JP6848131B1 - 固定子および固定子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
初めに、実施形態に係る固定子が適用される回転電機の一例について説明する。
図1は、実施形態に係る回転電機の縦断面図であり、中心軸線C1を中心として片側の半分だけを示している。図2は、回転電機の横断面図である。
以下の説明では、中心軸線C1の延在方向を軸方向、中心軸線C1回りに回転する方向を周方向、軸方向および周方向に直交する方向を径方向と称する。
複数のスロット20を形成することにより、固定子鉄心16の内周部は、中心軸線C1に向かって突出する複数(例えば、本実施形態では48個)のティース21を構成している。ティース21は、周方向に沿って等間隔を置いて配置されている。このように、固定子鉄心16は、円環状のヨーク部と、ヨーク部の内周面から中心軸線C1に向かって径方向に突出した複数のティース21とを一体に有している。
ケーシング30は、ほぼ円筒状の第1ブラケット32aと、お椀形状の第2ブラケット32bと、を有している。第1ブラケット32aは、固定子鉄心16の駆動端側に位置する鉄心押え26に連結されている。第2ブラケット32bは、反駆動端側に位置する鉄心押え26に連結されている。第1および第2ブラケット32a、32bは、例えば、アルミニウム合金等で形成されている。第1ブラケット32aの先端側に、環状のベアリングブラケット34がボルトにて同軸的に締結されている。ベアリングブラケット34の中央部に、例えば、ころ軸受35を内蔵した第1軸受部36が締結されている。第2ブラケット32bの中央部に、例えば玉軸受37を内蔵した第2軸受部38が締結されている。
平角導体は、長手方向に垂直な断面(横断面)が略矩形の形状をしているか、少なくとも、長手方向に垂直な断面の形状が対向する2長辺を有する。平角導体の長手方向に垂直な断面(横断面)が矩形である場合、四隅は直角である必要はなく、面取りやR加工がされていてもよい。また、長手方向に垂直な断面(横断面)が対向する2長辺を有する場合、例えば長円状など、断面においてこれらの対向する2長辺の端部を結ぶ部分は曲線であってもよい。
同様に、図5Aおよび図5Cに示すように、他方の直線部19aの先端(押圧面19cを含む)の少なくとも一方の角部19y(図5Cに破線で図示)、ここでは、後述するように、固定子鉄心16の外周側に位置する角部19yは、面取りされ、あるいは、切り欠かれ、押圧面19cの長辺に対して所定角度θ2傾斜した傾斜面19c2を構成している。押圧面19cにおける傾斜面19c2の長さL2は、L1よりも長く、一例では3〜5mm程度に形成されている。
傾斜面19c1、19c2は、コイルセグメント19の同一面側に位置するように設けられている。すなわち、傾斜面19c1、19c2は、コイルセグメント19が固定子鉄心16に装着されたときに、固定子鉄心16の径方向外側に向くように配置される。
なお、傾斜面19c1、19c2の傾斜角度θ2は、共通であっても、あるいは、互いに異なる角度としてもよい。長さL1、L2は、L2>L1に限らず、L2=L1としてもよい。
図5A、図5Bおよび図5Cにドットで図示している絶縁被膜19fは、図5A、図5Bおよび図5C以外の図面において図示を省略している。
図3に示すように、コイル18の内、3本のコイルに、それぞれU相接続端子TU、V相接続端子TV、W相接続端子TWが接続されている。
図6は、固定子鉄心16および円筒状に配列されたコイルセグメント19を示す斜視図である。
