JP2023018691A - エアフィルタ及びその製造方法 - Google Patents

エアフィルタ及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2023018691A
JP2023018691A JP2021122846A JP2021122846A JP2023018691A JP 2023018691 A JP2023018691 A JP 2023018691A JP 2021122846 A JP2021122846 A JP 2021122846A JP 2021122846 A JP2021122846 A JP 2021122846A JP 2023018691 A JP2023018691 A JP 2023018691A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fluorine
colloidal silica
silica particles
spherical colloidal
water
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021122846A
Other languages
English (en)
Inventor
真也 白石
Shinya Shiraishi
悠太 山本
Yuta Yamamoto
久実 渡邉
Kumi Watanabe
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Materials Electronic Chemicals Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Materials Electronic Chemicals Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Materials Electronic Chemicals Co Ltd filed Critical Mitsubishi Materials Electronic Chemicals Co Ltd
Priority to JP2021122846A priority Critical patent/JP2023018691A/ja
Publication of JP2023018691A publication Critical patent/JP2023018691A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】オイルミストと粉塵を含む空気を清浄にし、目詰まりを抑制する。【解決手段】不織布を含むエアフィルタである。不織布の繊維表面に、式(1)のペルフルオロエーテル構造を含むフッ素系官能基成分(A)が結合した球状コロイダルシリカ粒子(B)と、自己反応型のカルボキシル基及び/又はアセチル基含有物(C)とを含む撥水撥油性膜が形成される。粒子(B)は、平均粒子径が100nm~500nmである。カルボキシル基含有物等(C)は膜中10~70質量%の割合で含まれ、成分(A)と粒子(B)は合計して膜中30~90質量%の割合で含まれ、質量比(A/B)が0.05~0.50であってフィルタ通気度が1~30ml/cm2/秒であるTIFF2023018691000013.tif17170【選択図】図1

Description

本発明は、オイルミストと粉塵を含む空気を清浄にするエアフィルタ及びその製造方法に関する。更に詳しくは、撥水性と撥油性を有する撥水撥油性膜が不織布の繊維表面に形成されたエアフィルタ及びその製造方法に関するものである。
金属製品を切削油を用いて加工する切削機や旋削機等の工作機械からは機械の高速稼働により切削油が飛散して、オイルミストが発生し、同時に粉塵も発生する。これらのオイルミスト及び粉塵は作業環境を悪化させ、その作業効率を低下させる。このため、従来より、オイルミストと粉塵を含む空気を清浄にするエアフィルタとして、空気中に浮遊する粉塵だけでなく、オイルミストによる目詰まりを抑制できるエアフィルタ濾材が提案されている(例えば、特許文献1(請求項1、段落[0006]、段落[0021]、段落[0045]、段落[0053]~段落[0060])。
このエアフィルタ濾材は、第1のPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)多孔質膜と、第2のPTFE多孔質膜を含み、気流が、エアフィルタ濾材の第1主面から第1のPTFE多孔質膜、第2のPTFE多孔質膜の順にエアフィルタ濾材の第2主面へと、通過するようになっている。第1のPTFE多孔質膜の厚さは4~40μmの範囲にあり、第1のPTFE多孔質膜の比表面積は0.5m2/g以下にあり、第2のPTFE多孔質膜の比表面積は、第1のPTFE多孔質膜のそれより大きい1.5~10m2/g以下の範囲にある。
第1及び第2のPTFE多孔質膜は、それぞれPTFE微粉末と液状潤滑剤を加えた混合物をシート状成形体に成形する。第1のPTFE多孔質膜は、シート状成形体をPTFEの融点(327℃)以上の温度と50倍以上の倍率で、長手(MD)方向に加熱しつつ延伸し、次いで横(TD)方向に130~400℃の温度で、延伸前の長さに対して5~8倍になるように、加熱しつつ延伸することにより、製造される。第2のPTFE多孔質膜は、PTFEのシート状成形体をPTFEの融点未満の温度(270~290℃)で、かつ15~40倍の倍率でMD方向に加熱しつつ延伸し、次いでTD方向に更に120~130℃の温度で、延伸前の長さに対して15~40倍になるように、とMD方向延伸時と同じ倍率で加熱しつつ延伸することにより、製造される。
特開2018-51546号公報
特許文献1に開示されたエアフィルタ濾材では、第1のPTFE多孔質膜を、第2のPTFE多孔質膜と比較して、延伸温度を高くし、延伸倍率を大きくして、製造することにより、第1のPTFE多孔質膜の比表面積を0.5m2/g以下と小さくし、これにより、大きい粒径の粉塵及びオイルミストを捕集する。一方、第2のPTFE多孔質膜の比表面積を1.5~10m2/gと大きくし、これにより、小さい粒径の粉塵及びオイルミストを捕集している。
しかしながら、特許文献1に開示されるエアフィルタ濾材では、第1及び第2のPTFE多孔質膜により、粒径の異なる粉塵とオイルミストを捕集するとしても、PTFE多孔質膜は、静電気が発生し易く、かつ発生した静電気の除去が困難であるため、フィルタ形状に加工することが容易でなかった。また撥油性よりも撥水性が高いため、大気中に含まれる水分がPTFE多孔質膜を塞ぐことがあり、そこに粉塵が付着し易かった。そのため、エアフィルタ濾材を使用し続けると、オイルミストがエアフィルタ濾材の内部に残留し続け、エアフィルタ濾材が目詰まりし易く、その結果、エアフィルタを通過する風量が低下し易く、新しいエアフィルタと頻繁に交換しなければならない課題があった。
本発明の目的は、オイルミストと粉塵を含む空気を清浄にし、目詰まりを抑制するエアフィルタを提供することにある。本発明の別の目的は、オイルミストと粉塵を含む空気を清浄にし、目詰まりを抑制するエアフィルタを簡便に製造する方法を提供することにある。
本発明の第1の観点は、オイルミストと粉塵を含む空気が流入する一面と、この一面に対向し前記空気が流出する他面との間を貫通する多数の気孔が繊維間に形成された不織布を含むエアフィルタであって、前記不織布の繊維表面に撥水撥油性膜が形成され、前記撥水撥油性膜は、下記の一般式(1)又は式(2)で示されるペルフルオロエーテル構造を含むフッ素系官能基成分(A)が結合した球状コロイダルシリカ粒子(B)と、自己反応型のカルボキシル基及び/又はアセチル基含有物(以下、単に「カルボキシル基含有物等」という。)(C)とを含み、前記球状コロイダルシリカ粒子(B)は、平均粒子径が100nm~500nmの範囲にあり、前記自己反応型のカルボキシル基含有物等(C)は、前記撥水撥油性膜に、前記膜を100質量%とするとき、10質量%~70質量%の割合で含まれ、前記フッ素系官能基成分(A)と前記球状コロイダルシリカ粒子(B)とは、合計して前記撥水撥油性膜に、前記膜を100質量%とするとき、30質量%~90質量%の割合で含まれ、前記球状コロイダルシリカ粒子(B)に対する前記フッ素系官能基成分(A)の質量比(A/B)が0.05~0.50の範囲にあり、前記エアフィルタの通気度が1ml/cm2/秒~30ml/cm2/秒であることを特徴とするエアフィルタである。
