JP6849443B2 - 電極用スラリーの製造方法、電極及び二次電池の製造方法 - Google Patents

電極用スラリーの製造方法、電極及び二次電池の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、リチウムイオン電池などの非水系二次電池の電極を形成するのに有用なスラリー(又はスラリー組成物)の製造方法、このスラリー組成物を用いた非水系二次電池用電極及び非水系二次電池の製造方法に関する。
近年、携帯電話やノート型又はタブレット型パソコンなどのモバイル端末機器の駆動電源として、高いエネルギー密度を有し、高容量であるリチウムイオン電池に代表される非水電解質二次電池(非水系二次電池)が広く利用されている。さらに、前記モバイル端末機器は、高性能化、小型化及び軽量化が進められており、電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド自動車(PHEV)、ハイブリッド自動車(HEV)や電動工具、家庭用蓄電用途、電力平準化用蓄電池等にも非水系ニ次電池が用いられるようになってきており、非水系ニ次電池の更なる高容量化、高出力化、長寿命化が検討されている。一方、非水系二次電池の高度化に伴って、電極板製造工程において電極塗膜が集電体から剥がれ落ちたり、充放電の繰り返しによる電極の膨張・収縮により、電極活物質粒子間が離れたり、集電体から電極塗膜が剥離して、電池特性が低下する課題があり、電極活物質粒子間及び電極塗膜(電極活物質層)と集電体とのより高い密着性が要求されている。
従来から、リチウムイオン電池の電極材料としては、樹枝状の電析リチウムの成長による内部短絡の虞のない炭素粉末が利用されている。リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な炭素粉末としては、例えば、コークス、黒鉛、有機物の焼成体などが提案されている。中でも、負極活物質として黒鉛粒子を用いたリチウムイオン二次電池は、安全性が高く、かつ高容量であるため、広く用いられている。最近では、特にオリビン型の正極活物質の導電性を高めるため、正極活物質に炭素コーティングをする研究も多数報告されている。
炭素粉末を含む電極は、通常、炭素粉末と結着剤と有機溶媒とを混練してスラリー化し、電極集電体上に塗布し、乾燥固化することにより、炭素粉末を集電体に結着する方法が採用されている。そのため、結着剤には、電極の膨張収縮でも破断しない機械的強度、炭素粉体同士及び炭素粉末と集電体とを結着させる結着力、耐電圧特性、塗工インクとしての適切な粘度などが要求される。結着剤としては、通常、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)などが使用される。しかし、PVDFなどの結着剤は、N−メチルピロリドン(NMP)などの有機溶媒に溶解して使用する必要があり、高コストになるとともに、環境への悪影響が大きい。このため、PVDF−NMP系に代えて、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)ラテックスの水系ディスパージョンを結着剤として用い、増粘剤として親水性の高いカルボキシメチルセルロース(CMC)を併用する方法も提案されている。
なお、負極活物質層と集電体との密着性は、主としてCMCにより確保している。例えば、特開2009−43641号公報(特許文献1)には、負極活物質と水溶液系の負極活物質層用結着剤とを含む負極活物質層が負極集電体の表面に形成された非水電解質電池用負極において、前記負極活物質層の表面に、無機微粒子と非水溶液系の多孔質層用結着剤とを含む多孔質層が形成され、且つ前記負極活物質層用結着剤にエーテル化度が0.5以上0.75以下であるCMCを含む非水電解質電池用負極が開示されている。この文献の実施例では、負極用結着剤として、CMCとSBRとを組み合わせている。
しかし、CMC又はその塩とSBRとの組み合わせでは、近年の高度化した要求において、電極活物質層と集電体との密着性が十分でない。さらに、放電容量を高めることもできない。
また、リチウム二次電池の電極活物質である炭素粉末の結着剤として、セルロースを利用する方法も検討されており、特開2000−100439号公報(特許文献2)には、再生セルロースなどのセルロースを含む結着剤が開示されている。
しかし、この文献には、セルロースの繊維径や繊維長は記載されていない。
WO2013/042720号パンフレット(特許文献3)には、リチウム二次電池の電極を形成するための水系バインダーとして、微細セルロースファイバーが開示され、微細セルロースファイバーの繊維径が0.001〜10μm、アスペクト比(L/D)が10〜100,000であることも記載され、分散剤として、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリエチレングリコール、スチレン−ブタジエンゴムなどの水溶性ポリマーを含んでもよいことが記載されている。また、この文献の実施例には、充放電に伴う体積変化が少ないリチウムチタン複合酸化物(LTO)と、アセチレンブラックと、セルロースファイバー水分散液とを混合し、スラリー組成物を得たことが記載され、この組成物は、セルロースファイバーに代えてカルボキシメチルセルロースを用いた比較例1に比べて、塗布性及び充放電容量が高いことが記載されている。
しかし、この文献に記載の二次電池では、放電容量及びサイクル特性を大きく改善することが困難である。また、活物質のエネルギー密度が未だ十分でないためか、電池の容量を向上させることも困難である。
特開2009−43641号公報(特許請求の範囲、段落[0016]、実施例) 特開2000−100439号公報(請求項1、実施例) WO2013/042720号パンフレット(請求項1、段落[0024][0047][0048])
従って、本発明の目的は、放電容量を向上でき、かつ繰り返し充放電しても高い放電容量を維持できる電極を形成するのに有用なスラリー組成物(又は電極用スラリー)の製造方法、このスラリーを用いた電極並びに非水系二次電池(例えば、リチウムイオン二次電池)の製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、充放電に伴って生じる膨張収縮が大きな電極活物質を含んでいても、充放電のサイクル耐久性が高く、充放電を繰り返しても、集電体に対する負極活物質の高い密着性を維持できるスラリー組成物の製造方法、電極並びに非水系二次電池(例えば、リチウムイオン二次電池)の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、カルボキシメチルセルロース又はその塩が、電極活物質を含む電極を被覆するためか、電極表面を保護するのに有用であり、セルロースファイバーが、充放電に伴って電極が膨張収縮しても電極活物質を高い結着力で保持するのに有用であるとの知見に基づいて、カルボキシメチルセルロース又はその塩とセルロースファイバーとを組み合わせると、さらに有効な電極を形成できるとの推測に基づいて、スラリー組成物を調製した。しかし、カルボキシメチルセルロース又はその塩とセルロースファイバーとを組み合わせると、両者の親和性が高く、セルロースファイバーの近傍にカルボキシメチルセルロース又はその塩が局在化するためか、電極を有効に保護できず、放電容量が低下するとともに、サイクル特性が低下し、高い放電容量を維持できないことを見いだした。本発明者らは、これらの知見に基づいて、さらに検討した結果、電極活物質とセルロースファイバーとの混合系にカルボキシメチルセルロース又はその塩を添加しても、サイクル特性などが改善しないこと、電極活物質とカルボキシメチルセルロース又はその塩との混合系に、セルロースファイバー(又はセルロースファイバー水性分散体)を添加すると、電極活物質がカルボキシメチルセルロース又はその塩で予めコート又は吸着されるためか、放電容量を改善できるとともに、繰り返し充放電しても高い放電容量を維持できることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明のスラリー組成物(又は電極用スラリー)は、少なくとも(A)電極活物質を含む粒状物質と、(C)カルボキシメチル基含有セルロースエーテル又はその塩と、(D)セルロースファイバーとを含有しており、前記粒状物質のうち少なくとも(A)電極活物質を(C)カルボキシメチル基含有セルロースエーテル又はその塩で処理(又は予め混合処理)した後、(D)セルロースファイバーを混合することにより製造できる。本発明は、このようにして得られたスラリー組成物も包含する。
