JP6846860B2 - 非水電解質二次電池 - Google Patents

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Description

本発明は、高容量で、充放電サイクル特性に優れ、連続充電特性の高い非水電解質二次電池に関するものである。
非水電解質二次電池は、その高い体積エネルギー密度と重量エネルギー密度から、携帯電話やノートパソコンなど民生機器だけではなく、車載用途やロボット用途など産業用途にも広く展開されてきている。そのため、要求される特性は多岐に渡っており、様々な手段であらゆる特性改善が要求されている。
電池の体積エネルギー密度を向上させるために、正極や負極の電極密度を向上させる手段が知られているが、正極や負極の電極密度を向上させるに伴って種々の電池特性の低下が見られる場合があり、それへの対策に取り組んでいる。
特許文献1には電池の高密度化に伴う充放電サイクル特性および貯蔵特性の低下を防止するために、特定の正極活物質を使い非水電解質に分子内にニトリル基を2つ以上含む化合物を含む非水二次電池が開示されている。
特許文献2では、負極密度を高くした時に急速充放電特性及びサイクル特性に低下が少ないリチウム二次電池に好適な負極、及び二次電池の体積当りのエネルギー密度が向上した高容量リ
チウム二次電池を提供するために、負極のX線回折で測定される回折強度比(002)/(110)が500以下の負極について開示されている。
特開2013−145752号公報 特開2004−55139号公報 ところで、特許文献1にあるように、分子内にニトリル基が2以上含む化合物を用いると貯蔵特性の低下が抑制出来る。一方で、例えば正極密度が4.0g/cm3以上、正極活物質の比表面積が0.25m2/g以上のような場合には、連続充電特性や高温サイクル特性向上について、分子内にニトリル基が2以上の化合物の中でも更に最適なものがあることを本発明者らは見出した。
本発明の目的は、高容量で、充放電サイクル特性に優れ、連続充電特性の高い非水電解質二次電池を提供することにある。
上記目的を達成する本発明の非水電解質二次電池は、正極、負極、非水電解質、セパレータを備え、前記正極は、正極集電体の片面又は両面に、正極合剤層を備え、前記正極合剤層は少なくとも正極活物質とバインダとを含み、前記正極活物質の比表面積は0.25m/g以上であり、前記正極合剤層の密度は、4.0g/cm以上であり、前記非水電解質は一般式(1)で表される化合物を含むことを特徴とする。
NC−C2n−CN (1)
(ただし、nは5以上10以下である。)
本発明によれば、高容量で、充放電サイクル特性に優れ、連続充電特性の高い非水電解質二次電池を提供することが出来る。
本発明の実施態様の一例である非水電解質二次電池の断面図を表す。 本発明の実施態様の一例である非水電解質二次電池の斜視図を表す。
本発明の非水電解質二次電池は、例えば、正極と負極とが、セパレータを介して重ねられた積層構造の電極体や、これを更に渦巻状に巻回した巻回構造の電極体などを、非水電解質と共に外装体内に封入した構成を有するものである。
〔非水電解質〕
本発明の非水電解質二次電池に係る非水電解質としては、リチウム塩を有機溶媒に溶解した非水電解液を使用できる。
上記非水電解液に用いるリチウム塩としては、溶媒中で解離してリチウムイオンを形成し、電池として使用される電圧範囲で分解等の副反応を起こしにくいものであれば特に制限はない。例えば、LiClO、LiPF、LiBF、LiAsF、LiSbF等の無機リチウム塩、LiCFSO、LiCFCO、Li(SO、LiN(CFSO、LiC(CFSO、LiC2n+1SO(2≦n≦7)、LiN(RfOSO〔ここで、Rfはフルオロアルキル基〕等の有機リチウム塩等を用いることができる。
このリチウム塩の非水電解液中の濃度としては、0.5〜1.5mol/Lとすることが好ましく、0.9〜1.25mol/Lとすることがより好ましい。
上記非水電解液に用いる有機溶媒としては、上記のリチウム塩を溶解し、電池として使用される電圧範囲で分解等の副反応を起こさないものであれば特に限定されない。例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート等の環状カーボネート;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート等の鎖状カーボネート;プロピオン酸メチル等の鎖状エステル;γ−ブチロラクトン等の環状エステル;ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、1,3−ジオキソラン、ジグライム、トリグライム、テトラグライム等の鎖状エーテル;ジオキサン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等の環状エーテル;アセトニトリル、プロピオニトリル、メトキシプロピオニトリル等のニトリル類;エチレングリコールサルファイト等の亜硫酸エステル類等が挙げられ、これらは2種以上混合して用いることもできる。より良好な特性の電池とするためには、エチレンカーボネートと鎖状カーボネートの混合溶媒等、高い導電率を得ることができる組み合わせで用いることが望ましい。
なお、本発明に係る非水電解液(非水電解質)では、一般式(1)の化合物を含有させることが必要である。
NC−C2n−CN (1)
(ただし、nは5以上10以下である。)
一般式(1)の化合物は、正極活物質の表面に表面保護皮膜を形成する機能を有しており、かかる表面保護皮膜によって、正極と非水電解質との直接の接触が抑制される。この化合物を用いて正極活物質の比表面積は0.25m/g以上であり、正極合剤層の密度は、4.0g/cm以上の正極活物質を用いた正極合剤層と組み合わせると、高温充放電サイクル特性に優れ、連続充電特性の高い非水電解質二次電池となる。このような効果を得られる理由は定かではないが、以下のようなことが考えられる。