Figure 2023018691000002
上記式(1)及び式(2)中、p、q及びrは、それぞれ同一又は互いに異なる1~6の整数である。炭素骨格は、直鎖状又は分岐状であってもよい。また上記式(1)及び式(2)中、Xは、炭素数2~10の炭化水素基であって、エーテル結合、CO-NH結合、O-CO-NH結合及びスルホンアミド結合から選択される1種以上の結合を含んでいてもよい。更に上記式(1)及び式(2)中、Yはシランの加水分解体又はシリカゾルゲルの主成分である。
このYについて更に述べると、Yは、球状コロイダルシリカ粒子(B)と結合する部位である。具体例としては、後述する式(3)又は式(4)において、Yとして、Z部分が加水分解した構造が挙げられる。また、Yとして、式(3)又は式(4)のシラン化合物と、テトラエトキシシランやテトラメトキシシラン等のケイ素アルコキシドとを混合し、加水分解重合したシリカゾルゲルの主成分等も挙げられる。更に、Yとして、式(3)又は式(4)のシラン化合物と、テトラエトキシシランやテトラメトキシシラン等のケイ素アルコキシドと、エポキシ基やビニル基、エーテル基を含有したシラン等とを混合し、加水分解重合したシリカゾルゲルの主成分等も挙げられる。因みに、上記カルボキシル基含有物等(C)は、上記フッ素系官能基成分(A)が結合した球状コロイダルシリカ粒子(B)を、不織布の基材に密着させるために用いられるバインダである。
本発明の第2の観点は、第1の観点に基づく発明であって、前記自己反応型のカルボキシル基及び/又はアセチル基含有物(B)が、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、又はエチレン-酢酸ビニル-アクリル酸共重合体であるエアフィルタである。
本発明の第3の観点は、第1の観点に基づく発明であって、前記不織布が単一層により構成されるか、又は複数層の積層体により構成されるエアフィルタである。
本発明の第4の観点は、第1又は第3の観点に基づく発明であって、前記不織布を構成する繊維がポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ガラス、アルミナ、炭素、セルロース、パルプ、ナイロン及び金属からなる群より選ばれた1種又は2種以上の繊維であるエアフィルタである。
本発明の第5の観点は、図5に示すように、フッ素含有球状コロイダルシリカ粒子の分散液と、自己反応型のカルボキシル基及び/又はアセチル基含有物と、水又は炭素数1~4のアルコールの含有割合が40質量%以下の水である溶媒とを混合して撥水撥油性膜形成用液組成物(以下、単に液組成物ということもある。)を調製する工程と、前記撥水撥油性膜形成用液組成物に不織布をディッピングする工程と、前記ディッピングした不織布を脱液し乾燥する工程とを含み、前記フッ素含有球状コロイダルシリカ粒子が、第1の観点のフッ素系官能基成分(A)が結合した球状コロイダルシリカ粒子(B)であるエアフィルタの製造方法である。
本発明の第6の観点は、第5の観点に基づく発明であって、前記フッ素含有球状コロイダルシリカ粒子の分散液が、球状コロイダルシリカ粒子を分散媒に分散させて球状コロイダルシリカの分散液を調製し、前記分散媒が水を含みかつ前記分散媒が中性であるとき、前記分散液に前記フッ素系官能基成分(A)を含むフッ素系化合物を添加混合し、この混合液に触媒を添加混合することにより、調製されるエアフィルタの製造方法である。
本発明の第7の観点は、第5の観点に基づく発明であって、前記フッ素含有球状コロイダルシリカ粒子の分散液が、球状コロイダルシリカ粒子を分散媒に分散させて球状コロイダルシリカの分散液を調製し、前記分散媒が水を含まずかつ前記分散媒が中性であるとき、前記分散液に前記フッ素系官能基成分(A)を含むフッ素系化合物を添加混合し、この混合液に水と触媒を添加混合することにより、調製されるエアフィルタの製造方法である。
本発明の第8の観点は、第5の観点に基づく発明であって、前記フッ素含有球状コロイダルシリカ粒子の分散液が、球状コロイダルシリカ粒子を分散媒に分散させて球状コロイダルシリカの分散液を調製し、前記分散媒が水を含まずかつ前記分散媒が酸性又はアルカリ性であるとき、前記分散液に前記フッ素系官能基成分(A)を含むフッ素系化合物を添加混合し、この混合液に水を添加混合することにより、調製されるエアフィルタの製造方法である。
本発明の第9の観点は、第5の観点に基づく発明であって、前記フッ素含有球状コロイダルシリカ粒子の分散液が、球状コロイダルシリカ粒子を分散媒に分散させて球状コロイダルシリカの分散液を調製し、前記分散媒が水を含みかつ前記分散媒が酸性又はアルカリ性であるとき、前記分散液に前記フッ素系官能基成分(A)を含むフッ素系化合物を添加混合することにより、調製されるエアフィルタの製造方法である。
本発明の第10の観点は、第5の観点に基づく発明であって、前記自己反応型のカルボキシル基及び/又はアセチル基含有物(B)が、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、又はエチレン-酢酸ビニル-アクリル酸共重合体であるエアフィルタの製造方法である。
本発明の第1の観点のエアフィルタは、エアフィルタに含まれる不織布の繊維表面に形成された撥水撥油性膜が、前述した一般式(1)又は式(2)で示されるフッ素系官能基成分(A)が結合した球状コロイダルシリカ粒子(B)と、自己反応型のカルボキシル基含有物等(C)とを含む。
フッ素系官能基成分(A)と球状コロイダルシリカ粒子(B)との合計量及び球状コロイダルシリカ粒子(B)に対するフッ素系官能基成分(A)の質量比(A/B)が所定の割合及び比率であるため、撥水撥油性膜は、第一に撥水撥油性に優れる。第二に球状コロイダルシリカ粒子(B)が平均粒子径が100nm~500nmの範囲にあるため、球状コロイダルシリカ粒子(B)が凝集しにくく粒子単体でカルボキシル基含有物等(C)に混ざり合って膜から脱離しにくい。またフッ素系官能基成分(A)が膜表面に出現し易くなり膜の撥水撥油性を高める。第三にカルボキシル基含有物等(C)が、溶媒が無くなっても重合をしない単なるポリアクリル酸とは異なり、自己反応型であるため、膜の形成過程で、溶媒が揮発し、溶媒が無くなると、カルボキシル基含有物等(C)同士が重合しているため、高い重合度を有し、水に溶解しにくい膜の形成に寄与する。第四にカルボキシル基含有物等(C)が膜に所定量含まれるため、形成した膜の水への耐久性と擦り耐久性がそれぞれ高い。
エアフィルタの通気度が1ml/cm2/秒~30ml/cm2/秒であるため、エアフィルタ内にオイルミストと粉塵を含む空気がエアフィルタの一面から流入すると、オイルミストと粉塵が不織布で捕集され、空気だけが不織布の気孔を通過しエアフィルタの他面から流出して、空気が清浄になり、目詰まりが抑制される。
このとき、撥水撥油性膜の撥油性能のため、またエアフィルタの通気度が1ml/cm2/秒~30ml/cm2/秒であるため、オイルミストが不織布の繊維表面の撥水撥油性膜に吸着せずに弾かれて付着するに止まる。エアフィルタを使用し続けてオイルミストの不織布内部における捕集量が増えると、エアフィルタが水平に配置される場合には、オイルミストは液状化して通過する空気に随伴されてエアフィルタの他面に集まり、エアフィルタが鉛直に配置される場合には、捕集されたオイルミストが自重によりエアフィルタの下端に集まり、不織布の気孔を閉塞しない。これにより、オイルミストによる気孔の目詰まりは抑制される。
