JP6922118B2 - 固定子の製造方法 - Google Patents
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Description
なお、開示はあくまで一例にすぎず、以下の実施形態に記載した内容により発明が限定されるものではない。当業者が容易に想到し得る変形は、当然に開示の範囲に含まれる。説明をより明確にするため、図面において、各部分のサイズ、形状等を実際の実施態様に対して変更して模式的に表す場合もある。
先ず、実施形態に係る固定子12が適用される回転電機10の一例について説明する。
図1は、実施形態に係る回転電機10の縦断面図であり、中心軸線C1を中心として片側の半分だけを示している。図2は、回転電機10の横断面図である。
以下の説明では、中心軸線C1の延在方向を軸方向Z、中心軸線C1回りに回転する方向を周方向、軸方向Zおよび周方向に直交する方向を径方向と称する。
複数のスロット20を形成することにより、固定子鉄心16の内周部は、中心軸線C1に向かって突出する複数(例えば、実施形態では48個)のティース21を構成している。ティース21は、周方向に沿って等間隔を置いて配置されている。このように、固定子鉄心16は、円環状のヨーク部と、ヨーク部の内周面から中心軸線C1に向かって径方向に突出した複数のティース21とを一体に有している。
ケーシング30は、ほぼ円筒状の第1ブラケット32aと、お椀形状の第2ブラケット32bと、を有している。第1ブラケット32aは、固定子鉄心16の駆動端側に位置する鉄心押え26に連結されている。第2ブラケット32bは、反駆動端側に位置する鉄心押え26に連結されている。第1および第2ブラケット32a、32bは、例えば、アルミニウム合金等で形成されている。第1ブラケット32aの先端側に、環状のベアリングブラケット34がボルトにて同軸的に締結されている。ベアリングブラケット34の中央部に、例えば、ころ軸受35を内蔵した第1軸受部36が締結されている。第2ブラケット32bの中央部に、例えば玉軸受37を内蔵した第2軸受部38が締結されている。
図3に示すように、コイル18の内、3本のコイルに、それぞれU相接続端子TU、V相接続端子TV、W相接続端子TWが接続されている。
図6から図9を参照して、固定子鉄心16にコイルセグメント19を装着する装着工程について説明する。
図6は、固定子鉄心16および円筒状に配列されたコイルセグメント19を示す斜視図である。
図6に示すように、先ず、多数本のコイルセグメント19を用意し、これらを円筒状に配列する。図示していないが、それぞれ円筒状に配列された3組のコイルセグメント19を用意する。1組(48本)のコイルセグメント19は、固定子鉄心16の複数のスロット20に沿って円筒形状に配列されている。1組のコイルセグメント19は、U相用の2本のコイルセグメント19U1と19U2、V相用の2本のコイルセグメント19V1と19V2、およびW相用の2本のコイルセグメント19W1と19W2の合計6本を最小ユニットとして、8ユニットから構成されている。円筒状に配列された1組において、コイルセグメント19の直線部19aは、径方向に2列に並んでいる。すなわち、多数(48本×2)の直線部19aは、径の異なる2層の円筒状に配列されている。なお、この例ではコイルセグメント19を3組用意することを例示したが、本実施形態は3組のコイルセグメント19を用意するものに限定されない。
