JP2018099998A - 運動案内装置及び座席シート移動固定装置 - Google Patents

運動案内装置及び座席シート移動固定装置 Download PDF

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彰斗 金子
Akito Kaneko
彰斗 金子
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Abstract

【課題】案内対象物の取り付けが容易な運動案内装置及び座席シートの取り付けが容易な座席シート移動固定装置の提供。
【解決手段】軌道レール31と、軌道レール31に対し相対移動可能に取り付けられたスライダブロック32と、スライダブロック32に固定され、座席シートの脚部が取り付けられるアダプタープレート62と、を備える運動案内装置30であって、軌道レール31の長手方向と交差する幅方向において、スライダブロック32に対するアダプタープレート62の固定位置を調整する位置調整機構80を備え、位置調整機構80は、少なくとも幅方向(Y軸方向)において隙間をあけてアダプタープレート62を収容する収容溝81を備える、という構成を採用する。
【選択図】図6

Description

本発明は、運動案内装置及び座席シート移動固定装置に関するものである。
下記特許文献1には、客室床面に敷設された床レールに対して位置変更可能に取り付けられる乗物用座席であって、脚の下端には前記床レールに掛止する掛止部材を備えた乗物用座席において、前記掛止部材には、該掛止部材の床レールに対する掛止とその解除を行う固定及び固定解除装置を取り付け、前記乗物用座席には、該乗物用座席を床レールに沿って移動させる座席移動装置を取り付けたことを特徴とする乗物用座席が開示されている。
特開平2−279433号公報
上記従来技術の乗物用座席は、一人掛け乃至三人掛けの座席が座席基体により一体化されたものであり、当該座席基体の左右部には前脚及び後脚が設けられている。このような乗物用座席を案内する場合、座席基体の左右の脚部のそれぞれに移動体を取り付け、該移動体を固定した軌道体に沿って相対移動させることにより、乗物用座席を精度良く案内することができる。しかしながら、このような場合、軌道体に対する移動体の取り付け精度に対して、座席基体の左右の脚部間の寸法精度が低いことが多く、軌道体の固定位置を軌道体の幅方向において調整する必要があり、取り付けに手間がかかっていた。また、軌道体の固定位置が予め決まっている場合には、乗物用座席(案内対象物)の取り付けが困難になる虞があった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、案内対象物の取り付けが容易な運動案内装置及び座席シートの取り付けが容易な座席シート移動固定装置の提供を目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明は、軌道体と、前記軌道体に対し相対移動可能に取り付けられた移動体と、前記移動体に固定され、案内対象物が取り付けられる取付部材と、を備える運動案内装置であって、前記軌道体の長手方向と交差する幅方向において、前記移動体に対する前記取付部材の固定位置を調整する位置調整機構を備え、前記位置調整機構は、少なくとも前記幅方向において隙間をあけて前記取付部材を収容する収容溝を備える、という構成を採用する。
また、本発明は、座席シートの左右に離間した脚部が取り付けられる複数の運動案内装置を備える座席シート移動固定装置であって、前記複数の運動案内装置の少なくとも1つとして、先に記載の運動案内装置を備える、という構成を採用する。
本発明によれば、案内対象物の取り付けが容易な運動案内装置及び座席シートの取り付けが容易な座席シート移動固定装置が得られる。