図6に示すように、まず、多数本のコイルセグメント19を用意し、これらを円筒状に配列する。図示していないが、それぞれ円筒状に配列された3組のコイルセグメント19を用意する。1組(48本)のコイルセグメント19は、固定子鉄心16の複数のスロット20に沿って円筒形状に配列されている。1組のコイルセグメント19は、U相用の2本のコイルセグメント19U1と19U2、V相用の2本のコイルセグメント19V1と19V2、およびW相用の2本のコイルセグメント19W1と19W2の合計6本を最小ユニットとして、8ユニットから構成されている。円筒状に配列された1組において、コイルセグメント19の直線部19aは、径方向に2列に並んでいる。すなわち、多数(48本×2)の直線部19aは、径の異なる2層の円筒状に配列されている。
図7に示すように、各組のコイルセグメント19は、固定子鉄心16の一端面16a側からスロット20に挿入される。この際に、コイルセグメント19は、傾斜面19c1、19c2が固定子鉄心16の径方向外側を向くように配置される。コイルセグメント19の直線部19aは、スロット20に差し込まれ、固定子鉄心16の他端面16bから所定長さだけ突出し、延出端部19bを構成する。円筒状に配列された1組(48本)のコイルセグメント19の両端に位置する96個(48×2)の直線部19aは、対応する48個のスロット20において、2層分の円筒に相当し、例えば6層目(最外層)と5層目の位置に差し込まれる。円筒状に配列された3組(144本、48本×3)のコイルセグメント19が、固定子鉄心16の一端面16a側から対応する48個のスロット20に挿入される。3組のコイルセグメント19の直線部19aおよび延出端部19bは、同芯で径の異なる6層の円筒状に配列される。各スロット20において、直線部19aは、6層目(最外層)から1層目(最内層)まで径方向に並んで配置される。
図8および図9に示すように、コイルセグメント19が装着された固定子鉄心16は、後述するコイルセグメント19の延出端部19bの折曲げ成形のために、上下の向きが反転される。各スロット20に挿通された6本の直線部19aは、固定子鉄心16の径方向に並んで位置している。コイルセグメント19の傾斜面19c1、19c2は、固定子鉄心16の径方向外側に位置している。以下、径方向において、最外層(6層目)に位置するコイルセグメント、直線部、延出端部、押圧面を19P、19Pa、19Pb、19Pcとし、5層目に位置するコイルセグメント、直線部、延出端部、押圧面を19Q、19Qa、19Qb、19Qcとし、4層目に位置するコイルセグメント、直線部、延出端部、押圧面を19R、19Ra、19Rb、19Rcとし、3層目に位置するコイルセグメント、直線部、延出端部、押圧面を19S、19Sa、19Sb、19Scとし、2層目に位置する直線部、延出端部、押圧面を19T、19Ta、19Tb、19Tcとし、最内層(1層目)に位置するコイルセグメント、直線部、延出端部、押圧面を19Ua、19Ub、19Ucと称する。
径方向に並んだ押圧面19Pc、19Qc、19Rc、19Sc、19Tc、19Ucの傾斜方向は、交互に逆向きにしている。すなわち、6層目、4層目、2層目の押圧面19Pc、19Rc、19Tcは同一方向に傾斜し、5層目、3層目、1層目の押圧面19Qc、19Sc、19Ucは、逆方向に傾斜している。
図10に示すように、円筒状に配列された最内層の延出端部19Ubの内側に内壁治具101が配置される。内壁治具101は、円筒形状に形成され、支持面と機能する外周面101aを有している。内壁治具101は、十分な剛性を備えた金属から形成されている。内壁治具101の直径は、最内層の延出端部19Ubによって構成される円筒の内径とほぼ等しく形成されている。なお、内壁治具101は、円筒形状に限らず、中実の円柱形状に形成されていてもよい。
内壁治具101は、固定子鉄心16と同軸的に配置され、最内層の延出端部19Ubの内側に挿通される。これにより、内壁治具101の外周面101aは、延出端部19Ubの内周側の側面に隣接対向している。最内層の延出端部19Ubを固定子鉄心16の周方向に折曲げ成形する際、内壁治具101は、延出端部19Ubが固定子鉄心16の径方向内側に向かって傾斜しないように、延出端部19Ubを内周側から支持する。ここで、1層目(最内層)に位置する延出端部19Ubは、固定子鉄心16の径方向内側に隣接する他の延出端部19bが存在しない。そのため、1層目(最内層)に位置する延出端部19Ubを内壁治具101によって径方向内側から支持することにより、径方向内側に向かって倒れることを防止する。