図7に実線で示すように、折曲げ成形前のコイルセグメント19の直線部19aは、後述する折曲げ工程で折曲げ成形される延出端部19a1と、後述する切断工程において廃棄される端材部19a3とが、延出端部19a1及び端材部19a3よりも剛性が低い低剛性部19a2を介して、隣接して構成されている。すなわち、直線部19aの先端部において、平角線の一側面から他側面に向かって延びるスリット状の溝部19a4を形成することにより、溝部19a4と他側面との間に、平角線の他の領域よりも断面積が小さく剛性の低下した低剛性部19a2を形成している。低剛性部19a2は、直線部19aにおいて、溝部19a4を介して対向する延出端部19a1と端材部19a3との間に位置する。溝部19a4は、直線部19aの先端にスリット状に形成されている。溝部19a4は、直線部19aの中心軸線C2と交差するように、中心軸線C2から角度θ1傾斜している。溝部19a4は、平角線によって構成される直線部19aにおいて、その平角線の一方の短辺から他方の短辺の近傍まで延び、更に、平角線の長辺側側面に開口している。
図7に破線で示すように、折曲げ工程において、延出端部19a1が折り曲げられると、溝部19a4の内側が外方に露出される。溝部19a4の露出した領域の一部は、後述する接合工程において、接合部19a5として用いられる。接合部19a5は、図7に破線で示すように、折曲工程において、固定子鉄心16の他端面16bとほぼ平行にされる。低剛性部19a2は、図7に破線で示すように、切断工程において切断されて、延出端部19a1から端材部19a3が分断される。
図8に示すように、各組のコイルセグメント19は、固定子鉄心16の一端面16a側からスロット20に挿入される。コイルセグメント19の直線部19aは、スロット20に差し込まれ、固定子鉄心16の他端面16bから所定長さだけ突出し、延出端部19a1を構成する。円筒状に配列された1組(48本)のコイルセグメント19の両端に位置する96個(48×2)の直線部19aは、対応する48個のスロット20において、2層分の円筒に相当し、例えば6層目(最外層)と5層目の位置に差し込まれる。円筒状に配列された3組(144本、48本×3)のコイルセグメント19が、固定子鉄心16の一端面16a側から対応する48個のスロット20に挿入される。3組のコイルセグメント19の直線部19aおよび延出端部19a1は、同芯で径の異なる6層の円筒状に配列される。各スロット20において、直線部19aは、6層目(最外層)から1層目(最内層)まで径方向に並んで配置される。
図9に示すように、コイルセグメント19が装着された固定子鉄心16(固定子鉄心組立体)は、後述するコイルセグメント19の延出端部19a1の折曲げ成形のために、上下の向きが反転される。
6層目(最外層)に位置するコイルセグメント19P、5層目に位置するコイルセグメント19Q、4層目に位置するコイルセグメント19R、3層目に位置するコイルセグメント19S、2層目に位置するコイルセグメント19T、および1層目(最内層)に位置するコイルセグメント19Uの直線部19aが、固定子鉄心16の径方向において、一列に並んでいる。
図10から図16は、6層目から1層目の48本のコイルセグメント19P、19Q、19R、19S、19Tおよび19Uの折曲げ工程のうち、最初に行われる6層目の48本のコイルセグメント19Pの折曲げ工程を示している。
図10は、固定子鉄心に装着されたコイルセグメント19のうち6層目(最外層)に位置する48個のコイルセグメント19Pの折曲げ工程(1回目)であって、折曲治具101によって最初(1回目)に最外層の48個のコイルセグメント19Pを折曲げ成形する直前の状態を示す斜視図、図11は、図10の領域Cを拡大して示す斜視図、図12は、図10の領域Cを拡大して示す側面図である。
折曲治具によって、6層目(最外層)に位置する48本のコイルセグメント19Pから1層目(最内層)に位置する48本のコイルセグメント19Uの順で、同一層の48本のコイルセグメント19の延出端部19a1を同時に折曲げ成形する。ここで、48本のコイルセグメント19P、19Q、19R、19S、19Tおよび19Uは、それぞれ円形状に配置されているが、その直径が異なる。すなわち、6層目(最外層)に位置する48本のコイルセグメント19Pから1層目(最内層)に位置する48本のコイルセグメント19Uの順で、円形状の直径が段階的に小さくなる。したがって、48本のコイルセグメント19P、19Q、19R、19S、19Tおよび19Uの順で、外形形状を段階的に小さくした6種類の折曲治具を使用する。
