明 細 書 三フッ化ホウ素またはその錯体の回収 · リサイ クル方法 技術分野
本発明は、 三フッ化ホウ素またはその錯体の回収 · リサイ クル方 法に関し、 詳しく は、 触媒と して三フッ化ホウ素またはその錯体を 用いた、 ァルキル化、 ォレフィ ンの縮合反応、 オリ.ゴマー化反応、 重合反応、 縮合反応、 異性化反応を利用した化合物の製造、 石油樹 脂、 クロマンィ ンデン樹脂の製造において、 反応終了後に、 三フッ 化ホウ素またはその錯体を含む溶媒を回収し、 再使用する方法に関 する。 背景技術
三フッ化ホウ素あるいは三フッ化ホウ素と錯化剤 (配位子) から なる三フッ化ホウ素錯体は、 いわゆるフ リ ーデルクラフッ型触媒と してよく知られており、 A 1 C 1 3 、 F e C 1 3 および硫酸等と比 較して、 副反応を抑制し、 主反応だけを効果的に促進するといつた 優れた触媒性能を持っている。 そのため、 三フッ化ホウ素おょぴそ の各種錯体は、 アルキル化、 異性化、 重合、 二量化、 縮合、 付加、 分解および脱水等の種々の化学反応における触媒と して、 工業的に 広く使用されている。
三フッ化ホウ素の主な工業的用途と しては、 例えば、 エチレンと ベンゼンから気相アルキル化によってェチルベンゼンを製造する際 の触媒と しての用途がある。 また、 合成洗剤ゃ抗酸化剤に使われる アルキルベンゼン類は、 ォレフィ ン類と芳香族類との液相アルキル
化反応によ り製造されているが、 この製造の際の触媒にも三フッ化 ホウ素またはその錯体が使用されている。 ·
さ らに、 接着剤や印刷ィ ンク等の分野で広く使用されている石油 樹脂やクロマンィ ンデン樹脂を製造するときの重合触媒と しても三 フッ化ホウ素またはその錯体が使われおり、 この触媒を用いた場合、 製品の劣化や装置の腐食が少ないという効果がある。 以上のように、 三フッ化ホウ素またはその錯体は、 化学工業界の製造触媒と して種 々の用途に供されている触媒である。
三フッ化ホウ素または三フッ化ホウ素と錯化剤 (配位子) からな る三フッ化ホウ素錯体触媒は、 対象とする反応に応じ、 三フッ化ホ ゥ素単独あるいは三フッ化ホウ素に対して種々の化合物を適宜の割 合で配位させた錯体の形態で使用されている。 そして、 三フッ化ホ ゥ素またはその触媒を使用した反応が終了した後には、 三フッ化ホ ゥ素を失活させて、 反応生成物と触媒を分離することが一般的に行 われている。 反応生成物と触媒の分離には、 通常、 反応液に水を加 えて三フッ化ホウ素を失活させ、 反応生成物を水洗する方法、 アン モニァ、 水酸化ナ ト リ ウム、 石灰等の塩基性水溶液で反応液を中和 した後、 反応生成物を水洗する方法が採用されている。
しかしながら、 水洗工程や中和工程においては、 高濃度の三フッ 化ホゥ素の水和物ゃ三フッ化ホゥ素の中和物である、 フッ化物ゃホ ゥ素を含む廃水が排出されるため、 近年、 環境汚染の問題を考慮し ' て、 フッ化物やホウ素を含む廃水の除去対策を講ずることが望まれ ている。 特に、 ホウ素を簡便に除去することは、 現在の排水処理技 術では困難であり、 ホウ素を完全に除去するにはコス トがかかつて しまうため、 ホウ素を低コス トで除去することが望まれている。 さ らに、 三フッ化ホウ素は高価であるため、 除去した三フッ化ホウ素
を回収して再使用することが望まれている。
三フッ化ホウ素または三フッ化ホウ素錯体を触媒と して用いるォ レフィ ンの縮合反応の場合、 反応生成物流体を静置しても、 三フッ 化ホウ素錯体は、 反応生成物にほとんど溶け込んでしまうか、 エマ ルジョ ンを形成してしまい、 反応生成物と三フッ化ホウ素錯体触媒 とを完全に分離することは困難である。 このため、 水による洗滌や 塩基性水溶液による洗滌によって、 反応生成物から三フッ化ホウ素 を取り除いている。 しかしながら、 三フッ化ホウ素錯体に水や塩基 性溶液を加えると、 三フッ化ホウ素触媒は、 B F 3 · ( H 2 0 ) „ のよ うな水錯体や、 三フッ化ホウ素塩類を生成してしまうため、 触 媒と してそのまま繰り返し使用することはできない。 また、 リ ン酸、 酢酸またはフヱノールと B F 3 の錯体を用いて、 触媒層と反応生成 物を分離する方法 (例えば、 特開平 0 2 — 4 5 4 2 9号公報 (第 1 — 6頁) 参照) も知られているが、 触媒濃度を 1 0 %以上と しない と反応が遅く なつてしまう。 また、 反応生成物と触媒との分離が不 十分であ り、 再使用できる触媒量は限られてしまう。 また、 触媒が ブレンステツ ド酸と して作用するため、 異性化等の副反応が起こつ てしまい、 特にォレフィ ンの縮合二量化反応には、 上記分離方法は 採用することができない。
