JP3042703B2 - パーフッ素化有機物質を製造する直接フッ素化法 - Google Patents

パーフッ素化有機物質を製造する直接フッ素化法

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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、パーフッ化有機物質、およびそれらのパー
フッ素化可能な前駆体、例えば、エーテル、アルコー
ル、カルボン酸エステル、酸フッ化物、フッ素化スルホ
ニル、およびスルホネートエステルの直接フッ素化によ
りそれらを製造する方法に関する。
直接フッ素化におけるいくつかの比較的最近の進歩の
前には、フッ素、F2、と有機化合物との高度に発熱性の
反応には急速な熱の発生、並びに炭素−炭素の切断また
は断片化、ポリマーの形成、発火、燃焼、および激しい
爆発のごとき1又は複数の反応が伴い、熱の除去は直接
フッ化における主要な問題であることは一般に受け入れ
られていた−−参照、米国特許第4,523,039号[ラゴウ
(Lagow)ら]およびカーク−オスマー(Kirk−Othme
r)「化学技術の百科事典(Encyclopedia of Chemical
Technology)」、第3版、Vol.10,pp.636,840−855,ジ
ョン・ウィリー・アンド・サンズ・インコーポレーテッ
ド(John Wiely & Sons,Inc.)、ニューヨーク(198
0)。
直接フッ素化反応における問題を克服するために提案
されてきた、種々のフッ素化の方法または技術は、フッ
素の不活性ガスによる希釈、低い温度の使用、熱を消散
するための不活性溶媒の使用、部分的にフッ素化した出
発物質の使用、有機供給物の希釈、フッ化水素スカベン
ジャーの使用、およびこれらの技術の組み合わせ、例え
ば、アドコック(Adcock)ら、ジャーナル・オブ・アメ
リカン・ケミカル・ソサイアティー(J.Am.Chem.So
c.),103,6937(1981)に記載するものである。アドコ
ック(Adcock)らの方法において、フッ素化を実施する
とき、有機物質を蒸発させそして低い温度において(最
初に−65℃)フッ化ナトリウムのエアゾール粒子のまわ
りに凝集させるが、フッ化生成物、例えば、テトラエチ
レングリコールジメチルエーテルの収率は相対的低い。
米国特許第4,755,567号[ビールシェンク(Bierschen
k)ら、]は、最近の改良、すなわち、フッ化水素スカ
ベンジャー、例えば、フッ化ナトリウムの存在下に、例
えば、30〜40℃の温度において、炭化水素エーテル、例
えば、ポリエチレンオキシドおよびポリジオキソランを
直接フッ素化することを開示している。このビールシェ
ンク(Bierschenk)らのフッ素化技術はパーフッ素生成
物のかなりの収量をもたらすが、その生成物は、断片化
のために、予測したものより低い分子量の分画を含有す
る。
他のフッ素化方法は欧州特許出願第0077114号[ザ・
グリーン・クロス・コーポレーション(the Green Cros
s Corp.)]、1983年4月20日発行、に記載されてお
り、ここでフッ素化は不活性液状媒質、例えば、パーフ
ッ素化学物質中で、未希釈のフッ素を化学量論的量的に
過剰に使用して実施され、パーフッ素化生成物の相対的
にすぐれたまたは高い収率は、部分的にフッ素化した前
駆体の使用を明らかに必要とし、そして好ましくは紫外
線を必要とする。
米国特許第4,686,024号[シェレル(Scherer)ら]
は、出発物質がその中に可溶性である反応媒質としてパ
ーフルオロヘキサン、1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリ
フルオロエタン、またはその混合物の中で、部分的にフ
ッ素化された化合物を希釈または未希釈のフッ素で液相
光フッ素化することを開示している。
欧州特許出願第0269029号[アウシモント(Ausimon
t)S.p.A.],1988年6月1日発行、は、パーフルオロエ
ーテルを調製する液相法を記載している。この方法は、
不活性ガスで希釈した元素状フッ素を「水素化したエー
テル化合物」とパーフルオロポリエーテル化合物および