図11では、一例として8個の成形治具102(押圧治具)を図示している。成形治具102は、後述する図12等に示すように、48個を1組として構成し、ほぼ均等な間隔で円筒状に配置されている。1組の成形治具102は、固定子鉄心16に装着されているコイルセグメント19のうち、各1層の48本の延出端部19bを同時に押圧して折曲げ成形する。
図12に示すように、1組の成形治具102の間隔を調整し、最外層の延出端部19Pbからなる円筒の径とほぼ一致する径に配列する。48個の成形治具102が48本の延出端部19Pbと整列する位置に成形治具102を配置し、押圧部102bを延出端部19Pbの押圧面(先端面)19Pcに当接させ、フランジ部102cを延出端部19Pbの外周側の側面に当接させる。この状態で、成形治具102を軸方向に下降させ押圧面19Pcを介して延出端部19Pbを押圧するとともに、固定子鉄心16を中心軸線の回りで押圧面19Pcの傾斜方向、ここでは、反時計方向CCWに回動する。これにより、最外層の48本の延出端部19Pbが折曲げられ、押圧面19Pcは、例えば固定子鉄心16の他端面16bとほぼ平行な状態など、他端面16bに沿った状態になる。なお、本実施形態においては固定子鉄心16を中心軸線の回りに回動させているが、成形治具102の固定子鉄心16の中心軸線に対する周方向の相対位置が変わればよく、成形治具102を固定子鉄心16の中心軸線の回りに回動させても、もしくは、固定子鉄心16と成形治具102の両者をそれぞれ逆方向に固定子鉄心16の中心軸線の回りに周方向に回動させても構わない。
図13および図15(A)に示すように、折曲げ成形する直前の状態において、延出端部19Pbは、固定子鉄心16の軸方向に沿って、固定子鉄心16の他端面16bから上方に突出している。延出端部19Pbの押圧面19Pcは、中心軸線に対して傾斜している。成形治具102の押圧部102bは押圧面19Pcに当接し、フランジ部102cは延出端部19Pbの外側面を固定子鉄心16の径方向内側に向かって支持している。
図16に示すように、1組の成形治具102は、互いの間隔を最も狭めるように移動され、最内層の延出端部19Ubの径に一致する径に調整される。調整後、成形治具102は、固定子鉄心16の中心軸線方向に下降し、最内層に位置する48個の延出端部19Ubの押圧面Ucを同時に押圧する。
折曲げ成形の間、成形治具102のフランジ部102cは、延出端部19Ubの外周側の側面を支持し、延出端部19Ubの径方向外側への移動、変形を防止する。更に、折曲げ成形の間、延出端部19Ubの内周側の側面を内壁治具101の外周面101aで支持することにより、延出端部19Ubの径方向内方への移動、変形を防止している。すなわち、1層目(最内層)の延出端部19Ubは、固定子鉄心16の径方向内側に隣接する他の延出端部19bが存在していないため、押圧工程に伴って径方向内側に変形し易いが、内壁治具101の外周面101aによって延出端部19Ubを押えることにより、延出端部19Ubの径方向内側への変形、倒れを防止することができる。
コイルセグメント19の折曲げ成形後、1組の成形治具102は、内壁治具101の上方まで引き上げられ、コイルセグメント19から離間する。