従来、 三フッ化ホウ素の回収方法と しては、 三フッ化ホウ素また は三フッ化ホウ素錯体を含有する反応生成物流体を、 温度 2 0 0 °C 以下でフッ化カルシウム ( C a F 2 ) に接触させ、 生成したテ トラ フルォロホウ酸カルシウム塩 ( C a ( B F 4 ) 2 ) を 1 0 0 〜 6 0 0 °C の温度範囲で加熱することによって、 三フッ化ホウ素とフッ化カル シゥムとを得ることによ り、 三フ ッ化ホウ素を回収する方法がある (例えば、 特開 2 0 0 0 — 1 0 9 3 1 3号公報 (第 1 一 9頁) 参
ハ眧)ノ 。
同様に、 フツイ匕リチウム、 フッ化ス トロンチウムおよびフッ化バ リ ゥムなどのフッ化物を用いてテ トラフルォロホウ酸塩を生成させ
1 0 0 〜 6 0 0 °Cの温度範囲で加熱することによって、 三フッ化ホ ゥ素を回収する方法がある (例えば、 特開 2 0 0 0— 1 8 5 2 2 号公報 (第 1 一 9頁) 、 特開 2 0 0 0 — 1 3 5 4 0 2号公報 (第 1 一 9頁) 、 特開 2 0 0 0 - 1 3 5 4 0 3号公報 (第 1 _ 9頁) 参 照) 。
しかしながら、 三フッ化ホゥ素を触媒と して用いる反応では、 室 温以下の低温で反応させることが必要な場合が多く、 反応終了後、 テ ト ラフルォロホウ酸塩を合成するのに有利な 1 0 0 °C程度の高温 にすると、 副反応が起こって、 目的とする反応生成物の収量の低下 や品質低下を引き起こす。 室温以下の条件では、 ほとんど錯体を形 成しない。 また、 高温での加熱分解反応は、 省エネの観点から好ま しく ない。
また、 反応生成物流体に粘性がある場合、 テ トラフルォロホウ酸 カルシウムなどのホウ酸塩との完全な分離は困難であり、 時間と労 力を必要とするという問題がある。
三フッ化ホウ素錯体の回収方法と して、 三フッ化ホウ素が分散お よび/または溶解してなる非導電性流体に、 直流および/または交 流の電圧を印加することによ り、 非導電性流体から三フッ化ホウ素 錯体を沈降分離させ、 次いで分離した錯体を加温することによ り、 三フッ化ホウ素錯体を回収する方法も知られている (例えば、 特開 2 0 0 1 - 1 0 4 8 0 5号公報 (第 1 一 1 1頁) 参照) 。
しかしながら、 この回収方法においては、 反応終了後、 外部電源 から数百 Vの電圧を 3 0分間以上継続して印加する必要があり、 そ
のままでは反応がさらに進行して副反応が起こつてしまうため、 反 応停止処理が必要となる。 また、 反応混合物に溶解した三フッ化ホ ゥ素錯体が、 常に分離するとは限らないという問題もある。 電気設 備も必要となり、 この回収方法で三フッ化ホウ素錯体を完全に分離 させることは困難であつた。 発明の開示
本発明は、 上記事情に鑑みなされたもので、 三フッ化ホウ素また はその錯体を含有する反応生成物から、 高価かつ有害な三フッ化ホ ゥ素含有化合物を、 高い効率で分離除去し、 反応に再使用する方法 を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、 上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、 三フッ化ホウ素またはその錯体を溶解し、 かつ比較的分子量の大き なォレフィ ン類を溶解しない溶媒系を見出し、 ォレフィ ン類の縮合 反応時に、 触媒系のリサイ クルが可能であることを見出した。 また、 三フッ化ホウ素またはその錯体を触媒とする反応において、 三フッ 化ホウ素またはその錯体を含有する反応生成物から、 上記特定の溶 媒を用いて、 高価かつ有害な三フッ化ホウ素を含有する化合物を、 高い効率で分離除去し、 触媒と して反応に再使用することができる 画期的な方法を見出した。
すなわち、 ヒ ドロフルォロカーボン化合物類を溶媒と して使用す ることによ り、 生成物系に混入する触媒の量が抑えられ、 副生物が 少なくなることも判明した。 また、 ヒ ドロフルォロカーボン化合物 類を抽出溶媒と して使用することによ り、 反応生成物と触媒とを容 易に分離することができることを見出した。
本発明はかかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、 本発明は、 三フッ化ホウ素またはその錯体を触媒とす る反応において、 反応溶媒と して、 ヒ ドロフルォロカーボン化合物 および/または含酸素ヒ ドロフルォロカーボン化合物類を含む溶媒 を使用し、 反応が終了した後、 反応生成物と反応溶媒を分離するこ とを特徴とする触媒の回収方法 ( I ) 、 およびこの方法によ り回収 した触媒を当該反応に再使用することを特徴とする触媒のリサイ ク ル方法を提供するものである。
また、 本発明は、 三フッ化ホウ素またはその錯体を触媒とする反 応において、 反応が終了した後、 抽出溶媒と して、 ヒ ドロフルォロ カーボン化合物および/または含酸素ヒ ドロフルォ口カーボン化合 物を用いて、 反応生成物から三フッ化ホウ素またはその錯体を抽出 するこ とを特徴とする触媒の回収方法 ( I I ) 、 およびこの方法によ り回収した触媒を当該反応に再使用することを特徴とする触媒のリ サイ クル方法を提供するものである。 発明を実施するための最良の形態