前記スラリー組成物において、前記粒状物質はさらに(B)導電助剤を含んでいてもよい。このような組成物は、(A)電極活物質と(B)導電助剤とを、(C)カルボキシメチル基含有セルロースエーテル又はその塩で処理(又は予め混合処理)した後、(D)セルロースファイバーを混合することにより調製してもよい。
前記粒状物質のうち、少なくとも(A)電極活物質(又は(B)導電助剤を含む粒状物質)の処理は、通常、水性媒体中で行うことができ、(C)カルボキシメチル基含有セルロースエーテル又はその塩は、粉末状などの固体の形態、水溶液の形態で使用できる。また、(D)セルロースファイバーは、水性分散体の形態で使用できる。
(A)電極活物質は、少なくとも(A1)炭素素材粒子を含んでいてもよく、例えば、(A1)炭素素材粒子と(A2)シリコン粒子とを含んでいてもよい。(C)カルボキシメチル基含有セルロース又はその塩は、例えば、カルボキシメチルセルロース又はその塩であってもよい。さらに、(D)セルロースファイバーの平均繊維長は、例えば、1〜750μm(例えば、2〜100μm)程度であってもよい。
より具体的には、(A1)炭素素材粒子と(A2)シリコン粒子とを前者/後者=99/1〜50/50(重量比)の割合で含む(A)電極活物質と、必要により(B)導電助剤と、(C)カルボキシメチルセルロース又はその塩とを混合して水性混合物を調製し、この水性混合物と、(D)平均繊維径がナノメータサイズのセルロースナノファイバーを含む水性分散液とを混合し、スラリー組成物を調製してもよい。この方法において、固形分換算で、(A)電極活物質100重量部に対して、(C)カルボキシメチルセルロース又はその塩を0.1〜4重量部の割合で混合してもよい。また、(C)カルボキシメチルセルロース又はその塩に対して、(D)セルロースナノファイバーを、固形分換算で、前者/後者(重量比)=95/5〜5/95の割合で混合してもよい。
本発明は、前記の方法で得られた電極用スラリー組成物を集電体の上に塗布し、非水系二次電池用電極(例えば、リチウムイオン二次電池の正極又は負極)を形成又は製造する方法も包含する。さらには、このようにして製造された電極を用い、非水系二次電池(例えば、リチウムイオン二次電池)を製造する方法も包含する。
本明細書において、「スラリー組成物」「スラリー」は、電極活物質層を形成するためのスラリーを意味する。また、「金属粒子」「シリコン粒子」は、「金属」「シリコン」を主要な成分として含む限り、「金属」「シリコン」単体の粒子に限らず、合金粒子、複合体粒子も包含する。
本発明は、所定の方法でスラリー組成物を調製するため、放電容量を大きく改善できるとともに、充放電を繰り返しても高い放電容量を維持できる。また、充放電に伴って生じる膨張収縮が大きく、エネルギー密度の高い電極活物質を含んでいても、集電体に対して高い密着性を維持できる。
[スラリー組成物の成分]
本発明のスラリー組成物(又は電極用スラリー)は、少なくとも(A)電極活物質を含む粒状物質と、(C)カルボキシメチル基含有セルロース又はその塩[カルボキシメチル基含有セルロースエーテル(塩)]と、(D)セルロースファイバーとを含んでおり、粒状物質として、さらに(B)導電助剤を含んでいてもよい。
[(A)電極活物質]
電極活物質の種類は特に制限されず、例えば、炭素素材(カーボン)、金属、金属珪酸塩(珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、アルミノ珪酸マグネシウムなど)、鉱物質(ゼオライト、ケイソウ土、焼成珪成土、タルク、カオリン、セリサイト、ベントナイト、スメクタイト、クレーなど)、金属炭酸塩(炭酸マグネシウム、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウムなど)、金属酸化物(アルミナ、酸化亜鉛、二酸化マンガン、二酸化チタン、二酸化鉛、酸化銀、酸化ニッケル、リチウム複合酸化物など)、金属水酸化物(水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化ニッケル、水酸化カドミウムなど)、金属硫酸塩(硫酸カルシウム、硫酸バリウムなど)などが挙げられる。これらの電極活物質は単独で又は二種以上組み合わせてもよい。
これらの電極活物質のうち、炭素素材(カーボン)、金属、金属酸化物などが好ましい。
炭素素材としては、例えば、天然又は人造黒鉛、膨張性黒鉛、易黒鉛化性炭素、難黒鉛化性炭素、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、ピッチ系炭素、コークス粉などが挙げられる。これらの炭素素材は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの炭素素材のうち、充放電特性に優れる点から、天然又は人造黒鉛が好ましい。なお、炭素素材は、特開2016−100054号公報に記載のように、シリコンと一酸化ケイ素(SiO)とハードカーボン(HC)との複合体を形成していてもよい。
金属は、金属単体、金属合金若しくは金属複合体などであってもよい。このような金属としては、例えば、シリコンなどが含まれる。シリコンとしては、シリコンを主要な成分(例えば、全体の35重量%以上、好ましくは50重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上)として含む無機粒子、例えば、シリコン単体(シリコン)(無定形シリコン(アモルファスシリコン)、低結晶性シリコンなど)、シリコンと遷移金属との合金(例えば、シリコンスズとの合金SiSn、シリコンとチタンとの合金SiTi、シリコンとスズとチタンとの合金(SiSnTi)などの合金)、シリコン複合体(シリコンと一酸化ケイ素SiOとの複合体など)、酸化硅素(一酸化珪素SiO、シリカなどの酸化ケイ素)、炭化珪素(SiC)などが例示できる。これらのシリコンは単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
好ましいシリコンは、シリコン単体(シリコン)、合金、複合体、一酸化珪素SiO、炭化珪素(SiC)などである。
前記金属酸化物としては、前記酸化硅素の他、リチウム複合酸化物などが例示できる。リチウム複合酸化物としては、例えば、LiCo1−a−b−cNiMnAl(式中、0≦a≦1、0≦b≦1、0≦c≦1、a+b+c≦1)、LiMn、LiTi12、LiFePOなどが利用される。これらの金属酸化物のうち、充放電特性に優れる点から、酸化硅素、チタン酸リチウム(LiTi12)やオリビン鉄(LiFePO)、LiCo1−a−b−cNiMnAl(式中、0≦a≦1、0≦b≦1、0≦c≦1、a+b+c≦1)などのリチウム複合酸化物が好ましい。
これらの電極活物質は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
電極活物質粒子の形状は、特に限定されず、無定形状、繊維状、楕円体状、球状、平板状(又は扁平状)、薄片状(又は鱗片状)、粉粒状などであってもよい。電極活物質は、通常、粒状(又は粒子状)の形態で使用できる。