アルカリ金属フッ化物の存在下に直接反応させることを
包含する。完全にフッ素化された化合物の高い収率が達
成されるが、この方法はフッ化水素のスカンベンジャー
としてアルカリ金属フッ化物の使用を必要とする。
簡単に述べると、本発明は、1つの面において、パー
フッ素化可能な有機物質、例えば、エーテル、アルコー
ル、カルボン酸エステル、酸フッ化物、フッ化スルホニ
ル、またはスルホネートエステルを出発物質として直接
フッ素化する改良された液相法を提供し、ここでフッ素
化は実質的に有意の量のフッ化水素の不存在で実質的に
行われる。この方法は、温度が制御された反応器におい
て、常態で液状の不活性媒質中の前記有機物質の希釈し
た溶液または分散液を、好ましくは、不活性ガス例えば
窒素で希釈された化学量論的量的に過剰のフッ素ガス、
F2、と、副生物フッ化水素、HF、を揮発させるために十
分な温度および不活性ガス(使用する場合)の流速にお
いて、直接接触させて、前記有機物質をパーフッ素化
し、前記フッ化水素を反応器からそれが生成するとき除
去し(かつそれを再循環させず)、こうしてフッ素化を
実質的にフッ化水素不含環境において実施し、そして反
応器から、パーフッ素化有機物質の生ずる溶液または分
散液を別々に取り出すことを含んでなる。フッ素ガスは
好ましくは不活性ガスで希釈して、これによってフッ化
反応をよりよくコントロールし、そして反応器からの副
生物のフッ化水素の除去を増大させる。パーフッ素化さ
れた有機物質は不活性媒質から、例えば、蒸留により分
離してパーフッ素化有機物質をこの方法の生成物として
得ることができる。あるいは、このパーフッ素化有機物
質の溶媒または分散液は、パーフッ素化有機物質の性質
に依存して、試薬または反応成分で処理し、次いでパー
フッ素化有機物質を不活性媒質から分離することができ
る。
この方法から生ずるパーフッ素化有機物質のそれぞれ
は本発明の新規な面であり、それらの各々は、1または
2以上のパーフルオロ化合物、オリゴマーまたはポリマ
ーを含んで成るか、あるいは本質的にそれから成る。こ
のようなパーフルオロ物質は炭素原子3個当り1または
2個以上の塩素原子、例えば、炭素原子3個当り1個の
塩素原子、または6〜30個またはそれ以上の炭素原子当
り2,3もしくはそれ以上程度に多くの塩素原子を有する
ことができ、 そしてそうでなければ本質的に完全にフッ化されてお
り、すなわち、パーフッ化されており、残留する炭素結
合した水素の含量は一般に0.4mg/gより少なく、好まし
くは約0.1mg/gより少なく、例えば、0.01〜0.05mg/gで
ある。パーフッ素化有機物質は、パーフルオロエーテ
ル、パーフルオロアシルフルオライド、パーフルオロカ
ルボン酸エステル、パーフルオロスルホニルフルオライ
ド、およびパーフルオロスルホネートであることがで
き、これらのクラスの各々における種は既知の実用性を
もつ既知の物質である。
本発明の直接フッ素化法−−それは非常に低い反応温
度または部分的にフッ素化された出発物質を必要とせず
そしてフッ化水素のスカベンジャー、例えば、NaFおよ
び紫外線照明の不存在下に実施するにもかかわらず−−
を実施して高収量のパーフッ素化生成物を生成せしめる
ことができ、望ましくない切断または重合もしくは転位
した生成物の量は、それらが生成したとしても、有意に
低いかあるいは極めて少ない。使用することができる出
発物質は、従来HFと反応性であり過ぎるか、あるいは不
安定であり過ぎて、フッ化水素のスカベンジャーの不存
在下で本発明の方法において使用する温度における直接
フッ素化に耐えることができないと信じられた物質、例
えば、エーテルを包含する。高い収率を提供することに
加えて、本発明の方法は大きく簡素化した方法の装置に
おいて実施することができ、そして固体のフッ化水素の
スカベンジャーを使用する先行技術の方法と比較して増
加した体積の効率を有する。固体のフッ化水素のスカベ
ンジャーの使用は、種々の処理および操作の欠点、例え
ば、固体の取り扱いの問題、スカベンジャーの再生およ
び処理量の制限を伴う。
本発明のフッ素化方法は「バッチ式」の方法で実施す
ることができ、ここでは反応器にパーフッ素化可能な有
機物質(希釈されていないか、あるいは不活性のハロゲ