例えば一般式(1)のnが4以下の化合物と比較した場合、一般式(1)の化合物は炭素数が多いため、初回充電時の反応性はより向上する。そのため正極表面に容易に被膜を形成することが出来る。特に、本発明では高比表面積の正極活物質を用いるため、被膜を形成すべき面積が大きいが、一般式(1)の化合物はその反応性の高さで素早く広い範囲の面積を網羅した被膜を形成することが出来る。
したがって、従来通り分子内にニトリル基を2以上有する化合物を用いた時と同様に、貯蔵特性やサイクル特性が向上することは勿論のこと、本発明では特定の正極を用いることで、さらに連続充電特性と高温下でのサイクル特性も優れたものとなる。
上記一般式(1)で表されるジニトリル化合物の具体例としては、例えば、1,5−ジシアノペンタン、1,6−ジシアノヘキサン、1,7−ジシアノヘプタン、2,6−ジシアノヘプタン、1,8−ジシアノオクタン、2,7−ジシアノオクタン、1,9−ジシアノノナン、2,8−ジシアノノナン、1,10−ジシアノデカン、1,6−ジシアノデカン、2,4−ジメチルグルタロニトリルなどが挙げられる。中でも、1,5−ジシアノペンタン(ピメロニトリル)、1,6−ジシアノヘキサン(スベロニトリル)が、汎用性が高く、好ましい。
一般式(1)の化合物を含有する非水電解液の調製方法については、特に制限はなく、例えば、上記例示の溶媒に、分子内にニトリル基を2以上有する化合物と上記例示の電解質塩とを、常法に従って溶解させればよい。
一般式(1)の化合物の添加量は、これらの化合物の添加による作用をより有効に発揮させる観点から、非水電解液全量中、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上である。また、非水電解液全量中、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%、以下、更に好ましくは6%質量以下である。この範囲で一般式(1)の化合物を含むと、本発明の正極と組み合わせた場合に連続充電特性と高温下でのサイクル特性が良好となる。
本発明の効果を阻害しない程度に、一般式(1)の化合物以外の一般的な非水電解質添加剤を用いても良い。例えば、ビニレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、1,3−ジオキサン、1,3−プロパンサルトン、ジフェニルジスルフィド、シクロヘキシルベンゼン、ビフェニル、フルオロベンゼン、t−ブチルベンゼンなどの添加剤を、非水電解液に適宜加えることもできる。
〔正極〕
本発明の非水電解質二次電池に係る正極には、例えば、正極活物質、導電助剤、バインダ等を含有する正極合剤層を、集電体の片面又は両面に有する構造のものが使用される。
<正極活物質>
上記正極に用いる正極活物質は、特に限定されず、リチウム含有遷移金属酸化物等の公知の活物質を使用すればよい。リチウム含有遷移金属酸化物の具体例としては、例えば、LiCoO、LiNiO、LiMnO、LiCoNi1-y、LiCo1-y、LiNi1−yy、LiMnNiCo1−y−z、LiMn、LiMn2−y等が例示される。但し、上記の各構造式中において、Mは、Mg、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Ti、Zr、Ge及びCrよりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素であり、0≦x≦1.1、0<y<1.0、2.0<z<1.0である。エネルギー密度の観点から、リチウムとコバルトを含有する層状化合物(一般式LiCo1−y ;Mは上述のMからCoを抜いたものでyは上述したyと同じ)が特に好ましい。
<バインダ>
上記正極に用いるバインダとしては、電池内で化学的に安定なものであれば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれも使用できる。例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリヘキサフルオロプロピレン(PHFP)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、プロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、又は、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体及びそれら共重合体のNaイオン架橋体等の1種又は2種以上を使用できる。
<導電助剤>
上記正極に用いる導電助剤としては、電池内で化学的に安定なものであればよい。例えば、天然黒鉛、人造黒鉛等のグラファイト;アセチレンブラック、ケッチェンブラック(商品名)、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック;炭素繊維、金属繊維等の導電性繊維;アルミニウム粉等の金属粉末;フッ化炭素;酸化亜鉛;チタン酸カリウム等からなる導電性ウィスカー;酸化チタン等の導電性金属酸化物;ポリフェニレン誘導体等の有機導電性材料等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、導電性の高いグラファイトと、吸液性に優れたカーボンブラックが好ましい。また、導電助剤の形態としては、一次粒子に限定されず、二次凝集体や、チェーンストラクチャー等の集合体の形態のものも用いることができる。このような集合体の方が、取り扱いが容易であり、生産性も良好となる。
<集電体>
上記正極に用いる集電体としては、従来から知られている非水電解質二次電池の正極に使用されているものと同様のものが使用でき、例えば、厚さが8〜30μmのアルミニウム箔が好ましい。
<正極の製造方法>