これらの活物質のうち、炭素素材、シリコン、金属酸化物が汎用される。特に、電極活物質は、炭素素材及びエネルギー密度の高いシリコンのうち少なくとも一方の活物質粒子(炭素素材粒子及びシリコン粒子から選択された少なくとも1つの電極活物質粒子)を含む場合が多い。なお、電極活物質を組み合わせて使用する場合、電極活物質としては、平均粒子径が同等の複数の電極活物質粒子を組み合わせてもよく、平均粒子径の大きな第1の電極活物質と平均粒子の小さな第2の電極活物質とを組み合わせてもよい。複数の電極活物質粒子の組み合わせにおいて、少なくとも第1の活物質粒子として(A1)炭素素材粒子を含む場合が多い。電極活物質は、シリコン粒子の充放電効率を損なうことがなく、集電体に対する密着性を向上する点から、第1の活物質粒子としての炭素素材粒子(A1)と第2の活物質粒子としてのシリコン粒子(A2)との双方を含むのが好ましい。
第1の活物質粒子(例えば、炭素素材粒子)と第2の活物質粒子(例えば、シリコン粒子)との割合は、特に制限されず、前者/後者(重量比)=99/1〜0/100(例えば、98/2〜10/90)程度の広い範囲から選択でき、通常、99/1〜40/60(例えば、99/1〜50/50)、好ましくは98/2〜70/30(例えば、95/5〜75/25)、さらに好ましくは95/5〜80/20(例えば、93/7〜85/15)程度であってもよい。なお、シリコン粒子の割合が大きくなると、放電容量を高めることができる。
レーザー回折式粒度分布計で測定した電極活物質粒子(例えば、第1の活物質粒子としての炭素素材粒子)の平均粒径(D50)は、例えば、1〜100μm、好ましくは2〜50μm、さらに好ましくは3〜40μm、特に5〜30μm程度であってもよい。なお、電極活物質(特に炭素材)が扁平形状である場合、平均粒径は、平面形状における長径と短径との平均径を意味する。
第2の活物質粒子(例えば、シリコン粒子)の平均粒子径は、例えば、1nm〜5μm(特に1nm〜1μm)程度の範囲から選択でき、通常、2〜700nm(例えば、5〜500nm)、好ましくは10〜300nm(例えば、20〜200nm)、さらに好ましくは25〜150nm(例えば、30〜120nm)程度であってもよく、10〜100nm(例えば、40〜80nm)程度であってもよい。特に、第2の活物質粒子(例えば、シリコン粒子)の平均粒子径は、ナノメータサイズであるのが好ましい。
なお、第2の活物質粒子(例えば、シリコン粒子)の平均粒子径は、粒子サイズに応じて慣用の方法で測定でき、レーザー回折式粒度分布計で測定してもよく、電子顕微鏡に基づく画像を解析し、100個当たりの平均粒子径として算出してもよい。
第1の活物質粒子(例えば、炭素素材粒子)の平均粒子径Dと、第2の活物質粒子(例えば、シリコン粒子)の平均粒子径DSiとの関係は特に制限されず、上記平均粒子径の関係はDSi≧Dであってもよいが、第1の活物質粒子(例えば、炭素素材粒子)の隙間に第2の活物質粒子(例えば、シリコン粒子)を進入させた形態で電極活物質層を形成すると、セルロースファイバーが第1の活物質粒子(例えば、炭素素材粒子)を線結着するためか、第2の活物質粒子(例えば、シリコン粒子)の膨張収縮に伴う電極活物質層の膨張収縮もセルロースファイバーにより抑制又は吸収でき、高い放電容量を維持しつつ、集電体に対する密着力を高めることができる。そのため、第2の活物質粒子(例えば、シリコン粒子)の平均粒子径DSiは、第1の活物質粒子(例えば、炭素素材粒子)の平均粒子径Dよりも小さい(DSi<D)のが有利である。
第1の活物質粒子(例えば、炭素素材粒子)の平均粒子径Dと第2の活物質粒子(例えば、シリコン粒子)の平均粒子径DSiとの比率D/DSiは、例えば、5〜1000(例えば、10〜800)、好ましくは50〜750(例えば、100〜700)、さらに好ましくは150〜650(例えば、200〜600)程度であってもよく、250〜550(例えば、300〜500)程度であってもよい。
[(B)導電助剤]
電極活物質には、必ずしも必要ではないが、導電性を向上させるために(B)導電助剤(例えば、カーボンブラック(例えば、アセチレンブラック、サーマルブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラック)などの導電性カーボンブラック、VGCF(気相成長炭素繊維)などの炭素繊維、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブなど)、グラフェンを含んでもよい。これらの導電助剤は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。好ましい導電助剤は、アセチレンブラックである。
[(C)カルボキシメチル基含有セルロースエーテル又はその塩(以下、カルボキシメチル基含有セルロースエーテル(塩)ということがある)]
本発明のスラリーは、カルボキシメチル基含有セルロースエーテル(塩)を含んでおり、カルボキシメチル基含有セルロースエーテル(塩)は、結着剤(又は接合剤)として機能するとともに、増粘剤としてのみならず分散剤としても機能させることができる。また、カルボキシメチル基含有セルロースエーテル(塩)は、電極表面を被覆するためか、電極表面での電解液の分解などを抑制する機能も有している。特に、バインダーとしてセルロースファイバーを用いる場合であっても、均質な電極膜を高い密着力で形成するためには、カルボキシメチル基含有セルロースエーテル(塩)を併用するのが望ましい。セルロースファイバーは高い結着力を示すものの、バインダーとしてセルロースファイバー単独で電極を形成しても、電極の均一性が低下し易い。セルロースファイバーとカルボキシメチル基含有セルロースエーテル(塩)とを組み合わせると、カルボキシメチル基含有セルロースエーテル(塩)の増粘作用により、塗工時に最適な粘度に調整できるためか、塗工性(例えば、塗工容易性など)を向上できるとともに、集電体に対する電極活物質の密着性を向上できる。また、カルボキシメチル基含有セルロースエーテル(塩)が保護コロイドとして機能し、電極活物質を安定に分散できるためか、塗膜の表面平滑性(塗膜均一性)を向上できる。
カルボキシメチル基含有セルロースエーテルとしては、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)、アルキルカルボキシメチルセルロース(メチルカルボキシメチルセルロースなど)、ヒドロキシアルキルカルボキシメチルセルロース(ヒドロキシエチルカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルカルボキシメチルセルロースなど)などが挙げられる。これらのカルボキシメチル基含有セルロースエーテルは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらのカルボキシメチル基含有セルロースエーテルのうち、カルボキシメチルセルロース(CMC)が好ましい。
CMCの平均エーテル化度(カルボキシメチル基の平均エーテル化度)(又は平均置換度DS)は、適度な水溶性及び水中での粘性を発現でき、組成物の塗工性が向上する範囲であればよく、0.1〜3程度の広い範囲から選択でき、好ましくは0.2〜2、さらに好ましくは0.5〜1.2程度であってもよい。「平均置換度」とは、セルロースを構成するグルコース単位の2,3及び6位のヒドロキシル基に対する置換度(置換割合、特に、塩を形成していてもよいカルボキシメチル基の置換度)の平均であり、最大値は3である。
カルボキシメチル基含有セルロースエーテル(特にCMC)は、塩を形成していてもよい。塩としては、例えば、アルカリ金属塩(リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、ルビジウム塩、セシウム塩など)などの一価金属塩、アルカリ土類金属塩(カルシウム塩、マグネシウム塩など)などの二価金属塩、第四級アンモニウム塩、アミン塩、置換アミン塩又はこれらの複塩などが挙げられる。CMCの塩としては、ナトリウム塩などのアルカリ金属塩、第四級アンモニウム塩が好ましい。
