JP6827314B2 - 直動案内装置 - Google Patents

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Description

本発明は、直動案内装置に関するものである。
下記特許文献1には、座席シート等の案内対象物を、床面等に敷設されたベース部材に対して位置変更可能に取り付ける取付装置が開示されている。この取付装置では、案内対象物のベース部材に対する長手方向の位置を変更可能であり、かつ案内対象物をベース部材に対して固定することができる。
特許第3660631号公報
上記従来技術の取付装置では、案内対象物の長手方向における位置を変更した上で、案内対象物をベース部材に再び固定する際の作業時間が比較的長く、これを低減することについての要望があった。このような作業時間を低減するためには、軌道レール等を構成部品とする直動案内装置を用いて案内対象物をベース部材に取り付けることが考えられる。
ここで、直動案内装置を用いて、案内対象物をベース部材に取り付ける場合、直動案内装置を構成する各部材のサイズを小さく抑えることが求められる。しかしながら、各部材のサイズを小さく抑えながら、座席シート等による比較的大きな荷重に耐えるための堅牢性を確保することは容易でなかった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、案内対象物の長手方向の位置を容易に変更可能であり、堅牢性を確保可能な直動案内装置の提供を目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明は、軌道レールと、前記軌道レールに複数の転動体を介して相対移動自在に組み付けられた移動体と、前記移動体と前記軌道レールとの相対運動を規制する位置決めピンと、を備えた直動案内装置において、前記軌道レールには、長手方向に所定間隔を空けて複数配置された、前記軌道レールをベース部材に対して固定するための固定孔と、前記位置決めピンが挿入される位置決め孔と、が設けられ、前記移動体には、案内対象物を揺動可能に連結する揺動軸が挿通される取付孔を有する揺動軸受部と、前記位置決めピンが挿通される挿通孔と、が設けられ、前記取付孔及び前記挿通孔は、前記移動体の前記長手方向における中央を避けた位置に配置されている、という構成を採用する。
本発明によれば、案内対象物の長手方向の位置を容易に変更可能であり、堅牢性を確保可能な直動案内装置が得られる。
本発明の実施形態における座席シート移動固定装置を示す斜視図である。 図1に示す座席シート移動固定装置が備える直動案内装置を示す斜視図である。 図2に示す矢視A−Aの部分断面図である。 図2に示す矢視B−Bの断面図である。 ボルトに作用する引張り荷重について説明する模式図であり、長手方向において、(a)は取付孔が固定孔と略同位置に配置され、(b)は取付孔が固定孔同士の間に配置されている場合を示す。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下に示す実施形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために、例を挙げて説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。また、以下の説明に用いる図面は、本発明の特徴を分かりやすくするために、便宜上、要部となる部分を拡大している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。また、本発明の特徴を分かりやすくするために、便宜上、省略した部分がある。
図1は、本発明の実施形態における座席シート移動固定装置1(案内対象物移動固定装置)を示す斜視図である。図2は、図1に示す座席シート移動固定装置1が備える直動案内装置30を示す斜視図である。なお、図2は、座席シート10の後脚17に取り付けられた直動案内装置30を後方から視た斜視図である。図3は、図2に示す矢視A−Aの部分断面図である。図4は、図2に示す矢視B−Bの断面図である。
座席シート移動固定装置1は、図1に示すように、座席シート10(案内対象物)と、ベース部材20と、直動案内装置30と、を備える。