上記正極は、例えば、前述した正極活物質、導電助剤及びバインダを、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)等の溶剤に分散させたペースト状やスラリー状の正極合剤含有組成物を調製し(但し、バインダは溶剤に溶解していてもよい。)、これを集電体の片面又は両面に塗布し、乾燥した後に、必要に応じてカレンダ処理を施す工程を経て製造することができる。
<正極合剤層>
上記正極合剤層においては、正極活物質の総量を92〜99重量%とし、導電助剤の量を0.5〜6重量%とし、バインダの量を0.5〜6重量%とすることが好ましい。上記正極合剤層の厚さは、カレンダ処理後において、集電体の片面あたり、40〜300μmであることが好ましい。
本発明の正極合剤層は、4.0g/cm以上である。正極合剤層の密度を高くするには、一般に平均粒子径の異なる正極活物質粒子を2種類以上用いる。そうすると、大粒子と大粒子の間にそれよりも小さい粒子を充填することが出来るために、正極合剤層が高密度になる。
4.0g/cm以上の高密度を実現させるには、平均粒子径が最も大きい正極活物質粒子と、平均粒子径が最も小さい正極活物質粒子との粒径比や、それぞれの含有率、平均粒子径が最も大きい正極活物質粒子と最も小さい正極活物質粒子の正極活物質中の含有比等をコントロールすることによって実現することが出来る。一方、このようにコントロールすると、それに伴って正極活物質の比表面積が0.25m/g以上となる傾向にある。
電池が高温・高圧の状態に晒されると、正極と非水電解質とが反応して、非水電解質の分解反応が起こりやすくなる。非水電解質が分解すると、ガスが発生して電池が膨れたり、分解により非水電解質が減るのでサイクル特性が低下する。これらを抑制するために本発明では正極上の被膜形成に一般式(1)の化合物を用いると、正極活物質の比表面積が0.25m/g以上で正極表面の表面積が広いような場合でも、一般式(1)の化合物の高い反応性で素早く広い範囲の面積を網羅した被膜を形成することが出来る。従って、連続充電時、高温充放電サイクル時、高温貯蔵時等のような電池が長時間高電圧また高温状態に晒される場合に、顕著に改善効果がみられる。
尚、本明細書でいう「平均粒子径」とは、日機装株式会社製マイクロトラック粒度分布測定装置「HRA9320」を用いて測定した粒度分布の小さい粒子から積分体積を求める場合の体積基準の積算分率における50%径の値(d50)メディアン径である。
また、本明細書でいう合剤層の密度は、以下の測定方法により求められる値である。正極を所定面積で切り取り、その重量を、最小目盛り1mgの電子天秤を用いて測定し、この重量から集電体の重量を差し引いて正極合剤層の重量を算出する。また、正極の全厚を最小目盛り1μmのマイクロメーターで10点測定し、この厚みから集電体の厚みを差し引いた値の平均値と面積から正極合剤層の体積を算出し、この体積で上記の正極合剤層の重量を割ることにより、正極合剤層の密度を算出する。負極の合剤層密度も同様の手法で算出する。
また、本明細書でいう正極活物質の比表面積とは、正極合剤層に含まれる正極活物質粒子の比表面積のことで、正極活物質粒子を複数用いる場合はそれらの混合物の比表面積を言う。比表面積の測定方法はBET法による。装置例は日本ベル社製「ベルソープミニ」などである。
正極合剤層の密度を4.0g/cm以上で、正極活物質の比表面積を0.25m/g以上とするには、例えば以下のような手段が考えられる。
<例示1>平均粒子径が小さい正極活物質粒子は、1~10μmmで、平均粒子径が大きい正極活物質粒子は20~30μmmの2つの平均粒子径の異なる正極活物質粒子を組み合わせることが好ましい。このような大小の正極活物質粒子を用いることで、大粒子と大粒子の隙間を小粒子が埋めることになるため、正極合剤層密度が上がる。更に平均粒子径が1~10μmmの正極活物質粒子そのものの比表面積が大きいので、正極活物質としての比表面積も大きくなる。
<例示2>2つの平均粒子径の異なる正極活物質粒子を組み合わせで、平均粒子径が小さい正極活物質粒子の粒子径dsμmと平均粒子径が大きい正極活物質粒子の平均粒子径dlμmは、dl/dsが3~15であることが好ましい。このような関係であると、大粒子と大粒子の隙間に対して小粒子が密度高く入っていきやすいため正極合剤層密度が上がる。また、小粒子の比表面積の大きさに起因して正極活物質の比表面積も大きくなる。
<例示3>2つの平均粒子径の異なる正極活物質粒子を組み合わせで、平均粒子径が小さい正極活物質粒子と平均粒子径が大きい正極活物質粒子の混合比は40:60〜5:95の範囲にあるのが好ましい。このような混合比の時に大粒子と大粒子の隙間を小粒子がちょうど充填できる量比となるために、正極合剤層密度が上がる。また、小粒子の比表面積の大きさに起因して比表面積も大きくなる。
上述のようにいくつかの手段を例示したが、例示した手段を複数採用すると更に正極合剤層の密度と正極活物質の比表面積とを所定の範囲にコントロールしやすい。3つの手段すべてを採用するのが最もコントロールしやすい。
上述した例示1〜3以外でも、正極合剤層の密度を4.0g/cm以上で、正極活物質の比表面積を0.25m/g以上となり、一般式(1)の化合物を用いれば、本発明の課題は解決することが出来る。
尚、実現性を考えると、正極合剤層の密度は5.0g/cm以下が好ましく、正極活物質の比表面積は1.0m/g以下が好ましい。
〔負極〕
本発明の非水電解質二次電池に用いる負極には、例えば、負極活物質、バインダ及び必要に応じて導電助剤等を含む負極合剤層を、集電体の片面又は両面に有する構造のものが使用できる。
<負極活物質>