一方、粉塵は、エアフィルタの通気度が1ml/cm2/秒~30ml/cm2/秒であるため、不織布の繊維表面の撥水撥油性膜に直接付着するか、或いは撥水撥油性膜に付着したオイルミストに付着する。このため、エアフィルタを長期間使用して粉塵等で目詰まりしたときに、エアノッカー等でエアフィルタに衝撃を与えると、オイルミストと一緒に付着した粉塵を容易に落とすことができ、エアフィルタを再生することができる。
本発明の第2の観点のエアフィルタでは、自己反応型のカルボキシル基及び/又はアセチル基含有物(B)が、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、又はエチレン-酢酸ビニル-アクリル酸共重合体であるため、上記共重合体がフッ素含有球状コロイダルシリカ粒子のバインダとして作用するとともに、撥水撥油性膜が不織布の繊維表面に形成されたときに、膜を不織布表面に堅牢に結着させることができる。
本発明の第3の観点のエアフィルタでは、不織布が単一層により構成される場合には、簡単な構成のエアフィルタになり、不織布が複数層の積層体により構成される場合には、流入する粉塵の粒径、オイルミストの油粒子のサイズ等の性状に応じて各層を構成することができる。
本発明の第4の観点のエアフィルタでは、不織布を構成する繊維の材質を、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ガラス、アルミナ、炭素、セルロース、パルプ、ナイロン及び金属から、流入する粉塵の粒径、オイルミストの油粒子のサイズ等の性状に応じて、選択することができる。
本発明の第5の観点の方法では、図5に示すように、フッ素含有球状コロイダルシリカ粒子の分散液と、カルボキシル基含有物等と、水又は炭素数1~4のアルコールの含有割合が40質量%以下の水である溶媒とを混合して撥水撥油性膜形成用液組成物を調製し、この撥水撥油性膜形成用液組成物に不織布をディッピングして不織布を脱液し乾燥することにより、エアフィルタが製造されるため、不織布の繊維表面に撥水撥油性膜を均一に形成することができる。また粒子表面が撥水撥油性のあるフッ素含有球状コロイダルシリカ粒子がカルボキシル基含有物等中に存在するため、撥水撥油性を維持しながら不織布の通気度を低くすることが容易になる。更に特許文献1のPTFE多孔質膜とは異なり、撥水撥油性膜には静電気が発生しにくく、簡便にエアフィルタを製造することができる。
本発明の第6の観点のエアフィルタの製造方法では、フッ素含有球状コロイダルシリカ粒子の分散液が、球状コロイダルシリカ粒子の分散液が水を含みかつ分散媒が中性であるときには、球状コロイダルシリカ粒子の分散液にフッ素系官能基成分(A)を含むフッ素系化合物を添加混合し、この混合液に触媒を添加混合するため、フッ素系化合物が加水分解され、フッ素含有球状コロイダルシリカ粒子が均一に分散した分散液が得られる。
本発明の第7の観点のエアフィルタの製造方法では、フッ素含有球状コロイダルシリカ粒子の分散液が、球状コロイダルシリカ粒子の分散液が水を含まずかつ分散媒が中性であるときには、球状コロイダルシリカ粒子の分散液にフッ素系官能基成分(A)を含むフッ素系化合物を添加混合し、この混合液に水と触媒を添加混合するため、フッ素系化合物が加水分解され、フッ素含有球状コロイダルシリカ粒子が均一に分散した分散液が得られる。
本発明の第8の観点のエアフィルタの製造方法では、フッ素含有球状コロイダルシリカ粒子の分散液が、球状コロイダルシリカ粒子の分散液が水を含まずかつ分散媒が酸性又はアルカリ性であるときには、球状コロイダルシリカ粒子の分散液にフッ素系官能基成分(A)を含むフッ素系化合物を添加混合し、この混合液に水を添加混合するため、フッ素系化合物が加水分解され、フッ素含有球状コロイダルシリカ粒子が均一に分散した分散液が得られる。
本発明の第9の観点のエアフィルタの製造方法では、フッ素含有球状コロイダルシリカ粒子の分散液が、球状コロイダルシリカ粒子の分散液が水を含みかつ分散媒が酸性又はアルカリ性であるときには、球状コロイダルシリカ粒子の分散液にフッ素系官能基成分(A)を含むフッ素系化合物を添加混合するだけで、フッ素系化合物が加水分解され、フッ素含有球状コロイダルシリカ粒子が均一に分散した分散液が得られる。
本発明の第10の観点のエアフィルタの製造方法では、自己反応型のカルボキシル基及び/又はアセチル基含有物(B)が、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、又はエチレン-酢酸ビニル-アクリル酸共重合体であるため、上記共重合体がフッ素含有球状コロイダルシリカ粒子のバインダとして作用するとともに、撥水撥油性膜が不織布の繊維表面に形成されたときに、膜を不織布表面に堅牢に結着させることができる。
本実施形態の単一層の不織布の側面図である。 本実施形態の二層の不織布の側面図である。 合成例2の球状コロイダルシリカ粒子の走査型透過型電子顕微鏡写真図である。図3(a)は50,000倍に拡大した写真図、図3(b)は100,000倍に拡大した写真図である。 合成例2の球状コロイダルシリカ粒子の粒度分布図である。 本実施形態のエアフィルタを製造するフロー図である。
次に本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。
〔エアフィルタ〕
図1に示すように、本実施形態のエアフィルタ10は、不織布20とこの不織布の繊維表面に形成された撥水性と撥油性を有する撥水撥油性膜21とを備える。このエアフィルタ10の主たる構成要素である不織布20は、オイルミストと粉塵を含む空気が流入する一面20aと、この一面20aに対向し前記空気が流出する他面20bを有し、単一層からなる。図2に示すように、上層の不織布30と下層の不織布40の二層の積層体により構成されるエアフィルタ50でもよい。この場合、上層の不織布30の上面がオイルミストと粉塵を含む空気が流入する一面30aとなり、下層の不織布40の下面がこの一面30aに対向する他面40bとなる。なお、積層体は二層に限らず、三層、四層等の複数層から構成することもできる。
図1中央の拡大図に示すように、不織布20は多数の繊維20cが絡み合って形成され、繊維と繊維の間には気孔20dが形成される。気孔20dは不織布20の一面20aと他面20bとの間を貫通する。不織布の繊維20cの表面には撥水撥油性膜21が形成される。不織布の目付は、100g/m2~400g/m2の範囲にあることが好ましいが、この範囲に限定されるものではない。撥水撥油性膜21は、平均粒子径が100nm~500nmの範囲にあってかつ粒径分布のJIS Z8828に準拠して測定したキュムラント多分散指数(PDI)が0.39以下の範囲にある球状コロイダルシリカ粒子(B)と自己反応型のカルボキシル基含有物等(C)とを含む。PDIは、Polydispersity indexの略で、値が小さいほど単分散性が良いことを意味する。この球状コロイダルシリカ粒子(B)には、前述した一般式(1)又は式(2)で示されるフッ素系官能基成分(A)が結合する。フッ素系官能基成分(A)は、撥水撥油性膜21中、1質量%~30質量%の割合で含まれる。またカルボキシル基含有物等(C)は、撥水撥油性膜21中、10質量%~70質量%の割合で含まれる。またフッ素系官能基成分(A)と球状コロイダルシリカ粒子(B)は、合計して撥水撥油性膜21中、30質量%~90質量%の割合で含まれる。更に球状コロイダルシリカ粒子(B)に対するフッ素系官能基成分(A)の質量比(A/B)が0.05~0.50の範囲にある。
図1上部の更なる拡大図に示すように、撥水撥油性膜21は、粒子表面がフッ素系官能基成分に覆われた多数の球状コロイダルシリカ粒子21aがバインダとしてのカルボキシル基含有物等21bで結着して構成される。撥水撥油性膜21は球状コロイダルシリカ粒子21aを含むため、見かけ上、厚膜となり、繊維と繊維の間の気孔20dを狭くすることができる。また膜厚は、球状コロイダルシリカ粒子の粒子径と膜成分中の球状コロイダルシリカ粒子の含有割合を変えることにより制御することができる。