なお、以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明することがある。X軸方向は座席シート10の前後方向であり、X軸方向と直交するY軸方向(水平方向)は座席シート10の左右方向であり、X、Y軸方向と直交するZ軸方向は座席シート10の上下方向である。
座席シート10は、例えば、複数の座席11を有する航空機用座席である。座席11は、人が着座する着座部12と、着座部12に座った着座者を後方から支える背凭れ13と、着座者の腕を下方から支える肘掛14と、を備える。これらの座席11は、図示しない座席基体(座席フレーム)により左右方向において一体化されて三人掛けとなっている。この座席基体には、座席11を支持する複数の脚部15が設けられている。
複数の脚部15は、座席シート10の左右に離間して配置されている。また、複数の脚部15は、座席シート10の左右のそれぞれにおいて、座席シート10の前後に離間して配置された前脚16及び後脚17として用いられている。前脚16は、座席11の下面から下方に延びている。後脚17は、座席11の下面から斜め後方に延びている。前脚16の下端及び後脚17の下端には、それぞれ直動案内装置30のスライダブロック32が接続されている。
(ベース部材)
ベース部材20は、例えば航空機の客室の床面に沿って座席シート10の前後方向に延在して設けられている。なお、このベース部材20は、座席シート10の左右の前脚16及び後脚17がそれぞれ配置される位置に、対となって平行に延在している。ベース部材20は、図2に示すように、長尺状でかつその長手方向(X軸方向)に沿って上部にスリット21が形成された筒状に形成されている。すなわち、図3に示す長手方向に直交する横断面視において、ベース部材20には、内部空間Sと、内部空間Sとベース部材20の外部とを連通させるスリット21と、が形成されている。
図示の例では、内部空間Sがスリット21の下端部から左右方向の両側に延びており、全体としてT字状の空間がベース部材20内に形成されている。これに限らず、例えば内部空間Sがスリット21の下端部から左右方向の一方側に延び、全体としてL字状の空間がベース部材20内に形成されていてもよい。
また、本実施形態では、ベース部材20の上方に直動案内装置30が配置されているが、例えばベース部材20の側方に直動案内装置30が配置されていてもよい。この場合、スリット21はベース部材20の側面に形成されていてもよい。
なお、図2に示すように、スリット21は、長手方向と交差する左右方向(Y軸方向)における間隙の幅が広く設定された膨出領域22を、長手方向に沿って規則的に複数有している。
(直動案内装置)
直動案内装置30は、このベース部材20上に配置された軌道レール31(軌道体)と、軌道レール31に沿って相対移動可能に組み付けられたスライダブロック32(移動体)と、軌道レール31をベース部材20に取り付ける固定ユニット33と、を備える。直動案内装置30は、図1に示すように、座席シート10の左右方向に離間して配置されており、左右の直動案内装置30の軌道レール31は、互いに平行になるように前後方向に延在している。左右の軌道レール31のそれぞれには、前脚16に接続されたスライダブロック32と後脚17に接続されたスライダブロック32とが長手方向に相対移動可能に取り付けられている。
(軌道レール)
軌道レール31は、図3に示すように、横断面視で略矩形状の長尺部材である。軌道レール31の長手方向と交差する左右方向(Y軸方向)の外側面31bには、軌道レール31の長手方向(X軸方向)に沿って転動体転走溝40が形成されている。転動体転走溝40は、外側面31bに対して略円弧状に窪んでいる。この転動体転走溝40は、軌道レール31の左右に一対で形成されている。
また、軌道レール31の外側面31bには、転動体転走溝40よりも下方に、凹部41が形成されている。凹部41は、転動体転走溝40よりも深く大きな溝であり、軌道レール31の長手方向に沿って形成されている。凹部41は、外側面31bに対して斜辺が軌道レール31の中心に向かって斜め下方に延びる略直角三角形状に窪んでいる。この凹部41は、軌道レール31の左右に一対で形成されている。
