JP4286529B2 - 三フッ化ホウ素またはその錯体の回収・リサイクル方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、三フッ化ホウ素またはその錯体の回収・リサイクル方法に関し、詳しくは、触媒として三フッ化ホウ素またはその錯体を用いた、アルキル化、オレフィンの縮合反応、オリゴマー化反応、重合反応、縮合反応、異性化反応を利用した化合物の製造、石油樹脂、クロマンインデン樹脂の製造において、反応終了後に、三フッ化ホウ素またはその錯体を含む溶媒を回収し、再使用する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
三フッ化ホウ素あるいは三フッ化ホウ素と錯化剤(配位子)からなる三フッ化ホウ素錯体は、いわゆるフリーデルクラフツ型触媒としてよく知られており、AlCl3 、FeCl3 および硫酸等と比較して、副反応を抑制し、主反応だけを効果的に促進するといった優れた触媒性能を持っている。そのため、三フッ化ホウ素およびその各種錯体は、アルキル化、異性化、重合、二量化、縮合、付加、分解および脱水等の種々の化学反応における触媒として、工業的に広く使用されている。
三フッ化ホウ素の主な工業的用途としては、例えば、エチレンとベンゼンから気相アルキル化によってエチルベンゼンを製造する際の触媒としての用途がある。また、合成洗剤や抗酸化剤に使われるアルキルベンゼン類は、オレフィン類と芳香族類との液相アルキル化反応により製造されているが、この製造の際の触媒にも三フッ化ホウ素またはその錯体が使用されている。
さらに、接着剤や印刷インク等の分野で広く使用されている石油樹脂やクロマンインデン樹脂を製造するときの重合触媒としても三フッ化ホウ素またはその錯体が使われおり、この触媒を用いた場合、製品の劣化や装置の腐食が少ないという効果がある。以上のように、三フッ化ホウ素またはその錯体は、化学工業界の製造触媒として種々の用途に供されている触媒である。
【0003】
三フッ化ホウ素または三フッ化ホウ素と錯化剤(配位子)からなる三フッ化ホウ素錯体触媒は、対象とする反応に応じ、三フッ化ホウ素単独あるいは三フッ化ホウ素に対して種々の化合物を適宜の割合で配位させた錯体の形態で使用されている。そして、三フッ化ホウ素またはその触媒を使用した反応が終了した後には、三フッ化ホウ素を失活させて、反応生成物と触媒を分離することが一般的に行われている。反応生成物と触媒の分離には、通常、反応液に水を加えて三フッ化ホウ素を失活させ、反応生成物を水洗する方法、アンモニア、水酸化ナトリウム、石灰等の塩基性水溶液で反応液を中和した後、反応生成物を水洗する方法が採用されている。
しかしながら、水洗工程や中和工程においては、高濃度の三フッ化ホウ素の水和物や三フッ化ホウ素の中和物である、フッ化物やホウ素を含む廃水が排出されるため、近年、環境汚染の問題を考慮して、フッ化物やホウ素を含む廃水の除去対策を講ずることが望まれている。特に、ホウ素を簡便に除去することは、現在の排水処理技術では困難であり、ホウ素を完全に除去するにはコストがかかってしまうため、ホウ素を低コストで除去することが望まれている。さらに、三フッ化ホウ素は高価であるため、除去した三フッ化ホウ素を回収して再使用することが望まれている。
三フッ化ホウ素または三フッ化ホウ素錯体を触媒として用いるオレフィンの縮合反応の場合、反応生成物流体を静置しても、三フッ化ホウ素錯体は、反応生成物にほとんど溶け込んでしまうか、エマルジョンを形成してしまい、反応生成物と三フッ化ホウ素錯体触媒とを完全に分離することは困難である。このため、水による洗滌や塩基性水溶液による洗滌によって、反応生成物から三フッ化ホウ素を取り除いている。しかしながら、三フッ化ホウ素錯体に水や塩基性溶液を加えると、三フッ化ホウ素触媒は、BF3 ・(H2 O)n のような水錯体や、三フッ化ホウ素塩類を生成してしまうため、触媒としてそのまま繰り返し使用することはできない。また、リン酸、酢酸またはフェノールとBF3 の錯体を用いて、触媒層と反応生成物を分離する方法(例えば、特許文献1参照)も知られているが、触媒濃度を10%以上としないと反応が遅くなってしまう。また、反応生成物と触媒との分離が不十分であり、再使用できる触媒量は限られてしまう。また、触媒がブレンステッド酸として作用するため、異性化等の副反応が起こってしまい、特にオレフィンの縮合二量化反応には、上記分離方法は採用することができない。