本発明の実施形態における座席シート移動固定装置を示す斜視図である。 図1に示す座席シート移動固定装置が備える運動案内装置を示す斜視図である。 図2に示す矢視A−Aの部分断面図である。 図2に示す矢視B−Bの断面図である。 本発明の実施形態におけるスライダブロックに対するアダプタープレートの固定構造を示す分解斜視図である。 図2に示す矢視C−Cの断面図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下に示す実施形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために、例を挙げて説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。また、以下の説明に用いる図面は、本発明の特徴を分かりやすくするために、便宜上、要部となる部分を拡大している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。また、本発明の特徴を分かりやすくするために、便宜上、省略した部分がある。
図1は、本発明の実施形態における座席シート移動固定装置1を示す斜視図である。図2は、図1に示す座席シート移動固定装置1が備える運動案内装置30を示す斜視図である。なお、図2は、座席シート10の後脚17に取り付けられた運動案内装置30を後方から視た斜視図である。図3は、図2に示す矢視A−Aの部分断面図である。図4は、図2に示す矢視B−Bの断面図である。
座席シート移動固定装置1は、図1に示すように、座席シート10と、床レール20と、運動案内装置30と、を備える。
なお、以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明することがある。X軸方向は座席シート10の前後方向であり、X軸方向と直交するY軸方向(水平方向)は座席シート10の左右方向であり、X,Y軸方向と直交するZ軸方向は座席シート10の上下方向である。
座席シート10は、例えば、複数の座席11を有する航空機用座席である。座席11は、人が着座する着座部12と、着座部12に座った着座者を後方から支える背凭れ13と、着座者の腕を下方から支える肘掛14と、を備える。これらの座席11は、図示しない座席基体(座席フレーム)により左右方向において一体化されて三人掛けとなっている。この座席基体には、座席11を支持する複数の脚部15が設けられている。
複数の脚部15は、座席シート10の左右に離間して配置されている。また、複数の脚部15は、座席シート10の左右のそれぞれにおいて、座席シート10の前後に離間して配置された前脚16及び後脚17を形成している。前脚16は、座席11の下面から下方に延びている。後脚17は、座席11の下面から斜め後方に延びている。前脚16の下端及び後脚17の下端には、それぞれ運動案内装置30のスライダブロック32(移動体)が接続されている。
床レール20は、航空機の客室の床面に沿って座席シート10の前後方向に延在して設けられている。この床レール20は、座席シート10の左右の前脚16及び後脚17がそれぞれ配置される位置に、対となって平行に延在している。床レール20は、図2に示すように、長尺状でかつその長手方向(X軸方向)に沿って上部にスリット21が形成された筒状に形成されている。このスリット21には、長手方向と交差する幅方向(Y軸方向)における間隙の幅が広く設定された膨出領域22を長手方向に沿って規則的に複数有している。
運動案内装置30は、この床レール20上に配置された軌道レール31(軌道体)と、軌道レール31に沿って相対移動可能に組み付けられたスライダブロック32(移動体)と、軌道レール31を床レール20に固定する固定ユニット33(軌道体ユニット)と、を備える。運動案内装置30は、図1に示すように、座席シート10の左右方向に離間して配置されており、左右の運動案内装置30の軌道レール31は、互いに平行になるように前後方向に延在している。左右の軌道レール31のそれぞれには、前脚16に接続されたスライダブロック32と後脚17に接続されたスライダブロック32とが長手方向に相対移動可能に取り付けられている。
軌道レール31は、図3に示すように、断面視略矩形状の長尺部材である。軌道レール31の長手方向と交差する幅方向(Y軸方向)の外側面31bには、軌道レール31の長手方向(X軸方向)に沿って転動体転走溝40が形成されている。転動体転走溝40は、外側面31bに対して略円弧状に窪んでいる。この転動体転走溝40は、軌道レール31の左右に一対で形成されている。
また、軌道レール31の外側面31bには、転動体転走溝40よりも下方に、凹部41が形成されている。凹部41は、転動体転走溝40よりも深く大きな溝であり、軌道レール31の長手方向に沿って形成されている。凹部41は、外側面31bに対して斜辺が軌道レール31の中心に向かって斜め下方に延びる略直角三角形状に窪んでいる。この凹部41は、軌道レール31の左右に一対で形成されている。
