JP2024074701A - 含フッ素アルデヒド化合物の製造方法 - Google Patents

含フッ素アルデヒド化合物の製造方法 Download PDF

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Koki Watanabe
貴史 川上
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Abstract

【課題】従来と比較して温和な条件で簡便に含フッ素アルデヒド化合物を製造する含フッ素アルデヒド化合物の製造方法を提供する。【解決手段】エステル化合物を液相中でフッ素化して、-CHF-O-(C=O)-基を有するフッ素化エステル化合物を得るフッ素化工程と、フッ素化エステル化合物を脱エステル化して、含フッ素アルデヒド化合物を得る脱エステル化工程と、を含む、含フッ素アルデヒド化合物の製造方法。【選択図】なし

Description

本開示は、含フッ素アルデヒド化合物の製造方法に関する。
含フッ素化合物には産業上有用な化合物が多く存在し、従来から様々な製造方法が開発されてきた。特に、末端にアルデヒド基を有する含フッ素アルデヒド化合物は、アルデヒド基を他の官能基に変換することで種々の含フッ素化合物を製造することができるため、有用である。
例えば、特許文献1には、含フッ素エステル化合物を、ルイス酸化合物の存在下、水素化ケイ素化合物と反応させる工程と、シリル化合物を脱離する工程と、加熱する工程と、を含む含フッ素アルデヒド化合物の製造方法が記載されている。また、特許文献2には、含フッ素カルボン酸とN,O-ジメチルヒドロキシアミンとを反応させる工程と、アルキルリチウム存在下で還元する工程と、を含む含フッ素アルデヒド化合物の製造方法が記載されている。
国際公開第2021/251396号 特開2021-055115号公報
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に記載されている方法では、反応途中に水素が発生するほか、製造工程が多段階である。そこで、より温和な条件で簡便に含フッ素アルデヒド化合物を製造することが求められている。
本発明の一実施形態における課題は、従来と比較して温和な条件で簡便に含フッ素アルデヒド化合物を製造する含フッ素アルデヒド化合物の製造方法を提供することにある。
本開示には、以下の態様が含まれる。
<1>
エステル化合物を液相中でフッ素化して、-CHF-O-(C=O)-基を有するフッ素化エステル化合物を得るフッ素化工程と、
フッ素化エステル化合物を脱エステル化して、含フッ素アルデヒド化合物を得る脱エステル化工程と、を含む、含フッ素アルデヒド化合物の製造方法。
<2>
フッ素化工程では、エステル化合物とフッ素とを接触させ、接触時間を0.1~1.5秒とする、<1>に記載の含フッ素アルデヒド化合物の製造方法。
<3>
エステル化合物は、下記式(1)で表され、
フッ素化エステル化合物は、下記式(2)で表される、<1>又は<2>に記載の含フッ素アルデヒド化合物の製造方法。
-CHR-O-(C=O)-R …(1)
AF-CHF-O-(C=O)-RBF …(2)
式(1)中、
及びRはそれぞれ独立に、1価飽和炭化水素基、ハロゲノ1価飽和炭化水素基、ヘテロ原子含有1価飽和炭化水素基、ハロゲノ(ヘテロ原子含有1価飽和炭化水素)基、又は、液相中でのフッ素化反応によってRHFとなりうる1価有機基Rであり、
HFは、1価飽和炭化水素基、ハロゲノ1価飽和炭化水素基、ヘテロ原子含有1価飽和炭化水素基、及びハロゲノ(ヘテロ原子含有1価飽和炭化水素)基から選ばれる基M中に存在する水素原子の1個以上がフッ素原子に置換された基であり、
は水素原子又はフッ素原子である。
式(2)中、
AFはRに対応する基であり、RBFはRに対応する基であり、
及びRがそれぞれ独立に、1価飽和炭化水素基、ハロゲノ1価飽和炭化水素基、ヘテロ原子含有1価飽和炭化水素基、又はハロゲノ(ヘテロ原子含有1価飽和炭化水素)基である場合には、RAF及びRBFは、それぞれ独立に、R及びRと同一の基、又は、R及びRに存在する水素原子の1個以上がフッ素原子に置換された基であり、
及びRが1価有機基Rである場合には、RAF及びRBFは、それぞれ独立に、RHFである。
<4>
式(2)中、
AF及びRBFは、
及びRがそれぞれ独立に、1価飽和炭化水素基、ハロゲノ1価飽和炭化水素基、ヘテロ原子含有1価飽和炭化水素基、又はハロゲノ(ヘテロ原子含有1価飽和炭化水素)基であって、水素原子を含む場合には、R及びRに存在する全ての水素原子がフッ素原子に置換された基であり、水素原子を含まない場合には、R及びRと同一の基であり、
及びRが1価有機基Rである場合に、基M中に存在する全ての水素原子がフッ素原子に置換された基である、<3>に記載の含フッ素アルデヒドの製造方法。
<5>
式(1)中、Rは、少なくとも1つのフッ素原子を含む、<3>又は<4>に記載の含フッ素アルデヒド化合物の製造方法。
<6>
式(1)中、Rは、下記式(X1)で表される、<3>~<5>のいずれか1つに記載の含フッ素アルデヒド化合物の製造方法。
11O-(R12O)m1-R13- …(X1)
式(X1)中、R11は、フッ素原子を有していてもよいアルキル基であり、R12はそれぞれ独立に、炭素数1~6のフッ素原子を有していてもよいアルキレン基であり、R13は、炭素数1~6のフッ素原子を有していてもよいアルキレン基であり、m1は0~500の整数である。
<7>
フッ素化工程において、液相中、エステル化合物の含有量は、30~50質量%である、<1>~<6>のいずれか1つに記載の含フッ素アルデヒド化合物の製造方法。
<8>
フッ素化工程において、液相は、含塩素溶媒を含む、<1>~<7>のいずれか1つに記載の含フッ素アルデヒド化合物の製造方法。
<9>
脱エステル化工程では、フッ素化エステル化合物をアルコール化合物と反応させた後、加熱する、<1>~<8>のいずれか1つに記載の含フッ素アルデヒド化合物の製造方法。
本開示によれば、従来と比較して温和な条件で簡便に含フッ素アルデヒド化合物を製造する含フッ素アルデヒド化合物の製造方法が提供される。
本開示において「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を意味する。
本開示に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
本開示において、各成分の量は、各成分に該当する物質が複数種存在する場合には、特に断らない限り、複数種の物質の合計量を意味する。
本開示において、式(1)で表される化合物を化合物1と記す。他の式で表される化合物、基等もこれに準ずる。
[含フッ素アルデヒド化合物の製造方法]
本開示の含フッ素アルデヒド化合物の製造方法は、エステル化合物を液相中でフッ素化して、-CHF-O-(C=O)-基を有するフッ素化エステル化合物を得るフッ素化工程と、フッ素化エステル化合物を脱エステル化して、含フッ素アルデヒド化合物を得る脱エステル化工程と、を含む。
本開示の含フッ素アルデヒド化合物の製造方法では、フッ素化工程において、-CHF-O-(C=O)-基を有するフッ素化エステル化合物を得ることにより、その後の脱エステル化工程を実施した後に、含フッ素アルデヒド化合物を得ることができる。例えば、フッ素化工程において、原料であるエステル化合物における水素原子の全てをフッ素原子に変換した場合には、その後の脱エステル化工程を実施しても、含フッ素アルデヒド化合物を得ることはできない。本開示の含フッ素共重合体の製造方法を用いれば、従来と比較して簡便に含フッ素アルデヒド化合物を得ることができる。