図示のように、成形治具102をコイルセグメント19から離間させた状態において、コイルセグメント19の延出端部19Pb、19Qb、19Rb、19Sb、19Tb、19Ubは、折曲げ成形後のスプリングバックによって、固定子鉄心16の径方向外側に向かって僅かに位置ずれしている。押圧面19Pc、19Qc、19Rc、19Sc、19Tc、19Ucは、固定子鉄心16の周方向に互いずれて位置し、固定子鉄心16の径方向にジグザグに並んでいる。6層目に押圧面19Pcと5層目の押圧面19Qcとの間、4層目の押圧面19Rcと3層目の押圧面19Scとの間、および2層目の押圧面19Tcと1層目の押圧面19Ucとの間には、それぞれ僅かな隙間が生じている。
図20は、曲げ加工の工程を示す斜視図、図21は、曲げ加工工程における、延出端部、内壁治具および外壁治具の一部を拡大して示す斜視図である。
図20に示すように、曲げ加工工程では、内壁治具101と外壁治具103とで延出端部19bを径方向両側から押圧することにより、延出端部19bを曲げ加工する。外壁治具103は、リング形状の部材を複数、例えば、4分割した4つの円弧状の分割治具103A、103B、103C、103Dで構成されている。外壁治具103は、押圧面として機能する内周面103aを有している。分割治具103A〜103Dを組み合わせてリング状の外壁治具103を構成した状態において、内周面103aの直径は、6層目(最外層)に位置する48個の延出端部19Pbによって構成される円筒の外径よりも僅かに小さい。分割治具103A〜103Dは、十分な剛性を備えた金属から形成されている。
上述した曲げ加工において、単純に曲げ加工治具で固定子鉄心16の径方向両側から複数の延出端部19bを挟むだけでは、隣よりも高さの高い押圧面(先端部)19cが隣の押圧面19cの上側に逃げてしまい(押圧面19cが乗り上げてしまい)、押圧面19cの高さが揃っていない状態となり、延出端部19bを所望の湾曲形状に成形できない可能性がある。また、延出端部19bの先端の厚みが薄いため、径方向に重なる面積が小さい。
そこで、前述したように、本実施形態によれば、各押圧面19cを含む延出端部19bの先端部の外周側の角部19x、19yを面取りして傾斜面19c1、19c2を形成している。傾斜面19c1、19c2を設けることにより、押圧面(先端部)19cが隣の押圧面19cに乗り上げることを防止し、延出端部19bを良好に湾曲加工することが可能となる。これにより、複数の押圧面19cの高さを揃えることができ、径方向に並んで配置することが可能となる。更に、溶接側となる傾斜面19c1が対向する隣の延出端部19bに隙間なく密着させることができ、先端部の径方向に重なる面積、つまり、接合面積を増加することが可能となる。一方、非溶接側となる傾斜面19c2は、溶接側の傾斜面19c1よりも長さL2が長く形成されているため、対向する隣の延出端部19bとの間に僅かな隙間(絶縁距離)を確保することができる。
具体的には、6層目の押圧面19Pcの側部19Peと、5層目の押圧面19Qcに設けられた傾斜面19Qc1とが密着された部分は、溶接を行う溶接ポイント19iに相当し、図24を参照して後述するように溶接される。同様に、4層目の押圧面19Rcの側部19Reと、3層目の押圧面19Scに設けられた傾斜面19Sc1とが密着された部分は、溶接ポイント19iに相当する。同様に、2層目の押圧面19Tcの側部19Teと、1層目の押圧面19Ucに設けられた傾斜面19Uc1とが密着された部分は、溶接ポイント19iに相当する。
さらに、傾斜面19c2を用いて、溶接しない押圧面19c同士の干渉を抑制することができる。すなわち、溶接しない押圧面19c同士が局所的に接触することによって、その押圧面19c同士に過度な隙間が生じることを、傾斜面19c2を用いて抑制している。具体的には、6層目の押圧面19Pcに設けられた傾斜面19Pc2は、全ての押圧面19cの最外層に位置していることから、溶接を行わない非溶接ポイント19jに相当する。また、5層目の押圧面19Qcの側部19Qeと、4層目の押圧面19Rcに設けられた傾斜面19Rc2とが接している部分は、非溶接ポイント19jに相当する。同様に、3層目の押圧面19Scの側部19Seと、2層目の押圧面19Tcに設けられた傾斜面19Tc2とが接している部分は、非溶接ポイント19jに相当する。