軌道レール31には、図2に示すように、複数の固定孔42と、複数の位置決め孔43と、が形成されている。複数の固定孔42には、軌道レール31を床レール20に固定するボルト44(固定部材)がそれぞれ挿入される。また、複数の位置決め孔43には、軌道レール31に対するスライダブロック32の長手方向における位置を決める位置決めピン45(固定ピン)が挿入される。これら固定孔42と位置決め孔43は、軌道レール31の長手方向において等間隔で交互に形成されている。
固定孔42は、図4に示すように、軌道レール31の厚み方向(Z軸方向)に貫通して形成された段付き孔であり、ボルト44の頭部を軌道レール31の上面よりも下方に位置させる座ぐり46が形成されている。一方、位置決め孔43は、軌道レール31の厚み方向に貫通して形成された貫通孔である。位置決め孔43の内径は、固定孔42(座ぐり46)の内径と略等しい。なお、位置決め孔43は、有底円筒状の孔であってもよい。また、固定孔42と位置決め孔43の内径は、異なっていてもよい。
固定ユニット33は、床レール20の内側に配置された内側ベース部材50を備える。内側ベース部材50は、長手方向に間隔をあけて複数(本実施形態では2つ)のボルト締結部53が連結された第1部材51と、当該複数のボルト締結部53の間で第1部材51の長手方向への移動を規制する第2部材52と、を備える。第1部材51は、複数のボルト44と締結され、図3に示すように、床レール20の外側に配置された軌道レール31との間で、床レール20を内側と外側とから挟持するものである。
第1部材51は、軌道レール31との間で床レール20を挟み込む挟持部54と、挟持部54から上部に突出したボルト締結部53と、を備える。挟持部54の幅は、スリット21の膨出領域22における幅よりも小さく、スリット21の膨出領域22以外の領域(狭隘領域)の幅よりも大きい。この挟持部54及びボルト締結部53は、長手方向において隣接する膨出領域22の間(狭隘領域)に配置される。ボルト締結部53の上面には、図4に示すように、ネジ孔55が形成されており、ボルト44が締結される。
また、第1部材51は、長手方向に隣接して配置されたボルト締結部53の間に、第2部材52を固定する突起56を備える。第2部材52は、突起56が圧入される固定孔57を備え、第1部材51に対して固定されている。この第2部材52は、幅方向(Y軸方向)に長い略長円形状を有し、図2に示す膨出領域22に配置され、膨出領域22と長手方向(X軸方向)において係合することで、第1部材51の長手方向への移動を規制する。
スライダブロック32は、ブロック本体60と、ブロック本体60に取り付けられたエンドプレート61(蓋体)と、座席シート10の脚部15が取り付けられるアダプタープレート62(取付部材)と、を備える。ブロック本体60には、図3に示すように、軌道レール31の凹部41に遊嵌する凸部63が形成されている。凸部63は、ブロック本体60の内側面60bに対して突出し、凹部41に隙間をあけて挿入されている。
凸部63が凹部41に挿入されることで、軌道レール31とスライダブロック32とがZ軸方向において分離不能となる。このため、例えば、脚部15と接続されたスライダブロック32に対して軌道レール31から相対的に離間させる方向(Z成分を含む方向)の外部荷重(引き抜き荷重)が加わったときでも、凹部41と凸部63とが接触することにより、軌道レール31とスライダブロック32との組み付け状態が維持され、ボール64の脱落などが防止される。
また、ブロック本体60には、転動体負荷転走溝65が形成されている。転動体負荷転走溝65は、ブロック本体60の内側面60bに対して円弧状に窪んでいる。この転動体負荷転走溝65は、軌道レール31を挟むように、スライダブロック32の左右に一対で形成されている。転動体負荷転走溝65は、軌道レール31の転動体転走溝40と対向し、負荷をかけた状態でボール64を転動させる負荷転動体転走路L1を形成する。
また、ブロック本体60には、無負荷転動体転走路L2が形成されている。無負荷転動体転走路L2は、ブロック本体60を長手方向に貫通して形成されている。無負荷転動体転走路L2の内径は、ボール64のボール径よりも大きく、ボール64に負荷をかけないようになっている。この無負荷転動体転走路L2は、転動体負荷転走溝65(負荷転動体転走路L1)に対応して、スライダブロック32の左右に一対で形成されている。