本発明の触媒の回収方法 ( I ) では、 三フッ化ホウ素またはその 錯体を触媒とする、 アルキル化反応、 ォレフィ ンの縮合、 オリ ゴマ 一化、 重合、 異性化、 分解、 脱水等の種々の化学反応において、 反 応溶媒と して、 三フッ化ホウ素またはその錯体の少なく とも一部を、 分散および/または溶解する溶媒であって、 目的とする反応生成物 と溶媒系との間で界面を形成する性質を持つヒ ドロフルォロカーボ ン化合物および/または含酸素ヒ ドロフルォロカーボン化合物類を 含む溶媒を使用する。 このよ うな反応溶媒を使用することによ り、 反応終了時に、 静置するだけで、 三フッ化ホウ素またはその錯体を 含む溶媒層と反応生成物層とを形成させ、 反応生成物と触媒とを分
離することができる。 そして、 反応生成物層は後処理系へ、 触媒層 は、 同じ反応系に戻して触媒兼溶媒と して再使用することができる。 上記の条件を満たす溶媒と しては、 ヒ ドロフルォロカーボン化合 物、 ヒ ドロフルォロカーボン化合物の共沸混合物、 ヒ ドロフルォロ カーボン化合物とパーフルォロカーボン化合物の混合物、 含酸素ヒ ドロフルォロカーボン化合物であるェ一テル化合物などが挙げられ る。 ヒ ド.口フルォ口カーボン化合物はフルォ口力一ボンの一種であ り、 オゾン破壊係数が 0で、 成層圏のオゾン層への影響がない化合 物であり、 水素基を有するものである。
ヒ ドロフルォロカーボン化合物と しては、 組成式 C n Hm F 2 n -m + 2
(ただし、 n = 3〜 1 2、 m = 1 〜 2 n ) で表される化合物が挙げ られる。 ただし、 常温で気体の化合物は除く。 処理時に加圧して液 化させる必要があるからである。 nが 1 2 を超えると、 沸点が高く なるため、 取り扱いが煩雑となる。 また、 入手が困難となる。
組成式が C n Hm F 2 n - m+2である ヒ ドロフルォロカーボン化合物 と しては、 1 , 1 , 1 , 2 , 3 , 4 , 4 , 5 , 5 , 5 —デカフルォ 口ペンタン ( C 5 H 2 F 1。 ) ( H F C - 4 3 一 1 0 m e e ) 、
1 , 1 , 1 , 2 , 2 , 3 , 3 4 一才ク タフルォ ブタ ン ( C 4 H 2
F 8 ) 、 1 , 1 , 1 , 3 , 3 ―ペン夕フル才口ブ夕 ン ( C 4 H 5
F 5 ) 、 1 , 1 , 1 , 4 , 4 , 4 一へキサフルォ Dブタン ( C 4 H 4
F 6 ) 、 1 H -パーフルォロへブタ ン ( C 7 H F 1 5 ) 、 1 H—パー フルォ口へキサン ( C 6 H F I 3 ) 、 1 H, 1 H , 2 H—パーフルォ 口オク タン ( C 8 H 3 F 1 5 ) ヽ 1 H , 2 H ハ。—フルォロオク タ ン
( C 8 H 2 t1 1 6ノ 、 1 , 1 , 2 , 2 , 3 - ·'·、·ンタフルォロプロパン
( C 3 H 3 F 5 ) などが挙げられる。 また 、 フッ素原子の一部が水 素原子で置換された炭素数 1 2以下のパーフルォ D環状力一ボン化
合物 (例えば、 1 , 1 , 2 , 1 , 3 , 3 , 4 —ヘプ夕フルォロシク 口ペンタン ( C 5 H 3 F 7 ) 、 2 H , 3 H—パーフルォロデカ リ ン ( C , ο Η 2 F 1 6 ) ) も用いることができる。
また、 含酸素ヒ ドロフルォロカ一ボン化合物と して、 組成式 C„ H m F 2 n - m + 2 0 (ただし、 n = 3〜 1 2、 m = 1 〜 2 n ) で表され るものが挙げられる。 具体的には、 ビス ( 2 , 2 , 2 _ ト リ フルォ ロェチル) エーテル、 ヘプタフルォロプロピル一 1 , 2, 2 , 2 - テ トラフルォロェチルエーテル ( C 5 H F 1 1 0 ) などが挙げられる フッ素原子の一部が水素原子で置換された炭素数 1 2以下のパーフ ルォロ含酸素環状カーボン化合物も用いることができる。
現在、 成層圏のオゾン層の破壊原因と して、 フルォロカーボンが 挙げられており、 それを防ぐためには、 ォゾン層破壊の可能性のな い溶媒を使用しなければならない。 上記ヒ ドロフルォロカーボン化 合物はこの要件を満足するものである。
本発明の触媒の回収方法 ( I ) で用いるヒ ドロフルォロカーボン 化合物および/または含酸素ヒ ドロフルォロカーボン化合物類を含 む溶媒の使用量は、 原料 1 0 0質量部に対して 1 0〜 5 0 0質量部 が好ましく、 5 0〜 2 0 0質量部がよ り好ましい。 溶媒の使用量が 多過ぎると、 反応の容積が大きくなるため、 攪拌や温度の制御が困 難となり、 コス ト上昇につながる。 溶媒の使用量が少な過ぎると、 触媒分離に時間がかかってしまう。