上記負極活物質には、従来から知られている非水電解質二次電池に用いられている負極活物質、即ち、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な材料であれば特に制限はない。例えば、黒鉛、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物の焼成体、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、炭素繊維等の、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な炭素系材料の1種又は2種以上の混合物が負極活物質として用いられる。また、シリコン(Si)、スズ(Sn)、ゲルマニウム(Ge)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)、インジウム(In)等の元素及びその合金、リチウム含有窒化物又はリチウム含有酸化物等のリチウム金属に近い低電圧で充放電できる化合物、もしくはリチウム金属やリチウム/アルミニウム合金も負極活物質として用いることができる。中でも、負極活物質としては、シリコンと酸素とを構成元素に含むSiOで表される材料が好ましい。
SiOは、Siの微結晶又は非晶質相を含んでいてもよく、この場合、SiとOの原子比は、Siの微結晶又は非晶質相のSiを含めた比率となる。即ち、SiOには、非晶質のSiOマトリックス中に、Si(例えば、微結晶Si)が分散した構造のものが含まれ、この非晶質のSiOと、その中に分散しているSiを合わせて、上記原子比xが0.5≦x≦1.5を満足していればよい。例えば、非晶質のSiOマトリックス中に、Siが分散した構造で、SiOとSiのモル比が1:1の材料の場合、x=1であるので、構造式としてはSiOで表記される。このような構造の材料の場合、例えば、X線回折分析では、Si(微結晶Si)の存在に起因するピークが観察されない場合もあるが、透過型電子顕微鏡で観察すると、微細なSiの存在が確認できる。
上記SiOは、炭素材料と複合化した複合体であることが好ましく、例えば、SiOの表面が炭素材料で被覆されていることが望ましい。通常、SiOは導電性が乏しいため、これを負極活物質として用いる際には、良好な電池特性確保の観点から、導電性材料(導電助剤)を使用し、負極内におけるSiOと導電性材料との混合・分散を良好にして、優れた導電ネットワークを形成する必要がある。SiOを炭素材料と複合化した複合体であれば、例えば、単にSiOと炭素材料等の導電性材料とを混合して得られた材料を用いた場合よりも、負極における導電ネットワークが良好に形成される。
<バインダ>
上記バインダとしては、例えば、でんぷん、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ジアセチルセルロース等の多糖類やそれらの変成体;ポリビニルクロリド、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミドイミド、ポリアミド等の熱可塑性樹脂やそれらの変成体;ポリイミド;エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム、ポリブタジエン、フッ素ゴム、ポリエチレンオキシド等のゴム状弾性を有するポリマーやそれらの変成体;などが挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。"
<導電助剤>
上記負極合剤層には、更に導電助剤として導電性材料を添加してもよい。このような導電性材料としては、電池内において化学変化を起こさないものであれば特に限定されず、例えば、カーボンブラック(サーマルブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等)、炭素繊維、金属粉(銅、ニッケル、アルミニウム、銀等の粉末)、金属繊維、ポリフェニレン誘導体(特開昭59−20971号公報に記載のもの)等の材料を、1種又は2種以上用いることができる。これらの中でも、カーボンブラックを用いることが好ましく、ケッチェンブラックやアセチレンブラックがより好ましい。
<集電体>
上記集電体としては、銅製やニッケル製の箔、パンチングメタル、網、エキスパンドメタル等を用い得るが、通常、銅箔が用いられる。この負極集電体は、高エネルギー密度の電池を得るために負極全体の厚みを薄くする場合、厚みの上限は30μmであることが好ましく、機械的強度を確保するために下限は5μmであることが望ましい。
<負極の製造方法>
上記負極は、例えば、前述した負極活物質及びバインダ、更には必要に応じて導電助剤を、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)や水等の溶剤に分散させたペースト状やスラリー状の負極合剤含有組成物を調製し、これを集電体の片面又は両面に塗布し、乾燥した後に、必要に応じてカレンダ処理を施す工程を経て製造することができる。負極の製造方法は、上記の製法に制限されるわけではなく、他の製造方法で製造することもできる。
<負極合剤層>
上記負極合剤層においては、負極活物質の総量を80〜99質量%とし、バインダの量を1〜20質量%とすることが好ましい。また、別途導電助剤として導電性材料を使用する場合には、負極合剤層におけるこれらの導電性材料は、負極活物質の総量及びバインダ量が、上記の好適値を満足する範囲で使用することが好ましい。前述の正極合剤層の厚さを考慮して負極合剤層の厚さは、例えば、40〜400μmであることが好ましい。
ところで、一般式(1)の化合物が負極で作用し、サイクル特性が向上すると考えられている。詳細は不明だが、一般式(1)の化合物は負極で還元分解して被膜を形成すると推測され、このため負極と電解液との反応抵抗が低下でき,サイクル特性は向上する。
本発明の正極は正極合剤層が4.0g/cm以上と非常に高密度であるため、その対極となる負極合剤層も高密度であれば電池全体の体積エネルギー密度が向上し、好ましい。例えば、負極合剤層の密度は、1.5g/cm以上がよく、好ましくは1.6g/cm以上、更に好ましくは1.65g/cm以上である。また、実現性の観点から、2.0g/cm以下が好ましい。