図10に示す折曲治具101は、6層目(最外層)に位置する48本のコイルセグメント19Pの折曲げ成形に使用される。折曲治具101は、図11および図12に示すように、リング状に形成され、内周面101aに凹状の取付部101cが形成されている。取付部101cは、内周面101aにおいて、折曲治具101の下端101bから上方に向かって所定長さだけ切り欠いて形成されている。取付部101cは、48個を1組として構成し、内周面101aの周方向に沿ってほぼ均等な間隔で形成されている。折曲治具101は、十分な剛性を備えた金属によって形成されている。折曲治具101は、図示しない昇降および回転自在な駆動機構に支持されている。
図11および図12に示すように、コイルセグメント19の直線部19Paは、固定子鉄心16の軸方向Zに沿って、固定子鉄心16の他端面16bから上方に突出している。直線部19Paにおいて、延出端部19Pa1と端材部19Pa3の間に位置する溝部19Pa4は、固定子鉄心16の軸方向Zに対して傾斜している。低剛性部19Pa2は、溝部19Pa4によって隔てられた、延出端部19Pa1と端材部19Pa3の間に位置する。折曲治具101の取付部101cは、直線部19Paの先端に位置する端材部19Pa3に取り付けられる。このとき、折曲治具101の下端101bと、コイルセグメント19Pの溝部19Pa4の上端は、固定子鉄心16の周方向に沿って並んでいる。
折曲治具101は、図13に示すように、折曲げ工程において、固定子鉄心16の回りで時計方向CWに回動しつつ、固定子鉄心16側に移動する。これにより、48本のコイルセグメント19Pの延出端部19Pa1は、折曲げられている。コイルセグメント19の溝部19a4は、図14及び図15に示すように、折曲げ工程において、内側が外方に露出される。コイルセグメント19の接合部19Pa5は、図12に示す固定子鉄心16の他端面16bに対して傾斜した状態から、図15に示す固定子鉄心16の他端面16bにほぼ平行な状態になる。
図16に破線で示すように、コイルセグメント19の折曲げ成形前は、直線部19aにおいて、延出端部19a1と端材部19a3が、低剛性部19a2を介して、固定子鉄心16の軸線上で隣接している。低剛性部19a2は、直線部19aにおいて、溝部19a4を介して対向する延出端部19a1と端材部19a3との間に位置している。
図16に実線で示すように、コイルセグメント19の折曲げ成形後は、延出端部19a1が折り曲げられ、溝部19a4の内側が外方に露出されている。溝部19a4の露出した領域の一部は、接合部19a5として用いられる。接合部192a5は、固定子鉄心16の他端面16bとほぼ平行になっている。
図17は、コイルセグメント19の切断工程を示す斜視図である。
コイルセグメント19の切断は、一例として、レーザー光L1によるコイルセグメント19の低剛性部19a2の切断によって行われる。レーザー光源102から出射されるレーザー光L1は、48本のコイルセグメント19Pによって構成される同心円の外接線の方向に沿って、各々のコイルセグメント19Pの低剛性部19a2に照射される。48本のコイルセグメント19Pは、固定子鉄心16の周方向に沿って順番に、延出端部19a1と端材部19a3の間の低剛性部19a2がレーザー光L1によって切断されて、延出端部19a1と端材部19a3が分断される。1本のコイルセグメント19Pの低剛性部19a2がレーザー光L1によって切断される度に、固定子鉄心16が時計方向CWに1スロット20の角度だけ回転され、次のコイルセグメント19Pの低剛性部19a2の切断が行われる。