不織布の目付が100g/m2未満であると、繊維間の気孔が大き過ぎることから、粉塵を捕集する能力が不足し易い。400g/m2を超えると、通気度が1ml/cm2/秒未満となり、粉塵が直ぐに繊維間の気孔に詰まり易くなるか、或いは通気度が低過ぎるため、エアフィルタに送り込む空気の抵抗によりエアフィルタで圧力損失が生じ易く、送風エネルギーの効率が悪化し易い。不織布の目付は、200g/m2~350g/m2の範囲にあることが更に好ましい。
繊維表面に撥水撥油性膜21が形成されたエアフィルタ10の状態で、不織布20は1ml/cm2/秒~30ml/cm2/秒の通気度を有するように作製される。通気度が1ml/cm2/秒未満では、通気性に劣り、オイルミストと粉塵を含む空気が通過しにくくなる。30ml/cm2/秒を超えると、不織布の気孔20dの大きさが流入する空気中のオイルミストの油粒子22及び粉塵の粒子23の各粒径よりも遙かに大きくなり、油粒子22及び粉塵の粒子23が空気とともに不織布の気孔を通してエアフィルタ10から通過し、オイルミストと粉塵を捕集することができない。通気度は1.5ml/cm2/秒~25ml/cm2/秒であることが好ましい。通気度はJIS-L1913:2000に記載のフラジール形試験機を用いて測定される。
撥水撥油性膜21中のフッ素系官能基成分(A)の含有割合が1質量%未満では、撥油性の効果に乏しく、オイルミストを弾く性能が不十分になる。即ち、オイルミストがエアフィルタに到達したときに、オイルミストが繊維表面上に濡れ広がり、気孔20dを塞ぎ易くなる。フッ素系官能基成分(A)の含有割合が30質量%を超えると、撥水撥油性膜の不織布への密着性が悪くなる。撥水撥油性膜21中のフッ素系官能基成分(A)の含有割合は、2質量%~28質量%であることが好ましい。
撥水撥油性膜21に含まれる球状コロイダルシリカ粒子(B)は、平均粒子径が100nm~500nmの範囲にある。撥水撥油性膜21中、フッ素系官能基成分(A)と球状コロイダルシリカ粒子(B)は、合計して30質量%~90質量%、好ましくは35質量%~85質量%の割合で含まれ、球状コロイダルシリカ粒子(B)に対するフッ素系官能基成分(A)の質量比(A/B)が0.05~0.50、好ましくは0.07~0.4の範囲にある。フッ素系官能基成分(A)と球状コロイダルシリカ粒子(B)とを合計して撥水撥油性膜21中、30質量%未満では、撥水撥油性膜の撥油性能が低下する。また合計して90質量%を超えると、カルボキシル基含有物等(C)の含有量が相対的に低くなり、撥水撥油性膜が不織布表面に堅牢に結着しなくなる。また質量比(A/B)が0.05未満では、撥水撥油性膜が撥油性に劣り、0.50を超えると、撥水撥油性膜の繊維表面への密着性が低下する。
このようなエアフィルタ10の作用について説明する。図1に示すように、オイルミストと粉塵を含む空気が、エアフィルタ10を構成する不織布20の一面20aに到来する。ここでエアフィルタ10は所定の通気度を有するため、また撥水撥油性膜21が撥油性を示すため、オイルミストの油粒子22は気孔20dの孔径より粒径が大きい場合は勿論のこと、気孔20dの孔径より粒径が僅かに小さくても、エアフィルタ10を通過できず、不織布20の繊維20cと繊維20cの間に、撥水撥油性膜21によって弾かれながら、撥水撥油性膜21に付着して止まる。同時に粉塵の粒子23も撥水撥油性膜21に付着して止まる。撥水撥油性膜21中に球状コロイダルシリカ粒子21aを含むため、膜が凹凸になり、油粒子22の膜への付着の程度は低い一方、粉塵の粒子23は付着し易くなる。これにより、オイルミストの油粒子22及び粉塵の粒子23が不織布に捕集され、オイルミストと粉塵を含んだ空気が、図1の拡大図に示す繊維20cと繊維20cの間に形成された気孔20dを通過して他面20bに至り、オイルミストと粉塵のない空気となって、不織布20を通過する。
エアフィルタを使用し続けてオイルミストの不織布内部における捕集量が増えると、エアフィルタが水平に配置される場合には、膜への付着の程度が低いオイルミストは液状化して通過する空気に随伴されてエアフィルタの他面に集まり、エアフィルタが鉛直に配置される場合には、捕集されたオイルミストが自重によりエアフィルタの下端に集まり、不織布の気孔を閉塞しない。これにより、オイルミストによる気孔の目詰まりは抑制される。粉塵は不織布の繊維表面の撥水撥油性膜に直接付着するか、或いは撥水撥油性膜に付着したオイルミストに付着する。不織布20に溜まったオイルミストと粉塵は、定期的にエアノッカー等でエアフィルタ10に衝撃を与えることにより、エアフィルタ10から除去することができる。
〔エアフィルタの製造方法〕
エアフィルタは次の方法により、概略製造される。
図5に示すように、球状コロイダルシリカ粒子の分散液51にフッ素系官能基成分(A)を含むフッ素系化合物52を混合する。
フッ素系化合物52は、構造式で表すと、Rf-Si-(OEt)3であるため、水と触媒でこれを加水分解させて、Rf-Si-(OH)3にする必要がある(Rfは、ペルフルオロアルキル基であり、OEtはエトキシ基である。)。そのため、分散液51の分散媒が水を含みかつ中性である場合には、水53の添加は不要であって、触媒54を添加する。また分散液51の分散媒が水を含まずかつ中性である場合には、水53と触媒54を添加する。また分散液51の分散媒が水を含まずかつ酸性又はアルカリ性である場合には、水53を添加する。更に分散液51の分散媒が水を含みかつ酸性又はアルカリ性である場合には、水53も触媒54も添加しない。
これにより、フッ素含有球状コロイダルシリカ粒子の分散液55を調製する。この分散液55と、カルボキシル基含有物等56と、溶媒57とを混合することにより、撥水撥油性膜形成用液組成物60を調製する。この液組成物60に不織布20をディッピングする。続いて不織布20を脱液し、乾燥することによりエアフィルタ10を製造する。
以下、エアフィルタの製造方法を詳述する。
〔不織布の準備〕
先ず、1.1ml/cm2/秒~40ml/cm2/秒の通気度を有する不織布を準備する。具体的には、後述する撥水撥油性膜が不織布の繊維表面に形成されたエアフィルタになった状態で、1ml/cm2/秒~30ml/cm2/秒の通気度を有する不織布を準備する。撥水撥油性膜が厚膜に形成される場合には、通気度の大きい不織布が選定され、撥水撥油性膜が薄膜に形成される場合には、通気度の小さい不織布が選定される。
この不織布としては、例えば、セルロース混合エステル性のメンブレンフィルター、ガラス繊維ろ紙、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維、PET繊維とガラス繊維を混用した不織布がある。このように不織布は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ガラス、アルミナ、炭素、セルロース、パルプ、ナイロン及び金属からなる群より選ばれた1種又は2種以上の繊維から作られる。繊維は、2以上の繊維を混合した繊維でもよい。繊維の太さ(繊維径)は、上記通気度が得られるように、0.01μm~10μmの太さが好適である。不織布の厚さは、エアフィルタが単一層である場合には、0.2mm~0.8mm、複数層の積層体である場合には、積層体の厚さが0.2mm~1.6mmになる厚さが好ましい。市販品として、PET繊維とガラス繊維を混用した不織布である安積濾紙社製、商品名:341、356、PET繊維の不織布である東レ社製、G2260-1Sがある。
〔撥水撥油性膜形成用液組成物の製造方法〕
〔球状コロイダルシリカ粒子の分散液の調製〕
例えば、水性溶媒又は有機溶媒とテトラメトキシシラン又はテトラエトキシシランとを混合し、混合液を加温し、所定の温度に達した時点で酸液又はアルカリ液を滴下し撹拌しながら保持し、室温まで徐冷することにより、粒子が単独分散した球状コロイダルシリカ粒子の分散液が得られる。