本発明では、水溶性などの点からは、カルボキシメチル基含有セルロースエーテル(特にCMC)は塩の形態であってもよく、部分又は完全酸型CMCであってもよい。
カルボキシメチル基含有セルロースエーテル(特にCMC)又はその塩の平均重合度(粘度平均重合度)は、特に制限されないが、例えば、10〜1000、好ましくは50〜900、さらに好ましくは100〜800程度であってもよい。
[(D)セルロースファイバー]
本発明のスラリーは、セルロースファイバーを含み、繊維状のセルロースファイバーが線接着又は線接触によって電極活物質を接合(隣接する電極活物質間を繊維状結着剤で架橋して接着)できるためか、電極活物質の集電体に対する密着性を向上できる。セルロースファイバーは、強固な繊維であり、電極活物質を含む電極(例えば、黒鉛粒子とシリコン粒子とを併用した負極)において、電極活物質及び電極の膨張収縮に追従でき、強固な結着力を維持でき、従来のゴム系結着剤(スチレンブタジエンゴムなど)よりも優位性が高い。特に、セルロースファイバーが絡み合った状態で(A)電極活物質を接合するためか、微粒状の活物質粒子(例えば、シリコン粒子)であっても、活物質粒子の脱落を防止できるとともに、集電体に対する密着性を向上できる。
セルロースファイバーの平均繊維長は、0.1〜1000μmの広い範囲から選択でき、例えば、1〜750μm(例えば、1.2〜600μm)、好ましくは1.3〜500μm(例えば、1.5〜100μm)、さらに好ましくは1.4〜250μm(例えば、1.6〜50μm)、特に1.8〜25μm程度であってもよく、通常、2〜100μm(例えば、3〜50μm、好ましくは5〜30μm)程度であってもよい。繊維長が長すぎると、電極の表面で毛羽立って表面平滑性(塗膜均一性)が向上できない虞があり、短すぎると、集電体に対する電極活物質の密着性が向上できない虞がある。
セルロースファイバーの繊維長は均一であってもよく、繊維長の変動係数([繊維長の標準偏差/平均繊維長]×100)は、例えば、0.1〜100、好ましくは0.5〜50、さらに好ましくは1〜30程度であってもよい。セルロースファイバーの最大繊維長は、例えば、500μm以下であり、好ましくは300μm以下、さらに好ましくは200μm以下であり、特に100μm以下、通常、50μm以下であってもよい。
セルロースファイバーの平均繊維長を電極活物質層の平均厚みに対して5倍以下とすると、表面平滑性(塗膜均一性)、及び電極活物質の集電体に対する密着性がさらに向上するため有利である。セルロースファイバーの平均繊維長は、電極活物質層の平均厚みに対して、例えば、0.01〜5倍、好ましくは0.02〜3倍、さらに好ましくは0.03〜2倍程度であってもよい。
セルロースファイバーの平均繊維径は、例えば、1nm〜10μm(例えば、4nm〜5μm)、好ましくは5nm〜2.5μm(例えば、10nm〜1μm)、さらに好ましくは20〜700nm(例えば、25〜500nm)程度であってもよく、30〜200nm(例えば、50〜100nm)程度であってもよい。繊維径が大きすぎると、繊維の占有体積が大きくなるため、電極活物質の充填密度が低下する虞がある。(D)セルロースファイバーは、平均繊維径がナノメータサイズのセルロースナノファイバー(例えば、平均繊維径が10〜500nm、好ましくは25〜250nm程度のセルロースナノファイバー)であるのが好ましい。
セルロースファイバーの繊維径も均一であり、繊維径の変動係数([繊維径の標準偏差/平均繊維径]×100)は、例えば、1〜80、好ましくは5〜60、さらに好ましくは10〜50程度であってもよい。セルロースファイバーの最大繊維径は、例えば、30μm以下であり、好ましくは5μm以下、さらに好ましくは1μm以下であってもよい。
セルロースファイバーの平均繊維径に対する平均繊維長の比(アスペクト比)は、例えば、10〜5000、好ましくは20〜3000、さらに好ましくは50〜2000(例えば、100〜1500)程度であってもよい。アスペクト比が小さすぎると、集電体に対する電極活物質の密着性が低下する虞があり、大きすぎると、繊維の破断強度が弱くなる虞や、電極の表面で毛羽立って表面平滑性(塗膜均一性)が低下する虞がある。
本発明において、平均繊維長、繊維長分布の標準偏差、最大繊維長、平均繊維径、繊維径分布の標準偏差、最大繊維径は、電子顕微鏡写真に基づいて測定した繊維(n=20程度)から算出した値であってもよい。
セルロースファイバーの材質は、β−1,4−グルカン構造を有する多糖類で形成されていればよい。セルロースファイバーとしては、例えば、高等植物由来のセルロース繊維(例えば、木材繊維(針葉樹、広葉樹などの木材パルプなど)、竹繊維、サトウキビ繊維、種子毛繊維(例えば、コットンリンター、ボンバックス綿、カポックなど)、ジン皮繊維(例えば、麻、コウゾ、ミツマタなど)、葉繊維(例えば、マニラ麻、ニュージーランド麻など)などの天然セルロース繊維(パルプ繊維)など)、動物由来のセルロース繊維(例えば、ホヤセルロースなど)、バクテリア由来のセルロース繊維(例えば、ナタデココに含まれるセルロースなど)、化学的に合成されたセルロース繊維(例えば、レーヨン、セルロースエステル(セルロースアセテートなど)、セルロースエーテル(例えば、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロースなどのヒドロキシアルキルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロースなどのアルキルセルロースなどのセルロース誘導体など)などが挙げられる。これらのセルロースファイバーは、単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。
これらのセルロースファイバーの中でも、適度なアスペクト比を有するナノファイバーを調製し易い点から、高等植物由来のセルロース繊維、例えば、木材繊維(針葉樹、広葉樹などの木材パルプなど)や種子毛繊維(コットンリンターパルプなど)などのパルプ由来のセルロース繊維が好ましい。
セルロースファイバーの製造方法は、特に限定されず、目的の繊維長及び繊維径に応じて、慣用の方法、例えば、特公昭60−19921号公報、特開2011−26760号公報、特開2012−25833号公報、特開2012−36517号公報、特開2012−36518号公報、特開2014−181421号公報などに記載の方法を利用してもよい。
(D)セルロースファイバーの平均繊維長Lと、(A)電極活物質(例えば、第1の電極活物質としての炭素素材粒子)の平均粒子径Dとの比率L/Dは、例えば、0.05以上(例えば、0.07〜1200)、好ましくは0.1以上(例えば、0.1〜1000)、例えば、0.12以上(例えば、0.15〜750)程度の広い範囲から選択でき、通常、0.15以上(例えば、0.17〜500)、好ましくは0.2以上(例えば、0.2〜250)、さらに好ましくは0.22以上(例えば、0.22〜200)、特に0.25以上(例えば、0.25〜150)程度であってもよく、0.27以上(例えば、0.27〜120)程度であってもよい。特に、セルロースファイバー(例えば、平均繊維径がナノメータサイズのセルロースナノファイバー)では、前記比率L/Dは、例えば、0.1〜100(例えば、0.12〜50)、好ましくは0.15〜10(例えば、0.17〜5)、さらに好ましくは0.2〜1(例えば、0.2〜0.5)程度であってもよく、0.15〜0.5(例えば、0.2〜0.4)程度であってもよい。