ここで、コイルセグメント19Pの低剛性部19a2を安定的に切断するために、折曲治具101を端材部19a3に取り付けたままの状態で、低剛性部19a2にレーザー光L1を照射して切断する構成としてもよい。また、低剛性部19a2を効率良く切断するために、レーザー光L1を固定子鉄心16の径方向に沿って走査する構成としてもよい。
コイルセグメント19については、レーザ光L1による切断の他に機械的なカッターを用いて切断しても構わない。
図18および図19は、6層目から1層目の48本のコイルセグメント19P、19Q、19R、19S、19Tおよび19Uの折曲げ工程のうち、最後に行われる1層目の48本のコイルセグメント19Uの折曲げ工程を示している。
図18は、固定子鉄心に装着されたコイルセグメント19のうち1層目(最内層)に位置する48個のコイルセグメント19Uの折曲げ工程(6回目)であって、折曲治具103によって最後(6回目)に最内層の48個のコイルセグメント19Uを折曲げ成形する直前の状態を示す斜視図、図19は、図18の状態から48個のコイルセグメント19Uを折曲げ成形した直後の状態を示す斜視図である。
折曲治具103は、図18に示す状態から図19に示す状態のように、固定子鉄心16の中心軸線の回りで反時計方向CCWに回動しつつ、固定子鉄心16側に移動する。これにより、48本のコイルセグメント19Uの延出端部が折曲げられ、接合部が固定子鉄心16の他端面16bとほぼ平行になる。
なお、実施形態においては折曲治具101および折曲治具103を固定子鉄心16の中心軸線の回りに回動させているが、折曲治具101の固定子鉄心16の中心軸線に対する周方向の相対位置が変わればよく、固定子鉄心16を折曲治具101および折曲治具103の中心軸線の回りに回動させても、もしくは、固定子鉄心16と折曲治具101および折曲治具103とをそれぞれ逆方向に回動させても構わない。
また、6層目から1層目のコイルセグメント19P、19Q、19R、19S、19Tおよび19Uの延出端部19a1を、同時に折曲げる構成としてもよい。このような構成の場合、6層目から1層目のコイルセグメント19P、19Q、19R、19S、19Tおよび19U用の6種類の折曲治具は、それぞれ固定子鉄心16の径方向に沿って貫通した取付部を備える。すなわち、折曲治具の径方向の厚みを、コイルセグメント19Pの径方向の厚みと同程度に薄くすることによって、例えば、5層目用の折曲治具が6層目用及び4層目用の折曲治具と干渉しないようにする。6層目、4層目および2層目のコイルセグメント19P、19Rおよび19T用の3種類の折曲治具と、5層目、3層目および1層目のコイルセグメント19Q、19Sおよび19U用の3種類の折曲治具は、固定子鉄心16の周方向に沿って回動方向を異ならせる。
レーザー光源104からレーザー光L2を出射し、コイルセグメント19の接合部19a5にレーザー光L2を照射する。レーザー光源104は、例えば、半導体レーザと光ファイバー等によって構成する。具体的には、固定子鉄心16を所定位置に保持した状態で、径方向に一列に並んだ6層目の接合部19a5と5層目の接合部19a5との境界部、4層目の接合部19a5と3層目の接合部19a5との境界部、および2層目の接合部19a5と1層目の接合部19a5との境界部に、それぞれレーザー光L2を照射する。レーザー光源104は、ロボットハンドや駆動ステージ等によって、コイルセグメント19の接合部19a5の近傍に移動させる。隣合う2つの接合部19a5は、それぞれレーザー光L2により部分的に加熱、溶解され、その後、融合した状態で固まり溶接ビード19dが形成される。溶接ビード19dによって、隣合う2つの接合部19a5が機械的かつ電気的に接合される。
以上の製造工程により、固定子鉄心16にコイル18を装着および接続し、固定子12が構成される。
以上のことから、実施形態によれば、小型化を図ることができる固定子12の製造方法が得られる。