【0004】
従来、三フッ化ホウ素の回収方法としては、三フッ化ホウ素または三フッ化ホウ素錯体を含有する反応生成物流体を、温度200℃以下でフッ化カルシウム(Ca F2 )に接触させ、生成したテトラフルオロホウ酸カルシウム塩(Ca(BF4)2 )を100〜600℃の温度範囲で加熱することによって、三フッ化ホウ素とフッ化カルシウムとを得ることにより、三フッ化ホウ素を回収する方法がある(例えば、特許文献2参照)。
同様に、フッ化リチウム、フッ化ストロンチウムおよびフッ化バリウムなどのフッ化物を用いてテトラフルオロホウ酸塩を生成させ、100〜600℃の温度範囲で加熱することによって、三フッ化ホウ素を回収する方法がある(例えば、特許文献3、特許文献4、特許文献5参照)。
しかしながら、三フッ化ホウ素を触媒として用いる反応では、室温以下の低温で反応させることが必要な場合が多く、反応終了後、テトラフルオロホウ酸塩を合成するのに有利な100℃程度の高温にすると、副反応が起こって、目的とする反応生成物の収量の低下や品質低下を引き起こす。室温以下の条件では、ほとんど錯体を形成しない。また、高温での加熱分解反応は、省エネの観点から好ましくない。
また、反応生成物流体に粘性がある場合、テトラフルオロホウ酸カルシウムなどのホウ酸塩との完全な分離は困難であり、時間と労力を必要とするという問題がある。
三フッ化ホウ素錯体の回収方法として、三フッ化ホウ素が分散および/または溶解してなる非導電性流体に、直流および/または交流の電圧を印加することにより、非導電性流体から三フッ化ホウ素錯体を沈降分離させ、次いで分離した錯体を加温することにより、三フッ化ホウ素錯体を回収する方法も知られている(例えば、特許文献6参照)。
しかしながら、この回収方法においては、反応終了後、外部電源から数百Vの電圧を30分間以上継続して印加する必要があり、そのままでは反応がさらに進行して副反応が起こってしまうため、反応停止処理が必要となる。また、反応混合物に溶解した三フッ化ホウ素錯体が、常に分離するとは限らないという問題もある。電気設備も必要となり、この回収方法で三フッ化ホウ素錯体を完全に分離させることは困難であった。
【0005】
【特許文献1】
特開平02−45429号公報(第1−6頁)
【特許文献2】
特開2000−109313号公報(第1−9頁)
【特許文献3】
特開2000−128522号公報(第1−9頁)
【特許文献4】
特開2000−135402号公報(第1−9頁)
【特許文献5】
特開2000−135403号公報(第1−9頁)
【特許文献6】
特開2001−104805号公報(第1−11頁)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、三フッ化ホウ素またはその錯体を含有する反応生成物から、高価かつ有害な三フッ化ホウ素含有化合物を、高い効率で分離除去し、反応に再使用する方法を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、三フッ化ホウ素またはその錯体を溶解し、かつ比較的分子量の大きなオレフィン類を溶解しない溶媒系を見出し、三フッ化ホウ素またはその錯体を触媒とする反応において、三フッ化ホウ素またはその錯体を含有する反応生成物から、上記特定の溶媒を抽出溶媒として用いて、高価かつ有害な三フッ化ホウ素を含有する化合物を、高い効率で抽出して分離し、触媒として反応に再使用することができる画期的な方法を見出した。すなわち、ヒドロフルオロカーボン化合物類を抽出溶媒として使用することにより、反応生成物と触媒とを容易に分離することができることを見出した。本発明はかかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、三フッ化ホウ素またはその錯体を触媒とする反応において、反応が終了した後、抽出溶媒として、ヒドロフルオロカーボン化合物および/または含酸素ヒドロフルオロカーボン化合物を用いて、反応生成物から三フッ化ホウ素またはその錯体を抽出することを特徴とする触媒の回収方法、およびこの方法により回収した触媒を当該反応に再使用することを特徴とする触媒のリサイクル方法を提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