以下、本開示の含フッ素共重合体の製造方法における各工程について、詳細に説明する。
<フッ素化工程>
フッ素化工程では、エステル化合物を液相中でフッ素化して、-CHF-O-(C=O)-基を有するフッ素化エステル化合物を得る。
フッ素化工程で用いるエステル化合物は、エステル結合(すなわち、-O-(C=O)-)を有する化合物である。エステル化合物に含まれるエステル結合の数は1つであってもよく、2つ以上であってもよい。入手しやすさの観点から、エステル化合物に含まれるエステル結合の数は1つ又は2つであることが好ましい。すなわち、エステル化合物は、モノエステル化合物又はジエステル化合物であることが好ましい。
また、フッ素化工程では、フッ素化によって-CHF-O-(C=O)-基を有するフッ素化エステル化合物が得られればよく、フッ素化前のエステル化合物の構造は特に限定されない。本開示の含フッ素アルデヒド化合物の製造方法では、フッ素化工程によって得られるフッ素化エステル化合物が、エステル結合の酸素原子の隣に、-CHF-基を有することに特徴がある。
フッ素化工程で得られるフッ素化エステル化合物は、-CHF-O-(C=O)-基を有していればよく、-CHF-O-(C=O)-基以外の構造は特に限定されない。フッ素化エステル化合物に含まれる-CHF-O-(C=O)-基の数は1つであってもよく、2つ以上であってもよい。
中でも、エステル化合物は、下記式(1)で表され、フッ素化エステル化合物は、下記式(2)で表されることが好ましい。
-CHR-O-(C=O)-R …(1)
AF-CHF-O-(C=O)-RBF …(2)
式(1)中、
及びRはそれぞれ独立に、1価飽和炭化水素基、ハロゲノ1価飽和炭化水素基、ヘテロ原子含有1価飽和炭化水素基、ハロゲノ(ヘテロ原子含有1価飽和炭化水素)基、又は、液相中でのフッ素化反応によってRHFとなりうる1価有機基Rであり、
HFは、1価飽和炭化水素基、ハロゲノ1価飽和炭化水素基、ヘテロ原子含有1価飽和炭化水素基、及びハロゲノ(ヘテロ原子含有1価飽和炭化水素)基から選ばれる基M中に存在する水素原子の1個以上がフッ素原子に置換された基であり、
は水素原子又はフッ素原子である。
式(2)中、
AFはRに対応する基であり、RBFはRに対応する基であり、
及びRがそれぞれ独立に、1価飽和炭化水素基、ハロゲノ1価飽和炭化水素基、ヘテロ原子含有1価飽和炭化水素基、又はハロゲノ(ヘテロ原子含有1価飽和炭化水素)基である場合には、RAF及びRBFは、それぞれ独立に、R及びRと同一の基、又は、R及びRに存在する水素原子の1個以上がフッ素原子に置換された基であり、
及びRが1価有機基Rである場合には、RAF及びRBFは、それぞれ独立に、RHFである。
なお、化合物2は化合物1がフッ素化されたものであるから、化合物2は化合物1のR、R、R中のフッ素化可能な原子の1以上がフッ素原子に置換されたものであり、(R中のフッ素化可能な原子の数+R中のフッ素化可能な原子の数+R中のフッ素化可能な原子数)>(RAF中のフッ素化可能な原子の数+RBF中のフッ素化可能な原子の数)である。フッ素化可能な原子としては、例えば、水素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。中でも、フッ素化可能な原子は、水素原子が好ましい。
本開示において、「1価飽和炭化水素基」は、直鎖状アルキル基、分岐鎖状アルキル基、及びシクロアルキル基のいずれであってもよい。直鎖状アルキル基及び分岐鎖状アルキル基には、脂環構造が含まれていてもよい。
本開示において、「ハロゲノ」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子から選ばれる少なくとも1種のハロゲン原子により、基中に存在する水素原子の1個以上が置換されたことを意味する。基中には、水素原子が存在していてもよく、存在しなくてもよい。
本開示において、「ペルハロゲノ」とは、基中に水素原子が存在しないことを意味する。
本開示において、「ハロゲノ1価飽和炭化水素基」とは、ハロゲン原子により、1価飽和炭化水素基中に存在する水素原子の1個以上が置換された基を意味する。
本開示において、「ヘテロ原子」とは、炭素原子及び水素原子以外の原子を意味し、例えば、窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子が挙げられる。
本開示において、「ヘテロ原子含有1価飽和炭化水素基」とは、1価飽和炭化水素基中に、2価のヘテロ原子、又はヘテロ原子を含む2価の基が含まれている基を意味する。2価のヘテロ原子としては、例えば、-O-及び-S-が挙げられる。また、ヘテロ原子を含む2価の基としては、例えば、-NH-、-C(=O)-、-SO-、及び-PH-が挙げられる。
本開示において、「ハロゲノ(ヘテロ原子含有1価飽和炭化水素)基」とは、上記ヘテロ原子含有1価飽和炭化水素基中の水素原子の1個以上がハロゲン原子に置換された基を意味する。
本開示において、「1価有機基」とは、炭素原子を必須とする1価の基をいう。
〔R
式(1)中、Rは、1価飽和炭化水素基、ハロゲノ1価飽和炭化水素基、ヘテロ原子含有1価飽和炭化水素基、ハロゲノ(ヘテロ原子含有1価飽和炭化水素)基、又は、液相中でのフッ素化反応によってRHFとなりうる1価有機基Rである。
で表される1価飽和炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基、及びシクロヘキシル基が挙げられる。
で表されるハロゲノ1価飽和炭化水素基としては、ハロゲノアルキル基が好ましい。ハロゲノ1価飽和炭化水素基に含まれるハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、又は臭素原子が好ましく、フッ素原子がより好ましい。
で表されるヘテロ原子含有1価飽和炭化水素基は、エーテル性酸素原子(すなわち、-O-)を含む1価飽和炭化水素基が好ましく、エーテル性酸素原子を含むアルキル基がより好ましい。
で表されるハロゲノ(ヘテロ原子含有1価飽和炭化水素)基としては、ハロゲノ(ヘテロ原子含有アルキル基)が好ましい。ハロゲノ(ヘテロ原子含有1価飽和炭化水素)基に含まれるハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、又は臭素原子が好ましい。ハロゲノ(ヘテロ原子含有1価飽和炭化水素)基は、エーテル性酸素原子を含むハロゲノ1価飽和炭化水素基が好ましく、エーテル性酸素原子を含むハロゲノアルキル基がより好ましい。
の炭素数は、フッ素化工程におけるエステル化合物の液相への溶解性に優れる点から、1~500が好ましく、5~100がより好ましい。
中でも、Rは、下記式(X1)で表されることが好ましい。
11O-(R12O)m1-R13- …(X1)
式(X1)中、R11は、フッ素原子を有していてもよいアルキル基であり、R12はそれぞれ独立に、炭素数1~6のフッ素原子を有していてもよいアルキレン基であり、R13は、炭素数1~6のフッ素原子を有していてもよいアルキレン基であり、m1は0~500の整数である。
式(X1)中、R11としては、例えば、アルキル基及びフルオロアルキル基が挙げられる。
11の炭素数は、フッ素化工程におけるエステル化合物の液相への溶解性に優れる点から、1~100が好ましく、1~50がより好ましく、1~10がさらに好ましく、1~6が特に好ましい。
11で表されるアルキル基は、直鎖状アルキル基であってもよく、分岐鎖状アルキル基であってもよく、環構造を有するアルキル基であってもよい。