ン化された液体またはフッ素反応性の液体の中に溶解ま
たは分散されている)および不活性液状反応媒質のバッ
チを供給して、出発物質の濃度を非常に希薄にし、例え
ば、約10重量%までにし、次いでフッ素ガス(好ましく
は不活性キャリヤーガス)を出発物質の溶液または分散
液を通して連続的に泡立てて通入し、副生物のフッ化水
素を反応器からガスとして連続的に除去し(未反応のフ
ッ素ガスと一緒に)、この除去は好ましくは反応器を通
る不活性のキャリヤーガスの流れにより促進される。フ
ッ化が完結した後、反応生成物を反応器から取り出す。
あるいは、フッ素化は「半連続的」方法で実施するこ
とができ、ここでは出発物質(希釈されていないか、あ
るいは液体、例えば、不活性のハロゲン化された液体ま
たはフッ素反応性の液体の中に溶解または分散されてい
る)をガス、液体または固体として、不活性液状反応媒
質を含有する反応器の中に連続的にポンプ輸送するか、
あるいは他の方法で供給し、例えば、400mlの不活性液
体の中に約1〜3g/時間の速度で供給し、このときフッ
素ガス(好ましくは不活性ガスにより希釈されている)
を、例えば、約40〜120ml/分のフッ素の流速および約15
0〜600ml/分の不活性ガスの流速で泡立てて通入し、副
生物のフッ化水素および未反応のフッ素ガスを反応器か
ら連続的に除去し、この除去は好ましくは不活性キャリ
ヤーガスにより促進される。フッ素化が完結した後、反
応生成物を反応器から取り出す。
フッ化は「連続的」方法で実施することができ、ここ
では出発物質(希釈されていないか、あるいは不活性の
ハロゲン化された液体またはフッ素反応性の液体の中に
溶解または分散されている)を、前述したように、不活
性液状反応媒質を含有する反応器の中に連続的に供給
し、このときフッ素ガス(好ましくは不活性ガスにより
希釈されている)を液体の反応混合物の中に泡立てて通
入する。未反応のおよび反応した出発物質の溶液または
分散液、未反応のフッ素の流れ、フッ化水素ガスおよび
不活性のキャリヤーガスを反応器から連続的に取り出
し、そして必要な分離を実施してパーフッ素化生成物を
回収することができ、そして必要に応じて、未反応のフ
ッ素および未反応の出発物質を再循環する。反応器内の
不活性液状媒質の量は再循環した液体または新鮮な液体
の添加により一定に維持する。
一般に、出発物質の連続的添加は好まく、そして収率
を高くし、生成物の品質をよくし、そしてフッ素の使用
をより効率的にするが、バッチのモードは、「磨き(po
lishing)」仕上げ工程(後述する)を使用する場合、
同様な利点を有する。
本発明の方法において不活性の反応媒質として使用す
るために適当な液体は、出発物質のための溶媒または分
散剤として機能し、そして希釈されたフッ素と認められ
得る程度に反応しないもの、すなわち、利用する温度に
おいてフッ素に対して比較的不活性である媒質である。
不活性の反応媒質中の出発物質の濃度を比較的低くし
て、反応温度の制御をより容易にする。このような反応
媒質として有用な液体の例は、次のものを包含する:パ
ーフルオロアルカン、例えば、パーフッ素化ペンタン、
ヘキサン、ヘプタン、オクタン、およびデカリン、パー
フルオロエーテル、例えば、フリオリナート(Fluorine
rtR)FC−75、クリトックス(KrytoxR)およびフォムブ
リン(FomblinR)、パーフルオロトリアルキルアミン、
例えば、フルオリナート(FluorinertR)FC−40、クロ
ロフルオロカーボン、例えば、フレオン(FreonR)11
3、1,1,2−トリクロロトリフルオロエタン、およびフレ
オン(FreonR)11、フルオロトリクロロメタノン、クロ
ロフルオロエーテル、例えば、2,5,5−トリクロロパー
フルオロ−2−ブチルテトラヒドロフラン、パーフルオ
ロ−ビス(クロロエチル)エーテル、およびパーフルオ
ロポリエピクロロヒドリン、パーフルオロアルカンスル
ホニルフルオライド、例えば、パーフルオロ−1,4−ブ
タンジスルホニルフルオライドおよびパーフルオロブタ
ンスルホニルフルオライド、およびそれらの混合物。こ
れらの不活性媒質は便利には大気圧下に使用する。上記
のクラスの低分子量の構成員もまた使用することができ