軌道レール31には、図2に示すように、複数の固定孔42と、複数の位置決め孔43と、が形成されている。複数の固定孔42には、軌道レール31をベース部材20に固定するボルト44(固定部材)がそれぞれ挿入される。すなわち、複数の固定孔42は、軌道レール31をベース部材20に対して固定するために用いられる。
また、複数の位置決め孔43には、軌道レール31に対するスライダブロック32の長手方向における位置を決める位置決めピン45が挿入される。位置決めピン45は、スライダブロック32および軌道レール31の長手方向における相対運動を規制する。これら固定孔42および位置決め孔43は、軌道レール31の長手方向において等間隔で交互に形成されている。
図4に示すように、固定孔42は、軌道レール31を厚み方向(Z軸方向)に貫通する段付き孔である。固定孔42の上部には、ボルト44の頭部を軌道レール31の上面よりも下方に位置させる座ぐり46が形成されている。位置決め孔43は、軌道レール31を厚み方向に貫通する貫通孔である。位置決め孔43の内径は、固定孔42における座ぐり46の内径と略等しい。なお、位置決め孔43は、有底円筒状の孔であってもよい。また、座ぐり46および位置決め孔43の内径は、互いに異なっていてもよい。
(固定ユニット)
固定ユニット33は、ベース部材20の内部空間S内に配置された内側取付部材50を備える。内側取付部材50は、長手方向に間隔をあけて複数(本実施形態では2つ)のボルト締結部53が連結された第1部材51と、当該複数のボルト締結部53の間で第1部材51の長手方向への移動を規制する第2部材52と、を備える。第1部材51は、複数のボルト44と締結され、図3に示すように、ベース部材20の外側に配置された軌道レール31との間で、ベース部材20を内側と外側とから挟持するものである。
図3に示すように、第1部材51は、軌道レール31との間でベース部材20を挟み込む挟持部54と、挟持部54から上方に突出したボルト締結部53と、を備える。左右方向において、挟持部54の幅は、スリット21の膨出領域22における幅よりも小さく、スリット21の膨出領域22以外の領域(狭隘領域)の幅よりも大きい。この挟持部54及びボルト締結部53は、長手方向において隣接する膨出領域22の間(狭隘領域)に配置される。ボルト締結部53には、図4に示すように、上下方向に延びるネジ孔55が形成されており、ボルト44が締結される。ネジ孔55は、ボルト締結部53の上面に開口している。
また、第1部材51は、長手方向に隣接して配置されたボルト締結部53同士の間に、第2部材52を固定する突起56を備える。第2部材52は、突起56が圧入される固定孔57を備え、第1部材51に対して固定されている。この第2部材52は、上面視において、左右方向(Y軸方向)に長い略長円形状を有している。第2部材52は、図2に示す膨出領域22内に配置され、この膨出領域22を形成するスリット21の内面と長手方向(X軸方向)において係合することで、第1部材51の長手方向への移動を規制する。
(スライダブロック)
図2に示すように、スライダブロック32は、ブロック本体60と、ブロック本体60に取り付けられたエンドプレート61(蓋体)と、座席シート10の脚部15が取り付けられるアダプタープレート62(取付部材)と、を備える。ブロック本体60には、図3に示すように、軌道レール31の凹部41に遊嵌する凸部63が形成されている。凸部63は、ブロック本体60の内側面60bに対して突出し、凹部41に隙間をあけて挿入されている。
凸部63が凹部41に挿入されることで、軌道レール31とスライダブロック32とがZ軸方向において分離不能となる。このため、例えば、脚部15と接続されたスライダブロック32に対して、このスライダブロック32を軌道レール31から相対的に離間させる方向(Z成分を含む方向)の外部荷重(引き抜き荷重)が加わったときでも、凹部41と凸部63とが接触することにより、軌道レール31とスライダブロック32との組み付け状態が維持され、ボール64の脱落などが防止される。
また、ブロック本体60には、転動体負荷転走溝65が形成されている。転動体負荷転走溝65は、ブロック本体60の内側面60bに対して円弧状に窪んでいる。この転動体負荷転走溝65は、軌道レール31を挟むように、スライダブロック32の左右に一対で形成されている。転動体負荷転走溝65は、軌道レール31の転動体転走溝40と対向し、負荷をかけた状態でボール64を転動させる負荷転動体転走路L1を形成する。