負極合剤層の密度をこのように高密度にするには、前述したカレンダ処理時のカレンダ圧を高くする手段が知られている。しかしながら、1.6g/cm以上といった高密度にする場合に一般的な天然黒鉛を負極活物質として用いると、天然黒鉛は潰れてしまい、ベーサル面が負極合剤層の面方向に対して平行方向に配向する。Liイオンは天然黒鉛のエッジ面から層間に挿入・脱離されるので、このように配向するとLiイオンの挿入・脱離がスムーズにいかず、負極の抵抗値が上がり結果電池全体の抵抗が上がってしまう。この傾向はカレンダ圧が高ければ高いほど顕著になる。
そこで、負極活物質として天然黒鉛とMCMBとを質量比で80:20~0:100で含むと、Liイオンのスムーズな挿入・脱離を阻害することなく、高密度の負極合剤層とすることが出来、好ましい。その理由は以下の通りである。
天然黒鉛は潰れやすく密度が向上しやすいが、上述した通りカレンダ圧によってはその分Liイオンのスムーズな挿入脱離が阻害されてしまうことがある。
一方、MCMBは、負極を作製する際のカレンダ圧に対して、圧縮破壊強度(粒子硬度) が高いため、MCMBの破壊や変形が起こりにくいという特徴を持つ。そのため抵抗値は大きく上昇しない。
これらの各負極活物質の利点をうまく利用できるように天然黒鉛とMCMBと質量比で80:20〜0:100で混合させると、負極合剤層の高密度化と、負極の抵抗値上昇の抑制とが同時に実現することができ、好ましい。また、このような負極の場合、MCMBの粒子硬度の高さから、負極表面が粗くなる。負極合剤層表面が粗いと電解液が浸透しやすく、特に高温サイクル特性が向上する。このため、上述した一般式(1)の化合物と組み合わせると相乗的に高温サイクル特性が向上し、好ましい。
〔セパレータ〕
本発明の非水電解質二次電池に係るセパレータは従来公知のものが使用でき、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体などのポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレートや共重合ポリエステルなどのポリエステル;などで構成された多孔質膜であることが好ましい。なお、セパレータは、100〜140℃において、その孔が閉塞する性質(すなわちシャットダウン機能)を有していることが好ましい。そのため、セパレータは、融点、すなわち、日本工業規格(JIS) K 7121の規定に準じて、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定される融解温度が、100〜140℃の熱可塑性樹脂を成分とするものがより好ましく、ポリエチレンを主成分とする単層の多孔質膜であるか、ポリエチレンとポリプロピレンとを2〜5層積層した積層多孔質膜であることが好ましい。ポリエチレンとポリプロピレンなどのポリエチレンより融点の高い樹脂を混合または積層して用いる場合には、多孔質膜を構成する樹脂としてポリエチレンが30質量%以上であることが望ましく、50質量%以上であることがより望ましい。
このような樹脂多孔質膜としては、例えば、従来から知られている非水電解質二次電池などで使用されている上記例示の熱可塑性樹脂で構成された多孔質膜、すなわち、溶剤抽出法、乾式または湿式延伸法などにより作製されたイオン透過性の多孔質膜を用いることができる。また、上記例示の樹脂で構成された多孔質層に無機粒子を含む耐熱層を設けて耐熱性を向上させるものや、接着層を設けて電極との密着性を高くするものも使用できる。
セパレータの平均孔径は、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.05μm以上であって、好ましくは1μm以下、より好ましくは0.5μm以下である。
また、セパレータの特性としては、JIS P 8117に準拠した方法で行われ、0.879g/mmの圧力下で100mLの空気が膜を透過する秒数で示されるガーレー値が、10〜500secであることが望ましい。透気度が大きすぎると、イオン透過性が小さくなり、他方、小さすぎると、セパレータの強度が小さくなることがある。更に、セパレータの強度としては、直径1mmのニードルを用いた突き刺し強度で50g以上であることが望ましい。かかる突き刺し強度が小さすぎると、リチウムのデンドライト結晶が発生した場合に、セパレータの突き破れによる短絡が発生する場合がある。
本発明の非水電解質二次電池の形態については、特に制限はない。例えば、コイン形、ボタン形、シート形、積層形、円筒形、扁平形、角形、電気自動車などに用いる大型のものなど、いずれであってもよい。
尚、一般にこれらの形態に電池を組み立てた後に活性化工程を経てから非水電解質二次電池は出荷可能な状態となる。この活性化工程とは主に初回充電工程やエージング工程等を含む。この活性化工程を経ると非水電解液を吸収したりLiイオンの移動を経て、正極合剤層と負極合剤層は、合剤層の密度が下がる傾向にある。一般的に、正極では5〜10%ほど、負極では10〜20%ほど密度が下がる。
本発明の非水電解質二次電池は、従来の非水電解質二次電池と同様に、充電時の終止電圧を4.2V程度に設定して使用することも可能であるが、これより高い4.3V以上を終止電圧とする充電を行う方法で使用してもよく、このような方法で充電し高温下で使用しても、良好な充放電サイクル特性と貯蔵特性とを発揮できる。ただし、非水二次電池の充電時の終止電圧は4.6V以下であることが好ましい。
本発明の非水電解質二次電池は、従来から知られている非水電解質二次電池と同様の用途に適用することができる。本発明によると、正極合剤層密度が高いため、高容量で体積当たりのエネルギー密度を向上させることが出来る。そのため、特に限られた体積に対して高容量が求められるような機器、例えばモバイル機器や小型機器および多セルを直列に組み合わせたロボット用途など特に効果を発揮する。