球状コロイダルシリカ粒子は、100nm~500nm、好ましくは150nm~450nmの平均粒子径を有する。平均粒子径が100nm未満では、粒子の比表面積が大きい分、フッ素化合物の使用量が多めになり、多めにしない場合、例えば、球状コロイダルシリカ粒子(B)に対するフッ素系官能基成分(A)の質量比(A/B)が0.05~0.50の範囲の下限値付近では、この範囲内であっても、エアフィルタになったときに、エアフィルタの撥油性が劣り易い。平均粒子径が500nmを超えると、粗大粒子であるため、膜から粒子が脱落する欠点がある。上記酸液又はアルカリ液を滴下し撹拌しながら保持する温度を高めること或いは保持する時間を長くすることにより、平均粒子径を増大させることができる。
水性溶媒としては、水又は水と炭素数1~4のアルコールとの混合溶媒が例示される。上記水としては、不純物の混入防止のため、イオン交換水や純水等を使用するのが望ましい。
有機溶媒としては、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、2-メチル-2-プロパノール、アセトン等水と混ざり易い溶媒が例示される。
なお、本明細書において、球状コロイダルシリカ粒子の平均粒子径とは、レーザー回折散乱法を用いた粒度分布測定装置(堀場製作所製、レーザー回折/散乱式粒子径分布装置LA-960)にて測定した体積累積中位径(Median径、D50)をいう。
〔フッ素含有球状コロイダルシリカ粒子の分散液の調製〕
次に、調製された球状コロイダルシリカ粒子の分散液中に、上述した式(1)又は式(2)で表されるフッ素系官能基成分を含むフッ素系化合物を添加して、球状コロイダルシリカ粒子とフッ素系官能基成分とがナノコンポジット化された複合材料を合成する。更に反応を促進するために、必要に応じて触媒を添加する。これにより、フッ素含有球状コロイダルシリカ粒子の分散液が調製される。
上記触媒としては、有機酸、無機酸、アルカリ又はチタン化合物が挙げられ、有機酸としてはギ酸、シュウ酸が例示され、無機酸としては塩酸、硝酸、リン酸が例示され、アルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化マグネシウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、アンモニアが例示され、チタン化合物としてはテトラプロポキシチタン、テトラブトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、乳酸チタン等が例示される。触媒は上記のものに限定されない。
フッ素系官能基成分を含むフッ素系化合物は、下記一般式(3)又は式(4)で示される。これらの式(3)又は式(4)中のペルフルオロエーテル基としては、より具体的には、下記式(5)~(13)で示されるペルフルオロエーテル構造を挙げることができる。
Figure 2023018691000003
Figure 2023018691000004
Figure 2023018691000005
また、上記式(3)及び式(4)中のXとしては、下記式(14)~(18)で示される構造を挙げることができる。なお、下記式(14)はエーテル結合、下記式(15)はエステル結合、下記式(16)はアミド結合、下記式(17)はウレタン結合、下記式(18)はスルホンアミド結合を含む例を示している。
Figure 2023018691000006
ここで、上記式(14)~(18)中、R2及びR3は炭素数が0から10の炭化水素基、R4は水素原子又は炭素数1から6の炭化水素基である。R2及びR3の炭化水素基の例とは、メチレン基、エチレン基等のアルキレン基が挙げられ、R4の炭化水素基の例とは、メチル基、エチル基等のアルキル基の他、フェニル基等も挙げられる。
また、上記式(3)及び式(4)中、R1は、メチル基、エチル基等が挙げられる。
また、上記式(3)及び式(4)中、Zは、加水分解されてSi-O-Si結合を形成可能な加水分解性基であれば特に限定されるものではない。このような加水分解性基としては、具体的には、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシ基、フェノキシ基、ナフトキシ基などのアリールオキシ基、ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基などのアラルキルオキシ基、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、バレリルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基などのアシルオキシ基等が挙げられる。これらの中でも、エトキシ基を適用することが好ましい。
ここで、上記式(3)又は式(4)で表されるペルフルオロエーテル構造を有するフッ素系官能基成分を含むフッ素系化合物の具体例としては、例えば、下記式(19)~(27)で表される構造が挙げられる。なお、下記式(19)~(27)中、Rはメチル基又はエチル基である。
Figure 2023018691000007
Figure 2023018691000008
上述したように、本実施の形態の撥水撥油性膜形成用液組成物に含まれるフッ素系化合物は、分子内に酸素原子に炭素数が6以下の短鎖長のペルフルオロアルキル基とペルフルオロアルキレン基が複数結合したペルフルオロエーテル基を有しており、分子内のフッ素含有率が高いため、形成した膜に優れた撥水撥油性を付与することができる。
〔カルボキシル基含有物等〕
自己反応型のカルボキシル基及び/又はアセチル基含有物(B)は、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、又はエチレン-酢酸ビニル-アクリル酸共重合体である。市販品として、エチレン-酢酸ビニル系のものとしては、セポルジョンVA406N、セポルジョンVA407N(いずれも住友精化社製)、スミカフレックスS-201HQ、S-355HQ、S-401HQ、S-465HQ、S-951HQ、S3950(いずれも住化ケムテックス社製)、アクアテックスEC-1800、EC-1200(いずれもジャパンコーティングレジン社製が挙げられる。またエチレン-アクリル酸共重合体としては、ザイクセンA、ザイクセンL、ザイクセンN(いずれも住友精化社製)などが、エチレン-酢酸ビニル-アクリル酸系のものとしてはスミカフレックスS-900HL(住化ケムテックス社製)などが挙げられる。また、エチレン-酢酸ビニル-塩化ビニル共重合体であるスミカフレックスS-830や、エチレン-酢酸ビニル-バーサチック酸ビニル共重合であるスミカフレックスS-950HQ(いずれも住化ケムテックス社製)も挙げられる。更に、アクリル系のものとしてはTOCRYL BCX-1160R-2(トーヨーケム社製)が挙げられる。
〔撥水撥油性膜形成用液組成物〕
本実施の形態の撥水撥油性膜形成用液組成物は、上記製造方法で製造され、前述したフッ素系官能基成分(A)が結合した球状コロイダルシリカ粒子(B)と、カルボキシル基含有物等(C)と、溶媒(D)とを含む。このフッ素系官能基成分(A)は、上記の一般式(1)又は式(2)で示されるペルフルオロエーテル構造を有し、溶媒(D)を除く全成分量を100質量%とするとき、1質量%~30質量%含まれる。フッ素系官能基成分が1質量%未満では形成した膜に撥油性を付与できず、30質量%を超えると膜の弾き等が発生し成膜性に劣る。好ましいフッ素系官能基成分の含有割合は2質量%~28質量%である。またフッ素系官能基成分(A)と球状コロイダルシリカ粒子(B)とを合計した含有割合は、溶媒(D)を除く全成分量を100質量%とするとき、30質量%~90質量%、好ましくは35質量%~85質量%である。更に球状コロイダルシリカ粒子(B)に対するフッ素系官能基成分(A)の質量比(A/B)が0.05~0.50、好ましくは0.07~0.4の範囲にある。