三フッ化ホウ素またはその錯体を触媒とする、アルキル化反応、オレフィンの縮合、オリゴマー化、重合、異性化、分解、脱水等の種々の化学反応において、反応生成物と、未反応の原料と、使用した触媒との混合物に対して、三フッ化ホウ素またはその錯体の少なくとも一部を、分散および/または溶解する溶媒であって、目的とする反応生成物と溶媒系との間で界面を形成する性質を持つヒドロフルオロカーボン化合物および/または含酸素ヒドロフルオロカーボン化合物を含む溶媒を抽出溶媒として使用する。反応終了時に、上記抽出溶媒を注入し、攪拌した後、静置することにより、三フッ化ホウ素またはその錯体を含む溶媒層と反応生成物層とを形成させ、反応生成物と触媒とを分離することができる。そして、反応生成物層は後処理系へ、触媒層は、三フッ化ホウ素またはその錯体を蒸留分離して同じ反応系に戻して触媒として再使用することができる。また、蒸留しないで抽出溶媒を含んだまま反応に再使用することもできる。
上記の条件を満たす抽出溶媒としては、ヒドロフルオロカーボン化合物、ヒドロフルオロカーボン化合物の共沸混合物、ヒドロフルオロカーボン化合物とパーフルオロカーボン化合物の混合物、含酸素ヒドロフルオロカーボン化合物であるエーテル化合物などが挙げられる。ヒドロフルオロカーボン化合物はフルオロカーボンの一種であり、オゾン破壊係数が0で、成層圏のオゾン層への影響がない化合物であり、水素基を有するものである。
【0009】
ヒドロフルオロカーボン化合物としては、組成式Cn Hm F2n-m+2(ただし、n=3〜12、m=1〜2n)で表される化合物が挙げられる。ただし、常温で気体の化合物は除く。処理時に加圧して液化させる必要があるからである。nが12を超えると、沸点が高くなるため、取り扱いが煩雑となる。また、入手が困難となる。
組成式がCn Hm F2n-m+2であるヒドロフルオロカーボン化合物としては、1,1,1,2,3,4,4,5,5,5−デカフルオロペンタン(C5 H2 F10)(HFC−43−10mee)、1,1,1,2,2,3,3,4−オクタフルオロブタン(C4 H2 F8 )、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(C4 H5 F5 )、1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロブタン(C4 H2 F6 )、1H−パーフルオロヘプタン(C7 HF15)、1H−パーフルオロヘキサン(C6 HF13)、1H,1H,2H−パーフルオロオクタン(C8 H3 F15)、1H,2H−パーフルオロオクタン(C8 H2 F16)、1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン(C3 H2 F6 )、1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン(C3 H3 F5 )などが挙げられる。また、フッ素原子の一部が水素原子で置換された炭素数12以下のパーフルオロ環状カーボン化合物(例えば、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(C5 H3 F7 )、2H,3H−パーフルオロデカリン(C10H2 F16))も用いることができる。
また、含酸素ヒドロフルオロカーボン化合物として、組成式Cn Hm F2n-m+2O(ただし、n=3〜12、m=1〜2n)で表されるものが挙げられる。具体的には、ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)エーテル、ヘプタフルオロプロピル−1,2,2,2−テトラフルオロエチルエーテル(C5 HF11O)などが挙げられる。フッ素原子の一部が水素原子で置換された炭素数12以下のパーフルオロ含酸素環状カーボン化合物も用いることができる。
現在、成層圏のオゾン層の破壊原因として、フルオロカーボンが挙げられており、それを防ぐためには、オゾン層破壊の可能性のない溶媒を使用しなければならない。上記ヒドロフルオロカーボン化合物はこの要件を満足するものである。
【0010】