また、ブロック本体60には、無負荷転動体転走路L2が形成されている。無負荷転動体転走路L2は、ブロック本体60を長手方向に貫通して形成されている。無負荷転動体転走路L2の内径は、ボール64のボール径よりも大きく、ボール64に負荷をかけないようになっている。この無負荷転動体転走路L2は、転動体負荷転走溝65(負荷転動体転走路L1)に対応して、スライダブロック32の左右に一対で形成されている。
エンドプレート61は、図2に示すように、ブロック本体60の移動方向の両端面に取り付けられている。このエンドプレート61には、ブロック本体60の両端面と対向する対向面に、転動体方向転換路L3が形成されている(図3参照)。一対の転動体方向転換路L3は、負荷転動体転走路L1と無負荷転動体転走路L2の両端をそれぞれ連結し、ボール64の無限循環路Lを形成する。
無限循環路Lは、軌道レール31の長手方向に延びる一対の直線状部分(負荷転動体転走路L1及び無負荷転動体転走路L2)と、この一対の直線状部分の端部同士を連結する一対の半円弧曲線状部分(転動体方向転換路L3)とから構成される。本実施形態では、軌道レール31の左右方向において間隔をあけ、軌道レール31の長手方向に沿って平行に延在するように2条の無限循環路Lが形成される。
ボール64は、軌道レール31とスライダブロック32との間に介在して、軌道レール31に対するスライダブロック32の移動を円滑に行わせるものである。本実施形態のボール64は、無限循環路Lの内部にほぼ隙間無く配設されて、無限循環路Lを循環する。
アダプタープレート62は、図2に示すように、複数のボルト66(ネジ部材)によってブロック本体60の上部に固定されている。アダプタープレート62は、左右方向(Y方向)に延びる取付孔68aを有する揺動軸受部68を備えている。取付孔68aには、揺動軸67がこの取付孔68aに対して揺動可能な状態で挿入される。この揺動軸67が、脚部15(後脚17)に設けられた不図示の連結孔と、取付孔68aと、を一体に挿通することで、座席シート10は揺動軸受部68に連結される。
また、アダプタープレート62には、位置決めピン45が挿通される挿通孔69が形成されている。挿通孔69は、アダプタープレート62を厚み方向(Z軸方向)に貫通している。また、図4に示すように、ブロック本体60には、挿通孔69と連通する挿通孔70が形成されている。挿通孔70は、ブロック本体60を厚み方向(Z軸方向)に貫通している。この挿通孔70には、鍔付き円筒状のブッシュ71が装着されている。
ブロック本体60の長手方向における長さをAとするとき、ブロック本体60の前端部若しくは後端部から長手方向に1/2×Aだけ離れた位置に、ブロック本体60の長手方向における中心線Cが位置する。取付孔68aの中心軸及び挿通孔69の中心軸は、この中心線Cを避けた位置に配置されている。すなわち、取付孔68aの中心軸及び挿通孔69の中心軸は、ブロック本体60の長手方向における中央を避けた位置に配置されている。また、取付孔68aの中心軸は、中心線Cよりも前側(スライダブロック32の一端側)に配置され、挿通孔69の中心軸は、中心線Cよりも後側(スライダブロック32の他端側)に配置されている。
また、挿通孔69の中心軸は、長手方向において、隣り合う固定孔42同士の間に位置している。さらに、取付孔68aの中心軸は、長手方向において、挿通孔69の中心軸が位置している固定孔42同士の間とは異なる、隣り合う固定孔42同士の間に位置している。
また、軌道レール31において、隣接する固定孔42の中心線同士の長手方向の間隔をPとすると、A>2×Pとなっている。すなわち、ブロック本体60の長手方向における長さAは、連続して配置された3つの固定孔42のうち、長手方向における両端に位置する各固定孔42の中心線同士の間隔よりも長い。長手方向において、ブロック本体60は、少なくとも3つの固定孔42に跨って配置されている。
(位置決めピン)