本発明の触媒の回収方法 ( I ) で用いる溶媒と しては、 上記ヒ ド 口フル才ロカーボン化合物および/または含酸素ヒ ドロフルォロ力 一ボン化合物類に、 比重 1 . 1以上のフッ素含有化合物を加えた混 合溶媒であってもよい。 比重 1 . 1以上のフッ素含有化合物と して は、 パーフルォロ化合物、 パーフルォロオク タ ン、 パーフル才口へ
キサン、 パーフルォロポリエーテルなどが挙げられる。 比重が 1 . 1未満であると、 反応生成物を溶媒層から分離するときに分離に時 間がかかり、 分離しにく く なる。 また、 三フッ化ホウ素と錯体を作 る溶媒を用いると、 新しい触媒系と して触媒作用を発現する可能性 があ り、 反応生成物の構造や組成に影響を与える。 また、 副反応の 原因にもなる。
比重 1 . 1 以上のフッ素含有化合物の使用量は、 ヒ ドロカーボン 化合物および/または含酸素ヒ ドロフルォロカーボン化合物類
1 0 0質量部に対して 0〜 1 0 0質量部が好ま しく 、 1 0〜 5 0質 量部がよ り好ま しい。 比重 1 . 1 以上のフッ素含有化合物の添加に よつて分離性は向上するが、 多過ぎると触媒の回収率が低下する傾 向がある。
本発明の触媒の回収方法 ( I ) において、 触媒と して用いる三フ ッ化ホウ素化合物と しては、 三フッ化ホウ素ガス、 三フッ化ホウ素 - ェチルエーテル錯体、 三フッ化ホウ素 · メチルエーテル錯体、 三フ ッ化ホウ素 · ェチルメチルエーテル錯体、 三フッ化ホウ素 · ブチル エーテル錯体、 三フッ化ホウ素 · フヱ ノ一ル錯体、 三フッ化ホウ素 - アルキルアミ ン錯体、 三フッ化ホウ素 . アンモニア錯体、 三フッ化 ホウ素 . ピベリ ジン錯体、 三フッ化ホウ素 ' ト リエタノールァミ ン 錯体、 三フッ化ホウ素 · アルコール錯体、 三フッ化ホウ素 . ケ ト ン 錯体、 三フッ化ホウ素 · アルデヒ ド錯体、 三フッ化ホウ素 · エステ ル錯体、 三フッ化ホウ素 · 酸無水物錯体、 三フッ化ホウ素 · 酸錯体、 三フッ化ホウ素 · ( H 2 0 ) n 錯体 ( n = 1 〜 5 ) などが挙げられ る。
排処理の困難である三フッ化ホウ素錯体を再使用して廃棄物の量 を削減するこ とは、 意義がある。 本発明の方法によ り反応生成物か
ら分離された、 触媒を含む溶媒層は、 そのまま再び反応溶媒と して 使用することができる。 しかし、 原料中の不純物や水分の影響によ り、 繰り返し使用すると反応溶媒中に不純物が蓄積されることがあ る。 この場合、 反応溶媒を蒸留して、 三フッ化ホウ素 · ェ一テル錯 体とヒ ドロフルォロカ一ボン化合物を取り出してもよい。 また、 活 性炭力ラムを通すことによつて不純物を吸着させて精製してもよい。 一方、 本発明の触媒の回収方法 ( Π ) では、 三フッ化ホウ素また はその錯体を触媒とする、 アルキル化反応、 ォレフィ ンの縮合、 ォ リ ゴマー化、 重合、 異性化、 分解、 脱水等の種々の化学反応におい て、 反応生成物と、 未反応の原料と、 使用した触媒との混合物に対 して、 三フッ化ホウ素またはその錯体の少なく とも一部を、 分散お よび/または溶解する溶媒であって、 目的とする反応生成物と溶媒 系との間で界面を形成する性質を持つヒ ドロフルォロカーボン化合 物および/または含酸素ヒ ドロフルォロカーボン化合物を含む溶媒 を抽出溶媒と して使用する。 反応終了時に、 上記抽出溶媒を注入し、 攪拌した後、 静置することにより、 三フッ化ホウ素またはその錯体 を含む溶媒層と反応生成物層とを形成させ、 反応生成物と触媒とを 分離するこ とができる。 そして、 反応生成物層は後処理系へ、 触媒 を含む溶媒層は、 三フッ化ホウ素またはその錯体を蒸留分離して同 じ反応系に戻して触媒と して再使用することができる。 また、 蒸留 しないで抽出溶媒を含んだまま反応に再使用することもできる。
上記の条件を満たす抽出溶媒と しては、 上記触媒の回収方法 ( I ) において例示した溶媒と同様のものが挙げられる。
本発明の触媒の回収方法 ( I I ) で用いるヒ ドロフルォロカ一ボン 化合物および/または含酸素ヒ ドロフルォロカーボン化合物を含む 抽出溶媒の使用量は、 原料 1 0 0質量部に対して 1 0〜 5 0 0質量
部が好ましく 、 5 0〜 2 0 0質量部がより好ましい。 抽出溶媒は全 量を分割して加えて抽出する方が、 抽出効率が いが、 一度に加え る溶媒量が少ないと、 二層への分離に時間がかかつてしまうので、 2 , 3回に分けて抽出することが好ましい。 抽出の温度は室温以下 が好ましい。
本発明の触媒の回収方法 ( I I ) で用いる抽出溶媒としては、 上記 ヒ ドロフルォロカーボン化合物および/または含酸素ヒ ドロフルォ 口カーボン化合物に、 比重 1 . 1以上のフッ素含有化合物を加えた 混合溶媒であってもよい。 この比重 1 . 1以上のフッ素含有化合物 の具体例、 使用量などについては上記触媒の回収方法 ( I ) と同様 であるので、 その説明を省略する。