<正極の作製>
LiCoOの平均粒子径5μmのものと27μmのものとを、15:85の割合(質量比)で混合した。この混合物(正極活物質)の比表面積は0.25m/gであった。この正極活物質96質量部と、バインダであるPVDFを10質量%の濃度で含むNMP溶液20質量部と、導電助剤である人造黒鉛1質量部およびケッチェンブラック1質量部とを、二軸混練機を用いて混練し、更にNMPを加えて粘度を調節して、正極合剤含有ペーストを調製した。
前記正極合剤含有ペーストを、厚みが12μmのアルミニウム箔(正極集電体)の両面および一部片面に塗布した後、120℃で12時間の真空乾燥を行って、アルミニウム箔の両面に正極合剤層を形成した。その後、カレンダ処理を調整して、正極合剤層の厚さおよび密度を調節した。得られた正極における正極合剤層は、密度は、4.00g/cm、片面あたりの厚みが70μmであった。正極のアルミニウム箔露出部にアルミにウム製の正極集電タブを溶接し、長さ1000mm、幅54mmの帯状の正極を作製した。
<負極の作製>
負極活物質であるMCMB(平均粒子径20μm)と、天然黒鉛(平均粒子径20μm)とを、6:4の質量比で混合した混合物:97.5質量部と、バインダであるSBR:1.5質量部と、増粘剤であるCMC:1質量部とに、水を加えて混合し、負極合剤含有ペーストを調製した。
前記負極合剤含有ペーストを、厚みが8μmの銅箔(負極集電体)の両面に塗布した後、120℃で12時間の真空乾燥を行って、銅箔の両面および一部片面に負極合剤層を形成した。その後、カレンダ処理を行って、負極合剤層の厚さおよび密度を調節した。この時の正極銅箔の露出部にニッケル製の負極集電タブを溶接して、得られた負極における負極合剤層は、密度が1.65g/cm、片面あたりの厚みが86μmであった。長さ990mm、幅55mmの帯状の負極を作製した。
<非水電解液の調製>
エチレンカーボネートとジエチルカーボネートの体積比3:7の混合溶媒に、LiPFを1.1mol/Lの濃度で溶解させ、ビニレンカーボネート2質量%とフルオロエチレンカーボネート2質量%とピメロニトリル2質量%(一般式(1)の化合物 n=5)を、それぞれ添加して非水電解質を調製した。
<セパレータの作製>
平均粒子径d50が1μmのベーマイト5kgに、イオン交換水5kgと、分散剤(水系ポリカルボン酸アンモニウム塩、固形分濃度40質量%)0.5kgとを加え、内容積20L、転回数40回/分のボールミルで10時間解砕処理をして分散液を調製した。処理後の分散液を120℃で真空乾燥し、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、ベーマイトの形状はほぼ板状であった。
前記分散液500gに、増粘剤としてキサンタンガムを0.5g、バインダとして樹脂バインダーディスパージョン(変性ポリブチルアクリレート、固形分含量45質量%)を17g加え、スリーワンモーターで3時間攪拌して均一なスラリー〔多孔質層(II)形成用スラリー、固形分比率50質量%〕を調製した。
非水電解質二次電池用PE製微多孔質セパレータ〔多孔質層(I):厚み12μm、空孔率40%、平均孔径0.08μm、PEの融点135℃〕の片面にコロナ放電処理(放電量40W・min/m)を施し、この処理面に多孔質層(II)形成用スラリーをマイクログラビアコーターによって塗布し、乾燥して厚みが4μmの多孔質層(II)を形成して、積層型のセパレータを得た。このセパレータにおける多孔質層(II)の単位面積あたりの質量は5.5g/mで、ベーマイトの体積含有率は95体積%であり、空孔率は45%であった。
<電池の組み立て>
前記帯状の正極と前記帯状正極とを、前記積層型セパレータを、多孔質層(II)が正極側となるように介在させつつ重ね、渦巻状に巻回した後、扁平状になるように加圧して扁平状巻回構造の巻回電極体とし、この巻回電極体をポリプロピレン製の絶縁テープで固定した。次に、アルミニウム合金製の角形の電池ケースに前記巻回電極体を挿入し、リード体の溶接を行うと共に、アルミニウム合金製の蓋板を電池ケースの開口端部に溶接した。その後、蓋板に設けた注入口から前記非水電解液を注入し、1時間静置した後注入口を封止して、図1に示す構造で、図2に示す外観の非水電解質二次電池を作製した。
前記の非水電解質二次電池を、図1および図2を用いて説明する。図1はその部分断面図であって、正極1と負極2はセパレータ3を介して渦巻状に巻回した後、扁平状になるように加圧して扁平状巻回電極体6として、角形(角筒形)の電池ケース4に非水電解液と共に収容されている。ただし、図1では、煩雑化を避けるため、正極1や負極2の作製にあたって使用した集電体としての金属箔や非水電解液などは図示していない。
電池ケース4はアルミニウム合金製で電池の外装体を構成するものであり、この外装缶4は正極端子を兼ねている。そして、電池ケース4の底部にはPEシートからなる絶縁体5が配置され、正極1、負極2およびセパレータ3からなる扁平状巻回電極体6からは、正極1および負極2のそれぞれ一端に接続された正極リード体7と負極リード体8が引き出されている。また、電池ケース4の開口部を封口するアルミニウム合金製の封口用蓋板9にはPP製の絶縁パッキング10を介してステンレス鋼製の端子11が取り付けられ、この端子11には絶縁体12を介してステンレス鋼製のリード板13が取り付けられている。
そして、この蓋板9は電池ケース4の開口部に挿入され、両者の接合部を溶接することによって、電池ケース4の開口部が封口され、電池内部が密閉されている。また、図1の電池では、蓋板9に非水電解液注入口14が設けられており、この非水電解液注入口14には、封止部材が挿入された状態で、例えばレーザー溶接などにより溶接封止されて、電池の密閉性が確保されている。更に、蓋板9には、電池の温度が上昇した際に内部のガスを外部に排出する機構として、開裂ベント15が設けられている。