なお、シリコン粒子(特に、シリコン単体粒子)は充放電に伴って体積の膨張収縮が大きく、集電体と剥離しやすく、耐久性が低下することが知られている。しかし、前記セルロースファイバー(特に、平均繊維径がナノメータサイズのセルロースナノファイバー)と組み合わせることにより、セルロースファイバーが絡み合った構造を形成するためか、シリコン粒子の膨張収縮を吸収して、集電体に対する高い密着性を維持できるとともに、充放電サイクルに対する耐久性を向上できる。特に、セルロースファイバーの平均繊維長Lは、電極活物質としてのシリコン粒子の平均粒子径DSiよりも大きいのが好ましい。
(D)セルロースファイバーの平均繊維長Lと、(A)電極活物質のうち平均粒子径の小さな第2の電極活物質粒子(例えば、シリコン粒子)の平均粒子径DSiとの比率L/DSiは、例えば、5以上(例えば、5〜15000、好ましくは10〜15000)程度の広い範囲から選択でき、通常、20〜13000(例えば、30〜12000)、好ましくは50〜10000(例えば、75〜7500)、さらに好ましくは100〜5000(例えば、125〜3000)程度であってもよい。特に、平均粒子径がナノメータサイズの第2の電極活物質粒子(例えば、シリコン粒子)では、前記比率L/DSiは、例えば、10〜500(例えば、20〜450)、好ましくは50〜400(例えば、70〜300)、さらに好ましくは80〜200(例えば、100〜150)程度であってもよい。平均繊維長Lが短すぎると、第2の電極活物質粒子(例えば、シリコン粒子)が脱離しやすくなり、長すぎると塗布性などが低下する場合がある。
前記平均繊維長Lの(D)セルロースファイバーは、第1の活物質粒子(例えば、炭素素材粒子)及び第2の活物質粒子(例えば、シリコン粒子)のうち平均粒子径が大きい一方の粒子(例えば、炭素素材粒子などの大粒子)の隙間に他方の粒子(シリコン粒子などの小粒子)が侵入又は充填した形態であっても、セルロースファイバーが絡み合って大粒子に対して線接触又は線結着(若しくは線結着して被覆)するためか、シリコン粒子が大きく膨張収縮しても、小粒子を保持した状態で、電極活物質層の膨張収縮をセルロースファイバーで抑制又は吸収でき、高い密着性で電極活物質層を集電体に形成できる。第1の活物質粒子(例えば、炭素素材粒子)及び第2の活物質粒子(例えば、シリコン粒子)の平均粒子径が同等である場合も、上記と同様の形態では、双方の粒子を結着するものと推測される。
必ずしも必要ではないが、スラリーは、さらにゴム成分を含んでもよい。前記ゴム成分としては、ジエン系ゴム、オレフィン系ゴム、ポリエステル系ゴム、ポリアミド系ゴム、シリコーン系ゴム、又はこれらに対応する熱可塑性エラストマーが例示できる。これらのゴム成分は、単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
これらのゴム成分のうち、ジエン系ゴム(例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、スチレン−ジエン共重合ゴム(例えば、スチレンブタジエンゴム、スチレンクロロプレンゴム、スチレンイソプレンゴムなど))が好ましく、スチレン−ジエン共重合ゴムがさらに好ましい。セルロースファイバーとゴム成分とを組み合わせると、電極に柔軟性を付与でき、電池セルが捲回されても、電極の破損、集電体からの剥離を抑制できるため有利である。
スラリーは、必要に応じて、慣用の添加剤(例えば、界面活性剤、分散剤、成膜助剤、消泡剤、レベリング剤、難燃剤、粘着付与剤、増粘剤、耐熱安定剤、フィラーなど)を含んでもよい。
[各成分の割合]
(A)電極活物質の割合は、(A)電極活物質、(C)カルボキシメチル基含有セルロースエーテル(塩)、及び(D)セルロースファイバーの総量100重量部に対して、80〜99.9重量部(例えば、85〜99重量部)の範囲から選択でき、例えば、87〜98重量部、好ましくは88〜97重量部、さらに好ましくは90〜95重量部程度であってもよく、93〜99重量部(例えば、95〜99重量部)程度であってもよい。
(B)導電助剤の割合は、電極活物質100重量部に対して、0.1〜30重量部(例えば、0.5〜20重量部)、好ましくは1〜10重量部(例えば、2〜8重量部)程度であってもよい。
(C)カルボキシメチル基含有セルロースエーテル(塩)の割合は、固形分換算で、(A)電極活物質100重量部に対して、0.01〜10重量部、例えば、0.02〜10重量部(例えば、0.05〜5重量部)の広い範囲から選択でき、例えば、0.1〜4重量部(例えば、0.25〜3.5重量部)、好ましくは0.3〜3重量部(例えば、0.5〜2.5重量部)、さらに好ましくは0.7〜2重量部(例えば、0.75〜2重量部)程度であってもよく、通常、0.5〜2.5重量部(例えば、1〜2重量部)程度であってもよい。
(C)カルボキシメチル基含有セルロースエーテル(塩)の割合は、固形分換算で、(D)セルロースファイバー、(C)カルボキシメチル基含有セルロースエーテル(塩)、及び(A)電極活物質の総量100重量部に対して、0.01〜10重量部、例えば、0.02〜10重量部(例えば、0.05〜4.5重量部)程度の範囲から選択でき、例えば、0.1〜4重量部(例えば、0.1〜3重量部)、好ましくは0.3〜2.5重量部(例えば、0.5〜2重量部)、さらに好ましくは0.6〜1.8重量部(例えば、0.75〜1.75重量部)程度、通常、0.5〜2重量部(例えば、1〜2重量部)程度であってもよい。
(D)セルロースファイバーの割合は、固形分換算で、(A)電極活物質100重量部に対して、0.01〜5重量部の広い範囲から選択でき、電極活物質の集電体に対する密着性を高める点から、例えば、0.1〜4.5重量部、好ましくは0.15〜4重量部(例えば、0.2〜3.5重量部程度)、さらに好ましくは0.25〜3重量部(例えば、0.27〜2.8重量部)、特に0.3〜2.5重量部(例えば、0.4〜2.3重量部程度)、通常、0.45〜2.2重量部(例えば、0.5〜2重量部程度)程度であってもよい。
(D)セルロースファイバーの割合は、固形分換算で、(D)セルロースファイバー、(C)カルボキシメチル基含有セルロースエーテル(塩)、及び(A)電極活物質の総量100重量部に対して、0.01〜5重量部(例えば、0.1〜4重量部)程度の広い範囲から選択でき、電極活物質の集電体に対する密着性を向上する点から、例えば、0.15〜3.5重量部(例えば、0.2〜3.2重量部)、好ましくは0.25〜3重量部(例えば、0.27〜2.6重量部)、さらに好ましくは0.3〜2.5重量部(例えば、0.35〜2.3重量部)程度、通常、0.1〜3重量部(例えば、0.3〜2.5重量部)、好ましくは0.4〜2.3重量部(例えば、0.5〜2重量部)程度であってもよい。
(D)セルロースファイバーと(C)カルボキシメチル基含有セルロースエーテル(塩)との割合は、固形分換算で、前者/後者(重量比)=100/0〜1/99、例えば、99/1〜1/99(例えば、99/1〜10/99)の広い範囲から選択でき、例えば、95/5〜5/95(例えば、95/5〜20/80)、好ましくは90/10〜10/90(例えば、90/10〜25/75)、さらに好ましくは85/15〜20/80(例えば、85/15〜30/70)、特に80/20〜30/70(例えば、80/20〜33/67)程度、通常、75/25〜35/65程度であってもよい。セルロースファイバーに対するカルボキシメチル基含有セルロースエーテル(塩)の割合が少なすぎると、電極活物質を均一にできず、表面平滑性(塗膜均一性)が向上できない虞があり、セルロースファイバーに対するカルボキシメチル基含有セルロースエーテル(塩)の割合が多すぎると、スラリー粘度が高くなり、塗工性が向上できない虞や、結着力が不十分になる虞がある。
(D)セルロースファイバー及び(C)カルボキシメチル基含有セルロースエーテル(塩)の含有量は、固形分換算で、(A)電極活物質100重量部に対し、0.1〜10重量部(例えば、0.5〜8重量部)程度の範囲から選択でき、例えば、0.5〜7重量部(例えば、0.8〜6重量部)、好ましくは1〜5重量部(例えば、1〜4.5重量部)、さらに好ましくは1.5〜4重量部(例えば、1.75〜3.75重量部)、通常、1〜5重量部(例えば、1〜4重量部)程度であってもよい。