11で表されるフルオロアルキル基は、直鎖状フルオロアルキル基であってもよく、分岐鎖状フルオロアルキル基であってもよく、環構造を有するフルオロアルキル基であってもよい。
中でも、R11は、アルキル基であることが好ましく、直鎖状アルキル基であることがより好ましく、炭素数1~6の直鎖状アルキル基であることがさらに好ましい。
式(X1)中、m1は0~300の整数が好ましく、0~200の整数がより好ましく、0~150の整数がさらに好ましい。
式(X1)中、-(R12O)m1-は、下記式(X2)で表されることが好ましい。
-[(Rf1O)k1(Rf2O)k2(Rf3O)k3(Rf4O)k4(Rf5O)k5(Rf6O)k6]- …(X2)
ただし、
f1は、炭素数1のフルオロアルキレン基であり、
f2は、炭素数2のフルオロアルキレン基であり、
f3は、炭素数3のフルオロアルキレン基であり、
f4は、炭素数4のフルオロアルキレン基であり、
f5は、炭素数5のフルオロアルキレン基であり、
f6は、炭素数6のフルオロアルキレン基である。
k1、k2、k3、k4、k5、及びk6は、それぞれ独立に0又は1以上の整数を表し、k1+k2+k3+k4+k5+k6は0~500の整数である。
フッ素化工程におけるエステル化合物の液相への溶解性に優れる点から、k1+k2+k3+k4+k5+k6は、1~500の整数が好ましく、1~300の整数であることがより好ましく、5~200の整数であることがさらに好ましく、10~150の整数であることが特に好ましい。
なお、式(X2)における(Rf1O)~(Rf6O)の結合順序は任意である。式(X2)のk1~k6は、それぞれ、(Rf1O)~(Rf6O)の個数を表すものであり、配置を表すものではない。例えば、(Rf5O)k5は、(Rf5O)の数がk5個であることを表し、(Rf5O)k5のブロック配置構造を表すものではない。同様に、(Rf1O)~(Rf6O)の記載順は、それぞれの単位の結合順序を表すものではない。
f3~Rf6において、フルオロアルキレン基は、直鎖状フルオロアルキレン基であってもよく、分岐鎖状フルオロアルキレン基であってもよく、環構造を有するフルオロアルキレン基であってもよい。
f1の具体例としては、-CF-及び-CHF-が挙げられる。
f2の具体例としては、-CFCF-、-CFCHF-、-CHFCF-、-CHFCHF-、-CHCF-、及び-CHCHF-が挙げられる。
f3の具体例としては、-CFCFCF-、-CFCHFCF-、-CFCHCF-、-CHFCFCF-、-CHFCHFCF-、-CHFCHFCHF-、-CHFCHCF-、-CHCFCF-、-CHCHFCF-、-CHCHCF-、-CHCFCHF-、-CHCHFCHF-、-CHCHCHF-、-CF(CF)-CF-、-CF(CHF)-CF-、-CF(CHF)-CF-、-CF(CH)-CF-、-CF(CF)-CHF-、-CF(CHF)-CHF-、-CF(CHF)-CHF-、-CF(CH)-CHF-、-CF(CF)-CH-、-CF(CHF)-CH-、-CF(CHF)-CH-、-CF(CH)-CH-、-CH(CF)-CF-、-CH(CHF)-CF-、-CH(CHF)-CF-、-CH(CH)-CF-、-CH(CF)-CHF-、-CH(CHF)-CHF-、-CH(CHF)-CHF-、-CH(CH)-CHF-、-CH(CF)-CH-、-CH(CHF)-CH-、及び-CH(CHF)-CH-が挙げられる。
f4の具体例としては、-CFCFCFCF-、-CFCFCFCHF-、-CFCFCFCH-、-CFCHFCFCF-、-CHFCHFCFCF-、-CHCHFCFCF-、-CFCHCFCF-、-CHFCHCFCF-、-CHCHCFCF-、-CHFCFCHFCF-、-CHCFCHFCF-、-CFCHFCHFCF-、-CHFCHFCHFCF-、-CHCHFCHFCF-、-CFCHCHFCF-、-CHFCHCHFCF-、-CHCHCHFCF-、-CFCHCHCF-、-CHFCHCHCF-、-CHCHCHCF-、-CHFCHCHCHF-、-CHCHCHCHF-、及び-cycloC-が挙げられる。
f5の具体例としては、-CFCFCFCFCF-、-CHFCFCFCFCF-、-CHCHFCFCFCF-、-CFCHFCFCFCF-、-CHFCHFCFCFCF-、-CFCHCFCFCF-、-CHFCHCFCFCF-、-CHCHCFCFCF-、-CFCFCHFCFCF-、-CHFCFCHFCFCF-、-CHCFCHFCFCF-、-CHCFCFCFCH-、及び-cycloC-が挙げられる。
f6の具体例としては、-CFCFCFCFCFCF-、-CFCFCHFCHFCFCF-、-CHFCFCFCFCFCF-、-CHFCHFCHFCHFCHFCHF-、-CHFCFCFCFCFCH-、-CHCFCFCFCFCH-、及び-cycloC10-が挙げられる。
ここで、-cycloC-は、ペルフルオロシクロブタンジイル基を意味し、その具体例としては、ペルフルオロシクロブタン-1,2-ジイル基が挙げられる。-cycloC-は、ペルフルオロシクロペンタンジイル基を意味し、その具体例としては、ペルフルオロシクロペンタン-1,3-ジイル基が挙げられる。-cycloC10-は、ペルフルオロシクロヘキサンジイル基を意味し、その具体例としては、ペルフルオロシクロヘキサン-1,4-ジイル基が挙げられる。
中でも、-(R12O)m1-は、下記式(F1)~(F3)で表される構造からなる群より選択される少なくとも1つを含むことが好ましく、式(F2)で表される構造を含むことがより好ましい。
-(Rf1O)k1-(Rf2O)k2- …(F1)
-(Rf2O)k2-(Rf4O)k4- …(F2)
-(Rf3O)k3- …(F3)
ただし、式(F1)~式(F3)の各符号は、上記式(X2)と同様である。
式(F1)及び式(F2)において、(Rf1O)と(Rf2O)、(Rf2O)と(Rf4O)の結合順序は各々任意である。例えば(Rf1O)と(Rf2O)が交互に配置されてもよく、(Rf1O)と(Rf2O)が各々ブロックに配置されてもよく、またランダムであってもよい。式(F2)においても同様である。
式(F1)において、k1は1~30が好ましく、1~20がより好ましい。またk2は1~30が好ましく、1~20がより好ましい。
式(F2)において、k2は1~30が好ましく、1~20がより好ましい。またk4は1~30が好ましく、1~20がより好ましい。
式(F3)において、k3は1~30が好ましく、1~20がより好ましい。
式(X1)中、R13としては、上記、Rf1~Rf6と同様のものが挙げられる。
中でも、R13は、炭素数1~3のフルオロアルキレン基であることが好ましく、炭素数1~3のペルフルオロアルキレン基であることがより好ましい。
の具体例として、例えば、以下の構造が挙げられる。構造式中、aは1~500が好ましく、例えば、7である。bは1~30が好ましく、例えば、13である。*は、-CHR-との結合部位を表す。
〔R
式(1)中、Rは、水素原子であることが好ましい。
〔R
式(1)中、Rは、1価飽和炭化水素基、ハロゲノ1価飽和炭化水素基、ヘテロ原子含有1価飽和炭化水素基、ハロゲノ(ヘテロ原子含有1価飽和炭化水素)基、又は、液相中でのフッ素化反応によってRHFとなりうる1価有機基Rである。
で表される1価飽和炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基、及びシクロヘキシル基が挙げられる。