この実施例1の電池では、正極リード体7を蓋板9に直接溶接することによって電池ケース4と蓋板9とが正極端子として機能し、負極リード体8をリード板13に溶接し、そのリード板13を介して負極リード体8と端子11とを導通させることによって端子11が負極端子として機能するようになっているが、電池ケース4の材質などによっては、その正負が逆になる場合もある。
図2は前記図1に示す電池の外観を模式的に示す斜視図であり、この図2は前記電池が角形電池であることを示すことを目的として図示されたものであって、この図1では電池を概略的に示しており、電池の構成部材のうち特定のものしか図示していない。また、図1においても、電極体の内周側の部分は断面にしていない。また、セパレータについても、各層を区別して示していない。
<非水電解液の調製>
エチレンカーボネートとジエチルカーボネートの体積比3:7の混合溶媒に、LiPFを1.1mol/Lの濃度で溶解させ、ビニレンカーボネート2質量%とフルオロエチレンカーボネート2質量%とスベロニトリル2質量%(一般式(1)の化合物 n=6)を、それぞれ添加して非水電解質を調製した。
この非水電解質を用いた以外は実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作成した。
LiCoOの平均粒子径3μmのものと29μmのものとを、15:85の割合(質量比)で混合した。この混合物(正極活物質)の比表面積は0.35m/gであった。この正極活物質96質量部と、バインダであるPVDFを10質量%の濃度で含むNMP溶液20質量部と、導電助剤である人造黒鉛1質量部およびケッチェンブラック1質量部とを、二軸混練機を用いて混練し、更にNMPを加えて粘度を調節して、正極合剤含有ペーストを調製した。
前記正極合剤含有ペーストを、厚みが12μmのアルミニウム箔(正極集電体)の両面および一部片面に塗布した後、120℃で12時間の真空乾燥を行って、アルミニウム箔の両面に正極合剤層を形成した。その後、カレンダ処理を調整して、正極合剤層の厚さおよび密度を調節した。得られた正極における正極合剤層は、密度は、4.00g/cm、片面あたりの厚みが70μmであった。正極のアルミニウム箔露出部にアルミにウム製の正極集電タブを溶接し、長さ1000mm、幅54mmの帯状の正極を作製した。
この正極を用いた以外は実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作成した。
<非水電解液の調製>
エチレンカーボネートとジエチルカーボネートの体積比3:7の混合溶媒に、LiPFを1.1mol/Lの濃度で溶解させ、ビニレンカーボネート2質量%とフルオロエチレンカーボネート2質量%とスベロニトリル2質量%(一般式(1)の化合物 n=6)を、それぞれ添加して非水電解質を調製した。
実施例3で作成した正極と、この非水電解質を用いた以外は実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作成した。
LiCoOの平均粒子径3μmのものと29μmのものとを15:85の割合(質量比)で混合した。この混合物(正極活物質)の比表面積は0.35m/gであった。この正極活物質96質量部と、バインダであるPVDFを10質量%の濃度で含むNMP溶液20質量部と、導電助剤である人造黒鉛1質量部およびケッチェンブラック1質量部とを、二軸混練機を用いて混練し、更にNMPを加えて粘度を調節して、正極合剤含有ペーストを調製した。
前記正極合剤含有ペーストを、厚みが12μmのアルミニウム箔(正極集電体)の両面および一部片面に塗布した後、120℃で12時間の真空乾燥を行って、アルミニウム箔の両面に正極合剤層を形成した。その後、カレンダ処理を調整して、正極合剤層の厚さおよび密度を調節した。得られた正極における正極合剤層は、密度は、4.11g/cm、片面あたりの厚みが68μmであった。正極のアルミニウム箔露出部にアルミにウム製の正極集電タブを溶接し、長さ1000mm、幅54mmの帯状の正極を作製した。
この正極を用いた以外は実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作成した。
<非水電解液の調製>
エチレンカーボネートとジエチルカーボネートの体積比3:7の混合溶媒に、LiPFを1.1mol/Lの濃度で溶解させ、ビニレンカーボネート2質量%とフルオロエチレンカーボネート2質量%とスベロニトリル2質量%(一般式(1)の化合物 n=6)を、それぞれ添加して非水電解質を調製した。
実施例5で作成した正極と、この非水電解質を用いた以外は実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作成した。
<負極の作製>
負極活物質であるMCMB(平均粒子径20μm)と、天然黒鉛(平均粒子径20μm)とを、6:4の質量比で混合した混合物:97.5質量部と、バインダであるSBR:1.5質量部と、増粘剤であるCMC:1質量部とに、水を加えて混合し、負極合剤含有ペーストを調製した。
前記負極合剤含有ペーストを、厚みが8μmの銅箔(負極集電体)の両面に塗布した後、120℃で12時間の真空乾燥を行って、銅箔の両面および一部片面に負極合剤層を形成した。その後、カレンダ処理を調整し、負極合剤層の厚さおよび密度を調節した。この時の銅箔の露出部にニッケル製の負極集電タブを溶接して、得られた負極における負極合剤層は、密度が1.55g/cm、片面あたりの厚みが91μmであった。長さ990mm、幅55mmの帯状の負極を作製した。
この負極を用いた以外は実施例6と同様にして非水電解質二次電池を作成した。
<負極の作製>
負極活物質である天然黒鉛(平均粒子径20μm):97.5質量部と、バインダであるSBR:1.5質量部と、増粘剤であるCMC:1質量部とに、水を加えて混合し、負極合剤含有ペーストを調製した。