(D)セルロースファイバー及び(C)カルボキシメチル基含有セルロースエーテル(塩)の含有量は、固形分換算で、(D)セルロースファイバー、(C)カルボキシメチル基含有セルロースエーテル(塩)、及び(A)電極活物質の総量100重量部に対し、0.1〜10重量部(例えば、0.5〜7.5重量部)程度の範囲から選択でき、例えば、0.5〜6重量部(例えば、0.7〜5重量部)、好ましくは0.8〜4.5重量部(例えば、1〜4.2重量部)、さらに好ましくは1〜4重量部(例えば、1.5〜3.5重量部)、通常、1〜5重量部(例えば、1〜4.5重量部)程度であってもよい。
前記ゴム成分の割合(重量部)は、固形分換算で、(D)セルロースファイバー100重量部に対して1〜1000重量部、好ましくは5〜500重量部、さらに好ましくは10〜300重量部程度であってもよい。
さらに、前記添加剤の含有量は、スラリーの固形分全体に対して、1重量%以下(特に0.5重量%以下)程度であってもよい。
[スラリー組成物の調製]
本発明では、前記のように、(C)カルボキシメチル基含有セルロースエーテル(塩)と(D)セルロースファイバーとを併用すると、両者の親和性が高く、(C)カルボキシメチル基含有セルロースエーテル(塩)が(D)セルロースファイバーの近傍に局在化するためか、(C)カルボキシメチル基含有セルロースエーテル(塩)と(D)セルロースファイバーとを共存させた系で前記成分を混合すると、(C)カルボキシメチル基含有セルロースエーテル(塩)による電極表面の保護機能が低下し、充放電に伴って電極容量が低下する。
一方、(C)カルボキシメチル基含有セルロースエーテル(塩)と(D)セルロースファイバーとを分離した形態で、少なくとも(A)電極活物質を(C)カルボキシメチル基含有セルロースエーテル(塩)と混合すると、(A)電極活物質が(C)カルボキシメチル基含有セルロースエーテル(塩)で被覆され、電極表面を有効に保護できるためか、充放電を繰り返しても、高い電極容量を維持できる。
そのため、本発明では、少なくとも(A)電極活物質を(C)カルボキシメチル基含有セルロースエーテル(塩)で処理(又は予め混合処理若しくは被覆処理)した後、(D)セルロースファイバーを混合し、スラリー組成物を調製する。この方法において、(C)カルボキシメチル基含有セルロースエーテル(塩)は、通常、水溶液の形態で用いる場合が多い。(C)カルボキシメチル基含有セルロースエーテル(塩)の水溶液の濃度(固形分濃度)は特に制限されず、例えば、固形分濃度0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%(例えば、1〜5重量%)、さらに好ましくは1〜3重量%程度の濃度で使用してもよい。
前記(A)電極活物質の処理は、必要であれば、(A)電極活物質に(C)カルボキシメチル基含有セルロースエーテル(塩)の水溶液を噴霧したり、(C)カルボキシメチル基含有セルロースエーテル(塩)の水溶液に(A)電極活物質を浸漬したり、(A)電極活物質と(C)カルボキシメチル基含有セルロースエーテル(塩)の水溶液との混合物をスプレードライするなどの方法で処理してもよいが、通常、(A)電極活物質と(C)カルボキシメチル基含有セルロースエーテル(塩)とを水性媒体中で混合処理する場合が多い。特に、(A)電極活物質と(C)カルボキシメチル基含有セルロースエーテル(塩)の水溶液とを混合して水性混合物を調製する場合が多い。
このような処理により水性混合物(少なくとも(A)電極活物質と(C)カルボキシメチル基含有セルロースエーテル(塩)とを含む水性混合物又は水性分散体)が生成する。
なお、(A)電極活物質を含む水性混合物の調製において、電池特性を損なわない範囲であれば、(D)セルロースファイバーの共存下で、(A)電極活物質と(C)カルボキシメチル基含有セルロースエーテル(塩)とを混合して水性混合物を調製してもよい。例えば、固形分換算で、(D)セルロースファイバーの全量のうち、必要であれば、0〜50重量%、好ましくは0〜30重量%、さらに好ましくは0〜15重量%(例えば、0〜10重量%)程度の(D)セルロースファイバーが共存する系で、少なくとも(A)電極活物質と(C)カルボキシメチル基含有セルロースエーテル(塩)とを混合してもよい。
前記水性混合物の調製においては、少なくとも(A)電極活物質を予め処理すればよく、(B)導電助剤は、適当な段階(例えば、(A)電極活物質を(C)カルボキシメチル基含有セルロースエーテル(塩)で処理した後、(D)セルロースファイバーを混合した後)で添加して混合してもよい。(B)導電助剤は、(A)電極活物質と良好な導電パスを形成させるために、(A)電極活物質とともに、(C)カルボキシメチル基含有セルロースエーテル(塩)で予め処理するのが好ましい。
また、(D)セルロースファイバーは水性分散液(又は水性分散体)の形態で使用できる。(D)セルロースファイバーは水性分散液の固形分濃度は特に制限されず、例えば、固形分濃度0.1〜20重量%、好ましくは1〜17重量%(例えば、3〜15重量%)、さらに好ましくは5〜12重量%(例えば、7〜12重量%)程度の濃度で使用してもよい。前記水性混合物((A)電極活物質を含む水性混合物)と(D)セルロースファイバーは水性分散液(又は水性分散体)との混合は種々の形態で行うことができ、両者を単に混合してもよい。通常、前記水性混合物((A)電極活物質を含む水性混合物)に対して、(D)セルロースファイバーの水性分散液は、その全量を連続的又は段階的に(又は複数回に分けて)添加して混合してスラリー組成物を調製する場合が多い。
さらに、スラリー組成物の調製工程において、電極特性を損なわない範囲であれば、(C)カルボキシメチル基含有セルロースエーテル(塩)(例えば、固形分換算で、(C)カルボキシメチル基含有セルロースエーテル(塩)の全量のうち、必要であれば、0〜50重量%、好ましくは0〜30重量%、さらに好ましくは0〜15重量%(例えば、0〜10重量%)程度)の共存下で(D)セルロースファイバーを混合してスラリー組成物を調製してもよい。
なお、前記ゴム成分及び/又は添加剤は、適当な段階で混合してもよい。
混合方法は、特に限定されず、慣用の攪拌手段(例えば、攪拌棒などを用いた手攪拌、機械的攪拌手段(例えば、ホモミキサー、ホモディスパー、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、リボンミキサー、V型ミキサー、自転公転式ミキサーなどの慣用ミキサーなど)、超音波分散機など)を利用してもよい。
前記水性混合物及びスラリー組成物は、少なくとも水を含む水性溶媒を含んでいる。すなわち、(C)カルボキシメチル基含有セルロースエーテル(塩)及び(D)セルロースファイバーは、水に対する分散性又は溶解性が高いため、有機溶媒を用いることなく、水性溶媒に電極活物質をスラリー状に分散できる。なお、スラリー組成物は、水性有機溶媒(エタノールやイソプロピルアルコールなどのC1−4アルカノールなど)などの有機溶媒を含んでいてもよいが、実質的に含まないのが好ましい。水100重量部に対する有機溶媒の割合は、例えば、100重量部以下(例えば、0.1〜100重量部)、好ましくは80重量部以下(例えば、0.5〜80重量部)、さらに好ましくは50重量部以下(例えば、1〜50重量部)程度であってもよい。
スラリー組成物において、(A)電極活物質、(B)導電助剤、(C)カルボキシメチル基含有セルロースエーテル(塩)、及び(D)セルロースファイバーの含有量は、スラリー全体に対して、固形分換算で、60重量%以下(例えば、10〜50重量%)である場合が多く、例えば、15〜60重量%、好ましくは20〜55重量%、さらに好ましくは25〜50重量%程度であってもよい。前記固形分の割合が、低すぎると、厚肉の電極を形成するのが困難となる虞があり、高すぎると、塗工性が低下する虞がある。