るが、そのとき液相を得るために高圧を必要とする。あ
る場合において、反応媒質としてパーフッ素化生成物を
使用することができ、その使用は反応媒質からのパーフ
ッ素化生成物の分離を不必要とすることができる。出発
物質の希釈(不活性の液体の反応媒質)へのその添加の
前)における使用に適する液体は、次のものを包含す
る:前述の不活性液体ならびに希フッ素とある程度反応
する液体、例えば、四塩化炭素、クロロホルム、および
1または2つの水素を含有するフッ化アルカン、または
ハロゲンをほとんどあるいは全く含有しないが、それら
自体有用な生成物にパーフッ素化され得る物質。
本発明の方法において使用する反応器は、温度を制御
するための冷却ジャケットまたは内部冷却コイル、フッ
素ガスをその中に泡立てて通入するとき反応混合物を激
しく攪拌するための攪拌機、並びに揮発した反応媒質お
よび/または低沸点のパーフッ素化生成物を回収すべき
場所は還流凝縮器、を装備することができる。一般に、
反応温度は、フッ化水素の副生物を揮発しかつ流れる不
活性ガスの助けにより、副性物が発生したときフッ素化
反応器からの副生物のパージを引き起こすために十分
な、約0℃〜約+150℃、好ましくは約0℃〜約+50
℃、最も好ましくは約10℃〜30℃の範囲の温度に維持す
る。凝縮器の設計および温度は反応器へのフッ化水素の
戻りを最小とするか、あるいは防止するようなものであ
るべきである。これは、不活性液状媒質および他の有機
物質を選択的に凝縮して、フッ化水素が凝縮器を通過す
るようにするか、あるいはフッ化水素、不活性液状反応
媒質および他の有機物質を別の容器の中に完全に凝縮
し、次いでフッ化水素を上の液相として分離しそして、
必要に応じて、下の液相を再循環することによって達成
される。フッ化水素の戻りを最小とするか、あるいは防
止することは、フッ化水素により悪影響を及ぼされる出
発物質、例えば、エーテルおよびオレフィン系物質を使
用する場合、フッ素化水素がフッ化の間に反応器内に保
持されるときに対応するパーフルオロ生成物の収率が一
般に低くなる場合、とくに意味がある。フッ化水素の効
率よい除去するために十分な不活性キャリヤーガスの流
速は、反応器および凝縮器の形状寸法に従い変化する。
しかしながら、−25℃の約6mのコイル状の直径1.27cmの
ステンレス鋼の管から成る凝縮器に接続された20℃の2
リットルのフレオン(FreonR)を含有する反応器におけ
る、窒素中の20%のフッ素の約1300ml/分の速度は、パ
ーフッ素化エーテル生成物の高い収率を与えることを本
発明者らは観察した。フッ素は好ましくは不活性ガス、
例えば、窒素、アルゴン、ヘリウム、CF4またはSF6、好
ましくは窒素中の約5〜50容量%、より好ましくは約10
〜25容量%の濃度で使用し、そしてフッ素化を通じて化
学量論的量的に過剰に、例えば、約15〜40%またはそれ
以上の過剰に維持する。純粋なフッ素もまた使用するこ
とができるが、安全性および経済性の両者を考慮すれば
好ましくない。
本発明の半連続的および連続的方法は、1または数個
の残留水素原子を有するフッ素化された物質を含有する
ことがあるパーフッ素化生成物が生ずるが、生成物は本
質的に完全にフッ化されており、すなわち、パーフッ素
化されており、残留水素含量は約0.4mg/gより少なく、
一般に約0.1mg/gより少ない。しかしながら、バッチ式
方法は多少高い残留水素含量、例えば、約7mg/gをもつ
生成物を与える。液体の反応生成物を蒸留して、不活性
液状反応媒質および低沸点の副生物を除去することがで
き、そして残留水素含量および微量の望ましくないカル
ボン酸誘導体は蒸留物を高温、例えば、150℃またはそ
れ以上においてフッ素、好ましくは不活性ガス、例え
ば、窒素で希釈したフッ素で処理して、ある意味におい
て、生成物を「磨く(polish)」ことにより本質的に完
全に除去することができ、生ずるフッ化水素およびカル
ボニルフルオライドはこの磨き技術において使用した未
反応のフッ素ガスと一緒に除去される。(所望の最終生
成物がパーフッ素カルボン酸である場合、この磨き技術
は効果的に利用することができない。)あるいは、非官
能性パーフッ素化生成物は塩基、例えば、水酸化カリウ
ムで処理することによって精製することができる。パー