エンドプレート61は、図2に示すように、ブロック本体60の移動方向の両端面に取り付けられている。このエンドプレート61には、ブロック本体60の両端面と対向する対向面に、転動体方向転換路L3が形成されている(図3参照)。一対の転動体方向転換路L3は、負荷転動体転走路L1と無負荷転動体転走路L2の両端をそれぞれ連結し、ボール64の無限循環路Lを形成する。
無限循環路Lは、軌道レール31の長手方向に延びる一対の直線状部分(負荷転動体転走路L1及び無負荷転動体転走路L2)と、この一対の直線状部分の端部同士を連結する一対の半円弧曲線状部分(転動体方向転換路L3)とから構成される。本実施形態では、軌道レール31の幅方向において間隔をあけ、軌道レール31の長手方向に沿って平行に延在するように2条の無限循環路Lが形成される。
ボール64は、軌道レール31とスライダブロック32との間に介在して、軌道レール31に対するスライダブロック32の移動を円滑に行わせるものである。本実施形態のボール64は、無限循環路Lの内部にほぼ隙間無く配設されて、無限循環路Lを循環する。
アダプタープレート62は、図2に示すように、複数のボルト66(ネジ部材)によってブロック本体60の上部に固定されている。アダプタープレート62は、座席シート10の脚部15を連結する連結ピン67が幅方向(Y軸方向)に延びる軸回りに回転自在に挿入される連結ピン受部68を備える。すなわち、スライダブロック32は、軌道レール31の幅方向を回転軸として回動可能に脚部15と接続されている。
また、アダプタープレート62には、位置決めピン45が挿入される挿入孔69が形成されている。挿入孔69は、アダプタープレート62を厚み方向(Z軸方向)に貫通して形成されている。また、図4に示すように、ブロック本体60には、挿入孔69と連通する挿入孔70が形成されている。挿入孔70は、ブロック本体60を厚み方向(Z軸方向)に貫通して形成されている。この挿入孔70には、鍔付き円筒状のブッシュ71が装着されている。
位置決めピン45は、先細りのテーパー部45aを有し、アダプタープレート62の挿入孔69、ブロック本体60の挿入孔70(ブッシュ71)及び軌道レール31の位置決め孔43に容易に挿入可能な構成となっている。位置決めピン45が、アダプタープレート62及びブロック本体60を貫通して、軌道レール31の位置決め孔43に挿入されると、軌道レール31に対するスライダブロック32の長手方向における位置が決まる。
上記構成の運動案内装置30によれば、位置決めピン45の抜き差しにより、軌道レール31に対するスライダブロック32の長手方向における位置決め(固定)及び位置決め解除(固定解除)を行うことができる。このため、スライダブロック32から位置決めピン45を抜けば、図1に示す座席シート10を前後方向に移動させることができる。また、位置決めピン45をスライダブロック32に差し込み、軌道レール31の位置決め孔43に挿入することで、座席シート10を固定することができる。
次に、図5及び図6を参照して、上記構成の運動案内装置30が備える、スライダブロック32に対するアダプタープレート62の幅方向(Y軸方向)における固定位置を調整する位置調整機構80について説明する。
図5は、本発明の実施形態におけるスライダブロック32に対するアダプタープレート62の固定構造を示す分解斜視図である。図6は、図2に示す矢視C−Cの断面図である。
位置調整機構80は、スライダブロック32に設けられた収容溝81を備える。収容溝81は、ブロック本体60の上部に一体で形成されており、図6に示すように、少なくとも幅方向(Y軸方向)において隙間をあけてアダプタープレート62を収容している。
収容溝81は、略アリ溝状に形成されており、アダプタープレート62を支持する底面部82と、底面部82から立設し、幅方向(Y軸方向)において対向して配置された一対の壁部83と、一対の壁部83から互いに近接する方向に突出する一対の突出部84と、を備える。一対の壁部83及び一対の突出部84は、図5に示すように、ブロック本体60の上部の前後両端部にそれぞれ形成されている。幅方向で対向する一対の壁部83及び一対の突出部84の間の底面部82には、アダプタープレート62をブロック本体60に固定するボルト66が螺合するネジ孔74が形成されている。