スラリー(又はスラリー組成物)の粘度(25℃、ブルックフィールド粘度計、ローターNo.4、30rpm)は、例えば、200〜100000mPa・s、好ましくは300〜30000mPa・s、さらに好ましくは500〜10000mPa・s程度であってもよい。電極用スラリーの粘度が低すぎると、厚肉の電極を形成するのが困難となる虞があり、高すぎると、スラリー粘度が高くなりすぎ、塗工性が低下する虞がある。
本発明は、前記の方法で調製されたスラリー組成物も包含する。
[非水系二次電池用電極]
非水系二次電池用電極は、集電体と、この集電体の少なくとも一方の面に形成され、(A)電極活物質、(C)カルボキシメチル基含有セルロースエーテル(塩)、及び(D)セルロースファイバーを含む電極活物質層とを備えており、電極活物質層は、さらに(B)導電助剤を含んでいてもよい。非水系二次電池用電極は、前記スラリー組成物を集電体の上に塗布して電極活物質層を形成することにより製造でき、通常、塗布した後、乾燥して電極活物質層を形成することにより製造できる。電極用スラリーの塗布は、集電体の一方の面でもよく、両面であってもよい。集電体としては、銅、アルミニウム、金、銀、ステンレスなどの導電体で構成された金属箔を利用してもよい。
スラリー組成物の塗布量は、固形分換算で、例えば、20〜350g/m、好ましくは30〜300g/m、さらに好ましくは40〜250g/m(例えば、50〜250g/m程度)であってもよい。
塗布膜(電極活物質層)の平均厚み(乾燥厚み)は、2〜500μmの広い範囲から選択でき、例えば、5μm以上(例えば、5〜450μm)、好ましくは10μm以上(例えば、10〜400μm)、さらに好ましくは20μm以上(例えば、20〜300μm)、特に、30μm以上(例えば、30〜250μm)程度であってもよく、50〜200μm程度であってもよい。厚みが小さすぎると、電極表面にセルロースファイバーが毛羽立ち、電極とセパレータとの間に空隙が生じ、電池の容量密度が低下する虞がある。なお、本発明において、電極活物質層の厚みは電子顕微鏡写真に基づいて測定した任意箇所の厚み(n=20程度)から算出した値であってもよい。
スラリー組成物の塗布方法は、特に限定されず、慣用の方法(例えば、ロールコーター、エアナイフコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、リバースコーター、バーコーター、コンマコーター、ディップ・スクイズコーター、ダイコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、シルクスクリーンコーター法など)を利用してもよい。乾燥方法としては、特に限定されず、自然乾燥の他、熱風、遠赤外線、マイクロ波などを利用してもよい。
さらに、集電体に対する電極活物質層の密着性を高めるため、集電体に対して電極活物質層を圧着してもよい。
このような電極は、各種の非水系二次電池の電極(正極又は負極)として利用できるが、リチウムイオン電池の正極又は負極(特に負極)として利用するのが好ましい。リチウムイオン電池は、例えば、前記スラリー組成物を用いて得られた負極と、慣用の正極、セパレータ及び電解液とで構成できる。前記正極は、例えば、アルミニウム、銅、金、銀、ステンレスなどの金属箔で構成された集電体と、前述のリチウム複合酸化物で構成された正極活物質とで形成してもよい。前記セパレータは、ポリプロピレン製微多孔膜、ポリエチレン製微多孔膜、多孔質ポリプロピレンと多孔質ポリエチレンとが積層された微多孔膜などのポリオレフィン系の多孔質膜、ポリエーテルイミド製微多孔膜、ポリアミドイミド製微多孔膜などで構成されていてもよい。また、これらの膜の片面もしくは両面には主として耐熱性向上の目的でアルミナやマグネシアといったセラミクスなどの無機微粒子やアラミド、PVdFなどの有機物がコートされていてもよい。前記電解液は、電解質[LiPF、LiClO、LiBF、LiAsF、LiCl、LiI、Li(CFSON、Li(CSO)Nなどのリチウム塩など]を、有機溶媒(プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネートなど)に溶解した非水電解液などであってもよい。電解液の代わりに、ゲル電解質(例えば、ポリエチレンオキサイドやポリフッ化ビニリデンなどのポリマーを電解液に含有させてゲル化した電解質)を用いたポリマー(ゲルポリマー)リチウムイオン電池であってもよい。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
なお、以下の例において、「部」又は「%」は、特にことわりのない限り、重量基準である。さらに、原料の詳細は以下の通りである。
[原料]
黒鉛:人造黒鉛(平均粒子径20μm)
シリコン粒子:(シグマアルドリッチ社製「シリコンナノパウダー」最大粒子径100nm)
AB:アセチレンブラック(デンカ(株)製「デンカブラック」平均粒子径35nm)
CMC:カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(ダイセルファインケム(株)製「カルボキシメチルセルロースナトリウム塩」;単にカルボキシメチルセルロース又はCMCと記載する)
SBR:スチレンブタジエンゴム(JSR(株)製、TRD−2001、固形分48.5重量%)
CNF:セルロースナノファイバー(以下の調製例1で調製した)。
(調製例1)
兵庫パルプ工業(株)製「LBKPパルプ」を用いて、1重量%水スラリー液を100リットル調製した。次いで、ディスクリファイナー(長谷川鉄工(株)製「SUPERFIBRATER 400−TFS」)を用いて、クリアランス0.15mm、ディスク回転数1750rpmとして10回叩解処理し、リファイナー処理品を得た。このリファイナー処理品を、破砕型ホモバルブシートを備えたホモジナイザー(ゴーリン社製「15M8AT」)を用いて、処理圧50MPaで50回処理した。透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、得られたミクロフィブリル化繊維を観察し、任意に選び出した10本の繊維の繊維長と繊維径を測定した。10本の繊維の平均繊維径は79.2nm、平均繊維長は6.14μm、アスペクト比(平均繊維長/平均繊維径)は78であった。得られた1重量%スラリー液をガーゼで繰り返し濾すことにより固形分濃度9.9重量%のスラリー液とした。このスラリー液を「CNFスラリー液」とし、「CNFスラリー液」中のセルロースファイバーを「CNF」とした。
(実施例1)
黒鉛8.1gと、ナノシリコン0.9gと、アセチレンブラック0.6gとに、カルボキシメチルセルロース(CMC)の2重量%水溶液7.5gを添加し、プラネタリーミキサーを用いて2000rpmにて2分攪拌・混合を3回繰り返した。この混合物に、下記のCNF水系ディスパージョンを添加し、2000rpmにて2分攪拌・混合した。なお、CNF水系ディスパージョンは、「CNFスラリー液」0.51gに、水1.0gを添加し、2000rpmにて2分攪拌・混合した後、さらに水1.5gを添加し、2000rpmにて2分攪拌・混合して調製した。
得られた混合物に、水5.0gを添加し、2000rpmにて2分攪拌・混合した後、さらに水2.0gを添加し、2000rpmにて2分攪拌・混合し、最後に固形分濃度48.5重量%のSBRの水系ディスパージョン0.41gを添加し、2000rpmにて2分攪拌・混合した。
得られた固形分濃度36.3重量%のスラリーを、厚さ14μmの銅箔上に、アプリケータを用いて塗工し、60℃のホットプレートで10分間乾燥したのち、ロールプレスで圧延した後、直径17mmの円形状に打ち抜き、真空乾燥機で120℃10時間乾燥し、電極(目付け量5.7g/cm、電極厚み40μm、電極密度1.42g/cm)を形成した。得られた電極を「電極1」とした。
(比較例1)