で表されるハロゲノ1価飽和炭化水素基としては、ハロゲノアルキル基が好ましい。ハロゲノ1価飽和炭化水素基に含まれるハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、又は臭素原子が好ましい。
で表されるヘテロ原子含有1価飽和炭化水素基は、エーテル性酸素原子(すなわち、-O-)を含む1価飽和炭化水素基が好ましく、エーテル性酸素原子を含むアルキル基がより好ましい。
で表されるハロゲノ(ヘテロ原子含有1価飽和炭化水素)基としては、ハロゲノ(ヘテロ原子含有アルキル基)が好ましい。ハロゲノ(ヘテロ原子含有1価飽和炭化水素)基に含まれるハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、又は臭素原子が好ましい。ハロゲノ(ヘテロ原子含有1価飽和炭化水素)基は、エーテル性酸素原子を含むハロゲノ1価飽和炭化水素基が好ましく、エーテル性酸素原子を含むハロゲノアルキル基がより好ましい。
の炭素数は、フッ素化工程におけるエステル化合物の液相への溶解性に優れる点から、1~100が好ましく、2~50がより好ましい。
は、フッ素化工程におけるエステル化合物の液相への溶解性に優れる点から、少なくとも1つのフッ素原子を含むことが好ましく、水素原子を含まないことが好ましい。
中でも、フッ素化工程におけるエステル化合物の液相への溶解性に優れる点から、Rは、下記式(Y1)で表されることが好ましい。
21O-(R22O)m2-R23- …(Y1)
式(Y1)中、R21は、フッ素原子を有していてもよいアルキル基であり、R22はそれぞれ独立に、炭素数1~6のフッ素原子を有していてもよいアルキレン基であり、R23は、炭素数1~6のフッ素原子を有していてもよいアルキレン基であり、m2は0~20の整数である。
式(Y1)中、R21としては、例えば、アルキル基及びフルオロアルキル基が挙げられる。
21の炭素数は、フッ素化工程におけるエステル化合物の液相への溶解性に優れる点から、1~50が好ましく、1~10がより好ましく、1~6がさらに好ましい。
21で表されるアルキル基は、直鎖状アルキル基であってもよく、分岐鎖状アルキル基であってもよく、環構造を有するアルキル基であってもよい。
21で表されるフルオロアルキル基は、直鎖状フルオロアルキル基であってもよく、分岐鎖状フルオロアルキル基であってもよく、環構造を有するフルオロアルキル基であってもよい。
中でも、R21は、フルオロアルキル基であることが好ましく、直鎖状フルオロアルキル基であることがより好ましく、炭素数1~6の直鎖状フルオロアルキル基であることがさらに好ましく、炭素数1~6の直鎖状ペルフルオロアルキル基であることが特に好ましい。
式(Y1)中、-(R22O)m2-は、上記式(X2)で表されることが好ましい。
式(Y1)中、m2は0~15の整数であることが好ましく、0~10の整数であることがより好ましい。
式(Y1)中、R23としては、上記、Rf1~Rf6と同様のものが挙げられる。
中でも、R23は、炭素数1~3のフルオロアルキレン基であることが好ましく、炭素数1~3のペルフルオロアルキレン基であることがより好ましい。
の具体例として、例えば、以下の構造が挙げられる。*は、-O-(C=O)-との結合部位を表す。
〔RAF
式(2)中、RAFはRに対応する基である。Rが1価飽和炭化水素基、ハロゲノ1価飽和炭化水素基、ヘテロ原子含有1価飽和炭化水素基、又はハロゲノ(ヘテロ原子含有1価飽和炭化水素)基である場合には、RAFは、Rと同一の基、又は、Rに存在する水素原子の1個以上がフッ素原子に置換された基であり、Rが1価有機基Rである場合には、RAFは、RHFである。
が1価飽和炭化水素基、ハロゲノ1価飽和炭化水素基、ヘテロ原子含有1価飽和炭化水素基、又はハロゲノ(ヘテロ原子含有1価飽和炭化水素)基であって、水素原子を含む場合には、RAFは、Rに存在する全ての水素原子がフッ素原子に置換された基であることが好ましい。Rが1価飽和炭化水素基、ハロゲノ1価飽和炭化水素基、ヘテロ原子含有1価飽和炭化水素基、又はハロゲノ(ヘテロ原子含有1価飽和炭化水素)基であって、水素原子を含まない場合には、RAFは、Rと同一の基であることが好ましい。また、Rが1価有機基Rである場合には、RAFは、基M中に存在する全ての水素原子がフッ素原子に置換された基であることが好ましい。
中でも、フッ素化工程におけるエステル化合物の液相への溶解性に優れる点から、RAFは、下記式(X3)で表されることが好ましい。
14O-(R15O)m3-R16- …(X3)
式(X3)中、R14は、ペルフルオロアルキル基であり、R15はそれぞれ独立に、炭素数1~6のペルフルオロアルキレン基であり、R16は炭素数1~6のペルフルオロアルキレン基であり、m3は0~500の整数である。
式(X3)中、R14は、式(X1)中のR11に対応する。R11が水素原子を含む場合、R14は、R11に含まれる全ての水素原子がフッ素原子に置換された基である。R11が水素原子を含まない場合、R14は、R11と同じである。
式(X3)中、-(R15O)m3-は、式(X1)中の-(R12O)m1-に対応する。R12が水素原子を含む場合、R15は、R12に含まれる全ての水素原子がフッ素原子に置換された基である。R12が水素原子を含まない場合、R15は、R12と同じである。また、m3はm1と同じである。
式(X3)中、-(R15O)m3-は、下記式(X4)で表されることが好ましい。
-[(Rff1O)k7(Rff2O)k8(Rff3O)k9(Rff4O)k10(Rff5O)k11(Rff6O)k12]- …(X4)
ただし、
ff1は、炭素数1のペルフルオロアルキレン基であり、
ff2は、炭素数2のペルフルオロアルキレン基であり、
ff3は、炭素数3のペルフルオロアルキレン基であり、
ff4は、炭素数4のペルフルオロアルキレン基であり、
ff5は、炭素数5のペルフルオロアルキレン基であり、
ff6は、炭素数6のペルフルオロアルキレン基である。
k7、k8、k9、k10、k11、及びk12は、それぞれ独立に0又は1以上の整数を表し、k7+k8+k9+k10+k11+k12は0~500の整数である。
式(X4)中、Rff1~Rff6は、式(X2)中のRf1~Rf6に対応する。例えば、Rf1が水素原子を含む場合、Rff1は、Rf1に含まれる全ての水素原子がフッ素原子に置換された基である。Rf1が水素原子を含まない場合、Rff1は、Rf1と同じである。Rff2~Rff6に関しても、Rff1と同様である。
フッ素化工程におけるエステル化合物の液相への溶解性に優れる点から、k7+k8+k9+k10+k11+k12は、1~500の整数が好ましく、1~300の整数であることがより好ましく、5~200の整数であることがさらに好ましく、10~150の整数であることが特に好ましい。
中でも、-(R15O)m3-は、下記式(G1)~(G3)で表される構造からなる群より選択される少なくとも1つを含むことが好ましく、式(G2)で表される構造を含むことがより好ましい。
-(Rff1O)k7-(Rff2O)k8- …(G1)
-(Rff2O)k8-(Rff4O)k10- …(G2)
-(Rff3O)k9- …(G3)
ただし、式(G1)~式(G3)の各符号は、上記式(X4)と同様である。
式(G1)及び式(G2)において、(Rff1O)と(Rff2O)、(Rff2O)と(Rff4O)の結合順序は各々任意である。例えば(Rff1O)と(Rff2O)が交互に配置されてもよく、(Rff1O)と(Rff2O)が各々ブロックに配置されてもよく、またランダムであってもよい。式(G2)においても同様である。