フッ素化酸は塩基で処理し、次いで酸性化および蒸留す
ることによって精製することができる。
出発物質として使用することができる有機物質は、
「パーフッ素化可能な」物質、すなわち、フッ素により
置換されうる炭素と結合した水素原子を含有し、そして
フッ素で飽和されうる炭素−炭素不飽和を含有すること
ができる物質である。本発明の方法によりパーフッ素化
することができる有機物質の代表例は、次のものを包含
する:モノエーテル、例えば、ジオクチルエーテル、グ
リム、例えば、ヘプタエチレングリコールジメチルエー
テル、ポリエーテル、例えば、ポリエピクロロヒドリン
およびポリエチレングリコール、アルコール、例えば、
オクタノールおよびブトキシエトキシエタノール、アセ
タール、例えば、ポリジオキソラン、ポリトリオキソカ
ン、ポリメチレンオキシド、ポリブチリルアルデヒド、
ビス(2−ブトキシエトキシ)メタン、3,6,9,11−テト
ラオキサヘプタデカン、5,7,10,13−テトラオキサヘプ
タデカン、2,14−ジメチル−4,7,9,12−テトラオキサペ
ンタデカン、3,6,9,11,14,17−ヘキサオキサノナデカ
ン、2,5,7,10,13,16,18,21−オクタオキサドコサン、3,
6,8,11,14,16,19−ヘウタオキサヘネイコサン、および
3,5,8,11,14−ペンタオキサオクタデカン、カルボン酸
エステル、例えば、2−メチルアセテート、ジメチルア
ジペート、カプロラクトン、メチルカプリレート、n−
オクチルアセテート、n−オクタデシルアセテート、メ
チルベンゾエート、ポリエチレングリコールビス(トリ
フルオロアセテート)、テトラエチレングリコールジア
セテートおよび2−(2−エトキシ)エトキシエチルア
セテート、およびポリエチレングリコールモノメチルエ
ーテルモノアセテート、フッ化スルホニル、例えば、オ
クタンスルホニルフルオライド、酸フッ化物、例えば、
オクタノイルフルオライド、およびベンゾイルフルオラ
イド、およびスルホネート、例えば、メチルオクタンス
ルホネート。
本発明の方法により調製される新規なパーフッ素化有
機物質は、次のものを包含する:パーフルオロ(2−エ
トキシ−2−エトキシエチルアセテート)、パーフルオ
ロ(テトラエチレングリコールジアセテート)、ジメチ
ルパーフルオロ−3,6,9−トリオキサウンデカン−1,11
−ジオエート、パーフルオロ(ポリエチレングリコール
モノメチルエーテルモノアセテート)、メチルパーフル
オロメトキシポリ(エチレンオキシ)アセテート、パー
フルオロ(ポリエチレングリコールジアセテート)、パ
ーフルオロ(ポリエチレングリコールのアルファ、オメ
ガ−ビスカルボキシメチルエステル)のジメチルエステ
ル、パーフルオロ(メチルカプリレート)、パーフルオ
ロ(オクチルアセテート)、パーフルオロ(オクタデシ
ルアセテート)、パーフルオロ(n−オクタデコン
酸)、パーフルオロ(ジメチルアジペート)、パーフル
オロ(メチル−3−n−ペンチルオキシプロピオネー
ト)、メチルパーフルオロ−3−n−ペンチルオキシプ
ロピオネート、およびパーフルオロカプロラクトン。
本発明の方法により調製されるパーフッ素化エーテル
は、圧媒体、熱媒液、腐食性環境のためのポンプ流体、
はんだづけのために蒸気相凝縮加熱のための流体および
ポリマー硬化の応用に有用な不活性流体である。パーフ
ッ素化されたカルボン酸誘導体およびスルホン酸誘導体
は、例えば、フルオロアルコールアクリレートに対する
前駆体として、フルオロケミカルの性質を付与するため
の炭化水素物質の化学的または物理学的組み込みまたは
処理のために有用であり、そしてそれらの塩と同様によ
く、表面活性剤として有用である酸に転化することがで
きる。パーフッ素化エーテル酸は、不活性パーフッ素化
エーテル流体への転化に有用である。
次の実施例によって、本発明をさらに説明するが、こ
れらの実施例に記載する特定の物質およびそれらの量、
ならびに他の条件および細部は本発明を不都合に限定す
るものと解釈すべきではない。
実施例 実施例1 2リットルのジャケット付きモネル(MonelR)金属の
容器に、磁気駆動攪拌機、ガス供給ライン、有機反応成
分の供給ライン、および還流凝縮器を装備した。ガス供