本発明の触媒の回収方法 ( I I ) において、 触媒と して用いる三フ ッ化ホウ素化合物と しては、 上記触媒の回収方法 ( I ) において例 示したものと同様のものが挙げられる。
三フッ化ホウ素またはその錯体を触媒とする反応において、 反応 が終了した後、 上記抽出溶媒を用いて反応生成物から三フッ化ホゥ 素またはその錯体を抽出すると、 目的とする反応生成物を含む上層 と、 触媒を含む下層とに分離する。 この下層の抽出液を、 蒸留によ つて抽出溶媒と三フッ化ホウ素またはその錯体に分離するには、 ェ チルエーテル等の、 錯化剤と して用いられている溶媒を抽出液に加 えて攪拌し、 公知の方法によ り蒸留すればよい。
排処理の困難である三フッ化ホウ素錯体を抽出分離して再使用し、 廃棄物の量を削減することは、 意義あることである。
次に、 本発明を実施例及び比較例により更に具体的に説明するが、 本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
[実施例 1 ] (触媒の回収)
合成潤滑油の原料と して製造された 2 —メチレン一 3 —メチルビ シクロ [ 2 . 2 . 1 ] ヘプタ ンと 3 —メチレン一 2 —メチルビシク 口 [ 2 . 2 . 1 ] とを合計量で 5 5質量%、 1 , 3 —ジメチルビシ クロ [ 2 . 2 . 1 ] ヘプトー 2 —ェン 3 0質量%およびその構造異 性体を含有する混合物を原料と して用意し、 以下のように二量化反 応を 亍った。
内容積 1 リ ッ トルの分離型四つ口フラスコに、 三フッ化ホウ素 - ジェチルエーテル錯体 8 g、 1 , 1 , 1 , 2 , 3 , 4, 4 , 5, 5 5 —デカフルォロペンタ ン (H F C— 4 3 - 1 0 m e e ) 4 0 0 g および上記原料 4 0 0 gを入れ、 メカニカルスターラーを用いて攪 拌しながら、 1 0 °Cで 6時間二量化反応を行った。 反応終了後、 分 液ロートに移し、 1 0〜 1 5 °Cに保ったまま、 2 0分間放置した。 二層に分離したので、 下層よ り、 淡黄色のほとんど透明な H F C液 を抜き出した。 上層はわずかに淡黄色の透明液体であり、 蒸留水お よび飽和食塩水で洗滌し、 ボウ硝で乾燥させて、 目的とするォレフ ィ ン化合物の二量体混合物 3 9 0 gを得た。
ガスクロマ トグラフィーによ り転化率を求めたところ、 8 5 %で あった。 上層の淡黄色透明液体のホウ素濃度を調べたところ、 0. 0 0 2 5質量% ( 2 5 p p m) 以下であり、 検出限界以下であ つた。 下層の触媒溶液のホウ素濃度は 0 . 1 4 5質量%であり、 加 えた三フッ化ホウ素 · ジェチルエーテル錯体の 9 7質量%が回収さ れた (理論ホウ素量 0. 1 5質量%) 。
[実施例 2 ] (触媒のリサイ クル)
実施例 1 における下層から抜き出した触媒溶液に、 H F C— 4 3 一 1 O m e eの質量が 4 0 O g となるように H F C— 4 3 — 1 0 m e e を 3 g追加し、 実施例 1 と同様の原料 4 0 0 gを入れ、 メカ二
カルスターラーを用いて攪拌しながら、 1 0 °Cで 6時間二量化反応 を行った。 反応終了後、 実施例 1 と同様に後処理したところ、 目的 とする二量体混合物 3 8 4 gを得た。
ガスクロマ トグラフィーによ り転化率を求めたところ、 8 2 %で あった。 下層より褐色のほとんど透明な触媒溶液を得た。 この触媒 溶液を用いて二量化反応を行った。 下層から触媒溶液を回収し、 こ の触媒溶液を用いて二量化反応を行う ことを 3 回繰り返しても反応 は進行した。 5回目の二量化反応が終了した後、 ガスクロマ トグラ フィ一によ り転化率を求めたところ、 7 7 %であった。 5回目の二 量化反応終了した後も、 下層よ り触媒溶液を回収した。 この触媒溶 液のホウ素濃度は 0 . 1 1 5質量%であり、 最初に加えた三フッ化 ホウ素 · ジェチルエーテル錯体の 7 6質量%が回収された。
[実施例 3 ]
実施例 1 において、 H F C— 4 3 — 1 O m e eの使用量を 4 0 0 gから 1 0 0 gに変えた以外は、 実施例 1 と同様の条件で二量化反 応を行った。 反応終了後、 実施例 1 と同様の後処理を行ったところ 、 目的とする二量体混合物 3 8 9 gを得た。 G Cによ り転化率を求 めたところ、 9 0 %であった。 下層よ り得られた触媒溶液のホウ素 濃度は 0 . 4 8質量%であり、 加えた三フッ化ホウ素 · ジェチルェ —テル錯体の 8 5質量%が回収された。
[実施例 4 ]
実施例 1 において、 H F C— 4 3 — 1 O m e e 4 0 O gの代わ りに、 H F C— 4 3 - 1 O m e e 3 0 O g とパーフルォ口へキサ ン 1 0 0 gの混合物を溶媒として使用した以外は、 実施例 1 と同様 の条件で二量化反応を行つた。
反応終了後、 分液ロートに移し、 1 0〜 1 5 °Cに保ったまま、 5