溶媒を除いた液組成物中、成分(A)と粒子(B)とを合計して、30質量%未満では、撥水撥油性膜の撥油性能が低下する。また合計して90質量%を超えると、カルボキシル基含有物等(C)の含有量が相対的に低くなり、液組成物を基材に成膜したときに、撥水撥油性膜が不織布の繊維表面に堅牢に結着しなくなる。また質量比(A/B)が0.05未満では、撥水撥油性膜が撥油性に劣り、0.50を超えると、撥水撥油性膜の不織布の繊維表面への密着性が低下する。上記溶媒(D)は、水又は炭素数1~4のアルコールの含有割合が40質量%以下の水である。炭素数1~4のアルコールの含有割合を40質量%以下とするのは取扱い上の安全性と液組成物の保存安定性のためである。また水と炭素数1~4のアルコールとを混合した混合溶媒にすることにより、乾燥速度が向上し、成膜性が改善される。炭素数1~4のアルコールとしては、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、2-メチル-2-プロパノールが挙げられる。
〔不織布の繊維表面への撥水撥油性膜の形成方法〕
本実施形態の不織布の繊維表面に撥水撥油性膜を形成するには、撥水撥油性膜形成用液組成物に不織布をディッピングして撥水撥油性膜形成用液組成物から引上げ、大気中、室温で不織布を水平な金網等の上に拡げて一定の液分量になるまで脱液する。別法として、引き上げた不織布を振り払って余分な液を除去するか、或いは引き上げた不織布をマングルロール(絞り機)に通して脱液する。脱液した不織布は、大気中、25℃~140℃の温度で0.5時間~24時間乾燥する。これにより、図1中央の拡大図に示すように、不織布20を構成している繊維20cの表面に撥水撥油性膜21が形成される。脱液量が少ない場合には、撥水撥油性膜は厚膜に不織布の繊維表面に形成され、脱液量が多い場合には、撥水撥油性膜は薄膜に不織布の繊維表面に形成される。
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。先ず、フッ素含有球状コロイダルシリカ粒子の分散液を調製する合成例1~4及び比較合成例1~4を説明し、次いでこれらの合成例及び比較合成例を用いた撥水撥油性膜形成用液組成物の調製とエアフィルタの製造に関する実施例1~4及び比較例1~4を説明する。
〔フッ素含有球状コロイダルシリカ粒子の分散液を調製するための合成例1~4、比較合成例1~4〕
<合成例1>
フラスコにエタノール63.5gと水63.5gとテトラエトキシシラン73.0gを入れ、撹拌した後、1.3質量%濃度のアンモニア水10gを滴下した。滴下終了後、混合液を加温し、温度が40℃に到達した時点から24時間撹拌して熟成した。その後、室温まで徐冷して、平均粒子径が100nmの球状コロイダルシリカ粒子の分散液の前駆体を得た。この球状コロイダルシリカ粒子の粒径分布のキュムラント多分散指数は0.39であった。得られた液をロータリーエバポレーターで、溶媒を蒸発させ、SiO2濃度30%に調整して球状コロイダルシリカ粒子の分散液を調製した。上記平均粒子径は、堀場製作所製LA-960にて測定して求めた。
この球状コロイダルシリカ粒子の分散液(SiO2濃度30%)が50.0g入ったビーカーに、上述した式(19)で表されるフッ素系化合物を7.50g添加し混合して、フッ素系化合物を加水分解し、フッ素含有球状コロイダルシリカ粒子の分散液を得た。球状コロイダルシリカ粒子の分散液の調製にアンモニア水を用いたため、触媒は使用しなかった。球状コロイダルシリカ粒子(B)に対するフッ素系官能基成分(A)の質量比(A/B)は0.47であった。
<合成例2>
熟成温度を65℃に変えた以外、合成例1と同様の方法で、平均粒子径が300nmの球状コロイダルシリカ粒子の分散液を調製した。図3に、この分散液中の球状コロイダルシリカ粒子の走査型透過型電子顕微鏡写真図を示す。また図4に、分散液中の球状コロイダルシリカ粒子の粒度分布図を示す。この粒径分布のキュムラント多分散指数は0.32であった。この分散液が50.0g入ったビーカーに、上述した式(20)で表されるフッ素系化合物を0.90g添加し混合して、フッ素含有球状コロイダルシリカ粒子の分散液を得た。球状コロイダルシリカ粒子(B)に対するフッ素系官能基成分(A)の質量比(A/B)は0.05であった。
<合成例3>
合成例2と同じ、平均粒子径が300nmの球状コロイダルシリカ粒子の分散液が50.0g入ったビーカーに、上述した式(21)で表されるフッ素系化合物を1.65g添加し混合して、フッ素含有球状コロイダルシリカ粒子の分散液を得た。球状コロイダルシリカ粒子(B)に対するフッ素系官能基成分(A)の質量比(A/B)は0.10であった。
<合成例4>
熟成温度を75℃に変えた以外、合成例1と同様の方法で、平均粒子径が500nmの球状コロイダルシリカ粒子の分散液を調製した。この球状コロイダルシリカ粒子の粒径分布のキュムラント多分散指数は0.30であった。この分散液が50.0g入ったビーカーに、上述した式(27)で表されるフッ素系化合物を3.00g添加し混合して、フッ素含有球状コロイダルシリカ粒子の分散液を得た。球状コロイダルシリカ粒子(B)に対するフッ素系官能基成分(A)の質量比(A/B)は0.19であった。
<比較合成例1>
平均粒子径が230nmの二酸化チタンの水分散液(R32、堺化学社製、TiO2濃度30%)が50.0g入ったビーカーに、上述した式(27)で表されるフッ素系化合物を3.00g添加し混合した。次に、1質量%濃度のアンモニア水0.01gを添加して二酸化チタン粒子の分散液(フッ素含有チタニア粒子の水分散液)を得た。二酸化チタンに対するフッ素系官能基成分(A)の質量比(A/B)は0.19であった。
<比較合成例2>
合成例2と同じ平均粒子径が300nmの球状コロイダルシリカ粒子の分散液が50.0g入ったビーカーに、上述した式(27)で表されるフッ素系化合物を0.60g添加し混合して、フッ素含有球状コロイダルシリカ粒子の分散液を得た。球状コロイダルシリカ粒子(B)に対するフッ素系官能基成分(A)の質量比(A/B)は0.04であった。
<比較合成例3>
合成例2と同じ平均粒子径が300nmの球状コロイダルシリカ粒子の分散液が50.0g入ったビーカーに、上述した式(27)で表されるフッ素系化合物を10.50g添加し混合して、フッ素含有球状コロイダルシリカ粒子の分散液を得た。球状コロイダルシリカ粒子(B)に対するフッ素系官能基成分(A)の質量比(A/B)は0.66であった。
<比較合成例4>
市販されている球状コロイダルシリカ粒子の分散液(ST-30、日産化学社製、平均粒子径12nm、濃度30%)が50.0g入ったビーカーに、上述した式(20)で表されるフッ素系化合物を0.90g添加し混合して、フッ素含有球状コロイダルシリカ粒子の分散液を得た。球状コロイダルシリカ粒子(B)に対するフッ素系官能基成分(A)の質量比(A/B)は0.05であった。
以下の表1に、合成例1~4及び比較合成例1~4のフッ素含有球状コロイダルシリカ粒子の分散液の内容を示す。なお、表1において、フッ素系化合物として式(19)~式(21)及び式(27)で表わされるフッ素含有シランの式中のRはすべてエチル基である。
Figure 2023018691000009
〔撥水撥油性膜形成用液組成物の調製とエアフィルタの製造のための実施例1~4、比較例1~4〕
<実施例1>
合成例1で得られたフッ素含有球状コロイダルシリカ粒子の分散液6.02gにカルボキシル基含有物等の1種である自己反応型のカルボキシル基を有するエチレン-酢酸ビニル-バーサチック酸ビニル共重合樹脂(スミカフレックスS-951HQ、住化ケムテックス社製)10.00gと、水95.18gと工業アルコール(AP-7、日本アルコール産業社製)23.80gからなる溶媒とを混合し、撥水撥油性膜形成用液組成物135gを調製した。エアフィルタの基材として、PET繊維からなる、通気度が13ml/m2/sの東レ社製の不織布G2260-1Sを用いた。上記撥水撥油性膜形成用液組成物にこの不織布をディッピングし、余分な液を振り払い、室温で24時間乾燥させ、通気度が5.9ml/cm2/秒のエアフィルタを作製した。この内容を以下の表2及び表3に示す。