給ラインは0.3cmの直径の管であり、攪拌機の底のイン
ペラーより下の点に到達させた。有機反応成分の供給ラ
インは、0.15cmの直径の管であり、シリンジポンプに接
続した。還流凝縮器は約6mの2本のコイル状同心管から
成り、内側の管は1.27cmの直径を有し、そして外側の管
は2.54cmの直径を有した。反応器からのガスは内側の管
内で冷却媒体のエチレングリコール−水で冷却し、この
媒体は2本の管の間の環状空間を流れた。反応器に1.8
リットルのフレオン113を供給し、そして650ml/分の窒
素で20分間パージした。ガスの流れを160ml/分のフッ素
および650ml/分の窒素の混合物に交換した。12分後、5
7.7g(0.23モル)のビス(ブトキシエトキシ)メタンお
よびフレオン113の250mlの混合物の注入を12ml/時間で
開始した。反応器の内容物を約19〜20℃に反応を通じて
維持した。凝縮器の温度は約−22℃であった。フッ素の
流れを有機物の供給の終了後10分続けた。次いで、反応
器を窒素で1時間パージした。反応器の内容物を取り出
し、そして30℃において真空蒸留した。残留物は115.9g
であり、ガスクロマトグラフィーの分析(GC)により8
6.7%の純度のパーフルオロ−ビス(2−ブトキシエト
キシ)メタンであることが示された。同様な実験のH−
nmr分析は0.07mg/gの残留水素原子を示した。
実施例2 反応器は前述のものと本質的に同一であるが、異なる
凝縮器、すなわち、1mの長さの3本の同心管のアセンブ
リーを装備し、エチレングリコール−水の冷却媒体は中
央管およびアセンブリーの外側の環状空間を流れ、そし
て反応器の流出液は内側の環状空間を通してその中に垂
れ下がる入口管を経て流れ、次いで内側の環状空間の上
端における出口を経て出た。反応器の2リットルのフル
オリナート(Fluorinert)FC−72を供給し、そして610m
l/分の窒素で10分間パージした。ガスの流れを164ml/分
のフッ素および610ml/分の窒素の混合物に供給した。15
分後、60.0のビス(2−ブトキシエトキシ)メタンの注
入を3.09ml/時間で開始した。反応器の温度は約18〜20
℃に維持し、そして凝縮器は−26℃に維持した。有機試
薬の添加が完結した後、ほぼ10分間フッ素の流れを続け
た。反応器を窒素で1時間パージし、そして反応器の内
容物を取り出した。3−位置のサイダー(Syder)カラ
ムによる蒸留は、パーフルオロ−ビス(2−ブトキシエ
トキシ)メタンの58%の収率を生成した。
実施例3 実施例2と同一の方法において、97.2gのビス(2−
ブトキシエトキシ)メタンを20時間かけて約70℃におい
てフルオリナートFC−75中でフッ化して、パーフルオロ
−ビス(2−ブトキシエトキシ)メタンを55%の収率を
生成した。
実施例4 実施例2と同一の方法において、フルオリナートFC−
87を反応媒質として使用して、パーフルオロ−ビス(2
−ブトキシエトキシ)メタンを42%の収率を生成した。
実施例5 実施例1において前述したのと同一の反応器に、2リ
ットルのフレオン113を供給し、そして1000ml/分の窒素
で20分間パージした。ガスの流れを325ml/分のフッ素お
よび1000ml/分の窒素の混合物に切り替えた。5分後、1
54.7g(0.88モル)の2−エトキシ−2−エトキシアセ
テートおよびフレオン113の200mlの混合物を10ml/時間
で注入し始めた。反応器の温度は実験を通じて約20℃に
維持した;凝縮器は約−22℃であった。有機供給物の供
給が終わった後、ほぼ10分間フッ素の流れを続けた。反
応器を窒素で3時間パージし、そして反応器の内容物の
フレオン113中の主としてパーフルオロ(2−エトキシ
−2−エトキシエチルアセテート)の溶液を取り出し、
そしてメタノール中に10mlの14%の三臭化ホウ素を含有
するメタノールと混合した。この混合物を水で洗浄し、
そして下の層を硫酸マグネシウムで乾燥した。3−位置
のサイダー(Syder)カラムによる蒸留は、214.9g(69
%)のメチルパーフルオロ(エトキシエトキシアセテー
ト)、沸点110−20℃、を与えた。156gのNaFの存在下の
−6℃における同様な実験は152.0g(48%)を与えた。