「CNFスラリー液」0.51gと、水1.0gとを、プラネタリーミキサーを用いて2000rpmにて2分攪拌・混合した後、水1.5gを追加し、2000rpmにて2分攪拌・混合した。得られたCNF水系ディスパージョンに、カルボキシメチルセルロース(CMC)の粉末0.15gを添加し、2000rpmにて2分の攪拌・混合を5回繰り返した。生成した混合物に、黒鉛8.1g、ナノシリコン0.9g、アセチレンブラック0.6gをさらに添加し、2000rpmにて2分の攪拌・混合を3回繰り返した。得られた混合液に、水を5.0g、10.0gと二度添加し、添加後にそれぞれ2000rpmにて2分攪拌・混合した。最後に固形分濃度48.5重量%のSBRの水系ディスパージョン0.41gを添加し、2000rpmにて2分攪拌・混合した。
得られた固形分濃度35.5重量%のスラリーを用い、実施例1と同様にして、厚さ14μmの銅箔上に、電極(目付け量5.7g/cm、電極厚み40μm、電極密度1.42g/cm)を形成した。得られた電極を「電極2」とした。
(比較例2)
「CNFスラリー液」0.51gと、水1.0gを、プラネタリーミキサーを用いて2000rpmにて2分攪拌・混合した後、水1.5gを追加し、2000rpmにて2分攪拌・混合した。得られたCNF水系ディスパージョンに、カルボキシメチルセルロース(CMC)の2重量%水溶液7.5gを添加し、2000rpmにて2分の攪拌・混合を5回繰り返した。生成した混合物に、黒鉛8.1g、ナノシリコン0.9g、アセチレンブラック0.6gをさらに添加し、2000rpmにて2分の攪拌・混合を3回繰り返した。得られた混合物、水を5.0g、5.0gと二度添加し、添加後にそれぞれ2000rpmにて2分攪拌・混合した。最後に固形分濃度48.5重量%のSBRの水系ディスパージョン0.41gを添加し、2000rpmにて2分攪拌・混合した。
得られた固形分濃度32.8重量%のスラリーを用い、実施例1と同様にして、厚さ14μmの銅箔上に、電極(目付け量5.6g/cm、電極厚み40μm、電極密度1.40g/cm)を形成した。得られた電極を「電極3」とした。
(電池の作製)
ポリエチレン製微多孔膜とガラス製不織布とを備えたセパレータを介して、実施例1で調製された電極1と、この電極1と同サイズに打ち抜かれたリチウム金属箔とを対向させ、電解液を注液し、封止して電池素子を調製し、リチウム箔側から2kg/cmの圧力で圧着してコイン型電池を作製した。この電池を「電池1」とした。なお、電解液としては、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとの容量比3:7の混合液に、ビニレンカーボネートと、フルオロエチレンカーボネートをそれぞれ10容量%ずつ添加した溶媒系に、1Mの濃度でLiPFを溶解させた溶液を用いた。
実施例1の電極1に代えて、比較例1及び2の電極2及び3を用いる以外、上記と同様にして、コイン型電池を作製した。比較例1の電極2を用いた電池を「電池2」とし、比較例3の電極2を用いた電池を「電池3」とした。
[充放電試験]
調製した電池内の黒鉛とシリコンの電極活物質の含有量から算出される理論容量(mAh)を「5」で除した電流量(理論容量÷5(mA)、以降、この電流量を0.2Cと称す)で充電を開始し、負極電圧が対リチウムで1mVに到達するまで定電流で充電を行い、1mVに到達した後は、定電圧モードで充電を継続し、充電電流が当初充電電流の1/4(0.05C)に到達した時点を充電完了とし、そのまま放電に転じ、0.2Cの定電流で放電を実施し、負極電圧が対リチウムで2.0Vに到達した時点で放電を完了した。この充放電サイクルを1サイクルとして、このサイクルを20サイクル実施した。
このサイクル試験の第1サイクルの放電容量と、第20サイクルの放電容量との比率を放電容量維持率とした。
結果を表1に示す。
Figure 0006849443
上記表1から明らかなように、実施例1で得られた電池1は、比較例1及び2で得られた電池2及び3に比較して、初期放電容量及び20サイクル目においても高い放電容量を有するとともに、高い放電容量維持率を維持できる。このことから、CNFとCMCとの水系分散液に活物質を添加する方法に比べて、予め活物質をCMCと混合して処理すると、CMCによって活物質がコーティングされるためか、その後にCNFを添加することにより、高い電池性能を得ることができる。
本発明のスラリー組成物は、リチウムイオン電池やポリマーリチウムイオン電池などの非水系二次電池の電極に好適に使用できる。特に、本発明のスラリー組成物を用いて得られた電極を備えたリチウムイオン電池は、電極活物質層と集電体との密着性が高く、充放電容量が高く、しかもサイクル特性に優れるため、電気機器(特に、携帯電話機器、ポータブル機器などのモバイル機器)、電気自動車やハイブリッド自動車(HEV)など種々の分野で利用できる。

Claims (13)

  1. 少なくとも(A)電極活物質を含む粒状物質と、(B)導電助剤と、(C)カルボキシメチル基含有セルロースエーテル又はその塩と、(D)セルロースファイバーとを含有するスラリー組成物の製造方法であって、少なくとも(A)電極活物質と(B)導電助剤とを(C)カルボキシメチル基含有セルロースエーテル又はその塩で処理した後、(D)セルロースファイバーを混合し、スラリー組成物を製造する方法。
  2. (A)電極活物質が、少なくとも(A1)炭素素材粒子を含む請求項1記載の製造方法。
  3. (A)電極活物質が、(A1)炭素素材粒子と(A2)シリコン粒子とを含む請求項1又は2記載の製造方法。
  4. (C)カルボキシメチル基含有セルロース又はその塩が、カルボキシメチルセルロース又はその塩である請求項1〜のいずれかに記載の製造方法。
  5. (D)セルロースファイバーの平均繊維長が1〜750μmである請求項1〜のいずれかに記載の製造方法。
  6. (D)セルロースファイバーの平均繊維長が2〜100μmである請求項1〜のいずれかに記載の製造方法。
  7. (D)セルロースファイバーの割合が、固形分換算で、(A)電極活物質100重量部に対して、0.1〜4.5重量部である請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
  8. (D)セルロースファイバーの割合が、固形分換算で、(D)セルロースファイバー、(C)カルボキシメチル基含有セルロースエーテル又はその塩、及び(A)電極活物質の総量100重量部に対して、0.15〜3.5重量部である請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法。
  9. (A1)炭素素材粒子と(A2)シリコン粒子とを前者/後者=99/1〜50/50(重量比)の割合で含む(A)電極活物質と、(B)導電助剤と、(C)カルボキシメチルセルロース又はその塩とを混合して水性混合物を調製し、この水性混合物と、(D)平均繊維径がナノメータサイズのセルロースナノファイバーを含む水性分散液とを混合し、スラリー組成物を調製する方法であって、固形分換算で、(A)電極活物質100重量部に対して、(C)カルボキシメチルセルロース又はその塩を0.1〜4重量部の割合で混合した後、固形分換算で、(C)カルボキシメチルセルロース又はその塩に対して、(D)セルロースナノファイバーを、前者/後者(重量比)=95/5〜5/95の割合で混合する請求項1〜のいずれかに記載の製造方法。
  10. 請求項1〜のいずれかに記載の方法で得られた電極用スラリー組成物を集電体の上に塗布し、非水系二次電池用電極を製造する方法。
  11. リチウムイオン二次電池の正極又は負極を形成する請求項10記載の製造方法。
  12. 請求項10又は11記載の方法で製造された電極を用い、非水系二次電池を製造する方法。
  13. 非水系二次電池がリチウムイオン二次電池である請求項12記載の製造方法。
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