ここで、押圧面19cにおいて、非溶接ポイント19jを構成する傾斜面19c2は、溶接ポイント19iを構成する傾斜面19c1よりも大きく形成してもよい。この場合、例えば、5層目の押圧面19Qcの側部19Qeと、4層目の押圧面19Rcに設けられた傾斜面19Rc2とを離間させることもできる。このように構成すれば、溶接しない押圧面19c同士を、電気的に絶縁し易い。
本実施形態によれば、一例として、接合工程は、レーザー光による溶接により押圧面を接合する。図24に示すように、折曲げ成形された6層の延出端部19bを内壁治具101と外壁治具103とで挟んだ状態で、レーザー光源104からレーザー光Lを出射し、ガルバノミラー107を介して延出端部19bの押圧面19cにレーザー光Lを照射する。具体的には、固定子鉄心16を所定位置に保持した状態でガルバノミラー105を駆動し、径方向に一列に並んだ6層目の押圧面19Pcと5層目の押圧面19Qcとの境界部、4層目の押圧面19Rcと3層目の押圧面19Scとの境界部、および2層目の押圧面19Tcと1層目の押圧面19Ucとの境界部に、それぞれレーザー光を照射する。隣合う2つの押圧面19cは、それぞれレーザー光Lにより部分的に加熱、溶解され、その後、融合した状態で固まり溶接ビード19g(図25を参照)が形成される。溶接ビード19gによって、隣合う2つの押圧面19cが機械的かつ電気的に接合される。
以上の製造工程により、固定子鉄心16にコイル18を装着および接続し、固定子12が構成される。
さらに、本実施形態に係る固定子12の製造方法によれば、固定子鉄心16の径方向に隣合い接合すべき一の延出端部(例えば6層目の延出端部19Pb)の押圧面19Pcの側部19Peと、他の延出端部(例えば5層目の延出端部19Qb)の押圧面19Qcに設けられた傾斜面19Qc1とを接触させ、その接触した部分を互いに溶接することによりコイル18を形成する。この構成では、少なくともコイルセグメント19の傾斜面19Qc1が利用される。
このような固定子12および固定子12の製造方法によれば、各々の延出端部19bの押圧面19cが、成形時のバックラッシュ等により固定子鉄心16の径方向外側に向かって傾いている場合でも、溶接すべき押圧面19c同士を十分に接近させて溶接することができる。
ここで、延出端部19bの先端部を把持することなく延出端部19bを折り曲げることが可能となる。そのため、コイルセグメント19の延出端部19bに把持部を設ける必要がなく、把持部の分だけ、延出端部19bを短く設定することができる。従って、形成されるコイル18のコイルエンド18bの突出高さ(固定子鉄心16の他端面16bからの突出高さ)を低く抑えることができる。この結果、コイル18および固定子12の小型化が可能となる。
以上のことから、本実施形態によれば、小型化を図りつつ複数のコイルセグメント19を良好に接合できる固定子12の製造方法が得られる。
また、コイルセグメント19の直線部19aの最先端に位置する部分に傾斜面19c1、19c2が設けられていることから、直線部19aをスロット20に挿入し易くなり、固定子12の製造を容易にすることができる。
さらに、本実施形態に係る固定子12の製造方法によれば、上記の構成からなるコイルセグメント19を用いる。