本発明で用いるヒドロフルオロカーボン化合物および/または含酸素ヒドロフルオロカーボン化合物を含む抽出溶媒の使用量は、原料100質量部に対して10〜500質量部が好ましく、50〜200質量部がより好ましい。抽出溶媒は全量を分割して加えて抽出する方が、抽出効率が良いが、一度に加える溶媒量が少ないと、二層への分離に時間がかかってしまうので、2,3回に分けて抽出することが好ましい。抽出の温度は室温以下が好ましい。
本発明で用いる抽出溶媒としては、上記ヒドロフルオロカーボン化合物および/または含酸素ヒドロフルオロカーボン化合物に、比重1.1以上のフッ素含有化合物を加えた混合溶媒であってもよい。比重1.1以上のフッ素含有化合物としては、パーフルオロ化合物、パーフルオロオクタン、パーフルオロヘキサン、パーフルオロポリエーテルなどが挙げられる。比重が1.1未満であると、反応生成物を溶媒層から分離するときに分離に時間がかかり、分離しにくくなる。また、三フッ化ホウ素と錯体を作る溶媒を用いると、新しい触媒系として触媒作用を発現する可能性があり、反応生成物の構造や組成に影響を与える。また、副反応の原因にもなる。
比重1.1以上のフッ素含有化合物の使用量は、ヒドロカーボン化合物および/または含酸素ヒドロフルオロカーボン化合物100質量部に対して0〜100質量部が好ましく、10〜50質量部がより好ましい。比重1.1以上のフッ素含有化合物の添加によって分離性は向上するが、多過ぎると触媒の回収率が低下する傾向がある。
【0011】
本発明において、触媒として用いる三フッ化ホウ素化合物としては、三フッ化ホウ素ガス、三フッ化ホウ素・エチルエーテル錯体、三フッ化ホウ素・メチルエーテル錯体、三フッ化ホウ素・エチルメチルエーテル錯体、三フッ化ホウ素・ブチルエーテル錯体、三フッ化ホウ素・フェノール錯体、三フッ化ホウ素・アルキルアミン錯体、三フッ化ホウ素・アンモニア錯体、三フッ化ホウ素・ピペリジン錯体、三フッ化ホウ素・トリエタノールアミン錯体、三フッ化ホウ素・アルコール錯体、三フッ化ホウ素・ケトン錯体、三フッ化ホウ素・アルデヒド錯体、三フッ化ホウ素・エステル錯体、三フッ化ホウ素・酸無水物錯体、三フッ化ホウ素・酸錯体などが挙げられる。
三フッ化ホウ素またはその錯体を触媒とする反応において、反応が終了した後、上記抽出溶媒を用いて反応生成物から三フッ化ホウ素またはその錯体を抽出すると、目的とする反応生成物を含む上層と、触媒を含む下層とに分離する。この下層の抽出液を、蒸留によって抽出溶媒と三フッ化ホウ素またはその錯体に分離するには、エチルエーテル等の、錯化剤として用いられている溶媒を抽出液に加えて攪拌し、公知の方法により蒸留すればよい。
排処理の困難である三フッ化ホウ素錯体を抽出分離して再使用し、廃棄物の量を削減することは、意義あることである。
【0012】
【実施例】
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
[実施例1]
合成潤滑油の原料として製造された2−メチレン−3−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタンと3−メチレン−2−メチルビシクロ[2.2.1]とを合計量で55質量%、2,3−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン30質量%およびその構造異性体を含有する混合物を原料として用意し、以下のよに二量化反応を行った。
内容積1リットルの分離型四つ口フラスコに、三フッ化ホウ素・ジエチルエーテル錯体8gおよび上記原料400gを入れ、メカニカルスターラーを用いて攪拌しながら、10℃で6時間二量化反応を行った。反応終了後、静置しても二層に分離せず、褐色の不均一な溶液のままであった。1,1,1,2,3,4,4,5,5,5−デカフルオロペンタン(HFC−43−10mee)400gを加えて10分間攪拌を行い、10℃で10分間静置して淡黄色の上澄み液と褐色の下層液を得た。上澄み液のホウ素濃度を調べたところ、25質量ppm以下であり、検出限界以下であった。
上澄み液には400ミリリットルの蒸留水を2回に分けて加え、攪拌、洗滌し、透明淡黄色の有機物溶液を得た。さらに、炭酸水素ナトリウム水および飽和食塩水で洗滌し、ボウ硝で乾燥させて、淡黄色の目的とするオレフィン化合物の二量体混合物410gを得た。
ガスクロマトグラフィーにより転化率を求めたところ、92%であった。下層より、褐色のほとんど透明なHFC液(触媒溶液)390gを得た。下層の触媒溶液のホウ素濃度は0.147質量%であり、加えた三フッ化ホウ素・ジエチルエーテル錯体の96質量%が回収された(理論ホウ素量0.149質量%)。