式(G1)において、k7は1~30が好ましく、1~20がより好ましい。またk8は1~30が好ましく、1~20がより好ましい。
式(G2)において、k8は1~30が好ましく、1~20がより好ましい。またk10は1~30が好ましく、1~20がより好ましい。
式(G3)において、k9は1~30が好ましく、1~20がより好ましい。
式(X3)中、R16は、式(X1)中のR13に対応する。R13が水素原子を含む場合、R16は、R13に含まれる全ての水素原子がフッ素原子に置換された基である。R13が水素原子を含まない場合、R16は、R13と同じである。
16としては、上記、Rff1~Rff6と同様のものが挙げられる。
中でも、R16は、炭素数1~3のペルフルオロアルキレン基であることが好ましい。
式(X3)中、m3は、式(X1)中のm1に対応する。m3はm1と同じである。
AFの具体例として、例えば、以下の構造が挙げられる。構造式中、aは1~500が好ましく、例えば、7である。bは1~30が好ましく、例えば、13である。*は、-CHF-との結合部位を表す。
〔RBF
式(2)中、RBFはRに対応する基である。Rが1価飽和炭化水素基、ハロゲノ1価飽和炭化水素基、ヘテロ原子含有1価飽和炭化水素基、又はハロゲノ(ヘテロ原子含有1価飽和炭化水素)基である場合には、RBFは、Rと同一の基、又は、Rに存在する水素原子の1個以上がフッ素原子に置換された基であり、Rが1価有機基Rである場合には、RBFは、RHFである。
が1価飽和炭化水素基、ハロゲノ1価飽和炭化水素基、ヘテロ原子含有1価飽和炭化水素基、又はハロゲノ(ヘテロ原子含有1価飽和炭化水素)基であって、水素原子を含む場合には、RBFは、Rに存在する全ての水素原子がフッ素原子に置換された基であることが好ましい。Rが1価飽和炭化水素基、ハロゲノ1価飽和炭化水素基、ヘテロ原子含有1価飽和炭化水素基、又はハロゲノ(ヘテロ原子含有1価飽和炭化水素)基であって、水素原子を含まない場合には、RBFは、Rと同一の基であることが好ましい。また、Rが1価有機基Rである場合には、RBFは、基M中に存在する全ての水素原子がフッ素原子に置換された基であることが好ましい。
中でも、フッ素化工程におけるエステル化合物の液相への溶解性に優れる点から、RBFは、下記式(Y2)で表されることが好ましい。
24O-(R25O)m4-R26- …(Y2)
式(Y2)中、R24は、ペルフルオロアルキル基であり、R25はそれぞれ独立に、炭素数1~6のペルフルオロアルキレン基であり、R26は炭素数1~6のペルフルオロアルキレン基であり、m4は0~20の整数である。
式(Y2)中、R24は、式(Y1)中のR21に対応する。R21が水素原子を含む場合、R24は、R21に含まれる全ての水素原子がフッ素原子に置換された基である。R21が水素原子を含まない場合、R24は、R21と同じである。
式(Y2)中、-(R25O)m4-は、式(Y1)中の-(R22O)m2-に対応する。R22が水素原子を含む場合、R25は、R22に含まれる全ての水素原子がフッ素原子に置換された基である。R22が水素原子を含まない場合、R25は、R22と同じである。また、m4はm2と同じである。
式(Y2)中、-(R25O)m4-は、上記式(X4)で表されることが好ましい。
式(Y2)中、R26は、式(Y1)中のR23に対応する。R23が水素原子を含む場合、R26は、R23に含まれる全ての水素原子がフッ素原子に置換された基である。R23が水素原子を含まない場合、R26は、R23と同じである。
式(Y2)中、m4は、式(Y1)中のm2に対応する。m4はm2と同じである。
BFの具体例として、例えば、以下の構造が挙げられる。*は、-O-(C=O)-との結合部位を表す。
なお、式(1)で表されるエステル化合物は、エステル結合を1つ有するモノエステル化合物の例であるが、フッ素化工程で用いられるエステル化合物は、ジエステル化合物であってもよく、トリエステル化合物であってもよい。
エステル化合物は、下記式(4)で表され、フッ素化エステル化合物は、下記式(5)で表される化合物であってもよい。
-(CHR-O-(C=O)-R …(4)
CF-(CHF-O-(C=O)-RDF …(5)
式(4)中、
は、t価飽和炭化水素基、ハロゲノt価飽和炭化水素基、ヘテロ原子含有t価飽和炭化水素基、ハロゲノ(ヘテロ原子含有t価飽和炭化水素)基、又は、液相中でのフッ素化反応によってRHF1となりうるt価有機基RH1であり、
はそれぞれ独立に、1価飽和炭化水素基、ハロゲノ1価飽和炭化水素基、ヘテロ原子含有1価飽和炭化水素基、ハロゲノ(ヘテロ原子含有1価飽和炭化水素)基、又は、液相中でのフッ素化反応によってRHFとなりうる1価有機基Rであり、
HF1は、t価飽和炭化水素基、ハロゲノt価飽和炭化水素基、ヘテロ原子含有t価飽和炭化水素基、及びハロゲノ(ヘテロ原子含有t価飽和炭化水素)基から選ばれる基M1中に存在する水素原子の1個以上がフッ素原子に置換された基であり、
HFは、1価飽和炭化水素基、ハロゲノ1価飽和炭化水素基、ヘテロ原子含有1価飽和炭化水素基、及びハロゲノ(ヘテロ原子含有1価飽和炭化水素)基から選ばれる基M中に存在する水素原子の1個以上がフッ素原子に置換された基であり、
は水素原子又はフッ素原子である。
式(5)中、
CFはRに対応する基であり、RDFはRに対応する基であり、
がそれぞれ独立に、t価飽和炭化水素基、ハロゲノt価飽和炭化水素基、ヘテロ原子含有t価飽和炭化水素基、又はハロゲノ(ヘテロ原子含有t価飽和炭化水素)基である場合には、RCFは、それぞれ独立に、Rと同一の基、又は、Rに存在する水素原子の1個以上がフッ素原子に置換された基であり、
が1価有機基RH1である場合には、RCFは、それぞれ独立に、RHF1である。
がそれぞれ独立に、1価飽和炭化水素基、ハロゲノ1価飽和炭化水素基、ヘテロ原子含有1価飽和炭化水素基、又はハロゲノ(ヘテロ原子含有1価飽和炭化水素)基である場合には、RDFは、それぞれ独立に、Rと同一の基、又は、Rに存在する水素原子の1個以上がフッ素原子に置換された基であり、
が1価有機基Rである場合には、RDFは、それぞれ独立に、RHFであり、
式(4)~(5)中、tは2~6の整数である。
の好ましい態様は、Rの好ましい態様と同様である。
DFの好ましい態様は、RBFの好ましい態様と同様である。
tは、合成容易性の観点から、2又は3が好ましい。
で表されるt価飽和炭化水素基は、tが2である場合には、アルキレン基が好ましい。t価飽和炭化水素基は、tが3である場合には、環構造及び分岐構造のうち少なくとも一方を含むことが好ましい。
で表されるハロゲノt価飽和炭化水素基に含まれるハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、又は臭素原子が好ましく、フッ素原子がより好ましい。
で表されるヘテロ原子含有t価飽和炭化水素基は、エーテル性酸素原子(すなわち、-O-)を含むt価飽和炭化水素基が好ましい。
で表されるハロゲノ(ヘテロ原子含有t価飽和炭化水素)基に含まれるハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、又は臭素原子が好ましい。ハロゲノ(ヘテロ原子含有t価飽和炭化水素)基は、エーテル性酸素原子を含むハロゲノt価飽和炭化水素基が好ましい。
下記式(4)で表される化合物としては、例えば、以下の化合物D1、化合物T1が挙げられる。

エステル化合物を液相中でフッ素化する方法としては、例えば、ECF法、コバルトフッ素化法、及びフッ素と反応させる方法が挙げられる。中でも、エステル化合物のフッ素化を有利に進行させることが可能な、液相中でフッ素と反応させる方法が好ましい。