表2において、スミカフレックスS-951HQ等は不揮発分又は固形分と水等の分散媒とを含むため、『分散媒を含むカルボキシル基含有物等』で示す。そのため表2における『溶媒及び分散媒を除く液組成物中の含有割合』は、液組成物中の上記不揮発分又は固形分の含有割合の意味である。また表2における『(C)』の含有割合は、揮発分を除いた不揮発分のカルボキシル基含有物等の含有割合の意味である。また、『(A)+(B)』の含有割合は、フッ素系官能基成分(A)と球状コロイダルシリカ粒子(B)を合計した溶媒を含まない含有割合、即ち不揮発分の含有割合の意味である。また、『(A)+(B)』の含有割合は、フッ素系官能基成分(A)と球状コロイダルシリカ粒子(B)を合計した溶媒を含まない含有割合の意味である。溶媒及び分散媒を除く液組成物中のフッ素系官能基成分(A)の含有割合(%)は、カルボキシル基含有物等(C)の含有割合を考慮して表現をすれば、[(A)/[(A)+(B)+(C)]]の百分率である。
エアフィルタの不織布表面に形成された撥水撥油性膜の組成割合は、以下の方法で確認した。まず、液組成物をガラス板に成膜した後、膜を剥離し、回収した膜をICPを用いて、フッ素(F)とケイ素(Si)の定量分析を行うことで、フッ素(F)の定量値からフッ素系化合物成分(A)を、ケイ素(Si)の分析値から球状コロイダルシリカ粒子(B)の成分の含有割合を算出し、残りをカルボキシル基含有物等(C)の成分として算出したところ、製造条件の各成分の含有割合と不織布の繊維表面の膜の各成分の含有割合が同等であることを確認した。
Figure 2023018691000010
Figure 2023018691000011
<実施例2~4及び比較例1~4>
表2に示すように、実施例2~4では、表1に示す合成例1~4で得られたフッ素含有球状コロイダルシリカ粒子の分散液をそれぞれ用いそれぞれの秤量を決定した。比較例1~4では、表1に示す比較合成例1~4で得られたフッ素含有球状コロイダルシリカ粒子の分散液をそれぞれ用いそれぞれの秤量を決定した。
カルボキシル基含有物等として、実施例2~4及び比較例1~4では、表2に示すように、スミカフレックス(住化ケムテックス社製)を用いてそれぞれの秤量を決定した。スミカフレックスS-3950(実施例2)は、エチレンー酢酸ビニルーアクリル系であり、S-401HQ(実施例3)はエチレンー酢酸ビニル系であり、S-803(実施例4)はエチレンー酢酸ビニルー塩化ビニル系である。
表3に示す通気度の異なる不織布の形態と種類を選定して、実施例2~4及び比較例1~4の各撥水撥油性膜形成用液組成物に、選定した不織布からなる基材を、実施例1と同様にして、ディッピングし、脱液・乾燥して表3に示す特性を有するエアフィルタを得た。
<比較試験及び評価>
(1) 撥水性試験
実施例1~4及び比較例1~4で得られた8種類の水平に置いたエアフィルタに、それぞれ別々に、水1mlを上方から滴下した後、5分経過後の状態を確認した。5分後もエアフィルタが水を弾いている状態であれば、『撥水性』が良好であるとし、水が染み込んだ状態である場合は、『撥水性』が不良であるとした。
(2) 撥油性試験
金属製品を切削油を用いて加工する工作機械から飛散するオイルミストと粉塵に模して、ヘキサデカンと酸化鉄(III)(富士フイルム和光純薬社製)を質量比で80:20の割合で自転公転撹拌機に投入して撹拌混合し、模擬液を得た。実施例1~4及び比較例1~4で得られた8種類の水平に置いたエアフィルタに、それぞれ別々に、得られた模擬液1mlを上方から滴下した後、エアフィルタを鉛直に立てて、模擬液の転落性を確認した。模擬液がエアフィルタに染みこんだものは、エアフィルタの撥油性が『不良』であるとし、模擬液がエアフィルタから転落するものをエアフィルタの撥油性が『良好』であるとした。
表3から明らかなように、比較例1のエアフィルタは、平均粒子径が230nmである金属酸化物(二酸化チタン)粒子を含む比較合成例1から撥水撥油性膜形成用液組成物を調製し、この液組成物に不織布をディッピングし、脱液し乾燥して作られた。粒子が球状コロイダルシリカ粒子でなく、単分散が難しく粒子が2個もしくは3個以上の凝集体の分散体であった。このため、粗大な塊が膜に形成され、これにより、粒子が脱落し易く、樹脂中への分散が不十分であった。結果として、撥水性は『良好』であったが、模擬液がエアフィルタに染みこんでエアフィルタから転落せず、撥油性が『不良』であった。
比較例2のエアフィルタは、フッ素含有球状コロイダルシリカ粒子の分散液における『(A)/(B)』が0.04であり、溶媒(D)を除く液組成物中の『(A)+(B)』の含有割合が20質量%であり、膜中のフッ素系官能基成分(A)の含有量が少な過ぎた。このため、エアフィルタの通気度が31.5ml/cm2/秒と高過ぎ、水がエアフィルタに染みこんで、撥水性が『不良』であり、かつ模擬液もエアフィルタに染みこんでエアフィルタから転落せず、その撥油性が『不良』であった。
比較例3のエアフィルタでは、フッ素含有球状コロイダルシリカ粒子の分散液における『(A)/(B)』が0.66であり、溶媒(D)を除く液組成物中の『(A)+(B)』の含有割合が95質量%であり、膜中のフッ素系官能基成分(A)の含有量が多過ぎた。このため、水がエアフィルタに染みこんで、撥水性が『不良』であり、かつ模擬液もエアフィルタに染みこんでエアフィルタから転落せず、その撥油性が『不良』であった。
比較例4のエアフィルタでは、フッ素含有球状コロイダルシリカ粒子の分散液における『(A)/(B)』が0.05であったが、平均粒子径が12nmと小さ過ぎたため、粒子の比表面積が大きいことから、撥水性は『良好』であったが、模擬液がエアフィルタに染みこんでエアフィルタから転落せず、撥油性が『不良』であった。
それに対して、実施例1~4のエアフィルタでは、フッ素系官能基成分が式(1)又は式(2)であり、球状コロイダルシリカ粒子の平均粒子径が100nm~500nmの範囲にあり、溶媒(D)を除く液組成物中のフッ素系官能基成分(A)と球状コロイダルシリカ粒子(B)とを合計した含有割合が30質量%~90質量%であり、『(A)/(B)』が0.05~0.50の範囲にあって、エアフィルタの通気度が1ml/cm2/秒~30ml/cm2/秒の範囲にあって、第1の観点の発明の範囲を満たしていることから、水がエアフィルタに弾かれて撥水性はすべて『良好』であり、かつ模擬液がエアフィルタから転落し、その撥油性もすべて『良好』であることを確認できた。
本発明のエアフィルタは、金属製品を切削油を用いて加工する切削機や旋削機等の工作機械のある作業環境で用いられる。
10 エアフィルタ
20 不織布
20a 不織布の一面
20b 不織布の他面
20c 不織布の繊維
20d 不織布の気孔
21 撥水撥油性膜
21a フッ素含有球状コロイダルシリカ粒子
21b カルボキシル基含有物等
22 オイルミストの油粒子
23 粉塵の粒子

Claims (10)

  1. オイルミストと粉塵を含む空気が流入する一面と、この一面に対向し前記空気が流出する他面との間を貫通する多数の気孔が繊維間に形成された不織布を含むエアフィルタであって、
    前記不織布の繊維表面に撥水撥油性膜が形成され、
    前記撥水撥油性膜は、下記の一般式(1)又は式(2)で示されるペルフルオロエーテル構造を含むフッ素系官能基成分(A)が結合した球状コロイダルシリカ粒子(B)と、自己反応型のカルボキシル基及び/又はアセチル基含有物(C)とを含み、
    前記球状コロイダルシリカ粒子(B)は、平均粒子径が100nm~500nmの範囲にあり、
    前記自己反応型のカルボキシル基及び/又はアセチル基含有物(C)は、前記撥水撥油性膜に、前記膜を100質量%とするとき、10質量%~70質量%の割合で含まれ、
    前記フッ素系官能基成分(A)と前記球状コロイダルシリカ粒子(B)とは、合計して前記撥水撥油性膜に、前記膜を100質量%とするとき、30質量%~90質量%の割合で含まれ、
    前記球状コロイダルシリカ粒子(B)に対する前記フッ素系官能基成分(A)の質量比(A/B)が0.05~0.50の範囲にあり、
    前記エアフィルタの通気度が1ml/cm2/秒~30ml/cm2/秒であることを特徴とするエアフィルタ。