また、実施形態の製造方法によれば、コイルセグメント19の低剛性部19a2の位置で、溝部19a4が開く方向に延出端部19a1を折り曲げる。このような製造方法によれば、延出端部19a1を折曲げるときに、溝部19a4を外方に開くように変形させることができることから、低剛性部19a2を起点として、延出端部19a1を屈折させ易い。したがって、延出端部19a1を低剛性部19Xa2の位置で容易に、かつ、小さい曲率で折曲げることができる。
また、実施形態の製造方法によれば、コイルセグメント19の低剛性部19a2は、直線部19aに設けた溝部19a4によって構成する。このため、コイルセグメント19の直線部19aに任意の低剛性部19a2を容易に形成することができる。すなわち、低剛性部19a2の仕様(剛性の高低等)を、直線部10aに対する溝部19a4の切り込み深さや角度によって容易に設定することができる。
また、実施形態の製造方法によれば、延出端部19a1と端材部19a3の連結部分は、溝部19a4によって厚みが薄くなっている。このため、延出端部19a1から端材部19a3を切断して、端材部19a3を除去し易い。
また、実施形態の製造方法によれば、延出端部19a1を固定子鉄心16の周方向に折曲げつつ、溝部19a4の内面の一部を固定子鉄心16の他端面16b側にほぼ平行にして、接合部19a5として用いる。このため、固定子鉄心16の径方向で隣り合う接合部19a5同士を接合することが容易である。
図21は、実施形態の変形例1のコイルセグメント19Xの折曲げ成形を示す側面図である。
図21に破線で示すように、コイルセグメント19Xの折曲げ成形前は、直線部19Xaにおいて、延出端部19Xa1と端材部19Xa3が、低剛性部19Xa2を介して、固定子鉄心16の軸線上で隣接している。低剛性部19Xa2は、直線部19Xaにおいて、切欠部19Xa4を介して対向する延出端部19Xa1と端材部19Xa3との間に位置している。コイルセグメント19Xは、低剛性部19Xa2の位置で、切欠部19Xa4が開く方向に延出端部19Xa1が折り曲げられる。切欠部19Xa4は、直線部19Xaにおいて、延出端部19Xa1の折曲げ方向の前方側に位置する。接合部19Xa5は、一例として、三角形状としているが、矩形状や半円形状としてもよい。
図21に実線で示すように、コイルセグメント19Xの折曲げ成形によって、延出端部19Xa1が折り曲げられ、切欠部19Xa4が内側から外側に拡張されて露出されている。切欠部19Xa4の露出した領域の一部は、低剛性部19Xa2が切断された後に、接合部19Xa5として用いられる。
コイルセグメント19Xの直線部19Xaにおいて、低剛性部19Xa2が切断されて、延出端部19Xa1から端材部19Xa3が分断される。
また、コイルセグメント19Xは、低剛性部19Xa2の位置で、切欠部19Xa4が開く方向に延出端部19Xa1が折り曲げられる。このような製造方法によれば、延出端部19Xa1を折曲げるときに、切欠部19Xa4を外方に開くように変形させることができることから、低剛性部19Xa2を起点として、延出端部19a1を屈折させ易い。したがって、延出端部19a1を低剛性部19Xa2の位置で容易に、かつ、小さい曲率で折曲げることができる。
また、切欠部19Xa4の形状は、CCDカメラ等を用いて画像認識したり作業者が目視して確認したりすることが容易であることから、低剛性部19Xa2の仕様(剛性の高低等)を一定の範囲内に維持し易い。
また、実施形態の製造方法によれば、延出端部19Xa1と端材部19Xa3の連結部分は、切欠部19Xa4によって厚みが薄くなっている。このため、延出端部19Xa1から端材部19Xa3を切断して、端材部19Xa3を除去し易い。
図22は、実施形態の変形例2のコイルセグメント19Yの折曲げ成形を示す側面図である。