アダプタープレート62は、収容溝81に対応する略雄アリ溝状に形成されており、収容溝81に対しブロック本体60の前方側(+X側)から挿入される。アダプタープレート62の底部には、ブロック本体60に装着されたブッシュ71との干渉を避ける逃げ溝90が形成されている。また、アダプタープレート62の底部には、本体部91に対して幅方向両側に張り出した張り出し部92が形成されている。
張り出し部92は、一対の壁部83の間に挿入可能な幅で形成されている。この張り出し部92は、アダプタープレート62の前後両端部にそれぞれ形成されている。一方、本体部91は、一対の突出部84の間に挿入可能な幅で形成されている。本体部91には、位置決めピン45の挿入孔69と、ボルト66が挿通する挿通孔93と、連結ピン受部68とが形成されている。挿通孔93は、複数のボルト66に対応して複数形成されている。
図6に示すように、収容溝81の一対の突出部84と、アダプタープレート62の本体部91との間には、幅方向において第1の隙間S1が形成されている。また、収容溝81の一対の壁部83と、アダプタープレート62の張り出し部92との間には、幅方向において第2の隙間S2が形成されている。第1の隙間S1は、第2の隙間S2よりも小さく形成されている。すなわち、アダプタープレート62は、収容溝81に収容された状態で、幅方向に第1の隙間S1分(本実施形態では、例えば数ミリメートル分)移動できる。
また、図6に示すように、アダプタープレート62に形成された挿通孔93と、この挿通孔93に挿通されるボルト66との間には、第3の隙間S3が形成されている。挿通孔93は、アダプタープレート62の厚み方向(Z軸方向)に貫通して形成された段付き孔であり、ボルト66の頭部を本体部91の上面よりも下方に位置させる座ぐり94と、座ぐり94に連通し、ボルト66の軸部と対向する貫通部96とが形成されている。
第3の隙間S3は、ボルト66の軸部と貫通部96の側壁面との隙間である。なお、ボルト66の頭部と座ぐり94の側壁面との隙間は、第3の隙間S3以上である。この第3の隙間S3は、第1の隙間S1以上の大きさを有する。この第3の隙間S3は、複数の挿通孔93のそれぞれに形成されている。なお、挿通孔93の貫通部96の形状は、ボルト66の軸部の外径よりも大きい丸孔であってもよいし、幅方向に長い長孔や楕円孔であってもよい。
続いて、上記構成の運動案内装置30による作用について説明する。
運動案内装置30は、図1に示す座席シート10の左右に離間した脚部15を前後方向に案内するべく、座席シート10の左右に離間して平行に設けられている。本実施形態の座席シート10は航空機用座席であり、運動案内装置30の固定位置が航空機の客室の床面に設けられた床レール20の上に設定されている。また、運動案内装置30は、軌道レール31に対してスライダブロック32が例えば数〜数十マイクロメートルオーダーの高精度で取り付けられている。一方、座席シート10は、複数の座席11を座席基体により一体化したものであり、左右の脚部15の間の寸法精度には例えば数ミリメートルの誤差が生じ得る。したがって、このままでは固定位置が決まっている運動案内装置30への座席シート10の取り付けが困難になる。
このため、本実施形態の運動案内装置30は、座席シート10の脚部15が取り付けられるアダプタープレート62を備え、図6に示すように、軌道レール31の長手方向と交差する幅方向(Y軸方向)において、スライダブロック32に対するアダプタープレート62の固定位置を調整する位置調整機構80を備えている。位置調整機構80は、少なくとも幅方向において隙間をあけてアダプタープレート62を収容する収容溝81を備える。この構成によれば、スライダブロック32のブロック本体60に設けられた収容溝81の中で、軌道レール31に対するスライダブロック32の取り付け精度とは関係なく、アダプタープレート62の幅方向における固定位置を数ミリメートルオーダーで容易に調整できる。したがって、座席シート10の左右の脚部15において生じる取り付け誤差を、アダプタープレート62と収容溝81との間に形成した隙間で十分に吸収することができる。このため、固定位置が決まっている運動案内装置30への座席シート10の取り付けが容易になる。