このような固定子12および固定子12の製造方法によれば、例えば、6層目に位置する押圧面19Pcの側部19Peと、5層目に位置する押圧面19Qcに設けられた傾斜面19Qc1とを接触させて溶接しつつ、溶接しない5層目の押圧面19Qcの側部19Qeと、4層目の押圧面19Rcに設けられた傾斜面19Rc2の側部19Reとの干渉を抑制して、コイル18を形成することができる。ここで、押圧面19Qcの側部19Qeと、押圧面19Rcに設けられた傾斜面19Rc2の側部19Reとの干渉を抑制するとは、局所的に接触して互いに過度な隙間が生じることを防止する構成を意図している。すなわち、上記構成には、面接触した状態で互いに隙間が生じていない構成と、僅かに離間した状態で互いに隙間が生じている構成を、それぞれ含んでいる。このような固定子12および固定子12の製造方法によれば、各々の延出端部19bの押圧面19cが、成形時のバックラッシュ等により固定子鉄心16の径方向外側に向かって傾いている場合でも、溶接すべき押圧面19c同士を十分に接近させて溶接し、かつ、溶接しない押圧面19c同士の干渉を抑制することができる。
例えば、図26に示すように、コイルセグメント19の先端部は、一方の直線部19aの先端(押圧面19cを含む)において、外周側の角部19x(破線で図示)の傾斜面19c1に限らず、内周側の角部19z(破線で図示)にも傾斜面19c3を有していても良い。同様に、コイルセグメント19の先端部は、他方の直線部19aの先端(押圧面19cを含む)において、外周側の角部19yの傾斜面19c2に限らず、内周側の角部にも傾斜面を有していても良い。
固定子のコイルの巻数、コイルセグメントの設置数は、上述した実施形態に限定されることなく、適宜、増減可能である。例えば、1スロットに4本あるいは8本のセグメント直線部が配置されるように構成してもよい。回転子の寸法、材質、形状等は、前述した実施形態に限定されることなく、設計に応じて種々変更可能である。本実施形態に係る回転子および回転電機は、永久磁石界磁電動機に限らず、誘導電動機にも適用可能である。
18…コイル、18a,18b…コイルエンド、
19,19P,19Q,19R,19S,19T,19U…コイルセグメント、
19a…直線部、
19b,19Pb,19Qb,19Rb,19Sb,19Tb,19Ub…延出端部、
19c,19Pc,19Qc,19Rc,19Sc,19Tc,19Uc…押圧面、
19c1,19Qc1,19Sc1,19Uc1,19c2,19Pc2,19Rc2,19Tc2,19c3…傾斜面、
19Pe,19Qe,19Re,19Se,19Te…側部、
19d…架橋部、19f…絶縁被膜、19g…溶接ビード、19i…溶接ポイント、
19j…非溶接ポイント、19x,19y,19z…角部、20…スロット
101…内壁治具、101a…外周面、102…成形治具(押圧治具)、
102a…本体部、102b…押圧部、102c…フランジ部、
103…外壁治具、103A,103B,103C,1053…分割治具、
103a…内周面、104…レーザー光源、105…ガルバノミラー
Claims (4)
- 軸方向一端に位置する一端面と、前記軸方向他端に位置する他端面と、それぞれ前記軸方向に延在し前記一端面および前記他端面に開口する複数のスロットと、を有する固定子鉄心と、
それぞれ前記スロットに装着され互いに接合されて複数相のコイルを構成した複数のコイルセグメントと、を備え、
前記コイルセグメントの各々は、平角導体により形成され、互いに間隔を置いて対向する一対の直線部と、前記直線部の一端同士を連結した架橋部と、前記直線部の他端に設けられ前記直線部の前記軸方向に対して傾斜した押圧面と、前記押圧面を含む前記直線部の先端の少なくとも一方の角部を面取りして形成された傾斜面と、を一体に有し、
複数の前記コイルセグメントの前記直線部は、前記スロット内で前記固定子鉄心の径方向に複数並んで配置され、前記固定子鉄心の前記一端面から外部に延出した延出端部を有し、
前記延出端部の各々は、前記押圧面が前記一端面に沿うように前記固定子鉄心の周方向に折曲げられ、複数の前記押圧面は前記固定子鉄心の前記径方向に並んで配置され、前記傾斜面の各々は、前記固定子鉄心の外周面側に位置し、前記径方向に隣合う2つの前記押圧面が互いに接合され、前記傾斜面は、前記径方向において外周側に隣合う前記延出端部に対向し、前記固定子鉄心の前記径方向に隣合う一の前記押圧面と他の前記押圧面とが接合される境界部には、前記傾斜面が含まれている固定子。 - 平角導体により形成され、互いに間隔を置いて対向する一対の直線部と、前記直線部の一端同士を連結した架橋部と、前記直線部の他端に設けられ前記直線部の軸方向に対して傾斜した押圧面と、前記押圧面を含む前記直線部の先端の少なくとも一方の角部を面取りして形成された傾斜面と、を一体に有する複数のコイルセグメントを用意し、