実施例6 600mlのアルミニウム反応器に攪拌機、0.6cmのフッ素
供給管、0.15cmの有機供給管、および50cmの長さの真直
ぐの二重管、約1.27cmの直径の内側管および約2.54cmの
直径の外側管、の凝縮器を装備し、エチレングリコール
−水の冷却媒体は2本の管の間の環状空間を流れた。反
応器に400mlのフレオン113を供給し、そして窒素でパー
ジした。46.5ml/分のフッ素および170ml/分の窒素の混
合物を液体の中に導入した。次いで、200mlのフレオン1
13中の27.8g(0.1モル)のテトラエチレングリコールジ
アセテートの混合物を液体の中に9.2ml/分で注入した。
反応器の温度を約22℃に維持し、そして凝縮器の温度を
−17℃に維持した。有機反応成分の添加が完結した後、
フッ素の流れを中断し、そして反応器の内容物−−フレ
オン113中の主としてパーフルオロ(テトラエチレング
リコールジアセテート)の溶液−−をメタノール性三臭
化ホウ素で実施例5に記載するように仕上げた。フレオ
ン113をストリッピングすると、28.0g(60%)の粗生成
物が残った。GC分析は73.7%のジメチルパーフルオロ−
3,6,9−トリオキサウンデカン−1,11−ジオエートおよ
び5.4%のメチルパーフルオロ−3,6,9−トリオキサウン
デカノエートを示した。非常に類似した結果がNaFの存
在下に−6℃において観測された。
実施例7 実施例1と同一の方法において、150gのカーボワック
ス(CarbowaxR)550アセテート[カーボワックス(Carb
owaxR)550ポリエチレングリコールモノメチルエーテル
および過剰のアセチルクロライドから作られた]を約20
℃においてフッ素化し、そして生成物のパーフルオロ
(ポリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテー
ト)をメタノール性三臭化ホウ素で洗浄して、164g(45
%)の粗生成物が得られ、これは主としてメチルパーフ
ルオロメトキシポリ(エチレンオキシ)アセテート、CF
3O(C2F4O)nCF2CO2CH3(ここでnは約8〜13である)
であった。
実施例8 実施例1と同一の方法において320gのPEGR600ポリエ
チレングリコールジアセテート(PEG600ポリエチレング
リコールおよび過剰のアセチルクロライドから作られ
た)を、実施例5におけるように、フッ素化し、そして
粗生成物のパーフルオロ(ポリエチレングリコールジア
セテート)を仕上げた。仕上げた生成物は主としてパー
フルオロ(ポリエチレングリコールのアルファ、オメガ
−ビスカルボキシメチルエステル)のジメチルエステ
ル、CH3O2CCF2O(C2F2CF2O)nCF2CO2CH3(ここでnは約
9〜14である)および少量のCF3O(C2F2CF2O)nCF2COOC
H3(ここでnは約14より小さい)の混合物であった。
実施例9 実施例5と同一の方法においてn−オクタデシルアセ
テート(オクタデシルアルコールおよびアセチルクロラ
イドから作られた)を約23℃においてフッ素化した。生
ずるパーフルオロ(n−オクタデシルアセテート)の溶
液を水で洗浄すると、45.5gのパーフルオロ(n−オク
タデカン酸)が得られ、フルロリナートFC−75からの再
結晶化後、融点約155℃であった。
実施例10 実施例5と同一の方法において、ジメチルアジペート
を約23℃においてフッ素化し、そして生成物の主として
パーフルオロ(ジメチルアジペート)の混合物をメタノ
ールで処理した。GCによる分析は主要な生成物がジメチ
ルパーフルオロアジペートであることを示し、少ない量
のメチルパーフルオロバレレートおよびジエステルのヒ
ドリド誘導体が存在した。
実施例11 実施例5と同一の方法において、26.1gのビス(n−
ブトキシエトキシ)エタン(n−ブトキシエタノールお
よびアセトアルデヒドから作られた)をフッ素化した。
生成物を73〜90℃/15トルにおいて蒸留して、70%のパ
ーフルオロビス(n−ブトキシエトキシ)エタンおよび
30%のパーフルオロブトキシ酢酸の混合物がF−nmrに
より決定して得られた。後者を塩基で洗浄して取り出し
すると、純粋なパーフルオロ−ビス(n−ブトキシエト
キシ)エタン、沸点180℃、が得られた。