位置決めピン45は、先細りのテーパー部45aを有し、アダプタープレート62の挿通孔69、ブロック本体60の挿通孔70(ブッシュ71)及び軌道レール31の位置決め孔43に容易に挿入可能な構成となっている。位置決めピン45が、アダプタープレート62及びブロック本体60を貫通して、軌道レール31の位置決め孔43に挿入されると、軌道レール31に対するスライダブロック32の長手方向における位置が決まる。
(作用)
上記構成の直動案内装置30によれば、位置決めピン45の抜き差しにより、軌道レール31に対するスライダブロック32の長手方向における位置決め(固定)及び位置決め解除(固定解除)を行うことができる。このため、スライダブロック32から位置決めピン45を抜けば、図1に示す座席シート10を前後方向に容易に移動させることができる。また、位置決めピン45をスライダブロック32に差し込み、軌道レール31の位置決め孔43に挿入することで、座席シート10を固定することができる。
ところで、この直動案内装置30は、航空機などの既存設備のベース部材20に取り付けられることが想定され、ボルト44などのサイズを大きくすることによって堅牢性を確保することが難しい場合がある。特に航空機用の座席シート10の後脚17にスライダブロック32が連結されている場合は、揺動軸受部68に上方(+Z方向)および前方(+X方向)に向けた大きな力が作用しても、ボルト44がボルト締結部53のネジ孔55から抜けないことが要求される。また、揺動軸受部68に作用する荷重は、スライダブロック32が長手方向で跨っている部分におけるボルト44に、引張り荷重として集中しやすい。そして、ボルト44のサイズを抑えつつ、このボルト44がネジ孔55から抜けることを抑制するためには、各ボルト44に作用する上方に向けた引張り荷重が均等になるように、各構成部材を配置することが求められる。
そこで、以下では、各構成部材の長手方向における配置と、各ボルト44に作用する引張り荷重と、の関係について、図5(a)、(b)を用いて説明する。
図5(a)、(b)は、直動案内装置30の構成を示す模式図である。以下の説明では、各図における各固定孔42のうち、最も後方(−X側)に位置しているものを第1固定孔42aといい、最も前方(+X側)に位置しているものを第3固定孔42cといい、第1固定孔42aおよび第3固定孔42cの間に位置しているものを第2固定孔42bという。また、各固定孔42a〜42c内に位置するボルト44をそれぞれ、第1ボルト44a(第1固定部材)、第2ボルト44b(第2固定部材)、および第3ボルト44c(第3固定部材)という。
なお、スライダブロック32は、長手方向において、第1固定孔42a〜第3固定孔42cに跨って配置されている。これにより、第1固定孔42aより後方若しくは第3固定孔42cより前方において、他のボルト44が存在している場合であっても、スライダブロック32に作用する荷重は主として第1ボルト44a〜第3ボルト44cが受ける。
図5(a)、(b)では、スライダブロック32における取付孔68aの長手方向における配置が異なるが、その他の構成については互いに同等となっている。具体的には、図5(a)では、取付孔68aがスライダブロック32の長手方向における中央に配置されており、第2固定孔42bと同等の位置となっている。図5(b)では、取付孔68aがスライダブロック32の長手方向における中央と前端部との間に配置されており、第2固定孔42bと第3固定孔42cとの間に位置している。
なお、挿通孔69および位置決めピン45の配置は図5(a)、(b)で同等であり、スライダブロック32の長手方向における中央と後端部との間に配置されている。また、挿通孔69および位置決めピン45は、長手方向において第1固定孔42aおよび第2固定孔42bの間に位置している。
図5(a)、(b)に示す荷重Fが揺動軸受部68に作用した場合、この荷重Fは、上下方向の分力Fおよび前後方向の分力Fに分解することができる。
上下方向の分力Fは、アダプタープレート62とブロック本体60の固定部、および凸部63と凹部41との遊嵌部を介して、軌道レール31に伝わる(図3参照)。さらに、軌道レール31はボルト44によって内側取付部材50およびベース部材20に取り付けられている。これにより、スライダブロック32に上方に向けた荷重が働くと、各ボルト44a〜44cに上方に向けた引張り荷重が作用することとなる。