前記負極合剤含有ペーストを、厚みが8μmの銅箔(負極集電体)の両面に塗布した後、120℃で12時間の真空乾燥を行って、銅箔の両面および一部片面に負極合剤層を形成した。その後、カレンダ処理を調整し、負極合剤層の厚さおよび密度を調節した。この時の銅箔の露出部にニッケル製の負極集電タブを溶接して、得られた負極における負極合剤層は、密度が1.65g/cm、片面あたりの厚みが86μmであった。長さ990mm、幅55mmの帯状の負極を作製した。
この負極を用いた以外は実施例6と同様にして非水電解質二次電池を作成した。
(比較例1)
<非水電解液の調製>
エチレンカーボネートとジエチルカーボネートの体積比3:7の混合溶媒に、LiPFを1.1mol/Lの濃度で溶解させ、ビニレンカーボネート2質量%とフルオロエチレンカーボネート2質量%とアジポニトリル2質量%(一般式(1)の化合物 n=4)を、それぞれ添加して非水電解質を調製した。
この非水電解質を用いた以外は実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作成した。
(比較例2)
<非水電解液の調製>
エチレンカーボネートとジエチルカーボネートの体積比3:7の混合溶媒に、LiPFを1.1mol/Lの濃度で溶解させ、ビニレンカーボネート2質量%とフルオロエチレンカーボネート2質量%とアジポニトリル2質量%(一般式(1)の化合物 n=4)を、それぞれ添加して非水電解質を調製した。
正極は実施例5と同様のものを用いた。この正極とこの非水電解質を用いた以外は実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作成した。
(比較例3)
<負極の作製>
負極活物質であるMCMB(平均粒子径20μm)と、天然黒鉛(平均粒子径20μm)とを、6:4の質量比で混合した混合物:97.5質量部と、バインダであるSBR:1.5質量部と、増粘剤であるCMC:1質量部とに、水を加えて混合し、負極合剤含有ペーストを調製した。
前記負極合剤含有ペーストを、厚みが8μmの銅箔(負極集電体)の両面に塗布した後、120℃で12時間の真空乾燥を行って、銅箔の両面および一部片面に負極合剤層を形成した。その後、カレンダ処理を調整し、負極合剤層の厚さおよび密度を調節した。この時の銅箔の露出部にニッケル製の負極集電タブを溶接して、得られた負極における負極合剤層は、密度が1.55g/cm、片面あたりの厚み91μmであった。長さ990mm、幅55mmの帯状の負極を作製した。
この負極を用いた以外は比較例2と同様にして非水電解質二次電池を作成した。
実施例および比較例の各非水電解質二次電池について、下記の各評価を行った。
<45℃での充放電サイクル特性>
実施例および比較例の各非水電解質二次電池を45℃の恒温槽内に5時間静置し、その後、各電池について、4.40Vまで1.0Cの定電流で充電を行い、4.40Vに達した後は、電流が0.05Cに到達するまで4.40Vで定電圧充電を行った。その後の各電池について、1.0Cの定電流で、電圧が3.0Vに到達するまで放電を行った。これらの充電および放電の一連の操作を1サイクルとして、放電容量を確認しながら充放電を繰り返した。そして、各電池について、1サイクル目の放電容量から70%の放電容量になるサイクル数を求めた。
<貯蔵特性評価>
実施例比較例の各電池について、室温で4.40Vまで1.0Cの定電流で充電を行い、4.40Vに達した後は、電流が0.05Cに到達するまで4.40Vで定電圧充電を行った。その後の各電池について、1.0Cの定電流で、電圧が3.0Vに到達するまで放電を行った。その後、室温で4.40Vまで1.0Cの定電流で充電を行い、4.40Vに達した後は、電流が0.05Cに到達するまで4.40Vで定電圧充電を行った。その時の電池の厚み(貯蔵前厚み)を測定した。厚み測定後の各電池を85℃の恒温槽に24時間貯蔵し、恒温槽から取り出して4時間放置した後に、再び電池の厚み(貯蔵後厚み)を測定した。上記の貯蔵前厚みと貯蔵後厚みから、下記式に従って、貯蔵による電池の厚み変化率を求めた。
厚み変化率(%)=(貯蔵後厚み)÷(貯蔵前厚み)×100−100。
<連続充電試験>
実施例および比較例の各非水電解質二次電池について、60℃で、1.0Cの電流値で4.45Vまで定電流充電を行った後、4.45Vで定電圧充電を継続し、電流値の上昇が生じるまでの時間(リーク電流発生時間)を測定した。
Figure 0006846860
Figure 0006846860
1 正極
2 負極
3 セパレータ

Claims (4)

  1. 正極、負極、非水電解、セパレータを備える非水電解質二次電池であって、
    前記正極は、正極集電体の片面又は両面に、正極合剤層を備え、
    前記正極合剤層は少なくとも正極活物質とバインダと導電助剤を含み、
    前記正極活物質の比表面積は0.25m/g以上1.0m/g以下であり、
    前記正極合剤層の密度は、4.0g/cm以上5.0g/cm以下であり、
    前記非水電解は一般式(1)で表される化合物を含むことを特徴とする非水電解質二次電池。
    NC−C2n−CN (1)
    (ただし、nは5以上10以下である。)
  2. 前記一般式(1)で表される化合物は、スベロニトリル又はピメロニトリルである請求項1に記載の非水電解質二次電池。
  3. 前記負極は負極集電体の片面又は両面に、負極合剤層を備え、
    前記負極合剤層の合剤密度は1.6g/cm以上である請求項1又は2に記載の非水電解質二次電池。
  4. 前記負極合剤層は、少なくとも負極活物質とバインダを含み、
    前記負極活物質は、天然黒鉛とメソカーボンマイクロビーズ含み、
    全負極活物質中、天然黒鉛とメソカーボンマイクロビーズとを質量比で80:20〜0:100の割合で含むことを特徴とする請求項に記載の非水電解質二次電池。
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