実施例12 実施例5と同一の方法において、24.7gのn−オクタ
ンスルホニルフルオライドをフッ素化し、そして生成物
を回転蒸発器で30℃において濃縮すると、45.5gの等し
い部のパーフルオロ−n−オクタンスルホニルフルオラ
イドおよびパーフルオロ−n−オクタンの混合物が得ら
れた。
実施例13 実施例5と同一の方法において、91gのポリエピクロ
ロヒドリン(Mn15000)をフッ素化すると、パーフッ素
化類似体が無色の油として得られた(142g)。
実施例14 実施例5と同一の方法において、151gのメチル3−n
−ペンチルオキシプロピオネート(n−ペンタノールを
アセトニトリルに添加し、引き続いてメタノール性HC1
で処理して作られた)をフッ素化し、そして生成物のパ
ーフルオロ(メチル3−n−ペンチルオキシプロピオネ
ート)をメタノールで処理すると、209g(79%)のメチ
ルパーフルオロ−3−n−ペンチルオキシプロピオネー
トが得られた。
実施例15 実施例5と同一の方法において、30.0gのカプロラク
トンをフッ素化し、そして生成物のパーフルオロカプロ
ラクトンをメタノールで処理すると、50.6gの実施例10
のそれに組成が類似する混合物が得られ、GCにより44%
はジメチルパーフルオロアジペートであった。
実施例16 実施例2に記載する反応器システムに2リットルのフ
レオン−113、35.2gのPEG8000ポリエチレングリコール
を供給し、そして窒素で20分間パージした。500ml/分の
窒素および103mlのフッ素の混合物を液体の中に導入し
た。反応器の温度を約17〜18℃に維持し、そして凝縮器
の温度を約−25℃に維持した。16.3時間後、フッ素の流
れを中断し、そして反応器の内容物を濾過して、32.2g
の固体のフッ化物質を得た。液体の濾液を30℃において
真空蒸留すると、13.2gの無色のフッ化油が残留物とし
て得られた。
実施例17 実施例5と同一の方法において、24.3gのn−2−ブ
トキシエトキシエタノールをフッ素化し、そして生ずる
生成物を仕上げると、10.0g粗生成物の主としてメチル
パーフルオロ−2−ブトキシエトキシアセテートが得ら
れた。
本発明の種々の変更および変化は、本発明の範囲およ
び精神を逸脱しないで、当業者にとって明らかとなるで
あろう。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ムーア,ジョージ ジー.アイ. アメリカ合衆国,ミネソタ 55133,セ ント ポール,ピー.オー.ボックス 33427 (56)参考文献 特開 昭55−145628(JP,A) 特開 昭60−139154(JP,A) 特開 昭60−202122(JP,A) 特表 昭63−501297(JP,A) 米国特許3847978(US,A) 西独国特許出願公開1817826(DE, A1) 新実験化学講座14 有機化合物の合成 と反応▲I▼(丸善株式会社),昭和52 年11月20日発行,第308〜311頁 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07C 1/00 - 409/44 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】次の一般式: X−O(CF2CF2O)−Y において、 (1)XがCF3CF2−であり、nが2であり、そしてYが
    −C(O)CF3であり; (2)XがCF3C(O)−であり、nが4であり、そして
    Yが−COCF3であり; (3)XがCF3−であり、nが9〜14であり、そしてY
    が−C(O)CF3であり; (4)XがCF3−であり、nが8〜13であり、そしてY
    が−CF2C(O)OCH3であり; (5)XがCF3C(O)−であり、nが4又は11〜16であ
    り、そしてYが−C(O)CF3であり;あるいは (6)XがCH3OC(O)CF2−であり、nが9〜14であ
    り、そしてYが−CF2C(O)OCH3である; 1個以上のエステル結合を有する酸誘導体の弗素化され
    た化合物。
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