また、本実施形態では、収容溝81は、アダプタープレート62を支持する底面部82と、底面部82から立設し、幅方向において対向して配置された一対の壁部83と、一対の壁部83から互いに近接する方向に突出する一対の突出部84と、を備える。この構成によれば、収容溝81がアリ溝状となって、アダプタープレート62を抱え込むことができ、スライダブロック32とアダプタープレート62とをZ軸方向において分離不能とすることができる。このため、例えば、脚部15と接続されたアダプタープレート62に対してスライダブロック32から相対的に離間させる方向(Z成分を含む方向)の外部荷重(引き抜き荷重)が、仮に、ボルト66の締結力を超える大きさで加わったときでも、スライダブロック32とアダプタープレート62との組み付け状態が維持される。
また、本実施形態では、図6に示すように、幅方向において、一対の突出部84とアダプタープレート62との間に形成される第1の隙間S1は、一対の壁部83とアダプタープレート62との間に形成される第2の隙間S2よりも小さい。この構成によれば、一対の突出部84とアダプタープレート62との間に形成される第1の隙間S1分だけ、アダプタープレート62の幅方向における固定位置を調整することができる。また、この構成によれば、第1の隙間S1が小さくなる分、一対の突出部84の厚みTを大きく確保することができるため、アダプタープレート62の上下方向の移動を規制する一対の突出部84の剛性を高めることができ、より大きな外部荷重に耐えることができる。
また、本実施形態では、位置調整機構80は、アダプタープレート62をスライダブロック32に固定するボルト66と、アダプタープレート62に設けられ、ボルト66が挿通される挿通孔93と、を備え、幅方向において、挿通孔93とボルト66との間に形成される第3の隙間S3は、第1の隙間S1以上である。この構成によれば、収容溝81の中におけるアダプタープレート62の幅方向における固定位置の調整を、ボルト66と挿通孔93との干渉によって阻害しないようにすることができる。
また、運動案内装置30は、図2に示すように、軌道レール31の長手方向に沿って設けられた転動体転走溝40と、スライダブロック32に設けられ、転動体転走溝40と対向する転動体負荷転走溝65と、転動体転走溝40と転動体負荷転走溝65との間に配置された複数のボール64と、を備える。この構成によれば、図1に示す座席シート10を前後方向に滑らかに移動させることができ、座席シート10の移動作業が容易になる。
また、図2に示すように、スライダブロック32に固定されたアダプタープレート62は、脚部15を連結する連結ピン67が幅方向に延びる軸回りに回転自在に挿入される連結ピン受部68を備える。この構成によれば、脚部15に対するスライダブロック32の取り付け角度の調整が可能となる。例えば、座席シート10が折り畳み式のものであって、脚部15の角度が変わる場合であっても、脚部15に対してスライダブロック32が回動するができるため、連結状態を維持できる。
このように、上述の本実施形態によれば、軌道レール31と、軌道レール31に対し相対移動可能に取り付けられたスライダブロック32と、スライダブロック32に固定され、座席シート10の脚部15が取り付けられるアダプタープレート62と、を備える運動案内装置30であって、軌道レール31の長手方向と交差する幅方向において、スライダブロック32に対するアダプタープレート62の固定位置を調整する位置調整機構80を備え、位置調整機構80は、少なくとも幅方向において隙間をあけてアダプタープレート62を収容する収容溝81を備える、という構成を採用することによって、座席シート10の取り付けが容易になる。
以上、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
例えば、上記実施形態では、図1に示す座席シート10の離間した脚部15が取り付けられる複数の運動案内装置30のそれぞれが、上述した位置調整機構80を備えている構成について例示したが、本発明はこの構成に限定されるものではなく、例えば、座席シート10の左右の脚部15の寸法精度の誤差が小さい場合には、左右の一方の運動案内装置30が上述した位置調整機構80を備え、他方の運動案内装置30は上述した位置調整機構80を備えていなくてもよい。