前後方向の分力Fは、位置決めピン45と位置決め孔43との前側の接点Oを中心に、スライダブロック32を矢印Rの向きに回転させるモーメントとして作用する。なお、矢印Rの向きは、スライダブロック32のうち、接点Oより前側の部分が下降し、接点Oより後側の部分が上昇するように回転する向きである。このモーメントは、接点Oより前側に位置するボルト44に対しては下向き荷重として作用し、接点Oより後側に位置するボルト44に対しては、上向き荷重として作用する。また、これらの上向き/下向き荷重の大きさは、長手方向において、作用点が接点Oから離れるほど大きくなる。
ここで、上下方向の分力Fを均等に受けるという観点では、図5(a)のように、第2ボルト44bの直上に取付孔68aの中心軸を配置するのが最も好ましい。この場合、上下方向の分力Fによって第1ボルト44a〜第3ボルト44cが受ける上向き荷重FZ1〜FZ3は略均等になる。
しかしながら、前後方向の分力Fによる上下方向の荷重は、第1ボルト44a〜第3ボルト44cでそれぞれ異なる。具体的には、第1ボルト44aには、分力Fを起因とする比較的大きな上向き荷重FX1が作用する。第2ボルト44bには、分力Fを起因とする比較的小さな上向き荷重FX2が作用する。一方、第3ボルト44cには、分力Fを起因とする比較的大きな下向き荷重FX3が作用する。
このように、図5(a)の配置では、第1ボルト44aに対して、分力Fによる上向き荷重FZ1および分力Fによる上向き荷重FX1の両者が同じ方向に作用し、第1ボルト44aには大きな引張り荷重(FZ1+FX1)が作用することとなる。これに対して、第3ボルト44cについては、分力Fによる上向き荷重FZ3を打ち消すように、分力Fによる下向き荷重FX3が作用し、第3ボルト44cに作用する引張り荷重(FZ3−FX3)は小さくなる。
このように、図5(a)の配置では各ボルト44a〜44cに作用する引張り荷重が不均一となり、第1ボルト44aに引張り荷重が集中するため、堅牢性を確保しにくい。
これに対して、図5(b)に示した配置では、取付孔68aの中心軸が、長手方向において第2ボルト44bと第3ボルト44cとの間に位置している。これにより、分力Fによる上向き荷重は、第3ボルト44cで最も大きく、第2ボルト44b、第1ボルト44a、の順に小さくなる。すなわち、FZ3>FZ2>FZ1の関係となる。
一方、第3ボルト44cおよび第2ボルト44bには、分力Fによる下向き荷重が作用する。また、この下向き荷重は、第3ボルト44cの方が、第2ボルト44bよりも大きくなる。すなわち、FX3>FX2となる。また、第1ボルト44aには、分力Fによる比較的小さな上向き荷重FX1が作用する。
このように、第3ボルト44cには、分力Fによる比較的大きな上向き荷重FZ3が作用するが、これを打ち消すように、分力Fによる比較的大きな下向き荷重FX3が作用するため、全体としての引張り荷重(FZ3−FX3)を抑えることができる。同様に、第2ボルト44bには、上向き荷重FZ2を打ち消すように、下向き荷重FX2が作用するため、全体としての引張り荷重(FZ2−FX2)を抑えることができる。また、第1ボルト44aには、分力Fおよび分力Fの両者による上向きの荷重FZ1、FX1が作用するが、これらの荷重は比較的小さいため、全体としての引張り荷重(FZ1+FX1)も小さく抑えることができる。
以上説明したように、取付孔68aの中心軸を、スライダブロック32の長手方向における中央を避けた位置に配置することで、前方および上方に向けた大きな荷重が取付孔68aに作用したときに、各ボルト44に作用する引張り荷重が不均一になるのを抑えることができる。
さらに、取付孔68aの中心軸を、長手方向において、挿通孔69の中心軸が位置している固定孔42同士の間とは異なる、隣り合う固定孔42同士の間に位置させることで、
各ボルト44に作用する引張り荷重を均等にして、小さく抑えることができる。これにより、ボルト44のサイズを抑えながら、直動案内装置30の堅牢性を確保することができる。
特に、揺動軸受部68が、揺動軸67を介して航空機用の座席シート10の後脚17に連結された場合には、上述のように前方および上方に向けた大きな荷重に耐えることが求められるため、ボルト44に作用する引張り荷重を抑える効果が顕著に発揮される。