    Figure 2023018691000012
    上記式(1)及び式(2)中、p、q及びrは、それぞれ同一又は互いに異なる1~6の整数である。炭素骨格は、直鎖状又は分岐状であってもよい。また上記式(1)及び式(2)中、Xは、炭素数2~10の炭化水素基であって、エーテル結合、CO-NH結合、O-CO-NH結合及びスルホンアミド結合から選択される1種以上の結合を含んでいてもよい。更に上記式(1)及び式(2)中、Yはシランの加水分解体又はシリカゾルゲルの主成分である。
  2. 前記自己反応型のカルボキシル基及び/又はアセチル基含有物(B)が、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、又はエチレン-酢酸ビニル-アクリル酸共重合体である請求項1記載のエアフィルタ。
  3. 前記不織布が単一層により構成されるか、又は複数層の積層体により構成される請求項1記載のエアフィルタ。
  4. 前記不織布を構成する繊維がポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ガラス、アルミナ、炭素、セルロース、パルプ、ナイロン及び金属からなる群より選ばれた1種又は2種以上の繊維である請求項1又は3記載のエアフィルタ。
  5. フッ素含有球状コロイダルシリカ粒子の分散液と、自己反応型のカルボキシル基及び/又はアセチル基含有物と、水又は炭素数1~4のアルコールの含有割合が40質量%以下の水である溶媒とを混合して撥水撥油性膜形成用液組成物を調製する工程と、
    前記撥水撥油性膜形成用液組成物に不織布をディッピングする工程と、
    前記ディッピングした不織布を脱液し乾燥する工程と
    を含み、
    前記フッ素含有球状コロイダルシリカ粒子が、請求項1記載のフッ素系官能基成分(A)が結合した球状コロイダルシリカ粒子(B)であるエアフィルタの製造方法。
  6. 前記フッ素含有球状コロイダルシリカ粒子の分散液が、球状コロイダルシリカ粒子を分散媒に分散させて球状コロイダルシリカの分散液を調製し、前記分散媒が水を含みかつ前記分散媒が中性であるとき、前記分散液に前記フッ素系官能基成分(A)を含むフッ素系化合物を添加混合し、この混合液に触媒を添加混合することにより、調製される請求項5記載のエアフィルタの製造方法。
  7. 前記フッ素含有球状コロイダルシリカ粒子の分散液が、球状コロイダルシリカ粒子を分散媒に分散させて球状コロイダルシリカの分散液を調製し、前記分散媒が水を含まずかつ前記分散媒が中性であるとき、前記分散液に前記フッ素系官能基成分(A)を含むフッ素系化合物を添加混合し、この混合液に水と触媒を添加混合することにより、調製される請求項5記載のエアフィルタの製造方法。
  8. 前記フッ素含有球状コロイダルシリカ粒子の分散液が、球状コロイダルシリカ粒子を分散媒に分散させて球状コロイダルシリカの分散液を調製し、前記分散媒が水を含まずかつ前記分散媒が酸性又はアルカリ性であるとき、前記分散液に前記フッ素系官能基成分(A)を含むフッ素系化合物を添加混合し、この混合液に水を添加混合することにより、調製される請求項5記載のエアフィルタの製造方法。
  9. 前記フッ素含有球状コロイダルシリカ粒子の分散液が、球状コロイダルシリカ粒子を分散媒に分散させて球状コロイダルシリカの分散液を調製し、前記分散媒が水を含みかつ前記分散媒が酸性又はアルカリ性であるとき、前記分散液に前記フッ素系官能基成分(A)を含むフッ素系化合物を添加混合することにより、調製される請求項5記載のエアフィルタの製造方法。
  10. 前記自己反応型のカルボキシル基及び/又はアセチル基含有物(B)が、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、又はエチレン-酢酸ビニル-アクリル酸共重合体である請求項5記載のエアフィルタの製造方法。
JP2021122846A 2021-07-28 2021-07-28 エアフィルタ及びその製造方法 Pending JP2023018691A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021122846A JP2023018691A (ja) 2021-07-28 2021-07-28 エアフィルタ及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021122846A JP2023018691A (ja) 2021-07-28 2021-07-28 エアフィルタ及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023018691A true JP2023018691A (ja) 2023-02-09

Family

ID=85160366

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021122846A Pending JP2023018691A (ja) 2021-07-28 2021-07-28 エアフィルタ及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2023018691A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Peng et al. Durable self-cleaning surfaces with superhydrophobic and highly oleophobic properties
EP2516035B1 (en) Articles, such as filter media, which may include dendrimers and/or other components
JP6677649B2 (ja) 酸焼結相互接続シリカナノ粒子の3次元多孔質ネットワークを有するミクロ多孔質物品及びその製造方法
WO2018143364A1 (ja) 繊維処理用の処理剤、繊維及びその製造方法、並びに繊維シート及びその製造方法
WO2021125257A1 (ja) エアフィルタ及びその製造方法
CN104837934A (zh) 制造超疏水/超亲油涂料、环氧树脂、及复合物的方法
CN109804029A (zh) 具有液体添加剂的疏虫性和疏冰性组合物
JP6996911B2 (ja) 油水分離フィルター
JP6923630B2 (ja) エアフィルタ
JP2023018691A (ja) エアフィルタ及びその製造方法
WO2022209559A1 (ja) エアフィルタ及びその製造方法
JP4980864B2 (ja) 多孔質セラミックスの製造方法
JP7417469B2 (ja) エアフィルタ及びその製造方法
CN111346524B (zh) 复合体
JP7458304B2 (ja) エアフィルタ及びその製造方法
CN111073510B (zh) 一种疏水疏油自清洁材料及其制备方法和应用
JP6923697B1 (ja) エアフィルタ及びその製造方法
JP6923724B1 (ja) エアフィルタ及びその製造方法
JP5536537B2 (ja) エアフィルタ用濾材
JP2023070902A (ja) エアフィルタ及びその製造方法
JP2022037268A (ja) 油水分離フィルタ及びその製造方法
JP2023090042A (ja) 油水分離フィルタ及びその製造方法
JP2022084333A (ja) 油水分離フィルタ及びその製造方法
JP2021181076A (ja) 油水分離フィルタ及びその製造方法
정선아 Superhydrophobicity of Textile Membrane with Hierarchical Structured Roughness

Legal Events

Date Code Title Description
RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20220427