【0013】
[実施例2]
実施例1で得られた下層の触媒溶液100gにエチルエーテル5gを添加して攪拌した後、常圧、沸点55〜56℃で蒸留を行い、透明なHFC−43−10mee液82gを得た。次に、0018MPaにて蒸留を行い、75〜80℃で透明な三フッ化ホウ素・ジエチルエーテル錯体溶液1.42gを得た。残渣に褐色液体が認められた。三フッ化ホウ素・ジエチルエーテル錯体の回収率は71質量%であった。
【0014】
[実施例3]
内容積1リットルの四つ口フラスコに、実施例1で用いたものと同様の原料200gを入れ、10℃で、メカニカルスターラーを用いて400rpmで攪拌しながら、実施例1で得られた下層の触媒溶液200gを添加した。10℃で8時間攪拌を続け、二量化反応を行った。反応終了後、実施例1と同様に後処理したところ、目的とする二量体混合物202gを得た。
ガスクロマトグラフィーにより転化率を求めたところ、88%であった。下層より、褐色のほとんど透明な触媒溶液190gを得た。下層の触媒溶液のホウ素濃度は0.142質量%であり、加えた三フッ化ホウ素・ジエチルエーテル錯体の92質量%が回収された(理論ホウ素量0.147質量%)。
【0015】
[実施例4]
内容積300ミリリットルの四つ口フラスコに、三フッ化ホウ素・ジエチルエーテル錯体0.8gおよび実施例1で用いたものと同様の原料40gを入れ、メカニカルスターラーを用いて攪拌しながら、0℃で6時間二量化反応を行った。反応終了後、ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)エーテル40gを加えて激しく振とうした。0〜5℃に保ったまま、20分間静置した。二層に分離したので、下層より、褐色のほとんど透明な触媒溶液を抜き出した。上層は淡黄色の透明液体であった。上層を蒸留水および飽和食塩水で洗滌し、ボウ硝で乾燥させて、目的とする二量体混合物40.5gを得た。
ガスクロマトグラフィーにより転化率を求めたところ、98%であった。上層の淡黄色透明液体のホウ素濃度を調べたところ、25質量ppm以下であり、検出限界以下であった。下層の触媒溶液39gのホウ素濃度は0.148質量%であり、加えた三フッ化ホウ素・ジエチルエーテル錯体の95質量%が回収された(理論ホウ素量0.149質量%)。
【0016】
[実施例5]
内容積1リットルの四つ口フラスコに、三フッ化ホウ素・ジエチルエーテル錯体8gおよび実施例1で用いたものと同様の原料400gを入れ、メカニカルスターラーを用いて攪拌しながら、10℃で6時間二量化反応を行った。反応終了後、HFC−43−10mee液300gおよびパーフルオロヘキサン(比重1.68)50gを加えてさらに10分間攪拌を続け、分液ロートに移し、10分間放置した。二層に分離したので、下層より褐色のほとんど透明な触媒溶液を抜き出した。上層の淡黄色の透明液体は目的物であり、そのホウ素濃度を調べたところ、25質量ppm以下であり、検出限界以下であった。下層の触媒溶液層345gのホウ素濃度は0.169質量%であり、加えた三フッ化ホウ素・ジエチルエーテル錯体の96質量%が回収された(理論ホウ素量0.17質量%)。
【0017】
[比較例1]
内容積1リットルの四つ口フラスコに、三フッ化ホウ素・ジエチルエーテル錯体4gおよび実施例1と同様の原料200gを入れ、メカニカルスターラーを用いて激しく攪拌しながら、10℃で6時間二量化反応を行った。反応終了後、静置しても二層に分離せず、褐色の不均一な溶液であった。1リットルの蒸留水を加えて三フッ化ホウ素・ジエチルエーテル錯体触媒を溶解させた。そのため、三フッ化ホウ素・ジエチルエーテル錯体をそのまま分離回収することができなかった。有機層は、さらに炭酸水素ナトリウム水および飽和食塩水で洗滌し、ボウ硝で乾燥させて、目的とする淡黄色の二量体200gを得た。ガスクロマトグラフィーにより転化率を求めたところ、94%であった。
【0018】
[比較例2]
実施例1と同様の原料を用い、抽出溶媒としてHFC−43−10meeの代わりにパーフルオロヘキサンを使用した以外は実施例1と同様にいて抽出操作を行ったが、下層は透明のままであった。下層のホウ素濃度は100質量ppm以下であり、三フッ化ホウ素・ジエチルエーテル錯体はほとんど抽出されていなかった。
【0019】
[比較例3]