フッ素化工程では、フッ素ガスをそのまま用いてもよく、不活性ガスで希釈されたフッ素ガスを用いてもよい。不活性ガスとしては、窒素又はヘリウムが好ましく、窒素がより好ましい。不活性ガス及びフッ素の混合ガス中、フッ素の含有量は、フッ素化の効率の観点から、10体積%以上が好ましく、20体積%以上がより好ましい。フッ素の含有量の上限値は特に限定されないが、安全性に優れる観点から、60体積%が好ましく、50体積%がより好ましく、40体積%がさらに好ましい。
フッ素化工程では、-CHF-O-(C=O)-基を有するフッ素化エステル化合物を効率良く得る観点から、エステル化合物とフッ素とを接触させ、接触時間を0.1~1.5秒とすることが好ましく、0.3~1.5秒とすることがより好ましく、0.8~1.2秒とすることがさらに好ましい。
エステル化合物とフッ素との接触時間は、例えば、エステル化合物とフッ素とを反応させる反応管の長さによって調整できる。
フッ素化工程は、液相中で行われる。液相に用いられる溶媒は、エステル化合物を溶解可能な溶媒であれば特に限定されない。
エステル化合物及びフッ素化エステル化合物の溶解性に優れる観点から、液相は、含塩素溶媒を含むことが好ましい。含塩素溶媒は、塩素原子を含む溶媒である。含塩素溶媒は、塩素原子以外にフッ素原子を含むことが好ましい。
含塩素溶媒としては、例えば、CClFCClFCFOCFCClF(CFE-419)、CHClCHClCHOCFCHFCl(HCFE-473)、CFClCFClCHFOCFCFCl(HCFE-428a,b)、CFHClCFClCFOCFCFCl(HCFE-428c,d)、CFClCHClCFOCFCFCl(HCFE-428e)、1,2,3,4-テトラクロロパーフルオロブタン(R-113)、CFCl-CFCl-CFCl-O-CF-CFCl(CFE-418)、CClHFCClFCHFOCFCClF(HCFE-437a、b)、CClFCClHCHFOCFCClF(HCFE-437c)、CClHFCClFCHOCFCClF(HCFE-446a)、CFClCClCFOCFCFHCl(HCFE-427a,b)、CFHCClFCFOCFCFCl(HCFE-429)等が挙げられる。
含塩素溶媒以外の含フッ素溶媒としては、ペルフルオロアルカン類(FC-72等)、ペルフルオロエーテル類(FC-75、FC-77等)、ペルフルオロポリエーテル類(商品名:クライトックス、フォンブリン、ガルデン、デムナム等)、不活性流体(商品名:フロリナート)、ペルフルオロカルボン酸フッ化物等が挙げられる。
液相は、必要に応じてその他添加剤を含有してもよい。その他添加剤としては、例えば、原料化合物のフッ素化を促進する助剤が挙げられる。助剤としては、例えば、原料化合物以外のC-H結合含有化合物及び炭素-炭素二重結合含有化合物が挙げられる。
C-H結合含有化合物としては、ベンゼン、トルエン等が挙げられる。
炭素-炭素二重結合含有化合物としては、ヘキサフルオロプロピレン、ヘキサフルオロブタジエン等が挙げられる。
フッ素化工程では、-CHF-O-(C=O)-基を有するフッ素化エステル化合物を効率良く得る観点から、液相中、エステル化合物の含有量は、10~70質量%が好ましく、20~50質量%がより好ましい。
<脱エステル化工程>
脱エステル化工程では、フッ素化エステル化合物を脱エステル化して、含フッ素アルデヒド化合物を得る。
脱エステル化工程では、フッ素化エステル化合物をアルコール化合物と反応させた後、加熱することが好ましい。
アルコール化合物としては、炭素数1~5の化合物が好ましく、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、及びイソプロパノールが挙げられる。中でも、反応性に優れる観点から、アルコール化合物は、メタノールが好ましい。
また、加熱温度は、80~200℃が好ましく、80~150℃がより好ましい。
加熱時間は特に限定されず、例えば、12~36時間である。
加熱処理は、減圧下で行われることが好ましく、圧力は、例えば、1~100hPaである。
本開示の含フッ素アルデヒド化合物の製造方法では、例えば、式(1)で表されるエステル化合物を液相中でフッ素化し、式(2)で表されるフッ素化エステル化合物を得た後、脱エステル化工程を実施することにより、下記式(3)で表される含フッ素アルデヒド化合物を得ることができる。
AF-CHO …(3)
式(3)中、RAFは、式(2)中のRAFと同義である。
式(3)で表される化合物の具体例は、以下のとおりである。
本開示の含フッ素アルデヒド化合物の製造方法では、例えば、式(4)で表されるエステル化合物を液相中でフッ素化し、式(5)で表されるフッ素化エステル化合物を得た後、脱エステル化工程を実施することにより、下記式(6)で表される含フッ素アルデヒド化合物を得ることができる。
CF-(CHO) …(6)
式(6)中、RCF及びtは、式(4)中のRCF及びtと同義である。
上記ジエステル化合物(化合物D1)を用いることにより、以下の含フッ素アルデヒド化合物D2を得ることができる。上記トリエステル化合物(化合物T1)を用いることにより、以下の含フッ素アルデヒド化合物T2を得ることができる。
以下、本開示を実施例によりさらに具体的に説明するが、本開示はその主旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。本実施例において、例1~10は実施例であり、例11は比較例である。
[例1]
国際公開第2013/121984号に記載の方法を用い、下記化合物1-1を得た。
反応管として配管(材質:SUS304、呼び径:25A)の0.12mを準備した。反応管を上下方向に配置し、反応管の下側から上側に向けて、CFE-419を2,540kg/時間を流した。フッ素ガスと窒素ガスとの混合ガス(F:N=70:30(体積%))を導入するためのガス配管を反応管の下部に連結し、上記混合ガスを1,050L/時間の速度で流した。反応管とガス配管との連結部より、化合物1-1を含む組成物1(化合物1-1:CClFCClFCFOCFCClF(CFE-419)=30:70(質量%))を3.4kg/時間で流した。10分間の運転の後、反応管の出口に配置した気液分離槽にて気体を分離し、得られた気体をエバポレータで濃縮することにより、低沸点の成分を除去したサンプルを得た(フッ素化工程)。
得られたサンプルには、下記化合物A1及び化合物A2が含まれていることを確認した。

<化合物A1>
H-NMR(300.4MHz,Chloroform-d) δ(ppm):6.5~7.0(1H)
19F-NMR(282.7MHz,Chloroform-d) δ(ppm):19F-NMR(282.7MHz,Chloroform-d) δ(ppm):-55~-56、-75~-95、-115~-135、-140~-142
<化合物A2>
19F-NMR(282.7MHz,Chloroform-d) δ(ppm):-55~-56、-75~-95、-115~-135
得られたサンプルのうち11gにメタノール(5.0g)、AC-2000(5.0g)を加え、25℃で1時間攪拌した。その後、100℃で減圧留去を24時間実施し、化合物B1と化合物B2との混合物を10g得た(脱エステル化工程)。シリカゲルを用いたフラッシュカラムクロマトグラフィにより、化合物B1を1.0g、化合物B2を5.0g得た。

<化合物B1>
H-NMR(300.4MHz,Chloroform-d) δ(ppm):9.42(1H)