以上、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
例えば、上記実施形態では、直動案内装置30の案内対象物として航空機用の座席シート10を例示したが、本発明はこの構成に限定されるものではなく、他の案内対象物をベース部材20に取り付けるために用いられてもよい。
また、上記実施形態では、スライダブロック32は、連続して配置された3つの固定孔42に長手方向で跨っていたが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、4つ以上の固定孔42に長手方向で跨るスライダブロック32を採用してもよい。この場合であっても、取付孔68aの中心軸を、スライダブロック32の長手方向における中央を避けた位置に配置することで、上述した作用効果が得られる。
また、例えば、上記実施形態では、図3に示すように、直動案内装置30として、左右に1条ずつ、計2条の無限循環路Lが形成されるものを例示したが、例えば、左右に2条ずつ、計4条の無限循環路Lが形成されるものを使用してもよい。また、案内対象物の移動ストロークが限定されるものであれば、直動案内装置30として、無限循環路Lが形成されない有限ストローク型直動案内装置を使用してもよい。この有限ストローク型直動案内装置は、転動体転走溝40と転動体負荷転走溝65との間にケージ(転動体保持部材)が配置され、当該ケージに設けられたボールホルダでボール64を回転自在に保持するものである。
また、例えば、上記実施形態では、転動体としてボールを使用したが、例えば、ローラー等の他の転動体を使用してもよい。
1…座席シート移動固定装置、10…座席シート(案内対象物)、15…脚部、20…ベース部材、21…スリット、30…直動案内装置、31…軌道レール(軌道体)、32…スライダブロック(移動体)、42…固定孔、45…位置決めピン、64…ボール(転動体)、揺動軸…67、揺動軸受部…68、取付孔…68a、挿通孔…69、S…内部空間

Claims (5)

  1. 軌道レールと、
    前記軌道レールに複数の転動体を介して相対移動自在に組み付けられた移動体と、
    前記移動体と前記軌道レールとの相対運動を規制する位置決めピンと、を備えた直動案内装置において、
    前記軌道レールには、
    長手方向に所定間隔を空けて複数配置された、前記軌道レールをベース部材に対して固定するための固定孔と、前記位置決めピンが挿入される位置決め孔と、が設けられ、
    前記移動体には、
    案内対象物を揺動可能に連結する揺動軸が挿通される取付孔を有する揺動軸受部と、
    前記位置決めピンが挿通される挿通孔と、が設けられ、
    前記取付孔及び前記挿通孔は、前記移動体の前記長手方向における中央を避けた位置に配置され
    前記揺動軸受部から見て、前記揺動軸受部が前記取付孔を介して受ける荷重の前記長手方向における分力の向きとは反対側に前記位置決めピンが位置している、直動案内装置。
  2. 前記移動体の前記長手方向における長さは、連続して配置された3つの前記固定孔のうち、前記長手方向における両端に位置する前記固定孔の中心軸同士の間隔よりも長く、
    前記挿通孔の中心軸は、前記長手方向において、隣り合う前記固定孔同士の間に位置している、請求項1に記載の直動案内装置。
  3. 前記取付孔の中心軸は、前記長手方向において、前記挿通孔の中心軸が位置している前記固定孔同士の間とは異なる、隣り合う前記固定孔同士の間に位置している、請求項2に記載の直動案内装置。
  4. 前記長手方向に直交する横断面視において、前記ベース部材には、内部空間と、前記内部空間と前記ベース部材の外部とを連通させるスリットと、が形成され、
    前記軌道レールは、前記内部空間内に配置された内側取付部材を介して、前記ベース部材に取り付けられている、請求項1から3のいずれか1項に記載の直動案内装置。
  5. 前記揺動軸受部は、前記揺動軸を介して航空機用の座席シートの後脚に連結される、請求項1から4のいずれか1項に記載の直動案内装置。
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