また、例えば、上記実施形態では、運動案内装置30の案内対象物として3人掛けの座席シート10を例示したが、本発明はこの構成に限定されるものではなく、座席シート10は1人掛けであっても2人掛けであっても、4人掛け以上のものであってもよい。また、座席シート10に対して3列以上の脚部15が左右に離間して設けられる構成であってもよい。
なお、案内対象物は、座席シートに限らず、左右に離間した取付箇所がある物体であれば、好適に運動案内装置30を取り付けることができる。
また、例えば、上記実施形態では、図3に示すように、運動案内装置30として、左右に1条ずつ、計2条の無限循環路Lが形成されるものを例示したが、例えば、左右に2条ずつ、計4条の無限循環路Lが形成されるものを使用してもよい。また、案内対象物の移動ストロークが限定されるものであれば、運動案内装置30として、無限循環路Lが形成されない有限ストローク型運動案内装置を使用してもよい。この有限ストローク型運動案内装置は、転動体転走溝40と転動体負荷転走溝65との間にケージ(転動体保持部材)が配置され、当該ケージに設けられたボールホルダでボール64を回転自在に保持するものである。
また、例えば、上記実施形態では、転動体としてボールを使用したが、例えば、ローラー等の他の転動体を使用してもよい。
また、上記実施形態では、運動案内装置30として転動体が介在する転がり案内装置を使用したが、転動体が介在しないすべり案内装置を使用してもよい。
1…座席シート移動固定装置、10…座席シート、15…脚部、30…運動案内装置、31…軌道レール(軌道体)、32…スライダブロック(移動体)、40…転動体転走溝、62…アダプタープレート(取付部材)、66…ボルト(ネジ部材)、80…位置調整機構、81…収容溝、82…底面部、83…壁部、84…突出部、93…挿通孔、S1…第1の隙間、S2…第2の隙間、S3…第3の隙間

Claims (7)

  1. 軌道体と、前記軌道体に対し相対移動可能に取り付けられた移動体と、前記移動体に固定され、案内対象物が取り付けられる取付部材と、を備える運動案内装置であって、
    前記軌道体の長手方向と交差する幅方向において、前記移動体に対する前記取付部材の固定位置を調整する位置調整機構を備え、
    前記位置調整機構は、少なくとも前記幅方向において隙間をあけて前記取付部材を収容する収容溝を備える、ことを特徴とする運動案内装置。
  2. 前記収容溝は、
    前記取付部材を支持する底面部と、
    前記底面部から立設し、前記幅方向において対向して配置された一対の壁部と、
    前記一対の壁部から互いに近接する方向に突出する一対の突出部と、を備える、ことを特徴とする請求項1に記載の運動案内装置。
  3. 前記幅方向において、前記一対の突出部と前記取付部材との間に形成される第1の隙間は、前記一対の壁部と前記取付部材との間に形成される第2の隙間よりも小さい、ことを特徴とする請求項2に記載の運動案内装置。
  4. 前記位置調整機構は、
    前記取付部材を前記移動体に固定するネジ部材と、
    前記取付部材に設けられ、前記ネジ部材が挿通される挿通孔と、を備え、
    前記幅方向において、前記挿通孔と前記ネジ部材との間に形成される第3の隙間は、前記第1の隙間以上である、ことを特徴とする請求項3に記載の運動案内装置。
  5. 前記軌道体の長手方向に沿って設けられた転動体転走溝と、
    前記移動体に設けられ、前記転動体転走溝と対向する転動体負荷転走溝と、
    前記転動体転走溝と前記転動体負荷転走溝との間に配置された複数の転動体と、を備える、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の運動案内装置。
  6. 座席シートの左右に離間した脚部が取り付けられる複数の運動案内装置を備える座席シート移動固定装置であって、
    前記複数の運動案内装置の少なくとも1つとして、請求項1〜5のいずれか一項に記載の運動案内装置を備える、ことを特徴とする座席シート移動固定装置。
  7. 前記取付部材は、前記脚部を連結する連結ピンが前記幅方向に延びる軸回りに回転自在に挿入される連結ピン受部を備える、ことを特徴とする請求項6に記載の座席シート移動固定装置。
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