分間放置した。 二層に分離したので、 下層よ り、 淡黄色のほとんど 透明な触媒溶液を抜き出した。 上層はわずかに淡黄色の透明液体で あり、 蒸留水および飽和食塩水で洗滌し、 ボウ硝で乾燥させて、 目 的とする二量体混合物 3 7 8 gを得た。
ガスクロマ ト グラフィーによ り転化率を求めたところ、 8 8 %で あった。 上層の淡黄色透明液体のホウ素濃度を調べたところ、
0 . 0 0 2 5質量0 /0 ( 2 5 p p m ) 以下であり、 検出限界以下であ つた。 下層の触媒溶液のホウ素濃度は 0 . 1 4質量%であり、 加え た三フッ化ホウ素 · ジェチルエーテル錯体の 9 3質量%が回収され た。
[実施例 5 ]
内容積 3 0 0 ミ リ リ ツ トルの四つ口フラスコに、 三フッ化ホウ素 ' ジェチルエーテル錯体 0 . 8 g、 ビス ( 2 , 1 , 2 _ ト リ フルォロ ェチル) エーテル 2 0 gおよび実施例 1 と同様の原料 4 0 gを入れ、 メカニカルスターラーを用いて攪拌しながら、 0 °Cで 1 2時間二量 化反応を行った。 反応終了後、 分液ロートに移し、 0 〜 5 °Cに保つ たまま、 1 0分間放置した。 二層に分離したので、 下層より淡黄色 のほとんど透明な触媒溶液を抜き出した。 上層はわずかに淡黄色の 透明液体であり、 蒸留水および飽和食塩水で洗滌し、 ボウ硝で乾燥 させて、 目的とする二量体混合物 3 6 gを得た。
ガスクロマ ト グラフィーによ り転化率を求めたところ、 7 4 %で あった。 上層の淡黄色透明液体のホウ素濃度を調べたところ、
0 . 0 0 2 5質量0/ Q ( 2 5 p p m ) 以下であり、 検出限界以下であ つた。 下層の触媒溶液のホウ素濃度は 0 . 2 7質量%であり、 加え た三フッ化ホウ素 · ジェチルエーテル錯体の 9 2質量%が回収され た。
[比較例 1 ]
実施例 1 と同様の原料を用いて無溶媒で二量化反応を行った。
内容積 1 リ ッ トルの四つ口フラスコに、 三フッ化ホウ素 . ジェチ ルエーテル錯体 8 gおよび実施例 1 と同様の原料 4 0 0 gを入れ、 メカニカルスターラーを用いて攪拌しながら、 1 0 °Cで 6時間二量 化反応を行った。 反応終了後、 静置しても二層に分離せず、 黒褐色 の不均一な溶液であつた。 1 リ ッ トルの蒸留水を加えて三フッ化ホ ゥ素 · ジェチルエーテル錯体触媒を溶解させた。 そのため、 三フッ 化ホウ素 · ジェチルエーテル錯体をそのまま分離回収することがで きなかった。 有機層は、 さ らに炭酸水素ナ ト リ ウム水および飽和食 塩水で洗滌し、 ボウ硝で乾燥させて、 目的とする二量体混合物 3 7 8 gを得た。 ガスクロマ トグラフィーによ り転化率を求めたところ、 8 6 %であった。
[比較例 ]
実施例 1 と同様の原料を用い、 溶媒と して H F C— 4 3 - 1 0 m e eの代わりにパーフルォ口へキサンを用いて実施例 1 と同様の条 件で二量化反応を行った。
内容積 3 0 0 ミ リ リ ツ トルの四つ口フラスコに、 三フッ化ホウ素 ' ジェチルエーテル錯体 0 . 8 g、 パーフルォ口へキサン 4 0 gおよ ぴ実施例 1 と同様の原料 4 0 gを入れ、 メカ二カルス夕一ラ一を用 いて攪拌しながら、 1 0 °Cで 6時間二量化反応を行った。 反応終了 後、 静置したところ、 二層に分離した。 上層は褐色の不均一な溶液 であつた。 上層は、 水、 炭酸水素ナ ト リ ウム水および飽和食塩水で 洗滌し、 ボウ硝で乾燥させて、 目的とする淡黄色の二量体 3 9 gを 得た。 ガスクロマ トグラフィーによ り転化率を求めたところ、 8 8 %であつた。 下層は、 透明な液体 4 0 gであり、 常圧で溶媒を蒸留
したところ、 残渣 (三フッ化ホウ素 ■ ジェチルエーテル錯体) は認 められなかった。
[実施例 6 ]
窒素気流下、 ドライアイス一メ タノール浴で、 一 2 0〜一 3 0 °C に保ちながら H F C— 4 3 — 1 0 m e e 1 0 0 gにイソブテン (純度 9 8 % ) 1 0 0 gをガス導入管よ り溶かし込み、 三フッ化ホ ゥ素 · ジェチルェ一テル錯体 ( 1 : 1 モル付加物) 2 gを添加した。 6 0分間激しく攪拌しながら重合反応を行った。 反応終了後、 一 2 0 〜一 3 0 °Cの温度に保持したまま静置したところ、 二層に分 離した。 淡黄色の透明な下層部液体 9 4 gを抜き出した。 上層部液 体 9 8 gを水洗し、 希炭酸水素ナ ト リ ゥム水溶液で洗滌した後、 減 圧蒸留によ り低沸点成分を除去した。 ィソブテンの転化率および生 成したポリブテンの収率はそれぞれ 1 0 0 モル%、 9 2質量%であ つた。
[実施例 Ί ]