直線部19Yaにおいて、延出端部19Ya1の固定子鉄心16の周方向に沿った幅と比較して、端材部19Ya3の固定子鉄心16の周方向に沿った幅を細くして、切欠部19Ya4を構成している。具体的には、直線部19Yaの先端において、折曲げ成形における折曲げ方向の前方側に位置する部分が、縦に長細く切り欠かれている。すなわち、切欠部19Ya4は、直線部19Yaにおいて、延出端部19Ya1の折曲げ方向の前方側に位置する。
図22に破線で示すように、コイルセグメント19Yの折曲げ成形前は、直線部19Yaにおいて、延出端部19Ya1と端材部19Ya3が、低剛性部19Ya2を介して、固定子鉄心16の軸線上で隣接している。低剛性部19Ya2は、直線部19Yaにおいて、切欠部19Ya4を介して対向する延出端部19Ya1と端材部19Ya3との間に位置している。
図22に実線で示すように、コイルセグメント19Yの折曲げ成形によって、延出端部19Ya1が折り曲げられる。切欠部19Ya4は、低剛性部19Ya2が切断された(部分的に溶かされて溶断された)後に接合部19Ya5として用いられる。
コイルセグメント19Yの直線部19Yaにおいて、低剛性部19Ya2が切断されて、延出端部19Ya1から端材部19Ya3が分断される。
図23は、実施形態の変形例3のコイルセグメント19Zの折曲げ成形を示す側面図である。
図23に破線で示すように、コイルセグメント19Zの折曲げ成形前は、直線部19Zaにおいて、延出端部19Za1と端材部19Za3が、低剛性部19Za2を介して、固定子鉄心16の軸線上で隣接している。低剛性部19Za2は、直線部19Zaにおいて、切欠部19Za4を介して対向する延出端部19Za1と端材部19Za3との間に位置している。
図23に実線で示すように、コイルセグメント19Zの折曲げ成形によって、延出端部19Za1が折り曲げられる。切欠部19Za4は、低剛性部19Za2が切断された後に接合部19Za5として用いられる。
コイルセグメント19Zの直線部19Zaにおいて、低剛性部19Za2が切断されて、延出端部19Za1から端材部19Za3が分断される。
また、延出端部19Za1を折曲げるときに、低剛性部19Za2が延出端部19Za1と端材部19Za3との間に挟み込まれ易い。したがって、例えば、固定子鉄心16の他端面16bにほぼ平行になるように低剛性部19Za2を切断する等、接合部19Za5を任意の形状に形成し易い。
例えば、コイルの巻数、コイルセグメントの設置数は、上述した実施形態に限定されることなく、適宜、増減可能である。例えば、1スロットに4本あるいは8本のセグメント直線部が配置されるように構成してもよい。回転子の寸法、材質、形状等は、前述した実施形態に限定されることなく、設計に応じて種々変更可能である。実施形態に係る回転子および回転電機は、永久磁石界磁電動機に限らず、誘導電動機にも適用可能である。
18…コイル、18a,18b…コイルエンド、
19,19P,19Q,19R,19S,19T,19U,19X,19Y,19Z…コイルセグメント、
19a,19Pa,19Xa,19Ya,19Za…直線部、
19a1,19Pa1,19Xa1,19Ya1,19Za1…延出端部、
19a2,19Pa2,19Xa2,19Ya2,19Za2…低剛性部、
19a3,19Pa3,19Xa3,19Ya3,19Za3…端材部、
19a4,19Pa4…溝部、19Xa4,19Ya4,19Za4…切欠部、
19a5,19Pa5,19Xa5,19Ya5,19Za5…接合部、
19b…架橋部、19c…絶縁被膜、19d…溶接ビード、20…スロット、
101,103…折曲治具
Claims (5)
- 平角導体を折り曲げて形成され、互いに対向する一対の直線部と前記一対の直線部の一端同士を連結した架橋部とを有し、前記直線部の各々は、先端部に平角導体の他の領域よりも断面積が小さく剛性を低くした低剛性部を有し、前記直線部の先端部において、前記平角導体の一側面から他側面に向かって延びるスリット状の溝部を形成し、前記溝部の端と前記他側面との間に前記低剛性部を形成した複数のコイルセグメントを用意し、