前記傾斜面を固定子鉄心の径方向外側に位置させた複数の前記コイルセグメントの前記直線部を、前記固定子鉄心の一端面側から複数のスロットに挿通し、前記固定子鉄心の他端面側から所定長さ前記軸方向に突出した複数の延出端部を構成し、各スロットに複数の前記直線部を径方向に並べて配置することにより、前記延出端部を前記固定子鉄心と同軸の複数層の円筒状に配列し、
押圧治具の押圧部により前記押圧面を前記固定子鉄心の前記軸方向に前記他端面に向かって押圧しながら、前記固定子鉄心および前記押圧治具の少なくともいずれかを周方向に回動させ、
前記固定子鉄心の径方向に隣合い接合すべき一の前記延出端部の前記押圧面の側部と、他の前記延出端部の前記押圧面に設けられた前記傾斜面とを接触させ、
一の前記延出端部の前記押圧面と、他の前記延出端部の前記押圧面とを互いに接合し、
前記傾斜面の各々は、前記固定子鉄心の外周面側に位置し、前記固定子鉄心の前記径方向に隣合う一の前記押圧面と他の前記押圧面とが接合される境界部に、前記傾斜面が含まれている固定子の製造方法。 - 平角導体により形成され、互いに間隔を置いて対向する一対の直線部と、前記直線部の一端同士を連結した架橋部と、前記直線部の他端に設けられ前記直線部の軸方向に対して傾斜した押圧面と、前記押圧面を含む前記直線部の先端の少なくとも一方の角部を面取りして形成された傾斜面と、を一体に有する複数のコイルセグメントを用意し、
前記傾斜面を固定子鉄心の径方向外側に位置させた複数の前記コイルセグメントの前記直線部を、前記固定子鉄心の一端面側から複数のスロットに挿通し、前記固定子鉄心の他端面側から所定長さ前記軸方向に突出した複数の延出端部を構成し、各スロットに複数の前記直線部を径方向に並べて配置することにより、前記延出端部を前記固定子
鉄心と同軸の複数層の円筒状に配列し、
押圧治具の押圧部により前記押圧面を前記固定子鉄心の前記軸方向に前記他端面に向かって押圧しながら、前記固定子鉄心および前記押圧治具の少なくともいずれかを周方向に回動させ、
前記押圧治具の前記押圧部により前記押圧面を押圧する際に、前記押圧治具のフランジ部により前記延出端部を前記固定子鉄心の径方向外側から支持する
固定子の製造方法。 - 平角導体により形成され、互いに間隔を置いて対向する一対の直線部と、前記直線部の一端同士を連結した架橋部と、前記直線部の他端に設けられ前記直線部の軸方向に対して傾斜した押圧面と、前記押圧面を含む前記直線部の先端の少なくとも一方の角部を面取りして形成された傾斜面と、を一体に有する複数のコイルセグメントを用意し、
前記傾斜面を固定子鉄心の径方向外側に位置させた複数の前記コイルセグメントの前記直線部を、前記固定子鉄心の一端面側から複数のスロットに挿通し、前記固定子鉄心の他端面側から所定長さ前記軸方向に突出した複数の延出端部を構成し、各スロットに複数の前記直線部を径方向に並べて配置することにより、前記延出端部を前記固定子
鉄心と同軸の複数層の円筒状に配列し、
押圧治具の押圧部により前記押圧面を前記固定子鉄心の前記軸方向に前記他端面に向かって押圧しながら、前記固定子鉄心および前記押圧治具の少なくともいずれかを周方向に回動させることにより前記延出端部を前記固定子鉄心の周方向に折り曲げ、
外壁治具と内壁治具により、折曲げ成形され前記固定子鉄心の径方向に並んだ複数の前記延出端部を前記固定子鉄心の径方向外側と径方向内側から押圧する
固定子の製造方法。
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