実施例 6で得られた下層部液体 9 4 g を一 2 0 〜一 3 0 °Cに保ち ながら攪拌し、 イソブテン (純度 9 8 % ) 1 0 0 gをガス導入管よ り溶かし込んだ。 6 0分間激しく攪拌しながら重合反応を行った。 実施例 6 と同様に後処理を行ったところ、 ィソブテンの転化率およ び生成したポリブテンの収率はそれぞれ 1 0 0 モル%、 8 9質量% であった。
[比較例 3 ]
窒素気流下、 ドライアイス一メ タノール浴で、 一 2 0 〜一 3 0 °C に保ちながらへキサン 1 0 0 gにイソブテン (純度 9 8 % ) 1 0 0 g をガス導入管よ り溶かし込み、 三フッ化ホウ素 · ジェチルエーテ ル錯体 ( 1 : 1 モル付加物) 2 gを添加した。 6 0分間激しく攪拌
しながら重合反応を行った。 反応終了後、 静置しても二層に分離し なかった。 反応液に蒸留水を加えて有機層を分離した。 そのため、 三フッ化ホウ素 · ジェチルエーテル錯体は分解して水に溶解し、 そ のまま分離回収することはできなかった。 すなわち、 触媒を再使用 することはできなかった。
有機層は、 水洗し、 希炭酸水素ナ ト リ ゥム水溶液で洗滌した後、 減圧蒸留によ り低沸点成分を除去した。 ィソブテンの転化率および 生成したポリブテンの収率はそれぞれ 1 0 0モル%、 8 6質量%で あつ 7こ。
[実施例 8 ]
合成潤滑油の原料として製造された 2 —メチレン一 3 —メチルビ シクロ [ 2 . 2 . 1 ] ヘプタンと 3 —メチレン一 2 —メチルビシク 口 [ 2 . 2 . 1 ] とを合計量で 5 5質量0 /0、 2 , 3 —ジメチルビシ クロ [ 2 . 2 . 1 ] ヘプトー 2 —ェン 3 0質量%およびその構造異 性体を含有する混合物を原料と して用意し、 以下のように二量化反 応を ί亍った。
内容積 1 リ ッ トルの分離型四つ口フラスコに、 三フッ化ホウ素 · ジェチルエーテル錯体 8 gおよび上記原料 4 0 0 gを入れ、 メカ二 カルスターラーを用いて攪拌しながら、 1 0 °Cで 6時間二量化反応 を行った。 反応終了後、 静置しても二層に分離せず、 褐色の不均一 な溶液のままであった。 1 , 1 , 1 , 2 , 3 , 4, 4 , 5 , 5 , 5 ーデカフルォロペンタン ( H F C— 4 3— 1 0 m e e ) 4 0 O g を 加えて 1 0分間攪拌を行い、 1 0 °Cで 1 0分間静置して淡黄色の上 澄み液と褐色の下層液を得た。 上澄み液のホウ素濃度を調べたとこ ろ、 2 5質量 p p m以下であり、 検出限界以下であった。
上澄み液には 4 0 0 ミ リ リ ツ トルの蒸留水を 2回に分けて加え、
攪拌、 洗滌し、 透明淡黄色の有機物溶液を得た。 さ らに、 炭酸水素 ナ ト リ ウム水および飽和食塩水で洗滌し、 ボウ硝で乾燥させて、 淡 黄色の目的とするォレフィ ン化合物の二量体混合物 4 1 0 gを得た。
ガスクロマ トグラフィーによ り転化率を求めたところ、 9 2 %で あった。 下層よ り、 褐色のほとんど透明な H F C液 (触媒溶液) 3 9 0 gを得た。 下層の触媒溶液のホウ素濃度は 0 . 1 4 7質量%で あり、 加えた三フッ化ホウ素 ' ジェチルエーテル錯体の 9 6質量% が回収された (理論ホゥ素量 0 . 1 4 9質量%) 。
[実施例 9 ]
実施例 8で得られた下層の触媒溶液 1 0 0 gにェチルエーテル 5 gを添加して攪拌した後、 常圧、 沸点 5 5〜 5 6 °Cで蒸留を行い、 透明な H F C— 4 3 _ 1 0 m e e液 8 2 gを得た。 次に、 0 0 1 8 M P aにて蒸留を行い、 沸点 7 5〜 8 0 °Cで透明な三フッ化ホウ素 - ジェチルエーテル錯体溶液 1 . 4 2 gを得た。 残渣に褐色液体が認 められた。 三フッ化ホウ素 . ジェチルエーテル錯体の回収率は 7 1 質量%であつた。
[実施例 1 0 ]
内容積 1 リ ツ トルの四つ口フラスコに、 実施例 8で用いたものと 同様の原料 2 0 0 gを入れ、 1 0 Cで、 メカニカルスターラーを用 いて 4 0 0 r p mで攪拌しながら、 実施例 8で得られた下層の触媒 溶液 2 0 0 gを添加した。 1 0 °Cで 8時間攪拌を続け、 二量化反応 を行った。 反応終了後、 実施例 8 と同様に後処理したところ、 目的 とする二量体混合物 2 0 2 gを得た。
ガスクロマ ト グラフィーによ り転化率を求めたところ、 8 8 %で あった。 下層よ り、 褐色のほとんど透明な触媒溶液 1 9 0 gを得た。 下層の触媒溶液のホウ素濃度は 0 . 1 4 2質量%であり、 加えた三
フッ化ホウ素 · ジェチルエーテル錯体の 9 2質量0 /0が回収された (理論ホウ素量 0 . 1 4 7質量0/ ) 。
[実施例 1 1 ]