複数の前記コイルセグメントの前記直線部を、固定子鉄心の一端面側から複数のスロットに挿通し、前記固定子鉄心の他端面側から所定長さ軸方向に突出した複数の延出端部を構成し、各スロットに複数の前記直線部を径方向に並べて配置することにより、複数の前記延出端部を前記固定子鉄心と同軸の複数層の円筒状に配列し、
前記直線部の先端部を折曲治具によって把持した状態で、前記折曲治具及び前記固定子鉄心の少なくとも一方を前記固定子鉄心の周方向に相対的に回動させて、前記延出端部を前記低剛性部と前記他端面側との間において前記固定子鉄心の周方向に折曲げ、前記低剛性部の位置で、前記溝部が開く方向に前記延出端部を折り曲げ、
前記低剛性部を切断して接合部を形成し、
前記固定子鉄心の径方向に隣接する前記接合部を互いに接合する、
固定子の製造方法。 - 平角導体を折り曲げて形成され、互いに対向する一対の直線部と前記一対の直線部の一端同士を連結した架橋部とを有し、各々の前記直線部の先端部において、前記平角導体の一側面から他側面に向かって延びる切欠部を形成し、前記切欠部と前記他側面との間に前記平角導体の他の領域よりも断面積が小さく剛性を低くした低剛性部を形成した複数のコイルセグメントを用意し、
複数の前記コイルセグメントの前記直線部を、固定子鉄心の一端面側から複数のスロットに挿通し、前記固定子鉄心の他端面側から所定長さ軸方向に突出した複数の延出端部を構成し、各スロットに複数の前記直線部を径方向に並べて配置することにより、複数の前記延出端部を前記固定子鉄心と同軸の複数層の円筒状に配列し、
前記直線部の先端部を折曲治具によって把持した状態で、前記折曲治具及び前記固定子鉄心の少なくとも一方を前記固定子鉄心の周方向に相対的に回動させて、前記延出端部を前記低剛性部と前記他端面側との間において前記固定子鉄心の周方向に折曲げ、前記低剛性部の位置で、前記切欠部が開く方向に前記延出端部を折り曲げ、
前記低剛性部を切断して接合部を形成し、
前記固定子鉄心の径方向に隣接する前記接合部を互いに接合する、
固定子の製造方法。 - 平角導体を折り曲げて形成され、互いに対向する一対の直線部と前記一対の直線部の一端同士を連結した架橋部とを有し、各々の前記直線部の先端部は、前記固定子鉄心の周方向に沿った第1幅を有する第1部分と、前記第1部分よりも先端側に配置されるとともに前記固定子鉄心の周方向に沿った前記第1幅よりも細い第2幅を有するように長細く切り欠かれた第2部分とを備え、前記第1部分と前記第2部分との間を低剛性部とした複数のコイルセグメントを用意し、
複数の前記コイルセグメントの前記直線部を、固定子鉄心の一端面側から複数のスロットに挿通し、前記固定子鉄心の他端面側から所定長さ軸方向に突出した複数の延出端部を構成し、各スロットに複数の前記直線部を径方向に並べて配置することにより、複数の前記延出端部を前記固定子鉄心と同軸の複数層の円筒状に配列し、
前記直線部の先端部を折曲治具によって把持した状態で、前記折曲治具及び前記固定子鉄心の少なくとも一方を前記固定子鉄心の周方向に相対的に回動させて、前記延出端部を前記固定子鉄心の周方向に折曲げ、前記低剛性部の位置で前記延出端部を折り曲げ、
前記低剛性部を切断して接合部を形成し、
前記固定子鉄心の径方向に隣接する前記接合部を互いに接合する、
固定子の製造方法。 - 前記延出願部は、前記低剛性部の位置で、前記第2部分により切り欠かれた切欠部が開く方向に折り曲げられる、請求項3に記載の固定子の製造方法。
- 前記第2部分による細長い切り欠きは、前記直線部において前記延出端部の折り曲げ方向の後方側に位置する、請求項3に記載の固定子の製造方法。
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