19F-NMR(282.7MHz,Chloroform-d) δ(ppm):-54.85、-82.32、-86.24、-87.56,-89.68、-124.73,-125.27、-126.50
<化合物B2>
H-NMR(300.4MHz,Chloroform-d) δ(ppm):3.9ppm(3H)
19F-NMR(282.7MHz,Chloroform-d) δ(ppm):-55~-56、-75~-95、-115~-135
[例2]
反応管として配管(材質:SUS304、呼び径:25A)の0.60mを準備したこと以外は、例1と同様の方法でフッ素化工程を実施し、化合物A1及び化合物A2を含むサンプルを得た。例1と同様の方法で脱エステル化工程を実施し、化合物B1及び化合物B2の混合物を10g得た。シリカゲルを用いたフラッシュカラムクロマトグラフィにより、化合物B1を1.5g、化合物B2を6.0g得た。
[例3]
反応管として配管(材質:SUS304、呼び径:25A)の1.19mを準備したこと以外は、例1と同様の方法でフッ素化工程を実施し、化合物A1及び化合物A2を含むサンプルを得た。例1と同様の方法で脱エステル化工程を実施し、化合物B1と化合物B2の混合物を10g得た。シリカゲルを用いたフラッシュカラムクロマトグラフィにより、化合物B1を2.3g、化合物B2を4.7g得た。
[例4]
組成物1の代わりに、化合物1-1を含む組成物2(化合物1-1:CFE-419=50:50(質量%))を用いたこと以外は、例3と同様の方法でフッ素化工程を実施し、化合物A1及び化合物A2を含むサンプルを得た。例1と同様の方法で脱エステル化工程を実施し、化合物B1と化合物B2の混合物を10g得た。シリカゲルを用いたフラッシュカラムクロマトグラフィにより、化合物B1を2.5g、化合物B2を4.0g得た。
[例5]
反応管として配管(材質:SUS304、呼び径:25A)の1.19mを準備した。反応管を上下方向に配置し、反応管の下側から上側に向けて、CFE-419を2,540kg/時間を流した。フッ素ガスと窒素ガスとの混合ガス(F:N=70:30(体積%))を導入するためのエジェクタ(製品名「2PS-W」、北斗社製)を反応管の下部に連結し、エジェクタから反応管に、上記混合ガスを1,050L/時間の速度で流した。反応管のエジェクタより上流側から、化合物1-1を含む組成物1(化合物1-1:CFE-419=30:70(質量%))を3.4kg/時間で流した。10分間の運転の後、反応管の出口に配置した気液分離槽にて気体を分離し、得られた気体をエバポレータで濃縮することにより、低沸点の成分を除去したサンプルを得た。得られたサンプルには、化合物A1及び化合物A2が含まれていることを確認した。得られたサンプルのうち11gにメタノール(5.0g)、AC-2000(5.0g)を加え、25℃で1時間攪拌した。その後、100℃で減圧留去を24時間実施し、化合物B1と化合物B2の混合物を10g得た。シリカゲルを用いたフラッシュカラムクロマトグラフィにより、化合物B1を2.0g、化合物B2を7.0g得た。
[例6]
(化合物Xの合成)
国際公開第2013/121984号に記載の方法を用い、下記化合物Xを得た。
(化合物1-2の合成)
2.5LのPFAで被覆されたステンレス鋼製の反応容器に、化合物X(1.0kg)、ヘキサフルオロプロピレンオキシドトリマー(0.5kg)、NaF(0.2kg)を加え、60℃で24時間、攪拌した。25℃に戻し、濾過した後に濃縮することで、下記化合物1-2を1.05kg得た。
<化合物1-2>
H-NMR(300.4MHz,Chloroform-d) δ(ppm):5.5~6.2(14H)、4.8~5.1(2H)、4.0~4.5(26H)、3.2~3.5(3H)、2.0~2.2(3H)
19F-NMR(282.7MHz,Chloroform-d) δ(ppm):-80~-88、-88~-92、-121~-124、-127~-129、-130~-135、-145~-146
組成物1の代わりに、化合物1-2を含む組成物3(化合物1-2:CFE-419=30:70(質量%))を用いたこと以外は、例3と同様の方法でフッ素化工程を実施し、下記化合物A3及び化合物A4を含むサンプルを得た。例3と同様の方法で脱エステル化工程を実施し、化合物B1と化合物B2の混合物を10g得た。シリカゲルを用いたフラッシュカラムクロマトグラフィにより、化合物B1を2.3g、化合物B2を4.7g得た。

<化合物A3>
H-NMR(300.4MHz,Chloroform-d) δ(ppm):6.5~7.0(1H)
19F-NMR(282.7MHz,Chloroform-d) δ(ppm):-55~-56、-75~-100、-115~-135、-140~-142
<化合物A4>
19F-NMR(282.7MHz,Chloroform-d) δ(ppm):-55~-56、-75~-100、-115~-135
[例7]
(化合物1-3の合成)
2.5LのPFAで被覆されたステンレス鋼製の反応容器に、化合物X(1.0kg)、2-((ジフルオロ(トリフルオロメトキシ)メトキシ)ジフルオロメトキシ)-2,2-ジフルオロアセチルフルオリド(0.5kg)、NaF(0.2kg)を加え、60℃で24時間、攪拌した。25℃に戻し、濾過した後に濃縮することで、下記化合物1-3を1.05kg得た。
<化合物1-3>
H-NMR(300.4MHz,Chloroform-d) δ(ppm):5.5~6.2(14H)、4.8~5.1(2H)、4.0~4.5(26H)、3.2~3.5(3H)、2.0~2.2(3H)
19F-NMR(282.7MHz,Chloroform-d) δ(ppm):-50~-60、-78~-80、-82~-88、-88~-92,-121~-124,-127~-129、-145~-146
組成物1の代わりに、化合物1-3を含む組成物4(化合物1-3:CFE-419=30:70(質量%))を用いたこと以外は、例3と同様の方法でフッ素化工程を実施し、下記化合物A5及び化合物A6を含むサンプルを得た。例3と同様の方法で脱エステル化工程を実施し、化合物B1と化合物B2の混合物を10g得た。シリカゲルを用いたフラッシュカラムクロマトグラフィにより、化合物B1を2.2g、化合物B2を4.7g得た。

<化合物A5>
H-NMR(300.4MHz,Chloroform-d) δ(ppm):6.5~7.0(1H)
19F-NMR(282.7MHz,Chloroform-d) δ(ppm):-50~-60、-75~-100、-115~-135、-140~-142
<化合物A6>
19F-NMR(282.7MHz,Chloroform-d) δ(ppm):-50~-60、-75~-100、-115~-135
[例8]
(化合物1-4の合成)
2.5LのPFAで被覆されたステンレス鋼製の反応容器に、化合物X(1.0kg)、塩化アセチル(0.5kg)、NaF(0.2kg)を加え、60℃で24時間、攪拌した。25℃に戻し、濾過した後に濃縮することで、下記化合物5を1.05kg得た。
H-NMR(300.4MHz,Chloroform-d) δ(ppm):5.5~6.2(14H)、4.7~5.0(2H)、4.0~4.5(26H)、3.2~3.5(3H)、2.0~2.2(3H)
19F-NMR(282.7MHz,Chloroform-d) δ(ppm):-82~-88、-88~-92、-121~-124、-127~-129,-145~-146