内容積 3 0 0 ミ リ リ ッ トルの四つ口フラスコに、 三フッ化ホウ素 · ジェチルエーテル錯体 0 . 8 gおよび実施例 8で用いたものと同様 の原料 4 O gを入れ、 メカニカルスターラ一を用いて攪拌しながら、 0 °Cで 6時間二量化反応を行った。 反応終了後、 ビス ( 2, 2 , 2 - ト リ フルォロェチル) エーテル 4 0 gを加えて激しく振とう した ς 0〜 5 °Cに保ったまま、 2 0分間静置した。 二層に分離したので、 下層よ り、 褐色のほとんど透明な触媒溶液を抜き出した。 上層は淡 黄色の透明液体であつた。 上層を蒸留水および飽和食塩水で洗滌し、 ボウ硝で乾燥させて、 目的とする二量体混合物 4 0 . 5 gを得た。
ガスクロマ ト グラフィーによ り転化率を求めたところ、 9 8 %で あった。 上層の淡黄色透明液体のホウ素濃度を調べたところ、 2 5 質量 P P m以下であり、 検出限界以下であつた。 下層の触媒溶液 3 9 gのホウ素濃度は 0 . 1 4 8質量0 /6であり、 加えた三フッ化ホウ 素 · ジェチルエーテル錯体の 9 5質量%が回収された (理論ホウ素 量 0 . 1 4 9質量%) 。
[実施例 1 ]
内容積 1 リ ツ トルの四つ口フラスコに、 三フッ化ホウ素 ' ジェチ ルエーテル錯体 8 gおよび実施例 8 で用いたものと同様の原料 4 0 O gを入れ、 メカニカルスターラーを用いて攪拌しながら、 1 0 °C で 6時間二量化反応を行った。 反応終了後、 H F C— 4 3 _ 1 0 m e e液 3 0 0 gおよびパーフルォ口へキサン (比重 1 . 6 8 ) 5 0 gを加えてさらに 1 0分間攪拌を続け、 分液ロートに移し、 1 0分 間放置した。 二層に分離したので、 下層よ り褐色のほとんど透明な
触媒溶液を抜き出した。 上層の淡黄色の透明液体は目的物であり、 そのホウ素濃度を調べたところ、 2 5質量 p p m以下であり、 検出 限界以下であつた。 下層の触媒溶液層 3 4 5 gのホウ素濃度は
0 . 1 6 9質量%であり、 加えた三フッ化ホウ素 ' ジェチルエーテ ル錯体の 9 6質量%が回収された (理論ホウ素量 0 . 1 7質量%) 。
[比較例 4 ]
内容積 1 リ ツ トルの四つ口フラスコに、 三フッ化ホウ素 . ジェチ ルエーテル錯体 4 gおよび実施例 8 と同様の原料 2 0 0 gを入れ、 メカニカルスターラーを用いて激しく攪拌しながら、 1 0 °Cで 6時 間二量化反応を行った。 反応終了後、 静置しても二層に分離せず、 褐色の不均一な溶液であった。 1 リ ツ トルの蒸留水を加えて三フッ 化ホウ素 · ジェチルエーテル錯体触媒を溶解させた。 そのため、 三 フッ化ホウ素 · ジェチルエーテル錯体をそのまま分離回収すること ができなかった。 有機層は、 さ らに炭酸水素ナト リ ゥム水および飽 和食塩水で洗滌し、 ボウ硝で乾燥させて、 目的とする淡黄色の二量 体 2 0 0 g を得た。 ガスクロマ トグラフィーに'よ り転化率を求めた ところ、 9 4 %であった。
[比較例 5 ]
実施例 8 と同様の原料を用い、 抽出溶媒と して H F C _ 4 3 _ 1 0 m e eの代わりにパーフルォ口へキサンを使用した以外は実施例 8 と同様にいて抽出操作を行ったが、 下層は透明のままであった。 下層のホウ素濃度は 1 0 0質量 p p m以下であり、 三フッ化ホウ素 - ジェチルェ一テル錯体はほとんど抽出されていなかった。
[比較例 6 ]
実施例 8 と同様の条件で反応を行い、 反応終了後、 H F C - 4 3 一 1 0 m e eの代わりにへキサン 4 0 0 ミ リ リ ツ トルを加えて、
1 0分間攪拌を行い、 1 0 °Cで 1 0分間静置して、 淡褐色の上澄み 液と黒褐色の下層液を得た。 上澄み液を空気中に出すと白煙が上が り、 B F 3 · エーテラ一トの存在が確認された。 上澄み液には 1 リ ッ トルの蒸留水を 2回に分けて加えて攪拌、 洗滌し、 透明黄色の有 機物溶液を得た。 さ らに、 炭酸水素ナ ト リ ゥム水および飽和食塩水 で洗滌し、 ボウ硝で乾燥させて、 淡黄色の目的とする二量体 4 0 0 gを得た。
ガスクロマ トグラフィーにより転化率を求めたところ、 9 0 %で あった。 下層よ り、 黒褐色のほとんど透明な液 4 . 6 gを得た。 こ の液を実施例 9 と同様に蒸留精製したところ、 回収された三フッ化 ホウ素 . ジェチルエーテル錯体は 2 . 3 2 gであり、 加えた三フッ 化ホウ素 · ジェチルエーテル錯体の 9質量%のみが回収された。 産業上の利用可能性
本発明の触媒の回収方法 ( I ) 、 ( I I ) によれば、 触媒と して用 いられる三フッ化ホウ素またはその錯体を、 反応生成物から容易に 分離し、 再使用することができる。 また、 本発明の触媒の回収方法
( I ) では、 ヒ ドロフルォロカ一ボン化合物類を溶媒と して使用す ることによ り、 生成物系に混入する触媒や副生物を減少させること ができるため、 生成物の精製が容易である。 本発明の回収方法 ( Π ) では、 ヒ ドロフルォロカーボン化合物類を抽出溶媒と して使用する ことによ り、 反応生成物と触媒とを容易に分離することができる。