、第1の観点の発明の範囲を満たしていることから、模擬液がエアフィルタから転落し、その撥油性はすべて『良好』であることを確認できた。
本発明のエアフィルタは、金属製品を切削油を用いて加工する切削機や旋削機等の工作機械のある作業環境で用いられる。
10 エアフィルタ
20 不織布
20a 不織布の一面
20b 不織布の他面
20c 不織布の繊維
20d 不織布の気孔
21 撥水撥油性膜
21a 金属酸化物粒子
21b シリカゾルゲル
22 オイルミストの油粒子
23 粉塵の粒子

Claims (9)

  1. オイルミストと粉塵を含む空気が流入する一面と、この一面に対向し前記空気が流出する他面との間を貫通する多数の気孔が繊維間に形成された不織布を含むエアフィルタであって、
    前記不織布の繊維表面に撥水撥油性膜が形成され、
    前記撥水撥油性膜は、下記の一般式(1)又は式(2)で示されるペルフルオロエーテル構造を含むフッ素系官能基成分(A)が結合した平均粒子径2nm〜90nmの金属酸化物粒子(B)とシリカゾルゲル(C)とを含み、
    前記フッ素系官能基成分(A)は、前記撥水撥油性膜を100質量%とするとき、1質量%〜30質量%の割合で含まれ、
    前記フッ素系官能基成分(A)と前記金属酸化物粒子(B)とは、合計して前記撥水撥油性膜を100質量%とするとき、5質量%〜80質量%の割合で含まれ、
    前記金属酸化物粒子(B)に対する前記フッ素系官能基成分(A)の質量比(A/B)が0.05〜0.80の範囲にあり、
    前記エアフィルタの通気度が1ml/cm2/秒〜30ml/cm2/秒であることを特徴とするエアフィルタ。
    Figure 0006923697
    上記式(1)及び式(2)中、p、q及びrは、それぞれ同一又は互いに異なる1〜6の整数であって、直鎖状又は分岐状であってもよい。また上記式(1)及び式(2)中、Xは、炭素数2〜10の炭化水素基であって、エーテル結合、CO−NH結合、O−CO−NH結合及びスルホンアミド結合から選択される1種以上の結合を含んでいてもよい。更に上記式(1)及び式(2)中、Yはシランの加水分解体又はシリカゾルゲルの主成分である。
  2. 前記金属酸化物粒子(B)は、Si,Al、Mg、Ca、Ti、Zn及びZrからなる群より選ばれた1種又は2種の金属の酸化物粒子である請求項1記載のエアフィルタ。
  3. 前記シリカゾルゲル(C)は、前記シリカゾルゲルを100質量%としたときに、炭素数2〜7のアルキレン基成分を0.5質量%〜20質量%含む請求項1記載のエアフィルタ。
  4. 前記不織布が単一層により構成されるか、又は複数層の積層体により構成される請求項1記載のエアフィルタ。
  5. 前記不織布を構成する繊維がポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ガラス、アルミナ、炭素、セルロース、パルプ、ナイロン及び金属からなる群より選ばれた1種又は2種以上の繊維である請求項1又は4記載のエアフィルタ。
  6. フッ素含有金属酸化物粒子の分散液とシリカゾルゲル液とを混合して撥水撥油性膜形成用液組成物を調製する工程と、
    前記撥水撥油性膜形成用液組成物の希釈液に不織布をディッピングする工程と、
    前記ディッピングした不織布を脱液し乾燥する工程と
    を含むエアフィルタの製造方法。
  7. 前記フッ素含有金属酸化物粒子の分散液が、金属酸化物粒子の分散液にフッ素系化合物を添加混合し、この混合液に水と触媒を添加混合して、調製される請求項6記載のエアフィルタの製造方法。
  8. 前記金属酸化物粒子がSi,Al、Mg、Ca、Ti、Zn及びZrからなる群より選ばれた1種又は2種の金属の酸化物粒子である請求項7記載のエアフィルタの製造方法。
  9. 前記シリカゾルゲル液が、ケイ素アルコキシドとアルコールと水の混合液に触媒を添加混合して、調製される請求項6記載のエアフィルタの製造方法。
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