組成物1の代わりに、化合物1-4を含む組成物5(化合物1-4:CFE-419=30:70(質量%))を用いたこと以外は、例3と同様の方法でフッ素化工程を実施し、下記化合物A7及び化合物A8を含むサンプルを得た。例3と同様の方法で脱エステル化工程を実施し、化合物B1と化合物B2の混合物を10g得た。シリカゲルを用いたフラッシュカラムクロマトグラフィにより、化合物B1を2.2g、化合物B2を4.7g得た。

<化合物A7>
H-NMR(300.4MHz,Chloroform-d) δ(ppm):6.5~7.0(1H)
19F-NMR(282.7MHz,Chloroform-d) δ(ppm):-55~-60、-75~-100、-115~-135、-140~-142
<化合物A8>
19F-NMR(282.7MHz,Chloroform-d) δ(ppm):-55~-60、-75~-100、-115~-135
[例9]
反応管として配管(材質:SUS304、呼び径:25A)の1.76mを準備したこと以外は、例1と同様の方法で反応を行い、化合物B1と化合物B2の混合物を10g得た。シリカゲルを用いたフラッシュカラムクロマトグラフィにより、化合物B1を0.5g、化合物B2を9.1g得た。
[例10]
反応管として配管(材質:SUS304、呼び径:25A)の2.09mを準備したこと以外は、例1と同様の方法で反応を行い、化合物B1と化合物B2の混合物を10g得た。シリカゲルを用いたフラッシュカラムクロマトグラフィにより、化合物B1を0.1g、化合物B2を9.2g得た。
[例11]
反応管として配管(材質:SUS304、呼び径:25A)の11.7mを準備したこと以外は、例1と同様の方法で反応を行い、10分間の運転の後、反応管の出口に配置した気液分離槽にて気体を分離し、得られた気体をエバポレータで濃縮することにより、低沸点の成分を除去したサンプルを得た。
得られたサンプルには、化合物A2のみが含まれていることを確認した。50mLのガラス製ナスフラスコに得られたサンプルのうち11g、メタノール(5.0g)、AC-2000(5.0g)を加え、25℃で1時間攪拌した。その後、100℃で減圧留去を24時間実施し、化合物B2を10.0g得た。
表1に、フッ素化されるエステル化合物の種類、フッ素化されるエステル化合物とフッ素ガスとの接触時間、エジェクター(EJ)の使用有無、液相におけるフッ素化されるエステル化合物の含有量、及び生成物(B1又はB2)の収率を記載した。液相におけるフッ素化されるエステル化合物の含有量は、フッ素化されるエステル化合物と溶媒を含む組成物に占めるフッ素化されるエステル化合物の含有量の割合を意味する。
なお、接触時間は、下記式に基づいて算出した。
接触時間(秒)=反応管体積/(液流速+ガス流速)
表1に示すように、例1~10では、エステル化合物を液相中でフッ素化して、-CHF-O-(C=O)-基を有するフッ素化エステル化合物を得るフッ素化工程と、フッ素化エステル化合物を脱エステル化して、含フッ素アルデヒド化合物を得る脱エステル化工程と、を含み、従来と比較して温和な条件で簡便に含フッ素アルデヒド化合物を製造する含フッ素アルデヒド化合物を製造できることが分かった。
本開示の含フッ素アルデヒド化合物の製造方法は、従来よりも温和な条件で簡便に含フッ素アルデヒド化合物を製造できる。得られた含フッ素アルデヒド化合物は、種々の官能基(例えば、水酸基、エチレン性不飽和基、エポキシ基、カルボキシ基等)を有する含フッ素化合物に誘導できる。また、得られた含フッ素アルデヒド化合物及び含フッ素化合物は、表面処理剤、乳化剤、ゴム、界面活性剤、溶媒、熱媒体、医薬品、農薬、潤滑油、これらの中間体等に利用可能である。

Claims (9)

  1. エステル化合物を液相中でフッ素化して、-CHF-O-(C=O)-基を有するフッ素化エステル化合物を得るフッ素化工程と、
    前記フッ素化エステル化合物を脱エステル化して、含フッ素アルデヒド化合物を得る脱エステル化工程と、を含む、含フッ素アルデヒド化合物の製造方法。
  2. 前記フッ素化工程では、前記エステル化合物とフッ素とを接触させ、接触時間を0.1~1.5秒とする、請求項1に記載の含フッ素アルデヒド化合物の製造方法。
  3. 前記エステル化合物は、下記式(1)で表され、
    前記フッ素化エステル化合物は、下記式(2)で表される、請求項1又は請求項2に記載の含フッ素アルデヒド化合物の製造方法。
    -CHR-O-(C=O)-R …(1)
    AF-CHF-O-(C=O)-RBF …(2)
    式(1)中、
    及びRはそれぞれ独立に、1価飽和炭化水素基、ハロゲノ1価飽和炭化水素基、ヘテロ原子含有1価飽和炭化水素基、ハロゲノ(ヘテロ原子含有1価飽和炭化水素)基、又は、液相中でのフッ素化反応によってRHFとなりうる1価有機基Rであり、
    HFは、1価飽和炭化水素基、ハロゲノ1価飽和炭化水素基、ヘテロ原子含有1価飽和炭化水素基、及びハロゲノ(ヘテロ原子含有1価飽和炭化水素)基から選ばれる基M中に存在する水素原子の1個以上がフッ素原子に置換された基であり、
    は水素原子又はフッ素原子である。
    式(2)中、
    AFはRに対応する基であり、RBFはRに対応する基であり、
    及びRがそれぞれ独立に、1価飽和炭化水素基、ハロゲノ1価飽和炭化水素基、ヘテロ原子含有1価飽和炭化水素基、又はハロゲノ(ヘテロ原子含有1価飽和炭化水素)基である場合には、RAF及びRBFは、それぞれ独立に、R及びRと同一の基、又は、R及びRに存在する水素原子の1個以上がフッ素原子に置換された基であり、
    及びRが1価有機基Rである場合には、RAF及びRBFは、それぞれ独立に、RHFである。
  4. 前記式(2)中、
    前記RAF及び前記RBFは、
    前記R及び前記Rがそれぞれ独立に、1価飽和炭化水素基、ハロゲノ1価飽和炭化水素基、ヘテロ原子含有1価飽和炭化水素基、又はハロゲノ(ヘテロ原子含有1価飽和炭化水素)基であって、水素原子を含む場合には、R及びRに存在する全ての水素原子がフッ素原子に置換された基であり、水素原子を含まない場合には、前記R及び前記Rと同一の基であり、
    前記R及び前記Rが1価有機基Rである場合に、前記基M中に存在する全ての水素原子がフッ素原子に置換された基である、請求項3に記載の含フッ素アルデヒド化合物の製造方法。
  5. 前記式(1)中、Rは、少なくとも1つのフッ素原子を含む、請求項3に記載の含フッ素アルデヒド化合物の製造方法。
  6. 式(1)中、Rは、下記式(X1)で表される、請求項3に記載の含フッ素アルデヒド化合物の製造方法。
    11O-(R12O)m1-R13- …(X1)
    式(X1)中、R11は、フッ素原子を有していてもよいアルキル基であり、R12はそれぞれ独立に、炭素数1~6のフッ素原子を有していてもよいアルキレン基であり、R13は、炭素数1~6のフッ素原子を有していてもよいアルキレン基であり、m1は0~500の整数である。
  7. 前記フッ素化工程において、前記液相中、前記エステル化合物の含有量は、30~50質量%である、請求項1又は請求項2に記載の含フッ素アルデヒド化合物の製造方法。
  8. 前記フッ素化工程において、前記液相は、含塩素溶媒を含む、請求項1又は請求項2に記載の含フッ素アルデヒド化合物の製造方法。
  9. 前記脱エステル化工程では、前記フッ素化エステル化合物をアルコール化合物と反応させた後、加熱する、請求項1又は請求項2に記載の含フッ素アルデヒド化合物の製造方法。
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