実施例1と同様の条件で反応を行い、反応終了後、HFC−43−10meeの代わりにヘキサン400ミリリットルを加えて、10分間攪拌を行い、10℃で10分間静置して、淡褐色の上澄み液と黒褐色の下層液を得た。上澄み液を空気中に出すと白煙が上がり、BF3 ・エーテラートの存在が確認された。上澄み液には1リットルの蒸留水を2回に分けて加えて攪拌、洗滌し、透明黄色の有機物溶液を得た。さらに、炭酸水素ナトリウム水および飽和食塩水で洗滌し、ボウ硝で乾燥させて、淡黄色の目的とする二量体400gを得た。
ガスクロマトグラフィーにより転化率を求めたところ、90%であった。下層より、黒褐色のほとんど透明な液4.6gを得た。この液を実施例2と同様に蒸留精製したところ、回収された三フッ化ホウ素・ジエチルエーテル錯体は2.32gであり、加えた三フッ化ホウ素・ジエチルエーテル錯体の29質量%のみが回収された。
【0020】
【発明の効果】
本発明によれば、触媒として用いられる三フッ化ホウ素またはその錯体を、反応生成物から容易に分離し、再使用することができる。また、ヒドロフルオロカーボン化合物類を抽出溶媒として使用することにより、反応生成物と触媒とを容易に分離することができることができる。
Claims (13)
- 三フッ化ホウ素またはその錯体を触媒とする反応において、反応が終了した後、抽出溶媒として、ヒドロフルオロカーボン化合物および/または含酸素ヒドロフルオロカーボン化合物を用いて、反応生成物から三フッ化ホウ素またはその錯体を抽出することを特徴とする触媒の回収方法。
- 反応生成物から三フッ化ホウ素またはその錯体を抽出した後、蒸留によって該抽出液を抽出溶媒と三フッ化ホウ素またはその錯体に分離する請求項1に記載の回収方法。
- 抽出溶媒が、オゾン破壊係数が0のヒドロフルオロカーボン化合物および/または含酸素ヒドロフルオロカーボン化合物を含む溶媒である請求項1または2に記載の回収方法。
- 抽出溶媒が、さらに比重1.1以上のフッ素含有化合物を含む混合溶媒である請求項1〜3のいずれかに記載の回収方法。
- ヒドロフルオロカーボン化合物が、組成式CnHmF2n-m+2(ただし、n=3〜12、m=1〜2n)で表される化合物、またはフッ素原子の一部が水素原子で置換された炭素数12以下のパーフルオロ環状カーボン化合物である請求項1〜4のいずれかに記載の回収方法。
- 含酸素ヒドロフルオロカーボン化合物が、組成式CnHmF2n-m+2O(ただし、n=3〜12、m=1〜2n)で表される化合物、またはフッ素原子の一部が水素原子で置換された炭素数12以下のパーフルオロ含酸素環状カーボン化合物である請求項1〜4のいずれかに記載の回収方法。
- 抽出溶媒が、エーテル結合を有する含酸素ヒドロフルオロカーボン化合物を含む溶媒である請求項1〜4および請求項6のいずれかに記載の回収方法。
- 三フッ化ホウ素の錯体において、三フッ化ホウ素と錯体を形成する錯化剤が極性化合物である請求項1〜7のいずれかに記載の回収方法。
- 錯化剤が、アルコール、エーテル、フェノール、アミン、ケトン、アルデヒド、エステル、酸無水物および酸からなる群から選ばれるものである請求項8に記載の回収方法。
- 三フッ化ホウ素の錯体が、三フッ化ホウ素・エーテル錯体である請求項1〜9のいずれかに記載の回収方法。
- 三フッ化ホウ素の錯体が、三フッ化ホウ素・エチルエーテル錯体、三フッ化ホウ素・メチルエーテル錯体、三フッ化ホウ素・エチルメチルエーテル錯体、三フッ化ホウ素・ブチルエーテル錯体、三フッ化ホウ素・フェノール錯体、三フッ化ホウ素・アルキルアミン錯体、三フッ化ホウ素・アンモニア錯体、三フッ化ホウ素・ピペリジン錯体、三フッ化ホウ素・トリエタノールアミン錯体、三フッ化ホウ素・アルコール錯体、三フッ化ホウ素・ケトン錯体、三フッ化ホウ素・アルデヒド錯体、三フッ化ホウ素・エステル錯体、三フッ化ホウ素・酸無水物錯体または三フッ化ホウ素・酸錯体である請求項1〜9のいずれかに記載の回収方法。
- 三フッ化ホウ素またはその錯体を触媒とする反応が、オレフィンの二量化反応、オリゴマー化反応、縮合反応または重合反応である請求項1〜11のいずれかに記載の回収方法。
- 請求項1〜12のいずれかに記載の方法により回収した触媒を当該反応に再使用することを特徴とする触媒のリサイクル方法。
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